説明

微細粒の填料の水性スラリーの製造方法及び高い填料含有量及び高い乾燥強度を有する紙の製造のためのその使用

微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法において、少なくとも1種の微細粒の填料の水性スラリーの加熱により、及び引き続き少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加により、前記処理を実施する、微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法及び高い填料含有量及び高い乾燥強度を有する紙を製造するためのその使用に関する。
【0002】
填料を含有する紙を製造する場合、この填料スラリーが繊維懸濁液に添加され、その後にこの繊維懸濁液は抄紙機のフォーマーに送られる。できる限り多くの填料を枚葉紙中に留まらせるために、歩留まり向上剤又は歩留まり向上剤系が、原則として、この填料/繊維材料懸濁液に添加される。この填料を紙に添加することにより、製紙業者は、枚葉紙特性の多くの改善を達成することができる。これには、不透明性、白色度、手触り及び印刷適正のような特性が属する。
【0003】
さらに、前記填料は繊維材料より安価である場合に、填料の添加又はより多くの添加により、繊維材料割合を低下させ、ひいては紙の製造コストを低下させることができる。填料を含有するか又は特に高い填料含有量を有する紙は、填料を含有しない紙又は低い填料含有量を有する紙よりも容易に乾燥させることができる。この結果として、抄紙機は、より高速でかつ低い蒸気消費量で運転することができ、これが生産性を高め、コストも低減させる。
【0004】
しかしながら、繊維懸濁液への填料の添加は欠点も伴い、この欠点は他の製紙用助剤の添加によって部分的に補償できるだけである。所定の面積重量のために使用可能な填料の量に関して限度がある。紙の強度特性は、通常では最も重要なパラメータであり、これが紙中の填料の量を制限する。填料歩留まり、紙料懸濁液の脱水並びに場合による歩留まり及びサイズの際の高められた薬品必要量のような他のファクターも、ここでは重要な役割がある。
【0005】
紙の強度特性の損失は、たいていの場合、乾燥強度付与剤及び湿潤強度付与剤の添加によって完全に又は部分的に補償することができる。通常の処理方法は、この場合、紙料中へ乾燥強度付与剤としてカチオンデンプンを添加することである。同様に、カチオン性又はアニオン性のポリアクリルアミドをベースとする合成の乾燥強度付与剤及び湿潤強度付与剤も使用される。しかしながら、この添加量及び補強作用はたいていの場合限定的である。同様に、強度損失に関するこの填料増加による補償作用も、ひいては一般に実現可能な充填剤増加量も限定的である。さらに、全ての強度特性は同様に乾燥強度付与剤の使用によって高めることはできず、たいていの場合には一般に不十分である。これについての重要な例は引裂特性であり、これは他の強度パラメータと比較してデンプン又は合成の乾燥強度付与剤の添加によりわずかに影響されるだけである。それに対して、紙中の填料含有量の向上は、原則として前記引裂特性に関してきわめて強いマイナスの影響を及ぼす。
【0006】
他の重要な特性は、紙の厚さ並びに剛性である。この填料含有量の増加は、同じ面積重量の場合に、紙の密度の増加及び枚葉紙の厚さの低下を生じさせる。後者は、紙の強度を著しく低下させる。この紙の剛性の低下は、多くの場合に、乾燥強度付与剤の使用によってだけでは補償できない。頻繁に、付加的な処置、例えば平滑化装置中の圧縮部、カレンダー又は抄紙機の乾燥部中の機械的圧力の低減が必要である。後者の処置は、填料増加による厚さの損失を完全に又は部分的に補償する。
【0007】
WO 03/087472 A1からは、填料を膨潤されたデンプン粒子及びラテックスからなる組成物で処理する方法が公知である。この文献中で使用されたラテックスは非水溶性であり、分散液の形で存在する。前記組成物を別個に製造した後に、この組成物を未処理の填料スラリーに添加し、最終的に繊維材料の添加及び枚葉紙製造が行われる。WO 03/087472 A1の教示によると、デンプン粒子は膨潤されたデンプン粒子である。さらに、この組成物は、他の共添加物、例えばアニオン性又はカチオン性の共添加物も含有することができる。
【0008】
本発明の根底をなす課題は、微細粒の填料の水性スラリーを処理する別の方法を提供することであった。これにより製造された紙は、低い填料含有量を有する従来の紙の強度特性に匹敵する強度特性を有する。この強度特性には、特に紙の乾燥裂断長、内部強度及び剛性が挙げられる。
【0009】
前記課題は、本発明の場合に、微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法において、少なくとも1種の微細粒の填料の水性スラリーの加熱により、及び引き続き少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加により、前記処理を実施する、微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法により解決される。
【0010】
