説明

心筋灌流イメージング用造影剤

本発明は、たとえば心筋灌流のイメージングに用いる造影剤、および該造影剤を患者に投与し、次いで診断イメージングを用い、患者をスキャンする心筋灌流のイメージング法を提供する。本発明の造影剤は、MC−1に結合する化合物とイメージング成分から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング成分を含有する新規化合物(造影剤)、および患者の一定障害を診断するための該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアは、大抵の真核細胞のサイトゾルを介して分配される膜−閉鎖細胞小器官である。ミトコンドリアは特に、心筋層組織に集中する。
複合体(Complex)1(“MC−1”)は、46種のサブユニットからなる膜−結合たん白質複合体である。この酵素複合体は、哺乳類のミトコンドリアにおいて呼吸鎖を構成する、3エネルギー−変換複合体の1つである。
【0003】
このNADH−ユビキノン・オキシドレダクターゼは、呼吸鎖を横断する電子の大部分の入口点であって、結局、酸素の還元で水をもたらす(Q. Rev. Biophys. 1992, 25,253-324)。
MC−1の公知阻害因子としては、デグエリン、ピエリシジン(piericidin)A、ユビシジン(ubicidin)−3、ロールリニアスタチン(rolliniastatin)−2(ブラタシン(bullatacin))、カプサイシン、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、アミタル、MPP、キノリン化合物、およびキノロン類が挙げられる(BBA 1998, 1364, 222-235)。
【発明の開示】
【0004】
本発明は一部、ミトコンドリアの正常な機能の妨害は、一定化合物をミトコンドリアに、故にミトコンドリアが豊富な心筋層組織に有利に終結させうるという認識に基づく。これらの化合物をイメージング成分(imaging moiety)で標識付けすれば、その増強(build up)を検出でき、よって、心筋灌流イメージングの貴重な診断マーカーを付与できる。この点を明確化するため、イメージング成分、これが化合物に結合するとき、この化合物は、“標識付けされている”とみなす。
【0005】
本発明は、1つの具体例において、イメージング成分と、バンレイシ科植物・アセトゲニン(annonaceous acetogenin)、キノン・アセトゲニン、置換クロモンおよび開鎖デグエリン類縁体から選ばれる化合物から成る造影剤(contrast agent, コントラスト剤)を提供する。
本発明は、別の具体例において、イメージング成分とバンレイシ科植物・アセトゲニンから成る造影剤を提供する。バンレイシ科植物・アセトゲニンは、一端がフラノン(furanone)で官能化された脂肪族鎖で類型化される部類の化合物である。これらの化合物は、当初植物のバンレイシ科(Annonaceae)から単離されたもので、種々の腫瘍細胞系に対し高い活性と、MC−1に対する非常に高い阻止を有することが報告されている。かかる部類は一般に、分子の中心部に基づき、隣接するビステトラヒドロフラン化合物、非隣接のビステトラヒドロフラン化合物、およびモノテトラヒドロフラン化合物の3つのカテゴリーに分類され、それらの相対的な活性はその順番に低下する(Nakanishi, 2003)。
【0006】
実験証拠によれば、隣接するテトラヒドロフラン環の立体配置は、SAR(構造活性関係)に寄与する基本要因でないことが示されている(Miyoshi, 1998)。たとえば、下記にトリロバシン(trilobacin)やブラタシン(bullatacin)の阻止活性がMC−1のIC50として報告されているが、これらは実験誤差の範囲内で互いに同じである。
【化1】

【0007】
隣接テトラヒドロフラン環を持つバンレイシ科植物・アセトゲニンの他の例としては、下記のモルビザリン(Molvizarin)、スクアモシン(Squamocin)、パルビフロリン(Parviflorin)、ロンギミシン(Longimicin)Cが挙げられる。
【化2】

【0008】
非隣接ビステトラヒドロフラン環を持つバンレイシ科植物・アセトゲニンは概して、長さC−4〜C−8の炭素鎖で結合する一対のテトラヒドロフラン環を有する。これも、下記のブラタリシン(bullatalicin)やシルバチシン(sylvaticin)の両方の高い活性によって示されるように、相対的立体化学に十分な影響を有しているとは思えない。これらの化合物は、THF環融合(fusion)およびヒドロキシルキラルが異なるのみである(trans:threo 対 cis:threo)。
【化3】

【0009】
モノテトラヒドロフランのバンレイシ科植物・アセトゲニンは、活性が低い傾向にあるが、それでも顕著な活性を有し、かつ合成上容易なターゲットを供えている。モノテトラヒドロフラン環を持つバンレイシ科植物・アセトゲニンの例としては、下記のアンノナシン(Annonacin)、ロンギコリシン(Longicoricin)、ムリカテトロシン(Muricatetrocin)Bが挙げられる。
【化4】

【0010】
ラクトン−フランリンカーの4位以外またはフラン環に対してアルファの置換は概して、活性を低下させる。下記のムリヘキソシン(Murihexocin)の場合、その効力を徹底的に変えてしまう。
【化5】

【0011】
最近、1つのグループによって、ビス−THF成分の代わりとしてのエチレングリコールエーテルに関する記事が出版された(Jiang, 2002)。これらの化合物は、優れた抗腫瘍特性を有するが、MC−1に対する直接の試験はなされていない。たぶん、それらは良好な活性を示すと思われ、かつ式:
【化6】

の合成に最も率直である(the most straightforward)。
【0012】
すなわち、本発明の1つの具体例において、造影剤は下式(I)で示される。
【化7】

式中、mは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14;
nは0、1、2、3、4、5、6、7または8;
oは0または1;
【0013】
pは5、6、7、8、9、10、11または12;
…は非存在または単結合;
…が非存在のとき、AおよびBはそれぞれ独立して、水素およびイメージング成分から選ばれ;
…が単結合のとき、AおよびBはそれぞれ(C(R))
kは1または2、但し、AおよびBがそれぞれ(C(R))のとき、一方のkは1で他方は1または2;
,R,R,R,R,R,R10,R15およびR16はそれらが存在するとき、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
【0014】
は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
3’は水素;または
およびR3’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR1314を形成;
は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
6’は水素;または
およびR6’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR1314を形成;
【0015】
は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
9’は水素;または
およびR9’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR1314を形成;
11はC−Cアルキル;および
12,R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、アリールアルキル、またはイメージング成分
であり、但し、式(I)中に少なくとも1つのイメージング成分が存在する。
【0016】
別の実施態様において、Rはイメージング成分である。
別の実施態様において、Rはイメージング成分である。
別の実施態様において、Rはイメージング成分である。
別の実施態様において、Rはイメージング成分である。
【0017】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とバンレイシ科植物・アセトゲニンから成り、式:
【化8】

(式中、xは0、1、2、3、4、5または6である)
で示される造影剤を提供する。
【0018】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とバンレイシ科植物・アセトゲニンから成り、式:
【化9】

(式中、xは0、1、2、3、4、5または6である)
で示される造影剤を提供する。
【0019】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とバンレイシ科植物・アセトゲニンから成り、式:
【化10】

(式中、xは0、1、2、3、4、5、6、7または8である)
で示される造影剤を提供する。
【0020】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とバンレイシ科植物・アセトゲニンから成り、式:
【化11】

(式中、n’はそれが存在するとき、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10;およびn”はそれが存在するとき、独立して、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
で示される造影剤を提供する。
【0021】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とキノン・アセトゲニンから成る造影剤を提供し、該造影剤は下式(II)で示される。
【化12】

【0022】
式中、qは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14;
rは0、1、2、3、4、5、6、7または8;
sは0または1;
tは5、6、7、8、9、10、11または12;
…は非存在または単結合;
…が非存在のとき、DおよびEはそれぞれ独立して、水素およびイメージング成分から選ばれ;
…が単結合のとき、DおよびEはそれぞれ(C(R15))
uは1または2、但し、DおよびEがそれぞれ(C(R15))のとき、一方のuは1で他方は1または2;
【0023】
15,R16,R18,R19,R21およびR22はそれらが存在するとき、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
17は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
17’は水素;または
17およびR17’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR2728を形成;
20は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
20’は水素;または
20およびR20’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR2728を形成;
23は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
【0024】
23’は水素;または
23おびR23’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR2728を形成;
24,R25およびR26はそれぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、またはイメージング成分;および
27およびR28はそれぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、アリールアルキル、またはイメージング成分
であり、但し、式(II)中に少なくとも1つのイメージング成分が存在する。
【0025】
別の実施態様において、R18,R19,R22またはR23はイメージング成分である。
別の実施態様において、R22はイメージング成分である。
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とキノン・アセトゲニンから成り、式:
【化13】

(式中、xは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
で示される造影剤を提供する。
【0026】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と開鎖デグエリン類縁体から成る造影剤を提供する。最近、Nicoloau および協力者の文献,Nicoloau K.C.、Pfefferkorn J.A.、Schuler F.、Roecker, A.J.、Cao G.Q.、Casida J.E.の「Chemistry & Biology」(2000, 7, 979−992),“NADH:ユビキノン・オキシドレダクターゼの新規および有力阻害因子の組合せ合成”;Nicoloau K.C.、Pfefferkorn J.A.、Roecker A.J.、Cao G.Q.のPCT WO02/20008A1(NADH:ユビキノン・オキシドレダクターゼの阻害因子)に、下式の、デグエリンの概略薬理設計(gross pharmacophoric layout)に基づくMC−1の幾つかの高選択的阻害因子が記載されている。
【化14】

【0027】
それらは、標準スクリーニングおよび最適化法を用い、広範囲の活性を持つ、あるものはMC−1の適度に低い親和力/阻止力を持つ一部類の化合物を構成することができた。これらの化合物は、化学保護/化学療法用途を目的に作られた。他の例としては、不安定な官能基の導入が挙げられ、これは循環血漿から分子の急速な代謝を可能ならしめ、式:
【化15】

の灌流物質からのバックグランド信号をクリアーすることができる。
【0028】
すなわち、別の具体例において、本発明は、イメージング成分と開鎖デグエリン類縁体から成る造影剤を提供し、該造影剤は下式(III)で示される。
【化16】

【0029】
式中、Gは−S−、−O−、
【化17】

JはS、C(R37)またはO;
は単結合または二重結合;および
30,R31,R32,R33,R34,R35,R36,R37,R38,R39,R40,R41およびR42はそれらが存在するとき、それぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルコキシ、またはイメージング成分、但し、が二重結合のとき、R31およびR32は非存在であり、但し、式(III)中に少なくとも1つのイメージング成分が存在する。
【0030】
別の実施態様において、R36,R37,R38またはR42はイメージング成分である。
別の実施態様において、R38はイメージング成分である。
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と開鎖デグエリン類縁体から成り、式:
【化18】

で示される造影剤を提供する。
【0031】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と開鎖デグエリン類縁体から成り、式:
【化19】

で示される造影剤を提供する。
【0032】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と開鎖デグエリン類縁体から成り、式:
【化20】

で示される造影剤を提供する。
【0033】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と開鎖デグエリン類縁体から成り、式:
【化21】

で示される造影剤を提供する。
【0034】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と置換クロモンから成る造影剤を提供する。最近、Lindellおよび協力者の文献「Bioorg. Med. Chem. Letters 2004」(14,511-514)に、下記のMC−1の高選択的阻害因子である一連の置換クロモンが記載されている。これらの化合物は、類似の側鎖SAR要件を分子に導入しており、高活性MC−1阻害因子の、公知市販のダニ駆除薬ピリダベン(pyridaben)(Sanmite(登録商標))に類する活性を有する。
【化22】

【0035】
すなわち、別の具体例において、本発明は、イメージング成分と置換クロモンから成る造影剤を提供し、該造影剤は下式(IV)で示される。
【化23】

式中、n,mおよびoはそれぞれ独立して、1、2、3または4;
ZはO、SまたはNR46
【0036】
45はイメージング成分または必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル;
46は水素またはC−Cアルキル;
Arはフェニル、フリル、チエニル、オキサゾリニル、イソキサゾリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ナフチル、ピリミジニルまたはピラジニル;
Gは非存在またはO;および
Lはイメージング成分
であり、但し、Gが非存在のとき、oは3である。
【0037】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と置換クロモンから成り、式:
【化24】

で示される造影剤を提供する。
【0038】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と置換クロモンから成り、式:
【化25】

で示される造影剤を提供する。
【0039】
別の具体例において、本発明は、イメージング成分と、バンレイシ科植物・アセトゲニン、キノン・アセトゲニン、置換クロモンおよび開鎖デグエリン類縁体から選ばれる化合物から成り、該イメージング成分が、核医学イメージング用放射性同位元素、MRIイメージングに用いる常磁性種、超音波イメージングに用いるエコー源性実体(echogenic entity)、蛍光イメージングに用いる蛍光実体(fluorescent entity)、または光学イメージングに用いる光活性実体(light−active entity)である造影剤を提供する。
【0040】
別の実施態様において、イメージング成分がMRIイメージングに用いる常磁性種であって、該常磁性種が、Gd3+、Fe3+、In3+またはMn2+である。
別の実施態様において、イメージング成分が超音波イメージングに用いるエコー源性実体であって、該エコー源性実体が、フルオロカーボン封入界面活性剤微小球である。
別の実施態様において、イメージング成分が核医学イメージング用放射性同位元素であって、該放射性同位元素が、11C、13N、18F、123I、124I、125I、99mTc、95Tc、111In、76Br、62Cu、64Cu、67Gaまたは68Gaである。別の実施態様において、イメージング成分が18Fである。別の実施態様において、イメージング成分が99mTcである。
【0041】
別の具体例において、本発明は、心筋灌流をイメージングする方法であって、患者に対し、イメージング成分と、バンレイシ科植物・アセトゲニン、キノン・アセトゲニン、置換クロモンおよび開鎖デグエリン類縁体から選ばれる化合物から成る造影剤を投与し;次いで診断イメージングを用い、患者をスキャンすることを特徴とするイメージング法を提供する。
【0042】
別の実施態様において、イメージング成分が、核医学イメージング用放射性同位元素、MRIイメージングに用いる常磁性種、超音波イメージングに用いるエコー源性実体、蛍光イメージングに用いる蛍光実体、または光学イメージングに用いる光活性実体である。
別の具体例において、本発明は、イメージング成分とカプサイシンまたはその誘導体から成る造影剤を提供する。
【0043】
イメージング成分
本発明の核医学造影剤は、11C、13N、18F、123I、124I、125I、99mTc、95Tc、111In、76Br、62Cu、64Cu、67Gaおよび68Gaを包含する。11C−パルミテートは、脂肪酸酸化をプローブで検出するのに使用され、11C−アセテートは、心筋層の酸化代謝を検定するのに使用されている(Circulation 1987, 76, 687-696)。13N−アンモニアは、心筋灌流をイメージングするのに広く使用されている(Circulation 1989, 80, 1328-37)。18Fをベースとする剤は、低酸素症や癌のイメージング剤として使用されている(Drugs of the Future 2002, 27, 655-667)。15−(p−(123I)−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸および15−(p−(123I)−ヨードフェニル)−3(R,S)−メチルペンタデカン酸は、2つのヨウ素化された剤で、これらは心筋代謝のイメージングに使用されている。1つの実施態様において、本発明造影剤に用いるイメージング成分は、18Fである。
【0044】
さらに本発明のイメージング成分は、X線吸収原子または原子番号20以上の“重”原子の1種以上で構成されてよく、さらに親分子成分とX線吸収原子間に任意の結合成分Lを含有してもよい。X線造影剤でしばしば用いられる重原子は、ヨウ素である。最近、金属キレート化合物からなるX線造影剤(U.S.特許No.5417959)および複数の金属イオンからなるポリキレート化合物(U.S.特許No.5679810)が開示されている。より最近では、多核クラスター複合体がX線造影剤として開示されている(U.S.特許No.5804161、WO91/14460、およびWO92/17215)。本発明のある具体例において、X線造影剤に用いる特定金属としてRe、Sm、Ho、Lu、Pm、Y、Bi、Pd、Gd、La、Au、Yb、Dy、Cu、Rh、AgおよびIrが挙げられる。
【0045】
本発明のMRI造影剤は、1種以上の常磁性金属イオンに結合する1種以上の類縁体成分から構成されてよく、さらに類縁体成分と常磁性金属イオン間に任意の結合成分Lを含有してもよい。常磁性金属イオンは、金属キレート化合物もしくは複合体または酸化金属粒子の形状で存在しうる。U.S.特許Nos.5412148および5760191に、MRI造影剤に用いる常磁性金属イオンのキレート化剤の具体例が記載されている。U.S.特許Nos.5801228、5567411および5281704に、MRI造影剤に用いる2種以上の常磁性金属イオンを複合するのに有用なポリキラント(polychelants)の具体例が記載されている。U.S.特許No.5520904に、MRI造影剤として用いる常磁性金属イオンから成る粒状組成物が記載されている。特定金属の具体例としては、Gd3+、Fe3+、In3+およびMn2+が挙げられる。
【0046】
本発明の超音波造影剤は、生物学的適合ガス、液体担体、および界面活性剤微小球の微小泡に結合しまたは取入れられる複数の類縁体成分を含有してもよく、さらに類縁体成分と微小泡間に任意の結合成分を含有してもよい。このような関係において、語句“液体担体”とは、水溶液を意味し、語句“界面活性剤”とは、溶液の界面張力の減少をもたらしうる両親媒性物質を意味する。界面活性剤微小球を形成する適当な界面活性剤のリストは、たとえばEP0727225A2に開示されている。語句“界面活性剤微小球”としては、ミクロスフェア、ナノスフェア、リポソーム、小胞等が包含される。
【0047】
生物学的適合ガスは、生理学的に許容されるガスであればいずれでもよく、たとえば空気、あるいはC−Cパーフルオロアルカンなどのフルオロカーボンが挙げられ、エコー源性に差、すなわち、超音波イメージングにコントラストを付与する。ガスは、類縁体成分が結合する微小球に封入し、もしくは含ませたり、あるいはそうでなく、該微小球で必要に応じて結合基を介して拘束(constrained)してもよい。結合は、共有結合、イオン結合またはファンデルワールス力によるものであってよい。かかる造影剤の特定の具体例としては、たとえば複数の腫瘍新生血管系レセプタ結合ペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド擬似体と共にパーフルオロカーボンを封入した脂質が挙げられる。ガス充填イメージング成分の具体例としては、U.S.特許出願No.09/931317(2001年8月16日出願)およびU.S.特許Nos.5088499、5547656、5228446、5585112および5846517に見られるものが挙げられる。
【0048】
キレート化剤
化合物を99mTcで標識付けする多くのアプローチが知られており、化合物の直接標識付けまたはキレート化成分(“キレート化”)の混入が含まれる。1つの具体例において、キレート化剤はDADT、MAG3、MAMA、PAMAまたはDOTAである。
本発明の化合物は、必要に応じてキレート化剤(“C”)を含有してもよい。本発明化合物の一定具体例において、キレート化剤は、エコー源性物質−充填脂質の球または微小泡を形成しうる界面活性剤である。
【0049】
他の一定具体例において、キレート化剤は下記から選ばれる式を有する結合ユニットである。
【化26】

