説明

微細で薄い合成基材をベースとする真珠光沢顔料

本発明は、密度ρを有するほぼ透明な微小板形状の合成基材および密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを含む真珠光沢顔料に関し、その基材は、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料の全鉛含量は、10ppm以下である。本発明はさらに、そのような真珠光沢顔料を製造するための方法に関し、さらにはその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ透明な微小板形状の合成基材をベースとする真珠光沢顔料、その使用および調製、ならびに本発明の真珠光沢顔料を含む、コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
EP 0 723 997 B1には、金属酸化物を用いてコーティングされた、合成的に製造されたフルオロフロゴパイトマイカを含む、真珠様の光沢を有するフレーク状の顔料が記載されている。その合成的に製造されたフルオロフロゴパイトマイカは、1.58の数値を超えない平均屈折率、0.1重量%以下の重量比率の鉄含量、および10以上のパールパラメータ、すなわち比容積(A)×粉体のグロス値(B)を有している。そのような顔料は、黄色の色合いが低く、改良された干渉効果を有していると言われている。
【0003】
二酸化チタンからなる高屈折率コーティングを用いてコーティングされた、透明な微小板形状の基材をベースとする干渉顔料が、EP 1 564 261 A2に記載されている。その微小板形状の基材は、0.02μm〜2μmの間、好ましくは0.1μm〜1μmの間、より好ましくは0.2μm〜0.8μmの間の平均厚みを有している。重ね合わせた、角度依存性の色相を有する強い色彩効果を得るためには、個々の微小板の平均厚みが、15%以下の標準偏差の範囲内に入るようにしなければならない。
【0004】
EP 1 072 651 A1には、0.5μm〜10μm、好ましくは2μm〜8μmの平均粒子サイズを有する薄いフレークをベースとする顔料が記載されているが、それは、最初に球状のSiO粒子を用いてコーティングされ、次いで超微細二酸化チタン粒子を用いてコーティングされている。このタイプの顔料は、そのソフトフォーカス効果を含めた理由から、たとえば化粧料配合物に対する充填材として添加される。SiOおよびTiOの粒子が球状構造であることの結果として、その反射が、実質的に非指向性であり、それは、化粧料用途においては、皮膚の上で、望ましくないホワイトニング効果をもたらす。
【0005】
上述の真珠光沢顔料は、化粧料の顔料着色を含めて実用化されている。その欠点は、この公知の真珠光沢顔料が、十分なソフトフォーカス効果を有していない、すなわち、化粧料の内部で、それが、皮膚における皺や凹凸を十分に隠し、それと同時に望ましくないホワイトニング効果をもたらさないという性能を有していないということである。さらに、標準的な市販の真珠光沢顔料は、無視できない鉛含量を有していて、化粧料配合物においては望ましくない。
【0006】
化粧料配合物中に重金属による汚染があるということは、消費者の利益にとって望ましいものではない。特に、化粧料配合物の中の鉛レベルが高いことは、近年になっては、批判の対象となる。着色添加物は、FDAによってその鉛含量がモニターされていて、20μg/gの限度を超えることは許されない。鉛含量については、他の化粧料構成成分も、製造者の責任の対象となる(Nancy M.Hepp,William R.Mindak,John Cheng,J.Cosmet.Sci.,60,405−414(July/August2009))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、極端に低い全鉛含量の、改良された真珠光沢顔料が必要とされている。皮膚の上での改良されたソフトフォーカス性と快適な感触を有する真珠光沢顔料の提供が特に望まれている。この真珠光沢顔料は、たとえば干渉性、深みのあるグロス、および必要があれば有色性などの通常の真珠光沢顔料の性質に加えて、ソフトフォーカス効果が組み合わさったものであるべきである。
【0008】
最後に、その真珠光沢顔料は、強いヘイズ効果を有する良好な不透明性と同時に、強い干渉色をさらに有しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明がその上に基礎をおく目的は、密度ρを有するほぼ透明な微小板形状の合成基材および密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを含む真珠光沢顔料を提供することによって達成されるが、その基材は、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料の全鉛含量は、10ppm以下である。
【0010】
本発明の真珠光沢顔料の好適な展開法は、従属請求項2〜7に規定されている。
【0011】
本発明がその上に基礎をおく目的は、また、本発明の真珠光沢顔料を製造するための方法によっても達成されるが、その方法には以下の工程が含まれる:
a)ほぼ透明な微小板形状の合成基材を分級して、40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有する基材を得る工程、
b)少なくとも1種の光学活性、好ましくは高屈折率な層を用いてその分級されたほぼ透明な微小板形状の合成基材をコーティングして、2.1μm〜8.6μmの範囲の平均サイズd50を有する真珠光沢顔料を得る工程。
【0012】
さらに、本発明の目的は、塗料、印刷インキ、インクジェットインキ、トナー、化粧料、プラスチック、織物、ガラス、エナメル、グレーズ、またはセラミックにおいて、本発明の真珠光沢顔料を使用することによっても達成される。
【0013】
本発明がその上に基礎をおく目的は、また、本発明の真珠光沢顔料を含むコーティング組成物、より具体的には化粧料製品を提供することによっても達成される。
【0014】
用語の「コーティング」と「層」は、本発明の文脈においては、区別無く使用される。
【0015】
驚くべきことには、ほぼ透明な微小板形状の合成基材をベースとする真珠光沢顔料が、そのサイズのd50値および平均高さhが先に示した数値範囲の中にあれば、皮膚上での良好なソフトフォーカス効果と良好な感触を有することを、本願発明者らは見出した。
【0016】
さらに、本発明の真珠光沢顔料は、非常に小さい直径と非常に小さい基材厚みを有する基材を含む。驚くべきことには、真珠光沢顔料を製造するためにこの基材を使用すると、皮膚上での良好なソフトフォーカス効果と快適な感触を有する真珠光沢顔料が得られるということが判明した。
【0017】
それと同時に、本発明の真珠光沢顔料は、直径が小さいにもかかわらず、強い干渉色を有していて、そのために本発明の真珠光沢顔料は、化粧料を着色させるのに特に適している。
【0018】
本発明の真珠光沢顔料を含む化粧料は、たとえばメイクアップにおいては、均質な外観を付与することを特徴としている。本発明の真珠光沢顔料が透明であるために、マスキング効果なしに自然な外観が皮膚にもたらされる。本発明の真珠光沢顔料の粒子サイズが小さいことによって、望ましくないてかりを防ぐと同時に、不透明性および所望の場合には有色性も得られる。
【0019】
驚くべきことには、本発明の真珠光沢顔料は、化粧料に使用した場合に、真珠光沢顔料の直径がより小さいために素地との接触面積がより小さいにもかかわらず、皮膚、まぶた、髪、まつげ、指の爪および/または足指の爪のような素地に対してより信頼性高く付着するということもまた見出された。
【0020】
素地に対する付着性の文脈におけるこのような驚くべき結果の見地から、より大きい真珠光沢顔料の場合には、顔料がその全面積で素地の上に位置している訳ではなく、そのため、このより大きい真珠光沢顔料の一部が素地の上に突出し、たとえばまばたきや筋肉運動のような機械的な力にさらされたり、たとえば水や汗のような肉体の分泌液といった液体の影響を受けたりすると、より大きい真珠光沢顔料の方が、素地からより容易に剥がれると考えることができる。特に中年または老年の人の皮膚は、相対的に凹凸が大きく、そのような場合には、本発明の真珠光沢顔料は、おそらくは、その全面積で、またはおそらくはより大きな真珠光沢顔料が達成できるであろうよりもより大きい面積の相対的な割合でもって付着できるのであろう。
【0021】
典型的には40μm〜120μmの範囲の厚みを有する髪またはまつげの場合には、本発明の真珠光沢顔料は、髪の湾曲も考慮に入れると、その顔料のほぼ全面積で髪またはまつげに対して位置するものと考えられる。したがって、驚くべきことには、本発明の真珠光沢顔料は、髪およびまつげに対して極めて良好なホールド性を有しているために、髪をすいたり、たとえば風の中で髪が乱れたりしたときにも脱落しない。真珠光沢顔料が脱落するようなことがあれば、それは極めて不都合なことであるが、その理由は、一方では、髪またはまつげが所望の均一な着色を維持できなくなるし、他方では、脱落した真珠光沢顔料がドレスやスーツの肩の部分に堆積して、結果としてそのために生じる視覚的な影響がフケのように見えるからである。
【0022】
本発明においては、光学活性コーティングは、たとえば半透明な金属層を意味している。半透明な金属層の層厚みは、典型的には5nm〜30nmの範囲、好ましくは10nm〜25nmの範囲とする。20nm〜25nmの範囲の層厚みもまた、極めて好適であることが判明した。
【0023】
さらに、本発明においては、光学活性コーティングは、金属酸化物層、好ましくは高屈折率金属酸化物層を意味している。高屈折率金属酸化物層の屈折率は、好ましくは1.8を超え、より好ましくは2.0を超える。2.2を超える屈折率、あるいは2.6を超える屈折率も同様に、極めて好適であることが判明した。高屈折率金属酸化物層の幾何学的層厚みは、好ましくは10nm〜300nmの間の範囲、より好ましくは20nm〜200nmの間の範囲、さらにより好ましくは50nm〜150nmの間の範囲とする。高屈折率金属酸化物に代えて、他の高屈折率物質を使用することも可能であるが、そのような例としては、金属硫化物、金属セレン化物または金属窒化物が挙げられ、その幾何学的層厚みは、高屈折率金属酸化物の場合に特定したような範囲を示すようにするのが好ましい。
【0024】
本発明の一つの極めて好ましい実施態様においては、その光学活性コーティングが、1層(数:1)の高屈折率金属酸化物層である。
【0025】
基材に対して2層以上の高屈折率金属酸化物層を適用してもよいということも考えられるであろう。
【0026】
この変法の場合においては、2層の高屈折率金属酸化物層の間に、屈折率が好ましくは1.8未満、より好ましくは1.6未満の少なくとも1層の低屈折率層を配するのが好ましい。
【0027】
低屈折率層としては、低屈折率金属酸化物層、より具体的には酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムを使用するのが好ましい。
【0028】
使用する低屈折率層は、好ましくは酸化ケイ素の層、好ましくはSiO、酸化アルミニウム、好ましくはAl、AlOOH、酸化ホウ素、好ましくはB、MgFまたはそれらの混合物である。
【0029】
基材は、2.0μm〜8.0μmの範囲、好ましくは2.1μm〜7.0μmの範囲、より好ましくは2.5μm〜6.0μmの範囲、特に好ましくは3.0μm〜5.0μmの範囲の、平均サイズd50を有している。
【0030】
平均サイズd50が8.0μmを超えると、本発明の真珠光沢顔料の有利な性質、たとえばまつげのような丸い表面に対する付着性がもはや認められなくなる。
【0031】
平均サイズd50が2.0μm未満であると、本発明の真珠光沢顔料の有利な性質がもはや認められなくなるが、その理由は、1グラムあたりの粒子の数が増えることによって、非指向性の光散乱の割合が増えて、そのために、望ましくないホワイトニング効果が起きるからである。
【0032】
本発明の文脈においては、平均サイズd50は、レーザー回折法によって得られるタイプの体積平均サイズ分布関数の累積度数分布のd50値を意味している。この場合においては、サイズ分布曲線は、Quantachrome社製の機器(機器名:Cilas1064)を使用して測定するのが好ましい。その場合、散乱光のシグナルが、フラウンホーファー法によって解析される。
【0033】
50値は、その基材または顔料粒子の50%が、特定の値、たとえば6μm以下である直径を有していることを表している。
【0034】
さらに、本発明の真珠光沢顔料の基材は、40nm〜110nmの範囲、好ましくは40nm〜100nmの範囲、より好ましくは40nm〜95nmの範囲、さらにより好ましくは45nm〜94nmの範囲、特に好ましくは50nm〜90nmの範囲の、平均高さ(層厚み)hを有している。
【0035】
層厚みが40nm未満であると、真珠光沢顔料が機械的に脆くなりすぎ、さらに金属または高屈折率金属酸化物とのコーティング時間が、比表面積が極めて高いために長くなりすぎて、経済的に成り立たない。比表面積は、単位重量あたりの表面積を意味している。本発明の真珠光沢顔料の基材の層厚みは極端に薄いので、この基材は、通常の基材に比較して、単位重量あたりの表面積が極めて大きい。
【0036】
層厚みが110nmを超えると、本発明の利点がほとんど存在しなくなる。
【0037】
また別な実施態様においては、本発明の真珠光沢顔料は、その基材の高さhにおいて、25%〜80%、好ましくは30%〜60%、より好ましくは28%〜50%の標準偏差を有している。
【0038】
本発明の一つの好ましい変法においては、その真珠光沢顔料が、5.0μm〜11.0μmの範囲、好ましくは5.1μm〜10.0μmの範囲、より好ましくは5.5μm〜9.0μmの範囲、特に好ましくは6.0μm〜8.5μmの範囲のd90値であるサイズ分布を有している。
【0039】
本発明のさらなる変法においては、その真珠光沢顔料が、2.1μm〜8.6μmの範囲、好ましくは2.2μm〜7.6μmの範囲、より好ましくは2.6μm〜6.6μmの範囲、特に好ましくは3.1μm〜5.6μmの範囲のd50値であるサイズ分布を有している。
【0040】
したがって、本発明の真珠光沢顔料は、極めて小さい平均サイズと極めて薄い平均層厚みを有するほぼ透明な基材をベースとした、極めて微細な真珠光沢顔料の形態にある新しいタイプの真珠光沢顔料を構成する。このタイプの顔料は、面積に対してエッジの割合が高いために、異例の高い散乱光の割合を示す。たとえば、塗料用途においては、このことが高いヘイズ効果を与えることとなる。それにも関わらず、驚くべきことには、散乱効果によって干渉色が通常は邪魔されたり、あるいは強く減衰されたりするという事実がありながらも、本発明の真珠光沢顔料は強い干渉色を示す。
【0041】
本発明の真珠光沢顔料は、好ましくは、高屈折率コーティング、好ましくは密度ρを有する高屈折率金属酸化物層、および/または半透明な金属コーティングの形態にある少なくとも1種の光学活性コーティングを有する。密度ρは、光学活性コーティングの密度を意味している。したがって、金属酸化物層の場合においては、ρはその金属酸化物層の密度であり、そして半透明な金属層の場合においては、ρはその半透明な金属層の密度である。
【0042】
本発明の文脈においては、ほぼ透明な微小板形状の合成基材および半透明な金属層をベースとする顔料は、真珠光沢顔料とも呼ばれる。本発明の真珠光沢顔料は干渉効果を示すのが好ましい。
【0043】
コーティングされる適切なほぼ透明な微小板形状の基材は、非金属の、合成の微小板形状の基材である。その基材は、実質的に透明であるのが好ましい、すなわち、それは、可視光線に対して少なくとも部分的に透過性である。
【0044】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、そのほぼ透明な微小板形状の合成基材は、合成マイカ、SiO微小板、Al微小板、ポリマー微小板、微小板形状のオキシ塩化ビスマス、無機−有機ハイブリッド層を含む微小板形状の基材、およびそれらの混合物からなる群より選択されていてよい。ほぼ透明な微小板形状の合成基材が、合成マイカ、SiO微小板、Al微小板、およびそれらの混合物からなる群より選択されるのが好ましい。ほぼ透明な微小板形状の合成基材が、SiO微小板、Al微小板、およびそれらの混合物からなる群より選択されるのがより好ましい。ほぼ透明な微小板形状の合成基材が、合成マイカ、SiO微小板、およびそれらの混合物からなる群より選択されるのがより好ましい。ほぼ透明な微小板形状の合成基材が、合成マイカ、Al微小板、およびそれらの混合物からなる群より選択されるのがより好ましい。特に好ましいのは、合成マイカである。それに加えて好ましいのは、Al微小板である。同様に好ましいのは、SiO微小板である。
【0045】
たとえば天然マイカのような天然基材とは対照的に、合成基材は、色合いを変化させる可能性を有する外部から入り込んだイオンを実質的に含まない。さらに、その夾雑物の結果として、明度(L値)が顕著に低下する可能性がある。このことは、たとえば、Konica Minolta製のCR310色彩計を使用して、それぞれのパウダーベッド上で散乱測色することによって調べることができる。
【0046】
【表1】

