説明

心拍ゆらぎ検出装置およびその情報処理方法

【課題】 拍動のゆらぎに基づいて、被測定者の健康状態を総合的に判断する。
【解決手段】 心拍ゆらぎ検出装置における情報処理方法であって、被測定者の心拍を検出し、ローレンツプロットデータを算出する工程(S505、S507)と、前記ローレンツプロットデータに基づいてゆらぎ度を算出する工程(S509)と、所定時間内に検出された前記被測定者の体温を含めた過去の低温期と高温期の体温の差異を算出する工程(S511)と、前記被測定者の脳波を検出し、該脳波と前記検出された心拍の単位時間当たりの心拍数と前記ゆらぎ度とに基づいて、心地よさ度を検出する工程(S512)と、前記ゆらぎ度と前記体温の差異と前記心地よさ度とに基づいて前記被測定者の健康状態を判定する工程(S513)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電波形や脈拍等の生体信号に基づいて拍動のゆらぎを可視化する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、交感神経と副交感神経の亢進状態の評価方法として、ローレンツプロットが知られている。一般に交感神経と副交感神経とはバランスがとれていることが重要であり、交感神経と副交感神経とのバランスが乱れると、拍動(心拍)のゆらぎに影響を及ぼす。
【0003】
ローレンツプロットとは、この拍動のゆらぎを、心電波形や脈拍等の生体信号に基づいて可視化したものであり、広く知られている。
【0004】
図22、図23は、心電波形に基づいてローレンツプロットを生成する方法を示した図である。図22の2201に示すような心電波形が収集されると、まず、R波の位置が同定され、R−R間隔が算出される。R波とは心電波形のピーク部分をいい、R−R間隔とはR波のn拍目(nは任意の整数)とn+1拍目の心拍間隔をいう。図22の例では、R波の位置はそれぞれ、R1、R2、R3、R4と同定され、R−R間隔はそれぞれT21、T32、T43(msec)と算出される。
【0005】
そして、当該算出されたR−R間隔に基づいて、図23に示す2次元グラフ領域に、T21を横軸に、T32を縦軸にプロットする。次に、T32を横軸に、T43を縦軸にプロットする。このような処理を、連続するR−R間隔に対して順次行うことで、ローレンツプロットが生成される。図24は、生成されたローレンツプロットの一例を示す図であり、(a)は一般にバランスがとれた良好な状態を示しており、(b)、(c)はバランスがとれていない状態を示している((b)はストレス・疾患パターンを、(c)は不整脈パターンをそれぞれ示している)。
【0006】
このような方法により生成されるローレンツプロットを応用した技術として、本願出願人は、これまでいくつかの提案を行っている。例えば、下記特許文献1では、当該ローレンツプロットを心電波形の測定と並行してリアルタイムに表示させることで、被測定者がその場で拍動のゆらぎを把握できるリアルタイム拍動モニタを提案している。
【0007】
また、下記特許文献2では、表示された被測定者のローレンツプロットに対して、被測定者の特徴情報(年齢と性別)に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域を重畳して表示させることで、被測定者が拍動のゆらぎを対比して判断できるようにした心拍間隔表示装置を提案している。
【特許文献1】特開2001−212095号公報
【特許文献2】特開2001−212089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、拍動のゆらぎだけでは、被測定者の健康について総合的に判断することは(被測定者の症状を把握し、その原因を推定し、その対応を判断することは)難しい。拍動のゆらぎは、交感神経と副交感神経とのバランスを表すにとどまり、当該バランスの乱れが体調の異変を伴うものであるのか、単に一過性のものであるのかは、拍動のゆらぎだけでは判らないからである。また、交感神経と副交感神経とのバランスの乱れが確認できた場合であっても、その原因が精神的なストレスによるものなのか、それ以外の要素によるものなのかが判らなければ、適切な対応をとることができない。このため、交感神経と副交感神経とのバランスのみならず、被測定者の状態を他の検出装置の結果も含めて多面的に診ることで、被測定者の健康について総合的に判断することが望まれている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、検出された拍動に基づいて得られた時間領域解析結果と入力された主観データとを併せて表示する装置であって、拍動のゆらぎに基づいて、被測定者の健康状態を総合的に判断することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明に係る心拍ゆらぎ検出装置は以下のような構成を備える。即ち、
被測定者に関する情報を設定する設定手段と、
前記被測定者の拍動を検出し、1拍毎の拍動間隔を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された拍動間隔に基づいて時間領域解析を行う解析手段と、
所定時間内に前記被測定者の基礎体温を検出し、該検出した基礎体温を含めた過去の基礎体温の測定結果を用いて、低温期と高温期との基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無を算出する体温差算出手段と、
前記所定時間内に前記被測定者の脳波を検出し、該検出された脳波と前記解析結果と前記検出された拍動の単位時間あたりの拍動数とに基づいて、前記被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを表す心地よさ度を算出する心地よさ度算出手段と、
前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無と前記解析結果と前記心地よさ度とに基づいて、前記被測定者の健康状態を判定する判定手段と、
前記判定手段における判定結果に基づいて、メッセージを表示する表示手段とを備える。
【0011】
また、本発明に係る他の心拍ゆらぎ検出装置は以下のような構成を備える。即ち、
被測定者の拍動を検出し、拍動間隔を抽出する抽出手段と、
前記抽出されたn拍目の拍動間隔とn+1拍目の拍動間隔とを、2次元グラフ領域の縦軸または横軸として順次プロットする場合の各座標データを算出する座標算出手段と、
所定時間内に算出された前記座標データのばらつきを算出するばらつき算出手段と、
前記所定時間内に前記被測定者の基礎体温を検出し、該検出した基礎体温を含めた過去の基礎体温の測定結果を用いて、低温期と高温期との基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無を算出する体温差算出手段と、
前記所定時間内に前記被測定者の脳波を検出し、該検出された脳波と前記ばらつきと前記検出された拍動の単位時間あたりの拍動数とに基づいて、前記被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを表す心地よさ度を算出する心地よさ度算出手段と、
