説明

微細流路

【課題】複雑な機構を用いることなく、液流の制御ができるようにする。
【解決手段】基板101の上に封止膜104を形成することで、まず、溝部102と封止膜104とに挟まれた空間に形成された流入路105および流出路106を備える。流入路105および流出路106は、平面的に見て、凹部103を挟んで配置される。また、凹部103(基板101)と封止膜104とに挟まれた凹部103の周辺部の空間に形成されて流入路105および流出路106を連通する主制御流路107と、凹部103と封止膜104とに挟まれた凹部103の周辺部の空間に形成された主制御流路107以外の副制御流路108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば細菌やDNAなどを含む試料溶液を移送する微細な流路を備える微細流路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細菌やDNAなどを迅速かつ簡便に分析する技術が重要となってきている。このような分析を行うツールとして、μTAS(Total Analysis System)の研究および開発が活発に行われている。μTASは、細菌やDNAなどを含んだ検査対象である液体の注入口,流路,ポンプ,バルブ,誘導層,分離層,および反応層などを備えている。この中でも、流路は、μTASを構成する最も基本的な構造体である。このような測定の分野では、測定対象の試料は微量な液体の場合が多い。このため、上述したような測定においては、ミクロン単位の管径とした微細な流路を用い、微量な試料溶液を移送し、検体の濃度を低下させることなくより高感度,高効率に測定を行うようにしている。
【0003】
上述した流路の作製について簡単に説明する。例えば、図9の断面図に示すように、石英基板901に溝902を形成し、石英基板901の上に石英からなる上板903を接着固定することで、溝902からなる流路を形成する。石英基板901と上板903との瀬着では、上板903の接着面をフッ酸溶液で溶解し、これを石英基板901の上に貼り付けるようにしている(非特許文献1参照)。例えば、半導体装置の製造技術でよく知られたフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることで、溝902の断面の寸法を、幅10μm・高さ10μmとすることは容易であり、微細な流路が形成できる。
【0004】
【非特許文献1】H.Nakanishi et al.,"Studies on SiO2-SiO2 bonding with hydrofluoric acid. Room temperature and low stress bonding technique for MEMS", Sensors and Actuators A Physical, Vol.79, pp.237-244, 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように形成される流路では、流路の全面が親水性の石英から構成されているため、水溶液からなる検体は、流路を容易に流れていく。また、自身が泳動する細菌などが存在する液体を対象とする場合、液流と細菌泳動との区別が困難になり、分析に支障を来す場合がある。このため、過度な液流を制御するためのポンプおよび液止めバルブなどの複雑な機構が必要となる。このような複雑な機構は、作製が容易ではなく、また、移送経路に大きな無駄が発生することになり、試料溶液の微量化には限界がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、複雑な機構を用いることなく、液流の制御ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る微細流路は、基板の表面上に形成された断面矩形の溝部と、基板の表面上の溝部の一部に形成され、溝部と同じ深さで溝部より幅が広い凹部と、溝部は覆い、凹部では、自身が変形することで凹部の周辺部を除く凹部の底面に接触して基板の表面上に形成された封止膜と、溝部と封止膜とに挟まれた空間に形成されて凹部に接続する流入路および流出路と、凹部と封止膜とに挟まれた凹部の周辺部の空間に形成されて流入路および流出路を連通する主制御流路と、凹部と封止膜とに挟まれた凹部の周辺部の空間に形成された主制御流路以外の副制御流路とを少なくとも備え、封止膜は基板と異なる表面エネルギーを備えているものである。
【0008】
上記微細流路において、流入路および流出路は、溝部の底面と溝部の対向する2つの側面と封止膜の内側表面とに囲まれ、主制御流路および副制御流路は、凹部の側壁と凹部の周辺部底面と封止膜の内側表面とに囲まれているようにすればよい。
【0009】
上記微細流路において、封止膜は、可撓性を備える状態で基板の上に形成されたものであればよい。また、副制御流路に圧力を加える圧力制御手段を備えるようにしてもよい。この場合、基板の表面上の溝部の一部に形成され、溝部と同じ深さで溝部より幅が広い第1凹部および第2凹部と、溝部は覆い、第1凹部および第2凹部では、自身が変形することで第1凹部および第2凹部の各々周辺部を除く第1凹部および第2凹部の底面に接触して基板の表面上に形成された封止膜と、封止膜と溝部とに挟まれた空間に形成されて第1凹部および第2凹部に接続する流入路および流出路と、第1凹部および第2凹部の間の封止膜と溝部とに挟まれて空間に形成された接続流路と、第1凹部および第2凹部と封止膜とに挟まれた第1凹部および第2凹部の各々の周辺部の空間に形成されて流入路および流出路を連通する第1主制御流路および第2主制御流路と、第1凹部および第2凹部と封止膜とに挟まれた第1凹部および第2凹部の各々の周辺部の空間に形成された第1主制御流路および第2主制御流路以外の第1副制御流路および第2副制御流路と、第1副制御流路に接続する第1圧力制御手段と、第2副制御流路に接続する第2圧力制御手段とを備えるようにしてもよい。また、接続流路に接続された排出流路と、この排出流路の一端に形成された開閉可能な排出口とを備えるようにしてもよい。