【0047】
また別な実施態様においては、使用されるほぼ透明な微小板形状の合成基材が、90以上、好ましくは92以上、より好ましくは95以上のL値を有していてもよい。
【0048】
さらなる実施態様においては、使用されるほぼ透明な微小板形状の合成基材が、0.2重量%までの鉄含量を有していてもよい。鉄含量は、0.01重量%〜0.2重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜0.19重量%の範囲、より好ましくは0.12重量%〜0.18重量%の範囲に入るようにするのがよい。さらなる実施態様においては、使用されるほぼ透明な微小板形状の合成基材が、0.15重量%〜0.2重量%の鉄含量を有していてもよい。
【0049】
また別な実施態様においては、使用されるほぼ透明な微小板形状の合成基材が、1.55〜1.70の範囲、好ましくは1.58〜1.68の範囲、より好ましくは1.59〜1.65の範囲の屈折率を有していてもよい。
【0050】
一つの好ましい実施態様においては、本発明の真珠光沢顔料は、少なくとも1種の高屈折率コーティングを含む。高屈折率コーティングは、好ましくは2.0を超える屈折率n、より好ましくは2.2を超える屈折率nを有する。
【0051】
その高屈折率コーティングが、金属酸化物層および/または金属水酸化物層および/または金属酸化物水和物層を有しているか、それらであるのが特に好ましい。
【0052】
使用される高屈折率層は、高屈折率金属酸化物、金属水酸化物および/または金属酸化物水和物であるのが好ましい。使用される金属酸化物が、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、およびそれらの混合物からなる群の金属酸化物であるのが好ましい。先に特定した酸化物の代わりにか、またはそれに加えて、対応する金属水酸化物および/または金属酸化物水和物もまた使用することが可能であるとも考えられるであろう。
【0053】
この文脈においては、酸化チタンは、ルチル、アナターゼ、およびブルッカイトからなる群より選択されてよい。酸化チタンは、アナターゼ変態にあるTiOとして存在しているのが好ましい。
【0054】
酸化鉄は、ヘマタイト、ゲータイトおよび/またはマグネタイトからなる群より選択されるのが好ましい。酸化鉄は、Fe(ヘマタイト)および/またはFe(マグネタイト)として存在しているのが好ましい。
【0055】
特に好ましいのは、TiOおよびFe、ならびにそれらの混合物および組合せである。これらの酸化物の混合物においては、TiOは、擬ブルッカイトまたは擬ルチル変態の状態で存在するか、またはそれとは異なってイルメナイトとして存在する。
【0056】
TiOコーティングした顔料によって、シルバーの色合いを与えることが可能となる。これらの顔料は、いわゆる「即時ホワイトニング効果」に極めて有効である。この用語には、より白い外観を皮膚に与える化粧料皮膚配合物が包含される。今日までのところ、この即時ホワイトニング効果を達成するためには、TiO顔料が通常使用されてきた。都合の悪いことには、通常のTiO顔料は、いわゆるマスキング効果を有していることが多い。既存のグロスと特別に細かい画分を組み合わせることによって、本発明の顔料では、より自然な効果が可能となる。
【0057】
高屈折率コーティングとして酸化鉄を使用した場合には、本発明の真珠光沢顔料は、特にヘア配合物において有利に採用することができる。このタイプの顔料は、自然なヘアカラーを維持しながらも、その細かさのために、「フケ」のような挙動はしない。このことは、黒い髪、好ましくはブルネットの髪の場合に特にあてはまる。本発明の「ゴールデン」または「ベージュ」の真珠光沢顔料を含むヘア化粧料製品によって、ブロンドの髪も同様に維持したり、着色を強化させたりすることができる。さらに、レッド、ブルーまたはグリーンに着色された髪もまた、それらに対応する着色された真珠光沢顔料によって、その色を維持することができる。
【0058】
光学活性コーティングまたは光学活性層としては、1層または複数の高屈折率金属酸化物層の代わりにか、またはそれに加えて、1層または複数の半透明な金属層を適用することもまた可能である。半透明な金属層を作るためには、銀、金、アルミニウム、鉄、マグネシウム、クロム、銅、亜鉛、スズ、マンガン、コバルト、チタン、タンタル、モリブデン、ならびにそれらの混合物および合金からなる群より選択される1種または複数の金属を適用するのが好ましい。
【0059】
本発明の一つの好ましい変法においては、その真珠光沢顔料が、TiOの金属酸化物層と合成マイカの基材を有する。
【0060】
TiOと合成マイカの合計重量を基準にした金属酸化物(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのが好ましい:
・30〜80重量%の金属酸化物含量と、20を超え50nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・50〜85重量%の金属酸化物含量と、50を超え75nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・59〜89重量%の金属酸化物含量と、75を超え95nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・66〜92重量%の金属酸化物含量と、95を超え125nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・69〜96重量%の金属酸化物含量と、125を超え215nmまでの平均金属酸化物層厚み。
【0061】
TiOと合成マイカの合計重量を基準にしたTiO含量(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのが特に好ましい:
・35〜62重量%のTiO含量と、20を超え35nmまでの平均TiO層厚み;
・40〜74重量%のTiO含量と、35を超え45nmまでの平均TiO層厚み;
・45〜78重量%のTiO含量と、45を超え55nmまでの平均TiO層厚み;
・50〜82重量%のTiO含量と、55を超え65nmまでの平均TiO層厚み;
・55〜85重量%のTiO含量と、65を超え75nmまでの平均TiO層厚み;
・60〜86.5重量%のTiO含量と、75を超え85nmまでの平均TiO層厚み;
・65〜88重量%のTiOと、85を超え95nmまでの平均TiO層厚み;
・67〜89重量%のTiO含量と、95を超え105nmまでの平均TiO層厚み;
・68〜90重量%のTiO含量と、105を超え115nmまでの平均TiO層厚み;
・69〜91重量%のTiO含量と、115を超え125nmまでの平均TiO層厚み;
・70〜92重量%のTiO含量と、125を超え135nmまでの平均TiO層厚み;
・71〜92.5重量%のTiO含量と、135を超え145nmまでの平均TiO層厚み;
・72〜93重量%のTiO含量と、145を超え155nmまでの平均TiO層厚み;
・73〜93重量%のTiO含量と、155を超え165nmまでの平均TiO層厚み;
・73.5〜93.5重量%のTiO含量と、165を超え175nmまでの平均TiO層厚み;
・74〜94重量%のTiO含量と、175を超え185nmまでの平均TiO層厚み;
・74.5〜94重量%のTiO含量と、185を超え195nmまでの平均TiO層厚み;
・75〜94.5重量%のTiO含量と、195を超え205nmまでの平均TiO層厚み;
・75.5〜95重量%のTiO含量と、205を超え215nmまでの平均TiO層厚み。
【0062】
さらに、TiOと合成マイカの合計重量を基準にしたTiO含量(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのが好ましい:
・47.5〜62重量%の範囲のTiO含量と、20を超え35nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・58〜74重量%の範囲のTiO含量と、35を超え45nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・63〜78重量%の範囲のTiO含量と、45を超え55nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・67〜82重量%の範囲のTiO含量と、55を超え65nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・70〜85重量%の範囲のTiO含量と、65を超え75nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・73.5〜86.5重量%の範囲のTiO含量と、75を超え85nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・75〜88重量%の範囲のTiO含量と、85を超え95nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・76.5〜89重量%の範囲のTiO含量と、95を超え105nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・78.5〜90重量%の範囲のTiO含量と、105を超え115nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・80〜91重量%の範囲のTiO含量と、115を超え125nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・81.5〜92重量%の範囲のTiO含量と、125を超え135nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・83〜92.5重量%の範囲のTiO含量と、135を超え145nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・84〜93重量%の範囲のTiO含量と、145を超え155nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・85〜93重量%の範囲のTiO含量と、155を超え165nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・86〜93.5重量%の範囲のTiO含量と、165を超え175nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・87〜94重量%の範囲のTiO含量と、175を超え185nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・87.5〜94重量%の範囲のTiO含量と、185を超え195nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・88〜94.5重量%の範囲のTiO含量と、195を超え205nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・89〜95重量%の範囲のTiO含量と、205を超え215nmまでの範囲の平均TiO層厚み。