前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無と前記ばらつきと前記心地よさ度とに基づいて、前記被測定者の健康状態を判定する判定手段と、
前記判定手段における判定結果に基づいて、メッセージを表示する表示手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出された拍動に基づいて得られた時間領域解析結果と入力された主観データとを併せて表示する装置において、拍動のゆらぎに基づいて、被測定者の健康状態を総合的に判断することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態で説明する心拍ゆらぎ検出装置は、時間領域解析の幾何学的図形解析法の1つであるローレンツプロットを表示する装置として説明するが、本発明は以下に記載の実施形態に限定されるものではない。例えば、他の心拍変動指標として、時間領域解析の幾何学的図形解析法の1つであるトライアングルインデックスや、時間/領域解析であるSDNN、SDANN、r−MSSD、RR50(NN50)、pNN50(φ0NN50)、CVRR等を表示する装置にも適用可能である。
【0014】
[第1の実施形態]
1.装置の外観構成
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置の外観構成を示す図である。同図において、101はハウジングであり、内部の電子機器を覆うとともに、装置の外形を形成する。ハウジング101の一部分(102に示す部分)には、拍動を検出するための電極が埋め込まれており、被測定者が102に示す部分に手のひらを当てることにより、被測定者の拍動を検出することができる。
【0015】
103は表示/操作部であり、検出された拍動に基づいて時間領域解析法の幾何学的図形解析法の1つで得られるデータの1つとしてのローレンツプロットを表示すると共に、被測定者による各種操作を受け付ける。
【0016】
なお、図1には示されていないが、本実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置には、被測定者の体温を検出する体温計が接続できるように構成されているものとする。また、脳波(α波)を測定する脳波検出器が接続できるように構成されているものとする。
【0017】
2.装置の機能構成
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置の機能構成を示す図である(体温計及び脳波検出器が接続された場合の機能構成を示す図である)。同図において、201はクロック部であり、クロック信号を発振し、CPU202に供給する。202はCPUであり、クロック部201より発振されたクロック信号に基づいて動作する。203はRAMであり、CPU202において処理されるプログラムのワークエリアとして機能するとともに、プログラム処理時にデータ等を一時的に記憶する記憶手段としても機能する。204はROMであり、CPU202にて処理されるプログラムが格納されている。
【0018】
205は表示/操作部であり、CPU202において処理された処理結果を表示するとともに、被測定者からの指示入力を受け付ける。206は電極であり、被測定者の拍動を検出し、電気信号を出力する。207はアンプであり、電極206より出力された電気信号を増幅するとともに、デジタル信号(以下、心拍測定データ)に変換する。
【0019】
208は体温計(体温測定手段)であり、被測定者の体温を検出し、電気信号を出力する。209はアンプであり、体温計208より出力された電気信号を増幅するとともに、デジタル信号(以下、体温測定データ)に変換する。
【0020】
209は脳波検出器であり、被測定者の脳波(α波)を検出し、電気信号を出力する。211はアンプであり、脳波検出器210より出力された電気信号を増幅するとともに、デジタル信号(以下、脳波測定データ)に変換する。
【0021】
212はデータ記録部であり、入力された体温測定データやCPU202において心拍測定データや脳波測定データを処理することにより得られた算出データ、および表示/操作部205を介して被測定者が設定した被測定者に関する情報(設定データ:例えば、年齢、性別)等を記録する。
【0022】
ROM204に格納されたプログラムにより実現される機能を221から229に示す。221は心拍検出処理部であり、アンプ207より出力された心拍測定データを受信する。222は心拍間隔検出処理部であり、受信した心拍測定データに基づいて、心拍波形のR波を同定したのち、各R−R間隔を算出し、ローレンツプロットデータ(2次元グラフ領域にローレンツプロットを表示するための座標データ)を生成する。また、所定時間、例えば、1分間あたりの心拍数を算出する。更に、測定が完了した際には、ゆらぎ度および目標達成度を算出する。なお、ゆらぎ度とは、2次元グラフ領域における分布領域の大きさ(本実施形態にあっては、ローレンツプロットデータのばらつき)のことをいうものとする。また、目標達成度とは、被測定者に関する情報(年齢)に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域の大きさに対する、生成されたローレンツプロットの分布領域の大きさの割合をいう。
【0023】
223は表示処理部であり、測定開始時においては、被測定者により予め入力された設定データを表示/操作部205上に表示する。また、測定中は、心拍間隔検出処理部222において生成されたローレンツプロットデータに基づいて、表示/操作部205上にローレンツプロットを表示するとともに、心拍波形のR波のタイミングに合わせて、文字、記号、シンボルマーク等で表示される心拍検出マーク(後述)を点滅させ、更に心拍数を表示する。また、測定完了時には、算出されたゆらぎ度および目標達成度を表示する。また、後述する体温入力処理部において受信された体温測定データ、ならびに脳波入力処理部において算出された心地よさ度を表示する。更に、過去のローレンツプロットデータを読み出し、表示/操作部205上にローレンツプロットを表示すると共に、後述するトレンド処理部により抽出されたゆらぎ度、体温、心地よさ度をトレンドグラフとして表示する。
【0024】
224はデータ記録処理部であり、算出されたローレンツプロットデータ、ゆらぎ度、目標達成度、心地よさ度および入力された設定データのほか、体温測定データ等を、データ記録部212に記録する。また、過去に記録されたローレンツプロットデータ、ゆらぎ度、目標達成度、心地よさ度および入力された設定データ、体温測定データ等をデータ記録部212より削除する。
【0025】
225はトレンド処理部であり、データ記録部212に記録された過去のゆらぎ度、心地よさ度および体温測定データを抽出し時系列に配列する。なお、特定の設定データと対応づけられたゆらぎ度、心地よさ度及び体温測定データのみを抽出したうえで、時系列に配列することも可能である。なお、ゆらぎ度を昇順、降順、頻度順、日付毎等、任意に選択して配列することも可能である。
【0026】
226はユーザ入力処理部であり、表示/操作部205を介して入力された設定データを受信する。
【0027】
