説明

微粒子状木材保存剤及びその製造方法

難溶性銅塩1つ以上を含む注入可能な粒子を含む木材保護材。銅系粒子は、浸出により容易に除去されないために、十分に不溶性であるが、主に木材の腐食原因となる主な有機体に対して毒性を示すために、十分に可溶性である。代表的な粒子は、例えば、水酸化銅、塩基性炭酸銅、炭酸銅、特に、トリ塩基性硫酸銅を含む塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物を含む。通常、粒子は、粒子の少なくとも50%が0.25μm、0.2μm、又は0.15μm未満の直径を有する粒度分布を有している。粒子の重量の少なくとも約20%、及び75%よりも多くは、実質的に結晶性銅塩からなることができる。木材及び木材製品を、本発明の銅系粒子で含浸することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2003年6月17日に出願された米国仮出願60/478,822、60/478,827、60/478,825、及び60/478,820、並びに2004年5月17日に出願された米国仮出願60/571,535に基づく優先権を主張する。各仮出願は参照することによりここに含まれる。
【0002】
本発明は、木材保存剤、特に、銅化合物1つ又はそれ以上を含む粒子を含む木材保存剤に関する。更に詳しくは、本発明は、難溶性銅塩の注入可能な粒子を含む木材保存剤、その木材保存剤を調製する方法、及び、その木材保存剤を使用して木材を保存する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的分解を抑制するように処理された木材の生産は公知である。腐食は、木材のセルロースやリグニンを食用とする菌類により引き起こされる。木材分解を引き起こすそのような生物には、Gloeophyllum trabeum(赤腐れ病)、Trametes versicolor(白腐れ病)、Serpula lacrymans(乾燥病)、及びConiophora puteana等の担子菌類が含まれる。軟腐病はほとんど全ての硬材及び軟材の表面を攻撃し、湿った条件を好む。これらの菌類の大部分は食物と湿気を必要とし、例えば、20%を超える木材中水分含量が菌の成長を招く。乾燥病は頑強であり、乾燥した木材中でも成長できる。昆虫もまた木材劣化の主要原因である。木材分解を引き起こす例示的生物には、Anobium punctatum(家具食い虫)、Hylotrupes bajulus(ハウスロングホーン(house longhorn))、及びXestobium rufovillorum(コナチャタテ)等の甲虫類、シロアリやオオアリ等の膜翅類、更にまた船食い虫及び/又はスズメバチが含まれる。結局、シロアリはいたるところに居り、シロアリによる損害は米国だけでも年間20億ドルであると見積もられている。
【0004】
木材系複合材製品の生産は近年目ざましく増加している。オリエンティッド・ストランドボード(OSB)の生産は2000年において合板の生産を上回った。同様に中密度のファイバーボードやハードボードのパネル製品の使用が最近20年にわたり目ざましく増加している。しかしながら、これらの製品は、腐食菌やシロアリのような生物学的動因による攻撃に対しては特に影響されやすいことが分かってきたため、昆虫や腐食菌による攻撃が制限される室内応用に典型的に使用される。
【0005】
昆虫の攻撃や腐食をくいとめるために、保存剤が木材処理に使用される。工業的に使用される保存剤は主にその応用様式に基づき、三つの基礎的カテゴリーに分けられる。即ち、水系、クレオソート、及び油系の保存剤である。水系保存剤は、クロメート化ヒ酸銅(chromated copper arsenate;CCA)、アンモニア性・銅・クオート(ammoniacal copper quat;ACQ、これは銅−MEA−カーボネートと第四級アミンであると考えられている)、アンモニア性ヒ酸銅亜鉛(ammoniacal copper zinc arsenate;ACZA)、及びアンモニア性ヒ酸銅(ammoniacal copper arsenate;ACA)を含む。これらの化学物質で処理された木材は時に、保存剤中の銅と太陽の紫外線との反応のために緑色又は灰緑色に変化する。保存剤、特にクロムなしで製造された保存剤は、風雨にさらされると、経時的に土壌中に浸出される。クレオソートは土壌中に容易に浸出されることはないし、金属に対する腐食性もないが、ペンキ塗りができないし、強い臭気を有する薄黒い油性の表面を残す。油系保存剤は、ある種の化合物を軽質石油に溶解して製造され、ペンタクロロフェノール(一般に「ペンタ」として知られている)、ナフテン酸銅、及び銅−8−キノリノレート(copper-8-quinolinolate)を含む。これらの保存剤は多くの場合ペンキ塗りのできない表面を残し、木材の表面は薄黒くなり不自然に着色される可能性がある。
【0006】
最新の有機殺生剤は比較的環境に優しいと考えられており、CCA処理した材木と関連する問題を提起するとは予想されていない。例えば、テブコナゾール(tebuconazole)の殺生剤は普通の有機溶媒にかなり溶けやすいが、例えば、クロロタロニルの他の殺生剤は低い溶解度しかもたない。有機殺生剤の溶解度は、殺生剤で処理した木材製品が適切である市場に影響を及ぼす。良好な溶解度を持つ殺生剤は少量の有機溶媒に高濃度で溶解することができ、そして、その溶液を適当な乳化剤を用いて水に分散させ、水性エマルションを製造することができる。そのエマルションは、前記方法で処理される材木用の従来の加圧処理に使用でき、そして、処理木材がヒトと接触することになるデッキ用材等の製品に使用できる。低い溶解度を所有する殺生剤は、例えば、AWPA P9 TypeAの炭化水素油の溶液として木材中に組み込まなければならない。生じた有機溶液は直接に木材を処理するのに使用される。その油はヒトの皮膚を刺激するため、この方法で処理した木材は、例えば、電柱や鉄道の枕木の産業応用にのみ使用できる。
【0007】
初期の保存木材は歴史的にはクロメート化ヒ酸銅(CCA)で処理された南部の松材であった。この処理された材木の大部分はデッキや垣根や風致的材木用に使用された。主にヒ素含量に関してだが、更にクロム含量に関しても、最近、木材保存剤としてのCCAの安全性と健康への影響について懸念されるようになってきた。2003年/2004年において、一部は規制ガイドラインにより又安全性についての懸念により、CCA処理製品の使用が実質的に中止になっている。新世代の銅含有木材保存剤は可溶性である銅の一形態を使用する。公知の保存剤は、銅アルカノールアミンコンプレックス(copper alkanolamine complexes)、銅ポリアスパラギン酸コンプレックス(copper polyaspartic acid complex)、アルカリ性銅四級塩(alkaline copper quaternary)、銅アゾール(copper azole)、銅ホウ素アゾール(copper boron azole)、銅ビス(ジメチルジチオカルバメート)(copper bis(dimethyldithiocarbamate))、アンモニア性クエン酸銅(ammoniacal copper citrate)、クエン酸銅、及び銅・エタノールアミン・カーボネート(copper ethanolamine carbonate)を含む。実際上、工業用に受け入れられるための第一の基準は、処理能力は当然のこととして、コストである。上に列挙した多くの組成物のうち、唯二つの可溶性銅塩含有木材保存剤が工業用に受け入れられている。即ち、1)例えば、米国特許第6,646,147号明細書に開示された方法により製造された銅・エタノールアミン・カーボネート、及び、2)銅ホウ素アゾールである。しかしながら、これらの新しい銅含有保存剤についても幾つかの問題がある。
【0008】
可溶性銅含有木材保存剤はCCAに比べて非常に浸出されやすい。1つの研究は、所定の野外条件下で約10年のうちに銅アミンカーボネートコンプレックス(copper amine carbonate complex)から80%もの銅が取り去られるということを示している。American Wood Preserving Associationの標準浸出試験に用いられる厳しい条件下では、これらの製品は木材から速やかに浸出される。例えば、本発明者が見出したところでは、Cu−モノエタノールアミン(Cu-monoethanolamine)保存剤の77重量%が14日間で保存木材から浸出された。この浸出は少なくとも二つの理由に関する。即ち、1)農薬の銅部分が木材から浸出により除去されることはその製剤の長期的効力を損なうことになる、及び、2)浸出された銅は環境が汚染されるという懸念の原因となる。たいていの動物は銅に耐性があるが、銅はある種の魚に対してはppm以下のレベルで非常に毒性がある。銅のEC50に対する普通の範囲は、1リットル当たり2マイクログラムと12マイクログラムとの間にある。もう1つの研究は、Synthetic Precipitation Leaching Procedure に従って報告した。その研究結果は、CCA処理した木材からの浸出液は1リットル当たり約4mgの銅を含んでいたこと、銅ホウ素アゾール処理された木材からの浸出液はリットル当たり約28mgの銅を含んでいたこと、銅ビス(ジメチルジチオカルバメート)処理された木材からの浸出液はリットル当たり7〜8mgの銅を有していたこと、アルカリ性銅四級塩処理された木材からの浸出液はリットル当たり29mgの銅を有していたこと、及びクエン酸銅処理された木材からの浸出液はリットル当たり62mgの銅を有していたことを示した。しかしながら、銅濃度はある程度銅濃度しだいである。Synthetic Precipitation Leaching Procedureにおいて、銅ホウ素アゾールは銅合計量の22%を浸出されたのに対して、CCAは銅合計量の7%を浸出され、アルカリ性銅四級塩保存剤は銅合計量の12%を浸出された。銅の浸出は非常に問題なので、いくつかの州は、可溶性銅含有木材保存剤で処理した木材を水路付近で使用することを許可していない。
【0009】
一般に可溶性銅保存剤製品についてもう1つ重大なことは、たいていの保存剤材料が幾つかの中央の場所の1つで製造されるが、全く異なる地域で使用され、時には相当な距離を輸送しなければならないということである。これらの可溶性製品のために液体運搬車を準備して輸送する費用はかなりの額になり得るし、もし輸送中の可溶性銅木材保存剤材料が水路付近でこぼれたり偶然に放出されたりすると極端な生物学的衝撃の可能性が非常に高くなる。
【0010】
更に、CCAとは違って、これらの可溶性銅含有木材保存剤は全て、ある生物学的種に効果的であるために、第二の有機殺生剤を必要とする。従って、これらの可溶性銅含有木材保存剤で保存される木材は、1つ又はそれ以上の特に厄介な種に効能のある第二の殺生剤をも含む。例えば、銅(II)−スルフィト化タンニン抽出物コンプレックス(copper(II)-sulfited tannin extract complex)(エピカテキン)の油溶性殺生剤は、米国特許第4,988,545号明細書に開示されるように、軽油に溶解し、水に乳化して、木材に注入することができる。代わりに、第二の殺生剤はしばしば僅かに可溶性であるか、又は乳化されるかして、トリアゾール基又は第四級アミン基(quaternary amine group)又はニトロソ−アミン基(nitroso-amine grpup)からなることもできる。この殺生剤は、木材の加圧処理に使用する液へ容易に加えることができる。
【0011】
可溶性銅含有木材保存剤を改良する1つの試みは、他の塩を組み込むことである。1992年11月12日公開のPCT特許出願WO92/19429は、実施例2において、調製木材物品を180℃のアマニ油浴に20分間浸すことにより処理する方法を記載する。この場合のアマニ油は、0.07%鉛、0.003%マンガン、及び0.004%カルシウムからなる乾燥剤、又は乾燥剤、並びに殺虫剤及び殺菌剤としての0.3%ナフテン酸銅と0.03%ナフテン酸亜鉛を含む。他の人たちは、銀を含む代わりの金属化合物を試している。これらの何れも工業的に受け入れられていない。
【0012】
Fojutowski,A.;Lewandowski,O,Zesz.Probl.Postepow Nauk Roln.No.209:197−204(1978)は、銅化合物とともに脂肪酸を含む殺菌剤であって、120℃に加熱したハードボードを前記殺菌剤の浴中に浸し、その上120℃に維持することに適用される殺菌剤を記載する。これは様々な理由のために実用的でない。「A New Approach To Non−Toxic,Wide−Spectrum,Gound−Contact Wood Preservatives,Part I.Approach And Reaction Mechanisms」HOLZFORSCHUNG Vol.47,No.3,1993,pp.253−260において、無毒性植物油ロジンの不飽和脂肪酸からの、及び合成不飽和ポリエステル樹脂からの、カルボン酸基で製造される銅セッケンが、土地接触木材保存剤としてシロアリと菌類の攻撃に対して使用することにより効力と長期耐久性を有すると主張されている。これらは未だ広範囲に使用されてはいないし、高い浸出速度を有すると予想されるし、生物学的利用能のある脂肪酸があるカビの発育を促進すると予想される。
【0013】
銅保存剤の溶解度は、例えば、油障壁を使用することにより制御することができる。しかし、これらの油は木材の色、外観、及び燃焼特性を好ましくない方に変化し得るし、強い刺激物であり得る。油浸漬した木材、例えば電柱は、例えば、クロロタロニルの油溶性の殺生剤を含有しており、浸出や生物学的攻撃に高い抵抗性がある。しかし、この木材の外観はたいていの用途に受け入れられない。1996年に公開された日本国特許出願JP08−183,010は、銅塩及びアマニ油又はその他の液状硬化性組成物を含有する処理液で木材を処理することにより製造される、防カビ性、防腐性、及び防蟻性を有すると主張される改質木材を記載している。米国特許第3,837,875号明細書は、木材等の多数の材料をきれいにし、密閉し、保存し、保護し、美化するための組成物として、煮沸したアマニ油、テレビン油、松根油、乾燥剤、及び28ppmの金属銅の混合物を記載する。Feist and Mraz,Forest Products Lab Madison Wis.,Wood Finishing:Water Repellents and Water−Repellent Preservatives.Revision,Report Number−FSRN−FPL−0124−Rev(NTIS 1978)は、水をはじく物質(通常パラフィンロウ又は関連材料)、樹脂又は乾燥油、及び、例えばテレビン油やミネラルスピリットの溶媒を含有する保存剤を開示する。例えば、ナフテン酸銅の保存剤を撥水剤へ添加することで、腐食やカビ生物から木材表面を保護すると主張されている。ソビエト連邦特許番号SU642166は、木材に銅塩水溶液を含浸し、次いで8−ヒドロキシキノリン染料を含有する煮沸乾燥油中で処理することにより実施される、木材表面着色保存処理を記載する。米国出願公開20030108759は、木材保存剤として、酢酸銅アンモニウムコンプレックスと乾燥油を注入することを記載する。この場合もやはり、油は、木材の燃焼特性を変えることができ、シミをつけることができ、及び/又は変色させることができ、そして、刺激物であるので好まれていない。更に、木材を処理すること、又は、木材に注入することが困難である。上記の木材保存方法は何れも工業的に受け入れられていない。
【0014】
米国特許第6,521,288号明細書は、特定の有機殺生剤に高分子ナノ粒子(粒子)を添加することを記載し、以下の利点を主張する。即ち、1)加工処理において殺生剤を保護すること、2)水不溶性の殺生剤を組み込む能力を有すること、3)ポリマー成分が希釈剤として働くので、木材中に殺生剤の小粒子を組み込む先行技術の方法よりも、殺生剤のより均一な分布を達成すること、4)ナノ粒子により浸出を減少させること、及び5)ポリマー内の殺生剤を環境による分解から保護すること、である。この出願の記載によれば、この方法は、塩素化炭化水素、有機金属、ハロゲン放出化合物、金属塩、有機イオウ化合物、及びフェノール類を含む殺生剤用に有用である。そして、好ましい実施態様は、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、第四級アンモニウム塩、ペンタクロロフェノール、テブコナゾール、クロロタロニル、クロルピリフォス、イソチアゾロン(isothiazolones)、プロピコナゾール(propiconazole)、他のトリアゾール、ピレスロイド、及び他の殺虫剤、イミジクロプリド(imidichloprid)、オキシン銅(oxine copper)等、及びさらに、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム塩、ホウ酸亜鉛、銅塩、及び亜鉛塩のような無機保存剤を組み込んでいる可変性放出速度を持つナノ粒子をも含む。ただ1つの実施例は、高分子ナノ粒子中に組み込まれた有機殺生剤テブコナゾールとクロロタロニルを使用していた。いずれかの金属塩に関連する実施可能な開示は無い。木材におけるテブコナゾール/高分子ナノ粒子製剤とクロロタロニル/高分子ナノ粒子製剤の効力を示すデータは述べられたのに対して、これらの処理の効力が、木材中に同じ殺生剤ローディングを注入する他の方法を使用した場合に見出される処理の効力と比較されなかった。効力/浸出抵抗のデータは木材製品材料について述べられたが、その場合ナノ粒子/殺生剤で処理された木材は殺生剤溶液で処理された木材製品と同じ特性を有することが見出された。即ち、高分子ナノ粒子は効果なしであった。結局、従来技術においては、保存剤材料の輸送が大きなコスト項目であり、希釈剤はこの問題を単に悪化させるだけであろうということが知られている。
【0015】
現行システムの問題が議論されてきた。例えば、それら現行システムは望ましくない油を添加し、腐食を増加し、低濃度であり、特に金属系殺生剤を大量の有機殺生剤と組合わさなければならない場合それらは高価であり、高い銅浸出速度はそれ自体深刻な環境問題でもあり、又は、ほとんど確実に、処理の寿命をCCAで得られた寿命より低下させる。しかしながら、木材保存剤の選択においてコストが第一の因子である。市場は低いコストとCCAの有効性に慣れており、市場は大量の高価な殺生剤と高分子ナノ粒子のような他の材料の付加的なコストを負担する用意がない。
【発明の開示】
【0016】
本発明の第一の観点は、木材及び木材製品のための銅系微粒子状保存剤による処理である。本発明の1つの実施態様は、効果的な、長持ちする、環境的に責任をもてる、シミ/着色のない、安価な、腐食を誘発しない、注入可能な、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)、銅系微粒子状保存剤による木材及び木材製品の処理であり、実質的に有害材料を含まない処理である。本発明の更にもう1つの実施態様は、効果的な、長持ちする、環境的に責任をもてる、シミ/着色のない、安価な、腐食を誘発しない、注入可能な、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)、亜鉛系微粒子状保存剤による木材及び木材製品の処理であり、実質的に有害材料を含まない処理である。この亜鉛系微粒子状組成物は、銅系微粒子とは独立に使用することができるが、好ましい実施態様においては、1つ又はそれ以上の銅系微粒子と組み合わせて使用される。好ましい実施態様において、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅系及び/又は亜鉛系微粒子は、1つ又はそれ以上の有機殺生剤を含む製剤の状態で注入される。ここで用いられるように、用語「有機殺生剤」は有機金属殺生剤も含む。
【0017】
本発明のある観点は、木材及び木材製品を保存するために使用することができる保存剤に関する。1つの実施態様において、本発明の保存剤は銅系保存剤である。好ましい実施態様において、銅系保存剤は銅系粒子を含む。例示的な粒子は、例えば、水酸化銅、銅塩、及び酸化銅を含む。
【0018】
1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。もう1つの実施態様において、銅系粒子重量の本質的に全てが実質的に結晶性の銅化合物からなる。実質的に結晶性の銅化合物は、例えば、水酸化銅(例えばCu(OH)2)、銅塩、及び酸化銅(例えばCuO)のうち少なくとも一種を含むことができる。
【0019】
本発明の例示的な銅系粒子は、木材本来の強度において実質的低下なしに、木材内に存在するのに十分に小さい。例えば、実質的に全ての銅粒子は木材の細孔や気胞を占有する大きさに合わせて作ることができる。1つの実施態様において、木材又は木材製品は本発明の銅系粒子で含浸することができる。
【0020】
木材又は木材製品内に存在する銅又は銅系粒子は、好ましくは、本発明の銅系粒子なしに液状に存在する銅よりも移動性が少ない。好ましくは、銅系粒子は、浸出により容易に持ち去られないように十分に不溶性であるが、木材腐食の主要原因となる主要生物に毒性を示すに十分なだけ可溶性である。本発明の例示的な銅系粒子は、木材本来の強度において実質的低下なしに、木材内に存在するのに十分に小さい。例えば、実質的に全ての銅粒子は木材の細孔や気胞を占有する大きさに合わせて作ることができる。1つの実施態様において、例示的な木材保存剤は、粒子の少なくとも50%が0.25μm、0.2μm、又は0.15μmより小さい直径を有する粒度分布を有する銅系粒子を含む。好ましい粒度調整技術はストークスの法則に基づく沈降分離又は遠心分離技術である。
【0021】
本発明のもう1つの実施態様は、効果的な、長持ちする、環境的に責任をもてる、シミ/着色のない、安価な、腐食を誘発しない、注入可能な、難溶性銅塩含有微粒子状保存剤による木材及び木材製品の処理であり、実質的に有害材料を含まない処理である。結晶性の塩はその無定形類似物質よりも溶解速度が低いので、一般に、結晶性の塩が好ましい。しかしながら、無定形の塩は一様に効果的であり、無定形の塩からつくられた微粒子は1つ又はそれ以上のコーティングで処理することができ、又は特定の大きさからできていることができ、そして、無定形物質は実質的に結晶性の塩のような放出及び浸出特性を容易に有することができる。実質的に結晶性の塩は本発明の好ましい変異態様と考えられるべきである。何故なら同じ開示が、無定形の難溶性銅塩又は実質的に無定形の難溶性銅塩に一般的に等しく適用可能だからである。「難溶性塩」は、例えば、約1E−8未満のKsp、好ましくは約1E−10〜約1E−21との間のKspを有する。
【0022】
銅系微粒子は、いずれかの難溶性で実質的に結晶性の(又は難溶性無定形の)銅塩を含むか、又は本質的に前記銅塩からなる。1つの実施態様において、銅系微粒子における実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅塩は、水酸化銅、炭酸銅(例えば、「黄色」炭酸銅)、塩基性(又は「アルカリ性」)炭酸銅、特にトリ塩基性硫酸銅(tribasic copper sulfate)を含む塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅、オキシ塩化銅(塩基性塩化銅)、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、フェリシアン酸銅、フルオロケイ酸銅、チオシアン酸銅、二リン酸銅又はピロリン酸銅、シアン酸銅、及びそれらの混合物から選択される1つ又はそれ以上の銅塩を含む、又は本質的に前記銅塩からなる。1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。
【0023】
好ましい実施態様において、銅系微粒子における実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅塩は、水酸化銅、炭酸銅、塩基性(又は「アルカリ性」)炭酸銅、特にトリ塩基性硫酸銅を含む塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅、オキシ塩化銅(塩基性塩化銅)、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される1つ又はそれ以上の銅塩を含む、又は本質的に前記銅塩からなる。1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。
【0024】
もう1つの実施態様において、木材保存剤製剤の銅系微粒子における実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅塩は、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅、アルカリ性硫酸銅、アルカリ性硝酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される複数の難溶性の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅塩を含むことができるか、又は、本質的に前記銅塩からなることができる。但し、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅塩の少なくとも一種は酸化銅でない。酸化銅のうち、Cu2OはCuOよりも好ましい。これの変異態様において、銅系微粒子材料は、水酸化銅、炭酸銅、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅、アルカリ性硝酸銅、アルカリ性硫酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される1つ又はそれ以上の難溶性の実質的に結晶性の銅塩を含むことができるか、又は、本質的に前記銅塩からなることができる。1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。
【0025】
上記のいずれかにおいて、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅組成物は1つ又はそれ以上のマグネシウム、亜鉛、又は両者を有することができ、その場合、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内の分離層であるかのいずれかである。本発明の好ましい実施態様において、微粒子の少なくともいくつかは水酸化銅、塩基性炭酸銅、又は両者を含む。より好ましい実施態様において、水酸化銅は銅100部あたりマグネシウムを6部と20部との間、例えば銅100部あたりマグネシウムを9部と15部との間で含む。あるいは、もう1つのより好ましい実施態様において、水酸化銅は銅100部あたりマグネシウム及び亜鉛の合計量を6部と20部との間、例えば、銅100部あたりマグネシウム及び亜鉛の合計量を9部と15部との間で含む。いくつかの実施態様において、塩基性炭酸銅は銅100部あたりマグネシウムを6部と20部との間、例えば銅100部あたりマグネシウムを9部と15部との間で含むか、あるいは、銅100部あたりマグネシウムと亜鉛の合計量を6部と20部との間、例えば銅100部あたりマグネシウムと亜鉛の合計量を9部と15部との間で含む。あるいは、又は、更に、好ましい実施態様において、水酸化銅及び/又は塩基性炭酸銅は銅100部あたりホスフェート(phosphate)を約0.01部と約5部との間、例えば銅100部あたりホスフェート(phosphate)を9部と15部との間で含む。
【0026】
もう1つの好ましい実施態様において、スラリーは難溶性銅塩微粒子を含み、そして、/又ホウ酸亜鉛微粒子も含む。好ましくは、難溶性銅塩系微粒子少なくともいくつかはホウ酸銅を含む。亜鉛又は銅塩を木材中に注入し、そして、第二工程によりホウ砂を注入し、不溶性金属ボーレート(metal borate)をその場で形成するという二段階プロセスを使用することが知られている。そのような複雑な、時間のかかる、従って高価なプロセスは十分に費用効果の高いものではない。ホウ酸銅の溶解度が非常にpHに敏感なので、好ましい実施態様において難溶性銅塩は、ホウ酸銅の溶解度を減らすためにアルカリ性材料、例えば水酸化銅又は炭酸銅を含む。ホウ酸亜鉛ローディングは、木材における銅ローディングとは独立に、例えば、0.025%から0.5%まで変動することができる。
【0027】
上記実施態様のいずれかにおいて、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料における実質的に結晶性の銅組成物は、例えば、硫酸銅、フルオロホウ酸銅、フッ化銅、又はそれらの混合物の可溶性の実質的に結晶性銅塩1つ又はそれ以上を更に含むことができ、その場合、可溶性の実質的に結晶性の銅塩相は溶解に対して安定化される。
【0028】
上記実施態様のいずれかにおいて、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料における実質的に結晶性の銅組成物は、実質的に不溶性の銅塩、リン酸銅、Cu3(PO42を更に含むことができる。上記実施態様のいずれかにおいて、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料における銅組成物は更に、水不溶性銅塩、銅・8−キノリノレート(copper 8-quinolinolate)を含むことができる。上記実施態様のいずれかにおいて、組成物は更に、微粒子状形体の銅キナルデート、銅オキシム、又は両者を含むことができる。実質的にCu3(PO42及び/又は酸化銅及び/又は銅・8−キノリノレートを含む銅系微粒子が存在する場合、その微粒子は、粒子の溶解を助けるための最大表面積を与えるために、非常に小さく、例えば約0.07ミクロン未満、好ましくは約0.05ミクロン未満であるべきであり、木材処理は他の型の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅系微粒子、例えば塩基性炭酸銅、塩基性ホウ酸銅、トリ塩基性硫酸銅、水酸化銅等を含有すべきである。
【0029】
上記の亜鉛類似体は、本発明の別の実施態様の亜鉛系微粒子のために有用である。1つの実施態様において銅系微粒子材料は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、オキシ塩化亜鉛、フルオロホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、フッ化亜鉛、又はそれらの混合物から選択される1つ又はそれ以上の結晶性亜鉛塩を更に含む。亜鉛塩は別個の塩相中にあることができ、あるいは、Cu/Zn混合塩であることができ、又はそれらの混合物であることもできる。好ましい実施態様において粒子は、少なくとも約40重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%の1つ又はそれ以上の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅塩、結晶性亜鉛塩、又はそれらの混合物あるいは組み合わせを含む。
【0030】