【0063】
さらに好ましい実施態様の場合においては、TiOと合成マイカの合計重量を基準にしたTiO含量(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのが好ましい:
・50.5〜62重量%の範囲のTiO含量と、20を超え35nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・61〜74重量%の範囲のTiO含量と、35を超え45nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・65.5〜78重量%の範囲のTiO含量と、45を超え55nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・69.5〜82重量%の範囲のTiO含量と、55を超え65nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・72.5〜85重量%の範囲のTiO含量と、65を超え75nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・75〜86.5重量%の範囲のTiO含量と、75を超え85nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・77.5〜88重量%の範囲のTiO含量と、85を超え95nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・79〜89重量%の範囲のTiO含量と、95を超え105nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・80.5〜90重量%の範囲のTiO含量と、105を超え115nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・82〜91重量%の範囲のTiO含量と、115を超え125nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・83〜92重量%の範囲のTiO含量と、125を超え135nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・84.5〜92.5重量%の範囲のTiO含量と、135を超え145nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・85.5〜93重量%の範囲のTiO含量と、145を超え155nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・86.5〜93重量%の範囲のTiO含量と、155を超え165nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・87〜93.5重量%の範囲のTiO含量と、165を超え175nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・88〜94重量%の範囲のTiO含量と、175を超え185nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・88.5〜94重量%の範囲のTiO含量と、185を超え195nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・89〜94.5重量%の範囲のTiO含量と、195を超え205nmまでの範囲の平均TiO層厚み;
・89.5〜95重量%の範囲のTiO含量と、205を超え215nmまでの範囲の平均TiO層厚み。
【0064】
TiOと合成マイカの合計重量を基準にしたTiO含量(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのが極めて特に好ましい:
・35〜62重量%のTiO含量と、20を超え35nmまでの平均TiO層厚み;
・40〜74重量%のTiO含量と、35を超え45nmまでの平均TiO層厚み;
・45〜78重量%のTiO含量と、45を超え55nmまでの平均TiO層厚み;
・50〜82重量%のTiO含量と、55を超え65nmまでの平均TiO層厚み;
・55〜85重量%のTiO含量と、65を超え75nmまでの平均TiO層厚み;
・60〜86.5重量%のTiO含量と、75を超え85nmまでの平均TiO層厚み;
・65〜88重量%のTiO含量と、85を超え95nmまでの平均TiO層厚み;
・67〜89重量%のTiO含量と、95を超え105nmまでの平均TiO層厚み;
・68〜90重量%のTiO含量と、105を超え115nmまでの平均TiO層厚み;
・69〜91重量%のTiO含量と、115を超え125nmまでの平均TiO層厚み;
・70〜92重量%のTiO含量と、125を超え135nmまでの平均TiO層厚み;
・71〜92.5重量%のTiO含量と、135を超え145nmまでの平均TiO層厚み。
【0065】
TiOと合成マイカの合計重量を基準にしたTiO含量(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのがより特に好ましい:
・47.5〜62重量%のTiO含量と、20を超え35nmまでの平均TiO層厚み;
・58〜74重量%のTiO含量と、35を超え45nmまでの平均TiO層厚み;
・63〜78重量%のTiO含量と、45を超え55nmまでの平均TiO層厚み;
・67〜82重量%のTiO含量と、55を超え65nmまでの平均TiO層厚み;
・70〜85重量%のTiO含量と、65を超え75nmまでの平均TiO層厚み;
・73.5〜86.5重量%のTiO含量と、75を超え85nmまでの平均TiO層厚み;
・75〜88重量%のTiO含量と、85を超え95nmまでの平均TiO層厚み;
・76.5〜89重量%のTiO含量と、95を超え105nmまでの平均TiO層厚み;
・78.5〜90重量%のTiO含量と、105を超え115nmまでの平均TiO層厚み;
・80〜91重量%のTiO含量と、115を超え125nmまでの平均TiO層厚み;
・81.5〜92重量%のTiO含量と、125を超え135nmまでの平均TiO層厚み;
・83〜92.5重量%のTiO含量と、135を超え145nmまでの平均TiO層厚み。
【0066】
驚くべきことには、合成マイカ基材あたりのTiOの割合と層厚みが上述の関係にあてはまる真珠光沢顔料は、傑出したソフトフォーカス効果を有し、化粧料において使用するのに極めて適しているということを、本発明者らは見出した。この真珠光沢顔料は、構造的には、真珠光沢顔料粒子あたりのTiO含量が極めて高いという特徴を有している。したがって、従来からの真珠光沢顔料粒子と比較すると、合成マイカ基材を基準としたときのTiOの割合が顕著に高くなっている。
【0067】
さらに好ましい実施態様においては、Feと合成マイカの合計重量を基準にしたFe含量(重量%)と、Feコーティングの平均層厚みの間の関係が、以下のようになるのが好ましい:
・47.5〜72.4重量%のFe含量と、35を超え45nmまでの平均Fe層厚み;
・57.5〜82.4重量%のFe含量と、45を超え55nmまでの平均Fe層厚み;
・62.5〜87.4重量%のFe含量と、55を超え65nmまでの平均Fe層厚み。
【0068】
本発明の真珠光沢顔料は、構造的にも、真珠光沢顔料あたりのFe含量が極めて高いことを特徴としている。
【0069】
さらなる実施態様においては、その真珠光沢顔料が、10ppm以下、好ましくは0.0ppmから9ppm以下までの範囲、より好ましくは0.0ppmから8ppm以下までの範囲、さらにより好ましくは0.1ppmから7ppm以下までの範囲、特に好ましくは0.1ppmから6.5ppm以下までの範囲、の全鉛含量を有している。
【0070】
本明細書においては、その鉛含量は、固体グラファイトチューブ原子吸光分析法によって測定している。使用される機器は、好ましくは、SSA600固体サンプラーを備えたZEENIT650(メーカー:Analytik Jena)である。
【0071】
化粧料配合物中に重金属による汚染があるということは、消費者の利益にとって望ましいものではない。特に、化粧料配合物の中の鉛レベルが高いことは、近年になっては、批判の対象となる。着色添加物は、FDAによってその鉛含量がモニターされていて、20μg/gの限度を超えることは許されない。鉛含量については、他の化粧料構成成分も、製造者の責任の対象となる(Nancy M.Hepp,William R.Mindak,John Cheng,J.Cosmet.Sci.,60,405−414(July/August2009))。
【0072】
ソフトフォーカス効果とは、ヒトの皮膚における凹凸や、さらにはコントラストを視覚的に抑制し、皺の部分を見かけ上平坦にするのに好適な粒子の性能を表すために使用される用語である。適切な粒子を化粧料製品の中に組み入れて、たとえば皮膚に対する化粧料層として塗布する。入射光が、化粧料層を通過した後、皮膚の表面に配された粒子との相互作用により拡散的に散乱されたときに、ソフトフォーカス効果が起きる。
【0073】
「カラスの足跡」や皺のような皮膚における欠陥は、それらが背景とコントラストを示したときだけ、目に見える。皮膚の皺が、光トラップのような挙動をし、入射光が皺の中で反射され、この多重反射の結果として、その光がほぼ完全に吸収されてしまうことになる。
【0074】
そのために、皮膚を取り囲んでいる光とは対照的に、観察者には、皺が、暗い非反射領域として認知される。
【0075】
たとえば微細な球体のような高散乱性粒子を使用することによって、光が皮膚に衝突するよりも前に拡散的に散乱され、そのために、その下にある皮膚の欠陥が事実上見えなくなる。
【0076】
しかしながら、自然な外観を得るためには、その粒子は、最大の散乱強度のみならず、高レベルの光透過性も有していなければならない。この効果は、皮膚の自然な色合いが、変化したり隠されたりすることがない、すなわち、観察者には、自然な肌の色が引き続き見えたままになっているということである。
【0077】
ソフトフォーカス効果を得るためには、採用される粒子が、以下の境界条件を満たしていなければならない:
a)最大級の拡散反射
b)最小限の直接反射
c)最大級の透過率。
【0078】
本発明のTiOコーティングされた真珠光沢顔料は、さらに、傑出して安定なUV吸収剤でもある。UV吸収は、UV吸収剤を含む層を通過した結果、光が完全に損失するということを意味している。この光の損失は、全反射に全吸収を加えたものからなっている。
【0079】
TiO層は、公知のように、強いUV反射性があり、そのために、真珠光沢顔料の用途の一つは、UV吸収剤としてのものである。本発明の真珠光沢顔料は、TiO含量が高いために、UV吸収剤には特に適している。さらに、微細な顔料のエッジの割合が高いことが、高いUV吸収効果を与えている可能性がある。
