説明

微細化混合装置

【課題】液体に混合された他の液体、気体又は固体を効率よく微細化して直径が10nm以上50μm以下の粒子を安定して生成できる微細化混合装置を提供すること。
【解決手段】微細化混合装置1は、ケーシング2内に複数の微細化ブロック3を備える。混合流体は、ケーシング2の入口管24を通って分散ヘッド26でケーシング2内に放出され、ケーシング2の内側面と微細化ブロック3の外側面との間に満たされる。所定値に被圧した混合流体は、微細化ブロック3の端面の入口開口34aから供給路34を通って旋回室32に導かれ、旋回流を形成する。中心軸が一直線上に形成された2つの旋回室32から、これら旋回室32の間に中心軸と直角に形成された直角通路33へ旋回流が排出され、直角通路33中の衝突室で衝突する。旋回流の衝突により、混合流体中の空気泡が微細化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に、この液体と異なる他の液体や、気体や、固体を微細化して混合及び分散させる微細化混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体中に、気体や他の液体が数10nmオーダーの直径を有する粒子に微細化され、混合及び分散されてなる混合流体は、粒子の直径が数100μmオーダーの場合とは異なる物性を示すことから、多くの分野で活用されている。
【0003】
例えば、水中に、直径が約10nm〜数100nmの気体の泡(以下、ナノバブルという)を分散させてなる混合流体を、汚水の浄化や、養殖における成長促進や、植物の栽培促進に利用することが研究されている。ナノバブルの生成方法としては、水に空気を混合してなる混合流体にせん断力を作用させ、空気を微細化してナノバブルを生成する気液せん断法が知られている。気液せん断法を行うナノバブル生成装置としては、筒状のケーシング内に、螺旋状に形成された流路を有する上流側のスクリュー部と、流路壁に突起が配置された下流側のカッター部とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このナノバブル生成装置は、ケーシング内に圧送された水と空気の混合流体に、スクリュー部で旋回力と遠心力とを付与した後、カッター部で混合流体中の気泡の分断、微細化を行ない、直径が0.5〜3μm程度の気泡を含有する混合流体を生成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−085949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のナノバブル生成装置は、気泡の微細化の下限が直径において0.5μ程度であり、数10nmレベルの直径の気泡を安定して生成するのは困難である。
【0007】
そこで、本発明の課題は、液体中に、液体又は固体を効率よく微細化して直径が10nm以上50μm以下の粒子を安定して生成して混合及び分散できる微細化混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の微細化混合装置は、液体に、この液体と異なる他の液体、気体又は固体が混合した混合流体が供給され、この混合流体に含まれる上記他の液体、気体又は固体を微細化する微細化混合装置であって、
混合流体の旋回流を形成する2つの旋回室が対向して配置されてなる少なくとも1対の旋回室対と、
上記旋回室対の2つの旋回室に連なり、これらの2つの旋回室で生成された混合流体の旋回流が夫々導かれて衝突する衝突室と、
上記衝突室から混合流体を排出する排出路と
を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、混合流体が一対の旋回室対に導かれ、2つの旋回室で混合流体の旋回流が夫々形成され、これら2つの旋回室で夫々形成された混合流体の旋回流が、衝突室に導かれる。衝突室で、2つの旋回室から導かれた混合流体の旋回流が衝突することにより、混合流体に含まれる気体、液体又は固体が微細化する。このように、混合流体の2つの旋回流を衝突させることにより、混合流体に含まれる他の液体、気体又は固体を安定して微細化することができる。
【0010】
本発明において、混合流体とは、媒体である液体に、この液体と異なる他の液体、気体及び固体のいずれが混合したものも該当する。液体に気体が混合した混合流体の一例は、水に空気の気泡が混合したバブル水である。液体に他の液体が混合した混合流体の一例は、水に油の粒子が混合した水油エマルションである。また、液体に固体が混合した混合流体の一例は、水に有機固形物の粒子が混合した有機汚泥である。
【0011】
また、本発明において、微細化とは、気体、液体及び固体を、直径が10nm〜数10μmの範囲の粒子に形成することをいう。好ましくは、直径が10nm以上50μm以下の範囲の粒子を形成することをいう。例えば、微細化の対象が気体である場合、微細化とは、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルを生成することをいう。ここで、マイクロナノバブルとは、マイクロバブルとマイクロナノバブルとの総称であり、マイクロバブルとは、直径が500nm以上50μm以下の泡をいい、ナノバブルとは、直径が10nm以上500nm未満の泡をいう。
【0012】
一実施形態の微細化混合装置は、上記旋回室対は、上記2つの旋回室が、互いに一直線上に位置する中心軸を夫々有すると共に、互いに近い部分の内径が互いに遠い部分の内径よりも小さく形成されて、上記中心軸と直交する面に関して対称の回転体形状を有し、