【0050】
上記式中、各Aは独立して、−NR4647、−NHR53、−SH、−S(Pg)、−OH、−PR4647、−P(O)R4849、およびMC−1に結合する化合物への結合から選ばれ;
各Aは独立して、N(R53)、N(R46)、S、O、P(R46)、および−OP(O)(R48)O−から選ばれ;
はN;
はOHおよびOC(=O)C−C20アルキルから選ばれ;
はOC(=O)C−C20アルキル;
各Eは独立して、0−3のR50で置換されるC−C16アルキレン、0−3のR50で置換されるC−C10アリーレン、0−3のR50で置換されるC−C10シクロアルキレン、0−3のR50で置換されるヘテロシクリル−C−C10アルキレン、0−3のR50で置換されるC−C10アリール−C−C10アルキレン、および0−3のR50で置換されるヘテロシクリレンから選ばれ;
【0051】
は結合およびEから選ばれ;
各Eは独立して、0−3のR50で置換されるC−C16アルキル、0−3のR50で置換されるC−C10アリール、0−3のR50で置換されるC−C10シクロアルキル、0−3のR50で置換されるヘテロシクリル−C−C10アルキル、0−3のR50で置換されるC−C10アリール−C−C10アルキル、0−3のR50で置換されるC−C10アルキル−C−C10アリール、および0−3のR50で置換されるヘテロシクリルから選ばれ;
は1−3のR59で置換されるC−C10アルキレン;
Pgはチオール保護基;
【0052】
46およびR47はそれぞれ独立して、MC−1に結合する化合物への結合、水素、0−3のR50で置換されるC−C10アルキル、0−3のR50で置換されるアリール、0−3のR50で置換されるC−C10シクロアルキル、0−3のR50で置換されるヘテロシクリル−C−C10アルキル、0−3のR50で置換されるC−C10アリール−C−C10アルキル、および0−3のR50で置換されるヘテロシクリルから選ばれ;
48およびR49はそれぞれ独立して、MC−1に結合する化合物への結合、−OH、0−3のR50で置換されるC−C10アルキル、0−3のR50で置換されるアリール、0−3のR50で置換されるC−C10シクロアルキル、0−3のR50で置換されるヘテロシクリル−C−C10アルキル、0−3のR50で置換されるC−C10アリール−C−C10アルキル、および0−3のR50で置換されるヘテロシクリルから選ばれ;
【0053】
各R50は独立して、MC−1に結合する化合物への結合、=O、ハロ、トリフルオロメチル、シアノ、−CO51、−C(=O)R51、−C(=O)N(R51)、−CHO、−CHOR51、−OC(=O)R51、−OC(=O)OR51、−OR51、−OC(=O)N(R51)、−NR51C(=O)R51、−NR51C(=O)OR51、−NR51C(=O)N(R51)、−NR51SON(R51)、−NR51SO51、−SOH、−SO51、−SR51、−S(=O)R51、−SON(R51)、−N(R51)、−NHC(=S)NHR51、=NOR51、NO、−C(=O)NHOR51、−C(=O)NHN(R51)、−OCHCOH、2−(1−モルホリノ)エトキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキルメチル、C−Cアルコキシアルキル、0−2のR51で置換されるアリール、およびヘテロシクリルから選ばれ;
【0054】
各R51は独立して、MC−1に結合する化合物への結合、水素、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル、およびC−Cアルコキシから選ばれ;
53は金属への配位結合;
各R59は、R61、=O、−CO60、−C(=O)R60、−C(=O)N(R60)、−CHOR60、−OR60、−N(R60)およびC−Cアルケニルから選ばれ;
各R60は独立して、R61、水素、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル、およびトリフルオロメチルから選ばれ;および
61はMC−1に結合する化合物への結合であって、A,R46,R47,R48,R49,R50,R51およびR61の少なくとも1つは、MC−1に結合する化合物への結合である。
【0055】
製造法
典型的な18F標識化合物は、適当な脱離可能基のSn2置換によって合成される。これらの脱離可能基は好ましくは、トルエンスルホネート(トシレート、TsO)、メタンスルホネート(メシレート、MsO)またはトリフルオロメタンスルホネート(トリフレート、TfO)などのスルホン酸エステルである。また脱離可能基は、ハライド、ホスフィンオキシド(ミツノブ反応を介して)、または内部脱離可能基(たとえばエポキシドもしくは環状スルフェート)であってもよい。これらの化合物は、クリプタンズ(cryptands)、たとえばkrytofix[2.2.2]の添加により“ホッター(hotter)”になった活性化の高い乾燥K18Fから作られる。精製は一般に、逆相クロマトグラフィー(Sep−Pak)による塩除去を介して行なわれる。
【0056】
造影剤を製造する代表的な方法を、以下の実施例に記載する。前記の化学転位は、当業者にとって容易に理解できる技法を用いて行なうことができる。代表的な反応溶媒としては、たとえばDMF、NMP、DMSO、THF、酢酸エチル、ジクロロメタンおよびクロロホルムが挙げられる。反応溶液は、トリエチルアミンまたはDIEAなどのアミンの添加で、中性もしくはアルカリ性に保持しうる。反応は周囲温度で実施されてよく、また窒素雰囲気によって酸素や水から保護されてよい。
【0057】
他の反応性官能基、たとえばアミン、チオール、アルコール、フェノール、およびカルボン酸が反応に関与するのを防止するため、一時的な保護基を使用しうる。代表的なアミン保護基としては、たとえばt−ブトキシカルボニルおよびトリチル(緩和な酸性条件下で脱離)やFmoc(ピペリジンなどの第二アミンの使用で脱離)およびベンジルオキシカルボニル(強酸または接触水添分解により脱離)が挙げられる。またトリチル基は、チオール、フェノールおよびアルコールの保護にも使用しうる。
【0058】
一定の具体例において、カルボン酸保護基としては、たとえばt−ブチルエステル(緩酸によって脱離)、ベンジルエステル(一般に接触水添分解で脱離)、およびメチルあるいはエチルなどのアルキルエステル(一般に緩和な塩基で脱離)が挙げられる。全ての保護基は、個々の保護基の場合に上記した条件を用い、合成の終りに脱離されてよく、また最終生成物は、当業者にとって容易に理解できる技法により精製されてよい。
【0059】
バンレイシ科植物・アセトゲニンは合成上、かなり長いルート(Naito, 1995;Hoye, 1995、1996、1997)並びに幾つかの珍しいビス−THF類縁体(Sasaki, 1998;Kuwabara, 2000)によって作られている。上記の化合物は、エポキシドの求核開環によって作ることができる。これらのエポキシドは便宜的に、下記に示される、脂肪族鎖内のオレフィンのエポキシ化によって作ることができる。
【化27】

【0060】
別法として、デオキシ誘導体は、下記に示される、選択的保護および活性化によって作ることができる。
【化28】

【0061】
用途
本発明の造影剤は、患者に対し注射、注入または他の公知の方法で該造影剤を投与することからなる患者のイメージング法や、患者の興味のある病態箇所の領域のイメージング法に使用しうる。
投与すべき有用な用量や個々の投与モードは、当業者によって容易に理解できるように、年令、体重および個々の被処置部位、並びに使用する個々の造影剤、企図される診断用途、および処方剤形、たとえば懸濁液、エマルジョン、ミクロスフェア、リポソームなどの要因に応じて変化されるだろう。
【0062】
用量は典型剤として、低レベルで投与され、かつ所望の診断効果が得られるまで増加させる。1つの具体例において、上記造影剤は通常は食塩水の溶液で、約0.1〜100mCi/70kg体重の用量(および全ての組合せおよび副組合せの用量範囲およびその中の特定用量)にて、あるいは好ましくは約0.5〜50mCiの用量にて、静脈内注射により投与されてよい。イメージングは、当業者にとって周知の技法を用いて行なわれる。
核医学造影剤として使用する場合、静脈内注射によって投与される本発明組成物の用量は典型例として、約0.5μモル〜1.5mモル/kgの範囲(および全ての組合せおよび副組合せの用量範囲およびその中の特定用量)、好ましくは約0.8μモル〜1.2mモル/kgの範囲で変化するだろう。
【0063】
MRI造影剤として使用する場合、本発明組成物は、U.S.特許No.5155215;U.S.特許No.5087440;Magn. Reson. Med. 1986, 3, 808;Radiology 1988, 166, 835;およびRadiology 1988, 166, 693に記載の他のMRI造影剤と同様にして使用されてよい。一般に、患者に対し造影剤の殺菌水溶液を、約0.01〜1.0ミリモル/kg体重範囲(および全ての組合せおよび副組合せの用量範囲およびその中の特定用量)の用量で静脈内投与されてよい。
【0064】
本発明の超音波造影剤は、約10〜30μL(および全ての組合せおよび副組合せの用量範囲およびその中の特定用量)のエコー源性ガス/kg体重の量で静脈内注射により、または約3μL/kg/分の速度で注入により投与されてよい。
【0065】
本発明の別の側面は、心筋灌流の検出、イメージングおよび/または監視のための診断剤の製造の診断用キットである。本発明の診断用キットは、所定量の本発明の試薬および必要に応じて他の成分、たとえばトリシン(tricine)や3−[ビス(3−スルホフェニル)ホスフィン]ベンゼンスルホン酸(TPPTS)などの補助リガンド、還元剤、トランスファーリガンド、緩衝剤、凍結乾燥助剤、安定化助剤、可溶化助剤および静菌薬の1種または2種からなる殺菌した非発熱性配合物を含有する1以上のバイアルから成る。また診断用キットは、たとえば錫(II)などの還元剤を包含してもよい。
【0066】
造影剤やキットの製造に有用な緩衝剤としては、たとえばリン酸塩、クエン酸塩、スルホサリチル酸塩および酢酸塩緩衝剤が挙げられる。より完全なリストは、米国薬局方で見ることができる。
造影剤やキットの製造に有用な凍結乾燥助剤としては、たとえばマンニトール、ラクトース、ソルビトール、デキストラン、FICOLL(登録商標)ポリマーおよびポリビニルピロリジン(PVP)が挙げられる。
造影剤やキットの製造に有用な安定化助剤としては、たとえばアスコルビン酸、システイン、モノチオグリセロール、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、ゲンチシン酸およびイノシトールが挙げられる。
【0067】
造影剤やキットの製造に有用な安定化助剤としては、たとえばエタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)ブロックコポリマー(“Pluronics”)
およびレシチンが挙げられる。一定の具体例において、可溶化助剤はポリエチレングリコールおよびPluronicsである。
造影剤やキットの製造に有用な静菌薬としては、たとえばベンジルアルコール、ベンズアルコニウムクロリド、クロルブタノール、およびメチル,プロピルまたはブチルパラベンが挙げられる。
【0068】
また診断用キットにおける1成分は、2以上の機能に役立つこともできる。たとえば、放射性核種用の還元剤は、安定化助剤としても役立つことができ、あるいは緩衝剤ではトランスファーリガンドとしても役立ち、あるいは凍結乾燥助剤ではトランスファーリガンド、補助リガンドまたはコリガンドとしても役立つことができる。
本発明化合物は、不斉中心を有しうる。特に他に指示がなければ、全てのキラル、ジアステレオマーおよびラセミ形状(体)が本発明に含まれる。また本発明化合物には、オレフィンの多くの幾何異性体、C=N二重結合等も存在させることができ、かかる安定な全ての異性体が本発明で企図される。
【0069】
本発明化合物は、不斉置換炭素原子を含有することができ、かつ光学活性またはラセミ体で単離しうることが理解されるだろう。光学活性体の製造の仕方については、当該分野で周知であり、たとえばラセミ体の分割あるいは光学活性出発物質からの合成による。ペプチド結合の2つの明確な異性体(シスおよびトランス)が生じることは周知であり;両方とも本発明化合物に存在でき、そしてかかる安定な全ての異性体が本発明で企図される。D−およびL−異性体の個々のアミノ酸は、以下の具体例:D−LeuまたはL−Leuで示されるように、該アミノ酸の慣用3文字略語を用いて表わされる。
【0070】
簡単にするため、結合手(“−”)は省略される。原子または化合物について可変記号(variable)が規定されているとき、原子または化合物の原子価が満たされるようにその可変記号を置き換える意図が理解される。たとえば、可変記号A”がC(R80)=C(R80)とみなされた場合、両炭素原子はそれぞれの原子価が満たされるように該側鎖の一部を構成するだろう。
【0071】
いずれかの置換基または式でいずれかの可変記号が2回以上存在するとき、各存在記号の定義はあらゆる他の存在記号の定義から独立する。すなわち、たとえば、1つの基または複数の基が0−2のR80で置換されていると示されていれば、その基は必要に応じて2個までのR80で置換されてよく、そして、各基にそれぞれ存在するR80は独立して、定義されたR80のありうるリストから選ばれる。また例として、−N(R81の場合でも、N上の2つのR81置換基はそれぞれ独立して、定義されたR81のありうるリストから選ばれる。置換基および/または可変記号の組合せは、かかる組合せによって安定な化合物が得られる場合のみ許される。置換基との結合が、環中の2つの原子を連結する結合を交差して示されているとき、かかる置換基は環上のいずれかの原子と結合してもよい。
【0072】
定義
一定の場合に、個々の基の炭素原子の数は、その基の前に表示され、たとえば、語句“C−C10アリール”とは、6〜10個の炭素原子を含有するアリール基を意味し、語句“C−C10アリール−C−C10アルキル”とは、親分子成分に対して6〜10個の炭素原子のアリール基が1〜10個の炭素原子のアルキル基を介して結合することを意味する。
本明細書で用いる語句“アルケニル”とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素を指称する。
本明細書で用いる語句“アルコキシ”とは、親分子成分に対してC−Cアルキル基が酸素原子を介して結合することを意味する。
【0073】
本明細書で用いる語句“アルコキシアルキル”とは、1、2または3個のアルコキシ基で置換されたC−Cアルキル基を指称する。
本明細書で用いる語句“アルキル”とは、1〜20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から得られる基を指称する。
本明細書で用いる語句“アルキレン”とは、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から得られる二価の基を指称する。
本明細書で用いる語句“類縁体成分”とは、イメージング成分を除いた本発明化合物を指称する。
【0074】
本明細書で用いる語句“アリール”とは、フェニル基、または1つ以上の環がフェニル基であるジ環式縮合環系を指称する。ジ環式縮合環系は、フェニル基がモノ環式シクロアルケニル基、モノ環式シクロアルキル基または別のフェニル基に縮合したものである。アリール基は、基中のいずれかの代用しうる炭素原子を介して親分子成分に結合することができる。アリール基の代表的な具体例としては、これらに限定されるものでないが、アントラセニル、アズレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、およびテトラヒドロナフチルが挙げられる。
【0075】
本明細書で用いる語句“アリールアルキル”とは、1、2または3個のアリール基で置換されたアルキル基を指称する。
本明細書で用いる語句“アリールアルキレン”とは、親分子成分への1つの結合手がアリール部にあり、他方の結合手がアルキル部にある二価のアリールアルキル基を指称する。
本明細書で用いる語句“アリーレン”とは、二価のアリール基を指称する。
【0076】
本明細書で用いる語句“補助リガンド”もしくは“コリガンド”とは、キレート化剤または薬剤(試薬)の放射性核種結合単位と共に、放射性核種の配位球体を完成するのに役立つリガンドを指称する。二元リガンド系からなる放射性医薬品の場合、放射性核種配位球体は、キレート化剤または1種以上の薬剤の結合単位の1種以上と、1種以上の補助リガンドもしくはコリガンドを包含し、但し、存在するリガンド、キレート化剤または結合単位のトータルは2種である。
【0077】
たとえば、キレート化剤または1種の薬剤の結合単位の1種と、同じ補助リガンドもしくはコリガンドの2種からなる放射性医薬品や、キレート化剤または1種もしくは2種の薬剤の結合単位の2種と、補助リガンドもしくはコリガンドの1種からなる放射性医薬品は共に、二元リガンド系からなると思われる。三元リガンド系からなる放射性医薬品の場合、放射性核種配位球体は、キレート化剤または1種以上の薬剤の結合単位の1種以上と、2種の異なる補助リガンドもしくはコリガンドの1種以上を包含し、但し、リガンド、キレート化剤または結合単位のトータルは3種である。たとえば、キレート化剤または1種の薬剤の結合単位の1種と、補助リガンドもしくはコリガンドの2種からなる放射性医薬品は、三元リガンド系からなると思われる。
【0078】
放射性医薬品の製造に有用な、および該放射性医薬品の製造に有用な診断用キットにおける補助リガンドもしくはコリガンドは、酸素、窒素、炭素、硫黄、リン、ヒ素、セレンおよびテルル供与体原子の1種以上を含有する。リガンドは、放射性医薬品の合成におけるトランスファーリガンドであってよく、また別の放射性医薬品において補助リガンドもしくはコリガンドとしても役立つことができる。リガンドがトランスファーリガンドまたは補助リガンドもしくはコリガンドと呼ばれるかどうかは、そのリガトンが放射性医薬品の放射性核種配位球体中に残っているかどうかに左右され、これは、放射性核種やキレート化剤または薬剤の結合単位の配位化学によって決定される。
【0079】
本明細書で用いる語句“泡”または“微小泡”とは、ガスもしくはその先駆物質を充填した内部ボイドを取巻く1以上の膜または壁の存在が一般に特徴である小胞を指称する。泡または微小泡の具体例としては、リポソーム、ミセル等が挙げられる。
本明細書で用いる語句“キレート化剤”および“結合単位”とは、1個以上の供与体原子を介して金属イオンに結合する薬剤の成分または基を指称する。
【0080】
本明細書で用いる語句“造影剤”とは、器官、血管および/または組織がより認識できるように特定領域を目立たせるのに用いる薬剤を指称する。調査される表面の可視性を強めることにより、疾患および/または損傷の存在や程度を決定することができる。
本明細書で用いる語句“シクロアルケニル”とは、3〜14個の炭素原子を有しヘテロ原子ゼロの非芳香族の、部分不飽和モノ環式、ジ環式またはトリ環式環系を指称する。シクロアルケニル基の代表的具体例としては、これらに限定されないが、シクロヘキセニル、オクタヒドロナフタレニルおよびノルボルニレニルが挙げられる。
【0081】
本明細書で用いる語句“シクロアルキル”とは、3〜14個の炭素原子を有しヘテロ原子ゼロの飽和モノ環式、ジ環式またはトリ環式炭化水素環系を指称する。シクロアルキル基の代表的具体例としては、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロペンチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチルおよびアダマンチルが挙げられる。
本明細書で用いる語句“C−C10シクロアルキレン”とは、3〜10個の炭素原子を含有する二価のシクロアルキル基を指称する。
本明細書で用いる“診断イメージング”とは、造影剤を検出するのに用いる手順を指称する。
【0082】
“診断用キット”もしくは“キット”とは、診断用放射性医薬品を合成する臨床もしくは調剤設定で実践最終使用者が用いる1以上のバイアルにおける、処方と称せられる、成分(構成要素)のコレクションを包含する。キットは好ましくは、診断用医薬(実践最終使用者にとって普通に入手できるものは除く)の合成および使用に必要な全ての成分、たとえば水、注射用食塩水、放射性核種の溶液、放射性医薬品の合成中にキットを加熱する装置、要すれば、患者に放射性医薬品を投与するのに必要な器具、たとえば注射器、シールド、イメージング装置等を備えている。
【0083】
造影剤は最終使用者に対し、たとえば1つのバイアルに含まれる配合物の中に、凍結乾燥固体あるいは水溶液の最終形状で供給される。最終使用者は凍結乾燥物を典型例として、水あるいは食塩水で再組成し、次いで患者用量を回収するか、あるいは準備された水溶液配合物からちょうど患者用量を回収する。
本明細書で用いる語句“供与体原子”とは、化学結合によって金属に直接結合する原子を指称する。
本明細書で用いる語句“ハロ”とは、F、Cl、BrまたはIを指称する。
【0084】
本明細書で用いる語句“ヘテロシクリル”とは、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立して選ばれる1、2または3個のヘテロ原子を含有する5、6または7員環を指称する。5員環は0〜2の二重結合を有し、6および7員環は0〜3の二重結合を有する。また語句“ヘテロシクリル”とは、ヘテロシクリル環がフェニル基、モノ環式シクロアルケニル基、モノ環式シクロアルキル基または別のモノ環式ヘテロシクリル基に縮合するジ環式基も包含する。
【0085】
ここで、ヘテロシクリル基は親分子成分に対し、基中の炭素原子または窒素原子を介して結合することができる。ヘテロシクリル基の具体例としては、これらに限定されないが、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピロロピリジニル、ピロリル、チアゾリル、チエニルおよびチオモルホリニルが挙げられる。
【0086】
本明細書で用いる語句“ヘテロシクリルアルキル”とは、1、2または3個のヘテロシクリル基で置換されたアルキル基を指称する。
本明細書で用いる語句“ヘテロシクリルアルキレン”とは、二価のヘテロシクリルアルキル基を指称し、この場合、親分子成分への1つの結合手がヘテロシクリル部にあり、他方の結合手がアルキル部にある。
本明細書で用いる語句“ヘテロシクリレン”とは、二価のヘテロシクリル基を指称する。
【0087】
本明細書で用いる語句“ヒドロキシ”とは、−OHを指称する。
本明細書で用いる語句“イメージング成分”とは、病態、病的障害および/または疾患の存在および/または進行の検出、イメージングおよび/または監視を可能ならしめる分子の部分を指称する。
本明細書で用いる語句“結合基”とは、分子の一部であって、該分子の他の2つの部分間のスペーサーとして役立つものを指称する。また結合基は、本明細書記載の他の機能にも役立ちうる。結合基の具体例としては、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、アリール、エーテル、ポリヒドロキシ、ポリエーテル、ポリアミン、複素環式、芳香族、ヒドラジド、ペプチド、ペプトイド、または他の生理的相溶性共有結合またはこれらの組合せが挙げられる。
【0088】
本明細書で用いる語句“脂質”とは、親水性成分と疎水性成分からなる合成または天然産出両親媒性化合物を指称する。脂質としては、たとえば脂肪酸、中性脂肪、ホスファチド、糖脂質、脂肪族アルコールおよびワックス、テルペンおよびステロイドが挙げられる。脂質化合物を含有する組成物の具体例は、懸濁液、エマルジョンおよび小胞性組成物からなる。
【0089】
“リポソーム”とは、典型例として1以上の同軸層、たとえば二層の形状の、脂質化合物を含む両親媒性化合物の一般に球状のクラスターまたは凝集体を指称する。それらはまた、本明細書で脂質小胞(lipid vesicles)と称することもできる。
“凍結乾燥助剤”とは、凍結乾燥に有利な物理的性質、たとえばガラス転移温度を有する成分であって、一般に凍結乾燥用の配合成分の全組合せの物理的性質を改善するのに、該配合物に加えられる。
【0090】
本明細書で用いる語句“開鎖デグエリン類縁体”とは、環CおよびDの少なくとも1つが存在せず、すなわち、残りの環を連結するリンカーで置換された、デグエリン(下記に示す)の類縁体を指称する。
【化29】

