説明

微量試料計量デバイス、微量試料計量装置及び微量試料の計量方法

【課題】 複雑な装置や制御を要することなく、簡易な操作で、極微量の試料を定量性よく計量できる微量試料計量デバイスを提供すること。
【解決手段】 試料流入口及び移送制御手段を有する第一流路と、試料流出口及び移送制御手段を有する第二流路と、試料移送流体の流入口及び流路中の流体試料を検出するセンサ部を有する計量用流路とから構成され、
(A)流体試料を試料流入口より流入し、流体試料を第一流路から計量用流路内に流入し、その際流体試料の第二流路への流入を停止し、
(B)計量用流路中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部の検知により流体試料の流入を停止し、
(C)計量用流路中の流体試料を試料移送流体により第二流路中に移送し、計量された試料を試料流出口より流出させ、その際に第二流路中を液送可能状態とし、また該流体試料が第一流路に流入しないようにすることが可能な微量試料計量デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量の試料を計量して注入することの出来る微量試料計量デバイス、該微量試料計量デバイスの各機構を制御する機構を含む微量試料計量装置、および微量試料の計量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイスは、内部に有する微細な毛細管状の流路中で反応や分析を行うデバイスであり、マイクロ流体デバイスを使用することにより、反応や分析の迅速化、必要試料量の減少、省資源・省ネルギー、さらには廃棄物の減少が可能となる。このようなマイクロ流体デバイスを例えばマイクロクロマトグラフィー分析に利用して、分析の迅速化、必要試料の微量化、および展開液の減少を計り、化学分析、生化学分析、医療診断などの方面に応用する試みが行われている。
【0003】
しかしながら、マイクロ流体デバイスのスケールは、従来のポンプ、切り替えバルブ、シリンジ、ピペットなどの試料取り扱い手段や装置に比べて桁違いに小さいため、マイクロ流体デバイスの流路中に極微量の試料を注入することは相当困難であった。例えば、マイクロ・ガスクロマトグラフィー、マイクロ・液体クロマトグラフィー、マイクロ・アフィニティ・クロマトグラフィー、マイクロ・ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーなどのマイクロ・クロマトグラフィー分析においては、短い展開距離で迅速に高分解能の分析を行うためには、試料を短いスポットとして分離カラムに注入する必要があるが、マイクロシリンジやバルブによる流路切り替え法などの従来法による試料注入手段では注入試料の体積が過大になりがちであり、そのため、クロマトグラムのピークの広がりや、テーリングが生じ、良好に分離するためにはカラム長を太く或いは長くする必要があり、分析時間の伸長を招いていた。又、微小な反応槽中へ極微量の溶液を定量して注入し、他の溶液と混合することも同等に困難であった。
【0004】
これを解決する方法として電気泳動分析に於いて、次の方法が試みられている(特許文献1参照。)。即ち、交差部に於いて交差する2本の流路の一方の一端に試料を注入し、該流路の両端に電圧を印加して電気泳動又は電気浸透流にて試料を移送し、試料が前記交差部を通過している時点で該電圧の印加を停止し、次いで、他方の流路の両端に電圧を印加することによって、交差部内の試料のみを他方の流路へ注入する方法である。
【0005】
しかし、この方法では、接合部の容積だけの極微量の試料を他方の流路に注入することが可能であるが、電気泳動による試料移送であるため、試料は荷電試料に限られ、また、媒体も電解質媒体に限られるため、多くの液体クロマトグラフィーや、ガスクロマトグラフィーのように気相中へ試料を注入する用途には適用できなかった。
【0006】
また、分析装置として、接合された二本のチャネルを有するデバイスを包含する装置が開示されている(特許文献2参照。)。該装置中のデバイスにおいては、デバイス内のチャネルに圧力勾配を適用させて、試料が注入されたチャネルから電気泳動分析用チャネルに試料を注入するものである。しかし、該方法においては、次のような点で、試料注入方法としては不十分なものであった。(1)試料注入用チャネルと電気泳動分析用チャネルの圧力や、その制御のタイミングを精密に行う必要があるため、ポンプやバルブなどの機構が複雑かつ大がかりとなりがちであること、(2)該公知文献には電気泳動分析用試料の注入について記載されていて、クロマトグラフィーの試料注入については記載されていないが、本発明者等の検討によれば、試料注入用チャネルとクロマトグラフィー用チャネルの二つの流路の圧力を厳密に制御する必要があり、制御装置が大がかりなものに成りがちであること、(3)注入試料がテーリングを生じがちであり、それを抑制するためには、更に複雑な機構や圧力制御操作が必要なこと、および、(4)拡散速度の高い気体試料には適用が困難であること。
【0007】
【特許文献1】特開平11−271273号公報
【特許文献2】特表2002−542489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、微量の試料を取り扱う機構、例えばマイクロ流体デバイスに組み込まれた機構に流体試料を計量して注入するための微量試料計量デバイスおよび微量試料の計量方法において、液体中の荷電試料だけでなく液体中の非イオン性試料や気体試料にも適用可能であり、また、非電解質液体媒体中や気体媒体中への試料を注入する場合の試料計量も可能であり、試料の計量に複雑で大がかりな装置や複雑な制御を要することなく、簡易な操作で、極微量の試料を定量性よく計量できる微量試料計量デバイス、微量試料計量装置、および微量試料計量方法を提供すること。特に、マイクロ・クロマトグラフィーへの試料注入に適した試料計量デバイス、装置、及び計量方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、図1に基本構成を示したように、一端に流体試料を流入させる試料流入口(5)を有し、流路途中に流体の移送を制御する移送制御手段(11)を有する第一流路(1)と、一端に流体試料を流出させる試料流出口(6)を有し、流路途中に流体の移送を制御する移送制御手段(12)を有する第二流路(2)と、一端に流体試料を移送する試料移送用流体を流入させる試料移送流体の流入口(7)を有し、流路中の流体試料を検出するセンサ部(20)を有する計量用流路(3)とから構成され、第一流路(1)、第二流路(2)及び計量用流路(3)のそれぞれの他端部が流体試料を流通するように接合部(4)において接合されてなり、
(A)流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料の第二流路(2)への流入を停止し、
(B)計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止し、
(C)計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により
第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにすることができる微量試料計量デバイスを用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明のデバイス及び方法は、微量の試料を取り扱う機構、例えばマイクロ流体デバイスに組み込まれた機構に注入するための、微量の流体試料を計量することができる。本発明は、液体中の荷電試料だけでなく液体中の非イオン性試料や気体試料にも適用可能であり、また、非電解質液体媒体中や気体媒体中へ試料を注入する場合の計量も可能であり、試料の計量に複雑で大がかりな装置や複雑な制御を要することなく、簡易な操作で、極微量の試料を定量性よく計量できる。本発明は前記のように適用範囲が広いため、マイクロ・ガスクロマトグラフィー、マイクロ・液体クロマトグラフィー、マイクロ・アフィニティ・クロマトグラフィー、マイクロ・ゲル・パーミエーション・クロマトグラフフィーなどのマイクロ・液体クロマトグラフィーや、マイクロ・ガス・クロマトグラフィーへの試料注入、あるいは、マイクロ流体デバイス内の、即ち、マイクロ流体デバイスに組み込まれた反応槽や反応用流路への定量的試料注入に好適であり、さらに、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μ−TAS)に組み込んむことが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について、詳細に説明する。
[微量試料計量デバイス]
本発明の微量試料計量デバイスは、部材内部に毛細管状の流路を有するマイクロ流体デバイスとして構成される。微量試料計量デバイスの外形は、板状(柔軟なシート状を含む)、棒状(柔軟なひも状を含む)、チューブ状(毛細管状を含む)、塊状、又は、組み合わせ型マイクロ流体デバイスのコンポーネント(モジュール)となる形状、などの任意の形状であって良い。なかでも形状が板状のものは、製造が容易であり、流路などの構造に高い寸法精度や位置精度を持たせることができ、マイクロ流体デバイスの他の構造と一体化することが容易である上、使用時の温度調節や流路の観測が容易であるため好ましい。
【0012】
微量試料計量デバイスを構成する材料は任意であり、例えば、ガラス、水晶等の結晶、シリコンなどの半導体、金属、セラミック、炭素、有機重合体(ポリジメチルシロキサンのように、主鎖が無機元素のも含む。)、あるいはこれらの発泡体などを使用できる。また、例えば有機重合体などの上に金属やその他の物質を蒸着した複合材料なども使用できる。但し、後述のように、本発明のバルブが流路壁を圧迫変形させることにより流路を開閉するタイプのものである場合には、圧迫部においては、可撓性のある素材を使用する必要がある。前記の素材のなかでも、活性ネルギー線硬化性樹脂が、各種形状への成形が容易であり好ましい。
