説明

微量成分分析装置及び微量成分分析方法

【課題】 粒子状物質の内部に含まれる成分の分析を良好に行うことができる微量成分分析装置及び微量成分分析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 微量成分分析装置1を、チャンバー2内に、粒子状物質のイオン化が行われるイオン化部3が設けられた構成とする。チャンバー2の一端に、図示せぬ粒子状物質供給源に接続される供給路11を接続し、この供給路11上に、前室12を設ける。前室12の内部を、粒子状物質へのレーザー光の照射が行われる成分抽出部13とする。イオン化部3にパルス状のレーザー光を供給するイオン化用レーザー発振装置16と、成分抽出部13にパルス状のレーザー光を供給する成分引き出し用レーザー発振装置17とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量成分分析装置及び微量成分分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微量成分の分析装置としては、質量分析装置等、測定試料である粒子状物質をイオン化させたのちに分析を行うものがある。このような質量分析装置としては、例えば、後記の特許文献1に記載されているような、飛行時間型質量分析計(TOFMS:Time-of-flight mass spectrometry)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−288602号公報(段落[0005],及び図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、測定試料となる粒子状物質は、全体が均一な組成となっているものばかりではなく、分析を行いたい成分が粒子状物質の内部に多く含まれているものもある。
このような粒子状物質は、イオン化する際に、表面の成分しかイオン化されず、肝心の内部の成分がイオン化されにくいので、内部の成分を効率よく分析することができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、粒子状物質の内部に含まれる成分の分析を良好に行うことができる微量成分分析装置及び微量成分分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の微量成分分析装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる微量成分分析装置は、粒子状物質中の成分をイオン化させたのちに分析を行う微量成分分析装置であって、前記粒子状物質が送り込まれてその成分のイオン化が行われるイオン化部と、該イオン化部への前記粒子状物質の供給方向上流側に設けられて、前記粒子状物質へのレーザー光の照射が行われる成分抽出部とを有していることを特徴とする。
【0007】
本願発明者らは、粒子状物質の表面にレーザー光を照射することで、粒子状物質の内部にあった成分が、粒子状物質の表面に引き出されることを発見した。
このような現象が生じる理由は不明だが、おそらく、レーザーが照射されることによって粒子状物質に熱や衝撃が加わり、これによって内部にあった成分が表面に引き出されているものと思われる。本願発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
本願発明にかかる微量成分分析装置では、上記の構成を採用したことにより、イオン化部の上流に設けられた成分抽出部にて、イオン化部に送り込まれる前の粒子状物質に、レーザー光が照射される。すなわち、粒子状物質は、内部にあった成分が表面に引き出されたのちに、イオン化部に送り込まれる。
これにより、粒子状物質内部にあって従来イオン化されにくかった成分を容易にイオン化させて分析にかけることができる。
ここで、この構成は、例えば質量分析装置等に適用されるものである。
【0008】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項1記載の微量成分分析装置であって、前記イオン化部で測定試料にレーザー光を照射してイオン化させるレーザーイオン化TOFMSであることを特徴とする。
【0009】
このように構成される微量成分分析装置では、粒子状物質は、まず成分抽出部でレーザー光を照射されて、内部にあった成分が表面に引き出された状態で、イオン化部にてレーザー光が照射されて、表面の成分がイオン化される。
すなわち、この微量成分分析装置では、イオン化部で、粒子状物質においてイオン化されにくかった成分を速やかにイオン化することができるので、この成分に、レーザー光照射による損傷が生じにくい。
【0010】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項1または2に記載の微量成分分析装置であって、前記イオン化部がチャンバー内に設けられており、前記成分抽出部が、前記チャンバー外に設けられていることを特徴とする。
【0011】
このように構成される微量成分分析装置は、成分抽出部がチャンバー外に設けられているので、チャンバー内の環境に左右されることなく、安定して粒子状物質にレーザー光を照射することが可能である。
