心臓内縫合装置
【課題】 人工心肺装置を用いることなく心臓内部の欠損に対して低侵襲手術を行うための手段を提供する。
【解決手段】 第1のシャフト11を含み先端に第1の縫合針把持手段4を備えた第1のシャフト部材1と、第2のシャフト21を含む第2のシャフト部材2と、第3のシャフト31と操作部33を含む第3のシャフト部材3と、第2の縫合針把持手段51をその先端に備えた穿刺部材5、とを含み、第2のシャフト21は第1のシャフト11の先端から突出させて第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能であり、この第2のシャフト21を第1の縫合針把持手段4との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフト21の先端まで第3のシャフト31をスライドさせたときに、第1の縫合針把持手段4と第2の縫合針把持手段51の間で縫合針6の受け渡しが可能になっている。
【解決手段】 第1のシャフト11を含み先端に第1の縫合針把持手段4を備えた第1のシャフト部材1と、第2のシャフト21を含む第2のシャフト部材2と、第3のシャフト31と操作部33を含む第3のシャフト部材3と、第2の縫合針把持手段51をその先端に備えた穿刺部材5、とを含み、第2のシャフト21は第1のシャフト11の先端から突出させて第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能であり、この第2のシャフト21を第1の縫合針把持手段4との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフト21の先端まで第3のシャフト31をスライドさせたときに、第1の縫合針把持手段4と第2の縫合針把持手段51の間で縫合針6の受け渡しが可能になっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓内の欠損部を縫合針によって縫合して治療する心臓内縫合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、弁膜症などの心臓内部の疾患に対しては、人工心肺装置(体外循環装置)を用いて手術が行われるのが一般的である。人工心肺装置は、心臓のポンプ機能が停止している間に心臓に代わり全身の臓器に対して血液還流を行い、同時に、血液のガス交換を行うことで肺の呼吸機能を代行する装置であり、血液ポンプ、酸素付加装置(人工肺)、熱交換器、および貯血槽の4要素からなる。人工心肺装置は主に開心術の補助手段として体外循環に用いられる他、心臓のポンプ機能が著しく低下し、臓器・組織が循環不全に陥った場合の補充循環、肺のガス交換能が高度に侵された際の肺機能補助、さらには膜型人工肺補助体外循環(ECMO)および胸部大動脈瘤手術の補助として広く用いられている。
【0003】
1953年にギボン(Gibbon)による人工心肺装置を用いた手術が初めて成功するまで、拍動している心臓内の手術は循環血液のため盲目的に行われており、安全性が極めて低いことが問題となっていたが、その後、様々な人工心肺装置や心筋保護液の改良がなされ、安全な手術を行うことが可能となっている。
しかしながら、現在でも、人工心肺装置を用いた手術後に以下のような合併症が発生しており、その解消が課題として残されている。
(1)脳合併症:不適正な潅流による脳低酸素血症や脳浮腫。人工心肺装置における体外循環路への吸気の混入や人工心肺装置を患者に装着する操作に起因する組織片の血液内への遊離による脳梗塞。
(2)肺合併症:人工心肺装置により活性化される各種炎症物質などに起因する低酸素血症、換気不全。
(3)腎機能障害:人工心肺装置による腎血流の減少に起因する急性腎不全。
(4)血液の破壊:人工心肺という人工物の内部へ血液を潅流することにより、血液の破壊が起こる。これにより、腎機能の障害が発生し、輸血が必要となる場合がある。
(5)術後出血:人工心肺装置による生体内止血機転の障害により術後出血が発生することがある。
(6)大動脈解離:送血に使用する送血管を大動脈に挿入する際に、血管内皮を傷害して急性の動脈解離を引き起こす可能性がある。この合併症は極めて重篤であり、患者の死亡率が高い。
(7)その他の合併症:生体免疫反応の低下に伴う術後感染症の発症や多臓器不全など。
【0004】
これらの合併症は、重篤でない場合であっても全身性の炎症となる場合が多いため、術後の入院期間は最低でも1週間を要する。また、手術で用いられる人工循環路はディスポ−ザブルであるため、高額な医療コストが問題となっている。
一方、最近になって、上記のような人工心肺装置利用に伴う副作用を回避しようとする動きが、冠動脈バイパス術の領域で見られるようになってきており、人工心肺装置を使用しない手術方法が急速に普及してきている。特に、内視鏡を用いた侵襲性の低い手術が広く行われるようになってきており、合併症の発生が低く、また、術後の回復も早い方法として注目を集めている。