【0013】
[流路]
微量試料計量デバイスは、試料流入口(5)から接合部(4)に至る第一流路(1)と、該接合部(4)から試料移送流体の流入口(7)に至る計量用流路(3)と、該接合部(4)から試料流出口(6)に至る第二流路(2)から成る。これらの流路を合わせて流路(10)とする。
【0014】
前記流路(10)の横断面、即ち、流体の流動方向に直角な断面(以下、特に「縦割り断面」と断らない限り流路の該断面を単に「断面」と略記する。)の形状は特に限定されないが、矩形、台形、または半円形であることが、製造や内部の観察が容易であり好ましい。
【0015】
(第一流路)
第一流路(1)は、その一端の試料流入口(5)から接合部(4)までの範囲の流路である。第一流路(1)の横断面、即ち、流体の流動方向に直角な断面(以下、特に「縦割り断面」と断らない限り流路の該断面を単に「断面」と略記する。)の形状は特に限定されないが、矩形、台形、または半円形であることが、製造や内部の観察が容易であり好ましい。断面の寸法は任意であるが、微量試料計量デバイス表面から見た深さは、1〜500μmが好ましく、3〜200μmがさらに好ましく、5〜100μmが最も好ましい。また、微量試料計量デバイス表面から見た幅方向の寸法は1〜3000μmが好ましく、3〜1000μmがさらに好ましく、5〜500μmが最も好ましい。この範囲の下限以上とすることにより、圧力損失が過大になることが無く、また計量と注入操作が不安定になることもない、また、この範囲の上限未満とすることにより、微少な試料の計量が容易に行える。勿論、第一流路(1)の断面形状や断面寸法は、第二流路(2)や試料計量用流路(3)などの他の流路よ異なっていて良いし、第一流路内においても、流路の流れ方向で変化していて良い。
【0016】
第一流路(1)の長さは任意であり、例えば10μm〜100mmであり得るが、1mm〜30mmが好ましい。第二流路(2)へ導入される計量された試料のテーリングを抑制するために、移送制御手段(11)と接合部(4)の間の長さは短い方が良く、実質的にゼロが好ましい。従って、第一流路の長さは、最小の場合には、試料流入口(5)の内部の流路の長さと、移送制御手段(11)内部の流路の長さの和であり得る。
【0017】
試料流入口(5)には、試料計量用流路(3)にて計量する量より多量の試料を第一流路(1)に導入することが出来れば任意であり、例えば、微量試料計量デバイス外に開口した開口部、微量試料計量デバイス外に開口したリザーバタンク、微量試料計量デバイス外と連絡する配管が接続された配管接続部、等であり得るし、また、微量試料計量デバイス中の他の機構、例えばリザーバタンク、濾過機構、透析機構などに接続されていても良い。
【0018】
又、第一流路(1)の途上には、移送制御手段(11)が設けられている。移送制御手段(11)は、流体移送手段と共に稼働させて、第一流路(1)内の流体の移動と停止を制御する機構であり、バルブ類であり得るが、流体の移送と停止が可能なポンプ機構を用いて、流体移送手段を兼ねても良い。これらは本発明の実施態様により、好適に選択して用いることが出来る。
【0019】
(第二流路)
第二流路(2)は、計量用流路(3)にて計量された試料が接合部(4)から導入される流路である。第二流路(2)は導入された試料の検出、分析、反応、処理などを行なう場であっても良いし、単に試料流出口(6)へ導くだけの移送用流路であっても良い。
【0020】
第二流路(2)の寸法、形状については、基本的に第一流路の場合と同様である。試料流出口(6)に計量された微量試料を利用する機構を接続する場合には、接合部(7)と移送制御手段(12)との間の長さは短い方が好ましく、実質的にゼロであることがさらに好ましい。この距離を短くすることで、試料流出口(12)から流出させる計量された試料のテーリングを少なくすることができる。従って、第二流路の長さは、最小の場合には、移送制御手段(12)内部の流路の長さと試料流出口(6)の内部の流路の長さとの和であり得る。
【0021】
試料流出口(6)は、微量試料計量デバイスの外部に開口していて、外部機構、即ち、微量試料計量デバイスとは独立した機構を接続したり、廃液を排出する目的に使用することも出来るし、微量試料計量デバイス内の、即ち、該デバイスに組み込まれた他の機構との接続部であっても良い。試料流出口(6)に接続できる好ましい機構としては、マイクロ・ガス・クロマトグラフィー・カラム、マイクロ・液体クロマトグラフィー・カラム、マイクロ・アフィニティ・クロマトグラフィー・カラム、マイクロ・ゲル・パーミエーション・クロマトグラフフィー・カラムなどのマイクロ・液体クロマトグラフィーカラムや、マイクロ・ガス・クロマトグラフィー・カラム、反応槽や反応用流路などの反応場、或いは、酵素増感法などによる検出機構が挙げられる。
【0022】
本発明においては、試料流出口(6)に上記のクロマトグラフィー・カラム類を接続する場合、単に該カラムを接続するだけで良く、計量された試料に続いて、試料流出口(6)から展開液やキャリアガスなどのキャリアをクロマトグラフィー・カラムに導入することが出来る。そのため、キャリア導入用の流路を別に設ける必要がない。しかし、キャリア導入用の流路を別に設けることも可能である。
【0023】
試料流出口(6)には、流体を吸引して第二流路(2)に注入できる流体移送手段を接続しても良い。流体移送手段は、計量した微量の試料を利用する機構の後に接続することが好ましく、そのため、これらの試料を利用する機構が微量試料計量デバイス内部に形成されている場合に、試料流出口(6)に流体移送手段を接続する態様が好ましく用いられる。
【0024】
第二流路(2)の途上には、移送制御手段(12)が設けられている。移送制御手段(12)は流体移送手段と共に稼働させて、第二流路(2)内の流体の移動と停止を制御する機構であり、後述のバルブ類であり得るが、流体の移送と停止が可能な後述のポンプやポンプ機構を用いて、流体移送手段を兼ねても良い。これらは本発明の実施態様により、好適に選択して用いることが出来る。
【0025】
但し、第二流路(2)中に、検出、分析、反応、処理などの、計量された微量試料を利用する機構を設ける場合には、移送制御手段(12)をこれらの機構の下流側、即ちこれらの機構と試料流出部(12)ととの間に設けることもできる。この様にすることにより、計量された微量試料は移送制御手段(12)内で乱されることなく上記の機構に注入されるため、テーリングの少ないパルス状に注入でき、好ましい。この場合、試料流出口(12)はこれらの処理の終わった試料の流出口となる。また、勿論この場合には、第二流路の長さや断面積などの形状寸法は、前記の寸法範囲とする必要はなく、これらの計量された微量試料を利用する機構に必要な寸法形状とすることが出来る。
【0026】
本発明は、計量された微量試料を利用する機構が、微量試料計量デバイス内に設けられたものである場合に、特に効果を発揮する。
【0027】
(計量用流路)
計量用流路(3)は、試料の計量に用いる流路であり、第一流路(1)から一旦計量用流路(3)に試料を導入して計量した後、第二流路(2)へ注入する目的に使用される。計量用流路(3)の接合部(4)から所定の長さの範囲は試料計量部(3a)とされる。計量用流路(3)の試料計量部(3a)の長さを幅や高さに比べて長くしたり、接合部(4)から計量用流路(3)への接続部の断面積を、試料計量部(3a)の断面積より小さくすることによって、試料とそれ以外の流体とが拡散によって混合することを抑制し、試料注入の定量性を向上させることが出来る。前記の方法は、特に、試料が微少量である場合や、試料が気体である場合に有用である。計量用流路にはセンサ部(20)が設けられている。
【0028】
計量用流路(5)の途中に、試料移送手段や移送制御手段を設けることも可能であるが、試料計量の精度を損なわないために、これらを設けないことが好ましい。
【0029】
計量用流路(5)の寸法、形状は、各流路に特有の構造部分を除いて、第一流路の場合と同様であるが、断面積は1μm〜0.1mmが好ましく、3μm〜0.05mmがさらに好ましく、10μm〜0.02mmが最も好ましい。この下限以上にすることで、大きな困難なく試料の計量が可能となり、この上限未満とすることで、微少な試料の計量が容易に行える。また、各流路の長さも任意であるが、第五流路は10μm〜100mmが好ましく、100μm〜10mmがさらに好ましい。
【0030】
[センサ部]
計量用流路(3)の試料計量部(3a)付近にはセンサ部(20)が設けられていて、計量用流路(3)に移送された試料を検知して、試料を計量する。本発明で言うセンサ部(20)とは、試料計量部(3a)に試料が一定量充填されたことを検知するための機構一般をいい、センサの一式、センサの検出部、あるいは微量試料計量デバイス外に設けられたセンサのための読み取り部を言う。センサ部(20)のセンサの種類は任意であり、例えば、蛍光、紫外・可視。赤外光吸収、屈折率、旋光度などを検知する光学式センサ、電気抵抗、電流、電位、電位差、起電力、酸化還元電位、周波数などを検知する電気センサ、共鳴周波数などを検知する電気磁気式センサ、温度、比熱、熱伝導率などを検知する熱的センサ、、特定の化学物質や生化学物質を検知する化学センサやバイオセンサ、放射線センサ、などでありうる。これらセンサは、使用する試料と溶媒などの媒体の種類に応じて、検出感度が高く、かつ溶媒などの媒体の影響を受けにくい方式を適宜選択すればよく、例えば、一般的には、紫外・可視・赤外吸収や屈折率などが、微量試料計量デバイスには検出用の窓を設けるだけで良いため、微量試料計量デバイスを使い捨てとしたり、洗浄を容易にするため好ましく、試料が蛍光性である場合には、蛍光測定が、感度が高く検出も容易であるため好ましく、試料がイオンである場合には、電気伝導度や起電力などのセンサが、感度が高く、センサ本体の機構が単純となるため好ましく使用できる。
