説明

心不全に関連する組成物および方法

本発明は、有効量の塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの、下記の方法を必要とする患者への投与を含む、下記の方法を必要とする患者において、心不全のための入院までの時間を延長するための方法に、一般的に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド、ならびに(iii)任意に、治療されている心血管疾患にとって最良の最新療法を投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全に関連する入院を減らすための方法;(b)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(c)性的機能不全を治療するための方法;(d)非ステロイド性抗炎症化合物を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(e)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(f)ミネソタ心不全生活(Minnesota Living with Heart Failure)生活の質質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;および(g)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法を提供する。
【0002】
関連出願
本願は、米国特許法第119条により、2004年7月16日に出願された米国特許出願第60/588,390号、2004年8月11日に出願された米国特許出願第60/600,354号、2004年9月20日に出願された米国特許出願第60/610,901号、2004年10月29日に出願された米国特許出願第60/622,781号、2004年11月5日に出願された米国特許出願第60/625,056号、2005年4月11日に出願された米国特許出願第60/669,925号、2005年5月26日に出願された米国特許出願第60/684,892号、および2005年6月13日に出願された米国特許出願第60/689,520号に対して優先権を主張する。これらの各々の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
過去30年間にわたる米国における心血管に関する罹患率および死亡率の低下は、心血管疾患メカニズムの研究および治療方針がかなり進歩した結果である。心筋梗塞の罹患率および有病率ならびに心筋梗塞による死亡、ならびに脳血管障害による死亡は、この期間にわたってかなり減少した。これは、主として、これらの非常によく見られる疾患の予防、早期診断、および治療が進歩したためである。
【0004】
うっ血性心不全(CHF)は、病的状態を引き起こし、寿命を縮める心臓異常および末梢異常が関与する臨床症候群である。現在、この症候群は65歳を超える個体の入院の第1位の原因であり、医療費増大の主な原因である。
【0005】
心不全に関連する死亡率を下げるための、患者における酸素消費、生活の質、および/もしくは運動耐容能を改善するための、ならびに入院までの時間を延長するための新しく、より有効な組成物および方法が当技術分野において必要とされている。本発明は、これらの重要な目標ならびに他の重要な目標に向けられている。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、治療的有効量の(i)ヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド、ならびに(iii)任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心グルコシド(ジキタリス)、および利尿化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。1つの態様において、患者はニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類され、好ましくは、IIIまたはIVとして分類される。別の態様において、患者は黒人患者である。
【0007】
本発明は、治療的有効量の塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド、ならびに、任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、および利尿化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。1つの態様において、患者はニューヨーク心臓協会心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類され、好ましくは、IIIまたはIVとして分類される。別の態様において、患者は黒人患者である。
【0008】
本発明は、治療的有効量の(i)ヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド、ならびに(iii)任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、および利尿化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、心不全のための入院までの時間を延長するための方法を提供する。1つの態様において、患者はニューヨーク心臓協会心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類され、好ましくは、IIIまたはIVとして分類される。別の態様において、患者は黒人患者である。
【0009】
本発明のこれらの局面および他の局面は本明細書において詳細に説明される。
【0010】
発明の詳細な説明
本開示全体を通して用いられる以下の用語は、特別の定めのない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0011】
「患者」は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味し、雄および雌を含む。
【0012】
「黒人」は、アフリカ系またはアフリカ系アメリカ人の人を意味する。彼/彼女がそのように自称すれば、アフリカ系アメリカ人でもよく、黒人でもよい。
【0013】
「治療的有効量」は、所期の目的を実現するのに有効な化合物および/または組成物の量を意味する。
【0014】
「内皮機能不全」は、原因にかかわらず、内皮が行う任意の生理学的プロセス(特に、一酸化窒素の産生)の能力が損なわれていることを意味する。内皮機能不全は、例えば、侵襲的技法(例えば、アセチルコリンもしくはメタコリンなどに対する冠状動脈の反応性)によって、または非侵襲的技法(例えば、血流測定、ひじより上または下の腕のカフ閉塞を用いた上腕動脈流の拡張、上腕動脈の超音波検査、画像化法、循環バイオマーカー(例えば、非対称性ジメチルアルギニン(ADMA))の測定など)によって評価することができる。後者の測定の場合、内皮機能不全と診断された患者では、内皮依存性の血流依存性血管拡張反応は低い。
【0015】
「酸素消費量」は、連続最大自転車エルゴメーター運動試験を行なっている間に測定することができる。この試験中、酸素消費量をモニタリングするために呼気が連続して集められる。典型的に、<25ml/kg体重/分のピーク酸素消費量で呼吸困難または疲労が起こる。肺疾患、閉塞性弁膜症などを有する患者の酸素消費量は低い傾向がある。典型的に、患者の酸素消費量が増大すれば患者の運動耐容能が増大し、これは患者の生活の質が改善したことを意味する。
【0016】
「生活の質」は、人間が歩行する能力、階段を上る能力、使い走りをする能力、家の周囲で仕事をする能力、レクリエーション活動に参加する能力の1つまたは複数、ならびに/あるいは日中、休息を必要としないこと、および/または睡眠の問題もしくは息切れが無いことを意味する。生活の質は、ミネソタ心不全生活質問票を用いて測定することができる。標準化のための短時間の指示の後に、この質問票を用いて自己問診が行われる。それぞれの質問に対する回答のランクを合計することによって、スコアが得られる。
【0017】
「性的機能不全」は、男性の勃起不全および女性の性的機能不全を意味し、これらを含む。性的機能不全は、例えば、性的疼痛障害、性的欲求障害、性的興奮機能不全、オルガズム機能不全、性交疼痛、腟痙などを含むが、これに限定されない。
【0018】
「アンジオテンシン変換酵素(ACE-I)阻害剤」は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を触媒する酵素を阻害する化合物を意味する。ACE阻害剤は、ACE活性を阻害して、昇圧物質アンジオテンシンIIの形成を少なくする、または無くすことによってレニン-アンジオテンシン系に介入する、アミノ酸およびその誘導体、ペプチド(ジペプチドおよびトリペプチドを含む)、ならびにACEに対する抗体を含むが、これに限定されない。
【0019】
「アンジオテンシンII拮抗薬」は、アンジオテンシンIIの機能、合成、または異化を妨害する化合物を意味する。アンジオテンシンII拮抗薬はペプチド化合物および非ペプチド化合物を含み、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシンIIの異化を活性化する薬剤、およびアンジオテンシンIIからアンジオテンシンIへの合成を阻止する薬剤を含むが、これに限定されない。レニン-アンジオテンシン系は、血行力学ならびに水および電解質のバランスの調節に関与する。血液量、腎臓灌流圧、または血漿中のナトリウム濃度を下げる要因は系を活性化する傾向があるのに対して、これらのパラメータを上げる要因は系の機能を抑制する傾向がある。
【0020】
「担体」または「ビヒクル」は、化合物の投与に適した担体材料を意味し、当技術分野において公知の任意のこのような材料(例えば、任意の液体、ゲル、溶媒、液体希釈剤、可溶化剤など)を含む。このような材料は無毒であり、組成物のどの成分とも有害に相互作用しない。
【0021】
「徐放性」は、治療的に活性な化合物の血中濃度が長期間にわたって望ましい治療域に維持されるような、治療的に活性な化合物および/または組成物の放出を意味する。徐放性製剤は、望ましい放出特性を得るように当業者に公知の任意の従来法を用いて調製することができる。徐放性は、持続放出、遅延放出、可変放出、パルス放出などを包含し、かつ含む。
【0022】
「ヒドララジン化合物」は、以下の式を有する化合物を意味する。