【0005】
心臓内部においても人工心肺装置を使うことなく手術を行いたいという要望は高まりつつあるが、心臓の拍動を停止させることは実際には不可能である。また、血液の存在により視野が確保できないため、内視鏡の適用は困難が伴うことが指摘されている。心房中隔欠損症などに対してAmplatzer(商品名)やAngelwing(商品名)などのカテーテルデバイスの適用も行われているが、心臓内部の欠損症は症例毎に異なり、均一な欠損症をターゲットとするこれらのデバイスでは十分に対応できないといった問題も残されている。そして、これらの理由から、人工心肺装置を使用しない手術の実現のためのブレークスルーが求められてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、人工心肺装置を用いることなく心臓内部の欠損に対して低侵襲手術を行うための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、外科的に胸部を切開し、シースを介して縫合装置を挿入する方法に想到し、本発明に到達した。すなわち本発明は、先端から基端に貫通するルーメンを有する第1のシャフトと、この第1のシャフトの先端に同軸上先端から所定長隔てて設けられた第1の縫合針把持手段と、第1のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第1のシャフト部材と;先端から基端に貫通するルーメンを有し前記第1のシャフト部材にスライド可能に挿着された第2のシャフトと、この第2のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第2のシャフト部材と;この第2のシャフト部材にスライド可能に挿着された中空な第3のシャフトと、この第3のシャフトの基端に設けられた操作部、を含んでなる第3のシャフト部材と;前記第3のシャフトの先端に収容配置されこの先端から出し入れ可能な第2の縫合針把持手段をその先端に備え、この第2の縫合針把持手段の基端に接続され前記第3のシャフト部材にスライド可能に挿着された中空の操作ロッドをその基端に備えた穿刺部材と;を含み、前記第2のシャフトは第1のシャフトの先端から突出させて前記第1の縫合針把持手段方向にスライド可能であり、この第2のシャフトを前記第1の縫合針把持手段との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフトの先端まで前記第3のシャフトをスライドさせたときに、前記第1の縫合針把持手段と第2の縫合針把持手段の間で縫合針の受け渡しが可能にされてなる心臓内縫合装置を採用している。
【0008】
ここで、第2の縫合針把持手段は、基端側が第3のシャフトの内径より小さな外径を有し、先端に第3のシャフトの内径より大きな外径を有し基端方向にテーパ状に縮径する膨部が設けられ、この膨部を含む先端側に長手方向の複数のスリットが設けられた、縫合針より僅かに大きな内径を有する可撓性中空部材を含んでなり、操作ロッドを操作して前記膨部を第3のシャフトの中に収納したときに、膨部の内径が圧縮されて縫合針が把持されるようにしてもよい。この場合、第3のシャフトのルーメンの先端部分に環状突起を設け、膨部が第3のシャフトに収容されたときに、この膨部の基端方向への移動が阻止されるようにするのが好ましく、更に、中空部材の基端にフランジを設けるとともに、このフランジと環状突起の間に中空部材を巻くようにコイルバネを収容配置し、このコイルバネの圧縮を伴う操作により前進させた操作ロッドが、コイルバネの弾発力により自動的に後退するようにしてもよい。更に、第2の縫合針把持手段の操作性を良くするために、操作ロッドの基端に把持部を設け、この把持部を操作部に関して進退動可能にしてもよい。
【0009】
第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに小さな内径に形成された可撓性中空部材を含んでおり、この中空部材の第1のシャフト側に縫合針挿入口が設けられるとともに、中空部材の長手方向に複数のスリットが設けられてなるものであってもよく、また、第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに大きな内径を有し先端に膨部が形成された可撓性中空部材と、この中空部材の先端側に前記膨部を包囲するように設けられた中空な押圧部材およびこの押圧部材より基端側に中空部材を巻くように収容配置されたコイルバネを含んでなり、前記中空部材には長手方向に複数のスリットが設けられており、前記押圧部材が中空部材を圧縮する第1の位置からこの圧縮を解除する第2の位置まで移動可能にされてなるものであってもよい。
また、心臓内縫合装置には、心臓内の位置を確認するための内視鏡や超音波探触子等の視覚手段を取り付けてもよく、また、第1のシャフト部材のコネクタまたは第2のシャフト部材のコネクタには、ヘパリンや洗浄用生理食塩水などを注入するための側注チューブを設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の心臓内縫合装置を採用すれば、人工心肺装置を用いることなく心臓内部の欠損に対して低侵襲手術を行うことができる。