例えば、微量成分分析装置が質量分析装置である場合、イオン化部が設けられるチャンバー内では粒子状物質の速度が非常に速い。このため、成分抽出部をチャンバー内に設けた場合には、成分抽出部でレーザー光を照射しても、成分抽出部を通過する全ての粒子状物質に十分にレーザー光を照射することができない可能性がある。しかし、このように成分抽出部をチャンバー外に設けることで、粒子状物質の速度が遅い状態で粒子状物質にレーザー光を照射することができ、全ての粒子状物質に十分にレーザー光を照射することができる。
【0012】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項3記載の微量成分分析装置であって、前記チャンバー内への前記粒子状物質の供給路が直線部を有していて、該直線部内が前記成分抽出部とされており、該成分抽出部には、前記供給路に沿った方向にレーザー光が照射されることを特徴とする。
【0013】
このように構成される微量成分分析装置では、供給路の直線部に沿ってレーザー光が照射される。供給路内を流通する粒子状物質は、当然ながら供給路に沿って移動しているので、少なくとも直線部を通る間は、レーザー光が当たることとなる。すなわち、供給路を流通する粒子状物質には、確実にレーザー光が照射される。
また、供給路の内壁面に付着した粒子状物質にレーザー光が照射されることとなるので、この粒子状物質が内壁面からはがされて、イオン化部に送り込まれる。
【0014】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、前記チャンバーへの前記粒子状物質の供給路上に、該供給路内の前記粒子状物質を一旦濃縮する濃縮装置が設けられており、前記成分抽出部が、前記供給路上の、前記濃縮装置の上流側に設けられていることを特徴とする。
【0015】
このように構成される微量成分分析装置では、粒子状物質が濃縮器によって濃縮される前の分散した段階で粒子状物質へのレーザー光の照射が行われるので、粒子状物質全体に効果的にレーザー光を照射して、内部の成分を効果的に表面に引き出すことが可能である。
【0016】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項2に記載の微量成分分析装置であって、前記成分抽出部が、前記チャンバー内に設けられており、該成分抽出部でのレーザー光の照射タイミングと、前記イオン化部でのレーザー光の照射タイミングとを制御するタイミング制御装置が設けられていることを特徴とする。
【0017】
このように構成される微量成分分析装置では、成分抽出部でのレーザー光の照射タイミングと、イオン化部でのレーザー光の照射タイミングとを、タイミング調整装置によって制御することができる。
例えば、イオン化部によるレーザー光の照射が、成分抽出部でレーザー光を照射された粒子状物質がイオン化部に進入した時点で行われるよう、タイミング調整装置によってレーザー光の照射タイミングを設定することで、イオン化部でイオン化される粒子状物質の大部分を、内部の成分が表面に引き出された状態とすることが可能である。
これにより、例えば、微量成分分析装置が質量分析装置であって、チャンバー内での粒子状物質の速度が非常に速い場合にも、内部の成分が表面に引き出された粒子状物質を効果的にイオン化することが可能である。
【0018】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項2から6のいずれかに記載の微量成分分析装置であって、前記成分抽出部で用いられるレーザー光が、前記イオン化部で用いられるレーザー光よりも、長波長または低強度とされていることを特徴とする。
【0019】
このように構成される微量成分分析装置では、イオン化部では測定対象となる粒子状物質の種類や大きさに適した波長や強度のレーザー光を用いつつ、成分抽出部では、より長波長または低強度のレーザー光によって粒子状物質内の成分の引き出し処理が行われる。
すなわち、成分抽出部で用いられるレーザー光は長波長または低強度であるため、成分抽出部でのレーザー光の照射によって粒子状物質の成分が分解されたり、変質するなどしにくいので、イオン化部に良好な状態の粒子状物質を供給することが可能である。
【0020】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項2から7のいずれかに記載の微量成分分析装置であって、一台のレーザー発振装置と、該レーザー発振装置の出力するレーザー光を二系統に分配する分配器とを有し、前記成分抽出部及び前記イオン化部では、それぞれ前記分配器によって分配されたレーザー光のうちの一方が照射される構成とされていることを特徴とする。
【0021】
この微量成分分析装置では、イオン化部と成分抽出部とを有する構成としながら、これらのレーザー光源となるレーザー発振装置(一般に、非常に高価である)は、一台だけ設ければよいので、製造コストを著しく低減することができる。
【0022】
また、本発明にかかる微量成分分析装置は、請求項8に記載の微量成分分析装置であって、前記レーザー発振装置の出力するレーザー光のうち、前記成分抽出部で照射されるレーザー光を、前記イオン化部に供給されるレーザー光よりも長波長または低強度に変換する変換装置が設けられていることを特徴とする。
【0023】
このように構成される微量成分分析装置では、レーザー発振装置の設置数を増やすことなく、イオン化部と成分抽出部とで、波長または強度の異なるレーザー光を照射することが可能である。
