説明

微細スラッジ脱液装置

【課題】 微細スラッジを固形物と液体とに分離する処理能率の高い微細スラッジ脱液装置を提供する。
【解決手段】 円筒状金型14内にて微細スラッジ18を圧縮するプレス受部材60は、その上ブロック70を貫通する貫通穴68と、その受け面74において断面が環状の排出穴76を形成するようにその貫通穴68内に着脱可能に挿入されたピン72をそれぞれ備えていることから、微細スラッジ18内の工作液が1本で多数本の細径排出穴として機能する円環状の排出穴76を通して外部に導出されるので、微細スラッジ18がブリケット87と工作液とに効率よく分離される。また、上記貫通穴68内に設けられたピン72は着脱可能に挿入されていることから、たとえ円環状の排出穴76が詰まったとしても、そのピン72を取り外すことによって貫通穴68の内周面とピン72の外周面とを簡単に清掃できるので、微細スラッジ脱液装置10の処理能率が高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り型内において一対の挟圧部材を用いて濾紙を介して微細スラッジを圧縮することにより微細スラッジを固形物と液体とに分離する微細スラッジ脱液装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、研削装置或いは研磨装置から排出されるスラッジは、被削材から発生する金属粉および研削液を含む泥状の流動体であり、そのまま廃棄されると環境汚染を引き起こすため、再利用可能な金属粉固形分と研削液とに分離することが望まれる。
【0003】
このため、特許文献1に記載された自動分離装置が提案されている。これによれば、円筒状金型の側面に設けられた充填穴を通してスラッジが円筒状金型内に充填され、その円筒状金型内の内部空間内では一対のプランジャが互いに接近させられることにより、上記充填穴が一方のプランジャにより閉じられるとともに一対のプランジャにより挟まれた状態でスラッジが圧縮されることにより固形物と液体とが分離される。このように分離されると、ブリケットと称される分離された固形物と絞り油とは、金属材料および研削油などとしてそれぞれ再利用される。
【特許文献1】特開2003−290988号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、円筒状の金型とそれに突き入れられるプランジャとの間の僅かな隙間から液体が流出させられる型式であることから、たとえば50μm以上の比較的大きい金属粒子を含むスラッジに対しては好適な分離性能が得られるが、たとえば50μm以下の微細粒子を含む微細スラッジに対しては、円筒状金型とそれに突き入れられるプランジャとの間の僅かな隙間から流出させられる液体内に微細粒子が混入するため、分離性能が十分に得られなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、微細粒子を液から好適に分離するために、絞り型内で濾紙を介して圧縮することにより微細スラッジを固形物と液体とに分離する微細スラッジ脱液装置が考えられる(未公知)。しかしながら、このような微細スラッジ脱液装置では、円筒状金型内において濾紙を介して微細スラッジを圧縮する一対の挟圧部材は液を導出するための穴のない平坦な端面で押圧するものであるため、押圧時間を長くしないと微細スラッジがブロック状に固化されず、処理能率が得られないという問題があった。また、この処理能率を高めるために、上記一対の挟圧部材の押圧端面に開口する複数の細孔を設けることが考えられるが、その細孔の詰まりが頻繁に発生し易く、その細孔の詰まりを解消するための作業が煩雑であり、微細スラッジ脱液装置の処理能率を低下させる一因となっていた。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、微細スラッジを固形物と液体とに分離する処理能率の高い微細スラッジ脱液装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、絞り型内において一対の挟圧部材を用いて濾紙を介して微細スラッジを圧縮することにより微細スラッジを固形物と液体とに分離する微細スラッジ脱液装置であって、(a) 前記一対の挟圧部材のうちの少なくとも一方は、押圧方向において貫通する貫通穴と、(b) その貫通穴の径よりも小さい外径を有し、押圧面において環状の穴を形成するようにその貫通穴内に着脱可能に挿入された軸状部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、(a) 前記絞り型を保持する型保持部材とその絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持しその型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置を含み、(b) 前記プレス受部材は、前記一対の挟圧部材のうちの一方として機能するものであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、(a) 前記絞り型内に押し込まれて前記微細スラッジを圧縮するパンチを含み、(b) そのパンチは、前記一対の挟圧部材のうちの他方として機能するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明の微細スラッジ脱液装置によれば、(a) 前記絞り型を保持する型保持部材とその絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持しその型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置と、(b) その型保持装置を案内する案内装置を備え、その型保持装置に保持された前記絞り型を、前記濾紙が挿入される濾紙挿入位置、前記微細スラッジが投入されるスラッジ投入位置、前記微細スラッジを圧縮し且つ圧縮されたブリケットを排出する圧縮排出位置へ移送する型移送装置とが、含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の微細スラッジ脱液装置によれば、絞り型内において濾紙を介して微細スラッジを圧縮する一対の挟圧部材のうちの少なくとも一方は、押圧方向において貫通する貫通穴と、その貫通穴の径よりも小さい外径を有し、押圧面において断面環状の穴を形成するようにその貫通穴内に着脱可能に挿入された軸状部材とを備えていることから、微細スラッジ内の液体が挟圧部材の押圧面に設けられて1本で多数本の細径の排出穴として機能する断面が環状の穴を通して外部に導出されるので、微細スラッジが好適に固形物と液体とに好適に分離される。