そして、本発明によれば、従来の人工心肺装置を用いた手術と比べ、より安全かつ確実な手術を行うことができ、また、低コスト化が可能である。さらに、従来1週間以上かかっていた術後の回復時間も1日程度に短縮できるので、合併症などの心配も極めて少ない。また、装置の操作が容易であり、術者にかかる負担が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係る心臓内縫合装置の平面図であり、図2および図3は本発明の他の実施例を示す平面図、図4は図1のA−A’線断面図、図5は図1における基端部分の縦断面図、図6は図1における第1および第2の縫合針把持部を含む先端部分の縦断面図、図7は第1の縫合針把持部の他の実施例を含む先端部分の縦断面図である。また、図8〜図15は本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
本発明の心臓内縫合装置は、図1〜図7に示すように、第1のシャフト11と先端の第1の縫合針把持手段4を含む第1のシャフト部材1と、この第1のシャフト部材1にスライド可能に挿着された第2のシャフト21を含む第2のシャフト部材2と、この第2のシャフト部材2にスライド可能に挿着された中空な第3のシャフト31とこの第3のシャフトの基端に設けられた操作部を含んでなる第3のシャフト部材3と、第3のシャフト31の先端に収容配置されこの先端から出し入れ可能な第2の縫合針把持手段51をその先端に備えた穿刺部材5、とを含み、第2のシャフト21は第1のシャフト11の先端から突出させて第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能であり、この第2のシャフト21を第1の縫合針把持手段4との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフト21の先端まで第3のシャフト31をスライドさせたときに、第1の縫合針把持手段4と第2の縫合針把持手段51の間で縫合針6の受け渡しが可能になっている。
【0012】
第1のシャフト部材1は、図6および図7に示すように、先端から基端に貫通するルーメン111を有する第1のシャフト11と、この第1のシャフト11の先端に同軸上先端から所定長隔てて設けられた第1の縫合針把持手段4と、第1のシャフト11の基端に設けられた止血弁付きのコネクタ12を含んでなる。
第1のシャフト11は、ステンレス鋼や真鍮などの金属、メッシュ入りまたはコイル状のステンレス鋼、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンなどの合成樹脂で形成された管状部材であり、その先端から基端に貫通して設けられたルーメン111には、基端に設けられたコネクタ12から挿着された第2のシャフト部材2がスライド可能に挿着されている(正確には第2のシャフト21が挿着されている)。
コネクタ12は、一般に、ポリプロピレンやABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂や、ステンレス鋼や真鍮などの金属で形成された管状部材であり、基端には第2のシャフト21の挿入口121が形成されており、内部には手術中に血液が漏れないように止血手段(図示していない)が設けられている。
【0013】
第1の縫合針把持手段4は、第1のシャフト11を形成するチューブと一体に形成された把持手段収容部13に収容するようにしてもよい。この場合、把持手段収容部13は、例えば図1〜図3に示すように、第1のシャフト11を形成するチューブの先端に形成され、第1のシャフト11の先端との間には、所定長の長さと第1のシャフト11の半径より十分に大きな深さを有する切り欠き14が設けられている。把持手段収容部13の先端は閉鎖されており、閉鎖部材46には第1の縫合針把持手段4が固定されている。
第1の縫合針把持手段4は、把持手段収容部13内にその先端が第1のシャフト11側を向くように配置されており、例えば図6に示すような、縫合針6を把持する部分が縫合針6より僅かに小さな内径に形成された可撓性中空部材41を含んでおり、この中空部材41の先端に縫合針挿入口42が設けられるとともに、中空部材41の長手方向に複数のスリット411が設けられてなるものが採用される。第1の縫合針把持手段4は、図7に示すような、縫合針6を把持する部分が縫合針6より僅かに大きな内径を有し先端に膨部432が形成された可撓性を有するスリット431入り中空部材43と、この中空部材43の先端側に膨部432を包囲するように設けられた中空な押圧部材44およびこの押圧部材44より基端側に中空部材43を巻くように収容配置されたコイルバネ45を含んでなるものであってもよい。この場合、中空部材43のスリット431は膨部432を含む長手方向に複数設けられている。また、押圧部材44は、基端側の内径が中空部材43の基端側の外径より僅かに大きく、先端側に内径がテーパ状に拡径して、先端側の内径が膨部432の外径より大きく、外径が把持手段収容部13の内径より僅かに小さく形成されており、第1の把持手段4とともに把持手段収容部13に収容されている。そして、押圧部材44は、中空部材43を圧縮する第1の位置(最初の位置)からこの圧縮を解除する第2の位置(コイルバネ45を圧縮して把持手段収容部13の基端方向に移動し、膨部432の外壁と押圧部材44の内壁が接触しなくなる位置)まで移動可能になっている。