式中、a、b、およびcはそれぞれ独立して単結合または二重結合であり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、アルキル、エステル、または複素環であり;R3およびR4はそれぞれ独立して孤立電子対または水素であり、但し、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは水素でない。例示的なヒドララジン化合物には、ブドララジン、カドララジン、ジヒドララジン、エンドララジン、ヒドララジン、ピルドララジン、トドララジンなどが含まれる。
【0023】
「アルキル」は、本明細書において定義されるような、低級アルキル基、置換低級アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、架橋シクロアルキル基、シクロアルキル基、または複素環を意味する。アルキル基はまた、例えば、シクロアルキルアルキル基または複素環アルキル基などの1つまたは複数のラジカル種も含んでよい。
【0024】
「低級アルキル」は、1〜約10個の原子(好ましくは、1〜約8個の炭素原子、より好ましくは、1〜約6個の炭素原子)を含む分枝鎖または直鎖の非環式アルキル基を意味する。例示的な低級アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチルなどが含まれる。
【0025】
「置換低級アルキル」は、1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数のR100基で置換されており、それぞれのR100は独立して、本明細書において定義されるヒドロキシ、エステル、アミジル、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、ハロ、シアノ、ニトラート、またはアミノ基である、本明細書において定義される低級アルキル基を意味する。
【0026】
「ハロアルキル」は、本明細書において定義される1つまたは複数のハロゲンが付加された、本明細書において定義される低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋シクロアルキル基、シクロアルキル基、または複素環を意味する。例示的なハロアルキル基には、トリフルオロメチル、クロロメチル、2-ブロモブチル、1-ブロモ-2-クロロ-ペンチルなどが含まれる。
【0027】
「アルケニル」は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含むことができる、分枝鎖または直鎖C2-C10炭化水素(好ましくは、C2-C8炭化水素、より好ましくは、C2-C6炭化水素)を意味する。例示的なアルケニル基には、プロピレニル、ブテン-1-イル、イソブテニル、ペンテン-1-イル、2,2-メチルブテン-1-イル、3-メチルブテン-1-イル、ヘキサン-1-イル、ヘプテン-1-イル、オクテン-1-イルなどが含まれる。
【0028】
「低級アルケニル」は、1つまたは2つの炭素-炭素二重結合を含むことができる、分枝鎖または直鎖C2-C4炭化水素を意味する。
【0029】
「置換アルケニル」は、1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数のR100基で置換されており、それぞれのR100は独立して、本明細書において定義されるヒドロキシ、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、ハロ、シアノ、またはアミノ基である、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含むことができる分枝鎖または直鎖C2-C10炭化水素(好ましくは、C2-C8炭化水素、より好ましくは、C2-C6炭化水素)を意味する。
【0030】
「アルキニル」は、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を含むことができる不飽和非環式C2-C10炭化水素(好ましくは、C2-C8炭化水素、より好ましくは、C2-C6炭化水素)を意味する。例示的なアルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチル-1-イル、ペンチル-2-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシル-1-イル、ヘキシル-2-イル、ヘキシル-3-イル、3,3-ジメチル-ブチン-1-イルなどが含まれる。
【0031】
「架橋シクロアルキル」は、隣接原子または非隣接原子を介して一体となっている、2つもしくはそれ以上のシクロアルキル基、複素環基、またはその組み合わせを意味する。架橋シクロアルキル基は置換されていなくてもよく、1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていてもよい。置換基は独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アリール、アミジル、エステル、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソ、およびニトロより選択される。例示的な架橋シクロアルキル基には、アダマンチル、デカヒドロナフチル、キヌクリジル、2,6-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタン、7-オキサビシクロ(2.2.1)ヘプチル、8-アザビシクロ(3,2,1)オクト-2-エニルなどが含まれる。
【0032】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子を含む飽和炭化水素または不飽和環式炭化水素を意味する。シクロアルキル基は置換されていなくてもよく、1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていてもよい。置換基は独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アリール、アミジル、エステル、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソ、アルキルスルフィニル、およびニトロより選択される。例示的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ-1,3-ジエニルなどが含まれる。
【0033】
「複素環または複素環基」は、1〜約4個の炭素原子が1つまたは複数の窒素原子、酸素原子、および/または硫黄原子で置換されている、約2〜約10個の炭素原子(好ましくは、約4〜約6個の炭素原子)を有する飽和環式炭化水素基または不飽和環式炭化水素基を意味する。硫黄は、チオ、スルフィニル、またはスルホニル酸化状態にあってもよい。複素環または複素環基は芳香族炭化水素基と一体になっていてもよい。複素環基は置換されていなくてもよく、1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていてもよい。置換基は独立して、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、ヒドロキシ、オキソ、チアール、ハロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アミジル、エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルフィニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミドニトラート、およびニトロより選択される。例示的な複素環基には、ピロリル、フリル、チエニル、3-ピロリニル、4,5,6-トリヒドロ-2H-ピラニル、ピリジニル、1,4-ジヒドロピリジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、インドリル、チオフェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、テトラゾリル、ピロリニル、ピロリンジニル、オキサゾリンジニル1,3-ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリンジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモルホリニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、ベンゾ(b)チオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリニル、キノリニル、2,6-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタンなどが含まれる。
【0034】
「複素環式化合物」は、少なくとも1つのアリールまたは複素環を含む単環式化合物または多環式化合物を意味する。
【0035】
「アリール」は、1つまたは2つの芳香族環を含む、単環式、二環式、炭素環式、または複素環式の環構造を意味する。例示的なアリール基には、フェニル、ピリジル、ナフチル、キノイル、テトラヒドロナフチル、フラニル、インダニル、インデニル、インドイルなどが含まれる。アリール基(二環式アリール基を含む)は置換されていなくてもよく、1つ、2つ、または3つの置換基で置換されていてもよい。置換基は独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ハロ、シアノ、アルキルスルフィニル、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミジル、エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、カルボニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミド、およびニトロより選択される。例示的な置換アリール基には、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、スルホンアミド、アルキルスルホニル、アリールスルホニルなどが含まれる。
【0036】
「ヒドロキシ」は、-OHを意味する。
【0037】
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書において定義されるアルキル基が付加された、本明細書において定義されるヒドロキシ基を意味する。
【0038】
「アルキルカルボニル」は、R52-C(O)-を意味し、式中、R52-は、本明細書において定義されるアルキル基である。
【0039】
「アリールカルボニル」は、R55-C(O)-を意味し、式中、R55は、本明細書において定義されるアリール基である。
【0040】
「エステル」は、R51C(O)O-を意味し、式中、R51は、本明細書において定義される、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリール複素環である。
【0041】
「アルキルアリール」は、本明細書において定義されるアリール基が付加された、本明細書において定義されるアルキル基を意味する。例示的なアルキルアリール基には、ベンジル、フェニルエチル、ヒドロキシベンジル、フルオロベンジル、フルオロフェニルエチルなどが含まれる。
【0042】
「アリール複素環」は、本明細書において定義されるアリール環がアリール環の2つの隣接する炭素原子を介して本明細書において定義される複素環に付加された、二環式環または三環式環を意味する。例示的なアリール複素環には、ジヒドロインドール、1,2,3,4-テトラ-ヒドロキノリンなどが含まれる。
【0043】
「ヒドラジノ」は、H2N-N(H)-を意味する。
【0044】
本発明において、好ましいヒドララジン化合物はヒドララジンである。ヒドララジンは、好ましくは、薬学的に許容される塩の形で投与され、最も好ましくは、塩酸ヒドララジンの形で投与される。塩酸ヒドララジンは、例えば、Lederle Standard Products, Pearl River, NY、およびPar Pharmaceuticals Inc., Spring Valley, NYから市販されている。塩酸ヒドララジンは白色からオフホワイトの結晶粉末であり、水溶性であり、アルコールにわずかに溶け、エーテルにごくわずかに溶ける。
【0045】
二硝酸イソソルビドは、例えば、DILATRATE(登録商標)-SR(Schwarz Pharma, Milwaukee, WI)、ISORDIL(登録商標)およびISORDILR TITRADOSE(登録商標)(Wyeth Laboratories Inc., Philadelphia, PA)、ならびにSORBITRATE(登録商標)(Zeneca Pharmaceuticals, Wilmington, DE)の商品名で市販されている。希二硝酸イソソルビド(1,4,3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール-2,5-ジニトラート), USPは白色からオフホワイトの粉末である。希二硝酸イソソルビドは、エタノール、エーテル、およびクロロホルムなどの有機溶媒に大量に溶けるが、水には少ししか溶けない。
【0046】
一硝酸イソソルビドは、例えば、IMDUR(登録商標)(A. B. Astra, Sweden)、MONOKET(登録商標)(Schwarz Pharma, Milwaukee, WI)、およびISMO(登録商標)(Wyeth-Ayerst Company, Philadelphia, PA)の商品名で市販されている。
【0047】
二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドは、爆発しないようにするために、化合物(ラクトース、アルギニン、マンニトール、ソルビトール、セルロース(Avicel(登録商標))など、およびこれらの2つまたはそれ以上の組み合わせなどがあるが、これに限定されない)を添加することによって安定化することができる。
【0048】
ヒドララジン化合物ならびに二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つは、別々の成分として、または同じ組成物の成分として投与することができる。ヒドララジン化合物ならびに二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つが別々の成分として投与される時、好ましくは、ほぼ同じ時間に患者に投与される。「ほぼ同じ時間」は、一方の化合物(例えば、ヒドララジン化合物または二硝酸イソソルビド/一硝酸イソソルビド)を患者に投与して約30分以内に、他方の化合物(例えば、二硝酸イソソルビド/一硝酸イソソルビドまたはヒドララジン化合物)を患者に投与することを意味する。「ほぼ同じ時間」はまた、化合物を同時に投与することも含む。
【0049】
本発明は、治療的有効量の(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)ならびに(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。1つの態様において、心不全患者は高血圧および/または内皮機能不全を有する。1つの態様において、患者は黒人患者である。別の態様において、心不全患者は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類される。ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)ならびに二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)は組成物の形で投与されてもよく、別々に投与されてもよい。1つの態様において、患者には、治療的有効量の塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドが投与される。別の態様において、患者には、約30ミリグラム〜約300ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンおよび約20ミリグラム〜約200ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドが投与される。別の態様において、患者には、約75ミリグラム〜約225ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンおよび約40ミリグラム〜約120ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドが投与される。この態様において、75mgのヒドララジンが1日に1回、2回、または3回投与されてもよく、40mgの二硝酸イソソルビドが1日に1回、2回、または3回投与されてもよい。別の態様において、患者には、約37.5ミリグラム〜約112.5ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンが投与され、約20ミリグラム〜約60ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドが投与される。この態様において、37.5mgのヒドララジンが1日に1回、2回、または3回投与されてもよく、20mgの二硝酸イソソルビドが1日に1回、2回、または3回投与されてもよい。塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドは、別々に、または同じ組成物の成分として投与することができる。
【0050】
本発明は、治療的有効量の(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、利尿化合物、非ステロイド性抗炎症化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)β-アドレナリン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)アンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)アルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)強心配糖体を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)利尿化合物を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害剤、ならびに(iv)β-アドレナリン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害剤、ならびに(iv)アルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害剤、ならびに(iv)アンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)β-アドレナリン拮抗薬、ならびに(iv)アルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)β-アドレナリン拮抗薬、ならびに(iv)アンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害剤、(iv)β-アドレナリン拮抗薬、ならびに(v)アルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害剤、(iv)β-アドレナリン拮抗薬、ならびに(v)アンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)アンジオテンシンII拮抗薬、ならびに(iv)アルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)利尿化合物、ならびに(iv)強心配糖体を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)非ステロイド性抗炎症化合物を投与する方法を提供する。別の態様において、患者は黒人である。別の態様において、心不全患者は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類される。これらの態様において、ヒドララジン化合物、ならびに二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つは、別々に、または同じ組成物の成分として投与されてもよく、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、利尿化合物、非ステロイド性抗炎症化合物の少なくとも1つ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせと共に組成物の形で投与されてもよく、これらの投与と同時に、投与の後に、または投与の前に投与されてもよい。1つの態様において、全ての化合物は1つの組成物の形で一緒に投与される。