【0010】
上記微細流路において、基板の表面上の溝部の一部に形成され、溝部と同じ深さで溝部より幅が広い第1凹部および第2凹部と、溝部は覆い、第1凹部および第2凹部では、自身が変形することで第1凹部および第2凹部の各々周辺部を除く第1凹部および第2凹部の底面に接触して基板の表面上に形成された封止膜と、封止膜と溝部とに挟まれた空間に形成されて第1凹部および第2凹部に接続する流入路および流出路と、第1凹部および第2凹部の間の封止膜と溝部とに挟まれて空間に形成された接続流路と、第1凹部および第2凹部と封止膜とに挟まれた第1凹部および第2凹部の各々の周辺部の空間に形成されて流入路および流出路を連通する第1主制御流路および第2主制御流路と、第1凹部および第2凹部と封止膜とに挟まれた第1凹部および第2凹部の各々の周辺部の空間に形成された第1主制御流路および第2主制御流路以外の第1副制御流路および第2副制御流路と、第1副制御流路に接続する第1圧力室と、第2副制御流路に接続する第2圧力室と、第1圧力室と第2圧力室との差圧を検出する検出手段と、第2圧力室に接続し、検出手段が検出した差圧の状態により第2副制御流路に圧力を制御して加える圧力制御手段とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、溝部と封止膜とに挟まれた空間に形成されて凹部に接続する流入路および流出路と、凹部と封止膜とに挟まれた凹部の周辺部の空間に形成されて流入路および流出路を連通する主制御流路と、基板と封止膜とに挟まれた凹部の周辺部の空間に形成された主制御流路以外の副制御流路とから微細流路を構成したので、複雑な機構を用いることなく、液流の制御ができるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0013】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1A,図1B,図1C,図1D,図1E,図1Fを用いて説明する。図1A,図1E,図1F,は、本発明の実施の形態1における微細流路の構成例を示す平面図、図1B,図1C,図1Dは、本発明の実施の形態1における微細流路の構成を示す断面図である。
【0014】
本実施の形態における微細流路は、例えば石英などの基板101の表面上に形成された断面矩形の溝部102と、基板101の表面上の溝部102の一部に形成され、溝部102と同じ深さで溝部102より幅が広い凹部103とを備える。溝部102は凹部103に接続している。また、溝部102は覆い、凹部103では、自身が変形することで凹部103の周辺部を除く凹部103の底面に接触して基板101の表面上に形成された封止膜104を備える。封止膜104は、基板101とは異なる表面エネルギーを備えるものであり、例えば、ポリイミドを材料として構成されている。なお、図1Aにおいて、領域141は、封止膜104が凹部103の底面に接触している領域を示している。
【0015】
この微細流路は、上述したように基板101の上に封止膜104を形成することで、まず、溝部102と封止膜104とに挟まれた空間に形成された流入路105および流出路106を備える。流入路105および流出路106は、凹部103に接続し、平面的に見て凹部103を挟んで配置される。また、凹部103(基板101)と封止膜104とに挟まれた凹部103の周辺部の空間に形成されて流入路105および流出路106を連通する主制御流路107と、凹部103と封止膜104とに挟まれた凹部103の周辺部の空間に形成された主制御流路107以外の副制御流路108とを備える。
【0016】
従って、流入路105および流出路106は、溝部102の底面と溝部102の対向する2つの側面と封止膜104の内側表面とに囲まれており、断面が矩形となっている。また、主制御流路107および副制御流路108は、凹部103の側壁と凹部103の周辺部底面と封止膜104の内側表面とに囲まれ、断面が三角形に近い形状となっている。また、本実施の形態においては、溝部102および凹部103は、同じ深さに形成されているため、主制御流路107および副制御流路108は、流入路105および流出路106より小さい断面積に形成されていることになる。
【0017】
ここで、本実施の形態における微細流路の製造方法について、図1Aおよび図1Dを用いて簡単に説明する。まず石英製の板厚1mm程度の基板101を用意し、この上に、溝部102および凹部103、また、他の流路となる溝部116などの形状を、よく知られたフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とにより形成する。なお、溝部102は、図1Dの断面図には示されない。例えば、溝部102,溝部116,および凹部103などの形状となる開口部を備えたレジストパターンを基板101の上に形成し、基板101をウエットエッチングで選択的に10μm程度の深さまでエッチングすることで、溝部102,溝部116,および凹部103を形成する。なお、溝部102,溝部116は幅10μm程度とし、凹部103は、例えば溝部102より離れる方向の横は1mmとし、溝部102が延在する方向の縦は0.5mmに形成されている。
【0018】