上記2つの旋回室の互いに遠い部分に、各旋回室の内周面の接線を描くように混合流体の供給路が夫々接続され、
上記2つの旋回室の互いに近い部分が、これら旋回室の中心軸に対して略直角に延在して形成された直角通路に連なり、この直角通路の旋回室の間の部分に上記衝突室が形成されている一方、上記直角通路の衝突室に連なる部分に排出路が形成されている。
【0013】
上記実施形態によれば、混合流体は、旋回室の内周面の接線を描く供給路を通して2つの旋回室に夫々供給されることにより、各旋回室に効果的に旋回流が形成される。2つの旋回室で形成された旋回流は、これらの旋回室の中心軸と直角をなす直角通路中の衝突室に導かれることにより、旋回流が効果的に衝突して、混合流体中の気体、液体又は固体が効果的に微細化される。気体等が微細化された混合流体は、直角通路中の衝突室に連なる排出路に導かれることにより、迅速に排出される。これらにより、混合流体中の気体等の微細化を効率良く行うことができる。また、旋回室の形状を、中心軸を一直線上に配して面対称の回転体形状とすると共に、衝突室と排出路を直角通路が兼ねることにより、微細化混合装置を効果的に小型にできる。
【0014】
ここで、上記回転体形状の旋回室は、例えば、円錐型、半球型、又は、半回転楕円体型、若しくは、円筒の端面に円錐、半球及び半回転楕円体等を連ねた形状に形成することができる。
【0015】
一実施形態の微細化混合装置は、上記旋回室対の2つの旋回室に夫々形成される混合流体の旋回流の旋回方向は、互いに反対向きである。
【0016】
上記実施形態によれば、旋回方向が互いに反対向きの混合流体の旋回流れが衝突することにより、混合流体中の気体等を効果的に微細化できる。
【0017】
一実施形態の微細化混合装置は、上記旋回室対を2つ備え、
上記2つの旋回室対は、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに直交するように配置されている。
【0018】
上記実施形態によれば、2つの旋回室対を、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに交差するように配置することにより、衝突室に4つの旋回室からの旋回流を導いて、旋回流を効果的に衝突させることができる。したがって、混合流体中に含まれる気体等を効果的に微細化できる。また、4つの旋回室を衝突室の周りに等角度間隔で配置することにより、微細化混合装置の小型化を行いながら微細化能力の拡大を図ることができる。
【0019】
一実施形態の微細化混合装置は、混合流体の入口と出口を有するケーシングと、
上記ケーシング内に収容され、少なくとも1つの上記旋回室対と、上記供給路と、上記直角通路とが形成された少なくとも1つのブロックとを備える。
【0020】
上記実施形態によれば、ケーシング内に収容するブロックの個数を調節することにより、混合流体中の気体、液体又は固体に対する微細化の効果を調整することができる。したがって、微細化を行う対象と、単位時間に処理すべき混合流体の量に応じて、微細化の能力を調節することができる。また、主要な部品として、ケーシングとブロックを準備し、ブロックの個数を調整するのみにより、少ない部品の種類によって多様な種類の微細化混合装置を製造できる。したがって、微細化混合装置の製造コストを低減できる。
【0021】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ブロックの外側面に、上記供給路に連なる入口開口と、上記直角通路の排出路に連なる出口開口を有し、
上記ケーシングの入口から流入した混合流体が、ケーシングの内側面とブロックの外側面との間を流れ、上記ブロックの外側面の入口開口から供給路を通って旋回室に流入する一方、上記排出路の出口開口から排出された混合流体がケーシングの出口に導かれるように形成されている。
【0022】
上記実施形態によれば、ケーシングの入口から流入した混合流体が、ケーシングの内側面とブロックの外側面との間を流れることにより、このケーシングの内側面とブロックの外側面との間が混合流体で満たされる。これにより、ブロック内外の圧力差を少なくして、微細化混合装置の耐圧性を高めることができる。また、ブロックの内部から混合流体が漏れても、ケーシング内で混合流体を回収することができるので、ケーシング外への混合流体の漏れを防止できる。特に、ケーシング内に複数のブロックを設けた場合、ブロックの間から混合流体が漏れても、漏れた混合流体を回収して再びブロックに戻し、微細化を行うことができる。
【0023】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ケーシングの入口に、0.5MPa以上5MPa以下の圧力の混合流体が供給される。
【0024】
上記実施形態によれば、ケーシング内の混合流体を昇圧してブロックの供給路から旋回室へ送り、旋回室に混合流体の旋回流を特に適切に生成することができる。これにより、衝突室で混合流体の旋回流を適切に衝突させて、混合流体中の気体等を特に効果的に微細化できる。
【0025】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ブロックは、上記直角通路が一方の面と他方の面との間を貫通して形成され、
複数の上記ブロックが、直角通路を順次連ねた状態で連結され、連なった複数のブロックのうちの一端のブロックが有する直角通路の一端が閉鎖されると共に、連なった複数のブロックのうちの他端のブロックが有する直角通路の他端が、上記ケーシングの出口に連結されている。
【0026】