ここで、変換装置としては、レーザー光の波長を短くする装置、波長を長くする装置、レーザー光の強度を高める装置、及び強度を弱める装置とのうちのいずれを用いてもよい。
【0024】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、粒子状物質中の成分をイオン化させたのちに分析を行う微量成分分析方法であって、前記粒子状物質が送り込まれて該粒子状物質のイオン化が行われるイオン化部の、前記イオンの供給方向上流側で、前記粒子状物質へのレーザー光照射を行うことを特徴とする。
【0025】
この微量成分分析方法では、イオン化部の上流で、イオン化部に送り込まれる前の粒子状物質に、レーザー光を照射する。すなわち、粒子状物質は、内部にあった成分が表面に引き出されたのちに、イオン化部に送り込まれる。
これにより、粒子状物質内部にあって従来イオン化されにくかった成分を容易にイオン化させて分析にかけることができる。
【0026】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、請求項10に記載の微量成分分析方法であって、前記イオン化部で前記粒子状物質にレーザー光を照射してイオン化させるレーザーイオン化TOFMSによる微量成分分析に適用されることを特徴とする。
【0027】
この微量成分分析方法では、粒子状物質は、まず成分抽出部でレーザー光を照射されて、内部にあった成分が表面に引き出された状態で、イオン化部にてレーザー光が照射されて、表面の成分がイオン化される。
すなわち、この微量成分分析方法では、粒子状物質においてイオン化されにくかった成分を速やかにイオン化することができるので、この成分に、レーザー光照射による損傷が生じにくい。
【0028】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、請求項10または11に記載の微量成分分析方法であって、前記イオン化部がチャンバー内に設けられている分析装置を用いた微量成分分析に適用される請求項10または11に記載の微量成分分析方法であって、前記チャンバー外で前記粒子状物質に前記レーザー光を照射することを特徴とする。
【0029】
この微量成分分析装置は、チャンバー外で粒子状物質にレーザー光を照射するので、チャンバー内の環境に左右されることなく、安定して粒子状物質にレーザー光を照射することが可能である。
【0030】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、請求項11または12に記載の微量成分分析方法であって、前記イオン化部への前記粒子状物質の供給路の一部に直線部を設けて、該直線部内で、供給路に沿った方向にレーザー光を照射することを特徴とする。
【0031】
この微量成分分析方法では、供給路の直線部内で、供給路に沿ってレーザー光を照射するので、供給路内を流通する粒子状物質に、確実にレーザー光が照射される。
また、供給路の内壁面に付着した粒子状物質にレーザー光が照射されることとなるので、この粒子状物質が内壁面からはがされて、イオン化部に送り込まれる。
【0032】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、前記イオン化部への前記粒子状物質の供給路上に、該供給路内の前記粒子状物質を一旦濃縮する濃縮装置が設けられている分析装置を用いた微量成分分析に適用される請求項10から13に記載の微量成分分析方法であって、前記供給路上の、前記濃縮装置の上流側で前記粒子状物質へのレーザー光の照射を行うことを特徴とする。
【0033】
この微量成分分析方法では、粒子状物質が濃縮器によって濃縮される前の分散した段階で粒子状物質にレーザー光の照射を行うので、粒子状物質全体に効果的にレーザー光を照射して、内部の成分を効果的に表面に引き出すことが可能である。
【0034】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、前記イオン化部がチャンバー内に設けられている分析装置を用いた微量成分分析に適用される請求項11に記載の微量成分分析方法であって、前記イオン化部でのレーザー光の照射を、該イオン化部の上流側でレーザー光を照射された粒子状物質が前記イオン化部に進入した時点で行うことを特徴とする。
【0035】
この微量成分分析方法では、イオン化部でイオン化される粒子状物質の大部分を、内部の成分が表面に引き出された状態とすることが可能である。
これにより、例えば、微量成分分析装置が質量分析装置であって、チャンバー内での粒子状物質の速度が非常に速い場合にも、内部の成分が表面に引き出された粒子状物質を効果的にイオン化することが可能である。
【0036】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、請求項11から15のいずれかに記載の微量成分分析方法であって、前記イオン化部の上流側では、前記イオン化部で照射するレーザー光よりも、長波長または低強度のレーザー光を照射することを特徴とする。
【0037】
この微量成分分析方法では、イオン化部で測定対象となる粒子状物質の種類や大きさに適した波長や強度のレーザー光を用いつつ、成分抽出部では、より長波長または低強度のレーザー光によって粒子状物質内の成分の引き出し処理を行う。