本発明による方法により製造された水性スラリーは、少なくとも1種の微細粒の填料を、例えば1〜70質量%、有利に5〜50質量%、特に有利に10〜40質量%含有する。ラテックスの量は、前記填料に対して、例えば0.01〜10質量%、有利に0.1〜5質量%、特に有利に0.2〜3質量%である。
【0011】
本発明の場合に、前記水性スラリーは、少なくとも1種の微細粒の填料を、少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加の前に、加熱により処理される。例えば、前記水性スラリーは、少なくとも40℃、有利に少なくとも45℃、特に有利に50℃の温度に温め(それぞれ大気圧で)、その際、もちろん前記水性スラリーの沸点(大気圧で)を上回らない。
【0012】
前記加熱は、通常ではエネルギーの供給によって行われる。微細粒の填料として炭酸カルシウムを使用する場合には、二酸化炭素の導入の際に石灰乳から炭酸カルシウムを沈殿させる際に生じる熱を利用することも可能である。このように製造された炭酸カルシウムスラリーは、すでに本発明による方法のために十分に加熱されている。
【0013】
従って、実際に例えば填料製造元で填料の炭酸カルシウムの沈殿を実施することができる。引き続き、生じる反応熱によりまだ温かい填料スラリーが、本発明による方法により、少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加により処理される。有利に、この場合、前記スラリーの貯蔵安定性及び輸送安定性を高めるために、分散剤、例えばポリアクリル酸(Polysalz S(登録商標), BASF SE)が添加される。引き続き、この処理されかつ分散されたスラリーを、例えば遠心分離により50%まで、有利に60%まで、特に有利に65%までの固体含有率にまで濃縮することができる。この微細粒の填料のスラリーは、最終的に、貯蔵可能であり、並びに製紙工場での最終処理にまで輸送可能である。
【0014】
これとは別に、例えば填料としての炭酸カルシウムを、本発明による方法により、まず加熱及び少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加によって処理し、引き続き例えば噴霧乾燥により粉末が得られるまで濃縮を行うことができる。この噴霧乾燥は、場合により市販の噴霧助剤を使用しながら行うことができ、前記の分散剤を場合により使用することもできる。この方法バリエーションに関して、処理された填料は固体の形で、つまり水なしで、製紙工場の最終処理にまで輸送できることが有利である。現場で、この処理された填料は水の添加により再分散させることができる。
【0015】
ラテックスの概念は、本願発明の範囲内で、有利に分散液又はエマルションの形で使用される非水溶性単独重合体及び共重合体であると解釈される。
【0016】
前記ラテックスは、有利に少なくとも40質量%、特に少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%がいわゆる主モノマー(a)からなる。
【0017】
主モノマー(a)は、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート、20個までC原子を有するカルボン酸のビニルエステル、20個までC原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個のC原子を有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個のC原子及び1個又は2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素又はこれらのモノマーの混合物から選択されている。
【0018】
例えば、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
【0019】
特に(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。
【0020】
1〜20個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル及び酢酸ビニルである。
【0021】
ビニル芳香族化合物として、ビニルトルエン、α−及びp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン及び有利にスチレンが挙げられる。ニトリルの例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0022】
前記ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素又は臭素で置換されたエチレン性不飽和化合物、有利に塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。
【0023】
ビニルエーテルとして、例えばビニルメチルエーテル又はビニルイソブチルエーテルを挙げることができる。1〜4個のC原子を有するアルコールのビニルエーテルが有利である。
【0024】
2〜8個のC原子及び1又は2個のオレフィン性二重結合を有する脂肪族炭化水素として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレンを挙げることができる。
【0025】
