説明

微細気泡発生装置及びそれを用いた復水器の防汚システム

【課題】例えば外洋から海水を取り込んでいる復水器のごとき開放流路においても、マイクロバブルを常に安定して発生させることのできる微細気泡発生装置及びそれを用いた復水器の防汚システムを提供する。
【解決手段】この試験装置1では、外洋から取水ポンプ3で取水した海水を、マイクロバブル発生装置5のエジェクタを通過させることにより、該エジェクタで外部から空気を吸引して海水中にマイクロバブルを発生させるとともに、該マイクロバブルを発生させた海水を前記マイクロバブル発生装置5の加圧ポンプ54でさらに加圧するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば海水中で微細気泡(マイクロバブル)を発生させる装置及びそれを用いた復水器の防汚システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所においては、発電用の蒸気タービンの復水器で、胴体内に収納した複数の冷却細管に海水を通し、胴体内に導入した蒸気と冷却細管内の海水とを熱交換させることで蒸気を冷却し復水するようになっている。その復水器運転中に、冷却細管内面にスライムや異物等が徐々に付着してくるため、熱交換効率が徐々に低下し、それに伴い真空度が低下し、さらには、冷却細管の閉塞や腐食に至ることもある。その結果、発電所の発電効率の低下をきたすおそれがあった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1のように、復水器運転中の冷却細管に洗浄用ボール(スポンジボール)を循環流通させ、管内のスライムや異物等を除去する洗浄装置が開発された。
【0004】
この洗浄装置では、冷却細管に冷却水を導入する冷却水入口管にボール注入管を介してスポンジボールを投入して冷却細管内を洗浄した後、冷却水出口管に設置したボール捕集網でボールの捕集を行っている。ボール捕集網で捕集されたボールは、ボール取り出し管を介して復水器から取り出され、循環ポンプによってボール注入管を介して冷却水入口に再度投入されて冷却細管の洗浄を繰り返すようになっている。
【0005】
この洗浄装置では、冷却細管内面に付着したスライムや異物等をボールで直接そぎ落とすることができるものの、ボール捕集網に海藻やボール等が付着して、復水器の冷却細管前後での差圧が上昇することから、蒸気タービンの運転に支障をきたすおそれがあった。また、ボールが外洋に流出してしまうと、環境に影響するおそれがあった。
【0006】
このため、近年、ボールを使わない洗浄方法が種々開発されている。例えば、特許文献2では、高圧ポンプとエジェクタとからなり、加圧液体に気体を包合させて気液混合流体とする起泡部と、その気液混合流体中の気泡をマイクロバブルに細分化するベンチュリ管を含むマイクロバブル供給部と、マイクロバブルを含む気液混合流体が通過する流路の一部を絞って、この絞りに突入することでマイクロバブルが微細化して、ナノバブルとして噴出するように形成したナノバブル発生部と、で構成するナノバブル発生装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献3では、エジェクタにより気体を吸い込んだ原液を加圧ポンプにより加圧し、コンプレッサーにより発生させた圧縮気体とともに、気液混合装置の流入側に供給し、該気液混合装置内で気体を混合溶解した溶解液を作り、その流出口から流出する溶解液を該溶解液中に含まれる余剰気体を開放し得るタンクに導いて貯留し、該タンクに形成した供給口から溶解液を減圧弁で減圧して適宜取り出せるようになした微細気泡発生装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2では、入口から起泡部、マイクロバブル供給部、ナノバブル発生部を通過して出口にいたるまで外部から密閉された、いわゆる密閉流路としており、その上流側から液体を圧送することで、出口まで無動力で液体を送りだすこととしている。したがって、開放流路には適用困難である。
【0009】
また、特許文献3では、開放流路に適用できるものの、入口での圧力変動がエジェクタ性能に大きく影響することがある。したがって、発電所における発電用の蒸気タービンの復水器のように、その冷却水として、外洋から海水を取り込んでいるような場合には、海面変動により入口での圧力が大きく変動するため、エジェクタ性能が確保できず、マイクロバブルを安定して発生させることが困難である。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、例えば外洋から海水を取り込んでいる復水器のごとき開放流路においても、マイクロバブルを常に安定して発生させることのできる微細気泡発生装置及びそれを用いた復水器の防汚システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の発明は、液体中に気体を溶解させることにより、微細気泡を発生させる装置であって、第一のポンプで加圧した液体を、エジェクタを通過させることにより、該エジェクタで外部から気体を吸引して液体中に微細気泡を発生させるとともに、該微細気泡を発生させた液体を第二のポンプでさらに加圧するようにしたことを特徴とするものである。なお、液体は海水、真水などであり、気体は空気、二酸化炭素、窒素、オゾンなどである。
