説明

微細物除去装置及び微細物除去システム

【課題】沈殿した微細物から切削液などの液体を確実に除去し、また除去した液体を循環経路に戻すことを可能にする。
【解決手段】微細物除去装置10は、沈降する液体が付着した微細物を沈殿させる沈殿部21を備え、沈殿部21は、液体を流出させるメッシュを有するクロスで成形した微細物回収袋23と、微細物回収袋23を収納する収納室24とを有し、微細物回収袋23に沈殿する液体が付着した微細物を収納し、微細物回収袋23は、着脱可能である。微細物除去システムは、流体を循環させる循環経路Tに微細物除去装置10を配置し、微細物除去装置10により微細物に付着する液体を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離して除去する微細物除去装置及び微細物除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、機械加工装置では、供給タンクから切削液を供給しながら切削加工が行なわれ、切削液には微粉末状の切削クズが含まれる。この微粉末状の切削クズが含まれる切削液をフィルタ装置に供給し、このフィルタ装置で切削クズを除去して切削液を供給タンクに戻している(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなフィルタ装置として、例えばフィルタ膜によって切削クズを除去したり、沈殿によって切削クズを除去するものがあるが、いずれも切削液に大量に含まれる微粉末状の切削クズを、小型の装置で短時間に確実に除去することができない等の問題がある。
【0004】
また、フィルタ膜が目詰まりを起こすことがあり、詰まってしまった場合まずフィルタ装置の分解作業をし、そのフィルタ膜を洗浄しなければならない。この洗浄作業や使用不能になると交換作業が発生する。また、フィルタ膜は大抵繰り返し使用すると、濾過精度は悪くなり、詰まり易くなるため、フィルタ膜の殆どが使い捨てフィルタ膜であり、コストがかかる等の問題がある。
【0005】
このため、出願人は、小型の装置で短時間に大量に微細物を分離して確実に除去することが可能であり、かつ洗浄作業や交換作業をなくし、低コストである装置を提供した(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−137743号公報
【特許文献2】特開2003−225515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような装置では、沈殿カップを着脱可能に接続し、沈殿カップに微細物を沈殿させて取り外すことで、沈殿した微細物を一度に排出するようにしているが、沈殿カップに切削液も混入しており、この切削液を除去することが必要になる。
【0008】
また、沈殿部の沈殿カップに沈殿した微細物を排出する排出口が設けられ、排出バルブの手動操作で排出口から沈殿した微細物を排出しているが、この微細物の排出時に切削液も漏れることがあるため、同様に切削液を除去することが必要になる。
【0009】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、沈殿した微細物から切削液などの液体を確実に液きりして除去し、また除去した液体を循環経路に戻すことが可能な微細物除去装置及び微細物除去システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0011】
請求項1に記載の発明は、沈降する液体が付着した微細物を沈殿させる沈殿部を備え、前記沈殿部は、液体を流出させるメッシュを有するクロスで成形した微細物回収袋と、前記微細物回収袋を収納する収納室とを有し、前記微細物回収袋に前記沈殿する液体が付着した微細物を収納し、前記微細物回収袋は、着脱可能であることを特徴とする微細物除去装置である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記収納室を密閉状態とし、前記収納室の内部を減圧にして前記微細物回収袋から前記微細物に収納した液体を除去する吸引手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の微細物除去装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記微細物回収袋は、前記液体を除去した微細物を固形化し、または液体を除去した状態で回収することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細物除去装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、微細物を含む液を供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて微細物を分離した液体を排出し、渦巻きを減速させて分離された液体が付着した微細物を沈降させる遠心分離部を備え、前記遠心分離部に、前記沈殿部を接続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物除去装置である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、微細物を含む液から分離された液体が付着した微細物を収納して沈降させるホッパ部を備え、前記ホッパ部に、前記沈殿部を接続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物除去装置である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、流体を循環させる循環経路に前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微細物除去装置を配置し、前記微細物除去装置により微細物に付着する液体を除去することを特徴とする微細物除去システムである。