1つの実施態様において銅系微粒子状保存剤による木材処理は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、オキシ塩化亜鉛、フルオロホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、フッ化亜鉛、又はそれらの混合物から選択される結晶性亜鉛塩の1つ又はそれ以上を含む亜鉛系微粒子を更に含むことができる。好ましい亜鉛系の実質的に結晶性の材料は、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はそれらの混合物であり、他のカチオン、例えば、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)材料におけるカチオン全重量基準で、0.1〜10%の銅、0.1〜10%のマグネシウム、又は両者を添加することもできる。好ましい実施態様において粒子は少なくとも約40重量%の、好ましくは少なくとも約60重量%の、より好ましくは少なくとも約80重量%の1つ又はそれ以上の結晶性亜鉛塩を含む。
【0031】
本発明の好ましい実施態様は、水酸化銅、アルカリ性炭酸銅、アルカリ性オキシ塩化銅、トリ塩基性硫酸銅、ホウ酸銅、又はそれらの混合物1つ又はそれ以上を含む粒子を含む。本発明の最も好ましい実施態様は、水酸化銅、アルカリ性炭酸銅、ホウ酸銅、アルカリ性ホウ酸銅、又はそれらの混合物を含む粒子を含む。
【0032】
金属塩系保存剤は、従来のCCA処理の効力を有するためには有機殺生剤添加を必要とする。特定の有機殺生剤は大部分の(しかし全てではない)望ましくない生物に対して非常に効果的であり、長持ちもすると考えられている。そのような方式における銅の主要な機能は、有機殺生剤を分解するような、及び/又は有機殺生剤に抵抗性であるような、そういう生物の成長を抑制することである。本発明の最も好ましい実施態様は、銅系微粒子と、場合により亜鉛系微粒子及びスズ系微粒子1つ又はそれ以上とを有し、そして、全部で約0.01重量%〜約20重量%との間の1つ又はそれ以上の有機殺生剤を更に含む。更に、いくつかの実施態様において、微粒子は有機殺生剤を木材中に運ぶ担体を提供し、殺生剤が木材全体によく分布するのを確実にする助けになる。本発明の好ましい実施態様は注入可能な銅系微粒子状保存剤による木材処理であり、その処理は微粒子に付着した1つ又はそれ以上の注入可能な有機殺生剤を更に含む。
【0033】
本発明の他の観点は、銅系微粒子を調製する方法、銅系微粒子と、場合により有機殺生剤1つ又はそれ以上を含む注入可能な木材処理組成物を製剤化する方法、注入可能な木材処理剤を輸送する方法、銅系微粒子状木材保存剤組成物を混合及び注入する方法、並びに、銅系微粒子状保存剤処理組成物で処理された木材と木材製品も含む。
【0034】
微粒子として注入される塩基性の[「難溶性の」(sparingly soluble)]結晶性銅化合物の製造、前処理、製剤及び木材中への注入という本発明者の組み合わせが有意義な発明を表すものと考えられる。本発明のスラリーは、適用する際、硬水を使用することによって、本質的に影響されない。先行技術において使用されるCMC物質は、木材表面に炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの好ましくない残渣を沈殿させる。本発明の製剤の注入は、当分野において普通に実施されている標準の操作手順を使用する。何の変更も必要でない。本発明の製剤は先行技術製品の窒素含量を除去する。窒素はサプステイン(sapstain)の成長速度増大に関連すると考えられる。このことが現在高価なサプステイン制御剤の使用を必要としているのである。本発明技術の構成で達成される、1ミクロン(1000ナノメートル)を超える直径を有する粒子画分の除去は、スラリーが安定であることを意味している。即ち、スラリー粒子は何日もあるいは何週間にもわたって沈降し、これは望ましい応用特性である。CCA製品に関連する速度と匹敵する程度に、銅は非浸出性であるべきである。より低い浸出速度のために、本発明製品は地下、水路付近、及び海洋用途にも使用することができる。銅の1ポンド当たりのコストは、現行の銅−MEA−カーボネート製品よりも少なく、0.20ドル〜0.50ドルと見積もられる。製品の腐食性は銅−MEA−カーボネート製品に伴う腐食性よりも少ないだろうと考えられる。運送料は銅−MEA−カーボネート製品に伴う運送料のわずか三分の一のはずである。
【0035】
他に指定しない限り、全ての組成は「パーセント」で与えられる。その場合、パーセントは、例えば粒子の全成分の、又は、注入組成物に対する、全重量を基準とする重量パーセントである。組成物が様々な成分について「部」で定義され場合には、これは重量部である。その場合、組成物における全部数は90と110との間にある。
【0036】
効果的な−「効果的な」とは、保存剤による処理が木材製品全体に十分に分布可能であり、木材基質に銅イオンの生物活性濃度を提供するように十分に溶解可能で利用可能であることを意味する。「生物活性」とは、保存剤処理が、通常銅含有木材保存剤の標的である1つ又はそれ以上の菌、カビ、昆虫、及び他の望ましくない生物に対して、これらの生物が処理された木材において近寄らず、及び/又はよく成長できないように、十分に生物致死性であることを意味する。分子層として注入されたヒ酸銅(Cu3(AsO42)は効果的な殺生剤であることが知られている。従って、微粒子状保存剤処理はクロメート化ヒ酸銅(CCA)処理により提供される濃度と大よそ同様(例えば、約同一〜約二倍高い)の銅濃度を提供するはずである。溶解度があまりにも低いと、銅は生物活性がない。同時に、本発明の注入可能な銅系木材保存剤処理は有機系殺生剤1つ又はそれ以上を、それと共に、現在可溶性銅保存剤で使用されていると同じ量で、組み込むように意図されている。そして効力は、有機殺生剤との組み合わせにおける、銅(及び/又は亜鉛)成分の組み合わせに基づいている。
【0037】
長持ちする−「長持ちする」とは、保存剤処理が従来のCCA処理製品と少なくとも約同一の効果的寿命を有するか、あるいは、その処理が、例えば通常の戸外の土地接触使用下に少なくとも約20年持ちこたえることを意味する。微粒子の溶解度があまりにも高いと、銅はあまりにも速い速度で木材から浸出される。そのような速い浸出は、環境問題を引き起こす、即ち、浸出された銅が環境を汚染する。そして、寿命の問題も引き起こす、即ち、非常に多くの銅が木材から浸出されることがあるので、残存する処理はもはや銅イオンの生物活性濃度を与えることができない。
【0038】
浸出は実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅含有材料の粒径と溶解度との関数である。1〜10ナノメートルのサイズの範囲にある粒子は特定の状況において、注入された銅塩溶液の浸出速度とたいして違わない浸出速度を有するのに対して、粒子が大きいほど浸出速度が低い。本発明の好ましい実施態様において、少なくとも50重量%の銅含有微粒子が40ナノメートルを超えるサイズを有する。より好ましい実施態様において、銅含有微粒子の少なくとも50重量%が、80ナノメートルを超えるサイズを有する。好ましい1つの実施態様において、銅含有微粒子の少なくとも80重量%が、0.05と0.4ミクロンとの間のサイズを有する。
【0039】
浸出は、材料が木材から水で洗い流されるただ1つのメカニズムではない。材料が微粒子状形体にあるので、微粒子が木材から水で洗い流される可能性が存在する。非常に小さい実質的に球形のナノ粒子、即ちサイズ5〜20ナノメートルの球形粒子が木材基質のいたるところに自由に移動するということを示唆する証拠がある。米国特許出願20030077219号公報は、マイクロエマルションからナノ粒子を形成する沈殿法の変異実施態様を教示するが、前記発明は明らかにマイクロエマルションを安定化するために使用するブロックポリマーに関するものである。この公開は、ナノ粒子がその「準原子サイズ」のために処理下に木材層中に、より容易に、より深く浸透し、このようにして加圧含浸の必要性を除去又は減少させる、と主張している。水酸化銅マイクロエマルション中に木材を浸漬すると、水酸化銅が10〜298mmを超える深さにまで浸透することが示された。しかしながら、該粒子が注入容易であるのに対して、該粒子は又明瞭に容易に木材の中を通って輸送され、容易に木材から水で洗い流されるであろう。これらの木材保存剤処理は長持ちしないであろう。従って、その発明の好ましい実施態様において材料は、球形微粒子のサイズが約20ナノメートル未満、特には15ナノメートル未満であるような、実質的に球形の微粒子を実質的に含まない。
【0040】
一般に、分散微粒子からの浸出速度は、1)水に利用可能な限られた表面積周辺の拡散と境界層効果;2)結晶を崩壊させて、それにより溶解を引き起こすことに必要な活性化エネルギー;及び、3)材料の絶対溶解度、により制御される。溶解度は制御するのに容易なパラメーターではなく;水酸基と炭酸を含有する組成物における銅自体の溶解度は、pH10で約0.01ppm、pH7で2ppmであるが、pH4では640ppmである。木材自体、「pH」が4と5との間であるが、本質的に緩衝能力はない。従って、水酸化物が木材中の水のpHを上げるので、水酸化銅は好ましい実質的に結晶性の(又は無定形難溶性の)銅材料の一成分である。
【0041】
浸出は後に広範囲に議論されるであろう。好都合なことに、本発明の微粒子は、AWPA E11−97浸出試験中240時間で、CCAで処理され同じ試験を受け、そして、木材試料により得られた全浸出銅値に比べて、2倍以上以内から5倍以下以内、好ましくは3倍以下以内までの全浸出銅値を与える。
【0042】
実質的に有害材料を含まない−「実質的に有害材料を含まない」とは、保存剤処理が鉛、ヒ素、クロム等の物質を含まないことを意味する。実質的に鉛を含まないとは、木材保存剤の乾燥重量基準で0.1重量%未満、好ましくは0.01重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満を意味する。実質的にヒ素を含まないとは、木材保存剤の乾燥重量基準で5重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、例えば0.01重量%未満を意味する。実質的にクロムを含まないとは、木材保存剤の乾燥重量基準で0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満を意味する。
【0043】
環境的に責任をもてる−「環境的に責任をもてる」とは、木材保存剤(共同殺生剤(co-biocide)を含む)が生物活性効果を、木材中の木材保存剤材料重量パーセント基準で特定の生物に対して、CCAの効果の少なくとも約半分、好ましくはCCAの効果の少なくとも約三分の一、例えば、CCAの効果とほぼ等しい効果を有することを意味している。例えば、木材保存剤がCCAの効果と等しい生物活性効果を有する場合、木材保存剤の選択された濃度で処理された木材は、同じ濃度のCCAで処理された木材と、実質的に同様の生物活性を有するであろう。
【0044】
更に、環境的に責任をもてる材料は、木材から実質的に容易に水で洗い流され得るような小さいナノ粒子を実質的に含まない。従って、本発明の好ましい実施態様において、環境的に責任をもてる材料は、球形微粒子のサイズが約20ナノメートル未満、特には5ナノメートル未満であるような、実質的に球形の微粒子を実質的に含まない。より好ましくは、本発明の好ましい実施態様において、環境的に責任をもてる材料は、約20ナノメートル未満のサイズ、特には5ナノメートル未満のサイズを有する微粒子を実質的に含んでいない。ナノ粒子の大きさの金属微粒子は、データが非常に予備的ではあるが、特定の水生生物に対して毒性をもつことがある。
【0045】
更に、環境的に責任をもてる木材保存剤は、有益にも有機溶媒を実質的に含まない。実質的に含まないとは、その処理が、木材保存剤中の銅重量基準で、10%未満の有機溶媒を、好ましくは5%未満の有機溶媒を、より好ましくは1%未満の有機溶媒を含み、例えば有機溶媒を含まないということを意味する。
【0046】
注入可能な−−「注入可能な」とは、木材保存剤微粒子が、当業界において現在使用されているものと同じ又は実質的に類似の装置、圧力、曝露時間、及び手順を使用して、当業界において普通に必要とされる深さまで、木材、木材製品等の中に加圧注入され得ることを意味する。加圧処理は、加圧される密閉シリンダー中で行なわれるプロセスであり、木材中に化学薬品を強制的に注入する。銅ローディングは銅保持とも呼ばれ、圧力が解除された後に木材に残留する保存剤の量の指標である。それは「pcf」、又は木材立法フィート当たりの保存剤ポンドとして与えられる。到達されなければならない保持レベルは、三つの変数、即ち、使用される木材のタイプ、使用される保存剤のタイプ、及び処理後の木材の用途、に依存する。本発明の難溶性銅塩保存剤は、典型的には、立法フィート当たり銅として、0.25ポンドに等しいか又は0.25ポンド未満の量で木材に添加されることが期待される。本発明の好ましい実施態様において、6〜10インチの厚さを有する材木中に本発明のスラリーを注入するために切り込みが必要であるとは期待されない。
【0047】
注入可能性は、一般に木材表面上に又は表面付近に堆積し濾過ケーキを形成する傾向のある大きさや形態の微粒子であって、そして、結果として木材の一箇所以上の外部において木材上に望ましくない堆積を生じさせ、木材の内部に不足を生じさせる大きさや形態の微粒子を含まないことを必要とする。一般に、注入可能性は、粒子の大きさ、粒子の形態、粒子の濃度、及び、粒度分布の関数であるのみならず、木材自体の関数でもある。
【0048】
注入可能性の必要条件は、実質的に球状であること、例えば、一方向の直径が別の方向で測定した直径の2倍以内であること、硬い粒子は一般に、1)実質的に全ての粒子、例えば98重量%を超える粒子が、約0.5ミクロンに等しいか又はそれ未満の粒径を有し、好ましくは約0.3ミクロンに等しいか又はそれ未満の粒径、例えば、約0.2ミクロンに等しいか又はそれ未満の粒径を有すること、そして、2)実質的にどの粒子も、約1.5ミクロンを超える直径又は例えば約1ミクロンを超える平均直径を有さず、超える粒子は例えば0.5重量%未満であること、である。
【0049】
しかしながら、木材処理用に好ましい最小の微粒子直径が存在し、それは微粒子中の銅塩にいくらか依存している。塩が高い溶解度を有する場合、質量比に対して大きい表面を有する非常に小さい微粒子は、本発明の好ましい実施態様に比べて、あまりにも高い銅イオン濃度とあまりにも速い銅浸出という結果を生じる。更に、非常に小さい微粒子、特に例えば直径が約0.003〜約0.02ミクロンとの間の小さい球形粒子は、容易に木材から水で洗い流される。一般に、粒子の少なくとも80重量%が直径0.01ミクロン以上、好ましくは0.03ミクロンを超え、例えば直径0.06ミクロンを超えることが好ましい。
【0050】
他に指定されない限り、「注入可能な」とは、普通の南部の松材中に注入可能であることを意味する。本発明は、例えば、赤味材中の、他の木材中にも微粒子を注入することをも包含する。選ばれた他の木材及び赤味材は、注入可能性のための粒子寸法について、実質的により小さく、より低い基準を必要とすることができる。製剤はここで議論されたようにしてつくることができるが、もっとも興味深い製剤は、普通の南部の松用に開発された工業的に効力のある製剤である。前記製剤は、選ばれた赤味材での見込まれる例外はあるが、一般的には全ての他の木材に対して有用である。赤味材についてのそのような問題は、普通は実質的に重要でない。何故なら注入された微粒子材料は、木材上に保存剤の見苦しい堆積を引き起こすことなしに、赤味材の周囲に、赤味材を保護する部分的保護濾過ケーキを形成することができ、更に、赤味材は生来実質的に多くの生物による攻撃に対して抵抗性があるので、十分な保護を構成するのにより少ない銅を必要とすることができるからである。
【0051】
注入可能性を改良するための、及び/又は、微粒子の注入可能性を維持するための、三つの方法を見出している。これらの方法は湿式ミリングにより粒度分布及び/又は形態を改良し、選ばれた材料で微粒子を被覆することにより微粒子を化学的物理的に安定化する。
【0052】
シミのない/着色のない−−「シミのない/着色のない」とは、木材保存剤が木材に対して望ましくない色を与えないという意味である。大きい微粒子、又は、より小さい微粒子の大きいアグロメレーションは、可視的であり、そして、望ましくない色を処理された木材に押し付ける。その色は一般に青味がかったり、緑がかったりする。驚いたことに、着色は通常注入可能性が乏しいことを暗示する。基質中に広く分散されている直径約1ミクロン未満の、好ましくは0.5ミクロン未満の個々の粒子は、木材製品を何ら実質的な程度まで着色しない。濾過ケーキは見苦しい着色を形成する。粒子の凝集は、濾過ケーキに類似して、用のない色に寄与するということもあり得る。好ましくは100重量%の粒子が、1ミクロン未満の平均直径を有する。その場合、平均直径はストークスの法則による沈降(遠心分離により助けられることができる)によるか、又は、好ましくは動的光(X線)散乱やドップラー光散乱により、測定される直径である。0.5ミクロンを超えるサイズを有する微粒子でさえも非常に目に見える色を与えることができるし、類似のサイズのアグロメレートは大きい粒子と同じ効果を有する。本発明の好ましい実施態様において、微粒子/アグリゲートの少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%は、平均直径が0.5ミクロンよりも小さい。より好ましくは、微粒子/アグリゲートの少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%が、平均直径が0.35ミクロンよりも小さい。更により好ましくは、微粒子/アグリゲートの少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%は、平均直径が0.3ミクロンよりも小さい。一般に、粒子の少なくとも90重量%は、直径が0.01ミクロン以上、好ましくは0.03ミクロンを超え、例えば0.06ミクロンを超えることが好ましい。特定の化合物、特に塩基性炭酸銅、水酸化銅、及びオキシ塩化銅は、類似のサイズの他の粒子よりも少ない色を与えるので、好ましい。更に、分離相としてか、又は、混合相としてかのいずれかで、亜鉛塩、マグネシウム塩、あるいは両者の存在が更に色を少なくすることもある。
【0053】
安価な−−「安価な」とは、木材処理のコストと、例えば銅−エタノールアミン−コンプレックス処理や他の普通に用いられる処理とが、競合的であるような技術を使用して、木材保存剤が調製されることを意味する。銅のコストは出所にかかわらず実質的に一定であるので、安価なことは主に微粒子材料の製造、分離、分粒、及び貯蔵のコストに関連する。非常に小さいナノ粒子を作り出す多くの技術が存在するが、たいていのこれらのプロセスは、はるかに余りにコストがかかり過ぎて、銅系木材保存剤処理の大量生産の役に立たない。一般に、「安価な」という用語は、可溶性の銅−共同殺生剤(copper-co-biocide)処理の現行コストよりも低いか、又は、それと等しい処理コストでるあるか、あるいは、先行技術のCCA処理の約20%以内のコストであるということを意味する。
【0054】
好ましい製造方法は、有機溶媒等のない沈殿法である。好ましくは、反応物は、純度のより高いレベルのものでなく、標準的産業品質のものである。粒子は、例えば粒子の少なくとも2重量%が、1ミクロンを超える直径、通常、1.5ミクロンを超える直径を有するような粒度分布と形態を含む、特定の特性で出発する。そして一般に、粒径と粒度分布が注入に好ましいものであることを確実にするために、それに続く処理、例えば粉砕、を受けなければならない。他のプロセス、特にエマルション沈殿法や燻蒸法により製造される粒子は、木材保存剤用の工業的に受け入れられる銅微粒子を製造するためには十分に費用効果的でない。
【0055】
ナノ粒子は、例えばマイクロエマルション(又はミセル)沈殿法などで形成することができることが知られている。ミセル方式は技術的に知られているように、小さい均一なサイズのミセルのエマルションがナノ反応装置として使用され、その中で金属塩の析出が遂行される。例えば、油(ヘキサン/ヘキサノール)中水滴型マイクロエマルションによりニッケル及びニッケル/銅(7/3)カーボネート粒子(nickel and nickel/copper(7/3)carbonate particles)を製造することが知られている。金属塩と重炭酸アンモニウムをそれぞれに含んでいる二つの別々のマイクロエマルションを調製し、速やかに混合して、小さい直径分布を有する直径6〜7nmの金属カーボネート(metal carbonate)ナノ粒子を形成する。そのようなプロセスは、非常に小さい微粒子を形成するには有用であるが、工業的に受け入れられる木材保存剤を形成するには有用でない。エマルションを形成するのに使用される溶媒の添加及び除去にかかるコストが、これらのプロセスを銅含有注入可能な微粒子状木材保存剤材料を形成する目的には使用可能でないものにしている。
【0056】
ナノ粒子は、例えば蒸気法やエーロゾル酸化法で蒸発した銅塩を形成することにより形成されることができることが知られている。Copper and Copper Oxide Nanoparticle Formation by Chemical Vapor Nucleation From Copper(II) Acetylacetone by Albert G.Nasibulin,P.Petri Ahonen,Olivier Richard,Esko I の著者らは、例えば直径2nm〜20nmのナノ粒子を形成する方法を記述している。一般に、燻蒸法は、この著者らが製造したように、銅酸化物を製造することに限定されている。この場合もやはり、そのような小さいサイズ(及び狭い粒度分布)を得るためのコストは、本発明の多くの銅塩用の粒子のどのような効力増加によっても正当化されない。
【0057】
銅塩のための担体として作用する高分子ナノ粒子のコストも、同様に正当化し得るものではない。
【0058】
腐食を誘発しにくい−−市販の可溶性銅含有木材保存剤はしばしば、例えば木材内の釘などの、金属腐食を増大する結果となる。保存される木材製品はしばしば、例えばデッキの耐力戸外構造物に使用される。アルミニウムや標準的な亜鉛メッキ金具を含む従来の締結材料を、これらの新しい保存剤で処理された木材と共に使用するのは適当でない。金属製品、例えば金具、釘、ネジ、及び留め具が、平方フィート当たり1.85オンスの亜鉛で亜鉛メッキ(G−185コーティング)されるか、又は、304型ステンレス鋼を必要とするかのどちらかを、現在多くの分野は指定している。一般に、どんな塩の存在でも腐食を誘発するであろう。「腐食を誘発しにくい」とは、例えば、今日使用されているアミン−銅−コンプレックス処理及びアルカノールアミン−銅−コンプレックス処理の可溶性銅処理から得られる類似濃度と比較して、木材保存剤が木材に接触する金属を腐食させる傾向が低いことを意味する。腐食の程度は、その大部分で、補助剤、特にアミン、及び、選ばれた塩類に依存するであろう。
【0059】
可溶性の銅処理に用いられる処理に存在するアミン類−即ち、アルカノールアミン、アンモニア等−が金属に対して腐食性であると本発明者は考えている。また、本発明者は次のように考えている。新しい可溶性のコンプレックス銅保存剤についてのもう1つの問題は、それらの保存剤が、ある種の生物学的攻撃、特にカビの発育を促進することのできる生物分解性材料であるか、又は最終的にそのような生物分解性材料に変化するということである。普通に使用されている可溶性銅化合物は、食物として作用しサプステイン菌(sapstain molds)の存在の増大を引き起こすと考えられている窒素含有栄養物(アミン類)を提供し、その結果、木材の外観を保護するために添加すべき、サプステイン菌に有効な殺生剤を、更に追加するする必要がある。生物に利用可能な窒素に加えて、生物に利用可能な炭素源も存在する場合、問題は更に悪くなる。好都合なことに、木材保存剤は補足の殺生剤として使用可能なある種の選ばれたアミン以外に何れのアミンも実質的に含まない。実質的に含まないとは、その処理が、木材保存剤中の銅重量基準で10%未満のアミンを含むこと、好ましくは5%未満のアミンを、より好ましくは1%未満のアミンを含むこと、例えばアミンを全く含まないことを意味する。あるいは、前記用語は、4原子の銅あたり1分子未満のアミン分子又はアミン部分が存在すること、好ましくは10原子の銅あたり1分子未満のアミン分子又はアミン部分が存在することを意味する。この場合もやはり、補足の殺生剤として使用するアミンが存在する場合であっても、この限定から除外される。塩基性硝酸銅は本発明において使用する有用な難溶性銅塩であるが、本発明の大部分の実施態様において、木材保存剤はナイトレートをも実質的に含まない。
【0060】
本発明の他の実施態様において、生物に利用可能な窒素を実質的に含まず、そして、より好ましくは生物に利用可能な窒素及び炭素さえも実質的に含まない、注入可能な銅系微粒子状保存剤による木材処理を提供する。生物に利用可能な窒素を実質的に含まないとは、その処理が、木材保存剤中の銅重量基準で10%未満のナイトレート及び有機窒素を含むこと、好ましくは5%未満のナイトレート及び有機窒素を、より好ましくは1%未満のナイトレート及び有機窒素を、例えば0.1%未満のナイトレート及び有機窒素を含むことを意味する。可溶性の又はコンプレックスの銅処理の大部分において、銅1原子に対して、コンプレクサー(complexer)又は担体として作用する有機窒素が1原子と4原子との間で存在する。本発明の好ましい実施態様において、木材保存剤処理における銅1原子あたり有機窒素が0.3原子未満、好ましくは0.1原子未満、例えば0.05原子存在する。この場合もやはり、特に補足の殺生剤として使用される有機窒素含有化合物はこの限定から除外される。生物に利用可能な炭素を実質的に含まないとは、その処理が、木材保存剤中の銅重量基準で30%未満の生物に利用可能な有機材料(分解性材料、又は処理の寿命の間に分解性になるであろう材料として定義される)を含むこと、好ましくは10%未満の生物に利用可能な有機材料を、より好ましくは1%未満の生物に利用可能な有機材料を含むことを意味する。この場合もやはり、補足の殺生剤として使用される有機化合物は、もしあるとしても、この限定から除外される。生物に利用可能な有機炭素の存在はある種のカビの成長を促進することがあると考えられている。
【0061】
1つの実施態様において、銅系粒子は有機ポリマーのようなポリマーを実質的に含まない。例えば、本発明の銅系粒子は、1つ又はそれ以上のポリビニルピリジン、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルピリジン/スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸と上記ホモポリマーとのブレンド等を実質的に含まないことができる。実質的に含まないとは、銅系粒子が約50重量%未満のポリマーであることを意味する。銅系粒子は約35重量%未満のポリマー、例えば、25重量%未満のポリマー、15重量%未満のポリマー等であることができる。1つの実施態様において、銅系粒子はポリマーを本質的に含まない。本質的に含まないとは、銅系粒子が約5重量%未満のポリマーを含むことを意味する。1つの実施態様において、銅系粒子は約2.5重量%未満のポリマーを含む。1つの実施態様において、銅系粒子はポリマーを含まない。
【0062】
本発明の1つの実施態様において、銅系粒子はポリマーを含むことができる。この実施態様においては、粒子中に存在する銅重量と粒子中に存在するポリマーとの比は、少なくとも約1対1、例えば少なくとも約2対1、4対1、5対1、7対1、又は少なくとも約10対1であることができる。例えば、粒子中に存在する銅重量と粒子中に存在するポリマーとの比が、少なくとも約2対1である場合、前記粒子は、銅を少なくともポリマーの約2倍重量で含む。
【0063】
実質的に結晶性−−「実質的に結晶性」とは、例えば、所定の材料(銅塩、及び亜鉛塩など)の重量で約30%、好ましくは約50%を超える部分が結晶性であることを意味する。材料は、材料が結晶実体(非晶質材料には存在しないd間隔に関連する)の明確なX線回折図形を与える場合に、実質的に結晶性である。公知の結晶性塩の結晶性に関連する結晶性を評価するために便利な技術は、それぞれのX線粉末回折図形のピークの相対強度の比較である。結晶性の程度は、例えば、背景上の任意の単位条件下でのX線回折ピーク高さ(同じ試料の大きさに対する)の合計を測定し、例えば、銅系微粒子中の実質的な結晶性材料の合計ピーク高さを既知の結晶性材料の対応ピーク高さと比較することにより、決定することができる。この手順は、例えば、最も強い4ピークのみを用いる。例えば、微粒子中材料のピーク高さの数値合計が、同じ公知の結晶性銅塩のピーク高さの合計値の30%である場合に、生成物は30%結晶性であり、実質的に結晶性である。結晶性を測定するための好ましい方法は熱量測定によるものであって、溶媒中の試料の溶解熱を測定し、結晶性塩の溶解が対応する非晶質塩の溶解とは実質的に異なる場合に、前記溶解熱を同じ塩の非晶質及び結晶標準品の測定熱と比較することによる。
【0064】
結晶性を測定することは難しいけれども、以下の代表的な化合物は実質的に結晶性の銅化合物の必要要件を満たす:ホウ酸銅(II)、ホウ化銅(Cu32)、黄色炭酸銅(I)、塩基性炭酸銅、炭酸銅(II)二水酸化物(CuCO3xCu(OH)2)、炭酸銅(II)二水酸化物(2CuCO3xCu(OH)2)、塩化銅(I及びII)、塩化銅(II)x2H2O、オキシ塩化銅(CuCl2xCu(OH)2)、シアン化銅(I及びII)、フッ化銅(I及びII)、ギ酸銅(II)、酸化銅(I及びII)、リン酸銅x3水、硫酸銅(I及びII)、トリ塩基性硫酸銅、及び、チオシアン酸銅(I)。用語(I及びII)は、銅(I)塩及び銅(II)塩を意味する。これらの塩は、銅重量基準で20重量%ほどをマグネシウム、亜鉛、又は、それらの両方で置換することにより実質的に結晶性であると考えられる。以下の代表的な化合物は、実質的に結晶性の亜鉛化合物に対する必要要件を満たす:炭酸亜鉛、塩化亜鉛、シアン化亜鉛、二リン酸亜鉛、フッ化亜鉛、フッ化亜鉛x4水、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、及び、硫酸亜鉛。これらの塩は、一般的に、亜鉛重量基準で20重量%ほどをマグネシウム、銅、又はそれらの両方で置換することにより実質的に結晶性である。以下の代表的な化合物は、実質的に結晶性のスズ化合物に対する要求事項に合致する:塩化スズ(II)、塩化スズ(II)x2水、酸化スズ(II及びIV)、二リン酸(ピロリン酸)スズ(II)、リン酸スズ(II)(Sn3(PO42)、及び、硫酸スズ(II)。
【0065】
好ましい実施態様において、銅系粒子の重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅化合物からなることができる。実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅化合物は、銅に加えてカチオン、例えば、マグネシウム及び/又は亜鉛を1つ以上含むことができり、好ましい実施態様においてそれらを含む。別の実施態様において、銅系粒子の重量の本質的にすべては、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅化合物からなる。