【0012】
第一の発明によれば、第一のポンプで加圧した液体を、エジェクタを通過させることにより、該エジェクタで外部から気体を吸引して液体中に微細気泡を発生させるとともに、該微細気泡を発生させた液体を第二のポンプでさらに加圧するようにしているので、エジェクタ前後の差圧を確保し、十分な吸引力を得ることができる。これにより、かりに取水側の液面に大きな変動があったとしても、微細気泡の良好な発生状態を維持できるようになる。
【0013】
また、前記エジェクタの液体入口と液体出口との間の差圧に基づいて、第一のポンプと第二のポンプとの制御を行うか、あるいは、両ポンプ出口に設けられた弁の開度調整を行う制御装置を備えることが好ましい。
【0014】
この場合、前記エジェクタの液体入口と液体出口との間の差圧に基づいて、第一のポンプと第二のポンプとの制御を行うか、あるいは、両ポンプ出口に設けられた弁の開度調整を行う制御装置を備えたので、自動的にエジェクタ前後の差圧を確保し、十分な吸引力を得ることができる。
【0015】
また、第二のポンプは、複数の翼を有することが好ましい。
【0016】
この場合、第二のポンプは、複数の翼を有するので、エジェクタで発生した微細気泡が複数の翼でせん断されることにより、微細気泡と液体との接触面積が増大し、効率よく微細気泡を液体に溶解させることができる。
【0017】
また、第二のポンプの下流側にタンクを設けることが好ましい。
【0018】
この場合、第二のポンプの下流側にタンクを設けたので、せん断された状態の微細気泡にタンク内での滞留時間を与えることで、さらに効率よく微細気泡を液体に溶解させることができる。
【0019】
また、タンクは、気体を排出する排出部を設けることが好ましい。
【0020】
この場合、タンクは、気体を排出する排出部を設けたので、未溶解の気体を液体から排出することができる。
【0021】
また、微細気泡の注入対象物の直前に絞り部を設けることが好ましい。
【0022】
この場合、微細気泡の注入対象物の直前に絞り部を設けたので、その注入量を調整して、注入時点で減圧開放することで、適切な量の微細気泡を再発生させることができる。
【0023】
また、第二の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置を備え、該微細気泡発生装置で発生させた微細気泡を復水器に注入することを特徴とする復水器の防汚システムに係るものある。
【0024】
第二の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置を備え、該微細気泡発生装置で発生させた微細気泡を復水器に注入するので、その復水器の防汚を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
第一の発明によれば、第一のポンプで加圧した液体を、エジェクタを通過させることにより、該エジェクタで外部から気体を吸引して液体中に微細気泡を発生させるとともに、該微細気泡を発生させた液体を第二のポンプでさらに加圧するようにしているので、エジェクタ前後の差圧を確保し、十分な吸引力を得ることができる。これにより、かりに取水側の液面に大きな変動があったとしても、微細気泡の良好な発生状態を維持できるようになる。
【0026】
第二の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置を備え、該微細気泡発生装置で発生させた微細気泡を復水器に注入するので、その復水器の防汚を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の基本性能を調べるための試験装置の全体構成図である。
【図2】マイクロバブル発生装置の構成図である。
【図3】エジェクタの断面図である。
【図4】試験装置での成果を踏まえた復水器の防汚システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
マイクロバブルとは、直径が10〜50μm程度の微細な気泡をいう。通常の気泡は、急激に水液中を上昇し最終的に液面で破裂する。しかし、マイクロバブルは気泡体積が微細であるので、上昇速度が遅く長い間、水液中に滞在し続ける。また、マイクロバブルは加圧により一層小さくになり、効果的に気体が水中に溶解する。さらに、マイクロバブルは、負に帯電をしているので、マイクロバブル同士は反発し合う。このため、マイクロバブル同士の結合がなく、気泡濃度が減ることがないなどといった、通常の気泡とは異なる種々の性質を有している。