227は体温入力処理部であり、アンプ209より出力された体温測定データを受信するとともに、受信した体温測定データを含めた直近の基礎体温の低温期および高温期の体温差を算出する。228は脳波入力処理部であり、アンプ211より出力された脳波測定データを受信するとともに、受信した脳波および算出された心拍数、ゆらぎ度を用いて被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを示す心地よさ度を算出する。
【0028】
229は判定処理部であり、算出された各種データ(ゆらぎ度、基礎体温の低温期および高温期、体温差または基礎体温の周期性の有無、心地よさ度)に基づいて、被測定者の健康状態を判定する。
【0029】
3.装置における画面構成
図3は、表示/操作部205の画面例を示す図である(なお、画面は液晶画面のほか、視認性の高い有機ELなどを用いても良い)。301はデータ表示部であり、表示処理部223が各種データを表示する。図3の例では、ローレンツプロットを表示するための画面が図示されており、横軸および縦軸の単位はmsecである。309、310はそれぞれデータ表示部301をスクロールするためのスクロールバーである。205aは、カーソル、スクロールバーを任意に移動させるための十字キーである。
【0030】
302は測定ボタンであり、被測定者は測定ボタン302を押下することにより、測定を開始する。
【0031】
303は再生ボタンであり、データ記録部212に記録された過去のローレンツプロットデータ等を読み出し、データ表示部301に表示する。304は削除ボタンであり、データ記録部212に記録された過去のローレンツプロットデータ、ゆらぎ度、目標達成度、心地よさ度および設定データ、体温測定データ等を削除する。
【0032】
305はトレンド表示ボタンであり、データ表示部301上にゆらぎ度、心地よさ度、体温測定データのトレンドグラフを表示する。306はトレンド表示終了ボタンであり、データ表示部301上のトレンドグラフの表示を終了し、ローレンツプロットの表示に戻す。
【0033】
307、308はそれぞれ縮小ボタンおよび拡大ボタンであり、データ表示部301上に表示されるローレンツプロットやトレンドグラフ等を縮小または拡大する。
【0034】
4.装置における処理の流れ(全体)
図4は、本発明の第1の実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置における全体処理の流れを示すフローチャートである。ステップS401において装置の電源が投入されると、ステップS402では、表示/操作部205に初期画面(例えば、図3に示す画面)が表示される。
【0035】
ステップS403では、被測定者によりどのような操作が行われたのかを判定する。被測定者により測定ボタン302が押下されたと判定された場合には、ステップS404に進み、測定処理を実行する(測定処理の詳細は、後述)。また、被測定者により再生ボタン303または削除ボタン304が押下されたと判定された場合には、ステップS407に進み、ローレンツプロットデータ再生/削除処理を実行する(ローレンツプロットデータ再生/削除処理の詳細は、後述)。更に、被測定者によりトレンド表示ボタン305が押下されたと判定された場合には、ステップS408に進み、トレンド表示処理を実行する(トレンド表示処理の詳細は、後述)。
【0036】
ステップS404における測定処理が終了すると、ステップS405に進み、算出されたローレンツプロットデータ等をデータ記録部212に保存するか否かを判定する。被測定者より保存指示が入力された場合には、ステップS406に進み、ローレンツプロットデータ等の保存処理を行う。
【0037】
ステップS405において保存指示が入力されなかったと判定された場合、またはステップS406においてローレンツプロットデータ等の保存処理が終了した場合、または、ステップS407においてローレンツプロットデータ再生/削除処理が終了した場合、またはステップS408においてトレンド表示処理が終了した場合には、ステップS409に進む。
【0038】
ステップS409では、電源OFF操作がなされたか否かを判定し、電源OFF操作がなされていなければ、ステップS403に戻り、上記処理を繰り返す。
【0039】
一方、ステップS409において電源OFF操作がなされた場合には、処理を終了する。
【0040】
5.測定処理(ステップS404)の詳細
図5〜図9を用いて、測定処理(ステップS404)の詳細について説明する。図5Aは、測定処理(ステップS404)の流れを示すフローチャートである。
【0041】
測定ボタン302が押下され測定処理が起動すると、ステップS501では、データ表示部301に設定データ入力画面を表示し、設定データが入力されたか否かを判定する。
【0042】
例えば、図6はデータ表示部301に設定データ入力画面601が表示された様子を示す図である。同図に示すように、本実施形態の場合、例えば測定に際してはデフォルトされた項目(ここでは602〜606の5項目)について被測定者が設定データを入力する構成となっている。
【0043】
602は被測定者の年齢を選択する項目である(被測定者の年齢が選択されることで、該年齢に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域を呼び出すことができる)。603は被測定者の現在の状況を選択する項目である。604および605は被測定者の主観に基づく被測定者自身の自覚症状についての情報を入力する項目である。具体的には、604は被測定者の現在の精神状態に関する情報を入力する項目である。605は被測定者の現在の体調(肉体的状態)に関する情報を入力する項目である。606は、被測定者が現在服薬している薬に関する情報を入力する項目である。
【0044】
607は設定ボタンであり、当該設定ボタン607が押下されると、設定項目602から606の設定データを設定したのち、設定データ入力画面601を閉じる。608はキャンセルボタンであり、当該キャンセルボタン608が押下されると設定項目602から606の設定データを設定することなく、設定データ入力画面601が閉じられる。
【0045】
設定ボタン607が押下されると、ステップS501において設定データが入力されたと判断し、ステップS502に進む。一方、キャンセルボタン608が押下されると処理を終了する。
【0046】
ステップS502では、閾値a、b、cを設定する。なお、閾値a、b、cの設定処理の詳細な流れは後述する。
【0047】
ステップS502での処理が終わると、図7に示すように測定開始指示入力画面701が表示され、測定を開始するか否かを判定する。
【0048】
開始ボタン702が押下された場合には、測定開始指示入力画面701を閉じ、測定(心拍、体温、脳波)を開始する(ステップS503において“Yes”)。一方、キャンセルボタン703が押下された場合には、測定開始指示入力画面701を閉じ、処理を終了する(ステップS503において“No”)。
【0049】
ステップS503において測定が開始されると、ステップS504では、設定データ等の表示を行う。図8は、測定が開始された直後のデータ表示部301の一例を示す図である。
【0050】