【0066】
本明細書において記載されるいくつかの銅塩は、結晶性及び無定形相形態で利用することができる。一般に、結晶の格子エネルギーが溶解を減速させると見込まれるため、結晶性が好ましい。しかし、無定形銅塩は本発明において有用であり、溶解性のより少ない塩のためには、無定形相は結晶相よりも好ましいことがある。一般的に、本発明の実施態様において用いられる好ましい難溶性銅塩である、リン酸塩安定化水酸化銅は、実質的に無定形である。本発明の1つの実施態様は、実質的に有害物を含まない、木材及び木製品に対する、効果的な、長持ちする、環境的に責任をもてる、シミのない/着色のない、安価な、腐食を誘発しにくい、注入可能な、無定形又は実質的に無定形の銅系、亜鉛系、又はスズ系の微粒子保存処理剤である。無定形難溶性塩は、同等に有効であり、それらは1つ以上のコーティングにより処理することができるか、又は、無定形材料が実質的に結晶性の塩のように容易に放出及び浸出特性を有することが可能であるように、特定の粒径、又はさらに不溶性の塩からなることができる。実質的に結晶性の難溶性塩は、同じ開示内容が一般に無定形材料、又は実質的な無定形材料に同等に適用可能であるので、本発明の好ましい変形物と考えることが好ましい。
【0067】
銅系微粒子−−本明細書において用いられる用語「銅系微粒子」は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩を少なくとも1つ含む、約0.7ミクロン〜0.01ミクロン間のサイズを有する粒子を意味する。用語「粒子」(particle)は、用語「微粒子」(particlate)と互換性をもって用いられ、一方で、用語「ナノ粒子」(nanoparticle)は約0.01ミクロン未満のサイズを有する粒子を指す。用語「銅」には、別途特記のない限り、第1銅イオン、第2銅イオン、又はそれらの混合物、又はそれらの組合せが含まれる。用語「銅系」は、粒子が、1つ以上の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅化合物を重量で少なくとも約20%、30%、50%、又は75%含むことを意味する。別の実施態様において、銅系粒子の重量の本質的にすべてが(例えば、95%を超えて)、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅化合物からなる。
【0068】
亜鉛系微粒子−−本明細書において用いられる用語「亜鉛系微粒子」は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩の少なくとも1つを含む、約0.5ミクロン〜0.01ミクロン間のサイズを有する粒子を意味する。用語「粒子」は用語「微粒子」と互換性をもって用いられる。用語「亜鉛系」は、粒子が、1つ以上の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)亜鉛化合物を重量で少なくとも約20%、30%、50%、又は75%含むことを意味する。別の実施態様において、亜鉛系粒子の重量の本質的にすべてが(例えば、95%を超えて)、1つ以上の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)亜鉛化合物からなる。好ましい実質的に結晶性の亜鉛含有材料には、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛(Zn(BO22xH2O)、及び、炭酸亜鉛が挙げられる。銅系粒子及びスズ系粒子に関して、ホウ酸塩がアニオンとして用いられる場合、好ましくは、組成物は、木材マトリクス内でわずかに上がったpHを保持するために、1つ以上の炭酸塩又は水酸化物(又は水酸化物含有)塩を含んで、ホウ酸塩の溶解を減速する。亜鉛系微粒子が用いられる場合、それらは、有利には、銅系微粒子と共に用いられる。
【0069】
スズ系微粒子−−本明細書において用いられる用語「スズ系微粒子」は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)スズ塩を少なくとも1つ含む、約0.5ミクロン〜0.01ミクロン間のサイズを有する粒子を意味する。用語「粒子」は用語「微粒子」と互換性をもって用いられる。用語「スズ系」は、粒子が、1つ以上の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)スズ化合物を重量で少なくとも約20%、30%、50%、又は75%含むことを意味する。別の実施態様において、スズ系粒子の重量の本質的にすべてが(例えば、95%を超えて)、1つ以上の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)スズ化合物からなる。一般に、スズ系微粒子は、スズが望ましい生物活性を有さないので好ましくない。2004年2月のナノフェーズ・テクノロジーズ(Nanophase Technologies in February 2004)が、www.nanotechweb.org/articles/news/3/2/12/1で入手可能である“Nanotechnology in brief”において、木材保存剤、特殊塗料、ポリマー添加物、導電性コーティング、及び電子材料で使用するための30nm銀ドープ化ナノ結晶性酸化スズのパイロット量を作製することをクレームしたが、酸化スズは特に不活性であると考えられる。好ましい実質的な結晶性スズ材料は、水酸化スズ、Sn(OH)2及びSn(OH)4である。スズ系微粒子が用いられる場合、それらは、有利には、銅系微粒子と共に用いられる。
【0070】
本発明により包含されるいくつかの実施態様が、本発明の好ましい実施態様の目的又は特徴のすべてには合致しないことが可能であることは認識される。本発明の好ましい実施態様において、注入可能材料は、有害物を実質的に含まない、木材及び木製品に対する、効果的で、長持ちし、環境的に責任をもてる、シミのない/着色のない、安価で、腐食を誘発しない、注入可能な、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系微粒子保存処理剤のために、任意の、及び、好ましくは大部分の前記基準を満たす。
【0071】
本発明の好ましい実施態様において、注入可能銅系微粒子は、有害物を実質的に含まない、木材及び木製品に対する、効果的で、長持ちし、環境的に責任をもてる、シミのない/着色のない、安価で、腐食を誘発しない、注入可能な、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系微粒子保存処理剤のために上に一覧した任意の、及び、好ましくは大部分の基準に合致する。
【0072】
銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物
銅系微粒子は、各粒子内に実質的に均質な実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物を有することができる。あるいは、粒子は2以上の個別の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅相を含むことができる。好ましい粒子は、水酸化銅、酸化銅、塩基性炭酸銅、炭酸銅、オキシ塩化銅、トリ塩基性硫酸銅、アルカリ性硝酸銅、ホウ酸銅、又はそれらの混合物の全体の重量で少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%、例えば約80%及び約98%間を含む。大部分は、ホウ酸銅及び酸化銅をのぞいて塩基性銅塩を含む。高いpHはホウ酸銅の溶解度を抑圧するので、有利には、ホウ酸銅の微粒子を含む処理剤は、塩基性の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅含有塩も含む。炭酸銅は、それがいくつかの他の塩よりも見えにくく、優れた溶解特性を有するので、最も好ましい化合物である。
【0073】
本発明の別の実施態様において、木材保存剤中の種々の粒子は、各種の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物を含むことができる。例えば、処理剤は、結晶性ホウ酸銅を含む粒子、アルカリ性炭酸銅を含む他の粒子、及び酸化銅を含む他の粒子さえも含有することができる。異なる相を有する粒子は、好ましい実施態様において、存在する結晶性銅材料に応じてサイズ、気孔率、又は定形からなることができる。
【0074】
ある実施態様において、代表的な木材保存剤は、粒子の少なくとも50%が0.5μm、0.25μm、0.2μm、又は0.15μmよりも小さな直径を有する粒度分布をもつ銅系塩粒子を含む。好ましい造粒技術は、ストークスの法則に基づく沈降又は遠心分離技術である。本発明の代表的な保存剤は、難溶性銅塩を含む粒子、例えば、約500ナノメートル未満、例えば、約250ナノメートル未満、又は約200ナノメートル未満の平均粒子直径を有する水酸化銅を含む粒子を含む。ある実施態様において、平均粒子直径は少なくとも25ナノメートル、例えば、少なくとも50ナノメートルである。
【0075】
実質的に結晶性の銅含有粒子の製造方法
【0076】
代表的な銅系粒子は、1つ以上の銅金属、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、及び難溶性銅塩を含む。好ましい木材保存剤は、粒子の重量に対して、銅の重量で少なくとも約20%、例えば、少なくとも約50%、60%、70%、又は75%を含む銅系粒子を含む。代表的な銅系粒子は酸素の約2倍重量の銅を含む。
【0077】
いかに銅含有「ナノ粒子」を製造するかを記載している多くの文献がある。これらの文献内容は、一般に、望ましいコストで粒子を製造するために使用することができない。CuO、Cu2O、又はCuO/Cu2O混合相いずれでの7ナノメートル粒子の形成は、例えば、Journal of Nanoparticle Reseach,3(5−6):383〜398,December 2001にある“Copper and Copper Oxide Nanoparticle Formation by Chemical Vapor Nucleation From Copper(II)Acetacetonate”に記載されている。こうした粒子は、勿論、容易に木材中に注入可能であり、注入される場合、それらは一定の生物活性を提供することができる。しかし、それらは、こうした粒子が木材処理での使用のために高価すぎるので本方法に使用することはできない。R.L.ハミルトン(Hamilton)及びO.K.コッサー(Cosser)は、“Thermal Conductivity of Heterogenous Two−Component Systems”,Ind.&Engr.Chem.Fund.,1,187〜191(1962)に、35nmCuO又は10nmCu金属粒子を用いて凍結防止の熱伝導性を増大させることを記載した。前記粒子は、木材中に注入可能であることも期待されている。米国特許出願第20030077219号公報には、マイクロエマルジョンが50nm未満、好ましくは5〜20nmの粒径を有する中間製品を得るためにブロックポリマーの少なくとも1つを用いながら二つの反応材料から調製される、銅少なくとも1つを含む反応物質及び追加の反応物質1つから銅塩を製造するための方法が記載されている。外部イオンの適切なドーピングを通して、材料は特定の用途に対して調整することができる。この出願は、木材処理用途を教示し、本発明により製造されている開始銅化合物が、それらの準原子サイズによって、処理下の木材層中に一層容易に、そして、一層深く浸透することができることを記載している。前記の改善された特性は、種々の生物に対する長期の保護を保証しながら、加圧含浸に対する必要性を排除するか、又は低減することができる。約200ナノメートルのサイズを特徴とする塊は、5〜20nmのサイズの範囲を特徴とする多数の1次粒子からなる。実施例粒径は10〜50nm間であり、凝塊サイズは100〜300nm間であった。この発明に従って調製される水酸化銅マイクロエマルジョン中への同等木材の浸漬との間、水酸化銅は表面に限定されることなく、10〜298mmを超える深さまで浸透した。溶媒が1つ以上の有機殺生剤を溶媒和する次の目的に役立って、蒸発により部分的に又は完全に溶媒を除去することにより微粒子に有機殺生剤を部分的に結合するならば、この方法が有用であることができるが、溶媒の使用は、こうした方法を一般に木材保存剤での使用のためには高価にしすぎる。微粒子を50ナノメートル直径より大きく、例えば、約100〜約200ナノメートル直径間とするために、本発明の方法を修正することは、溶媒が1つ以上の有機殺生剤を溶媒和する次の目的に役立って、蒸発により部分的に又は完全に溶媒を除去することにより微粒子に有機殺生剤を部分的に結合するならば、有用であることができる。
【0078】
鉄の厳密な除去を必要とし、水酸化銅を製造する米国特許第6,596,246号の方法を利用することができる。しかし、こうした方法は製品のコストを増大させる。
【0079】
本発明の1つの実施態様において、例えば、銅及びアミンを含む混合物から、沈殿によって銅系粒子を調製する。銅及びアミンは、銅−アミンコンプレックスの形態で存在することができる。混合物は、銅モノエタノールアミン、銅ジエタノールアミン、銅−アンモニア、及び/又は、銅エチレンジアミンの少なくとも1つを含むことができる。銅−アミンコンプレックスは、通常、水溶液の形態にある。好ましい沈殿物は水酸化銅を含む。粒子は、銅及びアミンを含む混合物のpHを修正することにより調製することができる。例えば、銅及びアミンを含む混合物のpHは、銅系粒子を沈殿させるために十分な値まで下げることができる。いずれにしても、銅及びアミンを含む混合物を水で希釈し、銅濃度を少なくとも約0.25、例えば、少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%で有することができる。銅濃度は約2%未満、例えば、約1.5%未満であることができる。例えば、希釈混合物の銅及びアミンを含む混合物のpHを、酸を用いて低下させ、銅系粒子を含む沈殿物を調製することができる。粒子は水酸化銅を含むことができる。沈殿物を得る前、沈殿物を得る際、又はその後で分散剤を混合物へ添加することができる。安定な銅−アミンコンプレックス水溶液は8〜13のpHを有することができる。沈殿物を調製するための1つの方法は、銅−アミンコンプレックスの水性混合物のpHを調整することを含む。1つの実施態様において、pHは、pHが少なくとも約4、例えば、少なくとも約5.5であるように調整される。混合物のpHは、約8未満に、例えば、約7.5未満に、約7未満に調整することができる。pHは約7に調整することができる。pHは、混合物に酸を添加し調整する。あるいは、pHは混合物を酸に添加することにより調整することができる。銅−アミンコンプレックスの溶液は、酸の存在下で調製することができる。pHを調整するための適当な酸には、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、ギ酸、ホウ酸、酢酸、炭酸、スルファミン酸、リン酸、亜リン酸、及び/又はプロピオン酸が挙げられる。用いられる酸のアニオンは、部分的に沈殿塩中に組み込むことができる。
【0080】
銅系粒子を調製するための方法の1つの実施態様は、(a)銅塩形態などにおける銅を含む溶液、及び(b)水酸化物などのpH修正剤を含む溶液からの銅系粒子の沈殿物を含む。代表的な水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム及びカリウムの1a族及び/又は2a族元素の水酸化物から選択することができる。
【0081】
本発明の銅系粒子を調製することにおいて有用な銅塩は、銅及び別の材料の可溶性塩を含むことが好ましい。代表的な銅塩には、硫酸銅、例えば塩化銅又は臭化銅のハロゲン含有銅塩、硝酸銅、酢酸銅、ギ酸銅、及び、プロピオン酸銅の少なくとも1つを挙げることができる。銅塩1つ又はそれ以上を、液体及び銅塩の形態、例えば水溶液の溶液の形態で提供することができる。
【0082】
本明細書中に開示内容が組み込まれている米国特許第4,808,406号には、低嵩密度の微細に分割された安定な水酸化第2銅組成物を生成するための有用な方法が記載されており、前記方法は、アルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩及び銅塩の溶液を接触させ、塩基性炭酸銅−塩基性硫酸銅を沈殿させ5を超え約6までの範囲にある最小pHとし、沈殿物をアルカリ金属水酸化物と接触させると共に、塩基性硫酸銅を水酸化第2銅に転化することを含む。銅化合物を製造する別の方法は、本明細書中に開示内容が組み込まれている米国特許第4,404,169号に記載されている方法である。前記特許には、リン酸イオンを水相中のオキシ塩化銅懸濁液に添加する場合に、保存中の安定性を有する水酸化第2銅を生成する方法が記載されている。次に、オキシ塩化銅をアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物で反応させ、懸濁液の結果として沈殿した水酸化第2銅を洗浄し、そして、再懸濁し、続いて過リン酸塩の添加により安定化させ、7.5〜9のpH値に調整する。懸濁オキシ塩化銅を、懸濁液リットル当り1〜4グラムの量でのリン酸イオンの存在下で、そして、20°〜25℃の温度で反応させることが好ましく、得られた水酸化第2銅を、リン酸イオンで安定化する。
【0083】
銅塩の極めて小さな粒子を調製する多くの方法があり、上記一覧は代表的なものであって完全なものではない。最も簡単で断然最安価な小粒子を生成する方法は、二つの溶液を混合する標準沈殿法であって、前記溶液の1つは溶解性銅を含む溶液であり、そして、溶液のもう1つは望ましいアニオンを含有する溶液である。前記方法において、わずかに修正された沈殿法から得られる一部の粒子は、木材中に注入することが可能な粒径のものである。最も有用な修正は、激しく攪拌しながら、少量のアニオンをカチオンの濃縮溶液に単純に添加(又は、これらが逆の場合でも同じである)することである。先行技術の例では、0.3ミクロンの小さな平均粒径が得られたことが示される。前記方法は、また、対イオン(混合される塩を形成するが、しかし、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅材料中には組み込まれないようなイオン)のコストを考慮する必要がないため好ましい。塩化物、硫酸塩、及びアンモニアなどの標準材料は、一般的な対イオンである。さらに、材料は超純度を必要としない。実際、沈殿性溶液中に1つ以上の「汚染物質」を有することは望ましい。懸濁液中のMg、Ca、Zn、Na、Al及びFeなどの不純物濃度が高い場合には、より小さな直径が得られる。懸濁液中に存在するFeは、特に強く作用して大きな直径の水酸化第1銅粒子の生成を防止する。Fe濃度は、より小さな粒子を得るために70ppmよりも大きいことが好ましい。
【0084】
1つの実施態様において、銅と水酸化物とを混合し、銅を含む沈殿物を調製する。銅及び水酸化物は銅塩の形態をとる銅と混合することができる。例えば、少なくとも1つの銅塩と少なくとも1つの水酸化物を含む溶液とを混合し、銅系粒子を沈殿させることができる。1つの実施態様において、本方法は、例えば、他の金属少なくとも1つ塩として、他の金属少なくとも1つを含む溶液から銅系粒子を沈殿させることを包含する。例えば、本発明の銅系粒子は、例えば、マグネシウム又はその塩の1つ以上の2a族金属の少なくとも1つを含む溶液から沈殿させることができる。金属又は金属塩は、亜鉛であることができる。1つの実施態様において、(a)銅塩と、1つ以上の塩の形態をとることが可能である他の金属少なくとも1つとを含む溶液、及び(b)水酸化物を含む溶液は、水酸化銅を含む粒子などの銅系粒子を沈殿させるために十分な量で混合される。
【0085】
1つの実施態様において、約20重量%水酸化物を含む水酸化物溶液に銅塩溶液を添加することにより、粒子を調製する。銅塩溶液は、銅系粒子の望ましい量が得られるまで添加される。例えば、銅塩溶液は、水酸化物溶液のpHを少なくとも約11.5、11、10.5、又は約10に低下するまで添加することができる。沈殿銅系粒子を含む沈殿物は、木材又は木製品を保護するために直接的に使用することが可能であるが、しかし、有利には、粉砕し、1ミクロンを超える直径を有する微粒子の部分を低減する。
【0086】
水酸化銅は特に安定ではない。水酸化物は、例えば、水酸化銅粒子のグルコース水溶液への曝露による速い発熱反応により、酸化物に変えることができる。水酸化銅を、空気、砂糖、又は他の化合物で反応させ、部分的に又は完全に酸化銅を形成することができる。これは、一般に、葉状殺菌剤に対する懸念がより少ないものであるが、一方で、転化のための条件は、砂糖様分子であるグルコヌロン(gluconuronic)酸を含有する処理木材を人工乾燥する間極めて好ましく、且つ、熱及び脱水条件は木材内で起こるこうした変換の高い可能性を造りだす。
【0087】
しかし、本明細書中に開示内容が組み込まれている米国特許第3,231,464号により教示されるように、マグネシウム又はマグネシウム及び亜鉛の存在は、水分子の損失を介して酸化銅へ転換することからの水酸化第2銅を安定化に役立つことができる。本発明において用いられる好ましい水酸化銅粒子は安定化される。米国特許第3,231,464号は、Cu:Mg及び/又はCu:Znの重量比8:1で、添加マグネシウム亜鉛、又は両方により、水酸化銅を安定化させることを教示する。有意なマグネシウム及び/又は亜鉛水酸化物を含有するような方法で調製される水酸化銅は、酸化銅への分解に対してさらに安定であり耐性がある。好ましい水酸化銅粒子は、50%〜90%間の水酸化銅を含み、水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、又は両方の残余物を含む。米国特許第3,231,464号に記載されている方法は安価であり、修正により、ミクロンの数十分の一のメジアン粒径を伴う粒度分布を有する微粒子を生成する。
【0088】
こうした方法は、選択された実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)塩の小粒子を提供することができるが、一方で、これらの方法は、通常、許容不可である大きな粒子をわずかな部分で有する。しかし、一般に、通常の沈殿法からの幾分かの粒子は、注入可能であるには余りにも大きすぎる。約1ミクロンを超える粒径を有する粒子のわずかな部分は、木材標本での注入試験において、厳しく損なわれる注入性の原因となる。例えば、約1ミクロン直径を超える大粒子を除去することが好ましい。濾過を介しての除去は、注入可能粒子の大部分がより大きな粒子を除去するために設計された濾過器上で捕捉されるので有効ではない。驚くべきことに、粉砕、例えば、湿式ミリングが直径及び形態を有利に修正することができることを見出した。粒子は滑らかになり、大粒子は連続工程遠心分離により除去することができる。あるいは、上述のように、驚くべきことに、小粒子を生成するための技術上公知の条件を用いる沈殿法により製造される実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系微粒子が、およそ数分との間に、0.5mm直径のケイ酸ジルコニウムなどの粉砕用材料を使用する湿式ミリングによって容易に注入可能材料に粉砕することができることを見出した。
【0089】
別の実施態様において、銅系微粒子は、例えば、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は実質的に微粒子内での個別相として分離されるかいずれかの、他のカチオン1つ以上の銅の重量基準で少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも2重量%であるが、しかし、50重量%未満の実質的な量を有することができる。好ましい実施態様において、銅系微粒子は、実質的な量のマグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上を有することができると共に、これらのカチオンは、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は粒子内で個別相として存在するかのいずれかである。銅対亜鉛の重量比は、99.9:0.1〜1:1間の範囲にあることが可能であるが、しかし、好ましくは99.5:0.5〜90:10間、例えば99:1〜94:6間にある。銅対マグネシウムの重量比は、99.9:0.1〜1:1間の範囲にあることが可能であるが、しかし、好ましくは99.5:0.5〜85:15間、例えば95:5〜90:10間にある。
【0090】
本発明の1つの実施態様において、銅系粒子は、マグネシウム又はマグネシウム塩などの少なくとも1つの2a族金属又はその塩の存在下で、銅塩溶液と水酸化物(及び任意に他のアニオン)との混合物から沈殿される。1つの実施態様において、銅系粒子は、銅9部当りのマグネシウム少なくとも約0.05部、例えばマグネシウム少なくとも約0.1部を含む混合物から沈殿される。混合物は、銅9部当りのマグネシウム少なくとも約0.25部を含むことができる。混合物は、銅9部当りのマグネシウム約1.5部未満、例えば、マグネシウム約1.0部未満、又は約0.75部未満を含むことができる。
【0091】
本発明により調製される銅系粒子は、前記材料(金属イオン)が粒子の調製に用いられる場合、2a族金属又は亜鉛を含む。別の実施態様において、銅系粒子は、銅22.5部当りのマグネシウム少なくとも約0.2部、例えば、マグネシウム少なくとも約0.25部を含む混合物から沈殿される。混合物は、銅22.5部当りのマグネシウム少なくとも約0.5部を含むことができる。混合物は、銅22.5部当りのマグネシウム約3.5部未満、例えば、マグネシウム約2.5部未満、又は、マグネシウム約2部未満を含むことができる。ここでの部は、単に、沈殿しようとする溶液中のカチオンの重量比を反映しており、部は濃度を意味しない。
【0092】
あるいは、2a族金属又はその塩との組み合わせで、亜鉛金属又はその塩を含む溶液から銅系粒子を沈殿させることができる。例えば、混合物は、銅22.5部当りの亜鉛少なくとも約0.1部、例えば、亜鉛少なくとも約0.25部、亜鉛少なくとも約1.0部、又は亜鉛少なくとも約2.0部を含むことができる。混合物は、銅22.5部当りの亜鉛約3.0部未満、例えば、亜鉛約2.5部未満、又は、亜鉛約1.5部未満を含むことができる。好ましくは、混合物は、更に、銅22.5部当りのマグネシウム少なくとも約0.25部、例えば、マグネシウム少なくとも約0.5部、マグネシウム少なくとも約1.0部、又はマグネシウム少なくとも約2部を含む。混合物は、銅22.5部当りのマグネシウム約5.0部未満、例えば、マグネシウム約2.5部未満、又は、マグネシウム約2部未満を含むことができる。表1に本発明による亜鉛、マグネシウム、及び、銅の代表的な比率を示す。
【0093】
【表1】

【0094】
こうした混合物は、水酸化銅、塩基性炭酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、及び本明細書において記載される任意の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)塩を沈殿させるために使用することができる。
【0095】
別の実施態様において、微粒子は、銅の重量に対して、銀の重量での0.001%〜3%間、好ましくは0.005%〜0.5%、例えば0.01%〜0.1%の間の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物を含有する粒子、及び、更に場合により、他のカチオンを有する実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物を含有する粒子を含むことができる。銀は高価であるが、しかし、極少量で一部の生物有機体に対して効き目がある、従って、銀は実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系微粒子における有用な共カチオンである。1立方フィート当り0.25ポンド銅を含有する木材処理剤は、銅に対して0.04%銀ローディングで、木材百立方フィート当り0.2オンス未満の銀を含むであろう。一般に、銀が実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅相中に組み込まれる場合、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅相は、好ましくは銅(I)塩であり、銀イオンを実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅相を通して均質に配置して、微量の銀が木材から早めに浸出するのを防止する。
【0096】
本発明のなお別の実施態様は、有害物を実質的に含まない、木材及び木製品に対する、効果的で、長持ちする、環境的に責任をもてる、シミのない/着色のない、安価で、腐食を誘発しにくい、注入可能な、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)亜鉛系粒子状保存剤処理である。この組成物は銅系微粒子とは独立に使用することができるが、しかし、好ましい実施態様において、1つ以上の銅系微粒子と組み合わせて用いられる。実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)亜鉛含有微粒子を生成するための上記方法の修正は、当業者の能力内にあり、こうした修正は本明細書において記載されない。
【0097】
同様に、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)亜鉛含有微粒子を生成するための上記方法の各種修正は、当業者の能力内にあり、こうした修正は本明細書において記載されない。
【0098】
ミリング−一般に、簡単で安価な銅塩沈殿法は、注入には大きすぎるサイズを有する粒子を提供する。ミクロンの数十分の一直径などの極小メジアン直径粒子を提供する方法に対してさえ、沈殿法は、約1ミクロンより大きくある粒子の小部分をもたらすようであり、これらの粒子は孔を塞ぎ、許容可能な注入性を妨げる。注入可能粒子の粒度分布は、粒子の大部分有していなければならず、例えば、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、さらに好ましくは少なくとも99.5重量%を有し、約1ミクロン未満の平均直径で成らなければならないし、有利には、粒子は単一の長い寸法を有するロッド型ではない。平均直径は、ストークスの法則による助けにより、約0.2ミクロンまでのサイズが測定される。より小さなサイズは、例えば、動的光散乱法又はレーザー散乱法又は電子顕微鏡の助けにより測定される。一般に、こうした粒径及び粒度分布は、粒子の機械的摩滅により達成することができる。
【0099】
