説明

微細構造化光学フィルムに好適なトリフェニルモノマー

少なくとも1種の重合性エチレン系不飽和トリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなる重合微細構造化表面を有する光学フィルムが記載されている。ある種のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー及び重合性樹脂組成物についても記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/948611号(2007年7月9日出願)及び同第60/893953号(2007年3月9日出願)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,175,030号及び同第5,183,597号に記載されているようなある種の微細構造化光学製品は、一般に「輝度向上フィルム」と呼ばれる。輝度向上フィルムは、エレクトロルミネセンスパネル、ラップトップコンピュータディスプレイ、ワードプロセッサ、デスクトップモニタ、テレビ、ビデオカメラ、並びに自動車及び航空ディスプレイにて使用されているようなものを含む液晶ディスプレイ(LCD)などのバックライト付きフラットパネルディスプレイの輝度を向上させるために、多くの電子工学製品にて利用されている。
【0003】
輝度向上フィルムは、望ましくは、生成される輝度ゲイン(即ち「ゲイン」)に関連付けられる輝度向上フィルムの屈折率をはじめとする特定の光学的及び物理的性質を示す。輝度が改良されることで、ディスプレイを明るくするためのより少ない電力を使用しつつ、電子工学製品をより効率的に操作できるようになるため、電力消費を減らし、その構成部品にかかる熱負荷をより少なくし、かつ製品寿命を伸ばすことができる。
【0004】
輝度向上フィルムは、硬化又は重合した高屈折率モノマーから作製されている。多くの場合、ハロゲン化(例えば臭素化)モノマー又はオリゴマーを用いて、例えば1.56以上の屈折率を得る。高屈折率組成物を得るための別の方法は、米国特許出願公開第2006/0204745号、同第2006/0210726号、同第2006/0204676号、及び同第2006/0128853号に記載されているような高屈折率ナノ粒子を含む重合性組成物を使用することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、光学フィルム及び重合性樹脂組成物は、50重量%以下の1種以上のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー、及び25重量%〜75重量%の、ビスフェノールA(メタ)アクリレート、芳香族エポキシ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物から選択される、1種以上のジ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを含むものとして記載される。
【0006】
その他の実施形態では、光学フィルムは、重合微細構造化表面を含むものとして記載されており、ここで微細構造化表面は、一般的構造
【0007】
【化1】

【0008】
を有する少なくとも1種のトリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなり、式中、R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であり、少なくとも1つのR2は、(メタ)アクリレート基を含む置換基であり、
Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、
R3、は独立して、水素、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、及び
pは0〜5である。
【0009】
別の実施形態では、光学フィルムは、重合微細構造化表面を含むものとして記載され、ここで、重合微細構造化表面は、少なくとも1種の重合性多官能エチレン系不飽和トリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなる。
【0010】
更に別の実施形態では、トリフェニルモノマーは、一般的構造
【0011】
【化2】

【0012】
を有するものとして記載され、式中、Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、
pは0〜5であり、及び
R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であり、少なくとも1つのR2は、
【0013】
【化3】

【0014】
から選択される(メタ)アクリレート基を含む置換基からなり、式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、1〜10の範囲であり、及び
R1は、H又はCHである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここでは、光学フィルム、重合性樹脂組成物、及びある種のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマーについて述べる。光学フィルムは好ましくは、少なくとも1種の重合性エチレン系不飽和トリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなる重合微細構造化表面を有する。
【0016】
重合微細構造は、ベース層又は重合微細構造化光学層で構成された光学素子又は光学製品であり得る。ベース層及び光学層は、同一の又は異なるポリマー材料から形成することができる。重合微細構造化表面を有する1つの好ましい光学フィルムは、輝度向上フィルムである。
【0017】
輝度向上フィルムは一般に、点灯装置の軸上輝度(本明細書では、「輝度」と称する)を高める。輝度向上フィルムは、光透過性の微細構造フィルムであり得る。微細構造化トポグラフィーは、フィルムを使用し、反射及び屈折によって光の向きを変えることができるようにした、フィルム表面上の複数のプリズムであり得る。プリズムの高さは通常は、約1〜約75マイクロメートルの範囲である。ラップトップコンピューター、時計などに見られるような光学ディスプレイで使用した場合、微細構造化光学フィルムは、光学ディスプレイを貫通する法線軸から所望の角度で配設された1対の平面内に、ディスプレイから散逸する光を制限することにより、光学ディスプレイの輝度を増大させることが可能である。その結果、許容範囲外でディスプレイから出た光は、反射してディスプレイに戻り、そこでその一部が「再利用され」、かつそれがディスプレイから出るような角度にて、微細構造化フィルムに戻る。再利用は有用であるが、それはディスプレイに所望の水準の輝度を提供するために必要となる電力消費を減らすことができるからである。
【0018】
本発明の輝度向上フィルムは、一般に、(例えば予め形成された高分子フィルム)ベース層及び光学層を含む。光学層は、規則的な直角プリズムの直線配列を含む。それぞれのプリズムは、第1ファセット及び第2ファセットを有する。プリズムは、プリズムが形成されている第1表面及び実質的に平ら又は平面でありかつ第1表面に対向する第2表面を有するベースの上に形成されている。直角プリズムとは、頂角が典型的には約90度であることを意味する。しかし、この角度は、70度〜120度であることができ、80度〜100度であってよい。これらの頂点は、先鋭形、丸形又は平坦形又は切頭形であることができる。例えば、リッジは4〜7〜15マイクロメートルの範囲の半径で丸くなっていることができる。プリズム頂点間の間隔(又はピッチ)は、5〜300マイクロメートルであることができる。薄い輝度向上フィルムの場合、ピッチは、好ましくは10〜36マイクロメートル、より好ましくは18〜24マイクロメートルである。これは、好ましくは約5〜18マイクロメートル、より好ましくは約9〜12マイクロメートルのプリズム高さに相当する。プリズムファセットは同一である必要はなく、プリズムはお互いに対して傾斜していてよい。光学物品の総厚みとプリズム高さとの関係は、変化してよい。しかし、通常は、輪郭のはっきりしたプリズムファセットを備えた比較的薄い光学層を使用することが望ましい。ほぼ20〜35マイクロメートル(1ミル)の厚みを備えた基材上の薄い輝度向上フィルムの場合、プリズム高さ対総厚みの比は通常、約0.2〜0.4である。
【0019】
ルー(Lu)の(米国特許第5,175,030号)及びルー(Lu)らの(米国特許第5,183,597号)に記載されるように、微細構造保有物品(例えば輝度向上フィルム)は、(a)重合性組成物を調製する工程と、(b)マスターのキャビティーを満たすのにかろうじて十分な量でマスターネガ微細構造化成形表面上に重合性組成物を堆積させる工程と、(c)予備成形されたベース(PETフィルムなど)とマスター(少なくとも一方は可撓性である)との間で重合性組成物のビードを移動させることによりキャビティーを満たす工程と、(d)組成物を硬化させる工程と、を含む方法により作製可能である。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキ銅、若しくは黄銅のような金属であり得るか、又は重合条件下で安定であり、かつマスターから重合材料をきれいに取り出しうる表面エネルギーを好ましくは有する熱可塑性材料であり得る。ベースフィルムの1つ以上の表面は、プライム化するか又はプライム化しなくてよく、あるいは光学層のベースへの接着を促進するための処理をしてよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、重合性樹脂組成物は、表面修飾無機ナノ粒子を含む。このような実施形態においては、「重合性組成物」とは、全組成物、即ち有機構成成分及び表面修飾無機ナノ粒子を意味する。「有機構成成分」とは、表面修飾無機ナノ粒子を除く組成物の全構成成分を意味する。表面処理は通常、無機ナノ粒子表面への吸着あるいは結合であるため、表面処理が有機構成成分の一部とは考えられない。組成物が、表面修飾無機ナノ粒子などの無機物質を有しない場合、重合性樹脂組成物及び有機構成成分は同一物である。
【0021】
有機構成成分並びに重合性組成物は、好ましくは、実質的に溶剤フリーである。「実質的に溶剤フリー」とは、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満及び0.5重量%未満の非重合性(例えば有機)溶剤を有する重合性組成物を意味する。溶剤濃度は、ガスクロマトグラフィー(ASTM D5403にて記載の通り)などの既知の方法によって決定することができる。0.5重量%未満の溶剤濃度が好ましい。
【0022】
有機構成成分の構成成分は、好ましくは、重合性樹脂組成物が低粘度を有するように選択される。幾つかの実施形態では、有機構成成分の粘度は、コーティング温度にて、1Pa・s(1000cps)未満であり、通常は0.9Pa・s(900cps)未満である。有機構成成分の粘度は、コーティング温度にて、0.8Pa・s(800cps)未満、0.7Pa・s(700cps)未満、0.6Pa・s(600cps)未満、又は0.5Pa・s(500cps)未満であってよい。本発明で使用する場合、粘度は、25mmの平行板を用い、動的応力レオメータを使用して(せん断速度1000sec−1以下にて)測定する。更に、有機構成成分の粘度は通常、コーティング温度にて、少なくとも0.01Pa・s(10cps)、より典型的には少なくとも0.05Pa・s(50cps)である。
【0023】
コーティング温度は通常、周囲温度25℃(77°F)〜82℃(180°F)の範囲である。コーティング温度は、77℃(170°F)未満、71℃(160°F)未満、66℃(150°F)未満、60℃(140°F)未満、54℃(130°F)未満、又は49℃(120°F)未満であってよい。重合性組成物中での融点がコーティング温度未満であるならば、有機構成成分は、固体であり得るか、又は固形成分を含むことができる。有機構成成分は、好ましくは、周囲温度にて液体である。
【0024】
トリフェニルモノマー及び/又は有機構成成分は、少なくとも1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、又は1.60の屈折率を有する。高屈折率ナノ粒子を含む重合性組成物は、1.70までの(例えば少なくとも1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、又は1.69)屈折率を有することができる。通常、可視光スペクトルでの高透過率もまた好ましい。
【0025】
重合性組成物は、(例えば75マイクロメートルの厚さを有する輝度向上フィルムでは)好ましくは5分間未満の時間スケールでエネルギー硬化性である。重合性組成物は、通常は45℃超のガラス転移温度を提供するように、好ましくは十分に架橋される。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)、変調型DSC、又は動的機械分析などの当該技術分野において既知の方法によって測定することができる。重合性組成物は、従来のフリーラジカル重合法によって重合することができる。
【0026】
本明細書中に記載する光学フィルムは、重合性エチレン系不飽和置換基を含む、少なくとも1種のトリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物から作製される。エチレン系不飽和置換基は、好ましくは、(メタ)アクリレート置換基である。
【0027】
このようなモノマーは、その中に3つのフェニル基が、縮合ではなく結合によって結びついているトリフェニルコア構造体を含む。フェニル基の少なくとも1つは、重合性(メタ)アクリレート又はチオ(メタ)アクリレート(例えば末端)基を含む置換基を有する。幾つかの実施形態では、トリフェニルモノマーは、単官能性(メタ)アクリレートモノマーである。このような単官能性トリフェニルモノマーは好ましくは、その他のマルチ−又は特にジ(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて用いられる。その他の実施形態では、トリフェニルモノマーは、トリフェニルコア構造体の芳香環の2個又はそれ以上が、(メタ)アクリレート又はチオ(メタ)アクリレート置換基を含む、マルチ−(メタ)アクリレートモノマーである。
【0028】
一実施形態では、トリフェニルモノマーは一般的構造
【0029】
【化4】