【0080】
本発明の一つの好ましい展開法においては、その真珠光沢顔料が、光学活性層、好ましくは高屈折率層の上に少なくとも1層のさらなる保護層を有している。
【0081】
本明細書における、その少なくとも1層のさらなる保護層は、金属酸化物がSiO、Al、酸化セリウム、それらの混合物および/または組合せからなる群より選択される少なくとも1層の金属酸化物層であってよい。保護層としては、たとえばポリアクリレート層のようなプラスチックコーティングを適用することも可能である。
【0082】
この文脈において特に好ましいのは、SiOの保護層、またはSiOと組み合わせた酸化セリウムの保護層であって、それらはEP 1 727 864 A1およびEP 1 682 622 A1に記載されている。
【0083】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料が包含されるが、その合成マイカは、2.1μm〜7.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜100nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料の全鉛含量は、0.0ppmから9ppm以下までである。
【0084】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料が包含されるが、その合成マイカは、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料は、5.0μm〜11.0μmの範囲のd90値であるサイズ分布を有し、その真珠光沢顔料の全鉛含量は、0.0ppmから9ppm以下までである。
【0085】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料が包含されるが、その合成マイカは、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さh、および90以上のL値を有し、そしてその真珠光沢顔料は、5.0μm〜11.0μmの範囲のd90値であるサイズ分布を有し、その真珠光沢顔料の全鉛含量は、0.0ppmから9ppm以下までである。
【0086】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料を含む化粧料配合物が包含されるが、その合成マイカは、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料の全鉛含量は、0.0ppmから9ppm以下までである。
【0087】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料を含む化粧料配合物が包含されるが、その合成マイカは、2.5μm〜6.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜95nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料の全鉛含量は、0.0ppmから8ppm以下までである。
【0088】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料を含む化粧料配合物が包含されるが、その合成マイカは、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその化粧料配合物全体で15ppm以下の鉛含量を有している。
【0089】
さらなる実施態様においては、本発明には、密度ρを有する合成マイカをベースとし、そして密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを有する真珠光沢顔料を含むインクジェットインキが包含されるが、その合成マイカは、40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料は、5.0μm〜11.0μmの範囲のd90値であるサイズ分布を有している。
【0090】
本発明の真珠光沢顔料を製造するための本発明のプロセスには以下の工程が含まれる:
a)ほぼ透明な微小板形状の合成基材を分級して、40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有する基材を得る工程、
b)少なくとも1種の光学活性、好ましくは高屈折率な層を用いてその分級されたほぼ透明な微小板形状の合成基材をコーティングして、2.1μm〜8.6μmの範囲の平均サイズd50を有する真珠光沢顔料を得る工程。
【0091】
別な方法として、そのほぼ透明な微小板形状の合成基材を、最初に、少なくとも1層の光学活性、好ましくは高屈折率の層を用いてコーティングし、次いでそうして得られた真珠光沢顔料をサイズ分級してもよい。
【0092】
工程b)におけるほぼ透明な微小板形状の合成基材のコーティングは、工程a)におけるサイズ分級の後に実施するのが好ましい。
【0093】
ほぼ透明な、好ましくは透明な、微小板形状の合成基材の分級は、各種の方法により実施してよいが、そのような方法としては、重力沈降、デカンター中での沈降、篩別、サイクロンもしくはハイドロサイクロンの使用、スパイラル分級、またはこれらの方法の2種以上の組合せが挙げられる。たとえば篩別のような方法は、複数の連続工程で使用してもよい。
【0094】
本発明の真珠光沢顔料は、コーティング組成物において使用するのが好ましいが、そのような組成物は、以下のものからなる群より選択されるのが好ましい:塗料、印刷インキ、インクジェットインキ、トナー、化粧料、プラスチック、織物、ガラス、エナメル、およびセラミック。
【0095】
本発明のコーティング組成物は、以下のものからなる群より選択される化粧料であるのが好ましい:コンシーラースティック、ボディパウダー、フェースパウダー、コンパクトパウダーおよびルースパウダー、フェースメイクアップ、パウダークリーム、クリームメイクアップ、エマルションメイクアップ、ワックスメイクアップ、ファウンデーション、ムースメイクアップ、頬紅、アイメイクアップ、たとえばアイシャドー、マスカラ、アイライナー、リキッドタイプアイライナー、アイブローペンシル、リップケアスティック、リップスティック、リップグロス、リップライナー、ヘアスタイリング組成物、たとえばヘアスプレー、ヘアセット製品、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアワックス、ヘアマスカラ、恒久的もしくは半恒久的ヘアカラー、一時的ヘアカラー、スキンケア組成物、たとえばローション、ジェル、エマルション、およびネイルワニス組成物。
【0096】
本発明の真珠光沢顔料は、好ましくはソフトフォーカス顔料として、より具体的には化粧料において使用される。
【0097】
本発明のコーティング組成物は、本発明の真珠光沢顔料の一つを含む化粧料製品であるのが好ましい。本明細書においては、本発明の化粧料製品は、先に特定した化粧料の一つであってよい。
【0098】
また別な実施態様においては、その化粧料配合物には15ppm以下の鉛含量を有していてもよく、好ましくは、その鉛含量が0.0ppm〜13ppmの範囲に入るようにするのがよく、より好ましくは、その鉛含量が1.0ppm〜11ppmの範囲に入るようにするのがよく、そして特に好ましくは、その鉛含量が2.0ppm〜10ppmの範囲に入るようにするのがよい。
【0099】
本発明の真珠光沢顔料は、透明および不透明の、白色、有彩色、および黒色顔料とのブレンド物、ならびにさらなる効果顔料、たとえばメタリック効果顔料とのブレンド物において、有利に使用することも可能である。
【0100】
基材の平均層厚みおよびその分布または標準偏差の測定は、従来技術において公知のように、SEM測定によって行えばよい。この目的のためには、真珠光沢顔料をワニスの中に取り入れ、たとえばスプレー法またはナイフドローダウン法によって基材(たとえば金属またはカード製)に塗布し、硬化させる。次いで、硬化させたワニスの研磨片を取り出し、この研磨片をSEMで調べて、顔料粒子の測定を行う。統計的に信頼できる値を得るためには、少なくとも100個の顔料粒子について計測するべきである。本発明の目的においては、たとえば基材の層厚み、光学活性層の層厚み、金属酸化物コーティングの層厚みまたは半透明な金属層の層厚みの測定は、この方法で実施することができる。
【0101】
この方法を用いる場合、真珠光沢顔料がほとんど面に平行に配向されているということが重要である。このことは、真珠光沢顔料の約90%が、平均的な配向から、±15度以下、好ましくは±10度以下の偏差を有しているということを意味している。
【0102】
ワニス膜中における真珠光沢顔料の配向が不十分である場合には、大きな測定誤差が生じる。この理由の一つは、研磨片の中の真珠光沢顔料が、観察者から見て、方位角αの分だけ傾いているからである。また別な理由は、取り囲んでいるバインダー媒体のために、得られる画像に奥行きの鮮明度がなく、そのためにこの角度を評価することができないからである。したがって、層厚みの画像が、1/cosαの係数だけ拡大されて「見える」のである。角度が相対的に大きくなると、この因子が顕著な誤差の原因となる。したがって、角度αの大きさに依存して、この方法によって求めた層厚みが大きくなりすぎる可能性がある。
【0103】
本発明の目的においては、より正確な結果が得られるように、下記のプロセスに従って、平均基材層厚みhを求めるのが好ましい。そのプロセスにおいては、平均基材厚みは、金属酸化物含量と金属酸化物の層厚みの間の関係から求められる。以下において説明するが、基材がより微細であるほど、そして主としてより薄いほど、より高い比表面積を有している。このより薄い基材をある物質でコーティングする場合には、そのコーティングを所定の層厚みとするためには、(単位重量あたりで)より厚い基材よりも大量の物質でコーティングする必要がある。言い換えれば、真珠光沢顔料全体の中でコーティング物質の量が比率的により高くなる、すなわち、採用した基材の重量を基準にしてより高いコーティング物質含量となる。
【0104】
そのプロセスは、以下のモデルに基づいている:
a)顔料は、均一な半径rおよび均一な高さhを有する円柱(微小板)からなる。したがって、最初から「平均値」を用いて計算を行う。
b)基材の上に堆積するコーティング分子の確率は、いずれの場所でも同程度の高さである。したがって、微小板層厚みは、たとえば縁の部分と面の部分で違いはない。この仮定の結果として、どの部分においても、コーティングは均一な層厚みdを形成している。ここの添字のMは、光学活性コーティング、好ましくは金属酸化物および/または金属を表している。その均一なコーティング厚みは、多数のコーティングされた微小板形状の効果顔料のSEM測定で実際に観察される。
c)Mの二次的な沈降は無視する、別の言い方をすれば、物質Mはすべて、基材の上にコーティングとして適用される。
【0105】
コーティングMの量は次式で定義される。
【0106】
【数1】

