説明

心筋部画像診断に用いるコントロールデータベースの作成装置、作成方法及び作成プログラム。

【課題】ノーマルデータベースの代替として用いる事が可能なコントロールデータベースを疾患由来のデータに基づいて作成するための、コントロールデータベース作成装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】比較的簡便な閾値法を用い、ポーラーマップ上に展開した複数の患者由来の心筋SPECT画像データから異常部位と判断された画素値データを削除する。残りの画像データを用い、対応ピクセルごとに画素値の平均値及び標準偏差を計算してコントロールデータベースとする。得られたコントロールデータベースは、正常組織のデータに由来しているので、ノーマルデータベースの代替として利用する事が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像診断において異常部位を判定するために用いるコントロールデータベースを、コンピュータを用いて作成するための方法、並びに当該方法を実行するためのコンピュータプログラム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心疾患は死亡原因の上位を占めており、患者数も欧米を中心に年々増加傾向にある。このようなことを背景として、心疾患の予防や治療方針の決定に役立てるため、種々の画像診断法が考案され、臨床において応用されている。中でもSPECT等の核医学画像診断は、心臓の機能を画像化できるといった他のモダリティには無い優れた特徴を有しているため、心疾患の診断に広く用いられている。
【0003】
核医学画像診断は、放射性同位元素で標識された薬剤(以下、放射性医薬品という)を被験者に投与してその分布を専用のカメラで捕らえ、画像を生成する事により行われる方法である。核医学画像診断では、用いる放射性医薬品の化学的性質や生体との相互作用の違いに応じ、種々の生体機能を反映した画像を得ることができる。
【0004】
心疾患の診断において古くから用いられている核医学画像の一つとして、心筋SPECT画像がある。これは、被験者に塩化タリウム−201や99mTc‐テトロホスミン等の心筋製剤を投与し、得られた断層画像から心筋血流低下部位を欠損として検出する方法である。心筋SPECT画像の解析により、心筋の局所的なバイアビリティーの評価が可能となる(例えば、非特許文献1)。
【0005】
心筋SPECT画像を用いた診断においては、複数のスライスを1枚の標準化された同心円状の画像に展開する、いわゆるポーラーマップ表示が行われる。この方法は、被験者の画像をいわゆる標準化された画像に変換して表示する方法であるので、心筋形状の異なる被験者間での直接的な比較や術前術後の比較が可能となる。また、複数の健常者データを用いて作成された、いわゆるノーマルデータベースを用いる事により、局所的な血流低下部位を、客観的に評価する事が可能となる。ノーマルデータベースとは、複数の健常者に由来する心筋SPECT画像をポーラーマップに変換し、対応するピクセルごとに画素値の平均値と標準偏差を求めたものであり、各ピクセルにおける画素値の平均値と標準偏差とによって構成されている。例えば、ノーマルデータベースにおける画素値の平均値からノーマルデータベースにおける標準偏差の2〜2.5倍を引いた値をポーラーマップ上のピクセルごとに計算して閾値とし、当該閾値よりも低い画素値を有する画素を血流低下部とするといった方法が、一般的に行われている(非特許文献2、3、4)。
なお、上記の様な解析に用いるノーマルデータベースは、施設ごとに作成する事が好ましいといった指摘がなされている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】西村重敬、小林秀樹編著、「心臓核医学コンプリートマニュアル」(初版)、メジカルビュー社、2004年11月10日、p.114〜115
【非特許文献2】Jamshid Maddahi et al.,“Improved Noninvasive Assessment of Coronary Artery Disease by Quantitative Analysis of Regional Stress Myocardial Distribution and Washout of Thallium−201.”,Circulation,1981,64(5),p.924−35
【非特許文献3】Yi−Hwa Liu et al.,“Quantification of SPECT myocardial perfusion images:Methodology and validation of the Yale−CQ method.”,J.Nucl.Cardiol.,1999,6(2),p.190−204
【非特許文献4】Kenneth F Van Train et al.,“Quantitative analysis of spect myocardial perfusion.”,In:Cardiac SPECT Imaging.2nd rev.ed(E Gordon Depuey,Ernest V Garsia,Daniel S Berman,eds,),Philadelphia:Lippincott Williams&Wilkins,2001,p.41−64
【非特許文献5】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、ポーラーマップ表示された心筋核医学画像上でノーマルデータベースを利用した解析を行う事により、心筋血流の低下した部位を客観的手法により検出する事が可能である。しかし、ノーマルデータベースを作成するためには、多数の健常者由来の心筋SPECT画像データが必要である。医療機関を受診する被験者は何らかの疾患を有している事が一般的であり、医療機関において、健常者由来のSPECT画像データを収集することは、非常に困難である。
【0008】