摩滅は、例えば、1)多くの場合、スラリーを一夜にわたり処理することを必要とするが、1l/分の流量で400kg/cm2の圧力を有するSMT社により製造されるものなどの加圧ホモジナイザーの使用;エネルギー集約型になるが、ニッセイ(Nissei Ltd.)により製造されるものなどの超音波ホモジナイザーにおける処理;例えば0.5mm直径を有する部分的安定化ジルコニアビーズを詰めた砂粉砕機における湿式ミリング;あるいは、回転式砂粉砕機における、0.5mm直径を有する部分的安定化ジルコニアビーズによる湿式ミリング、及び、例えば1000rpmでの攪拌による湿式ミリング;又は、湿式ボールミル、磨砕機(例えば、三井鉱山(Mitui Mining Ltd.)により製造される)、パールミル(例えば、アシザワ(Ashizawa Ltd.)により製造される)などの使用により得ることができる。摩滅は遠心分離により一層小さい程度まで達成することができるが、しかし、より大きな粒子は遠心分離を介して組成物から簡単に除去することができる。組成物からより大きな微粒子を除去することにより、注入可能な配合物を提供することができる。前記微粒子は遠心分離により除去することができ、そこでの沈降速度は実質的にストークスの法則に従う。この方法は注入可能なスラリーを提供する一方で、それによって分離される銅含有微粒子部分は、大きな粒子ならびに注入可能な粒子部分の両方を含み、一般に、この材料は溶解し沈殿することにより再循環される。前記方法は、注入可能な銅含有微粒子木材処理剤を形成することに対する追加のコストを付加する。
【0100】
粒度分布を修正する最も有効な方法は、湿式ミリングである。有利には、木材処理用のすべての注入可能な配合物は、「平均粒径」が木材中に十分に「注入可能」であると考えられる範囲内にある場合でさえ、湿式ミリングすることが好ましい。従来の沈殿技術は、用いられる塩ならびに種々の反応条件に応じて決まる、約0.2〜6ミクロン間のメジアン粒径を有する粒子を生成することが知られている。例えば、市販されている銅系微粒子製品、水酸化銅のマグネシウム安定化形態(フィブロ・テック(Phibro−Tech.,Inc.)から市販されている)は、約200nmの平均粒径を有する。しかし、この材料がスラリー化され木材中に注入される場合に、木材表面上に許容不可の目詰まりがあった。注意深い吟味により、フィブロ・テックにより用いられる沈殿法が、1ミクロンを超えるサイズを有する数重量%の粒子をもたらすと共に、この少量の材料が目詰まりの始まり(より小さな通常注入可能な粒子、次には目詰まりにより捕捉される)を形成すると想定されることが見出された。2mmケイ酸ジルコニウム媒体による湿式ミリングは全く効果がなかった−数日間にわたる湿式ミリングは粒径のほんの少しの低減しかもたらさず、且つ、材料はまだ商業的規模で注入可能ではなかった。
【0101】
しかし、驚くべきことに、0.5mm高密度ケイ酸ジルコニウム粉砕媒体を使用する粉砕法が、とりわけフィブロ・テックから入手可能な市販の銅系微粒子製品中の約1ミクロンを超える粒子の除去用にさらに有効な摩滅を提供することを見出した。粉砕法は、通常、1ミクロンのサイズを超える粒子のほとんど完全な除去を達成するために数分ほどを要する。この湿式ミリング法は安価であり、すべての沈殿物は、注入可能銅含有微粒子木材処理剤において使用することができる。粉砕剤の選択は決定的ではなく、例えば、ジルコニア、部分的安定化ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、及びイットリウム/ジルコニウム酸化物であることができ、より密度の高い材料が一層速い粒径摩滅を与えることが分かる。粉砕材料の粒径は、商業的に許容可能な方法を得ることに対して重要であり、決定的でさえあると考えられる。2mm以上の直径を有する粉砕剤材料は無効であるが、一方で、0.5mm直径を有する粉砕剤材料は一般的に粉砕の15分後に有効である。粉砕剤が有利には1.5mm未満の直径であり、好ましくは、1mm未満の直径、例えば約0.1mm〜約1mm間、又は代わりに約0.3mm〜0.7mm間にあることが考えられる。
【0102】
注入可能性に関する元々の焦点は、この材料が0.2ミクロンメジアン直径を有する材料により出発した(及び終わった)ので、フィブロ・テックから市販されているマグネシウム安定化水酸化銅製品に絞られた。元々、粉砕が上述製品の「約1ミクロンより大きな部分」を形成するより小さな粒子の集合体、恐らく融解した集合体を壊すことが考えられるが、一方で、粉砕法は、驚くべきことに、より大きな平均直径に関しても同等に効果的であった。
【0103】
驚くべきことに、小粒子、例えば、10ミクロン未満のサイズを有する粒子を生成するために技術上公知の条件を用いる簡単な沈殿法により製造される銅系微粒子が、容易に注入可能材料に粉砕することができることを見出してきた。従って、0.5mm直径ケイ酸ジルコニウム(又は任意の比較可能な製品、例えば、0.1mm〜1mmのサイズのケイ酸ジルコニウム又は酸化ジルコニウム)により他の沈殿材料を粉砕することは、数分ほどとの間に、より大きな初期の平均サイズを有する実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)粉末材料を、容易に木材中に注入することができる製品に粉砕することができる。0.5mmケイ酸ジルコニウム媒体による研磨は、さらに、マグネシウム安定化水酸化銅製品をすばやく小さくさせるだけでなく、この粉砕媒体は、また、他の安定化水酸化銅、炭酸銅、トリ塩基性硫酸銅、オキシ塩化銅、及び酸化銅などの塩基性銅化合物の他の形態にも効果的であることが見出された。15分間にわたる上述の0.5mm粉砕材料による多様な材料の粉砕の結果は、表2に示される。初期の2.5ミクロンメジアンサイズを有する水酸化銅材料は、0.3ミクロンメジアン粒径を有する注入可能な材料にすばやく粉砕された。追加の粉砕時間は、確実に、メジアン及び平均粒径をさらに低減させる。3.4ミクロンメジアンサイズを有する炭酸銅材料は、0.2ミクロン未満メジアンサイズを有する材料に粉砕された。図1は、未粉砕製品により注入された木材の表面、及び粉砕製品により注入された木材の表面を示す。カラー写真において、目詰まりはとりわけよく見ることができる。6.2ミクロンメジアンサイズを有するトリ塩基性硫酸銅材料は、0.2ミクロン未満メジアンサイズを有する材料に粉砕された。3.3ミクロンメジアンサイズを有するオキシ塩化銅材料は、0.4ミクロンメジアンサイズを有する材料に粉砕された。
【0104】
粉砕はより大きな粒子を壊すと考えられる。それは、また、注入問題を有すると知られる、1つの大きな寸法を有する粒子、例えば、ロッド様粒子を壊すであろう。粉砕は、例えば、遠心分離と組み合わせてさらに均一な製品を生みだすことができる。あるいは、粉砕は塗布処理と組み合わせて一層安定な材料を形成することができる。
【0105】
本発明の実施態様において有用な特定の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅含有材料及び他の銅含有材料を、以下に記載する。各例において、亜鉛類似材料は亜鉛系微粒子用に有用である。一般に、スズ類似材料は、また、スズ系微粒子用に有用であることができる。
【0106】
酸化銅−−1つの実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的な結晶性銅組成物は、1つ以上の酸化銅を含むことができる。酸化銅の中でも、Cu2Oは溶解速度を増大させるように見える水中に溶解する酸素による酸化を受けるので、CuOに対して好ましい。しかし、銅系微粒子材料が、本質的に酸化銅1つ以上からなる場合、材料は十分に生物活性的ではない。1つの変形において、酸化銅材料は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。一般に、マグネシウム及び亜鉛共カチオンは、水酸化銅を安定化させることを助け、その酸化銅への自然転位を防止することができる。実質的な量の亜鉛、及び、特にマグネシウムが結晶性酸化銅材料中に含まれる場合、それは部分的に結晶を崩壊させ、そして、溶解性を助長する。酸化銅は、溶解速度が相当に低いので、他の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅化合物よりも好ましくない。粒子中の結晶性銅が60%を超える酸化銅である場合、次に、好ましくは、粒子は約50ナノメートルの最大の大きさを有するか、又は少なくとも300m2/gmのBET表面積を有するか、又は両方である。微粒子は、生物活性銅濃度を提供するために特定の処理及び/又は特性を必要とすることが可能であり、木材から一層容易にフラッシュされる。
【0107】
以下に記載される任意の実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、さらに、1つ以上の酸化銅を含むことができる。酸化銅の中で、CuOはCu2Oよりも好ましい。
【0108】
水酸化銅−−好ましい実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、水酸化銅を含むことができるか、又は、本質的にそれらからなることができる。この変形において、銅系微粒子材料は、水酸化銅を含むことができるか、又は、本質的にそれらからなることができる。水酸化銅の中で、CuOH(通常安定でない)を含む水酸化銅及び/又はCu(OH)2を含む水酸化銅を使用することができるが、Cu(OH)2はCuOHよりも好ましい。前記の好ましい任意の実施態様において、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。
【0109】
塩基性炭酸銅−−別の好ましい実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。水酸化銅及び炭酸銅を含む種々の組成物が想定されるが、一方で、一般的なアルカリ性炭酸銅は[CuCO3xCu(OH)2]である。この変形において、銅系微粒子材料は、アルカリ性炭酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。前記の好ましい任意の実施態様において、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。
【0110】
炭酸銅−−別の実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、炭酸銅、例えば、CuCO3を含むか、又は本質的にそれからなることができる。この変形において、銅系微粒子材料は、アルカリ性炭酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。前記の好ましい任意の実施態様において、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。炭酸銅は、塩基性炭酸銅のOH基がpHを上げて保持することを助け、それによって銅移動性を減少させるので、塩基性炭酸銅よりも好ましくない。
【0111】
トリ塩基性硫酸銅−−別の好ましい実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、塩基性硫酸銅を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。この変形において、銅系微粒子材料は、塩基性硫酸銅を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。水酸化銅及び硫酸銅を含む種々の組成物が想定されるが、一方で、一般的なアルカリ性硫酸銅は[CuSO4x3Cu(OH)2]である。トリ塩基性硫酸銅を使用する場合、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、さらに、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有利に有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。
【0112】
アルカリ性硝酸銅−−別の実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、アルカリ性硝酸銅を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。この変形において、銅系微粒子材料は、アルカリ性硝酸銅を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。水酸化銅及び硝酸銅を含む種々の組成物が想定されるが、一方で、一般的なアルカリ性硝酸銅は[Cu(NO32x3Cu(OH)2]である。アルカリ性硝酸銅を使用する場合、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、さらに、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有利に有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。本発明の最も好ましい実施態様において、木材保存剤は、窒素が分解工程との間結果として生物有機体1つ以上のための栄養素として機能することが可能であるので、実質的に硝酸銅は含まない。
【0113】
オキシ塩化銅−−別の好ましい実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、オキシ塩化銅を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。この変形において、銅系微粒子材料は、オキシ塩化銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。水酸化銅及び塩化銅を含む種々の組成物が想定されるが、一方で、一般的なオキシ塩化銅は[CuCl2x3Cu(OH)3]である。前記の好ましい任意の実施態様において、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。
【0114】
ホウ酸銅−−別の実施態様において、複数の銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、ホウ酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。ホウ酸銅には塩基性ホウ酸銅が含まれる。この変形において、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。一般に、ホウ酸銅は、有利には、pHを抑えることを助け、ホウ酸銅の溶解度を下げるために、水酸化銅又は1つ以上の塩基性銅アニオンも含む組成物中に含まれる。
【0115】
フェリシアン酸銅−−任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、さらに、フェリシアン酸銅を含むことができる。前記実施態様は好ましくないフェリシアン化銅を含む。あるいは、銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、フェリシアン酸銅、Cu2[Fe(CN)6]を含むか、又は本質的にそれからなることができる。別の実施態様において、銅系微粒子材料は、フェリシアン酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。
【0116】
フルオロケイ酸銅−−銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、フルオロケイ酸銅を含むことができる。あるいは、銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、フルオロケイ酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。別の実施態様において、銅系微粒子材料は、フルオロケイ酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。
【0117】
チオシアン酸銅−−任意の前記実施態様において、通常、結晶性チオシアン酸銅を製造することは困難であるが、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、更にチオシアン酸銅を含むことができる。あるいは、銅系微粒子中の銅組成物は、CuSCNを含むか、又は本質的にそれからなることができる。別の実施態様において、銅系微粒子材料は、CuSCNを含むか、又は本質的にそれからなることができる。
【0118】
2リン酸銅又はピロリン酸銅−−任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、さらに、ピロリン酸銅、Cu227を含むことができる。あるいは、銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、ピロリン酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。別の実施態様において、銅系微粒子材料は、ピロリン酸銅を含むか、又は本質的にそれからなることができる。
【0119】
シアン酸銅及び/又はシアン化銅−−シアン化銅、Cu(CN)2、及び、シアン酸銅、Cu(CNO)2は、それぞれ、難溶性銅塩であるが、しかし、それらは銅系木材保存処理剤用に有用であるには余りにも危険すぎる。少量でさえもシアン酸銅及び/又はシアン化銅が用いられる場合に、配合物は塩基性でなければならない、すなわち、アルカリ性配合物中に含有されなければならない。
【0120】
銅系微粒子は、任意の前記難溶性銅化合物を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。別の実施態様において、木材保存剤配合物における銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩少なくとも1つが酸化銅でないという条件付きで、酸化銅、水酸化銅;炭酸銅、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅;アルカリ性硫酸銅;アルカリ性硝酸銅;オキシ塩化銅;ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される、複数の難溶性実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。この変形において、銅系微粒子材料は、水酸化銅;炭酸銅、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅;アルカリ性硝酸銅;アルカリ性硫酸銅;オキシ塩化銅;ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される、難溶性の実質的に結晶性の銅塩1つ以上を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。前記のものにおいて、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、マグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上の実質的な量を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。
【0121】
本発明の好ましい実施態様において、微粒子の少なくとも一部は、水酸化銅、塩基性炭酸銅、又は両方を含む。さらに好ましい実施態様において、水酸化銅は、銅100部当り6〜20部間のマグネシウム、例えば銅100部当り9〜15部間のマグネシウムを含む。あるいは、別のさらに好ましい実施態様において、水酸化銅は、銅100部当りのマグネシウム及び亜鉛の合計量を6〜20部間、例えば銅100部当りのマグネシウム及び亜鉛の合計量を9〜15部間含む。一部の実施態様において、塩基性炭酸銅は、銅100部当り6〜20部間のマグネシウム、例えば銅100部当り9〜15部間のマグネシウム、又は、あるいは銅100部当りのマグネシウム及び亜鉛の合計量を6〜20部間、例えば銅100部当りのマグネシウム及び亜鉛の合計量を9〜15部間含む。あるいは、又は更に、好ましい実施態様において、水酸化銅及び/又は塩基性炭酸銅は、銅100部当り約0.01〜約5部間のリン酸塩、例えば銅100部当り9〜15部間のリン酸塩を含む。
【0122】
別の好ましい実施態様において、スラリーは難溶性銅塩微粒子を含み、また、ホウ酸亜鉛微粒子を含む。好ましくは、難溶性銅塩系微粒子の少なくとも一部は、ホウ酸銅を含む。亜鉛又は銅塩が木材中に注入され、次に、第2段階でホウ砂が注入され、その場で不溶性金属ホウ酸塩が形成される、2段階法を使用することが知られている。こうした複雑で時間がかかり従って高価な方法は、十分に費用効果があるものではない。ホウ酸銅の溶解度は極めてpH感受性が高いので、好ましい実施態様において、難溶性銅塩は、ホウ酸銅の溶解度を下げるためにアルカリ性材料、例えば、水酸化銅又は炭酸銅を含む。
【0123】
可溶性の実質的に結晶性の銅塩−−任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、さらに、可溶性の実質的に結晶性の銅塩相が溶解に対して安定化される、可溶性の実質的に結晶性の銅塩、例えば、硫酸銅、フルオロホウ酸銅;フッ化銅、又はそれらの混合物の1つ以上を含むことができる。あるいは、銅系微粒子中の実質的に結晶性の銅組成物は、可溶性の実質的に結晶性の銅塩相が溶解に対して安定化される、可溶性の実質的に結晶性の銅塩、例えば、フルオロホウ酸銅;硫酸銅、フッ化銅、又はそれらの混合物の1つ以上を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。こうした保護は、可溶性銅塩を難溶性銅塩の殻又はマトリクス中に、又はリン酸銅などの不溶性銅塩中に入れることにより、提供することができる。
【0124】
別の実施態様において、銅系粒子は本質的にハロゲンを含まないことができ、これは粒子中のハロゲン重量%が約2.5%未満であることを意味する。好ましくは、本質的にハロゲンを含まない銅系粒子中のハロゲン重量%は、約1%未満である。銅系粒子はハロゲンを含まないことができる。
【0125】
リン酸銅−−任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、さらに、実質的に不溶性の銅塩、リン酸銅Cu3(PO42を含むことができる。あるいは、銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、Cu3(PO42を含むか、又は本質的にそれからなることができる。一般に、好ましい実施態様において、Cu3(PO42が存在する場合、それは他の難溶性銅塩上のコーティングであって、それが溶解するか又は部分的に溶解する前にCu3(PO42は一定時間にわたり適正に不活性なコーティングを提供する。実質的にCu3(PO42及び/又は酸化銅を含む銅系微粒子がある場合、微粒子は、極めて小さく、例えば、約0.05ミクロン未満、好ましくは約0.04ミクロン未満であって、最大の表面積を提供して粒子の溶解を助けることが好ましく、木材処理剤は、別のタイプの実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系微粒子、例えば、塩基性炭酸銅、ホウ酸銅、トリ塩基性硫酸銅、及び水酸化銅などを含有することが好ましい。
【0126】
銅8−キノリノレート−−任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の銅組成物は、さらに、不溶性銅塩銅8−キノリノレートを含むことができる。あるいは、銅系微粒子中の銅組成物は、銅8−キノリノレートを含むか、又は本質的にそれからなることができる。一般に、好ましい実施態様において、銅8−キノリノレートが存在する場合、それは他の難溶性銅塩上のコーティングであって、それが溶解するか又は部分的に溶解する前に銅8−キノリノレートは一定時間にわたり適正に不活性なコーティングを提供する。実質的に銅8−キノリノレートを含む銅系微粒子がある場合、微粒子は、極めて小さく、例えば、約0.01ミクロン未満、好ましくは約0.005ミクロン未満であって、最大の表面積を提供して粒子の溶解を助けることが好ましい。
【0127】
任意の前記実施態様において、組成物は、さらに、銅キナルデート、銅オキシム、又は両方を微粒子形態で含むことができる。
【0128】
1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子の重量で少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。別の実施態様において、本質的にすべての(例えば、90%を超え、例えば95%を超える)重量の銅系粒子は、実質的に結晶性の銅化合物からなる。好ましい実施態様において、重量で少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは約50%、例えば少なくとも約75%の1つ以上の難溶性銅塩を含む。別の実施態様において、本質的にすべての(例えば、90%を超え、例えば95%を超える)重量の銅系粒子は、実質的に結晶性の銅化合物(複数を含む)からなる。
【0129】
本発明の1つの実施態様において、銅系粒子は、実質的に、ハロゲン原子、例えば、少なくとも1つのフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素少なくとも1つを含まない。好ましくは、実質的に少なくとも1つのハロゲン原子を含まない粒子中の少なくとも1つのハロゲン原子の重量%は、約25%未満、例えば、約20%、15%、10%、又は5%未満である。
【0130】
1つの実施態様において、銅系粒子は、本質的にハロゲン原子少なくとも1つ、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素少なくとも1つを含まない。本質的に少なくとも1つのハロゲン原子を含まない粒子は、約2.5%未満の少なくとも1つのハロゲン原子を有する。好ましい粒子は、約1%未満の少なくとも1つのハロゲン原子を有する。1つの実施態様において、銅系粒子は少なくとも1つのハロゲン原子を含まない。
【0131】
別の実施態様において、銅系粒子は実質的にハロゲン原子を含まないことができる。好ましくは、実質的にハロゲン原子を含まない銅系粒子中のハロゲン原子の重量%は、約25%未満、例えば、約20%、15%、10%、又は5%未満である。
【0132】
また、上記の亜鉛類似材料は、本発明の別の実施態様の亜鉛系微粒子用に有用である。1つの実施態様において、銅系微粒子材料は、さらに、水酸化亜鉛;酸化亜鉛;炭酸亜鉛;オキシ塩化亜鉛;フルオロホウ酸亜鉛;ホウ酸亜鉛、フッ化亜鉛、又はそれらの混合物から選択される1つ以上の結晶性亜鉛塩を含むことができる。亜鉛塩は個別の塩相の形態をとることが可能であるか、又は、混合Cu/Zn塩、又はそれらの組合せであることができる。好ましい実施態様において、粒子は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩、結晶性亜鉛塩、又はそれらの混合物又は組合せの1つ以上を重量で少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約60%、さらに好ましくは少なくとも約80%を含む。
【0133】
1つの実施態様において、木材用の銅系微粒子保存処理剤は、さらに、水酸化亜鉛;酸化亜鉛;炭酸亜鉛;オキシ塩化亜鉛;フルオロホウ酸亜鉛;ホウ酸亜鉛、フッ化亜鉛、又はそれらの混合物から選択される結晶性亜鉛塩1つ以上を含む亜鉛系微粒子を含むことができる。好ましい亜鉛系の実質的に結晶性の材料には、他のカチオン、例えば、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)材料中のカチオン全体重量基準で、例えば、0.1〜10%銅、0.1〜10%マグネシウム、又は両方によりドーピングすることが可能である水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施態様において、粒子は、重量で少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約60%、及びさらに好ましくは少なくとも約80%の結晶性亜鉛塩1つ以上を含む。
【0134】
本発明の好ましい実施態様は、水酸化銅、アルカリ性炭酸銅、アルカリ性オキシ塩化銅、トリ塩基性硫酸銅、ホウ酸銅、又はそれらの混合物1つ以上を含む粒子を含む。本発明の最も好ましい実施態様は、水酸化銅、アルカリ性炭酸銅、ホウ酸銅、又はそれらの混合物を含む粒子を含む。
【0135】
銅系及び亜鉛系微粒子用のコーティング
任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、さらに、少なくとも配合物を調製し、そして調製された木材処理組成物を注入するために必要な時間にわたり、基礎をなす実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅材料の溶解を阻害するために、粒子の外側に配置される1つ以上の材料を含むことができる。しかし、時間が経てば、溶解及び沈殿工程を介しての不利な粒子成長、及びまた凝集を介しての粒子成長がある。また、微粒子は、スラリーが酸性水により形成される場合、早い溶解に対して極めて敏感である。好ましい実施態様において、どの微粒子も、例えば、アルカリ性炭酸銅、水酸化銅、ホウ酸銅、アルカリ性硝酸銅、オキシ塩化銅、トリ塩基性硫酸銅を含む。加えて又は代わりに、酸溶解性粒子は、実質的に不活性のコーティング、例えば、リン酸銅又は硫化銅などの微量の外塗、又は分散剤などの高分子材料の、又は薄い疎水性コーティングを有するコーティング、又はそれらの任意の組合せにより被覆される。1つの実施態様において、粒子は、実質的に粒子に結合される分散性材料により処理される。
【0136】
上述の粉砕された銅系、亜鉛系、及び/又はスズ系粒子は、容易にスラリー化され、粉砕工程後木材中に注入される。しかし、一般に、粉砕は、粒子がスラリー化され注入される前にうまく行われる。粒子は、乾式又は湿式形態で出荷することができる。粉砕粒子は、粉状混合物又は濃縮スラリーとして現場に輸送することができり、これは、次に、注入可能スラリーに形成され、次に、いくらかの不定保存時間後に粒子は木材中に注入することができる。溶液中の微粒子は、1)小粒子がゆっくりと溶解し、塩がより大きな結晶上に再沈殿するというより大きな傾向性がある溶解/再沈殿工程により成長しようとする溶液中のサブミクロン粒子の熱力学的駆動傾向性によって、時間が経つと成長する傾向性を有する。非安定化スラリーにおいて、メジアン粒径が1両日の内に50%増大することは、珍しいことではない。目標は、材料を商業的に使用することができるコストで、且つ、材料が商業的に用いられる点での分離限界粒径、粒度分布、及び粒子安定性を同時に達成することである。従って、粒子がスラリー化される間、実質的に粒子の溶解を妨げるために粒子上にコーティングを有することは有利である。しかし、コーティングは、木材マトリクス中の粒子の溶解を過度に妨げることは好ましくない。さらに、溶解を妨げるためのコーティングは、酸化銅微粒子に対しては全く望ましくない。
【0137】