同図において、801は心拍検出マークであり、心拍検出処理部221において受信された心拍測定データのR波に合わせて点滅する。802は心拍数表示欄(1分間あたりの心拍の数を表示する欄)である。803は、データ表示部301が現在拡大表示されているのか、標準の大きさで表示されているのか、縮小表示されているのかを表示する欄である。804は現在の日時を表示する欄である。更に、807の目標設定欄には設定データ入力画面601において被測定者が選択した被測定者の年齢または年齢と性別が表示される(ただし、年齢、性別は表示されなくても良い)。805は選択された被測定者の年齢に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域を示したものである。
【0051】
ステップS505では、心拍検出処理部221が心拍測定データを受信する。また体温入力処理部227が体温測定データを受信する。更に、脳波入力処理部228が脳波測定データを受信する。
【0052】
ステップS506では、心拍検出処理部221で受信した心拍測定データに基づいて、心拍検出マーク801を点滅させるとともに、心拍数表示欄802に、心拍数をリアルタイム表示する。
【0053】
ステップS507では、ローレンツプロットを行う。図8の806はローレンツプロットの一例である。ステップS508では、測定が開始されてから所定時間経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、ステップS505に戻る。一方、所定時間経過していれば、ステップS509に進む。なお、所定時間経過するまでの経過を、データ表示部301の任意の位置に表示(セグメント表示などで、カウントダウン表示またはカウントアップ表示)したり、ペット、子供、風景、キャラクタなどを任意に選択して順次画像等を完成させるような画面表示としてもよい。また、所定時間経過するまでにローレンツプロットを順に表示するが、所定時間経過後、全てのローレンツプロットを同時に表示するようにしても良い。
【0054】
ステップS509では、今回測定時の全てのローレンツプロットデータに基づいて、目標達成度及びゆらぎ度を算出し、データ表示部301に表示する。好ましくは、更にステップS510では、ローレンツプロットの分布領域を示す線をデータ表示部301に表示する。こうして被測定者に関する情報(年齢、性別)に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域の大きさと容易に比較することができる。
【0055】
ステップS511では、体温測定データをデータ表示部301に表示する。更に、ステップS512では、ステップS505にて受信された脳波測定データとステップS506にて検出された心拍数とステップS509にて算出されたゆらぎ度とに基づいて、被測定者の心地よさ度を算出する。なお、心地よさ度の算出にあたっては下式を用いる。
(式1)心地よさ度=A×心拍数+B×ゆらぎ度+C×α波+D
ただし、A、B、C、Dは係数
ステップS513では、ステップS505にて受信された体温測定データとステップS509にて算出されたゆらぎ度とステップS512にて算出された心地よさ度とに基づいて、被測定者の状態を判定する(なお、判定処理の詳細は後述)。また、判定した被測定者の状態に対応するメッセージをデータ表示部301に表示する。
【0056】
図9は、ローレンツプロットの分布領域を示す線901と、目標達成度902、ゆらぎ度903、体温904、心地よさ度905、メッセージ906がそれぞれ表示された様子を示す図である。
【0057】
5.1 閾値a、b、c設定処理(ステップS502)の詳細
上記閾値a、b、c設定処理(ステップS502)の詳細について図5Bを用いて説明する。ステップS521では、すでに測定されデータ記録部212に記録済みの過去のゆらぎ度を全て読み出す。ステップS522では、ステップS521にて読み出された過去のゆらぎ度の平均値Avgを算出する。ステップS523では、算出されたAvgをゆらぎ度の閾値aに設定する。
【0058】
ステップS524では、データ記録部212に予め記録されている体温の閾値(基礎体温の高温期と低温期の差異)を読み出す。ステップS525では、読み出された値を体温の閾値bに設定する。
【0059】
ステップS526では、データ記録部212に予め記録されている心地よさ度の閾値を読み出す。ステップS527では、読み出された値を心地よさ度の閾値cに設定する。
【0060】
このように、本実施形態では、ゆらぎ度の閾値は被測定者の過去の測定結果に基づいて設定する。また体温および心地よさ度の閾値は、予め定められた値を用いる。
【0061】
5.2 判定処理(ステップS513)の詳細
次に判定処理(ステップS513)の詳細について図5Cを用いて説明する。ステップS531では、算出されたゆらぎ度が閾値a以上であるか否かを判定する。算出されたゆらぎ度が閾値a以上であると判定された場合には、ステップS532に進む。
【0062】
ステップS532では、測定された体温測定データを含む過去の基礎体温の高温期と低温期の差異を算出する。現在が高温期にある場合には、測定された体温を含む直近の高温期の体温の平均値と、その前の低温期の体温の平均値との差異を算出する。また、現在が低温期にある場合には、測定された体温を含む直近の低温期の体温の平均値と、その前の高温期の体温の平均値との差異または基礎体温の周期性の有無を算出する。更に、算出された差異が閾値b以上であるか否かを判定する。算出された差異が閾値b以上であると判定された場合には、ステップS533に進む。
【0063】
ステップS533では、算出された心地よさ度が閾値c以上であるか否かを判定する。算出された心地よさ度が閾値c以上であると判定された場合には、ステップS534に進む。
【0064】
ここで、ゆらぎ度が閾値a以上であるということは、副交感神経が優位な状態にあるといえる。更に、基礎体温の高温期と低温期との差異が閾値b以上であるということは体調が良い状態にあるといえる。更に、心地よさ度が閾値c以上であるということ、または基礎体温の周期性(リズム)があるということは、リラックスの感情が優位にあるといえる。したがって、ステップS534では、現在の被測定者は、“精神面でのストレスは低く、体温にも影響していない”と判定する。なお、副交感神経優位になりすぎると、アレルギー、肥満の原因となるため注意が必要であることから、この時点で被測定者は、程よい緊張状態を取り入れたほうがよいといえる。
【0065】
一方、ステップS533において、心地よさ度が閾値cより低いと判定された場合には、ステップS535に進む。
【0066】
ここで、心地よさ度が閾値cより小さいということは、被測定者はリラックス状態にないといえる。したがって、ステップS535では、現在の被測定者は、“精神面でのストレスを感じている可能性がある”と判定する。なお、このような状態は、被測定者にとって望ましい状態とはいえず、被測定者は適度な運動を取り入れるなどして、健康を維持するようにしたほうがよいといえる。
【0067】
一方、ステップS532において、体温が閾値bより小さいと判定された場合には、ステップS536に進み、算出された心地よさ度が閾値c以上であるであるか否かを判定する。算出された心地よさ度が閾値c以上であると判定された場合には、ステップS537に進む。
【0068】