この様な困難さを克服するため、学会等が中心となって収集した健常者データに基づくノーマルデータベースを、多施設で用いるといった試みがなされている。しかし、SPECT撮像の条件等の違いにより、仮に被験者が同じであっても、得られる画像は施設ごとに異なっている。従って、既に文献等においても指摘されているように、画像診断に用いるためのノーマルデータベースは、診断を行う施設ごとに作成する事が望ましいといえる。
【0009】
本発明はこのような事実に鑑みてなされたものであり、ノーマルデータベースの代替として心筋SPECT画像診断に用いる事が可能なコントロールデータベースを、患者由来の心筋SPECT画像データを用いて作成する方法、並びに当該方法を実施するためのコンピュータプログラム及び装置を提供する事を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
各医療機関において取得された患者由来の心筋SPECT画像であっても、多くの場合、異常部位は一部分にとどまっている。また、異常を呈する部位は、患者ごとに異なっているのが通常である。そこで本発明者等は、複数の患者由来の心筋SPECT画像データから異常部位を削除したデータを元となる画像データとして用いる事により、ノーマルデータベースの代替データとして用い得るデータベース(以下、コントロールデータベースという)を作成する事が可能である事を見出し、本発明を完成させた。
なお、本発明におけるコントロールデータベースとは、正常組織における画素値の平均値及び標準偏差を一定単位(例えば、1ピクセル)ごとに計算し、収集したデータベースである。従って、コントロールデータベースは、放射性医薬品ごとに作成する必要があり、さらに診断の精度を上げるためには、性別、撮像方法別に作成される。
また、本明細書において、被験者とは医療機関に来院して心筋SPECT検査を受ける患者を指す。
【0011】
本発明に係るコントロールデータベース作成装置は、複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得部と、取得したそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化部と、全ての前記標準化画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記標準化画像データから棄却する判定・棄却部と、判定・棄却部による前記処理を行った各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算部と、を備えている。
【0012】
一般に、心筋SPECT画像において、血流異常部位は、信号強度の低下した、いわゆる欠損部として表示される。本発明に係るコントロールデータベース作成装置は、標準化画像への変換を行った各被験者由来の心筋SPECT画像データ上で、所定の閾値以下の画素値を有するピクセルを削除することにより、異常部位を効果的に取り除く事が可能である。異常部位が取り除かれた画像を用いてピクセルごとに画素値の平均値及び標準偏差を算出する事により、ノーマルデータベースの代替として利用可能なコントロールデータベースを作成する事が可能となる。
【0013】
本発明に係るコントロールデータベース作成装置にて作成されるコントロールデータベースは、上述の通り、正常組織における画素値の平均値及び標準偏差によって構成されるデータベースである。従って、本発明に係るコントロールデータベース作成装置の実施においては、少なくとも複数の被験者由来の心筋画像データを用いる必要がある。データベースの性質上、より多くの被験者による画像データを用いて作成するのが好ましいといえる。
【0014】
心筋SPECT画像の標準化は、心筋SPECT画像を特定の形状の画像へと変換する種々の方法を用いる事ができる。例えば、平均的な心筋SPECT画像を標準SPECT画像として定義し、個々の被験者由来の心筋SPECT画像について線形及び非線形変換を行って当該標準SPECT画像に変換する方法や、短軸断層像を同心円上に展開して表示する(いわゆるポーラーマップ表示)といった方法を用いる事ができる。好ましい態様において、心筋SPECT画像の標準化は、心筋部核医学画像解析の分野において広く一般に用いられている、ポーラーマップ表示(中川晋著、「心筋シンチ マスターガイド」、診断と治療社、2000年、pp.23)への変換を用いる。
【0015】
判定・棄却部において参照する閾値は、画素値の絶対値として与えられたものであっても良いが、例えば画素値の最大値の40%といった様に、相対値として与えられたものであっても良い。これらの閾値は、異常部位の判定基準として、外部インターフェース等を介してユーザにより入力されたものであっても良いが、予め装置に組み込まれたデータベース内に記憶されたものを呼び出して利用しても良い。
【0016】
本発明に係るコントロールデータベース作成装置は、標準化画像データにおける画素値の正規化を行う正規化部をさらに備えたものであっても良い。この場合、判定・棄却部は、正規化された標準化画像データを用いて処理を行う。画素値の正規化は、医用画像解析の分野において一般に用いられる種々の方法を用いる事ができる。例えば、全ピクセルにおける画素値の最大値を100とし、残りのピクセルにおける画素値をその相対値で表すといった方法を用いる事ができる。
このような構成とすることにより、被験者ごとに投与された放射性医薬品の放射能量にばらつきがあった場合であっても、そのようなばらつきの影響を受けずにデータベースを作成する事が可能となる。
【0017】
本発明に係るコントロールデータベース作成装置は、標準化画像データを特定のセグメントに分割するセグメント分割処理部をさらに含んだものであっても良い。また、棄却・判定部にて参照する閾値は、当該セグメントごとに個別に設定されたものを用いても良い。このような構成とすることにより、機器の特性や人体による吸収等の事情により不均一な画像が得られるような場合であっても、そのような特性に対応させた適切なデータベースを作成する事ができる。