【0030】
を有する。
【0031】
別の実施形態では、トリフェニルモノマーは一般的構造
【0032】
【化5】

【0033】
を有する。
【0034】
更に他の実施例では、トリフェニルモノマーは一般的構造
【0035】
【化6】

【0036】
を有する。
【0037】
構造体T−1、T−2、及びT−3のぞれぞれにおいて、R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であり、少なくとも1つのR2は、(メタ)アクリレート基を含み、Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、pは0〜5である。R3は、独立して、H、アリール、又はC〜C12のアルキル基である。Xのアルキル基又はR3は、直鎖を有してよく、あるいは分岐していてよい。
【0038】
トリフェニルモノマーは好ましくは、臭素及び塩素を含有する置換基を有しない。幾つかの実施形態では、トリフェニルモノマーは、同様に、その他のハロゲン含有置換基を実質的に含まない。
【0039】
幾つかの実施形態では、pは0であり、これにより、トリフェニルコア構造体の芳香環は非置換であり、即ちあらゆるハロゲン又はアルキル置換基を含まない。
【0040】
R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であるとともに、少なくとも1つのR2は、(メタ)アクリレート基を含む。R2は、通常、独立して、
【0041】
【化7】

【0042】
から選択される(メタ)アクリレート置換基であり、
式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、0〜10の範囲であり、
R1は、H又はCHであり、及び
上述したように、R3は、独立して、H、アリール、又はC〜C12のアルキル基である。
【0043】
市販のものであることが知られている出発材料を基準にすると、構造T−1のトリフェニルモノマーの場合、R2は、通常i)又はii)である。更に、構造T−3のトリフェニルモノマーの場合、R2は、通常、i)又はiii)である。
【0044】
幾つかの実施形態では、Qは、好ましくは0である。Lは、好ましくはC又はCである。更に、nは、好ましくは0、1、又は2であるとともに、幾つかの実施形態では、好ましくは1である。
【0045】
本明細書で記載されるトリフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、当業者には周知の技術の1つとして知られている合成方法により調製することができる。例えば、トリフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、トリフェニルアルコール基含有材料を(メタ)アクリル酸又はエステル化合物と反応させることにより調製することができる。更に別の合成では、トリフェニルアルコール基含有材料は、芳香族酸(例えばパラ−トルエンスルホン酸)及び(メタ)アクリル酸又はエステル化合物と反応することができる。あるいは、エポキシ出発材料は、触媒存在下にて、(メタ)アクリル酸又はエステル化合物と反応することができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、出発材料である芳香族モノアルコール、ジオール、又はトリオールは、市販されている。その他の実施形態では、出発材料である芳香族アルコールを合成することができる。
【0047】
アクリル酸2−(4−{1,1−ビス−[4−(2−アクリロイルオキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−エチルエステル(「TTA−1」)及び2,6−ジフェニルフェノキシエチルアクリレート(「TPA−1」)の代表的合成は、下記実施例に記載されている。
【0048】
使用可能なその他の出発材料の非限定的実施例としては、
【0049】
【化8】

【0050】
が挙げられる。
【0051】
次の一般的構造を有する各種出発材料は、次の表1に明記したR5、R6、R7及びR8基を有することが知られている。
【0052】
【化9】

【0053】
【表1】

【0054】
次の一般的構造を有する各種出発材料は、次の表2に明記したR9〜R15基を有することが知られている。
【0055】
【化10】

【0056】
【表2】

【0057】
別の出発材料は、
【0058】
【化11】

【0059】
S−16である。
【0060】
これらの出発材料は、アルドリッチ社、TCI社及びVWR社を含む各種供給者から市販されている。
【0061】
反応後、出発材料それぞれの、重合性の−OH又は=O基(類)は、反応して、上記のi)、ii)、又はiii)などの置換基を含有する(メタ)アクリレートを含有する分子を合成する。
【0062】
トリフェニルモノマーの好ましい種としては、少なくとも1.50の屈折率を有するトリフェニルトリ(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1.55の屈折率を有するトリフェニルジ(メタ)アクリレートモノマー、及び少なくとも1.55の屈折率を有するトリフェニルモノ(メタ)アクリレートモノマーなどのマルチ−(メタ)アクリレートトリフェニルモノマーが挙げられる。周囲温度(即ち25℃)にて(例えば粘稠な)液体であるトリフェニルモノマーもまた、プロセスのために好ましい。
【0063】
好ましい1つのトリフェニルモノマーは、一般的構造
【0064】
【化12】

【0065】
を有し、式中、Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、
pは、0〜5であり、及び
R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であるとともに、少なくとも1つのR2は、
【0066】
【化13】

【0067】
から選択される(メタ)アクリレート基を含む置換基からなり、式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、1〜10の範囲であり、及び
R1は、H又はCHである。
【0068】
重合性樹脂組成物中で用いられるトリフェニル(メタ)アクリレートモノマーの量は変えることができる。幾つかの実施形態では、重合性組成物は、ジ(メタ)アクリレートトリフェニルモノマー又はトリ(メタ)アクリレートトリフェニルモノマーなどの、単一のマルチ−(メタ)アクリレートトリフェニルモノマーのみ(即ち100%)から構成されていてよい。その他の実施形態では、重合性組成物は、少なくとも1種のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマーがマルチ−(メタ)アクリレートである、2種又はそれ以上のトリフェニルモノマーの混合物を含んでよい。少ない濃度、例えば、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、又は5重量%は、重合性樹脂組成物の屈折率を増加させるために、低屈折率構成成分(類)の一部と置き換えてよい。
【0069】
更に他の実施形態では、重合性樹脂は、50重量%以下の1種以上のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー、及び25重量%〜75重量%の1種以上のジ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマー(少なくとも2つの重合性(メタ)アクリレート基を有する)を含む。
【0070】
少なくとも2つの重合性(メタ)アクリレート基を有する、種々のモノマー及び/又はオリゴマーを用いてよい。
【0071】
好適なウレタン(メタ)アクリレートは、サルトマー社(Sartomer)から、「CN965」、「CN968」、「CN981」、「CN983」、「CN984」、「CN972」、及び「CN978」の商標名にて、コグニス社(Cognis)から、「フォトマー(Photomer)6210」、「フォトマー6217」、「フォトマー6230」、「フォトマー6623」、「フォトマー6891」、及び「フォトマー6892」の商標名にて、並びにUCB社から、「エベクリル(Ebecryl)1290」、「エベクリル2001」、及び「エベクリル4842」の商標名にて市販されている。
【0072】
好適なポリエステル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリレート化アクリル系オリゴマーもまた市販されており、あるいは当業者に既知の方法により調製することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、芳香族モノマーは、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、即ちビスフェノールAジグリシジルエーテル及びアクリル酸の反応生成物である。ビスフェノールAジグリシジルエーテルは一般に、より幅広く利用可能ではあるが、ビスフェノールFジグリシジルエーテルなどのその他のビフェノールジグリシジルエーテルもまた用いることができると考えられている。その他の実施形態では、モノマーは、異なった出発材料であるモノマーから誘導される芳香族エポキシジ(メタ)アクリレートオリゴマーである。
【0074】
出発材料であるモノマーに関係なく、重合性組成物は、好ましくは、次の一般的構造を有する主要部を含む少なくとも1種の芳香族(臭素化されているか又は臭素化されていない)二官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0075】
【化14】