【0014】
第1の縫合針把持手段4の形成材料としては、中空部材41、43については、ステンレス鋼や真鍮などの金属、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリアミドなどの可撓性樹脂等が採用可能であり、また、縫合針挿入口42については、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンなどの合成樹脂が、押圧部材44については、中空部材41、43と同様の材料が採用可能である。
【0015】
第2のシャフト部材2は、図6および図7に示すように、先端から基端に貫通するルーメン211を有する第2のシャフト21と、この第2のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタを含んでなり、第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能になっている。第2のシャフト部材2は、前記第1のシャフト部材1と同様の材料で形成された管状部材であり、その先端から基端に貫通して設けられたルーメン211には、基端に設けられたコネクタ22から挿着された第3のシャフト部材3がスライド可能に挿着されている(正確には第3のシャフト31が挿着されている)。
コネクタ22は、前記コネクタ12と同様の材料で形成された管状部材であり、基端には第3のシャフト311の挿入口221が形成されており、内部には手術中に血液が漏れないように止血手段(図示していない)が設けられている。
【0016】
第3のシャフト部材3は、中空な第3のシャフト31とこの第3のシャフトの基端に設けられた操作部33を含んでなる。
第3のシャフト31は、第1のシャフト11と同様の材料で形成された管状部材であり、その先端から基端に貫通してルーメン311が設けられている。第3のシャフト31の基端にはこれをスライドさせて進退動させるための操作部33が設けられており、この操作部33から後述の第2の縫合針把持手段5の操作ロッド52が進退動可能に挿着されている。尚、操作部の形成材料としては、特に限定されないが、一般に第3のシャフト31と同様なものが採用される。
【0017】
穿刺部材5は、第3のシャフト部材3に進退動可能に挿着されており、先端に第2の縫合針把持手段51を備え、基端にはこの第2の縫合針把持手段51の基端に接続された中空の操作ロッド52を備えている。第2の縫合針把持手段51は、第3のシャフト31の先端に収容配置されこの先端から出し入れ可能になっており、操作ロッド52は、第3のシャフト31のルーメン311に進退動可能に挿着されている。第2の縫合針把持手段51は、縫合針6より僅かに大きな内径を有する可撓性中空部材55を含んでなり、この中空部材55は、基端側が第3のシャフト31の内径より小さな外径を有している。中空部材55の先端には第3のシャフト31の内径より大きな外径を有し基端方向にテーパ状に縮径する膨部552が設けられ、この膨部552を含む先端側に長手方向の複数のスリット551が設けられている。そして、この中空部材55の基端には、第3のシャフト31のルーメン311にスライド可能に挿着された中空の操作ロッド52が接続されており、膨部552が第3のシャフト31の中に収納されたときに、膨部552の内径が圧縮されて縫合針6が把持されるようになっている。この場合、図6や7に示すように、第3のシャフト31のルーメン311の先端部分に環状突起312を設け、膨部552が第3のシャフト31に収容されたときに、この膨部552の基端方向への移動が阻止されるようにするのが好ましい。膨部552は操作ロッド52を手などで操作して第3のシャフト31の中に収納するようにしてもよいが、例えば図6や図7に示すように、中空部材55の基端にフランジ553を設けるとともに、このフランジ553と環状突起312の間に中空部材55を巻くようにコイルバネ53を収容配置し、このコイルバネ53の圧縮を伴う操作により前進させた操作ロッド52が、コイルバネ53の弾発力により自動的に後退して膨部552を第3のシャフト31の中に収納するようにしてもよい。更に、第2の縫合針把持手段51の操作性を良くするために、操作ロッド52の基端に操作部54を設け、この操作部54を第3のシャフト部材3の操作部33に関して進退動可能にしてもよい。