【0031】
センサの検出部としては、例えば電気式センサの電極が挙げられる。外部センサのための読み取り部としては、例えば、光学式センサのための透明な窓が挙げられる。さらに、計量用流路(3)に複数のセンサ部(20)を設けたり、CCDカメラなどをセンサとして用い、計量用流路(3)の長さ方向に沿った広い範囲をセンサ部(20)として観察し、試料の移送量をモニタすることによって、任意の量だけ計量することも出来る。
【0032】
〔流体移送手段〕
本発明の微量試料計量装置及び微量試料の計量方法に於いては、試料を第一流路(1)から計量用流路(3)へ移送したり、試料移送用の流体を移送して試料を計量用流路(3)から第二流路(2)に注入するために、少なくとも一つの流体移送手段を要する。流体移送手段は、微量試料計量デバイス外部の機構であっても、微量試料計量デバイス内部に組み込まれた機構であっても良い。微量試料計量デバイス内部に組み込まれた機構(例えばポンプ機構)である場合、接液部の機構のみを本微量試料計量デバイスに組み込み、駆動部は外部に設けることも好ましい。
【0033】
また、流体移送手段は、実施態様により、少なくとの二台の吸飲可能な流体移送手段、少なくとも一台の吸飲可能な流体移送手段と少なくとも一台の吐出可能な流体移送手段の組み合わせ、或いは、少なくとも一台の双方向に移送可能な流体移送手段であり得る。さらに、これらの流体移送手段は、移送制御機構を兼ねることも出来る。
【0034】
微量試料計量デバイス外部の移送手段であって、吸引による流体の移送が可能なものとしては、例えば、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ、チューブポンプなどのポンプ、アスピレーターや真空ポンプなどの減圧手段、毛細管、多孔質体、繊維の編織物、紙・不織布、繊維充填物、粉末充填物などの液体吸収機構、音波や超音波発生機構などを例示できる。このような流体移送手段は、試料移送流体の流入口(7)に接続し、吸引により第一流路(1)から試料計量用流路(3)へ試料を移送する場合や、試料流出口(6)に接続し、吸引により計量用流路(3)から第二流路(2)へ試料を注入する場合に使用できる。
【0035】
また、微量試料計量デバイス外部の移送手段であって、吐出によって流体を移送できるものとしては、例えば、前記と同様のポンプ、圧力空気、加圧窒素などの加圧気体、音波や超音波発生機構などを例示できる。このような流体移送手段は、試料移送流体の流入口(7)に接続してこから試料移送流体を導入し、試料を計量楊柳路(3)から第二流路(2)に注入する場合や、試料導入口(5)に接続し、試料を第一流路(1)から計量用流路(3)へ試料を注入する場合に使用できる。
【0036】
さらに、微量試料計量デバイス外部の流体移送手段であって、吸引と吐出が可能であるもの、即ち、双方向に流体を移送できるものとして、例えば、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ、チューブポンプなどのポンプが挙げられる。あるいは、前記の吸引が可能な流体移送手段と吐出が可能な流体移送手段の2台を使用して、バルブで切り替える方式も可能であるが、一台で双方向に移送間能な者が好ましい。このような流体移送手段は、試料移送流体の流入口(7)に接続して、第一流路(1)から試料計量用流路(3)への試料の吸引移送と、試料計量用流路(3)から第二流路(2)への試料の注入を行う流体移送手段として使用できるし、上記の吸引又は吐出のいずれかが可能な流体移送手段の代わりに使用できる。
【0037】
上記の流体移送機構は、流路を閉じた状態で保持出来るものが好ましく、非運転字には何らエネルギーを消費する事なく、流路を閉じた状態で保持出来るものが好ましい。この観点から、シリンジポンプ、ギヤポンプ、チューブポンプが好ましい。
【0038】
微量試料計量デバイス内部に設けられた流体移送手段であって、吸引による流体移送が可能な手段としては、ダイヤフラムポンプ機構、ギヤポンプ機構、シリンジポンプ機構、プランジャンプ機構、しごきポンプ機構などのポンプ機構、減圧気体室、多孔質体、繊維の編織物、紙・不織布、繊維充填物、粉末充填物などの液体吸収機構、流路中の磁性流体を磁場で駆動するによる移送機構、音波や超音波式流体移送機構などを例示でき、こられは、試料計量用流路(3)に設けて、試料を第一流路から計量用流路に移送する流体移送手段や、第二流路(2)に設けて、計量用流路83)から 第二流路(2)へ移送する流体移送手段として使用できる。第二流路(2)に設ける場合には、移送制御手段(12)を兼ねる流体移送手段としても使用出来る。
【0039】
微量試料計量デバイス内部に設けられた流体移送手段であって、吐出による流体移送が可能な流体移送手段としては、手段としては、ダイヤフラムポンプ機構、ギヤポンプ機構、シリンジポンプ機構、プランジャンプ機構、しごきポンプ機構などのポンプ機構、加圧気体、上記磁性流体式流体移送機構、音波や超音波式流体移送機構などを例示できる。このような吐出が可能な移送手段は、試料計量用流路(3)に設け、試料を試料計量用流路から第二流路(2)へ注入する流体移送手段や、第一流路(2)に設け、試料を第一流路から計量用流路(3)へ移送する流体移送手段として使用できる。第一流路(2)に設ける場合には、移送制御手段(11)を兼ねる流体移送手段として使用出来る。
【0040】
微量試料計量デバイス内部に設けられた流体移送手段であって、双方向に流体移送が可能な流体移送手段としては、ダイヤフラムポンプ機構、ギヤポンプ機構、シリンジポンプ機構、しごきポンプ機構などのポンプ機構、、上記の磁性流体式流体移送機構、、音波や超音波式流体移送機構などを例示できる。このような吐出が可能な移送手段は、試料計量用流路(3)に設け、第一流路(1)から試料計量用流路(3)への試料の吸引移送と、試料計量用流路(3)から第二流路(2)への試料の注入を行うことができる。勿論、双方向に移送可能な流体移送手段を吸引又は吐出が可能な流体移送手段として使用することも可能である。第一流路(1)や第二流路(2)の途中に設ける、微量試料計量デバイス内部の流体移送手段は、移送制御手段(11)や移送制御手段(12)が兼ねることが出来る。即ち、これらの移送制御手段として、少なくとも一方向に移送可能であるような流体移送機能を持つものであって、流体の移送を停止したときに流路を閉じた状態で保持できるもの、好ましくは、常態で、即ち非駆動時には何らのネルギーも消費せずに、流路を閉じた状態に保持できるものを用いることによって、別途流体移送手段を用いる必要が無くなる。
【0041】
前記の微量試料計量デバイス内部の流体移送手段として、例えば本発明者等の出願になる、特開2002−371954号公報に記載されているような、流路中に配された磁性流体を磁気で移動させることにより移送すべき流体を移送する機構、特開2003−139065号公報、特開2003−139065号公報、および特開2003−083256号公報に記載されているような、逆止弁とダイヤフラムで構成されたダイヤフラム式ポンプ機構、特開2003−139660号公報に記載されている様な、常態では流路を閉じており、バルブの少なくとも一方の側の圧力が一定以上になると任意の低圧側へ流体を流通させる、或いは、両側の圧力差が一定以上になると任意の低圧側へ流体を流通させる弁(以下、このような弁を「圧力弁」と称する)を用い、柔軟な流路壁を圧迫することによって流体を送液するダイヤフラム式ポンプ機構、チューブポンプのようにローラーで柔軟な流路壁をしごく、しごきポンプ機構を好適に使用できるし、ギアポンプ機構、プランジャーポンプ機構、プランジャーの代わりに磁性流体を使用したプランジャー式ポンプ機構、なども使用可能である。なお。ここで言う「微量試料計量デバイス内部の流体移送手段」とは少なくとも流体移送機構の接液部が微量試料計量デバイス内に組み込まれていることをいい、駆動部は微量試料計量デバイスの外部にあって良い。
【0042】
前記のポンプ機構の中で、圧力弁とダイヤフラムによるポンプ機構や、しごきポンプ機構が、圧迫位置を変えること、或いは、しごきの方向を変えることによって、双方向に移送可能であるため、双方向に移送可能な流体移送用手段として好ましい。
【0043】
微量試料計量デバイス内部に組み込まれたポンプ機構を使用することによって、外部ポンプを接続する必要が無くなるため、配管接続機構を設ける必要が無くなる。また、試料流入口(5)に導入する試料や、試料移送流体の流入口(7)から導入する移送用の流体を交換することも容易になる。
【0044】
[移送制御手段]
試料を計量用流路(3)から第二流路(2)に移送する際に、試料が第一流路(1)へ逆流することを防ぐ機構を有することが必要である。そのために、第一流路(1)の途中に移送制御手段(11)を設ける。移送制御手段(11)は、試料を試料流入口(5)から第一流路(1)を経て計量用流路(3)へと導入する際に流体を通過させ、次いで、計量用流路(3)内の試料を接合部(4)を経て第二流路(2)へ注入する際には、流体を通過させないことができる機構であり、バルブを好ましく用いることが出来る。或いは、例えばそのようなバルブを機構の一部に使用したような、流体の移送と停止を制御できるポンプ機構とすることも可能である。このバルブは、流体移送手段の駆動に同期させた制御によって、例えば前記試料移送流体の流入口(7)の吸引/流体導入に同期した制御によって開閉する開閉バルブであっても良いし、試料流入口(5)から接合部(4)方向に流体を通過させる向きに設置された逆止弁であっても良いし、少なくとも一方の側の圧力が一定以上になると開いたり、両側の圧力差が一定以上になると開く圧力弁であっても良い。
【0045】