【0076】
ここで、Zは、独立して、−C(CH−、−CH−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、又は−S(O)−であり、それぞれのQは、独立して、O又はSであり、Lは、連結基である。Lは、独立して、分岐又は直鎖のC〜Cアルキル基を含んでよく、nは、0〜10の範囲である。より好ましくは、Lは、C又はCであり、nは、0、1、2又は3である。アルキル連結基の炭素鎖は、1つ以上のヒドロキシ基で置換されているか又は置換されていない。例えば、Lは、−CHCH(OH)CH−であってよい。通常は、連結基は同一である。R1は、独立して、水素又はメチルである。
【0077】
ジ(メタ)アクリレートモノマーは、合成してもあるいは購入してもよい。本発明で使用する場合、主要部とは、ちょうど今述べた特定構造体(単一又は複数)を含有する、少なくとも60〜70重量%のモノマーを意味する。その他の反応生成物は通常、このようなモノマーの合成の副生物としても存在すると、一般に理解されている。ジ(メタ)アクリレートモノマーは、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物であることができる。このようなモノマーは、UCB社(UCB Corporation)(ジョージア州スミュルナ(Smyrna))から「RDX−51027」の商標名で入手してよい。本材料は、2−プロペン酸、(1−メチルエチリデン)ビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]エステルの主要部を含む。
【0078】
代わりに又はそれに加えて、有機構成成分は、1種以上の(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマーを含んでよい。各種(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマーは、市販されている。例えば、(メタ)アクリレート化芳香族エポキシ(変性エポキシアクリレートとして記載される)は、サルトマー(Sartomer)(ペンシルベニア州エクスト(Exton))から、「CN118」、及び「CN115」の商標名で入手可能である。(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマー(エポキシアクリレートオリゴマーとして記載される)は、サルトマー(Sartomer)から「CN2204」の商標名で入手可能である。更に、(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマー(40%トリメチロールプロパントリアクリレートとブレンドしたエポキシノボラックアクリレートとして記載される)は、サルトマー(Sartomer)から、「CN112C60」の商標名で入手可能である。1つの代表的芳香族エポキシアクリレートは、サルトマー(Sartomer)から「CN 120」(供給元によって、1.5556の屈折率、65℃にて2150の粘度、及び60℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)の商標名で市販されている。
【0079】
幾つかの実施形態では、芳香族エポキシアクリレートは、先に記載した構造体のようなビスフェノールAから誘導される。その他の実施形態では、芳香族エポキシアクリレートは、ビスフェノールAとは異なるモノマーから誘導される。
【0080】
1つの代表的なビスフェノール−Aエトキシル化ジアクリレートモノマーは、サートマー(Sartomer)から「SR602」(20℃において0.61Pa・s(610cps)の粘度及び2℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)の商標名にて市販されている。別の代表的なビスフェノール−Aエトキシル化ジアクリレートモノマーは、サルトマー(Sartomer)から「SR601」(20℃にて1.08Pa・s(1080cps)の粘度及び60℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)の商標名で市販されている。
【0081】
更に別の実施形態では、本明細書で記載された1種以上のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー(類)は、1種以上のビフェニル(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせることができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、ビフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、一般的構造
(B−1)を有し、
【0083】
【化15】

【0084】
式中、それぞれのR1は、独立して、H又はメチルであり、
それぞれのR2は、独立して、Brであり、
mは、0〜4の範囲であり、
それぞれのQは、独立して、O又はSであり、
nは、0〜10の範囲であり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC2〜C12のアルキル基であり、
zは、芳香環であり、及び
tは、独立して、0又は1である。
【0085】
幾つかの実施形態では、Qは、好ましくは0である。更に、nは、典型的には0、1又は2である。Lは、通常、C又はCである。あるいは、Lは、通常、ヒドロキシル置換されたC又はCである。幾つかの実施形態では、zは、好ましくはフェニル基に縮合し、それによってビナフチル(binapthyl)コア構造体を形成する。
【0086】
好ましくは、−Q[L−O]nC(O)C(R1)=CH基の少なくとも1つは、オルト位又はメタ位にて置換されている。より好ましくは、ビフェニルジ(メタ)アクリレートモノマーは、モノマーが25℃にて液体であるように、十分な量のオルト及び/又はメタ(メタ)アクリレート置換基を含む。幾つかの実施形態では、置換基を含有するそれぞれの(メタ)アクリレート基は、オルト位又はメタ位にて芳香環基に結合している。ビフェニルジ(メタ)アクリレートモノマーは、多量のオルト(メタ)アクリレート置換基(即ち少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の、ビフェニルジ(メタ)アクリレートモノマーの置換基)を含むことが好ましい。幾つかの実施形態では、置換基を含有するそれぞれの(メタ)アクリレート基は、オルト位又はメタ位にて芳香環基に結合している。メタ及び特にパラ置換基の数が増えるとともに、有機構成成分の粘度も同様に増大し得る。更に、パラ−ビフェニルジ(メタ)アクリレートモノマーは、室温で固体であり、フェノキシエチルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレート中であっても、ほとんど溶解しない(即ち10%未満)。
【0087】
このようなビフェニルモノマーは特許出願第60/893953号(2007年3月9日出願)にて、更に詳細に記載されている。その他のビフェニルジ(メタ)アクリレートモノマーは、文献に記載されている。
【0088】
その他の実施形態では、重合性樹脂組成物を含有するトリフェニル(メタ)アクリレートは、約50重量%以下の量にて、1種以上の単官能性希釈剤を含むか又は含まない。幾つかの実施形態では、重合性樹脂組成物は、その粘度を低下させることによって、樹脂組成物の加工性を向上させるために、このような単官能性希釈剤を少なくとも5重量%、10重量%又は15重量%含む。
【0089】
芳香族(例えば単官能性)(メタ)アクリレートモノマーは、通常、フェニル、クミル、ビフェニル、又はナフチル(napthyl)基を含む。好ましい希釈剤は、1.50超(例えば1.55超)の屈折率を有することができる。このような反応性希釈剤は、ハロゲン化、非臭素化、又は非ハロゲン化されていることができる。
【0090】
好適なモノマーとしては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、2−ナフチルチオエチルアクリレート、1−ナフチルチオエチルアクリレート、ナフチルオキシエチルアクリレート、2−ナフチルオキシエチルアクリレート、フェノキシ−2−メチルエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、及びフェニルアクリレートが挙げられる。
【0091】
フェノキシエチルアクリレートは、「SR339」の商標名でサルトマー社(Sartomer)から、「エターマー(Etermer)210」の商標名でエターナル・ケミカル社(Eternal Chemical Co. Ltd.)から、及び「TO−1166」の商標名で東亜合成(Toagosei Co. Ltd)から、を含む複数の供給元から市販されている。フェニルチオエチルアクリレート(PTEA)もまた、コグニス社(Cognis)から市販されている。これらのモノマーの構造は、次に示す通りである。
【0092】
【化16】

【0093】
幾つかの実施形態では、重合性組成物は、1種以上の単官能性ビフェニルモノマー(類)を含む。
【0094】
単官能性ビフェニルモノマーは、末端ビフェニル基(ここでは、2つのフェニル基は、縮合ではなく結合によって連結している)又は連結基(例えばQ)によって結合した2つの芳香族基を含む末端基を含む。例えば、連結基がメタンである場合、末端基はビフェニルメタン基である。あるいは、連結基が−(C(CH−である場合、末端基は4−クミルフェニルである。単官能性ビフェニルモノマー(類)は、更に、好ましくは放射線(例えばUV)に曝露されることで重合する単一性エチレン系不飽和基を含む。単官能性ビフェニルモノマー(類)は、好ましくは単一の(メタ)アクリレート基又は単一のチオ(メタ)アクリレート基を含む。アクリレート官能性が、通常は好ましい。幾つかの実施形態では、ビフェニル基はエチレン系不飽和基(例えば(メタ)アクリレート)に直接、結合している。この種の代表的モノマーは、2−フェニル−フェニルアクリレートである。ビフェニルモノ(メタ)アクリレート又はビフェニルチオ(メタ)アクリレートモノマーは、(例えば1〜5個の炭素の)1つ以上のヒドロキシル基によって置換されているか又は置換されていないアルキル基を更に含んでよい。この種の代表的な種は、2−フェニル−2−フェノキシエチルアクリレートである。
【0095】
一実施形態では、次の一般式を有する単官能性ビフェニル(メタ)アクリレートモノマーが用いられ、
【0096】
【化17】