無機コーティング−−一般に、議論は好ましい銅系微粒子に集中するが、しかし、組成物及び方法は、同様に、亜鉛系及びスズ系微粒子に適用できる。実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系材料、亜鉛系材料及び/又はスズ系材料は、無機塩の部分的又は完全な被覆により安定化することができる。製造方法は、コーティングが木材中において実質的に粒子溶解を妨げないような薄い厚さからなる粒子上の実質的に不活性な無機コーティングの形成に従う。好ましいコーティングは、基礎をなす金属カチオン、例えば、銅、亜鉛、又はスズの極低い溶解度の金属塩である。代表的な極低溶解度塩には、硫化銅(Ksp=6E−36)、リン酸銅(II)(Ksp=1E−37)、及び銅8−キノリノレート(Ksp=2E−30)が挙げられる。硫化物、8−キノリノレート、及びリン酸塩間の選択は、一般に、どのコーティングが、存在することが可能である粒度分布及び粒子形態での特定の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)材料のために最大の保護を示すかに応じて決まる。極低溶解度塩のコーティングは、溶解することができる銅の量を厳しく限定することにより、溶解/再沈殿工程を実質的に拘束することができる。しかし、コーティングは、機械的保護のみである。基礎をなす実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅−、亜鉛−、又はスズ−系微粒子の曝露部分は溶解しやすい。さらに、無機のコーティングは、一般に、深さ数ナノメートルまでせいぜい数原子である。
【0138】
無機コーティングは、微粒子沈殿工程との間及びその直後、例えば、溶解銅溶液及び溶解アニオン溶液を一緒に混合して「沈殿溶液」を形成した後、例えば、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)微粒子の沈殿が始まった後に、添加により形成することができる。1つの実施態様において、混合銅−アニオン溶液は、小過剰のアニオンを有する。望ましい銅塩の沈殿は、一般に、速いが、しかし、数百ppm〜数重量%間の濃度を与える量のリン酸組成物(過リン酸塩、又は部分的に中和された過リン酸塩としての)を添加することは、例えば、結晶間又は実質的に結晶性の銅材料結晶上にさえ硫酸銅の層を形成することを引き起こす。あるいは、硫化物源又は8−キノリノレート源は、沈殿溶液に添加することができる。利点は、新規形成される実質的に結晶性の(又は実質的に非晶質の)材料が新鮮であり、従って、寝かした沈殿物がそうであろうよりも添加リン酸イオンに対して一層反応的であることである。しかし、これは、粉砕との間一部のコーティングが磨耗すると共に、一部の前に曝露されなかった実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)材料が今度は曝露されるという理由により、好ましい機構ではない。加えて、沈殿溶液中のアニオンの必要濃度を得るために用いられる材料の量は、微粒子上にコーティングを形成するために必要とされるよりも一段と多い。
【0139】
粒子は、極微細の粉砕用材料、及び硫酸イオン、リン酸イオン、又はより好ましくない(匂い及び取り扱い問題のせいで)硫化物イオン源を含有する流体を用いて湿式ミリングすることができる。1つの好ましい実施態様において、湿式ミリング法は、粉砕用流体として、リン酸塩数百ppm〜リン酸塩約6%間、例えば、リン酸塩0.1%〜リン酸塩3%間を含む組成物を使用する。少量のリン酸塩は完全な保護コーティングを形成するために数時間又は数日間を必要とするが、一方で、さらに濃縮された溶液は数分間の内に保護コーティングを形成することができる。有利には、粉砕用液体は、約6〜約9.5間.例えば約7〜約8.5間のpHを有する。この高濃度のリン酸塩は、粉砕用流体を再使用することができるので、また、粉砕用流体が比較的小さな体積であるので浪費的ではない。例えば、5分〜4時間、一般的に10分〜30分間の範囲にある時間帯にわたる、リン酸塩含有粉砕用流体中のこうした粉砕は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅材料上でのリン酸銅の薄いコーティングの形成を促進する。コーティングが恐らく数原子のみの厚さであるので、コーティングは、木材中の基礎をなす実質的に結晶性の銅材料の曝露を損なわないように、木材内でちょうどよい時に溶解する。あるいは、硫化物源、又は8−キノリノレート源は、粉砕用液体に添加することができる。硫化物は、再度、安全性の理由で好ましくない。硫化物が添加される場合、pHは8を超え、好ましくは9を超えることが好ましい。8−キノリノレートの添加は無機コーティングでなく、有機性質のコーティングの接着は有益であることができる。
【0140】
別の実施態様において、粉砕後の銅系粒子は、リン酸塩数百ppm〜リン酸塩約6%間、例えばリン酸塩0.1%〜リン酸塩3%間を含有するリンス溶液にさらすことができる。米国特許第4,404,169号には、リン酸塩安定化微粒子を生成する方法が記載されている。リン酸イオンは、水性相中のオキシ塩化銅懸濁液に添加される。次に、オキシ塩化銅を、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物と反応させ、懸濁液の結果として沈殿した水酸化第2銅を洗浄し、次に、再懸濁され、続いて過リン酸塩の添加により安定化させ、pH値7.5〜9に調整される。懸濁液1リットル当り1〜4グラム量のリン酸イオンの存在下で、そして、20℃〜25℃の温度で、懸濁オキシ塩化銅を反応させ、得られる水酸化第2銅を懸濁液1リットル当り3〜6グラム量のリン酸イオンで安定化させる。有利には、リンス液は約6〜約9.5間、例えば、約7〜約8.5間のpHを有する。粒子を有利には少なくとも1分以上にわたり接触させた後、前記リンス溶液を、それ自体、新鮮水によりすすぎ洗いすることができる。あるいは、硫化物源、又は8−キノリノレート源はリンス液に添加することができる。硫化物が添加される場合、pHは8を超え、好ましくは9を超えるべきである。
【0141】
別の実施態様において、粉砕後の銅系粒子を、リン酸塩数百ppm〜リン酸塩約1%間、例えばリン酸塩0.1%〜リン酸イオン0.5%(リンスの重量で)間を含有するリンス溶液にさらすことができる。粒子の接触後、有利には、少なくとも1分以上にわたり、このリンス溶液は、それ自体新鮮水によりすすぎ洗いすることができると共に、粒子は、可溶性銅数百ppm〜可溶性銅約1%、例えばリン酸塩0.1%〜可溶性銅イオン0.5%間を含む溶液によりすすぎ洗いをすることができる。この銅含有溶液は、最小量の水によりすすぎ洗いをすることができる、そして、すすぎ洗いされた微粒子を、リン酸塩数百ppm〜リン酸塩約1%間、例えばリン酸塩0.1%〜リン酸イオン0.5%間を含有するリンス溶液に再度さらすことができる。有利には、流体は約6〜約9.5間、例えば、約7〜約8.5間のpHを有する。
【0142】
一部の実施態様において、一部の銅含有微粒子はコーティングにより安定化され、一部の微粒子はこうした安定化を受ける必要はない。例えば、有利には、極めて小さい、例えば、直径約0.05ミクロンよりも小さな粒子のみが、低溶解度カバー層により安定化される。
【0143】
本発明は、また、粒子が実質的に無機コーティングを含まない実施態様を包含する。
【0144】
有機コーティング−−本発明の銅系粒子(又は亜鉛系粒子、又はスズ系粒子、又はそれらの混合物)は、木材又は木製品を保存するために直接使用することができる。銅系、亜鉛系、又はスズ系粒子又はそれらの混合物は、加えて、有機コーティング、例えば、部分的に又は完全に微粒子の外部表面積を覆う有機層を含むことができる。保護有機層は、加えて、以下に記載されるように、1つ以上の他の活性剤として機能することができる。この有機コーティングは、1)有機殺生剤担体、2)分散性/抗凝集/湿潤性修正剤、3)1つ以上の殺生剤、又はそれらの任意の組合せを含む、スラリー中の微粒子の遅い溶解に対する水性担体からの難溶性塩を一時的に単離する保護層として作用する有機層であることに加えて、多様な機能を有する多様な材料を含むことができる。油コーティングは、例えば、軽油、脱水油、高分子膜、有機殺生剤、分配剤、抗凝集剤、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0145】
1つの実施態様において、微粒子の少なくとも一部は有機保護コーティングにより被覆される。微粒子は、無機コーティングにより既に被覆されていることができる。有機コーティングは、少なくとも部分的に微粒子を被覆し、一定時間にわたり微粒子中の難溶性銅、亜鉛、及び/又はスズ塩のスラリー中に溶解する傾向性を低減させる有機材料の薄層を提供することが好ましい。
【0146】
一般に、こうしたコーティングは極めて薄く、微粒子は、例えば、前記難溶性塩の重量の約0.1%〜約50重量%、さらに一般的には約0.5%〜約10%を含む。コーティングは外部表面積の一部だけ、例えば、微粒子の外部表面積の50%のみを覆うことができる。
【0147】
炭化水素組成物は、疎水性油1つ以上を含むことができ、及び/又は、例えば、脂肪酸又はポリカリリック(polycarylic)ポリマー、界面活性剤及び/又は分配剤、両性剤、アミン、アゾール、トリアゾールを含む有機殺生剤又は任意の他の有機殺生剤、スルホン化アイオノマーなどの膜形成ポリマー、又はそれらの混合物などの、少なくとも部分的に金属により中和することが可能であるモノ−及び/又はポリ−カルボン酸の付着性を増大させる、極性官能基1つ以上を有する有機化合物を含むことができる。有機層を形成するこれら及び他の有機及び/又は有機金属成分は、一般に、「炭化水素層」又は「炭化水素組成物」と呼ばれる。
【0148】
有機コーティングは、微粒子と、粒子の外部表面上に堆積されるべき材料を含有する炭化水素組成物とを接触させることにより形成することができる。接触はスラリー中で生じさせることができるか、あるいは、水で濡れた微粒子のペーストにより行うことができるか、又は、乾燥微粒子により行うことができる。遊離水が少ないほど、炭化水素組成物と微粒子間の付着を促進することはより容易となる。
【0149】
微粒子及び炭化水素組成物の混合物を加熱することによって、炭化水素組成物が濡れて、微粒子に付着することを助ける。有利には、1つの実施態様において、大部分の炭化水素組成物の溶媒は揮発性であり、木材中への微粒子の注入前に除去される。これは、炭化水素/殺生剤組成物中に見られるものよりも、より重質の油及び/又は結合剤中に、一層濃縮された殺生剤の薄い層を残す。有機コーティングは、一般に、被覆微粒子が放置熟成されるか、及び/又は、例えば、35℃以上に、例えば、1時間にわたり加熱を受ける場合、一層付着性が上がることになる。
【0150】
一部の溶媒、一般的に極性溶媒、例えば、重量で少なくとも10%、例えば、少なくとも30%又は少なくとも50%の溶媒、例えば、アルコール、アミド、ケトン、エステル、エーテル、及びグリコール1つ以上の溶媒を微粒子中に組み込むことは、炭化水素層組成物が微粒子を濡らすことを助けることが可能であり、より薄い炭化水素層を堆積させることを可能とする。溶媒は油より低い分子量及び高い揮発性を有し、溶媒は、粒子をスラリー化する前又は木材の人口乾燥との間に、有機コーティングから揮散することができる。炭化水素組成物は、従って、任意の溶媒及び/又は希釈剤、例えば、油又は油型の有機化学化合物と、低揮発性溶媒の混合物及び/又は極性有機化学溶媒又は溶媒混合物とを含むことができる。好ましく用いられる有機化学油は、35を超える蒸発数、30℃、好ましくは45℃を超える引火点を有する油又は油型溶媒である。使用される前記水不溶性の油又は油型の低揮発性溶媒は、適する鉱油又はそれらの芳香族部分又は鉱油含有溶媒混合物、好ましくは揮発油、石油及び/又はアルキルベンゼンである。鉱油には、170〜220℃の沸点範囲を有するもの、250〜350℃の沸点範囲を有するスピンドル・オイル、160〜280℃の沸点範囲を有する石油及び芳香族、及びテレビン油などが挙げられる。1つの実施態様において、180〜210℃の沸点範囲を有する液体脂肪族炭化水素又は180〜220℃の沸点範囲を有する芳香族と脂肪族炭化水素の高沸点混合物及び/又はスピンドル・オイル、及び/又はモノクロロナフタレン、例えば、モノクロロナフタレンが用いられる。低揮発性、及び35を超える蒸発数、30℃、好ましくは45℃を超える引火点を有する有機油又は油型溶媒は、好ましい溶媒混合物がまた35を超える蒸発数、及び30℃、好ましくは45℃の引火点を有すると共に、殺生剤及び/又は他の化合物がこの溶媒/油混合物に可溶性であるか又は乳化可能であるという条件下で、高い又は中程度の揮発性の有機化学溶媒により、一部を置き換えることができる。1つの実施態様において、例えば、グリコール・エーテル、又はエステルなどの、ヒドロキシル及び/又はエステル及び/又はエーテル基を含有する脂肪族有機化学溶媒を使用する。有利には、炭化水素混合物は、微粒子を濡らしそれに付着するための結合剤を含み、例えば、乾性油を結合する合成樹脂にはアマニ油が挙げられ、また、結合剤は、アクリル樹脂、ビニル樹脂、例えばポリ酢酸ビニル、ポリエステル樹脂、重縮合又は重付加樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂又は好ましくはミディアム・オイル長さの変性アルキド樹脂、フェノール樹脂、インデン/クマロン樹脂などの炭化水素樹脂、シリコン樹脂、乾燥野菜及び/又は乾性油及び/又は天然及び/又は合成樹脂に基づく物理的乾燥結合剤を含む。適切な農産乾性油には、アマニ油、大豆油、カノーラ油、菜種油、ヒマワリ油、キリ油及びキャスター油が挙げられる。
【0151】
この有機コーティングは、界面活性剤及び有機殺生剤に限定されないがそれらを含む、多様な機能を有する多様な材料を含むことができる。
【0152】
界面活性剤−微粒子の懸濁液を改善する活性剤には、スルホン酸フェニル、スルホン酸アルキルナフタレン及び重合化スルホン酸ナフタレン、ポリアクリル酸及びそれらの塩、ポリアクリルアミド、ポリアルコキシジアミン誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、タウリン誘導体及びそれらの混合物、並びにスルホン化リグニン誘導体などの分散剤を挙げることができる。界面活性剤には、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物を挙げることができる。ポリエチレンイミンは、界面活性剤又は安定剤として機能することができ、そして、銅をキレート化する。分散剤は、微粒子生成品の0.1%〜50%、好ましくは約0.5%〜20%、又は5〜10%で使用することができる。
【0153】
有機殺生剤−前述のように、粒子は、追加殺カビ剤1つ以上、又は、更に一般的な殺生剤と組み合わせて、木材又は木製品に対する追加の殺生活性を提供することができる。好ましい保存処理剤は、吸着などにより粒子の表面に結合される追加の有機殺生剤(複数を含む)1つ以上を有する銅系粒子を含む。木材又は木製品は、(a)本発明の銅系粒子、及び、(b)銅系粒子の表面に結合される材料などの保存剤機能を有する材料を、実質的に均質に含浸することができる。「実質的に均質に」とは、顕微鏡スケールで、その中に配置される微粒子を有する体積とその中に微粒子を持たない木材内の他の体積とがあるので、少なくとも1立方インチの体積にわたって平均化されることを意味する。従って、木材又は木製品内の保存剤機能の分配は、好ましくは不均質でない。
【0154】
有機殺生剤の絶対量は極めて低い。一般に、殺生剤は、銅塩の重量基準で0.1%〜20%、好ましくは1%〜5%の使用濃度において存在する。本発明の難溶性銅塩微粒子は、一般的に、立方フィート当りの銅として0.25ポンドに等しい量か、又はそれ未満の量で木材に添加されることが期待される。銅に対して4%ローディングでの有機殺生剤は、立方フィート当り約0.16オンス又は約3〜4ミリリットルの殺生剤で存在する。有機殺生剤は、多くの場合、木材中への木材保存処理剤の注入用に好ましい流体担体である水に不溶性であるので、木材マトリクス内で殺生剤の適切な分配を得るには問題がある。先行技術配合物において、木材保存剤は、例えば、大過剰の油中に混合することができり、油は水により乳化され、木材中への注入のため可溶性銅と混合される。問題は、注入が遅れる場合か又はスラリーが乳化液などを破壊する化合物を有する場合に起こる。
【0155】
最大の利点は、木材保存処理剤中に組み込まれる有機殺生剤の一部又はすべてが、微粒子上に有利に被覆することができることである。殺生剤を微粒子上に付着させることにより、殺生剤のさらに均一な分配が確保され、銅は殺生剤と共に配置され、従って、殺生剤を分解するか又は消耗することが可能であるような生物有機体から殺生剤を保護するため最善に位置付けされる。最終的に、微粒子に付着する殺生剤を有する配合物は、乳化液が直面する不安定性の問題には直面しない。
【0156】
一般に、わずかな有機殺生剤が必要とされるので、十分な炭化水素材料中に溶解され、そして、炭化水素材料により希釈されて、許容可能サイズの相を形成する。有機材料/殺生剤混合物は、炭化水素相を微粒子に付着させることは困難であることがあるが、スラリー中の微粒子と接触することができる。微粒子を、例えば、8−キノリノレートのコーティングにより前処理することは、微粒子上で吸収する殺生剤の可能性を大いに増大させる。微粒子は、例えば、炭化水素/殺生剤組成物と混合する前に、水スラリー中少なくとも40重量%微粒子まで濃縮することができる。
【0157】
殺生剤は任意の公知の有機殺生剤であることができる。保存剤機能を有する代表的な材料は、少なくとも1つの、1つ以上のアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ピリミジニル・カルビノール、2−アミノ−ピリミジン、モルホリン、ピロール、フェニルアミド、ベンズイミダゾール、カルバメート、ジカルボキシイミド、カルボキサミド、ジチオカルバメート、ジアルキルジチオカルバメート、N−ハロメチルチオ−ジカルボキシイミド、ピロール・カルボキサミド、オキシン−銅、グアニジン、ストロビルリン、ニトロフェノール誘導体、有機リン誘導体、ポリオキシン、ピロールチオアミド、ホスホニウム化合物、高分子第4級アンモニウムホウ酸塩、コハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、ホルムアルデヒド放出化合物、ナフタレン誘導体、スルフェンアミド、アルデヒド、第4級アンモニウム化合物、アミン・オキシド、ニトロソ−アミン、フェノール誘導体、有機ヨウ素誘導体、亜硝酸塩、それらのCu塩を含む8−ヒドロキシキノリンなどのキノリン、リン酸エステル、有機シリコン化合物、ピレスロイド、ニトロイミン及びニトロメチレン、及びそれらの混合物を有する材料が挙げられる。
【0158】
代表的な殺生剤には、アザコナゾール、ビテルタノール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、フルシアゾール、フルトリアフォル、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、テブオオナゾール、テトラコナゾール、フェンブコナゾール、メトコナゾール、マイクロブタニル、パーフラゾエート、ペンコナゾール、ブロムコナゾール、ピリフェノックス、プロクロラッツ、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフミゾール又はトリチコナゾールなどのアゾール;アンシミドール、フェナリモル又はヌアリモルなどのピリミジニル・カルビノール;クロロタロニル;クロルピリホス;N−シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ;ジクロフルアニド;8−ヒドロキシキノリン(オキシン);イソチアゾロン;イミダクロプリド;3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート・テブコナゾール;2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール(ブサン30);トリブチルスズ・オキシド;プロピコナゾール;合成ピレスロイド;ブピリメート、ジメチリモール又はエチリモールなどの2−アミノピリミジン;ドデモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロキサニン又はトリデモルフなどのモルホリン;シプロジニル、ピリメタニル又はメパニピリムなどのアニリノピリムジン;フェンピクロニル又はフルジオキソニルなどのピロール;ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R−メタラキシル、オフレース又はオキサジキシルなどのフェニルアミド;ベノミル、カルベンダジム、デバカルブ、フベリダゾール又はチアベンダゾールなどのベンズイミダゾール;クロゾリネート、ジクロゾリン、イプリジン、マイクロゾリン、プロシミドン又はビンクロゾリンなどのジカルボキシミド;カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキシン又はチフルザミドなどのカルボキサミド;グアザッツン、ドジン又はイミノクタジンなどのグアニジン;アゾキシストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、SSF−129、メチル2−[(2−トリフルオロメチル)ピリジ−イロキシメチル]−3メトキシカクリレート又は2−[α{[(α−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンジル)イミノ]オキシ}−o−トーリ]グリオキシル酸−メチルエステル−o−メチルオキシム(トリフロキシストロビン)などのストロビルリン;ファーバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、又はジラムなどのジチオカルバメート;キャプタフォル、キャプタン、ジクロロフルアニド、フルオロールミド、フォルペット又はトルフルアニドなどのN−ハロメチルチオジカルボキシミド;ジノキャップ又はニトロタル−イソプロピルなどのニトロフェノール;エジフェンホス、イプロベンホス、イソプロチオラン、ホスジフェン、ピラゾホス又はトクロフォス−メチルなどの有機リン誘導体;及びアシベロラー−S−メチル、アニラジン、ブラスチシジン−S、キノメチオナッツ、クロロネブ、クロロタロニル、シモキサニル、ジクローン、ジコメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、ジチアノン、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルサッファミド、フェンヘキサミド、フォセチル−アルリニウム、ヒメキサゾール、カスガマイシン、メタスイホカルブ、ペンシクロン、フタリド、ポリオキシン、プロベナゾール、プロパモカルブ、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、硫黄、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリホリン、バリダマイシン、(S)−5−メチル−2−メチルチオ−5−フェニル−3−フェニル−アミノ−3,5−ジヒドロイミダゾール−4−オン(RPA407213)、3,5−ジクロロ−N−(3−クロロ−1−エチル−1−メチル−2−オキソプロピル)−4−メチルベンズアミド(RH7281)、N−アルキル−4,5−ジメチル−2−トリメチルシリルチオフェン−3−カルボキサミド(MON65500)、4−クロロ−4−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミド(IKF−916)、N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2,4ジクロロフェノキシ)−プロピオンアミド(AC382042)、又はイプロバリカルブ(SZX722)などの多様な構造の他の化合物が挙げられる。また、米国特許第6,699,818号に記載されているペンタクロロフェノール、石油、フェノトリン、フェントエート、ホレート、ならびにトリフルオロメチルピロール・カルボキサミド及びトリフルオロメチルピロールエチオアミド;アミトロール、アゾサイロチン、ビテルタノール、フェンブコナゾール、フェンクロラゾール、フェンエタニル、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアフォル、イミベンコナゾール、イソゾフォス、マイクロブタニル、メトコナゾール、エポキシコナゾール、パクロブトラゾール、(±)−シス−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−シクロヘプタノール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアペンテノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、ユニコナゾール及びそれらの金属塩及び酸付加物などのトリアゾール;イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラッツ、トリフルミゾール、2−(1−t−ブチル)−1−(2−クロロフェニル)−3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−プロパン−2−オール、2’,6’−ジブロモ−2−メチル−4−トリフルオロメトキシ−4’−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサニリドなどのチアゾールカルボキサニリドなどのイミダゾール;アザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロロブトラゾール、ジニコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、エポキシコナゾール、メチル(E)−メトキシミノ[α−(o−トーリルオキシ)−o−トーリル]アセテート、メチル(E)−2−{2−[6−(2−シアノフェノキシ)−ピリミジン−4−イル−オキシ]フェニル}−3−メトキシアクリレート、メトフロキサム、カルボキシン、フェンピクロニル、4(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ブテナフィン、及び3−ヨード−2−プロピニル−n−ブチルカルバメート(IPBC)などの殺菌剤;米国特許第5,624,916号、第5,527,816号、及び第5,462,931号に記載されているものなどのトリアゾール;米国特許第5,874,025号に記載されている殺生剤;5−[(4−クロロフェニル)メチル]−2,2−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−メチル)シクロペンタノール;メチル(E)−2−[2−[6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[6−(2−チオアミドフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[6−(2−フルオロフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[6−(2,6−ジフルオロフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(ピリミジン−2−イルオキシ]フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(5−メチルピリミジン−2−イルオキシ)−フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(フェニルスルホニルオキシ)フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(4−ニトロフェノキシ)フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−フェノキシフェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3,5−ジメチルベンゾイル)ピロール−1−イル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3−メトキシフェノキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(2−フェニルエテン−1−イル)−フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3,5−ジクロロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェノキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(アルファヒドロキシベンジル)フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(4−フェノキシピリジン−2−イルオキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3−n−プロピルオキシフェノキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3−イソプロピルオキシフェノキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(2−フルオロフェノキシ)フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3−エトキシフェノキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(4−t−ブチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[3−(3−シアノフェノキシ)フェノキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[(3−メチルピリジン−2−イルオキシメチル)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[6−(2−メチルフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(5−ブロモピリジン−2−イルオキシメチル)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−(3−(3−ヨードピリジン−2−イルオキシ)フェノキシ)フェニル]−3−メトキシアクリレート;メチル(E)−2−[2−[6−(2−クロロピリジン−3−イルオキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル]−3−メトキシアクリレート;(E),(E)−メチル−2−[2−(5,6−ジメチルピラジン−2−イルメトキシイミノメチル)フェニル]−3−メトキシアクリレート;(E)−メチル−2−{2−[6−(6−メチルピリジン−2−イルオキシ)ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル}−3−メトキシアクリレート;(E),(E)−メチル−2−{2−[(3−メトキシフェニル)メチルオキシミノメチル]フェニル}−3−メトキシアクリレート;(E)−メチル−2−{2−[6−(2−アジドフェノキシ)−ピリミジン−4−イルオキシ]フェニル}−3−メトキシアクリレート;(E),(E)−メチル−2−{2−[(6−フェニルピリミジン−4−イル)−メチルオキシミノメチル]フェニル}−3−メトキシアクリレート;(E),(E)−メチル−2−{2−[(4−クロロフェニル)−メチルオキシミノメチル]フェニル}−3−メトキシアクリレート;(E)−メチル−2−{2−[6−(2−n−プロピルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−4−イルオキシ]]フェニル}−3−メトキシアクリレート;(E),(E)−メチル−2−{2−[(3−ニトロフェニル)メチルオキシミノメチル]フェニル}−3−メトキシアクリレート;フェンフラム、フルカルバニル、シクラフルラミド、フルメシクロックス、シードバックス、メトスルフォバックス、ピロカルボリッド、オキシカルボキシン、シャーラン、メベニル(メプロニル)、ベノダニル、及びフルトラニルなどのコハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤;カルベンダジム、ベノミル、フラチオカルブ、フベリダゾール、チオホナトメチル、チアベンダゾール又はそれらの塩などのベンズイミダゾール;トリデモルフ、フェンプロピモルフ、ファリモルフ、ジメトモルフ、ドデモルフなどのモルホリン;アルジモルフ、フェンプロピジン及び、例えば