すなわち、粒子状物質内の成分の引き出し処理に用いられるレーザー光は長波長または低強度であるため、この処理で行うレーザー光の照射によって粒子状物質の成分が分解されたり、変質するなどしにくいので、イオン化部に良好な状態の粒子状物質を供給することが可能である。
【0038】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、請求項15または16に記載の微量成分分析方法であって、一台のレーザー発振装置の出力するレーザー光を二系統に分配して、一方の系統を前記イオン化部でのレーザー光の照射に用い、他方の系統を前記イオン化部の上流側でのレーザー光の照射に用いることを特徴とする。
【0039】
この微量成分分析方法では、一台のレーザー発振装置を用いて、イオン化部とイオン化部の上流とでレーザーの照射を行うので、分析にかかるコストを著しく低減することができる。
【0040】
また、本発明にかかる微量成分分析方法は、請求項17に記載の微量成分分析方法であって、レーザー光の波長または強度を変換する変換装置を用いて、前記レーザー発振装置の出力するレーザー光のうち、前記イオン化部の上流側で照射されるレーザー光を、前記イオン化部で照射されるレーザー光よりも長波長または低強度に変換することを特徴とする。
【0041】
この微量成分分析方法では、レーザー発振装置の設置数を増やすことなく、イオン化部と成分抽出部とで、波長または強度の異なるレーザー光を照射することが可能である。
【発明の効果】
【0042】
本発明にかかる微量成分分析装置及び微量成分分析方法によれば、測定試料である粒子状物質内部の成分を表面に引き出した状態で粒子状物質のイオン化が行われるので、従来は効率的な測定が困難であった粒子状物質内部の成分の測定を、効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
本実施形態にかかる微量成分分析装置1は、チャンバー2内で粒子状物質中の成分をイオン化させたのちに分析を行う微量成分分析装置である。
具体的には、微量成分分析装置1は、チャンバー2内に、粒子状物質のイオン化が行われるイオン化部3が設けられて、このイオン化部3で測定試料である粒子状物質にレーザー光を照射してイオン化させるレーザーイオン化TOFMSである。
【0044】
以下、この微量成分分析装置1の詳細な構成について説明する。
微量成分分析装置1は、筒状のチャンバー2と、チャンバー2内でチャンバー2の一端側に設けられるイオン化部3と、イオン化部3でイオン化された成分をチャンバー2の他端側に向けて加速するイオン加速器4と、チャンバー2内の他端に設けられて、イオン化された成分を検出する検出器5とを有している。
【0045】
チャンバー2には、図示せぬ排気装置が接続されており、チャンバー2内を真空引きすることができるようになっている。また、チャンバー2には、図示しないシースガス供給源が接続されており、チャンバー2内にシースガスが供給されるようになっている。
【0046】
チャンバー2の一端には、図示せぬ粒子状物質供給源に接続される供給路11が接続されており、この供給路11上には、前室12が設けられている。
前室12の内部は、粒子状物質へのレーザー光の照射が行われる成分抽出部13とされている。
【0047】
また、微量成分分析装置1には、イオン化部3にパルス状のレーザー光を供給するイオン化用レーザー発振装置16と、成分抽出部13にパルス状のレーザー光を供給する成分引き出し用レーザー発振装置17とが設けられている。
ここで、チャンバー2には、イオン化部3に対向する領域に、窓Wが設けられており、この窓Wを通じて、チャンバー2外にあるイオン化用レーザー発振装置16のレーザー光がイオン化部3内に取り入れられるようになっている。同様に、前室12には、成分抽出部13に対向する領域に、窓Wが設けられており、この窓Wを通じて、前室12外にある成分引き出し用レーザー発振装置17のレーザー光が成分抽出部13内に取り入れられるようになっている。
【0048】
イオン化部3では、測定対象となる粒子状物質の種類や大きさに応じて、イオン化に最適な波長や強度、パルス幅のレーザー光が照射されるようになっている。
一方、成分抽出部13では、イオン化部3で照射されるレーザー光より長波長または低強度のレーザー光が照射されるようになっている。成分抽出部13で照射されるレーザー光は、測定対象となる粒子状物質の成分が分解したり変質したりすることのないよう、波長が500nm以上、好ましくは1000〜3000nmの範囲内とされる。
また、同様の理由から、成分抽出部13で照射されるレーザー光の強度は、1013W/m以下、好ましくは1012W/m程度とされる。
同様に、成分抽出部13で照射されるレーザー光のパルス幅は、1μs以下とすることが好ましい。
【0049】
本実施の形態では、成分抽出部13で照射されるレーザー光の波長は、1064nmとされる(すなわち、成分引き出し用レーザー発振装置17として、YAGレーザー装置を用いている)。また、その強度は5×1011W/m、パルス幅0.08μsとされている。
【0050】
以下、このように構成される微量成分分析装置1による微量成分分析方法について説明する。
まず、粒子状物質供給源から、測定試料である粒子状物質を供給路11内に供給する。供給路11内に供給された粒子状物質は、供給路11上に設けられた前室12内(すなわち成分抽出部13)を通過して、チャンバー2内に送り込まれる。