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記除去した液体を前記循環経路に戻す戻し経路を有することを特徴とする請求項6に記載の微細物除去システムである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記微細物除去装置の微細物回収袋は、前記液体を除去した微細物を固形化し、または液体を除去した状態で回収することを特徴とする請求項6に記載の微細物除去システムである。
【発明の効果】
【0019】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0020】
請求項1に記載の発明では、微細物回収袋に沈殿する液体が付着した微細物を収納し、微細物回収袋は、着脱可能であることで、微細物回収袋から液体を流出させて微細物を回収することができるから、液体漏れがなく微細物回収袋を取り外して除去することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、収納室を密閉状態とし、収納室の内部を減圧にして微細物回収袋から微細物に収納した液体を除去することで、微細物回収袋の目詰まりがなく、確実に微細物回収袋から液体を流出させて微細物を回収することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明では、微細物回収袋は、液体を除去した微細物を固形化し、または液体を除去した状態で回収することで、確実に液体漏れがなく微細物回収袋を取り外して除去することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明では、微細物を含む液を供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて微細物を分離した液体を排出し、渦巻きを減速させて分離された液体が付着した微細物を沈降させる遠心分離部を備え、遠心分離部に、沈殿部を接続することで、遠心分離部から微細物を液体の漏れがなく回収することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明では、微細物を含む液から分離された液体が付着した微細物を収納して沈降させるホッパ部を備え、ホッパ部に、沈殿部を接続することで、ホッパ部から微細物を液体の漏れがなく回収することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、流体を循環させる循環経路に前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微細物除去装置を配置し、微細物除去装置により微細物に付着する液体を除去することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明では、除去した液体を循環経路に戻し、液体の漏れがなく除去することができ、しかも液体を再利用し消費を抑えることができる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、液体を除去した微細物を固形化し、または液体を除去した状態で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態の微細物除去装置の断面図である。
【図2】遠心分離部の平面図である。
【図3】第2の実施の形態の微細物除去装置の断面図である。
【図4】第3の実施の形態の微細物除去装置の断面図である。
【図5】第4の実施の形態の微細物除去装置の断面図である。
【図6】第1の実施の形態の微細物除去システムを示す構成図である。
【図7】第2の実施の形態の微細物除去システムを示す構成図である。
【図8】第3の実施の形態の微細物除去システムを示す構成図である。
【図9】第4の実施の形態の微細物除去システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の微細物除去装置及び微細物除去システムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
【0030】
この発明の微細物除去装置及び微細物除去システムは、製薬、化学、食品、飲料の原料他の微細物の回収に、また自動車、工作機、加工業の切削粉等の微細物の回収に、また各工場、水処理等の循環水、排水の濾過に、また半導体、バイオ等の不純物等の微細物の除去に、また洗浄水、溶剤等の異物である微細物の除去等に使用され、液体に含まれる微細物を分離除去するものに広く使用される。