【0029】
本発明者らは、かかるマイクロバブルの諸性質を利用して、発電所における蒸気タービンの復水器の防汚システムを構築するに当たり、その基本性能を調べるための試験装置を実際に製作した。図1はその試験装置1の全体構成図である。なお、図1中の各要素は実線で示す配管でそれぞれ連絡されており、それらの適宜位置に弁(V1〜V5,V7)が介装されている。また、破線で示す電線で各ポンプと、各センサとが配電盤にそれぞれ接続されている。
【0030】
図1に示すように、この試験装置1は、主として、海水フィルタ2、取水ポンプ(第一のポンプに相当する。)3、ストレーナ4、マイクロバブル発生装置(微細気泡発生装置に相当する。)5、復水器の細管モデル(微細気泡の注入対象物に相当する。)6,7及び制御盤(制御装置に相当する。)8から構成されている。
【0031】
海水フィルタ2は、外洋から海水を取水する、海面WL下の取水口に設けられており、取水される海水中のクラゲ、貝類などの比較的大きいゴミ類を補足して除去するためのものである。
【0032】
取水ポンプ3は、例えば自吸式の陸上ポンプであって、海水フィルタ2を通して外洋から取水した海水を、詳しくは後述するマイクロバブル発生装置5を経由させて復水器の細管モデル6に移送するとともに、マイクロバブル発生装置5を経由させずに復水器の細管モデル7に直接移送するものである。
【0033】
ストレーナ4は、取水ポンプ3の出口側に設けられており、取水ポンプ3で吐出される海水中の比較的小さいゴミ類等を補足して除去するためのものである。
【0034】
復水器の細管モデル6,7は、実際の復水器の冷却側を模擬しており、その冷却水としての海水の出入口となる水室間を複数本の細管で連通させたものである。水室の容量と、細管の材質・内径・長さとは、実機のそれを忠実に再現するものとしている。
【0035】
制御盤8は、各ポンプの発停と、圧力、流量、温度等の各センサ(圧力計P1〜P5、流量計F1〜F3、温度計は図示せず。)からの検出信号を取り込み、それらを連続記録できるものである。
【0036】
図2はマイクロバブル発生装置5の構成図、図3はエジェクタ53の断面図である。以下、説明する。
【0037】
マイクロバブル発生装置5は、主として、海水入口51、エアーフィルタ52、エジェクタ53、加圧ポンプ(第二のポンプに相当する。)54、加圧容器(タンクに相当する。)55及び海水出口56から構成されている。そして、空気(大気)を使用することにより、排水時の除害などが不要で、環境負荷を考慮したエジェクタ方式+加圧溶解方式とすることにより、バブル径及びバブル崩壊までの時間をコントロールできるようになっている。
【0038】
海水入口51は、取水ポンプ3でストレーナ4を介して移送されてきた海水を装置内に取り込む部位であって、例えばフランジなどの接続部が設けられている。
【0039】
エアーフィルタ52は、外部からの空気を装置内に取り込む部位に設けられ、ここで、取り込んだ空気中の塵埃を十分に除去するようになっている。
【0040】
エジェクタ53は、図3に示すように、入口531に接続されたノズル533より高速で噴射された海水Wが、ディフューザー534のスロート部に至る一方、入口532より吸引された空気Aが流入し、噴射された海水Wに同伴されて出口535より吐出されるものである。これにより、マイクロバブルを発生して、それを海水W中に混入できるようになっている。
【0041】
加圧ポンプ54は、マイクロバブルを混入した海水を加圧することにより、マイクロバブルを海水中に溶解しやすくしたものである。具体的には、エジェクタ53から吐出されたマイクロバブルを混入した海水を0.39MPa(4Kg/cm2)程度に加圧して、マイクロバブルの溶解を促進するようにしている。また、加圧ポンプ54として、複数の翼を内装した渦流式のものを用いている。これにより、複数の翼でマイクロバブルをせん断して、バブル径をより小さくすることで、マイクロバブルの溶解さらに促進するようにしている。
【0042】
加圧容器55は、加圧ポンプ54で溶解を促進したマイクロバブルを含む海水を、本体上部の海水入口から流入し、そこで加圧状態で貯留させる間に、加圧時間を稼ぐとともに、海水中に溶解することができなかった余剰バブル(気体)を分離するようになっている。例えば、余剰バブルを頂部付近に集めて、そこに設けられたベント弁(排出部に相当する。)V6から外部に放出する一方、余剰バブルを分離した海水を本体下部の海水出口から排出するものである。
【0043】
出口56は、加圧容器55から排出された、マイクロバブルを溶解した海水を装置外に放出する部位であって、例えばフランジなどの接続部が設けられている。
【0044】
以下、本試験装置1の動作について説明する。
【0045】
まず制御盤8から取水ポンプ3を起動し、海水フィルタ2を介して外洋の海水を取水する。そして、取水した海水の一部を、ストレーナ4を介してマイクロバブル発生装置5に移送する。
