説明

微細な模様を有するローラーの製造方法

【課題】ローラーの寿命を延ばし、その表面に高精度の模様を形成する。
【解決手段】精密な模様を有するローラーの製造方法は、ローラー表面上にセラミック層を鋳造するステップと、前記ローラーの表面を研削及び研磨するステップと、レーザーでローラー表面に模様を形成するステップと、ローラー表面を洗浄するステップとを含む。したがって、このようにして製造されたローラーは、従来の鋳造方法よりも精密な模様を有する。このロ−ラーの表面はスチールよりも優れた耐浸食性を有するので、前記ローラーは、より長い寿命を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラー、特に、微細な模様を有するローラーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
模様を有するローラーは、様々な技術分野で応用されている。例えば、そのようなローラーは、レーザー・ホログラム・ラベルの作成や、偽造防止ラベル、あるいは液晶ディスプレー(LCD)の製造に使用されるアニロックス・ローラーに模様を転写するために使用することができる。通常、ローラーは所望の模様を形成され、その模様を対象物に転写する。模様が形成されたローラーを製造する際には、スチール・ローラーの表面を先ず研削して、表面を滑らかにする。次にローラーの表面を研磨して鏡面にする。その後、鋳型を使用してローラーの表面に所望の模様を鋳造する。最後に、その後の製造物の品質を確保するため、ローラーの表面を洗浄する。
【0003】
前記スチール・ローラーの材質と鋳造の限界のため、ローラーには螺旋状または四角形の模様しか形成できない。このように作成された模様のうち最も精密なものでも、現代のLCD製作の要件を満たすことはできない。その上、スチール・ローラーは浸食に対する抵抗が比較的弱い。そのため、その模様は長時間の使用後にはしばしば変形する。したがって、前記ローラーの寿命は比較的短い。
【0004】
この欠点を克服するため、本発明は前記諸問題を緩和もしくは回避するような微細な模様を形成したローラーの製造方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ローラーの寿命を延ばし、その表面に高精度の模様を形成することである。この方法によると、ローラーの浸食による損傷を防止するため、ローラーの表面にセラミック層を形成する。次にレーザーを使用して、セラミック層に高精度の模様を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、前記開示されたローラーの製造方法は、スチール・ローラーの表面をくもらせるステップと、セラミック層を形成するステップと、ローラーの表面を研削するステップと、ローラーの表面を研磨するステップと、レーザーを使用してローラーに模様を形成するステップと、ローラーの表面を洗浄するステップとを含む。
【発明の効果】
【0007】
前記の方法では、レーザーを使用してセラミック層の表面に模様を形成する。そのため、模様は従来の鋳造方法よりよい精度を有する。その上、本発明では先ずローラーにセラミック層を形成するので、従来の方法と比較して耐浸食性に優れ、よりすぐれた耐浸食性を有する。
【0008】
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、添付の図面を参照する下記の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1を参照するに、本発明による方法は、下記のステップを含む。
ローラーの表面をくもらせること100、ローラーの表面にセラミック層を形成すること101、ローラーの表面を研削すること102、ローラーの表面を研磨すること103、レーザーをもちいてローラーの表面に模様を形成すること104、さらにローラーの表面を研磨する105こと、及びローラーの表面を洗浄すること106。
【0010】
ローラーの表面をくもらせるステップ100を示す図2を参照するに、ローラーの表面はくもらされているので、粗く、鏡面ではない。くもらせる工程は、サンド・ブラスター20を使用して達成される。圧縮空気は磨き砂を押して金属ローラー10の表面に当て、くもった表面をその上に形成する。
【0011】
ローラー表面へのセラミック層形成101を示す図3を参照するに、ローラー10はプラズマ・スプレー・コーター30に取り付けられている。プラズマ・スプレー被覆技術は、補助ボンド層をローラー10上に鋳造するために使用される。次にセラミック粒子が前記補助ボンド層に溶射される。補助ボンド層は、70乃至80%のニッケル、20−30%のWC-Co、Cr3C2、CrC2―NiCr及びCrからなる。CrCがレーザーで容易に切断されるため、セラミック粒子は、セラミック粒子は95%のCrCからなる。セラミック粒子の残部5%は、セラミック層の耐浸食性を高めレーザーカットの容易さを高めるために、Al2O3、TiO2、 ZrO2、及びY2Oを含む。溶射被覆工程の間、補助ボンド層は火炎プラズマの高温で溶融される。補助ボンド層は、このようにして均等にローラー10に被覆される。溶着された補助ボンド層は、ローラー10に被覆されると硬化する。ローラー10のくもった表面のため、補助ボンド層はローラーの表面に密着する。セラミック粒子は、補助ボンド層と同様にして補助ボンド層にスプレーコートされる。セラミック粒子とスチールとはうまく結合しない。したがって、補助ボンド層を備える目的は、ローラーの表面へのセラミック層の結合力を高めるためである。
【0012】
ローラー表面の研削102を示す図4を参照するに、セラミック層で被覆されたローラー10の表面を滑らかにするため、ローラー10は研削機40の上に配置されている。
【0013】
ローラー表面の研磨103を示す図5を参照するに、研磨機50を使用してローラーの表面を更に研磨し鏡面にする。この実施例では、研磨機50はダイアモンド製の研磨ベルト51を使用している。ダイアモンドは極めて硬いので、セラミック層をこれで研磨すれば、非常に滑らかな表面になる。例えば、研磨されたローラーの表面は0.1ミクロンに達することができる。
【0014】