【0018】
そして、このような第1、第2、第3のシャフト部材1、2、3と穿刺部材5の組合せにおいて、第2のシャフト21は第1のシャフト1の先端から突出させて第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能であり、この第2のシャフト21を第1の縫合針把持手段4との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフト21の先端まで第3のシャフト31をスライドさせたときに、第1の縫合針把持手段4と第2の縫合針把持手段51の間で縫合針6の受け渡しができるようになっている。
尚、本発明の心臓内縫合装置には、図3に示すように、心臓内の位置を確認するための内視鏡8や超音波探触子(図示していない)等の視覚手段を取り付けてもよく、また、図2に示すように、第1のシャフト部材1のコネクタ12(図示していない)または第2のシャフト部材2のコネクタ22には、ヘパリンや洗浄用の生理食塩水などを注入するための側注チューブ222を設けてもよい。
また、第2の縫合針把持手段51の中空部材55の形成材料としては、構造的にも機能的にも第1の縫合針把持手段4の中空部材43と同じものであることから、限定するものではないが、当然に第1の縫合針把持手段4の中空部材43の形成材料と同様のものが採用される。
【0019】
次に、本発明の心臓内縫合装置を使用して行う欠損部閉鎖術について、図8〜図15を用いて説明する。先ず、外科的に胸部を切開し、心臓を確認する。次に心臓の一部(通常、右心耳)に穴を開け、この穴から心臓内縫合装置挿入用シース(図示していない)を目的部位の近くまで挿入する。続いて図1に示すような心臓内縫合装置(第3のシャフト31と第2の縫合針把持手段51の関係は図5および図6に示すようになっている)をシース内に挿入し、目的部位の近くまで案内する。次に、図8に示すように、先端部分をシースから突出させ、第1の縫合針把持手段4部分を心臓内の欠損孔DAに挿入して、欠損孔DAが切り欠き14の部分に位置するようにする。次いで、必要ならば内視鏡8などの視覚手段で心臓内の位置関係を確認しながら、第2のシャフト部材2を手で押しこんで第1のシャフト部材1に関して前進させ、把持手段収容部13と第2のシャフト21の先端で欠損孔DAの周りの組織Tを挟み込む。この時、第3のシャフト部材3は第2のシャフト部材2と一緒に前進する(図9)。次に、この把持手段収容部13と第2のシャフト21の間に組織Tを挟みこんだ状態で操作部33を手で押し、第3のシャフト部材3を第2のシャフト部材2に関して前進させる。すると、第3のシャフト31内に収容された第2の縫合針把持手段51も第3のシャフト31と一緒に前進して組織Tを穿刺し、縫合針6の先端部分が第1の縫合針把持手段4に挿入され把持される(図10)。次に、穿刺部材5の操作部54に対して操作部33を後退させると、膨部552が第3のシャフト31の外に出て中空部材55の第3のシャフト31による圧縮が解除されるので、中空部材55の内径が縫合針6の外径より大きくなり、縫合針6は第2の縫合針把持手段51から解放される(図11)。この時コイルバネ53は圧縮されている。この状態で第1のシャフト部材1を手で押しこんで第2のシャフト部材に関して前進させ、縫合針6を組織Tに関して第2の縫合針把持手段51の反対側に出すと、縫合針6は第1の縫合針把持手段4に受け渡され、図12のような状態になる。
【0020】
次に、心臓内縫合装置全体を若干後退させ、操作部33を手で把持した状態で穿刺部材5の操作部54から手を離すと、コイルバネ53の弾発力により第2の縫合針把持手段51は後退し、膨部552は第3のシャフト31の中に収容される。この状態で心臓内縫合装置全体を移動させ組織Tを切り欠き14の外に出すと、図13のような状態になる。この状態で第2のシャフト部材2を手で押しこんで第1のシャフト部材1に関して図9と略同じ位置まで前進させ、さらに穿刺部材5の操作部54に対して操作部33を後退させると、膨部552が第3のシャフト31の外に出て中空部材55の第3のシャフト31による圧縮が解除され、中空部材55の内径が縫合針6の外径より大きくなる。この状態で操作部33を手で押しこんで第3のシャフト部材3を第2のシャフト部材2に関して前進させると、縫合針6は第2の縫合針把持手段51に収容される(図14)。この時コイルバネ53は圧縮されている。次に、穿刺部材5の操作部54と第2のシャフト部材2を手で把持した状態で操作部33から手を離すと、コイルバネ53の弾発力により第3のシャフト部材3は前進し、膨部552は第3のシャフト31の中に収容されるので、中空部材55が第3のシャフト31によって圧縮され、中空部材55の内径が縫合針6の外径より小さくなり、縫合針6は第2の縫合針把持手段51に把持される。この状態で第1のシャフト部材1を手で押しこんで第2のシャフト部材2に関して前進させると、縫合針6は第2の縫合針把持手段51に受け渡され、図15のような状態になる。この操作を数回繰り返し行い、専用の器具を用いて縫合糸を結紮、切断することにより欠損部閉鎖術は完了する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係る心臓内縫合装置の平面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施例を示す平面図である。
