説明

微細藻類由来の多価不飽和脂肪酸の組成物、方法およびキット

本発明は、微細藻類により産生されるPUFA、特に、ロドモナス属のメンバー、特にロドモナス・サリナにより産生されるオメガ−3および/またはオメガ−6脂肪酸を含む組成物、方法およびキットを提供する。本発明は、また、PUFAを含む、疾患または症状、特に、心血管および/または炎症性疾患または症状の予防的および/または治療的処置用の組成物、方法およびキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、脂質代謝および食品栄養補充の分野に関する。本発明は、また、微細藻類、特に微細藻類バイオマスにより産生される多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む組成物、方法およびキット、並びに、ロドモナス(Rhodomonas)属のメンバー、特にロドモナス・サリナ(Rhodomonas salina)により産生されるオメガ−3および/またはオメガ−6脂肪酸を含む脂質組成物に関する。より具体的には、それは、異なる種の微細藻類に由来する多価不飽和脂肪酸の組合せを使用する、哺乳動物の疾患の予防および処置用の組成物および方法に関する。従って、本発明は、また、微細藻類により産生されるPUFAを含む、疾患または症状、特に、心血管および/または炎症性疾患または症状の予防的および/または治療的処置用の組成物、方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
オメガ−3脂肪酸は、正常なヒトの成長および発達に必須であり、それらの心血管疾患および関節リウマチに関する治療的および予防的利点は、十分に文書で証明されてきた(James et al., A. J. Clin. Nutr. 77: 1140-1145 (2003); Simopoulos, A. J. Clin, Nutr. 70: 560S-569S (1999))。複数の研究が、魚油およびn−3多価不飽和脂肪酸(PUFA)の心血管疾患の進行に関する保護的役割を文書で証明した。魚油の心保護的利点は、大部分、エイコサペンタエン酸(EPA、20:5n−3)およびドコサヘキサエン酸(DHA、22:6、n−3)などの20および22個の炭素の脂肪酸に起因し、それが細胞および血漿リポタンパク質において豊富であることは、炎症、血栓症、血圧、不整脈、内皮の活性化および血漿トリグリセリド(TG)濃度の減少をもたらす。
【0003】
ヒトを含む哺乳動物は、飽和脂肪酸および一不飽和(n−9)脂肪酸を合成できるが、(n−6)または(n−3)二重結合を合成できない。(n−3)および(n−6)脂肪酸は、細胞膜リン脂質において、そして、様々な酵素の基質として、必須成分である;従って、これらの結合を含む脂肪酸は、必須脂肪酸であり、食事で得られなければならない。(n−6)脂肪酸は、主として、植物油由来のリノール酸[18:2(n−6)]として、そして、肉由来のアラキドン酸[AA、20:4(n−6)]として消費される。(n−3)脂肪酸は、いくつかの植物油由来のy−リノレン酸[GLA、18:3(n−3)]として消費され得る。より長い鎖(n−3)の脂肪酸、主に、EPAおよびドコサヘキサエン酸[DHA、22:6(n−3)]は、魚および魚油に見出される(Hardman, J. Nutr. 134: 3427S-3430S (2004))。
【0004】
魚油の有利な効果についての圧倒的な証拠にも拘わらず、北米の集団におけるn−3PUFAの消費は、非常に少ない。(n−3)および(n−6)脂肪酸は、ヒトでは相互に交換できないので、ヒトにおける(n−3)と(n−6)の脂肪酸のバランスは、適切な食事によってしか達成できない。しかしながら、現在の西洋の食事は、(n−6)脂肪酸を支配的に含み、僅かな量の(n−3)脂肪酸を含む。実際に、事実上の食事による魚油由来の脂肪酸の摂取は、アメリカ心臓協会(American Heart Association)(Ursin, J. Nutr. 133: 4271-4272 (2003))により推奨されるレベルの10分の1までに低いと見積もられる。そのような(n−3)と(n−6)の脂肪酸の不均衡は、喘息、心血管疾患、関節炎、癌を含む、様々な疾患と関連付けられてきた。
【0005】
研究は、(n−3)および(n−6)脂肪酸が、2つのタイプの酵素:シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポオキシゲナーゼ(LOX)の作用を通して、様々な疾患の症状に影響することを明らかにした。COXおよびLOXは、20個の炭素の脂肪酸に作用し、細胞のシグナル伝達分子を産生する。AAまたはEPAに対するCOXの活性は、プロスタグランジン類またはトロンボキサン類を産生する;AAまたはEPAに対するLOXの活性は、ロイコトリエン類を産生する。AAから産生される2系統のプロスタグランジン類は、殆どの組織で、炎症促進性かつ増殖性である傾向がある。EPAから産生される3系統のプロスタグランジン類では、炎症および増殖の促進性は低い傾向がある。従って、EPAに由来するプロスタグランジン類は、炎症および癌細胞の発達および増殖への有利さに乏しい (Hardman, J. Nutr. 134: 3427S-3430S (2004))。
【0006】
炎症性疾患に影響を与えるための代替的アプローチは、(n−6)系統の18個の炭素の多価不飽和脂肪酸、y−リノレン酸[GLA、18:3(n−6)]を補充した食事であった。この脂肪酸は、主に、月見草およびルリジサの油に見出され、それより低い程度で肉および玉子に見出される。動物のデータおよびいくつかの臨床試験は、GLAによる食品栄養補充は、関節リウマチおよびアトピー性皮膚炎を含む20種の慢性炎症性疾患の徴候および症状を減じ得ることを示唆する。ステアリドン酸[SDA、18:4(n−3)]を含有する他の植物油であるシャゼンムラサキ属の油は、高トリグリセリド血症の患者において保護効果を有すると示された。
【0007】
しかしながら、今日までの多くの食事研究における主な関心は、様々なPUFAの供給源が、それが魚油、ルリジサ、月見草またはシャゼンムラサキ属の油またはこれらの油の組合せであろうとなかろうと、抗炎症性の有効成分(ある種のPUFA)を提供するが、それらは、潜在的に炎症促進性であるか、または、活性なPUFAの抗炎症作用を阻害するn−6脂肪酸も提供することである。2種のそのような脂肪酸は、AAおよびリノール酸[18:2(n−6)]である。これらのn−6脂肪酸は、主に植物油由来のリノール酸および肉由来のAAとして消費される。リノール酸は、一連の不飽和化および伸長の段階により、AAに変換される。多量の食物由来のリノール酸は、西洋諸国で観察されるオメガ6とオメガ3脂肪酸の大きな不均衡をもたらしてきた主な犯人である。リノール酸の多い食事は、いくつかの動物モデルで炎症促進性であると立証された。
【0008】
アラキドン酸は、哺乳動物でロイコトリエン類、プロスタグランジン類およびトロンボキサン類と呼ばれる産物に変換される、20個の炭素のn−6脂肪酸である。これらの産物は炎症を引き起こし、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(Celebrex(商標))およびモンテルカストナトリウム(Singulair(商標))などの薬物を利用するそれらの産生の阻害は、喘息および関節炎を含む炎症性疾患の徴候および症状を減ずる。炎症促進性産物の産生におけるAAの重要性に加えて、AAは、また、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−アルファなどの転写因子を介して哺乳動物における遺伝子発現を調節し、低レベルの全身の炎症を導く。上記で示した通り、最近の研究は、AAが我々の食品供給の多くの品目に高濃度で存在することを明らかにしている。皮肉なことに、それはある種の魚に高濃度で見出される。ヒトの食事中のAAは、炎症促進性産物、血小板凝集およびアテローム性動脈硬化のレベルの上昇と相関させられてきた。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
抗炎症性脂肪酸を含有する製剤の設計および開発における主な進歩は、最適な割合の抗炎症性または抗心血管疾患の脂肪酸を含有し、その中で無益または有害な脂肪酸は最小限である複合油を開発することであろう。これは、抗炎症性または抗心血管疾患の脂肪酸の食事による摂取を増加させ得、従って、ある種の予防できる疾患の管理および処置を可能にし得、人間の安寧を増進し得る。
【0010】
従って、本発明は、微細藻類に由来する抗炎症性脂肪酸組成物の製造方法を対象とする。本発明は、さらに、これらの組成物およびこれらの組成物の使用方法を対象とする。
【0011】
ある実施態様では、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物の製造方法が開示される;その方法は、多価不飽和脂肪酸を微細藻類から抽出することを含み、ここで、(a)GLAは、全脂肪酸の1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり;そして、(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり;ここで、組成物は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0012】
他の実施態様では、少なくとも5%のステアリドン酸を含む組成物の製造方法が開示され、その方法は、(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、(b)該微細藻類バイオマスから該微細藻類油を抽出すること;または、(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100%を達成することのいずれかを含み、ここで、組成物は、少なくとも5%のステアリドン酸を含む。
【0013】
また他の実施態様では、微細藻類由来の脂肪酸を含む動物飼料添加物の製造方法が開示され、その方法は、(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、(b)該微細藻類バイオマスから微細藻類油を抽出し、微細藻類油を産生すること;または、(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5%ないし100%の微細藻類バイオマスを産生することのいずれかを含み、ここで、動物飼料添加物は、微細藻類由来の脂肪酸を含む。
【0014】
さらなる実施態様では、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物の製造方法が開示され、その方法は、脂肪酸を微細藻類から抽出することを含み、ここで、(a)GLAは、全脂肪酸の1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり;(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり、ここで、動物飼料添加物は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0015】
またさらなる実施態様では、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法が開示され、その方法は、動物に微細藻類から回収した脂肪酸を含む動物飼料添加物を与えることを含み、動物飼料添加物は、さらに、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、および/または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100%を達成している、を含み、ここで、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物が産生される。
【0016】
追加の実施態様では、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法が提供され、その方法は、動物に少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物を与えることを含み、その動物飼料添加物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、ここで、(a)GLAは、全脂肪酸の1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり;そして、(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり;ここで、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物が産生される。
【0017】
次の実施態様では、治療的有効量の少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物を対象に投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法が提供され;その組成物は、さらに、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、その微細藻類の脂肪酸抽出物は、(a)全脂肪酸の1%ないし10%の量のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA、および、(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAを含む。
【0018】
他の次の実施態様では、治療的有効量の少なくとも5%のSDAを含む組成物を対象に投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法が提供され、その組成物は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100%を達成している、のいずれかを含む。
【0019】
さらなる次の実施態様では、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物が提供され;その組成物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、その微細藻類の脂肪酸抽出物は、(a)全脂肪酸の1%ないし10%の量のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA;および(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAを含む。
【0020】
またさらなる次の実施態様では、少なくとも5%のSDAを含む組成物が提供され、その組成物は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100%を達成している、のいずれかを含む。
【0021】
追加の次の実施態様では、(a)0.01−99.99重量%の、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む組成物、ここで、脂肪酸は、微細藻類から抽出されたものであり、さらに、微細藻類の脂肪酸抽出物は、(i)全脂肪酸の1%ないし10%の量のGLA;(ii)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(iii)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPAおよび(iv)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAを含む;を、(b)99.99−0.01重量%の、タンパク質、炭水化物および繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分、と組み合わせて含む食品が提供される。
【0022】
本発明のさらなる実施態様は、(a)0.01−99.99重量%の、少なくとも5%のステアリドン酸を含む組成物、この組成物は、(i)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(ii)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかを含む;を、(b)99.99−0.01重量%の、タンパク質、炭水化物および繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分、と組み合わせて含む食品を提供する。
【0023】
本発明の他の実施態様では、動物飼料添加物が提供され、その動物飼料添加物は、微細藻類から回収された脂肪酸を、a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかの形態で含む。
【0024】
ここでさらに提供されるのは、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物であり、その添加物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、ここで、微細藻類の脂肪酸抽出物は、さらに、(a)全脂肪酸の1%ないし10%の量のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA;および(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAを含む。
【0025】
本発明の他の実施態様は、微細藻類から回収された脂肪酸を、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかの形態で含む動物飼料添加物を動物に与えることにより産生される、動物製品を含む。
【0026】
本発明のまた他の実施態様は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物を動物に与えることにより産生される動物製品を提供し、その添加物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、ここで、微細藻類の脂肪酸抽出物は、さらに、(a)全脂肪酸の1%ないし10%の量のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA、および、(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAを含む。
【0027】
ある態様では、本発明は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法を提供する。その方法は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類バイオマスを、微細藻類の対数増殖期に回収する。
【0028】
他の態様では、本発明は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法を提供し、その方法は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類バイオマスを、微細藻類の対数増殖期に回収し、オメガ−3脂肪酸はステアリドン酸(SDA)であり、オメガ−6脂肪酸はγ−リノレン酸(GLA)であり、回収時のSDAは、全脂肪酸の少なくとも約30%であり、回収時のGLAは、全脂肪酸の約1%未満である。
【0029】
いくつかの態様では、本発明は、微細藻類バイオマスから製造される脂質組成物を提供し、ここで、脂質組成物は、微細藻類バイオマスからの抽出時に、
(a)全脂肪酸の少なくとも10%の総SDA量の、微細藻類により産生されたSDA;および、
(b)全脂肪酸の約5%より少ない総GLA量の、微細藻類により産生されたGLA
を含む。
【0030】
他の態様では、本発明は、全脂肪酸の少なくとも30重量%を占める脂質をオメガ−3脂肪酸として含む微細藻類バイオマスを提供する。
ある態様では、本発明は、全脂肪酸の少なくとも40重量%を占める脂質をオメガ−3およびオメガ−6脂肪酸として含む微細藻類バイオマスを提供する。
他の態様では、バイオマスの少なくとも10%の乾燥重量の含有量のオメガ−3脂肪酸を含む微細藻類バイオマスが提供される。
【0031】
ある態様では、本発明は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法を提供し、その方法は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類の負の増殖加速期(negative growth acceleration phase)または定常期で微細藻類バイオマスを回収する。
【0032】
また他の態様では、本発明は、微細藻類バイオマスから製造される脂質組成物を提供し、ここで、脂質組成物は、微細藻類バイオマスからの抽出時に、
(a)全脂肪酸の少なくとも5%の総SDA量の、微細藻類により産生されたSDA;および、
(b)全脂肪酸の少なくとも5%の総GLA量の、微細藻類により産生されたGLA
を含む。
【0033】
ある態様では、本発明は、単離されたロドモナス株4Rsal(PTA−9986)、5Rsal(PTA−9987)、9Rsal(PTA−9988)、12Rsp(PTA−9989)および16Rsp(PTA−9990)を提供し、これらは、ATCCに2009年4月30日に寄託された。
【0034】
他の態様では、本発明は、単離されたロドモナス株4Rsal(PTA−9986)、5Rsal(PTA−9987)、9Rsal(PTA−9988)、12Rsp(PTA−9989)および16Rsp(PTA−9990)の生物学的に純粋な培養物を提供し、これらは、ATCCに2009年4月30日に寄託された。
【0035】
いくつかの態様では、本発明は、本発明に従って製造される微細藻類バイオマス、脂質組成物、および/または、それらの画分を含むキットを提供する。
【0036】
上述および他の本発明の態様を、本明細書に記載する他の実施態様に関して、より詳細に説明する。本発明は異なる形態でも具体化できることを理解すべきであり、本明細書に記載の実施態様に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が徹底的かつ完璧であるように、そして、本発明の範囲を完全に当業者に伝えるように提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、ロドモナス・サリナおよびアンフィジニウム・カルテラエ(Amphidinium carterae)の脂肪酸プロフィールを示す。
【図2】図2は、ロドモナス・サリナのクロロフィルa濃度(A)および細胞数(B)に対する光強度の影響を示す。
【図3】図3は、ロドモナス・サリナのクロロフィルa濃度(A)および細胞数(B)に対する温度の影響を示す。
【図4】図4は、ロドモナス・サリナの総色素プロフィールに対する光強度(A)および温度(B)の影響を示す。
【図5】図5は、アンフィジニウム・カルテラエのクロロフィルa濃度(A)および細胞数(B)に対する光強度の影響を示す。
【図6】図6は、アンフィジニウム・カルテラエのクロロフィルa濃度(A)および細胞数(B)に対する温度の影響を示す。
【図7】図7は、アンフィジニウム・カルテラエの総色素プロフィールに対する光強度(A)および温度(B)の影響を示す。
【図8】図8は、ロドモナス・サリナおよびアンフィジニウム・カルテラエの細胞毒性試験の結果を示す。
【図9】図9は、28℃で増殖させたロドモナス・サリナにおける脂肪酸蓄積に対する、培養段階および栄養の影響を示す。
【図10】図10は、ロドモナス・サリナおよびアンフィジニウム・カルテラエのSDA含有量に対する温度の影響を示す。
【0038】
【図11】図11は、ロドモナス・サリナのSDA含有量に対する光強度の影響を示す。
【図12】図12は、抗生物質処理の前(□)および後(■)に培養した株9Rsalの脂肪酸(「FA」)プロフィールを示す。
【図13】図13は、定常期に測定した様々なロドモナス株のFAプロフィールを示す:(A)特定の多価不飽和FA;および(B)不飽和および一不飽和FAの合計。データは、細胞数に標準化していない。
【図14】図14は、ロドモナスの株の増殖の特徴を示す。
【図15】図15は、ロドモナスの株の不飽和FA(オメガ−3(Σn−3)、オメガ−6(Σn−6)、オメガ−9(Σn−9))の含有量を示す。
【図16】図16は、低(□)および高(■)密度のロドモナス株のSDA含有量を示す。
【図17】図17は、選択されたロドモナス株の不飽和FA含有量を示す。γ−リノレン酸(GLA)およびアラキドン酸(AA)は、オメガ−6(n−6;a/k/aΣn−6またはω−6)FAである;α−リノレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)は、オメガ−3(n−3;a/k/aΣn−3またはω−3)FAである。
【図18】図18は、500mlフラスコ中、h/2培地中、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下で増殖させた抗生物質で処理した株12Rspの増殖の特徴を示す。矢印は、光強度を最初の700lux(lx)から約1000lux(lx)へ増加させる手技を示す。
【図19】図19は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下で増殖させた抗生物質で処理した株12Rspの培養物中の、リン酸塩および硝酸塩の培養培地濃度を示す。
【図20】図20は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下で増殖させた培養物中の、時間の関数としてのロドモナス株のSDA含有量を示す。
【0039】
【図21】図21は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下で増殖させた培養物における、時間の関数としてのロドモナス株のEPA含有量を示す。
【図22】図22は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下で増殖させた培養物における、時間の関数としてのロドモナス株のGLA含有量を示す。
【図23】図23は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地のリン酸塩濃度に対する、抗生物質で処理した株12RspにおけるFA含有量(A−D)および細胞数(E)を示す。また、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地の硝酸塩濃度に対する細胞数(F)も示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図24】図24は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地のリン酸塩濃度に対する、株4RsalにおけるFA含有量(A−D)および細胞数(E)を示す。また、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地の硝酸塩濃度に対する細胞数(F)も示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図25】図25は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地のリン酸塩濃度に対する、株5RsalにおけるFA含有量(A−D)および細胞数(E)を示す。また、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地の硝酸塩濃度に対する細胞数(F)も示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図26】図26は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地のリン酸塩濃度に対する、株16RspにおけるFA含有量(A−D)および細胞数(E)を示す。また、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、培地の硝酸塩濃度に対する細胞数(F)も示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図27】図27は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、株12RspのFAプロフィール(実線の曲線)を示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図28】図28は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、株4RsalのFAプロフィール(実線の曲線)を示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図29】図29は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、株5RsalのFAプロフィール(実線の曲線)を示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【0040】