、p−トルエンスルホン酸及びp−ドデシルフェニルスルホン酸などのそれらのアリールスルホン酸塩;2−メルカプトベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール;2,6−ジクロロ−N−(4−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミドなどのベンズアミド;ベンジル・アルコール・モノ(ポリ)−ヘミホルマール、オキサゾリジン、ヘキサ−ヒドロ−S−トリアジン、N−メチロールクロロアセタミド、パラホルムアルデヒド、ニトロピリン、オキソリン酸、テクロフタラムなどのホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド放出化合物;トリス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)−アルミニウム;N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)−トリブチルスズ;N−オクチル−イソチアゾリン−3−オン;4,5−トリメチレン−イソチアゾリノン;4,5−ベンゾイソチアゾリノン;N−メチロールクロロアセトアミド;アレスリン、アルファメトリン、ビオレスメトリン、バイフェントリン、シクロプロトリン、シフルトリン、デカメトリン、シハロトリン、サイパーメトリン、デルタメトリン、アルファ−シアノ−3−フェニル−2−メチルベンジル2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−トリフルオロ−メチルビニル)シクロプロパン−カルボキシレート、フェンプロパトリン、フェンフルトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、フルバリネート、ペルメトリン、レスメトリン及びトラロメトリンなどのピレスロイド;1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)−メチル]−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミン(イミダクロプリド)、及びN−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミド(NI−25)などのニトロイミン及びニトロメチレン;ジデシルジメチルアンモニウム塩、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム塩化物、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム塩化物、及びジデシルジメチルアンモニウム塩化物などの第4級アンモニウム化合物;トリブロモフェノール、テトラクロロフェノール、3−メチル−4−クロロフェノール、3,5−ジメチル−4−クロロフェノール、フェノキシエタノール、ジクロロフェン、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール及びそれらのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩などのフェノール誘導体;ジヨードメチル・p−トリル・スルホン、3−ヨード−2−プロピニル・アルコール、4−クロロ−フェニル−3−ヨードプロパギル・フォーマル、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニル・エチルカルバメート、2,3,3−トリヨードアリル・アルコール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニル・アルコール、3−ヨード−2−プロピニル・n−ブチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル・n−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル・シクロヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル・フェニルカルバメートなどのヨウ素誘導体;クロロアセトアミドなどの活性化ハロゲン基を有する殺菌剤、ブロノポール、ブロニドックス、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−ブロモ−4’−ヒドロキシ−アセトフェノン、2,2−ジブロモ−3−ニトリル−プロピオンアミド、1、2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、β−ブロモ−β−ニトロスチレンなどのテクタマー;及びそれらの組合せを含む殺生剤が挙げられる。これらは、単に、数部類の公知の有用な殺生剤の代表例であり、一覧は容易にページを延ばすことができるであろう。
【0159】
好ましい殺生剤は油溶性であり、例えば、ジデシルジメチルアンモニウム塩を含む第4級アンモニウム化合物;例えば、N−アルキル化トーリトリアゾール、メトコナゾール、イミダクロプリド、ヘキサコナゾール、アザコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾール、ブロモコナゾール、及びトリデモルフ・テブコナゾールを含むアゾール/トリアゾール;殺カビ剤;BASFにより市販されているHDO、又はそれらの混合物が挙げられる。テブコナゾールなどの殺生剤は、一般的な有機溶媒に完全に可溶性であるが、一方クロロタロニルなどの他のものは低い溶解度しか持たない。
【0160】
殺生剤を微粒子に塗布するために、殺生剤が炭化水素組成物中に分散され、好ましくは溶解度を高めるように注意して、殺生剤/炭化水素組成物を混合する。殺生剤/炭化水素組成物は、例えば、活性化合物を、溶媒又は希釈剤、乳化剤、分散剤及び/又は結合剤又は固定剤、撥水剤、及び、適切ならば染料及び顔料及び他の処理用補助剤と混合することにより、それ自体公知の方法で調製することができる。次に、スラリー中に懸濁するか、濡れているか、又は乾燥状態であることができる微粒子と殺生剤/炭化水素組成物とを混合する。殺生剤/炭化水素組成物の微粒子を濡らし、そして、分配を助けるために、組成物を混合する。組成物は、例えば、約40℃に加熱することができ、また、有利には、数分から数時間の範囲にわたり放置されることができる。次に、混合物は、出荷用に、スラリー中に組み込まれるか、又は乾燥するか、又は安定な濃縮スラリー中に配合することができる。
【0161】
代わりの実施態様において、殺生剤/炭化水素組成物は、ガス流中に懸濁される粒子などの個々の粒子上にスプレー又はエアゾールとして塗布される。これらの被覆微粒子は、次に、例えば、粘着性を除去するために油を乾燥するか、又は抗凝集剤、湿潤剤、及び分散剤などの他のアジュバントにより粒子を被覆することにより凝集を防止するために処理される。こうした製品は乾燥プレミックスとして保存し、出荷し、販売することができる。
【0162】
別の実施態様において、粒子は、殺生剤を含有することが可能であるか又は可能でない軽質炭化水素材料により濡らされ、次に、炭化水素材料は洗浄又は乾燥により実質的に除去され、例えば、1〜30ナノメートル厚さの範囲にあることが可能である炭化水素残分の極めて薄い層を残す。前記極薄層は、無視できる粘着性及び無視できる重量を有するが、しかし、微粒子を溶解から保護し、スラリー中の凝集を阻止する。
【0163】
別の有機殺生剤担体−−別の実施態様において、それらが銅系、亜鉛系、又はスズ系である微粒子の一部のみを、炭化水素/殺生剤混合物により被覆することができる。一部の沈殿技術は、高気孔率を有する塩を生成することが知られていて、これらの高気孔率塩は粘着性コーティングを形成することなしにその中に殺生剤の実質的な量を吸収することができる。
【0164】
別の実施態様において、有機殺生剤/炭化水素組成物は、多孔質不活性微粒子担体、例えば、0.1ミクロン直径高気孔率のアルミナ、シリカ、ゼオライト、珪藻土、又はアタパルガイトクレーなどと接触する。こうした材料は、容易に入手できる。例えば、米国特許第5,527,423号には、1グラム当り数百平方メートルのBET表面積により実証される高気孔率を有する、0.3ミクロン未満の最大粒径を有するアルミナが開示され、この材料は安定なスラリーに生成することができることが示されている。好ましいゼオライトには、それら自体が殺生剤活性を有するAg、Zn又はCu含有ゼオライトが挙げられる。これらの担体材料は安価であり、そして、高分子ナノ粒子のように生物栄養源に寄与せず、スラリーの調製及びスラリーの注入との間、又は、例えば、木材複合材料を作製するために接着剤及び/又は樹脂と混合する間に、硬いアルミナ/シリカ/ゼオライト/珪藻/クレー微粒子は、それらの孔内に殺生剤を保持する。従って、前記不活性担体/有機殺生剤微粒子、及び、加えて又は代わりに、殺菌性ゼオライト/有機殺生剤微粒子は、今日の商業的使用における可溶性銅木材保存処理剤と共に使用した場合でも有用である。こうした微粒子は、有利には、固形で、一般的には不溶性の、有利には、平均直径で約0.01〜0.3ミクロン間、例えば、平均直径で約0.05〜0.2ミクロン間にある結晶構造を有する。前記微粒子を製造する方法は、一定量の乾燥担体材料上にて真空で吸い込み、次に、そこに、大部分(例えば、50%〜90%)の溶媒、有利には小部分(例えば、5%〜48%)の油を含み、そして、1%〜40%間の有機殺生剤を包含する組成物を導入することである。組成物は不活性担体と混合され、圧力は不活性担体材料の孔を組成物で満たすために使用することができる。次に、溶媒、及び、場合により一部の油を、乾燥、熱、又は真空により除去することができる。アルミナ担体における30%有効気孔率が、殺生剤20重量%を有する炭化水素/殺生剤組成物により三分の一まで充填される場合、木材100立方フィートを処理するため必要とされる殺生剤担体材料の合計量は、約1〜2カップのアルミナであるであろう。有利には、有機殺生剤は、ゆっくりと微粒子から浸出する。不活性微粒子担体中の殺生剤配合物は、有利には、微粒子の中心から微粒子の外部へ殺生剤を輸送するのを助けるために油を含み、及び/又は、微粒子に対する殺生剤の粘り強さを増大させるために結合剤を包含することができる。前記微粒子は、それらの孔内に分散される殺生剤を保護し、殺生剤の浸出速度を低下させる。前記微粒子は、それらが木材中の有機殺生剤の安定な配合及び均一な分散を確保することにおいて、乳化液に対する改善である。担体材料、例えば、アルミナは、微粒子を含有する銅塩を粉砕するために用いたのと同じ装置により粉砕することができる。これらの殺生剤含有ポリマーは、次に、本発明の銅系微粒子と一緒にスラリー化することができると共に、両方の固形物は注入することができる。この方法の利点は、担体、例えば、アルミナが、例えば、より軽質な油を追い出し、そして、担体の孔内に殺生剤の極薄層のみを残すことによって、アルミナが粘着性でないように、個別に調製し、そして、処理することができることである。第2の利点は、アルミナ/殺生剤をプレミックス中の充填剤として使用することができ、それによって混合特性を助成することである。
【0165】
本発明の代表的な保存剤は、本発明の銅系粒子を含む流動性を有する材料を含む。代表的な流動性を有する材料には、液体、乳化液、スラリー、及び懸濁液が挙げられる。
【0166】
1つの実施態様において、本発明の保存剤は、銅系粒子に追加の1つ以上の材料を含み、追加材料は、保存剤機能も提供することが好ましい。例えば、代表的な保存剤は銅系粒子を含む乳化液を含み、そこで、乳化液相の少なくとも1つは、保存剤機能を有する1つ以上の材料を含むことができる。保存剤機能を有する代表的な材料には、1つ以上のトリアゾール基、1つ以上の第4級アミン基、及び1つ以上のニトロソ−アミン基少なくとも1つを有する材料が挙げられる。これらの材料の混合物を使用することができる。好ましい保存剤材料は、銅系保存剤に耐性があることができる生物を阻害する。木材又は木製品保存において有用な殺生剤は、好ましい材料である。好ましい保存剤は、吸着などにより粒子表面に結合される保存剤機能を有する材料1つ以上を含む銅系粒子を含む。木材及び木製品は、(a)本発明の銅系粒子、及び、(b)銅系粒子の表面に結合される材料、例えば、保存剤機能を有する材料を実質的に均質に含浸することができる。従って、木材又は木製品内での保存剤機能の分配は、微粒子上に吸収されることにより一層不均質化される。
【0167】
最終的に、1つの実施態様において、木材保存処理剤は、銅系微粒子上に被覆される有機殺生剤の部分と、微粒子不活性担体を有する有機殺生剤の他の部分とを含むことができる。有機殺生剤及び/又は銅系微粒子を含有する担体微粒子は、粘着性を低下させるように処理することができる。
【0168】
注入可能スラリー
本発明の変形において、スラリーは、液体担体;有機殺生剤1つ以上を含む注入可能固形微粒子;及び、先行技術に記載されている可溶性銅処理剤を含む可溶性銅塩又はコンプレックス1つ以上を含む。注入可能微粒子は、銅系微粒子、亜鉛系微粒子、スズ系微粒子、不活性担体系微粒子、生物活性ゼオライト系微粒子、又はそれらの混合物であることができる。本発明のこの変形における微粒子は、主として有機殺生剤用の担体である。代表的な粒子は、ストークスの法則により測定される約500ナノメートル未満、例えば約250ナノメートル未満、又は約200ナノメートル未満の平均直径を有する水酸化銅を含む。好ましくは、平均直径は、少なくとも25ナノメートル、例えば、少なくとも50ナノメートルである。本発明の1つの実施態様において、粒子は少なくとも約10m2/粒子グラム、例えば、少なくとも約40m2/粒子グラム、例えば、少なくとも約75m2/粒子グラム、例えば約80m2/粒子グラムの表面積を有する。1つの実施態様における微粒子の粒度分布は、微粒子の少なくとも約30重量%が、約0.07ミクロン〜0.5ミクロン間の平均直径を有するか、又は、好ましくは、微粒子の少なくとも約50重量%が、約0.1ミクロン〜約0.4ミクロン間の平均直径を有するようなものである。
【0169】
本発明の別の変形において、スラリーは:液体担体;わずかに溶ける銅塩を含む注入可能固形微粒子;及び、金属銅及び/又は亜鉛を含む微粒子を含む。代表的な粒子は、ストークスの法則により測定される約500ナノメートル未満、例えば約250ナノメートル未満、又は約200ナノメートル未満の平均粒子直径を有し、そして、平均粒子直径は、少なくとも25ナノメートル、例えば、少なくとも50ナノメートルである。1つの実施態様における微粒子の粒度分布は、微粒子の少なくとも約30重量%が、約0.02ミクロン〜0.4ミクロン間の平均直径を有するか、又は、好ましくは、微粒子の少なくとも約50重量%が、約0.05ミクロン〜約0.3ミクロン間の平均直径を有するようなものである。金属銅及び/又は金属亜鉛微粒子は、小さな殺菌効果と耐食性効果の両方を有する。耐食性金属微粒子中の銅、亜鉛のいずれか、又は両方の量は、溶けにくい銅塩を含む微粒子100部当り約1部〜25部の範囲にあることができる。本発明の前記変形における金属含有微粒子は、いくらかの殺菌効果を有するが、主として耐食性添加剤である。更に、有機殺生剤は、これらの金属含有微粒子上に容易に被覆することができる。この変形の1つの実施態様において、スラリーは:A)液体担体;B)金属銅及び/又は金属亜鉛と、有機殺生剤の1つ以上を含む注入可能固形微粒子と、以下の、C−1)先行技術に記載されている可溶性銅処理剤を含む可溶性銅塩又はコンプレックスの1つ以上、C−2)銅及び/又は亜鉛の溶けにくい塩を含む1つ以上の注入可能微粒子、又はC−3)それらの両方のいずれかとを含む。
【0170】
銅系微粒子は、難溶性実質的に結晶性の(又は難溶性非晶質の)任意の銅塩を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。1つの実施態様において、銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩は、水酸化銅、炭酸銅(例えば、「黄色」炭酸銅)、塩基性(又は「アルカリ性」)炭酸銅、特定トリ塩基性硫酸銅を含む塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅、オキシ塩化銅(塩基性塩化銅)、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、フェリシアン酸銅、フルオロケイ酸銅、チオシアン酸銅、2リン酸銅又はピロリン酸銅、シアン酸銅、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の銅塩を含むか、又は本質的にそれらからなる。1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子の重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。
【0171】
好ましい実施態様において、銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩は、水酸化銅、炭酸銅、塩基性(又は「アルカリ性」)炭酸銅、特定トリ塩基性硫酸銅を含む塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅、オキシ塩化銅(塩基性塩化銅)、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の銅塩を含むか、又は本質的にそれらからなる。1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子の重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。
【0172】
別の実施態様において、木材保存剤配合物における銅系微粒子中の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩は、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩も少なくとも1つが酸化銅でないという条件下で、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅、アルカリ性硫酸銅、アルカリ性硝酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される複数の難溶性実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。酸化銅の中でCu2OがCuOよりも好ましい。これの変形において、銅系微粒子は、水酸化銅、炭酸銅、アルカリ性(又は「塩基性」)炭酸銅、アルカリ性硝酸銅、アルカリ性硫酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の難溶性実質的に結晶性の銅塩を含むか、又は本質的にそれらからなることができる。1つの実施態様において、銅系粒子は実質的に結晶性の銅化合物を含む。銅系粒子の重量の少なくとも約20%、30%、50%、又は75%は、実質的に結晶性の銅化合物からなることができる。
【0173】
前記のいずれにおいても、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物は、実質的な量のマグネシウム、亜鉛、又は両方の1つ以上を有することができると共に、これらのカチオンは実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅組成物内に分散されるか、又は微粒子内で個別相であるかのいずれかである。本発明の好ましい実施態様において、微粒子の少なくとも一部は水酸化銅、塩基性炭酸銅、又は両方を含む。更に好ましい実施態様において、水酸化銅は、銅100部当りマグネシウム6〜20部間、例えば、銅100部当りマグネシウム9〜15部間を含む。あるいは、別の更に好ましい実施態様において、水酸化銅は、銅100部当りマグネシウム及び亜鉛の合計量6〜20部間、例えば、銅100部当りマグネシウム及び亜鉛の合計量9〜15部間を含む。一部の実施態様において、塩基性炭酸銅は、銅100部当りマグネシウム6〜20部間、例えば、銅100部当りマグネシウム9〜15部間、又は、あるいは、銅100部当りマグネシウム及び亜鉛の合計量6〜20部間、例えば、銅100部当りマグネシウム及び亜鉛の合計量9〜15部間を含む。代わりに、又は加えて、好ましい実施態様において、水酸化銅及び/又は塩基性炭酸銅は、銅100部当りリン酸塩約0.01〜5部間、例えば、銅100部当りリン酸塩9〜15部間を含む。
【0174】
別の好ましい実施態様において、スラリーは難溶性銅塩微粒子を含み、ホウ酸亜鉛微粒子も含む。好ましくは、難溶性銅塩系微粒子の少なくとも一部はホウ酸銅を含む。亜鉛又は銅塩が木材中に注入され、次に、ホウ砂が注入され不溶性金属ホウ酸塩がその場でで形成される第2段階に続く、2段階法を使用することは知られている。こうした複雑で時間がかかり従って高価な方法は、十分に費用効果があるものではない。ホウ酸銅の溶解度は極めてpHに敏感であるので、好ましい実施態様において、ホウ酸銅の溶解度を下げるためにアルカリ性材料、例えば、水酸化銅又は炭酸銅を難溶性銅塩が含む。ホウ酸亜鉛ローディングは、木材中の銅ローディングとは独立に、例えば、0.025〜0.5%の範囲にあることができる。
【0175】
任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、可溶性の実質的に結晶性の銅塩相が溶解に対して安定化される、可溶性の実質的に結晶性の銅塩1つ以上、例えば、硫酸銅、フルオロホウ酸銅、フッ化銅、又はそれらの混合物を更に含むことができる。
【0176】
任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の実質的に結晶性の銅組成物は、実質的に不溶性の銅塩である、リン酸銅Cu3(PO42を更に含むことができる。任意の前記実施態様において、銅系微粒子及び/又は銅系微粒子材料中の銅組成物は、不溶性の銅塩銅8−キノリノレートを更に含むことができる。任意の前記実施態様において、組成物は、銅キナルデート、銅オキシム、又は両方を微粒子形態で含むことができる。Cu3(PO42及び/又は酸化銅及び/又は銅8−キノリノレートを実質的に含む銅系微粒子がある場合、微粒子は、最大の表面積を提供し、粒子の溶解性を助けるために、とりわけ小さく、例えば、約0.07ミクロン、好ましくは約0.05ミクロン未満であることが好ましく、そして、木材処理剤は、別のタイプの実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅系微粒子、例えば、塩基性炭酸銅、塩基性ホウ酸銅、トリ塩基性硫酸銅、及び、水酸化銅などを含有することが好ましい。
【0177】
前記の亜鉛類似材料は、本発明の代わりの実施態様の亜鉛系微粒子用に有用である。1つの実施態様において、銅系微粒子材料は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、オキシ塩化亜鉛、フルオロホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、フッ化亜鉛、又はそれらの混合物から選択される結晶性亜鉛塩1つ以上を更に含むことができる。亜鉛塩は、個別の塩相形態をとることが可能であるか、又は混合Cu/Zn塩であるか、又はそれらの組合せであることが可能である。好ましい実施態様において、粒子は、重量で少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約60%、更に好ましくは少なくとも約80%の実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)銅塩、結晶性亜鉛塩、又はそれらの混合物又は組合せ1つ以上を含む。
【0178】
1つの実施態様において、木材用の銅系微粒子保存処理剤は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、オキシ塩化亜鉛、フルオロホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、フッ化亜鉛、又はそれらの混合物から選択される結晶性亜鉛塩1つ以上を含む亜鉛系微粒子を更に含むことができる。好ましい亜鉛系の実質的に結晶性の材料には、他のカチオン、例えば、実質的に結晶性の(又は無定形難溶性)材料中のカチオンの全体重量基準で、0.1〜10%の銅、0.1〜10%のマグネシウム、又は両方によりドーピングすることができる、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施態様において、粒子は、重量で少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約60%、さらに好ましくは少なくとも約80%の1つ以上の結晶性亜鉛塩を含む。
【0179】
本発明の好ましい実施態様は、水酸化銅、アルカリ性炭酸銅、アルカリ性オキシ塩化銅、トリ塩基性硫酸銅、ホウ酸銅、又はそれらの混合物を含む粒子を含む。本発明の最も好ましい実施態様は、水酸化銅、アルカリ性炭酸銅、ホウ酸銅、アルカリ性ホウ酸銅、又はそれらの混合物を含む粒子を含む。
【0180】
本発明の好ましい実施態様において、スラリーは:液体担体;難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物;そして、任意にスラリーは、有利に有機殺生剤1つ以上、腐食防止剤1つ以上、及び、任意に本明細書において記載されるものなどを含む他の成分を含有する。微粒子、及びそれらの核を形成する難溶性塩は、これまで議論されてきた。有機殺生剤は、担体との溶液(可溶性殺生剤用の);乳化液;難溶性銅系、亜鉛系、及び/又はスズ系微粒子上のコーティング;他の注入可能な固形微粒子上及び/又はそれらの中のコーティング;又はそれらの任意の組合せの形態をとることができる。1つの実施態様において、好ましい保存剤の実質的にすべての(例えば、99重量%を超える)銅系、亜鉛系微粒子、及び/又はスズ系微粒子は、0.4ミクロン(400ナノメートル)より小さな直径を有する。前記粒子は、粒子により処理される木材又は木製品を変色させるに十分な光を散乱するために不十分に大きくあることができる。別の実施態様において、代表的な木材保存剤は、粒子の少なくとも50%が、約0.5μm、0.25μm、0.2μm、又は0.15μmよりも小さな直径を有する粒度分布を有する銅系粒子を含む。
【0181】
本発明の代表的な保存剤は、約500ナノメートル未満、例えば約250ナノメートル未満、又は約200ナノメートル未満の平均粒子直径を有する、難溶性銅塩(例えば、水酸化銅)又は難溶性亜鉛塩粒子を含む。好ましい実施態様において、平均粒子直径は、少なくとも25ナノメートル、例えば、少なくとも50ナノメートルである。最も好ましい実施態様において、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、及び/又は難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子は、有利には、約0.6ミクロン未満、好ましくは約0.1〜約0.4ミクロン間のメジアン粒径を有する。微粒子の粒度分布は、微粒子の約1重量%未満、好ましくは、約0.5重量%未満が1ミクロンを超える平均直径を有するようなものである。好ましくは、微粒子の粒度分布は、微粒子の約1重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満が約0.6ミクロンを超える平均直径を有するようなものである。1つの実施態様において、微粒子の粒度分布は、微粒子の少なくとも約30重量%が約0.07ミクロン〜0.5ミクロン間の平均直径を有するようなものである。好ましい実施態様において、微粒子の粒度分布は、微粒子の少なくとも約50重量%が約0.1ミクロン〜0.4ミクロン間の平均直径を有するようなものである。
【0182】
本発明の好ましい実施態様において、スラリーは実質的にアルカノールアミンを含まず、例えば、スラリーは1%未満のアルカノールアミン、好ましくは0.1%未満のアルカノールアミンを含むか、又はアルカノールアミンを完全に含まない。
【0183】
本発明の好ましい実施態様において、スラリーは、それらの主要機能が有機殺生剤としてのものであるアミンは除外するという条件下で、実質的にアミンを含まず、例えば、スラリーは1%未満のアミン、好ましくは0.1%未満のアミンを含むか、又は完全にアミンを含まない。
【0184】
本発明の好ましい実施態様において、スラリーは、それらの主要機能が有機殺生剤としてのものであるアンモニウム化合物は除外するという条件下で、実質的にアンモニウム化合物(例えば、水酸化アンモニウム)を含まず、例えば、スラリーは1%未満のアンモニア、好ましくは0.1%未満のアンモニアを含むか、又は完全にアンモニウム化合物を含まない。別の実施態様において、組成物は、約7〜10間、例えば約7.5〜9間、又は約8〜8.5間の液体担体のpHを保持するために、水酸化アンモニウムの量を含む。
【0185】
本発明の好ましい実施態様において、スラリーは実質的に溶媒を含まず、例えば、スラリーは1%未満の有機溶媒、好ましくは0.1%未満の有機溶媒を含むか、又は完全に有機溶媒を含まない。
【0186】