【0097】
式中、R1は、H又はCHであり、
Xは、O又はSであり、
nは、0〜10の範囲であり(例えばnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)、及び
Lは、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基(即ちメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はペンチル基)であり、ヒドロキシ基によって置換されているか又は置換されていない。
【0098】
別の実施形態では、単官能性ビフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、次の一般式を有し、
【0099】
【化18】

【0100】
式中、R1は、H又はCHであり、
Xは、O又はSであり、
Qは、−(C(CH−、−CH、−C(O)−、−S(O)−、及び−S(O)−から選択され、
nは、0〜10の範囲であり(例えばnは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)、及び
Lは、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基(即ちメチル基、エチル基、ブチル基、又はペンチル基)であり、ヒドロキシ基によって置換されているか又は置換されていない。
【0101】
東亜合成(Toagosei Co. Ltd)(日本)から市販されている幾つかの特定のモノマーとしては、例えば「TO−2344」の商標名のもとに市販されている2−フェニル−フェニルアクリレート、「TO−2345」の商標名のもとに市販されている4−(−2−フェニル−2−プロピル)フェニルアクリレート、及び「TO−1463」の商標名のもとに市販されている2−フェニル−2−フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0102】
芳香族単官能性(メタ)アクリレートモノマーの各種組み合わせを用いることができる。例えば、フェニル基を含む(メタ)アクリレートモノマーを、ビフェニル基を含む1種以上の(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて用いてよい。更に、2つの異なったビフェニル(メタ)アクリレート単官能性モノマーを用いてもよい。
【0103】
重合性樹脂は、各種その他(例えば非ハロゲン化)エチレン系不飽和モノマーを35重量%まで含むか又は含まなくてもよい。例えば、(例えばプリズム)構造体が、予め形成されたポリカーボネート高分子フィルム上でキャストされ、光硬化された場合、重合性樹脂組成物は、1種以上のN,N−二置換(メタ)アクリルアミドモノマーを含んでよい。これらとしては、N−アルキルアクリルアミド及びN,N−ジアルキルアクリルアミド、特にC〜Cアルキル基を含有するものが挙げられる。その例は、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムである。
【0104】
重合性樹脂組成物は、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を含む非芳香族架橋剤を20重量%以下で含むか又は含まなくてもよい。好適な架橋剤としては、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタクリレート)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。架橋剤の任意の1種又は組み合わせを利用できる。メタクリレート基は、アクリレート基よりも反応性が小さくなりがちであるため、架橋剤(類)は好ましくはメタクリレート官能性を持たない。
【0105】
各種架橋剤が市販されている。例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)は、サルトマー社(Sartomer Company)(ペンシルバニア州エクストン(Exton))から、「SR444」の商標名で、大阪有機化学工業(Osaka Organic Chemical Industry, Ltd.)(日本、大阪)から「ヴィスコート(Viscoat)No.300」の商標名で、東亜合成(Toagosei Co. Ltd)(日本、東京)から「アロニックス(Aronix)M−305」の商標名で、及びエターナル・ケミカル社(Eternal Chemical Co., Ltd.)(台湾、高雄)から「エターマー(Etermer)235」の商標名で市販されている。トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)は、サルトマー社(Sartomer Company)から「SR351」の商標名にて市販されている。TMPTAは、「アロニックス(Aronix)M−309」の商標名で、東亜合成(Toagosei Co. Ltd)からも入手可能である。更に、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート及びエトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレートは、サルトマー(Sartomer)からそれぞれ「SR454」及び「SR494」の商標名にて市販されている。
【0106】
幾つかの実施形態では、光学フィルムの重合微細構造化表面、重合性樹脂組成物、及びトリフェニルモノマーが、実質的に臭素を含まない(即ち1重量%未満で含有する)ことが好ましい。その他の実施形態では、塩素と組み合わされた臭素の総量は、1重量%未満である。幾つかの実施形態では、重合微細構造化表面又は光学フィルム、重合性樹脂組成物、及びトリフェニルモノマーは、実質的にハロゲン化されていない(即ち臭素、塩素、フッ素及びヨウ素を1重量%未満の総量にて含有する)。
【0107】
UV硬化性重合性組成物は、少なくとも1種の光反応開始剤を含む。光開始剤単独又はそのブレンドを、本発明の輝度向上フィルム中にて用いてよい。一般に、光反応開始剤(類)は、少なくとも部分的に可溶性であり(例えば樹脂の処理温度にて)、かつ重合後には実質的に無色である。UV光源に曝露後、光反応開始剤が実質的に無色であるならば、光反応開始剤が有色(例えば黄色)であってよい。
【0108】
好適な光開始剤としては、モノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシドが挙げられる。市販のモノ又はビスアシルホスフィンオキシド光開始剤としては、「ルシリン(Lucirin)TPO」という商品名でBASF(ノースカロライナ州シャルロット(Charlotte))から市販されている2,4,6−トリメチルベンゾイルビフェニルホスフィン(trimethylbenzoybiphenylphosphine)オキシド、更に「ルシリン(Lucirin)TPO−L」という商品名でBASFから市販されているエチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、及び「イルガキュア(Irgacure)819)」という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されているビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。その他の好適な光開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)から「ダロキュア(Darocur)1173」の商標名で市販されている2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、並びにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)から、「ダロキュア(Darocur)4265」、「イルガキュア(Irgacure)651」「イルガキュア(Irgacure)1800」、「イルガキュア(Irgacure)369」、「イルガキュア(Irgacure)1700」、及び「イルガキュア(Irgacure)907」の商標名にて市販されているその他の光開始剤が挙げられる。
【0109】
光反応開始剤は、約0.1〜約10重量%の濃度で使用可能である。より好ましくは、光反応開始剤は、約0.5〜約5重量%の濃度で使用する。一般に、5重量%超では、輝度向上フィルムが黄色に変色する傾向があるという観点から、不利である。その他の光開始剤(類)もまた、当業者には周知の技術の1つによって決定されるように、適切に用いられてよい。
【0110】
表面張力を減少し、濡れ性を向上し、より滑らかなコーティングを可能にし、そしてコーティングの欠陥を減らす等のために、フルオロ界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤などの界面活性剤は、重合性組成物中に含まれるか又は含まれないことができる。
【0111】
本明細書で記載されるトリフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、非ハロゲン化高屈折率重合性有機組成物の調製において特に有用である。幾つかの実施形態では、組成物は無機ナノ粒子を含まない。
【0112】
その他の実施形態では、重合性組成物は無機ナノ粒子を更に含む。
【0113】
表面修飾(例えばコロイド状)ナノ粒子は、物品又は光学素子の耐久性及び/又は屈折率を向上させるのに有効な量で重合構造体中に存在しうる。幾つかの実施形態では、表面修飾無機ナノ粒子の総量は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%又は40重量%の量で、重合性樹脂又は光学物品中に存在しうる。重合性樹脂組成物が、微細構造フィルム製造でのキャスト及び硬化プロセスで使用するのに好適な粘度を有するように、通常、濃度は、70重量%未満、より典型的には60重量%未満である。
【0114】