【0051】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ、ならびに任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、利尿化合物、非ステロイド性抗炎症化合物の少なくとも1つ、およびこれらの2つまたはそれ以上の組み合わせを含む、薬学的キットを提供する。ヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ、ならびに任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、および利尿化合物はキットにおいて別々の成分でもよく、キットにおいて組成物の形をとって、1つまたは複数の薬学的に許容される担体の中にあってもよい。
【0052】
1つの態様において、塩酸ヒドララジンは、約30ミリグラム/日〜約400ミリグラム/日の量で投与することができる。二硝酸イソソルビドは、約10ミリグラム/日〜約200ミリグラム/日の量で投与することができる。または、一硝酸イソソルビドは、約5ミリグラム/日〜約120ミリグラム/日の量で投与することができる。別の態様において、塩酸ヒドララジンは、約50ミリグラム/日〜約300ミリグラム/日の量で投与することができる。二硝酸イソソルビドは、約20ミリグラム/日〜約160ミリグラム/日の量で投与することができる。または、一硝酸イソソルビドは、約15ミリグラム/日〜約100ミリグラム/日の量で投与することができる。別の態様において、塩酸ヒドララジンは、1日1回〜4回、約37.5ミリグラム〜約75ミリグラムの量で投与することができる。二硝酸イソソルビドは、1日1回〜4回、約20ミリグラム〜約40ミリグラムの量で投与することができる。または、一硝酸イソソルビドは、1日1回〜4回、約10ミリグラム〜約20ミリグラムの量で投与することができる。特定の量のヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドまたは一硝酸イソソルビドが、1日1回、単回投与として投与されてもよく、1日数回、複数回投与で投与されてもよく、徐放性経口製剤として投与されてもよい。
【0053】
本発明の方法の1つの態様において、患者には、1日1回(すなわち、q.d.)、約225mgの塩酸ヒドララジンおよび約120mgの二硝酸イソソルビドを含む組成物を投与することができる。本発明の方法の別の態様において、患者には、1日2回(すなわち、b.i.d.)、約112.5mgの塩酸ヒドララジンおよび約60mgの二硝酸イソソルビドを含む組成物を投与することができる。本発明の方法の別の態様において、患者には、1日2回(すなわち、b.i.d.)、約56.25mgの塩酸ヒドララジンおよび約30mgの二硝酸イソソルビドを含む組成物を投与することができる。本発明の方法の別の態様において、患者には、1日3回(すなわち、t.i.d.)、約75mgの塩酸ヒドララジンおよび約40mgの二硝酸イソソルビドを含む組成物を投与することができる。本発明の方法の別の態様において、患者には、1日3回(すなわち、t.i.d.)、約37.5mgの塩酸ヒドララジンおよび約20mgの二硝酸イソソルビドを含む組成物を投与することができる。
【0054】
本明細書に記載のどの態様においても、任意の特定の時間で、1つ、2つ、または3つの組成物(例えば、2個の錠剤、2個のカプセルなど)を患者に投与することができる。例えば、患者には、1日2回(すなわち、b.i.d.)、2つの別個の組成物(各組成物は約112.5mgの塩酸ヒドララジンおよび約60mgの二硝酸イソソルビドを含む)を投与することができる。別の態様において、患者には、1日2回(すなわち、b.i.d.)、2つの別個の組成物(各組成物は約56.25mgの塩酸ヒドララジンおよび約30mgの二硝酸イソソルビドを含む)を投与することができる。
【0055】
本発明において、少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つは、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心配糖体、利尿化合物、非ステロイド性抗炎症化合物の少なくとも1つ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせと共に、別々の成分として、または同じ組成物の成分として投与される。これらはまた、別々の成分として、1日1回、単回投与で投与されてもよく、1日数回、複数回投与で投与されてもよく、徐放性経口製剤として投与されてもよい。
【0056】
1つの態様において、本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)任意に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。適切なアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)には、アラセプリル、ベナゼプリル(LOTENSIN(登録商標)、CIBACEN(登録商標))、ベナゼプリラト、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、ドゥイナプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ファシドトリル、フォシノプリル、ホシノプリラト、ゲモパトリラト、グリコプリル、イドラプリル、イミダプリル、リシノプリル、モエキシプリル、モベルチプリル、ナフトピジル、オマパトリラト、ペントプリル、ペリンドプリル、ペリンドプリラト、キナプリル、キナプリラト、ラミプリル、ラミプリラト、レンチプリル、酢酸サララシン、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、トランドラプリラト、ウラピジル、ゾフェノプリル、アシルメルカプトおよびメルカプトアルカノイルプラリン、カルボキシアルキルジペプチド、カルボキシアルキルジペプチド、ホスフィニルアルカノイルプラリン、登録番号796406、AVE7688、BP1.137、CHF1514、E4030、ER3295、FPL-66564、MDL100240、RL6134、RL6207、RL6893、SA760、S-5590、Z13752Aなどが含まれるが、これに限定されない。当業者であれば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、その薬学的に許容される塩、水和物、酸、および/または立体異性体の形で投与されてもよいことを理解するだろう。適切なアンジオテンシン変換酵素阻害剤は、例えば、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (9th Edition), McGraw-Hill, 1995、ならびにMerck Index on CD-ROM, Twelfth Edition, Version 12:1, 1996、ならびにSTN Express、pharファイル、およびregistryファイル上の文献においてさらに詳細に述べられている。
【0057】
ある態様において、アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、またはトランドラプリラトである。他の態様において、ベナゼプリルは、塩酸ベナゼプリルとして、約5ミリグラム〜約80ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。カプトプリルは、約12.5ミリグラム〜約450ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。エナラプリルは、マレイン酸エナラプリルとして、約2.5ミリグラム〜約40ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。フォシノプリルは、フォシノプリルナトリウムとして、約5ミリグラム〜約60ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。リシノプリルは、約2.5ミリグラム〜約75ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。モエキシプリルは、塩酸モエキシプリルとして、約7.5ミリグラム〜約45ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。キナプリルは、塩酸キナプリルとして、約5ミリグラム〜約40ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。塩酸ラマプリルは、約1.25ミリグラム〜約40ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。トランドラプリルは、約0.5ミリグラム〜約4ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。トランドラプリラトは、約0.5ミリグラム〜約4ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。他の態様において、アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、カプトプリル、エナラプリル、またはリシノプリルである。
【0058】
本発明は、1日3回、(i)約37.5ミリグラム〜約75ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約20ミリグラム〜約40ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約12.5ミリグラムのカプトプリル;(ii)約37.5ミリグラム〜約75ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約20ミリグラム〜約40ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約25ミリグラムのカプトプリル;(iii)約37.5ミリグラム〜約75ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約20ミリグラム〜約40ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約50ミリグラムのカプトプリル;または(iv)約37.5ミリグラム〜約75ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約20ミリグラム〜約40ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約100ミリグラムのカプトプリルを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびカプトプリルは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0059】
本発明は、1日2回、(i)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約2.5ミリグラムのエナラプリル;(ii)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約5ミリグラムのエナラプリル;(iii)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約10ミリグラムのエナラプリル;または(iv)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約20ミリグラムのエナラプリルを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびエナラプリルは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0060】
本発明は、1日1回、(i)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約2.5ミリグラムのリシノプリル;(ii)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約5ミリグラムのリシノプリル;(iii)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約10ミリグラムのリシノプリル;または(iv)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約20ミリグラムのリシノプリルを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびリシノプリルは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0061】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)β-アドレナリン拮抗薬を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。適切なβ-アドレナリン拮抗薬には、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブシンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブトフィロロール、カラゾロール、カプシノロール、カルテオロール、カルベジロール(COREG(登録商標))、セリプロロール、セタモロール、シンドロール、クロラノロール、ジレバロール、ジプラフェノン、エパノロール、エルセンチリド、エスモロール、エスプロロール、ヘドロキサノール、インデノロール、ラベタロール、ランジオロール、ラニオロール、レボブノロール、メピンドロール、メチルプラノール、メチンドール、メチプラノロール、メトリゾラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、ソタロールナドロール、スルフィナロール、タリプロロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、トマロロール、トリメプラノール、キサモテロール、キシベノロール、2-(3-(1,1-ジメチルエチル)-アミノ-2-ヒドロキシプロポキシ)-3-ピリデンカルボニトリルHCl、1-ブチルアミノ-3-(2,5-ジクロロフェノキシ)-2-プロパノール、1-イソプロピルアミノ-3-(4-(2-シクロプロピルメトキシエチル)フェノキシ)-2-プロパノール、3-イソプロピルアミノ-1-(7-メチリンダン-4-イルオキシ)-2-ブタノール、2-(3-t-ブチルアミノ-2-ヒドロキシ-プロピルチオ)-4-(5-カルバモイル-2-チエニル)チアゾール、7-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチルアミンプロポキシ)フタリド、Acc9369、AMO-140、BIB-16S、CP-331684、Fr-172516、ISV-208、L-653328、LM-2616、SB-226552、SR-58894A、SR-59230A、TZC-5665、UK-1745、YM-430などが含まれるが、これに限定されない。当業者であれば、β-アドレナリン拮抗薬は薬学的に許容される塩および/または立体異性体の形で投与できることを理解するだろう。適切なβ-アドレナリン拮抗薬は、例えば、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (9th Edition), McGraw-Hill, 1995、ならびに Merck Index on CD-ROM, 13th Edition、ならびにSTN Express、pharファイル、およびregistryファイル上の文献においてさらに詳細に述べられている。
【0062】
ある態様において、β-アドレナリン拮抗薬は、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、メトプロロール、ネビボロール、プロプラノロール、またはチモロールである。他の態様において、アテノロールは、約50ミリグラム〜約200ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ビソプロロールは、フマル酸ビソプロロールとして、約2.5ミリグラム〜約30ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。カルベジロールは、約3.125ミリグラム〜約200ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。メトプロロールは、酒石酸メトプロロールまたはコハク酸メトプロロールとして、約25ミリグラム〜約300ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ネビボロールは、塩酸ネビボロールとして、約2.5ミリグラム〜約20ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。プロプラノロールは、塩酸プロプラノロールとして、約40ミリグラム〜約240ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。チモロールは、マレイン酸チモロールとして、約10ミリグラム〜約30ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。
【0063】
本発明は、1日2回、(i)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約3.125ミリグラムのカルベジロール;(ii)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約6.25ミリグラムのカルベジロール;(iii)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約12.5ミリグラムのカルベジロール;または(iv)約56.25ミリグラム〜約112.5ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約30ミリグラム〜約60ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約25ミリグラムのカルベジロールを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびカルベジロールは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0064】
本発明は、1日1回、(i)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約25ミリグラムのメトプロロール;(ii)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約50ミリグラムのメトプロロール;(iii)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約100ミリグラムのメトプロロール;または(iv)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約200ミリグラムのメトプロロールを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびメトプロロールは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0065】
本発明は、1日1回、(i)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約2.5ミリグラムのネビボロール;(ii)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約5ミリグラムのネビボロール;(iii)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約10ミリグラムのネビボロール;または(iv)約112.5ミリグラム〜約225ミリグラムの塩酸ヒドララジン、約60ミリグラム〜約120ミリグラムの二硝酸イソソルビド、および約20ミリグラムのネビボロールを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびネビボロールは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0066】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)アンジオテンシンII拮抗薬を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。適切なアンジオテンシンII拮抗薬には、アンジオテンシン、アビテサルタン、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、エリサルタン、エムブサルタン、エノルタソサルタン、エプロサルタン、ホンサルタン、ホラサルタン、グリシロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、ミルファサルタン、メドキソミル、リピサルタン、プラトサルタン、サプリサルタン、サララシン、サルメシン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ゾラサルタン、3-(2'(テトラゾール-5-イル)-1,1'-ビフェン-4-イル)メチル-5,7-ジメチル-2-エチル-3H-イミダゾ(4,5-b)ピリジン、アンジオテンシンIIに対する抗体、