また、その押圧面において断面が環状の穴を形成するように貫通穴内に設けられた軸状部材は着脱可能に挿入されていることから、たとえその環状の穴が詰まったとしても、その軸状部材を取り外すことによって貫通穴の内周面と軸状部材の外周面とを簡単且つ容易に清掃できるので、微細スラッジ脱液装置の処理能率が好適に高められる。
【0012】
請求項2に係る発明の微細スラッジ脱液装置によれば、前記絞り型を保持する型保持部材とその絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持しその型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置が含まれ、前記プレス受部材は、前記一対の挟圧部材のうちの一方として機能するものであることから、絞り型に対してスラッジ投入、微細スラッジの圧縮、圧縮されたブリケットの排出が自動的に行われることができる。
【0013】
請求項3に係る発明の微細スラッジ脱液装置によれば、前記絞り型内に押し込まれて前記微細スラッジを圧縮するパンチが含まれ、そのパンチは、前記一対の挟圧部材のうちの他方として機能するものであることから、圧縮時において、微細スラッジ内の液体がパンチの押圧面に設けられた断面が環状の穴を通して外部に導出されるので、一層能率よく脱液が行われる利点がある。
【0014】
請求項4に係る発明の微細スラッジ脱液装置によれば、(a) 前記絞り型を保持する型保持部材とその絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持しその型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置と、(b) その型保持装置を案内する案内装置を備え、その型保持装置に保持された前記絞り型を、前記濾紙が挿入される濾紙挿入位置、前記微細スラッジが投入されるスラッジ投入位置、前記微細スラッジを圧縮し且つ圧縮されたブリケットを排出する圧縮排出位置へ移送する型移送装置とが、含まれることから、自動的に、絞り型内へ濾紙が挿入され、その絞り型内へ微細スラッジが投入され、さらにその絞り型内の微細スラッジの上へ濾紙が挿入され、絞り型内の微細スラッジが圧縮され且つ圧縮されたブリケットが排出される。
【0015】
ここで、好適には、前記微細スラッジ脱液装置は、(a) 前記絞り型内に挿入するための濾紙を積み重ねた状態で収容する濾紙収容容器と、(b) その濾紙収容容器内において積み重ねられた濾紙を一枚ずつ吸着して、所定の位置に位置する前記絞り型内に挿入する吸盤を備えた濾紙挿入装置とを、含み、(c) 前記濾紙のうち前記吸盤に吸着される部分は他の部分に比較して通気性が低下させられている。このようにすれば、吸盤に吸着される部分は他の部分に比較して通気性が低く、容易に負圧が発生させられるとともに、積み重ねられた他の濾紙をも吸引することがなくなり、1枚ずつ確実に安定して絞り型内に挿入されるので、自動的に能率よく微細スラッジの脱液が行われる。
【0016】
また、好適には、前記絞り型内の空間の横断面は円形であり、前記濾紙は、その絞り型内の空間の横断面の径以上の径寸法を有する円形であるとともに、非通気性のシートが中央部に接着されているものである。このようにすれば、濾紙の中央部が簡単且つ容易に非通気性とされる利点がある。
【0017】
また、好適には、前記微細スラッジ脱液装置は、(a) 前記絞り型を保持する型保持部材とその絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持しその型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置と、(b) その型保持装置を案内する案内装置を備え、その型保持装置に保持された前記絞り型を、前記濾紙が挿入される濾紙挿入位置、前記微細スラッジが投入されるスラッジ投入位置、前記微細スラッジを圧縮し且つ圧縮されたブリケットを排出する圧縮排出位置へ搬送する型搬送装置と、(c) 前記案内装置により案内される案内範囲の端部に設けられたストッパと、(d) 上記型搬送装置により、前記型保持装置の移動部材を前記ストッパに当てることによりその移動部材をその型保持部材に保持された絞り型の下端を閉じていたプレス受部材とともにその型保持装置の型保持部材に対して相対移動させて、その絞り型の下端を開口させる搬送制御装置とを、含むことから、絞り型に対して、濾紙の自動挿入、スラッジ投入、微細スラッジの圧縮、圧縮されたブリケットの排出が自動的に行われることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例の微細スラッジ脱液装置10を示す正面図であり、図2は、その側方から見た図1のII−II視断面図である。ホーニング盤、超仕上盤、ラップ盤などにおいて工具と切り屑との間の潤滑、切り屑の除去、目詰まりの抑制等のために用いられる工作液には、たとえば50μm以下の切り屑を主体とする微細粒子が含まれており、浄化装置によって除去されたることにより循環させられて再利用される。このため、その浄化装置からは、上記微細粒子を含む微細スラッジが排出される。たとえば上記ホーニング盤に用いられる工作液から除去された微細スラッジは、ホーニングスラッジとして知られている。上記工作液は加工液或いは研削液として知られており、油性或いは水性のものが市販されている。