スラリーは、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物を含有する。難溶性材料は、追加のカチオン、例えば、亜鉛及び/又はマグネシウム部分を有することができる。微粒子は、少なくとも微粒子の少なくとも一部の少なくとも外側の一部を覆う有機コーティングを有することができる。例えば、粒子は、例えばアマニ油、テレビン油、及び/又は松根油を含む油又は溶媒により濡らすことができ、一般的に、前記油又は溶媒は、少なくとも有機殺生剤の一部を含む。別の実施態様において、スラリーは、代わりに又は加えて、それらに結合される有機殺生剤を有する不活性金属酸化物担体微粒子を含む。微粒子は、微粒子の少なくとも一部の少なくとも外側の一部を覆う無機コーティングを有することができる。1つの好ましい実施態様における無機コーティングは、リン酸塩を難溶性銅塩上に吸収させることにより形成されるリン酸銅を含む。
【0187】
スラリー中の微粒子のローディングは、木材中の望ましい銅ローディング、木材の気孔率、及び、木材の乾燥度を含む多様な因子に応じて決まる。スラリー中の銅系微粒子及び/又は他の微粒子の量を計算することは、十分に当業者の技能内にある。一般に、木材中への望ましい銅ローディングは、木材立方フィート当り0.025〜約0.5ポンド間の銅である。
【0188】
好ましい実施態様において、液体担体は、本質的に、水、及び、場合により微粒子分散、pH維持、界面張力(界面活性剤)、及び、抗凝固剤を助ける1つ以上の添加剤からなる。別の実施態様において、担体は、本質的に、水、及び、場合により微粒子分散、pH維持、界面張力(界面活性剤)、抗凝固剤、及び、その中に溶解した有機殺生剤を含有する油の水中油乳化液を助ける1つ以上の添加剤からなる。
【0189】
有利には、液体担体のpHは、約7〜9間、例えば約7.5〜8.5間である。pHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ土類金属、メトキシド、又は水酸化物;あるいは、好ましくないが水酸化アンモニウムにより調整することができる。注入可能スラリーのpHは、一般的に、pH6〜11間、好ましくは7〜10間、例えば7.5〜約9間である。酸性pHスラリーは、本発明のいくつかの難溶性銅塩がより低いpHでより高い溶解度を有するので好ましくない。従って、スラリー調製、スラリー注入、及び水担体除去における遅れは、微粒子からの難溶性材料の望ましくない溶解をもたらすことがある。pHは、アルカリ又はアルキル土類金属酸化物、メトキシド、又は水酸化物、あるいは、好ましくない水酸化アンモニウムにより望ましいpHに調整することができる。アルカリ土類塩基は、二酸化炭素又は炭酸塩が溶液形態で存在する場合、例えば、カルサイトの沈殿の可能性があるので好ましくない。こうした沈殿は、注入との間に木材の望ましくない目詰まりを造りだすことができる。pHを上げるための好ましい成分は、アルカリ水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。pH調整剤は、水酸化物塩少なくとも1つを含む好ましい水溶液の形態で提供することができる。
【0190】
スラリーは、例えば、リン酸又はその塩を約5ppm〜500ppm間のリン酸塩含量を与えるために十分な量で添加することにより、有利に緩衝化される。T別の緩衝剤には、アルカリ重炭酸塩及びアルカリ炭酸塩が挙げられる。可溶性リン酸塩イオンが微粒子からの銅塩の液体担体中への溶解を阻止するので、微粒子がそれらの上に形成されるコーティングを持たない場合に、より高い濃度のリン酸塩が有利であることができる。金属リン酸塩の塩は極めて不溶性であり、例えば、リン酸銅の溶解度積は約1E−37であり、純水中において前記リン酸塩の量は、銅イオン濃度を無視できる量に限定される。リン酸イオンは、従って、銅、亜鉛、スズ、又はそれらの組合せの溶解及び再沈殿を阻止する。例えば、他の粒子による磨耗又は取り扱い中の磨耗による損傷後に、前記リン酸塩によって、存在するリン酸塩系コーティングの修復が可能となる。最終的に、リン酸イオンの存在は、木材からの銅の浸出速度を減速する。他方、リン酸銅の生物活性効果は、酸化銅の効果が低くあるという同じ理由で極めて低い。可溶化銅イオンは生物活性があり、従って配合物の生物活性に寄与すると考えられるが、リン酸銅の溶解度は極めて低い。従って、微粒子上の任意のリン酸銅コーティングが木材中で短寿命であるように薄くあることが望ましい。過剰の可溶性リン酸塩は、リン酸塩コーティングが木材中で容易に分解することを可能とすることができず、これによって微粒子の生物活性が弱められることがある。また、混合タンクが、例えば、可溶性材料の前の注入からの残留塩を有する場合、次に、リン酸塩は望ましくない沈殿物形成をもたらすことができる。この理由により、液体担体中のリン酸塩の濃度は、有利には、1000ppm未満、例えば500ppm未満又は100ppm未満を保持する。
【0191】
1つの実施態様において、スラリーは、50〜800ppm間のスケール沈殿阻害剤1つ以上、特に有機ホスホン酸塩を含む。あるいは又は加えて、スラリーは約50〜2000ppm間のキレート剤1つ以上を含有することができる。これらの添加剤の両方は、カルシウム源がスラリーを作製するために用いられる水からであることが可能である炭酸カルシウムなどの塩の沈殿を阻害することを意味する。好ましい阻害剤には、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、及び/又は2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)が挙げられる。保存剤がスラリー濃縮物形態にある場合、スラリーは、10mモル〜100mモル/L間のHEDP、又は30mモル〜170mモル/L間のPBTC又はDTPMPを含むことが好ましい。阻害剤の混合物は、濃縮物がその中で容易に可溶化することができるよりも多くの阻害剤を有することが可能であるので好ましい。保存剤が固形物形態にある場合、保存剤は、微粒子kg当りHEDP約0.1〜1モル間、又は微粒子kg当りPBTC及び/又はDTPMP約0.17〜約2モル間を含むことが好ましい。
【0192】
本発明の1つの実施態様において、銅系微粒子を含む沈殿物は、カルシウム及びマグネシウム少なくとも1つの沈殿を阻害する材料の存在下で調製される。あるいは、カルシウム及びマグネシウム少なくとも1つの沈殿を阻害する材料は、本発明の銅系粒子を含む混合物に添加される。1つの実施態様において、沈殿阻害剤は、エチレンジアミン−テトラメチレン化合物又はエチレンジアミンテトラセテート化合物などのエチレンジアミン化合物少なくとも1つを有して含むキレート剤である。例えば、エチレンジアミン化合物のホスホン酸又は酢酸の酸を、使用することができる。エチレンジアミン化合物の塩も使用することができる。1つの実施態様において、沈殿阻害剤は少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのホスホン基を含む。沈殿阻害剤は、ホスホン酸又はホスホン酸塩を含むことができる。沈殿阻害剤は、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びアセトジホスホン酸少なくとも1つを含むことができる。適するホスホン酸塩は、ホルムアルデヒド及びアンモニア又はアミンいずれかとの反応により、亜リン酸から合成することができる。本発明の木材保存剤は、エチレンジアミン・テトラ・メチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミン・テトラ・メチレンホスホン酸、ジエチレントリアミン・ペンタ・メチレンホスホン酸、及び1−ヒドロキシ・エタン・ジホスホン酸少なくとも1つを含むことができる。
【0193】
本発明の一部の実施態様において、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物を、例えば、可溶性銅、例えば、銅モノエタノールアミン炭酸塩コンプレックス、銅モノエタノールアミンホウ酸塩コンプレックス、銅アゾールホウ酸塩、又はクエン酸銅を含むこれまで検討された任意の可溶性銅配合物を含む液体担体と併せて使用する。有利には、この可溶性銅材料は、注入可能なスラリーが配合されるまで、本発明の微粒子スラリー又はペーストから離して保持される。前記材料を出荷及び保存用の濃縮スラリー又はペースト中で混合する場合、次に、有利には、微粒子はその上に1つ以上の保護コーティング層を有して微粒子の銅溶解を最小化する。
【0194】
本発明の一部の実施態様において、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物を、可溶性ホウ酸塩1つ以上を含む液体担体と併せて使用する。可溶性ホウ酸塩は、スラリー中に約5ppm〜2000ppmの量で添加することができ、5ppm未満は効果が少なく、2000ppmを超えるとコストが極めて高い。ホウ酸塩は殺菌活性及び難燃活性の両方を有する。
【0195】
本発明の一部の実施態様において、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物は、可溶性クロム酸塩1つ以上を含む液体担体と併せて用いられる。可溶性クロム酸塩は、スラリー中に約5ppm〜2000ppmの量で添加することができ、5ppm未満は効果が少なく、2000ppmを超えるとコストが極めて高い。クロム酸塩は殺菌活性を有し、腐食低減活性をも有することができる。
【0196】
金属充填物の増大腐食は、先行技術CCA配合物に対立するものとして、可溶性銅保存剤を使用する配合物中に観察されてきた。わずかに塩基性のpHを有し、極めて低いアミン含量を有するスラリーは、可溶性銅により見られるものに対して腐食速度を低下させると期待される。腐食を低下させることに役立つことができる追加の処理剤がある。少量の緩衝化リン酸塩の存在は、腐食を更に低下させることができる。オキシ塩化物などの一部の難溶性塩を排除することにより、塩化物を除去し、そして、供給源からの腐食が低下する。最終的に、注入可能微粒子の一部は、還元金属亜鉛又は銅の少なくとも一部を含むことができる。微粒子は、有利には、難溶性通常実質的に結晶性の銅塩を含む注入可能な微粒子に対するのとほぼ同じ大きさに作られる。実際、本発明のスラリーにおいて有用であることに加えて、先行技術の可溶性銅溶液保存剤中に金属銅及び/又は亜鉛微粒子を組み込むことにより、金属金具の腐食をいくらか緩和することができる。金属亜鉛及び銅は実質的に結晶性であるとは考えられず、またそれらは難溶性塩であるとも考えられない。前記耐食性金属微粒子の量は、難溶性銅塩中、銅100部当り約1部〜約25部の範囲にあることができる。
【0197】
空気との接触は、一部の難溶性銅塩、例えば、水酸化銅の酸化を容易にすることができる(特に極めて小さな微粒子形態において、及び酸化銅を形成するために特に被覆されず、及び/又はマグネシウムイオンなどの安定剤を含有しない場合に)。この変換は、一般に、酸化銅が十分な生物活性を持たないことが可能であるような限定された溶解度を有するので好ましくない。濃縮スラリー又はペーストは、1つ以上の酸化防止剤を含むことができる。液体担体中の5ppm〜100ppm間の可溶性亜硫酸塩は、有用な安価な酸化防止剤である。
【0198】
木材保存処理剤が有機殺生剤を含む場合、これらの殺生剤は、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物上に、部分的又は完全に被覆することができる。好ましい保存剤材料は、銅系保存剤に対して耐性があることが可能である生物を阻害する。木材又は木製品保存において有用である殺カビ剤は、また、好ましい有機殺生剤である。代わりに又は加えて、これらの殺生剤は、不活性微粒子担体の利用可能表面積上に部分的又は完全に被覆することができる。殺生剤を乳化液としてスラリーに添加する場合、注入可能なスラリーが配合されるまで本発明の濃縮スラリー又はペーストから離して保持される。
【0199】
スラリーは、有利には、濡れを助けるために1つ以上の添加剤、例えば界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は溶液形態をとることができるか、又は、代わりに表面に結合することができる。表面に結合される場合に、前記界面活性剤は分配剤として機能する。分散剤は、沈殿銅系粒子と組み合わせることができる。あるいは、銅系粒子は、分散剤の存在下で形成することができる。好ましい分散剤は、銅系粒子と相互作用する表面活性部分と、及び銅系粒子の不可逆凝集を阻害するために機能する第2の好ましくは異なる部分とを含む。例えば、ポリアクリレート分散剤は、例えば静電気的に銅系粒子と結合することができるカルボキシル基少なくとも1つと、及び、銅系粒子の恒久的な凝集を阻害するように機能することが可能である第2の疎水性部分とを含むことができる。代表的な分散剤には、界面活性剤、ポリアクリレート、多糖、ポリアスパラギン酸、ポリシロキサン、及び両性イオン化合物少なくとも1つを挙げることができる。分散剤として有用な代表的な化合物は、例えば、それらのすべてが本明細書において参考のため包含される、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Edition,Vol.22(John Wiley & Sons,1983);Napper,Polymeic Stabilization of Colloidal Dispersion(Academic Press,1983);and Rosen,Surfactants & Interfacial Phenomena,2nd edition(John Wiley & Sons,1989)に記載されている。本発明の1つの実施態様において、銅系粒子はポリマーを含むことができる。前記実施態様において、粒子中に存在する銅の粒子中に存在するポリマーに対する重量比は、少なくとも約1対1、例えば少なくとも約2対1、4対1、5対1、7対1、又は少なくとも約10対1であることができる。例えば、粒子中に存在するポリマー重量に対する粒子中に存在する銅重量の比が、少なくとも約2対1である場合、粒子は、ポリマーの少なくとも約2倍重量の銅を含む。本発明の別の観点は、保存剤が、好ましくは、銅系粒子の好ましくは水性懸濁液を含む、木材及び木製品に有用な保存剤に関するものである。分散剤が懸濁液中に存在する場合、懸濁液中に存在する分散剤重量に対する、懸濁液の銅系粒子中に存在する銅重量の比は、少なくとも約1対1、例えば少なくとも約5対1、10対1、15対1、20対1、又は少なくとも約30対1であることができる。
【0200】
1つの実施態様において、分散剤は実質的にリン酸イオンを含まない。例えば、分散剤は、実質的にリン酸3ナトリウムを含まないことができる。分散剤は、実質的にケイ酸塩、炭酸ナトリウム及びアンモニアを含まないことができる。1つ以上の特定分散剤を実質的に含まないとは、銅系粒子に対する1つ以上の分散剤の重量%が3%未満であることを意味する。1つの実施態様において、銅系粒子に対する特定分散剤1つ以上の重量%は、約2%未満、例えば、約1%未満、例えば、約0.5%未満である。1つの実施態様において、分散剤は、リン酸イオン、リン酸3ナトリウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、及びアンモニアの少なくとも1つを含まない。
【0201】
分散剤は微粒子分散を助けて、微粒子の凝集を防止する。サブミクロンサイズされた微粒子は、一段と大きな凝集体を形成する傾向性を有する。本明細書において用いられる凝集体は、多くの場合、ファンデアワールス力又は静電気力により一緒に持ち込まれる複数の類似サイズド粒子の物理的組合せである。類似サイズドとは、凝集体を形成する粒子が、一般に、互いに5倍以内にある直径を有することを意味する。前記凝集体は、本発明の組成物中には望ましくない。凝集体を形成することができる場合、それらは、多くの場合、例えば、スラリーの激しい攪拌の機械的攪拌により、容易には破壊することができない安定な凝集体に熟成することができる。凝集体が簡単には注入可能でないサイズに前記凝集体を成長することができるか、又は凝集体を見ることができるサイズにすることで、それによって望ましくない色を与えることがある。本発明の好ましい実施態様において、スラリー中の実質的に結晶性の銅系微粒子の重量で少なくとも30%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも90%は、単一分配され、例えば、凝集体の形態ではない。微粒子が凝集することを防止するために、濃縮スラリー又はペーストは、陽イオン、陰イオン、及び/又は非イオン性界面活性剤;ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、リスアルビン(lysalbinic)酸、及びでんぷんなどの乳化剤;及び/又はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール及びポリアクリレートを、微粒子の重量基準0.1〜20重量%量で含むことができる。
【0202】
本発明の別の観点は、木材又は木製品用に有用な保存剤に関するものであって、該保存剤は、好ましくは、銅系粒子の好ましくは水性懸濁液を含む。懸濁液は、分散剤の懸濁液安定化量により安定化することができる。好ましい分散剤は、銅系粒子と相互作用する表面活性部分と、銅系粒子の不可逆凝集を阻害するために機能する第2の好ましくは異なる部分とを含む。例えば、ポリアクリレート分散剤は、例えば静電気的に銅系粒子と結合することができるカルボキシル基少なくとも1つと、銅系粒子の恒久的な凝集を阻害するように機能することが可能である第2の疎水性部分とを含むことができる。代表的な分散剤には、界面活性剤、ポリアクリレート、多糖、ポリアスパラギン酸、ポリシロキサン、又は両性イオン化合物の少なくとも1つを挙げることができる。分散剤が懸濁液中に存在する場合、懸濁液中に存在する分散剤重量に対する懸濁液の銅系粒子中に存在する銅重量の比は、少なくとも約1対1、例えば少なくとも約5対1、10対1、15対1、20対1、又は少なくとも約30対1であることができる。
【0203】
前述のスラリー配合物は、それ自体公知の方法、例えば、活性化合物を液体担体と混合し、乳化剤、分散剤及び/又は結合剤又は固定剤、及び他の処理補助剤を含むことにより調製することができる。微粒子は、濃縮スラリー形態、極めて濃縮されたペースト形態、乾燥微粒子として、被覆乾燥微粒子として、ドライ・プレミックスとして、又はそれらの任意の組合せで提供することができる。
【0204】
スラリー濃縮物−−木材保存剤を、濡れた形態で、製造され、保存され、又は輸送する場合、体積及び増大取り扱い費用を最小化するために、濃縮形態をとることが有利である。好ましくは、濃縮スラリー又はペーストは、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物の5%〜80重量%間、例えば、約15%〜約40%間を含み、濃縮スラリー又はペーストの残りは流体担体である。濃縮スラリー又はペーストは、有機殺生剤用の担体である固形微粒子を更に含むことができ、固形微粒子は腐食防止剤として金属銅及び/又は亜鉛、又は両方の1つ以上を含む。流体担体は、有利には、酸化防止剤;界面活性剤;分配剤;他の殺生剤塩及び化合物;キレート剤;腐食防止剤、例えば、リン酸塩又は金属亜鉛又は銅微粒子;pH調整剤及び/又は緩衝剤などを含むスラリー用に検討された1つ以上の添加剤を含む。これら添加剤の濃度は、1つには、スラリー濃縮物が適正な銅ローディングを有する商業的に有用な注入可能スラリーを作製するために、希釈することが期待される程度に応じて決定される。
【0205】
本発明の銅系粒子の水分含量は、例えば、乾燥により減少させることができる。分散剤は、本発明の水分減少粒子の不可逆凝集を阻害するために使用することができる。水分減少粒子は、水との水和又は他の液体との組合せなどにより希釈することができる。一般に、希釈は、水、有利には真水による。
【0206】
本発明の別の観点は、複数の銅系粒子及び、場合により、分散剤を含む凝集体に関する。凝集体は、また、木材又は木製品保存剤機能を提供する銅系粒子に加えて1つ以上の材料を含むことができる。凝集体は、約75重量%未満、例えば、約50%未満、約25%未満、約15%未満、又は約5重量%未満の液体含量(存在することが可能である任意の追加の保存剤材料を除く)を有することができる。液体は水であることができる。凝集体は、希釈し、及び/又は例えば機械的又は超音波的に混合するか又は攪拌することにより、分散することができる。
【0207】
注入可能スラリーそれ自体において、微粒子の粒度分布は、微粒子の約1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満が1ミクロンを超える平均直径を有するようなものである。好ましくは、微粒子の粒度分布は、微粒子の約1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満が約0.6ミクロンを超える平均直径を有するようなものである。微粒子の粒度分布は、微粒子の少なくとも約30重量%が、約0.07ミクロン〜0.5ミクロン間の平均直径を有するようなものである。好ましい実施態様において、微粒子の粒度分布は、微粒子の少なくとも約50重量%が、約0.1ミクロン〜約0.4ミクロン間の平均直径を有するようなものである。
【0208】
濃縮物又はペースト形態での木材保存剤のpHは、一般に、約6〜13間、好ましくは約7〜10.5間、例えば、約7.5〜9.5間にある。pHは、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物、メトキシド、又は水酸化物;あるいは好ましくない水酸化アンモニウムにより、望ましいpHに調整することができる。pHを増大させるための好ましい成分は、例えば、水酸化ナトリウムのアルカリ水酸化物である。濃縮スラリー又はペーストは、有利には、例えば、約10ppm〜1000ppm間のリン酸塩含量を与えるために十分な量のリン酸を添加することにより緩衝化される。
【0209】
木材保存剤が有機殺生剤を含む場合、前記有機殺生剤を、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)銅系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)亜鉛系微粒子、難溶性(及び好ましくは実質的に結晶性の)スズ系微粒子、又はそれらの混合物上に部分的又は完全に被覆することができる。代わりに又は加えて、前記有機殺生剤は、不活性微粒子担体の表面上に部分的又は完全に被覆することができる。有機殺生剤を乳化液としてスラリーに添加しようとする場合、有機殺生剤は、有利には、注入可能なスラリーが配合されるまで、本発明の濃縮スラリー又はペーストから離して保持される。
【0210】
乾燥微粒子及びスラリー用乾燥混合物−−微粒子は、好ましくは、乾燥成分として販売される。乾燥成分は、単に、被覆するか又は被覆しないことが可能である銅系、亜鉛系、及び/又はスズ系微粒子であることができる。被覆する場合、コーティングは無機、有機、又は両方であることができる。微粒子は、有利には、例えば、その上に有機殺生剤を有する不活性微粒子;酸化防止剤;界面活性剤;分配剤;他の殺生剤塩及び化合物;キレート剤;腐食防止剤、例えば、リン酸塩又は金属亜塩又は銅微粒子;pH調整剤;及び/又はカルボン酸塩などの緩衝剤、又はリン酸塩などの無機塩などを含むスラリー中に存在するとして記載されるものなどの1つ以上の添加剤を含む。添加剤は、難溶性銅系微粒子上に被覆することができるか、及び/又は第2の微粒子であることができる。
【0211】
乾燥混合材料は、有利には、上で検討された乾燥微粒子に加えて単一混合物中のすべての必要な成分を有すると共に、各成分は、乾燥混合物が注入可能なスラリーに形成される場合に有用である範囲において存在する。乾燥混合物材料は、場合により、しかし好ましくは、濡れる場合に、複数の微粒子を一緒に顆粒形態で保持するが、しかし、液体担体と混合すると溶解し個々の微粒子を放出する材料である粒状材料を組み込むことができる。顆粒は、粉塵問題及びまた顆粒混合物を測定し取り扱う容易さのせいで、サブミクロンサイズされた微粒子よりも好ましい。顆粒化剤は、単なる可溶性塩、例えば、微粒子材料上に噴霧されるか、さもなければそれと混合されるアルカリ炭酸塩であることができる。スラリーへのいくつかの添加剤は、また、顆粒化剤として使用することができる。
【0212】
本発明の1つの実施態様は、銅含量少なくとも約8重量%を有する乾燥混合物材料に関する。好ましい材料は、顆粒形態をとることが可能である複数の銅系粒子を含む。材料は、顆粒形態などにおいて、木材保存剤としての使用のために調製される場所に出荷することができる。乾燥混合物材料は、湿潤剤、分散剤、その上に有機殺生剤を含む微粒子であることが可能である希釈剤、消泡剤、及び殺生剤機能を有する追加材料少なくとも1つを含むことができる。
【0213】
本発明の1つの実施態様は、銅含量少なくとも約15重量%を有する乾燥混合物材料に関する。好ましい乾燥混合物材料は、顆粒形態をとることが可能である複数の銅系粒子を含む。乾燥混合物材料は、湿潤剤、分散剤、希釈剤、消泡剤、又は殺生剤機能を有する追加の材料の少なくとも1つを含む。1つの実施態様において、乾燥混合物材料は、約50%〜約70%、例えば約58%の水酸化銅又は他の難溶性銅塩、約10%〜約25%、例えば約18%のボレスパース(Borresperse)NAなどの分散剤、約1%〜約8%、例えば、約4%のモルウエット(Morwet)EPなどの湿潤剤、及び約10%〜約30%の充填剤、例えば約20%のダイルエクス(Diluex)Aなどのアタパルガイトクレーを含む顆粒状材料である。
【0214】
1つの実施態様において、乾燥混合物材料は、難溶性銅塩、例えば、水酸化銅約40%〜80重量%、例えば、ボレスパースNAの分散剤約5%〜約30%、例えば、モルウエットEPの湿潤剤約1%〜約10%、及び、追加的にその上に吸収される有機殺生剤を含むことが可能である不活性微粒子充填剤、例えば、ダイルエクスAのアタパルガイトクレー約5%〜約30%を含む顆粒状材料である。1つの実施態様において、乾燥混合物材料は、水酸化銅約58%、ボレスパースNAなどの分散剤約18%、モルウエットEPなどの湿潤剤約4%の、及び、ダイルエクスAなどのアタパルガイトクレー約20%を含む顆粒状材料である。
【0215】
本発明の別の態様は、少なくとも約15%、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30重量%の銅含量を含む乾燥混合物材料に関する。1つの実施態様において、乾燥混合物材料は、約35重量%の銅含量を有することができる。乾燥混合物材料は、約50%未満、例えば、約45%未満、約40重量%未満などの銅含量を有する。乾燥混合物材料は、それぞれが複数の銅系粒子を含む複数の顆粒を含むことができる。銅系粒子は分散剤と結合することができる。
【0216】
1つの実施態様において、乾燥混合物材料は、A)難溶性銅塩、例えば、水酸化銅約30%〜約70重量%、例えば、難溶性銅塩約35%〜約65%、約38%〜約61%、B)少なくとも1つの分散剤、例えば、リグノスルホン酸塩又はポリアクリレート約10%〜約35重量%、約15%〜約30%、C)少なくとも1つの湿潤剤、例えば、界面活性剤、例えばバートン・ソルベンツ(Barton Solvents,Inc.)から市販されているモルウエットEP約2.5%〜約20重量%、約5%〜約15%、D)少なくとも1つの希釈剤、例えば、農産物において用いられるものなどの可溶性及び不溶性希釈剤、例えば、アタパルガイトクレーのクレー、又は有機殺生剤を含む微粒子担体粒子約5%〜約25重量%、約10%〜約20%などの、E)少なくとも1つの消泡剤約0.05%〜約7.5重量%、約0.1%〜約5%などの、及び場合によりF)水約2.5%〜約25%、あるいは約7.5%未満、約5重量%未満を含む。
【0217】
乾燥混合物材料は、顆粒状形態で出荷することができる。本発明の乾燥混合物材料は、公知の保存剤材料に比較して、低減した出荷コスト及び改善された取り扱い易さを提供する。使用者は、複数の銅系粒子を含む流動性を有する材料としての乾燥混合物材料を受け取ることができる。乾燥混合物材料は、例えば、水又は別の液体により希釈することができる。乾燥混合物材料の銅系粒子は、保存剤として木材及び/又は木材材料中に注入することができる。機械的攪拌及び/又は混合は、顆粒を液体中に分散するために使用することができる。材料を分散すると、木材又は木製品は、木材又は木製品を分散材料の存在下で真空及び又は圧力にさらすことなどにより、分散材料によって処理することができる。材料の顆粒を分散すると、好ましくは、約342ppmの硬度を有する標準硬水中においてさえ、好ましくは、追加の攪拌を必要とせずに、分散された銅系粒子は少なくとも約30分間にわたり懸濁されたままで残る。分散されると、分散銅系粒子の約50%は、約1ミクロン未満、例えば、0.5ミクロン未満、約0.25ミクロン未満などの直径を有することができる。1つの実施態様において、約50%の分散銅系粒子は、約0.2ミクロン未満の直径を有し、例えば、約50%の分散銅系粒子は、約0.1ミクロンの直径を有する。
【0218】
銅系材料は、木材保存剤及び/又は殺生剤機能を提供する追加材料を含むことができる。例えば、1つの実施態様において、追加材料は、複数の銅系粒子及び共殺生剤を含む。代表的な共殺生剤は、例えば、1つ以上のトリアゾール化合物、第4級アミン、及びニトロソ−アミンを含むことができる。
【0219】
浸出データ
本発明の1つの目的は、CCAに類似の浸出特性を有する有効な注入可能銅系微粒子保存処理剤を提供することである。分子層として注入されるヒ酸銅(Cu3(AsO42)が保存剤として有効であることは、公知である。従って、微粒子保存剤は、ヒ酸銅処理により提供されるそれにほぼ類似の(例えば、ほぼ3倍の係数内で等しい)銅濃度を提供することが好ましい。一般に、浸出速度試験は高浸出媒体流量を伴うので、浸出媒体は、簡単には難溶性塩を溶解できず、従って、微粒子の測定浸出速度は、より可溶性である塩からの浸出速度と比較すると速度が低いことが期待される。「CCAに類似の浸出速度」とは、時間当りに浸出した銅の%として測定される、AWPA規格E11−97(1997)を用いての浸出速度を意味する。木材中に注入される微粒子阻害剤に対しては、少なくとも300時間持続に延ばされた試験を使用することにより、AWPA規格E11−97(1997)を使用する240時間でのCCA処理木材から浸出した銅の%の、約2倍以上以内、好ましくは約1.5倍以上以内、5倍以下以内、好ましくは約3倍以下以内、さらに好ましくは約2倍以下以内までにある。本発明の別の目的は、14日標準浸出試験において注入される銅の94%を超えて保持する、有効で注入可能な銅系微粒子保存処理剤を提供することである。
【0220】