ACS登録番号

の化合物が含まれるが、これに限定されない。当業者であれば、アンジオテンシンII拮抗薬は薬学的に許容される塩および/または立体異性体の形で投与できることを理解するだろう。適切なアンジオテンシンII拮抗薬は、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (9th Edition), McGraw-Hill, 1995、ならびにMerck Index on CD-ROM, 13th Edition、ならびにSTN Express、pharファイル、およびregistryファイル上の文献においてさらに詳細に述べられている。
【0067】
1つの態様において、アンジオテンシンII拮抗薬は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オムレサルタン、テルミサルタン、またはバルサルタンである。他の態様において、カンデサルタンは、カンデサルタンシレキセチルとして、約15ミリグラム〜約100ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。エプロサルタンは、エプロサルタンメシレートとして、約400ミリグラム〜約1600ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。イルベサルタンは、約75ミリグラム〜約1200ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ロサルタンは、ロサルタンカリウムとして、約25ミリグラム〜約100ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。オムレサルタンは、オムレサルタンメドキソミルとして、約5ミリグラム〜約40ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。テルミサルタンは、約20ミリグラム〜約80ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。バルサルタンは、約80ミリグラム〜約320ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。
【0068】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)アルドステロン拮抗薬を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。適切なアルドステロン拮抗薬には、カンレノン、カンレノ酸カリウム、ドロスピレノン、スピロノラクトン、エプレレノン(INSPRA(登録商標))、エポキシメクスレノン、ファドロゾール、プレグン-4-エン-7,21-ジカルボン酸,9,11-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ,γ-ラクトン,メチルエステル,(7α,11α,17β.)-;プレグン-4-エン7,21-ジカルボン酸,9,11-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-ジメチルエステル,(7α,11α,17β.)-;3'H-シクロプロパ(6,7)プレグナ-4,6-ジエン-21-カルボン酸,9,11-エポキシ-6,7-ジヒドロ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,γ-ラクトン,(6β,7β,11α,17β)-;プレグン-4-エン-7,21-ジカルボン酸,9,11-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,7-(1-メチルエチル)エステル,一カリウム塩,(7α,11α,17β.)-;プレグン-4-エン-7,21-ジカルボン酸,9,11,-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,7-メチルエステル,一カリウム塩,(7α,11α,17β.)-;3'H-シクロプロパ(6,7)プレグナ-1,4,6-トリエン-21-カルボン酸,9,11-エポキシ-6,7-ジヒドロ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,γ-ラクトン,(6β,7β,11α)-;3'H-シクロプロパ(6,7)プレグナ-4,6-ジエン-21-カルボン酸,9,11-エポキシ-6,7-ジヒドロ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,メチルエステル,(6β,7β,11α,17β)-;3'H-シクロプロパ(6,7)プレグナ-4,6-ジエン-21-カルボン酸,9,11-エポキシ-6,7-ジヒドロ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,一カリウム塩,(6β,7β,11α,17β)-;3'H-シクロプロパ(6,7)プレグナ-1,4,6-トリエン-21-カルボン酸,9,11-エポキシ-6,7-ジヒドロ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,γ-ラクトン,(6β,7β,11α,17β)-;プレグン-4-エン7,21-ジカルボン酸,9,11-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,γ-ラクトン,エチルエステル,(7α,11α,17β)-;プレグン-4-エン-7,21-ジカルボン酸,9,11-エポキシ-17-ヒドロキシ-3-オキソ-,γ-ラクトン,1-メチルエチルエステル,(7α,11α,17β)-;RU-28318などが含まれるが、これに限定されない。当業者であれば、アルドステロン拮抗薬は薬学的に許容される塩および/または立体異性体の形で投与できることを理解するだろう。適切なアルドステロン拮抗薬は、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (9th Edition), McGraw-Hill, 1995、ならびにMerck Index on CD-ROM, 13th Edition、ならびにSTN Express、pharファイル、およびregistryファイル上の文献においてさらに詳細に述べられている。
【0069】
ある態様において、アルドステロン拮抗薬は、エプレレノンまたはスピロノラクトン(アルドステロン拮抗薬のように作用するカリウム保持性利尿薬)である。1つの態様において、エプレレノンは、約25ミリグラム〜約300ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。スピロノラクトンは、約25ミリグラム〜約150ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。
【0070】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)スピロノラクトンを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの化合物は、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0071】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)エプレレノンを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。これらの化合物は、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0072】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)1種類または複数の種類の利尿薬を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。適切な利尿薬には、チアジド(例えば、アルチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズクロルトリアジド、ベンズヒドロクロロチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、シクロペネチアジド、シクロチアジド、エピチアジド、エチアジド、ヒドロベンズチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチルクロチアジド、メチルシクロチアジド、ペンフルタジド、ポリチアジド、テクロチアジド、トリクロルメチアジド、トリフルメタジドなど);アリルセム、アンブシド、アミロライド、アミノメトラジン、アゾセミド、ベメチジド、ブメタニド、ブタゾールアミド、ブチジド、カンレノン、カルペリチド、クロラミノフェナミド、クロラザニル、クロルメロドリン、クロルサリドン、シクレタニド、クロフェナミド、クロパミド、クロレキソロン、コニバプタン、ダグルトリル、ジクロロフェナミド、ジスルファミド、エタクリン酸、エトクスゾラミド、エトゾロン、フェノルドパム、フェンキゾン、フロセミド、インダパミド、メブチジド、メフルシド、メラルリド、メルカプトメリンナトリウム、メルクマリル酸(mercumallylic acid)、マーサリル、メタゾラミド、メチカン、メトラゾン、モザバプタン、ムゾリミン、N-(5-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)アセトアミド、ネシリチド、パマブロム、パラフルチジド、ピレタニド、プロテオブロミン、キネタゾン、スコパリウス、スピロノラクトン、テオブロミン、チクリナフェン、トルセミド、トルバプタン、トリアムテレン、トリパミド、ウラリチド、キシパミドまたはカリウム、AT189000、AY31906、BG9928、BG9791、C2921、DTI0017、JDL961、KW3902、MCC134、SLV306、SR121463、WAY140288、ZP120などが含まれるが、これに限定されない。当業者であれば、利尿薬は薬学的に許容される塩および/または立体異性体の形で投与できることを理解するだろう。適切な利尿薬は、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (9th Edition), McGraw-Hill, 1995、ならびにMerck Index on CD-ROM, 13th Edition、ならびにSTN Express、pharファイル、およびregistryファイル上の文献においてさらに詳細に述べられている。
【0073】
低カリウム性アルカローシスを避けながら体液平衡を最適化するために、使用する利尿薬に応じて、カリウムを患者に投与することもできる。カリウムの投与は塩化カリウムの形をとってもよく、高カリウム含有量の食品(例えば、バナナまたはオレンジジュース)を毎日摂取することによってもよい。これらの化合物の投与方法は、米国特許第4,868,179号においてさらに詳細に述べられている。米国特許第4,868,179号の開示はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0074】
ある態様において、利尿薬は、アミロライド、フロセミド、クロルサリドン、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、またはトリアムテレンである。他の態様において、アミロライドは、塩酸アミロライドとして、約5ミリグラム〜約15ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。フロセミドは、約10ミリグラム〜約600ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。クロルサリドンは、約15ミリグラム〜約150ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。クロロチアジドは、約500ミリグラム〜約2グラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ヒドロクロロチアジドは、約12.5ミリグラム〜約300ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ヒドロフルメチアジドは、約25ミリグラム〜約200ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。トリアムテレンは、約35ミリグラム〜約225ミリグラム、1日につき単回の投与または複数回の投与での量で投与される。
【0075】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)強心配糖体を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。化合物は、別々に、または組成物の形で投与することができる。1つの態様において、強心配糖体は、ジゴキシン、アセチルジゴキシン、デスラノシド、ジギトキシン、またはメジゴキシンである。他の態様において、ジゴキシンは、少なくとも約0.7ナノグラム/ml〜約2.0ナノグラム/mlの定常状態血清濃度に達するように投与される。
【0076】
本発明は、治療的有効量の(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、トランドラプリル、およびトランドラプリラトからなる群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤、ならびに(iv)カルベジロール、メトプロロール、ビソプロロール、およびネビボロールからなる群より選択されるβ-アドレナリン拮抗薬を患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)1回の入院について、心不全のために心不全患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法(すなわち、心不全患者の1回の入院の期間を減らすための方法);(d)複数回の入院(すなわち、2回またはそれ以上の入院)について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院(例えば、病院における総日数および/または通院の回数)を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全(例えば、勃起不全および女性の性的機能不全)を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物(すなわち、NSAID)を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;ならびに(u)心臓肥大を軽減するための方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)エナラプリル、リシノプリル、トランドラプリル、およびトランドラプリラトからなる群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤、ならびに(iv)エプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択されるアルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、トランドラプリル、およびトランドラプリラトからなる群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤、ならびに(iv)ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、およびバルサルタンからなる群より選択されるアンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)カルベジロール、メトプロロール、ビソプロロール、およびネビボロールからなる群より選択されるβ-アドレナリン拮抗薬、ならびに(iv)エプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択されるアルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)カルベジロール、メトプロロール、ビソプロロール、およびネビボロールからなる群より選択されるβ-アドレナリン拮抗薬、ならびに(iv)ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、およびバルサルタンからなる群より選択されるアンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、およびバルサルタンからなる群より選択されるアンジオテンシンII拮抗薬、(iv)カルベジロール、メトプロロール、ビソプロロール、およびネビボロールからなる群より選択されるβ-アドレナリン拮抗薬、ならびに(v)エプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択されるアルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、トランドラプリル、およびトランドラプリラトからなる群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤、(iv)カルベジロール、メトプロロール、ビソプロロール、およびネビボロールからなる群より選択されるβ-アドレナリン拮抗薬、ならびに(v)ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、およびバルサルタンからなる群より選択されるアンジオテンシンII拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、本発明は、(i)ヒドララジン化合物(好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビド(好ましくは、二硝酸イソソルビド)、(iii)ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、およびバルサルタンからなる群より選択されるアンジオテンシンII拮抗薬、ならびに(iv)エプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群より選択されるアルドステロン拮抗薬を投与する方法を提供する。別の態様において、患者は黒人である。別の態様において、心不全患者は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類される。これらの態様において、ヒドララジン化合物、ならびに二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つは、別々に、または同じ組成物の成分として投与されてもよく、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬の少なくとも1つ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせと共に組成物の形で投与されてもよく、これらの投与と同時に、投与の後に、または投与の前に投与されてもよい。1つの態様において、全ての化合物は1つの組成物の形で一緒に投与される。
【0077】
1つの態様において、本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種類のヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、好ましくは、塩酸ヒドララジン)、(ii)二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つ(例えば、好ましくは、二硝酸イソソルビド)、ならびに(iii)非ステロイド性抗炎症化合物を患者に投与する工程を含む、頭痛を治療するための方法を必要とする心不全患者において、頭痛を治療するための方法を提供する。適切なNSAIDには、アセトアミノフェン、アセメタシン、アセクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ブロムフェナク、ブクロクス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナク、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェンチアザク、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブフェナック、イブプロフェン、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロナゾラク、ロキソプロフェン、メチアジン酸、モフェゾラク、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロゾラク、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、サリチルアミド、スリンダク、スプロフェン、スキシブゾン、チアプロフェン酸、トルメチン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラック、アスピリン、アセメトシン、ブマジゾン、カルプロフェナク、クリダナク、ジフルニサル、エンフェナム酸、フェンドサール、フルフェナム酸、フルニキシン、ゲンチシン酸、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メサラミン、そのプロドラッグなどが含まれるが、これに限定されない。適切なNSAIDは、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (9th Edition), McGraw-Hill, 1995, Pgs.617-657、Merck Index on CD-ROM, 13th Edition、ならびにNitroMed Inc.に譲渡された米国特許第6,057,347号および同第6,297,260号などの文献においてさらに詳細に述べられている。これらの開示はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0078】
ある態様において、NSABDは、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ナプロキセン、またはアスピリンである。他の態様において、アセトアミノフェンは、約325ミリグラム〜約6グラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ジクロフェナクは、約50ミリグラム〜約250ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。フルルビプロフェンは、約100ミリグラム〜約300ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。イブプロフェンは、約400ミリグラム〜約3.2グラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与投与される。インドメタシンは、約25ミリグラム〜約200ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ケトプロフェンは、約50ミリグラム〜約300ミリグラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。ナプロキセンは、約250ミリグラム〜約1.5グラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。アスピリンは、約10ミリグラム〜約2グラムの量で、1日につき単回の投与または複数回の投与で投与される。
【0079】
1つの態様において、本発明は、約30ミリグラム〜約300ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジン、約20ミリグラム〜約200ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビド、および約375ミリグラム〜約6000ミリグラム/日の量のアセトアミノフェンを患者に投与する工程を含む、頭痛の治療をするための方法を必要とする心不全患者において、頭痛を治療するための方法を提供する。別の態様において、患者には、約75ミリグラム〜約225ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジン、約40ミリグラム〜約120ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビド、および約500ミリグラム〜約4000ミリグラム/日のアセトアミノフェンが投与される。この態様において、75mgのヒドララジンが1日に1回、2回、または3回投与されてもよく、40mgの二硝酸イソソルビドが1日に1回、2回、または3回投与されてもよく、500ミリグラム〜約1000ミリグラムのアセトアミノフェンが1日に1回〜4回、投与されてもよい。別の態様において、患者には、約37.5ミリグラム〜約112.5ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンが投与され、約20ミリグラム〜約60ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドが投与され、約500ミリグラム〜約4000ミリグラム/日の量のアセトアミノフェンが投与される。この態様において、37.5mgのヒドララジンが1日に1回、2回、または3回投与されてもよく、20mgの二硝酸イソソルビドが1日に1回、2回、または3回投与されてもよく、500ミリグラム〜約1000ミリグラムのアセトアミノフェンが1日に1回、2回、3回、または4回投与されてもよい。これらの態様において、塩酸ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、およびアセトアミノフェンは、別々に、または組成物の形で投与することができる。