逆止弁は、特別な開閉操作を行わなくても、試料移送流体の流入口(7)を吸引する際には流路内の流体の圧力差によって自動的に開き、試料移送流体の流入口(7)から流体を導入する際には流路内の流体の圧力差によって自動的に閉じる。移送制御手段(11)は、注入試料の定量性を増し、テーリングを防ぐために、成るべく接合部(4)に近い位置に設けることが好ましく、接合部〔4〕に接して設けることがさらに好ましい。移送制御手段(11)は閉状態で僅かな漏れがあっても良く、注入試料のテーリングを防ぐために、極僅かな漏れがあることが、かえって好ましい。
【0046】
前記移送制御手段(11)として好ましく使用できる開閉バルブの構造は任意であり、例えば、本発明者等の出願になる下記の機構を使用できる。特開2004−073995号公報に記載されているような、流路内に配した磁性流体を磁気で駆動して流路を開閉するバルブ機構 、特開2002−239374号公報に記載されているようなダイヤフラム式バルブ、特開2002−219697号公報、特開2002−08639号公報、特開2003−084001号公報、に記載されているような、流路壁を外部から圧迫することによって流路断面積を変化させる開閉バルブ、などである。また、試料流出口(6)から他の機器への試料注入圧力が、例えば200KPa以下であるように、あまり高くない場合には、移送制御手段(11)として、特開2003−139660号公報に開示されたいるような、常態では閉じており、流路の一方の側の圧力が一定以上となると流体を通過させるバルブ機構を使用することも出来る。
【0047】
移送制御手段(11)として逆止弁を使用する場合には、例えば、本発明者等の出願になる、特開2002−086399号公報、特開2003−139661号公報、特開2002−239374号公報に開示されているような、フラップ型の弁体をフォトリソグラフィーで形成した逆止弁や、ゲルを弁体とした逆止弁を使用することが出来る。
【0048】
前記移送制御手段(11)は、接合部(4)に対する第一流路(1)側の加圧や計量用流路(3)側の減圧、または計量用流路(3)側の加圧や第三流路(3)側の減圧によって開閉を制御できるものであることが、操作が単純となり好ましく、そのため逆止弁または圧力弁が好ましい。また、ゲルを弁体とする逆止弁が、構造が簡単であり、かつ、閉状態で、過剰でない程度の漏れを生じさせることが容易であるため好ましい。勿論、移送制御手段(11)に圧力弁を用いる場合には、例えば移送制御手段(11)が開く圧力は、計量用流路(3)への注入圧力以上の圧力に調節するなど、その特性は実施態様に合わせて調節する必要がある。
【0049】
移送制御手段(11)として用いることの出来るポンプ機構としては、流体移送手段として挙げた、微量試料計量デバイス内に組み込み可能なポンプ機構が挙げられる。
【0050】
また、試料を第一流路(1)から計量用流路(3)へ移送する際に、試料が第二流路(2)へ侵入することを防ぐ機構を設けることが必要である。そのために、第二流路(2)の途中に移送制御手段(12)、を設ける。移送制御手段(12)は、試料移送流体の流入口(7)を吸引して試料を試料流入口(5)から第一流路(1)を経て計量用流路(3)へと導入する際には第二流路(2)を閉じ、次いで、試料移送流体の流入口(7)から流体を導入して、計量用流路(3)内の試料を接合部(4)を経て第二流路(2)へ注入する際には、流体を通過させることができるバルブを好ましく用いることが出来る。このバルブに関しては、前記移送制御手段(11)の場合と同様である。即ち、このバルブは前記試料移送流体の流入口(7)の吸引/流体導入に同期した制御によって開閉する開閉バルブであっても良いし、接合部(4)から試料流出口(6)方向には流体を通過させ、逆方向には通過させない向きに設置された逆止弁であっても良いし、圧力弁であっても良い。勿論、該バルブに圧力弁を用いる場合には、例えば第一流路(1)から計量用流路(3)への試料移動時には、バルブは閉じた状態を保つように、開く圧力を調節する必要がある。逆止弁や圧力弁は、特別な開閉操作を行わなくても、試料移送流体の流入口(7)を吸引する際には流路内の流体の圧力差によって自動的に閉じ、試料移送流体の流入口(7)から流体を導入する際には流路内の流体の圧力差によって自動的に開くため、駆動機構が単純になり好ましい。移送制御手段(12)のバルブも、注入試料の定量性を増すために、成るべく接合部(4)に近い位置に設けることが好ましく、接合部(4)に接して設けることがさらに好ましい。
【0051】
移送制御手段(12)のバルブの構造などについては、移送制御手段(11)の場合と同様であるが、閉状態での僅かな漏れは許容されるものの、試料計量の定量性を増すためには、漏れは少ない方が好ましい。移送制御手段(12)として用いることの出来るポンプ機構としては、流体移送手段として挙げた、微量試料計量デバイス内に組み込み可能なポンプ機構が挙げられる。
【0052】
移送制御手段(11)の機構と移送制御手段(12)の機構の組み合わせ方法は、それぞれ前記のバルブ類やポンプ類から選択できる。但し、移送制御手段(11)と移送制御手段(12)共に圧力弁を用いる場合、一方が圧力弁を用いたポンプ機構で、他方が圧力弁である場合、又は、共に圧力弁を用いたポンプ機構を用いる場合、には、これらのバルブが開く圧力を、例えば第一流路(1)から計量用流路(3)への試料移動時には、移送制御手段(11)は移送制御手段(12)より低い圧力で開き、計量用流路(3)から第二流路(2)への試料注入字には、移送制御手段(11)は移送制御手段(12)より高い圧力で開くように、少なくとも一方を、順方向と逆方向で開く圧力が異なる圧力弁を使用する必要がある。
【0053】
本発明の微量試料計量デバイスは、前記の構造の他、任意の他の機構を有することが出来る。こそのような構造としては、例えば、センサ部(20)や移送制御手段(11)、(12)のための電源、電源への接続部、センサ部(20)と外部に設けられたセンサ本体との接続機構、移送制御手段(11)、(12)のための圧力気体接続機構、接続機構、移送制御手段(11)、(12)や外部ポンプの制御のためのシーケンサやコンピュータなどを例示できる。
【0054】
[微量試料計量装置]
本発明の微量試料計量装置は、本発明の微量試料系呂腕バイス徳見合わせて使用することにより、(A)流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料が第二流路(2)に流入しないようにする機構、(B)計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止する機構、及び/又は(C)計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにする機構を有する。
【0055】
前記(A)および(C)の機構は、まず、流体移送手段に関しては、その駆動のタイミングを決める論理機構を有する。この論理機構は任意であり、例えばシーケンサやコンピュータが使用できる。また、移送制御手段(11)、(12)は、これらに逆止弁や圧力弁を使用した場合にはこれら自体がその機能を有するため、それ以外の特別な機構を要しないが、これらが開閉バルブやポンプ機構である場合には、前記の論理とタイミングで開閉あるいは流体移送する論理機構と駆動機構を用いる。この論理機構は任意であり、例えばシーケンサやコンピュータが使用できる。開閉バルブやポンプ機構の駆動機構としては、それらの種類に応じて、先に示した開閉バルブやポンプ機構の駆動機構、例えば、アクチュエータ、圧力気体、電磁力、などを使用できる。
【0056】
また、(B)の、計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止するための判断機構は、微量試料計量デバイスに組み込まれた、或いは、微量試料計量デバイス外の電気回路やコンピューターであって良い。センサ部(20)が、検出部のみが微量試料計量デバイスに組み込まれ、本体が微量試料計量デバイス外の機構である場合や、微量試料計量デバイスに、光学的に透明な窓などの読み取り部が設けられ、センサ本体が微量試料計量デバイス外の機構である場合には、これらのセンサ機構も、微量試料計量デバイス外の微量試料計量装置の一部とされる。
【0057】
本発明の微量試料計量装置が微量試料計量デバイス外部の機構を有する場合には、微量試料計量デバイスと外部機構とを一体化して稼働させるが、微量試料計量デバイス部分を取り替え可能とすることが好ましい。中でも、微量試料計量デバイスにはセンサ部(20)としてセンサ機構の一部、センサの取り付け用構造、あるいはセンシング用の窓を設けた構造とし、さらに、ポンプ機構(及び、開閉バルブを使用する場合には開閉バルブも)の駆動部を微量試料計量デバイスの外部機構とすることにより、接液部である微量試料計量デバイスを単純な機構として、該デバイスを交換可能とすることが好ましい。
【0058】
[試料注入方法]
本発明の微量試料の計量方法、前記の微量試料計量デバイスや微量試料計量装置を使用して、流体試料を試料流入口(5)から第一流路(1)に流入させ、第一流路(1)の移送制御手段(11)を送液可能状態、第二流路(2)の移送制御手段(12)を送液停止状態とし、試料を第一流路(1)から接合部(4)を経由して計量用流路(3)に移送し、計量用流路(3)に流入する試料が計量用流路(3)中のセンサ部(20)において検出された際に試料の移送を停止して、計量用流路内に微量の一定量の試料を計量し、次いで、第一流路(1)の移送制御手段(11)を送液停止状態、第二流路(2)の移送制御手段(12)を送液可能状態とし、計量した試料を、予め計量用流路(3)に充填した試料移送用流体により、第一流路(1)から接合部(4)を経由して計量用流路(3)に移送し、試料流出口(6)より微量の一定量の試料を得る。
【0059】