【0031】
(微細物除去装置)
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の一例を、図1及び図2に示す。図1は微細物除去装置の断面図、図2は遠心分離部の平面図である。
【0032】
この実施の形態の微細物除去装置10は、遠心分離部11と、沈殿部21とを備える。遠心分離部11は、密閉筒12を筒体13に一体に複数段に設け、上段の密閉筒12に連通して流体入口14と流体出口15が設けられている。このように、筒体13に密閉筒12を一体に設けることで、遠心分離部11の気密性を向上させることができる。
【0033】
遠心分離部11は、軸芯に液体出口15を有し、軸芯から偏位した位置に液体入口14を有しており、テーパ下部12aに連通孔12bを有する密閉筒12を上下方向に2個形成しているが、2個に限定されず、1個でも、また複数個接続する構成でも良い。この密閉筒12は、断面円状であり、筒体13はアルミニウム等の金属で形成され、軽量で強度があるが、樹脂、ゴムなどでもよく特に限定されない。
【0034】
遠心分離部11は、液体入口14から微細物を含む液を所定流速で供給して複数の密閉筒12の内部で渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体出口15から微細物を分離した液体を排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させ、下部に排出部16を有する。この排出部16には、切替バルブ17を備える。この遠心分離部11の構造は、この実施の形態に限定されず、一般的な遠心分離装置の構造でもよい。
【0035】
沈殿部21は、微細物回収袋23と、収納室24とを有し、微細物回収袋23は、遠心分離部11にジョイント部25により着脱可能である。切替バルブ17は、通常開いた状態で使用され、微細物を回収した微細物回収袋23を取り外すときに連通を遮断する。
【0036】
微細物回収袋23は、液体を流出させるメッシュを有するクロスで成形され、クロスとしては、例えばポリアミドメッシュクロス(JISによるふるいの目開き:1〜4000ミクロン)、ポリエステルメッシュクロス(JISによるふるいの目開き:1〜5000ミクロン)、カーボンメッシュクロス(JISによるふるいの目開き:50〜510ミクロン)、ポリテトラフルオロエチレンメッシュクロス(JISによるふるいの目開き:7〜2000ミクロン)、ポリプロピレンメッシュクロス(JISによるふるいの目開き:105〜3360ミクロン)、シルクメッシュクロス(JISによるふるいの目開き:95〜1140ミクロン)などが用いられるが、微細物回収袋23の材質、JISによるふるいの目開きなどは微細物に応じて設定される。ここでJISによるふるいの目開きは、メッシュの目の大きさ(糸と糸の間の隙間の大きさ)であり、ミクロン数で表示する。
【0037】
ジョイント部25は、固定部25aと、着脱部25bとを有し、固定部25aは遠心分離部11に固定され、この固定部25aと、着脱部25bとの間に微細物回収袋23の開口部を挟んで取り付ける。固定部25aから着脱部25bを離間させると、微細物回収袋23の開口部の固定が開放され、微細物を回収した微細物回収袋23を取り外すことができる。
【0038】
この実施の形態では、固定部25aと、着脱部25bとの間に微細物回収袋23の開口部を挟んで取り付けているが、微細物回収袋23の開口部に着脱部25bを固定した微細物回収袋とし、この固定部25aに着脱可能としても良い。また、微細物回収袋23の開口部を、直接固定部25aに紐などの手段で取り付けるようにしても良く、微細物回収袋23を着脱する構造は特に限定されず、ワンタッチで着脱可能な構造が容易に使用でき好ましい。
【0039】
収納室24は、微細物回収袋23を収納する容積を有し、この微細物回収袋23から微細物に付着した液体が収納室24の内部に排出され、微細物回収袋23の内部には液体が残ることが軽減される。収納室24に溜まる液体は、収納室24の底に設けられた排出パイプ28を介して排出される。
【0040】
この実施の形態では、沈殿部21は、液体を流出させるメッシュを有するクロスで成形した微細物回収袋23と、微細物回収袋23を収納する収納室24とを有し、微細物回収袋23は、ジョイント部25により遠心分離部11に着脱可能であることで、微細物回収袋23の内部に液体を流出させて微細物を回収する。このようにして微細物回収袋23に微細物が回収されると、ジョイント部25の固定部25aから着脱部25bを離間させると、微細物回収袋23の開口部の固定が開放され、微細物を回収した微細物回収袋23を取り外して除去することができる。
【0041】