【図4】図1のA−A’線断面図である。
【図5】図5は図1における基端部分の縦断面図である。
【図6】図1における第1および第2の縫合針把持部を含む先端部分の縦断面図である。
【図7】第1の縫合針把持部の他の実施例を含む先端部分の縦断面図である。
【図8】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図9】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図10】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図11】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図12】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図13】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図14】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図15】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 第1のシャフト部材
11 第1のシャフト
111 ルーメン
12 コネクタ
13 把持手段収容部
14 切り欠き
2 第2のシャフト部材
21 第2のシャフト
211 ルーメン
22 コネクタ
3 第3のシャフト部材
31 第3のシャフト
311 ルーメン
312 環状突起
33 操作部
4 第1の縫合針把持手段
41 中空部材
411 スリット
42 縫合針挿入口
43 中空部材
431 スリット
432 膨部
44 押圧部材
45 コイルバネ
46 閉鎖部材
5 穿刺部材
51 第2の縫合針把持手段
52 操作ロッド
53 コイルバネ
54 操作部
55 中空部材
551 スリット
552 膨部
553 フランジ
6 縫合針
7 縫合糸
8 内視鏡
DA 欠損孔
T 組織
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓内の欠損部を縫合針によって縫合して治療する心臓内縫合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、弁膜症などの心臓内部の疾患に対しては、人工心肺装置(体外循環装置)を用いて手術が行われるのが一般的である。人工心肺装置は、心臓のポンプ機能が停止している間に心臓に代わり全身の臓器に対して血液還流を行い、同時に、血液のガス交換を行うことで肺の呼吸機能を代行する装置であり、血液ポンプ、酸素付加装置(人工肺)、熱交換器、および貯血槽の4要素からなる。人工心肺装置は主に開心術の補助手段として体外循環に用いられる他、心臓のポンプ機能が著しく低下し、臓器・組織が循環不全に陥った場合の補充循環、肺のガス交換能が高度に侵された際の肺機能補助、さらには膜型人工肺補助体外循環(ECMO)および胸部大動脈瘤手術の補助として広く用いられている。
【0003】
1953年にギボン(Gibbon)による人工心肺装置を用いた手術が初めて成功するまで、拍動している心臓内の手術は循環血液のため盲目的に行われており、安全性が極めて低いことが問題となっていたが、その後、様々な人工心肺装置や心筋保護液の改良がなされ、安全な手術を行うことが可能となっている。
しかしながら、現在でも、人工心肺装置を用いた手術後に以下のような合併症が発生しており、その解消が課題として残されている。
(1)脳合併症:不適正な潅流による脳低酸素血症や脳浮腫。人工心肺装置における体外循環路への吸気の混入や人工心肺装置を患者に装着する操作に起因する組織片の血液内への遊離による脳梗塞。
(2)肺合併症:人工心肺装置により活性化される各種炎症物質などに起因する低酸素血症、換気不全。
(3)腎機能障害:人工心肺装置による腎血流の減少に起因する急性腎不全。
(4)血液の破壊:人工心肺という人工物の内部へ血液を潅流することにより、血液の破壊が起こる。これにより、腎機能の障害が発生し、輸血が必要となる場合がある。
(5)術後出血:人工心肺装置による生体内止血機転の障害により術後出血が発生することがある。
(6)大動脈解離:送血に使用する送血管を大動脈に挿入する際に、血管内皮を傷害して急性の動脈解離を引き起こす可能性がある。この合併症は極めて重篤であり、患者の死亡率が高い。