ここで用いるセグメント分割は、心臓核医学画像解析の分野において一般に用いられているセグメント分類を用いて行う事ができる。例えば、AHA−17分類を用いた分割(Manuel D.Cerqueira et al.,Circulation,January29(2002),p.539−542)の他、主幹血管支配領域ごとの分割や、解剖学的な領域(例えば、心尖、前壁、下壁(後壁)、中隔、側壁)への分割(山崎純一、廣江道昭監修、「Q&A心臓核医学診断」、メジカルセンス社、2003年3月27日、p.11)といった手法を用いる事ができる。
また、閾値は、外部インターフェース等を介してユーザにより入力されたものであっても良いが、予め装置に組み込まれたデータベース内に記憶されたものを呼び出して利用しても良い。
【0018】
なお、本発明に係るコントロールデータベース作成装置は、標準化処理前の心筋SPECT画像データにつき判定・棄却処理を行う判定・棄却部を有し、標準化部は、判定・棄却部による処理後の前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する構成としても良い。この場合の判定・棄却部による処理は、上記と同様の方法にて実施する事ができる。すなわち、例えば画素値の絶対値または相対値(例えば、画素値の最大値の40%等)として与えられた閾値と各画素値の比較を行い、閾値よりも画素値が小さいピクセルの画素値を棄却するといった手法にて実施する事ができる。また、これらの閾値は、異常部位の判定基準として、外部インターフェース等を介してユーザにより入力されたものであっても良いが、予め装置に組み込まれたデータベース内に記憶されたものを呼び出して利用しても良い。
さらにこのような態様の装置において、判定・棄却部による処理に先立って心筋SPECT画像データにおける画素値の正規化処理を行う正規化処理部をさらに設け、判定・棄却部は、この正規化処理を行った心筋SPECT画像データを用いて処理を行うといった構成とすることも、もちろん可能である。
【0019】
本発明の別の一側面に係るコントロールデータベース作成方法は、コンピュータによって、心筋SPECT画像上で異常部位を判定するために用いるコントロールデータベースを作成する方法であって、コンピュータが、複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得ステップと、コンピュータが、取得したそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化ステップと、コンピュータが、全ての前記標準化画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記標準化画像データから棄却する判定・棄却ステップと、コンピュータが、判定・棄却ステップ実行後の各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算ステップと、を順次実行する方法である。
【0020】
このような構成とすることにより、健常者由来の画像データを用いることなく、ノーマルデータベースの代替として利用可能な、コントロールデータベースを作成する事が可能となる。なお、上述した本発明に係るコントロールデータベース作成装置における各種の構成を、本発明のコントロールデータベース作成方法に適用する事も可能である。
例えば、標準化ステップの後に正規化ステップを実行して画素値の正規化を行う構成としても良く、画像データを複数のセグメントに分割するセグメント処理ステップをさらに実行させる構成としても良い。なお、セグメント処理ステップの実行タイミングは、標準化ステップの実行後であれば正規化ステップの前であっても後であっても良いが、セグメントごとに別々に閾値を設定する場合には、判定・棄却ステップの実行前とする必要がある。
また、上述したコントロールデータベース作成装置と同様、標準化ステップ実行前の心筋SPECT画像データにつき判定・棄却ステップを実行し、判定・棄却ステップ実行後に標準化ステップを実行するといった構成とすることも、もちろん可能である。
【0021】
本発明のさらに別の一側面に係るコントロールデータベース作成プログラムは、コンピュータに、複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得ステップと、取得したそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化ステップと、全ての前記標準化画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記標準化画像データから棄却する判定・棄却ステップと、判定・棄却ステップ実行後の各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算ステップと、を実行させるコンピュータプログラムである。
【0022】
このような構成のコンピュータプログラムとすることにより、健常者の画像データを用いることなく、ノーマルデータベースの代替として利用可能なコントロールデータベースを、コンピュータを用いて作成する事が可能となる。なお、本発明に係るコントロールデータベース作成方法と同様に、上述した本発明に係るコントロールデータベース作成装置における各種の構成を、本発明のコントロールデータベース作成プログラムに適用する事も可能である。
また、上述したコントロールデータベース作成方法と同様、標準化ステップ実行前の心筋SPECT画像データにつき判定・棄却ステップを実行し、判定・棄却ステップ実行後に標準化ステップを実行するといった構成とすることも、もちろん可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、ノーマルデータベースと同様に心筋SPECT画像診断に用いる事が可能な、コントロールデータベースを作成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るコントロールデータベース作成装置の好ましい態様における機能ブロック図