【図30】図30は、通常(N;約36μM)または低(L;約18μM)リン酸塩の存在下での、株16RspのFAプロフィール(実線の曲線)を示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。
【図31】図31は、株12RspのFAプロフィールを、その増殖曲線を介して示す。細胞密度(破線の曲線)を各パネルに示す。フラスコで細胞を培養する間に、FAを評価した:(A)全部;(B)SDAおよびALA;(C)GLAおよびLA;並びに(D)EPAおよびDHA。測定値は、デュプリケートのサンプルの平均である。
【図32】図32は、株(A)12Rspおよび(B)5RSALの培養物において、SDA含有量を培養培地および細胞の栄養(リン酸塩および硝酸塩)状態と共に示す。
【図33】図33は、55mMグルコースまたは2mM酢酸塩の非存在下(対照)または存在下で、9日間増殖させた株12RspのFAプロフィールを示す。FA分析用に、デュプリケートのサンプルを回収した。
【図34】図34は、アルミニウムの枠に置いた30Lのガラスのフォトバイオリアクター(PBR)(直径34cmx50cm;Chem-Flowtronics, NJ)を示す。上に載せた空気圧モーター(見えない)が、テフロンのパドルの動力である。光源は枠の外に位置する。(A)未播種のPBR;(B)新しく播種したPBR(約4.5x10細胞/ml);および(C)最高細胞密度(約0.8x10細胞/ml)に近いPBR。
【図35】図35は、培養中の株12Rspの増殖の特徴を示す。リン酸塩(A)および硝酸塩(B)のリアクターレベルを監視し、矢印で示す通りに加えた(P、実線;N、破線)。目標の栄養の範囲(最適の20%未満)を、影をつけて囲んだ範囲で示す。
【図36】図36は、PBR中で増殖させた株12RspのFAプロフィールを示す:(A)は、未加工の細胞から Bligh および dyer の方法で脂質を抽出したときの株12RspのFAプロフィール(全FAの%として)を示し、(B)は、2つの方法で脂質を抽出したときの株12RspのFAプロフィールの比較を示し(ペレット= Bligh および Dyer の方法で即座に抽出した1千万個の未加工の細胞;および、フィルター=ガラス繊維濾紙に捕らえ、Bligh および Dyer の方法で抽出する前に終夜乾燥させた1千万個の細胞);(C)は、全FAの%として表現した、Bと同じデータを示し;そして、(D)は、使用した2つの抽出方法からの、全FAの回収量を示す。
【図37】図37は、チューブ(●)、フラスコ(○)およびリアクター(▲)で、類似の栄養と入射光の条件下で増殖させた株12Rspの増殖の特徴を示す。細胞密度を、(A)log細胞/mlまたは(B)細胞百万個/mlのいずれかで表す。
【図38】図38は、クリプト藻類の系統樹におけるロドモナスのクラスターへの株12Rspの割当てを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
本明細書で使用するとき、語句「治療的有効量」は、治療的または農業的効果であり得る所望の効果を奏するのに十分である化合物または組成物の量を表す。治療的有効量は、化合物または組成物を用いる目的である適用、微生物および/または対象の年齢および健康状態、症状の重篤度、処置期間、併用する処置の性質、使用する医薬的または農学的に許容し得る担体などの要因によって、当業者の知識と専門的見解の範囲内で変動する。個別のケースの適切な「治療的有効量」は、関連する教科書および文献を参照して、かつ/または、日常的な実験方法を使用して、当業者により決定できる(医薬的適用のためには、例えば、Remington, The Science And Practice of Pharmacy (9th Ed. 1995)参照)。
【0042】
開示されるのは、多価不飽和脂肪酸の新規製造方法、および、微細藻類に由来する多価不飽和脂肪酸の新規組成物である。
【0043】
一般的に、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物の製造方法は、少なくとも1種の脂肪酸を微細藻類から抽出することを含み、ここで、(a)GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり、そして、(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり、ここで、組成物は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0044】
ある実施態様では、微細藻類は、異なる微細藻類の種の混合物であり得る。いくつかの実施態様では、脂肪酸の1種、GLA、SDA、EPAまたはDHAは、組成物に含まれない。他の本発明の態様では、多価不飽和脂肪酸組成物は、植物供給源を含むがこれに限定されない他の供給源からの多価不飽和脂肪酸で補充される。多価不飽和脂肪酸の植物供給源には、ルリジサ、カシス、シャゼンムラサキ属および月見草が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
いくつかの実施態様では、本発明の方法により製造される多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、5%ないし35%の範囲の濃度で含み得る。従って、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%などの濃度で含み得る。他の実施態様では、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし10%、5%ないし12%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、6%ないし8%、6%ないし10%、6%ないし12%、6%ないし15%、6%ないし20%、6%ないし25%、6%ないし35%、7%ないし9%、7%ないし11%、7%ないし13%、7%ないし14%、7%ないし15%、7%ないし20%、7%ないし25%、7%ないし30%、7%ないし35%、8%ないし10%、8%ないし12%、8%ないし14%、8%ないし15%、8%ないし20%、8%ないし25%、8%ないし35%、9%ないし11%、9%ないし13%、9%ないし15%、9%ないし20%、9%ないし25%、9%ないし30%、9%ないし35%、10%ないし12%、10%ないし13%、10%ないし14%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、25%ないし30%、25%ないし35%、30%ないし35%などの範囲で含み得る。ある実施態様では、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、少なくとも8%の濃度で含む。
【0046】
他の実施態様では、組成物中に含まれ得るGLAの量は、全脂肪酸の0.1%ないし10%の範囲にある。従って、GLAは、組成物中に、全脂肪酸の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で含まれ得る。他の実施態様では、GLAは、組成物中に、全脂肪酸の0.1%ないし1%、1%ないし3%、1%ないし5%、1%ないし7%、1%ないし9%、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲の量で含まれ得る。
【0047】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物中に含まれ得るSDAの量は、全脂肪酸の5%ないし50%の範囲にある。従って、SDAは、組成物中に、全脂肪酸の5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%などの量で提供され得る。他の実施態様では、SDAは、組成物中に、全脂肪酸の5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、5%ないし35%、5%ないし40%、5%ないし45%、5%ないし50%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、10%ないし40%、10%ないし45%、10%ないし50%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、20%ないし40%、20%ないし45%、20%ないし50%、25%ないし30%、25%ないし35%、25%ないし40%、25%ないし45%、25%ないし50%、30%ないし35%、30%ないし40%、30%ないし45%、30%ないし50%、35%ないし40%、35%ないし45%、35%ないし50%、40%ないし45%、40%ないし50%、45%ないし50%などの範囲の量で含まれ得る。
【0048】
他の実施態様では、EPAは、組成物中に、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で含まれ得る。従って、EPAは、組成物中に、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で提供され得る。他の実施態様では、EPAは、組成物中に、1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%15ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲の全脂肪酸中のパーセントの量で含まれ得る。
【0049】
本発明のいくつかの実施態様では、DHAは、組成物中に、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で含まれ得る。従って、DHAは、組成物中に、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で提供され得る。他の実施態様では、DHAは、組成物中に、全脂肪酸の量の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲で含まれ得る。
【0050】
本発明の他の態様は、少なくとも5%のSDAを含む組成物の製造方法を提供し、その方法は、(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、(b)該微細藻類バイオマスから該微細藻類油を抽出すること;または(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100重量%を達成すること、のいずれかを含み;ここで、少なくとも5%ステアリドン酸を含む組成物が製造される。
【0051】
いくつかの実施態様では、SDAは、トリグリセリド形態である。他の実施態様では、SDAはリン脂質形態ではない。
【0052】
いくつかの実施態様では、SDAは、2%ないし10%の範囲の量で組成物中に存在する。従って、SDAは、組成物中に、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で存在する。他の実施態様では、SDAは、組成物中に、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲で含まれ得る。
【0053】
本発明のさらなる実施態様には、動物飼料添加物の製造方法が含まれる。従って、本発明のある態様は、微細藻類由来の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物の製造方法であって、その方法は、(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、(b)該微細藻類バイオマスから微細藻類油を抽出し、微細藻類油を産生すること;または、(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5%ないし100重量%の微細藻類バイオマスを産生すること、のいずれかを含み、ここで、動物飼料添加物は、微細藻類由来の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0054】
いくつかの実施態様では、微細藻類から回収された脂肪酸は、短鎖オメガ−3脂肪酸である。中鎖オメガ−3脂肪酸には、SDAおよびアルファリノレン酸(ALA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
さらなる実施態様では、微細藻類バイオマスから抽出した微細藻類油を、固体含有量約5%ないし100重量%の微細藻類バイオマスと組み合わせることができる。
【0056】
本発明の追加の態様は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物の製造方法を提供し、その方法は、脂肪酸を微細藻類から抽出することを含み、ここで、脂肪酸は、(a)GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり;そして、(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であることを含み得、ここで、動物飼料添加物は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0057】
いくつかの実施態様では、本発明の方法により製造される動物飼料添加物は、5%ないし35%の範囲の濃度で多価不飽和脂肪酸を含み得る。従って、動物飼料添加物は、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%などの濃度で多価不飽和脂肪酸を含み得る。他の実施態様では、動物飼料添加物は、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし10%、5%ないし12%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、6%ないし8%、6%ないし10%、6%ないし12%、6%ないし15%、6%ないし20%、6%ないし25%、6%ないし35%、7%ないし9%、7%ないし11%、7%ないし13%、7%ないし14%、7%ないし15%、7%ないし20%、7%ないし25%、7%ないし30%、7%ないし35%、8%ないし10%、8%ないし12%、8%ないし14%、8%ないし15%、8%ないし20%、8%ないし25%、8%ないし35%、9%ないし11%、9%ないし13%、9%ないし15%、9%ないし20%、9%ないし25%、9%ないし30%、9%ないし35%、10%ないし12%、10%ないし13%、10%ないし14%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、25%ないし30%、25%ないし35%、30%ないし35%などの範囲の濃度で多価不飽和脂肪酸を含み得る。ある実施態様では、動物飼料添加物は、少なくとも8%の濃度で多価不飽和脂肪酸を含む。
【0058】
さらなる実施態様では、動物飼料添加物に含まれ得るGLAの量は、全脂肪酸の0.1%ないし10%の範囲にある。従って、GLAは、動物飼料添加物に、全脂肪酸の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1、0%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で含まれ得る。他の実施態様では、GLAは、動物飼料添加物に、0.1%ないし1%、1%ないし3%、1%ないし5%、1%ないし7%、1%ないし9%、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲の全脂肪酸中の量で含まれ得る。
【0059】
またさらなる実施態様では、本発明の動物飼料添加物に含まれるSDAの量は、全脂肪酸の5%ないし50%の範囲にある。従って、動物飼料添加物は、全脂肪酸の5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%などの量でSDAを含み得る。他の実施態様では、SDAは、動物飼料添加物中に、全脂肪酸の5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、5%ないし35%、5%ないし40%、5%ないし45%、5%ないし50%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、10%ないし40%、10%ないし45%、10%ないし50%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、20%ないし40%、20%ないし45%、20%ないし50%、25%ないし30%、25%ないし35%、25%ないし40%、25%ないし45%、25%ないし50%、30%ないし35%、30%ないし40%、30%ないし45%、30%ないし50%、35%ないし40%、35%ないし45%、35%ないし50%、40%ないし45%、40%ないし50%、45%ないし50%などの範囲の量で含まれ得る。
【0060】
他の実施態様では、EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で動物飼料添加物中に含まれ得る。従って、EPAは、動物飼料添加物中、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で提供され得る。他の実施態様では、EPAは、動物飼料添加物中に、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲のパーセントの量で含まれ得る。
【0061】
本発明のいくつかの実施態様では、DHAは、動物飼料添加物に、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で含まれ得る。従って、DHAは、動物飼料添加物中に、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で提供され得る。他の実施態様では、DHAは、動物飼料添加物中に、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲の量で含まれ得る。
【0062】
本発明のさらなる実施態様は、少なくとも5%のSDAを含む動物飼料添加物の製造方法を提供し、その方法は、(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、(b)該微細藻類バイオマスから該微細藻類油を抽出すること;または、(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100重量%を達成すること、のいずれかを含み、ここで、少なくとも5%のSDAを含む動物飼料添加物が製造される。
【0063】
いくつかの実施態様では、本発明の方法により製造されるSDAは、組成物中に2%ないし10%の範囲の量で存在する。従って、SDAは、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で組成物中に存在する。他の実施態様では、SDAは、組成物中に、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲で含まれ得る。
【0064】
本発明による飼料添加物を他の食品成分と組み合わせ、加工動物飼料製品を製造することができる。そのような他の食品成分には、1種またはそれ以上の酵素サプリメント、ビタミンの食品添加物およびミネラルの食品添加物が含まれる。潜在的に数種類の異なるタイプの化合物を含む、得られる(組み合わせた)飼料添加物を、次いで、適量で穀物および植物タンパク質などの他の食品成分と混合し、加工食品を形成することができる。これらの成分を加工食品に加工することは、現在使用されている加工器具のいずれを使用しても実施できる。本発明の動物飼料添加物は、それ自体で、ビタミン、ミネラル、他の飼料酵素、農業副産物(例えば、コムギの中等品またはトウモロコシグルテン粉)を加えて、または、それらとの組合せで、動物飼料中のサプリメントとして使用され得る。
【0065】
本発明のさらなる実施態様は、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法を提供し、その方法は、本明細書に記載の動物飼料添加物を動物に与えることを含む。長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量の増加は、本発明の動物飼料添加物を与えられていない動物のものに対するものである。
【0066】
従って、本発明のある態様は、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法を提供し、その方法は、動物に微細藻類から回収した脂肪酸を含む動物飼料添加物を与えることを含み、動物飼料添加物は、さらに、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、および/または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、を含み、ここで、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物が産生される。
【0067】
いくつかの実施態様では、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法が提供され、その方法は、動物に少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物を与えることを含み、その動物飼料添加物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、ここで、脂肪酸は、(a)全脂肪酸の0.1%ないし10%のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA;および(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAであり得;ここで、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物が産生される。
【0068】
他の実施態様では、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法が提供され、その方法は、動物に少なくとも5%のSDAを含む動物飼料添加物を与えることを含み、動物飼料添加物は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水を(b)の微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100重量%を達成する、のいずれかを含む。
【0069】
本発明の動物には、卵、肉、乳または他の産物がヒトまたは他の動物に消費されるいかなる動物も含まれるが、これらに限定されるものではない。従って、本発明の動物には、魚、家禽(ニワトリ、シチメンチョウ、アヒルなど)、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、肉牛および乳牛が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、用語「組織含有量」は、筋肉、骨、皮膚、体毛および血液を含むがこれらに限定されない、動物の身体の様々な部位を表す。
【0070】
本発明は、さらに、対象に治療的有効量の本発明の組成物を投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法を提供する。いくつかの実施態様では、処置される哺乳動物の疾患には、心血管疾患、炎症性疾患および様々な癌性疾患が含まれるが、これらに限定されない。他の実施態様では、処置される心血管疾患には、高トリグリセリド血症、冠動脈心疾患、卒中、急性心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化症が含まれるが、これらに限定されない。さらなる実施態様では、処置される炎症性疾患には、喘息、関節炎、アレルギー性鼻炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病およびアレルギー性鼻結膜炎が含まれるが、これらに限定されない。またさらなる実施態様では、処置される癌性疾患には、前立腺癌、乳癌および大腸癌が含まれるが、これらに限定されない。さらなる実施態様では、処置される哺乳動物の疾患には、精神障害が含まれる。精神障害には、鬱病、双極性障害、統合失調症が含まれるが、これらに限定されない。加えて、本発明の組成物は、認知機能の維持および/または増強のために使用できる。
【0071】
本発明の他の実施態様は、治療的有効量の、少なくとも8%の微細藻類から抽出した多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物を対象に投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法を提供し、ここで、脂肪酸は、(a)全脂肪酸の0.1%ないし10%の量のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA、および、(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAであり得る。組成物中の多価不飽和脂肪酸、GLA、SDA、EPAおよびDHAの量および範囲のさらなる詳細は、組成物の説明において先に記載した通りである。
【0072】
本発明のさらなる態様は、治療的有効量の、少なくとも5%のSDAを含む組成物を対象に投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法を提供し、その組成物は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水を(b)の微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100重量%を達成する、のいずれかを含む。いくつかの他の実施態様では、微細藻類油および微細藻類バイオマスを、5%SDAを含む組成物と組み合わせることができる。組成物中のSDAの量および範囲のさらなる詳細は、組成物の説明において先に記載した通りである。
【0073】
本発明に従って処置されるのに適する対象には、鳥類および哺乳動物の対象が含まれるが、これらに限定されない。本発明による例示的な鳥類には、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、ウズラ、キジ、走禽類(例えば、ダチョウ)、飼育されている鳥(例えば、オウムおよびカナリヤ)および卵内の鳥が含まれる。本発明の哺乳動物には、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、齧歯類(例えば、ラットおよびマウス)、ウサギ、霊長類(ヒト以外の霊長類を含む)、ヒトなど、および、子宮内の哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。本発明に従って処置されることを必要としているいかなる哺乳動物対象も適当である。本発明のいくつかの実施態様によると、哺乳動物は、ヒト以外の哺乳動物である。いくつかの実施態様では、哺乳動物はヒト対象である。両性の、そしていかなる発達段階(即ち、新生児、乳児、若年者、青年、成人)の哺乳動物対象も、本発明に従って処置できる。
【0074】
微細藻類