【0091】
本明細書で用いる語句“医薬的に許容しうる”とは、ゾンデ医療(sound medical)判断の範囲内で、ヒトや動物の組織と接触させて使用するのに適し、かつ過度の毒性、刺激、アレルギー反応あるいは他の問題もしくは合併症がなく、妥当な利益/危険比が釣り合っている、化合物、物質、組成物および/または投与剤形を意味する。
【0092】
本発明化合物は、医薬的に許容しうる塩で存在しうる。本明細書で用いる語句“医薬的に許容しうる塩”とは、水または油に可溶性もしくは分散性の、本発明化合物の塩もしくは両性イオン形状を表わし、ゾンデ医療判断の範囲内で、患者の組織と接触させて使用するのに適し、かつ過度の毒性、刺激、アレルギー反応あるいは他の問題もしくは合併症がなく、妥当な利益/危険比が釣り合っており、およびその意図される用途に有効なものである。かかる塩は、化合物の最終の単離および精製中に、または別途、適切な窒素原子を適当な酸と反応させることによって、製造することができる。
【0093】
代表的な酸付加塩としては、アセテート、アジペート、アルギネート、シトレート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ブチレート、カンフォレート、カンフォルスルホネート、ジグルコネート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ホルメート、フマレート、塩酸塩、臭酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メシチレンスルホネート、メタンスルホネート、ナフチレンスルホネート、ニコチネート、2−ナフタレンスルホネート、オキサレート、パルモエート、ペクチネート、パースルフェート、フェニルプロピオネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、タートレート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、ホスフェート、グルタメート、ビカーボネート、パラトルエンスルホネートおよびウンデカノエートが挙げられる。医薬的に許容しうる酸付加塩の形成に使用できる酸の具体例としては、塩酸、臭酸、硫酸およびリン酸などの無機酸;およびシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。
【0094】
“薬剤(試薬)(reagent)”が意味するのは、本開示の金属医薬品に直接変換しうる本発明化合物である。薬剤は本開示の金属医薬品の製造に直接利用でき、あるいは本開示のキットの成分であってもよい。
“還元剤”とは、典型例として比較的に非反応性で高酸化状態の化合物として得られる、放射性核種と反応して、該放射性核種に電子を移送することにより、その酸化状態を低くし、これによって放射性核種をより反応性とする化合物である。放射性医薬品の製造におよび該放射性医薬品の製造に用いる診断用キットに有用な還元剤としては、たとえば塩化第一錫、フッ化第一錫、ホルマミジン・スルフィン酸、アスコルビン酸、システイン、ホスフィン、および銅または鉄塩が挙げられる。他の還元剤は、たとえば Brodack らのPCT出願94/22496に記載されている。
【0095】
“安定化助剤”とは、典型例として金属医薬品または診断用キットに加えられ、金属医薬品を安定化するか、あるいはキットを使用しなければならない前に該キットの貯蔵寿命を長くする化合物である。安定化助剤は、酸化防止剤、還元剤あるいはラジカル掃去剤であってよく、かつ他の成分または金属医薬品を分解する種と優先して反応することにより、安定性を改善することができる。
【0096】
本明細書で“安定な化合物”が意味するのは、反応混合物から有用な純度への単離や、効きめのある医薬剤への配合に耐えるのに十分丈夫な化合物である。
“安定化助剤”とは、配合に必要な媒体中の1種以上の他成分の溶解性を改善する成分である。
【0097】
本明細書で用いる語句“チオール保護基”とは、合成手順中望ましくない反応に対しチオール基の保護が意図される基を指称する。当該分野で公知のチオール保護基はいずれも使用しうる。チオール保護基の具体例としては、これらに限定されないが、以下のもの:アセタミドメチル、ベンズアミドメチル、1−エトキシエチル、ベンゾイル、およびトリフェニルメチルが挙げられる。
【0098】
“トランスファーリガンド”とは、金属イオンと共に中間体複合体を形成し、不必要な副反応を防止するのに十分安定であるが、化学変化を十分に起こしやすく、造影剤に変換することができるリガンドである。中間体複合体の形成は、速度論上有利であり、一方、金属医薬品の形成は、熱力学的に有利である。造影剤の製造におよび診断用放射性医薬品の製造に用いる診断用キットに有用なトランスファーリガンドとしては、たとえばグルコネート、グルコヘプトネート、マンニトール、グルカレート、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラ酢酸、ピロホスフェートおよびメチレンジホスホネートが挙げられる。一般に、トランスファーリガンドは、酸素または窒素供与体原子で構成される。
【0099】
本明細書で用いる語句“小胞”とは、内部ボイドの存在が特徴である球状実体(spherical entity)を指称する。1つの具体例において、小胞は本明細書記載の各種脂質を含む脂質から処方される。所定の小胞において、脂質は単層または二層の形状であってよく、そして単層または二層脂質は1以上の単層または二層の形成に使用しうる。2以上の単層または二層の場合、単層または二層は概して同軸を有する。本明細書記載の脂質小胞としては、一般にリポソーム、ミセル、泡、微小泡、ミクロスフェアなどと称せられるような実体を包含する。
【0100】
このように脂質は、単層状小胞(1つの単層または二層からなる)、少数層状小胞(約2もしくは3つの単層または二層からなる)または多層状小胞(約3つを越える炭層または二層からなる)の形成に使用しうる。小胞の内部ボイドに、たとえば水性液体を含む液体、ガス、ガス状先駆物質、および/または固体もしくはたとえば所望の生活性物質を含む溶質物質を充填されてよい。
【0101】
本明細書で用いる語句“小胞組成物”とは、脂質から処方され、かつ小胞からなる組成物を指称する。
次に本発明について、一定の具体例に関して説明するが、該具体例によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。それどころか、本発明は特許請求の範囲に含まれうる全ての変更、改変、および等価をカバーする。すなわち、以下に示す実施例は、本発明の一実施態様を例示するもので、該実施例は一定具体例の例証を目的とし、および最も有用と考えられ、かつその実施手順やコンセプトの特長の説明が容易に理解されるものを提示するのに示されたものであることが理解されよう。
【実施例】
【0102】
実施例1
1a.{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−[(1,1−ジメチルエチル)ジフェニルシリルオキシ]−11−メトキシメチルオキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデク−3−イニル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]−6−ウンデセン−8−イニル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化30】

【0103】
ジイソプロピルエチルアミン(2mL)中の{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−[(1,1−ジメチルエチル)ジフェニルシリルオキシ]−11−ヒドロキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−ヒドロキシウンデク−3−イニル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]−6−ウンデセン−8−イニル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン(82.3mg、0.1ミリモル、Hoyeおよび Ye のUS56774671および J. Am. Chem. Soc. 1996,118,1801−1802に記載のルートで製造しうる)の溶液を、室温で攪拌し、その間にメトキシメチルクロリド(24mg、23μL)を加える。混合物を室温で4時間攪拌し、減圧濃縮する。残渣を水(2mL)とエーテル(2mL)間に分配する。水性相を分離し、エーテル(2mL)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(5%CuSO1回、水1回)、乾燥(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)により、所望生成物を得る。
【0104】
1b.{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−ヒドロキシ−11−メトキシメチルオキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]ウンデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化31】

【0105】
ベンゼン(0.5mL)中の{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−[(1,1−ジメチルエチル)ジフェニルシリルオキシ]−11−メトキシメチルオキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデク−3−イニル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]−6−ウンデセン−8−イニル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン(64mg、70μモル)の溶液を、窒素流下室温で攪拌し、その間にトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロリド(14mg、15μモル)を加える。混合物に水素ガスを充填し、室温で2日間攪拌する。水を加え、各層を分離する。水性層を酢酸エチル(2mL×3)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水20mL1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)により、所望生成物を得る。
【0106】
この物質をTHF(2mL)に溶解し、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(THF中1.0M溶液100μL)を加える。混合物を室温で30分間攪拌し、減圧濃縮する。残渣を水(2mL)と酢酸エチル(2mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(2mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)により、所望生成物を得る。
【0107】
1c.{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−[p−トルエンスルホナト]−11−メトキシメチルオキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]ウンデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化32】

【0108】
ピリジン(2mL)中の{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−ヒドロキシ−11−メトキシメチルオキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]ウンデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン(34mg、50μモル)の溶液を、室温で攪拌し、その間にp−トルエンスルホニルクロリド(20mg、60μモル)を加える。混合物を室温で15時間攪拌し、減圧濃縮する。残渣を水(2mL)と酢酸エチル(2mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(2mL×3)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(5%CuSO1回、水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)により、所望生成物を得る。
【0109】
1d.{2S−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,11R]}−3−{2−[18F]フルオロ−11−ヒドロキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−ヒドロキシウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]ウンデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化33】

【0110】
シラン処理した(silanized)栓をもつ、薄厚10mLのシラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(水中40%w/v溶液、5μL)および18F/水の溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリルの添加および蒸発のサイクルを繰返して(200μL×3)、乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、混合物を加熱せずに減圧濃縮する。
【0111】
完全な溶媒除去に先立って、THF(150μL)中の{2R−[2α[2'R,5'R(R)],5β[1(S),2R,6E,11R]}−3−{2−[p−トルエンスルホナト]−11−メトキシメチルオキシ−11−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]ウンデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン(2mg)の溶液を急速に加える。バイアルを65℃で30分間加熱する。冷却後、HCl/THFの溶液(30μL、6M)を加え、バイアルを再度65℃に15分間加熱し、次いで冷却する。バイアルの内容物を水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep−Pak を添加)に通し、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0112】
実施例2
2a.5−ホルミル−オクタヒドロ−5'−(1−メトキシメトキシウンデシル)[2.2'−ビフラン]
【化34】

【0113】
デシルオクタヒドロ−α'−(ヒドロキシメチル)−2,2'−ビフラン−5,5'−ジメタノール−α−{[(1,1−ジメチルエチル)ジメチル]シリルエーテル}(4.87g、10ミリモル、U.S.特許No.5587491の実施例15に示すルートで製造しうる)の溶液を、DMF(25mL)中のベンズアルデヒドジメチルアセタール(2.27g、15ミリモル)とトルエンスルホン酸(30mg)で処理する。混合物を室温で24時間攪拌し、減圧濃縮する。残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(飽和水性NaHCO1回、水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。
【0114】
残留油状物をTHF(2mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1.0M、10.5mL、1.05当量)を加え、混合物を室温で2時間攪拌する。溶媒を減圧除去し、残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチルで抽出し(50mL×2)、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。
【0115】
残留油状物をジイソプロピルエチルアミン(15mL)に溶解し、クロロメチルメチルエーテル(880mg、11ミリモル)を加える。混合物を室温で8時間攪拌し、溶媒を減圧除去する。残渣を水(40mL)と酢酸エチル(40mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(40mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)により、アセタールを油状物で得る。
【0116】
油状物をジオキサン(20mL)に溶解し、水素化ボンベに移す。パラジウム/炭素(5%、100mg)を加え、該装置に水素圧(2気圧)を45分間加える。ガスを抜き、混合物を珪藻土(Celite (登録商標))で濾過する(ジオキサンを加えて補助する)。濾液を減圧濃縮し、クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)に付して、ジオールを油状物で得る。
【0117】
この油状物の一部(416mg、1.0ミリモル)をTHF(5mL)に溶解し、エーテル性HIOの飽和溶液(16mL、J. Org. Chem. 1963,28,23に記載の手順に従って製造しうる)を加える。沈殿したヨウ素酸を濾過し、得られる溶液を減圧濃縮し、クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)に付して、アルデヒドを油状物で得る。
【0118】
2b.5−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシノナ−1,8−ジイン
【化35】

ジイソプロピルエチルアミン(10mL)中の1,9−ビス−トリエムチルシリルノナ−1,8−ジイン−5−オール(2.80g、10ミリモル、Clive D. L. J. 、Cole D. C. JCS, Perkin 1 1991,12,3263−70の方法で製造)の溶液を、室温で攪拌し、この間にクロロメチルメチルエーテル(880mg、11ミリモル)を加える。
【0119】
混合物を4時間攪拌し、次いで減圧濃縮する。残渣をエーテル(100mL)と水(100mL)間に分配する。水性相を分離し、エーテル(100mL×2)で抽出し、コンバインした有機物を洗い(0.5M−NaHSO100mL×2)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。
油状物をTHF(10mL)に溶解し、TBAF(THF中1.0M溶液、21mL)を加える。混合物を室温で1時間攪拌し、水(100mL)に注ぐ。水性相を分離し、エーテル(100mL×2)で抽出し、コンバインした有機物を減圧濃縮し、クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)に付して、ジインを油状物で得る。
【0120】
2c.5−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ−10−メトキシメトキシ−10−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]デカ−1,8−ジイン
【化36】