本発明の試料注入方法に適用できる試料や移送用の流体の種類は任意であり、液体、超臨界流体、気体であり得るが、液体であることが、定量性が向上し好ましい。液体試料の種類は任意であり、単一液体、混合液体、溶液、分散液であり得る。溶質は任意であり、化学物質、生化学物質、有機物質、無機物質、揮発性物質、不揮発性物質、ノニオン性物質、カチオン性物質、アニオン性物質、両性イオン性物質、親水性物質、疎水性物質、両親媒性物質、などであり得るし、溶媒は電解質、非電解質であり得る。
【0060】
本発明の試料注入方法によれば、計量用流路(3)の試料計量部(3a)の断面積や長さの設計により、微少量、特に0.1nl(但し、1nl=1×10−12)〜500nl、さらに好ましくは1nl〜100nl、最も好ましくは3nl〜50nl程度の微少量の試料を計量して注入することができる。
【0061】
本発明の試料注入方法を適用する際の好適な態様の例としては、クロマトグラフィー・カラムへの微量試料の注入方法が挙げられる。この場合には、前記試料流出口(6)に該カラムを接続して使用する。該カラムは、微量試料計量デバイスが形成されたマイクロ流体デバイスの内部に組み込まれたカラムであっても良いし、該マイクロ流体デバイスの外部に設けられたものであっても良い。この場合のクロマトグラフィー・カラムの種類は勿論任意であり、例えば内面に多孔質層が形成されたマイクロ流路、キャピラリー・カラム、モノリス型カラム、充填カラムなどであり得る。
【0062】
本発明の方法においては、前記微量試料計量デバイスの各部の構造、例えば、流体移送手段として用いる機構の種類、流体移送手段として用いる機構の接続部、流体移送制御機構(11)として用いる機構の種類、流体移送制御機構(11)、として用いる機構の種類、の組み合わせによって非常に多くの場合があり、前記の方法が可能な組み合わせを任意に選択することが出来るが、以下に、特に好ましく用いることの出来る代表的な実施態様を示す。
【0063】
(I)第一態様
本発明の第一態様は、図2に示したように、第一流路(1)の途中に移送制御手段(11)として開閉バルブを設け、第二流路(2)の途中に移送制御手段(12)として開閉バルブを設けた微量試料計量デバイスを使用し、試料移送流体の流入口(7)に吐出と吸引が可能な流体移送手段(15)として例えばシリンジポンプなどのポンプを接続する。
(i)流路(10)内は空気であっても良いが、試料流出口(6)に接続したクロマトグラフィー・カラムへ計量した試料を注入する場合など、用途によってはあらかじめ流路(10)全体、或いは第一流路(1)と計量用流路(3)に液体を充満させておくことが好ましい。該液体としては、例えば試料溶液の溶媒やクロマトグラフィーの展開液を用いることができる。その状態で、まず、例えば試料流入口(5)に試料を配する。これは、例えば試料流入口(5)に接続されたリザーバタンク(51)にピペットなどで試料を注入することで実施できる。試料流入口(5)に配する試料の量は、計量すべき量以上であれば任意である。次いで、
(ii)移送制御手段(11)である開閉バルブを開き、移送制御手段(12)である開閉バルブは閉じた状態で、移送用流体が満たされたリザーバタンク(52)が接続された流体移送手段(15)であるポンプを吸引側に駆動し、試料移送流体の流入口(7)を吸引して、試料計量部(3a)へ移送する。試料計量部(3a)に試料が一定量充填されたことを、センサ部(20)の蛍光測定用の窓を観測している光電子増倍管付きの蛍光顕微鏡にて検知すると、コンピューター制御により、
(iii)移送制御手段(11)である開閉バルブを閉じ、移送制御手段(12)である開閉バルブを開き、流体移送手段(15)のポンプを吐出方向に駆動して流入口(7)から移送用流体を導入して、該流体により計量用流路(3)内の試料を第二流路(2)へ移送する。このとき、第一流路(1)内の試料は移送制御手段(11)の開閉バルブが閉じているため移動せず、計量用流路(3)内の試料のみが第二流路(2)に移送される。試料流出口(6)に接続したクロマトグラフィー・カラムへ計量した試料を注入する場合には、移送用流体として、クロマトグラフィーの展開液液を用いることが出来る。
【0064】
本態様は、逆止弁でなく開閉バルブを用いるため動作が確実であり、流路が微細な場合にも開閉バルブを作製することが容易であるため、特に微量の試料を注入する場合に好ましい方法である。
【0065】
本第一態様の変形として、図3に示されたように、試料移送流体の流入口(7)に接続する流体移送手段(15)としての外部ポンプの代わりに、微量試料計量デバイス内に組み込まれた、双方向に吐出可能なポンプ機構を使用することも好ましい。また、センサ部(20)も電気式などの他のセンサ機構を使用しても良い。
【0066】
(II)第二態様
本発明の第二態様は、移送制御手段(11)及び移送制御手段(12)として逆止弁を使用したこと以外は前記第一態様と同じ微量試料計量デバイスを使用する。移送制御手段(11)の逆止弁は試料流入口(5)から接合部(4)方向には流体を通過させ、逆方向には通過させない向きに設置されており、移送制御手段(12)の逆止弁は接合部(4)から試料流出口(6)方向には流体を通過させ、逆方向には通過させない向きに設置されている。
【0067】
第一態様と同様に、好ましくはあらかじめ流路(10)全体に液体を充満させておき、試料流入口(5)に試料を配して試料移送流体の流入口(7)をポンプ(40)などで吸引すると、自動的に移送制御手段(11)の逆止弁は開き、移送制御手段(12)の逆止弁は閉じて、試料は計量用流路(3)の試料計量部(3a)に移送される。試料が試料計量部(3a)に一定量充填されたことをセンサ部(20)で検知して、流体移口(7)から移送用流体を導入すると、自動的に移送制御手段(11)の逆止弁は閉じ、移送制御手段(12)の逆止弁は開いて、該流体により計量用流路(3)内の試料は接合部(4)から第二流路(2)へ移送される。このように、開閉バルブの開閉操作を行わないこと以外は上述の第一態様と同様である。
【0068】
本第二態様は、バルブの操作が全く不要で、1つのポンプの操作のみによって試料の計量と注入が可能であるため、駆動装置を簡略化できる。
【0069】
本第一態様の変形例として、流体移送手段として、外部ポンプの代わりに、微量試料計量デバイス内に組み込まれた、双方向に吐出可能なポンプ機構を使用することも好ましい。
【0070】
また、本第二態様の他の変形例として、移送制御手段(12)を、逆止弁でなく圧力弁を使用する例を挙げることが出来る。該圧力弁が開く圧力を、第二流路端(7)の吸引による試料の移送時には開かず、計量用流路(3)から第二流路(2)への試料移送圧力では開くような圧力に設定することによって、好ましく使用することが出来る。本変形例は、移送制御手段(12)部の死容積を逆止弁より小さくすることが出来るため、計量して注入する試料のテーリングを減少させることができる。
【0071】
(III)第三態様
本発明の第三態様は、図4に示されたように、移送制御手段(11)および移送制御手段(12)としてそれぞれ、流体移送手段を兼ねたポンプ機構か設けられた微量試料計量デバイスを使用する。そして、計量用流路(3)や流入口にポンプ機構(23)やポンプ(40)を接続せず、試料移送流体の流入口(7)は微量試料計量デバイス外のリザーバタンクに接続する。リザーバタンクは微量試料計量デバイス内に設けられたものであっても良い。
【0072】
移送制御手段(11)や移送制御手段(12)のポンプ機構としては、前記の、特開2003−139660号公報に記載されているような、常態では流路を閉じている圧力弁を用いたポンプ機構、逆止弁を用いたポンプ機構、或いはしごきポンプ機構を好ましく用いることが出来る。
(i)好ましくはあらかじめ流路(10)全体に液体を充満させておき、試料流入口(5)に試料を配して、
(ii)移送制御手段(11)のポンプ機構を駆動すると、試料は第一流路(1)から計量用流路(3)に導入される。試料が試料計量部(3a)に一定量充填されたことをセンサ部(20)で検知すると移送制御手段(11)のポンプ機構を停止する。
(iii)次いで、移送制御手段(12)のポンプ機構を駆動すると、試料計量部(3a)中の試料は吸引されて接合部(4)から第二流路(2)へ注入される。試料に続いて、流入口(7)から導入された移送用流体が第二流路(2)に注入される。
【0073】
本第三態様は、バルブの操作が全く不要で、2つのポンプの操作のみによって試料の計量と注入が可能であるため、駆動装置を簡略化できる。また、第二流路(2)の移送制御手段(12)により試料が第二流路(2)に導入されるため、他の流路に圧力負担が掛からず、試料を高圧で注入する場合に好適である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
【0075】
本実施例で使用する紫外線硬化樹脂組成物の調製方法、および、紫外線照射方法を以下に示す。
【0076】
[流路形成用の紫外線硬化性組成物(X1)の調製]
活性ネルギー線重合性化合物として、大日本インキ化学工業株式会社製の平均分子量約2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」60部、第一工業製薬株式会社製1,6−ヘキサンジオールジアクリレート「ニューフロンティアHDDA」20部、及び、第一工業製薬株式会社製ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=17)アクリレート「N−177E」20部、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」5部、及び、重合遅延剤として関東化学株式会社製2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.1部を均一に混合して組成物(X1)を調製した。
【0077】