GLA、SDA、EPAおよびDHAから少なくとも1種の多価不飽和脂肪酸を含有する微細藻類油または微細藻類バイオマスを産生できるいかなる微細藻類も、本発明の方法、組成物、栄養補助食品および飼料添加物で使用できる。従って、いくつかの実施態様では、本発明の微細藻類は、渦鞭毛藻綱、クリプト藻綱、トレボウクシア藻綱、ピングイオ藻綱およびこれらの組合せからなる群から選択される。他の実施態様では、本発明の微細藻類は、パリエトクロリス属(Parietochloris)の種、ロドモナス属の種、クリプトモナス属(Cryptomonas)の種、パリエトクロリス属の種、ヘミセブニス属(Hemisebnis)の種;ポルフィリジウム属(Porphyridium)の種、グロッソマスティックス属(Glossomastix)の種およびこれらの組合せからなる群から選択される。さらなる実施態様では、本発明の微細藻類は、パリエトクロリス・インシス(Parietochloris incise)、ロドモナス・サリナ、ヘミセブニス・ブルネセンス(Hemiselmis brunescens)、ポルフィリジウム・クルエンタム(Porphyridium cruentum)およびグロッソマスティックス・チリソプラスタ(Glossomastix chrysoplasta)およびこれらの組合せからなる群から選択される。またさらなる実施態様では、本発明の微細藻類はロドモナス・サリナである。
【0075】
本発明のいくつかの実施態様では、微細藻類は、異なる微細藻類の種の混合物であり得る。他の実施態様では、微細藻類は、単一の微細藻類の種である。本発明のいくつかの実施態様では、微細藻類の脂肪酸は、微細藻類油として提供される。他の実施態様では、微細藻類の脂肪酸は、微細藻類バイオマスとして提供される。
【0076】
さらに、本発明の微細藻類には、野生型、変異体(天然または誘導されたもの)または遺伝子改変された微細藻類が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
加えて、本発明の微細藻類には、野生型の微細藻類の細胞と比較して厚みの少ない細胞壁の細胞を有する微細藻類が含まれ、それにより、厚みの少ない細胞壁が微細藻類の脂質画分の抽出性(extractability)および/またはバイオアベイラビリティーを改善する(例えば、微細藻類の消化の容易さおよび微細藻類バイオマスの細胞からの微細藻類油の抽出の容易さを改善する)。野生型の微細藻類の細胞と比較して厚みの少ない細胞壁の細胞を有する微細藻類は、天然産生であり、変異導入され、かつ/または、遺伝子改変されて、野生型の株と比較して厚みの少ない細胞壁を有するものであり得る。従って、本発明のある実施態様では、微細藻類は、野生型の微細藻類と比較して厚みの少ない細胞壁を有する微細藻類であり、該厚みの少ない細胞壁は、微細藻類脂質画分の抽出性および/またはバイオアベイラビリティーを改善する。
【0078】
細胞壁の少ない微細藻類の産生方法には、出典明示により全体を本明細書の一部とするWO2006/107736Alに見出されるものが含まれる。従って、化学物質または放射線を含むがこれらに限定されない当業者に公知の変異原で、微細藻類を変異誘発できる。特定の実施態様では、化学変異原には、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メタンスルホン酸メチル(MMS)、N−エチル−N−ニトロソウレア(ENU)、トリエチルメラミン(TEM)、N−メチル−N−ニトロソウレア(MNU)、プロカルバジン、クロラムブシル、シクロホスファミド、硫酸ジエチル、アクリルアミドモノマー、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジメチルニトロソアミン、N−メチル−N'−ニトロ−ニトロソグアニジン(MNNG)、ニトロソグアニジン、2−アミノプリン、7,12ジメチル−ベンズ(a)アントラセン(DMBA)、エチレンオキシド、ヘキサメチルホスホラミド、ブスルファン、ジエポキシアルカン類(ジエポキシオクタン(DEO)、ジエポキシブタン(BEB)など)、2−メトキシ−6−クロロ−9[3−(エチル−2−クロロ−o−エチルアミノプロピルアミノ]アクリジン二塩酸塩(ICR−170)、ホルムアルデヒドなどが含まれるが、これらに限定されない。放射線変異誘発の方法には、x線、ガンマ線照射、紫外線などが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
細胞壁の変異体は、界面活性剤への感受性の増加に基づいて、または、細胞壁の厚みの変化の顕微鏡観察により(WO2006/107736Al)、または、細胞壁の厚みの減少または細胞壁の完全性の低下を検出すると当分野で知られているいかなる他の方法によっても、選択できる。
【0080】
本発明の微細藻類は、実施例1で後述する技法に従って培養できる。加えて、本発明の微細藻類は、米国特許第5,244,921号;米国特許第5,324,658号;米国特許第5,338,673号;米国特許第5,407,957号;Mansour et al., J. Appl. Phycol. 17: 287-300 (2005); および Bigogno et al., Phytochemistry, 60: 497-503 (2002)(これらの開示の全体を出典明示により本明細書の一部とする)に記載された技法を含む、当分野で知られている技法に従って培養できる。
【0081】
従って、いくつかの実施態様では、10℃ないし25℃の範囲の温度で微細藻類を培養する。従って、微細藻類は、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃などの温度で培養できる。他の実施態様では、微細藻類を、10℃ないし15℃、10℃ないし20℃、10℃ないし25℃、12℃ないし15℃、12℃ないし17℃、12℃ないし20℃、12℃ないし22℃、12℃ないし24℃、14℃ないし17℃、14℃ないし19℃、14℃ないし22℃、14℃ないし25℃、15℃ないし18℃、15℃ないし20℃、15℃ないし23℃、15℃ないし25℃、16℃ないし18℃、16℃ないし19℃、16℃ないし21℃、16℃ないし23℃、16℃ないし25℃、17℃ないし19℃、17℃ないし20℃、17℃ないし23℃、17℃ないし25℃、18℃ないし20℃、18℃ないし22℃、18℃ないし23℃、18℃ないし25℃、19℃ないし21℃、19℃ないし23℃、19℃ないし25℃、20℃ないし23℃、20℃ないし25℃、23℃ないし25℃などの範囲で増殖させ得る。特定の実施態様では、微細藻類を14℃で増殖させる。他の実施態様では、微細藻類を22℃で増殖させる。
【0082】
いくつかの実施態様では、微細藻類を、75μmolm−2−1ないし150μmolm−2−1の範囲の光強度で培養する。従って、微細藻類を、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150}μmolm−2−1の光強度で増殖させ得る。他の実施態様では、微細藻類を、75ないし85μmolm−2−1、75ないし95μmolm−2−1、75ないし105μmolm−2−1、75ないし115μmolm−2−1、75ないし125μmolm−2−1、75ないし135μmolm−2−1、75ないし150μmolm−2−1、85ないし100μmolm−2−1、85ないし115μmolm−2−1、85ないし130μmolm−2−1、85ないし150μmolm−2−1、95ないし115μmolm−2−1、95ないし125μmolm−2−1、95ないし135μmolm−2−1、95ないし150μmolm−2−1、100ないし115μmolm−2−1、100ないし125μmolm−2−1、100ないし140μmolm−2−1、100ないし150μmolm−2−1、110ないし125μmolm−2s−1、110ないし135μmolm−2−1、110ないし150μmolm−2−1、120ないし130μmolm−2−1、120ないし140μmolm−2−1、120ないし150μmolm−2−1、130ないし140μmolm−2−1、130ないし150μmolm−2−1、140ないし150μmolm−2−1などの範囲の光強度で増殖させ得る。特定の実施態様では、微細藻類を100μmolm−2−1の光強度で培養する。
【0083】
微細藻類を所望の密度に培養した後、当業者に公知であり、遠心分離、綿状沈殿または濾過を含み得る常套の手順を使用して、微細藻類を回収する。次いで、回収した微細藻類細胞または微細藻類バイオマスを、脂肪酸供給源として直接使用するか、または、抽出し、脂肪酸を含む微細藻類油を得ることができる。微細藻類バイオマスを直接使用するいくつかの実施態様では、水を微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100重量%を達成する。追加的実施態様では、直接使用される微細藻類バイオマスは、細胞内の微細藻類油の抽出性および/またはバイオアベイラビリティーを高めるために少なくとも部分的に破壊された細胞壁をさらに含む微細藻類細胞からなる。微細藻類細胞の破壊は、沸騰している水で細胞を処理すること、または、粉砕、微粉砕、超音波処理もしくはフレンチプレスなどの機械的破壊、または、当業者に知られている任意の他の方法を含むがこれらに限定されない常套の技法に従って実施できる。
【0084】
上記の通り、いくつかの実施態様では、微細藻類バイオマスを直接使用する場合、水を微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量約5ないし100%を達成する。従って、水を微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%などを達成する。追加的実施態様では、水を微細藻類バイオマスから除去し、約5%ないし50%、5%ないし60%、5%ないし70%、5%ないし80%、5%ないし90%、5%ないし95%、10%ないし30%、10%ないし40%、10%ないし50%、10%ないし60%10%ないし65%、10%ないし70%、10%ないし75%、10%ないし80%、10%ないし85%、10%ないし90%、10%ないし95%、10%ないし100%、15%ないし40%、15%ないし50%、15%ないし60%、15%ないし65%、15%ないし70%、15%ないし75%、15%ないし80%、15%ないし85%、15%ないし90%、15%ないし95%、15%ないし100%、20%ないし50%、20%ないし60%、20%ないし65%、20%ないし70%、20%ないし75%、20%ないし80%、20%ないし85%、20%ないし90%、20%ないし95%、20%ないし100%、25%ないし50%、25%ないし60%、25%ないし70%、25%ないし75%、25%ないし80%、25%ないし85%、25%ないし90%、25%ないし95%、25%ないし100%、30%ないし50%、30%ないし60%、30%ないし70%、30%ないし75%、30%ないし80%、30%ないし85%、30%ないし90%、30%ないし95%、45%ないし100%、50%ないし70%、50%ないし75%、50%ないし80%、50%ないし85%、50%ないし90%、50%ないし95%、50%ないし100%、55%ないし75%、55%ないし80%、55%ないし85%、55%ないし90%、55%ないし95%、55%ないし100%、60%ないし75%、60%ないし80%、60%ないし85%、60%ないし90%、60%ないし95%、60%ないし100%、70%ないし80%、70%ないし85%、70%ないし90%、70%ないし95%、70%ないし100%、75%ないし85%、75%ないし90%、75%ないし95%、75%ないし100%、80%ないし85%、80%ないし90%、80%ないし95%、80%ないし100%、85%ないし90%、85%ないし95%、85%ないし100%、90%ないし95%、95%ないし100%などの範囲の固体含有量を達成する。
【0085】
いくつかの実施態様では、バイオマスの微細藻類細胞を破壊または溶解し、微細藻類油を抽出することができる。微細藻類細胞を当業者に公知の常套の技法に従って湿式または乾式で抽出し、脂肪酸を含有する複合体を産生できる。微細藻類細胞の破壊または溶解は、沸騰している水で細胞を処理すること、または、粉砕、微粉砕、超音波処理もしくはフレンチプレスなどの機械的破壊、または、当業者に知られている任意の他の方法を含むがこれらに限定されない、常套の技法に従って実施できる。溶解された細胞からの脂肪酸の抽出は、細胞溶解後に固体相から液体相を分離すること、溶媒の添加により液体相の脂肪酸を抽出すること、溶媒を蒸発させること、そして、溶解された細胞の液体相から得られる多価不飽和脂肪酸を回収することを含むがこれらに限定されない、微細藻類および他の生物で使用される、当業者に公知の標準的な手順に従う。また、Bligh and Dyer, Can. J. Biochem. Physiol. 37:911-917 (1959);米国特許第5,397,591号;米国特許第5,338,673号および米国特許第5,567,732号(ここでの開示の全体を、出典明示により本明細書の一部とする)も参照。
【0086】
抽出に使用できる溶媒には、ヘキサン、クロロホルム、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、ジオキサン、イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフランおよびこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。さらなる実施態様では、COまたはNOなどの溶媒で超臨界流体抽出法を使用して、微細藻類細胞を抽出できる。超臨界抽出法を使用する抽出技法は、当業者に公知であり、McHugh et al. Supercritical Fluid Extraction, Butterworth, 1986(出典明示により全体を本明細書の一部とする)に記載されている。
【0087】
本発明の方法、組成物、食品、栄養補助食品、飼料添加物などでは、多価不飽和脂肪酸は、遊離脂肪酸、コレステロールエステル、塩エステル、脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ジアシルグリセロール、モノグリセロール、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、またはこれらの組合せの形態で提供され得る。本発明のいくつかの実施態様では、脂肪酸は、トリグリセリドの形態で提供される。他の実施態様では、脂肪酸は、リン脂質の形態で提供されない(例えば、非リン脂質形態で提供される)。
【0088】
本発明のGLAは、植物を含むがこれに限定されない他の供給源から得られた追加的GLAで補充され得る。従って、本発明のGLAは、ルリジサ、カシス、シャゼンムラサキ属および月見草を含むがこれらに限定されない植物供給源から得られたGLAで補充され得る。特定の実施態様では、補充のGLAは、ルリジサまたはルリジサ油由来である。いくつかの実施態様では、微細藻類のGLAは、微細藻類供給源に由来するさらなるGLAで補充される。他の実施態様では、本発明のGLAは補充されない。
【0089】
微細藻類バイオマスの製造方法
他の態様では、本発明は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法を提供する。その方法は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類バイオマスを、微細藻類の対数増殖期に回収する。
【0090】
一般的に、微細藻類バイオマスは微細藻類を含む。いくつかの実施態様では、バイオマスは、例えば、酵母、細菌、ウイルスなどの混入微生物を殆どまたは全く含まない。いくつかの実施態様では、微細藻類バイオマスは、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約50、60、70、80、90、95、98、99、99.5および100%の微細藻類の純度である。他の実施態様では、微細藻類バイオマスは、単一の微細藻類の株を含む。
【0091】
いくつかの実施態様では、微細藻類は、ロドモナス属の一員である。ロドモナス属に属する種の例には、ロドモナス・サリナ、ロドモナス・アブレビアート(abbreviate)、ロドモナス・アストロセア(astrosea)、ロドモナス・バルチカ(baltica)、ロドモナス・クリソイデア(chrysoidea)、ロドモナス・デュプレックス(duplex)、ロドモナス・ファルカテ(falcate)、ロドモナス・レンス(lens)、ロドモナス・マクラテ(maculate)、ロドモナス・マリアナ(mariana)およびロドモナス・オバリス(ovalis)が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施態様では、微細藻類は、ロドモナスの種または株の遺伝子改変された変異体である。
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子改変された変異体」は、所望の結果が達成されるように、その通常(例えば、野生型、天然産生)の形態から改変された(例えば、変異導入された、変更された)ゲノムを有する株を表すと意図する。例えば、微細藻類の種または株の遺伝子改変された変異体には、変更が微細藻類内に所望の効果を提供するように、核酸分子(例えば、脂肪酸シンターゼ、デサチュラーゼ、エロンガーゼ)が挿入、欠失、かつ/または改変された微細藻類の種または株が含まれ得る。また、例えば、所望の結果が達成されるように、微細藻類の種または株を、核酸分子が変更される条件および/または変異原に付すことにより(例えば、タンパク質コード領域または非コード領域内の1またはそれ以上の突然変異)、種または株の核酸分子を変更できる。
【0093】
ある実施態様では、微細藻類はロドモナス・サリナである。
他の実施態様では、微細藻類は、Provasoli-Guillard National Center for Culture of Marine Phytoplankton (CCMP) (West Boothbay Harbor, ME) に寄託された株であり、株番号は、CCMP272、CCMP273、CCMP275、CCMP318、CCMP322、CCMP323、CCMP324、CCMP739、CCMP740、CCMP741、CCMP742、CCMP743、CCMP744、CCMP746、CCMP747、CCMP748、CCMP749、CCMP750、CCMP751、CCMP752、CCMP753、CCMP754、CCMP755、CCMP756、CCMP757、CCMP758、CCMP759、CCMP760、CCMP761、CCMP762、CCMP763、CCMP766、CCMP767、CCMP768、CCMP1170、CCMP1171、CCMP1178、CCMP1319、CCMP1419、CCMP1420、CCMP1533、CCMP1749、CCMP2005およびCCMP2045からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、寄託された微細藻類に由来する株が本発明により提供される。
【0094】
ある実施態様では、微細藻類は、Provasoli-Guillard National Center for Culture of Marine Phytoplankton (CCMP) (West Boothbay Harbor, ME)に寄託された株の遺伝子改変された変異体であり、株番号は、CCMP272、CCMP273、CCMP275、CCMP318、CCMP322、CCMP323、CCMP324、CCMP739、CCMP740、CCMP741、CCMP742、CCMP743、CCMP744、CCMP746、CCMP747、CCMP748、CCMP749、CCMP750、CCMP751、CCMP752、CCMP753、CCMP754、CCMP755、CCMP756、CCMP757、CCMP758、CCMP759、CCMP760、CCMP761、CCMP762、CCMP763、CCMP766、CCMP767、CCMP768、CCMP1170、CCMP1171、CCMP1178、CCMP1319、CCMP1419、CCMP1420、CCMP1533、CCMP1749、CCMP2005およびCCMP2045からなる群から選択される。
【0095】
他の実施態様では、微細藻類は、株番号12Rspで寄託された株またはその遺伝子改変された変異体である。
以下の識別子:4Rsal、5Rsal、9Rsal、12Rspおよび16Rspを有する単離された微細藻類の株は、各々、the American Type Culture Collection (ATCC), 10801 University Boulevard Manassas, VA, 20110 に2009年4月30日に寄託され、以下の受託番号を割り当てられた:PTA−9986;PTA−9987;PTA−9988;PTA9989;およびPTA−9990。
ある実施態様では、微細藻類は、ATCC株番号PTA−9989で寄託された12Rsp株またはその遺伝子改変された変異体である。
他の実施態様では、微細藻類は、配列番号1または配列番号2を含む小サブユニットリボソームRNA(SSUrRNA)の遺伝子配列を有する。
【0096】
ある実施態様では、1種またはそれ以上のPUFAは、オメガ−3、オメガ−6脂肪酸、または両方である。
他の実施態様では、オメガ−3脂肪酸は、C16:3(n−3)、C18:3(n−3)、C18:4(n−3)、C20:3(n−3)、C20:4(n−3)、C20:5(n−3)、C22:5(n−3)、C22:6(n−3)、C24:5(n−3)およびC24:6(n−3)からなる群から選択され、ここで、番号を伴う文字「C」は、炭化水素鎖の炭素数を示し、コロンおよび二重結合の数を表す数字が続き、ここで、(n−3)は「オメガ−3」を示す。
【0097】
いくつかの実施態様では、1種またはそれ以上のPUFAは、α−リノレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、クルパノドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸およびテトラコサヘキサエン酸からなる群から選択されるオメガ−3−脂肪酸である。他の実施態様では、オメガ−3−脂肪酸は、α−リノレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサペンタエン酸(DPA)からなる群から選択されるオメガ−3−脂肪酸である。
ある実施態様では、オメガ−3−脂肪酸はステアリドン酸(SDA)である。
【0098】
本明細書で使用するとき、用語「対数増殖期」は、微細藻類細胞の数が指数関数的に増加することを特徴とする培養段階を表す。一般的に、培養系では、播種の後に、誘導期、指数関数または「対数増殖期」、負の増殖加速期およびプラトーまたは「定常期」を含む特徴的な増殖パターンがある。例えば、対数増殖期には、微細藻類の増殖が続くにつれ、細胞は細胞分裂の最大速度に達し得、細胞数は時間に対して対数の関係で増加する。対数期の開始後の時間内に、細胞分裂の速度は低下し始め得、細胞のいくつかは死に始め得る。これは、曲線のゆるやかな平坦化により、増殖曲線に反映され得る。最終的に、細胞の死亡速度が本質的に細胞分裂と同等になり、すべての生きている個体数はしばらくの間同じままであり得る。これは、定常期またはプラトー期として知られており、増殖曲線では、傾きがゼロに近づく曲線の平坦化として表される。
【0099】
いくつかの実施態様では、培養条件は、微細藻類が1種またはそれ以上のPUFA(例えば、オメガ−3脂肪酸)および/または他の脂質産物を産生するのに十分なものである。培養条件は、微細藻類の増殖に適し、それによりPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供する培養培地を含む。そのような培養培地は、炭素、窒素(例えば、硝酸塩)およびリン(例えば、リン酸塩)供給源を含む水性培地(例えば、海水)であり得る。培地は、塩、ビタミン、ミネラル、金属および他の栄養分も含み得る。好ましくは、培養条件は、適量の光と温度を微細藻類に提供するのに十分なものである。
【0100】
いくつかの実施態様では、培養段階は、PUFA、好ましくは少なくとも1種のオメガ−3脂肪酸の量を増やすために、適当な時間にわたって栄養分(例えば、窒素、リン)を制限することをさらに含む。例えば、培養物を無リンまたは無窒素(またはこれらが少ない培地)に移すことができ、かつ/または、増殖培地の最初の窒素含有量を、後に、例えば指数増殖期の後の方で、窒素が枯渇するように提供することができる。ある実施態様では、培養培地の炭素の窒素に対する比は、高くてもよい。
【0101】
他の実施態様では、培養培地は、誘導期に第1のリン濃度を、そして、回収時の対数増殖期に第2のリン濃度を含み、ここで、第2のリン濃度は、第1のリン濃度の約20%以下である。
他の実施態様では、第2のリン濃度は、第1のリン濃度の約20%より高くてもよく、例えば、第1のリン濃度の約20ないし約90%、約25ないし約80%、約30ないし約70%および約40ないし約50%であり得る。
ある実施態様では、リンの供給源は、リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム)を含む。
【0102】
他の実施態様では、培養培地は、誘導期に第1の窒素濃度を、そして、回収時の対数増殖期に第2の窒素濃度を含み、ここで、第2の窒素濃度は、第1の窒素濃度の約20%以下である。
他の実施態様では、第2の窒素濃度は、第1の窒素濃度の約20%より高くてもよく、例えば、第1の窒素の濃度の約20ないし約90%、約25ないし約80%、約30ないし約70%および約40ないし約50%であり得る。
ある実施態様では、窒素の供給源は、硝酸塩(例えば、硝酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施態様では、窒素の供給源は、アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム)を含む。
【0103】
他の実施態様では、培養条件は、微細藻類が1種またはそれ以上のPUFAを産生するのに十分なものであり、1種またはそれ以上のPUFAはオメガ−3−脂肪酸を含み、オメガ−3−脂肪酸はSDAであり、回収時の対数期のSDAの量は、微細藻類の全脂肪酸含有量の少なくとも約5%、例えば、微細藻類の全脂肪酸含有量の約5ないし約50%、約15ないし約40%および約20ないし約30%である。他の実施態様では、オメガ−3−脂肪酸はSDAおよびALAであり、培養条件は、回収時の対数期のSDAおよびALAの各々の量が、微細藻類の全脂肪酸含有量の少なくとも約5%、例えば、微細藻類の全脂肪酸含有量の約5ないし約50%、約15ないし約40%および約20ないし約30%であるのに十分なものである。
【0104】
いくつかの実施態様では、培養条件は、対数期のオメガ−6−脂肪酸が、微細藻類の全脂肪酸含有量の約50%未満、例えば、微細藻類の全脂肪酸含有量の約50、45、40、35、30、35、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5および0.1%未満であるのに十分なものである。
【0105】
微細藻類の培養は、微細藻類を培養して微細藻類バイオマスを提供するのに適する常套のバイオリアクター中で実施できる。例えば、微細藻類は、回分、流加、細胞再利用および連続発酵を含むがこれらに限定されない発酵方法により培養できる。ある実施態様では、微細藻類をフォトバイオリアクターまたは池で培養する。他の実施態様では、培養は、フラットパネルまたは管状リアクター設計を使用して実施する。
【0106】
微細藻類細胞を培養培地から回収するために、様々な方法を使用できる。ある実施態様では、回収は、分離により、例えば、濾過(例えば、ベルト濾過、回転円筒型濾過)および/または遠心分離により、微細藻類バイオマスを培養培地から回収することを含む。所望により、回収した微細藻類細胞を、次いで洗浄、凍結、凍結乾燥、スプレー乾燥でき、かつ/または、Oの存在を低減または排除するために、非酸化雰囲気のガス(例えば、CO、N)下で保存できる。場合により、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、エトキシキン、ベータ−カロチン、ビタミンEおよびビタミンCを含むがこれらに限定されない合成および/または天然の抗酸化剤も、回収した細胞に添加できる。提供される抗酸化剤の量および/またはタイプは、所望の製品の設計、包装方法および/または所望の貯蔵期間によって決まり得る。
【0107】
また他の実施態様では、本発明は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法を提供し、その方法は、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類の負の増殖加速期または定常期で微細藻類バイオマスを回収する。