有利な主モノマー(a)は、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート及びアルキル(メタ)アクリラートとビニル芳香族化合物、特にスチレンとの混合物(包括的にポリアクリラート−ラテックスとも呼ばれる)又は2個の二重結合を有する炭化水素、特にブタジエンとの混合物、又はこの種の炭化水素とビニル芳香族化合物、特にスチレンとの混合物(包括的にポリブタジエン−ラテックスとも呼ばれる)である。
【0026】
ポリアクリラート−ラテックスの場合には、アルキル(メタ)アクリラート対ビニル芳香族化合物(特にスチレン)の質量比は、例えば10:90〜90:10、有利に20:80〜80:20であることができる。
【0027】
ポリブタジエン−ラテックスの場合には、ブタジエン対ビニル芳香族化合物(特にスチレン)の質量比は、例えば10:90〜90:10、有利に20:80〜80:20であることができる。
【0028】
主モノマー(a)の他に、前記ラテックスは、他のモノマー(b)、例えばカルボン酸基、スルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマーを含有することができる。カルボン酸基が有利である。例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸及びアコニット酸を挙げることができる。ラテックス中のエチレン性不飽和の酸の含有量は一般に10質量%以下である。
【0029】
他のモノマー(b)は、例えばヒドロキシル基も含有するモノマー、特にC1〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、又はアミド、例えば(メタ)アクリルアミドである。
【0030】
他のモノマー(b)は、少なくとも2個、有利に2〜6個、特に有利に2〜4個、さらに特に有利に2〜3個、殊に2個のラジカル重合可能な二重結合を有する。この種の化合物は、架橋剤ともいわれる。
【0031】
前記架橋剤(b)の少なくとも2個のラジカル重合可能な二重結合は、(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アリルエーテル基及びアリルエステル基からなるグループから選択することができる。架橋剤(b)の例は、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリラート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリラート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリオールジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリラート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、アリルアクリラート、アリルメタクリラート、メタリルアクリラート、メタリルメタクリラート、(メタ)アクリル酸ブト−3−エン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸ブト−2−エン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−メチル−ブト−2−エン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸とゲラニオール、シトロネロール、ケイ皮アルコールとのエステル、グリセリンモノ−又は−ジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノ−又は−ジアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,3−プロパンジオールモノアリルエーテル、1,4−ブタンジオールモノアリルエーテル並びにさらにイタコン酸ジアリルエステルである。アリルアクリラート、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリラート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリラートが有利である。
【0032】
有利に、ビニル芳香族化合物、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート及び他の親水性モノマー、例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸から組み合わされたポリアクリラート−ラテックスが使用される。例えば、この種の有利なポリアクリラート−ラテックスは、スチレン20〜50質量%、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート30〜80質量%及び他の親水性モノマー、例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸0〜30質量%を含有する。
【0033】
前記ラテックスの製造は、一般に乳化重合により行われ、従ってこれは乳化重合体である。ラジカル乳化重合法による水性ポリマー分散液の製造は公知である(Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第XIV巻, Makromolekulare Stoffe, loc. cit., 第133頁以降参照)。