次に、溝部102および凹部103が形成された基板101の表面上に、膜厚10μmのポリイミド膜を熱圧着することで、封止膜104を形成する。例えば、よく知られたSTP(Spin-coating film Transfer and hot Pressing)法により、封止膜104が形成できる。まず、シートフィルム121の上に、10μm程度の膜厚にポリイミド樹脂を塗布して封止膜104を形成する。次に、シートフィルム121の封止膜104の形成面を基板101の表面に押し付け、この状態で熱圧着する。このように圧着するときには、ポリイミド樹脂からなる封止膜104は、可撓性を有する状態である。
【0019】
この後、シートフィルム121を封止膜104より離型すれば、基板101の上に封止膜104が形成された状態となる。また、上述したように可撓性を有する状態の封止膜104を熱圧着するので、開放面積が大きい凹部103においては、凹部103の凹凸形状に沿うように封止膜104が変形する。この結果、封止膜104の下面(内側の面)が、凹部103の周辺部を除く底面の領域141に接触し、図1Cに示すように、凹部103と封止膜104とに挟まれた凹部103の周辺部の空間に、主制御流路107および副制御流路108が形成される。主制御流路107および副制御流路108は、例えば、幅方向に10μm程度凹部103の底面が露出した状態に形成される。
【0020】
以上のように形成された本実施の形態における微細流路によれば、可撓性を有する状態で封止膜104を基板101の上に圧着形成するという簡単な工程で、断面が矩形の流入路105および流出路106と、三角形に近い形状の断面とされた主制御流路107および副制御流路108とが、形成されるようになる。
【0021】
本実施の形態によれば、封止膜104をポリイミド樹脂から構成しているため、各流路は、異なる2種類の表面エネルギーを備えた側面で構成されていることになる。言い換えると、各流路は、水に対して濡れ性の高い石英の部分と、これに比較して濡れ性の低いポリイミド樹脂の部分とから構成されていることになる。例えば、石英の表面エネルギーは60mN/mであり、ポリイミドの表面エネルギーは20mN/mである。また、流入路105および流出路106に比較して、主制御流路107および副制御流路108は、より濡れ性の高い石英の部分が小さい(狭い)状態となっている。言い換えると、流入路105および流出路106に比較して、主制御流路107および副制御流路108は、より濡れ性の低いポリイミドの部分が大きい(広い)状態となっている。従って、流入路105および流出路106に比較して、主制御流路107および副制御流路108は、濡れ性が低い流路となっている。
【0022】
以上のことより、流入路105および流出路106に比較すると濡れ性の低い主制御流路107および副制御流路108においては、移送される水溶液が、流入路105および流出路106よりも流れにくい状態となる。なお、本実施の形態においては、上述した濡れ性の違いに加え、主制御流路107および副制御流路108が、流入路105および流出路106に比較して狭くなっている。ここで、例えば、図1Eに示すように、流入路105を流れる水溶液131は、一部が副制御流路108に浸入するが、主制御流路107に流れる水溶液131が流出路106に到達すると、副制御流路108の流出路106における接続口が塞がれ、副制御流路108の空間が密閉される。この時点で、副制御流路108に対する新たな水溶液131の浸入は停止する。このため、この時点以降は、流入路105を流れる水溶液131は、主制御流路107を通り流出路106に流れていく。
【0023】
以上のように、水溶液131が、流入路105,主制御流路107および流出路106を流れるなかで、主制御流路107においては、流入路105に比較して流れにくい状態となっている。従って、主制御流路107の長さを設定することで、流入路105,主制御流路107および流出路106を流れる水溶液の流速を抑制する方向に制御することができる。
【0024】
なお、流入路,主制御流路,および流出路が、直線状に形成されて直線状に配列されている必要はない。例えば、図1Fに示すように、基板101の表面上に形成された断面矩形の溝部102と、基板101の表面上の溝部102の一部に溝部102をまたぐように形成され、溝部102と同じ深さで溝部102より幅が広い凹部103aとを備えるようにしてもよい。この場合、凹部103aの周辺部の空間に形成されて流入路105および流出路106を連通する主制御流路117と、凹部103aの周辺部の空間に形成された主制御流路117以外の副制御流路118とを備えるものとなる。なお、図1Fでは、封止膜104を省略しており、封止膜104が凹部103の底面に接触している領域141を一点鎖線で示している。
【0025】
凹部103aは、流入路105および流出路106を結ぶ線分を境に、非対称に配置され、主制御流路117が、副制御流路118に比較して延在する長さが短い流路とされている。
【0026】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態2における微細流路の構成例を示す平面図である。本実施の形態における微細流路は、例えば石英などの基板201の表面上に形成された断面矩形の溝部202と、基板201の表面上の溝部202の一部に形成され、溝部202と同じ深さで溝部202より幅が広い凹部203とを備える。また、溝部202は覆い、凹部203では、自身が変形することで凹部203の周辺部を除く凹部203の底面に接触して基板201の表面上に形成された封止膜204とを備える。封止膜204は、例えば、ポリイミドを材料として構成されている。
【0027】