レーザー使用によるローラーへの模様形成104を示す図6を参照するに、数個のレーザー・ダイオードを備えたレーザー彫刻機60が使用されている。レーザー・ダイオードにより発生されたレーザー光線は収束される。放射されたレーザーは、1060乃至10600ナノメートルの波長と、数百ワットの出力とを有する。さらに図7及び図8を参照するに、レーザー光線が、ローラー10表面上のセラミック層の一箇所に当たると、セラミック層のその箇所は高温で溶融され、凹所11を形成する。その箇所周辺の溶融したセラミックは、凹所11の境界の方へ押されて盛り上がり、模様の単位を形成する。
【0015】
この実施例では、ローラー10は、LCDの製作に使用されるアニロックス・ローラーである。レーザーヘッド61を移動させるレーザー彫刻機60を制御することにより、レーザー光線はローラー10に水平に当たり、複数の凹所11を形成する。これはローラー10に形成された模様において、1インチあたりの線数(LPI)をも制御する。各凹所11は、模様の前列における2つの隣接する凹所11の間の位置に対応する。したがって、隣接する凹所11の境界は、相互に押し合い、1本の線を形成する。その結果、レーザー光線が露出を終えた後、各凹所11の左、右、左上、右上、左下、右下の角は、隣接する凹所11を押して、6角形を形成する。密接につながった6角形はハニカム状の模様を形成する。
【0016】
さらに、レーザーの波長と出力を制御することにより、凹所11の深さと幅も正確に制御される。例えば、300LPIのローラー及び凹所が、76乃至80ミクロンの幅と、18乃至30ミクロンの深さと、隣接する凹所まで5乃至9ミクロンの距離を持つ場合、転写された配列フィルムの厚さは、1200乃至1800オングストローム(Å)である。500LPIのローラー及び凹所が43乃至47ミクロンの幅と、11乃至16ミクロンの深さと、隣接する凹所まで4乃至8ミクロンの距離を持つ場合、転写された配列フィルムの厚さは500乃至900オングストローム(Å)である。したがって、異なる大きさのLCDの製造方法と応用には、異なる密度、大きさ及び深さのメッシュ模様111を使用することができるが、凹所11にはセラミック層の変形によるセラミック粉末が残る。
【0017】
ローラーの表面の研磨ステップ105は、ローラーの表面を研磨するステップ103と同様に行われる。しかし、このステップの目的は、レーザー彫刻後に、平坦でないセラミックの表面をさらに研磨することである。
【0018】
ローラーの表面洗浄106を示す図9を参照するに、二酸化炭素洗浄機70が使用されている。二酸化炭素洗浄機70の一方のノズル71は、ローラー表面を指向し、高圧二酸化炭素を噴射する。噴出された二酸化炭素は瞬間に固化し、凹所11に残留するセラミック粉末に作用する。セラミック粉末は、このため凹所11を離れる。この瞬間、二酸化炭素も固体から気体に変化する。そのため、ローラー10には残留物がなくなる。その結果、図10に示すように精密模様を有するローラーが完成する。
【0019】
要約すれば、上記の方法で準備されたローラーは、その表面にセラミック層を有する。これにより、ローラーの耐浸食性が高くなるので、その寿命が延びる。ダイアモンドが取り付けられた研磨ベルトを使用すれば、ローラー表面は研磨されて非常に滑らかになり、プリント成果を増進する。その上、レーザー光線の波長と出力とを制御することが可能なレーザー彫刻機を使用して、所望の模様をローラーの表面に形成することができる。模様の深さと幅も制御できる。最後に、高圧二酸化炭素を使用してローラー表面を洗浄することができる。ローラー表面には、二酸化炭素も残屑も残らないから、優れた洗浄効果を発揮する。
【0020】
本発明の特徴と利点を構造と機能の詳細と共に述べたが、この開示は一例であって、細部特に部品の形状、大きさ、配置については本発明の原理内で、添付の請求項の用語の広義の一般的な意味で示される限度まで変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る、精密模様を有するローラーの製造方法のフローチャート。
【図2】本発明に係る、ローラーの表面をくもらせるステップを示す図。
【図3】本発明に係る、ローラーの表面にセラミック層を形成するステップを示す図。
【図4】本発明に係る、ローラーの表面を研削するステップを示す図。
【図5】本発明に係る、ローラーの表面を研磨するステップを示す図。
【図6】本発明に係る、レーザーを使用してローラーの表面に模様を形成するステップを示す図。
【図7】レーザーを使用した模様を有するローラー表面上のセラミック層の断面側面図である。
【図8】本発明の好ましい実施例に係る模様付きローラーの頂面図である。
【図9】本発明に係るローラー表面の洗浄ステップを示す。
【図10】本発明により製造されたローラーの斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ローラー
20 サンド・ブラスター
40 研削機
50 研磨機
60 レーザー彫刻機
70 二酸化炭素洗浄機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンドブラスト技術によりローラー表面をくもらせるステップと、ローラー表面にセラミック層を形成するステップと、ローラー表面を研削するステップと、ローラー表面を研磨するステップと、レーザーを使用してローラー表面に模様を形成するステップと、ローラー表面を洗浄するステップとを含む、精密模様を有するローラーの製造方法。
【請求項2】
セラミック層を鋳造する前に補助ボンドをローラー表面に被覆するステップを含み、前記ローラー表面上にセラミック層を形成するステップは、ローラー表面にセラミック粒子を鋳造するプラズマ・スプレー被覆技術により行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ローラー表面上に模様を形成するステップは、レーザー彫刻機を使用して行う、請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−25198(P2010−25198A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186038(P2008−186038)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(508167759)
【Fターム(参考)】