このような粒子のサイズは、可視光線での顕著な光散乱を防止するように選択される。光学的な性質又は材料の性質を最適化し、かつ全組成物コストを削減するために、無機酸化物粒子タイプの混合物を利用することが望ましいこともある。表面修飾コロイド状ナノ粒子は、1nm超、5nm超又は10nm超の(例えば非会合)一次粒径又は会合粒径を有する酸化物粒子でありうる。一次粒径又は会合粒径は一般に、100nm未満、75nm未満、又は50nmである。通常、一次粒径又は会合粒径は、40nm未満、30nm未満、又は20nm未満である。ナノ粒子は非会合であることが好ましい。それらの測定は、透過型電子顕微鏡法(TEM)に基づき得る。ナノ粒子は、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、これらの混合物又はこれらの混合酸化物などの金属酸化物を含むことができる。表面修飾コロイド状ナノ粒子のほぼ全てを凝縮させることができる。
【0115】
完全に凝縮したナノ粒子(シリカを除いて)は通常、55%超、好ましくは60%超、より好ましくは70%超の結晶化度(分離金属酸化物粒子として測定した)を有する。例えば、結晶化度は、約86%以上となり得る。結晶化度は、X線回折法によって決定することができる。凝縮結晶性(例えばジルコニア)ナノ粒子は、高屈折率を有するが、非晶質ナノ粒子は通常は低屈折率を有する。
【0116】
ジルコニア及びチタニアナノ粒子は、5〜50nm、又は5〜15nm、又は8nm〜12nmの粒径を有することができる。ジルコニアナノ粒子は、耐久品又は光学素子中に、10〜70重量%、又は30〜60重量%の量で存在しうる。本発明の組成物及び物品で使用されるジルコニアは、「ナルコ(Nalco)OOSSOO8)」の商標名でナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Co.)から、及び「ビューラー(Buhler)・ジルコニアZ−WOゾル」の商標名でビューラー(Buhler)AG(スイス、ウッツヴィル(Uzwil))から入手可能である。
【0117】
ジルコニア粒子は、米国特許出願公開第2006/0148950号に記載されているような水熱技術を使用して調製可能である。ナノ粒子は、表面修飾されている。表面改質は、表面改質剤を無機酸化物(例えばジルコニア)粒子に付着させて、表面特性を改質することによって行われる。無機粒子の表面改質の全体的な目標は、均質な構成成分を持つ、好ましくは高輝度のフィルムに調製可能な(例えばキャスト及び硬化プロセスを使用して)低粘度を持つ樹脂を提供することである。
【0118】
多くの場合、ナノ粒子は、有機マトリックス材料との相溶性を向上させるために、表面改質されている。多くの場合、表面改質ナノ粒子は、有機マトリックス材料中にて、非会合、非凝集、又はこれらの組み合わせである。これらの表面改質ナノ粒子を含有する得られた光制御フィルムは、高い光学的透明度と低い曇価を有する傾向がある。ジルコニアなどの高屈折率表面改質ナノ粒子の添加は、重合した有機材料のみを含有するフィルムと比較して、輝度向上フィルムのゲインを増大させることができる。
【0119】
モノカルボン酸表面処理は、好ましくは適合化基を含む。モノカルボン酸は、式A−Bで表されてよく、ここで、A基は、ナノ粒子(例えばジルコニア又はチタニア)の表面に付着可能な基(例えばモノカルボン酸)であり、Bは、種々の異なった官能性を含む適合化基である。カルボン酸基は、吸着及び/又はイオン結合の形成によって、表面に結合することができる。一般に、適合化基Bは、それが(例えば輝度向上)光学物品の重合性樹脂と相溶性があるように選択される。適合化基Bは、反応性又は非反応性であることができ、かつ極性又は非極性であることができる。
【0120】
ジルコニア粒子に非極性を提供することができる適合化基Bとしては、例えば、直鎖又は分枝の芳香族又は脂肪族炭化水素類が挙げられる。カルボン酸官能基を有する非極性改質剤の代表的な例としては、オクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0121】
適合化基Bは、それが(例えば輝度向上)光学物品の有機マトリックスと共重合可能なように、反応性であるか又は反応性でなくてもよい。例えば、(メタ)アクリレート適合化基などのフリーラジカル性重合可能基は、(メタ)アクリレート官能性有機モノマーと共重合して、良好な均質性を備えた輝度向上物品を生成することができる。
【0122】
好適な表面改質は、米国特許出願公開第2007/0112097号及び米国特許出願第60/891812号(2007年2月27日出願)に記載されている。
【0123】
表面改質粒子は、硬化性(即ち重合性)樹脂組成物中に、各種方法で組み入れることができる。好ましい一態様では、溶媒交換手順が利用され、樹脂を表面改質ゾルに添加してから水及び共溶媒(使用する場合)を蒸発により除去することにより、粒子を重合性樹脂中に分散させる。蒸発工程は、例えば、蒸留、回転蒸発又はオーブン乾燥によって実施することができる。別の態様では、表面改質粒子は水不混和性溶媒中へと抽出し、所望の場合、続いて溶媒交換することができる。あるいは、表面改質ナノ粒子を重合性樹脂中に組み込むための別の方法は、改質粒子を粉末へと乾燥し、続いてその中に粒子を分散させた樹脂材料を添加することよって行われる。本法の乾燥プロセスは、例えば、オーブン乾燥又は噴霧乾燥などの、システムに好適な従来の方法によって達成することができる。
【0124】
光学層はベース層と直接接触することができ、あるいはベース層に光学的位置合わせすることができ、かつ光学層が光の流れの向きを変え又は収束するような、サイズ、形状及び厚みのものであることができる。光学層は、米国特許第7,074,463号に記載され、かつ示されているような多数の有用なパターンのいずれかを有することができる、構造化又は微細構造化表面を有することができる。微細構造化表面は、フィルムの長さ又は幅に沿って延びる、複数の並列長手方向リッジであり得る。これらのリッジは、複数のプリズム頂点から形成することができる。これらの頂点は、先鋭形、丸形又は平坦形又は切頭形であることができる。例えば、リッジは4〜7〜15マイクロメートルの範囲の半径で丸くなっていることができる。
【0125】
これらは、規則的又は不規則的なプリズムパターンを含み、それらは環状プリズムパターン、キューブコーナーパターン又は任意のその他のレンズ状微細構造であり得る。有用な微細構造は、輝度向上フィルムとして使用するための内部全反射フィルムとして機能することができる規則的プリズムパターンである。別の有用な微細構造は、反射フィルムとして使用するための、再帰反射フィルム又は要素として機能することができるコーナーキューブプリズムパターンである。別の有用な微細構造は、光学ディスプレイにて使用する光学素子として機能することができるプリズムパターンである。別の有用な微細構造は、光学ディスプレイにて使用する光学回転フィルム又は要素として機能することができるプリズムパターンである。
【0126】
ベース層は、光学製品、即ち光の流れを制御することを目的とした製品、に用いるのに好適な性質及び組成であることができる。材料が光学的に十分に透明でかつ組立てるのに又は特定の光学製品に使用するのに十分なだけ構造的に強ければ、ほとんどあらゆる材料をベース材料として使用することができる。光学製品の性能が時間とともに損なわれないように十分な耐温度性及び耐老化性が備わっているベース材料を選択することができる。
【0127】
有用なベース材料としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸をベースにしたコポリマー又はブレンド、ポリシクロ−オレフィン、ポリイミド、及びガラスが挙げられる。ベース材料は、これらの材料の混合物又は組み合わせを含有するか又は含有しないことができる。一実施形態において、ベースは、多層であってよく、又は連続相中に懸濁若しくは分散した分散構成成分を含有してもよい。
【0128】
例えば、輝度向上フィルムなどの微細構造保有製品などの幾つかの光学製品のための、好ましいベース材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネートが挙げられる。有用なPETフィルムの例としては、フォトグレードのポリエチレンテレフタレート及びメリネックス(MELINEX)(商標)PET(デュポン・フィルムズ(DuPont Films)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から入手可能)が挙げられる。
【0129】
幾つかのベース材料は、光学的に活性であることができ、かつ偏光材料として機能することができる。本明細書においてフィルム又は基材として参照される多数のベースは、偏光材料として有用な光学製品の分野において知られている。フィルムを通った光を偏光することは、例えば、通過光を選択的に吸収するフィルム材料内に偏光子を包含することによって、実施することができる。偏光は、並べられた雲母片などの無機材料を包含すること、又は連続的なフィルム内に分散した光変調液晶の液滴などの、連続的なフィルム内に分散した不連続相によっても達成することができる。別の方法として、フィルムは、異なった材料の極微小層から作製可能である。例えば、フィルムを延伸させること、電界又は磁場を適用すること、及びコーティング技術などの方法を用いることによって、フィルム内の偏光材料を偏光方向へと位置合わせすることができる。
【0130】
偏光フィルムの例としては、米国特許第5,825,543号及び同第5,783,120号に記載されるものが挙げられる。これらの偏光子フィルムを輝度向上フィルムと組み合わせて使用することについては、米国特許第6,111,696号に記載されている。
【0131】
ベースとして使用可能な偏光フィルムの第二の例は、米国特許第5,882,774号に記載されているようなフィルムである。市販のフィルムは、3MからDBEF(二重輝度向上フィルム)の商標名で販売されている多層フィルムである。輝度向上フィルムにおけるそのような多層偏光光学フィルムの使用については、米国特許第5,828,488号に記載されている。
【0132】
このような光再利用効果の一般的測定は、光学フィルムのゲインを測定することである。本明細書で使用するとき、「相対ゲイン」は、光学フィルム(又は光学フィルムアセンブリ)をライトボックスの最上部に置いて、実施例にて記載した試験方法による測定で、ライトボックスの最上部に光学フィルムが存在しない場合に測定された軸上輝度に対する軸上輝度として定義される。本定義は、次の関係によって要約することができる。
【0133】
【数1】