この微細流路は、上述したように基板201の上に封止膜204を形成することにより、まず、溝部202と封止膜204とに挟まれた空間に形成され、凹部203に接続する流入路205および流出路206を備える。流入路205および流出路206は、平面的に見て、凹部203を挟むように配置されている。また、本実施の形態における微細流路は、凹部203と封止膜204とに挟まれた凹部203の周辺部の空間に形成されて流入路205および流出路206を連通する主制御流路207と、凹部203と封止膜204とに挟まれた凹部203の周辺部の空間に形成された主制御流路207以外の副制御流路208とを備える。
【0028】
以上の構成は、前述した実施の形態1と同様である。本実施の形態においては、上述した構成に加え、主制御流路207を形成する凹部203の側部に、凹凸部203aを備える。凹凸部203aは、例えば、凸部および凹部の間隔が50μm程度とされ、また、凸部の突出している長さが、50μm程度とされている。凹凸部203aを備えるので、凹部203の上に形成された封止膜204との間に形成される主制御流路207においては、流路方向に垂直な方向に幅がより広くされた箇所が、凹凸の間隔で形成されることになる。幅がより広く形成された箇所においては、断面積がより広くなり、加えて、基板201の面がより広い状態となり、濡れ性がより高まる状態となる。
【0029】
このため、幅が広くされた箇所においては、より流れやすい状態となる。言い換えると、凹凸部203aにおいては、流れ難い状態の領域と、これより若干流れやすい状態の領域とが交互に配置された状態となる。言い換えると、試料の液が若干流れやすくなる部分的な領域が、所定の間隔で配置された状態となる。また、上述では、凹部203の領域に側方に広がる凹凸領域203aを設けるようにしたが、溝部202においても、側方に広がる凹凸領域を設け、流れにくくなる部分的な領域が所定の間隔で配置されるようにしてもよい。
【0030】
なお、図3に示すように、封止膜104が凹部103の底面に接触する領域104bをより狭くし、より幅広の主制御流路127および副制御流路128が形成されるようにしてもよい。このようにしても、主制御流路127および副制御流路128においては、基板101とは表面エネルギーが異なる(濡れ性が低い)封止膜(不図示)が占める領域をより大きくすることができる。図3において、他の符号は、図1Aと同様である。
【0031】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。図4Aおよび図4Bは、本実施の形態における微細流路の構成を示す平面図であり、また、図中に、移送対象となる試料である水溶液431の状態を模式的に示している。
【0032】
本実施の形態3における微細流路は、まず、基板(不図示)の表面上に形成された断面矩形の溝部102と、基板の表面上の溝部102の一部に形成され、溝部102と同じ深さで溝部102より幅が広い凹部103とを備える。また、溝部102は覆い、凹部103では、自身が変形することで凹部103の周辺部を除く凹部103の底面に、領域141で接触して基板の表面上に形成された封止膜(不図示)とを備える。なお、図4A,図4Bでは、基板および封止膜を省略して示していない。
【0033】
また、この微細流路は、流入路105および流出路106と、主制御流路107と、副制御流路108とを備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。例えば、流入路105および流出路106においては、断面が幅10μm・高さ10μmの矩形とされ、主制御流路107および副制御流路108においては、断面が底辺の長さ10μm・高さ10μmの三角形に近い形状とされている。また、主制御流路107の長さは0.5mm程度とされている。また、凹部103の溝部102より離れる方向の横は1mm程度とされている。本実施の形態では、新たに、圧力制御部401と、圧力制御部401および副制御流路108を連通する連通路402とを備える。
【0034】
圧力制御部401は、副制御流路108の内部圧力の増減を制御する。圧力制御部401は、例えば、静電引力などの駆動力で駆動するダイアフラムを備え、副制御流路108内部の圧力(気体の圧力)を増減させる。また例えば、圧力制御部401は、加熱および冷却による気体の膨張および収縮にともなう力で、ダイアフラムを動作させるものであってもよい。圧力制御部401の動作により、副制御流路108内部の圧力を上昇させる。例えば、圧力制御部401は、10〜20kPaの圧力を印加して副制御流路108内部の圧力を上昇させる。
【0035】
以下、本実施の形態における微細流路における水溶液431の液流(移送)の制御動作について説明する。まず、図4Aに示すように、流入路105に水溶液431が流れてくると、一部が副制御流路108に浸入し、主制御流路107に流れる水溶液431が流出路106に到達し、副制御流路108の流出路106の接続口が塞がれ、副制御流路108に対する新たな水溶液の浸入が停止する。引き続いて流入路105に流れてくる水溶液431は、主制御流路107を通り流出路106に流れていく。
【0036】
上述したように、流入路105,主制御流路107,流出路106を水溶液431が流れている状態で、圧力制御部401により副制御流路108の内部圧力を上昇させ(10〜20kPa)、図4Bに示すように、副制御流路108内の空間領域を拡大させ、この空間を主制御流路107にまで拡大させる。この主制御流路107に形成された空間により、流入路105の中の水溶液431と流出路106の中の水溶液431とは分断される。この結果、流入路105から主制御流路107を経由した流出路106にかけての水溶液431の流れ(移送)は、停止されることになる。
【0037】