【図2】本発明に係るコントロールデータベース作成装置の好ましい態様におけるシステム構成
【図3】本発明に係るコントロールデータベース作成方法の好ましい態様における処理の流れの一例を示すフローチャート
【図4】異常データ棄却処理の好ましい態様における処理の流れの一例を示すフローチャート
【図5】標準化処理工程の一例を示す模式図
【図6】閾値40%(対最大値)にて作成したコントロールデータベースのポーラーマップ表示
【図7】閾値10〜40%(対最大値)にて作成したコントロールデータベースにおけるセグメントごとの画素値平均値
【図8】閾値10〜40%(対最大値)にて作成したコントロールデータベースにおけるセグメントごとの標準偏差
【図9】閾値40〜70%(対最大値)にて作成したコントロールデータベースにおけるセグメントごとの画素値平均値
【図10】閾値40〜70%(対最大値)にて作成したコントロールデータベースにおけるセグメントごとの標準偏差
【図11】AHA‐17分類におけるセグメント1,2,3,5の閾値を50%(対最大値)とし、その他のセグメントの閾値を60%(対最大値)として作成したコントロールデータベースのポーラーマップ表示
【図12】AHA‐17分類におけるセグメント1,2,3,5の閾値を50%(対最大値)とし、その他のセグメントの閾値を60%(対最大値)として作成したコントロールデータベースにおけるセグメントごとの画素値平均値をノーマルデータベースの値と共に示す図(図中、NDB_stressは、負荷時データにおけるノーマルデータベースの値、NDB_restは、安静時データにおけるノーマルデータベースの値を示す)
【図13】AHA‐17分類におけるセグメント1,2,3,5の閾値を50%(対最大値)とし、その他のセグメントの閾値を60%(対最大値)として作成したコントロールデータベースにおけるセグメントごとの標準偏差をノーマルデータベースの値と共に示す図(図中、NDB_stressは、負荷時データにおけるノーマルデータベースの値、NDB_restは、安静時データにおけるノーマルデータベースの値を示す)
【図14】本発明に係るコントロールデータベース作成プログラムの好ましい態様における構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る好ましい態様におけるコントロールデータベース作成装置およびコントロールデータベース作成方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、あくまでも好ましい態様における説明であり、本発明の内容を限定する意図ではない。
図1は、本発明の好ましい実施態様におけるコントロールデータベース作成装置10の構成を示す図である。好ましい態様において、本発明に係るコントロールデータベース作成装置10は、後述するコントロールデータベース作成プログラム200を読み込んだコンピュータとして構成することができる。
図2は本発明に係るコントロールデータベース作成装置10の好ましい実施態様におけるシステム構成である。好ましい態様において、コントロールデータベース作成装置10は、CPU130と、メモリ140と、モニタ等の出力機器150と、通信インターフェース160と、キーボード等の入力装置170とが、バス180を介して接続されている。コントロールデータベース作成装置10は、この他にもCD‐ROMドライブやUSBインターフェース等を備えていても良い。通信インターフェース160は、外部から心筋SPECT画像データを取り込むために用いられる。また、メモリ140には、本発明に係るコントロールデータベース作成プログラム200が記憶されている。
図3〜4は、本発明に係るコントロールデータベース作成方法における処理の流れを示す図である。好ましい態様において、本発明に係るコントロールデータベース作成方法は、本発明に係るコントロールデータベース作成装置10を動作させることによって実行される。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態のコントロールデータベース作成装置10は、複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得部20と、取得した心筋SPECT画像データを標準化画像データへと変換する標準化部22と、各画像データにおいて一定の閾値以下の画素値を有するピクセルの画素値データを異常データとして棄却する異常データ棄却部24と、異常データの棄却された全画像データを用いてピクセルごとに画素値の平均値及び標準偏差を算出する演算部26と、求めた平均値及び標準偏差を出力する出力部28によって構成されている。本実施の形態では、異常データ棄却部24は、標準化画像データを一つずつ入力する画像データ入力部30と、入力した標準化画像データにおける画素値の正規化を行う正規化部32と、正規化後の標準化画像データにつき異常データの棄却を行う判定・棄却部34とにより構成されている。さらに、本実施の形態では、判定・棄却部において参照する閾値を入力する閾値入力部36と、標準化画像データをセグメント分割するためのセグメント情報を格納したデータベース38とが用意され、異常データの棄却を行う判定・棄却処理において必要に応じて利用される。
【0027】
以下、図3及び図4を参照しつつ、本実施の形態に係るコントロールデータベース作成装置10の動作について説明する。
まず、コントロールデータベース作成装置10は、画像取得部20によって、複数の心筋SPECT画像データを取得する(ステップS1)。
当該心筋SPECT画像データは、DICOM等のコンピュータで利用可能な形式にて、CD、DVD、ハードディスク、あるいは半導体メモリ等の、コンピュータで読み取り可能な媒体に保存された状態で提供されることができる。この場合、当該データを保存した媒体が、本コントロールデータベース作成装置内のコンピュータの読取装置によって読み込まれることにより、画像取得部20によって、当該データがコントロールデータベース作成装置10に取り込まれる。当該データはまた、ネットワークを介して直接本コントロールデータベース作成装置に取り込まれるものであっても良い。