【0108】
ある実施態様では、微細藻類は、株番号CCMP757で寄託された株またはその遺伝子改変された変異体である。
他の実施態様では、微細藻類は、ATCC株番号PTA−9989で寄託された12Rsp株またはその遺伝子改変された変異体である。
また他の実施態様では、微細藻類は、配列番号1または配列番号2のものを含む小サブユニットリボソームRNA(SSU rRNA)の遺伝子配列を有する。
【0109】
微細藻類バイオマス
他の態様では、本発明は、微細藻類バイオマスおよび/またはその画分および/または抽出物を提供する。
ある実施態様では、微細藻類バイオマスは、全脂肪酸の重量で少なくとも5%をオメガ−3脂肪酸として、例えば、全脂肪酸の重量で約5ないし約100%、約70ないし約90%および約70ないし約75%をオメガ−3脂肪酸として有する脂質を含む。
【0110】
他の実施態様では、微細藻類バイオマスは、全脂肪酸の重量で少なくとも10%、例えば、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99および100%をオメガ−3およびオメガ−6脂肪酸として有する脂質を含む。
【0111】
いくつかの実施態様では、微細藻類バイオマスは、バイオマスの乾燥重量で少なくとも1%、例えば、バイオマスの乾燥重量で約1%ないし約50%、約12%ないし約40%、約14%ないし約30%、約16%ないし約20%のオメガ−3脂肪酸含有量を含む。
【0112】
ある実施態様では、微細藻類バイオマスを本発明の方法に従って製造する。例えば、いくつかの実施態様では、微細藻類バイオマスを、微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養し、ここで、バイオマスは1種またはそれ以上のPUFAを含み、微細藻類バイオマスを、微細藻類の対数増殖期で回収することを含む方法により製造する。他の実施態様では、微細藻類の負の増殖加速期または定常期に微細藻類バイオマスを回収する。
【0113】
脂質組成物の製造方法
他の態様では、本発明は、1種またはそれ以上のPUFAを含む脂質組成物の製造方法を提供する。その方法は、微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で培養した微細藻類バイオマスから脂質組成物を得、ここで、バイオマスは1種またはそれ以上のPUFAを含み、微細藻類バイオマスを、微細藻類の対数増殖期で回収することを含む方法により製造する。他の実施態様では、微細藻類の負の増殖加速期または定常期に微細藻類バイオマスを回収する。
【0114】
バイオマスから脂質組成物を得る方法には、抽出、加熱、圧力、鹸化、超音波処理、凍結、粉砕、イオン交換、クロマトグラフィー、膜分離、電気透析、逆浸透、蒸留、化学的誘導体化、結晶化などが含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
例えば、1種またはそれ以上のPUFA(例えば、オメガ−3脂肪酸)を含む細胞の脂質を、微細藻類細胞から、エタノール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メタノール、酢酸エチル、ヘキサン、塩化メチレン、メタノール、クロロホルムなどを含むがこれらに限定されない溶媒による抽出、または、加圧液体炭化水素、例えばブタン、ペンタン、プロパンまたはその他(共溶媒を含むか、または含まない)により、または、超臨界流体抽出(共溶媒を含むか、または含まない)を含むがこれらに限定されない任意の適する方法により抽出できる。場合により、抽出した油を減圧下で蒸発させ、溶媒を低減または除去し、かつ/または、濃縮された脂質物質のサンプルを産生することができる。
【0116】
他の実施態様では、例えば植物油または他の食用油中に、細胞を破壊または溶解し、脂質組成物を得ることができる。
抽出した油を、精製(例えば、化学的精製、物理的精製)に付すことができる。精製方法は、いくらかまたは全ての不純物を、抽出した油から除去できる。精製方法は、1つまたはそれ以上の、抽出した油の脱ガム、漂白、濾過、脱臭および/または研磨の方法を含み得る。
【0117】
他の実施態様では、抽出した脂質組成物に含まれる1種またはそれ以上のPUFAを、脂質を加水分解し、PUFA画分、好ましくはSDAを含むPUFA画分を濃縮することにより、例えば、尿素付加(urea adduction)、分留、カラムクロマトグラフィー、および/または、超臨界流体分画などの方法を用いて、濃縮できる。
【0118】
従って、ある実施態様では、脂質組成物をバイオマスから得る段階は、脂質組成物をバイオマスから抽出することを含む。他の実施態様では、抽出段階は、バイオマスを極性溶媒と接触させることを含む。
【0119】
例えば、多価不飽和脂肪酸(PUFA)および/またはPUFAを含む分子を抽出するが、溶媒に不溶の化合物は抽出しないのに十分な抽出条件下で溶媒を使用して、油を微細藻類バイオマスから抽出し、脂質組成物を提供することができる。ある実施態様では、脂質組成物を微細藻類バイオマスから抽出し、細胞の残骸および/または沈殿した不溶性化合物を、PUFAおよび溶媒を含むミセラ(miscella)から分離する。他の実施態様では、この方法は、さらに、細胞の残骸および沈殿した化合物を、濾過、遠心分離および/またはこれらの組合せなどの分離方法を使用して分離することを含む。
【0120】
いくつかの実施態様では、溶媒は極性溶媒である。極性溶媒の例には、エタノール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メタノール、酢酸エチルおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ある実施態様では、極性溶媒はエタノールである。
【0121】
脂質組成物の溶媒による抽出は、様々な方法で実施できる。例えば、抽出は、回分方法、連続方法、連続向流方法であり得る。連続向流方法では、溶媒の微細藻類との接触が油を溶媒に浸出させ、段々と濃縮されたミセラ(即ち、溶媒−油)を提供し、一方、溶媒−固体を、低下する濃度のミセラと接触させる。抽出に続き、当分野で公知の方法を使用して、溶媒をミセラから除去できる。例えば、蒸留、回転蒸発、または、上昇薄膜蒸発器および蒸気ストリッパーまたは任意の適する脱溶媒器を、溶媒の除去に使用できる。
【0122】
ある実施態様では、この方法は、抽出した脂質(即ち、脂質組成物)を、吸収方法(例えば、漂白)に付し、例えば、存在し得る色素体および/またはホスファチドなどの1種またはそれ以上の望まれない化合物を除去することをさらに含む。例えば、吸収方法は、脂質組成物を漂白物質(例えば、中性の土(自然粘土またはフラー土とも呼ばれる)、酸で活性化した土、活性炭、活性化した粘土、珪酸塩、および/または、これらの組合せ)および濾過助剤などと接触させることを含む、漂白方法であり得る。
【0123】
いくつかの実施態様では、使用する漂白物質の総量は、少なくとも約0.5重量%、例えば、約0.1ないし約3重量%;約0.3重量%ないし約2.5重量%;および約0.5ないし約1.5重量%である。ある実施態様では、約0.5%ずつ(重量で)の漂白粘土、活性炭および濾過助剤を漂白物質として使用する。
【0124】
ある実施態様では、この方法は、抽出した脂質を脱ガム段階に付すことをさらに含む。脱ガム方法は当分野で知られており、例えば、水による脱ガム、酸による脱ガム、酵素的脱ガムおよび膜による脱ガムを含む。
【0125】
いくつかの実施態様では、脂質組成物を、好ましくは吸収方法に続いて、脱ガムに付し、脱ガムの段階は、脂質組成物を、脂質組成物中に存在し得るガムおよび/またはクロロフィル型の化合物を沈殿させるのに有効な量の水性の酸の混合物と接触させることを含む。
【0126】
ある実施態様では、水性の酸の混合物は、硫酸およびリン酸を含む。他の実施態様では、等量の水性の酸を、脂質組成物と混合する。好ましくは、酸は、適する割合であり、そして、油と混合したときに、酸性のpH、例えば、pH約1.5ないし約5を提供するのに十分な量である。pHを監視および制御するのに、pHプローブまたは他の適する方法を使用できる。
酸の混合後に形成される沈殿を、例えば、遠心分離および/または濾過(例えば、膜濾過)を使用して、脂質組成物から除去できる。
【0127】
いくつかの実施態様では、脱ガムした脂質組成物を、組成物の水分含有量を低下させるのに十分な時間、温度および/または真空条件で、乾燥に付すことができる。いくつかの実施態様では、乾燥させた脂質組成物の水分含有量は、約10重量%より少なく、例えば、10、5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05および0.01重量%より少ない。
【0128】
脂質組成物
他の態様では、本発明は、微細藻類バイオマスから製造された脂質組成物を提供し、ここで、脂質組成物は、バイオマスの微細藻類により産生された1種またはそれ以上のPUFAを含む。いくつかの実施態様では、脂質組成物を、本発明の方法に従って製造する。
【0129】
ある実施態様では、微細藻類はロドモナスである。他の実施態様では、微細藻類はロドモナス・サリナまたはその遺伝子改変された誘導体である。いくつかの実施態様では、微細藻類は、株番号12Rspで寄託された株またはその遺伝子改変された誘導体である。他の実施態様では、微細藻類は、ATCC株番号PTA−9989で寄託された株またはその遺伝子改変された変異体である。
【0130】
いくつかの実施態様では、脂質組成物は、SDAを、脂質組成物の全脂肪酸含有量の少なくとも約5%の総SDA量で、例えば、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約5ないし約50%、約10ないし約40%および約20ないし約30%で含み、ここで、SDAは微細藻類により産生されるものである。他の実施態様では、脂質組成物の総SDA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約15ないし約30%である。
【0131】
他の実施態様では、脂質組成物に含まれるGLAおよびAAの各々の総量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約10%未満、例えば、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5および0.1%未満であり、ここで、GLAおよびAAは、存在するならば、それぞれ微細藻類により産生されるものである。
【0132】
ある実施態様では、脂質組成物は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の少なくとも約5%の総ALA量で、例えば、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約5ないし約50%、約10ないし約40%および約20ないし約30%で、ALAをさらに含み、ここで、ALAは微細藻類により産生されるものである。他の実施態様では、脂質組成物の総ALA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約15ないし約30%である。
【0133】
いくつかの実施態様では、脂質組成物は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の少なくとも約1%の総EPA量で、例えば、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約1ないし約50%、約10ないし約40%および約20ないし約30%でEPAをさらに含み、ここで、EPAは、微細藻類により産生されるものである。他の実施態様では、脂質組成物の総EPA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約5ないし約15%である。
【0134】
ある実施態様では、脂質組成物は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の少なくとも約1%の総DHA量で、例えば、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約1ないし約50%、約10ないし約40%および約20ないし約30%でDHAをさらに含み、ここで、DHAは微細藻類により産生されるものである。他の実施態様では、脂質組成物の総DHA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約5ないし約15%である。
【0135】
他の実施態様では、脂質組成物の総SDA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約15ないし約30%である。
【0136】
ある実施態様では、脂質組成物はALA、EPAおよびDHAをさらに含み、ここで、脂質組成物の総ALA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約15ないし約30%であり、脂質組成物の総EPA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約5ないし約15%であり、脂質組成物の総DHA量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約5ないし約15%であり、脂質組成物に含まれるGLAおよびAAの各々の総量は、脂質組成物の全脂肪酸含有量の約10%未満である。
【0137】
多価不飽和脂肪酸組成物、食品および動物飼料添加物
他の態様では、細胞全体の微細藻類バイオマス、その画分および/または抽出物を、消費のために、または食品添加物として使用し、PUFA含有量および食品の栄養価を高めることができる。
【0138】
例えば、いくつかの実施態様では、動物飼料(例えば、ウシ飼料、酪農飼料、水産飼料、家禽飼料)として使用するとき、微細藻類により産生される1種またはそれ以上のPUFAを、家畜、家禽、ウシおよび魚を含むがこれらに限定されない動物の肉または他の産物に組み込むことができる。PUFAは、また、医薬または栄養の目的で、そして工業的応用に使用できる。
【0139】
1種またはそれ以上のPUFAを、特定の適用または使用に適する様々な形態/組成物のいずれでも提供できる。従って、例えば、いくつかの実施態様では、細胞全体の微細藻類バイオマスおよび/またはその画分および/または抽出物は、1種またはそれ以上のPUFAを提供する。他の実施態様では、PUFAは、粉末形態であるか、または液体形態中の遊離油としてのものである(例えば、脂質組成物またはその画分または濃縮物)。
【0140】
様々な実施態様において、ヒトおよび/または動物の1種またはそれ以上のPUFAの消費/使用が企図されている。従って、ある実施態様では、微細藻類により産生されるPUFAを、飼料、栄養補助食品、食品、医薬製剤、乳製品および調整粉乳からなる群から選択される最終製品で使用するのに適する形態および/または等級で提供する。
【0141】
例えば、ある実施態様では、回収した微細藻類バイオマスを乾燥させ(例えば、噴霧乾燥、トンネル乾燥、真空乾燥)、肉および/または産物がヒトまたは動物(例えば、愛玩動物、家畜)により消費される動物または水産養殖の生物(例えば、魚、エビ、カニ、ロブスターなど)用の飼料または食品のサプリメントとして使用する。
【0142】
他の実施態様では、回収した微細藻類バイオマスを、乾燥脱水剤(例えば、粉にしたトウモロコシなどの粉にした穀物)と混合する。
他の実施態様では、医薬組成物が企図されている。
【0143】
本発明は、さらに、上記の本発明の方法により製造される組成物を提供する。従って、本発明のいくつかの実施態様では、多価不飽和脂肪酸組成物が提供され、多価不飽和脂肪酸組成物は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含み;組成物は、少なくとも1種の微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、ここで、(a)GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり、そして、(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量である。
【0144】
いくつかの実施態様では、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、5%ないし35%の範囲の濃度で含む。従って、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%などの濃度で含み得る。他の実施態様では、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし10%、5%ないし12%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、6%ないし8%、6%ないし10%、6%ないし12%、6%ないし15%、6%ないし20%、6%ないし25%、6%ないし35%、7%ないし9%、7%ないし11%、7%ないし13%、7%ないし14%、7%ないし15%、7%ないし20%、7%ないし25%、7%ないし30%、7%ないし35%、8%ないし10%、8%ないし12%、8%ないし14%、8%ないし15%、8%ないし20%、8%ないし25%、8%ないし35%、9%ないし11%、9%ないし13%、9%ないし15%、9%ないし20%、9%ないし25%、9%ないし30%、9%ないし35%、10%ないし12%、10%ないし13%、10%ないし14%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、25%ないし30%、25%ないし35%、30%ないし35%などの範囲の濃度で含み得る。ある実施態様では、多価不飽和脂肪酸組成物は、多価不飽和脂肪酸を少なくとも8%の濃度で含む。
【0145】
本発明によると、組成物に含まれ得るGLAの量は、全脂肪酸の1%ないし10%の範囲である。従って、GLAは、全脂肪酸の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で組成物に含まれ得る。他の実施態様では、GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし1%、1%ないし3%、1%ないし5%、1%ないし7%、1%ないし9%、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0146】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物に含まれるSDAの量は、全脂肪酸の5%ないし50%の範囲にある。従って、SDAは、全脂肪酸の5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%などの量で組成物中に提供され得る。他の実施態様では、SDAは、全脂肪酸の5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、5%ないし35%、5%ないし40%、5%ないし45%、5%ないし50%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、10%ないし40%、10%ないし45%、10%ないし50%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、20%ないし40%、20%ないし45%、20%ないし50%、25%ないし30%、25%ないし35%、25%ないし40%、25%ないし45%、25%ないし50%、30%ないし35%、30%ないし40%、30%ないし45%、30%ないし50%、35%ないし40%、35%ないし45%、35%ないし50%、40%ないし45%、40%ないし50%、45%ないし50%などの範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0147】
他の実施態様では、EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で組成物に含まれ得る。従って、EPAは、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で組成物中に提供され得る。他の実施態様では、EPAは、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲のパーセントの量で組成物に含まれ得る。
【0148】
本発明のいくつかの実施態様では、DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で組成物に含まれ得る。従って、DHAは、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で組成物中に提供され得る。他の実施態様では、DHAは、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0149】
本発明は、さらに、少なくとも5%のSDAを含む組成物を提供し、その組成物は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかを含む。いくつかの実施態様では、SDAはリン脂質の形態ではない。
【0150】
いくつかの実施態様では、SDAは、2%ないし10%の範囲の量で組成物中に存在する。従って、SDAは、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で組成物中に存在する。他の実施態様では、SDAは、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%25ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲で組成物中に含まれ得る。いくつかの実施態様では、SDAはリン脂質の形態ではない。
【0151】
追加の実施態様では、本発明は、(a)0.01−99.99重量%の、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む組成物、ここで、脂肪酸は、微細藻類から抽出され、さらに、ここで、(i)GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし10%の量であり;(ii)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(iii)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり、(iv)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量である;を、(b)99.99ないし0.01重量%の、タンパク質、炭水化物および繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分と組み合わせて含む食品を提供する。
【0152】
いくつかの実施態様では、本発明の食品は、多価不飽和脂肪酸を、5%ないし35%の範囲の濃度で含み得る。従って、食品は、多価不飽和脂肪酸を、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%などの濃度で含み得る。他の実施態様では、食品は、多価不飽和脂肪酸を、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし10%、5%ないし12%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、6%ないし8%、6%ないし10%、6%ないし12%、6%ないし15%、6%ないし20%、6%ないし25%、6%ないし35%、7%ないし9%、7%ないし11%、7%ないし13%、7%ないし14%、7%ないし15%、7%ないし20%、7%ないし25%、7%ないし30%、7%ないし35%、8%ないし10%、8%ないし12%、8%ないし14%、8%ないし15%、8%ないし20%、8%ないし25%、8%ないし35%、9%ないし11%、9%ないし13%、9%ないし15%、9%ないし20%、9%ないし25%、9%ないし30%、9%ないし35%、10%ないし12%、10%ないし13%、10%ないし14%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、25%ないし30%、25%ないし35%、30%ないし35%などの範囲の濃度で含み得る。ある実施態様では、食品は、多価不飽和脂肪酸を少なくとも8重量%の濃度で含む。
【0153】
本発明によると、食品に含まれ得るGLAの量は、全脂肪酸の0.1%ないし10%の範囲にある。従って、GLAは、全脂肪酸の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で食品に含まれ得る。他の実施態様では、GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし1%、1%ないし3%、1%ないし5%、1%ないし7%、1%ないし9%、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲の量で食品に含まれ得る。
【0154】
いくつかの実施態様では、本発明の食品に含まれるSDAの量は、全脂肪酸の5%ないし50%の範囲にある。従って、SDAは、全脂肪酸の5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%などの量で食品中に提供され得る。他の実施態様では、SDAは、全脂肪酸の5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、5%ないし35%、5%ないし40%、5%ないし45%、5%ないし50%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、10%ないし40%、10%ないし45%、10%ないし50%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、20%ないし40%、20%ないし45%、20%ないし50%、25%ないし30%、25%ないし35%、25%ないし40%、25%ないし45%、25%ないし50%、30%ないし35%、30%ないし40%、30%ないし45%、30%ないし50%、35%ないし40%、35%ないし45%、35%ないし50%、40%ないし45%、40%ないし50%、45%ないし50%などの範囲の量で食品に含まれ得る。
【0155】
他の実施態様では、EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で食品に含まれ得る。従って、EPAは、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で食品中に提供され得る。他の実施態様では、EPAは、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲のパーセントの量で食品中に含まれ得る。
【0156】
本発明のいくつかの実施態様では、DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲で食品中に含まれ得る。従って、DHAは、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で食品中に提供され得る。他の実施態様では、DHAは、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲の量で食品に含まれ得る。
【0157】
本発明のさらなる実施態様は、(a)0.01−99.99重量%の少なくとも5%のステアリドン酸(重量パーセント;w/w)を含む組成物、この組成物は、(i)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(ii)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかを含む;を、(b)99.99ないし0.01重量%の、タンパク質、炭水化物および繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分と組み合わせて含む食品を提供する。本発明のいくつかの実施態様では、SDAはリン脂質の形態ではない。