【0107】
ここで、mは、コーティングの質量であり、mは、基材の質量である。これらのパラメーターは、密度と体積から表現してもよい。
【0108】
【数2】

【0109】
ここで、ρおよびρは、基材およびコーティングの密度である。基材の体積については、次の簡単な関係があてはまる(円柱の体積)。
【0110】
【数3】

【0111】
コーティング物質の体積Vは、図1に説明したモデルにより計算される。
【0112】
堆積した金属酸化物の体積は、ここでは基本的に、複数の末端面と周辺部に分割され、三つの項で表される(図1参照)。
【0113】
【数4】

【0114】
【数5】

【0115】
ここで、hは基材の平均高さであり、rは基材の平均直径であり、そしてdは金属酸化物の層厚みの幾何学的高さである。
【0116】
これらの式を組み合わせると、最終的には次式が得られる。
【0117】
【数6】

【0118】
次いで、平均基材厚みhについてこの式を解けば、次式が得られる。
【0119】
【数7】

【0120】
本発明の文脈においては、幾何学的層厚みdが40nm〜180nmの場合には、この式によって平均基材厚みhを定義するのが好ましい。層厚みが厚いほど、この式は不正確となるが、その理由は、光学活性コーティング物質の含量が高いと、量cが限界値へと追い込まれるからである。同様にして、層厚みが薄い場合にも、有効な差別化が不可能である。
【0121】
さらなる実施態様においては、真珠光沢顔料の層構造もまた、たとえば研磨片を使用するか、および/またはスパッタープロファイルと組み合わせたESCA(X線光電子分光法)によって解析することができる。幾何学的層厚みdが、上述の40nm〜180nmの範囲の外側にある場合には、上述の研磨片に基づいてその層厚みを測定するのが好ましい。
【0122】
この場合の基材の平均半径は、真珠光沢顔料についてのレーザー回折測定、好ましくはQuantachrome製のCilas1064を使用したレーザー粒度測定によって測定するのが好ましい。その場合には、累積サイズ分布曲線のd50値を採用するが、適用される関係は次式である。
【0123】
【数8】