【0028】
ついで、標準化部22により、取り込まれた心筋SPECT画像データを、標準化画像データへと変換する(ステップS2)。好ましい態様において、標準化画像データとしては、心臓核医学の分野において一般的に広く用いられている、ポーラーマップを用いる事ができる。ポーラーマップへの変換は、公知の方法(例えば、仙田宏平、前田壽登編、「改訂 核医学Q&A」、丸善プラネット株式会社、p.253に記載の方法)にて行う事ができる。
具体的には、心筋SPECT画像データの各短軸横断像について中心点から外に向かって一定間隔で放射状に直線を引き、これら各直線上における画素値の最大値を検出する。そして、得られた最大値を、予め用意された同心円状の図形の該当箇所に配置するといった方法により実施する事ができる。例えば、図5(1)におけるスライスCにつき、中心点から放射状に直線を引く(図5(2)参照)。そして、直線1、2、…のそれぞれにつき、画素値の最大値c、c、…を検出し、予め用意した同心円状の図形における該当箇所に配置する(図5(3)参照)。ここで、同心円状の図形は複数のドーナツ状の領域に分割されているが、それぞれのドーナツ状の領域は、心筋SPECT画像データにおける各短軸横断像に対応しており、中心に近いほど心尖部に近い短軸横断像に対応している。図5を参照して説明すると、心尖部方向から配置されたスライスA、B、Cには、図5(3)に図示した領域A、B、Cが対応している。そして、図5(3)に示す同心円状の図形は、中心から外に向けて引かれた複数の放射状の直線によって仕切られており、当該直線によって仕切られたそれぞれの領域は、該当する短軸横断像において放射状に引かれた直線に対応している。図5におけるスライスCを例にとって説明すると、短軸横断像において放射状に引かれた直線上における画素値の最大値c、c、…(図5(2)参照)は、ポーラーマップ上における対応箇所c、c、…(図5(3)参照)に配置される。このような処理を全てのスライス・ピクセルについて行うことにより、ポーラーマップへの変換が完了する。
なお、標準化処理における中心点は、断層画像上において目視で設定しても良いが、回転中心や重心等として計算により求めた点を用いるといった、特開2008‐180555号公報に開示されたものと同様の方法を用いても良い。
【0029】
心筋SPECT画像データの標準化処理が完了したら、異常データ棄却部24により、各画像データにおいて一定の閾値以下の画素値を有するピクセルの画素値データを異常データとして棄却する(ステップS3)。異常データ棄却処理における処理の流れを、図4に示す。
異常データ棄却部24は、画像データ入力部30によって、標準化処理の行われた複数の標準化画像データの中から一つを任意に選択して取り込む(ステップS11)。
次いで、取り込まれた標準化画像データにつき、正規化処理部32によって画素値の正規化を行う(ステップS12)。画素値の正規化は公知の方法を用いる事ができ、例えば、最大値を100とし、その他の画素値を当該最大値に対する相対値とするといった方法を用いる事ができる。
正規化処理が完了したら、任意のピクセルを初期ピクセルとして選択し(ステップS13)、判定・棄却処理を実行して当該ピクセルにおける画素値と閾値との比較を行う(ステップS14)。ここで、画素値が閾値以下の場合(ステップS14においてNo)には、当該ピクセルにおける画素値データを棄却し(ステップS15)、閾値よりも大きい場合(ステップS14においてYes)には、当該画素値データをデータとして保存する(ステップS16)。そして全ピクセルについて処理が完了しているかの判定を行った上で(ステップS17)、まだの場合(ステップS17においてNo)は次のピクセルを選択し(ステップS18)、ステップS14〜16を実行する。これを、全てのピクセルの処理が完了するまで繰り返し、全ピクセルの処理が完了したら(ステップS17においてYes)、異常データ棄却処理を完了する。
【0030】
なお、本実施の形態では、ステップS14の処理において参照する閾値は、閾値入力部36を介して異常データ棄却部24に取り込まれる。当該閾値は、コントロールデータベース作成装置の使用時にユーザによって入力されたものであっても良く、装置内の記憶媒体に予め記憶されたデータを呼び出して入力するものであっても良い。
また、当該閾値は、標準化データ上に定義された一定のセグメントごとに異なる値を用いる事もできる。この場合、データベース38に予め格納されているセグメント情報を呼び出し、標準化データに適用して、セグメント分割処理を行う。好ましい態様において、このセグメント分割処理は、異常データ棄却部24に組み込まれたセグメント分割処理部(図示せず)の機能により実行される。そして、異常データ棄却部は、選択されたピクセルがどのセグメントに属するかを判断し、対応する閾値を参照して判定・棄却処理を行う事になる。
ここで、用いる閾値は、異常データを確実に除去できる大きさとする必要があるが、大きすぎると本来棄却すべきでないピクセルの画素値データまで棄却してしまうので注意が必要である。予備的に種々の閾値を用いてデータベースの作成を行うことによって、好ましい閾値の範囲を個別に設定する事ができる。典型例として、各セグメントに対して同一の閾値を適用する場合であれば、閾値の値は最大画素値の40%以下の値を設定する事が好ましく、10〜40%の間の値とすることがより好ましい(図7参照)。また、セグメントごとに異なる閾値を設定して処理を行う場合には、画像上でカウント値が相対的に低下しやすい部位の閾値を、他の部位よりも小さめに設定する事が好ましい。
【0031】
選択した画像データについて異常データ棄却処理(ステップS3)が完了したら、全ての標準化画像データについて処理が完了しているかを判定し(ステップS4)、全てについて完了していない場合(ステップS4においてNo)は、次の標準化画像データを選択した上で、異常データ棄却処理(ステップS3)を実行する。この処理を、全ての標準化画像データについての処理が完了する(ステップS4においてYes)まで繰り返す。