[蓋形成用の紫外線硬化性組成物(X2)の調製]
ネルギー線重合性化合物として前記「ユニディックV−4263」60部、前記「ニューフロンティアHDDA」20部、前記「N−177E」20部、光重合開始剤として前記「イルガキュアー184」2部を混合して、蓋用組成物を調製した。
【0078】
[蓋形成用の紫外線硬化性組成物(X3)の調製]
ネルギー線重合性化合物として前記「ユニディックV−4263」60部、前記「ニューフロンティアHDDA」40部、光重合開始剤として前記「イルガキュアー184」2部を混合して、蓋用組成物を調製した。
【0079】
[多孔質層形成用の紫外線硬化性組成物(Y)の調製]
ネルギー線重合性化合物として、前記「ユニディックV−4263」72質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート「R−684」(日本化薬株式会社製)18質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業株式会社製)10質量部、貧溶剤(R)としてデカン酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を180質量部、揮発性の良溶剤としてアセトンを10質量部、紫外線重合開始剤として前記「イルガキュアー184」3質量部を、均一に混合して多孔質層形成用の組成物(Y)を調製した。
【0080】
[ゲル形成用の紫外線硬化性組成物(Z)の調製]
活性ネルギー線重合性化合物として和光純薬社製アクリルアミド10部及びN,N−ジメチルビスアクリルアミド0.15部、光重合開始剤として「イルガキュア184」2部、及び、蒸留水90部を均一に混合して、ゲルを形成用の組成物(Z)を調製した。
【0081】
[紫外線ランプ1による照射]
3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
【0082】
[紫外線ランプ2による照射]
250W高圧水銀ランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト250Wシリーズ露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cmの紫外線を、特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
【0083】
(実施例1)
本実施例では本発明の第一態様である、移送制御手段(11)及び移送制御手段(12)として開閉バルブを使用した例であり、図2に示したように、流体移送手段(15)として外部ポンプを用いる例を示す。本実施例ではまた、第二流路(2)に接続して微量試料計量デバイス内に形成されたクロマトグラフィー・カラムに計量した試料を注入する例を示す。
【0084】
[クロマトグラフィー・カラム用の多孔質層(23)の形成]
厚さ1mmのアクリル樹脂製の基板(21)にスピンコーターを用いて、組成物(X2)を塗布し、紫外線ランプ1にて 1秒間紫外線を照射して塗膜を半硬化させて第一樹脂層(22)とした。その上にスピンコーターにて組成物(Y)を塗工し、フォトマスクを通して紫外線ランプ2により、多孔質層(23)が形成される多孔質層形成領域(23)とする部分に紫外線を40秒照射して照射部分の組成物(Y)の塗膜を硬化させると同時に相分離させ、n−ヘキサンで貧溶剤(R)を洗浄除去して多孔質層(23)を形成した。
【0085】
[流路となる溝の形成]
前記多孔質層(23)の上に、バーコーターを用いて組成物(X1)を塗工し、第一流路(1)、第二流路(2)、計量用流路(3)、およびクロマトグラフィー・カラム(25)と成すべき部分以外の部分にフォトマスクを通して紫外線ランプ2による紫外線照射を40秒行って組成物(X1)の塗膜を半硬化させて第二樹脂層(24)を形成し、非照射部分の未硬化の前記組成物(X1)をエタノールで洗浄除去して、第一流路(1)、第二流路(2)、計量用流路(3)、接合部(4)、およびクロマトグラフィー・カラム(25)となる溝を形成した。
【0086】
[蓋(26)の固着]
一方、組成物(X2)を、片面がコロナ放電処理された厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンシート(二村化学株式会社製)を一時的な支持体(図示略)として、その上にバーコーターを用いて塗工し、紫外線ランプ1により紫外線を1秒照射して半硬化させ、これを前記で形成された溝を有する部材の溝形成面に張り合わせ、紫外線ランプ1により紫外線を40秒照射して完全に硬化させて蓋(26)を固着した。次いで、前記一時的な支持体を剥離除去して、毛細管状の第一流路(1)、第二流路(2)、計量用流路(3)、及び接合部(4)から成る流路(10、及び、試料流出口(6)に接続されたクロマトグラフィー・カラム(25)を有する微量試料計量デバイス前駆体を形成した。
【0087】
[その他の構造の形成]
この後、ドリルを使用して、前記蓋(26)を貫通し、試料流入口(5)において第一流路(1)に通じる直径0.5mmの孔(28)を開け、該開口部にルアーフィッティング(35)を接着して接続口(35)とした。同様にして、流出口(6)に接続されたクロマトグラフィー・カラム(25)の他端(27)に直径0.5mmの孔(29)を開け、ルアーフィッティング(36)を接着して接続口(36)を形成し、さらに、試料流出口(7)に直径0.5mmの孔(30)を開け、該開口部にルアーフィッティング(37)を接着して接続口(37)として、微量試料計量デバイス(100)を得た。この微量試料計量デバイス(100)の第一流路の途中の一部は図6に示された圧迫部(41)とされ、該圧迫部(41)と、それに相対する流路部分(42)とで開閉バルブ(43)が構成され、移送制御機構(11)とされている。同様の機構が第二流路の途中に設けられ、移送制御機構(12)とされている。
【0088】
[流路の構造観察]
得られた微量試料計量デバイス(100)の各部の寸法を光学顕微鏡にて観察した。流路(10)全体の深さ、及びクロマトグラフィー・カラム(25)の深さ(但し、多孔質層の厚みを除く)は約50μmであり、幅は、第一流路(1)、第二流路(2)、及び、クロマトグラフィー・カラム(25)が約150μm、計量用流路(3)が約50μmであった。また、基板(21)の厚みは1mm、第一樹脂層(22)の厚みは10μm、多孔質層(23)の厚みは約5μm、第二樹脂層(24)の厚みは50μm、蓋(26)の厚みは約100μmであった。
【0089】
[微量試料計量装置]
(A)「流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料が第二流路(2)に流入しないようにする機構」として、ゴム製の押圧部(65)を有し、コンピュータ(61)制御による、電磁式のアクチュエータ(64)を作製した。
【0090】
(B)「計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止する機構」として、センサ部(20)を観察する蛍光顕微鏡(62)、試料を検知し、電気信号に変換する、蛍光顕微鏡に付属した光電子増倍管(63)、及び該電気信号を受けて流体移送手段(15)の送液を制御するコンピュータ(61)でもって上記機構とした。
【0091】
(C)「計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また送液移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにする機構」として、ゴム製の押圧部(67)を有し、コンピュータ(61)制御による電磁式のアクチュエータ(66)を作製した。
【0092】
(D)流体を送液及び停止する機構」として、流体移送手段(15)であるシリンジポンプ(15)を使用した。
【0093】
以上の機構と、前記微量試料計量デバイス(100)でもって、図8に示したような微量試料計量装置(101)を構成した。
【0094】
[試料計量試験]
図2および図8に示しように、接続口(27)に、リザーバタンク(52)と流体移送手段(15)とを兼ねた機構として、蒸留水の入ったシリンジポンプ(15)を接続し、移送制御手段(11)の開閉バルブ及び移送制御手段(12)の開閉バルブを共に開いた状態で該シリンジポンプ(15)を吐出方向に駆動することによって、流路(10)全体に蒸留水を充満させた。
【0095】
次いで、図5および図7に示した移送制御手段(11)の圧迫部(41)及び移送制御手段(12)の圧迫部(41)を図8に示した押圧機構(64)、(66)であるアクチュエータ(64)、(66)にて圧迫して、両開閉バルブを閉じ、試料流入口(5)のルアーフィッティング(35)内にピペットにてに蛍光色素フルオレシン(和光純薬製)の1×10−6M水溶液を10μl配した。
【0096】
その後、圧迫を解除して移送制御手段(11)を開き、計量用流路(3)の途上に設けられたセンサ部(20)である測定用窓を蛍光顕微鏡(62)で蛍光測定しながらシリンジポンプ(15)を吸引方向に駆動したところ、試料は第一流路(1)を通り接合部(4)を経て第二流路に入った。試料が試料計量部(3a)を満たし、センサ部(20)に達したことを蛍光顕微鏡(62)の光電子増倍管(63)が検出した。コンピュータ(61)により、光電子増倍管(63)の検出該信号を受けたところでシリンジポンプ(15)を停止した。
【0097】
圧迫部(41)を圧迫して移送制御手段(11)の開閉バルブを閉じる一方、圧迫を解除して移送制御手段(12)を開いた後、同シリンジポンプ(15)を吐出方向に駆動したところ、計量用流路(3)の試料計量部(3a)内の試料は、試料移送流体の流入口(7)から計量用流路(3)に導入される蒸留水によって押され、接合部(4)を経て第二流路(2)に移送され、試料流出口(6)からクロマトグラフィー・カラム(25)に注入されて、接続口(36)から微量試料計量デバイス(100)外へ排出された。上記の移送制御手段(11)、(12)の開閉、流体移送手段(15)の駆動は全てコンピュータ(61)制御により行った。