【0121】
THF(10mL)中の5−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシノナ−1,8−ジイン(1.80g、10ミリモル)の溶液を加える。混合物を−78℃で10分間攪拌し、エーテル性三フッ化ホウ素(9.9ミリモル、1.25mL)を加える。さらに−78℃で30分間攪拌後、THF(8mL)中の5−ホルミル−オクタヒドロ−5'−(1−メトキシメトキシウンデシル)−[2.2']−ビフラン(1.35g、3.5ミリモル)の溶液を加える。
【0122】
得られる溶液を−78℃で4時間攪拌し、NHCl水溶液(2.0M、100mL)に注ぐ。混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、濾過し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行い、5−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ−10−メトキシメトキシ−10−[オクタヒドロ−5'−(1−ヒドロキシウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]デカ−1,8−ジインを油状物で得る。
【0123】
この油状物(1.27g、2ミリモル)/ジイソプロピルエチルアミン(6mL)の溶液を、室温にてクロロメチルメチルエーテル(201mg、2.5ミリモル)で処理する。2時間の攪拌後、混合物を減圧濃縮し、残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行い、5−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ−10−メトキシメチルオキシ−10−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]デカ−1,8−ジインを油状物で得る。
【0124】
2b.3−{2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−8−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]トリデカ−4,11−ジイニル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化37】

【0125】
THF(6mL)中の5−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ−10−メトキシメチルオキシ−10−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]デカ−1,8−ジイン(1.035g、1.5ミリモル)の溶液を、−78℃で冷却し、この間にn−ブチルリチウム/ヘキサン(2.0M、0.75mL)を加える。30分間攪拌後、エーテル性三フッ化ホウ素(190μL、1.5ミリモル)を加え、さらに15分後、THF(2mL)中の(5S)−メチル−3−[(2S)−オキシラニルメチル]−5H−フラン−2−オン(154mg、1.0ミリモル)の溶液を加える。反応混合物を−78℃で3時間攪拌し、NHCl水溶液(2.0M、100mL)に注ぐ。
【0126】
混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行い、3−{2−ヒドロキシ−13−メトキシメチルオキシ−8−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]トリデカ−4,11−ジイニル}−5−メチル−2−(5H)−フラノンを油状物で得る。
【0127】
この油状物をジイソプロピルエチルアミン(3mL)に溶解し、クロロメチルメチルエーテル(120mg、1.5ミリモル)を加える。混合物を室温で8時間攪拌し、減圧濃縮し、残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行い、所望生成物を油状物で得る。
【0128】
2e.3−{2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−8−(p−トルエンスルホナト)−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]トリデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化38】

【0129】
ジメトキシエタン(15mL)中の3−{2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−8−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]トリデカ−4,11−ジイニル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン(87.8mg、0.10ミリモル)およびp−トルエンスルホンヒドラジド(1.86g、10ミリモル)の溶液を加熱還流し、この間にNaOAc(984mg、12ミリモル)/水(10mL)の溶液を3時間にわたって加える。混合物を室温まで冷却し、水(100mL)に注ぎ、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出する。コンバインした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。
【0130】
残渣をTHF(5mL)に溶解し、TBAF(THF中1.0M、120μL)を加える。混合物を室温で30分間攪拌し、濃縮する。残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。
【0131】
油状物をピリジン(1.0mL)に溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド(28.5mg、0.15ミリモル)を加える。混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮する。残渣をジクロロメタン(5mL)と水(5mL)間に分配する。水性相を分離し、ジクロロメタン(5mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行い、所望生成物を油状物で得る。
【0132】
2f.3−{2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−8−[18F]フルオロ−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]トリデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化39】

【0133】
シラン処理した栓をもつ、薄厚10mLのシラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(水中40%w/v溶液、5μL)および18F/水の溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリルの添加および蒸発のサイクルを繰返して(200μL×3)、乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。完全な溶媒除去に先立って、THF(150μL)中の3−{2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−8−(p−トルエンスルホナト)−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]トリデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン(1mg)の溶液を急速に加える。
【0134】
バイアルを65℃で15分間加熱する。冷却後、ジメチルスルフィド(100μL)を加えた後、エーテル性三フッ化ホウ素(200μL)を加える。バイアルを再度65℃に15分間加熱し、次いで冷却する。バイアルの内容物を水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep Pak を添加)に通し、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0135】
実施例3
3a.3−{8−(p−トルエンスルホナト)−2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−13−[テトラヒドロ−5−(1−メトキシメチルオキシトリデシル)フラン−2−イル]トリデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化40】

【0136】
ジイソプロピルエチルアミン(7mL)中のアンノナシノン(annonacinone)(595mg、1.0ミリモル)の溶液を、室温で攪拌し、この間にクロロメチルメチルエーテル(360mg、4.5ミリモル)を加える。混合物を室温で8時間攪拌し、減圧濃縮し、残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、3−{2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−13−[テトラヒドロ−5−(1−メトキシメチルオキシトリデシル)フラン−2−イル]トリデカン−8−オン−1−イル}−5−メチル−2−(5H)−フラノンを得る。
【0137】
上記製造の保護ケトンを、THF(100μL)の助けでエタノール(3mL)に溶解する。ホウ水素化ナトリウム固体(76mg、2.0ミリモル)を一度に加え、混合物を室温で30分間攪拌する。反応混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出する。コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、保護アルコールを得る。
【0138】
該アルコールの一部(365mg、0.5ミリモル)をピリジン(5mL)に溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド(143mg、0.75ミリモル)を加える。混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮する。残渣をジクロロメタン(5mL)と水(5mL)間に分配する。水性相を分離し、ジクロロメタン(5mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、所望生成物を得る。
【0139】
3b.3−{8−[18F]フルオロ−2,13−ジヒドロキシ−13−[テトラヒドロ5−(1−ヒドロキシトリデシル)フラン−2−イル]トリデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラノン
【化41】

【0140】
シラン処理した栓をもつ、薄厚10mLのシラン処理バキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(水中40%w/v溶液、5μL)、および18F/水の溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリルの添加および蒸発のサイクルを繰返して(200μL×3)、乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。完全な溶媒除去に先立って、THF(150μL)中の3−{8−(p−トルエンスルホナト)−2,13−ビス(メトキシメチルオキシ)−13−[テトラヒドロ−5−(1−メトキシメチルオキシトリデシル)フラン−2−イル]トリデシル}−5−メチル−2−(5H)−フラン(1mg)の溶液を急速に加える。
【0141】
バイアルを65℃で15分間加熱する。冷却後、ジメチルスルフィド(100μL)を加えた後、エーテル性三フッ化ホウ素(200μL)を加える。バイアルを再度65℃に15分間加熱し、次いで冷却する。バイアルの内容物を水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep Pak を添加)に通し、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0142】
実施例4
4a.5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシ−6−(1−ヒドロキシトリデク−12−イン−1−イル)ベンゼン
【化42】

ヘキサン(25mL)中の5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシベンゼン(2.12g、10ミリモル、Hansen C.A.、Dean A.B.、Draths K.M.、Frost J.W. のJ. Am. Chem. Soc. 1999,121(15),3799−3800)およびテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、2.96mL、20ミリモル)の溶液を、氷浴中0℃で冷却し、その間にn−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.0M、5mL)を滴下する。
【0143】
黄色反応混合物を30分間攪拌し、次いでTHF(20mL)で希釈する。THF(10mL)中の12−トリデシナール(4.27g、22ミリモル、J. Org. Chem. 2001,66(14),4766−4770)の溶液を加え、混合物を2時間攪拌する。飽和水性NHCl(20mL)を加えて、反応を抑える。水(30mL)を加え、水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出する。コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、所望生成物を得る。
【0144】
4b.5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシ−6−(1−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシトリデク−12−イン−1−イル)ベンゼン
【化43】

【0145】
イミダゾール(1.36g、20ミリモル)および5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシ−6−(1−ヒドロキシトリデク−12−イン−1−イル)ベンゼン(6.10g、15ミリモル)を、DMF(20mL)に溶解し、室温で攪拌し、この間に固体のt−ブチルジメチルシリルクロリド(2.42g、16ミリモル)を加える。得られる溶液を室温で2時間攪拌し、水(50mL)に注ぐ。水性相を分離し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出する。コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、所望生成物を得る。
【0146】
4c.6−{14−メトキシメチルオキシ−2−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2'−ビフラン]−5−イル]テトラデカ−12−イン−1−イル}−5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシベンゼン
【化44】

【0147】
THF(15mL)中の5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシ−6−(1−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシトリデク−12−イン−1−イル)ベンゼン(4.06g、10ミリモル)の溶液を、−78℃で攪拌し、この間にn−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.0M、4.95mL)を加える。混合物を−78℃で10分間攪拌し、エーテル性三フッ化ホウ素(9.9ミリモル、1.25mL)を加える。さらに−78℃で30分の攪拌後、THF(8mL)中の5−ホルミル−オクタヒドロ−5'−(1−メトキシメトキシウンデシル)−[2.2']−ビフラン(1.35g、3.5ミリモル)の溶液を加える。
【0148】
得られる溶液を−78℃で4時間攪拌し、NHCl水溶液(100mL、2.0M)に注ぐ。混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、6−{14−ヒドロキシ−2−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−13−[オクタヒドロ−5'−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)−[2.2'−ビフラン]−5−イル]テトラデカ−12−イン−1−イル}−5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシベンゼンを油状物で得る。
【0149】
この油状物(1.81g、2ミリモル)/ジイソプロピルエチルアミン(6mL)の溶液を、室温にてクロロメチルメチルエーテル(201mg、2.5ミリモル)で処理する。2時間の攪拌後、混合物を減圧濃縮し、残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、所望生成物を油状物で得る。
【0150】
4d.5−{14−メトキシメチルオキシ−2−[p−トルエンスルホナト]−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−6−メチル−2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン
【化45】

【0151】
ジメトキシエタン(15mL)中の6−{14−メトキシメチルオキシ−2−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデカ−12−イン−1−イル}−5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシベンゼン(95mg、0.10ミリモル)およびp−トルエンスルホンヒドラジド(1.86g、10ミリモル)の溶液を、加熱還流し、その間にNaOAc(984mg、12ミリモル)/水(10mL)の溶液を3時間にわたって加える。混合物を室温まで冷却し、水(100mL)に注ぎ、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出する。コンバインした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。
【0152】
残渣をTHF(5mL)に溶解し、TBAF(THF中1.0M、120μL)を加える。混合物を室温で30分間攪拌し、濃縮する。残渣を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮して6−{14−メトキシメチルオキシ−2−ヒドロキシ−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシベンゼンを得る。
【0153】
アセトニトリル(6mL)中の6−{14−メトキシメチルオキシ−2−ヒドロキシ−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−5−メチル−1,2,3,4−テトラメトキシベンゼン(42mg、0.05ミリモル)およびピリジン−2,6−ジカルボン酸(83.5mg、0.5ミリモル)の溶液を、0℃で攪拌し、その間にアセトニトリル/水(1:1、5mL)中の硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN、180mg、0.33ミリモル)の溶液を滴下する。混合物を0℃で5時間攪拌し、CHCl/2−プロパノール(1:1、10mL)、ついで水(10mL)を加えて、反応を抑える。
【0154】
各層を分離し、水性相をCHCl/2−プロパノール(1:1、30mL×3)で抽出する。コンバインした有機画分を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)で精製して、黄色固体の5−{14−メトキシメチルオキシ−2−ヒドロキシ−13−[オクタヒドロ−5’−(1−メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−6−メチル−2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンを得る。
【0155】
5−{14−メトキシメチルオキシ−2−ヒドロキシ−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−6−メチル−2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン(84mg、0.1ミリモル)をピリジン(1.0mL)に溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド(28.5mg、0.15ミリモル)を加える。混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮する。残渣を酢酸エチル(5mL)と水(5mL)間に分配する。水性相を分離し、酢酸エチル(5mL×2)で抽出し、コンバインした有機画分を洗い(水1回)、乾燥し(飽和水性NaCl、硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル=2:1の勾配、シリカゲル230−400メッシュ上)を行って、所望生成物を得る。
【0156】
4e.5−{14−メトキシメチルオキシ−2−[18F]フルオロ−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−6−メチル−2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン
【化46】

【0157】
シラン処理した栓をもつ薄厚10mLの、シラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(40%w/v水溶液、5μL)および18F水溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリル(200μL×3)の添加と蒸発のサイクルを繰返して乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。完全な溶媒除去に先立ち、THF(150μL)中の5−{14−メトキシメチルオキシ−2−[p−トルエンスルホナト]−13−[オクタヒドロ−5’−(1−(メトキシメチルオキシ)ウンデシル)[2.2’−ビフラン]−5−イル]テトラデク−1−イル}−6−メチル−2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン(1mg)の溶液を急速に加える。
【0158】
バイアルを65℃で15分間加熱する。冷却後、ジメチルスルフィド(100μL)、次いでエーテル性三フッ化ホウ素(200μL)を加える。バイアルを再度、65℃に15分間加熱し、次いで冷却する。バイアルの内容物を水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予めWaters Light C-18 Sep−Pakを添加)に通して、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0159】
実施例5
5a.コハク酸4−(4−オキソ酪酸メチルエステル)ベンジルエステルメチルエステル
【化47】

【0160】
ジクロロメタン(50mL)を充填した100mL丸底フラスコに、ベンジルアルコール(20g、0.185モル)を加える。フラスコを0℃に冷却する。次いで該フラスコに、塩化アルミニウム(1.85モル)および3−クロロカルボニルプロピオニルメチルエステル(0.37モル)を加える。混合物を3時間攪拌した後、水をフラスコにゆっくり加える。内容物を分液漏斗に注ぎ、各層を分離する。水性層をジクロロメタンで抽出し、有機層をコンバインし、塩水で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して粗残渣を得、これをそのまま次工程に用いる。
【0161】
5b.4−[4−(ヒドロキシメチル)−フェニル]−4−オキソ−酪酸メチルエステル
【化48】

【0162】
50mL丸底フラスコのメタノールに、コハク酸4−(4−オキソ酪酸メチルエステル)ベンジルエステルメチルエステル(15g、44.6ミリモル)を溶解する。次いで該溶液にナトリウムを、pH9になるまで加える。溶液を2時間攪拌した後、回転エバポレーターでメタノールを除去し、粗残渣を酢酸エチルに溶かし、水および塩水で洗い、その後乾燥し、濾過する。有機溶媒を減圧除去し、得られる粗製物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、所望生成物を得る。
【0163】
5c.4−[4−(ヒドロキシメチル)−フェニル]−酪酸メチルエステル
【化49】

【0164】
4−[4−(ヒドロキシメチル)−フェニル]−4−オキソ酪酸メチルエステル(8g、36ミリモル)を、メタノールに溶解する。Pd/C(0.8g、乾燥基準10%wt)を加える。次いでフラスコをゴム隔壁で密封し、Hガス充満バルーンを取付ける。次いで不均質な混合物を4時間攪拌した後、バルーンと栓を取除き、水素を逃がす。次に反応混合物を珪藻土(Celite(登録商標))のパッドで濾過し、得られる濾液を減圧濃縮して、所望生成物を得る。
【0165】
5d.2−チオ−3−メチルクロメン(chromen)−4−オン
【化50】

【0166】
カリウムt−ブトキシド(0.599ミリモル)を充填した250mL丸底フラスコに、温度を15〜22℃に冷却維持しながら、75mLのトルエン中の1−(2−ヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1−オン(30g、0.199ミリモル)および二硫化炭素(0.24ミリモル)の溶液を滴下する。反応混合物を室温で4日間攪拌した後、水(250mL)に注ぐ。水性層を分離し、ジクロロメタンで洗い、酢酸でpH5になるまで酸性化する。
【0167】
これを再度2時間攪拌した後、水性層を分液漏斗に注ぎ、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出する。次いで有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗った後、水洗する。次いで有機層を塩水で乾燥し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。有機溶媒の除去後に得られる粗物質を、フラッシュクロマトグラフィー(エーテル/ヘキサン)で精製して、純粋な2−チオ−3−メチルクロメン−4−オンを得る。
【0168】
5e.2−(4−(酪酸メチルエステル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン
【化51】

【0169】
50mL丸底フラスコに、トリフェニルホスフィン(33.6ミリモル)およびジエチルアゾジカルボキシレート(3.6ミリモル)を充填する。次いでフラスコにTHF(30mL)を加え、フラスコを0℃に冷却する。該混合物を30分間攪拌した後、2−チオ−3−メチルクロメン−4−オン(22.4ミリモル)および4−[4−(ヒドロキシメチル)−フェニル]−酪酸メチルエステル(7g、33.6ミリモル)を一度に加える。反応混合物を室温まで加温せしめ、24時間攪拌する。次いで5%NaHCO(10mL)を加え、混合物を分液漏斗に注ぐ。
【0170】
次に水性層を酢酸エチル(25mL×2)で抽出し、コンバインした有機層を塩水で洗い、次いで硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、上記生成物を得る。
【0171】
5f.2−(4−(4−ヒドロキシブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン
【化52】

50mL丸底フラスコに水素化リチウムアルミニウム(33.2ミリモル)を充填し、これにエーテル(25mL)を加え、フラスコを0℃に冷却する。
【0172】
上記フラスコに均圧滴下漏斗で、エーテルに溶解した2−(4−(酪酸メチルエステル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン(7.5g、22.15ミリモル)をゆっくりと加える。反応混合物を3時間攪拌した後、これに水(1.25mL)、15%NaOH(1.25mL)および水(3.7mL)を連続して加える。これを20分間攪拌させた後、内容物を濾過する。濾液を水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン)で精製して、上記生成物を得る。
【0173】
5g.2−(4−(4−トシルオキシブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン
【化53】

【0174】
50mL丸底フラスコに2−(4−(4−ヒドロキシブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン(6.0g、16.9ミリモル)を充填し、これにピリジン(15mL)を加える。次いでトルエンスルホニルクロリド(25.4ミリモル)を一度に加え、混合物を8時間攪拌した後、これに水および酢酸エチルを加える。内容物を分液漏斗に注ぎ、各層を分離する。有機層を5%CuSO(10mL×2)、次いで水おび塩水で洗う。次いでこれを硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮する。得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物を得る。
【0175】
5h.2−(4−(4−フルオロブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン
【化54】