【0034】
前記ラテックスを製造するためのこの乳化重合の場合に、イオン性及び/又は非イオン性の乳化剤及び/又は保護コロイドもしくは安定化剤が、界面活性化合物として使用される。この界面活性物質は、通常では、重合されるべきモノマーに対して0.1〜10質量%、特に0.2〜3質量%の量で使用される。
【0035】
慣用の乳化剤は、例えば高級脂肪アルコールスルファートのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、Na−n−ラウリルスルファート、脂肪アルコールホスファート、エトキシ化度3〜30を有するエトキシ化されたC8〜C10−アルキルフェノール並びにエトキシ化度5〜50を有するエトキシ化されたC8〜C25−脂肪アルコールである。非イオン性及びイオン性乳化剤からなる混合物も考えられる。ホスファート基又はスルファート基を含有する、エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたアルキレノール及び/又は脂肪アルコールがさらに適している。他の適当な乳化剤は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第XIV巻, Makromolekulare Stoffe, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1961, 第192頁〜第209頁に記載されている。
【0036】
前記ラテックスを製造するための乳化重合用の水溶性開始剤は、例えばペルオキシ二硫酸のアンモニウム塩及びアルカリ金属塩、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム、過酸化水素又は有機過酸化物、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0037】
いわゆる還元−酸化(レドックス)開始剤系も適している。
【0038】
前記開始剤の量は、重合されるべきモノマーに対して、一般的に0.1〜10質量%、有利に0.5〜5質量%である。乳化重合に際に複数の異なる開始剤を使用することもできる。
【0039】
乳化重合の際に、調節剤を、例えば、重合されるべきモノマー100質量部に対して、0〜3質量部の量で使用することができ、それによりこの分子量は減少する。例えば、チオール基を有する化合物、例えばt−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチルアクリルエステル、メルカプトエチノール、メルカプトプロピルトリメトキシシラン又はt−ドデシルメルカプタン又はチオール基を有しない調節剤、特に例えばテルピノールが適している。
【0040】
前記ラテックスを製造するための乳化重合は、一般に30〜130℃、有利に50〜100℃で行われる。この重合媒体は、水だけからなるか、水及び水と混合可能な液体、例えばメタノールとからなる混合物からなってもよい。水だけを使用するのが有利である。この乳化重合は、バッチ処理でも、段階方式又は勾配方式を含めた供給法の形でも実施することができる。重合バッチの一部を装入し、重合温度に加熱し、重合を開始させ、引き続き前記重合バッチの残りを、通常では、1種以上のモノマーが純粋な形で又は乳化した形で含まれる空間的に隔てられた複数の供給流を介して、連続的に、段階的に又は濃度勾配を重ね合わせながら、前記重合を維持しながら前記重合区域に供給する供給法が有利である。前記重合の際に、例えば粒度をより良好に調節するために、ポリマーシードを装入することもできる。
【0041】
開始剤をラジカル水性乳化重合の過程で重合容器に添加する方法は、平均的な当業者に公知である。それは完全に重合容器中に装入してもよいし、ラジカル水性乳化重合の過程でその消費量に応じて連続的に又は段階的に使用してもよい。これは具体的には開始剤系の化学的性質ならびに重合温度に依存する。有利に一部を装入し、かつ残りは重合区域の消費量に応じて供給する。
【0042】
残留モノマーを除去するために、通常では、本来の乳化重合の完了後でも、すなわち少なくとも95%のモノマーの転化率の後でも開始剤が添加される。
【0043】
前記の個々の成分は、上方から、側方から又は反応器底部を通して下方から供給する方法において前記反応器に添加することができる。
【0044】
前記(共)重合に引き続き、ラテックス中に含まれる酸基は少なくとも部分的に中和することができる。これは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を用いて、有利に任意の1つ以上の対イオン、例えばLi+、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+又はBa2+と結合していてもよい水酸化物を用いて行うことができる。さらに、中和のためにアンモニア又はアミンが適している。水酸化アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液が有利である。
【0045】
この乳化重合の場合に、前記ラテックスの水性分散液は、通常、15〜75質量%、有利には40〜75質量%の固体含有率で得られる。