【0046】
次いで、マイクロバブル発生装置5を起動して、エジェクタ入口51から、取水ポンプ3でストレーナ4を介して移送されてきた海水を、装置内のエジェクタ53に取り込む。
【0047】
すると、図3に示すように、海水Wは、エジェクタ53の海水入口531に接続されたノズル533より高速で噴射される。この高速で噴射された海水Wが、ディフューザー534のスロート部に至る。このとき、外部の空気Aが、エアーフィルタ52を介して、エジェクタ53の空気入口532より吸引される。そして、吸引された空気Aは、前記高速で噴射された海水Wの作用により微細化されて海水W中にマイクロバブルが発生する。このマイクロバブルが混入した海水Wは、海水出口535より吐出される。
【0048】
次いで、加圧ポンプ54は、マイクロバブルを混入した海水を加圧することにより、マイクロバブルを海水中に溶解しやすくする。具体的には、エジェクタ53から吐出された、マイクロバブルを混入した海水を0.39MPa(4Kg/cm2)程度に加圧して、マイクロバブルの溶解を促進する。また、加圧ポンプ54の翼でマイクロバブルをせん断することにより、マイクロバブルの溶解をさらに促進する。
【0049】
次いで、加圧ポンプ54でマイクロバブルの溶解を促進した海水を、加圧容器55の本体551の上部入口552から流入する。そこで加圧状態で貯留する間に、加圧時間を稼ぐとともに、海水中に溶解することができなかった余剰バブルを分離する。具体的には、余剰バブルを頂部付近に集めて、そこに設けられたベント弁553から外部に放出する一方、余剰バブルを分離し海水を下部出口554から排出する。
【0050】
そして、加圧容器55から排出された、余剰バブルを分離した海水を、海水出口56から装置外に放出する。このときの海水は透明であり、マイクロバブルはあたかも消滅したかのように見える。
【0051】
この放出された海水は、復水器の細管モデル6の直前に設けられた弁(絞り部に相当する。)V7を介して、その入口側水室に導入され、細管を通過して、出口側の水室にいたる。このときに、弁V7によりマイクロバブルの注入量を調整して、注入時点で減圧開放することで、適切な量のマイクロバブルを発生(再発生)させることができる。そして、この発生させたマイクロバブルが、細管を通過する間に、細管に付着したスラリ等を除去する。なお、両水室にはそれぞれ圧力センサP2,P3が取り付けられているので、制御盤8には該圧力センサP2,P3からの検出信号が取り込まれ、そこで連続的に記録される。出口側の水室を出た海水はもとの外洋の海面下に戻される。
【0052】
本試験装置1によれば、いずれも手動操作で、各ポンプの容量(圧力・流量)調整と、各弁の開度調整とを行うことにより、エジェクタ前後の差圧を確保し、十分な吸引力を得ることができることがわかった。また、マイクロバブル発生装置5でのマイクロバブルの良好な発生状況を視認することもできた。すなわち、マイクロバブル発生装置5から出た時点での、マイクロバブルが溶解した海水はほとんど透明であり、その溶解が促進されている。そして、細管モデル6の海水入口側の水室における海水は乳白色であり、マイクロバブルの再発生が確認できた。ただし、現時点では試験時間が短いため、細管モデル6,7間での防汚効果の相違については、まだ十分に確認できておらず、今後の試験で明らかにすることとした。
【0053】
図4は試験装置での成果を踏まえた復水器の防汚システム1aの全体構成図である。なお、この復水器の防汚システム1aでは、上記試験装置1と異なる要素はその符合に添え字「a」を付し、共通する要素はその符号を同一のものとして重複説明を省略した。
【0054】
図4に示すように、この復水器の防汚システム1aは、主として、海水フィルタ2、取水ポンプ(第一のポンプに相当する。)3、ストレーナ4、マイクロバブル発生装置(微細気泡発生装置に相当し、第二のポンプに相当する加圧ポンプ54を含む。)5、復水器(注入対象物に相当する。)6a及び制御盤(制御装置に相当する。)8aから構成されている。
【0055】
復水器6aは、実際の復水器である。ここでは、水室間を連通する細管内に流れる海水と、胴体内部に導入した高温蒸気との間で熱交換させるようになっている。
【0056】
制御盤8aは、マイクロバブル発生装置5のエジェクタ53における、海水入口と海水出口との間に設けられたセンサPdで検出した差圧に基づいて、取水ポンプ3と加圧ポンプ54との制御を行うか、あるいは、各ポンプ出口の弁の開度調整を自動的に行うようにしてもよい。なお、2個のセンサでそれぞれ検出した圧力から差分をとってもよいのはいうまでもない。
【0057】