【0020】
一般の研削盤の工作液から除去された研削スラッジに含まれる粒子が50μmよりも大きいために、特許文献1に記載された自動分離装置のように、円筒状金型の側面に設けられた充填穴を通してスラッジが円筒状金型内に充填され、その円筒状金型内の内部空間内では一対のプランジャが互いに接近させられることにより、上記充填穴が一方のプランジャにより閉じられるとともに一対のプランジャにより挟まれた状態でスラッジが圧縮されることにより固形物と液体とを分離することができるが、上記のような微細スラッジは、50μm以下の微細な金属粒子を含むことから、特許文献1に記載されたような自動分離装置では、分離性能が十分に得られなかった。上記微細スラッジ脱液装置10は、このような微細スラッジを絞り型として機能する円筒状金型14内で濾紙16を介して圧縮することにより切り屑と工作液とに分離処理して再利用可能な状態とし、廃棄物を可及的に減少させるためのものである。
【0021】
上記微細スラッジ脱液装置10は、微細スラッジ自動処理装置としても機能するものであり、図1に示されるように、基台12と、その基台12上に取り付けられ、内径が60mm程度で上下方向に貫通する貫通穴13を有する円筒状金型14を濾紙16が挿入される濾紙挿入位置P1、微細スラッジ18が投入されるスラッジ投入位置P2、微細スラッジ18を圧縮し且つ圧縮されて固形化されたブリケット87を排出する圧縮排出位置P3などへそれぞれ移送するための型移送装置20と、押圧装置28の側面に固定され、上記濾紙挿入位置P1に位置する円筒状金型14内に濾紙16を供給するための濾紙挿入装置22と、上記基台12上に取り付けられ、上記スラッジ投入位置P2に位置する円筒状金型14内に微細スラッジ18を供給するための微細スラッジ供給装置24と、上記圧縮排出位置P3に位置する円筒状金型14内に挿入されるパンチ26を備えて前記基台12上に立設され、その圧縮排出位置P3に位置する円筒状金型14内の微細スラッジを圧縮し且つ圧縮されたブリケット87を排出するために押圧装置28と、予め設定された所定の手順に従って微細スラッジ18の処理を自動的に実行させるように上記型移送装置20、濾紙挿入装置22、微細スラッジ供給装置24、および押圧装置28を制御するための電子制御装置30とを備えている。
【0022】
上記型移送装置20は、基台12上に立設された互いに平行な一対の側板32および34と、それら側板32および34の間に互いに平行であって水平な型移送方向Aに平行に且つ水平に掛け渡されてそれら側板32および34に固定された一対の案内ロッド36および38と、それら案内ロッド36および38と平行に且つそれらの間に位置した状態で側板32および34により回転可能に支持され、一方の側板32に設けられたパルスモータ或いはサーボモータ等の電動モータ40によって回転駆動されるボールねじ42と、上記一対の案内ロッド36および38に水平な1直線に沿って案内されるとともにそのボールねじ42に螺合され、前記円筒状金型14をその軸心が鉛直方向すなわち水平面に対して垂直方向となるように保持する型保持装置44とを備え、型保持装置44に保持された円筒状金型14を濾紙挿入位置P1、スラッジ投入位置P2、圧縮排出位置P3に択一的に位置決めする。これら濾紙挿入位置P1、スラッジ投入位置P2、圧縮排出位置P3は、型移送装置20による移送方向における位置を示している。上記一対の側板32および34とそれらに掛け渡された一対の案内ロッド36および38とが、円筒状金型14を一方向に案内する案内装置として機能している。
【0023】
図3および図4に示すように、上記型保持装置44は、案内溝46を下部に有し、一対の案内ロッド36および38が貫通させられるとともに前記ボールねじ42が螺合された状態で貫通させられた保持装置本体48と、円筒状金型14が嵌め入れられる段付の取付穴50とその取付穴50内の円筒状金型14を押すことによってそれを固定する固定ねじ52と円筒状金型14からあふれ出した工作液を導くために電動モータ40側へ向かって低くなるように一方向へ傾斜した上端面54と、前方へ向かって突き出しかつ案内ロッド36および38と平行な水平方向に伸びる突条56とを有して円筒状金型14を保持する型保持部材58と、円筒状金型14と同心位置においてその円筒状金型14の下端面のたとえば60mmφ程度の開口を閉じるためのプレス受部材60を支持して上記案内溝46によって案内ロッド36および38と平行な方向に案内され、上記型保持部材58に対して相対移動可能に設けられた移動部材62とを備えている。上記円筒状金型14の下端面とプレス受部材60との間は0.1〜0.3程度mmの僅かな隙間が設けられ、それらの間が相対移動可能且つプレス時に液密とされている。なお、移動部材62には、保持装置本体48に螺着されたスプリングプランジャ78によって一定の摺動抵抗が与えられており、強制的に相対移動させない限り円筒状金型14とプレス受部材60との間で相対的なずれが発生しないようにされている。
【0024】
上記移動部材62に支持されたプレス受部材60は、一面に開口する傾斜溝64を有する短い角柱状の下ブロック66と、この下ブロック66の上端面に図示しないボルトによって着脱可能に固定され、本実施例では5個であるたとえば10mmφ程度の複数の貫通穴68が形成された矩形厚板状の上ブロック70と、貫通穴68の内径よりもたとえば1mm程度小さい9mmφ程度の径を有して上ブロック70の上面と面一(同一高さ)となる高さで上記下ブロック66に着脱可能に立設された円柱状のピン72とを備えており、上記上ブロック70の上面であって円筒状金型14内の成形空間の底面に対応する面すなわち円筒状金型14内の微細スラッジ18を受ける受け面74には、微細スラッジ18から絞り出された工作液を円筒状金型14内から外部へ導き出すために、上記貫通穴68の内径を外径とし且つ上記ピン72の外径を内径とする環状(リング状)の開口を有し且つ上記傾斜溝64に連通する5個の断面が環状の排出穴76が設けられている。この排出穴76は、断面が円環状であるために流通断面積で言うと1本で多数本の細径の排出穴と同等に機能する。上記上ブロック70は図示しないボルトによって下ブロック66に対して着脱可能に固定されており、上記ピン72は下ブロック66に着脱可能に立設されているため、1mmφ以下の細径の排出穴の詰まりを清掃する場合に比較して、製造する穴排出穴76の詰まりが短時間で簡単且つ容易に清掃可能である。