【0080】
本発明の化合物および組成物は、望ましいように、従来の無毒の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する投与単位製剤に入れて、任意の利用可能で有効な送達システム(経口、頬、非経口を含むが、これに限定されない)によって、吸入スプレーによって、または局所(経皮を含む)に投与することができる。化合物および組成物の好ましい投与方法は経口投与によるものである。
【0081】
インビボで投与される場合、本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、本明細書に記載の投与量で投与することができる。本発明の化合物および組成物は、抗高脂血症化合物(例えば、スタチンまたはHMG-Coa還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、ベルバスタチン、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、ダルバスタチン、フルインドスタチン(Sandoz XU-62-320)、フルバスタチン、グレンバスタチン、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、メバスタチン、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、ロスバスタチン(CRESTRO(登録商標))、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標))、ベロスタチン(シンビノリンとしても知られる)、VYTORIN(商標)(エゼチミベ/シンバスタチン)、GR-95030、SQ33,600、BMY22089、BMY22,566、CI980など);ゲムフィブロジル、コリスチラミン、コレスチポール、ナイアシン、ニコチン酸、胆汁酸捕捉剤(例えば、コレスチラミン、コレセベラム、コレスチポール、ポリ(メチル-(3-トリメチルアミノプロピル)イミノ-トリメチレンジハライドなど);プロブコール;フィブリン酸薬剤またはフィブラート(例えば、ベザフィブラート(Bezalip(商標))、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、エトフィブラート、フェノフィブラート(Lipidil(商標)、Lipidil Micro(商標))、ゲムフィブロジル(Lopid(商標))、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、テオフィブラートなど);コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤(例えば、CGS25159、CP-529414(トルセトラピド)、JTT-705、置換N-[3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンジル]-N-(3-フェノキシフェニル)-トリフルオロ-3-アミノ-2-プロパノール、N,N-二置換トリフルオロ-3-アミノ-2-プロパノール、PD140195(4-フェニル-5-トリデシル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール)、SC-794、SC-795、SCH58149など))などの、心不全または他の疾患もしくは障害の治療に有効であることが知られている1種類または複数の種類のさらなる化合物と組み合わせて投与することもできる。ヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩ならびに二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドの少なくとも1つは、抗高脂血症化合物の投与と同時に、投与の後に、または投与の前に投与されてもよく、組成物の形で投与されてもよい。
【0082】
経口投与用の固形剤形には、カプセル、錠剤、発泡錠、咀嚼錠、丸剤、散剤、サシェ(sachet)、顆粒剤、およびゲルが含まれ得る。このような固形剤形において、活性化合物は、少なくとも1種類の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトース、またはデンプン)と混合することができる。このような剤形は、通常のやり方と同じように、不活性希釈剤以外のさらなる物質剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤)を含んでもよい。カプセル、錠剤、発泡錠、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含んでいよい。軟ゼラチンカプセルは、本発明の活性化合物または組成物と植物油の混合物を含有するように調製することができる。硬ゼラチンカプセルは、活性化合物の顆粒と固体の粉状担体(例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、バレイショデンプン、コーンスターチ、アミロペクチン、ゼラチンのセルロース誘導体)を含有することができる。錠剤および丸剤は腸溶コーティングを用いて調製することができる。本発明の化合物を含有する経口製剤は、米国特許第5,559,121号、同第5,536,729号、同第5,989,591号、および同第5,985,325号に開示され、これらの開示はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0083】
経口投与用の液体剤形には、当技術分野において一般的に用いられる不活性希釈剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれ得る。このような組成物はまた、佐剤(例えば、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤)ならびに甘味剤、フレーバー剤、および香料を含んでもよい。
【0084】
本発明の化合物および組成物の膣投与または直腸投与用の座剤は、化合物または組成物と、室温では個体であるが、体温では融解し、薬物を放出するような液体である適切な非刺激性賦形剤(例えば、カカオ脂およびポリエチレングリコール)を混合することによって調製することができる。
【0085】
注射用調製物(例えば、注射用滅菌水性懸濁液または油性懸濁液)は、公知の技術に従って、適切な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁剤を用いて処方することができる。注射用滅菌調製物はまた、非経口が許容可能な無毒の希釈剤または溶媒に溶解した滅菌注射液または懸濁液(例えば、1,3-ブタンジオールに溶解した溶液)でもよい。使用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。滅菌不揮発性油も溶媒または懸濁媒体として従来から用いられている。本発明の化合物を含有する非経口製剤は、米国特許第5,530,006号、同第5,516,770号、および同第5,626,588号に開示され、これらの各開示はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0086】
当業者に公知の化合物経皮投与は、化合物を経皮的に患者の体循環に流すことによる薬学的化合物の送達を伴う。局所投与はまた、経皮パッチまたはイオン導入装置などの経皮投与の使用を伴ってもよい。他の成分も経皮パッチに組み込むことができる。例えば、組成物および/または経皮パッチは、1種類または複数の種類の防腐剤または静菌剤と共に処方することができる。防腐剤または静菌剤には、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウムなどが含まれるが、これに限定されない。化合物および組成物の局所投与用の剤形には、クリーム、パスタ剤、スプレー、ローション剤、ゲル、軟膏などが含まれ得る。このような剤形では、本発明の組成物と、例えば、ベンジルアルコール1%または2%(wt/wt)(防腐剤)、乳化ろう、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、乳酸、純水、およびソルビトール溶液を混合して、なめらかで均一な白色不透明のクリームまたはローション剤を形成することができる。さらに、組成物はポリエチレングリコール400を含有してもよい。組成物と、例えば、ベンジルアルコール2%(wt/wt)(防腐剤)、白色ワセリン、乳化ろう、およびtenox II(ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸、プロピレングリコール)を混合して、軟膏を形成することができる。包帯用材料(例えば、ガーゼ)の織られたパッドまたはロールに、組成物を含む液体、ローション剤、クリーム、軟膏を含浸させてもよく、他のこのような形を局所適用に使用することもできる。組成物はまた、経皮システム(例えば、アクリルベースポリマー接着剤と樹脂架橋剤に組成物が含浸され、不透過性の裏張りに積層されたもの)を用いて局所適用することもできる。
【0087】
本発明の組成物は、活性化合物と有害に反応しない非経口適用に適した従来の賦形剤(すなわち、薬学的に許容される有機または無機の担体物質)をさらに含んでもよい。適切な薬学的に許容される担体には、例えば、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエトラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。薬学的調製物を安定化し、所望であれば、活性化合物と有害に反応しない補助剤(例えば、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝液、着色剤、フレーバー剤、および/または芳香性物質など)と混合することができる。非経口適用の場合、特に適したビヒクルは、溶液(好ましくは、油性溶液または水溶液)、ならびに懸濁液、エマルジョン、または移植片からなる。水性懸濁液は、懸濁液の粘性を高める物質を含有してもよく、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む。任意に、懸濁液は安定剤も含有してよい。
【0088】
本発明の実施において有用な溶媒には、薬学的に許容される水混和性非水性溶媒が含まれる。本発明の状況において、これらの溶媒は、薬学的な使用のために一般に許容可能であり、実質的に水混和性であり、実質的に非水性の溶媒を含むように選ぶべきである。本発明の実施において有用な薬学的に許容される水混和性非水性溶媒には、N-メチルピロリドン(NMP);プロピレングリコール;酢酸エチル;ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ベンジルアルコール;2-ピロリドン;安息香酸ベンジル;C2-6アルカノール;2-エトキシエタノール;アルキルエステル(例えば、酢酸2-エトキシエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールジエチルエーテル、またはエチレングリコールジメチルエーテル);(S)-(-)-乳酸エチル;アセトン;グリセロール;アルキルケトン(例えば、メチルエチルケトンもしくはジメチルスルホン);テトラヒドロフラン;環式アルキルアミド(例えば、カプロラクタム);デシルメチルスルホキシド;オレイン酸;芳香族アミン(例えば、N,N-ジエチル-m-トルアミド);または1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンが含まれるが、これに限定されない。
【0089】
好ましい薬学的に許容される水混和性非水性溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアルコール、2-ピロリドン、または安息香酸ベンジルである。安定性にマイナスの影響があるのにもかかわらず、エタノールも本発明による薬学的に許容される水混和性非水性溶媒として使用することができる。さらに、トリアセチンもまた、薬学的に許容される水混和性非水性溶媒として使用することができ、ならびにある特定の場合では可溶化剤として機能する。NMPは、International Specialty Products (Wayne, N.J.)からPHARMASOLVE(登録商標)として入手することができる。ベンジルアルコールはJ. T. Baker, Incから入手することができる。エタノールはSpectrum, Incから入手することができる。トリアセチンはMallinckrodt, Incから入手することができる。
【0090】
本発明の組成物は可溶化剤をさらに含んでもよい。可溶化は溶液の形成を可能にする現象である。可溶化は、通常不溶性またはわずかにしか溶けない材料の溶解度を高める能力を有する両親媒性物質(すなわち、溶液中で極性および無極性の2つの特性を有する分子)が分散媒に存在することと関連する。可溶化剤は界面活性剤の特性を有することが多い。可溶化剤の機能は、溶媒として作用するのではなく、溶液中の溶質の溶解度を高めることでもよいが、例外的な場合、1種類の化合物が可溶化特性および溶媒特性の両方を有してもよい。本発明の実施において有用な可溶化剤には、トリアセチン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300、PEG400、またはこれらと3350のブレンドなど)、ポリソルベート(例えば、Polysorbate20、Polysorbate40、Polysorbate60、Polysorbate65、Polysorbate80、など)、ポロキサマー(例えば、Poloxamer124、Poloxamer188、Poloxamer237、Poloxamer338、Poloxamer407、など)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、Polyoxy2セチルエーテル、Polyoxy10セチルエーテル、およびPolyoxy20セチルエーテル、Polyoxyl4ラウリルエーテル、Polyoxyl23ラウリルエーテル、Polyoxyl2オレイルエーテル、Polyoxyl10オレイルエーテル、Polyoxyl20オレイルエーテル、Polyoxyl2ステアリルエーテル、Polyoxyl10ステアリルエーテル、Polyoxyl20ステアリルエーテル、Polyoxyl100ステアリルエーテルなど)、ステアリン酸ポリオキシル(例えば、Polyoxyl30ステアレート、Polyoxyl40ステアレート、Polyoxyl50ステアレート、Polyoxyl100ステアレートなど)、ポリエトキシル化ステアレート(例えば、ポリエトキシル化12-ヒドロキシステアレートなど)、ならびにTributyrinが含まれるが、これに限定されない。
【0091】
本発明の組成物に添加することができる他の材料には、シクロデキストリン、ならびにシクロデキストリン類似体および誘導体、ならびに本発明の組成物の安定性を高めることができる他の可溶性賦形剤、生成物を溶解状態に維持することができる他の可溶性賦形剤、または本発明の組成物の投与に関連する副作用を予防することができる他の可溶性賦形剤が含まれる。シクロデキストリンは、Janssen PharmaceuticalsからENCAPSIN(登録商標)として入手することができる。
【0092】
組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤、乳化剤、および/またはpH緩衝剤を含有してもよい。組成物は、液体溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性製剤、または散剤でもよい。組成物は、従来の結合剤および担体(例えば、トリグリセリド)と共に、座剤として処方することができる。経口製剤は、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含んでもよい。
【0093】
様々な送達システム(例えば、リポソーム、マイクロバブル、エマルジョン、微小粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子などへの封入を含む)が公知であり、本発明の化合物または組成物を投与するのに使用することができる。必要量は1つの単位として、または徐放の形で投与することができる。
【0094】
組成物のバイオアベイラビリティは、適切な賦形剤もしくは薬剤(例えば、リン脂質または界面活性剤)の存在下で、従来の技法(例えば、粉砕、磨砕、噴霧乾燥など)を用いて製剤を微粒子化することによって高めることができる。
【0095】
本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容される塩として処方することができる。薬学的に許容される塩には、例えば、アルカリ金属塩および遊離酸または遊離塩基の添加塩が含まれる。薬学的に許容されれば、塩がどういったものであるかということは重要ではない。適切な薬学的に許容される酸添加塩は無機酸または有機酸から調製することができる。このような無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸(亜硝酸塩)、硝酸(硝酸塩)、炭酸、硫酸、リン酸などが含まれるが、これに限定されない。適切な有機酸には、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、カルボン酸、およびスルホン酸クラスの有機酸(例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸(mesylic acid)、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(embonic acid)(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、アルゲン酸(algenic acid)、β-ヒドロキシ酪酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸などが含まれるが、これに限定されない。適切な薬学的に許容される塩基添加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作られる金属塩、または一級アミン、二級アミン、および三級アミン、環式アミン、N、N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、ならびにプロカインなどから作られる有機塩が含まれるが、これに限定されない。これらの塩は全て、従来の手段によって、対応する化合物から、例えば、適切な酸または塩基と化合物を反応させることによって調製することができる。
【0096】
個々の必要性は違うことがあるが、化合物および/または組成物の有効量の最適範囲の決定は当該技術の範囲内であり、標準的な臨床技法(Goodman and Gilman, 前記、The Physician's Desk Reference, Medical Economics Company, Inc., Oradell, N.J., 1995、およびDrug Facts and Comparisons, Inc., St. Louis, MO, 1993への参照を含む)によって求めることができる。一般的に、化合物および組成物の有効量を得るのに必要な投与量は、当業者によって調節することができ、レシピエントの年齢、健康状態、身体状態、性別、食事、体重、機能不全の程度、治療の頻度、ならびに機能不全または疾患の種類および範囲、患者の医学的状態、投与経路、薬理学的に考慮すべき事項(例えば、使用する特定の化合物の活性、有効性、ならびに薬物動態学的プロファイルおよび毒物学的プロファイル)、薬物送達システムが用いられるかどうか、ならびに化合物が薬物組み合わせの一部として投与されるかどうかによって異なる。
【0097】
実施例
以下の実施例は例示を目的としたものにすぎず、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を限定することを意図しない。
【0098】
実施例1:アフリカ系アメリカ人心不全試験(A-HeFT)のためのプロトコールのまとめ
試験デザイン:
1.標準治療(例えば、ACE-I、ジギタリス、利尿薬および/またはβ遮断薬)を受けている、中程度〜重度の安定した症候性心不全(HF)(NYHAクラスIII〜IV)および左心室機能不全[左心室駆出率,LVEF<35%、またはLVEF<45%で、左心室拡張内径,LVIDD>2.9cm/m2体表面積BSA(もしくは>6.5cm)]を有するアフリカ系アメリカ人(AFA)に対するオープン試験。
【0099】
2.無作為化-並行群、二重盲検、β遮断薬の使用について層別する。
【0100】
3.試験薬物-錠剤1個あたり37.5mgの塩酸ヒドララジンおよび20mgの二硝酸イソソルビド、またはプラセボ錠剤(1日3回)(最大用量225mg/日塩酸ヒドララジンおよび120mg/日二硝酸イソソルビドまで強制漸増)(最大用量=2個の錠剤を1日3回)。
【0101】
4.試験期間-無作為化率に主導される。すなわち、全患者が処置されて、最大18ヶ月間、または無作為化された最後の患者が無作為化後6ヵ月を完了するまでのいずれか早く起きる方まで追跡した。
【0102】
5.計画された通院-スクリーニング,ベースライン(安定化の2〜4週間後)(適当であれば、ベースラインで無作為化を行う)、その後、3ヶ月毎(最大18ヶ月間、または無作為化された最後の患者が無作為化後6ヵ月を完了するまでのいずれか早く起きる方まで)。
【0103】
6.観察/手順-病歴および身体検査、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラス、心エコー図(LVEFおよびLVIDD,中央検査室において盲検的に読む)、生活の質(QOL)の評価、安全性検査室プロファイル(ベースラインでのみルーチンに、その後、必要に応じて)。
【0104】
目的
全体的な目的は、標準治療を受けている中程度〜重度の症候性HF(NYHAクラスIII〜IV)の患者において、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせ対プラセボの安全性および有効性を証明することであった。具体的な目的は、以下の通りであった。
【0105】
1.QOL測定値の変化ならびに臨床転帰(心不全のための入院および死亡を含む)から計算された複合スコアからなる1次有効性エンドポイントにおける、プラセボと比較した塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせの統計的に有意な優位性を証明すること。
【0106】
2.HF患者における塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせの安全性および忍容性を確認すること。
【0107】
3.1次エンドポイント複合物の個々の成分、入院の総回数、入院期間、診察室および緊急治療室への予定外の通院、ならびに心臓の大きさおよび心機能の測定からなる1つまたは複数の2次エンドポイントにおける有利な傾向を実現すること。
【0108】
試験集団
1.試験への組み入れ基準は以下を含んだ:(a)アフリカ系アメリカ人(自己申告)、18歳超、両性;(b)入院患者または外来患者;安定した症候性HF,NYHAクラスIIIまたはIV;(c)バックグラウンド治療-標準的な治療(必要に応じて、ACE-I、ジギタリス、利尿薬、β遮断薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、および/またはスピロノラクトンを含む)。β遮断薬を服用している患者は、登録前に少なくとも3ヶ月間、β遮断薬を服用していなければならない。;(d)利用可能な最新のエコーを用いた、6ヶ月以内の任意の時間の心エコー図によって、LVEF<35%、またはLVEF<45%でLVIDD>2.9cm/m2BSA(もしくは>6.5cm);ならびに(e)少なくとも2週間安定したHF症状および治療レジメン(この間、利尿薬は調整することができるが、他のHF薬は変更してはならない)。
【0109】
2.試験からの除外基準は以下を含んだ:(a)重大な心臓弁膜症;(b)1年以内に心臓移植が必要となる可能性が高いこと;(c)管理されていない高血圧;(d)重大な肝臓疾患、腎臓疾患、または生存もしくは運動能力を制限し得る他の疾患;(e)3ヶ月以内の心停止の病歴(植込み型除細動器(ICD)によって治療を受けている場合を除く);(f)過去1ヶ月以内に非経口変力療法を受けていること;(g)以下の薬物:ヒドララジン、長時間作用性硝酸塩、またはVIAGRA(登録商標)(Pfizer,Inc.)、LEVITRA(登録商標)(Bayer Pharmaceuticals Corporation)、もしくはCIALIS(登録商標)(Lilly ICOS Inc.)が必要であること。
【0110】
エンドポイント
1.1次エンドポイント
【0111】
(表1)1次複合エンドポイントのスコアリングシステム