【0158】
いくつかの実施態様では、SDAは、2%ないし10%の範囲の量で組成物中に存在する。従って、SDAは、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で組成物中に存在する。他の実施態様では、SDAは、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲で組成物に含まれ得る。
【0159】
本発明では、本明細書に記載の食品のいずれかにおける脂肪酸組成物の量は、食品の0.01%ないし99.99重量%であり得る。従って、食品中の脂肪酸組成物の量は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、99.8%、99.9%などであり得る。他の実施態様では、食品中の脂肪酸組成物の量は、0.1%ないし5%、0.1%ないし10%、0.1%ないし15%、0.1%ないし20%、0.1%ないし25%、0.1%ないし30%、0.1%ないし35%、0.1%ないし40%、0.1%ないし45%、0.1%ないし50%、0.1%ないし60%、0.1%ないし70%、0.1%ないし80%、0.1%ないし90%、0.1%ないし99%、0.1%ないし99.5%、0.5%ないし5%、0.5%ないし10%、0.5%ないし15%、0.5%ないし20%、0.5%ないし25%、0.5ないし35%、0.5%ないし45%、0.5%ないし55%、0.5%ないし65%、5%ないし25%、5%ないし35%、5%ないし45%、5%ないし55%、5%ないし65%、5%ないし75%、5%ないし80%、5%ないし85%、5%ないし95%、5%ないし99%、10%ないし30%、10%ないし40%10%ないし50%、10%ないし60%、10%ないし70%、10%ないし75%、10%ないし80%、10%ないし85%、10%ないし95%、10%ないし99%、10%ないし99.9%、15%ないし35%、15%ないし45%、15%ないし55%、15%ないし65%、15%ないし75%、15%ないし85%、15%ないし95%、15%ないし99%、15%ないし99.9%、20%ないし40%、20%ないし50%、20%ないし60%、20%ないし70%、20%ないし75%、20%ないし80%、20%ないし85%、20%ないし95%、20%ないし99%、25%ないし40%、25%ないし50%、25%ないし60%、25%ないし70%、25%ないし75%、25%ないし80%、25%ないし85%、25%ないし95%、25%ないし99%、30%ないし50%、30%ないし55%、30%ないし60%、30%ないし65%、30%ないし70%、30%ないし75%、30%ないし80%、30%ないし85%、30%ないし90%、30%ないし95%、30%ないし99%、35%ないし50%、35%ないし55%、35%ないし60%、35%ないし65%、35%ないし70%、35%ないし75%、35%ないし80%、35%ないし85%、35%ないし90%、35%ないし95%、35%ないし99%、40%ないし50%、40%ないし55%、40%ないし60%、40%ないし65%、40%ないし70%、40%ないし75%、40%ないし80%、40%ないし85%、40%ないし90%、40%ないし95%、40%ないし99%、45%ないし60%、45%ないし65%、45%ないし70%、45%ないし75%、45%ないし80%、45%ないし85%、45%ないし90%、45%ないし95%、45%ないし99%、50%ないし60%、50%ないし65%、50%ないし70%、50%ないし75%、50%ないし80%、50%ないし85%、50%ないし90%、50%ないし95%、50%ないし99%、55%ないし65%、55%ないし70%、55%ないし75%、55%ないし80%、55%ないし85%、55%ないし90%、55%ないし95%、55%ないし99%、60%ないし70%、60%ないし75%、60%ないし80%、60%ないし85%、60%ないし90%、60%ないし95%、60%ないし99%、65%ないし80%、65%ないし85%、65%ないし90%、65%ないし95%、65%ないし99%、70%ないし80%、70%ないし85%、70%ないし90%、70%ないし95%、70%ないし99%、75%ないし85%、75%ないし90%、75%ないし95%、75%ないし99%、80%ないし90%、80%ないし95%、80%ないし99%、85%ないし90%、85%ないし95%、85%ないし99%、90%ないし95%、90%ないし99%、95%ないし99%などの範囲にある。
【0160】
本発明は、さらに、炎症性障害の症状を減らすための液体の栄養補助食品を提供し、該補助食品は、本質的に、19重量%の水;25重量%のスクロース;35重量%の油、ここで、油は、微細藻類由来のGLAおよびSDAである;15重量%の香味料;および5重量%のグリセリンからなる。
【0161】
さらなる実施態様では、水は、10−30重量%の範囲であり得る。従って、水は、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量で存在し得る。追加の実施態様では、スクロースは、10%ないし40%の範囲の量で存在する。従って、スクロースは、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%などの量で存在できる。
【0162】
またさらなる実施態様では、油は、20%ないし50%(重量%;w/w)の範囲の量で存在できる。従って、油は、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%などの量で存在できる。いくつかの実施態様では、香味料は、5%−25%の範囲の量で存在できる。従って、香味料は、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%などの量で存在できる。他の実施態様では、グリセリンは、1%−20%の範囲で存在できる。従って、グリセリンは、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%などの量で存在できる。
【0163】
液体の栄養補助食品は、さらに、抗酸化剤、保存料、着色料、安定化剤、乳化剤またはこれらの組合せから選択される1重量%未満の微量成分を含み得る。
【0164】
いくつかの実施態様では、液体の栄養補助食品におけるGLAとSDAの重量比は、6:1ないし1:6の範囲にあり得る。従って、GLAとSDAの重量比は、6.0:1.0、5.0:1.0、4.0:1.0、3.0:1.0、3.0:0.5、2.5:1.5、2.5:0.5、2.0:1.0、2.0:0.5、1.0:1.0、1.0:2.0、1.0:3.0、1.0:4.0、1.0:5.0、1.0:6.0などであり得る。
【0165】
本発明は、さらに、本明細書に記載の本発明の方法により製造される動物飼料添加物を提供する。従って、本発明のいくつかの実施態様では、動物飼料添加物が提供され、動物飼料添加物は、微細藻類から回収された多価不飽和脂肪酸を、a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかの形態で含む。
さらなる実施態様では、動物飼料添加物について、微細藻類から回収された脂肪酸は、短鎖オメガ−3脂肪酸である。
【0166】
ここでさらに提供されるのは、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物である;この添加物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、ここで、(a)GLAは、全脂肪酸の0.1%ないし10%の量であり;(b)SDAは、全脂肪酸の5%ないし50%の量であり;(c)EPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量であり、そして、(d)DHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の量である。
【0167】
いくつかの実施態様では、動物飼料添加物は、5%ないし15%の範囲の濃度で多価不飽和脂肪酸を含む。従って、動物飼料添加物は、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%などの濃度で多価不飽和脂肪酸を含み得る。他の実施態様では、動物飼料添加物は、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし10%、5%ないし12%、5%ないし15%、6%ないし8%、6%ないし10%、6%ないし12%、6%ないし15%、7%ないし9%、7%ないし11%、7%ないし13%、7%ないし14%、7%ないし15%、8%ないし10%、8%ないし12%、8%ないし14%、8%ないし15%、9%ないし11%、9%ないし13%、9%ないし15%、10%ないし12%、10%ないし13%、10%ないし14%、10%ないし15%などの範囲の濃度で多価不飽和脂肪酸を含み得る。ある実施態様では、動物飼料添加物は、多価不飽和脂肪酸を、少なくとも8%の濃度で含む。
【0168】
本発明によると、動物飼料添加物中のGLAの量は、全脂肪酸の0.1%ないし10%の範囲にある。従って、動物飼料添加物中のGLAは、全脂肪酸の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などの量で存在し得る。他の実施態様では、動物飼料添加物中のGLAは、全脂肪酸の0.1%ないし1%、1%ないし3%、1%ないし5%、1%ないし7%、1%ないし9%、2%ないし4%、2%ないし6%、2%ないし8%、2%ないし10%、3%ないし5%、3%ないし7%、3%ないし9%、3%ないし10%、4%ないし6%、4%ないし8%、4%ないし10%、5%ないし7%、5%ないし8%、5%ないし9%、5%ないし10%、6%ないし8%、6%ないし9%、6%ないし10%、7%ないし9%、7%ないし10%、8%ないし10%、9%ないし10%などの範囲の量であり得る。
【0169】
いくつかの実施態様では、本発明の動物飼料添加物中のSDAの量は、全脂肪酸の5%ないし50%の範囲にある。従って、動物飼料添加物は、全脂肪酸の5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%などの量でSDAを含み得る。他の実施態様では、動物飼料添加物中のSDAは、全脂肪酸の5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、5%ないし35%、5%ないし40%、5%ないし45%、5%ないし50%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、10%ないし35%、10%ないし40%、10%ないし45%、10%ないし50%、20%ないし25%、20%ないし30%、20%ないし35%、20%ないし40%、20%ないし45%、20%ないし50%、25%ないし30%、25%ないし35%、25%ないし40%、25%ないし45%、25%ないし50%、30%ないし35%、30%ないし40%、30%ないし45%、30%ないし50%、35%ないし40%、35%ないし45%、35%ないし50%、40%ないし45%、40%ないし50%、45%ないし50%などの範囲の量である。
【0170】
他の実施態様では、動物飼料添加物中のEPAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲であり得る。従って、動物飼料添加物中のEPAは、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量である。
【0171】
他の実施態様では、動物飼料添加物中のEPAは、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲のパーセントの量である。
【0172】
本発明のいくつかの実施態様では、動物飼料添加物中のDHAは、全脂肪酸の2%ないし30%の範囲にある。従って、動物飼料添加物中のDHAは、全脂肪酸の2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などの量である。他の実施態様では、動物飼料添加物中のDHAは、全脂肪酸の1%ないし5%、1%ないし10%、1%ないし15%、1%ないし20%、1%ないし25%、1%ないし30%、5%ないし10%、5%ないし15%、5%ないし20%、5%ないし25%、5%ないし30%、10%ないし15%、10%ないし20%、10%ないし25%、10%ないし30%、15%ないし20%、15%ないし25%、15%ないし30%、20%ないし25%、20%ないし30%、25%ないし30%などの範囲の量である。
【0173】
本発明の他の実施態様は、本明細書に記載の動物飼料添加物を動物に与えることにより産生される動物製品をさらに含む。従って、本発明のある態様は、微細藻類から回収される多価不飽和脂肪酸を、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかの形態で含む動物飼料添加物を動物に与えることにより産生される、動物製品を含む。
【0174】
本発明のまた他の態様は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物を動物に与えることにより産生される動物製品を提供し;その添加物は、微細藻類から抽出された脂肪酸を含み、微細藻類の脂肪酸抽出物は、(a)全脂肪酸の0.1%ないし10%の量のGLA;(b)全脂肪酸の5%ないし50%の量のSDA;(c)全脂肪酸の2%ないし30%の量のEPA;および(d)全脂肪酸の2%ないし30%の量のDHAを含む。
本発明の動物製品には、卵、乳または肉が含まれるが、これらに限定されない。
【0175】
本明細書に記載の本発明の組成物は、完全な食品として、食品の成分として、栄養補助食品として、または、栄養補助食品の一部として、飼料添加物として使用し得、液体、半固体または固体のいずれかの形態であり得る。本明細書に記載の本発明の組成物は、さらに、医薬組成物の形態であり得る。本発明の組成物、栄養補助食品、食品、乳児用食品、飼料添加物、および/または、医薬組成物は、個体の健康の増進方法において有利に利用され得る。
【0176】
上記の通り、組成物は、液体、半固体または固体の形態であり得る。組成物は、例えば、錠剤、ゲルパック、カプセル剤、ゼラチンカプセル剤、味付きの飲料、そのような飲料に再構成できる粉末、調理用油、サラダ油またはドレッシング、ソース、シロップ、マヨネーズ、マーガリンなどとして投与され得る。さらに、本発明の食品、栄養補助食品などには、乳製品、乳児用食品、調整粉乳、飲み物、バー、粉末、食品のトッピング、飲料、シリアル、アイスクリーム、飴、スナックミックス、焼いた食品および揚げた食品が含まれ得るが、これらに限定されない。本発明の飲み物には、エネルギー飲料、栄養補助飲料、スムージー、スポーツ飲料、オレンジジュースおよび他の果物の飲料が含まれるが、これらに限定されない。本発明のバーには、代替食(meal replacement)、栄養バー、スナックバーおよびエネルギーバー、押出されたバー(extruded bar)などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の乳製品には、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、チーズおよび乳が含まれるが、これらに限定されない。
【0177】
本発明の食品または栄養補助食品は、さらに、草本、草本抽出物、真菌抽出物、酵素、繊維源、ミネラルおよびビタミンを含み得る。本発明の微細藻類油および微細藻類バイオマスを、本発明の組成物において、治療的用途および非治療的用途の両方で使用し得る。従って、本発明の組成物、食品および動物飼料添加物は、治療または非治療目的で使用し得る。
【0178】
経口投与を意図する組成物は、栄養補助食品または医薬製剤の製造用のいかなる既知方法によっても製造し得、そのような組成物は、食事的または医薬的に心地よい調製物を提供するために、味を改善する物質、例えば、甘味料または香味料、安定化剤、乳化剤、着色料および保存料からなる群から選択される少なくとも1種の添加物を含み得る。任意の生理的に許容し得る供給源に由来するビタミン、ミネラルおよび微量元素も、本発明の組成物に含まれ得る。
【0179】
本発明の医薬組成物は、本発明の該組成物を、治療的有効量で含む。これらの組成物は、さらに、医療用医薬品または一般用医薬品を含み得る。これらの組合せは、次の1つまたはそれ以上の効果を有利に奏し得る:(1)相加および/または相乗的利益;(2)該製剤の非存在下の医療用医薬品の使用に伴う副作用および/または有害作用の減少;および/または(3)該製剤の非存在下で必要とされる医療用医薬品の量と比較して、医療用医薬品の投与量を下げる能力。
【0180】
本発明の活性物質は、それらの医薬的に許容し得る塩の形態で製造できる。当業者に理解される通り、医薬的に許容し得る塩は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望まれない毒物学的作用を与えない塩である。そのような塩の例は、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などで形成される酸付加塩;および、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などで形成される塩;(b)塩素、臭素、およびヨウ素などの元素の陰イオンから形成される塩;および(c)アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムおよびカリウムのもの、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウムのもの、有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、ジシクロヘキシルアミンおよびNメチル−D−グルカミンとの塩などの塩基由来の塩である。
【0181】
いくつかの実施態様では、1種またはそれ以上のPUFAは、トリグリセリド形態である。他の実施態様では、1種またはそれ以上のPUFAは、エステル化形態(例えば、エチルエステル形態)である。またさらなる実施態様では、脂肪酸は、酸性塩の形態である。
【0182】
活性物質を、既知の薬学の技法に従って、投与用に製剤化できる。例えば、Remington, The Science And Practice of Pharmacy (9th Ed. 1995) を参照。本発明による医薬組成物の製造において、典型的には、活性物質(その生理的に許容し得る塩を含む)を、とりわけ、許容し得る担体と混合する。当然、担体は、製剤中の他の成分と適合するという観点で許容し得るものでなくてはならず、対象に有害であってはならない。担体は、固体または液体、または両方であり得、単位用量製剤、例えば錠剤として活性物質と共に製剤化でき、それは、重量で0.01%または0.5%ないし95%または99%、または、0.01%ないし99%の任意の値の活性物質を含有できる。1種またはそれ以上の活性物質を本発明の組成物に組み込むことができ、それは、薬学の周知技法のいずれによっても製造でき、各成分を、場合により1種またはそれ以上の補助成分を含めて、混合することを含む。さらに、担体は、上記の通り、保存料を含まないものであり得る。
ある実施態様では、医薬的に許容し得る担体は、生理食塩水、リンガー液またはリン酸緩衝食塩水である。
【0183】
いくつかの実施態様では、活性物質は、組成物の重量で約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10%の範囲の下限から、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および100%の範囲の上限で含まれる。いくつかの実施態様では、活性物質は、組成物の重量で約0.05%から、約99%を超えて含まれる。
【0184】
本発明の実施態様による医薬組成物は、一般的に、経口および局所(即ち、皮膚、目および粘膜表面)投与用に製剤化され、各場合で最も適する経路は、処置される症状の性質および重篤度、および、使用される特定の活性物質の性質によって決まる。
【0185】
しかしながら、本発明の医薬組成物は、また、例えば、静脈内、皮下、直腸、膣などを含むがこれらに限定されない、有効成分が効果的に投与され得る任意の他の経路での使用のために製剤化できる。
【0186】
経口投与に適する製剤は、分離した単位で、例えば、予め定められた量の活性化合物を各々含有するカプセル剤、カシェ剤、トローチ剤または錠剤として;散剤または顆粒剤として;水性または非水性の液体中の液剤または懸濁剤として;または、水中油または油中水乳剤として、与えられ得る。そのような製剤は、薬学のいかなる適する方法によっても製造でき、それには、活性化合物と適する担体(それは、1種またはそれ以上の上記の補助成分を含み得る)を一体とすることを含む。一般に、本発明の製剤は、活性化合物を、液体または細かく分割された固体担体、または両方と、均一かつ完全に混合し、次いで、必要であれば、得られる混合物を形づくることにより製造する。
【0187】
例えば、錠剤は、活性化合物を含有する粉末または顆粒を、場合により1種またはそれ以上の補助成分と共に、圧縮または成形することにより製造できる。圧縮錠剤は、適する機械で、自由に流動する形態の化合物、例えば、粉末または顆粒を、場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤および/または界面活性剤/分散剤と混合して、圧縮することにより製造できる。成形錠剤は、適する機械で、不活性の液体の結合剤で湿らせた粉末の化合物を成形することにより製造できる。
【0188】
他の実施態様では、1種またはそれ以上のPUFAを含むカプセル剤が提供される。例えば、カプセル剤は、PUFAを含有する製剤をカプセル殻の内側に置くことにより製造できる。カプセルは、活性物質を含む容器または囲いの中で投与される投与形であり得る。いくつかの実施態様では、1種またはそれ以上のPUFAは、液体形態(例えば、脂質組成物)であり、ハードまたはソフトカプセルに満たされる。カプセル殻は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、または、変性ゼラチンもしくはスターチ、または他の材料を原料とするものであり得る。ハードシェルカプセルは、典型的には、比較的高いゲル強度の骨およびブタの皮膚のゼラチンの混合物を原料とする。いくつかの実施態様では、単位投与形は、ゲルカプセル剤である。他の実施態様では、カプセル殻は、グリセリンカプセル殻である。またさらなる実施態様では、カプセルは、ウシゼラチン殻である。他の適するカプセル殻材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリホルムアルデヒド、ポリエステル、セルロースアセテートおよびニトロセルロースが含まれるが、これらに限定されない。ゼラチンカプセル殻も提供され、例えば、タピオカ、草、植物由来または魚由来のゼラチンを原料とし得る。植物をベースとするゼラチンカプセルは、例えば、植物由来のヒドロキシプロピルメチルセルロースを原料とし得る。カプセル殻は、また、例えば、加工トウモロコシデンプン、グリセロール、および/または、カラゲナンをゲル化剤として含むことを意図する。
【0189】
他の実施態様では、カプセル殻は、熱形成方法により製造された多孔性またはpH感受性ポリマーを原料とし得る。ある実施態様では、カプセル殻は、比較的薄い皮を表面に有することを特徴とする膜の形態である;その厚みの殆どは、透過性の高い多孔性材料で構成される。
【0190】
従って、いかなる数の医薬的に許容し得る経口投与形も意図されており、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤などが含まれるがこれらに限定されない。また意図されているのは、医薬製剤を単位投与形で含む医薬組成物である。そのような投与形では、製剤は、所望の目的を達成するのに有効な、適当な量のPUFAを含有する適当なサイズの投薬単位にさらに分けられる。
【0191】
従って、本発明は、カプセル剤、錠剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、舌下錠、飴剤、咀嚼錠のPUFA製剤の投与形も提供する。
【0192】
いくつかの実施態様では、液体形態の製剤には、液剤、懸濁剤および乳剤が含まれる。液体医薬製剤の例には、経口用液剤、懸濁液および乳剤用の、プロピレングリコール溶液および甘味料を含有する溶液が含まれる。注射可能な溶液も意図されている。さらに、局所投与に適する製剤は、例えば、シロップ剤、懸濁剤または乳剤、吸入剤、噴霧剤、ムース、油、ローション、軟膏、ゲル、固体などを含むクリームおよび液体の形態であり得る。
【0193】
適する医薬的に許容し得る局所用担体には、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステルおよびミネラルオイルが含まれるが、これらに限定されない。適する局所美容用の許容し得る担体には、水、ワセリン、ペトロラタム、ミネラルオイル、植物油、動物油、有機および無機ワックス、例えば、微結晶性、パラフィンおよびオゾケライトワックス、天然ポリマー、例えばキサンタン、ゼラチン、セルロース、コラーゲン、澱粉またはアラビアゴム、合成ポリマー、アルコール、ポリオールなどが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、その非毒性局所特性のために、医薬的および/または美容的に許容し得る担体は、実質的に水に混和性である。そのような水混和性担体の組成物は、持続または遅延放出担体、例えば、リポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフェアまたはマイクロカプセル、水をベースとする軟膏、油中水または水中油乳液、ゲルなども含み得る。
【0194】
他の実施態様では、本発明の医薬組成物は、さらに、補助剤を含み得る。補助剤の例には、賦形剤、安定化剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、界面活性剤、滑沢剤などが含まれるが、これらに限定されない。補助剤は、不活性であり得るか、または、医薬的利点を有し得る。賦形剤は、意図する投与形に関連して選択できる。
【0195】
医薬製剤は、さらに、抗炎症性製剤、化学療法剤、活性のある補助剤、骨粗鬆症薬、抗鬱剤、抗痙攣薬、抗ヘリコバクターピロリ薬、神経変性疾患の処置薬、変性性肝疾患の処置薬、抗生物質、および、コレステロール低下製剤も含み得る。
【0196】
ある実施態様では、本発明は、細胞全体の微細藻類バイオマス、その画分および/または抽出物を含む医薬組成物を提供する。他の実施態様では、医薬組成物は、微細藻類バイオマスから抽出された脂質組成物を含む。いくつかの実施態様では、細胞全体の微細藻類バイオマスおよび/またはその画分および/または抽出物は、医薬組成物中に、予防的または治療的有効量で存在する。他の実施態様では、医薬組成物は、さらに、医薬的に許容し得る担体を含む。
【0197】
ある実施態様では、本発明の製剤は、さらに、可塑剤を含み得る。可塑剤の例には、ポリエチレングリコール、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350およびPEG800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロースおよびトリアセチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
また、被覆組成物/製剤、例えば、腸溶性被覆も意図されている。被覆材料の例には、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースプロピオネートフタレート、セルロースアセテートマレエート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、メタクリル酸/メタクリレートポリマー、メタクリル酸−メチルメタクリレートコポリマー、エチルメタクリレート−メチルメタクリレート−クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートコポリマーおよびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。被覆の他の例には、天然樹脂(例えば、セラック、コパールコロホリウム(copal collophorium))および合成樹脂(例えば、カルボキシル基を有する樹脂)が含まれる。