流れによる空間(気泡)との境界面に働く力と表面張力の関係を示すよく知られたウェーバー数より、例えば、流速10μm/sの場合、10〜20kPa程度の圧力を加え、図4Bに示すように、主制御流路107に気体による空間を形成すれば、流入路105から主制御流路107を経由して流出路106にかけての水溶液431の流を停止させることができることがわかる。言い換えると、μTASなどの分析で用いられるミクロンオーダの微細な流路であれば、本実施の形態の微細構造体により、試料の液流を停止させることができる。
【0038】
また、本実施の形態の微細構造体によれば、バルブのような固体物(弁体)によって流路内を閉鎖しようとしているのではない。例えば、バルブの場合、弁体と弁箱との間の隙間を完全になくすことは容易ではなく、僅かな隙間の存在により液漏れが発生する。これに対し、本実施の形態の微細構造体によれば、弁体に相当する部分を気体による空間で構成しているため、上述したような隙間が発生することが無く、試料の液流を完全に停止させることが可能となる。
【0039】
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4における微細流路について、図5A,図5B,および図5Cを用いて説明する。図5A,図5B,および図5Cは、本発明の実施の形態4における微細流路の構成を示す平面図であり、また、図中に、移送対象となる試料である水溶液531の状態を模式的に示している。
【0040】
本実施の形態4における微細流路は、まず、基板(不図示)の表面上に形成された断面矩形の溝部102と、基板の表面上の溝部102の一部に形成され、溝部102と同じ深さで溝部102より幅が広い2つの凹部103a,凹部103bとを備える。また、溝部102は覆い、凹部103a,凹部103bでは、自身が変形することで凹部103a,凹部103bの周辺部を除く凹部103a,凹部103bの底面に、領域141a,領域141bで接触して基板の表面上に形成された封止膜とを備える。なお、図5A,図5Bでは、基板および封止膜を省略して示していない。
【0041】
また、この微細流路は、まず、流入路105および流出路106を備える。また、凹部103aの領域に形成される主制御流路107a,副制御流路108a、および凹部103bの領域に形成される主制御流路107b,副制御流路108bを備える。また、主制御流路107aと主制御流路107bとは、接続流路109により連通されている。これらの構成は、前述した実施の形態3の微細構造体を2つつなげた構造となっている。
【0042】
例えば、流入路105および流出路106においては、断面が幅10μm・高さ10μmの矩形とされ、主制御流路107a,副制御流路108a,主制御流路107b,副制御流路108bにおいては、断面が底辺の長さ10μm・高さ10μmの三角形に近い形状とされている。また、主制御流路107a,主制御流路107bの長さは0.5mm程度とされている。また、凹部103a,凹部103bの溝部102より離れる方向の横は1mm程度とされている。
【0043】
本実施の形態では、まず、副制御流路108aに連通路402aで連通する圧力室502aと、副制御流路108bに連通路402bで連通する圧力室502bとを備える。圧力室502aおよび圧力室502bは、ダイアフラム503で仕切られ、圧力室502a側のダイアフラム503の近傍に、対向電極504が設けられている。また、圧力室502bには、圧力制御部501が接続されている。圧力制御部501は、圧力室502b(副制御流路108b)の内部圧力の増減を制御する。圧力制御部501は、前述した圧力制御部401と同様である。
【0044】
また、本実施の形態の微細構造体は、対向電極504とダイアフラム503との間の静電容量の変化を検出する検出部505を備える。ダイアフラム503は、圧力室502aと圧力室502bとの間の圧力の差により変形するため、圧力室502aと圧力室502bとの間の圧力の差が、対向電極504とダイアフラム503との間の静電容量の変化として検出部505に検出されることになる。圧力制御部501は、検出部505により検出される対向電極504とダイアフラム503との間の静電容量の変化により、圧力室502bに対する加圧・減圧の制御状態を変更する。なお、上述では、ダイアフラム503を一方の電極とし、これと対向電極504との間の静電容量により、圧力室502aと圧力室502bとの間の差圧を検出するようにしたが、これに限るものではなく、よく知られた他の差圧検出機構を用いるようにしてもよいことは、いうまでもない。
【0045】
以下、本実施の形態の微細構造体における水溶液531の液流(移送)の制御について、図5A,図5B,図5C,および図6を用いて説明する。まず、図5Aに示すように、流入路105に水溶液531が流れてくると、一部が副制御流路108aに浸入し、主制御流路107aに流れる水溶液531が接続流路109に到達し、副制御流路108aの接続流路109における接続口が塞がれ、副制御流路108aに対する新たな水溶液の浸入が停止する。
【0046】
この後、接続流路109を流れる水溶液531は、一部が副制御流路108bに浸入し、主制御流路107bに流れる水溶液531が流出路106に到達し、副制御流路108bの流出路106における接続口が塞がれ、副制御流路108bに対する新たな水溶液531の浸入が停止する。引き続いて流入路105に流れてくる水溶液531は、主制御流路107a,接続流路109,および主制御流路107bを通り流出路106に流れていく。この状態は、図6のタイミングチャートにおける時刻t0より前の状態である。
【0047】