上記実施形態によれば、複数のブロックが連結されることにより順次連なる直角通路に、各ブロックに対応する衝突室と排出路が順次形成される。したがって、先端のブロックで微細化された混合流体が、基端側のブロックに流れる毎に、各ブロックで生成された旋回流の衝突作用を受けるので、混合流体中の気体等を効果的に微細化することができる。
【0027】
また、上記実施形態の微細化混合装置は、同一構造の複数個のブロックを順次連結し、一端のブロックの直角通路の一端を閉鎖部材で閉鎖し、他端のブロックの直角通路の他端をケーシングの出口に接続することにより、少ない種類の部品を用いて、多様な用途又は性能の微細化混合装置を製造することができる。したがって、微細化混合装置のコスト削減を行うことができる。
【0028】
一実施形態の微細化混合装置は、上記混合流体に添加すべき添加流体を供給する添加流体供給ラインを備え、
上記添加流体供給ラインは、少なくとも1対の旋回室対が有する少なくとも1つの旋回室に、この旋回室の中心軸上の位置に添加流体を供給するように形成されている。
【0029】
上記実施形態によれば、旋回室内に混合流体の旋回流が生成されるに伴い、旋回室の中心軸に沿って混合流体の負圧領域が形成される。この負圧領域が形成される旋回室の中心軸上の位置に添加流体を供給することにより、負圧によって添加流体を旋回室内に効率的に吸引し、旋回流をなす混合流体に、添加流体を効果的に混合して添加することができる。なお、負圧とは、衝突室から旋回室へ混合流体を吸引する力を生成する程度に低い圧力をいう。
【0030】
一実施形態の微細化混合装置は、上記添加流体供給ラインは、上記1対の旋回室対が有する2つの旋回室が対向する側と反対側の面に接続されている。
【0031】
上記実施形態によれば、添加流体供給ラインは、この添加流体供給ラインが接続される旋回室が有する面のうち、この旋回室を含んで形成される旋回室対の2つの旋回室が対向する側と反対側の面に接続される。したがって、旋回室内に2つの旋回室が対向する側に向かって形成される混合流体の旋回流に、添加流体を十分に混合させることができる。その結果、例えば酸化力を有する添加流体を混合流体に添加する場合、添加流体によって混合流体を十分に酸化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図2】微細化混合装置が有するブロックの縦断面図である。
【図3】微細化混合装置が有するブロックの平断面図である。
【図4】微細化混合装置が有するブロック内における混合流体の流れを示す模式図である。
【図5】微細化混合装置のブロックの他の例を示す模式平断面図である。
【図6】微細化混合装置のブロックの他の例を示す模式平断面図である。
【図7】第2実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図8】微細化混合装置が有するブロック内における混合流体の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の微細化混合装置を模式的に示す縦断面図である。この微細化混合装置1は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成する微細化混合装置である。
【0035】
この微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング2と、このケーシング2内に収容された概ね八角柱形状の複数の微細化ブロック3,3,・・・を備える。
【0036】
ケーシング2は、スリーブ状の側面部21と、円盤状の端面板22,23とで形成され、これら端面板22,23の間に図示しない複数本の棒部材が掛け渡され、これら棒部材の両端に螺合するナットで端面板22,23が側面部21の両端に圧迫されている。これにより、ケーシング2の側面部21と端面板22,23が互いに固定されている。なお、側面部21の両端にフランジを設け、フランジと端面板22,23とをボルトで固定してもよい。ケーシング2の入口側の端面板22には、混合流体の図示しない供給路に接続され、矢印Aで示すように供給される混合流体をケーシング2内に導く入口管24が設けられている。一方、ケーシング2の出口側の端面板23には、混合流体の図示しない排出路に接続され、微細化処理を行った後の混合流体を矢印Bで示すように排出する出口管25が設けられている。
【0037】
入口側の端面板22のケーシング2内を臨む内側面には、入口管24から流入した混合流体をケーシング2内に分散して放出するための分散ヘッド26が連結されている。分散ヘッド26は、端面板22に接続された管状部26aと、環状部の先端に連なる中空円盤状のヘッド部26bとで形成されている。ヘッド部26bには、環状部26aから流入した混合流体をケーシング2内に放出する複数の貫通孔26c,26c,・・・が設けられている。
【0038】
図2は、微細化ブロック3の縦断面図であり、紙面の上側が混合流体の入口側に向かって配置される。図3は、微細化ブロック3の平断面図であり、後述する4つの旋回室32の中心軸を含む断面を、混合流体の入口側から視た様子を示している。
【0039】
微細化ブロック3は、概ね正八角柱のブロック本体31と、ブロック本体31の中心軸の周りに等角度をおいて形成された4つの旋回室32,32,・・・と、ブロック本体31の中心軸と同心に形成され、対向する旋回室32,32の間を結ぶ線と直角をなす直角通路33が内部に形成されている。微細化ブロック3は、例えばフッ素樹脂等の構成樹脂で形成することができる。なお、微細化を行う対象や、混合流体の温度等の条件に応じて、他の合成樹脂を用いて微細化ブロック3を形成してもよい。