【0199】
他の実施態様では、本発明の組成物/製剤は、さらに、安定化剤および/または保存料も含み得る。いくつかの実施態様では、安定化剤は抗酸化剤である。保存料の例には、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、他のパラヒドロキシ安息香酸のエステル、例えばブチルパラベン、アルコール、例えばエチルまたはベンジルアルコール、フェノール化合物、例えばフェノール、または、四級化合物、例えば塩化ベンザルコニウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0200】
本発明の医薬的に許容し得る化合物は、通常、毎日の投薬計画で対象に投与される。成体の対象には、これは、例えば、0.1gないし15gのGLAの経口用量であり得る。さらなる実施態様では、GLAの経口用量は、0.5gないし10gであり得る。またさらなる実施態様では、GLAの経口用量は、0.5gないし3gであり得る。他の実施態様では、SDAの経口用量は、0.1gないし10gであり得る。追加の実施態様では、SDAの経口用量は、0.25gないし5gであり得る。なお追加の実施態様では、SDAの経口用量は、0.25gないし3gであり得る。加えて、本発明のいくつかの実施態様は、場合により、EPAまたはDHAの経口用量約0.1gないし約15gを含み得る。
【0201】
医薬組成物は、1日に1ないし4回投与し得る。従って、特定の実施態様では、組成物は、1:1(w/w)の比のGLA:EPAを含むと企図され、ここで、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10gのGLAが存在し得る。他の実施態様では、2:1(w/w)の比のGLA:EPAが存在し得、ここで、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15gのGLAが存在し得る。当然、投与するGLA:EPAの比は、本明細書で上記したものから変動し得る。例えば、0.1、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10gのEPAを含む任意の量のEPAを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15gのGLAを含む任意の量のGLAと共に投与し得る。そのような量のサプリメントは、1つの組成物中に混合されていてもよく、別個の組成物中にあってもよい。
【0202】
処置方法
従って、本発明のさらなる態様は、疾患または症状の治療的および/または予防的処置のためにヒトにPUFAを投与することを提供する。
例えば、本発明は、本明細書に記載の脂肪酸組成物および/または製剤を提供することによる、心血管疾患、自己免疫障害、炎症性障害、中枢神経系の障害および慢性疼痛の予防および処置方法を含む。対象は、ヒトまたはヒト以外であり得る。ヒト以外の対象には、家畜の動物、例えば、ウシ、ヒツジおよびウマ、並びに、家庭内の伴侶動物、例えば、ネコおよびイヌが含まれる。
【0203】
ある実施態様では、疾患または症状は、心血管疾患、慢性炎症、急性炎症、胃腸障害、癌、悪液質、心臓の再狭窄、神経変性障害、肝臓の変性性障害、血液脂質障害、骨粗鬆症、骨関節炎、自己免疫疾患、子癇前症、早産、加齢関連黄斑症、肺障害、統合失調症、鬱病、体重の維持およびペルオキシソーム病からなる群から選択される。
【0204】
心血管疾患および本明細書に記載の脂肪酸製剤で処置できる障害には、狭心症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL、高血圧症、レイノー病および不整脈が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の脂肪酸製剤による処置方法には、開心術(冠動脈バイパス術および弁の手術を含むが、これらに限定されない)後の合併症(鬱病、神経−認知の低下、うっ血性心不全および梗塞、血栓性の事象および不整脈を含むが、これらに限定されない)を防止するための予防、および、そのような合併症の処置が含まれる。本発明には、脂肪酸を含有する組成物および本明細書に記載の製剤を少なくとも1日1回、少なくとも60日間、180日間、360日間またはそれ以上にわたり、1回目の心筋梗塞後の患者に提供することによる、2回目の心筋梗塞の予防またはリスクの低下の方法が含まれる。
【0205】
本明細書に記載の方法および組成物で処置できる疾患および症状の非限定的な例には、また、脱毛症、アルツハイマー型認知症、不安障害、喘息、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、アトピー性皮膚炎、自閉症、双極性障害、境界型人格障害、心血管疾患、慢性疲労症候群、慢性疼痛、慢性多発性関節炎、認知障害、コミュニケーション障害、クローン病、嚢胞性線維症、認知症、鬱病、糖尿病(インスリン非依存性またはインスリン依存性の形態)、糖尿病関連続発症、糖尿病性神経障害、ドライアイおよび他の炎症性眼障害、乾燥肌、月経困難症、摂食障害(例えば、神経性食欲不振症または神経性大食症および肥満症)、湿疹、線維筋痛症、痛風、ループス、男性不妊症、メタボリックシンドローム、メラノーマ、軽度認知障害、片頭痛、気分障害、多発性硬化症、強迫性障害、反抗挑戦性障害、骨関節炎、骨粗鬆症、広汎性発達障害、結節性多発動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、統合失調症、強皮症、自傷行動、鎌状赤血球貧血、チック障害、潰瘍性大腸炎または血管炎性障害(例えば、結節性多発動脈炎および側頭動脈炎)が含まれる。
【0206】
ある実施態様では、本明細書に記載の脂肪酸組成物および製剤は、細胞腫の予防に使用できる。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物および製剤は、再発のリスクを下げるために、寛解中の患者に与えられる。
【0207】
本明細書に記載の脂肪酸組成物および製剤は、ヒトおよび動物において、美容目的でも使用できる。例えば、製剤を、皮膚の質および透明性および毛髪または外被の輝きを改善するために使用し得る。
【0208】
当業者は、特定の対象のための特有の投与レベルは、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与時間および投与経路を含む様々な要因に応じて決まることを知っている。
【0209】
ある実施態様では、本発明は、対象の疾患または障害の処置方法を提供し、その方法は、治療的または予防的有効量の本発明の脂質組成物を対象に投与することを含む。
【0210】
いくつかの実施態様では、治療的または予防的有効量は、少なくとも対象の1日のカロリーの約0.1%、例えば、1日のカロリーの少なくとも約0.1ないし約30、約0.5ないし約20および約1ないし約5%として提供される脂質組成物である。
【0211】
他の実施態様では、治療的または予防的有効量は、少なくとも約0.1g/日、例えば、約0.1ないし約50g/日、約1ないし約30g/日、約5ないし約20g/日および約10ないし約15g/日である。
【0212】
ある実施態様では、対象は高トリグリセリド血症の対象である。他の実施態様では、対象は喘息である。
【0213】
いくつかの実施態様では、本発明は、対象における血漿トリグリセリドの低下方法を提供し、その方法は、対象に本発明の脂質組成物を投与することを含む。ある実施態様では、対象は高トリグリセリド血症の対象である。
【0214】
他の実施態様では、本発明は、対象における、IgE−に誘導される好塩基球からのロイコトリエン放出の低下方法を提供し、その方法は、対象に本発明の脂質組成物を投与することを含む。ある実施態様では、対象は高トリグリセリド血症の対象である。ある実施態様では、対象は喘息の対象である。
【0215】
キット
他の態様では、本発明の組成物および製剤を含むキットまたはパッケージが提供される。例えば、包装された医薬製剤は、容器内に1またはそれ以上のPUFA投与形;および、その投与形を対象の予防的または治療的処置に使用するための指示書を含み得る。いくつかの実施態様では、本発明は、本発明の医薬組成物を含むキットを提供する。そのキットは、1個またはそれ以上の分離した容器を含み得る。
【0216】
指示用の資料は、存在するとき、典型的には記載または印刷された資料を含むが、それらはそのようなものに限定されない。そのような情報を保存でき、それらを最終使用者に伝達できるいかなる媒体も、本発明により意図されている。そのような媒体には、電子的保存媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが含まれるが、これらに限定されない。そのような媒体は、そのような指示用の資料を提供するインターネットサイトへのアドレスを含み得る。
【0217】
キットの構成要素が1種またはそれ以上の液体の溶液で提供される場合、その液体の溶液は、好ましくは水性溶液であり、滅菌水性溶液が特に好ましい。しかしながら、キットの構成要素は、乾燥粉末として提供されてもよい。物質または構成要素が乾燥粉末として提供される場合、その粉末は、適する溶媒の添加により再構成できる。溶媒も他の容器で提供され得ることが想定されている。例えば、キットの構成要素が凍結乾燥形態である場合、キットは、場合により、水、塩水、緩衝塩水などの無菌かつ生理的に許容し得る再構成媒体を含み得る。
【0218】
いくつかの実施態様では、キットの容器は、少なくとも1個のバイアル、試験管、フラスコ、瓶、シリンジまたは他の容器を含み得、その中に本発明の組成物/製剤、および任意の他の所望の物質が入れられてよく、好ましくは、適切に分注されている。分離した構成要素が含まれる場合、キットは、また、一般的に、少なくとも第2の容器を含み、その中に、これらが入れられ、別々に設定された用量の投与を可能にする。また、キットは、無菌の医薬的に許容し得るバッファーまたは他の希釈剤を含めるために、さらなる容器を含み得る。
【0219】
キットは、本発明の化合物を投与するための装置、例えば、1個またはそれ以上の針またはシリンジ、または、点眼容器、ピペット、または他のそのような器具も含み得る。本発明のキットは、典型的には、バイアルなどと他の構成要素を販売用にまとまった配置で含むための構造、例えば、所望のバイアルおよび他の器具を置き、保持するための射出またはブロー成形されたプラスチック容器を含む。
【0220】
ここで、以下の実施例を参照して本発明を説明する。この実施例は、本発明の態様を例示説明するためのものであり、特許請求の範囲により定められる本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0221】
実施例
実施例1
培養条件
ロドモナス・サリナの細胞を、増殖培地(下記参照)50mlを含む125m1のフラスコ中、室温で、50μmolm−2−1の連続的照射で維持した。培養フラスコは、振盪テーブルを使用して、100rpmでの一定の振盪下にあった。
【0222】
全ての実験について、白色蛍光灯(40ワット)で照明を提供し、様々な光強度は、電球の数を変えることにより、または、培養フラスコと電球の距離を調節することにより達成した。温度の実験には、培養フラスコを14℃ないし34℃の温度の水浴でインキュベートした。水浴中の温度は、電気加熱ロッド(Aquatic Ecosystem, Apopka, Florida)により、22℃、28℃または34℃に各々制御した。1−2%COで富化した圧縮空気を使用して培養物を混合し、ガス(0およびCO)交換および液体の物質移動を促進した。
【0223】
使用した増殖培地は、以下のf/2培地組成物であった(表1):
表1:増殖培地f/2
【表1】

【0224】
全ての栄養成分を、最終的に、濾過した天然海水または3.4%海塩からなる人工海水のいずれか1lに溶解した。海水は、Institute of Marine Sciences at UNC - Chapel Hill, Morehead City, North Carolina から集めた。海塩は、Aquatic Ecosystem Inc. (Apopka, Florida) から購入した。多量栄養素、微量栄養素またはビタミン混合物の原液は、別々に調製し、使用前に一緒にして混合した。純粋培養培地の調製には、混合した培地をオートクレーブした。
【0225】
実施例2
増殖の測定
特有の増殖速度を、細胞計数、550nmの吸光度(O.D.550)、クロロフィル濃度または乾燥重量により測定した。
細胞計数:培養懸濁液1mlを、毎日採取した。微細藻類の細胞をルゴール液(Lugol's solution)で固定し、血球計算器で計数した。細胞濃度を培養体積1ml当たりの総細胞数として表す。
【0226】
乾燥重量分析:1ないし10mlの培養サンプルを、予め乾燥させ、重量を測定した Whatman GF/C 濾紙で濾過した。濾紙上の細胞を3.4%重炭酸アンモニアで3回洗浄し、塩を除去した。藻類の細胞を含む濾紙を終夜100℃のオーブンで乾燥させた。重炭酸アンモニアをこの過程で蒸発させた。最終重量と濾過前の重量の差は、サンプルの乾燥重量であった (Lu et al., J. Phycol. 30: 829-833 (1994))。
【0227】
O.D.550:培養懸濁液1mlを毎日採取し、Genesys 10Vis 分光光度計 (Thermo Electron Corp.) を使用して、550nmの吸光度を監視した。
クロロフィル&カロテノイド:0.5mlないし5mlの培養サンプルを、Whatman GF/C濾紙での濾過により回収した。100%メタノール1mlを使用して色素を終夜4℃で抽出した。遠心分離後に上清を集め、吸収分光法により色素を測定した。下式を使用して、クロロフィルおよびカロテノイドの含有量を算出した:Chl-α (μgmL-1) = 13.9 A665; 総カロテノイド (μgmL-1) = 4A480 (Montero et al., Botanica Marina 45: 305-315 (2002))。
【0228】
下式を使用して、特有の増殖速度を算出した:
μ(d−1)=(LnN−LnN)/(t−t)、ここで、tおよびtは異なる時点を表し、NおよびNは、各々時点tおよび時点tでのクロロフィル濃度、O.D.550、乾燥重量または細胞濃度を表す。
【0229】
実施例3
脂肪酸の抽出および測定
Whatman GF/C 濾紙での濾過により細胞を回収した。Bligh and Dyer (Bligh, E. and W. Dyer, Can. J. Biochem. Physiol. 37: 911-917 (1959) の方法に従って、全脂質を抽出した。
230℃のスプリット/スプリットレスインジェクター(split/splittless injector)を備えた Agilent 6890 GC、260℃の水素炎イオン化検出器、オートサンプラー (Agilent Technologies, Waldbronn, Germany) および CP SIL 88 カラム (100 m、0.25 mm、0.2.25m フィルム厚、Varian, Datuistadt, Germany) を使用して、脂肪酸メチルエステル分析を実施した。キャリアガスとして、一定流速1ml/分で水素を使用した。GCオーブンの温度は、3分間70℃、8℃/分で180℃まで上昇、2分間維持、4℃/分で210℃まで上昇、4分間維持、2℃/分で最終温度240℃まで上昇、25分間維持に設定した。HP Chemstation ソフトウェア (Rev. A.08.03) をデータ分析に使用した。1:10のスプリット比を使用してサンプルを注入した。
【0230】
実施例4
細胞毒性試験
細胞毒性の測定方法を、Meyer et al. (Planta Med. 45, 31-34 (1982)) に従って改変した。簡潔に述べると、藻類の細胞を、5x106細胞/mlの濃度で、トリプリケートで、96ウェルのマイクロプレートを使用して試験した。ブラインシュリンプの卵 (Artemia salina Leach) を地元のペット店で購入し、人工海水(3.4%海塩の溶液)中、室温で孵化させた。24時間後、幼生(ノープリウス幼生)を集めた。8−12匹のノープリウス幼生の懸濁液(100μl)を、藻類の細胞を含む各ウェルに添加し、マイクロプレートを覆い、24−72時間室温でインキュベートした。この期間中に、両眼顕微鏡(10X)を使用して、各ウェル中の死んだノープリウス幼生の数を計数した。ノープリウス幼生の生存率を、試験した藻類の種の毒性の指標として使用した。
【0231】
実施例5
ロドモナス・サリナおよびアンフィジニウム・カルテラエの脂肪酸プロフィール
微細藻類を、125mlフラスコ中、f/2培地を用いて、50μmolm−2−1の光強度で、室温で培養した。1週間後、細胞を濾過により回収し、脂肪酸組成物をガスクロマトグラフィーにより分析した。
ロドモナス・サリナおよびアンフィジニウム・カルテラエは、十分な量のSDA(各々、34%および17%)を含有すると測定された(図1)。加えて、両方の種は、魚油の主成分であるEPAおよびDHAを産生すると見出された。SDAの直接の前駆体であるアルファ−リノレン酸(ALA)は、R.サリナでは非常に高かったが、A.カルテラエでは高くなく、ALAをSDAに変換するA−6デサチュラーゼの活性が低レベルであることを示す。
【0232】
実施例6
増殖の特徴解析
光強度および温度は、微細藻類の増殖に影響を与える2つの最も重要な環境要因である。R.サリナおよびA.カルテラエの最適増殖条件を決定するために、それらの光強度および温度への必要条件を定義した。
【0233】
A. ロドモナス・サリナの増殖の特徴解析
1. R.サリナの増殖に対する光強度の影響
R.サリナの細胞を、室温で20ないし200μmolm−2−1の範囲の様々な光強度に付した。サンプルを毎日採取し、R.サリナの増殖をChl−aおよび細胞数として測定した。
最適光強度は、増殖をChl−aの増加として測定したとき、100μmolm−2−1より低かった(図2A)。200μmolm−2−1の光強度は、最初の3日間の穏やかな増加の後、鮮明な低下を引き起こした。この結果は、R.サリナには低い光強度がより好適であり、高い光強度は、R.サリナの遅い増殖を導く光阻害を引き起こし得ることを示した。同じことが、細胞数を使用してR.サリナの増殖を評価した場合にも該当する。従って、1週間後に、光強度100ないし150μmolm−2−1の培養物から最高の細胞濃度が得られた(図2B)。これらの増殖条件下で、最終細胞濃度は2x10細胞/mlに達し、それは、我々の事前の研究で得られた結果よりも10倍高いことに留意すべきである。この改善は、培養培地をESで富化した海水培地からf/2培地に変更したことによるかもしれない。
【0234】
2. R.サリナの増殖に対する温度の影響
R.サリナの細胞を、光強度50μmolm−2−1で、水浴で14℃、22℃、28℃および34℃に制御した様々な温度に付した。サンプルを毎日採取し、R.サリナの増殖をChl−aおよび細胞数として測定した。
【0235】
R.サリナの最適温度は、Chl−a(図3A)または細胞数(図3B)のいずれかの増加として増殖を測定したとき、14℃であると見出された。増殖は、22℃および28℃で、14℃でのものと比較して低かった。34℃では増殖は検出できず、この温度で3日後に、Chl−aおよび細胞数の両方の減少が観察された。海の種として、R.サリナは34℃の高温に耐えられず、28℃でさえ、増殖の有意な減速を引き起こした。
【0236】
総色素プロフィールに対する光強度および温度の影響
R.サリナに対する光強度と温度の影響をさらに分析するために、様々な光強度および温度で増殖させた細胞を濾過により回収し、総色素をメタノールで抽出した。色素プロフィールを図4に示す。クロロフィルの2つの標準的なピークが666nmおよび440nm付近で観察され、カロテノイドの肩が480nm付近にあった。異なる光強度と温度は総色素の絶対量に明確な影響を示したが、色素プロフィールのパターンは相互に有意に異ならず、試験した光強度と温度が色素プロフィールに有意に影響を与えないことを示す。
【0237】
B. アンフィジニウム・カルテラエの増殖の特徴
1. A.カルテラエに対する光強度の影響
A.カルテラエの細胞を、室温で、20ないし200μmolm−2−Iの範囲の様々な光強度に付した。培養フラスコからサンプルを毎日採取し、A.カルテラエの増殖をChl−aおよび細胞数として測定した。増殖をChl−aの増加として測定したとき、20ないし150μmolm−2−1の光強度は、増殖に有意な影響を与えなかった(図5A)。対照的に、200μmolm−2−1の光強度は、Chl−aの急速な減少および最終的な培養物の漂白を引き起こした。増殖を細胞数の増加として測定したとき、最適な光強度は、100ないし150μmolm−2−1の範囲にあった。200μmolm−2−1の光強度で、増殖は観察されなかった(図5B)。これらの結果は、微細藻類のA.カルテラエは、高い光強度に非常に敏感であり、合理的な増殖速度のために低い光強度に適応できることを示す。
【0238】
2. A.カルテラエに対する温度の影響
A.カルテラエの細胞を、光強度50μmolm−2−1で、水浴で14℃、22℃、28℃、34℃に制御した様々な温度に付した。培養物からサンプルを毎日採取し、A.カルテラエの増殖をChl−aおよび細胞数として測定した。増殖をChl−a(図6A)および細胞数(図6B)の増加として測定したとき、A.カルテラエの最適温度は、22℃の温度であると見出された。14℃で、増殖速度は22℃でのものと似ていたが、最終細胞濃度は低かった。34℃では増殖は検出されなかった;それよりも、Chl−aおよび細胞数の両方の減少が観察された。
【0239】
C. 総色素プロフィールに対する光強度および温度の影響
A.カルテラエの色素プロフィールを図7に示す。R.サリナと同様に、色素プロフィールのパターンは、異なる処理(光強度および温度)の間で有意に異ならなかった;しかしながら、総色素の絶対量は、異なる試験条件下で異なった。
【0240】
D. R.サリナおよびA.カルテラエの細胞毒性試験
海藻の細胞毒性は、特に、藻類を水産養殖飼料またはヒトの栄養法に使用するとき、関心事である。R.サリナおよびA.カルテラエを、それらが毒性であるか否かを決定するために試験した。ブラインシュリンプの細胞毒性アッセイをその試験に用い、他の海の微細藻類である舟形珪藻(NLD)を負の対照として使用した。様々な濃度の微細藻類細胞を96ウェルプレートのウェルに分配し、新しく孵化したブラインシュランプの幼生(ノープリウス幼生)を、ノープリウス幼生約10匹/ウェルの密度で各ウェルに導入した。微細藻類を含まず培地のみを含むウェルを、バックグラウンドの対照として供した。生きているノープリウス幼生の数を毎日計数し、生存率をモニターした。
【0241】
図8に示す通り、R.サリナは、ノープリウス幼生に有害作用を示さず、それは、R.サリナの細胞が枯渇するまで、数日間増殖し続けた。NDLは、70%〜90%の生存率を示し、それは、バックグラウンド(培地のみ、微細藻類なし)から得られた率と同様であった。A.カルテラエについて、結果は全く驚くべきものであった:24時間後、50%を超えるノープリウス幼生が死亡した;48時間後、10%未満が生き残った。A.カルテラエがブラインシュリンプのノープリウス幼生に対して毒性であることが明らかである。毒性のメカニズムは決定されなかった。これらの結果は、R.サリナはブラインシュリンプに対して細胞毒性ではないが、A.カルテラエは明確な毒性を示すことを立証する。
【0242】
実施例7
脂肪酸蓄積の条件決定
細胞毒性試験で得られた結果に基づき、R.サリナをさらなる脂肪酸蓄積の特徴解析およびスケールアップした製造のために選択した。以下の実験は、R.サリナにおける脂肪酸の蓄積を増加できる方法を試験するために設計した。
【0243】
1. R.サリナの培養段階の影響
典型的な微細藻類の回分培養には、3つの段階が含まれる:(1)誘導期−培養の開始、低い増殖速度の適応期;(2)指数増殖期、急速な細胞分裂を伴う、最も速い増殖期;および(3)定常期−栄養分の枯渇のために、二次的代謝物の蓄積を伴って増殖は減速する。
【0244】
R.サリナが大量の脂肪酸を蓄積する増殖段階を決定するために、以下の実験を実施した。R.サリナ細胞を、予め決定した最適な光強度および温度(22℃および100μmolm−2−1)で、f/2増殖培地に播種した。細胞を、脂肪酸分析のために、指数増殖期および定常期に各々回収した。
【0245】
定常期のR.サリナ細胞は、指数増殖期の細胞よりも3倍高い脂肪酸レベルを含むと測定された(図9;青色のバー)。この結果は、R.サリナからの脂肪酸の製造戦略を設計するうえで興味深い。例えば、細胞を最初に最大のバイオマスを得るのに最適な条件下で培養し、それを定常期で維持し、回収前に所望の脂肪酸を蓄積させることができる。
【0246】
2. 栄養の枯渇の効果
微細藻類における脂肪酸の蓄積を誘導するのに有効な方法は、細胞を栄養の枯渇に、最も一般的には窒素またはリンの飢餓に付すことである (Cohen, Z. and C. Ratledge, Single Cell Oils, American Oil Chemists' Society, Champaign, IL, USA (2005))。この方法の実現可能性を試験するために、R.サリナの細胞を、窒素またはリンを含まないf/2培地で3回洗浄し、次いで、同じ培地で6日間増殖させた。6日間の終わりに細胞を回収し、脂肪酸レベルを測定した(図9、右側、黄色のバー)。
【0247】
対照と比較して、窒素の飢餓は、有意な脂肪酸の蓄積を誘導しなかった。対照的に、リンを含まない培地は、脂肪酸含有量の有意な増加を誘導した。この結果は、SDAの大量生産のために、リンの飢餓を用いて脂肪酸の蓄積を誘導できることを示唆する。
【0248】
3. 温度の影響
温度は、微細藻類における脂肪酸の蓄積に影響を与え得る要因の1つである。従って、以下の実施例では、R.サリナおよびA.カルテラエにおけるSDAの蓄積に対する温度の影響を研究した。
R.サリナおよびA.カルテラエの細胞を、50μmolm−2−1の低い光強度で完全なf/2増殖培地に播種し、14℃、22℃、28℃または33℃の温度に付した。1週間の増殖後、細胞を濾過により回収し、脂質を抽出し、脂肪酸含有量について分析した。図10に示す通り、R.サリナのSDA含有量は、14℃および22℃の低温で、33℃の高温でよりも有意に高いと測定された(図10)。同様の傾向が、全体的なSDA含有量がR.サリナと比較して少ないA.カルテラエにも観察された。ロドモナス・サリナにおけるSDA含有量に対する光強度の影響を、図11に示す。
【0249】
実施例8
培養されたロドモナス属の微細藻類の脂質プロフィール
PUFAのプロフィールをさらに特徴付け、測定するために、ロドモナス属に属する様々な微細藻類の培養物を異なる培養条件下で増殖させ、それらの脂肪酸含有量を定性的および定量的に測定した。
株:ロドモナス株は、CCMPから得た(表2)
表2:ロドモナス株および対応する培養培地
【表2】

【0250】
抗生物質処理(単離段階):藻類の株4Rsal、5Rsal、9Rsal、12Rspおよび16−Rspを、抗生物質処理に付した。株12Rspの希釈培養物を、1/1000希釈の無菌トリプシン処理大豆ブロス(細菌の増殖を促進し、それにより抗生物質への感受性を高める)で終夜インキュベートした(外界室温、13/11明/暗)。翌日、ゲンタマイシン(80μg/ml)、バンコマイシン(50μg/ml)およびクリンダマイシン(20μg/ml)の組合せを添加し、培養物を48時間処理した。処理した培養物を、抗生物質を含まない培地に希釈した(1/10および1/100)。これらの希釈物のサンプルを、トリプトン、酵母抽出物およびグルコースを添加して栄養価を高めたトリプチケースソイアガー(trypticase soy agar)(海水をベースとする培地で調製)に画線し、細菌の増殖を評価した(外界室温、13/11明/暗)。また、希釈した培養物をヒツジ血液寒天培地に画線し、37℃で増殖させた。これらの富化した固体培地のいずれでも、細菌は増殖しなかった。
【0251】
株4Rsal、5Rsal、9Rsalおよび16−Rspに関して、これらの株を(1)トリプシン処理大豆ブロス(細菌の増殖を促進し、それにより抗生物質への感受性を高める)の1/1000希釈物の存在下、48時間抗生物質で処理し;(2)抗生物質を含まない培地に希釈し;次いで、(3)トリプチケースソイアガー上に増殖した細菌について少なくとも2回評価した。株9Rsalおよび16Rspを、ゲンタマイシン(80μg/ml)、バンコマイシン(50μg/ml)およびクリンダマイシン(20μg/ml)の組合せで処理した。株4Rsalを上述の抗生物質カクテルで処理し、次いで、セフタジジム(100μg/ml)で処理した。株5Rsalをゲンタマイシン/バンコマイシン/クリンダマイシンのプロトコールに付し、次いで、シプロフロキサシン(100μg/ml)、メロペネム(100μg/ml)およびリファンピン(50μg/ml)でさらに処理した。