【0046】
前記ラテックスのガラス転移温度Tgは、例えば−30〜100℃の範囲内、有利に−5〜70℃の範囲内、特に有利に0〜40℃の範囲内である(DIN EN ISO 11357によるDSC法により測定)。
【0047】
前記ラテックスの粒径は、有利に10〜1000nmの範囲内、特に有利に50〜300nmの範囲内にある(Malvern(登録商標)Autosizer 2 Cで測定)。
【0048】
少なくとも1種のラテックスの前記水性分散液は、本発明の場合に、あらかじめ温めた微細粒の填料の処理のために使用される。填料として、製紙工業において通常で使用可能な、無機材料からなる全ての顔料、例えば粉砕された石灰(GCC)、チョーク、大理石の形で使用されるか又は沈降炭酸カルシウム(PCC)の形で使用できる炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、サチン白、硫酸カルシウム、硫酸バリウム及び二酸化チタンが挙げられる。2種以上の顔料からなる混合物も使用することができる。この平均粒径は、例えば0.5〜30μm、有利に1〜10μmの範囲内にある。
【0049】
さらに、微細粒の填料のこの水性スラリーは、共添加物を5質量%まで、有利に1質量%まで、特に有利に0.01〜0.3質量%含有することができる。これらは、有利に、最後に、少なくとも1種の微細粒の填料の加熱された水性スラリーに添加される、つまり少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加後に添加される。
【0050】
共添加物とは、本発明の範囲内で、アニオン性並びにカチオン性の共添加物であると解釈される。アニオン性の共添加物は、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、アニオン性ポリアクリルアミド、アルギン酸塩並びに無機成分、例えばコロイドケイ酸及びベントナイトである。カチオン性の共添加物として、例えばキトサン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ミョウバン、ポリ塩化アルミニウム並びに三価及び四価のカチオンが挙げられる。
【0051】
前記したように、本発明の場合にまず、少なくとも1種の微細粒の填料の水性スラリーを温めることにより、微細粒の填料の水性スラリーの製造が行われる。引き続き、少なくとも1種のラテックスの水性分散液を、前記の少なくとも1種の微細粒の填料の温めた水性スラリーに添加することが行われる。この填料は、例えば水中に導入することにより水性スラリーに加工される。沈殿された炭酸カルシウムは、通常では分散剤不在で水中に懸濁される。残りの填料の水性スラリーを製造するために、一般にアニオン性分散剤、例えば1000〜40000ダルトンの平均分子量Mwを有するポリアクリル酸が使用される。アニオン性分散剤を使用する場合に、例えば水性填料スラリーの製造のために0.01〜0.5質量%、有利に0.2〜0.3質量%が使用される。アニオン性分散剤の存在で水中に分散された微細粒の填料はアニオン性である。この水性スラリーは、少なくとも1種の填料を例えば10〜30質量%、大抵は15〜25質量%含有する。
【0052】
本発明による方法の他の実施態様の場合に、少なくとも1種のラテックスの水性分散液は、さらに次に記載の処置により処理もしくは不安定化される:
a) pH値の変更、
b) ラテックス分散液とは反対の電荷を有する無機イオンの添加、特にCa2+又はAl3+のようなイオンの添加、
c) ラテックス分散液とは反対の電荷を有する、数倍の電荷を有する有機化合物の添加、
d) ラテックス分散液とは反対の電荷を有する高分子電解質の添加、
e) 有機溶剤、例えばアセトンの添加、又は
f) 疎水性対イオン、例えばテトラアルキルアンモニウムイオンの添加。
【0053】
加熱後に行われる、前記の微細粒の填料の水性スラリーのラテックス及び場合による共添加物による処理は、連続的又は不連続的に実施することができる。
【0054】
これらの成分の混合は例えば剪断領域で行われる。大抵は、これらの成分は合わせた後に撹拌されルか又はウルトラテュラックス装置(Ultraturraxgereat)の剪断領域中で処理されることで十分である。この水性スラリーの成分を合わせかつ混合することは、例えば0〜80℃、有利に10〜50℃の温度で行うことができる。大抵は、これらの成分はその都度の室温〜40℃の温度で混合される。ラテックス及び場合により共添加物(Co-Additive)で処理された、微細粒の填料の水性スラリーのpH値は、例えば5〜11、有利に6〜9であり、その際、炭酸カルシウムを含有するスラリーのpH値は有利に6.5より高い。
【0055】
未処理の、つまり温められていない微細粒の填料の水性スラリーとラテックスの水性分散液とを合わせる場合には、前記填料粒子はまず部分的に前記ラテックスで覆われるかもしくは含浸される。少なくとも1種の微細粒の填料の水性スラリーをあらかじめ温め、引き続き少なくとも1種のラテックスの水性分散液を添加することにより、前記顔料表面へのラテックス粒子の高められた又は完全な吸収を行うことができる。
【0056】
本発明の他の主題は、紙料の脱水により填料を含有する紙、填料を含有する厚紙又は填料を含有する板紙の製造の際の紙料への添加物として、本発明による方法により製造される水性スラリーの使用である。