【0040】
微細化ブロック3の旋回室32は、円筒の端面に半球を連ねたような回転体形状を有し、円筒部が微細化ブロック3の外径側を向くと共に半球部が微細化ブロック3の内径側を向くように形成されている。対向する2つの旋回室32は、中心軸が一直線上に配置されて、旋回室対を構成している。本実施形態では、2対の旋回室対が設けられており、これら2対の旋回室対は、各対の旋回室32の間を結ぶ中心軸が互いに直交するように配置されている。上記直角通路33は、各旋回室対の旋回室32の間を結ぶ中心軸に対して直角方向に延在している。直角通路33には、4つの旋回室32の半球部の先端が連通している。直角通路33の各旋回室対の旋回室32の間に位置する部分が、2つの旋回室対の共通の衝突室33aとなっている。直角通路33の衝突室33aよりもケーシング2の出口側に位置する部分は、衝突室33aで微細化した混合流体を排出する排出路33bとなっている。一方、直角通路33の衝突室よりもケーシング2の入口側に位置する部分は、入口側に隣接して連結される微細化ブロック3から微細化された混合流体が流入する流入路33cとなっている。上記直角通路33の排出路33bは、微細化ブロック3の端面に形成された出口開口33dに連なっている。
【0041】
微細化ブロック3には、旋回室32へ混合流体を供給する供給路34が形成されている。供給路34は、旋回室32の中心軸方向視において内周面の接線を描くように形成されており、微細化ブロック3の端面に形成された入口開口34aから混合流体が流入し、旋回室32の内側面に形成された流入開口34bから混合流体を室内に放出するようになっている。供給路34は、旋回室32の中心軸に関して対称の位置に2つ設けられており、各供給路34の入口開口34aは、微細化ブロック3の両端面に夫々形成されている。図3の平断面図には、断面に表れない側の供給路34の平面方向の位置を仮想線で示している。なお、ケーシング2に供給される混合流体の流量や圧力、或いは、旋回室32に形成すべき旋回流の速度等に応じて、2つの供給路34のうちの一方が閉鎖されてもよい。あるいは、微細化ブロック3に、1つの旋回室32につき供給路34を1つのみ形成してもよい。
【0042】
上記微細化ブロック3は、旋回室32に、内周面の接線を描くように供給路34が設けられていることにより、微細化ブロック3の外側面に所定圧力の混合流体が満たされれば、上記供給路34に混合流体が流入し、可動部を用いることなく旋回室32内に旋回流を形成することができる。
【0043】
上記微細化ブロック3の旋回室32は、概ね正八角柱のブロック本体31が有する8個の側面のうち、1つおきの4個の側面に底が球状の円柱穴を形成し、この円柱穴の開口部を円形ドーム状の蓋体35で閉鎖して形成されている。微細化ブロック3のブロック本体31には、ケーシング2内に収容された複数の微細化ブロック3を互いに連結して固定するための棒部材が挿通される貫通孔36が設けられている。
【0044】
本実施形態の微細化混合装置1は、図1に示すように、出口側の端面板23の内側面に接続管37を介して微細化ブロック3が連結され、この微細化ブロック3に、2つの微細化ブロック3が接続管37で順次連結されて形成されている。入口側の最も端の微細化ブロック3は、直角通路33の入口側の開口33eがキャップ38で閉鎖されている。なお、微細化混合装置1に設ける微細化ブロック3の数は、混合流体の流量や種類に応じて適宜変更することができる。
【0045】
ケーシング2の入口管24には、空気と水を混合する前混合装置が接続されている。前混合装置としては、例えば、水を加圧するポンプと、ポンプの吐出側に配置されたエジェクタノズルとを備え、ポンプが吐出する圧力水にエジェクタノズルで空気を混合させるものを用いることができる。なお、前混合装置としては、公知の気液混合ポンプを用いてもよい。
【0046】
上記構成の微細化混合装置1は、次のように動作する。まず、前混合装置が起動し、気泡を含んだ水である混合流体が、図示しない供給管を経て矢印Aで示すように入口管24に供給される。前混合装置から供給される混合流体の気泡は、直径が約100μm〜数ミリ程度であるのが好ましい。また、供給される混合流体は、入口管24において、流速が約1L/min以上50L/min以下であり、かつ、圧力が約0.1MPa以上5MPa以下であるのが好ましい。特に好ましくは、入口管24において、混合流体の圧力が約0.5MPa以上5MPaである。この混合流体は、水が0.8L/min以上40L/min以下であると共に、空気が0.2L/min以上10L/min以下の割合で混合されている。
【0047】
入口管24に流入した混合流体は、環状部26aを通って分散ヘッド26のヘッド部26b内に流入し、複数の貫通孔26c,26c,・・・からケーシング2内に分散して放出される。ケーシング2内に放出された混合流体は、ケーシング2の内側面と、複数の微細化ブロック3の外側面との間に満たされる。これにより、微細化ブロック3内外の圧力差を少なくして、微細化混合装置1の耐圧性を高めることができる。また、微細化ブロック3の内部から混合流体が漏れても、ケーシング2内で混合流体を回収することができるので、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。
【0048】