【0124】
パラメーターcは、分析的な測定によって求める。この場合、微細に分割された顔料物質についてのXFA分析(X線蛍光分析)を実施するのが好ましい。必要があれば、ミルまたは乳鉢で予め顔料粉体を微粉砕して、均一なサンプル物質を調製する。別な方法として、たとえばフッ化水素酸を使用して真珠光沢顔料を溶解させてから、その溶液でXFA分析を実施してもよい。
【0125】
さらに、基材および光学活性物質の分析量は、ICP(誘導結合プラズマ)により求めてもよい。
【0126】
密度については、文献値(Handbook Chemistry and Physics)を使用するのが好ましい。典型的な値の例を以下に示す。
【0127】
【表2】

【0128】
2種以上の高屈折率層のハイブリッド層を使用する場合には、そのコーティングの密度は、分析的に得られた個々の物質の間の重量比を用いて、文献値に重みを付けて計算することができる。
【0129】
金属酸化物の層厚みは、最終的には、たとえば、かつ好ましくは、真珠光沢顔料の色から求めることができる。基準となる、真珠光沢顔料の光学的な品質についての物理式は、次の文献に記載されている:C.Schmidt,M.Fritz“Optical Physics of Synthetic Interference Pigments”Kontakte(Darmstadt)1992(2)pp.15−24。
【0130】
この場合の色は、適切な数学的プログラムによって求めてもよいが、そのようなものとしては、“Filmstar”ソフトウェア(FTG Software Associates,USA製)がある。この場合、光学波長(400〜800nm)の範囲における、光学活性層の光学定数(屈折率n、および場合によっては吸収係数k)を使用する必要がある。通常の物質についてのこの種の値はよく知られている。
【0131】
層厚みは、さらに、公開されている情報から、色を基準にして求めてもよい。たとえば、合成マイカをベースとした、TiOコーティングされた真珠光沢顔料では、次表のような公知の関係が当てはめられる。
【0132】
【表3】

【0133】
大部分の場合において、ほとんど高屈折率コーティングの層厚みだけで色が決まる(F.Hofmeister,Farbe+Lack 95,557(1989))。
【0134】
基材の厚み分布における標準偏差が大きい真珠光沢顔料の場合には特に、その着色は、基材の平均厚みにはほとんど依存せず、それに代えて、高屈折率層の層厚みによってほぼ決まる。
【0135】
基材が、その層厚みと同様に、無視できない程度に干渉色を決めているような場合には、より精密な光学的な計算を採用しなければならない。この場合、基材の層厚みおよび光学活性層、好ましくは高屈折率金属酸化物層の層厚みは、たとえば、真珠光沢顔料の規約反射率スペクトルの極大値および/または極小値の位置から求めてもよい。
【0136】
真珠光沢顔料が2種以上の高屈折率酸化物のハイブリッドコーティングを有しているとしたら、その光学定数は、密度の計算の場合と同様にして、個々の高屈折率酸化物の分析的に得られた重量比で重みを付けることによって、計算することができる。
【0137】
対照的に、真珠光沢顔料が2種の高屈折率酸化物の組合せを有している場合には、やはりモデルを使用することができる。高屈折率金属酸化物を含む第一のコーティングの場合には、式7を直接使用することができる。しかしながら、第二の高屈折率酸化物の計算をする場合には、第一の酸化物の層厚みを考慮に入れなければならない。
【0138】
光学活性層、好ましくは高屈折率金属酸化物層の層厚みは、さらに、真珠光沢顔料の良好に配向された断面でSEM計測を行うことによって求めてもよい。
【0139】
平均基材層厚みを求めるためのその他の方法としては、WO 2004/087816 A2に記載の方法に従って(コーティングされた)真珠光沢顔料の厚みを作り、それを同様にしてSEM測定にかける方法が挙げられる。この場合、有意な統計を得るためには、少なくとも100個の顔料粒子を測定するべきである。次いで、算術平均値を求める。これは、その真珠光沢顔料の平均厚みdtotを表しており、次式であることは言うまでもない。
【0140】
【数9】

【0141】
式(7)から出発し、式9によって、dを消去し、次いでそれを解いてhを得ることができる。この場合、hの高次項を無視し、それにより光学活性層の量cと全顔料の平均層厚みdtotの間の関係から、良好な近似でhを求めることが可能である。
【0142】
平均基材層厚みを求めるための式7に基づく方法は、微小板形状の効果顔料に対して一般的に使用することもできる。この顔料は、微小板形状の基材と、さらにコーティングを有している。この微小板形状の基材には、金属顔料も包含される。
【0143】
本発明によるさらなる実施態様においては、その真珠光沢顔料が、少なくとも1層のさらなる低屈折率層を有している。この層は、基材と高屈折率層の間、あるいは高屈折率層の上に配してよい。
【0144】
以下の実施例によって本発明を説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0145】
実施例1a〜c:(TiOコーティングされた合成マイカ)
実施例1α:合成マイカの分級
1kgの微小板形状の合成マイカの10〜40μm画分(Shantou F.T.Z.Sanbao Pearl Luster Mica Tech Co.,Ltd.China製)を、1000mLのDI水(すなわち、完全脱イオン水)と混合し、次いでAmerican Cyanamid Company製の実験室用エッジランナーミルの中で、約30分間かけて層剥離させた。
【0146】
次いで、DI水を用いて、そうして得られたペーストを10重量%の固形分含量としてから、Pendraulik製のTD200実験室用ディソルバーの中で45分間かけて処理した。この処理の際には、冷却することによって、その懸濁液の温度が80℃を超えないようにした。
【0147】
次いでDI水を用いてそのマイカ懸濁液を希釈して3重量%の固形分含量とし、沈降容器を用いて5時間かけて沈殿させた。その上澄液を吸引により抜き出し、その沈殿物に水を再び混合し、激しく撹拌し、ふたたび5時間かけて沈降させた。目に見える浮遊物が実質的にもはやなくなるまで、この操作を全部で4回繰り返した。
【0148】
その沈降容器は、d=50cm、h=50cmの寸法を有する円筒形状を有していた。
【0149】
その上澄液に由来する微小板形状の合成マイカを大きな容器の中に集め、NaClを添加して沈降を起こさせた。約48時間後に、透明な上澄みの塩溶液を吸引により抜き出し、得られたフィルターケーキを、さらなるコーティングのための出発物質として使用した。
【0150】
このようにして、体積平均粒子サイズ分布でd50=3.4μm(Cilas1064)、および平均厚みh=79nm(SEMから)の極端に微細な微小板形状合成マイカが得られる。
【0151】
実施例1a:干渉、シルバー
100gの実施例1αからの微小板形状の合成マイカ(固形分含量:42.3重量%)を、200mLのDI水中に懸濁させた。希塩酸を計量添加することによってpHを2.2に合わせ、その懸濁液を加熱して80℃とした。次いで、50mLの塩化スズ溶液(c(Sn)=24g/L)を、90分間かけて計量仕込みした。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に導入することによって、pHを2.2に一定に保った。その溶液をさらに撹拌しながらの約1/4時間の中断の後に、希塩酸の計量添加によってそのpHを1.8に調節した。次いで、1リットルあたり150gのTiClおよび50gのHClの溶液2.4Lの添加を開始した。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に導入することによって、pHを一定に保った。
【0152】
その添加が終了すると、シルバーの真珠光沢顔料が得られた。その懸濁液をさらに1時間撹拌し、冷却し、ブフナー漏斗で吸引濾過し、実質的にイオンフリーとなるまでDI水を用いて洗浄した。
【0153】
最後にその真珠光沢顔料を、800℃で20分間かけて焼成した。
【0154】
実施例1b:干渉、レッド
100gの実施例1αからの微小板形状の合成マイカ(固形分含量:42.3重量%)を、200mLのDI水中に懸濁させた。希塩酸を計量添加することによってpHを2.2に合わせ、その懸濁液を加熱して80℃とした。次いで、50mLの塩化スズ溶液(c(Sn)=24g/L)を、90分間かけて計量仕込みした。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に導入することによって、pHを2.2に一定に保った。その溶液をさらに撹拌しながらの約1/4時間の中断の後に、希塩酸の計量添加によってそのpHを1.8に調節した。次いで、1リットルあたり150gのTiClおよび50gのHClの溶液5.6Lの添加を開始した。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に導入することによって、pHを一定に保った。
【0155】
その添加が終了すると、ディープレッドの真珠光沢顔料が得られた。その懸濁液をさらに1時間撹拌し、冷却し、ブフナー漏斗で吸引濾過し、実質的にイオンフリーとなるまでDI水を用いて洗浄した。
【0156】
最後にその真珠光沢顔料を、800℃で20分間かけて焼成した。
【0157】
実施例1c:干渉、ブルー、2次
100gの実施例1αからの微小板形状の合成マイカ(固形分含量:42.3重量%)を、200mLのDI水中に懸濁させた。希塩酸を計量添加することによってpHを2.2に合わせ、その懸濁液を加熱して80℃とした。次いで、50mLの塩化スズ溶液(c(Sn)=24g/L)を、90分間かけて計量仕込みした。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に導入することによって、pHを2.2に一定に保った。その溶液をさらに撹拌しながらの約1/4時間の中断の後に、希塩酸の計量添加によってそのpHを1.8に調節した。次いで、1リットルあたり150gのTiClおよび50gのHClの溶液7.2Lの添加を開始した。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に導入することによって、pHを一定に保った。
【0158】
その添加が終了すると、ディープブルーの真珠光沢顔料が得られた。その懸濁液をさらに1時間撹拌し、冷却し、ブフナー漏斗で吸引濾過し、実質的にイオンフリーとなるまでDI水を用いて洗浄した。
【0159】
最後にその真珠光沢顔料を、800℃で20分間かけて焼成した。
【0160】
比較例1:干渉、シルバー
市販の、TiOコーティングされたシルバーの真珠光沢顔料、SunShine Super White(SunChemical製)
【0161】
実施例2:ブロンズ
100gの実施例1αからの微小板形状の合成マイカ(固形分含量:42.3重量%)を、200mLのDI水中に懸濁させた。希塩酸を計量添加することによってpHを2.9に合わせ、その懸濁液を加熱して75℃とした。次いで、150mL/hの計量注入速度で硫酸鉄溶液を添加したが、その溶液には、100mLの溶液あたり65gのFe(SO・9HOおよび1mLの濃硫酸が含まれていた。15重量%強度のアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を同時に計量添加することによって、pHを3.8に保った。茶色がかった沈殿物として水酸化鉄が得られたので、それを顔料粒子の上に堆積させる。
【0162】
1500mLのFe(SO溶液を添加してから、カバーを破り、次いでその反応温度で1時間撹拌し、冷却し、ブフナー漏斗を用いて吸引し、DI水を用いて洗浄して、実質的にイオンフリーの状態とした。
【0163】
その真珠光沢顔料を、780℃で20分間かけて焼成した。
【0164】
そのようにして得られた真珠光沢顔料は、ブロンズの色特性を有し、良好な光沢と同時に高い散乱密度を有していた。
【0165】
応用例
【0166】
【表4】