【0032】
全ての標準化画像データについて異常データ棄却処理が完了したら、演算部26によってピクセルごとに画素値の平均値及び標準偏差を算出する(ステップS5)。ステップS1〜S4を実行する事により、各ピクセルについて複数の画素値がデータとして保存されており、演算部26は、この画素値データをピクセル単位で呼び出して、平均値及び標準偏差の値を算出する。
【0033】
最後に、得られた平均値及び標準偏差の値を、出力部28によってディスプレイなどの出力機器に出力する(ステップS6)。出力は、種々の形式によって行うことができる。例えば、ピクセルに順に番号を付し、当該番号と対応させて数値の羅列として表示する方法や、標準化画像(例えば、ポーラーマップ)と同じ図形上において、対応するピクセルに色彩や輝度を用いて数値を表現するといった手法をとることができる。
【0034】
図6は、本発明に係る方法によって作成されたコントロールデータベースの一例である。この例は、152例の疾患データ(男性、年齢68.2±106歳、201TlCl投与SPECT画像、最大値を100とした相対表示として正規化)を用い、閾値を最大値の40%(全領域同一)に設定して作成したものである。図6では、算出された値を、AHA‐17分類のポーラーマップ上に輝度によって表示している。このように、本発明に係る方法により、欠損を生じさせる事無く、平均値と標準偏差とにより構成されたデータベースを構築する事が可能であった。
【0035】
図7及び図8は、閾値を最大画素値の10〜40%に設定して作成したデータベースにおける各セグメント(AHA‐17分類)における値(図7:画素値の平均値、図8:標準偏差)を示すグラフである。閾値40%までにおいては、データ上に大きなばらつきを生じさせることなく、データベースを構築する事が可能であった。一方、図9及び図10に示すように、閾値を最大画素値の50〜70%として作成したデータベースでは、データのばらつきが大きく、閾値40%として算出した値から乖離した値を示すセグメントが部分的に存在していた。これは、閾値が大きすぎたために、本来棄却しなくても良いデータまで棄却してしまった事を示唆する結果である。これらの結果より、全セグメントについて同一の閾値を設定した場合は、閾値は、最大画素値の10〜40%の範囲とすることが好ましいことが示唆された。
【0036】
次に、同様のデータを用い、既存のノーマルデータベースを再現し得る条件の検討を行った。図11は、AHA‐17分類におけるセグメント1、2、3、及び5については最大値の50%を閾値とし、その他のセグメントは最大値の60%を閾値として作成したコントロールデータベースをポーラーマップ(AHA‐17分類)上に表示した図である。また、図12及び図13は、同様のデータベースの各セグメントにおける値(図12:画素値の平均値、図13:標準偏差)を、ノーマルデータベース(「日本人における心筋SPECTデータの標準化ワーキンググループ」(日本核医学会)作成)における値と共に表示したグラフである。この図に示すように、本法によって得られたコントロールデータベースでは、既存のノーマルデータベースを、非常に良く再現できていた。
このように、本発明に係る方法により、ノーマルデータベースをほぼ再現可能なコントロールデータベースを作成できる事が確認された。本発明に係る方法は、健常者データを収集することなく疾患データのみからノーマルデータベースの代替となり得るコントロールデータベースを作成し得る、非常に有用な方法である。
【0037】
上記した実施の形態では、コントロールデータベース作成装置およびコントロールデータベース作成方法の例について説明したが、上記したコントロールデータベース作成装置の各構成を実現するモジュールを有するプログラム、上記したコントロールデータベース作成方法の各ステップを実行するモジュールを有するプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0038】
図14に、本発明に係るコントロールデータベース作成プログラム200の好ましい態様における構成を、記憶媒体300と共に示す。好ましい態様において、本発明に係るコントロールデータベース作成プログラム200は、処理を統括するメインモジュール210と、画像取得モジュール220と、画像標準化モジュール230と、異常データ棄却モジュール240と、閾値入力モジュール250と、演算モジュール260と、出力モジュール270とにより構成される。
【0039】
画像取得モジュール220は、ステップS1に係る処理をコンピュータに実行させる。
画像標準化モジュール230は、ステップS2に係る処理をコンピュータに実行させる。
異常データ棄却モジュール240は、ステップS3〜S4及びステップS11〜S18に係る処理をコンピュータに実行させる。
閾値入力モジュール250は、判定・棄却処理(ステップS3)にて参照するための閾値入力をコンピュータに実行させ、異常データ棄却モジュール240に利用させる。
演算モジュール260は、ステップS5に係る処理をコンピュータに実行させる。
出力モジュール270は、ステップS6に係る処理をコンピュータに実行させる。
【0040】
なお、好ましい実施態様において、本発明に係るコントロールデータベース作成プログラム200は、ハードディスク、CD、DVD等といった記憶媒体300に格納されて提供される。コントロールデータベース作成プログラム200が格納された記憶媒体300が、コンピュータに備え付けられた読取装置に挿入される事により、コンピュータがコントロールデータベース作成プログラム200にアクセス可能となり、コントロールデータベース作成装置10として動作することが可能となる。なお、コントロールデータベース作成プログラム200は、記憶媒体を介さず、ネットワークを介して直接提供されるものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、医用画像処理装置の製造分野において、利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 コントロールデータベース作成装置