ケーシング2と微細化ブロック3との間に満たされた混合流体は、各微細化ブロック3の端面に形成された入口開口34aから供給路34に流入し、流入開口34bから旋回室32内に導かれる。供給路34から旋回室32に導かれた混合流体は、供給路34が旋回室32の中心軸に対して接線方向に形成されていることにより、旋回室32内で中心軸周りの旋回流になる。旋回室32内に形成される混合流体の旋回流は、旋回室32の流入開口34bが設けられた円筒部の端部から半球部の端部に向かって流れ、これに伴う旋回径の縮小によって流速が増大する。旋回室32のブロック3の内径側に位置する半球部の端部に達した混合流体は、高速で旋回しながら直角通路33の衝突室33aに吐出される。
【0049】
上記旋回室対を構成する2つの旋回室32で生成される旋回流の旋回方向は、互いに反対向きであり、これにより、直角通路33の衝突室33aで互いに反対向きの旋回流れが衝突する。図4は、微細化ブロック3内における混合流体の流れを示す模式図であり、旋回室対を形成する2つの旋回室32の中心軸を通る断面を示している。図4に示すように、紙面の左側の旋回室32Lに、紙面の下側から供給路34Lを通って混合流体が流入し、外径側から内径側に向かって中心軸の右回りの旋回流FLが形成される。一方、紙面の右側の旋回室32Rに、紙面の上側から供給路34Rを通って混合流体が流入し、外径側から内径側に向かって中心軸の右回りの旋回流FRが形成される。これらの旋回流FL,FRは、左右の旋回室32L,32Rを通る一直線上の中心軸において互いに反対向きに旋回する。これらの旋回流FL,FRは、旋回室32L,32Rから衝突室33aに吐出され、矢印DL,DRのような吐出口から円錐状に旋回する旋回噴流が形成される。これら旋回噴流DL,DRは、互いに反対向きに旋回するので、衝突室33aで互いに衝突することにより、混合流体中の空気泡が効果的に破壊され、10nm以上50μm以下の直径に微細化されて、空気のマイクロナノバブルが生成される。さらに、2つの旋回室対が設けられているので、各旋回室対の混合流体の旋回流が衝突室33aで重畳的に衝突し、混合流体中の空気泡が効果的に微細化されてマイクロナノバブルが生成される。
【0050】
ここで、旋回室32L,32Rには、混合流体の旋回の中心軸、すなわち、回転体形状の旋回室32L,32Rの中心軸に沿って負圧領域NL,NRが形成される。この負圧領域NL,NRの作用により、衝突室33aに、混合流体が矢印RL,RRで示すように旋回室32L,32Rに向かって流れる吸引流が生じる。これら吸引流RL,RRと旋回噴流DL,DRとの間に、吸引流RL,RRと旋回噴流DL,DRとの衝突による衝突流CL,CRが生じ、これにより、混合流体中の空気泡が微細化されてマイクロナノバブルが生成される。また、上流側で微細化された混合流体が、吸引流RL,RRとなって旋回室32L,32R内に流入し、この旋回室32L,32Rで旋回流と混合され、旋回噴流DL,DRとなって再度衝突室33aに吐出される。このように、混合流体中の空気泡の微細化が繰り返されることにより、マイクロナノバブルが効果的に生成される。
【0051】
所定の微細化ブロック3の衝突室33aで空気泡が微細化された混合流体は、排出路33bを通り、出口開口33dに連結された接続管37を介して、ケーシング2の出口側の微細化ブロック3に導かれる。ケーシング2の出口側の微細化ブロック3に導かれた混合流体は、この微細化ブロック3の流入路33cから衝突室33aに導かれ、この微細化ブロック3の2つの旋回室対による混合流体の旋回流の衝突作用を受ける。これにより、旋回室対から供給された混合流体中の空気泡の微細化と共に、ケーシング2の入口側の微細化ブロック3から導かれた混合流体中に含まれる空気泡が、さらに微細化される。このようにして、ケーシング2の入口側の微細化ブロック3で空気泡が微細化された混合流体は、出口側の複数の微細化ブロック3を流れて旋回流の衝突作用を繰り返し受けることにより、混合流体中の空気泡が効果的に数10nm程度の直径に微細化される。その結果、混合流体中に高濃度の空気のマイクロナノバブルが得られる。最も出口側の微細化ブロック3で空気泡が微細化された混合流体は、ケーシング2の出口側の端面板23に設けられた出口管25から、矢印Bで示すように、図示しない排出管へ排出される。
【0052】
本実施形態の微細化混合装置1によれば、中心軸が一直線上に配置された2つの旋回室32を有する旋回室対を備える各微細化ブロック3により、混合流体の旋回流を衝突させるので、空気泡を10nm以上50μm以下の直径に安定して微細化することができる。また、微細化混合装置1は、2つの旋回室32を有する旋回室対と、衝突室33aを含む直角通路33との比較的簡易な構造により、空気泡の微細化を行うことができる。したがって、微細化混合装置1を比較的安価に製造できる。また、微細化混合装置1は可動部が無いので、メンテナンスを簡易にできると共に、耐久性を向上できる。
【0053】
また、本実施形態の微細化混合装置1は、ケーシング2内に収容する微細化ブロック3の個数を調節することにより、混合流体中に含まれる空気の量に応じて微細化の能力を調節することができる。したがって、微細化を行う対象と、単位時間に処理すべき混合流体の量に応じて、微細化の性能をきめ細かに設定することができる。また、主要な部品として、ケーシング2と微細化ブロック3を準備し、微細化ブロック3の個数を調整するのみにより、少ない部品の種類によって多様な種類の微細化混合装置1を製造できる。したがって、微細化混合装置1の製造コストを低減できる。
【0054】