【0025】
また、上記移動部材62には、上記プレス受部材60を囲み且つボールねじ42から離隔する方向すなわち前方へ向かうほど低くなる受樋80と、下方に向かって突き出し、前記圧縮排出位置P3において基台12に固定された受板82から上向きに突設された上向突起84と0.1乃至0.3mm程度の僅かな隙間を隔てて対向させられる下向突起86と、移動部材62の側板34側に固定されて、微細スラッジ18が圧縮され固化されて円筒状金型14の下端面の開口から突き出されるブリケット87を装置前方へ案内するための傾斜した樋であるブリケットシュート88と、保持装置本体48の側板32側および側板34に択一的に当接して上記移動部材62を円筒状金型14の真下の同心位置に位置させるとともに上記ブリケットシュート88を円筒状金型14の真下の同心位置に位置させるための一対のストッパ90、92とが備えられている。上記一対のストッパ90、92の間隔は、上記保持装置本体48の移動方向の幅寸法の約2倍程度に設定されている。
【0026】
前記図1および図2に示すように、前記基台12には、濾紙挿入装置22および押圧装置28を支持するための支柱94が立設されているとともに、濾紙16を重ねた状態で収容する円筒状の濾紙収容容器96を載置する容器受台98が設けられている。濾紙挿入装置22は、図5および図6にも示すように、先端(下端)部にゴム製で弾性変形可能な円錐形状の吸盤100が設けられたロッド102を有する上下シリンダ104と、支柱94から突き出すブラケット106に固定され、型移送装置20の水平面内において型移送方向Aに直交する方向Bに沿ってその上下シリンダ104を水平移動させる移動装置108とを備え、吸盤100を上下移動および水平移動させることによって、図7に示すように、上記濾紙収容容器96に収容された濾紙16を濾紙挿入位置P1に位置決めされた円筒状金型14内に1枚ずつ挿入する。上記移動装置108は、案内装置およびアクチュエータを備えた複合型シリンダから構成されているものであり、たとえばメカジョイント式ロッドレスシリンダとも称されている。
【0027】
上記吸盤100は、図示しない管路を通して供給される負圧を用いて濾紙16を吸着するものである。この濾紙16は、微細スラッジ18から切粉或いは研削屑のような50μm以下の粒子と工作液とを分離するためのものであり、たとえば天然繊維或いは合成樹脂製の繊維がシート状に漉かれることにより構成された紙、天然繊維或いは合成繊維が接着剤により層状に固定された不織布や薄いフェルト、撚糸が編まれた織布等のような、50μm以下の粒子の移動を阻止するが通液性のよい材料で構成される。このため、何らの工夫がなければ、吸盤100が負圧を用いて濾紙を吸着しようとすると不安定となり易く、吸着を安定化するために負圧を大きくすると、複数枚の濾紙を吸着する傾向となり、微細スラッジ処理を自動化するための大きな障害となっていた。このため、本実施例の濾紙16は濾紙16吸盤に吸着される中央部分が他の部分に比較して通気性が低下させられている。
【0028】
上記濾紙16は、たとえば図8および図9に示すように、円筒状金型14内の成形空間の円形横断面の径すなわち円筒状金型14の貫通穴13の径よりも僅かに大きい径寸法たとえば65mmφ程度の径を有する円形を成し、その中央部において他の領域よりも非通気性領域或いは難通気性領域を形成するために、紙、金属箔、合成樹脂シート、複合シート等の非通気性材料或いは難通気性材料から成り且つ一面に接着剤が塗布された、円筒状金型14内の成形空間の径或いは濾紙16の外径の1/3程度の径を有する円形の非通気性シート110が接着されている。図10は、吸盤100に吸着された濾紙16が円筒状金型14の上端面の開口縁に設けられた濾紙16と同径で軸心方向に僅かに浅く彫り込まれた位置決め段部112内に嵌め入れられて位置決めされた状態を示している。濾紙16が円筒状金型14内の底面に供給される場合はこのまま吸盤100が下降させられるが、濾紙16が円筒状金型14内の微細スラッジ18の上に供給される場合は、この状態で次の押圧工程が開始される。
【0029】
前記微細スラッジ供給装置24は、投入された微細スラッジ18を収容するホッパ120と、図示しない駆動モータによって円筒内で回転駆動されるスクリューを備えてそのホッパ120内の微細スラッジ18を搬送し、スラッジ投入位置P2に位置決めされた円筒状金型14内へ下向きの開口を有する先端部122からその微細スラッジ18を投下させるスクリューコンベア124とを備え、駆動モータの駆動時間が制御されることによって予め設定された量の微細スラッジ18を円筒状金型14内へ供給する。図11は、円筒状金型14が電動モータ40に駆動されることによってスラッジ投入位置P2に位置決めされた状態を示している。この状態では、移動部材62に設けられたストッパ92が側板32に突設された固定ストッパ126に当接することにより、移動部材62に設けられたプレス受部材60が円筒状金型14に対して同心位置とされる。
【0030】