【0134】
一実施形態では、微細構造化表面を有する、光透過性(例えば、硬化した)ポリマー材料を含む光学フィルムについて記載する。光学フィルムは実質的に、少なくとも1.60の相対ゲインの単一シートを有する非分極フィルムである。相対単一シートゲインは、典型的には2.05以下である。したがって、単一シート相対ゲインはまた、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、及び1.90以上を包含する相対ゲイン値のセットの中の任意の値の範囲で変動してよい。
【0135】
その他の実施形態では、本発明は2種以上のフィルムを含む又はそれらからなる各種アセンブリに関する。それぞれのアセンブリは、第2(例えば微細構造化又は非構造化)光学フィルムに隣接した第1微細構造化光学フィルムから構成される。
【0136】
隣接したとは、十分に近傍であることを意味する。隣接したとは、フィルムがただ単に一緒に積み重ねられているか又はフィルムが各種手段で付着されているようにして、第1微細構造化光学フィルムが第2光学フィルムと接触していることを含むことができる。フィルムは、機械的手段、化学的手段、熱的手段、又はそれらの組み合わせによって取り付けてよい。化学的手段としては、各種の感圧、溶剤系、及びホットメルト接着剤、並びに熱、湿気、又は放射線に曝露された際に架橋する2元硬化性接着剤組成物が挙げられる。熱的手段としては、例えば加熱エンボス加工ローラー、高周波(RF)溶着、及び超音波溶接が挙げられる。光学フィルムは、選択箇所のみにて、又は端部のみにて、フィルム平面全体にわたって(例えば連続的に)取り付けてよい。あるいは、隣接した光学フィルムは、空気界面にて互いに離間させて分離させてよい。空気界面は、周辺部の光学フィルムの一方又はその両方の厚さを、例えば、接着剤を適用することによって増大させることで作成してよい。フィルムを、一緒にラミネート加工するのではなく積み重ねた場合、光学フィルム間の空気界面はわずか2〜3マイクロメートルであり得る。
【0137】
幾つかの実施形態では、第1微細構造化光学フィルムは、第2微細構造化光学フィルムに隣接している。このようなアセンブリでは、底部フィルムの微細構造化表面は好ましくは、最上部フィルムの非構造化表面に隣接して配置される。プリズム微細構造フィルムを用いる実施形態の場合、フィルムのプリズムは一般に、プリズムを溝部によって分離しつつ、1つの主方向に並列に位置合わせする。プリズムが、第1の(例えば最上部の)フィルムのプリズムと実質的に直交するように、積み重ねた第2の(例えば底部の)微細構造化光学フィルムのプリズム(又は溝部)を整列することが一般的には望ましい。しかし、その他の整列もまた用いることができる。例えば、第2光学フィルムのプリズムに対して、溝部又はプリズムの交点が、約70度〜約120度の範囲の角度を形成するように、第2光学フィルムのプリズムを配置してよい。
【0138】
一実施アセンブリでは、第1微細構造化実質的非分極光学フィルムは、第2微細構造化実質的非分極光学フィルムに近接している。本アセンブリのゲインは、少なくとも2.50である。第1光学フィルムは、第2光学フィルムと同一でも又は異なっていてもよい。例えば、第2フィルムは、異なったベース層組成物、異なった微細構造化表面組成物、及び/又は異なった表面微細構造を有し得る。本アセンブリの相対ゲインは通常、3.32未満である。したがって、このようなアセンブリの相対ゲインは、2.55、2.60、2.65、2.70、2.75、2.80、2.90、2.95、及び3.00以上を包含する一連の相対ゲイン値内の任意の値の範囲であってもよい。
【0139】
以下の定義された用語に関して、異なった定義が本明細書の特許請求の範囲又は箇所において示されない限り、これらの定義が適用される。
【0140】
本発明で使用する用語「微細構造」とは、米国特許第4,576,850号に定義されかつ説明されている。このため、それは、微細構造を有する物品の、所定の望ましい実用的な目的又は機能を示し又は特徴付ける表面構成を意味する。前述の物品の表面の突起及びギザギザなどの不連続部は、中心線の上の表面輪郭により包囲された面積の合計が線の下の面積の合計と等しくなるように、微細構造を通って引かれた平均中心線から輪郭がずれており、その線は物品の呼称面(微細構造を有する)に本質的に平行である。例えば、1〜30cmの表面の代表的な特性長を通って、光学又は電子顕微鏡により測定したとき、前述のずれの高さは一般に、約+/−0.005〜+/−750マイクロメートルである。前述の平均中心線は、平面、凹面、凸面、非球面又はそれらの組み合わせであってよい。前述のずれが小さく、例えば、+/−0.005〜+/−0.1、又は好ましくは+/−0.05マイクロメートルであり、前述のずれが低頻度発生又は最小頻度、即ち、表面には任意の明確な不連続部がない場合、微細構造を有する表面は、実質的に「平坦」又は「滑らかな」表面であるような物品は、例えば、眼科用メガネなどの精密な光学表面を備えた精密な光学素子又は要素として有用なものである。前述のずれが小さくかつ頻繁に生じるような物品としては、反射防止微細構造を有するようなものが挙げられる。前述のずれが大きく、例えば、+/−0.1〜+/−750マイクロメートルであり、同一若しくは異なって及びランダム若しくは規則的に隔置され又は連続している複数の実用的な不連続部を含む微細構造に寄与し得る物品は、逆反射コーナーキューブシーティング、線形フレネルレンズ、ビデオディスク及び輝度向上フィルムなどの物品である。微細構造保有表面は、前述の低レベル及び高レベルの両方の実用的な不連続部を含有することができる。微細構造保有表面は、その量又はタイプが、前述の物品の所定の所望の利用を大きく妨げたり、又は悪影響を与えたりしない限り、無関係な又は非実用的な不連続部を含有してよい。
【0141】
「屈折率」とは、材料(例えば、モノマー)の絶対屈折率を意味し、自由空間中の電磁放射線の速度とその材料中の電磁放射線の速度との比を意味する。屈折率は既知の方法を使用して測定でき、かつ一般に、アッベの屈折計又はボッシュ・アンド・ロームの屈折計(カタログ番号33.46.10)(例えば、フィッシャーインストルメンツ(Fischer Instruments)(ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh))から市販品として入手可能な)を使用して可視光領域内にて測定することができる。一般に、測定された屈折率は装置によってある程度は変化すると理解されている。
【0142】
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレート化合物の両方を意味する。
【0143】
本願において、用語「ナノ粒子」は、約100nm未満の直径を有する粒子(一次粒子又は会合一次粒子)を意味するように定義される。
【0144】
「表面改質コロイドナノ粒子」という用語は、ナノ粒子が安定な分散体を提供するようにそれぞれ改質表面を有するナノ粒子を意味する。
【0145】
本明細書では、「安定した分散体」とは、その中ではコロイド状ナノ粒子が、例えば約24時間、周囲条件下(例えば室温(約20〜22℃))、大気圧下で、極端な電磁力なしで一定期間静置した後に凝集しない分散体として定義される。
【0146】
「凝結」とは、互いに化学結合されている可能性がある一次粒子間の強い会合を意味する。より小さい粒子への凝集体の破壊は、実現困難である。
【0147】
「凝集」とは、電荷又は極性によりまとまってよく、かつより小さい構成要素に分解可能である、一次粒子間の弱い会合を意味する。
【0148】
「一次粒子サイズ」とは、単一(非アグリゲート、非アグロメレート)粒子の平均直径を意味する。
【0149】
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば1から5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5)が含まれる。
【0150】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「化合物」を含有する組成物への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、その内容に別段の明確な指示がない限り、「又は」という用語は概して、「及び/又は」を含めた意味で用いられている。
【0151】
特に指示がない限り、明細書及び添付特許請求の範囲に使用されている成分の量、性質の測定等を表す全ての数は、全ての例において、用語「約」により変更されることを理解されるべきである。
【0152】
本発明は、本明細書中に記載する特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、更に適切に言えば添付の特許請求の範囲の中で正確に説明するものが本発明の全態様を包含すると理解されるべきである。本明細書を検討すると、様々な修正形態、等価の方法、及び本発明を適用可能な非常に多数の構造が、本発明が対象とする当業界の技術者には容易に明らかなはずである。
【実施例】
【0153】
1.アクリル酸4−[1,1−ビス−(4−アクリロイルオキシ−フェニル)−エチル]−フェニルエステルの合成
500mL丸底フラスコに、機械的撹拌機、温度計及び添加漏斗を装着する。1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン50g、DMF 180g及びトリエチルアミン57.8gを添加する。室温で十分にかき混ぜる。ポット温度を25〜35℃に維持しながら、本混合物へ塩化アクリロイル48.7gを滴下する。添加完了後、混合物を1時間25℃にてかき混ぜる。エチルアセテート200gを添加し、有機部分を水150gにて4回洗浄し、次に水150g/HCl20gにて、次に飽和ブライン150gにて洗浄する。ロータリーエバポレーターにて、混合物から溶媒を除去する。
【0154】
エチルアセテート20%/ヘキサン80%を溶離液として使用して、粗製混合物を大きなシリカゲルカラムに通す。適切な生成物留分を収集し、溶媒を除去する。オフホワイト固体5gを得る。融点は130℃であり、屈折率は少なくとも1.55である。
【0155】
【化19】