ここで、ゆらぎ度が閾値a以上であるということは、副交感神経が優位な状態にあるといえる。一方、基礎体温の高温期と低温期との差異が閾値bより小さいということは、体調が正常なリズムでないといえる。一方、心地よさ度が閾値c以上であるということはリラックスの感情が優位にあるといえる。したがって、ステップS537では、“現在の被測定者は、精神面でのストレスは低いが女性ホルモンの働きに異常の可能性がある”と判定する。
【0069】
一方、ステップS536において、心地よさ度が閾値cより小さいと判定された場合には、ステップS538に進む。
【0070】
ここで、心地よさ度が閾値cより小さいということは、被測定者がリラックス状態にないといえる。したがって、ステップS538では、“精神面でのストレスが体温異常に影響を及ぼしている可能性がある”と判定する。
【0071】
一方、ステップS531において、ゆらぎ度が閾値aより小さいと判定された場合には、ステップS539に進み、基礎体温の高温期と低温期との差異が閾値b以上であるか否かを判定する。差異が閾値b以上であると判定された場合には、ステップS540に進む。
【0072】
ステップS540では、算出された心地よさ度が閾値c以上であるか否かを判定する。算出された心地よさ度が閾値c以上であると判定された場合には、ステップS541に進む。
【0073】
ここで、ゆらぎ度が閾値aより小さいということは、交感神経が優位な状態にあるといえる。更に、基礎体温の高温期と低温期との差異が閾値b以上であるということ、または基礎体温の周期性(リズム)があるということは体調が良い状態にあるといえる。更に、心地よさ度が閾値c以上であるということは、リラックスの感情が優位にあるといえる。したがって、ステップS541では、現在の被測定者は、“精神面でのストレスも低く、体温に影響を及ぼしていない”と判定する。
【0074】
一方、ステップS540において、心地よさ度が閾値cより小さいと判定された場合には、ステップS542に進む。
【0075】
ここで、心地よさ度が閾値cより小さいということは、被測定者がリラックス状態にないといえる。したがって、ステップS542では、“精神面でのストレスを感じているが体温には影響していない”と判定する。
【0076】
一方、ステップS539において、基礎体温の高温期と低温期との差異が閾値bより小さいと判定された場合または基礎体温の周期性(リズム)がないと判定された場合には、ステップS545に進み、算出された心地よさ度が閾値c以上であるか否かを判定する。算出された心地よさ度が閾値c以上であると判定された場合には、ステップS544に進む。
【0077】
ここで、ゆらぎ度が閾値aより小さいということは、交感神経が優位な状態にあるといえる。一方、基礎体温の高温期と低温期との差異が閾値bより小さいということ、または基礎体温の周期性(リズム)がないということは、体調が正常なリズムでないといえる。一方、心地よさ度が閾値c以上であるということはリラックスの感情が優位にあるといえる。したがって、ステップS544では、“精神面でのストレスは低いが女性ホルモンの働きに異常の可能性がある”と判定する。
【0078】
一方、ステップS543において心地よさ度が閾値cより小さいと判定された場合には、ステップS545に進む。
【0079】
ここで、心地よさ度が閾値cより小さいということは、被測定者はリラックス状態にないといえる。したがって、ステップS545では、“精神面でのストレスが体温異常に影響を及ぼしている可能性がある”と判定する。
【0080】
このように、本実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置では、拍動のゆらぎと体温と心地よさ度とに基づいて、被測定者の健康状態を総合的に判定する。具体的には、基礎体温の高温期と低温期との差異の大きさまたは基礎体温の周期性(リズム)の有無に基づいて、被測定者の体調の良し悪しを判定し、体調が悪いと判定された場合、その原因が精神面のストレスによるものなのか、それ以外の原因によるものなのかを、拍動のゆらぎと心地よさ度とに基づいて判定する。これにより、被測定者は適切な対応をとることが可能となる。
【0081】
また、被測定者の体調が良いと判定された場合でも、症状としてあらわれていないだけで実際は精神的なストレスを受けている可能性があるのか、あるいは、実際に精神的なストレス自体を受けていないのかを、拍動のゆらぎと心地よさ度とに基づいて判定する。これにより、被測定者は体調を崩す前に適切な対応をとることが可能となる。
【0082】
6.プロットデータ保存処理(ステップS406)の詳細
図10〜図12を用いてプロットデータ保存処理(ステップS406)の詳細について説明する。測定が完了し、分布領域を示す線901と、目標達成度902、ゆらぎ度903、体温904、心地よさ度905、メッセージ906が表示されると、図11に示すように、データ表示部301には、測定結果保存入力画面1101が表示される。測定結果保存入力画面1101には、保存ボタン1102とキャンセルボタン1103とが含まれる。保存ボタン1102は、被測定者が今回測定した測定結果の保存を指示するためのボタンである。キャンセルボタン1103は、今回測定した測定結果を保存しない旨の指示を入力するためのボタンである。
【0083】
図11において、保存ボタン1102が押下されると、図10のステップS1001では、今回測定時に設定された各種設定データをデータ記録部212に記録する。更に、ステップS1002では、該設定データに対応付けて算出データ(ローレンツプロットデータ、分布領域を示す線901、目標達成度902、ゆらぎ度903、心地よさ度905)ならびに体温測定データ(体温904)をデータ記録部212に記録する。なお、このとき、測定完了時の日時もあわせて記録する。
【0084】
図12は、プロットデータ保存処理によりデータ記録部212に記録された各種データ(日時、設定データ、算出データ、体温測定データ)の一例を示す図である。
【0085】
同図において、1201はデータ番号であり、保存するデータごとに、保存する順序に従って昇順に付される。
【0086】
1202は測定完了の日時である。1203−1から1207は、測定の際に被測定者が入力した設定データであり、1208から1212は算出データである。具体的には、1208はローレンツプロットデータであり、1209は分布領域を示す線データであり、1210は目標達成度であり、1211はゆらぎ度であり、1212は心地よさ度である。1213は体温測定データである。
【0087】
7.ローレンツプロットデータ再生/削除処理(ステップS407)の詳細
図13〜図15を用いてローレンツプロットデータ再生/削除処理(ステップS407)の詳細について説明する。再生ボタン303または削除ボタン304が押下されると、図13のステップS1301では、再生ボタン303または削除ボタン304のいずれのボタンが押下されたかを判断する。
【0088】
ステップS1301において再生ボタン303が押下されたと判断された場合には、ステップS1302に進み、データ記録部212に記録されているデータ一覧をデータ表示部301に表示する。図14の1401は、データ一覧を表示した様子を示している。被測定者は、データ一覧1401に記載されたデータ番号のうちのいずれかを選択して、再生ボタン1402を押下する。
【0089】