上記実施形態において、微細化混合装置1を構成する微細化ブロック3は2つの旋回室対を備えたが、微細化ブロックが備える旋回室対は1つでもよい。図5は、1つの旋回室対を有する微細化ブロックの例を示す模式平断面図である。この微細化ブロック103は、平面視において矩形状のブロック本体131内に、中心軸が一直線上に配置された2つの旋回室132からなる旋回室対を1つ備える。この旋回室対の2つの旋回室132の中心軸と直交する方向に延在する直角通路133が設けられており、この直角通路133の2つの旋回室132の間に位置する部分が衝突室となっている。各旋回室132は、旋回室132の内周面の接線を描く方向に延在する2つの供給路134により、微細化ブロック103の外側面と連通している。なお、図5の平断面図には、断面に表れない側の供給路134の平面方向の位置を仮想線で示している。この微細化ブロック103によれば、1対の旋回室対で混合流体中の空気等を微細化するので、コンパクトな微細化混合装置を構成することができる。
【0055】
また、上記実施形態において、微細化混合装置1を構成する微細化ブロック3は、旋回室32が円筒に半球を連ねたような形状を有したが、旋回室は他の形状に形成してもよい。図6は、他の形状の旋回室を有する微細化ブロックの例を示す模式平断面図である。この微細化ブロック203は、概ね八角柱形状のブロック本体231内に2つの旋回室対を備え、各旋回室対を形成する旋回室232は、円筒の端面に円錐を連ねたような形状を有する。各旋回室対の2つの旋回室232は、互いの間で中心軸と直角方向に延在する直角通路233に連なり、直角通路233の2つの旋回室232の間の部分が衝突室になっている。各旋回室232は、旋回室232の内周面の接線を描く方向に延在する2つの供給路234により、微細化ブロック203の外側面と連通している。なお、図6の平断面図には、断面に表れない側の供給路234の平面方向の位置を仮想線で示している。この微細化ブロック203によれば、旋回室232が円筒に円錐を連ねたような形状を有することにより、高速の旋回流を生成して混合流体中の気体等の微細化を促進することができる。また、この微細化ブロック203は、粘性が比較的高い混合流体であっても、含有する気体等の微細化に十分な旋回流を形成することができる。また、本発明の微細化混合装置を構成する微細ブロックは、円筒の端面に半球や円錐を連ねたような形状以外に、円筒の端面に半回転楕円体等を連ねた形状であってもよい。
【0056】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。この微細化混合装置11は、混合流体に含まれる固体を微細化すると共に、この混合流体に添加流体を添加して混合する点が、第1実施形態と異なる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の機能を有する部分には同一の参照番号を引用し、詳細な説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、本実施形態の微細化混合装置11は、外部から各微細化ブロック3に添加流体としてのオゾンを供給する添加流体供給ライン4を備える。この添加流体供給ライン4は、ケーシング2の端面板22を貫通する供給管41と、この供給管41から複数の微細化ブロック3,3,・・・に向かって分岐した複数の分岐管42,42,・・・を有する。各分岐管42は、各微細化ブロック3が有する4つの旋回室32,32,・・・のうちの1つの旋回室32に接続されている。分岐管42は、ブロック3の対向する旋回室32,32の対向する側と反対側の端面32aの中心であって、回転体形状の旋回室32の中心軸CW上に開口32bが形成されるように連通している。添加流体供給ライン4は、供給管41の基端側が、図示しない低圧のオゾン供給ポンプに接続されている。このオゾン供給ポンプから圧送されたオゾンが、矢印Cに示すように添加流体供給ライン4の供給管41に供給され、分岐管42を通り、旋回室32の端面32aの中心に供給されるようになっている。
【0058】
この微細化混合装置11は、船舶のバラストタンクに設置され、バラスト水に含まれる固体としての菌類、プランクトン、魚卵及び幼魚等の水生生物や有機物を分解及び酸化し、バラスト水の浄化を行うものである。
【0059】
近年、船舶がバラストタンクに取り込む海水、すなわちバラスト水の中に混入するプランクトンや魚卵等の水生生物を、航海の後に他の海域に排出することにより、この海域の生態系に悪影響を与える問題が指摘されている。バラスト水に混入する水生生物は、細菌から幼魚まで多様な大きさの多種類のものが存在し、バラスト水の排出海域に赤潮を発生させたり、在来魚を駆逐したりする等の問題を引き起こしている。
【0060】
このようなバラスト水の問題を解決するため、本実施形態の微細化混合装置11の入口管24にバラストタンク内のバラスト水を導くと共に、添加流体供給ライン4にオゾンを供給する。これにより、バラスト水に含まれる固体としての水生生物を微細化して死滅させ、また、有機物を微細化し、さらに、水生生物の残骸と有機物をオゾンで酸化するようにしている。
【0061】