この微細物を回収した微細物回収袋23を取り外すときに、切替バルブ17を操作して遠心分離部11との連通を遮断することで、遠心分離部11から微細物回収袋23を取り外して液体の漏れがなく除去することができる。この微細物回収袋23を交換時期は、例えば新たな微細物回収袋23をセットした日を基準にして記録し、10日、30日などが経過すると交換する。また、例えば切替バルブ17を開いた時を基準にし、制御装置のタイマーにより所定時間を計測し、所定時間が経過すると交換時期であると判断し、ランプ、ブザーなどの報知手段を作動して作業者に知らせるようにしてもよい。また、微細物回収袋23の重量を計量する手段を設け、この微細物回収袋23の重量が所定重量になると、交換時期であると判断し、ランプ、ブザーなどの報知手段を作動して作業者に知らせるようにしてもよい。重量を計量する手段としては、例えば計測器に微細物回収袋23を吊り下げるように設け、また微細物回収袋23が計測器の台の上に載るように設けて計測することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の一例を、図3に示す。図3は微細物除去装置の断面図である。
【0043】
この第2の実施の形態では、遠心分離部11は、第1の実施の形態と同様に構成されるから、同じ符号を付して説明を省略する。沈殿部21は、密閉蓋26を設けて収納室24を密閉状態とし、収納室24の内部を減圧にして微細物回収袋23から微細物に付着した液体を除去する吸引手段27を備える。吸引手段27としては、吸引ポンプを用い、この吸引ポンプには、例えば真空ポンプなどがある。ここで、吸引手段27は、密封状態の収納室24内から気体を排出し、収納室24内を真空にすることで、微細物回収袋23のメッシュから液体を吸引して収納室24内に排出する。また、吸引手段27を作動している際に、例えば振動手段により微細物回収袋23を振動させると、微細物回収袋23から微細物に付着した液体をより一層確実に目詰まりなく除去することができる。振動手段としては、振動体などで振動させる手段でも、超音波を照射して振動させる手段でもよい。
【0044】
このため、微細物回収袋23のメッシュに微細物が目詰まりすることなく、微細物回収袋23から微細物に付着した液体が収納室24の内部に排出され、微細物回収袋23の内部には液きりによって切削液が残ることがより確実に軽減される。したがって、微細物回収袋23から確実に液体を除去し、微細物を微細物回収袋23に回収して液体の漏れがなく除去することができる。
【0045】
この微細物回収袋23の除去は、吸引手段27の駆動を停止した状態で、密閉蓋26を取り外し、ジョイント部25の固定部25aから着脱部25bを離間させると、微細物回収袋23の開口部の固定が開放され、微細物を回収した微細物回収袋23を簡単に取り外すことができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態の一例を、図4に示す。図4は微細物除去装置の断面図である。この第3の実施の形態は、微細物を含む液から分離された液体が付着した微細物を収納して沈降させるホッパ部60を備え、ホッパ部60に、沈殿部21を接続した構成である。
【0047】
ホッパ部60は、上部と下部を開口したじょうご状であり、下部に排出部61を有する。この排出部61には、切替バルブ62を備える。排出部61に沈殿部21が接続される。ホッパ部60の上部から微細物を含む液から分離された液体が付着した微細物が供給され、ホッパ部60に収納された液体が付着した微細物はじょうご状によって沈降して排出部61から切替バルブ62が開いた状態で沈殿部21に供給される。沈殿部21は、第1の実施の形態のものを用いたので同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態の一例を、図5に示す。図5は微細物除去装置の断面図である。この第4の実施の形態は、微細物を含む液から分離された液体が付着した微細物を収納して沈降させるホッパ部60を備え、ホッパ部60の排出部61に、沈殿部21を接続した構成である。ホッパ部60は、第3の実施の形態のものを用い、沈殿部21は、第2の実施の形態のものを用いたので、それぞれ同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
(微細物除去システム)
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の一例を、図6に示す。図6は微細物除去システムを示す構成図である。
【0050】
この微細物除去システムAは、工作機、加工機などの機器の切削粉等の微細物の回収に用いる場合であり、機器に切削液を供給して循環させる循環経路Tを有する加工システムBに備えられる。この循環経路Tは、機器100に切削液を貯留タンク101から供給する供給経路108と、機器100からの切削液を貯留タンク101に戻す戻し経路102から構成する。この供給経路108には、切替弁105,106が配置され、切替弁106を閉じ、切替弁105を開放することで、機器100と連通し、一方切替弁105を閉じ、切替弁106を開放することで、貯留タンク101と連通する。
【0051】
この循環経路Tの供給経路108にポンプ107を配置し、このポンプ107の駆動により貯留タンク101に貯留する切削液を、供給経路108から切替弁105を介して機器100へ供給し、切削に用いた切削液は戻し経路102を介して貯留タンク101に戻し循環させる。切削液を機器100へ供給しないときは、切替弁105を閉じ、切替弁106を開放して貯留タンク101に戻し循環させる。この実施の形態では、液体として切削液に含まれる微粉末状クズの微細物を除去する場合について用いているが、微細物であればよく、微粉末状クズに限定されない。