【0057】
詳細には、これは、填料を含有する紙、例えば木材不含の非塗工の印刷紙、筆記用紙又はコピー用紙並びに木材含有の非塗工紙、例えば上質の新聞紙又はオフセット印刷又は凸版印刷分野用のSC紙である。前記紙に添加される填料を、少なくとも1種の膨潤されたデンプンと組み合わせて少なくとも1種のラテックスで処理することにより、前記紙の填料含有量は、ほとんど変わらない強度特性で明らかに高めることができる。本発明による方法により製造された水性スラリーの使用下で得られた填料含有の紙、厚紙及びボール紙は、低い填料含有量を有する従来の紙に匹敵する強度特性を有する。
【0058】
上記の方法により処理された填料を繊維材料と混合し、全体の紙料を形成する。前記の処理された填料及び繊維材料の他に、前記の全体の材料はさらに他の通常の紙用添加物を含有することができる。これには、例えばサイズ剤、例えばアルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、樹脂サイズ、湿潤強度付与剤、合成ポリマーをベースとするカチオン性又はアニオン性の歩留まり向上剤が所属する。歩留まり向上剤として、例えばアニオン性マイクロ粒子(コロイドケイ酸、ベントナイト)、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性デンプン、カチオン性ポリエチレンイミン又はカチオン性ポリビニルアミンが挙げられる。さらに、これらの任意の組み合わせ、例えばカチオン性ポリマーとアニオン性マイクロ粒子又はアニオン性ポリマーとカチオン性マイクロ粒子からなるデュアルシステムも考えられる。
【0059】
本発明を、次の限定するものではない実施例により詳細に説明する。
【0060】
実施例中のパーセント記載は、文脈から特に明らかでない限り質量パーセントを意味する。
【0061】
実施例1a
沈降炭酸カルシウム(PCC)の20質量%の水性スラリーを、まず軽く撹拌しながら60℃に加熱した。この水性PCCスラリー150gに、引き続き軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 5335 X, BASF SE)1.8gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。この混合物のpH値を引き続き8.5に調節した。
【0062】
実施例1b
沈降炭酸カルシウム(PCC)の20質量%の水性スラリーを、まず軽く撹拌しながら60℃に加熱した。この水性PCCスラリー150gに、引き続き軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 8335 X, BASF SE)1.8gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。引き続き、予め10%の固体含有率に希釈された水性分散剤(Polysalz S(登録商標), BASF SE)1.5mlを撹拌(500rpm)しながら添加した。次いで、この混合物を実験室用遠心分離器で500rpmで遠心分離し、それにより前記混合物の固体部分を完全に分離した。この透明な上澄み液を、前記全体の混合物が60%の固体含有率を有するまで除去した。前記遠心分離物を引き続き前記上澄み液と混合した。こうして調製された混合物は、翌日並びに翌週でも、沈殿する傾向が低く、かつ常に軽く撹拌することにより再分散させることができた。
【0063】
実施例2
市販のカオリン粘土(PCC)の30質量%の水性スラリーを、まず軽く撹拌しながら60℃に加熱した。この水性カオリンスラリー150gに、引き続き軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 5335 X, BASF SE)2.7gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。この混合物のpH値を引き続き8.5に調節した。
【0064】
比較例1(WO 03/087472 A1による)
置換度DS=0.035を有するカチオン性洗浄トウモロコシデンプンを25℃で水に懸濁して20質量%のスラリーにした。このデンプンスラリーに軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 5335 X, BASF SE)1.8gを添加した。デンプン及びラテックスからなるこの混合物を、引き続き熱い水(75℃)400mlで希釈し、90秒間軽度に撹拌した。次いで、この希釈されたデンプン−ラテックス−スラリー25mlを取り出し、これをビーカーガラス中に入れた。引き続き、予め25℃に調節した沈降炭酸カルシウム(PCC)の20質量%水性スラリー150gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。この混合物のpH値を引き続き8.5に調節した。
【0065】
比較例2(WO 03/087472 A1による)