上述したように、流入路105,主制御流路107,流出路106を水溶液531が流れている状態で、圧力室502bを介し、圧力制御部501により副制御流路108bの内部圧力を、図6の時刻t0の時点で上昇させる(10〜20kPa)。この加圧制御状態により、図5Bに示すように、副制御流路108b内の空間領域が拡大し、この空間が主制御流路107bにまで拡大していく。この主制御流路107bに形成された空間により、接続流路109の中の水溶液531と流出路106の中の水溶液531とは分断される。この結果、流入路105から流出路106にかけての水溶液531の流れ(移送)は、停止されることになる。また、この状態では、図6の時刻t0以降の差圧に示すように、圧力室502aに対して圧力室502bの圧力が陽圧方向に上昇していく。
【0048】
さらに、圧力制御部501により圧力室502bを介して副制御流路108bの内部圧力を上昇させ続けると、図5Cに示すように、主制御流路107bに形成された空間が拡大し、副制御流路108aの接続流路109における接続口に到達する。この状態となると、圧力室502bおよび圧力室502aが連通した状態となり、圧力室502aと圧力室502bとの差圧が減少し、最後には差圧が0の状態となる。
【0049】
ここで、上述した差圧の変化が、検出部505により検出されている。この中で、検出部505により検出されている差圧が、予め設定されている閾値P+より小さくなると(時刻t1)、圧力制御部501は、予め設定されている遅延時間t+の後の時刻t2において、上述した加圧制御状態を停止する。なお、この段階においても、前述した水溶液531の移送停止の状態は維持されている。
【0050】
上述した本実施の形態の制御によれば、水溶液531の移送停止の状態が、圧力室502aと圧力室502bとの間の差圧により検出されるので、液流を直接測定することなく、移送停止の状態を判断することができる。
【0051】
この後、水溶液531の移送を再開する場合、圧力室502bを介し、圧力制御部501により副制御流路108bの内部圧力を、図6の時刻t3の時点で減圧させる。この減圧制御状態により、図5Bに示すように、主制御流路107aにまで拡大していた空間が縮小し、副制御流路108aの接続流路109における接続口が塞がれ、圧力室502aと圧力室502bとが隔離(分断)された状態となる。この結果、図6に示すように、圧力室502aに対する圧力室502bの圧力が、陰圧方向に下降していく。
【0052】
さらに、圧力制御部501により圧力室502bを介して副制御流路108bの内部圧力を減少させ続けると、主制御流路107bに形成された空間が縮小し、図5Aに示すように、副制御流路108bの接続流路109における接続口および流出路106における接続口の双方が塞がれた状態となる。この状態となると、水溶液531は、主制御流路107a,接続流路109,および主制御流路107bを通り流出路106に流れていく状態となる。
【0053】
ここで、上述した差圧の変化が、検出部505により検出されている中で、検出部505により検出されている差圧が、予め設定されている閾値P−より小さくなると(時刻t4)、圧力制御部501は、予め設定されている遅延時間t−の後の時刻t5において、上述した減圧制御状態を停止する。以上に説明したように、本実施の形態の微細構造体によれば、液流の制御が可能となる。
【0054】
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5について図7,図8A,図8B,図8C,および図8Dを用いて説明する。図7,図8A,図8B,図8C,および図8Dは、本発明の実施の形態5における微細流路の構成を示す平面図であり、また、図中に、移送対象となる試料である水溶液731の状態を模式的に示している。
【0055】
本実施の形態4における微細流路は、図7に示すように、まず、基板(不図示)の表面上に形成された断面矩形の溝部702と、基板の表面上の溝部702の一部に形成され、溝部702と同じ深さで溝部702より幅が広い2つの凹部703a,凹部703bとを備える。また、溝部702は覆い、凹部703a,凹部703bでは、自身が変形することで凹部703a,凹部703bの周辺部を除く凹部703a,凹部703bの底面に、領域741a,領域741bで接触して基板の表面上に形成された封止膜とを備える。なお、図7,図8A,図8B,図8C,および図8Dでは、基板および封止膜を省略して示していない。
【0056】
また、この微細流路は、まず、流入路705および流出路706を備える。また、凹部703aの領域に形成される主制御流路707a,副制御流路708a、および凹部703bの領域に形成される主制御流路707b,副制御流路708bを備える。また、主制御流路707aと主制御流路707bとは、接続流路709により連通されている。これらの構成は、前述した実施の形態3の微細構造体を2つつなげた構造となっている。例えば、流入路705および流出路706においては、断面が幅10μm・高さ10μmの矩形とされ、主制御流路707a,副制御流路708a,主制御流路707b,副制御流路708bにおいては、断面が底辺の長さ10μm・高さ10μmの三角形に近い形状とされている。また、主制御流路707a,主制御流路707bの長さは0.5mm程度とされている。また、凹部703a,凹部703bの溝部702より離れる方向の横は1mm程度とされている。
【0057】
本実施の形態では、まず、副制御流路708aに連通路712aで接続する圧力制御部711aと、副制御流路708bに連通路712bで接続する圧力制御部711bとを備える。圧力制御部711aは、副制御流路708aの内部圧力の増減を制御する。また、圧力制御部711bは、副制御流路708bの内部圧力の増減を制御する。なお、圧力制御部711aおよび圧力制御部711bは、前述した圧力制御部401と同様である。従って、本実施の形態における微細構造体は、前述した実施の形態3における圧力制御部401を含めた微細流路を、2組接続したものである。