【0051】
ここで、成分抽出部13では、前室12内を通過する粒子状物質に、成分引き出し用レーザー発振装置16から供給された成分引き出し用レーザー光が照射される。
このように粒子状物質の表面にレーザー光を照射することで、粒子状物質の内部にあった成分が、粒子状物質の表面に引き出される。また、成分抽出部で照射されるレーザー光はパルス状のレーザー光であるので、粒子状物質に長時間連続してレーザー光が当たることがなく、粒子状物質の成分は、ほとんど破壊されない。
【0052】
そして、チャンバー2の一端側からチャンバー2内に送り込まれた粒子状物質は、イオン化部3にてイオン化用レーザー発振装置16のレーザー光が照射されて、その成分がイオン化される。
この際、粒子状物質は、内部にあった成分が表面に引き出されているので、内部にあった成分が効果的にイオン化される。
【0053】
このようにしてイオン化された成分は、イオン加速器4によって加速されて、チャンバー2の他端側に送出される。
チャンバー2の他端では、検出器5によってイオン化された成分が受けられて、その到着が検出される。
そして、検出器5に受けられた成分が、イオン化部3を出発して検出器5に到着するまでに要した時間が求められて、この時間から、成分の質量が算出される。
【0054】
本実施形態にかかる微量成分分析装置1では、上記のように、イオン化部3の上流に設けられた成分抽出部13にて、イオン化部3に送り込まれる前の粒子状物質に、レーザー光が照射される。すなわち、粒子状物質は、内部にあった成分が表面に引き出されたのちに、イオン化部3に送り込まれる。
これにより、この微量成分分析装置1では、粒子状物質内部にあって従来イオン化されにくかった成分を容易にイオン化させて分析にかけることができ、良好な分析を行うことが可能である。
【0055】
また、粒子状物質は、まず成分抽出部13でレーザー光を照射されて、内部にあった成分が表面に引き出された状態で、イオン化部3にてレーザー光が照射されて、表面の成分がイオン化される。
すなわち、イオン化部3では、粒子状物質においてイオン化されにくかった内部の成分が速やかにイオン化されるので、この成分に、レーザー光照射による損傷が生じにくい。
【0056】
また、この微量成分分析装置1では、イオン化部3では測定対象となる粒子状物質の種類や大きさに適した波長や強度のレーザー光を用いつつ、成分抽出部13では、より長波長または低強度のレーザー光によって粒子状物質内の成分の引き出し処理が行われる。
すなわち、成分抽出部13で用いられるレーザー光は長波長または低強度であるため、成分抽出部13でのレーザー光の照射によって粒子状物質の成分が分解されたり、変質するなどしにくいので、イオン化部3に良好な状態の粒子状物質を供給することが可能である。
これにより、粒子状物質の成分の良好な分析を行うことができる。
【0057】
さらに、この微量成分分析装置1は、成分抽出部13がチャンバー2外に設けられているので、チャンバー2内の環境に左右されることなく、安定して粒子状物質にレーザー光を照射することが可能である。
すなわち、イオン化部3が設けられるチャンバー2内では粒子状物質の速度が非常に速く、成分抽出部13をチャンバー内にそのまま設けただけでは、成分抽出部13でレーザー光を照射しても、成分抽出部13を通過する全ての粒子状物質に十分にレーザー光を照射することができない可能性がある。しかし、このように成分抽出部13をチャンバー2外に設けることで、粒子状物質の速度が遅い状態で粒子状物質にレーザー光を照射することができ、全ての粒子状物質に十分にレーザー光を照射することができる。
【0058】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図2を用いて説明する。
本実施の形態にかかる微量成分分析装置21は、第一実施形態で示した微量成分分析装置1において、成分抽出部の設置形態を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態で示した微量成分分析装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0059】
微量成分分析装置21は、チャンバー2への粒子状物質の供給経路として、前室12が設けられる供給路11の代わりに、直線部22aを有する供給路22を設けている。
直線部22aは、供給路22のさらに上流側の部分に対して大きな角度をもって接続されている。本実施形態では、この角度を90°としている。
また、直線部22aの上流側の端部には、窓Wが設けられており、この窓Wを通じて、成分引き出し用レーザー発振器17から、直線部22aに平行にして、レーザー光が照射されるようになっている。
すなわち、この微量成分分析装置21では、直線部22a内が、成分抽出部23とされている。
【0060】
このように構成される微量成分分析装置21では、供給路22の直線部22aに沿ってレーザー光が照射される。供給路22内を流通する粒子状物質は、当然ながら供給路22に沿って移動しているので、少なくとも直線部22aを通る間は、レーザー光が当たることとなる。すなわち、供給路22を流通する粒子状物質には、確実にレーザー光が照射されることとなり、イオン化部3に供給されるほとんど全ての粒子状物質について内部の成分の引き出しを行うことができる。