前記押圧装置28は、この押圧装置28は、支柱94の上端部において水平に設けられ且つ支柱94から離隔する側の端部が垂直ロッド130を介して前記受板82の端部と相互に連結された支持プレート132と、下端部に前記パンチ26を有し、そのパンチ26を上下方向に駆動する減速機付駆動モータ(サーボモータ)134を駆動源とする電動アクチュエータである電動シリンダ136とを備え、図12に示されるように、パンチ26を用いて圧縮排出位置P3に位置させられた円筒状金型14内に充填されている微細スラッジ18を濾紙16を介して圧縮する。また、電動モータ40が設けられた側板32に対向する側板34にも固定ストッパ128が突設されており、圧縮が完了した微細スラッジ18を有する円筒状金型14は電動モータ40によってさらに側板34側へ移動させられると、移動部材62に設けられたストッパ90に当接してその移動部材62が円筒状金型14に対して相対移動させられ、それまで円筒状金型14の下端開口を閉じていたプレス受部材60に替えて、図15に示すように、ブリケットシュート88がその円筒状金型14の下端開口の直下に位置させられる。この状態で、図16に示すように、再び円筒状金型14が圧縮排出位置P3に位置させられ、そこで上記パンチ26が前回の圧縮位置よりも更に下降させられることにより、固形化されたブリケット87が円筒状金型14から排出され、ブリケットシュート88に導かれてバケット138内に貯えられるようになっている。
【0031】
上記パンチ26はパンチホルダ140を介して上記電動シリンダ136の出力部材に連結されている。パンチ26は、円筒状金型14の貫通穴13よりも僅かに小さい外径を有する円柱状であって、軸心方向に平行に貫通する複数本(4本)の貫通穴142が形成され且つ4本のボルト144によって上記パンチホルダ140にスペーサ146を介して着脱可能に固定されたパンチ本体148と、そのパンチ本体148の貫通穴142にパンチホルダ140側から差し通された頭付ピン150とを備えている。頭付ピン150の軸部150aの外径は貫通穴142の内径よりも小さく、頭付ピン150の頭部150bの外径は貫通穴142の内径よりも大きく設定されており、上記スペーサ146によって形成されたパンチ本体148とパンチホルダ140との間の空間K内に頭付ピン150の頭部150bが位置し、軸心方向においてその頭付ピン150の頭部150bの寸法がパンチ本体148とパンチホルダ140との間の寸法よりも小さいために、頭付ピン150の頭部150bがパンチ本体148とパンチホルダ140とにそれぞれ当接するまで頭付ピン150が軸心方向に僅かな距離で移動可能とされている。
【0032】
このため、図13および図14に詳しく示すように、上記パンチ26の下端面である押圧面152には、微細スラッジ18から絞り出された工作液を円筒状金型14内から外部へ導き出すために、上記貫通穴142の内径を外径とし且つ上記頭付ピン150の軸部150aの外径を内径とする環状(リング状)の開口を有し且つ上記スペーサ146によって形成されたパンチ本体148とパンチホルダ140との間の空間Kに連通する4個の断面環状の排出穴154が設けられている。この排出穴154は、断面が円環状であるために流通断面積で言うと1本で多数本の細径の排出穴と同等に機能する。パンチ26の圧縮時には、上記頭付ピン150がパンチホルダ140側に移動させられ、微細スラッジ18から分離された工作液が上記断面が環状の排出穴154および空間Kを経て外部へ流出させられる。上記パンチ本体148はボルト144によって上記パンチホルダ140にスペーサ146を介して着脱可能に固定されていることから、そのボルト144を緩めることによってパンチ本体148が分離されるとともに頭付ピン150はそのパンチ本体148の貫通穴142から容易に分離されるので、1mmφ程度以下の細径の排出穴の詰まりを清掃する場合に比較して、上記排出穴154の清掃を短時間で簡単且つ容易に行うことができる。
【0033】
図1に示す電子制御装置30は、シーケンサ或いはマイクロコンピュータなどから構成され、予め記憶されたプログラムにしたがって、前記型移送装置20、濾紙挿入装置22、微細スラッジ供給装置24、および押圧装置28を制御し、以下に説明する一連の制御作動を順次実行させることにより、微細スラッジ18をそれに含まれる微細粒子を固化したブリケット87と工作液とに自動的に分離する。このため、電子制御装置30は、型保持装置44の移動部材62を固定ストッパ128に当てることによりその移動部材62を型保持部材58に保持された円筒状金型14の下端を閉じていたプレス受部材60とともに型保持部材58に対して相対移動させて、円筒状金型14の下端を開口させる移送制御装置としても機能している。
【0034】
電子制御装置30は、起動スイッチの操作による起動信号の発生或いは予め設定された周期で発生する自動記号信号の発生があると、円筒状金型14の軸心が図1、図5に示す濾紙挿入位置P1にあることを確認した上で濾紙挿入装置22を駆動し、吸盤100を図6の1点鎖線に示す元位置から濾紙収容容器96の真上位置まで移動させ、図6および図7に示すように吸盤100を上下させて濾紙収容容器96内から1枚の濾紙16を取り出した後、吸盤100を円筒状金型14の真上に移動させ、さらに吸盤100を下降させて円筒状金型14内に濾紙16を嵌め入れその底面である受け面74上に載置し、吸盤100を上記元位置まで上昇させる(第1濾紙挿入工程)。
【0035】
次に、電子制御装置30は、型移送装置20を駆動して、円筒状金型14の軸心が図1、図5に示すスラッジ投入位置P2に一致する位置まで円筒状金型14を移動させた後、微細スラッジ供給装置24を駆動して、円筒状金型14内に所定量の微細スラッジ18を落下させる(微細スラッジ投入工程)。図11はこの状態を示している。
【0036】
次に、電子制御装置30は、型移送装置20を駆動して、円筒状金型14の軸心が図1、図5に示す濾紙挿入位置P1に一致するまで円筒状金型14を移動させた後、濾紙挿入装置22を駆動し、前回と同様に、吸盤100を図6の1点鎖線に示す元位置から濾紙収容容器96の真上位置まで移動させ、そこで吸盤100を上下させて濾紙収容容器96内から1枚の濾紙16を取り出した後、吸盤100を円筒状金型14の真上に移動させ、さらに吸盤100を下降させて円筒状金型14内の微細スラッジ18の上すなわち円筒状金型14の開口内に濾紙16を嵌め入れ、吸盤100を上記元位置まで上昇させる(第2濾紙挿入工程)。図10は濾紙16を円筒状金型14の上端面の開口内に嵌め入れた状態を示している。