【0058】
このように構成した本実施の形態によれば、主制御流路707aの部分および副制御流路708aの部分の各々について前述した実施の形態3と同様に圧力の制御を行うことで、主制御流路707aの部分および副制御流路708aの部分において、各々液流を分断することができる。この結果、本実施の形態によれば、移送している水溶液731の所望の部分を、接続流路709に分離して保持することができる。
【0059】
また、上述した本実施の形態に加え、図8Aに示すように、接続流路709に接続する排出流路801,分離層802,および分離層802に設けられた排出口803とを備えるようにしてもよい。排出流路801は、流入路705および流出路706と同様に、断面が幅10μm・高さ10μmの矩形とされた基板の溝部を封止膜で覆うことで形成されている。また、分離層802は、断面が幅20μm・高さ10μmの矩形とされた基板の溝部を封止膜で覆うことで形成されている。
【0060】
以下、この微細流路の液流の制御について説明する。なお、以下では、試料となる水溶液731に泳動する細菌(微生物)732が存在している場合について説明する。まず、排出口803は閉じた状態としておき、この状態で、図8Aに示すように、流入路705に流れてくる水溶液731が、主制御流路707a,接続流路709,および主制御流路707bを通り流出路706に流れていく状態とする。この状態では、排出口803は閉じられているので、接続流路709から排出流路801の側への水溶液731の浸入は抑制される。
【0061】
次に、圧力制御部711aにより副制御流路708aの内部圧力を上昇させ、同時に、圧力制御部711bにより副制御流路708bの内部圧力を上昇させ、図8Bに示すように、副制御流路708aおよび副制御流路708b内の空間領域を拡大させ、各々の空間を主制御流路707aおよび主制御流路707bにまで拡大させる。これらの主制御流路707aおよび主制御流路707bに形成された空間により、細菌732を含む水溶液731は、流入路705,接続流路709,および流出路706に分断され、液流は停止される。
【0062】
この状態で、例えば、接続流路709における水溶液731を観察することで、液流が停止した状態にける細菌732の泳動の状態を調査することができる。例えば、図示しない基板は、石英から構成されているので、基板の側から光学顕微鏡などを用いることで、上述した観察を行うことが可能である。
【0063】
この後、排出口803を開放状態としてから、圧力制御部711aおよび圧力制御部711bによりさらに加圧を行うと、図8Cに示すように、接続流路709に分断されていた水溶液731を排出流路801に移送することができる。引き続き、圧力制御部711aおよび圧力制御部711bによる加圧を継続すれば、図8Dに示すように、接続流路709に分断されていた水溶液731を、排出流路801を経由して分離層802に移動させることができる。このように、分離層802に分離した水溶液731は、細菌732とともに排出口803より外部に取り出す(分取する)ことができる。
【0064】
なお、排出口803を閉じた状態としたままで、圧力制御部711aおよび圧力制御部711bにより、加圧を停止して所定(初期)圧力にまで減圧するように制御すれば、図8Aに示すように、流入路705に流れてくる水溶液731が、主制御流路707a,接続流路709,および主制御流路707bを通り流出路706に流れていく状態となる。
【0065】
ところで、上述では、流路を構成する基板に石英を用い封止膜にポリイミド樹脂を用いるようにしたが、これに限るものではない。対象となる液体に対する濡れ性を考慮して、基板および封止膜に適宜に材料を選択して用いるようにすればよい。例えば、封止膜に、水に対する濡れ性がより低いフッ素化ポリイミドを用いるようにしてもよい。また、封止膜に、基板よりも濡れ性の高い材料を用いるようにしてもよい。例えば、基板にシリコンを用い、封止膜にSOG(Spin on Glass)材料を用いるようにしてもよい。これらのように、封止膜が基板と異なる表面エネルギーを備えていれば、基板の凹部の周辺部の空間に形成される主制御流路および副制御流路における試料液の流れの状態(流れやすさ)を、溝部に形成される流入路および流出路に対して、異なる状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】本発明の実施の形態1における微細流路の構成例を示す平面図である。
【図1B】本発明の実施の形態1における微細流路の構成を示す断面図である。
【図1C】本発明の実施の形態1における微細流路の構成を示す断面図である。
【図1D】本発明の実施の形態1における微細流路の構成を示す断面図である。
【図1E】本発明の実施の形態1における微細流路の一部構成例を示す平面図である。
【図1F】本発明の実施の形態1における他の微細流路の一部構成例を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態2における微細流路の構成例を示す平面図である。
【図3】微細流路の構成例を示す平面図である。
【図4A】本発明の実施の形態3における微細流路の構成を示す平面図である。
【図4B】本発明の実施の形態3における微細流路の構成を示す平面図である。
【図5A】本発明の実施の形態4における微細流路の構成を示す平面図である。
【図5B】本発明の実施の形態4における微細流路の構成を示す平面図である。
【図5C】本発明の実施の形態4における微細流路の構成を示す平面図である。