20 画像取得部
22 標準化部
24 異常データ棄却部
26 演算部
28 出力部
30 画像データ入力部
32 正規化部
34 判定・棄却部
36 閾値入力部
38 セグメント情報格納データベース
130 CPU
140 メモリ
150 モニタ
160 通信インターフェース
170 キーボード
180 バス
200 コントロールデータベース作成プログラム
210 メインモジュール
220 画像取得モジュール
230 画像標準化モジュール
240 異常データ棄却モジュール
250 閾値入力モジュール
260 演算モジュール
270 出力モジュール
300 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心筋SPECT画像上で異常部位を判定するために用いるコントロールデータベースを作成するための装置であって、
複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得部と、
取得したそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化部と、
全ての前記標準化画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記標準化画像データから棄却する判定・棄却部と、
判定・棄却部による前記処理を行った各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算部と、
を備える、コントロールデータベース作成装置。
【請求項2】
前記標準化画像データにつき各画素値の正規化を行う正規化部をさらに備えたものである、
請求項1に記載のコントロールデータベース作成装置。
【請求項3】
標準化画像データを特定のセグメントに分割するセグメント分割処理部をさらに含む、請求項1または2の何れか1項に記載のコントロールデータベース作成装置。
【請求項4】
判定・棄却部にて参照する閾値が、分割処理部によって分割されたセグメントごとに個別に定められたものである、請求項3に記載のコントロールデータベース作成装置。
【請求項5】
心筋SPECT画像上で異常部位を判定するために用いるコントロールデータベースを作成するための装置であって、
複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得部と、
取得した全ての前記心筋SPECT画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記心筋SPECT画像データから棄却する判定・棄却部と、
判定・棄却部による前記処理を行った前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化部と、
各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算部と、
を備える、コントロールデータベース作成装置。
【請求項6】
前記心筋SPECT画像データにつき各画素値の正規化を行う正規化部をさらに備えたものである、
請求項5に記載のコントロールデータベース作成装置。
【請求項7】
コンピュータによって、心筋SPECT画像上で異常部位を判定するために用いるコントロールデータベースを作成する方法であって、
コンピュータが、複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得ステップと、
コンピュータが、取得したそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化ステップと、
コンピュータが、全ての前記標準化画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記標準化画像データから棄却する判定・棄却ステップと、
コンピュータが、判定・棄却ステップ実行後の各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算ステップと、
を順次実行する、コントロールデータベース作成方法。
【請求項8】
標準化ステップの後に、コンピュータが、前記標準化画像データにおける各画素値の正規化を行う正規化ステップを実行し、
判定・棄却ステップは、正規化ステップによって正規化された標準化画像データを用いて処理を行うものである、請求項7に記載のコントロールデータベース作成方法。
【請求項9】
標準化ステップの後に、コンピュータが、前記標準化画像データを複数のセグメントに分割するセグメント分割処理ステップをさらに実行し、
判定・棄却ステップでの処理を行う画像データは、セグメント分割処理ステップを実行する事によりセグメント分割された標準化画像データである、
請求項7に記載のコントロールデータベース作成方法。
【請求項10】
標準化ステップの後に、コンピュータが、前記標準化画像データを複数のセグメントに分割するセグメント分割処理ステップをさらに実行し、
正規化ステップで画素値の正規化を行う画像データは、セグメント分割処理ステップを実行する事によりセグメント分割された標準化画像データである、
請求項8に記載のコントロールデータベース作成方法。
【請求項11】
正規化ステップの後に、コンピュータが、前記正規化された標準化画像データを複数のセグメントに分割するセグメント処理ステップをさらに実行し、
判定・棄却ステップは、前記セグメント分割処理ステップ後の正規化された標準化画像データを用いて処理を行うものである、
請求項8に記載のコントロールデータベース作成方法。
【請求項12】
判定・棄却ステップにおいて参照する閾値は、それぞれのセグメントごとに個別に設定されたものである、請求項9から11の何れか1項に記載のコントロールデータベース作成方法。
【請求項13】
コンピュータによって、心筋SPECT画像上で異常部位を判定するために用いるコントロールデータベースを作成する方法であって、