【0176】
25mL丸底フラスコにTHFに、2−(4−(4−トシルオキシブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン(7.5g、14.7ミリモル)を溶解する。次いでこれにフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(THF中1M、14.7ミリモル)を加え、溶液を2時間加熱還流する。内容物を回転エバポレーターで濃縮し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製する。
【0177】
5i.2−(4−(4−[18F]−フルオロブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オン
【化55】

【0178】
5μLの水酸化テトラブチルアンモニウム(40%wt水溶液)含有のバキュティナーに、水性18F(16mCi、0.1mL)を加える。混合物を100℃の油浴にて、窒素下で濃縮し、250μLのアセトニトリルを加え、またこれを窒素下で濃縮する。これらの手順を2回繰返し、次いでこれに100μLのアセトニトリルを加え、内容物を減圧に付す。乾燥時点に先立ってTHFを加え、その後5mgの2−(4−(4−トシルオキシブチル)フェニルメチル)チオ3−メチルクロメン−4−オンを加える。次いで混合物を70℃の油浴にて、30分間加熱する。次いでこれを水で希釈し、C18 Sep−Pakに加え、水でリンスし、アセトニトリルで溶離して、上記化合物を得る。
【0179】
実施例6
6a.2−エチルチオ−3−メチルクロメン−4−オンの合成
【化56】

【0180】
2−チオ−3−メチルクロメン−4−オン(10g、52ミリモル)含有の丸底フラスコに、DMFを加える。次いでフラスコに、ヨードエタン(62.4ミリモル)および炭酸カリウム(62.4ミリモル)を加え、反応混合物を3時間攪拌する。次いで反応液に水を加え、これを分液漏斗に注ぐ。次いで水性層を酢酸エチル(25mL×2)で抽出する。コンバインした有機層を水および塩水で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。有機層の濃縮後に得られる残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン)で精製して、所望生成物を得る。
【0181】
6b.2−エチルスルフィニル−3−ヒドロキシメチルクロメン−4−オン
【化57】

【0182】
50mL丸底フラスコに、二酸化セレン(13.6ミリモル)および90%t−ブチルハイドロパーオキシド(54.5ミリモル)を充填する。次いでこれにジクロロメタン(25mL)を加え、混合物を室温で30分間攪拌する。フラスコに2−エチルチオ−3−メチルクロメン−4−オン(6g、27.2ミリモル)を加え、反応混合物を10時間攪拌する。ジクロロメタンを回転エバポレーターで除去し、残渣にエーテルを加える。
【0183】
有機相を10%KOHでおよび塩水で1回洗う。溶媒を再度除去し、フラスコに冷酢酸と硫化メチルを加える。内容物を数時間攪拌した後、フラスコに20%KCOを加える。水性相を酢酸エチルで抽出し、水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。濃縮後に得られる残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン)で精製する。
【0184】
6c.2−エチルスルフィニル−3−((2−テトラヒドロピラニルオキシ)メチル)クロメン−4−オン
【化58】

【0185】
25mL丸底フラスコのジクロロメタン(20mL)に、2−エチルスルフィニル−3−ヒドロキシメチルクロメン−4−オン(5g、19.8ミリモル)を溶解し、これにジヒドロピラン(29.7ミリモル)およびトルエンスルホン酸(0.99モル)を加える。反応混合物を3時間攪拌した後、これを分液漏斗に注ぎ、水を加える。次いで酢酸エチルを加え、各層を分離する。有機層を水(10mL×3)および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。濾液を減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン)で精製して、上記生成物を得る。
【0186】
6d.2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−((2−テトラヒドロピラニルオキシ)メチル)クロメン−4−オン
【化59】

25mL丸底フラスコに、2−エチルスルフィニル−3−((2−テトラヒドロピラニルオキシ)メチル)クロメン−4−オン(5g、14.87ミリモル)を入れる。次いでこれにアセトニトリルを加えた後、4−t−ブチルベンジルメルカプタン(74.3ミリモル)を加える。反応混合物を室温で10時間攪拌した後、溶媒を減圧除去する。得られる粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物を得る。
【0187】
6e.2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−ヒドロキシメチルクロメン−4−オン
【化60】

50mL丸底フラスコのテトラヒドロフランに、2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−((2−テトラヒドロピラニルオキシ)メチル)クロメン−4−オン(5.5g、12.55ミリモル)を溶解する。
【0188】
次いで酢酸と水を、THF:酢酸:水=4:2:1(28mL)となるように加える。フラスコを45℃に加温し、混合物を3時間攪拌する。フラスコを冷却後、内容物を分液漏斗に注ぎ、水性層を酢酸エチルで抽出する。次いで有機層を水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。濾液を減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、上記生成物を得る。
【0189】
6f.2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−トシルオキシメチルクロメン−4−オン
【化61】

【0190】
25mL丸底フラスコに、2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−ヒドロキシメチルクロメン−4−オン(3g、8.47ミリモル)を入れ、ジクロロメタン(10mL)で溶解する。次いでこれに、トルエンスルホニルクロリド(12.7ミリモル)およびトリエチルアミン(12.7ミリモル)を加え、反応混合物を室温で4時間攪拌する。次いで溶媒を減圧除去し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、上記化合物を得る。
【0191】
6g.2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−フルオロメチルクロメン−4−オン
【化62】

15mL丸底フラスコに、2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−トシルオキシメチルクロメン−4−オン(3g、5.9ミリモル)を入れ、これにフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(THF中1M、5.9ミリモル)を加える。溶液を3時間加熱還流した後、全ての揮発分を除去し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製する。
【0192】
6h.2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−[18F]−フルオロメチルクロメン−4−オン
【化63】

【0193】
5μLの水酸化テトラブチルアンモニウム(40%wt水溶液)含有のバキュティナーに、水性18F(16mCi、0.1mL)を加える。混合物を100℃の油浴にて、窒素下で濃縮し、250μLのアセトニトリルを加え、また窒素下で濃縮する。かかる操作を2回繰返し、次いでこれに100μLのアセトニトリルを加え、内容物を減圧に付す。完全な乾燥に先立ち、THFを加えた後、5mgの2−(4−t−ブチルベンジル)チオ−3−トシルオキシメチルクロメン−4−オンを加える。次いで混合物を、70℃の油浴にて30分間加熱する。次いでこれを水で希釈し、C18 Sep−Pakに加え、水でリンスし、アセトニトリルで溶離して、上記化合物を得る。
【0194】
実施例7
7a.2’−t−ブトキシ−6’−ヒドロキシプロピオフェノン
【化64】

100mL丸底フラスコに、2’,6’−ジヒドロキシプロピオフェノン(25g、0.15モル)を加え、次いでこれにジクロロメタン(50mL)を加える。
【0195】
次いでこれを−75℃に冷却し、これに2.6mLのHPOを加えた後、6.22mLのエーテル性三フッ化ホウ素、次いでイソブチレン(125mL)を加える。次いで反応液を−75℃で1.5hr攪拌し、次いで室温で一夜攪拌する。反応混合物を2N水酸化アンモニウム溶液(200mL)に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。次いで有機層を水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。濾液の濃縮後に得られる粗残渣を、シリカゲルを用いるフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、上記生成物を得る。
【0196】
7b.5−t−ブトキシ−2−チオ−3−メチルクロメン−4−オン
【化65】

【0197】
カリウムt−ブトキシド(270ミリモル)を充填した100mL丸底フラスコに、温度を15〜22℃に冷却維持しながら、50mLのトルエン中の2’−t−ブトキシ−6’−ヒドロキシプロピオフェノン(20g、90ミリモル)および二硫化炭素(99ミリモル)の溶液を滴下する。反応混合物を室温で4日間攪拌した後、これを水(250mL)に注ぐ。水性層を分離し、ジクロロメタンで洗い、酢酸でpH5になるまで酸性化する。
【0198】
これを再び2時間攪拌した後、水性層を分液漏斗に注ぎ、ジクロロメタン(40mL×3)で抽出する。次いで有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗った後、水洗する。次に有機層を塩水で、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。濾液の濃縮後に得られる粗物質を、フラッシュクロマトグラフィーで精製して、純粋な2−チオ−3−メチルクロメン−4−オンを得る。
【0199】
7c.2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−t−ブトキシクロメン−4−オン
【化66】

【0200】
50mL丸底フラスコに、トリフェニルホスフィン(37.8ミリモル)およびジエチルアゾジカルボキシレート(37.8ミリモル)を充填する。次いでフラスコにTHF(20mL)を加え、フラスコを0℃に冷却する。混合物を30分間攪拌した後、2−チオ−3−メチル−5−t−ブトキシクロメン−4−オン(10g、37.8ミリモル)および4−t−ブチルベンジルアルコール(38ミリモル)を一度に加える。反応混合物を室温まで加温せしめ、24時間攪拌する。次いで5%NaHCOを加え、混合物を分液漏斗に注ぐ。水性層を酢酸エチル(25mL×2)で抽出し、コンバインした有機層を塩水で洗い、次いで硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、上記生成物を得る。
【0201】
7d.2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−ヒドロキシクロメン−4−オン
【化67】

【0202】
50mL丸底フラスコに、2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−t−ブトキシクロメン−4−オン(10g、24.3ミリモル)を充填する。次いでこれに無水トリフルオロ酢酸(15mL)を加え、反応混合物を0℃で8時間攪拌する。次いでフラスコにジクロロメタンを加え、混合物を分液漏斗に注ぐ。これを水、次いで塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。次いで濾液を減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、所望生成物を得る。
【0203】
7e.2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−トシルオキシクロメン−4−オン
【化68】

【0204】
25mL丸底フラスコのピリジンに、2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−ヒドロキシクロメン−4−オン(5g、14.1ミリモル)を溶解し、これにp−トルエンスルホニルクロリド(15ミリモル)を加える。反応混合物を8時間攪拌する。次いでフラスコに水を加え、内容物を分液漏斗に注ぐ。酢酸エチルを加え、各層を分離する。次いで有機層を水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。濾液を減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、上記生成物を得る。
【0205】
7f.2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−フルオロクロメン−4−オン
【化69】

【0206】
15mL丸底フラスコのTHFに、2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−トシルオキシクロメン−4−オン(200mg、0.39ミリモル)を溶解し、これにフッ化カリウム(0.39ミリモル)および Kryptofix(0.39ミリモル)を加える。溶液を3時間加熱還流した後、これを室温まで冷却する。反応混合物を濃縮し、得られる粗残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、上記生成物を得る。
【0207】
7g.2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−[18F]−フルオロクロメン−4−オン
【化70】

【0208】
300mgの18O水中の100mCiの18F含有の5mL反応バイアルに、10mgの Kryptofix、1mgの炭酸カリウム、0.005mLの水および0.95mLのアセトニトリルからなる1mL溶液を加える。バイアルを加熱して、全溶媒を除去し、該バイアルに乾燥アセトニトリル(1mL)を加える。これも蒸発で除去する。次いでこれに、2−(4−t−ブチルベンジルメルカプト)−3−メチル−5−トシルオキシクロメン−4−オン(5mg)/アセトニトリルを加える。バイアルを密封し、100℃で30分間加熱する。混合物をジクロロメタンで希釈し、Sep−Pakに通し、テトラヒドロフランで溶離する。溶媒を蒸発して、所望化合物を得る。
【0209】
実施例8
8a.2−ブロモ−1−(2,2−ジメチル−クロメン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン
【化71】

【0210】
四塩化炭素(300mL)中の1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン(37g、0.1モル、Chemistry and Biology 2000, 7, 979)の溶液に、反応混合物の連続した変色が得られる速度で臭素(16.0g、0.1モル)を加える。添加終了後(約10分)、反応混合物を減圧蒸発して、2−ブロモ−1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノンを得、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
【0211】
8b.2[18F]フルオロ−1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン
【化72】

【0212】
300mgの18O水中の50mCiの18F含有の5mL反応バイアルに、10mgのKryptofix、1mgの炭酸カリウム、0.005mLの水および0.95mLのアセトニトリルからなる1mL溶液を加える。バイアルを加熱して、全溶媒を除去し、再びバイアルに乾燥アセトニトリル(1mL)を加え、これをもう一度減圧除去する。次いでバイアルに、トリブチル−[2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−プロペニル]−スタンナン(5mg)/アセトニトリルを加える。バイアルを密封し、30分間100℃に加熱する。混合物をジクロロメタンで希釈し、Sep−Pakに通し、THFで溶離する。濾液を濃縮して、2−[18F]フルオロ−1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノンを得る。
【0213】
実施例9
9a.1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−2−ヒドロキシ−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン
【化73】

【0214】
THF(3mL)中のNaHMDS(THF中1.0M、0.6mL)の攪拌冷(−78℃)溶液に、THF(3mL)に溶解した1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン(184.1mg、0.5ミリモル)を滴下する。得られる反応混合物を30分間攪拌してから、(+/−)−カンフォリル−スルホニルオキサジリジン(187mg、0.75ミリモル)/THF(3mL)を滴下する。15分後、反応混合物に飽和NHI水溶液を加えて反応を抑え、ジエチルエーテルで希釈する。混合物を室温まで加温せしめる。水性層をジエチルエーテルで抽出する。コンバインした有機層を水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−2−ヒドロキシ−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノンを、シリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0215】
9b.トルエン−4−スルホン酸2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−2−オキソ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エチルエステル
【化74】

【0216】
ジクロロメタン(1.5mL)中の1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−2−ヒドロキシ−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン(28mg、0.073ミリモル)の攪拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(15.3mg、0.080ミリモル)およびピリジン(6.47μL、0.080ミリモル)を加える。反応混合物の攪拌を室温で続ける。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0217】
9c.1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−2[18F]フルオロ−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エタノン
【化75】

【0218】
シラン処理した栓をもつ薄厚10mLの、シラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(40%w/v水溶液、5μL)と、18F/水の溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリル(200μL×3)の添加と蒸発を繰返して乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。
【0219】
完全な溶媒除去に先立ち、THF(150μL)を加え、バイアルをクリンプせず(uncrimped)、トルエン−4−スルホン酸2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−2−オキソ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)エチルエステル(2mg)を一度に加える。バイアルに再びフタをし、65℃で30分間加熱する。冷却後、バイアルを水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep Pak を添加)に通して、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0220】
実施例10
10a.6−[2−ヨード−1−(3,4,5−トリメトキシ−ベンジル)−ビニル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン
【化76】

ジヨードメタン(26.88g、0.1モル)およびトリフェニルホスフィン(26.23g、0.1モル)をエーテルに溶解し、室温で24時間攪拌する。得られるイリド塩を濾取し、減圧乾燥する。
【0221】
イリド塩をTHF(100mL)に溶解し、−78℃に冷却する。攪拌混合物に、N−ナトリウム・ヘキサメチルジシラジド(18.34g、0.1モル)を滴下する。反応混合物を30分間攪拌する。反応混合物に、THF(50mL)に溶解したケトン(36.82g、0.1モル)を加える。反応液を0℃に加温する。2時間後、飽和NHCl水溶液で反応を抑える。水性層をジエチルエーテルで抽出する。コンバインした有機層を水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮し、クロマトグラフィーで精製する。
【0222】
10b.トリブチル−[2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)プロペニル]−スタンナン
【化77】

【0223】
1,4−ジオキサン(9mL)中の6−[2−ヨード−1−(3,4,5−トリメトキシ−ベンジル)−ビニル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン(974mg、1.98ミリモル)の溶液に、トリ−n−ブチルエテニル−スタンナン(650mg、2.05ミリモル)、LiCl(252mg、594ミリモル)Pd(PPh)(46mg、0.04ミリモル)、および少量の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール結晶を加える。得られる懸濁液を4時間加熱還流し、室温に冷却し、ピリジン(1mL)およびフッ化ピリジニウム(THF中1.4M溶液、2mL、2.8ミリモル)で処理する。得られる混合物を室温で16時間攪拌し、次いでジエチルエーテルで希釈し、珪藻土(Celite)の小パッドで濾過する。濾液を水、10%HCl、水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗物質をさらに精製せずに、次工程に用いる。
【0224】
10c.6−[2−[18F]フルオロ−1−(3,4,5−トリメトキシ−ベンジル)−ビニル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン
【化78】

【0225】
300mgの18O水中の5mCiの18F含有の5mL反応バイアルに、10mgの Kryptofix 、1mgの炭酸カリウム、0.005mLの水および0.95mLのアセトニトリルからなる1mL溶液を加える。バイアルを加熱して、全溶媒を除去し、再びバイアルに乾燥アセトニトリル(1mL)を加え、これをもう一度減圧除去する。次いでバイアルに、トリブチル−[2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)プロペニル]−スタンナン(5mg)/アセトニトリルを加える。バイアルを密封し、100℃に30分間加熱する。混合物をジクロロメタンで希釈し、Sep−Pakに通し、THFで溶離する。濾液を濃縮して、6−[2−[18F]フルオロ−1−(3,4,5−トリメトキシ−ベンジル)−ビニル]−2,2−ジメチル−2H−クロメンを得る。
【0226】
実施例11
11a.4−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−カルボン酸
【化79】

無水THF(50mL)中の6−ブロモ−2,2−ジメチル−クロマノール−4−オール(2.42g、10ミリモル、Buckle D.R. らの J. Med. Chem. 1990,33,3028)の溶液を、−78℃に冷却する。攪拌反応混合物に、n−BuLi(ヘキサン中2.5M、9.0mL、22.6ミリモル)を滴下する。
【0227】
反応混合物の攪拌を−78℃で、さらに15分間続ける。反応混合物に二酸化炭素ガスを吹き込み、温度を25℃まで上げる。12時間後、揮発分を減圧下で蒸発除去し、粗物質を水に溶かす。水性層を1N−HClで酸性化し、ジエチルエーテルで抽出する。コンバインした有機層を水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物を精製せずに、次工程に用いる。
【0228】
11b.4−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステル
【化80】

【0229】
(3,4,5−トリメトキシフェニル)メタノール(1.98g、10ミリモル)およびジメチルアミノピリジン(1.47g、12ミリモル)を、無水ジクロロメタン(50mL)に溶解する。溶液を0℃に冷却する。ジクロロメタン(50mL)に溶解した1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(4.31g、15ミリモル)を滴下する。反応混合物の攪拌を0℃でさらに2時間続け、次いで室温に到達せしめる。12時間後、反応混合物に飽和NHClを加えて、反応を抑える。水性層をジクロロメタンで抽出する。コンバインした有機層を水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗4−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシベンジルエステルを、シリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0230】
11c.2,2−ジメチル−4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステル
【化81】