【0252】
藻類の培養:海水をベースとする培地で、室温(23−25℃)で、13時間/11時間の明/暗サイクルで、懸濁培養で細胞を増殖させた。光源は、約600ないし1000lux(lx)をインキュベーターの全箇所に提供するSoftWhite 蛍光灯を備えていた。表3および4に示す通り、培地は濾過した海水で調製し、0.075gのNaNO、0.005gのNaHPO・H0、培地特異的な微量ミネラル混合物、ビタミン混合物、および、約0.027ないし0.0027gのNHClを含有した(1l当たり)(株に応じて異なる)。
【0253】
表3:藻類の培地
【表3】

組成について、表3を参照。
CCMPから入手。
オートクレーブ後に添加し、冷却した;オートクレーブした培地を終夜室温で静置し、COで再平衡化を可能にした。
【0254】
表4:原液の微量ミネラルおよびビタミン混合物
【表4】

g/L脱イオン水
最終1Lの脱イオン水に成分を添加または溶解した
最終体積1Lの脱イオン水に成分を添加し、濾過滅菌した
【0255】
ビタミンおよびNHClを、オートクレーブ後に無菌の原液から添加した。細胞をオートクレーブしたガラス管(20x125mm)またはホイルで蓋をしたガラスフラスコ(125−500ml)中、静置懸濁液で、断続的に2−4日毎に穏やかに混合しながら(回旋による)、増殖させた。標準的な無菌的技法を使用して細胞を継代培養した。全ての培養物および使用済みの培地は、廃棄前にオートクレーブした。
【0256】
増殖速度の列挙および評価:細胞増殖を、これらの着色した生物の懸濁液の色(株によって、赤色または茶色)の増加の目視検査によりモニターした。適当な希釈物(25−30細胞/10スクエア(suquares))を、血球計算器で、2−3日間隔で計数することにより、細胞を数えた。これらは鞭毛のある生物であるので、細胞の生存率の評価を海水に希釈した懸濁液において顕微鏡的にモニターした。より正確な計数は、殆どの株の細胞を動かなくするリン酸緩衝塩水(PBS)に希釈したサンプルで実施した。増殖率を、培養日数の関数としての細胞数の片対数プロットの傾きから見積もられる倍加時間(DT)として表し、一次方程式(y=ax+b)を使用して、y=log2(細胞密度の倍加)、b=0として、log2=傾きxDTである。DTについて解くと、log2=0.301のとき、DT=0.301/傾きである。
【0257】
脂肪酸含有量の評価:サンプル当たり約5百万−1千万個の細胞から、Bligh and Dyer, Can. J. Biochem. Physiol., 37:911-7 (1959) の方法により全脂質を抽出した。ガラススクリューキャップ(Teflon ライナー)のある16x125mmのチューブ中の遠心分離(1000xg;20分間;25℃)により懸濁液中の細胞を回収し;そして、細胞を含まない培地を吸引し、廃棄した。細胞のペレットを0.8ml脱イオンH0に懸濁し、メタノール2mlの添加により溶解し、クロロホルム1mlの添加により抽出した。単相を達成するのに必要であれば、メタノールを滴下して添加した。希HSO1ml(濃HSO0.25ml/脱イオンH0500ml)およびクロロホルム1mlを添加し、続いて激しく混合し、遠心分離(400xg、10分間、4℃)することにより相を分けた。全脂質は、底のクロロホルム相に回収され、それを、内部標準(トリヘプタデカノイン)10μgを含むガラススクリューキャップのある新しい16x125mmのチューブに移した。クロロホルム抽出物を窒素ガス気流下で乾燥させた。エタノール1mlおよび50%KOH(w/v)0.1mlの添加により全脂肪酸を鹸化した。蓋のあるチューブを、加熱ブロック中、10分間60℃で加熱し、ボルテックスする前に、続いてさらに20分間60℃で加熱した。チューブが冷えた後、中性の脂質およびコレステロールを、ヘキサン2mlおよび脱イオンH01mlの添加により抽出した。激しく混合した後、相を遠心分離(400xg、10分間、4℃)により分離し、上(ヘキサン)の相を吸引し、廃棄した。遊離脂肪酸を下の水相から、ヘキサン2mlおよび氷酢酸0.1mlの添加、続いて激しい混合および遠心分離(400xg10分間、4℃)により抽出した。脂肪酸を含有する上の相(ヘキサン)を、ガラススクリューキャップ(Teflon ライナー)のある新しい13x100mmのチューブに移した。ヘキサン抽出物を窒素ガス気流下で乾燥させた。乾燥させた抽出物に0.5M NaOH(メタノール中)1mlを添加し、5分間100℃で加熱することにより、脂肪酸を誘導体化のために調製した。三フッ化ホウ素(メタノール中の14%BF1ml/チューブ)の存在下、5分間100℃で加熱して、脂肪酸を誘導体化した。ヘキサン2mlおよび飽和NaCl2ml(36g/脱イオンH0100ml)を添加し、続いて激しく混合し、遠心分離(400xg、10分間、4℃)することにより、脂肪酸メチルエステル(FAME)誘導体を抽出した。上の相(ヘキサン)を新しい13x100mmチューブに移した。ヘキサン抽出物を窒素ガス気流下で乾燥させ、イソオクタン(0.25−0.5ml)に再溶解し、新しい1mlのクリンプ栓のバイアルに移し、密封した。
【0258】
脂肪酸メチルエステルを分離し、ガス液体クロマトグラフィー(GLC)により、オン−カラムキャピラリーインレット、水素炎イオン化検出器(FID)および Agilent 7683B オートサンプラー/インジェクターを備えた、温度をプログラムされた Agilent 6890N ガスクロマトグラフに設置された CP-Select CB for FAME キャピラリーカラム、100m x 0.25mm id, (Varian) で定量した。クロマトグラフィーの条件は、Hキャリアガス、20psi上部圧力;窒素メークアップガス、25ml/分;オーブンの温度より3℃高い入口温度;および230℃でのFIDであった。オーブンの温度は、90℃で始まり、0.5分間維持、10℃/分で150℃まで上昇、2.5℃/分で200℃まで上昇、1.5℃/分で最終温度の220℃まで上昇、220℃で20分間維持するようプログラムした。総ランタイムは、60分間プラス、各ランの間の平衡化期間の5分間である。
【0259】
クロマトグラフィーのデータ収集および分析は、Chrom Perfect(商標) Spirit Chromatography Data System, Version 5.5 (Justice Laboratory Software) を Microsoft Windows XP で走らせる、2.8 GHz Intel Pentium 4 パーソナルコンピューターへのUSBシリアルアダプターによった。各クロマトグラムを、構成脂肪酸の正しい同定および品質管理のために調べた。データは、Microsoft Excel で、サンプル当たりの各々の同定された脂肪酸の量として報告された。主要な脂肪酸の較正は、クロマトグラフィーソフトウェアにより実施し、既知組成物の標準的FAME液の定期的な注入により更新した。
【0260】
栄養のアッセイ:培地のリン酸塩を、日常的な比色分析アッセイを使用して測定した。リン酸塩を含む洗浄剤で洗浄されていない専用のチューブ(ガラススクリューキャップ(Teflon ライナー)のある16x125mmのチューブ)およびキャップをこのアッセイに使用した。デュプリケートで、海水900μl中、リン酸ナトリウム(二塩基性)の1mM原液を使用して、標準曲線を構築した(0、2、5、10、20、40、60nmole/チューブ、体積60μl)。脱イオンH0(60μl)をデュプリケートのサンプルチューブに添加し、続いて900μlの細胞を含まない培地を添加した。各標準およびサンプルのチューブに3回の添加を行い、続いてボルテックスで混合した。これらの添加は、過塩素酸150μl(60%)、2.5%モリブデン酸アンモニウム167μlおよび10%アスコルビン酸167μlであった(w/v;新たに調製した)。チューブに蓋をし、50℃で15分間インキュベートした。チューブが冷えた後、脱イオンH0に対して820nmの吸光度を測定した。サンプルのリン酸塩濃度を標準曲線から見積もった。
【0261】
紫外分光光度法を使用して硝酸塩を見積もった。1mM硝酸ナトリウム原液を使用して標準曲線を構築した(0、5、10、20、30、40、50、60μM、脱イオンH05ml中、デュプリケート)。細胞を含まない培地および海水(ブランク)を脱イオンH02ml中で1対40に希釈した(トリプリケートまたはクアドロプリケート)。標準および希釈したサンプルの220nmでの吸光度を、脱イオンH0に対して測定した。海水のブランクを差し引いた後、サンプルの硝酸塩の濃度を標準曲線から見積もった。
【0262】
図12に示す通り、抗生物質での処理は、例えば9Rsalについて測定される脂肪酸のプロフィールを変えなかった。
図13は、定常期に測定したロドモナスの株の脂肪酸(FA)分析を示す(データは、細胞数に標準化していない)。結果は、株12Rspについて、比較的高いSDAの含有量(33.8%;図13A)および比較的低い不飽和および一飽和FAの含有量(36.7%;図13B)を示す。
【0263】
実施例9
培養された微細藻類のロドモナス属の増殖の特徴および脂質のプロフィール
株1Rsal、6Rsal、8Rsal、13Rspおよび17Rsapを除く全ての株を、ガラスの培養チューブにトリプリケートで、適当なCCMPに推奨される培地5ml中、約10細胞/mlの密度で播種した。株1Rsal、6Rsal、8Rsal、13Rspおよび17Rsapには、最初のCCMP懸濁液4mlをガラスの培養チューブにトリプリケートで分注した。全チューブをインキュベーターに入れ、室温(23−24℃)で増殖させ、23Wの小型蛍光灯で13時間の明所(7am−8pm)/11時間の暗所のサイクルで照射した。各株のトリプリケートのチューブの1本を、3−4日間隔で計数した。株の受領の1、2日後に、第2の対のチューブに、各々、より濃い株で、細胞のバックソース(back source)として播種した。これらの培養物を、後にFA分析に使用した。結果を表5に示す。
【0264】
表5:微細藻類細胞の倍加時間
【表5】

【0265】
表5に示す通り、倍加時間(DT)は1.9ないし6.8日間の範囲にあり、殆どの株は、約2.3日毎に倍加した。この実験設定で利用した培養体積(5−10ml)では、殆どの生存株は、最初に培地に播種されたときに、明白な増殖の誘導時間を示さなかった(図14)。
【0266】
FA含有量分析には、回収時の密度約30ないし350万個の細胞/mlの各株のサンプル(5百万−1千万個の細胞/サンプル)を、各々低密度から高密度まで、抽出し、加工し、FA含有量について分析した。各株の回収時の密度を表6に示す。
表6:回収時の細胞密度
【表6】

a 回収時
【0267】
表5に示す株(低密度回収)のPUFAの分布のまとめを、図15に示す。結果は、これらの株のPUFA含有量は総FAの約75−80%を占め、不飽和または一飽和の種が優勢であることを示す。さらに、図16に示す通り、細胞のSDA含有量は、細胞回収の密度によって変動した。μg量(細胞百万個当たり)の単位では、定常期の細胞は、より多くのSDAを含有する傾向があった。しかしながら、SDAは、増殖曲線の後ろの段階では、総FA含有量中の少ない割合であった。株4Rsal、5Rsal、9Sal、12Rspおよび16RsalのPUFA含有量を、図17に示す。
【0268】
実施例10
細胞密度および栄養レベルはFAプロフィールに影響する
FA含有量に対する細胞密度および/または栄養レベルの影響を測定するために、様々な微細藻類株の増殖曲線、FAプロフィールおよび栄養利用を並行して調べた。
株4Rsal、5Rsal、16Rspおよび12Rspの各々を、そのCCMP−に推奨される培地中、2つの異なる培地のリン酸塩の濃度で増殖させた:通常(即ち、約36μM;CCMP推奨);および低い(即ち、約18μM)。
【0269】
細胞を遠心分離(1000xg、RT、10分間)により集め、それらの適当な基礎培地(リン酸塩なし)で1回洗浄した。洗浄した細胞を、それらの適当な培地(通常または低リン酸塩の適当な基礎培地)20mlに懸濁した。これらの懸濁液を、表7に示す通り、無菌の500mlガラスフラスコ中の同じ培地380mlに添加した。
表7:微細藻類の培養物
【表7】

【0270】
静的条件下、約24℃で、約700ルクスで照射される13/11時間の光周期で、培養物を増殖させた。3−4日の間隔で細胞の計数を実施した。培地の栄養レベル、細胞のFA含有量および細胞の脂質リン含有量のために、定期的にサンプルを回収した。これらのサンプルについて、ある量の細胞懸濁液(可能なときはデュプリケートで)をフラスコから取り、細胞を遠心分離(1000xg、RT、10分間)により集めた。細胞を含まない上清を、標識した新しいチューブに移し、培地の硝酸塩およびリン酸塩の測定のために−20℃で保存した。細胞のペレットを Bligh and Dyer, Can. J. Biochem Physiol., 37:911-7 (1959) に従って抽出し、総脂質抽出物をFA分析および脂質リン含有量のために−20℃で保存した。後者は、培地のリン酸塩について記載したアッセイを使用して測定したが、但し、5百万個の細胞からの総脂質抽出物を窒素ガス気流下で乾燥させ、その後、水60μlおよび60%過塩素酸150μlを添加した。この混合物を、170−180℃で、乾いたヒートブロック中、溶液が無色になるまで(2−8時間)消化させ、その後、上記の通りにアッセイを継続した。
【0271】
図18は、通常(N)または低(L)培地リン酸塩条件下で増殖させたときの株12Rspの増殖曲線を示す。指数増殖または定常増殖期は、この株について、培地のリン酸レベルにより大きく影響はされなかった。同様の観察が、株4Rsal、5Rsalおよび16Rspについて行われた。
【0272】
主要な藻類の栄養(硝酸塩およびリン酸塩)の培地濃度を、藻類の増殖の過程でモニターした。図19は、12Rspを増殖させた培地中の栄養レベルを示す。低い条件の最初のリン酸塩濃度(図19、A)は約18μMであり、約30日で消費されるまで、ほぼ一定の割合で減少した。通常のリン酸塩条件(約35μM)でのリン酸塩の利用は、最初の15日間で遅く、次いで、約40日で消費されるまで、ほぼ一定の割合で減少した。硝酸塩の利用は、両方のリン酸塩条件で類似し(図19、B)、完全には消費されなかった。12Rsp細胞を培養したh/2培地は、アンモニウムの形態で第2の窒素供給源を有し、それはこの実験では測定せず、恐らく、比較的遅い硝酸塩の消費を説明するものである。
【0273】
FA含有量を、増殖曲線中のいくつかの時点で、各株について、各培地リン酸塩条件で評価した。図20に示す通り、細胞のSDA含有量は、全ての株について、培養中の時間に伴っていくらか変動する。株中の最大のSDA含有量は、株12Rsp、4Rsal、5Rsalおよび6Rspについて、各々、総FAの約30%、25%、35%および40%であった。SDA含有量は各株において最大になり、次いで20−25日間を過ぎて減少する傾向があり、そのときに殆どの培養物は指数増殖期後期または定常期に入る。長鎖FA、DHAの含有量は、増殖曲線においていくらかの変化を示すが、一般的に、SDAより低いままである(総FAの7−20%)(図21参照)。
【0274】
さらに、図22に示す通り、株12Rspは、総FAの約5%のGLA含有量を有した。最初の培地リン酸塩レベルは、細胞のGLA含有量に本質的に何の影響もないと思われた。
【0275】
さらに、図23は、12RspにおけるSDAのレベルは、培地のリン酸塩が減少し始め、細胞が急速な増殖の期間である対数期中期に入ると最大に達することを示す。次いで、SDA含有量は、さらにリン酸塩が消費されるにつれ、減少する。対照的に、GLA含有量は、対数期で低く、細胞がより多くの培地のリン酸塩を消費し、対数期後期−定常期に入ると増加し始める。DHAレベルは、培地中の栄養レベルの変化を、相対的に免れると思われる。(消費により枯渇した)栄養をさらに補充されていない培地における、増殖曲線の後ろの段階での12Rspの通常の増殖は、SDAの合成からGLAの合成への移行を引き起こすと思われる。株4Rsal、5Rsalおよび16Rspの結果を、各々図24、25および26に示す。さらに、増殖曲線の関数としてのFA分析のまとめを、株12Rsp、4Rsal、5Rsalおよび16Rspについて、各々図27、28、29および30に示す。
【0276】
株12Rspでは、細胞密度の増加に伴い、細胞の全脂肪酸含有量はわずかに増加した(図31)。α−リノレン酸[ALA、C18:3(n−3)]、SDA、EPAおよびDHAは、全て、培養が定常増殖期に移行すると、総FAの割合として小さい減少を示した(図31)。驚くべきことに、12Rspにおいて、細胞密度が上昇するにつれて、オメガ−6 18炭素FA、LAおよびGLAの予想外の付随した増加があった(図31C)。対照的に、この移行は、調査した他の株(4Rsal、5Rsal、9Rsal、16Rsp)のいずれでも見られなかった(データは示さない)。これらの結果は、株12Rspにおいて、細胞が定常期でストレスを受けると、Δ15デサチュラーゼの段階(これは、n−6脂肪酸をn−3脂肪酸に変換する)がある程度阻害され得ることを示唆する。実際に、12RspのSDA含有量は、培地のリン酸塩が30%のみに減少し、培地の硝酸塩濃度が変化しないときに、最大に達する(総FAの29%;図32A、破線)。対照的に、株5RsalのピークのSDA含有量(総FAの31%;図32B、破線)は、培地の硝酸塩が70%まで減少し、培地のリン酸塩濃度が変化しないときに起こった。従って、同じ属の構成員におけるPUFA合成は、異なって制御されていると思われる。さらに、これらの知見は、ロドモナスのFA含有量を、所望のFA組成物を得るために操作できることを示唆する。さらに、最初の実験は、藻類バイオマスの約25−35%(乾燥重量)は、FAをベースとする脂質からなることを示唆する。
【0277】
細胞密度の増加に伴う12Rspにおけるオメガ−6 18炭素FA、LAおよびGLAの驚くべき増加は、SDAおよびALAだけではなくGLAも含有する藻類の産生に、決定的な手段を提供する。SDA/GLAの組合せを含有する種実油は、患者集団において慢性疾患のヒトのバイオマーカーを阻止するのに最も有効であると示されてきた。
【0278】
実施例11
FAプロフィールに対する炭素供給源の影響
藻類のFA含有量を操作する代替的な方法を決定するために、株Rsp12の増殖およびFA含有量を、単一の量のグルコース(55mM)または酢酸塩(2mM)の存在下で測定した。図33に示す通り、オメガ−6系統の前駆物質のリノール酸(LA)の少しの減少およびいくつかのオメガ−3FA(ALA、SDA、EPA、DHA)の少しの増加が観察された。これらの知見は、選択されたロドモナスの株は、有機炭素供給源を利用でき、それらの補充はFAプロフィールを変更できることを示唆する。最も光に敏感な株(16Rsp)の増殖を、グリセロール(0.1Mおよび0.4M)の存在下で調べた。これらの量は、以前に珪藻類および緑藻類の研究において使用された。結果は、株16Rspは繁栄しなかったが、死亡しなかったことを示す(データは示さない)。しかしながら、グリセロールへの曝露は、細胞からのクロロフィルの喪失を誘導した。
【0279】
実施例12
リアクターで培養されたロドモナスの増殖およびFAのプロフィール
ロドモナス株がリアクター条件下で繁栄できるか否かを決定するために、株12Rspを30Lガラスリアクターで増殖させた(図34)。
ガラス壁の30Lリアクター(ChemFlowtronics)を、10%ブリーチで清浄化し(終夜)、少なくとも6回水道水ですすぎ、次いで、少なくとも3回脱イオン水ですすいだ(図34A)。リアクターを空気乾燥させた。Teflon の蓋を同様に洗浄し、70%イソプロパノールですすぎ、組み立てるまでオートクレーブ紙で包んでおいた。リアクターを70%イソプロパノールで徹底的にすすぎ、リアクターが湿っているうちに蓋を載せ、組み立てたリアクターを空気乾燥させた。培地を添加する前に、乾燥させたリアクターを、濾過した海水ですすいだ。オートクレーブした漏斗を使用して、蓋の出入り口を通して、濾過した海水約28Lをリアクターに添加した。30Lの最終体積に適する体積のCCMP培地キット(f/2)用の1000x栄養分をリアクターに添加した。塩化アンモニウムを培地に添加し、12Rspに必要なh/2培地を作成した。パドル(3層のTeflon)の撹拌機構を約60−100rpmで開始し、それは、家庭用送気管上のフィルター付き空気圧モーターを動力とした。
【0280】
リアクターに12Rsp約2Lを播種し、最初の細胞密度約4.5x104細胞/mlを得た(図34B)。培養物を継続的に撹拌し、3個の14W蛍光灯で照射した(13/11時間の明/暗サイクル)。細胞密度、pH(試験紙、次いでpHメーターにより)、栄養分(リン酸塩、硝酸塩)レベルおよびCO2含有量(NaOHによるフェノールフタレイン滴定;まだ定量的ではなく、そのときの相対値のみ)を規則的な間隔でモニターした。最大の細胞密度を得るために、栄養分が消費されるにつれ、培地にそれを補充した。
【0281】
培養物が最大密度に達すると(約80万個の細胞/ml;図34C)、リアクター表面、特に入射光を受ける表面近くへの細胞の接着の増加が観察された。それでも、栄養分の変動、継続的撹拌および高密度での自己遮蔽により誘導される潜在的なストレスにも拘わらず、株12Rspはリアクター中で繁栄した。従って、培養の大規模化を達成することは実現可能である。
【0282】
さらに、このフォトバイオリアクター(PBR)で達成される最大細胞密度は、リアクター表面への細胞の接着のために、総バイオマスを過小評価する。リアクターの培養物を41日目に細胞密度5.4x10細胞/mlで回収した。これは、19日目のピーク細胞密度7.6x10細胞/mlより低い。恐らく、たとえ細胞密度が減少しても、培養物は定常期にあった。容器壁およびパドルへの接着の増加が、培養時間の最後の部分で観察された。栄養分の添加にも拘わらず、細胞が栄養のストレス要因を経験した見込みが高い。
【0283】
回収時の細胞のFA含有量を、細胞の乾燥重量の見積りとして評価した。総脂質抽出物をデュプリケートの約1千万個の細胞のサンプルから調製し、上記の通りに分析した。1千万個の細胞を、予め乾燥させ、予め重量測定したガラス繊維濾紙(4.25cm)で濾過し、重炭酸アンモニウム3.4%で3回洗浄することにより、乾燥重量を見積もった。洗浄した濾紙を終夜乾燥させ(100℃)、再び重量を測定し、乾燥重量を差により算出した。回収した細胞は、98.9μg/細胞百万個であった。リアクターから回収された細胞の総数は、1.6x1010細胞であった(懸濁液中の細胞の密度に基づく;やはり回収された接着した細胞のために、恐らく過小評価である)。従って、リアクター回収物の総乾燥重量は、藻類バイオマス乾燥重量1.58gであると予想される。
【0284】
懸濁液約30Lを、1ミクロンの孔の予め重量測定したポリエステルフェルトフィルター袋(sock)2枚を通して濾過し(McMaster-Carr, Atlanta)、体積の約半分を各袋に通した。孔サイズ(この生物より小さい)にも拘わらず、濾液は錆色に見え、濾液中の12Rsp藻類の存在を示した。これを濾液の顕微鏡観察により確認した。従って、濾液を遠心分離(1000xg、RT、20分)し、細胞を回収した。上清をデカンタし、溜まった残りの細胞をフィルター袋に戻して加えた。全ての細胞を含まない培地を、廃棄前にオートクレーブした。紙タオルを数枚取り替えながら、その上にフィルター袋を置き、できるだけ多くの液体を締め出した。袋の開口部を2重にした透明のプラスチックラップで覆い、輪ゴムで留めた。各袋を小型の個別のプラスチック袋に入れ、ラベルした。両方の袋をもっと大きい袋に入れ、さらに処理するまで−20℃で保存した。
【0285】
図35に示す通り、12Rspの増殖速度は、栄養物の添加に応答性であった。リン酸塩(図35A)は、硝酸塩(図35B)の約2倍の速度で消費された。しかしながら、硝酸塩の添加(+N、破線矢印;32日目)は、リン酸塩(+P、実線矢印;25&39日目)の添加よりも強く、増殖速度を回復させるように見えた。我々は、培地のリン酸塩および硝酸塩の濃度をそれらの最適レベルの20%以内(赤く囲んだ範囲)に維持することが、増殖速度に対する栄養分の限定の影響を最小限にするという仮説を立てる。結果は、培地のリン酸塩および硝酸塩の濃度をそれらの最適レベルの20%以内(図35、影をつけた範囲)に維持することが、増殖速度に対する栄養分の限定の影響を最小限にできることを示唆する。これらの細胞のGLA(C18:3n−6;約2.4%)含有量の増加は、それらが栄養のストレスを経験し始めていたことを示唆する(図36A;図36C)。
【0286】
実施例13
様々な培養容器における微細藻類の増殖
図26は、今日までに試験された様々な培養容器における株Rsp12の増殖曲線の比較を示す。容器のサイズが大きくなるにつれて増殖速度は低下し(図37A)、倍加時間(DT;表8も参照)の増加をもたらした。
表8:倍加時間
【表8】

【0287】
また、容器のサイズに伴って最初の誘導時間が長くなった(図26B)(チューブ、2日間;フラスコ、18日間;リアクター、20日間)。容器の直径を考慮にいれると(DT/√直径)、3つの容器における微細藻類の補正した倍加時間(表8;直径で補正した倍加時間)は同等である。
【0288】
より大きい容器における長い光の経路が、明確な遅い増殖の原因であると思われる。他の選択された株(表8)の倍加時間が、12Rspについて観察されたものと同じ傾向に従うと思われることは、注目に値する。従って、全ての株の増殖速度は、容器のサイズと構造によって定義でき、より低い程度で藻類の株の固有の特性によって定義できる。
【0289】
実施例14
微細藻類株12Rspの系統学的判定
株12Rspをさらに測定するために、その核およびヌクレオモルフにコードされる18SリボソームRNA遺伝子を配列決定し、分析した。
細胞培養および核酸抽出:12Rspを、22℃で、f/2−Si培地中、14h−10hの日周サイクルで増殖させた。濃い100−200mLの培養物を遠心分離により回収し、核酸抽出に付した。細胞のペレットをTris−HCl抽出バッファー(200mM Tris−HCl(pH7.5、250mM NaCl、25mM EDTA、0.5%SDS)に再懸濁し、10分間50℃でインキュベートした。サンプルを5分間遠心分離し(15,000Xg)、フェノールおよびクロロホルムを使用して水相を2回抽出した。DNAを水相からエタノール沈殿させ、最高速度の遠心分離によりペレットにした。ペレットをエタノールで洗浄し、乾燥させ、200mlのTEバッファーに再懸濁し、−20℃で保存した。
【0290】
PCR増幅、クローニングおよび配列決定:小サブユニットリボソームRNA(SSU rRNA)遺伝子を、Eppendorf Mastercycler で、Platinum High Fidelity Taq ポリメラーゼ (Invitrogen) および以下のプライマー: Cr.NM.SSU.F1: 5'-CAG TAG TCA TAT GCT TGT CTT AAG-3'(配列番号3); G07: 5'-AGC TTG ATC CTT CTG CAG GTT CAC CTA-3'(配列番号4) を使用して、PCRで増幅させた。PCRの条件には、最初の5分間の94℃の変性段階、94℃で30秒間、50℃で1分間および68℃で4分間を45サイクル、および最後の5分間の68℃での伸長が含まれた。PCR産物を0.8%アガロースクリスタルバイオレットゲルで電気泳動に付した。予想されるサイズの増幅産物(約1.8キロ塩基対)を切り出し、MinElute Gel Extraction Kit (Catalog number 28604, Qiagen, Valencia, CA) で精製した。精製した産物を、TOPO XL Cloning Kit (Invitrogen, Carlsbad, CA) を使用してクローニングした。16個のクローンを、挿入断片の存在について、M13フォワードおよびリバースプライマーを使用して、PCRでスクリーニングした(94℃3分間、45サイクルの94℃30秒間、45℃30秒間、72℃3分間)。挿入断片を含むクローン8個を、CEQ Dye Terminator Cycle Sequencing Kit (Beckman Coulter, Inc., Fullerton, Calif.) を使用して配列決定し、Beckman CEQ8000 キャピラリーDNAシークエンサーで実行した。ユニバーサル(M13)プライマーおよび内部の遺伝子特異的プライマーの組合せを使用して、挿入配列を両鎖で完全に配列解読した。