このため、制御盤8aには、いずれも図示しないCPUやメモリを設けている。そして、メモリに予め記憶されたプログラムとデータとをCPUが読み込み、前記センサPdで検出した差圧を用いて所定の演算を行い、その演算結果に基づいて作成された制御信号を、取水ポンプ3と加圧ポンプ54との各ドライバ(図示省略。)に発することで、前記制御を行うか、或いは、各ポンプ出口の図示しない弁の開度調整を自動的に行うようになっている。その他、各ポンプの発停と、圧力、流量、温度等の各センサ(圧力計P1〜P3、流量計F1〜F3、温度計は図示せず。)からの検出信号を取り込み、それらを連続記録できるものである点は前記と同様である。
【0058】
本復水器の防汚システム1aによれば、自動的にエジェクタ53の前後の差圧を確保し、十分な吸引力を得ることができるようになる。これにより、海水を取水する海面WLに大きな変動があったとしても、マイクロバブル発生装置5でのマイクロバブルの良好な発生状態を維持できるようになる。その結果、復水器6aの良好な防汚効果が得られうるものとなる。
【0059】
なお、上記実施形態では、復水器6aの冷却水は大量であることと、細管の腐食防止等を考慮して、液体は海水とし、気体は空気としているが、かかる問題がない場合には、液体は、真水などであってもよく、気体は、二酸化炭素、窒素、オゾンなどであってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、マイクロバブル発生装置5を用いて復水器の防汚システム1aを構成したが、このマイクロバブル発生装置5の適用先はこれに限定されない。例えば、マイクロバブルの生物への賦活作用などを用いて、カキの養殖、水質浄化に適用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、復水器の防汚システム1aに単独で適用することとしたが、ボール式の従来システムと併用してもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0062】
1 試験装置
1a 復水器の防汚システム
2 海水フィルタ
3 取水ポンプ(第一のポンプに相当する。)
4 ストレーナ
5 マイクロバブル発生装置(微細気泡発生装置に相当する。)
51 海水入口
52 エアーフィルタ
53 エジェクタ
54 加圧ポンプ(第二のポンプに相当する。)
55 加圧容器(タンクに相当する。)
56 海水出口
6,7 復水器の細管モデル(注入対象物に相当する。)
6a 復水器(注入対象物に相当する。)
8,8a 制御盤(制御装置に相当する。)
V6 ベント弁(排出部に相当する。)
V7 弁(絞り部に相当する。)
Pd センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2010−169335号公報
【特許文献2】特開2011−121002号公報
【特許文献3】実公平7−37702号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に気体を溶解させることにより、微細気泡を発生させる装置であって、
第一のポンプで加圧した液体を、エジェクタを通過させることにより、該エジェクタで外部から気体を吸引して液体中に微細気泡を発生させるとともに、該微細気泡を発生させた液体を第二のポンプでさらに加圧するようにしたことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記エジェクタの液体入口と液体出口との間の差圧に基づいて、第一のポンプと第二のポンプとの制御を行うか、あるいは、両ポンプ出口に設けられた弁の開度調整を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
第二のポンプは、複数の翼を有することを特徴とする請求項1又は2記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
第二のポンプの下流側にタンクを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
タンクは、気体を排出する排出部を備えたことを特徴とする請求項4記載の微細気泡発生装置。
【請求項6】
微細気泡の注入対象物の直前に絞り部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置を備え、該微細気泡発生装置で発生させた微細気泡を復水器に注入することを特徴とする復水器の防汚システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71047(P2013−71047A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211693(P2011−211693)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(593166347)柳田産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】