また、この構成では、供給路22の内壁面に付着した粒子状物質にレーザー光が照射されることとなるので、この粒子状物質が内壁面からはがされて、イオン化部に送り込まれる。すなわち、供給路22内に供給した粒子状物質の、供給路22内でのロスを最小限にすることができるので、測定試料の使用量を低減することができる。
【0061】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施の形態にかかる微量成分分析装置26は、第一実施形態で示した微量成分分析装置1において、成分抽出部の設置形態を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態で示した微量成分分析装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0062】
ここで、従来より、レーザーイオン化TOFMSのチャンバーへの測定試料の供給路上には、供給路内に供給された粒子状物質を一旦濃縮する濃縮装置が設けられている。
本実施形態に係る分析装置26では、チャンバー2への粒子状物質の供給路11に濃縮装置27を設けるとともに、前室12を、供給路11において濃縮装置27よりも上流側に設けている。
すなわち、成分抽出部13は、濃縮装置27の上流側に設けられている。
【0063】
このように構成される微量成分分析装置26では、粒子状物質が濃縮器27によって濃縮される前の分散した段階で粒子状物質へのレーザー光の照射が行われるので、粒子状物質全体に効果的にレーザー光を照射して、内部の成分を効果的に表面に引き出すことが可能である。
【0064】
ここで、本実施の形態では、供給路を、前室12が設けられた供給路11によって構成としたが、これに限られることなく、第二実施形態で示した、直線部22aを有する供給路22によって構成し、直線部22aを、濃縮器27よりも上流側に設けた構成としてもよい。
【0065】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施の形態にかかる微量成分分析装置31は、第一実施形態で示した微量成分分析装置1において、成分抽出部の設置形態を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態で示した微量成分分析装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態にかかる微量成分分析装置31は、供給路11の代わりに、前室12や成分抽出部13のない供給路32を用い、チャンバー2内において、イオン化部3の上流側に、成分抽出部33を設けたものである。
ここで、チャンバー2には、成分抽出部33に対向する領域に、窓Wが設けられており、この窓Wを通じて、チャンバー2外にある成分引き出し用レーザー発振装置17のレーザー光が成分抽出部33内に取り入れられるようになっている。
さらに、微量成分分析装置31には、イオン化用レーザー発信装置16及び成分引き出し用レーザー発振装置17に、これらのレーザー光照射タイミング(パルスの同期調整)を行うタイミング制御装置34が設けられている。
【0067】
このように構成される微量成分分析装置31では、成分抽出部33でのレーザー光の照射タイミングと、イオン化部3でのレーザー光の照射タイミングとを、タイミング調整装置34によって制御することができる。
具体的には、イオン化部3によるレーザー光の照射が、成分抽出部33でレーザー光を照射された粒子状物質がイオン化部3に進入した時点で行われるよう、タイミング調整装置34によってイオン化用レーザー発信装置16及び成分引き出し用レーザー発振装置17の照射タイミングを設定する。
これにより、イオン化部3でイオン化される粒子状物質の大部分を、内部の成分が表面に引き出された状態とすることが可能となるので、粒子状物質の内部の成分を効果的にイオン化させて、良好な分析を行うことができる。
【0068】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施の形態にかかる微量成分分析装置36は、第四実施形態で示した微量成分分析装置31において、イオン化用レーザー発振装置及び成分引き出し用レーザー発振装置の形態を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第四実施形態で示した微量成分分析装置31と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施形態にかかる微量成分分析装置36は、イオン化用レーザー発振装置16及び成分引き出し用レーザー発振装置17を設ける代わりに、一台のレーザー発振装置37を設置し、このレーザー発振装置37の出力するレーザー光を二系統に分配する分配器38を設けて、成分抽出部33及びイオン化部3では、それぞれ分配器38によって分配されたレーザー光のうちの一方が照射される構成とされている。
【0070】
ここで、分配器38は、例えば、レーザー発振装置37からのレーザー光に対して傾斜させて設けられて、レーザー光の一部のみを通過させ、残りは反射させるハーフミラー38aと、ハーフミラー38aから反射されたレーザー光を再び反射して方向を変換するミラー38b等によって構成されるものである。
【0071】
また、この微量成分分析装置36は、レーザー発振装置37の出力するレーザー光のうち、成分抽出部33で照射されるレーザー光を、イオン化部3に供給されるレーザー光よりも長波長または低強度に変換する変換装置39を有している。