【0037】
次に、電子制御装置30は、型移送装置20を駆動して、円筒状金型14の軸心が図1、図12に示す圧縮排出位置P3に一致する位置まで円筒状金型14を移動させた後、押圧装置28を駆動してパンチ26を下降させて円筒状金型14内の微細スラッジ18を所定の圧縮パターンで濾紙16を介してたとえば7乃至9分程度の所定時間圧縮した後、パンチ26を元位置まで上昇させる(圧縮工程)。図12はこの状態を示している。上記圧縮パターンは、微細スラッジ18から工作液を効率よく分離するために予め実験的に求められた圧縮条件であり、たとえば図17に示すように、20乃至40kg/cm程度の比較的低い圧力が5乃至6分程度保持される低圧低速加圧保持区間と、それに続いて、時間経過に伴って圧力が比例的に上昇する圧力で2乃至5分程度加圧される定速加圧区間とから構成されている。この圧縮工程では、図14の矢印に示すように、工作液が円筒状金型14内から導出され、微細スラッジ18から工作液が分離される。
【0038】
上記パンチ26による圧縮荷重は図17に示すように300乃至400kg/cmであって、パンチ26の断面積は約28(=π×r)cmであるから、8.4乃至11.2tonの荷重がプレス受部材60、移動部材62、プレス時には案内ロッド36、38等の撓みにより互いに接触させられる下向突起86および上向突起84を介して受板82により支持される。前述のように、この受板82の支柱94から離隔する側の端部は上記パンチ26を駆動する電動シリンダ136が取り付けられた支持プレート132の支柱94から離隔する側の端部と垂直ロッド130を介して連結されており、上記荷重が垂直ロッド130を介して支持プレート132により支持されている。このため、上記の大きな圧縮荷重に拘わらず圧縮プレス時の支柱94の変形が防止されている。
【0039】
次に、電子制御装置30は、型移送装置20により円筒状金型14を保持する型保持装置44を側板34側へ駆動してその側板34に設けられている固定ストッパ128に移動部材62のストッパ90を当接させることにより、ストッパ90が型保持装置44の側面に当接するまで移動部材62を型保持装置44に対して駆動モータ40側にずらし、それまで円筒状金型14の下端開口を閉じていたプレス受部材60に替えて、図15に示すように、ブリケットシュート88をその円筒状金型14の下端開口の直下に位置させる(絞り型下端開口工程)。
【0040】
次に、電子制御装置30は、型移送装置20を駆動して、円筒状金型14の軸心が図1に示す圧縮排出位置P3に一致する位置まで円筒状金型14を移動させた後、押圧装置28を駆動して前回の圧縮位置よりも更に下側にある円筒状金型14内の下端開口に到達するまでパンチ26を下降させることにより、固形化されたブリケット87を円筒状金型14の下端開口から排出させ、ブリケットシュート88を介してバケット138内に落下させた後、パンチ26を元位置まで上昇させる(排出工程)。図16はこの排出工程において、パンチ26が円筒状金型14内に向かって下降させられる状態および下降させられた状態(1点鎖線)を示している。
【0041】
次に、電子制御装置30は、型移送装置20により円筒状金型14を保持する型保持装置44を側板32側へ駆動してその側板32に設けられている固定ストッパ126に移動部材62のストッパ92を当接させることにより、ストッパ92が型保持装置44の側面に当接するまで移動部材62を型保持装置44に対して側板34側にずらすことにより、それまで開いていた円筒状金型14の下端開口をプレス受部材60で閉じた状態とする(絞り型下端閉鎖工程)。そして、その円筒状金型14を濾紙挿入位置P1に位置させる。これにより、1サイクルの微細スラッジ処理が終了させられる。
【0042】
上述のように、本実施例の微細スラッジ脱液装置10によれば、円筒状金型14内において濾紙16を介して微細スラッジ18を圧縮する一対の挟圧部材として機能するプレス受部材60の上ブロック70およびパンチ26のパンチ本体148は、押圧方向において貫通する貫通穴68および142と、その貫通穴68および142の径よりも小さい外径を有し、挟圧部材の押圧面として機能するプレス受部材60の受け面74およびパンチ本体148の押圧面152において断面が環状の排出穴76および154を形成するようにその貫通穴68および142内に着脱可能に挿入された軸状部材であるピン72および頭付ピン150とをそれぞれ備えている。このため、微細スラッジ18内の工作液がプレス受部材60の受け面74およびパンチ本体148の押圧面152にそれぞれ設けられて1本で多数本の細径の排出穴として機能する断面が円環状の排出穴76および154を通して外部に導出されるので、微細スラッジ18が好適に固形物(ブリケット87)と工作液とに好適に分離される。また、それらプレス受部材60の受け面74およびパンチ本体148の押圧面152において環状の排出穴76および154をそれぞれ形成するように貫通穴68および142内に設けられた軸状部材であるピン72および頭付ピン150は着脱可能に挿入されていることから、たとえ円環状の排出穴76および154が詰まったとしても、そのピン72および頭付ピン150を取り外すことによって貫通穴68および142の内周面とピン72および頭付ピン150の外周面とを簡単且つ容易に清掃できるので、微細スラッジ脱液装置10である微細スラッジ自動処理装置の処理能率が好適に高められる。
【0043】