ステップS1303では、被測定者により選択されたデータ番号に基づいて、ローレンツプロットデータの再生処理に必要なデータ(設定データ(年齢)、算出データ(ローレンツプロットデータ1208、分布領域を示す線データ1209、目標達成度1210、ゆらぎ度1211、心地よさ度1212)、体温測定データ1213)を読み出す。
【0090】
ステップS1304では、ステップS1303において読み出されたデータを、データ表示部301に表示する。このとき、設定データ(年齢)に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域を呼び出し、合わせて表示する。
【0091】
なお、データ一覧1401が表示された際に、被測定者がキャンセルボタン1403を押下した場合には、データ表示部301は、再生ボタン303が押下される前の表示に戻る。
【0092】
一方、ステップS1301において、削除ボタン304が押下されたと判断された場合には、ステップS1305に進み、データ記録部212に記録されているデータ一覧をデータ表示部301に表示する。図15の1501は、データ一覧を表示した様子を示している。被測定者は、データ一覧1501に記載されたデータ番号のうちのいずれかを選択して、削除ボタン1502を押下する。
【0093】
ステップS1306では、被測定者により選択されたデータ番号のデータをデータ記録部212から削除する。続けて、被測定者が他のデータ番号を選択して、削除ボタン1502を押下すると、当該データ番号のデータは、データ記録部212から削除される。つまり、キャンセルボタン1503が押下されるまでは、連続的にデータを削除することができる。
【0094】
キャンセルボタン1503が押下されると、ステップS1307では、削除ボタン304が押下される直前の表示に戻る。
【0095】
8.トレンド表示処理(ステップS408)の詳細
図16〜図18を用いてトレンド表示処理(ステップS408)の詳細について説明する。
【0096】
トレンド表示ボタン305が押下されると、図17に示すトレンド表示方法選択画面1700をデータ表示部301に表示する。
【0097】
ステップS1601では、トレンド表示方法選択画面1700において、被測定者が選択するトレンド表示方法を受け付ける。ステップS1602では、トレンド表示方法選択画面1700において、「全データを時系列で表示」(1701)が選択されたか否かを判定する。
【0098】
ステップS1602において、「全データを時系列で表示」(1701)が選択されたと判定された場合には、ステップS1603に進み、データ記録部212に記録された全てのゆらぎ度、心地よさ度及び体温測定データを抽出する。ステップS1604では、ステップS1603にて抽出されたゆらぎ度、心地よさ度及び体温測定データを時系列にソートし、トレンドグラフとして表示する。
【0099】
ステップS1602において、「全データを時系列で表示」(1701)が選択されなかったと判定された場合(つまり、「特定のデータを抽出して表示」(1702)が選択されたと判定された場合)には、ステップS1605に進む。
【0100】
例えば、「特定のデータを抽出して表示」(1702)を選択した場合、被測定者は、「特定のシチュエーション」(1703)、「特性の精神状態」(1704)、「特定の体調」(1705)、「特定の薬」(1706)のいずれか1つまたは複数を選択する。
【0101】
なお、複数選択した場合には、それらの項目がすべて設定されたデータ番号のゆらぎ度、心地よさ度及び体温測定データが抽出されることとなる。
【0102】
そこで、ステップS1605では、当該選択された設定データが設定されたデータ番号に対応するゆらぎ度、心地よさ度及び体温測定データをデータ記録部212より抽出する。ステップS1606では、当該抽出されたゆらぎ度、心地よさ度及び体温測定データを時系列または昇順、降順でソートし、ステップS1607では、トレンドグラフとして表示する。
【0103】
図18は、データ表示部301に表示されたトレンドグラフ(1800はゆらぎ度のトレンドグラフ、1804は体温のトレンドグラフ、1805は心地よさ度のトレンドグラフ)の一例を示す図である。横軸は例えば日時を示し、縦軸はゆらぎ度(%)または体温(℃)または心地よさ度(%)を示している。1801は、データ表示部301に表示されたゆらぎ度のトレンドグラフのうち最大値を、1802は、データ表示部301に表示されたゆらぎ度のトレンドグラフのうち最小値を、1803は、データ表示部301に表示されたゆらぎ度のトレンドグラフの平均値を、それぞれ示している。なお、横軸をシミュレーションとして表示しても良い。
【0104】
図16に戻る。ステップS1608では、表示されたトレンドグラフの特定箇所が被測定者により指定されたか否かを判定する。被測定者により指定されたと判定された場合には、ステップS1609に進み、当該指定されたゆらぎ度、心地よさ度または体温測定データに対応する設定データを読み出し、ステップS1610にて、当該読み出された設定データを吹き出し表示する。
【0105】
図19は、データ表示部301に表示されたトレンドグラフの特定箇所が指定された様子を示す図である。同図に示すように、十字キー205aでカーソル310aを特定箇所に移して、例えば、吹き出し(コメント等)が表示され(1901、1902、1903)、当該特定箇所におけるゆらぎ度または体温測定データに対応する設定データが表示される。
【0106】
図16に戻る。ステップS1611では、トレンド表示終了ボタン306が押下されたか否かを判定する。トレンド表示終了ボタン306が押下されたと判定された場合には、トレンド表示を終了し、ステップS1601においてトレンド表示方法選択画面1700が表示される前の表示画面に戻る。
【0107】
一方、ステップS1611において、トレンド表示終了ボタン306が押下されていないと判定された場合には、ステップS1608に戻る。
【0108】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、心拍とあわせて体温および脳波を測定し、拍動のゆらぎと体温と心地よさ度とに基づいて、被測定者の健康状態を判定することとした。
【0109】
つまり、拍動のゆらぎと体温と心地よさ度とを考慮することで、被測定者の体調の良し悪しを判定し、その原因が精神面でのストレスによるものなのか、それ以外の原因によるものなのかを判定することが可能となる。これにより、被測定者は適切な対応をとることができるようになる。
【0110】
また、被測定者の体調が良いと判定された場合でも、症状としてあらわれていないだけで実際は精神的なストレスを受けている場合もある。本実施形態では、このような状態についても判定することができるため、被測定者は体調を崩す前に適切な対応をとることができる。このように、本実施形態によれば、被測定者の健康状態を総合的に判断することが可能となる。
【0111】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、閾値aは、過去のゆらぎ度に基づいて自動的に算出することとし、閾値b、cは、予め決められた値を設定することとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、閾値a、b、cを被測定者が任意に設定できるように構成してもよい。