有利には、銅系微粒子は有効な保存剤である。有効であるために、銅系微粒子は、水で濡れた場合に可溶性銅の少ないがしかし有効な濃度を放出する1つ以上の難溶性銅塩を含む。銅塩が高過ぎる溶解度を有する場合、銅は木材からすばやく浸出し、木材を保護するよりもむしろ環境を汚染する。銅塩が低すぎる溶解度を有する場合、銅塩(及び酸化銅)は生物活性的でない。微粒子中に用いられる難溶性銅塩の溶解速度/浸出速度は、1)浸出媒体中の難溶性銅塩(複数を含む)の溶解度、2)浸出媒体と接触するために利用可能な難溶性銅塩の表面積、3)結晶を溶解するために乗り越えなければならない結晶の格子エネルギー、及び4)木材マトリクス中の浸出媒体の流量特性、特に境界層効果の関数である。それぞれのこれら特性は、すべての流量シナリオにおいて役割を演じるが、しかし、一部はある時間で他よりも支配的になる。主として難溶性塩の溶解度によって、そして、浸出媒体が極めて遅く、例えば、1日当り数ミリメートル未満で動く状況において微粒子から拡散する銅及び対イオンの境界層効果によって、浸出速度が支配されることが考えられる。中間的な浸出媒体流量で、銅の浸出速度が主として利用可能な表面積に応じて決まることが考えられる。一般的に工業的に用いられる標準試験方法において見出されるようなより高い流量では、一層難溶性塩の利用可能な表面積によって、そして、結晶の格子エネルギーによって、浸出速度が支配される。
【0221】
一般に、表面積は重要な因子であると知られている。これは、難溶性銅塩が木材マトリクス内のほぼ点状源として存在するので、浸出媒体が一般的に難溶性銅塩で飽和されるまでの十分な時間にわたり十分な量の微粒子に接触しないという理由による。溶解は、木材内の水のpH及び水中の特定塩の溶解度積のみならず、また動的条件の関数である。銅が微粒子として木材中に存在するので、銅の溶解は、また、粒子の低表面積により限定される。より大きな微粒子は、大抵の浸出状況において、浸出速度を低下させる。より大きな微粒子の溶解は、1つには、利用可能表面積がより大きな微粒子に対してより低いという理由により、より小さな微粒子の溶解がそうであるよりも一層表面積効果に依存する。低流量で、境界層効果は、より低い表面積の効果を増やすことが可能であるが、しかし、一般的な浸出状況で、境界層効果は、木材マトリクスを通して浸出媒体の流れが乱流である場合、最小化することができる。
【0222】
表面積を変更するための最も簡単な方法は、粒径を変えることである。単純化したモデルにおいて、平均粒径を半分下げることは、利用可能な表面積を約2倍に増大させる。微粒子が、多くの難溶性銅塩に対して小さくなり過ぎる場合、例えば、約0.02ミクロン(20ナノメートル)直径未満、又は約10ナノメートル直径未満である場合、浸出媒体が常に難溶性銅塩により飽和される状態に近くあり、利用可能表面積が注入可溶性銅の浸出特性を与える単一層のそれに近いことが考えられる。次に、結晶は、延長時間帯にわたって高浸出状況にさらされる場合、極めて速く溶解することができる。さらに、高浸出媒体流量が木材マトリクスから極めて小さな微粒子を取り外し、そして、除去することが可能であることが考えられる。この理由により、本発明の好ましい実施態様において、少なくとも約30%以上の難溶性塩は、約0.1ミクロンを超える直径を有する微粒子として存在する。
【0223】
一般に、利用可能な表面積は、それらが有機、無機、又は両方である1つ以上のコーティングの存在により更に下げることができる。コーティングは、少なくとも生物活性量の銅が微粒子中の難溶性銅塩から浸出するような被覆率及び効率を有するように設計されなければならない。一部の実施態様において、コーティングは一定時間にわたり溶解し、それによって難溶性銅塩の利用可能な表面積が時間と共に増大することを可能とする。これは、新たに設定される木材が、一般に、生物有機体が木材に侵入するか又は接触するまで(これは通常いくらかの時間を要する)、殺生剤を放出する必要がないので、有利である。
【0224】
難溶性銅塩の溶解度を、溶解度積の値に基づいて推定することができる。しかしながら、木材マトリクス中のリン酸塩などのイオンの存在が溶解度を下げるのに対し、浸出媒体中の酸の存在は、大抵の好ましい難溶性塩の溶解度を大いに増大させる。低流速で、浸出媒体のpHを、水酸化銅及び炭酸銅の溶解によって修正する。水酸化銅の等電点は約pH11であり、水酸化銅を極めて効果的な塩基とする。その他の塩、例えば、リン酸イオンの存在は、可溶性銅を一時的に保持することにより浸出速度を更に妨げることができ、木材マトリクスを通して銅の流量を下げる。しかしながら、標準浸出試験で用いられるなどの高浸出媒体流速において、流速は、水酸化物、及びリン酸塩などの存在が最小化されてしまうようなものである。
【0225】
一般に、木材マトリクス中に配置される難溶性銅塩の微粒子からの銅の浸出速度は、粒径(従って粒度分布)、木材マトリクスを通しての浸出媒体流速、及び多様な他の因子に応じて決まる。本発明の銅系微粒子は、有利には、銅系微粒子が1)粒径の広い分布、2)種々の溶解度の難溶性塩、又は、3)両方、を有するので、比較的高い浸出媒体流速及び比較的低い浸出媒体流速の両方で低浸出速度を有する。
【実施例】
【0226】
種々の難溶性銅塩のサブミクロンサイズされた粒子を含むスラリーをサザンイエローパインの標準立方インチ中にうまく注入した。比色剤(ジチオ−オキサミド/アンモニア)による銅発色は、銅が液材部分中のブロックを横断して完全に浸透することを示した。図3は、第3の画像におけるジチオ−オキサミドにより発色された注入粒子状水酸化銅の浸透を示す。シミは銅に対応する。次の酸浸出及び二つのブロックからの銅の定量分析は、期待値の95%及び104%、又は期待値の本質的に100%の平均ローディングが起こったことを示した。100%ローディングで、1立方フィート当り銅0.22ポンドの値が得られるであろう。
【0227】
先行技術の銅MEA可溶性溶液により、及び本発明の注入水酸化銅微粒子のスラリーから保存される木材からの浸出データを、AWPA規格E11−97に従って測定した。銅−MEA−炭酸塩により保存される木材から浸出した全体銅は、6時間で5.7%、24時間で8.5%、48時間で11%、96時間で22%、144時間で36%、192時間で49%、240時間で62%、288時間で69%、及び336時間で76%である。水酸化銅微粒子から浸出した銅の量は、6時間で0.4%、24時間で0.6%、48時間で0.62%、96時間で1.0%、144時間で1.6%、192時間で2.1%、240時間で3.2%、288時間で3.4%、及び336時間で3.7%であった。
【0228】
木材からの浸出データを、AWPA規格E11−97を用いて、特記のない限り添加銅の3重量%での乳化液としてテブコナゾール(TEB)濃縮物を添加する以下の保存処理剤のために測定した:A)TEB及び注入塩基性炭酸銅微粒子;B)従来のCCA−処理木材(比較として);C)TEB及び銅メタノールアミン炭酸塩(比較として、現在入手可能なウオルマンE処理に近いと考えられる);D)TEB及び重炭酸ナトリウム緩衝液を有する注入塩基性炭酸銅微粒子;E)注入塩基性炭酸銅微粒子;F)TEB及び亜鉛及びマグネシウムにより変性された注入水酸化銅微粒子;G)約5%TEB及びリン酸塩コーティングにより変性された注入水酸化銅微粒子;及びH)TEB及び注入トリ塩基性硫酸銅微粒子;I)TEB及び注入オキシ塩化銅微粒子。種々の微粒子スラリー用の及び二つの比較からの浸出データを図1に示す。
【0229】
基準としてのCCAの銅浸出速度を用い、代表として96及び240時間での全体浸出銅を見て、「全浸出銅対全CCA−浸出銅」により与えられる浸出速度比を以下の表3に示す。
【0230】
表3
【表2】

【0231】
使用した難溶性塩の中で、降順での浸出速度は、銅MEA炭酸塩(比較)≫オキシ塩化銅>トリ塩基性硫酸銅及び/又はリン酸塩を有する水酸化銅>塩基性炭酸銅>Zn及びMgを有する水酸化銅である。オキシ塩化銅の等電点は約5〜5.5であり、トリ塩基性硫酸銅の等電点は約6〜6.5である。これらの材料が極めて弱い塩基であるので、材料からのより高い浸出速度は、より低いpH値で期待されるより高い溶解度に合致する。
【0232】
TEBの存在は、主にTEB部分的被覆微粒子により、約20%分塩基性炭酸銅からの浸出速度を減少させた。
【0233】
緩衝系、重炭酸ナトリウムは、緩衝液なしの保存剤に較べて、約10%分TEB/塩基性炭酸銅からの浸出速度を減少させた。
【0234】
驚くべきことに、水酸化銅中のリン酸塩材料は、いかなる保護値も全く示さないことが明らかになった。この理由は明白でない。マグネシウム及び亜鉛イオンを有する水酸化銅は、最も低い浸出速度を示した。
【0235】
木材を保存する方法
本発明の別の態様は、木材又は木製品中に注入される、銅系粒子及び任意に保存剤機能を有する追加材料1つ以上を含む木材又は木製品に関する。銅系粒子を含む代表的な木材片は、少なくとも約6cm3、例えば、少なくとも約100cm3、少なくとも約1,000cm3などの体積を有する。
【0236】
本発明の材料は、木材用、及びまた木材複合材料用に有用である。好ましい木材複合材料は、結合前に木材粒子と混合するか、又は、好ましくは木材微粒子中に注入し結合前に乾燥するか、いずれかで本発明の保存剤を有する。代表的な木製品には、配向性ストランドボード(OSB)、パーチクルボード(PB)、中密度ファイバーボード(MDF)、合板、単板積層材(LVL)、積層ストランドランバー(LSL)、及び板紙などが挙げられる。
【0237】
1つの実施態様において、木材又は木製品は、表面、厚さ、幅、及び長さを有する。好ましくは、木材又は木製品は、本発明の銅系粒子の均質な分配を含む。1つの実施態様において、木材又は木製品の表面から5cm、及び、好ましくはその内部の全体にわたる銅系微粒子の体積数密度は、表面から約1cmの銅系粒子の体積数密度の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約75%である。
【0238】
本発明による銅系粒子を含む木材又は木製品は、銅系粒子を含む流動性を有する材料の存在下で木材を真空及び/又は圧力下に置くことにより調製することができる。後の真空に続く二酸化炭素の前注入、及び次のスラリーの注入は、木材中にスラリーを注入する好ましい方法である。粒子を含む流動性を有する材料からの木材又は木製品中への粒子注入は、粒子を含まない液体に必要とされるであろうものよりも長い圧力処理を必要とすることができる。例えば、少なくとも約75psi、100psi、又は150psiの圧力は使用することができる。代表的な流動性を有する材料には、銅系粒子を含む液体、銅系粒子を含む乳化液、及び銅系粒子を含むスラリーが挙げられる。
【0239】
表4
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】図1は、種々の微粒子スラリー用の及び二つの比較からの浸出データを
【図2】図2は、製剤化直後の同一の炭酸銅及び炭酸銅標準3ミクロン製品を示す。
【図3】図3は、非処理の木材ブロック薄片化内部切片、注入銅塩微粒子によって0.22ポンド/ft3にて処理された木材ブロック薄片化内部切片、及び、処理され発色された木材ブロック薄片化内部切片を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶性銅塩少なくとも20重量%を含む複数の第一微粒子を含み、98重量%を超える該微粒子が、水中粒子沈降速度により決定される直径として0.5ミクロン未満の直径を有し、そして、該微粒子少なくとも50%が40ナノメートルを超える直径を有する、木材保存剤組成物。
【請求項2】
98重量%を超える第一微粒子が、約0.3ミクロン未満の直径を有し、そして、該微粒子0.5重量%未満が1.5ミクロンを超える直径を有する、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項3】
98重量%を超える第一微粒子が約0.2ミクロン未満の直径を有し、そして、80重量%を超える第一微粒子が0.01ミクロンを超える直径を有する、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項4】
第一微粒子が難溶性銅塩少なくとも50重量%を含み、そして、第一微粒子少なくとも50%が80ナノメートルを超える直径を有する、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項5】
保存剤が、5ナノメートル未満の直径を有する第一微粒子を実質的に含まない、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項6】
微粒子少なくとも99%が、0.35ミクロン未満の直径を有する、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項7】
第一微粒子の重量基準で10%未満のアミンが存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項8】
難溶性銅塩が、ホウ酸銅(II)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項9】
難溶性銅塩が、塩基性炭酸銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項10】
難溶性銅塩が、トリ塩基性硫酸銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項11】
難溶性銅塩が、水酸化銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項12】
難溶性銅塩が、オキシ塩化銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項13】
難溶性銅塩が、アルカリ性硝酸銅を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項14】
難溶性銅塩が、フェリシアン化銅、フェリシアン酸銅、又はそれらの混合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項15】
難溶性銅塩が、銅フルオロシリケートを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項16】
難溶性銅塩が、銅チオシアネートを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項17】
難溶性銅塩が、二リン酸銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項18】
難溶性銅塩が、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、又はそれらの混合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項19】
難溶性銅塩が、炭酸銅、ホウ化銅、炭酸銅(I)、又はリン酸銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項20】
第一微粒子の少なくとも一部が、Cu2Oを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項21】
難溶性銅塩が、実質的に結晶性である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項22】
難溶性銅塩が、水酸化銅/マグネシウムを含み、そして、銅100部あたりマグネシウムが6部と20部との間で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項23】
難溶性銅塩が、水酸化銅/マグネシウム/亜鉛を含み、そして、銅100部あたりマグネシウム及び亜鉛の合計量が6部と20部との間で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項24】
難溶性銅塩が、塩基性炭酸銅/マグネシウムを含み、そして、銅100部あたりマグネシウムが6部と20部との間で存在する請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項25】
難溶性銅塩が、塩基性炭酸銅/マグネシウム/亜鉛を含み、そして、銅100部あたりマグネシウム及び亜鉛の合計量が6部と20部との間で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項26】
難溶性亜鉛塩少なくとも20重量%を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により決定される直径として0.5ミクロン未満の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項27】
難溶性亜鉛塩が、ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛、又はそれらの混合物を含む請求項26に記載の木材保存剤。
【請求項28】
金属銅、金属亜鉛、又はそれらの混合物少なくとも20重量%を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により決定される直径として0.3ミクロン未満の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項29】
難溶性スズ塩少なくとも20重量%を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により測定される直径として0.5ミクロン未満の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項30】
第一微粒子の少なくとも一部が、その上にリン酸銅コーティングを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項31】
有機殺生剤の少なくとも1つを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項32】
有機殺生剤の少なくとも一部が、第一微粒子の上に被覆されている、請求項31に記載の木材保存剤。
【請求項33】
第一微粒子の少なくとも一部が、有機コーティングを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項34】
第一微粒子の少なくとも一部が、その上に付着されている分散剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項35】
第一微粒子が、難溶性銅塩少なくとも50重量%を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項36】
第一微粒子の少なくとも一部が、該微粒子重量基準で0.001%〜0.5%の銀を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項37】
第一微粒子の少なくとも一部が、銅・8−キノリノレートのコーティングを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項38】
第一微粒子が、実質的に結晶性の難溶性銅塩を少なくとも50%含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項39】
有機殺生剤を担持している担体を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により測定される直径として0.3ミクロン未満の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項40】
第一微粒子の少なくとも一部が、その上に配置されている有機コーティングと有機殺生剤とを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項41】
保存剤が、アニオン界面活性剤を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項42】
第一微粒子が、該微粒子重量基準で30ppm未満の鉛を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項43】
酸化銅を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により測定される直径として0.3ミクロン未満の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項44】
酸化銅を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により測定される直径として0.3ミクロン未満の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項45】
第一微粒子が、35重量%未満のポリマーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項46】
第一微粒子が、15重量%未満のポリマーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項47】
第一微粒子がポリマーを含み、ポリマーの銅に対する重量比が約1:1と約1:10との間である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項48】
第一微粒子少なくとも30重量%が、約0.07ミクロンと約0.5ミクロンとの間の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項49】
第一微粒子少なくとも30重量%が、約0.07ミクロンと約0.5ミクロンとの間の直径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項50】
難溶性銅塩が、水酸化銅及び塩基性炭酸銅のうちの少なくとも1つ、並びに、ホウ酸銅を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項51】
難溶性銅塩が、難溶性銅/亜鉛塩を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項52】
ホスホネート系スケール抑制剤を微粒子1kgあたり約0.1モルと約1モルとの間で更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項53】
スケール抑制剤が、ヒドロキシエチリデン−ジホスホン酸を含む、請求項52に記載の木材保存剤。
【請求項54】
湿潤剤を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項55】
殺カビ剤を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項56】
1)難溶性銅塩を含む微粒子であって、該微粒子の少なくとも2重量%が1ミクロンを超える直径を有するものである、該微粒子を提供する工程;及び
2)約0.1mmと約1mmとの間にある直径を有するジルコニウムを含む粉砕媒体によって該微粒子を湿式ミリングする工程、
を含む請求項1に記載の木材保存剤組成物の製造方法。
【請求項57】
粉砕媒体が、約0.3mmと0.7mmとの間にある直径を有する、請求項56に記載の前記方法。
【請求項58】
湿式ミリングに用いる湿潤液又はリンス液が、0.1%ホスフェートと6%ホスフェートとの間のホスフェートを含む、請求項56に記載の前記方法。
【請求項59】
難溶性銅塩を含む微粒子を提供する工程が、次の工程:
銅−アルカノールアミンコンプレックス水溶液を提供する工程;
酸を添加してpHを約4と約7.5との間に調整し、水酸化銅微粒子を提供する工程;及び、
該水酸化銅微粒子を回収する工程、
を含む請求項56に記載の前記方法。
【請求項60】
酸がリン酸を含む請求項59に記載の前記方法。
【請求項61】
難溶性銅塩を含む微粒子を提供する工程が:
銅イオンとマグネシウムイオンの水溶液を提供する工程であって、該溶液が銅22.5重量部あたり約0.2〜約3.5重量部のマグネシウムを含むものである工程;
塩基を添加して組成物のpHを約7より上まで低下させて銅含有微粒子を提供する工程;及び、
該銅含有微粒子を回収する工程、
を含む請求項56に記載の前記方法。
【請求項62】
難溶性銅塩を含む微粒子を提供する工程が:
銅イオン、亜鉛イオン、及びマグネシウムイオンの水溶液を提供する工程であって、該溶液が銅22.5重量部あたり約0.1〜約3重量部の亜鉛と0.25〜約5重量部のマグネシウムとを含むものである工程;
塩基を添加して組成物のpHを約7より上まで低下させて銅含有微粒子を提供する工程;及び、
該銅含有微粒子を回収する工程、
を含む請求項56に記載の前記方法。
【請求項63】
第一微粒子が水性担体に懸濁され、該保存剤が分散剤、抗凝集剤、湿潤剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項64】
水性担体が、1重量%未満のアルカノールアミンと1重量%未満のアンモニアとを含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項65】
水性担体が、懸濁液重量基準で0.1重量%未満のアルカノールアミンと0.1重量%未満のアンモニアを含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項66】
水性担体のpHが、7.5と9.5との間であり、約0.5重量%未満の微粒子が1ミクロンを超える平均直径を有する、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項67】
水性担体が、約5ppmと約500ppmとの間の可溶性ホスフェートを含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項68】
スラリー中の第一微粒子少なくとも60重量%が、単分散である、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項69】
第一微粒子に付着している水不溶性の有機殺生剤を更に含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項70】
腐食抑制剤を更に含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項71】
pH緩衝液を更に含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項72】
スラリーが、約15重量%と40重量%との間の第一微粒子を含む、請求項63に記載の木材保存剤。
【請求項73】
保存剤が、湿潤剤及び分散剤を更に含む乾式混合物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の木材保存剤。
【請求項74】
有機殺生剤を担持している担体を含む複数の第二微粒子を更に含み、98重量%を超える該第二微粒子が水中粒子沈降速度により決定される直径として0.3ミクロン未満の直径を有する、請求項73に記載の木材保存剤。
【請求項75】
造粒剤を更に含み、該保存剤が水分散性の顆粒材料である、請求項73に記載の木材保存剤。
【請求項76】
有機殺生剤を更に含む、請求項75に記載の木材保存剤。
【請求項77】
約50%〜約70%の難溶性銅塩、約10%〜約25%の分散剤、約1〜約8%の湿潤剤、及び、約10%〜約30%の充填剤を含む、請求項75に記載の木材保存剤。
【請求項78】
約40重量%〜約80重量%の難溶性銅塩、約5%〜約30%の分散剤、約1%〜約10%の湿潤剤、及び、約5%〜約30%の不活性微粒子状充填剤を含む、請求項75に記載の木材保存剤。
【請求項79】
不活性微粒子状充填剤が、それと共に担持されている有機殺生剤を更に含む、請求項78に記載の木材保存剤。
【請求項80】
顆粒材料1kgあたり約0.1モル〜約1モルとの間のホスホネート系スケール抑制剤を更に含む、請求項75に記載の木材保存剤。
【請求項81】
スケール抑制剤が、ヒドロキシエチリデン・ジホスホン酸を含む、請求項80に記載の木材保存剤。
【請求項82】
顆粒材料が、
A)約30重量%〜約70重量%の溶けにくい銅塩、
B)約10重量%〜約35重量%の少なくとも一種の分散剤、
C)約2.5重量%と約20重量%との間の少なくとも一種の湿潤剤、
D)約5重量%と約25重量%との間の少なくとも一種の希釈剤、造粒剤、及び/又は不活性微粒子状担体、並びに
E)約0.05重量%と約7.5重量%との間の少なくとも一種の消泡剤、
を含む請求項75に記載の木材保存剤。
【請求項83】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の木材保存剤の水性懸濁液を提供し;
開放多孔性を有する木材を提供し;そして
木材に懸濁液を注入する、
ことを含む木材を保存する方法。
【請求項84】
請求項83の方法により製造される、保存木材。
【請求項85】
難溶性で実質的に結晶性の銅塩少なくとも30重量%を含む複数の第一微粒子を含み、98重量%を超える該第一微粒子が水中での該第一微粒子の沈降速度により決定される直径として0.5ミクロン未満の直径を有し、そして、該第一微粒子の平均直径が約50ナノメートルと約250ナノメートルとの間にある、木材保存剤組成物。
【請求項86】
難溶性亜鉛塩少なくとも20重量%を含む複数の微粒子を含み、98重量%を超える該微粒子が水中粒子沈降速度により決定される直径として0.5ミクロン未満の直径を有し、そして、少なくとも50%が40ナノメートルを超える直径を有する、木材保存剤組成物。
【請求項87】
難溶性銅塩が、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、シアン化亜鉛、二リン酸亜鉛、フッ化亜鉛、フッ化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、又は硫酸亜鉛を含む、請求項86に記載の木材保存剤。
【請求項88】
液体担体と、難溶性銅塩、難溶性亜鉛塩、又はそれらの混合物を含む1つ以上の注入可能な微粒子とを含む木材保存剤を木材に含浸することを含む、木材を保存する方法。
【請求項89】
難溶性銅塩が、実質的に結晶性の銅塩である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
注入可能な微粒子1つ以上が、その上に被覆又は吸収されている1つ以上の有機殺生剤を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
難溶性銅塩が、水酸化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅、オキシ塩化銅、ホウ酸銅、塩基性ホウ酸銅、及びそれらの混合物を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
請求項88〜91のいずれか一項に記載の方法で含浸されている木材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−526139(P2007−526139A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517452(P2006−517452)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/019659
【国際公開番号】WO2005/007368
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(505468325)フィブロ−テック,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】