【0052】
この実施の形態の微細物除去システムAは、流体の切削液をポンプ107により機器100に供給して循環させる循環経路Tに微細物除去装置10を配置する。この微細物除去装置10は、図1及び図2の実施の形態のものを用いている。
【0053】
遠心分離部11では、液体入口14から微細物を含む切削液を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体出口15から微細物を分離した切削液を排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させる。
【0054】
遠心分離部11の液体出口15は、切替弁105,106の間に接続され、循環ポンプ107の駆動により循環経路108を介して液体入口14に供給し、遠心分離部11により微細物を分離した切削液は、切替弁106を閉じ、切替弁105を開放した状態で液体出口15から機器100へ供給され、切削に用いた切削液は戻し経路102を介して貯留タンク101に戻し循環させる。また、切削液を機器100へ供給しないときは、切替弁105を閉じ、切替弁106を開放した状態で液体出口15から貯留タンク101に戻し循環させる。
【0055】
この微細物除去システムAでは、切削液を循環させる循環経路Tに微細物除去装置10を配置することで、微細物除去装置10により微細物に付着する切削液を除去することができる。また、切削液を除去した微細物を固形化し、または切削液を除去した状態で排出することで、微細物を切削液の漏れがなく回収することができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の一例を、図7に示す。図7は微細物除去システムを示す構成図である。この実施の形態では、図6の実施の形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、図3の実施の形態の微細物除去装置10を用い、この収納室24と循環経路Tとを戻し経路70で連通し、この戻し経路70に吸引ポンプ71に配置する。この吸引ポンプ71の駆動により密封状態の収納室24から微細物回収袋23のメッシュから排出される切削液を吸引して循環経路Tに戻す。
【0057】
この切削液を吸引して循環経路Tに戻す箇所は、貯留タンク101であるが、戻し経路102に戻してもよい。
【0058】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態の一例を、図8に示す。図8は微細物除去システムを示す構成図である。この実施の形態では、機器100に切削液を貯留タンク201から供給する供給経路208と、機器100からの切削液を貯留タンク201に戻す戻し経路202から循環経路Tを構成する。この供給経路208には、ポンプ209が配置されている。
【0059】
この循環経路Tには、遠心分離装置300が配置され、この遠心分離装置300によってポンプ209の駆動により供給経路208から供給される切削液に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離して除去し、分離した微細物を回収タンク120に供給し、微細物を除去した切削液を機器100に供給する。遠心分離装置300は、図1及び図2に示す遠心分離部11のように構成されるが、これに限定されない。
【0060】
回収タンク120に貯留される微細物には、切削液が付着していることで、切削液が溜まる。回収タンク120には、ベルトコンベア121が配置され、モータ122によりベルトコンベア121を駆動し、回収タンク120の底部に沈殿する微細物をかきあげて微細物除去装置10に供給する。なお、この実施の形態では、ベルトコンベア121を用いているが、スクリュウコンベアなどを用いてもよい。回収タンク120に溜まる液体は、排出口125からオーバーフローして戻し通路126を介して貯留タンク201に戻される。回収タンク120には、バッフルプレート127が遠心分離装置300からの微細物が切削液とともに落下して供給される位置と、排出口125との間に配置され、浮遊した微細物が排出口125から排出されることを防ぎ、かつ沈殿した微細物をベルトコンベア121によってかきあげるようにする。
【0061】
この微細物除去装置10は、図5の実施の形態のものが用いられ、ホッパ部60の上部から微細物を含む切削液から分離された切削液が付着した微細物が供給され、ホッパ部60に収納された切削液が付着した微細物はじょうご状によって沈降して下部から沈殿部21に供給される。
【0062】
このように、ホッパ部60に、沈殿部21を接続することで、ホッパ部60から微細物を切削液の漏れがなく回収することができ、除去した切削液を循環経路Tに戻し、切削液の漏れがなく除去することができ、しかも切削液を再利用し消費を抑えることができる。この実施の形態では、ホッパ部60において除去した切削液は、戻し通路130を介して循環経路Tの貯留タンク201に戻す。