【0112】
図20は、本実施形態における閾値a、b、cの設定処理(ステップS502)の詳細を示す図であり、図21は、閾値a、b、cの設定処理(ステップS502)が開始された際に、データ表示部301に表示される閾値入力画面2101を示す図である。
【0113】
被測定者は、閾値入力画面2101のゆらぎ度の閾値を入力する欄(2102)において、適切な閾値を入力する。また、体温の閾値を入力する欄(2103)において、適切な閾値を入力する。入力が完了すると設定ボタン2104を押下する。更に、心地よさ度の閾値を入力する欄(2104)において、適切な閾を入力する。
【0114】
被測定者が設定ボタン2104を押下すると、図20のステップS2001において、閾値が入力されたと判定し、ステップS2002に進む。ステップS2002では、入力された閾値をそれぞれa、b、cに設定する。
【0115】
一方、被測定者がキャンセルボタン2105を押下すると、図20のステップS2001において、閾値が入力されなかったと判定し、処理を終了する。
【0116】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、ゆらぎ度の閾値aおよび体温の閾値b、心地よさ度の閾値cを被測定者が任意に設定することが可能となる。
【0117】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、ゆらぎ度と体温と心地よさ度とに基づいて、被測定者の健康状態(体調の良し悪し、その原因、対応)をメッセージとしてデータ表示部301に表示することとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、現状の健康状態に対応して、被測定者に生活習慣のアドバイスを表示するようにしてもよい。
【0118】
例えば、図5CのステップS534において、“精神面でのストレスは低く、体温にも影響していない状態”と判定された場合には、程よい緊張状態を取り入れるアドバイスを行い、副交感神経優位になりすぎるとアレルギーがでたり肥満になったりする可能性がある旨の注意を促すようにしてもよい。
【0119】
また、ステップS535において、“精神面でのストレスを感じている可能性がある”と判定された場合には、精神面でのストレスを緩和するアドバイスを行うようにしてもよい。
【0120】
また、ステップS537において、“精神面でのストレスは低いが女性ホルモンの働きに異常がある可能性があると判定された場合には、被測定者に対して、医師への受診を促すようにしてもよい。
【0121】
また、ステップS538において、“精神面でのストレスが体温異常に影響を及ぼしている”と判定された場合には、被測定者に精神面でのストレスを緩和するアドバイスをしてもよい。また、基礎体温管理において医師への受診を促すようにしてもよい。
【0122】
このようなアドバイスを表示することにより、被測定者が自身の現状の健康状態の傾向を把握することができるだけでなく、今後何をしなければならないかを知ることができるようになり、健康管理を進めていくうえで、被測定者にとって有意義となる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置の外観構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置の機能構成を示す図である。
【図3】表示/操作部205の画面例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる心拍ゆらぎ検出装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5A】測定処理(ステップS403)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5B】閾値設定処理(ステップS502)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5C】判定処理(ステップS512)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】設定データ入力画面601が表示された様子を示す図である。
【図7】測定開始指示入力画面701が表示された様子を示す図である。
【図8】測定が開始された直後のデータ表示部301の一例を示す図である。
【図9】ローレンツプロットデータのゆらぎ度を示す線901と、目標達成度902、ゆらぎ度903、体温904、心地よさ度905、メッセージ906が表示された様子を示す図である。
【図10】プロットデータ保存処理(ステップS406)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】測定結果保存入力画面1101が表示された様子を示す図である。
【図12】プロットデータ保存処理によりデータ記録部212に記録された各種データを示す図である。
【図13】ローレンツプロットデータ再生/削除処理(ステップS407)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】データ一覧を表示した様子を示す図である。
【図15】データ一覧を表示した様子を示す図である。
【図16】トレンド表示処理(ステップS408)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】トレンド表示方法選択画面の一例を示す図である。
【図18】データ表示部301に表示されたトレンドグラフの一例を示す図である。
【図19】データ表示部に表示されたトレンドグラフの特定箇所が指定された様子を示す図である。
【図20】閾値設定処理(ステップS502)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】閾値入力画面の一例を示す図である。
【図22】心電波形に基づくローレンツプロット方法を説明するための図である。
【図23】心電波形に基づくローレンツプロット方法を説明するための図である。
【図24】ローレンツプロットの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者に関する情報を設定する設定手段と、
前記被測定者の拍動を検出し、1拍毎の拍動間隔を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された拍動間隔に基づいて時間領域解析を行う解析手段と、
所定時間内に前記被測定者の基礎体温を検出し、該検出した基礎体温を含めた過去の基礎体温の測定結果を用いて、低温期と高温期との基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無を算出する体温差算出手段と、
前記所定時間内に前記被測定者の脳波を検出し、該検出された脳波と前記解析結果と前記検出された拍動の単位時間あたりの拍動数とに基づいて、前記被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを表す心地よさ度を算出する心地よさ度算出手段と、
前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無と前記解析結果と前記心地よさ度とに基づいて、前記被測定者の健康状態を判定する判定手段と、