【0156】
2. 2−(4−{1,1−ビス−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−エタノール中間体の合成
500mL丸底フラスコに、機械的撹拌機、温度計及び冷却管を装着する。1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン50g、DMF 100g、ヨウ化カリウム0.5g及びエチレンカーボネート47.4gを添加する。145℃まで加熱し、6時間維持する。エチルアセテート200gを添加し、有機部分を4回、飽和ブライン150gにて洗浄する。ロータリーエバポレーターにて、混合物から溶媒を除去する。黄褐色固体の収量は、78gである。沸騰エチルアセテート300g中に溶解させ、ゆっくりと冷却することによって、本粗生成物を再結晶させる。黄褐色固体70.3gを収集した(融点=78〜81℃)。
【0157】
【化20】

【0158】
アクリル酸2−(4−{1,1−ビス−[4−(2−アクリロイルオキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−エチルエステル(「TTA−1」)の合成
1000mL丸底フラスコに、機械的撹拌機、温度計及び冷却管付きディーン・スターク・トラップを装着する。2−(4−{1,1−ビス−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−エタノール50g、トルエン400g、パラ−トルエンスルホン酸(PTSA)2g、アクリル酸27.1g及びヒンダードアミン窒素酸化物阻害物質(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))から「プロスタブ(Prostab)5198」の商標名で市販されている)0.04gを添加する。還流するまで加熱し、6時間維持する。室温まで冷却し、次に、PTSA 0.7g及びアクリル酸7gを添加する。還流するまで加熱し、5時間維持する。有機部分を、炭酸ナトリウム25gを含む水250gにて洗浄し、次に飽和ブライン250gにて2回洗浄する。ロータリーエバポレーターにて、混合物から溶媒を除去する。粗生成物を、エチルアセテート500g中に溶解させ、エチルアセテートを溶離液として、シリカゲルの短いベッドを通す。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、淡黄色の油50gを得る。屈折率は、1.554である。
【0159】
【化21】

【0160】
3. 2,6−ジフェニルフェノキシエタノール中間体の合成
【0161】
【化22】

【0162】
50mLの1つ口丸底フラスコに、2,6−ジフェニルフェノール(10g、1当量)、エチレンカーボネート(3.9g、1.1当量)、ヨウ化カリウム(0.07g、0.01当量)、ジメチルホルムアミド(1g、0.3当量)を添加し、150℃まで加熱した。4時間後、反応物を40℃まで冷却し、エチルアセテート30mLを添加し、塩化ナトリウムブライン20mLにて2回、DI水20mLにて3回、及びブライン20mLにて再度、洗浄した。エチルアセテートを硫酸マグネシウム1gにて乾燥させ、ろ過し、真空にて濃縮して、オフホワイト固体(融点、77〜78℃)を回収した。
【0163】
2,6−ジフェニルフェノキシエチルアクリレート(「TPA−1」)の合成
【0164】
【化23】

【0165】
ディーン・スターク・トラップを装着した50mLの1つ口丸底フラスコに、2,6−ジフェニルフェノキシエタノール(5g、1当量)、トルエン(21mL)、アクリル酸(2.7g、2.2当量)、メタンスルホン酸(0.3g、0.18当量)、プロスタブ(Prostab)5198(0.003g)を添加し、加熱還流させた。3時間後、反応が完了した。反応物は、炭酸ナトリウム20mL及び塩化ナトリウムブライン20mLにて洗浄した。トルエン混合物は、シリカゲルの薄膜に通してろ過し、トルエン30mLにて溶出した。ろ液を「プロスタブ(Prostab)5198」(0.003g)で処理し、真空にて濃縮して、粘稠な油(>97%、GCによる)を回収した。RI=1.6062(25℃)。
【0166】
重合性樹脂組成物1: 65部のCN120(サルトマー社(Sartomer Company)(ペンシルバニア州エクストン(Exton))から入手可能なエポキシアクリレートであって、サルトマー(Sartomer)によって、65℃にて2.15Pa・s(2150cps)の粘度、1.5556の屈折率及び60℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)、15部のSR339(サルトマー社(Sartomer Company)(ペンシルバニア州エクストン(Exton))から入手可能な2−フェノキシエチルアクリレートであって、サルトマー(Sartomer)によって、25℃にて0.012Pa・s(12cps)の粘度、1.516の屈折率及び5℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)、20部のTTA−1(1.554の屈折率を持つ)、及び0.3部のダロキュア(Darocur)4265(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))から入手可能)を、アンバージャー内にて完全に一緒に混合した。
【0167】
重合性樹脂組成物2: 50部のCN120、50部のTTA−1(1.554の屈折率を持つ)、及び0.3部のダロキュア(Darocur)4265(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))から入手可能)をアンバージャーにて一緒にして完全に混合した。
【0168】
重合性樹脂組成物3: 100部のTTA−1(1.554の屈折率を持つ)、及び0.3部のダロキュア(Darocur)4265(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))から入手可能)を、アンバージャー内にて完全に一緒に混合した。
【0169】
重合性樹脂組成物4: 30部のTPA−1(1.606の屈折率を持つ)、35部のCN120、35部のSR601(サルトマー社(Sartomer Company)から入手可能なエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートであって、25℃にて1.08Pa・s(1080cps)の粘度、1.5340の屈折率及び60℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)及び0.3部のダロキュア(Darocur)4265(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))から入手可能)をアンバージャーにて一緒にして完全に混合した。
【0170】
光学フィルムサンプル調製:
輝度向上フィルムサンプルは、重合性樹脂組成物1及び2を使用して調製した。約3gの温かい樹脂を、50.8マイクロメートル(2ミル)のプライム化PET(ポリエステル)フィルム(デュポン(DuPont)から「メリネックス(Melinex)623」の商標名で入手可能)に適用し、市販のヴィキュイティ(Vikuiti)TBEF−90/24に類似した90/24パターンを備えた微細構造化装置に対して置いた。PET、樹脂及び装置を、約65.6℃(150°F)に設定した加熱した貼合せ機を通過させて、均一な厚みのサンプルを生成した。フィルム及びコーティングされた樹脂サンプルを収容した装置を、毎分9メートル(30fpm)にて、2つの600W/インチD−バルブを収容したフュージョンUV処理装置内を通過させた。PET及び硬化樹脂を装置から取り外し、サンプルへと切断した。
【0171】
ゲイン試験方法
フィルムの光学性能は、MS−75レンズ付きスペクトラスキャン(SpectraScan)(商標)PR−650スペクトラカロリメーター(SpectraColorimeter)(フォトリサーチ社(Photo Research, Inc)(カリフォルニア州チャッツワース(Chatsworth))から入手可能)を使用して測定した。拡散透過性中空ライトボックスの最上部にフィルムを置いた。ライトボックスの拡散透過及び反射は、ランバートとして説明可能である。ライトボックスは、約6mm厚の拡散PTFEプレートから作製された、約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)寸法の6面中空立方体であった。ボックスの1面は、サンプル表面として選択される。中空ライトボックスは、サンプル表面(例えば約83%、400〜700nm波長帯で平均して、後述の測定法にて)で測定して、約0.83の拡散反射率を有した。ゲイン試験中、ボックスは、ボックスの底部にある約1cm円形孔を通して照らした(サンプル表面の反対側、光を、内部からサンプル表面方向へと向ける)。この照明は、光を向けかえるために使用する光ファイバー束に取り付けた安定化広帯域白熱光源(ショット−フォステック社(Schott-Fostec LLC)(マサチューセッツ州マールボロ(Marlborough)及びニューヨーク州オーバーン(Auburn))からの約1cm直径ファイバー束延長部を備えたフォステック(Fostec)DCR−II)を使用して提供した。標準線状吸収性偏光子(メレス・グリオット(Melles Griot)03 PFG 007など)を、サンプルボックスとカメラとの間に置く。約34cm離間したライトボックスのサンプル表面にカメラの焦点を合わせ、カメラレンズから約2.5cmの位置に吸収偏光子を配置する。所定の位置に偏光子を配置してサンプルフィルムを用いずに測定したときの照光されたライトボックスの輝度は、>150cd/mであった。サンプルフィルムをボックスサンプル表面に並行に置き、フィルムが一般にボックスと接触するようにした場合、サンプル輝度は、PR−650により、ボックスサンプル表面の平面への法線入射にて測定される。相対ゲインは、このサンプル輝度を、ライトボックスのみから同様にして測定された輝度と比較することによって計算した。全ての測定は、黒いエンクロージャ内で迷光源を排除して実施した。
【0172】
ライトボックスの拡散反射率は、15.25cm(6インチ)直径のスペクトラロン(Spectralon)積分球、安定化広帯域ハロゲン光源、及び光源用電源(全てラボスフィア社(Labsphere)(ニューハンプシャー州サットン(Sutton))により供給されている)を使用して測定した。積分球は、3つの開放ポートを有し、1つのポートは光が入るためであり(直径2.5cm)、1つは検出器ポートとして第2軸線に沿って90度で(直径2.5cm)、そして第3は第3軸線に沿って90度(即ち、第1の2つの軸線と直交する)のサンプルポート(直径5cm)としてである。約38cmの距離で、検出器ポートに、PR−650スペクトラカロリメータ(Spectracolorimeter)(上記のものと同一)の焦点を合わせた。積分球の反射効率は、約99%の拡散反射率を有するSRT−99−050(ラボスフィア社(Labsphere)から)の較正した反射率標準を使用して計算した。標準は、ラボスフィア(Labsphere)によって較正し、NIST標準(SRS−99−020−REFL−51)に対応させた。積分球の反射効率は、次のようにして計算した。
【0173】
球体輝度比=1/(1−R球体×R標準)
この場合の球体輝度比は、サンプルポートを覆う参照サンプルを取り付けて検出器ポートで測定した輝度を、サンプルポートを覆うサンプルは無しで検出器ポートにて測定した輝度で除した比である。この輝度比及び較正済み標準の反射率(R標準)を知れば、積分球の反射効率(R球体)を計算することができる。次に、この値を再度類似式にて使用して、サンプルの反射率を測定する(この場合、PTFEライトボックス)。
【0174】
球体輝度比=1/(1−R球体×Rサンプル)
ここで、球体輝度比は、サンプルポートにサンプルを付けた検出器での輝度をサンプル無しで測定した輝度で除した比として測定する。R球体は、上記のように既知であるから、Rサンプルは計算可能である。これらの反射率は、4nm波長間隔にて計算され、400〜700nm波長帯での平均として報告される。
【0175】
単一シートゲインは、垂直(又はE.T.試験機で使用するディフューザーボックスの正面に対して垂直配向)にて試験した。水平、又は交差シートの構成では、フィルム積層体の底部シートは、垂直構成であり、最上部シートはディフューザーボックスの正面に対して水平又は平行である。
【0176】
表1は、次のように、重合性樹脂組成物1及び2から調製した光学フィルムの試験結果を示す。
【0177】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合微細構造化表面を含む光学フィルムであって、該重合微細構造化表面が、
50重量%までの1種以上のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー、及び25重量%〜75重量%の、ビスフェノールA(メタ)アクリレート、芳香族エポキシ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物から選択される、1種以上のジ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物を含む、光学フィルム。
【請求項2】
前記重合性樹脂組成物が、塩素、臭素、又はこれらの混合物を総量で1重量%未満含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記重合性樹脂組成物が、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を総量で1重量%未満含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記重合性樹脂が、無機ナノ粒子を含有しない、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記重合性樹脂が、少なくとも10重量%の表面修飾無機ナノ粒子を含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記無機ナノ粒子が、少なくとも1.68の屈折率を有する、請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記無機ナノ粒子がジルコニアを含む、請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記光学フィルムが、少なくとも1.59の単一シートゲインを有する輝度向上フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項9】
トリフェニルモノマーがモノ(メタ)アクリレートである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項10】
トリフェニルモノマーがマルチ(メタ)アクリレートである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項11】
重合微細構造化表面を含む光学フィルムであって、該重合微細構造化表面が、一般的構造
【化1】