(7)その他の合併症:生体免疫反応の低下に伴う術後感染症の発症や多臓器不全など。
【0004】
これらの合併症は、重篤でない場合であっても全身性の炎症となる場合が多いため、術後の入院期間は最低でも1週間を要する。また、手術で用いられる人工循環路はディスポ−ザブルであるため、高額な医療コストが問題となっている。
一方、最近になって、上記のような人工心肺装置利用に伴う副作用を回避しようとする動きが、冠動脈バイパス術の領域で見られるようになってきており、人工心肺装置を使用しない手術方法が急速に普及してきている。特に、内視鏡を用いた侵襲性の低い手術が広く行われるようになってきており、合併症の発生が低く、また、術後の回復も早い方法として注目を集めている。
【0005】
心臓内部においても人工心肺装置を使うことなく手術を行いたいという要望は高まりつつあるが、心臓の拍動を停止させることは実際には不可能である。また、血液の存在により視野が確保できないため、内視鏡の適用は困難が伴うことが指摘されている。心房中隔欠損症などに対してAmplatzer(商品名)やAngelwing(商品名)などのカテーテルデバイスの適用も行われているが、心臓内部の欠損症は症例毎に異なり、均一な欠損症をターゲットとするこれらのデバイスでは十分に対応できないといった問題も残されている。そして、これらの理由から、人工心肺装置を使用しない手術の実現のためのブレークスルーが求められてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、人工心肺装置を用いることなく心臓内部の欠損に対して低侵襲手術を行うための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、外科的に胸部を切開し、シースを介して縫合装置を挿入する方法に想到し、本発明に到達した。すなわち本発明は、先端から基端に貫通するルーメンを有する第1のシャフトと、この第1のシャフトの先端に同軸上先端から所定長隔てて設けられた第1の縫合針把持手段と、第1のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第1のシャフト部材と;先端から基端に貫通するルーメンを有し前記第1のシャフト部材にスライド可能に挿着された第2のシャフトと、この第2のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第2のシャフト部材と;この第2のシャフト部材にスライド可能に挿着された中空な第3のシャフトと、この第3のシャフトの基端に設けられた操作部、を含んでなる第3のシャフト部材と;前記第3のシャフトの先端に収容配置されこの先端から出し入れ可能な第2の縫合針把持手段をその先端に備え、この第2の縫合針把持手段の基端に接続され前記第3のシャフト部材にスライド可能に挿着された中空の操作ロッドをその基端に備えた穿刺部材と;を含み、前記第2のシャフトは第1のシャフトの先端から突出させて前記第1の縫合針把持手段方向にスライド可能であり、この第2のシャフトを前記第1の縫合針把持手段との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフトの先端まで前記第3のシャフトをスライドさせたときに、前記第1の縫合針把持手段と第2の縫合針把持手段の間で縫合針の受け渡しが可能にされてなる心臓内縫合装置を採用している。
【0008】
ここで、第2の縫合針把持手段は、基端側が第3のシャフトの内径より小さな外径を有し、先端に第3のシャフトの内径より大きな外径を有し基端方向にテーパ状に縮径する膨部が設けられ、この膨部を含む先端側に長手方向の複数のスリットが設けられた、縫合針より僅かに大きな内径を有する可撓性中空部材を含んでなり、操作ロッドを操作して前記膨部を第3のシャフトの中に収納したときに、膨部の内径が圧縮されて縫合針が把持されるようにしてもよい。この場合、第3のシャフトのルーメンの先端部分に環状突起を設け、膨部が第3のシャフトに収容されたときに、この膨部の基端方向への移動が阻止されるようにするのが好ましく、更に、中空部材の基端にフランジを設けるとともに、このフランジと環状突起の間に中空部材を巻くようにコイルバネを収容配置し、このコイルバネの圧縮を伴う操作により前進させた操作ロッドが、コイルバネの弾発力により自動的に後退するようにしてもよい。更に、第2の縫合針把持手段の操作性を良くするために、操作ロッドの基端に把持部を設け、この把持部を操作部に関して進退動可能にしてもよい。
【0009】
第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに小さな内径に形成された可撓性中空部材を含んでおり、この中空部材の第1のシャフト側に縫合針挿入口が設けられるとともに、中空部材の長手方向に複数のスリットが設けられてなるものであってもよく、また、第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに大きな内径を有し先端に膨部が形成された可撓性中空部材と、この中空部材の先端側に前記膨部を包囲するように設けられた中空な押圧部材およびこの押圧部材より基端側に中空部材を巻くように収容配置されたコイルバネを含んでなり、前記中空部材には長手方向に複数のスリットが設けられており、前記押圧部材が中空部材を圧縮する第1の位置からこの圧縮を解除する第2の位置まで移動可能にされてなるものであってもよい。