【0112】
1.2次エンドポイント:
a.1次エンドポイント複合物の個々の成分およびLVEF
i.死亡(全ての原因;心臓)
ii.入院回数(全ての原因;心不全関連)
iii.QOL
iv.LVEF
b.その他
i.入院日数
ii.ERへの通院および診察室への予定外の通院
iii.LVIDDおよびLV壁の厚さ
iv.心臓移植の必要性が新たに認められること(試験中に心臓移植を実際に受ける患者のデータは移植時に削除される)
v.6ヶ月でのB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の変化
【0113】
通院および観察のスケジュール
1.通院-1=スクリーニング
a.スクリーニングのための病歴および身体検査、組み入れ基準/除外基準
b.必要に応じて、バックグラウンド療法を調整する
c.ベースライン安全性試験
d.過去6ヶ月以内の利用可能な最新の心エコー図によって、LVEF<35%、またはLVEF<45%でLVIDD>2.9cm/m2BSA(もしくは>6.5cm)を確認する
e.2〜4週間後に再通院を計画する
【0114】
2.通院0=ベースライン
a.患者の適格性を確認する
1.過去2〜4週間、安定している(症状、薬、および体重)
2.臨床検査
b.ベースライン評価
1.QOL
2.LVEFおよびLVIDDの心エコー図(注意:この心エコー図はLVEFおよびLVIDDのベースライン値のために用いられる。これらのベースラインLVEFおよび/またはLVIDD値が組み入れ規準をもはや満たしていなくても、他の全ての適格性基準は依然として満たしている場合、患者は試験に残る。)
3.NYHAクラス
4.過去6ヶ月間の病的事象の病歴
c.併用薬
d.患者を、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせまたはプラセボに二重盲検で無作為化する。
e.通院0の24時間以内に試験薬物(1個の錠剤を1日3回)を開始する。
【0115】
3.用量漸増経過観察=無作為化の3〜5日後
a.電話または通院(治験責任医師の裁量に従う)
b.試験薬の忍容性が良好であれば、患者の試験薬を、2個の錠剤を1日3回に強制漸増する
c.試験薬の忍容性が良好でなければ、治験責任医師は、臨床的に示されているように、試験薬および/またはバックグラウンド薬の投与量を適切に調整することができる
d.必要に応じて、3〜5日後に、さらなる用量漸増経過観察を計画する
【0116】
4.通院1=無作為化後3ヵ月目
a.QOL
b.中間的な病歴および簡単な身体検査
c.NYHAクラス
d.最後の通院からの病的事象の病歴
e.併用薬
f.有害事象
【0117】
5.通院2=無作為化後6ヵ月目
a.QOL
b.病歴および身体検査
c.LVEFおよびLVIDD(心エコー図)
d.NYHAクラス
e.最後の通院からの病的事象の病歴
f.併用薬
g.有害事象
【0118】
6.通院3+=無作為化後9ヵ月目、その後3ヵ月毎(最大18ヶ月間または無作為化された最後の患者が無作為化後6ヵ月を完了するまでのいずれか早く起きる方まで)
a.QOL[注意:2次エンドポイント分析にしか使用しないデータ。1次複合エンドポイントには、6ヶ月目での(または、6ヶ月目でのQOLが入手できなければ、それより早い)QOLデータしか使用しない]
b.中間的な病歴および簡単な身体検査
c.NYHAクラス
d.最後の通院からの病的事象の病歴
e.併用薬
f.有害事象
【0119】
7.試験薬物に関する最後の通院
通院2(6ヶ月)の前の任意の時間に試験が終了した全ての患者において、および試験が全て終了した時に残っている全ての患者(試験終了前、2週間以内に評価を全く受けていない)において実施する
a.QOL
b.病歴および身体検査
c.NYHAクラス
d.最後の通院からの病的事象の病歴
e.併用薬
f.有害事象
【0120】
ベースライン特徴
合計1050人の患者を、プラセボ532人、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせ518人に無作為化した。
【0121】
登録された患者は中年の男性および女性であった(表2)。心不全の最も一般的な原因は高血圧性心疾患であった。患者の1/4未満には、虚血性心疾患が原因の心不全があった。90%を超える患者にNYHAクラスIII症状があった。一般的に、ベースラインでの特徴について2つの治療群はかなりマッチした。プラセボ群に無作為化された男性はより多く(p=0.01)、ベースラインでの拡張期血圧は塩酸ヒドララジン/二硝酸イソソルビド群の方が高かった(p=0.002)。ベースラインでの人口統計学的特徴および臨床的特徴を表2にまとめた。
【0122】
(表2)

p<0.05(プラセボと比較)
【0123】
登録された患者の約90%には高血圧の病歴、53%には高脂血症の病歴、41%には糖尿病の病歴があった(表3)。心血管病歴に関して、高脂血症および糖尿病以外は、これらの群はかなりマッチした。高脂血症および糖尿病の頻度は、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者において高かった(それぞれ、p=0.04および0.012)。
【0124】
患者の大半は、利尿薬(92%)、β遮断薬(83%)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(75%)、抗血栓剤(72%)、ジギタリス配糖体(60%)を服用していた。塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群における抗糖尿病薬の使用頻度が高いことを除けば、ベースライン薬に関してこれらの2つの群は似ていた。
【0125】
ベースライン心血管病歴および治療を表3にまとめた。
【0126】
(表3)