【0291】
18S rRNA遺伝子配列分析および株の決定:上記で決定したSSU rRNA遺伝子配列を、BLASTn アルゴリズムおよび BLAST ツリーウィジェットを Neighbor Joining 設定で使用して (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/)、GenBank の公開データベースに存在するものと比較した。これらの分析は、2つの別個の遺伝子断片が12Rspから増幅されたことを明らかにし、これらは、核およびヌクレオモルフにコードされる遺伝子座の両方に相当し、これらの遺伝子断片は、各々1705(配列番号1)および1822(配列番号2)ヌクレオチドのサイズであった。ヌクレオモルフの遺伝子断片は、ロドモナス・マリアナのヌクレオモルフSSU rDNA遺伝子 (GenBank Accession # X81374) と99%の同一性(1822残基中、1808)を有すると見出された。核遺伝子断片は、CCMP757コンセンサス配列中の2つの不明瞭な位置を除き、ロドモナス・マクラテ (Accession # AF508274) およびロドモナス・サリナ (Accession # EU926158) のSSUr RNA遺伝子と同一であった。
【0292】
BLASTおよび系統学的分析に基づき、株12Rspは、ロドモナス・バルチカRCC350、R.サリナCCMP1319およびロドモナス・マリアナを含むロドモナス株のクラスターに非常に近いが、同一ではないことが明らかである。図39に、拡張されたクリプト藻類のファミリーを含む系統樹のセクションにおける株12Rspの暫定的な位置を示す。
【0293】
実施例15
微細藻類から抽出した脂質組成物
微細藻類バイオマス約1.58g(乾燥重量)を含むフィルター袋2枚を、洗浄1回につき3Aバージンエタノール100mlを使用して、各々5回別々に洗浄し、藻類および残留油をそこから取り出した。
【0294】
これにより、全部で約1,000mlの溶液を得、次いで、熱プローブと組み合わせたホットプレートスターラーを使用して、それを窒素被覆下で50℃に加熱した。この条件でスターラーバーにより溶液を30分間穏やかに撹拌した。次いで、溶液を250mlまで(Brinkman 169 Vacuum Aspirator に合わせた Rotovapor R110 により)蒸発させ、アルコールの大部分を除去した。浴温度は、完全な許容し得る真空で、46−48℃で変動した。各容器間の移動中に、少量(20ml未満)のエタノールを使用して、物質を含まない前の容器を洗浄した。得られた溶液は暗緑色であり、アルコールの大部分、並びに、溶解したクロロフィルおよび油を含んだ。少量の白色沈殿があり、これは、残留した塩および藻類由来のいくつかのステロール類である可能性が高いと判定された。
【0295】
次いで、250ml(概算)の溶液を、各0.5%(重量で)の以下のものを添加した500mlのビーカーに移した:漂白粘土、活性炭および濾過助剤。この混合物をホットプレートに戻し、窒素下、60℃で30分間撹拌し、次いで、真空の補助を使用して、無灰紙で濾過した。得られた産物(今や顕著に色が明るい)を、250mlのビーカーに戻し、60℃のホットプレート/スターラーにより、そして窒素吸引により補助して、さらに減らす。体積が30mlに達したら、物質を再度、等量の酸性水(等割合の硫酸およびリン酸により、pH1.5)を含む100mlのビーカーに移した。これを60℃で、窒素被覆下、50分間加熱/撹拌し、総体積約40mlへの減少をもたらす。この溶液は、主に、暗色の沈殿および暗緑色の油膜を伴う、着色した水であると思われた。クロロフィル沈殿を含む水を除去した。油膜を25mlのビーカーに入れ、250mlの容器をエタノール10mlですすぎ、全部の移動を確実にした。アルコールを60℃で、ホットプレート/スターラー(デジタルの設定値のあるプレート、熱プローブなし)で、窒素吸引して蒸発させた。アルコールがほぼなくなったら、物質を段階的に4mlのバイアルに移し、油が完全に乾燥するまで、60℃に設定したヒートブロックに入れ、窒素で吸引した。結果は、約3mlの油であった。
【0296】
実施例16
微細藻類から調製した脂質組成物を含む食品
実施例15に従い調製した脂質組成物を、約1.8g/杯または調製ヨーグルトベースの1.0%のレベルで、ヨーグルトに添加した。油を含むヨーグルト(バッチ1)および油を含まない対照のヨーグルト(バッチ2)の処方および算出した概算の組成を、表9および10に挙げる。
表9:ヨーグルトの成分
【表9】

【0297】
表10:ヨーグルト組成物
【表10】

【0298】
ヨーグルトベース300gのバッチを、規定のヨーグルトを製造するための典型的な実験室規模の工程に従って作成する。
1. 脱脂乳および全乳の一部(81.62g)を混ぜ合わせる。
2. 乾燥成分を混ぜ合わせ、粉末を分散させるが過度な泡を作らないように十分に撹拌しながら、脱脂乳/全乳混合物に添加する。
3. ロドモナス油を残りの全乳40gに添加し、混合物を2個のハブを有する20ゲージのホモジナイズ用針に20回通すことによりホモジナイズし、油を確実に完全に乳化させる。(対照バッチには、油を含まない全乳40gを同様にホモジナイズする。)
4. ホモジナイズした油/全乳混合物を、次いで、段階2の残りの乳溶液に添加する。
5. 全ての乳混合物(ヨーグルトベース)を、80℃で1分間低温殺菌する。
6. ヨーグルトベースを42℃に冷却し、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバシルス・デルブリュッキ(Lactobacillus delbrueckii)亜種、ブルガリクス(bulgaricus)の混合物を、製造業者により記載された割合で播種する。
7. ヨーグルトベースを42℃で約7時間、pHが4.6に達し、生成物が柔らかいゲルになるまでインキュベートする。
8. ヨーグルトを4℃に冷却し、分析用に保持する。
【0299】
2日後、乳清の離水、油の分離および質感について、ヨーグルトを評価した。質感の分析は、羽根型スピンドル (スピンドル#74, 0.08 rpm) を取り付けた Brookfield, DV-III Ultra Viscometer を使用する降伏力の決定により測定する。
【0300】
油を含むヨーグルトは、僅かに低い収量であり、これは、低融点の脂肪を含むヨーグルトには予想外ではない。300−500paの範囲の収量は許容でき、10−11%無脂乳固形分で作られた加糖の市販のヨーグルト、特に、かなり穏やかな熱処理のものには一般的である。油を含むヨーグルトは、僅かな量のクリーム化を示し、(標準的なヨーグルト製造において典型的に行われるように)低温殺菌後にヨーグルトを完全にホモジナイズできないことが、恐らくそのような結果に寄与する。加えて、対照のヨーグルト(バッチ2)は、1.5%の脂肪しか含まず、これは、規定のヨーグルトのクリーム化をもたらすと予想されないレベルである。また、バッチ1のクリーム化の量は、3.2%の脂肪を含有する多くの市販の高脂肪のヨーグルトで典型的に見られるものより少ない。4℃で2日間保存した後の、離水、油の分離および質感の測定結果を、表11に示す。
【0301】
表11:ヨーグルトの離水、油の分離および質感
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量で少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物の製造方法であって、多価不飽和脂肪酸を微細藻類から抽出することを含み、ここで、
(a)SDAは、全脂肪酸の約5%ないし約50%の量であり;
(b)EPAは、全脂肪酸の約2%ないし約30%の量であり;
(c)DHAは、全脂肪酸の約2%ないし約30%の量であり;そして、場合により、
(d)GLAは、全脂肪酸の約0.1%ないし約10%の量であり;
ここで、組成物は、重量で少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含むものである、方法。
【請求項2】
微細藻類が野生型の微細藻類と比較して厚みの少ない細胞壁を有する微細藻類であり、該厚みの少ない細胞壁が微細藻類の脂質画分の抽出性および/またはバイオアベイラビリティーを改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微細藻類が、渦鞭毛藻綱、クリプト藻綱、トレボウクシア藻綱、ピングイオ藻綱およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該微細藻類が、パリエトクロリス属、ロドモナス属、ポルフィリジウム属およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該微細藻類がロドモナス・サリナである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも5%のステアリドン酸を含む組成物の製造方法であって、
(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、
(b)該培養された微細藻類から該微細藻類油を抽出すること;または、
(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量5ないし100重量%を達成すること;のいずれかを含み、
ここで、組成物は、少なくとも5%のステアリドン酸を含むものである、方法。
【請求項7】
微細藻類由来の脂肪酸を含む動物飼料添加物の製造方法であって、
(a)微細藻類を培養し、微細藻類バイオマスを産生すること;および、
(b)該微細藻類バイオマスから微細藻類油を抽出し、微細藻類油を産生すること;または、
(c)水を該微細藻類バイオマスから除去し、固体含有量5ないし100重量%の微細藻類バイオマスを産生すること;のいずれかを含み、
ここで、動物飼料添加物は、微細藻類由来の脂肪酸を含むものである、方法。
【請求項8】
脂肪酸が短鎖オメガ−3脂肪酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
重量で少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物の製造方法であって、脂肪酸を微細藻類から抽出することを含み、ここで、
(a)SDAは、全脂肪酸の約5%ないし約50%の量であり;
(b)EPAは、全脂肪酸の約2%ないし約30%の量であり;
(c)DHAは、全脂肪酸の約2%ないし約30%の量であり;そして、場合により、
(d)GLAは、全脂肪酸の約0.1%ないし約10%の量であり;
ここで、動物飼料添加物は、少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含むものである、方法。
【請求項10】
長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法であって、動物に微細藻類の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物を与えることを含み、微細藻類の多価不飽和脂肪酸は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、および/または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量5ないし100%を達成している、を含み;ここで、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物が産生されるものである、方法。
【請求項11】
長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物の産生方法であって、動物に重量で少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む動物飼料添加物を与えることを含み;動物飼料添加物は、微細藻類から抽出された多価不飽和脂肪酸を含み、ここで、(a)SDAは、全脂肪酸の約5%ないし約50%の量であり;(b)EPAは、全脂肪酸の約2%ないし約30%の量であり;(c)DHAは、全脂肪酸の約2%ないし約30%の量であり;そして、場合により、(d)GLAは、全脂肪酸の約0.1%ないし約10%の量であり;ここで、長鎖オメガ−3脂肪酸の組織含有量が増加した動物が産生されるものである、方法。
【請求項12】
動物が、魚、家禽、ブタ、ヒツジ並びに肉牛および乳牛からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
動物が、魚、家禽、ブタ、ヒツジ並びに肉牛および乳牛からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
微細藻類から抽出した重量で少なくとも8%の多価不飽和脂肪酸を含む多価不飽和脂肪酸組成物の治療的有効量を対象に投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法であって、ここで、微細藻類の脂肪酸抽出物は、
(a)全脂肪酸の約5%ないし約50%の量のSDA;
(b)全脂肪酸の約2%ないし約30%の量のEPA;
(c)全脂肪酸の約2%ないし約30%の量のDHA;および、場合により、
(d)全脂肪酸の約0.1%ないし約10%の量のGLA
を含むものである、方法。
【請求項15】
少なくとも5%のSDAを非リン脂質形態で含む組成物の治療的有効量を対象に投与することによる、それを必要としている対象における哺乳動物の疾患の処置方法であって、その組成物は、(a)培養された微細藻類バイオマスから抽出された微細藻類油、または、(b)培養された微細藻類に由来する微細藻類バイオマス、ここで、水は微細藻類バイオマスから除去され、固体含有量約5ないし100重量%を達成している、のいずれかを含むものである、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法により製造された多価不飽和脂肪酸組成物。
【請求項17】
GLAが、ルリジサ油由来のGLAをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項6に記載の方法により製造された多価不飽和脂肪酸組成物。
【請求項19】
GLAが、ルリジサ油由来のGLAをさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
(a)0.01−99.99重量%の請求項16に記載の組成物を、(b)99.99−0.01重量%の、タンパク質、炭水化物および繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分と組み合わせて含む、食品。
【請求項21】
(a)0.01−99.99重量%の請求項18に記載の組成物を、(b)99.99−0.01重量%の、タンパク質、炭水化物および繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分と組み合わせて含む、食品。
【請求項22】
シリアル、押出されたバー、食品のトッピング、アイスクリーム、飲料、飴、スナックミックスまたは焼いた製品の形態である、請求項20に記載の食品。
【請求項23】
シリアル、押出されたバー、食品のトッピング、アイスクリーム、飲料、飴、スナックミックスまたは焼いた製品の形態である、請求項21に記載の食品。
【請求項24】
請求項7に記載の方法により製造された動物飼料添加物。
【請求項25】
請求項9に記載の方法により製造された動物飼料添加物。
【請求項26】
請求項24に記載の動物飼料添加物を動物に与えることにより産生された、動物製品。
【請求項27】
請求項25に記載の動物飼料添加物を動物に与えることにより産生された、動物製品。
【請求項28】
卵、乳または肉を含む、請求項26に記載の動物製品。
【請求項29】
卵、乳または肉を含む、請求項27に記載の動物製品。
【請求項30】
請求項10に記載の方法により産生された動物。
【請求項31】
請求項11に記載の方法により産生された動物。
【請求項32】
請求項30に記載の動物から産生された動物製品。
【請求項33】
請求項31に記載の動物から産生された動物製品。
【請求項34】
1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法であって、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類バイオマスを少なくとも1の対数増殖期の後に回収する、方法。
【請求項35】
微細藻類がロドモナスである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
微細藻類が、Provasoli-Guillard National Center for Culture of Marine Phytoplankton (CCMP) (West Boothbay Harbor, ME) に寄託された株であり、株番号が、CCMP272、CCMP273、CCMP275、CCMP318、CCMP322、CCMP323、CCMP324、CCMP739、CCMP740、CCMP741、CCMP742、CCMP743、CCMP744、CCMP746、CCMP747、CCMP748、CCMP749、CCMP750、CCMP751、CCMP752、CCMP753、CCMP754、CCMP755、CCMP756、CCMP757、CCMP758、CCMP759、CCMP760、CCMP761、CCMP762、CCMP763、CCMP766、CCMP767、CCMP768、CCMP1170、CCMP1171、CCMP1178、CCMP1319、CCMP1419、CCMP1420、CCMP1533、CCMP1749、CCMP2005およびCCMP2045からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
微細藻類が、CCMP757で寄託された株である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
微細藻類が、配列番号1または配列番号2のものを含む小サブユニットリボソームRNA(SSU rRNA)の遺伝子配列を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
1種またはそれ以上のPUFAが、オメガ−3脂肪酸、オメガ−6脂肪酸またはその両方である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
オメガ−3脂肪酸がステアリドン酸(SDA)である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
回収時のSDAが全脂肪酸の少なくとも約5%である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
オメガ−6脂肪酸がγ−リノレン酸(GLA)である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
回収時のGLAが全脂肪酸の約5%未満である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法であって、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養することを含み、ここで、微細藻類バイオマスを、微細藻類の少なくとも1の対数増殖期の後に回収し、ここで、オメガ−3脂肪酸はステアリドン酸(SDA)であり、オメガ−6脂肪酸はγ−リノレン酸(GLA)であり、回収時のSDAは、全脂肪酸の少なくとも約30%であり、回収時のGLAは、全脂肪酸の約1%未満である、方法。
【請求項45】
培養培地が、誘導期に第1のリン濃度を、そして、回収時の対数増殖期に第2のリン濃度を含み、ここで、第2のリン濃度は、第1のリン濃度の約20%以下である、請求項34または請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項34または請求項44に記載の方法により製造された微細藻類バイオマス。
【請求項47】
請求項46に記載の微細藻類バイオマスから製造された脂質組成物。
【請求項48】
請求項46に記載の微細藻類バイオマスまたはそのバイオマスのSDA含有画分を含む食品。
【請求項49】
請求項47に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む食品。
【請求項50】
微細藻類バイオマスから製造された脂質組成物であって、微細藻類バイオマスからの抽出の際に、
(a)全脂肪酸の少なくとも10%の総SDA量の微細藻類に産生されたSDA;および、
(b)全脂肪酸の約5%未満の総GLA量の微細藻類に産生されたGLA
を含むものである、脂質組成物。
【請求項51】
請求項50に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む食品。
【請求項52】
全脂肪酸の少なくとも30重量%をオメガ−3脂肪酸として有する脂質を含む微細藻類バイオマス。
【請求項53】
全脂肪酸の少なくとも40重量%をオメガ−3およびオメガ−6脂肪酸として有する脂質を含む微細藻類バイオマス。
【請求項54】
バイオマスの乾燥重量の少なくとも10%のオメガ−3脂肪酸含有量を含む微細藻類バイオマス。
【請求項55】
食品が飼料または乳製品である、請求項48、請求項49または請求項51のいずれかに記載の食品。
【請求項56】
請求項47または請求項50に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む医薬組成物。
【請求項57】
請求項47または請求項50に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む栄養補助食品。
【請求項58】
1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスの製造方法であって、1種またはそれ以上のPUFAを含む微細藻類バイオマスを提供するのに十分な培養条件下で微細藻類を培養し、微細藻類の負の増殖加速期または定常期で微細藻類バイオマスを回収することを含む、方法。
【請求項59】
微細藻類が、Provasoli-Guillard National Center for Culture of Marine Phytoplankton (CCMP) (West Boothbay Harbor, ME) に株番号CCMP757で寄託された株である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
微細藻類が、配列番号1または配列番号2のものを含む小サブユニットリボソームRNA(SSU rRNA)の遺伝子配列を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
1種またはそれ以上のPUFAが、オメガ−3脂肪酸、オメガ−6脂肪酸またはその両方である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
オメガ−3脂肪酸がステアリドン酸(SDA)であり、オメガ−6脂肪酸がγ−リノレン酸(GLA)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
回収時のSDAが全脂肪酸の少なくとも約5%であり、回収時のGLAが全脂肪酸の少なくとも約5%である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項58に記載の方法により製造された微細藻類バイオマス。
【請求項65】
請求項64に記載の微細藻類バイオマスから製造された脂質組成物。
【請求項66】
請求項64に記載の微細藻類バイオマスまたはそのバイオマスのSDA含有画分を含む食品。
【請求項67】
請求項65に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む食品。
【請求項68】
微細藻類バイオマスから製造された脂質組成物であって、微細藻類バイオマスからの抽出の際に、
(a)全脂肪酸の少なくとも5%の総SDA量の微細藻類に産生されたSDA;および、
(b)全脂肪酸の少なくとも0.1%の総GLA量の微細藻類に産生されたGLA
を含む、脂質組成物。
【請求項69】
請求項68に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む食品。
【請求項70】
食品が飼料または乳製品である、請求項66、請求項67または請求項69のいずれかに記載の食品。
【請求項71】
請求項65または請求項68に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む医薬組成物。
【請求項72】
請求項65または請求項68に記載の脂質組成物またはその脂質組成物のSDA含有画分を含む栄養補助食品。
【請求項73】
対象に請求項47または請求項65に記載の脂質組成物を投与することを含む、対象の血漿トリグリセリドを低下させる方法。
【請求項74】
対象が高トリグリセリド血症の対象である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
対象に請求項47または請求項65に記載の脂質組成物を投与することを含む、対象におけるIgE−に誘導される好塩基球からのロイコトリエン放出を低下させる方法。
【請求項76】
対象が喘息の対象である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
請求項47または請求項65の脂質組成物を含むキット。
【請求項78】
単離されたATCC番号PTA−9989のロドモナス株の微細藻類。
【請求項79】
請求項78に記載の単離されたロドモナスの生物学的に純粋な培養物。
【請求項80】
CCMP757の生物学的に純粋な培養物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27−1】
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【図27−2】
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【図28−1】
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【図28−2】
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【図29−1】
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【図29−2】
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【図30−1】
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【図30−2】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図35】
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【図36−1】
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【図36−2】
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【図36−3】
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【図36−4】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2012−525846(P2012−525846A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509904(P2012−509904)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/033569
【国際公開番号】WO2010/129565
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(511268661)ウェイク・フォレスト・ユニバーシティー・スクール・オブ・メディシン (1)
【氏名又は名称原語表記】WAKE FOREST UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE
【Fターム(参考)】