【0167】
使用する真珠光沢顔料の量は、0.1重量%〜5.0重量%の範囲で変化させることができる。この変化は、添加する水の量を相応に増減させることにより補償することができる。相Aと相Bを個別に撹拌しながら加熱して80℃とした。次いで、撹拌しながら相Bを水相に徐々に添加した。その混合物を冷却して50℃とし、相Cを添加した。次いで、室温に達するまで撹拌を続けた。
【0168】
【表5】

【0169】
使用する真珠光沢顔料の量は、0.5重量%〜10.0重量%の範囲で変化させることができる。この変化は、添加する水の量を相応に増減させることにより補償することができる。相Aおよび相Bを個別に加熱して80℃とし、その後に相Bを相Aに徐々に添加した。別の容器の中で、相Cの水にKlucelおよびVeegumを撹拌しながら添加した。次いで、相ABを冷却して40℃としたが、冷却手順の間に撹拌しながら相CおよびDを混ぜ込んだ。
【0170】
【表6】

【0171】
使用する真珠光沢顔料の量は、0.1重量%〜8.0重量%の範囲で変化させることができる。この変化は、添加するVersagel ME750の量を相応に増減させることにより補償することができる。
【0172】
相Aを加熱して85℃とし、次いで、相Bの構成成分を個々に相Aに添加し、その混合物を撹拌してその粘稠度が均一になったら、その時点でそれをリップグロス容器の中に充填した。
【0173】
【表7】

【0174】
使用する真珠光沢顔料の量は、5.0重量%〜40.0重量%の範囲で変化させることができる。この変化は、添加するマイカの量を相応に増減させることにより補償することができる。高速ミキサー中、2500rpmで30秒間かけて相Aを混合した。次いで、相Bを添加し、その混合物を、同じミキサー中、3000rpmで60秒間かけて混合した。最後に、アイシャドープレスにより150バールで30秒間かけてその粉体混合物をプレス成形した。
【0175】
【表8】

【0176】
使用する真珠光沢顔料の量は、0.5重量%〜10.0重量%の範囲で変化させることができる。他の顔料を用いて補償することができる;顔料添加レベルは、21重量%に維持しなければならない。相Aを加熱して85℃とし、その後で、相Bを相Aに添加し、混合した。次いで、その混合物を、75℃の温度でリップスティックの型の中に充填した。
【0177】
I.物性解析
Ia 粒子サイズ測定
本発明実施例および比較例の顔料ならびに実施例1αからの合成マイカについて、レーザー回折法(機器名:Cilas1064,Quantachrome製)により、特性解析した。フラウンホーファー法によって、その散乱光シグナルを評価した。
【0178】
この目的のために、約50mLの真珠光沢顔料懸濁液または合成マイカ懸濁液(非揮発性成分含量約35重量%)を、マグネチックスターラーを使用して50mLのイソプロパノールと混合し、次いで、Sonorex IK52超音波バス(Bandelin製)の中で300秒間処理した。次いで測定用の機器の中に2.5mLのサンプルをピペット注入した。
【0179】
体積平均累積度数分布のd50値を表3(第8列)に示す。
【0180】
Ib 基材の平均厚みの測定
平均基材厚みを複数の方法を用いて測定した。その結果を表3に示す。
a)真珠光沢顔料をAutoclear Plus HS 2成分クリアコート(Sikkens GmbH製)の中にスリーブブラシを用いて10重量%の濃度で組み入れ、次いで線巻コーティングバーを用いて塗布し(湿膜厚み26μm)、乾燥させた。24時間の乾燥時間の後、これらのナイフドローダウンから研磨片を調製した。SEMにより、その研磨片の測定を行った。有意な統計を得る目的で、このサンプルそれぞれにおいて、少なくとも100個の顔料粒子について測定した。この場合、基材の層厚みだけではなく、金属酸化物層の層厚みも測定した。
b)WO 2004/087816 A2に記載されている方法により真珠光沢顔料を調製し、SEMにより同様に測定した。その結果を表3の第10列に示す。
c)式7により平均基材高さを計算した。この場合、基材の半径には、体積平均サイズ分布のd50値の半分の値を使用した。
【0181】
TiO、Feおよびさらに基材物質の量は、XFA(X線蛍光分析)により求めた。
【0182】
この目的のために、真珠光沢顔料の粉体をベッドから直接、6μmのポリプロピレンフィルム(Fluxana製)で覆われたサンプル容器に導入し、この容器からの測定を行った。使用した測定機器は、Thermo ARL製のAdvant−X機器であった。
【0183】
式1に従った金属酸化物含量は、金属酸化物および基材を基準とした重量%として、表3の第4列に示す。
【0184】
最後に、TiOおよびFeの層厚みも測定する必要があった。この場合、その作業のために使用する因子は、顔料の色と、それらについて文献に公表されている一般的な層厚みであった。これらの酸化物の層厚みは、nmの単位で、表3の第6列に示す。
【0185】
式7によって計算した数値は、nmの単位で、表3の第9列に示している。
【0186】
【表9】