【0063】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態の一例を、図9に示す。図9は微細物除去システムを示す構成図である。この実施の形態では、機器100に切削液を貯留タンク201から供給する供給経路218と、機器100からの切削液を回収タンク120に戻す戻し経路212を有する。この供給経路218には、ポンプ219が配置されている。
【0064】
この回収タンク120は、図8の実施の形態と同様に構成され、ベルトコンベア121を駆動し、回収タンク120の底部に沈殿する微細物を汲み上げて微細物除去装置10に供給する。
【0065】
この微細物除去装置10は、図5の実施の形態のものが用いられ、ホッパ部60に、沈殿部21を接続することで、ホッパ部60から微細物を切削液の漏れがなく回収することができ、除去した切削液を循環経路Tに戻し、切削液の漏れがなく除去することができ、しかも切削液を再利用し消費を抑えることができる。この実施の形態では、ホッパ部60において除去した切削液を、戻し経路130を介して循環経路Tの貯留タンク201に戻す。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この発明は、流体に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離して除去する微細物除去装置及び微細物除去システムに適用可能であり、沈殿した微細物から切削液などの液体を確実に液きりして除去し、また除去した液体を循環経路に戻すことが可能である。
【符号の説明】
【0067】
A 微細物除去システム
B 加工システム
T 循環経路
10 微細物除去装置
11 遠心分離部
12 密閉筒
12a テーパ下部
12b 連通孔
13 筒体
14 流体入口
15 流体出口
16,61 排出部
17,62 切替バルブ
21 沈殿部
23 微細物回収袋
24 収納室
25 ジョイント部
25a 固定部
25b 着脱部
26 密閉蓋
27 吸引手段
60 ホッパ部
70 戻し経路
71 吸引ポンプ
100 機器
101,201 貯留タンク
108,208,218 供給経路
102,130,202,212 戻し経路
105,106 一方向弁
107 ポンプ
120 回収タンク
121 ベルトコンベア
122 モータ
125 排出口
126 戻し通路
127 バッフルプレート
219 ポンプ
300 遠心分離装置





【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈降する液体が付着した微細物を沈殿させる沈殿部を備え、
前記沈殿部は、
液体を流出させるメッシュを有するクロスで成形した微細物回収袋と、
前記微細物回収袋を収納する収納室とを有し、
前記微細物回収袋に前記沈殿する液体が付着した微細物を収納し、
前記微細物回収袋は、着脱可能であることを特徴とする微細物除去装置。
【請求項2】
前記収納室を密閉状態とし、
前記収納室の内部を減圧にして前記微細物回収袋から前記微細物に収納した液体を除去する吸引手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の微細物除去装置。
【請求項3】
前記微細物回収袋は、前記液体を除去した微細物を固形化し、または液体を除去した状態で回収することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細物除去装置。
【請求項4】
微細物を含む液を供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて微細物を分離した液体を排出し、渦巻きを減速させて分離された液体が付着した微細物を沈降させる遠心分離部を備え、
前記遠心分離部に、
前記沈殿部を接続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物除去装置。
【請求項5】
微細物を含む液から分離された液体が付着した微細物を収納して沈降させるホッパ部を備え、
前記ホッパ部に、
前記沈殿部を接続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物除去装置。
【請求項6】
流体を循環させる循環経路に前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微細物除去装置を配置し、
前記微細物除去装置により微細物に付着する液体を除去することを特徴とする微細物除去システム。
【請求項7】
前記除去した液体を前記循環経路に戻す戻し経路を有することを特徴とする請求項6に記載の微細物除去システム。
【請求項8】
前記微細物除去装置の微細物回収袋は、前記液体を除去した微細物を固形化し、または液体を除去した状態で回収することを特徴とする請求項6に記載の微細物除去システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107164(P2013−107164A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253425(P2011−253425)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(501141769)株式会社industria (29)
【Fターム(参考)】