詳しくは、この微細化装置11の入口管24に、流速が約1L/min以上50L/min以下、かつ、圧力が約0.1MPa以上5MPa以下のバラスト水が供給される。入口管24に流入したバラスト水は、分散ヘッド26によってケーシング2内に分散され、微細化ブロック3の入口開口34aから供給路34を通り、流入開口34bから旋回室32内に導かれる。旋回室32内では、図8に示すように、旋回室32の中心軸周りにバラスト水の旋回流FL,FRが形成され、この中心軸に沿うように負圧領域NL,NRが形成される。この負圧領域NLの作用と、オゾン供給ポンプの作用により、添加流体供給ライン4に接続された旋回室32Lの端面32aの中心に、矢印Dで示すように分岐管42を通ってオゾンが供給される。このオゾンは、旋回室32Lの端面32aの中心の開口32bから旋回室32内に供給され、旋回室32内の旋回流FLをなすバラスト水に効果的に混合される。オゾンが混合されて旋回流FLをなすバラスト水は、旋回室32から旋回噴流DLとして衝突室33aに噴出される。この旋回噴流DLと、対向してオゾンが添加されずに旋回室32から噴出されたバラスト水の旋回噴流DRとが衝突し、この衝撃によって、バラスト水に含まれる水生生物等が破壊されて微細化され、また、オゾンによって酸化される。また、吸引流RL,RRと旋回噴流DL,DRとの衝突による衝突流CL,CRで、バラスト水に含まれる水生生物等が破壊されて微細化される。さらに、上流側で水生生物等の微細化と酸化が行われたバラスト水が、吸引流RL,RRとなって旋回室32L,32R内に流入し、この旋回室32L,32Rで旋回流と混合され、また、オゾンが添加され、旋回噴流DL,DRとなって再度衝突室33aに吐出される。
【0062】
このように、本実施形態の微細化装置11によれば、バラスト水に含まれる水生生物及び有機物を破壊及び微細化すると共に酸化するので、バラスト水が海域の生態系に悪影響を与える問題を防止できる。
【0063】
本実施形態において、各微細化ブロック3が有する1つの旋回室32のみに添加流体供給ライン4の分岐管42を接続したが、対向する1対の旋回室32の両方に分岐管42を接続してオゾンを添加してもよく、また、微細化ブロック3が有する4つの全ての旋回室32に分岐管42を接続してオゾンを添加してもよい。また、全ての微細化ブロック3に添加流体供給ライン4を接続してオゾンを供給したが、必ずしも全ての微細化ブロック3にオゾンを供給しなくてもよく、少なくとも1つの微細化ブロック3にオゾンを添加すればよい。また、添加流体として気体のオゾンを添加したが、例えば次亜塩素酸ナトリウム溶液のような液体の添加流体を添加してもよい。また、添加流体として、酸化剤であるオゾンを添加したが、還元剤を添加してもよい。ここで、添加流体は、バラストタンクの防錆に配慮した成分を含むのが好ましい。また、第2実施形態の微細化装置11においても、第1実施形態の微細化装置1の変形例の微細化ブロック103,203を用いることができる。
【0064】
以上、本発明の第1及び第2実施形態として、水に空気が混合された混合流体に対し、空気泡を微細化する微細化混合装置1と、海水に水生生物等が混合された混合流体に対し、水生生物等を微細化すると共にオゾンを添加する微細化混合装置11とについて説明したが、本発明の微細化混合装置は、液体に種々の流体又は固体が混合された混合流体に対し、当該流体又は固体を微細化するものであってもよい。例えば、流体として酸素及び窒素等の気体を水に混合してなる混合流体に対し、上記気体の微細化を行ってもよい。また、本発明の微細化混合装置は、媒体としての液体に他の液体が混合された混合流体に対し、上記他の液体の微細化を行うものであってもよい。
【0065】
媒体の液体に他の液体が混合された混合流体としては、水に油が混合された混合流体を例示することができ、本発明の微細化混合装置によれば、混合流体の水又は油を微細化して、水と油のエマルションを形成することができる。本発明の微細化混合装置で形成された水と油のエマルションは、ディーゼルエンジン、タービンエンジン又はボイラー等の燃料として用いることができる。本発明の微細化混合装置は、動力により駆動される部分が無いので、故障が少なく、また、分解が容易であり、清浄や補修が容易である。したがって、エンジンやボイラ等の燃料供給機構のコスト削減と、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0066】
また、本発明の微細化混合装置によって生成され、マイクロナノバブルを含む混合流体は、微細化された気体に応じて種々の処理用途に供することができる。例えば、湖沼や河川の水質浄化や、下水処理や、土壌の浄化等のような環境関連分野の用途に利用できる。また、養殖の促進や、生簀の含有酸素量の向上等のような水産業分野の用途に使用できる。また、工場廃水処理や部品洗浄等の工業分野の用途に使用できる。また、食品廃水処理や食品の洗浄等の食品産業分野の用途や、水耕栽培や農業用水の浄化等の農業分野の用途に使用できる。また、微細気泡浴槽や飲料水等の健康分野の用途や、超音波診断や超音波治療等の医療分野の用途に使用できる。また、燃料への気泡の添加や油水エマルジョン燃料等による燃料効率の向上等、燃焼分野の用途に使用できる。また、オゾン微粒子の混合液による微生物処理や殺菌等、衛生分野の用途に使用できる。
【0067】
また、本発明の微細化混合装置は、媒体としての液体に固体が混合された混合流体に対し、固体を微細化して微細化混合流体を生成することもできる。このような混合流体として、媒体の水に有機固形物が混合された有機汚泥がある。本発明の微細化混合装置によれば、有機汚泥の有機固形物を微細化して水中に分散させ、有機固形物の凝集を促進することができる。この種の混合流体の他の例としては、うどん等の食品の煮汁のような、食品廃水を挙げることができる。
【0068】
また、本発明の微細化混合装置による微細化の対象となる気体、液体及び気体が混合される媒体は、水以外の他の液体であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、複数の微細化ブロック3は、各直角通路33が直列に接続されたが、各直角通路33が並列に接続されてもよい。すなわち、混合流体を、複数の微細化ブロック3で複数回の微細化を行わなくてもよく、個々の微細化ブロック3で一回の微細化を行った混合流体を並列に集めて、ケーシング2外へ排出してもよい。