【0127】
実施例2:結果
患者1100人のうち1050人を登録した後の結果を分析することによって、プラセボを投与した患者(対照群)と比較して、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせを投与した患者(治療群)に有利で、統計的に有意な死亡率有益性が証明された。
【0128】
患者の特徴について、さらなる記述統計結果を評価し、平均(±SD)または総数(およびパーセント)として報告した。有害事象もカイ二乗検定を用いて群間で比較した。
【0129】
一次有効性比較は、試験終了時の、無作為化されていた全ての参加者を含めた。欠落データについては、1次分析の計算のために成分の最悪の場合のスコア(すなわち、-6)を仮定した。複合エンドポイントを2標本t検定を用いて群間で比較した。
【0130】
対照群では54件(10.2%)の死亡、治療群では32件(6.2%)の死亡があり、治療群の死亡率が43%下がったことを示した。反復調査(中間分析)のために調整した時、p=0.001。この死亡率の有益性は、過去3回のデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)の会合にわたって一貫して治療に有利に向いた。
【0131】
生活の質の変化および心不全のための入院に関する入手可能なデータは、これらの死亡率の結果と一致している。生活の質の変化の平均は対照群では-2.7、治療群では-5.6であった;p=0.02。これは、治療群の方が大きく改善したことを示した。対照群では130人(24.4%)の患者が心不全のために入院したのに対して、治療群では85人(16.4%)の患者が入院し、39%減少した(p=0.001)。
【0132】
患者の素因および試験薬に対する曝露
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者の試験参加期間(379日)は、プラセボの治療を受けた患者の試験参加期間(355日)より長かった(p=0.04)。この差は、プラセボ患者の試験中止率が塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド患者の試験中止率より高かったためである(14.1%対9.5%)(主に、プラセボ患者における死亡のための中止率が高かったため(10.2%対6.2%))。
【0133】
対照的に、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者における試験薬物への曝露期間は、プラセボの治療を受けた患者より短かった(298日対314日)。この差は、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者における有害事象のための中止頻度がプラセボの治療を受けた患者より高かったことに関連した(21.1%対12.0%)。
【0134】
表4に示したように、患者は、試験の各時点で、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドによる治療よりプラセボによる治療を続けている可能性が高かった。
【0135】
(表4)様々な時点での試験薬物を服用している患者[n(%)]

【0136】
プラセボの治療を受けた患者の473人(89.8%)では、少なくとも1回、目標用量(すなわち、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドは、1日6個の錠剤;2個の錠剤を1日3回;1日あたり120mgの二硝酸イソソルビドおよび225mgの塩酸ヒドララジンであった)に達したが、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者では352人(68.1%)しか達しなかった。塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者は、プラセボと比較して、この群における有害事象の頻度が高いために目標用量まで漸増する可能性が低かった。処方された錠剤の数/日の平均は、試験の間、プラセボの治療を受けた患者より、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者の方が一貫して少なかった(表5)。例えば、6ヶ月で、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者には、平均して、29.3mg (1日3回)の二硝酸イソソルビドおよび56.3mg (1日3回)の塩酸ヒドララジンが処方されたのに対して、プラセボ群の患者には、34mg (1日3回)の二硝酸イソソルビド(相当量のプラセボ)および63.8mg (1日3回)の塩酸ヒドララジン(相当量のプラセボ)が処方された。
【0137】
(表5)様々な時点での処方された試験薬物錠剤の数/日の平均

【0138】
試験中に、プラセボ患者の78人(14.8%)ならびに塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド患者の65人(12.6%)に対して、長時間作用性硝酸塩を用いた非盲検治療を行い、プラセボ患者の15人(2.8%)ならびに塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド患者の14人(2.7%)に対して、非盲検ヒドララジンを与えた。
【0139】
一次有効性分析
包括解析(intention-to-treat)では、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者の試験中の臨床複合スコアは、プラセボ群の患者よりかなり良かった(-0.16対-0.47、2標本t検定によりp=0.016、表6)。
【0140】
(表6)1次有効性エンドポイント

【0141】
利用可能なデータに基づいて、複合スコア(1次エンドポイント)は、対照と比較して治療に統計的に有意な有益性を示す(p=0.016)。表7は、1次エンドポイントの成分スコアの結果をまとめたものである。
【0142】
(表7)

【0143】
複合スコアにおける治療差の一因は、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた群では死亡が少なく(32対54プラセボ群)、心不全のための1回目の入院があった患者が少なく(85対130)、生活の質の著しい(>10単位)改善があった患者が多く(180対166)、生活の質の著しい(>10単位)悪化があった患者が少なかった(80対117)という発見であった。
【0144】
臨床複合スコアにおける治療差は、調べられたサブグループのほぼ全てにわたって一貫して見られた(図1)。治療評価が塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドに有利でなかったサブグループは、一般的に、患者が最少数のサブグループであった。図1は、サブグループにおける複合スコアに対する塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの効果をまとめている(平均±95%CI)。
【0145】
2次エンドポイント
死亡率
包括解析では、プラセボ群の54人の患者(10.2%)が試験中に死亡したが、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群では32人(6.2%)の患者しか死亡しなかった。この差は相対リスクの43%の低下を反映した(p=0.012;表8および図2)。
【0146】
(表8)全死因死亡率(all-cause mortality)に対するヒドラジンおよび二硝酸イソソルビドの効果

【0147】
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者において見られる全死亡リスクの低下は、心不全死(すなわち、突然心臓死および心力不全死)の減少と関連していた。他の死亡様式は2つの治療群にわたって同様に分布していた(表9)。
【0148】
(表9)死亡様式

【0149】
死亡リスクの低下は、調べられたサブグループのほぼ全てにわたって一貫して見られた(図3)。1次エンドポイントの場合と同様に、治療評価が塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドに有利でなかったサブグループは、一般的に、患者が最少数の(患者の20%またはそれ未満に相当する)サブグループであった。
【0150】
心不全のための入院
包括解析では、試験中の心不全の悪化のために、少なくとも1回、プラセボ群の130人(24.4%)の患者が入院したが、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群では85人(16.4%)の患者しか入院しなかった。この差は相対リスクの39%の低下を反映した(p<0.001;表10および図4)。
【0151】
(表10)心不全のための入院のリスクに対する塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの効果

【0152】
死亡および入院は競合リスクであるので、全死因死亡率または心不全のための入院の複合リスクに対する塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの効果を評価したが、これは、予め指定された分析ではなかった。包括解析では、プラセボ群の158人(29.7%)の患者が試験中に死亡した、または心不全の悪化のために入院したが、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群では、108人(20.8%)の患者のみが死亡した、または心不全の悪化のために入院した。この差はリスクの37%の低下を反映した(p<0.001;表11および図5)。
【0153】
(表11)全死因死亡率または心不全のための入院

【0154】
生活の質
ベースラインと比べて試験中のほとんどの通院において、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者の生活の質はプラセボと比較して大幅に改善した(生活の質は、ミネソタ心不全生活質問票によって評価した)(図6、表12、表13)。[スコアの減少は生活の質の改善を示す;エンドポイントは利用可能な最新の測定値を意味する]。改善は、主に、質問表の身体分野において見られた。
【0155】
(表12)6ヶ月でのミネソタ心不全生活質問票の総スコア、情動スコア、および身体スコアの変化

【0156】
(表13)エンドポイントでのミネソタ心不全生活質問票の総スコア、情動スコア、および身体スコアの変化

エンドポイントは試験時の最後の測定値として定義した。
【0157】
他の2次エンドポイント
入院の総回数および入院日数
プラセボと比較して、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者は心不全のための入院が少なく、心不全のために病院で過ごす日数が少なかった(p<0.01)(表14,15)。プラセボと比較して、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者はまた任意の理由による入院が少なく、病院で過ごす日数が少なかった。心不全のための入院でも任意の理由による入院でも、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の入院はプラセボ群より短かった。
【0158】
(表14)心不全のための入院

【0159】
(表15)任意の理由による入院

【0160】
心臓移植の必要があると宣告された患者の数は、2つの治療群においてほぼ同じであった(塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群では3人、プラセボ群では5人)(p=0.726)。
【0161】
心不全のための緊急治療室への通院または予定外の診察室/病院への通院の数には、プラセボ群と塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの間で差は無かった。
【0162】
安全性結果
表16は、少なくとも1つの有害事象があった患者、少なくとも1つの重篤な有害事象(エンドポイント事象以外)があった患者の数、および有害事象により試験薬物治療を恒久的に中止した患者の数の割合を示す。
【0163】
(表16)有害事象を有した患者の概要

【0164】
試験薬物との関係を問わない有害事象
表17は、いずれかの治療群(患者が試験薬を服用したか否か)の患者の少なくとも2%において起こった有害事象を有した患者の数を示す。一般的に、全身血管拡張に関係する有害事象(頭痛、めまい、低血圧、頻拍、副鼻腔炎[副鼻腔のうっ血])、または反射性胃腸障害(reflecting gastrointestinal distress)に関係する有害事象(嘔気および嘔吐)は、プラセボの治療を受けた患者より、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者において頻度が高かった。対照的に、心不全の悪化に関係する有害事象(心不全、呼吸困難、咳の増加、および末梢性浮腫)は、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者より、プラセボの治療を受けた患者においてよく見られた。
【0165】
4つの事象(嘔気、心不全、低血圧、および副鼻腔炎)が0.05の水準で有意であった。頭痛およびめまいは、0.0001の水準で有意であった。
【0166】
(表17)いずれかの群における患者の>2%において起こった有害事象



1人の患者は1つを超える事象または事象の種類を有し得る。1人の患者を1つのカテゴリーにおいて1回数えた。
【0167】
試験薬物との関係を問わない重篤な有害事象
表18は、いずれかの治療群(患者が試験薬を服用したか否か)の患者の少なくとも>1%において起こった重篤な有害事象を有した患者の数を示す。一般的に、全身血管拡張または頻拍に関係する有害事象(胸痛、心室性頻拍、失神、不整脈、低血圧、およびめまい)は、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者において若干よく見られたが、心不全または他の主な臨床事象の悪化に関係する有害事象(心不全、呼吸困難、脳血管障害、および心筋梗塞)は、プラセボの治療を受けた患者においてよく見られた。心不全の報告率だけが有意であった(p<0.001)。
【0168】
(表18)いずれかの群の患者の>1%において起こった有害事象