また、本実施例の微細スラッジ脱液装置10によれば、絞り型として機能する円筒状金型14内に挿入するための濾紙16を積み重ねた状態で収容する濾紙収容容器96と、その濾紙収容容器96内において積み重ねられた濾紙16を一枚ずつ吸着して、所定の濾紙挿入位置P1に位置する円筒状金型14内に挿入する吸盤100を備えた濾紙挿入装置22とが備えられ、濾紙16のうち吸盤100に吸着される部分は他の部分に比較して通気性が低下させられていることから、吸盤100に吸着される部分は他の部分に比較して通気性が低く、容易に負圧が発生させられるとともに、積み重ねられた他の濾紙16をも吸引することがなくなり、1枚ずつ確実に安定して円筒状金型14内に挿入されるので、濾紙16の自動化が可能となり、自動的に能率よく微細スラッジの脱液が行われる。
【0044】
また、本実施例の微細スラッジ脱液装置10によれば、円筒状金型14内の空間の横断面は円形であり、濾紙16は、その円筒状金型14内の空間の横断面の径以上の径寸法を有する円形であるとともに、非通気性のシート110が中央部に接着されているものであることから、濾紙16の中央部が簡単且つ容易に非通気性とされる利点がある。
【0045】
また、本実施例の微細スラッジ脱液装置10によれば、(a) 円筒状金型14を保持する型保持部材58とその円筒状金型14の下端面の開口を閉じるプレス受部材60を支持しその型保持部材58に対して相対移動可能に設けられた移動部材62とを備えた型保持装置44と、(b) その型保持装置44を案内する案内装置(側板32、34および案内ロッド36、38)とを備え、その型保持装置44に保持された円筒状金型14を、濾紙16が挿入される濾紙挿入位置P1、微細スラッジ18が投入されるスラッジ投入位置P2、微細スラッジ18を圧縮し且つ圧縮されたブリケット87を排出する圧縮排出位置P3へ移送する型移送装置20と、(c) 上記案内装置により案内される案内範囲の端部に設けられた固定ストッパ128と、(d) 上記型移送装置20により、型保持装置44の移動部材62を固定ストッパ128に当てることによりその移動部材62をその型保持部材44に保持された円筒状金型14の下端を閉じていたプレス受部材60とともにその型保持装置44の型保持部材58に対して相対移動させて、その円筒状金型14の下端を開口させる電子制御装置(移送制御装置)30とを、含むことから、円筒状金型14に対して、濾紙16の自動挿入、スラッジ投入、微細スラッジの圧縮、圧縮されたブリケット87の排出が自動的に行われることが可能となる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0047】
例えば、前述の実施例では、微細スラッジ18を圧縮して工作液を絞り出すための絞り型として円筒状金型14が用いられていたが、必ずしも筒型でなくてもよく、たとえば底部すなわちプレス受部材60が円筒状金型14に一体化された有底円筒状の絞り型であってもよいし、逆に、複数の部分型から構成された分割型であってもよい。また、円筒状金型14は貫通穴13によって構成された断面円形の成形空間を備えたものであったが、断面が多角形や楕円の成形空間を備えたものであってもよい。
【0048】
また、前述の実施例の微細スラッジ脱液装置10において、微細スラッジ18の圧縮するための挟圧部材として機能するプレス受部材60の上ブロック70およびパンチ26のパンチ本体148の両方に、4個および5個の断面が円環状の排出穴76および154がそれぞれ設けられていたが、上記プレス受部材60の上ブロック70およびパンチ26のパンチ本体148のいずれか一方の部材に設けられていれてもよい。
【0049】
また、前述の実施例の微細スラッジ脱液装置10において、微細スラッジ18の圧縮するための挟圧部材として機能するプレス受部材60の上ブロック70およびパンチ26のパンチ本体148には、4個および5個の断面が円環状の排出穴76および154がそれぞれ設けられていたが、それらの個数は何個であってもよく、少なくとも1個が設けられていれば、一応の効果が得られる。
【0050】
また、前述の実施例の微細スラッジ脱液装置10では、微細スラッジ18の圧縮するための挟圧部材として機能するプレス受部材60の上ブロック70およびパンチ26のパンチ本体148には、4個および5個の断面が円環状の排出穴76および154がそれぞれ設けられていたが、四角状などの断面が多角形状の排出穴であってもよい。
【0051】
また、前述の実施例の微細スラッジ脱液装置10では、1サイクルの自動処理は、円筒状金型14が濾紙挿入位置P1に位置している状態から開始されていたが、ブリケット87を排出した直後の圧縮排出位置P3に位置している状態などから開始されてもよい。
【0052】
また、前述の実施例の微細スラッジ脱液装置10において、濾紙16の挿入は、たとえば図5に示されるように、円筒状金型14の下面の開口がプレス受部材60によって塞がれていない状態で実行されてもよい。少なくとも微細スラッジ18の投入時までに円筒状金型14の下面の開口がプレス受部材60によって塞がれればよい。
【0053】
また、前述の実施例において、ゴム製で弾性変形可能な円錐形状の吸盤100が用いられていたが、材質、形状は必要に応じて種々変更が加えられるものであり、合成樹脂製、金属製で弾性変形不能なものであってもよいし、吸着面が平坦な厚肉円板形状などであってもよい。
【0054】
また、前述の濾紙16は、50μmφ以下の粒子でも通過せない通液性の材質であればいずれの材料や構成であってもよく、円筒状金型14あるいはそれに替わる絞り型の成形空間の断面形状に合わせた多角形、楕円等の形状であってもよい。また、濾紙16の中央部に貼り着けられられる非通気性シート110は必ずしも吸盤100側でなくてもよく、吸盤100と反対側に貼り付けられてもよい。
【0055】
また、吸盤100は単一であったが、それに替えて小さな複数個の吸盤であってもよい。吸盤100の吸着位置或いは負圧の中心は必ずしも中央部でなくてもよく、複数箇所であってもよい。この場合、濾紙16における非通気性シート110の貼り付け場所も必ずしも中央部でなくてもよく、吸盤100の吸着位置或いは負圧の中心に貼り付けられる。
【0056】