【0070】
また、上記実施形態において、ケーシング2中に微細化ブロック3を収容して微細化混合装置1を構成したが、ケーシング2を有さず、微細化ブロック3の構成部分と同様の機能を有する部品によって微細化混合装置を構成してもよい。すなわち、微細化混合装置は、混合流体が供給される少なくとも1対の旋回室対と、旋回室対の2つの旋回室に連なる衝突室と、衝突室から混合流体を排出する排出路とを夫々形成する複数の部品で構成されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態において、分散ヘッド26は設けなくてもよく、入口側の端面板22の入口管24に連なる内側の開口から、混合流体をケーシング2内へ直接放出してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 微細化混合装置
2 ケーシング
3 微細化ブロック
32 旋回室
33 直角通路
33a 直角通路の衝突室
33b 直角通路の排出路
33c 直角通路の流入路
33d 直角通路の出口開口
34 供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に、この液体と異なる他の液体、気体又は固体が混合した混合流体が供給され、この混合流体に含まれる上記他の液体、気体又は固体を微細化する微細化混合装置であって、
混合流体の旋回流を形成する2つの旋回室が対向して配置されてなる少なくとも1対の旋回室対と、
上記旋回室対の2つの旋回室に連なり、これらの旋回室で生成された混合流体の旋回流が衝突するように導かれる衝突室と、
上記衝突室から混合流体を排出する排出路と
を備え、
上記旋回室対は、上記2つの旋回室が、互いに一直線上に位置する中心軸を夫々有すると共に、互いに近い部分の内径が互いに遠い部分の内径よりも小さく形成されて、上記中心軸と直交する面に関して対称の回転体形状を有し、
上記2つの旋回室の互いに遠い部分に、各旋回室の内周面の接線を描くように混合流体の供給路が夫々接続され、
上記2つの旋回室の互いに近い部分が、これら旋回室の中心軸に対して略直角に延在して形成された直角通路に連なり、この直角通路の旋回室の間の部分に上記衝突室が形成されている一方、上記直角通路の衝突室に連なる部分に排出路が形成され、
混合流体の入口と出口を有するケーシングと、
上記ケーシング内に収容され、少なくとも1つの上記旋回室対と、上記供給路と、上記直角通路とが形成された少なくとも1つのブロックとを更に備えることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記旋回室対を2つ備え、
上記2つの旋回室対は、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに直交するように配置されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記ブロックの外側面に、上記供給路に連なる入口開口と、上記直角通路の排出路に連なる出口開口を有し、
上記ケーシングの入口から流入した混合流体が、ケーシングの内側面とブロックの外側面との間を流れ、上記ブロックの外側面の入口開口から供給路を通って旋回室に流入する一方、上記排出路の出口開口から排出された混合流体がケーシングの出口に導かれるように形成されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項4】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記ブロックは、上記直角通路が一方の面と他方の面との間を貫通して形成され、
複数の上記ブロックが、直角通路を順次連ねた状態で連結され、連なった複数のブロックのうちの一端のブロックが有する直角通路の一端が閉鎖されると共に、連なった複数のブロックのうちの他端のブロックが有する直角通路の他端が、上記ケーシングの出口に連結されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項5】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記混合流体に添加すべき添加流体を供給する添加流体供給ラインを備え、
上記添加流体供給ラインは、少なくとも1対の旋回室対が有する少なくとも1つの旋回室に、この旋回室の中心軸上の位置に添加流体を供給するように形成されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項6】
請求項5に記載の微細化混合装置において、
上記添加流体供給ラインは、上記1対の旋回室対が有する2つの旋回室が対向する側と反対側の面に接続されていることを特徴とする微細化混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−81944(P2013−81944A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23261(P2013−23261)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2012−14668(P2012−14668)の分割
【原出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】