前記判定手段における判定結果に基づいて、メッセージを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項2】
被測定者の拍動を検出し、拍動間隔を抽出する抽出手段と、
前記抽出されたn拍目の拍動間隔とn+1拍目の拍動間隔とを、2次元グラフ領域の縦軸または横軸として順次プロットする場合の各座標データを算出する座標算出手段と、
所定時間内に算出された前記座標データのばらつきを算出するばらつき算出手段と、
前記所定時間内に前記被測定者の基礎体温を検出し、該検出した基礎体温を含めた過去の基礎体温の測定結果を用いて、低温期と高温期との基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無を算出する体温差算出手段と、
前記所定時間内に前記被測定者の脳波を検出し、該検出された脳波と前記ばらつきと前記検出された拍動の単位時間あたりの拍動数とに基づいて、前記被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを表す心地よさ度を算出する心地よさ度算出手段と、
前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無と前記ばらつきと前記心地よさ度とに基づいて、前記被測定者の健康状態を判定する判定手段と、
前記判定手段における判定結果に基づいて、メッセージを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項3】
前記心地よさ度算出手段は、所定の係数A、B、C、Dを用いて、A×(単位時間あたりの拍動数)+B×ばらつき+C×脳波+Dを計算することにより心地よさ度を算出することを特徴とする請求項2に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無に基づいて、前記被測定者の体調の良し悪しを判定し、前記ばらつきと前記心地よさ度とに基づいて、該体調の良し悪しと前記被測定者の精神的なストレスならびに該ストレスに伴う副交感神経と交感神経とのバランスの乱れとの関連性を判定することを特徴とする請求項2に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記ばらつきが所定のばらつき閾値以上の場合には、副交感神経が優位な状態にあり、所定のばらつき閾値より小さい場合には、交感神経が優位な状態にあると判定することを特徴とする請求項4に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記基礎体温の差異が所定の体温閾値以上の場合または前記基礎体温の周期性がある場合には、体調が良いと判定し、所定の体温閾値より小さい場合または前記基礎体温の周期性がない場合には、体調が悪いと判定することを特徴とする請求項4に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記心地よさ度が所定の心地よさ度閾値以上の場合には、被測定者が精神的にリラックスした状態にあり、所定の心地よさ度閾値より小さい場合には、被測定者が精神的にリラックスした状態にないと判定することを特徴とする請求項4に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項8】
前記表示手段は、更に、
前記座標データに基づいて前記2次元グラフ領域にプロット表示するとともに、前記検出された体温及び前記算出されたばらつき、心地よさ度を表示することを特徴とする請求項2に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項9】
被測定者に関する情報を設定する設定手段と、
前記ばらつきと前記検出された体温と前記心地よさ度と前記被測定者に関する情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記表示手段は、更に、
前記被測定者に関する情報のうち、所定の情報に対応付けられた前記ばらつきおよび前記体温および前記心地よさ度を抽出して時系列に配することで、トレンドグラフを表示することを特徴とする請求項2に記載の心拍ゆらぎ検出装置。
【請求項10】
被測定者に関する情報を設定する設定工程と、
前記被測定者の拍動を検出し、1拍毎の拍動間隔を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により抽出された拍動間隔に基づいて時間領域解析を行う解析工程と、
所定時間内に前記被測定者の基礎体温を検出し、該検出した基礎体温を含めた過去の基礎体温の測定結果を用いて、低温期と高温期との基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無を算出する体温差算出工程と、
前記所定時間内に前記被測定者の脳波を検出し、該検出された脳波と前記解析結果と前記検出された拍動の単位時間あたりの拍動数とに基づいて、前記被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを表す心地よさ度を算出する心地よさ度算出工程と、
前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無と前記解析結果と前記心地よさ度とに基づいて、前記被測定者の健康状態を判定する判定工程と、
前記判定工程における判定結果に基づいて、メッセージを表示する表示工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
被測定者の拍動を検出し、拍動間隔を抽出する抽出工程と、
前記抽出されたn拍目の拍動間隔とn+1拍目の拍動間隔とを、2次元グラフ領域の縦軸または横軸として順次プロットする場合の各座標データを算出する座標算出工程と、
所定時間内に算出された前記座標データのばらつきを算出するばらつき算出工程と、
前記所定時間内に前記被測定者の基礎体温を検出し、該検出した基礎体温を含めた過去の基礎体温の測定結果を用いて、低温期と高温期との基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無を算出する体温差算出工程と、
前記所定時間内に前記被測定者の脳波を検出し、該検出された脳波と前記ばらつきと前記検出された拍動の単位時間あたりの拍動数とに基づいて、前記被測定者が精神的にリラックスした状態にあるのか否かを表す心地よさ度を算出する心地よさ度算出工程と、
前記基礎体温の差異または基礎体温の周期性の有無と前記ばらつきと前記心地よさ度とに基づいて、前記被測定者の健康状態を判定する判定工程と、
前記判定工程における判定結果に基づいて、メッセージを表示する表示工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2008−67859(P2008−67859A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248546(P2006−248546)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】