置換度DS=0.035を有するカチオン性洗浄トウモロコシデンプンを25℃で水に懸濁して30質量%のスラリーにした。このデンプンスラリーに軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 5335 X, BASF SE)2.7gを添加した。デンプン及びラテックスからなるこの混合物を、引き続き熱い水(75℃)400mlで希釈し、90秒間軽度に撹拌した。次いで、この希釈されたデンプン−ラテックス−スラリー25mlを取り出し、これをビーカーガラス中に入れた。引き続き、予め25℃に調節した市販のカオリン粘土の30質量%水性スラリー150gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。この混合物のpH値を引き続き8.5に調節した。
【0066】
比較例3
沈降炭酸カルシウム(PCC)の20質量%の水性スラリーの温度を、まず軽く撹拌しながら25℃に調節した。この水性PCCスラリー150gに、引き続き軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 5335 X, BASF SE)1.8gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。この混合物のpH値を引き続き8.5に調節した。
【0067】
比較例4
市販のカオリン粘土(PCC)の30質量%の水性スラリーの温度を、まず軽く撹拌しながら25℃に調節した。この水性カオリンスラリー150gに、引き続き軽く撹拌しながらアニオン性ラテックスの50質量%分散液(Catiofast(登録商標) PR 5335 X, BASF SE)2.7gを添加した。添加の間及びその後に、前記混合物をHeiltof撹拌機で1000rpmで撹拌した。この混合物のpH値を引き続き8.5に調節した。
【0068】
填料を含有する紙の製造
タイプAの紙
実施例3〜5
比較例5〜13
漂白されたカンバ属硫酸パルプ(Birkensulfat)と漂白されたマツ属亜硫酸パルプ(Kiefernsulfit)とからなる混合物を70/30の比率で、4%の固体濃度で実験室用パルパー中で斑点がなくなり、39〜35の叩解度が達成されるまで叩解した。この叩解された材料に、引き続き蛍光増白剤(Blankophor(登録商標) PSG, Bayer AG))並びにカチオンデンプン(HiCat(登録商標) 5163 A)を添加した。カチオンデンプンの溶解は10%のデンプンスラリーとして130℃で1分間の滞留時間でジェットクッカー中で行った。蛍光増白剤の添加量は紙料懸濁液の乾燥重量に対して製品0.5質量%であった。カチオンデンプンの添加量は紙料懸濁液の乾燥重量に対してデンプン0.5質量%であった。この材料のpH値は、この場合に7〜8の範囲内であった。この粉砕された材料を、引き続き水の添加により0.35質量%の固体濃度に希釈した。
【0069】
填料を含有する紙の製造の際の上記の水性填料スラリーの特性を測定するために、それぞれ500mlの紙料懸濁液を装入し、それぞれこのパルプ中に実施例により処理されたスラリー並びに歩留まり向上剤としてカチオン性ポリアクリルアミド(Polymin(登録商標) KE 440, BASF SE)を添加した。この歩留まり向上剤の添加量は、全ての場合において、紙料懸濁液の乾燥質量に対してそれぞれポリマー0.01%であった。
【0070】
引き続き、上記の処理された填料を有する枚葉紙を作成した(実施例3〜5及び比較例5〜10)。このために使用した填料の量を、填料含有率が約20%、30%又は40%になるように適合させた。前記の処理された填料の場合、所定の目標値を達成するために使用しなければならない使用されたスラリー量は、未処理の填料の場合よりも常に低かった。
【0071】
処理された填料タイプのそれぞれに対して、さらに未処理の填料を有する比較例を実施した(比較例11〜13)。このためにまず、約20%、30%又は40%の填料含有率が生じるために必要な未処理の填料スラリーの量を予備試験で測定した。引き続き、未処理の充填剤を有する枚葉紙を作成した。
【0072】
この枚葉紙をそれぞれISO 5269/2によるRapid-Koethen枚葉紙製造装置で、70g/m2の枚葉紙重量で製造し、引き続き7分間90℃で乾燥した。
【0073】
タイプBの紙
実施例6〜8
比較例14〜22
TMP(thermo-mechanical pulp)と砕木パルプとからなる混合物を70/30の比率で、4%の固体濃度で実験室用パルパー中で斑点がなくなり、45SRの叩解度が達成されるまで叩解した。この材料のpH値は、この場合に7〜8の範囲内であった。この粉砕された材料を、水の添加により0.35質量%の固体濃度に希釈した。
【0074】
填料を含有する紙の製造の際の上記の水性填料スラリーの特性を測定するために、それぞれ500mlの紙料懸濁液を装入し、それぞれこのパルプ中に実施例及び比較例により処理されたスラリー並びに歩留まり向上剤としてカチオン性ポリアクリルアミド(Polymin(登録商標) KE 440, BASF SE)を添加した。この歩留まり向上剤の添加量は、紙料懸濁液の乾燥質量に対してそれぞれポリマー0.01%であった。
【0075】
引き続き、上記の処理された填料を有する枚葉紙を作成した(実施例6〜8及び比較例14〜19)。このために使用した填料の量を、填料含有率が約20%、30%又は40%になるように適合させた。前記の処理された填料の場合、所定の目標値を達成するために使用しなければならない使用されたスラリー量は、未処理の填料の場合よりも常に低かった。