【0231】
ジクロロメタン(1.5mL)中の4−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシベンジルエステル(29.4mg、0.073ミリモル)の攪拌溶液に、TsCl(15.3mg、0.080ミリモル)およびピリジン(6.47μL、0.080ミリモル)を加える。反応混合物の攪拌を室温で続ける。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、2,2−ジメチル−4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステルを得る。
【0232】
11d.4−[18F]フルオロ−2,2−ジメチル−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステル
【化82】

【0233】
シラン処理した栓をもつ薄厚10mLの、シラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(40%w/v水溶液、5μL)、および18F/水の溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリル(200μL×3)の添加と蒸発を繰返して乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。完全な溶媒除去に先立ち、THF(150μL)を加え、バイアルをクリンプせず、2,2−ジメチル−4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−クロマン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステル(2mg)を一度に加える。
【0234】
バイアルに再びフタをし、65℃で30分間加熱する。冷却後、バイアルを水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep Pak を添加)に通して、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0235】
実施例12
8−[18F]フルオロ−2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステルの合成
【化83】

【0236】
シラン処理した栓をもつ薄厚10mLの、シラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(40%w/v水溶液、5μL)、および18F/水の溶液(10mCi、200μL)を充填する。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリル(200μL×3)の添加と蒸発を繰返して乾燥する。アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。
【0237】
完全な溶媒除去に先立ち、THF(150μL)を加え、バイアルをクリンプせず、2,2−ジメチル−8−ニトロ−2H−クロメン−6−カルボン酸3,4,5−トリメトキシ−ベンジルエステル(Chemistry and Biology 2000,7,979により前もって製造、2mg)を、一度に加える。バイアルに再びフタをし、65℃で30分間加熱する。室温に冷却後、バイアルを水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep Pak を添加)に通して、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0238】
実施例13
13a.(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−酢酸エチルエステル
【化84】

THF(25mL)中のリチウム・ジイソプロピルアミド(ジイソプロピルアミン(8.8ミリモル)から製造)およびn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、5.5mL)の溶液に−78℃にて、THF(25mL)中のトリメチルシリルクロリド(4.52g、14ミリモル)および(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)酢酸エチルエステル(2.03g、8ミリモル)を連続して加える。
【0239】
混合物を、−78℃で1h攪拌する。攪拌溶液に、N−クロロスクシンイミド(1.12g、8.4ミリモル)を一度に加える。反応混合物を3時間にわたり0℃まで加温せしめ、0℃で30分間攪拌し、次いで水で希釈する。水性層をジクロロメタンで抽出する。コンバインした有機層を、水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0240】
13b.(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−酢酸エチルエステル
【化85】

【0241】
4−メルカプト−フェノール(1.26g、10ミリモル)、KCO(4.14g、30ミリモル)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.74g、2ミリモル)をDMF(20mL)に溶解した溶液に、4−クロロ−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−酢酸エチルエステル(2.88g、10ミリモル)/DMF(10mL)を滴下する。反応混合物の攪拌を室温で続ける。12時間後、反応混合物に3%水性HCl を加えて、反応を抑える。水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした有機層を水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0242】
13c.4−[2−ヒドロキシ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルスルファニル]−フェノール
【化86】

【0243】
THF(32.7mL)中の水素化リチウム・アルミニウム(3.15g、12.7ミリモル)の冷却(0℃)溶液に、THF(30mL)に溶解した(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−酢酸エチルエステル(4.8g、12.7ミリモル)を急速に加える。反応混合物を室温で攪拌する。1.5時間後、反応混合物に2.5N−HCl を加えて反応を抑え、次いで水で希釈する。水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした有機層を水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0244】
13d.2−[4−(1,1−ジメチル−プロプ−2−イニルオキシ−フェニルスルファニル)]−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノール
【化87】

【0245】
乾燥DMF(10mL)中の4−[2−ヒドロキシ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルスルファニル]−フェノール(2.83g、8.41ミリモル)、炭酸カリウム(2.35g、16.82ミリモル)、ヨウ化カリウム(2.37g、14.23ミリモル)およびヨウ化銅(33mg、0.17ミリモル)の混合物に、3−クロロ−3−メチル−1−ブチン(1.72g、16.8ミリモル)を加える。次いで反応混合物を70℃に加熱する。4時間後、反応液を室温まで冷却し、減圧濃縮する。残渣をジクロロメタンに溶解し、水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
【0246】
13e.2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イルスルファニル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノール
【化88】

【0247】
N,N−ジエチルアニリン(9.53mL)を185℃に加熱する。2−[4−(1,1−ジメチル−プロプ−2−イニルオキシ−フェニルスルファニル)]−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノール(16.11g、0.04ミリモル)を滴下する。次いで反応混合物を195℃に加熱する。1時間後、反応混合物を室温まで冷却し、ヘキサンで希釈する。有機層を5%HCl で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して所望生成物を得、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
【0248】
13f.トルエン−4−スルホン酸2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イルスルファニル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルエステル
【化89】

【0249】
ジクロロメタン(1.5mL)中の2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イルスルファニル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノール(29.3mg、0.073ミリモル)の攪拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(15.3mg、0.080ミリモル)およびピリジン(6.47μL、0.080ミリモル)を加える。反応混合物の攪拌を室温で続ける。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、所望生成物を得る。
【0250】
13g.6−[2−[18F]フルオロ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルスルファニル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン
【化90】

【0251】
シラン処理した栓をもつ薄厚10mLの、シラン処理したバキュティナーに、水酸化テトラブチルアンモニウム(40%w/v水溶液、5μL))を充填し、18F/水の溶液(10mCi、200μL)を加える。得られる混合物を窒素流下、100℃で蒸発乾固する。残渣をさらに、アセトニトリル(200μL×3)の添加と蒸発を繰返して乾燥する。
【0252】
アセトニトリルの追加アリコートを加え、加熱せずに減圧濃縮する。完全な溶媒除去に先立ち、THF(150μL)を加え、バイアルをクリンプせず、2−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イルスルファニル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルエステル(2mg)を一度に加える。バイアルに再びフタをし、65℃で30分間加熱する。冷却後、バイアルを水(4mL)で希釈し、シリカゲルカートリッジ(予め Waters Light C−18 Sep Pak を添加)に通して、サンプルを装填する。カートリッジを水でリンスし、アセトニトリル(2mL)で溶離する。アセトニトリルを蒸発し、残渣をHPLCで精製して、所望生成物を得る。
【0253】
実施例14
実施例14a:4−(4−ヒドロキシ−ブト−1−イニル)安息香酸メチルエステルの合成
【化91】

ジエチルアミン(200mL)中のメチル・4−ブロモベンゾエート(13.4g、0.62ミリモル)の攪拌溶液に、塩化パラジウム(0.55g、3.06ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.16g、0.62ミリモル)を加える。溶液を脱泡し、ヨウ化銅(0.12g、0.62ミリモル)および3−ブチン−1−オール(4.34g、62ミリモル)を加える。反応混合物の攪拌を室温で一夜続ける。
【0254】
その2日後に、0.5モル%の塩化パラジウム、1.0モル%のトリフェニルホスフィン、および12モル%の3−ブチン−1−オールを追加する。LCMSにより反応がいったん終了すれば、反応混合物を濃縮し、粗物質をシリカゲルと酢酸エチルのスラリーに溶かす。有機溶媒を除去し、残った乾燥シリカゲルをガラス濾過器に詰める。ヘキサン/酢酸エチル(1:4)混合物で洗った後、酢酸エチル(100%)で洗って、所望生成物の4−(4−ヒドロキシ−ブト−1−イニル)安息香酸メチルエステル(11.9g、0.58ミリモル)を得る(収率94%)。
1H (CDCl3, 600 MHz): δ7.95 (2H, d, J=8.4Hz), 7.45 (2H, d, J=8.4 Hz), 3.9 (s, 3H), 3.83 (2H, t, J=6.6Hz), 2.71 (2H, t, J=6.0 Hz).
【0255】
実施例14b:4−(4−ヒドロキシ−ブチル)安息香酸メチルエステルの合成
【化92】

エタノール(60mL)中の4−(4−ヒドロキシ−ブト−1−イニル)安息香酸メチルエステル(6.29g、0.031モル)の撹拌溶液に、パラジウム/炭素(炭素上10%、5g)を加え、反応混合物を50psiで水素添加する。20時間後、反応混合物を濾過して触媒を除去し、濾液を濃縮して所望生成物の4−(4−ヒドロキシ−ブチル)安息香酸メチルエステル(5.67g、0.027モル)を得る(収率89%)。
1H (CDCl3, 600 MHz): δ7.94 (2H, d, J=8.4Hz), 7.24 (2H, d, J=8.4 Hz), 3.89 (s, 3H), 3.65 (2H, t, J=6.6Hz), 2.65 (2H, t, J=7.8 Hz), 1.71 (2H, m), 1.58 (2H, m).
【0256】
実施例14c:4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ブタン−1−オールの合成
【化93】

THF(100mL)中の4−(4−ヒドロキシ−ブチル)安息香酸メチルエステル(2.24g、0.01モル)の撹拌溶液に、水素化リチウム・アルミニウムの溶液(THF中1M、8.0mL)を滴下する。
【0257】
滴下終了後、反応混合物の撹拌を室温で続ける。6時間後、反応混合物に水を加えて、反応を抑える。水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ブタン−1−オールを黄色油状物で得る(1.90g、0.01モル、収率98%)。
1H (CDCl3, 600 MHz): δ7.29 (2H, d, J=8.1Hz), 7.16 (2H, d, J=8.1 Hz), 4.60 (2H, s), 3.60 (2H, t, J=7.5 Hz), 2.62 (2H, t, J=7.5 Hz), 1.67 (2H, m), 1.56 (2H, m); 13C (CDCl3, 150 MHz): δ141.7, 138.5, 128.5, 127.0, 65.0, 62.5, 35.2, 32.1, 27.5.
【0258】
実施例14d:4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]安息香酸メチルエステルの合成
【化94】

【0259】
DMF(4mL)中の4−(4−ヒドロキシ−ブチル)安息香酸メチルエステル(300mg、1.44ミリモル)の溶液に、イミダゾール(147mg、2.16ミリモル)、次いでTBDMS−Cl(324mg、2.16ミリモル)を加える。反応液を室温で2時間撹拌し、TLC(ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で監視する。出発物質の消費後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水(3回)および飽和重炭酸ナトリウム(1回)で洗う。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して黄色油状物を得る(360mg、収率77%)。この粗油状物をさらに精製せずに、次工程に供す。
【0260】
実施例14d:{4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]−フェニル}−メタノールの合成
【化95】

THF(5.5mL)中の4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]安息香酸メチルエステル(0.80g、2.48モル)の撹拌冷却(0℃)溶液に、水素化リチウム・アルミニウムの溶液(THF中1M、4.96mL)を滴下する。
【0261】
滴下終了後、反応混合物の撹拌を室温で続ける。2時間後、反応混合物に水を加えて、反応を抑える。水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して黄色油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1:2)で精製して、{4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]−フェニル}−メタノール(0.65g、2.21モル、収率89%)を得る。
【0262】
実施例14e:2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルスルファニル]−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化96】

【0263】
2−メルカプト−クロメン−4−オン(1.52g、7.90ミリモル)および4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ブタン−1−オール(1.90g、9.90ミリモル)を無水THF(80mL)に溶解した溶液に、PPh固体(3.11g、11.90ミリモル)およびDIAD(2.30mL、11.90ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物の撹拌を室温で続ける。20時間後、反応混合物を水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。
【0264】
粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=1:1)で精製して、2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルスルファニル]−3−メチル−クロメン−4−オン(1.29g、3.64ミリモル)を妥当な収率(46%)で得る。
1H (CDCl3, 600 MHz): δ8.18 (1H, dd, J=7.9,1.3 Hz), 7.60 (1H, ddd, J=8.6, 7.2, 1.7 Hz), 7.31 (2H, t, J=8.5 Hz), 7.29 (2H, d, J=8.1Hz), 7.12 (2H, d, J=8.1 Hz), 4.36 (2H, s), 3.62 (2H, m), 2.61 (2H, t, J=7.5 Hz), 2.00 (3H, s),1.67 (2H, m), 1.56 (2H, m); 13C (CDCl3, 150 MHz): δ174.9, 161.3, 156.0, 141.5, 133.2, 132.3, 128.3, 128.2, 125.7, 124.5, 122.2, 117.2, 116.3, 62.3, 34.7, 31.8, 29.2, 26.9, 10.1.;
MRMS(C2122Sとして):計算値355.1363、実測値355.1364
【0265】
実施例14f:トルエン−4−スルホン酸4−[4−(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルスルファニルメチル)−フェニル]−ブチルエステル
【化97】

【0266】
2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルスルファニル]−3−メチル−クロメン−4−オン(300mg、0.85ミリモル)を無水ジクロロメタン(8.0mL)に溶解した溶液に、TsCl(194mg、1.01ミリモル)、DMAP(124mg、1.01ミリモル)およびTEA(0.213mL、1.52ミリモル)を加える。反応混合物の撹拌を室温で続ける。3時間後、反応混合物を水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。
【0267】
粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=1:1)で精製して、トルエン−4−スルホン酸4−[4−(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルスルファニルメチル)−フェニル]−ブチルエステル(280mg、0.55ミリモル)を妥当な収率(65%)で得る。
1H (CDCl3, 600 MHz): δ8.18 (1H, dd, J=7.9,1.3 Hz), 7.77 (2H, d, J=8.2 Hz). 7.62 (1H, m), 7.39 (2H, t, J=8.0 Hz), 7.33 (2H, d, J= 8.0 Hz), 7.30 (2H, d, J=8.0Hz), 7.07 (2H, d, J=8.0 Hz), 4.37 (2H, s), 4.02 (2H, t, J=5.8 Hz), 2.55 (2H, t, J=7.3 Hz), 2.05 (3H, s), 1.65 (4H, m); 13C (CDCl3, 150 MHz): δ175.5, 162.2, 156.7, 144.9, 141.5, 134.1, 133.4, 133.0, 130.0, 129.1, 129.0, 128.1, 126.5 125.3, 122.9, 117.5, 117.0, 70.5, 35.3, 34.9, 28.6, 27.2, 21.8, 10.8.;
HRMS(C2828として):計算値509.1450、実測値509.1441
【0268】
実施例14g:2−[4−(4−フルオロ−ブチル)−ベンジルスルファニル]−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化98】

【0269】
無水アセトニトリル(0.2mL)中のトルエン−4−スルホン酸4−[4−(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルスルファニルメチル)−フェニル]−ブチルエステル(10mg、0.020ミリモル)の溶液に、KF(2.28mg、0.04ミリモル)および Kryptofix(14.8mg、0.04ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物を90℃に加熱する。25分後、反応混合物を室温に冷却し、水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。
【0270】
粗物質を逆相クロマトグラフィー(Luna、10u、C18 250×21.2mm、10ミクロ、20%の水/水中90%アセトニトリル+0.1%TFA(両移動相の調節剤として))で精製して、2−[4−(4−フルオロ−ブチル)−ベンジルスルファニル]−3−メチル−クロメン−4−オン(3.3mg、0.01ミリモル)を妥当な収率(46%)で得る。
19F (CDCl3, 564 MHz): δ-218.67(1F, m). 1H (CDCl3, 600 MHz): δ8.18 (1H, dd, J=7.8,1.8 Hz), 7.60 (1H, m), 7.36 (2H, m), 7.31 (2H, d, J= 7.8 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.0 Hz), 4.47 (1H, m), 4.39 (1H, m), 4.36 (2H, s), 2.63 (2H, t, J=6.6 Hz), 2.03 (3H, s), 1.69 (4H, m); 13C (CDCl3, 150 MHz): δ175.3, 162.0, 156.5, 141.7, 133.8, 132.7, 128.8, 126.2 125.2, 122.6, 117.3, 116.8, 84.4 (83.3), 35.1, 35.0, 29.9 (29.8), 26.9, 10.5.
【0271】
実施例15
実施例15a:2−{4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]−フェニルオキシ}−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化99】

【0272】
反応フラスコに、NaH固体(37mg、1.5ミリモル)を入れ、氷浴で0℃に冷却する。反応フラスコに撹拌下、乾燥DMF(23mL)中の4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]−フェニル}−メタノール(377mg、1.28ミリモル)の溶液を滴下する。滴下終了後、反応混合物の撹拌をさらに、0℃で1時間続ける。撹拌混合物に、2−メタンスルホニロ−3−メチル−クロメン−4−オン(0.92g、3.84ミリモル)を乾燥DMF(20mL)に溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、反応混合物の撹拌を室温で続ける。TLCの判定でいったん反応が完了すれば、反応混合物を0℃に冷却し、水で反応を抑える。
【0273】
水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製して、2−{4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]−フェニルオキシ}−3−メチル−クロメン−4−オン(258mg、0.73ミリモル、49%)を得る。HRMS(C2736Siとして):計算値453.2455、実測値453.2457
【0274】
実施例15b:2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルオキシ)−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化100】

【0275】
2−{4−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ブチル]−フェニルオキシ}−3−メチル−クロメン−4−オン(258mg、0.57ミリモル)を無水THF(5mL)に溶解した溶液に、TBAFの溶液(THF中1.0M溶液、1.15mL、1.15ミリモル)を滴下する。滴下終了後、反応液を室温で1h撹拌し、次いで水で反応を抑える。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:2)で精製して、2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルオキシ]−3−メチル−クロメン−4−オン(101mg、0.30ミリモル)を妥当な収率(52%)で得る。HRMS(C2122として):計算値339.1590、実測値:339.1591
【0276】
実施例15c:トルエン−4−スルホン酸4−[4−(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルオキシメチル)−フェニル]−ブチルエステルの合成
【化101】