【0187】
層厚みの測定の結果
酸化物含量および酸化物の層厚みから式7により計算された値では、良好な一致が見出されたが、その平均層厚みは、垂直に配向させたマイカの粉体の評価(第10列)、およびナイフドローダウン中のマイカの評価に従って見出されたものである。
【0188】
これらの知見から、式1〜7のモデルに矛盾がないこと、ならびにこの方法による平均層厚みの測定の信頼性が示唆される。
【0189】
研磨片からのマイカの平均層厚みの測定(第11列)は、垂直に配向させた粉体についての測定値に比較して、系統的により高い値を示している。このことは、恐らくは、実質的に、その研磨片法の顔料が、ワニスの中でいくぶん異なった微小板の配向をとっているという事実のためである。
【0190】
真珠光沢顔料の研磨片からの平均層厚みhの測定(第12列)そのものが、さらにより高い数値を与える。
【0191】
したがって、本発明の文脈においては、光学活性層の幾何学的層厚みが40nm〜180nmであるときには、平均基材層厚みを式7から確かめるのが好ましい。
【0192】
II 試験:
IIa 角度依存性明度の測定
反射性散乱光フラクションを特性解析する目的で、通常使用されるニトロセルロースワニス(Dr.Renger Erco Bronzemischlack 2615e;Morton製)の中に、真珠光沢顔料を、顔料添加量が6重量%(ウェットワニスの全重量を基準にして)のレベルで、撹拌しながら組み入れた。真珠光沢顔料を導入し、次いでブラシを用いてワニスの中に分散させた。
【0193】
完成したワニスを、ナイフドローダウン装置(線巻コーティングバー)で、湿膜厚み50μmでByk Gardner製の#2853テストチャート(コントラストペーパー)に塗布した。
【0194】
MA68II多角度色彩計(X−Rite製)を使用して、一定の入射角45度(メーカーの取扱説明書による)および観察角110度(反射角に対して)で、L値を測定した。
【0195】
反射が強いサンプル(理想的な鏡面の場合)は、実質的に全部の入射光を、反射角と呼ばれる角度で反射する。したがって、測定の際に反射角からの距離が遠いほど、測定可能な光、従って明度(L)は低くなる。コーティング産業においては、メタリック顔料を用いて好適に起きるこの効果を、明度フロップ性と呼んでいる。
【0196】
散乱性の強いサンプルでは、事情が異なってくる。この場合、入射光は、理想的には均一に、すべての角度に反射される。したがって、反射角からはるかに離れた測定角であってさえも、少なくない明度の値が依然として検出できる筈である。ここでの特性解析にとりわけ適しているのは、110度の角度である。
【0197】
IIb グロスの測定:
それぞれのサンプルの散乱性は、グロスを測定することによってもさらに特性解析することができる。グロスは、直接反射の目安である。そのため、散乱性が強いサンプルは、低いグロス値を有する筈である。IIaからのニトロセルロースワニス塗布物を、Byk Gardner製のMicro−Tri−Glossグロスメーターを使用して、黒色の背景に対して測定角60度での測定にかけた。
【0198】
IIc 不透明性
本発明および比較例の真珠光沢顔料を、IIaのようにして、Byk Gardner製の#2853テストチャート(コントラストペーパー)の上に異なった濃度で塗布し、その不透明性を視覚的に比較した。この不透明性は、以下の評点に基づいて評価した。
1=極めて不良
2=不良
3=中程度
4=良好
5=極めて良好
【0199】
IId 鉛含量の測定
鉛含量は、固体グラファイトチューブ原子吸光分析法により求めた。使用した機器は、SSA600固体サンプラーを備えたZEENIT650(メーカー:Analytik Jena)であった。本発明の真珠光沢顔料の鉛含量は、表4に見ることができる。
【0200】
【表10】

【0201】
本発明の真珠光沢顔料は、従来技術による比較例よりも、一貫して良好な不透明性を有している。
【0202】
さらに、本発明実施例の真珠光沢顔料は、対応する色合いの比較例よりも低いグロス値を示している。この場合、直接反射が明らかに少ない。このことは、ソフトフォーカス効果のために極めて望ましい。
【0203】
同様にして、本発明実施例の場合のL110゜値は、対応する比較例の場合よりも実質的に高い。その測定結果は、本発明実施例が明らかにより高い散乱光フラクションを有しているということを示している。
【0204】
このことは恐らくは、粒子サイズが小さく、基材の層厚みが薄いことが原因であろう。合成マイカの粒子サイズが小さいということは、エッジの割合が増すことと協調し、そのため散乱性が高くなることと密接な関係がある。基材の層厚みが薄いということは、今度は同じ層厚みではTiO含量が実質的に高いことにつながる。高屈折率のTiOは一般的には完全に平坦な層にはならず、常にある程度の粒子サイズ分布を有する。この酸化物粒子は、常に、ある程度の散乱を起こさせる。本発明によるサンプルの散乱光フラクションが高いのは、この効果もその原因となっていると考えられる。
【0205】
さらに、本発明の真珠光沢顔料は、比較例1よりも顕著に低い鉛含量を有している。
【0206】
IIe ソフトフォーカス効果の測定
この目的のために、通常使用されるニトロセルロースワニス(Dr.Renger Erco Bronzemischlack 2615e;Morton製)の中に、真珠光沢顔料を、顔料添加量が2.5重量%(ウェットワニスの全重量を基準にして)のレベルで、撹拌しながら組み入れた。この場合、真珠光沢顔料を導入し、次いでブラシを用いてワニスの中に分散させた。
【0207】
完成したワニスを、市販の機械的ナイフドローダウン装置(線巻コーティングバー)で、湿膜厚み50μmで市販の透明なPETフィルム、たとえばHostophanに塗布した。
【0208】
このようにしてコーティングされたフィルムを全透過度およびヘイズの測定にかけたが、それにはByk Gardner製のHaze−gard plusを使用した。ヘイズは、広角散乱と呼ばれているものの産物である(ASTM D1003によれば、ヘイズとは、入射光線から、平均して2.5度を超えて外れている光の量であり、%の単位で測定する)。
【0209】
その測定原理は図2で表すことができる。
【0210】
光束がサンプルに衝突して、積分球の中に入る。確実に光を均一に分散させるために、球の内壁面には艶消しの白色コーティングがある。球の中の検出器が、球の出口を閉じた状態で全透過度を、球の出口を開いた状態でヘイズを測定する。
【0211】
直接反射を測定する目的で、それぞれの膜のグロスを、Byk Gardener製のMicro−Gloss機器を使用し、60度の角度で求めた。
【0212】
【表11】

【0213】
表5の測定値から、本発明の真珠光沢顔料が高い透過性を有していることがわかる。しかしながら同時に、これらの真珠光沢顔料は、極めて高い散乱光フラクション(ヘイズ)も有している。
【0214】
諸性質の組合せによって、本発明の真珠光沢顔料は、その応用におけるソフトフォーカス効果を達成するための重要な要件を満たしている。
【0215】
さらに、特許請求されている真珠光沢顔料は、市販のソフトフォーカス粒子とは対照的に、ソフトフォーカス顔料の性質と真珠光沢顔料の性質(干渉色合い、サテングロス)を組み合わせており、しかも同時に鉛含量が低い。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】コーティング物質の体積Vを計算するためのモデル
【図2】ヘイズの測定原理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度ρを有するほぼ透明な微小板形状の合成基材および密度ρを有する少なくとも1種の光学活性コーティングを含む真珠光沢顔料であって、
基材が、2.0μm〜8.0μmの範囲の平均サイズd50および40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有し、そしてその真珠光沢顔料の全鉛含量が、10ppm以下であることを特徴とする、
真珠光沢顔料。
【請求項2】
真珠光沢顔料が、5.0μm〜11.0μmの範囲のd90値であるサイズ分布を有することを特徴とする、請求項1に記載の真珠光沢顔料。
【請求項3】
光学活性コーティングが、高屈折率コーティングであり、好ましくは2.0を超える屈折率nを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の真珠光沢顔料。
【請求項4】
光学活性層が、金属酸化物層および/または金属水酸化物層および/または金属酸化物水和物層を有しているか、それらであることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の真珠光沢顔料。
【請求項5】
平均基材高さhが、次式によって求められることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の真珠光沢顔料。
【数1】

[前提条件:光学活性層の平均幾何学的層厚みdが、40nm〜180nmであり、
=d50/2が、レーザー回折法により求められた基材の平均半径であり、
ρが、基材の密度であり、ρが、光学活性コーティングの密度であり、そしてcが、基材および光学活性コーティングの合計重量を基準にし、分析的測定によって求めた、光学活性コーティングの重量分率(単位、%)である。]
【請求項6】
金属酸化物層が、好ましくはほとんどアナターゼ変態にあるTiOからなり、基材が、合成マイカからなり、TiOと合成マイカの合計重量を基準にしたTiO含量(重量%)と、TiOコーティングの平均層厚みの間の関係が、好ましくは次の関係にあることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の真珠光沢顔料。
・30〜80重量%の金属酸化物含量と、20を超え50nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・50〜85重量%の金属酸化物含量と、50を超え75nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・59〜89重量%の金属酸化物含量と、75を超え95nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・66〜92重量%の金属酸化物含量と、95を超え125nmまでの平均金属酸化物層厚み;
・69〜96重量%の金属酸化物含量と、125を超え215nmまでの平均金属酸化物層厚み
【請求項7】
透明な微小板形状の合成基材が、合成マイカ、SiO微小板、Al微小板、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の真珠光沢顔料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の真珠光沢顔料を製造するための方法であって、
方法が、以下の工程を含むことを特徴とする、方法。
a)ほぼ透明な微小板形状の合成基材を分級して、40nm〜110nmの範囲の平均高さhを有する基材を得る工程;
b)少なくとも1種の光学活性、好ましくは高屈折率な層を用いてその分級されたほぼ透明な微小板形状の合成基材をコーティングして、2.1μm〜8.6μmの範囲の平均サイズd50を有する真珠光沢顔料を得る工程
【請求項9】
塗料、印刷インキ、インクジェットインキ、トナー、化粧料、プラスチック、織物、ガラス、エナメル、グレーズ、またはセラミックにおける、請求項1〜7のいずれかに記載の真珠光沢顔料の一つの使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の真珠光沢顔料の一つを含む、コーティング組成物、より具体的には化粧料製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507494(P2013−507494A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533522(P2012−533522)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006237
【国際公開番号】WO2011/045030
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(502099902)エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (48)
【氏名又は名称原語表記】Eckart GmbH
【Fターム(参考)】