【0076】
処理された填料タイプのそれぞれに対して、さらに未処理の填料を有する比較例を実施した(比較例20〜22)。このためにまず、約20%、30%又は40%の填料含有率が生じるために必要な未処理の填料スラリーの量を予備試験で測定した。引き続き、未処理の充填剤を有する枚葉紙を作成した。
【0077】
この枚葉紙をそれぞれISO 5269/2によるRapid-Koethen平判紙製造装置で、80g/m2のシート重量で製造し、引き続き7分間90℃で乾燥し、その後200N/cmのニップ圧でカレンダー処理した。
【0078】
タイプAの枚葉紙の試験
一定の23℃で、50%の空気湿度の空調室中で12時間の貯蔵期間の後に、枚葉紙の乾燥裂断長をDIN 54540により、内部強度をDIN 54516により及び曲げ強度をDIN 53121により測定した。この結果を表1に示す。比較例に対応するスラリー又はこれらか製造された枚葉紙を用いた比較例は(VB)を付記した。他の実施例は、本発明による実施例である。
【0079】
タイプBの枚葉紙の試験
一定の23℃で、50%の空気湿度の空調室中で12時間の貯蔵期間の後に、枚葉紙の乾燥裂断長をDIN 54540により及び内部強度をDIN 54516により測定した。乾燥紙むけ強度はIGT−印刷適性試験(ISO 3783)試験を用いて測定した。この結果を表2に示す。比較例に対応するスラリー又はこれらか製造された枚葉紙を用いた比較例は(VB)を付記した。他の実施例は、本発明による実施例である。
【0080】
表1(タイプAの枚葉紙の試験)
【表1】

【0081】
表2(タイプBの枚葉紙の試験)
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法において、少なくとも1種の微細粒の填料の水性スラリーの加熱により、及び引き続き少なくとも1種のラテックスの水性分散液の添加により、前記処理を実施することを特徴とする、微細粒の填料の水性スラリーを処理する方法。
【請求項2】
少なくとも1種の微細粒の填料の水性スラリーを、少なくとも40℃(大気圧で)の温度に温めることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水性スラリーは少なくとも1種の微細粒の填料を1〜70質量%含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ラテックスの量は、填料に対して0.01〜10質量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ラテックスは、少なくとも40質量%が、いわゆる主モノマー(a)からなり、前記主モノマーは、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート、20個までのC原子を有するカルボン酸のビニルエステル、20個までのC原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個のC原子を有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個のC原子及び1個又は2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素又はこれらのモノマーの混合物から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ラテックスは、少なくとも40質量%がブタジエン又はブタジエンとスチレンとの混合物から構成されているか、又は少なくともが40質量%がC1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート又はC1〜C20−アルキル(メタ)アクリラートとスチレンとの混合物から構成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ラテックスは、スチレン20〜50質量%、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート30〜80質量%及び他の親水性モノマー0〜30質量%を含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
紙料の脱水により、填料を含有する紙、填料を含有する厚紙又は填料を含有する板紙を製造する際の、紙料への添加物としての、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により製造された水性スラリーの使用。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により製造された水性スラリーを使用して製造された紙。

【公表番号】特表2010−532431(P2010−532431A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513998(P2010−513998)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058646
【国際公開番号】WO2009/004080
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】