【図6】実施の形態4の微細構造体における水溶液531の液流の制御について説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態5における微細流路の構成を示す平面図である。
【図8A】本発明の実施の形態5における他の微細流路の構成を示す平面図である。
【図8B】本発明の実施の形態5における他の微細流路の構成を示す平面図である。
【図8C】本発明の実施の形態5における他の微細流路の構成を示す平面図である。
【図8D】本発明の実施の形態5における他の微細流路の構成を示す平面図である。
【図9】μTASなどに用いられる流路の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
101…基板、102…溝部、103…凹部、104…封止膜、105…流入路、106…流出路、107…主制御流路、108…副制御流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上に形成された断面矩形の溝部と、
前記基板の表面上の前記溝部の一部に形成され、前記溝部と同じ深さで前記溝部より幅が広い凹部と、
前記溝部は覆い、前記凹部では、自身が変形することで前記凹部の周辺部を除く前記凹部の底面に接触して前記基板の表面上に形成された封止膜と、
前記溝部と前記封止膜とに挟まれた空間に形成されて前記凹部に接続する流入路および流出路と、
前記凹部と前記封止膜とに挟まれた前記凹部の前記周辺部の空間に形成されて前記流入路および前記流出路を連通する主制御流路と、
前記凹部と前記封止膜とに挟まれた前記凹部の前記周辺部の空間に形成された前記主制御流路以外の副制御流路と
を少なくとも備え、
前記封止膜は前記基板と異なる表面エネルギーを備えていることを特徴とする微細流路。
【請求項2】
請求項1記載の微細流路において、
前記流入路および前記流出路は、前記溝部の底面と前記溝部の対向する2つの側面と前記封止膜の内側表面とに囲まれ、
前記主制御流路および前記副制御流路は、前記凹部の側壁と前記凹部の周辺部底面と前記封止膜の内側表面とに囲まれている
ことを特徴とする微細流路。
【請求項3】
請求項1または2記載の微細流路において、
前記封止膜は、可撓性を備える状態で前記基板の上に形成されたものである
ことを特徴とする微細流路。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細流路において、
前記副制御流路に圧力を加える圧力制御手段を備える
ことを特徴とする微細流路。
【請求項5】
請求項4記載の微細流路において、
前記基板の表面上の前記溝部の一部に形成され、前記溝部と同じ深さで前記溝部より幅が広い第1凹部および第2凹部と、
前記溝部は覆い、前記第1凹部および前記第2凹部では、自身が変形することで前記第1凹部および前記第2凹部の各々周辺部を除く前記第1凹部および前記第2凹部の底面に接触して前記基板の表面上に形成された封止膜と、
前記封止膜と前記溝部とに挟まれた空間に形成されて前記第1凹部および前記第2凹部に接続する流入路および流出路と、
前記第1凹部および前記第2凹部の間の前記封止膜と前記溝部とに挟まれて空間に形成された接続流路と、
前記第1凹部および前記第2凹部と前記封止膜とに挟まれた第1凹部および前記第2凹部の各々の前記周辺部の空間に形成されて前記流入路および前記流出路を連通する第1主制御流路および第2主制御流路と、
前記第1凹部および前記第2凹部と前記封止膜とに挟まれた第1凹部および前記第2凹部の各々の前記周辺部の空間に形成された前記第1主制御流路および前記第2主制御流路以外の第1副制御流路および第2副制御流路と、
前記第1副制御流路に接続する第1圧力制御手段と、
前記第2副制御流路に接続する第2圧力制御手段と
を備えることを特徴とする微細流路。
【請求項6】
請求項5記載の微細流路において、
前記接続流路に接続された排出流路と、
この排出流路の一端に形成された開閉可能な排出口と
を備えることを特徴とする微細流路。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細流路において、
前記基板の表面上の前記溝部の一部に形成され、前記溝部と同じ深さで前記溝部より幅が広い第1凹部および第2凹部と、
前記溝部は覆い、前記第1凹部および前記第2凹部では、自身が変形することで前記第1凹部および前記第2凹部の各々周辺部を除く前記第1凹部および前記第2凹部の底面に接触して前記基板の表面上に形成された封止膜と、
前記封止膜と前記溝部とに挟まれた空間に形成されて前記第1凹部および前記第2凹部に接続する流入路および流出路と、
前記第1凹部および前記第2凹部の間の前記封止膜と前記溝部とに挟まれて空間に形成された接続流路と、
前記第1凹部および前記第2凹部と前記封止膜とに挟まれた第1凹部および前記第2凹部の各々の前記周辺部の空間に形成されて前記流入路および前記流出路を連通する第1主制御流路および第2主制御流路と、
前記第1凹部および前記第2凹部と前記封止膜とに挟まれた第1凹部および前記第2凹部の各々の前記周辺部の空間に形成された前記第1主制御流路および前記第2主制御流路以外の第1副制御流路および第2副制御流路と、
前記第1副制御流路に接続する第1圧力室と、
前記第2副制御流路に接続する第2圧力室と、
前記第1圧力室と前記第2圧力室との差圧を検出する検出手段と、
前記第2圧力室に接続し、前記検出手段が検出した差圧の状態により前記第2副制御流路に圧力を制御して加える圧力制御手段と
を備えることを特徴とする微細流路。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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