この変換装置39としては、例えば非線形光学結晶KDP(KHPO)等の波長変換素子を用いた光パラメトリック増幅器等が用いられる。
【0072】
また、この微量成分分析装置36においても、イオン化部3で照射されるレーザー光の照射タイミングと、成分抽出部33で照射されるレーザー光の照射タイミングとの調整を行うタイミング制御装置40が設けられている。
このタイミング制御装置40は、レーザー発振装置37から同時刻に発射されて分配器38によって二系統に分配されたレーザー光のうち、イオン化部3に分配されるレーザー光を遅らせて、イオン化部3へのレーザー光の到着を、成分抽出部33へのレーザー光の到着よりも所定時間遅らせるものである。ここでいう所定時間とは、成分抽出部33に供給された微粒子状物質がイオン化部3に到着するまでに要する時間である。
【0073】
タイミング制御装置40は、例えば、イオン化部3に分配されるレーザー光の経路上に設けられる複数のミラーによって構成されるものであって、複数のミラーによってイオン化部3を反射させて、イオン化部3に分配されるレーザー光と成分抽出部33に分配されるレーザー光との間に光路差を作り出すことによって、イオン化部3に分配されるレーザー光を遅延させる構成とされる。
【0074】
この微量成分分析装置36では、このように一台のレーザー発振装置37から発せられるレーザー光を、分配器38によってイオン化部3と成分抽出部33に分配しているので、イオン化部3と成分抽出部33とを有する構成としながら、これらのレーザー光源となるレーザー発振装置37は、一台だけ設ければよいので、製造コストを著しく低減することができる。
【0075】
また、この微量成分分析装置36は、このように一台のレーザー発振装置37から発せられて分配器38によって分配されたレーザー光のうちの一方を、変換装置39によって他方とは波長または強度が異なるレーザー光に変換して用いるので、レーザー発振装置37の設置数を増やすことなく、イオン化部3と成分抽出部33とで、波長または強度の異なるレーザー光を照射することが可能である。
【実施例】
【0076】
ここで、本発明の第一実施形態で示した微量成分分析装置1(以下「実施例装置」という)と、この微量成分分析装置1において成分抽出部13を省いた構成の微量成分分析装置(以下「比較例装置)という)を用いて、実際に粒子状物質の分析を行った。以下にその分析結果を示す。なお、この試験では、試料として、タバコの煙を用いた。
【0077】
実施例装置による計測結果を、図6のグラフに示し、比較例装置による計測結果を、図7のグラフに示す。また、図6のグラフの分析結果を、図8(a)の表及び図8(b)のグラフに示す。なお、図6〜図8のグラフにおいて、横軸は質量数、縦軸は6000データ積算時の検出器5による信号カウント値である
【0078】
図6と図7とを比較してわかるように、実施例装置の計測結果は、比較例装置の計測結果に比べて、全体的にカウント数が増加している。特に、質量数が大きい領域や、難揮発性物質であるニコチンのカウント数が明らかに増加している。
この結果から、実施例装置は、比較例装置に比べて全体的に感度が優れていて、しかも、従来は測定が困難であった質量数が大きい成分や難揮発性の成分に対する感度は、比較例装置に比べて著しく向上していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる微量成分分析装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる微量成分分析装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる微量成分分析装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる微量成分分析装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる微量成分分析装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る実施例装置による試料の分析結果を示すグラフである。
【図7】比較例装置による試料の分析結果を示すグラフである。
【図8】図6に示す分析結果を説明する図である。
【符号の説明】
【0080】
1,21,26,31,36 微量成分分析装置
2 チャンバー
3 イオン化部
11、22、32 供給路
13、23,33 成分抽出部
22a 直線部
27 濃縮装置
34,40 タイミング制御装置
37 レーザー発振装置
38 分配器
39 変換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質中の成分をイオン化させたのちに分析を行う微量成分分析装置であって、
前記粒子状物質が送り込まれてその成分のイオン化が行われるイオン化部と、
該イオン化部への前記粒子状物質の供給方向上流側に設けられて、前記粒子状物質へのレーザー光の照射が行われる成分抽出部とを有していることを特徴とする微量成分分析装置。
【請求項2】
前記イオン化部で測定試料にレーザー光を照射してイオン化させるレーザーイオン化TOFMSであることを特徴とする請求項1記載の微量成分分析装置。
【請求項3】
前記イオン化部がチャンバー内に設けられており、