【0098】
このとき、蛍光顕微鏡(62)と光電子増倍管(63)を用いて、試料流出口(6)に於ける蛍光強度の時間変化を測定し、試料のフルオレセインに起因する蛍光強度の積分値を検量線と比較して注入量を求めたところ、注入量は約7.3nlと見積もられた。
【0099】
(実施例2)
本実施例では本発明の第二態様である、移送制御手段(11)及び移送制御手段(12)として逆止弁を使用した例であり、図2に示したように、流体移送手段(15)として外部ポンプを用いる例を示す。本実施例ではまた、第二流路(2)に接続して微量試料計量デバイス(100)内に形成されたクロマトグラフィー・カラムに計量した試料を注入する例を示す。
【0100】
(イ)樹脂第二層(24)の形成時に、第一流路の途中の接合部(4)の近くに移送制御手段(11)である逆止弁の弁室(44)となる凹部(44)を、また、第二流路の途中の接合部(4)の近くに移送制御手段(12)である逆止弁の弁室(44)となる凹部(44)を形成したこと、
(ロ)第二樹脂層(24)の溝と凹部(44)いっぱいに組成物(Z)を充填し、移送制御手段(11)である逆止弁の弁体(45)及び移送制御手段(12)である逆止弁の弁体(45)となす部分に紫外線ランプ2を用いて紫外線を40秒間照射し、未照射部の未硬化の組成物(Z)を蒸留水で洗浄除去して、移送制御手段(11)となる逆止弁の弁室(44)と移送制御手段(12)となる逆止弁の弁室(44)内に、それぞれゲル製の弁体(45)を形成したこと、
(ハ)蓋(26)の固着の工程に先だって、前記2箇所のゲル製の弁体(45)の上面に筆でシリコンオイルを塗布し、該塗布部分を非接着性としたこと、
以外は実施例1と同様にして、微量試料計量デバイス(100)を作成し、移送制御手段(11)と移送制御手段(12)の両者を開閉バルブ(43)の代わりに逆止弁(46)としたこと以外は実施例1と同様の微量試料計量デバイス(100)を得た。
【0101】
[流路の構造観察]
得られた微量試料計量デバイス(100)の各部の寸法を光学顕微鏡にて観察したところ、図7に示したように、弁室(44)は共に幅が約300μmの、平面形状が砲弾型の柱状、弁体は共に、一辺が約300μmの三角柱状であった。これらの高さは流路(10)と同じ50μmであった。それ以外は実施例1と同様であった。この弁体(45)は両者とも、底と両側壁部において弁室(44)内面に固着していたが、蓋(26)には接触しているが固着していなかった。
【0102】
[微量試料計量装置]
アクチュエータ(64)、(66)を有さないこと以外は実施例1と同様の微量試料計量装置(101)を作製した。
【0103】
なお、本実施例に於いては、(A)「流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料が第二流路(2)に流入しないようにする機構」及び(C)「計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また送液移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにする機構」は微量計量デバイス(100)内に形成された2つの逆止弁(7)が上記機構となる。
【0104】
[試料計量試験]
実施例1と同様に接続し、あらかじめ流路(10)に蒸留水を充満させるに当たって、接続口(35)と接続口(36)の内側をそれぞれリザーバタンク(51)(52)として用い、これらに蒸留水を満たしておき、流体移送手段(15)であるシリンジポンプ(15)を吸引した後吐出して、流路(10)全体に蒸留水を充満させたこと、微少試料計量装置(101)が押圧機構(64)、(66)を持たず、移送制御手段(11)と移送制御手段(12)の特別な開閉操作を一切行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして試料注入試験を行った。
【0105】
その結果、移送制御手段(11)と移送制御手段(12)は、流体移送手段(15)であるシリンジポンプ(15)の吸引と吐出に応じて自動的に開閉したこと、計量してクロマトカラムに注入した試料は、実施例1よりテーリングが多かったこと、及び、注入量が約7.1nlと見積もられた以外は、実施例1と同様であった。
【0106】
(実施例3)
本実施例では本発明の第二態様である、移送制御手段(11)及び移送制御手段(12)として逆止弁を使用した例であり、図3に示したように、流体移送手段(15)として内部ポンプを用いた例を示す。本実施例ではまた、第二流路(2)に接続して微量試料計量デバイス(100)内に形成されたクロマトグラフィー・カラムに計量した試料を注入する例を示す。
【0107】
(イ)樹脂第二層(24)の形成時に、計量用流路の途中のセンサ部(20)と試料移送流体の流入口(7)との間の部分に、流体移送手段(15)としてのポンプ機構(15)用の圧力弁(49)となる堰状構造(47)を形成したこと、
(ロ)蓋(26)の固着の工程に先だって、該堰状構造(47)の上面に筆でシリコンオイルを塗布し、該塗布部分を非接着性としたこと、
以外は実施例2と同様の方法で作製し、
(ハ)圧力弁(49)の堰状構造(47)上面と蓋(26)との接触面が接触しているが固着していない構造を持つこと、
(二)上記圧力弁(49)とセンサ部(20)との間の計量用流路(3)の一部を圧迫部(48a)、前記堰状構造(47)と試料移送流体の流入口(7)との間の計量用流路(3)の一部を圧迫部(48b)とし、圧力弁(49)、圧迫部(48a)、及び圧迫部(48b)とで、双方向に流体を移送可能なポンプ機構(15)を構成したこと、
以外は実施例2と同様の微量試料計量デバイス(100)を得た。
【0108】
[流路の構造観察]
得られた微量試料計量デバイス(100)の各部の寸法を光学顕微鏡にて観察したところ、堰状構造(45)は流路方向の長さが約150μm、高さ50μm四角柱状であり、その上面は蓋に接触しているが固着していなかった。
【0109】
[微量試料計量装置]
上記微量試料計量デバイス(100)、図8に示されたような、センサ部(20)を観測する、光電子増倍管(63)付き蛍光顕微鏡(62)、ポンプ機構(15)の圧迫部(48a)を駆動するためのアクチュエータ(64)、ポンプ機構(15)の圧迫部(48b)を駆動するためのアクチュエータ(64)、および制御用のコンピュータ(61)から成る微量試料計量装置(101)を作製した。
【0110】
なお、本実施例に於いては、微量計量デバイス(100)内部のポンプ機構(15)、アクチュエータ(64)、(66)及び制御用のコンピュータ(61)が(B)「計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止する機構」となる。また、実施例2と同様に、(A)「流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料が第二流路(2)に流入しないようにする機構」及び(C)「計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また送液移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにする機構」は微量計量デバイス(100)内に形成された2つの逆止弁(7)が上記機構となる。
【0111】
[試料注入試験]
図3の構成において、
(あ)シリンジポンプ(15)を吸引方向に駆動する代わりに、ゴム製の押圧部(65)を持つアクチュエータ(64)を駆動し圧迫部(48a)を繰り返し圧迫して、図11(a)および図11(b)に示したように、圧迫により流路(10)内の一部の液体が圧迫されて堰状構造(45)を乗り越えて送液されたこと、及び、
(い)シリンジポンプ(15)を吐出方向に駆動する代わりに、前記ポンプ機構(15)の圧迫部(48b)をゴム製の押圧部(67)を持つアクチュエータ(66)を用いて繰り返し圧迫して、上記(あ)とは逆の方向に送液したこと、
以外は、実施例2と同様にして試料注入試験を行い、実施例2と同様の結果を得た。
【0112】
(実施例4)
本実施例では本発明の第三態様であり、図4に示したような構成の、移送制御手段(11)及び移送制御手段(12)として流体移送手段(15)を兼ねる内部ポンプを使用した例を示す。本実施例ではまた、第二流路(2)に接続して微量試料計量デバイス(100)内に形成されたクロマトグラフィー・カラムに計量した試料を注入する例を示す。
【0113】
(イ)2つの逆止弁(46)の代わりに、樹脂第二層(24)の形成時に、第一流路の途中の接合部(4)に接する部分に移送制御手段(11)と流体移送手段(15)を兼ねるポンプ機構(15)の圧力弁(49)用の堰状構造(47)を、また、第二流路(2)の途中に移送制御手段(12)と流体移送手段(15)を兼ねるポンプ機構(15)の圧力弁(49)用の堰状構造(47)をを形成したこと、
(ロ)蓋(26)の固着の工程に先だって、2箇所の堰状構造(47)の上面にシリコンオイルを塗布し、該部分を非接着性としたこと、
以外は実施例1と同様にして作製し、
(ハ)第一流路(1)上部の蓋部分の、試料流入口(5)と前記堰状構造(47)との間の部分を圧迫部(48a)とし、該圧迫部(48a)と前記堰状構造(47)とでポンプ機構(15)を構成し、これを流体移送手段(15)を兼ねた移送制御手段(11)としたこと
(ニ)第二流路(1)上部の蓋部分の、前記接合部(4)と前記堰状構造(47)との間の部分を圧迫部(48a)とし、圧迫部(48a)と前記堰状構造(47)とでポンプ機構(15)を構成し、これを流体移送手段(15)を兼ねた移送制御手段(12)としたこと