【0277】
2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルオキシ]−3−メチル−クロメン−4−オン(101mg、0.30ミリモル)を無水ジクロロメタン(3.0mL)に溶解した溶液に、TsCl(68mg、0.36ミリモル)、DMAP(55mg、0.45ミリモル)およびTEA(0.050mL、0.36ミリモル)を加える。反応混合物の撹拌を室温で続ける。20h後、反応混合物を水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。
【0278】
粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=4:1)で精製して、トルエン−4−スルホン酸4−[4−(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルオキシメチル)−フェニル]−ブチルエステル(75.2mg、0.15ミリモル)を妥当な収率(51%)で得る。
1H (CDCl3, 600 MHz): δ8.21 (1H, dd, J=8.2,1.5 Hz), 7.77 (2H, d, J=8.3 Hz). 7.60 (1H, m), 7.33 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.36 (2H, d, J= 8.0 Hz), 7.39 (2H, d, J=8.2 Hz), 7.33 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.99 (2H, d, J=7.9 Hz), 5.43 (2H, s), 4.04 (2H, t, J=5.9 Hz), 2.59 (2H, t, J=7.3 Hz), 2.44 (3H, s), 1.99 (3H, s), 1.68 (4H, m);); 13C (CDCl3, 150 MHz): δ178.2, 161.8, 152.2, 144.2, 141.9, 132.7, 132.2, 131.9, 129.3, 128.3, 127.7, 127.4, 125.6, 127.7, 122.1, 116.1, 70.1, 69.8, 34.3, 27.9, 26.5, 21.1, 6.7.
HRMS(C2828Sとして):計算値545.1498、実測値515.1493
【0279】
実施例15d:2−[4−(4−フルオロ−ブチル)−ベンジルオキシ]−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化102】

【0280】
無水アセトニトリル(0.5mL)中のトルエン−4−スルホン酸4−[4−(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルオキシメチル)−フェニル]−ブチルエステル(20mg、0.04ミリモル)の溶液に、KF(4.72mg、0.08ミリモル)および Kryptofix(30.6mg、0.08ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物を90℃に加熱する。15分後、反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。
【0281】
粗物質を逆相クロマトグラフィー(Luna、10u、C18、250×21.2mm、10ミクロ、30%の水/水中90%アセトニトリル+0.1%TFA(両移動相の調節剤として))で精製して、2−[4−(4−フルオロ−ブチル)−ベンジルオキシ]−3−メチル−クロメン−4−オン(6.8mg、0.02ミリモル)を低収率(13.6%)で得る。
19F(CDCl、564MHz):δ−218.72(1F,m)。HRMS(C2121FOとして):計算値341.1547、実測値341.1547
1H (CDCl3, 600 MHz): δ8.21 (1H, dd, J=8.3,1.6 Hz), 7.60 (1H, m), 7.39 (2H, m), 7.22 (2H, d, J= 8.0 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.0 Hz), 5.44 (2H, s), 4.50 (1H, m), 4.41 (1H, m), 2.68 (2H, t, J=7.1 Hz), 1.99 (3H, s), 1.75 (4H, m).
【0282】
実施例16
実施例16a:2−(4−ヨード−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオンの合成
【化103】

DMF(316mL)中の4−ヨード−ヘンジルブロミド(9.04g、30.4ミリモル)の溶液に、フタルイミド(4.47g、30.4ミリモル)および炭酸セシウム(14.86g、45.6ミリモル)を加える。
【0283】
反応液を窒素雰囲気下、室温で一夜撹拌する。翌日、反応混合物に水を加えて、反応を抑制する。反応を抑制した混合物から沈殿した生成物を濾別し、水洗し、白色固体として集める(9.5g、収率86%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ7.84 (m, 2H), 7.71 (m, 2H), 7.63 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.17 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 4.77 (s, 2H). 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ168.1, 138.0, 136.2, 134.3, 132.2, 130.8, 123.6, 93.7, 41.3.
【0284】
実施例16b:2−[4−(4−ヒドロキシ−ブト−1−イニル)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオンの合成
【化104】

DEA(20mL)中の2−(4−ヨード−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオン(2.0g、5.51ミリモル)、トリフェニルホスフィン(14.4mg、0.055ミリモル)および塩化パラジウム(5mg、0.028ミリモル)のスラリーに、DMF(4mL)およびヨウ化銅(11mg、0.055ミリモル)を加えた後、3−ブチン−1−オール(417μL、5.51ミリモル)を加える。反応液を窒素雰囲気下、室温で一夜撹拌する。
【0285】
翌日、反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2:1)で精製して、生成物を黄色固体で得る(0.76g、収率45%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.86 (m, 2H), 7.76 (m, 2H), 7.36 (s, 4H), 4.83 (s, 2H), 3.80 (q, 2H, J= 6.3 Hz), 2.68 (t, 2H, J= 6.2 Hz), 1.80 (t, 1H, J= 6.4 Hz); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 167.5, 135.5, 133.6, 131.5, 131.4, 128.0, 122.9, 122.5, 86.3, 81.5, 60.6, 40.8, 23.3.
【0286】
実施例16c:2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオンの合成
【化105】

エタノール/酢酸エチル(3:1、163mL)中の2−[4−(4−ヒドロキシ−ブト−1−イニル)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオン(2.0g、6.55ミリモル)の溶液に、パラジウム/炭素(10wt%、1.04g)を加える。反応液を50psiの水素下、室温で一夜撹拌する。H−NMRで反応を監視して、生成物への変換を知る。
【0287】
反応完了時、反応混合物を珪藻土(Celite)で濾過し、酢酸エチルで洗い、濃縮して生成物を黄色固体で得る(1.88g、収率93%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.81 (2H, m), 7.67 (m, 2H), 7.33 (d, 2H, J= 8.1 Hz), 7.10 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 4.79 (s, 2H), 3.69 (q, 3H, J = 7.0 Hz), 3.60 (t, 2H, J= 6.5 Hz), 2.58 (t, 2H, J= 7.4 Hz), 1.64 (m, 2H), 1.55 (m, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): 168.3, 142.2, 134.1, 134.0, 132.3, 128.8, 128.8, 123.5, 62.9, 41.5, 35.4, 32.4, 27.6.
【0288】
実施例16d:2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルアミノ]−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化106】

n−ブタノール(59mL)中の2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジル]−イソインドール−1,3−ジオン(964mg、3.12ミリモル)およびヒドラジン(215μL、6.86ミリモル)の溶液を、1h還流下に置く。
【0289】
室温に冷却すると、沈殿物が形成し、これを濾別し、n−ブタノールで洗う。次いで濾液を濃縮して、黄色固体の生成物を得、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6): δ = 7.22 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.11 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 3.69 (s, 2H), 3.39 (t, 2H, J= 6.6 Hz), 2.54 (t, 2H, J= 7.6 Hz), 1.56 (m, 2H), 1.41 (m, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): 168.3, 142.2, 134.1, 134.0, 132.3, 128.8, 128.8, 123.5, 62.9, 41.5, 35.4, 32.4, 27.6.
【0290】
アセトニトリル(37mL)中の2−メタンスルフィニル−3−メチル−クロメン−4−オン(0.35g、1.78ミリモル)の溶液に、4−(4−アミノメチル−フェニル)−ブタン−1−オール(0.47g、2.13ミリモル)およびDMF(18mL)を加える。反応液を50℃油浴にて、N雰囲気下一夜撹拌する。翌日、反応混合物を室温に冷却し、濃縮して油状物を得る。油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%酢酸エチル)で精製して、所望生成物を白色固体で得る(120mg、収率20%)。
【0291】
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.20 (d, 1H, J= 7.9 Hz), 7.53 (t, 1H, J=7.8 Hz), 7.35 (t, 1H, J=7.6 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.29 (d, 2H, J= 7.9 Hz), 7.21 (d, 2H, J=7.9 Hz ), 4.82 (bt, 1H, J = 5.9 Hz), 4.66 (d, 2H, J= 5.6 Hz), 3.68 (m, 2H), 2.66 (t, 2H, J= 7.5 Hz), 1.97 (s, 3H), 1.70 (m, 2H), 1.61 (m, 2H), 1.24 (bt, 1H, J = 5.3 Hz); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 174.0, 160.3, 152.2, 141.4, 135.5, 130.7, 128.2, 126.9, 125.0, 123.8, 122.3, 115.8, 92.7, 61.5, 44.6, 34.8, 31.8, 27.2, 7.3.
【0292】
実施例16e:トルエン−4−スルホン酸4−{4−[(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルアミノ)−メチル]−フェニル}−ブチルエステルの合成
【化107】

0℃の氷浴にて、ジクロロメタン(37mL)中の2−[4−(4−ヒドロキシ−ブチル)−ベンジルアミノ]−3−メチル−クロメン−4−オン(100mg、0.30ミリモル)の溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(68mg、0.36ミリモル)、ジメチルアミノピリジン(43.4mg、0.36ミリモル)およびトリエチルアミン(62μL、0.44ミリモル)を加える。反応スラリーをN雰囲気下一夜撹拌し、室温までゆっくり一夜加温する。
【0293】
翌日、反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3:1→1:1、次いで100%酢酸エチルに)で精製して、生成物を油状物で得る(45mg、収率31%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.19 (dd, 1H, J= 1.5 and 7.9 Hz), 7.76 (d, 2H, J= 8.3 Hz), 7.76 (m, 1H), 7.32 (d, 2H, J=7.9 Hz), 7.29 (d, 2H, J=8.1 Hz), 7.26 (d, 2H, J=8.0 Hz), 7.13 (d, 2H, J= 8.0 Hz), 4.90 (t, 1H, J = 5.1 Hz), 4.64 (d, 2H, J= 5.6 Hz), 4.02 (t, 2H, J= 5.9 Hz), 2.57 (t, 2H, J= 7.3 Hz), 2.43 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 1.65 (m, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 174.9, 160.2, 152.8, 144.7, 141.5, 135.4, 133.1, 131.4, 129.8, 128.9, 127.9, 127.7, 125.9, 124.6, 122.8, 116.2, 93.4, 70.3, 45.5, 34.7, 28.4, 27.1, 21.6, 7.6.
【0294】
実施例16f:2−[4−(4−フルオロ−ブチル)−ベンジルアミノ]−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化108】

ACN(1.1mL)中のトルエン−4−スルホン酸4−{4−[(3−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−2−イルアミノ)−メチル]−フェニル}−ブチルエステル(24mg、0.049ミリモル)の溶液に、K222(37mg、0.098ミリモル)、次いでKF(6mg、0.098ミリモル)を加える。反応液を90℃油浴にて、窒素雰囲気下30分間撹拌し、LC−MSで監視する。
【0295】
次いで反応液を室温に冷却し、HPLCカラムクロマトグラフィー(Luna、10u、C18、250×21.2mm、10ミクロ、60%の水/水中90%アセテニトリル+0.1%TFA(両移動相の調節剤として))に直接注入する。所望の画分を集め、pH7.6に中和し、次いで凍結乾燥する。物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で再精製して、所望生成物を固体で得る(0.3mg、収率<2%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3/ DMSO-d6): δ 8.03 (m, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.16 (m, 4H), 7.07 (m, 2H), 4.52 (m, 2H), 4.35 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 2.58 (m, 2H), 1.75 (s, 3H), 1.24 (m, 4H).
【0296】
実施例17
実施例17a:3−メチル−2−メチルスルファニル−クロメン−4−オンの合成
【化109】

アセトン(120mL)中の2−メルカプト−3−メチル−クロメン−4−オン(2.26g、11.76ミリモル)および炭酸カリウム(1.62g、11.76ミリモル)の溶液に、ヨードメタン(807μL、12.93ミリモル)を加える。
【0297】
反応液を窒素雰囲気下、室温で16時間撹拌してから、濃縮して粗油状物を得る。残渣を水に溶かし、5%HClでpH7に調整する。得られる水性層を酢酸エチルで洗う。次いで有機層を水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して所望生成物を黄色固体で得(1.95g、収率80%)、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.21 (d, 1H, J=6.6 Hz), 7.61 (m, 1H), 7.38 (m, 2H), 2.66 (s, 3H), 2.09 (s, 3H).
【0298】
実施例17b:2−メタンスルフィニル−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化110】

ジクロロメタン(75mL)中の3−メチル−2−メチルスルファニル−クロメン−4−オン(1.95g、9.45ミリモル)の溶液に0℃にて、mCPBA(2g、11.82ミリモル)を加える。
【0299】
反応液を2時間撹拌する。出発物質の消費後、反応混合物を濾過し、得られる濾液を冷5%炭酸ナトリウム、水および飽和重硫酸ナトリウムで洗う。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して所望生成物を淡黄色固体で得(1.74g、収率83%)、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6): δ 8.08 (dd, 1H, J=7.8, 1.2 Hz), 7.88 (m, 1H), 7.76 (d, 1H, J=7.8 Hz), 7.55 (m, 1H), 3.01 (s, 3H), 2.12 (s, 3H).
【0300】
実施例17c:2−メタンスルホニル−3−メチル−クロメン−4−オンの合成
【化111】

ジクロロメタン(75mL)中の3−メチル−2−メチルスルファニル−クロメン−4−オン(2.39g、11.6ミリモル)の溶液に0℃にて、mCPBA(4g、11.82ミリモル)を加える。
【0301】
反応液を2時間撹拌する。出発物質の消費後、反応混合物を濾過し、得られる濾液を冷5%炭酸ナトリウム、水および飽和重硫酸ナトリウムで洗う。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して所望生成物を淡黄色固体で得(0.685g、収率33%)、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.22 (d, 1H, J=3.0 Hz), 7.76 (m, 1H), 7.52 (d, 1H, J=8.4 Hz), 7.48 (m, 1H), 3.31 (s, 3H), 2.46 (s, 3H).
【0302】
実施例18
実施例18a:(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−酢酸メチルエステルの合成
【化112】

【0303】
メタノール(260mL)および硫酸(8mL)に、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−酢酸(9.5g、0.042ミリモル)を加える。添加終了後、反応液を一夜加熱還流する。翌日、反応混合物を冷却し、濃縮して粗油状物を得る。油状物を酢酸エチルに再溶解し、水、塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、再び濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ペンタン=50:50)で精製して、所望生成物を得る(1.5g、回収出発物質に基づく収率75%)。
【0304】
実施例18b:(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−酢酸メチルエステルの合成
【化113】

アセトン(50mL)中の(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル(4.1g、18.1ミリモル)の溶液に、炭酸カリウム(1.39g、10.1ミリモル)、塩化ベンジル(3.58g、28.28ミリモル)およびヨウ化カリウム(触媒量)を加える。
【0305】
添加終了後、反応混合物を一夜加熱還流する。翌日、反応液を室温に冷却し、水で希釈する。水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした全ての有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(100%ペンタンから100%酢酸エチルの勾配)で精製して、所望化合物を得る(1.5g、26%)。
【0306】
実施例18c:2−(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−エタノールの合成
【化114】

(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル(3.57g、11.3ミリモル)を、THF(113mL)に溶解する。
【0307】
撹拌反応混合物に、LAH溶液(THF中1M、11.3mL)を滴下する。滴下終了後、反応液を室温で一夜撹拌し続ける。翌日、水で反応を抑える。水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした有機層の全てを、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して粗物質を得(2.89g、89%)、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
【0308】
実施例18d:(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアルデヒドの合成
【化115】

ジクロロメタン(25mL)中の2−(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−エタノール(1.0g、3.3ミリモル)の溶液に、Dess-Martin 試薬(1.54g、3.6ミリモル)および水(59μL)を加える。
【0309】
添加終了後、反応混合物を6時間撹拌し続ける。得られる沈殿物を濾去し、濾液を濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1:2から酢酸エチル/ヘキサン=1:1の勾配)で精製して、所望化合物を黄色油状物で得る(547mg、55%)。
【0310】
実施例18e:2−(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−エタノンの合成
【化116】

【0311】
Chemistry and Biology 2000,Vol.7,p.979に従って製造した6−ブロモ−2,2−ジメチル−2H−クロメン(567.7mg、2.38ミリモル)/THF(7mL)の冷却(−78℃)撹拌溶液に、n−BuLi(2.88M、0.94mL、2.71ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物を−78℃で撹拌し続ける。25分後、THF(7.0mL)に溶解した(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアルデヒド(619.6mg、2.17ミリモル)を加える。
【0312】
添加終了後、反応液を15分間撹拌し続け、次いで飽和塩化アンモニウムで反応を抑える。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する。コンバインした全ての有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して粗油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=3:1)で精製して、所望生成物を得る(200.5mg、収率20%)。
【0313】
実施例18f:2−(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−エタノンの合成
【化117】

【0314】
ジクロロメタン(6.0mL)中のPCC(69.2mg、0.27ミリモル)の撹拌溶液に、ジクロロメタン(2mL)に溶解した2−(4−ベンジルオキシ−3,4−ジメトキシ−フェニル)−1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−エタノン(119.4mg、0.27ミリモル)を加える。3.5h後、反応混合物を予備含浸シリカゲルプラグ(ヘキサン/酢酸エチル=1:2)に注ぎ、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)混合物で洗って、所望化合物を黄色油状物で集める(167mg、収率97%)。
【0315】
実施例18g:1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化118】

【0316】
メタノール(5.0mL)およびヘキサン(3.3mL)に2−(4−ベンジルオキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)−エタノン(62.8mg)を溶解した溶液に、パラジウム/炭素(19.13mg、炭素上10%)を加える。反応混合物を窒素で多数回パージしてから、水素雰囲気にさらす。室温および大気圧で水素添加を行なう。15分後、反応液を再度窒素でパージし、反応混合物を濾過して、触媒を除去する。濾液を濃縮して、所望生成物を得る。
【0317】
実施例18h:1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−[4−(2−フルオロ−エトキシ)−3,5−ジメトキシ−フェニル]−エタノンの合成
【化119】

【0318】
DMF(1.4mL)中の1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−エタノン(5.0mg、0.014ミリモル)の溶液に、炭酸カリウム(1N水溶液、21.1μL、0.021ミリモル)、次いでフルオロエチルトシレート(6.12mg、0.028ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物を90℃に加熱する。1時間後、反応混合物を室温まで冷却する。
【0319】
冷却反応混合物に水を加え、水性層を酢酸エチルで抽出する。コンバインした全ての有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して黄色油状物を得る。逆相クロマトグラフィー(Luna、10u、C18 150×21.2mm、10ミクロ、水中90%アセトニトリル溶液70%/水30%、両移動相に0.1%TFA使用)で精製して、所望化合物を得る(1.05mg、収率19%)。
【0320】
実施例19
実施例19a:[1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−ビニルオキシ]−トリメチル−シランの合成
【化120】