前記成分抽出部が、前記チャンバー外に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の微量成分分析装置。
【請求項4】
前記チャンバー内への前記粒子状物質の供給路が直線部を有していて、該直線部内が前記成分抽出部とされており、
該成分抽出部には、前記供給路に沿った方向にレーザー光が照射されることを特徴とする請求項3記載の微量成分分析装置。
【請求項5】
前記チャンバーへの前記粒子状物質の供給路上に、該供給路内の前記粒子状物質を一旦濃縮する濃縮装置が設けられており、
前記成分抽出部が、前記供給路上の、前記濃縮装置の上流側に設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の微量成分分析装置。
【請求項6】
前記成分抽出部が、前記チャンバー内に設けられており、
該成分抽出部でのレーザー光の照射タイミングと、前記イオン化部でのレーザー光の照射タイミングとを制御するタイミング制御装置が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の微量成分分析装置。
【請求項7】
前記成分抽出部で用いられるレーザー光が、前記イオン化部で用いられるレーザー光よりも、長波長または低強度とされていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の微量成分分析装置。
【請求項8】
一台のレーザー発振装置と、
該レーザー発振装置の出力するレーザー光を二系統に分配する分配器とを有し、
前記成分抽出部及び前記イオン化部では、それぞれ前記分配器によって分配されたレーザー光のうちの一方が照射される構成とされていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の微量成分分析装置。
【請求項9】
前記レーザー発振装置の出力するレーザー光のうち、前記成分抽出部で照射されるレーザー光を、前記イオン化部に供給されるレーザー光よりも長波長または低強度に変換する変換装置が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の微量成分分析装置。
【請求項10】
粒子状物質中の成分をイオン化させたのちに分析を行う微量成分分析方法であって、
前記粒子状物質が送り込まれて該粒子状物質のイオン化が行われるイオン化部の、前記イオンの供給方向上流側で、前記粒子状物質へのレーザー光照射を行うことを特徴とする微量成分分析方法。
【請求項11】
前記イオン化部で前記粒子状物質にレーザー光を照射してイオン化させるレーザーイオン化TOFMSによる微量成分分析に適用されることを特徴とする請求項10記載の微量成分分析方法。
【請求項12】
前記イオン化部がチャンバー内に設けられている分析装置を用いた微量成分分析に適用される請求項10または11に記載の微量成分分析方法であって、
前記チャンバー外で前記粒子状物質に前記レーザー光を照射することを特徴とする微量成分分析方法。
【請求項13】
前記イオン化部への前記粒子状物質の供給路の一部に直線部を設けて、該直線部内で、供給路に沿った方向にレーザー光を照射することを特徴とする請求項11または12に記載の微量成分分析方法。
【請求項14】
前記イオン化部への前記粒子状物質の供給路上に、該供給路内の前記粒子状物質を一旦濃縮する濃縮装置が設けられている分析装置を用いた微量成分分析に適用される請求項10から13のいずれかに記載の微量成分分析方法であって、
前記供給路上の、前記濃縮装置の上流側で前記粒子状物質へのレーザー光の照射を行うことを特徴とする微量成分分析方法。
【請求項15】
前記イオン化部がチャンバー内に設けられている分析装置を用いた微量成分分析に適用される請求項11に記載の微量成分分析方法であって、
前記イオン化部でのレーザー光の照射を、該イオン化部の上流側でレーザー光を照射された粒子状物質が前記イオン化部に進入した時点で行うことを特徴とする微量成分分析方法。
【請求項16】
前記イオン化部の上流側では、前記イオン化部で照射するレーザー光よりも、長波長または低強度のレーザー光を照射することを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載の微量成分分析方法。
【請求項17】
一台のレーザー発振装置の出力するレーザー光を二系統に分配して、一方の系統を前記イオン化部でのレーザー光の照射に用い、他方の系統を前記イオン化部の上流側でのレーザー光の照射に用いることを特徴とする請求項15または16に記載の微量成分分析方法。
【請求項18】
レーザー光の波長または強度を変換する変換装置を用いて、前記レーザー発振装置の出力するレーザー光のうち、前記イオン化部の上流側で照射されるレーザー光を、前記イオン化部で照射されるレーザー光よりも長波長または低強度に変換することを特徴とする請求項17に記載の微量成分分析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−71367(P2006−71367A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253181(P2004−253181)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】