(ホ)開閉バルブ(43)は設けなかったこと、
以外は実施例1と同様の微量試料計量デバイス(100)を得た。
【0114】
[流路の構造観察]
得られた微量試料計量デバイス(100)の各部の寸法を光学顕微鏡にて観察したところ、2つの堰状構造(47)は流路方向の長さが約150μm、高さ50μm四角柱状であり、その上面は蓋に接触しているが固着していなかった。
【0115】
[微量試料計量装置]
上記微量試料計量デバイス(100)、図8に示されたような、センサ部(20)を観測する、光電子増倍管(63)付き蛍光顕微鏡(62)、移送制御手段(11)を兼ねるポンプ機構(15)を駆動するためのアクチュエータ(64)、移送制御手段(12)を兼ねるポンプ機構(15)を駆動するためのアクチュエータ(66)、および制御用のコンピュータ(61)から成る、シリンジポンプ(15)を持たないこと以外は実施例1と同様の微量試料計量装置(101)を作製した。
【0116】
なお、本実施例に於いては、実施例1と異なり、
(A)「流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料が第二流路(2)に流入しないようにする機構」として、微量計量デバイス(100)内部の移送制御手段(11)を兼ねるポンプ機構(15)、アクチュエータ(64)及び制御用のコンピュータ(61)が使用され、
(B)「計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止する機構」として、光電子増倍管(63)付き蛍光顕微鏡(62)、制御用のコンピュータ(61)、アクチュエータ(64)、及び微量試料計量デバイス(100)内の移送制御手段(11)を兼ねるポンプ機構(15)が使用され、
(C)「計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにする機構」として、微量計量デバイス(100)内部の移送制御手段(12)を兼ねるポンプ機構(15)、アクチュエータ(66)及び制御用のコンピュータ(61)が使用される。
【0117】
[試料注入試験]
(あ)あらかじめ流路(10)に蒸留水を充満させるに当たって、蒸留水を第一接続口(35)と第二接続口(36)に満たしておき、移送制御手段(11)の圧迫部(48a)をゴム製の押圧部(65)を持つアクチュエータ(64)により繰り返し圧迫することで移送制御手段(11)を駆動して、計量用流路に蒸留水を充填し、次いで、移送制御手段(12)の圧迫部(48a)をゴム製の押圧部(67)を持つアクチュエータ(66)で繰り返し圧迫することで移送制御手段(12)を駆動して、第二流路に蒸留水を充填したこと、
(い)シリンジポンプ(15)を吸引駆動する代わりに移送制御手段(11)を駆動することで試料を試料流入口(5)から第二流路へ移送したこと、
(う)シリンジポンプ(15)を吸引駆動する代わりに、移送制御手段(12)を駆動することで試料を計量用流路(3)から第二流路(2)へ注入したこと、
以外は、実施例2と同様にして試料注入試験を行った。
【0118】
その結果、注入した試料は、実施例1より僅かにテーリングが大きかったこと以外は実施例1と同様であった。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に使用する装置の配管図模式図である。
【図2】本発明の第一態様および実施例に使用した装置の配管図模式図である。
【図3】本発明の第一、第二、第三態様、および実施例に使用した装置の配管図模式図である。
【図4】本発明の第四態様および実施例に使用した装置の配管図模式図である。
【図5】本発明の実施例に使用した微量試料計量デバイスの平面図模式図と側面図模式図である。
【図6】本発明の実施例に使用した開閉バルブ部分の、該開閉バルブが開いた状態を示す部分平面図模式図と縦割り断面模式図である。
【図7】本発明の実施例に使用した開閉バルブ部分の、該開閉バルブが閉じた状態を示す部分平面図模式図と縦割り断面模式図である。
【図8】本発明の実施例に使用した微量試料計量装置の構成を示す見取り図である。
【図9】本発明の実施例に使用した逆止弁部分の部分平面図模式図と縦割り断面模式図である。
【図10】本発明の実施例に使用した圧力弁部分の、該圧力弁が閉じた状態を示す部分平面図模式図と縦割り断面模式図である。
【図11】本発明の実施例に使用した圧力弁部分の、該圧力弁をポンプ機構用の圧力弁として使用したときの、流体移送のための押圧初期と押圧後期の様子を示す縦割り断面模式図である。
【符号の説明】
【0120】
1 第一流路
2 第二流路
3 計量用流路
3a 試料計量部
4 接合部
5 試料流入口
6 試料流出口
7 流入口
10 流路
11、12、13 移送制御手段
15 流体移送手段、シリンジポンプ、ポンプ機構
20 センサ部
10 流路
21 基板
22 第一樹脂層
23 多孔質層、多孔質層形成領域
24 第二樹脂層
25 クロマトグラフィー・カラム
26 蓋
27 カラムの他端
28、29、30 孔
35、36、37 ルアーフィッティング、接続口
41 圧迫部
42 圧迫部に相対する流路部分
43 開閉バルブ
44 弁室、凹部
45 ゲル、弁体
46 逆止弁
47 堰状構造
48a、48b 圧迫部
49 圧力弁
51,52 リザーバタンク
61 コンピュータ
62 蛍光顕微鏡
63 光電子増倍管
64、66 押圧機構、アクチュエータ
65,67 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に流体試料を流入させる試料流入口(5)を有し、流路途中に流体の移送を制御する移送制御手段(11)を有する第一流路(1)と、一端に流体試料を流出させる試料流出口(6)を有し、流路途中に流体の移送を制御する移送制御手段(12)を有する第二流路(2)と、一端に流体試料を移送する試料移送用流体を流入させる試料移送流体の流入口(7)を有し、流路中の流体試料を検出するセンサ部(20)を有する計量用流路(3)とから構成され、第一流路(1)、第二流路(2)及び計量用流路(3)のそれぞれの他端部が流体試料を流通するように接合部(4)において接合されてなり、
(A)流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際移送制御手段(12)により流体試料の第二流路(2)への流入を停止し、
(B)計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止し、
(C)計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにすることが可能な微量試料計量デバイス。
【請求項2】
前記移送制御手段(11)及び移送制御手段(12)が、それぞれ逆止弁、圧力弁、開閉バルブ又は流体の移送及び停止が可能なポンプである請求項1に記載の微量試料計量デバイス。
【請求項3】
前記センサ部(20)が、光学式のセンサ部である請求項1又は2に記載の試料計量デバイス。
【請求項4】
前記計量用流路(3)の流路断面積が、1μm〜0.1mmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の微量試料計量デバイス。
【請求項5】
前記試料流出口(6)にクロマトグラフィー・カラムが接続された請求項1〜4のいずれかに記載の微量試料計量デバイス。
【請求項6】
請求項1〜4に記載の微量試料計量デバイスを有し、該微量試料計量デバイスに組み込まれた状態、又は該微量試料計量絵バイスとは独立した状態で、
(A)流体試料を試料流入口(5)より流入し、流体試料を第一流路(1)から計量用流路(3)内に流入し、その際送液移送制御手段(12)により流体試料が第二流路(2)に流入しないようにする機構、
(B)計量用流路(3)中に流入された流体試料が指定量になった時点でセンサ部(20)の検知により流体試料の流入を停止する機構、
(C)計量用流路(3)中の流体試料を流入口(7)から流入する試料移送流体により
第二流路(2)中に移送し、計量された試料を試料流出口(6)より流出させ、その際に第二流路(2)中の移送制御手段(12)を液送可能状態とし、また送液移送制御手段(11)により該流体試料が第一流路(1)に流入しないようにする機構、および、
(D)流体を移送及び停止する機構
を有することを特徴とする微量試料計量装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の微量試料計量デバイスを使用して、流体試料を試料流入口(5)から第一流路(1)に流入させ、
第一流路(1)の移送制御手段(11)を送液可能状態、第二流路(2)の移送制御手段(12)を送液停止状態とし、試料を第一流路(1)から接合部(4)を経由して計量用流路(3)に移送し、
計量用流路(3)に流入する試料が計量用流路(3)中のセンサ部(20)において検出された際に試料の移送を停止して、計量用流路内に微量の一定量の試料を計量し、
次いで、第一流路(1)の移送制御手段(11)を送液停止状態、第二流路(2)の移送制御手段(12)を送液可能状態とし、計量した試料を、予め計量用流路(3)に充填した試料移送用流体により、第一流路(1)から接合部(4)を経由して計量用流路(3)に移送し、試料流出口(6)より微量の一定量の試料を得ることを特徴とする微量試料の計量方法。
【請求項8】
0.1nl〜500nlの試料を計量して得る請求項7に記載の微量試料の計量方法。
【請求項9】
クロマトグラフィー用分離カラムへ注入する試料の計量である請求項7又は8に記載の微量試料の計量方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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