【0321】
CaHから蒸留したi−PrNH(0.556mL、4.04ミリモル)を、THF(7mL)に加え、−78℃に冷却する。n−BuLi溶液(THF中2.59M、1.56mL、4.04ミリモル)を滴下する。滴下終了後、反応混合物を−30℃で35分間撹拌し、次いで再び−78℃に冷却する。撹拌反応混合物に、THF(25mL)に溶解したTMS−Cl(0.546mL)および1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノン(1.20g、3.23ミリモル)を滴下する。
【0322】
滴下終了後、反応混合物を−78℃でさらに30分間撹拌し続けてから、−30℃まで加温せしめる。−30℃で1時間撹拌後、反応液をジエチルエーテルで希釈し、室温に加温する。室温で反応混合物を濃縮し、得られる粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=4:1からペンタン/酢酸エチル=1:1)で精製して、所望化合物を得る(879.1mg、回収した出発物質に基づく収率74%)。
【0323】
実施例19b:[1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化121】

【0324】
水(0.27mL)およびアセトン(0.48mL)に、四酸化オスミウム(25%wt、0.574mL)およびNMO(13.24mg、0.113ミリモル)を溶解した溶液を、−5℃に冷却する。冷却撹拌溶液に、アセトン(0.2mL)に溶解した[1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−ビニルオキシ]−トリメチル−シラン(50mg、0.113ミリモル)を滴下する。滴下終了後、反応液の撹拌を0℃で続ける。3h後、亜硫酸水素ナトリウムおよびフロリシル(florisil)で反応を抑える。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=4:1からペンタン/酢酸エチル=1:1)で精製して、所望化合物を得る(4.3mg、8%)。
【0325】
実施例19c:トルエン−4−スルホン酸2−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−オキソ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルエステルの合成
【化122】

【0326】
[1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノン(3.4mg、0.009ミリモル)を無水ジクロロメタン(1.0mL)に溶解した溶液に、TsCl(1.94mg、0.011ミリモル)、DMAP(1.24mg、0.011ミリモル)およびTEA(21.3μL、0.015ミリモル)を加える。反応混合物の撹拌を室温で一夜続ける。翌日、反応混合物を水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、所望生成物を得る。
【0327】
実施例19d:1−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−フルオロ−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化123】

【0328】
無水ACN(0.5mL)中のトルエン−4−スルホン酸2−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−オキソ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルエステル(21.6mg、0.04ミリモル)の溶液に、KF(4.72mg、0.08ミリモル)および Kryptofix(30.6mg、0.08ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物を90℃に加熱する。15分後、反応混合物を室温に冷却し、水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質を逆相クロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0329】
実施例20
実施例20a:7−ブロモ−3,3−ジメチル−クロマン−4−オンの合成
【化124】

【0330】
5’−ブロモ−2’−ヒドロキシアセトフェノンを、アセトン(8.45mL)およびトルエン(43mL)に溶解する。撹拌反応混合物に、ピロリジン(1.90mL)を滴下する。滴下終了後、反応混合物を加熱還流する。翌日、反応混合物を室温に冷却し、2M−HCl(水性)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ペンタン/ジエチルエーテル=90:10)で精製して、所望生成物を得る(3.11g、収率53%)。
【0331】
実施例20b:7−ブロモ−3,3−ジメチル−クロマン−4−オールの合成
【化125】

メタノール(17mL)中の7−ブロモ−3,3−ジメチル−クロマン−4−オン(1.5g、5.91ミリモル)の冷却(0℃)溶液に、ホウ水素化カリウム(0.351g、6.5ミリモル)を加える。添加終了後、反応液を室温で2時間撹拌し、次いで2M−HCl(水性)で反応を抑える。水性層を酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮してオフホワイト固体を得、これをさらに精製せずに、次工程に用いる。
【0332】
実施例20c:(7−ブロモ−3,3−ジメチル−クロマン−4−イルオキシ)−t−ブチル−ジメチル−シランの合成
【化126】

DMF(3.33mL)中の7−ブロモ−3,3−ジメチル−クロマン−4−オール(300mg、1.44ミリモル)の溶液に、イミダゾール(119mg、1.75ミリモル)、次いでTBDMS−Cl(263mg、1.75ミリモル)を加える。翌日、反応液を酢酸エチルで希釈し、水(3回)および飽和重炭酸ナトリウム(1回)で洗う。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(100%ペンタンから50%ペンタン/酢酸エチル)で精製して、所望生成物を得る(290g、収率65%)。
【0333】
実施例20d:1−[(4−t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ベンジルオキシ−(2,2−ジメチル−2H−クロマン−6−イル]−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化127】

THF(3.75mL)中の(7−ブロモ−3,3−ジメチル−クロマン−4−イルオキシ)−t−ブチル−ジメチル−シラン(290mg、0.78ミリモル)の冷却(−78℃)撹拌溶液に、n−BuLi(2.11M、0.42mL、0.89ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物の撹拌を−78℃で続ける。
【0334】
25分後、THF(0.41mL)に溶解した(3,4,5−トリメトキシフェニル)−アセトアルデヒド(149mg、0.71ミリモル)を加える。添加終了後、反応液を15分間撹拌し続け、次いで飽和塩化アンモニウムで反応を抑える。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する。コンバインした全ての有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して粗油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1:1)で精製して、所望生成物を得る(50mg、収率14%)。
【0335】
実施例20e:1−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル]−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化128】

【0336】
PCC(23.6mg、0.11ミリモル)/ジクロロメタン(2.5mL)の撹拌溶液に、ジクロロメタン(2.5mL)に溶解した1−[(4−t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ベンジルオキシ−(2,2−ジメチル−2H−クロマン−6−イル]−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノン(50mg、0.01ミリモル)を滴下する。2時間後、反応混合物を予備含浸シリカゲルプラグ(100%ペンタン)に注ぎ、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)混合物で洗った後、100%酢酸エチルで洗って、所望化合物を油状物で集める。
【0337】
実施例20f:1−(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化129】

【0338】
1−[4−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル]−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノン(54.5mg、1.09ミリモル)を無水THF(11mL)に溶解した溶液に、TBAF溶液(THF中1.0M溶液、1.65mL、1.65ミリモル)を滴下する。滴下終了後、反応液を室温で1時間撹拌し、次いで水で反応を抑える。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0339】
実施例20g:トルエン−4−スルホン酸2,2−ジメチル−6−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アセチル]−クロマン−4−イルエステルの合成
【化130】

【0340】
無水ジクロロメタン(1.0mL)に1−(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノン(3.5mg、0.009ミリモル)を溶解した溶液に、TsCl(1.94mg、0.011ミリモル)、DMAP(1.24mg、0.011ミリモル)およびTEA(21.3μL、0.015ミリモル)を加える。反応混合物の撹拌を室温で一夜続ける。翌日、反応混合物を水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、所望生成物を得る。
【0341】
実施例20h:1−(4−フルオロ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エタノンの合成
【化131】

【0342】
無水ACN(0.5mL)中のトルエン−4−スルホン酸2−(2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−2−オキソ−1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−エチルエステル(21.6mg、0.04ミリモル)の溶液に、KF(4.72mg、0.08ミリモル)および Kryptofix(30.6mg、0.08ミリモル)を加える。添加終了後、反応混合物を90℃に加熱する。15分後、反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈する。水性層を分離し、酢酸エチルで抽出する(3回)。コンバインした全ての有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して油状物を得る。粗物質を逆相クロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0343】
フッ素−18放射性核種で放射性同位元素標識したクロモン類縁体の製造の放射性合成および精製手順:
この研究で用いるフッ素−18(18F)は、PETnetによる約10MeV陽子(Woburn,MA)を使用し、H18Oとして酸素−18(18O)が豊富な陽子衝撃によって生成する。この核反応の式は、O18(p,γ)18Fである。
【0344】
放射性合成反応の全ての場合、類似の手順を用いる。容器壁への物質の付着を排除し、トランスファーを最適化するため、全てのガラス製品をシラン処理する。全ての化合物の精製のため、専用の特殊なHPLCユニットを使用する。最終生成物の放射性分解分析に対し、専用の特殊なHPLCユニットを使用する。
【0345】
18Fは典型例として、鉛シールドにおおわれた加工カラム(18Fカラム)に付着した供給源から受容される。18Fカラムは、ガラスカラムに収容され、アルミナまたは第4級アンモニウム塩に配位したナトリウム塩を含有する。カラムの両端は、雄型および雌型 Luer(登録商標)ロック継手を持つ Tygon(登録商標)チューブに接続している。以下に示す方法で、カラムから18Fを取出す。
【0346】
1.1mLの蒸留/脱イオン水(HO)中の15mgの炭酸カリウム(KCO)の溶液と、4mLの無水アセトニトリル(CHCN)に90mgの4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(Kryptofix;K222)を溶解した溶液とをコンバインし、穏やかに撹拌し、各層が分離しなくなったのを確認し、カラム溶離溶液(CES)を形成する。
2.方法3に記載のバイアルから3mL注射器で、CESの1mLアリコートを抜き取り、該注射器を、18Fカラムに接続した Tygon チューブの雄型 Luer ロックに取付ける。
【0347】
3.18Fカラムに接続した他方の Tygon チューブの雌型 Luer ロックに、細いゲージ針を取付け、15mLの24/40 Pyrex(登録商標)西洋ナシ形ガラスフラスコに嵌めたゴム隔壁にゲージ針を挿入する。
4.15mL西洋ナシ形フラスコを針でガス抜きし、該フラスコを乾燥窒素でフラッシする。フラッシング針を真空管路に接続し、CESが18Fカラムを通じて、15mL西洋ナシ形フラスコにゆっくりと吸い込まれるように流れを調整する。
【0348】
5.減圧とNガス流を調整して、フラスコの内容物を乾燥状態に戻す。フラスコに注射器で無水CHCN(1mL)を加え、減圧を用いてトランスファーを駆動する(drive)。減圧とNガス流のバランスをとり、アセトニトリルを除去する。この操作を2回繰返した後、減圧を除去する。
6.フラスコの内容物を注射器で取出し、放射能を定量する。18F溶液を直接、合成の放射性同位元素標識に用いる。
【0349】
次に示す方法により、クロモン類縁体の18Fによる放射性同位元素標識を説明する。上述の如く、これらの方法は、各化合物の場合同じである。下記の反応式は、18F−クロモン類縁体全ての場合の代表的シナリオを示す。
【化132】

【0350】
7.所望クロモン類縁体へのトルエンスルホネートエステル先駆物質(2.5mg)を、磁気撹拌棒を有する円錐形の、シラン処理した5mL Wheaton(登録商標)ガラスバイアル中のCHCN(0.5mL)に溶解する。バイアルを、90℃に加熱した油浴に浸漬する。反応バイアルに上述の18F溶液を加え、得られる混合物を90℃で30分間加熱する。
8.内容物を、蒸留/脱イオン水(25mL)含有のシラン処理した50mL丸底フラスコに移し、フラスコの内容物を注射器で取出し、Waters(登録商標)Oasis HLB(親水性−親油性バランス)カラムに付着させ、未反応のフッ化物および望ましくない塩を溶出液といっしょに通過させる。
【0351】
9.ジクロロメタン(CHCl、3mL)を用い、カラムから有機成分を円錐形5mLバイアルに溶離する。溶出液を分取HPLC( Phenomenex LUNA C−18カラム,250×10mm、5u粒子、100Å孔、HO/CHCN(90:10)からCHCNの溶離勾配)で精製する。適切な画分を濃縮し、放射化学収率および放射化学純度を分析する(分析HPLC)。溶液を減圧濃縮して乾固にし、注射用および/または生物学的実験用の適当容量の10%エタノール性食塩に溶解する。
【0352】
本発明は前述の例示的実施例に限定されないこと、および本発明はその本質的属性から逸脱せずに他の特定の形態で具体化しうることが、当業者にとって明らかであろう。従って、かかる実施例は全ての点で、限定ではなくあくまで例証と見なされることが望まれ、その結果、前記実施例よりむしろ特許請求の範囲を参照することにより、特許請求の範囲に等価する意義および範囲内に入る全ての変更は、該特許請求の範囲に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング成分と、バンレイシ科植物・アセトゲニン、キノン・アセトゲニン、置換クロモンおよび開鎖デグエリン類縁体から選ばれる化合物から成ることを特徴とする造影剤。
【請求項2】
下式(I)で示される請求項1に記載の造影剤。
【化1】

[式中、mは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14;
nは0、1、2、3、4、5、6、7または8;
oは0または1;
pは5、6、7、8、9、10、11または12;
--- は非存在または単結合;
--- が非存在のとき、AおよびBはそれぞれ独立して、水素およびイメージング成分から選ばれ;
--- が単結合のとき、AおよびBはそれぞれ(C(R
kは1または2、但し、AおよびBがそれぞれ(C(Rのとき、一方のkは1で他方は1または2;
,R,R,R,R,R,R10,R15およびR16はそれらが存在するとき、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
’は水素;または
およびR’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR1314を形成;
は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
’は水素;または
およびR’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR1314を形成;
は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
’は水素;または
およびR’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR1314を形成;
11はC−Cアルキル;および
12,R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、アリールアルキル、またはイメージング成分
であり、但し、式(I)中に少なくとも1つのイメージング成分が存在する]
【請求項3】
がイメージング成分である請求項2に記載の造影剤。
【請求項4】
がイメージング成分である請求項2に記載の造影剤。
【請求項5】
がイメージング成分である請求項2に記載の造影剤。
【請求項6】
がイメージング成分である請求項2に記載の造影剤。
【請求項7】
式:
【化2】

(式中、xは0、1、2、3、4、5および6である)
で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項8】
式:
【化3】

(式中、xは0、1、2、3、4、5または6である)
で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項9】
式:
【化4】

【化5】

(式中、xは0、1、2、3、4、5、6、7または8である)
で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項10】
式:
【化6】

(式中、n’はそれが存在するとき、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10;およびn”はそれが存在するとき、独立して、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項11】
下式(II)で示される請求項1に記載の造影剤。
【化7】

[式中、qは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14;
rは0、1、2、3、4、5、6、7または8;
sは0または1;
tは5、6、7、8、9、10、11または12;
--- は非存在または単結合;
--- が非存在のとき、DおよびEはそれぞれ独立して、水素およびイメージング成分から選ばれ;
--- が単結合のとき、DおよびEはそれぞれ(C(R15
uは1または2、但し、DおよびEがそれぞれ(C(R15のとき、一方のuは1で他方は1または2;
15,R16,R18,R19,R21,およびR22はそれらが存在するとき、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
17は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
17’は水素;または
17およびR17’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR2728を形成;
20は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
20’は水素;または
20およびR20’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR2728を形成;
23は水素、ヒドロキシまたはイメージング成分;
23’は水素;または
23およびR23’はそれらが結合する炭素原子と共に合して、C=OまたはC=CR2728を形成;
24,R25およびR26はそれぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、またはイメージング成分;および
27およびR28はそれぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、アリールアルキル、またはイメージング成分
であり、但し、式(II)中に少なくとも1つのイメージング成分が存在する]
【請求項12】
18,R19,R22またはR23がイメージング成分である請求項11に記載の造影剤。
【請求項13】
22がイメージング成分である請求項11に記載の造影剤。
【請求項14】
式:
【化8】

(式中、xは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項15】
下式(III)で示される請求項1に記載の造影剤。
【化9】

[式中、Gは−S−、−O−、
【化10】

JはS、C(R37またはO;
--- は単結合または二重結合;および
30,R31,R32,R33,R34,R35,R36,R37,R38,R39,R40,R41およびR42はそれらが存在するとき、それぞれ独立して、水素、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル、必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルコキシ、またはイメージング成分、但し、--- が二重結合のとき、R31およびR32は非存在であり、但し、式(III)中に少なくとも1つのイメージング成分が存在する]
【請求項16】
36.R37,R38またはR42がイメージング成分である請求項15に記載の造影剤。
【請求項17】
38がイメージング成分である請求項15に記載の造影剤。
【請求項18】
式:
【化11】

で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項19】
式:
【化12】

で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項20】
式:
【化13】

で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項21】
式:
【化14】

で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項22】
下式(IV)で示される請求項1に記載の造影剤。
【化15】

[式中、n,mおよびoはそれぞれ独立して、1、2、3または4;
ZはO、SまたはNR46
45はイメージング成分または必要に応じてイメージング成分で置換されるC−Cアルキル;
46は水素またはC−Cアルキル;
Arはフェニル、フリル、チエニル、オキサゾリニル、イソキサゾリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ナフチル、ピリミジニルまたはピラジニル;
Gは非存在またはO;および
Lはイメージング成分
であり、但し、Gが非存在のとき、oは3である]
【請求項23】
式:
【化16】

で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項24】
式:
【化17】

で示される請求項1に記載の造影剤。
【請求項25】
イメージング成分が、核医学イメージング用放射性同位元素、MRIイメージングに用いる常磁性種、超音波イメージングに用いるエコー源性実体、蛍光イメージングに用いる蛍光実体、または光学イメージングに用いる光活性実体である請求項1に記載の造影剤。
【請求項26】
MRIイメージングに用いる常磁性種が、Gd3+、Fe3+、In3+またはMn2+である請求項25に記載の造影剤。
【請求項27】
超音波イメージングに用いるエコー源性実体が、フルオロカーボン封入界面活性剤微小球である請求項25に記載の造影剤。
【請求項28】
核医学イメージング用放射性同位元素が、11C、13N、18F、123I、124I、125I、99mTc、95Tc、111In、76Br、62Cu、64Cu、67Gaまたは68Gaである請求項25に記載の造影剤。
【請求項29】
イメージング成分が18Fである請求項28に記載の造影剤。
【請求項30】
イメージング成分が99mTcである請求項28に記載の造影剤。
【請求項31】
心筋灌流をイメージングする方法であって、患者に対し、イメージング成分と、バンレイシ科植物・アセトゲニン、キノン・アセトゲニン、置換クロモンおよび開鎖デグエリン類縁体から選ばれる化合物から成る造影剤を投与し;次いで診断イメージングを用い、患者をスキャンすることを特徴とするイメージング法。
【請求項32】
イメージング成分が、核医学イメージング用放射性同位元素、MRIイメージングに用いる常磁性種、超音波イメージングに用いるエコー源性実体、蛍光イメージングに用いる蛍光実体、または光学イメージングに用いる光活性実体である請求項31に記載のイメージング法。

【公表番号】特表2007−535547(P2007−535547A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510933(P2007−510933)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/014459
【国際公開番号】WO2005/105159
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(503021180)ブリストル−マイヤーズ・スクイブ・ファーマ・カンパニー (10)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB PHARMA COMPANY
【Fターム(参考)】