コンピュータが、複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得ステップと、
コンピュータが、取得した全ての前記心筋SPECT画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記心筋SPECT画像データから棄却する判定・棄却ステップと、
コンピュータが、判定・棄却ステップ実行後のそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化ステップと、
コンピュータが、前記各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算ステップと、
を順次実行する、コントロールデータベース作成方法。
【請求項14】
画像取得ステップの後に、コンピュータが、前記心筋SPECT画像データにおける各画素値の正規化を行う正規化ステップを実行し、
判定・棄却ステップは、正規化ステップによって正規化された心筋SPECT画像データを用いて処理を行うものである、請求項13に記載のコントロールデータベース作成方法。
【請求項15】
コンピュータに、
複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得ステップと、
取得したそれぞれの前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化ステップと、
全ての前記標準化画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記標準化画像データから棄却する判定・棄却ステップと、
判定・棄却ステップ実行後の各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算ステップと、
を実行させる、コントロールデータベース作成プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、前記標準化画像データにおける各画素値の正規化を行う正規化ステップをさらに実行させ、
判定・棄却ステップにおいて処理される標準化画像データは、正規化ステップを実行することによって正規化された標準化画像データである、
請求項15に記載のコントロールデータベース作成プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、標準化画像データを特定のセグメントに分割するセグメント分割処理ステップをさらに実行させ、
判定・棄却ステップにおいて処理される標準化画像データは、セグメント分割処理ステップを実行する事によってセグメント分割された標準化画像データである、請求項15に記載のコントロールデータベース作成プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、標準化画像データを特定のセグメントに分割するセグメント分割処理ステップをさらに実行させ、
正規化ステップで画素値の正規化を行う画像データは、セグメント分割処理ステップを実行する事によりセグメント分割された標準化画像データである、請求項16に記載のコントロールデータベース作成プログラム。
【請求項19】
コンピュータに、正規化ステップの後に、前記正規化された標準化画像データを複数のセグメントに分割するセグメント分割処理ステップをさらに実行させ、
判定・棄却処理ステップにて処理される標準化画像データは、セグメント分割処理ステップ後の正規化された標準化画像データである、請求項16に記載のコントロールデータベース作成プログラム。
【請求項20】
判定・棄却ステップにて参照する閾値が、分割処理ステップによって分割されたセグメントごとに個別に定められたものである、請求項17〜19の何れか1項に記載のコントロールデータベース作成プログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
複数の被験者を対象として取得された複数の心筋SPECT画像データを取得する画像取得ステップと、
全ての前記心筋SPECT画像データについて、それぞれの画像を構成する各ピクセルにつき、
画素値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定し、小さい場合には当該ピクセルにおける画素値データを前記心筋SPECT画像データから棄却する判定・棄却ステップと、
判定・棄却ステップ後の前記心筋SPECT画像データを標準化画像データに変換する標準化ステップと、
前記各標準化画像データ間で、対応するピクセル同士における画素値の平均値および標準偏差を算出する演算ステップと、
を実行させる、コントロールデータベース作成プログラム。
【請求項22】
画像取得ステップの後に、コンピュータに、前記心筋SPECT画像データにおける各画素値の正規化を行う正規化ステップをさらに実行させ、
判定・棄却ステップにおいて処理される心筋SPECT画像データは、正規化ステップを実行することによって正規化された標準化画像データである、
請求項14に記載のコントロールデータベース作成プログラム。
【請求項23】
請求項1から請求項22の何れかに記載のコントロールデータベース作成装置、コントロールデータベースの作成方法、及びコントロールデータベースの作成プログラムによって作成された、心筋SPECT画像上で異常部位を判定するために用いるコントロールデータベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−11574(P2013−11574A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156102(P2011−156102)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000230250)日本メジフィジックス株式会社 (75)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【Fターム(参考)】