を有する少なくとも1種のトリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなり、式中、R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であるとともに、少なくとも1つのR2は、(メタ)アクリレート基を含む置換基であり、
Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、かつ
pは、0〜5である、光学フィルム。
【請求項12】
pが、0である、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項13】
R2が、独立して
【化2】

式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、0〜10の範囲であり、かつ
R1は、H又はCHである、から選択される(メタ)アクリレート置換基である、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項14】
Qが、0である、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項15】
Lが、C又はCであり、かつnが、1である、請求項14に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記トリフェニルモノマーがトリ(メタ)アクリレートである、請求項11〜15のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記トリフェニルモノマーがモノ(メタ)アクリレートである、請求項11〜15のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項18】
前記トリフェニルモノマーが、構造
【化3】

を有する、請求項17に記載の光学フィルム。
【請求項19】
重合微細構造化表面を含む光学フィルムであって、該重合微細構造化表面が、一般的構造
【化4】

を有する少なくとも1種のトリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなり、式中、R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であるとともに、少なくとも1つのR2は、(メタ)アクリレート基を含む置換基であり、
Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、
かつpは、0〜5である、光学フィルム。
【請求項20】
pが、0である、請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項21】
R2が、独立して、
【化5】

式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、0〜10の範囲であり、
R1は、H又はCHであり、かつ
R3は、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基である、から選択される(メタ)アクリレート置換基である、請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項22】
Qが、0である、請求項21に記載の光学フィルム。
【請求項23】
Lが、C又はCであり、かつnが、1である、請求項22に記載の光学フィルム。
【請求項24】
前記トリフェニルモノマーが、モノ(メタ)アクリレートである、請求項19〜23のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項25】
前記トリフェニルモノマーが、ジ(メタ)アクリレートである、請求項19〜23のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項26】
前記トリフェニルモノマーが、トリ(メタ)アクリレートである、請求項19〜23のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項27】
前記トリフェニルモノマーが、構造
【化6】

を有する、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項28】
前記トリフェニルモノマーが、構造
【化7】

を有する、請求項26に記載の光学フィルム。
【請求項29】
重合微細構造化表面を含む光学フィルムであって、該重合微細構造化表面が、一般的構造
【化8】

を有する少なくとも1種のトリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなり、式中、R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であるとともに、少なくとも2つのR2基が(メタ)アクリレート基を含み、
Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、
R3は、独立して、水素、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、かつ
pが、0〜5である、光学フィルム。
【請求項30】
pが、0である、請求項29に記載の光学フィルム。
【請求項31】
R2が、独立して、
【化9】

式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、0〜10の範囲であり、
R1は、H又はCH3であり、かつ
R3は、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基である、から選択される(メタ)アクリレート置換基である、請求項29に記載の光学フィルム。
【請求項32】
Qが、0である、請求項31に記載の光学フィルム。
【請求項33】
Lが、C又はCであり、かつnが、1である、請求項32に記載の光学フィルム。
【請求項34】
前記トリフェニルモノマーが、ジ(メタ)アクリレートである、請求項29〜33のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項35】
前記トリフェニルモノマーが、トリ(メタ)アクリレートである、請求項29〜33のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項36】
前記重合性樹脂組成物が、
50重量%までの1種以上のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー、及び
25重量%〜75重量%の、少なくとも2つの重合性(メタ)アクリレート基を有する、1種以上のマルチ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを含む、請求項11〜35のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項37】
前記マルチ(メタ)アクリレートモノマーが、1種以上のビスフェノールA(メタ)アクリレート、芳香族エポキシ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物を含む、請求項36に記載の光学フィルム。
【請求項38】
前記重合性樹脂組成物が、塩素、臭素、又はこれらの混合物を総量で1重量%未満含む、請求項11〜37のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項39】
前記重合性樹脂組成物が、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を総量で1重量%未満含む、請求項11〜37のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項40】
前記重合性樹脂が、無機ナノ粒子を含有しない、請求項11〜39のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項41】
前記重合性樹脂が、少なくとも10重量%の表面修飾無機ナノ粒子を含む、請求項11〜39のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項42】
前記無機ナノ粒子が、少なくとも1.68の屈折率を有する、請求項41に記載の光学フィルム。
【請求項43】
前記無機ナノ粒子が、ジルコニアを含む、請求項42に記載の光学フィルム。
【請求項44】
前記光学フィルムが、少なくとも1.59の単一シートゲインを有する輝度向上フィルムである、請求項11〜43のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項45】
前記トリフェニルモノマーが、少なくとも1.50の屈折率を有するトリアクリレート(メタ)アクリレートモノマーである、請求項1〜44のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項46】
前記トリフェニルモノマーが、少なくとも1.55の屈折率を有する、請求項1〜45のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項47】
前記トリフェニルモノマーが、少なくとも1.60の屈折率を有する、請求項1〜46のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項48】
前記トリフェニルモノマーが、周囲温度にて液体である、請求項1〜47のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項49】
前記トリフェニルモノマーが、
a)トリフェニルアルコール基含有材料と(メタ)アクリル酸又はエステル化合物との、又は
b)トリフェニルアルコール基含有材料と芳香族酸及び(メタ)アクリル酸又はエステル化合物との反応によって調製される、請求項1〜48のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項50】
重合微細構造化表面を含む光学フィルムであって、該重合微細構造化表面が、少なくとも1種の重合性多官能エチレン系不飽和トリフェニルモノマーを含む重合性樹脂組成物の反応生成物からなる、光学フィルム。
【請求項51】
前記トリフェニルモノマーが、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物である、請求項50に記載の光学フィルム。
【請求項52】
50重量%までの1種以上のトリフェニル(メタ)アクリレートモノマー、及び25重量%〜75重量%の、ビスフェノールA(メタ)アクリレート、芳香族エポキシ(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物から選択される、1種以上のジ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを含む重合性樹脂組成物。
【請求項53】
一般的構造
【化10】

を有するトリフェニルモノマーであって、式中、Xは、独立して、ハロゲン、アリール、又はC〜C12のアルキル基であり、
pは、0〜5であり、かつ
R2は、独立して、H又は(メタ)アクリレート基を含む置換基であるとともに、少なくとも1つのR2は、
【化11】

式中、Qは、O又はSであり、
Lは、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているか又は置換されていないC〜Cのアルキル基であり、
nは、1〜10の範囲であり、かつ
R1は、H又はCHである、から選択される(メタ)アクリレートを含む置換基を含む、トリフェニルモノマー。
【請求項54】
pが、0である、請求項53に記載のトリフェニルモノマー。
【請求項55】
Qが、0である、請求項53に記載のトリフェニルモノマー。
【請求項56】
前記トリフェニルモノマーが、トリ(メタ)アクリレートである、請求項53〜55のいずれか一項に記載のトリフェニルモノマー。
【請求項57】
前記トリフェニルモノマーが、ジ(メタ)アクリレートである、請求項53〜55のいずれか一項に記載のトリフェニルモノマー。
【請求項58】
前記トリフェニルモノマーが、モノ(メタ)アクリレートである、請求項53〜55のいずれか一項に記載のトリフェニルモノマー。
【請求項59】
QがOであり、LがC又はCであり、かつnが1である、請求項53〜55のいずれか一項に記載のトリフェニルモノマー。
【請求項60】
前記トリフェニルモノマーが、構造
【化12】

を有する、請求項59に記載のトリフェニルモノマー。

【公表番号】特表2010−520939(P2010−520939A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552821(P2009−552821)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/055654
【国際公開番号】WO2008/112452
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】