また、濾紙16の一部に非通気性領域或いは難通気性領域を形成して吸盤100が1枚ずつ確実のするために粘着される非通気性シート110は、必ずしも円形でなくてもよく、その目的を達成できる範囲で四角、多角形、楕円などの他の形状であってもよい。非通気性シート110は、円筒状金型14内の成形空間の径或いは濾紙16の外径の1/3程度の径を有するものであったが、必ずしもそのような径でなくてもよく、その目的を達成できる範囲で変更され得るものである。
【0057】
また、前述の濾紙16において、その一部に非通気性領域或いは難通気性領域を形成して吸盤100が1枚ずつ確実のするために粘着される非通気性シート110が貼り付けられていたが、それに替えて、濾紙16の中央部に顔料を含む油性インクが印刷されたり、或いは鑞などの油脂が含浸されたり、中央部の繊維密度が局部的に高くされたりすることにより、濾紙16の内周部に外周部に比較して相対的に通気性の低い非通気性領域或いは難通気性領域が設けられてもよい。
【0058】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例の微細スラッジ脱液装置の構成を説明するための正面図である。
【図2】図1の微細スラッジ脱液装置の要部側面を示すための、図1のII-II 視断面図である。
【図3】図1の微細スラッジ脱液装置において型保持装置を拡大して示す正面図である。
【図4】図1の微細スラッジ脱液装置の型保持装置の構成を説明するための、図3のIV-IV 視断面図である。
【図5】図1の微細スラッジ脱液装置において、濾紙挿入装置および微細スラッジ供給装置を説明する正面図である。
【図6】図1の微細スラッジ脱液装置において、濾紙挿入装置の側面を説明するための、図5のVI-VI 視断面図である。
【図7】図5および図6に示す濾紙挿入装置が濾紙を1枚ずつ濾紙収容容器から取り出した状態を説明する拡大図である。
【図8】図5および図6に示す濾紙挿入装置が挿入する濾紙を示す平面図である。
【図9】図8の濾紙の構成を説明するための、図8のIX-IX 視断面図である。
【図10】図5および図6に示す濾紙挿入装置が濾紙を円筒状金型内の微細スラッジの上に挿入する状態を説明する拡大図である。
【図11】図1、図5に示す微細スラッジ供給装置から微細スラッジが円筒状金型内に投入される状態を説明する図である。
【図12】図1に示す押圧装置のパンチが円筒状金型内の微細スラッジを押圧する状態を説明する図である。
【図13】図1に示す押圧装置に備えられているのパンチの構成を示す図12のXIII-XIII 視断面図である。
【図14】図1に示す押圧装置に備えられているのパンチの構成を示す図13のXIV-XIV 視断面図である。
【図15】図1に示す型移送装置が円筒状金型を保持する型保持装置を他方の側板側へ駆動してその側板に設けられている固定ストッパ移動部材ストッパを当接させることにより、それまで円筒状金型の下端開口を閉じていたプレス受部材に替えて、ブリケットシュートをその円筒状金型の下端開口の直下に位置させる状態を示す図である。
【図16】図1に示す押圧装置のパンチが円筒状金型内の固化した微細スラッジを円筒状金型の下端開口から押し出す状態を説明する図である。
【図17】図1に示す押圧装置のパンチが円筒状金型内の微細スラッジを押圧するときの押圧条件を説明する図である。
【符号の説明】
【0060】
10:微細スラッジ脱液装置
14:円筒状金型(絞り型)
18:微細スラッジ
26:パンチ
32、34:側板(案内装置)
36、38:案内ロッド(案内装置)
44:型保持装置
58:型保持部材
60:プレス受部材
68:貫通穴
72:ピン(軸状部材)
74:受け面
76:排出穴
142:貫通穴
150:頭付ピン(軸状部材)
154:排出穴
P1:濾紙挿入位置
P2:スラッジ投入位置
P3:圧縮排出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り型内において一対の挟圧部材を用いて濾紙を介して微細スラッジを圧縮することにより微細スラッジを固形物と液体とに分離する微細スラッジ脱液装置であって、
前記一対の挟圧部材のうちの少なくとも一方は、押圧方向において貫通する貫通穴と、該貫通穴の径よりも小さい外径を有し、押圧面において環状の穴を形成するように該貫通穴内に着脱可能に挿入された軸状部材とを備えることを特徴とする微細スラッジ脱液装置。
【請求項2】
前記絞り型を保持する型保持部材と該絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持し該型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置を含み、
前記プレス受部材は、前記一対の挟圧部材のうちの一方として機能するものである請求項1の微細スラッジ脱液装置。
【請求項3】
前記絞り型内に押し込まれて前記微細スラッジを圧縮するパンチを含み、
該パンチは、前記一対の挟圧部材のうちの他方として機能するものである請求項1または2の微細スラッジ脱液装置。
【請求項4】
前記絞り型を保持する型保持部材とその絞り型の下端面を閉じるプレス受部材を支持しその型保持部材に対して相対移動可能に設けられた移動部材とを備えた型保持装置と、
該型保持装置を案内する案内装置を備え、その型保持装置に保持された前記絞り型を、前記濾紙が挿入される濾紙挿入位置、前記微細スラッジが投入されるスラッジ投入位置、前記微細スラッジを圧縮し且つ圧縮されたブリケットを排出する圧縮排出位置へ移送する型移送装置とを、含むことを特徴とする請求項1の微細スラッジ脱液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−75745(P2007−75745A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267644(P2005−267644)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】