死亡または心不全のための入院などのエンドポイント事象を除く。1人の患者は1つを超える事象または事象の種類を有し得る。1人の患者を1つのカテゴリーにおいて1回だけ数えた。
【0169】
試験薬物の恒久的な中止につながった有害事象
表19は、試験薬物の恒久的な中止につながった有害事象があった患者の数を示す。塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた群において最も頻繁に見られた有害事象は、試験薬物の使用中止の最も一般的な原因(例えば、頭痛、めまい、無力症、胸痛、嘔気、および低血圧)でもあった。
【0170】
(表19)いずれかの群の患者の>0.4%において起こり、試験薬物の恒久的な中止につながった有害事象

死亡または心不全のための入院などのエンドポイント事象を除く。1人の患者は1つを超える事象または事象の種類を有し得る。1人の患者を1つのカテゴリーにおいて1回だけ数えた。
【0171】
他の安全性のトピックス
試験中に心拍数はほとんど変化せず、心拍数の応答は2つの治療群間で差は無かった。対照的に、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者の収縮期血圧および拡張期血圧は両方とも、プラセボの治療を受けた患者より有意に低かった(表20)。
【0172】
(表20)心拍数、収縮期血圧、および拡張期血圧(BP)の変化の平均

p<0.05(塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドとプラセボの比較、2標本t検定)
【0173】
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者6人およびプラセボの治療を受けた患者1人が、血管性浮腫として分類される有害事象を経験した。事象が重篤と特定された、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者は2人であったが、プラセボの治療を受けた患者はいなかった。これらの2件の重篤な事象を以下で説明する。
【0174】
1番目の患者は、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドを開始して5日後に、顔および唇が腫脹した。彼は、緊急治療室においてジフェンヒドラミン、デキサメタゾン、およびメチルプレドニゾロンによる治療を受け、改善が認められた後に退院した。試験薬物は中止した。
【0175】
2番目の患者は塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドに無作為化され、約7ヵ月後、朝、薬を摂取した後に、息切れが起こり、唇および舌が腫脹した。次に、彼は反応しなくなった。救急医療が輸液およびジフェンヒドラミンを投与すると、精神状態が元に戻った。彼は、緊急治療室において、ジフェンヒドラミンおよびメチルプレドニゾロンによる治療を受けた。唇および舌の腫脹は改善した。彼は退院し、アンジオテンシン変換酵素阻害剤を中止し、アルコールを控えるように勧められた。試験薬物投与に関する措置は講じなかった。
【0176】
治療群の患者には、6ヶ月で、わずかであるが有意な血圧低下の効果があった。収縮期血圧は1.9mmHg低下したのに対して、プラセボ群では1.2mmHg増加した(p=0.02)。拡張期血圧は2.4mmHg低下したのに対して、プラセボ群では0.8mmHg増加した(p=0.001)。心拍数は変化しなかった。
【0177】
重篤な有害事象(SAE)または有害事象(AE)として評価された心不全増悪は、対照と比較して、治療について統計的に有意な有益性を示した。対照群の患者の12.8%に、心不全増悪に関連するSAEがあった。対照的に、治療群の患者の8.7%にこのようなSAEがあった(p=0.04)。対照群の患者の7.0%に、心不全増悪に関連するAEがあったのに対して、治療群の患者の3/1%にこのようなAEがあった(p=0.005)。総SAEは、対照と比べて治療について有利である。
【0178】
左心室駆出率およびBNP
本試験では、823人の患者においてベースラインおよび6ヶ月心エコーを行った。心エコー図をデジタル化し、独立した中核研究所(Bioimaging)において盲検的に分析した。B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)もベースラインおよび6ヶ月で測定した。
【0179】
左心室駆出率は、二硝酸イソソルビドおよびヒドララジンの組み合わせを投与した患者では2.14%単位増加したのに対して、プラセボを投与した患者では0.77%単位増加した(p=0.005)。左心室拡張内径は、二硝酸イソソルビドおよびヒドララジンの組み合わせを投与した患者では0.22cm小さくなったのに対して、プラセボを投与した患者では0.01cm小さくなった(p=0.01)。ベースラインでのBNP(二硝酸イソソルビドおよびヒドララジン群では145pg/ml、プラセボ群では167pg/ml)は、6ヶ月で、二硝酸イソソルビドおよびヒドララジン群では21pg/ml減少し、プラセボ群では5pg/ml減少した(p=0.05)。
【0180】
まとめおよび結論
心不全の治療を必要とする患者において心不全を治療するために塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせを投与すると、以下のことが起こる。
【0181】
中程度〜重度の心不全を有する患者(一般的に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心グルコシド(ジギタリス)、および利尿化合物による治療を受けている)への塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせの長期投与は、死亡相対リスクの43%の低下と関連した(p=0.012)。
【0182】
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせが投与された患者の生存便益は、本試験の1次エンドポイント(死亡の発生、心不全のための1回目の入院、および生活の質の変化についての情報を一変数にまとめたもの)の有意な改善を伴った(p=0.016)。
【0183】
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの患者への長期投与によって、心不全のための入院の相対リスクが39%低下した(p<0.001)。塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせによって、死亡または心不全のための入院の複合相対リスクも37%低下した(p<0.001)。
【0184】
プラセボと比較して、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者は心不全のための入院が少なく、心不全のために病院で過ごす日数が少なかった(両方ともp<0.01)。塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者はまた任意の理由による入院が少なく、病院で過ごす日数が少なかったが、この差は有意でなかった。心不全のための入院でも任意の理由による入院でも、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の入院はプラセボ群より短かった。
【0185】
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの治療を受けた患者は、試験中のほとんどの通院において生活の質が大幅に改善した(生活の質は、ミネソタ心不全生活質問票によって評価した)。
【0186】
有害事象として心不全の悪化が報告された頻度は、プラセボ群の患者より塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者において低かった(9.5%対15.2%)。重篤な有害事象として心不全の悪化が報告された頻度は、プラセボ群の患者より塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド群の患者において低かった(3.1%対7.8%)。
【0187】
塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの組み合わせの臨床有益性は収縮期血圧および拡張期血圧の持続的な低下と関連し、この低下はだんだんと弱まらなかった。
【0188】
本明細書に引用または記載されたそれぞれの特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0189】
本発明は詳細に説明されたが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対して非常に多くの変更および修正が可能なことを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】サブグループにおける複合スコアに対する塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドの効果を要約する。
【図2】全死因死亡率のカプラン-マイヤーの事象までの時間(time-to-event)曲線を示す。
【図3】サブグループにおける全死因死亡率に関する塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドのハザード比および95%信頼区間を示す。
【図4】心不全のための1回目の入院のカプラン-マイヤーの事象までの時間曲線を示す。
【図5】全死因死亡率または心不全のための入院のカプラン-マイヤーの第一の事象までの時間(time-to-first event)分析を示す。
【図6】各回の通院時およびエンドポイント時でのミネソタ心不全生活質問票全スコアの変化の平均を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30ミリグラム〜400ミリグラムの量の塩酸ヒドララジンおよび10ミリグラム〜200ミリグラムの量の二硝酸イソソルビドを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、心不全のための入院までの時間を延長する方法。
【請求項2】
(i)37.5mgの塩酸ヒドララジンおよび20ミリグラムの二硝酸イソソルビド、または(ii)75mgの塩酸ヒドララジンおよび40ミリグラムの二硝酸イソソルビドを投与する工程を含み、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドは別々に、または同じ組成物の成分として投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心グルコシド、および利尿化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
患者がニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
30ミリグラム〜400ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンおよび10ミリグラム〜200ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、心不全のために患者が病院において過ごす日数を減らす方法、または心不全のための入院の回数を減らす方法。
【請求項6】
(i)37.5mgの塩酸ヒドララジンおよび20ミリグラムの二硝酸イソソルビド、または(ii)75mgの塩酸ヒドララジンおよび40ミリグラムの二硝酸イソソルビドを投与する工程を含み、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドは別々に、または同じ組成物の成分として投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心グルコシド、および利尿化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を投与する工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
心不全のために患者が病院において過ごす日数を減らすことが1回または複数回の入院を対象とする、請求項5記載の方法。
【請求項9】
患者がニューヨーク心臓協会心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類される、請求項5記載の方法。
【請求項10】
治療的有効量の(i)ヒドララジン化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに(ii)二硝酸イソソルビドおよび/または一硝酸イソソルビドを患者に投与する工程を含む、下記の方法を必要とする患者において、(a)心不全のための入院までの時間を延長するための方法;(b)心不全のための1回目の入院までの時間を延長するための方法;(c)心不全のために患者が病院において過ごす日数を減らすための方法;(d)2回もしくはそれ以上の入院について、心不全のために患者が病院において過ごす総日数を減らすための方法;(e)心不全のための入院の回数を減らすための方法;(f)心不全のための死亡率を減らし、かつ入院を減らすための方法;(g)心不全患者における左心室駆出率を上げるための方法;(h)性的機能不全を治療するための方法;(j)非ステロイド性抗炎症化合物を投与することによって心不全患者における頭痛を治療するための方法;(k)高血圧の病歴を有するが、現在、高血圧と診断されていない心不全患者を治療するための方法;(l)ミネソタ心不全生活(Minnesota Living with heart failure)質問票に基づいて心不全患者における生活の質を改善するための方法;(m)B型ナトリウム利尿ペプチドの濃度を下げるための方法;(n)心不全患者における高血圧を治療するための方法;(o)心不全患者における血圧を下げるための方法;(p)動揺性高血圧を治療するための方法;(q)特発性高血圧を治療するための方法;(r)心不全患者における患者の薬物投与へのコンプライアンスを高めるための方法;(s)拡張した心臓を有する患者における高血圧を治療するための方法;(t)虚血性疾患および/または冠状動脈疾患を治療するための方法;または(u)心臓肥大を軽減するための方法。
【請求項11】
治療的有効量の塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドを投与する工程を含み、塩酸ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビドは別々に、または同じ組成物の成分として投与される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
約30ミリグラム〜約400ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンおよび約10ミリグラム〜約200ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドを投与する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
約225ミリグラム/日の量の塩酸ヒドララジンおよび約120ミリグラム/日の量の二硝酸イソソルビドを投与する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
1日に1回または2回、約112.5ミリグラムの量の塩酸ヒドララジンおよび1日に1回または2回、約60ミリグラムの量の二硝酸イソソルビドを投与する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
1日に1回、2回、または3回、約75ミリグラムの量の塩酸ヒドララジンおよび1日に1回、2回、または3回、約40ミリグラムの量の二硝酸イソソルビドを投与する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
1日に1回、2回、または3回、約37.5ミリグラムの量の塩酸ヒドララジンおよび1日に1回、2回、または3回、約20ミリグラムの量の二硝酸イソソルビドを投与する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、強心グルコシド、および利尿化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を投与する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項18】
カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、メトプロロール、またはネブビオロール(nebviolol)を投与する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項19】
患者がニューヨーク心臓協会心不全機能分類I、II、III、またはIVとして分類される、請求項10記載の方法。
【請求項20】
患者が黒人患者である、請求項10記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−506716(P2008−506716A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521714(P2007−521714)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/025455
【国際公開番号】WO2006/020244
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(505000044)ニトロメッド インコーポレーティッド (14)
【Fターム(参考)】