また、心臓内縫合装置には、心臓内の位置を確認するための内視鏡や超音波探触子等の視覚手段を取り付けてもよく、また、第1のシャフト部材のコネクタまたは第2のシャフト部材のコネクタには、ヘパリンや洗浄用生理食塩水などを注入するための側注チューブを設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の心臓内縫合装置を採用すれば、人工心肺装置を用いることなく心臓内部の欠損に対して低侵襲手術を行うことができる。
そして、本発明によれば、従来の人工心肺装置を用いた手術と比べ、より安全かつ確実な手術を行うことができ、また、低コスト化が可能である。さらに、従来1週間以上かかっていた術後の回復時間も1日程度に短縮できるので、合併症などの心配も極めて少ない。また、装置の操作が容易であり、術者にかかる負担が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係る心臓内縫合装置の平面図であり、図2および図3は本発明の他の実施例を示す平面図、図4は図1のA−A’線断面図、図5は図1における基端部分の縦断面図、図6は図1における第1および第2の縫合針把持部を含む先端部分の縦断面図、図7は第1の縫合針把持部の他の実施例を含む先端部分の縦断面図である。また、図8〜図15は本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
本発明の心臓内縫合装置は、図1〜図7に示すように、第1のシャフト11と先端の第1の縫合針把持手段4を含む第1のシャフト部材1と、この第1のシャフト部材1にスライド可能に挿着された第2のシャフト21を含む第2のシャフト部材2と、この第2のシャフト部材2にスライド可能に挿着された中空な第3のシャフト31とこの第3のシャフトの基端に設けられた操作部を含んでなる第3のシャフト部材3と、第3のシャフト31の先端に収容配置されこの先端から出し入れ可能な第2の縫合針把持手段51をその先端に備えた穿刺部材5、とを含み、第2のシャフト21は第1のシャフト11の先端から突出させて第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能であり、この第2のシャフト21を第1の縫合針把持手段4との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフト21の先端まで第3のシャフト31をスライドさせたときに、第1の縫合針把持手段4と第2の縫合針把持手段51の間で縫合針6の受け渡しが可能になっている。
【0012】
第1のシャフト部材1は、図6および図7に示すように、先端から基端に貫通するルーメン111を有する第1のシャフト11と、この第1のシャフト11の先端に同軸上先端から所定長隔てて設けられた第1の縫合針把持手段4と、第1のシャフト11の基端に設けられた止血弁付きのコネクタ12を含んでなる。
第1のシャフト11は、ステンレス鋼や真鍮などの金属、メッシュ入りまたはコイル状のステンレス鋼、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンなどの合成樹脂で形成された管状部材であり、その先端から基端に貫通して設けられたルーメン111には、基端に設けられたコネクタ12から挿着された第2のシャフト部材2がスライド可能に挿着されている(正確には第2のシャフト21が挿着されている)。
コネクタ12は、一般に、ポリプロピレンやABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂や、ステンレス鋼や真鍮などの金属で形成された管状部材であり、基端には第2のシャフト21の挿入口121が形成されており、内部には手術中に血液が漏れないように止血手段(図示していない)が設けられている。
【0013】
第1の縫合針把持手段4は、第1のシャフト11を形成するチューブと一体に形成された把持手段収容部13に収容するようにしてもよい。この場合、把持手段収容部13は、例えば図1〜図3に示すように、第1のシャフト11を形成するチューブの先端に形成され、第1のシャフト11の先端との間には、所定長の長さと第1のシャフト11の半径より十分に大きな深さを有する切り欠き14が設けられている。把持手段収容部13の先端は閉鎖されており、閉鎖部材46には第1の縫合針把持手段4が固定されている。
第1の縫合針把持手段4は、把持手段収容部13内にその先端が第1のシャフト11側を向くように配置されており、例えば図6に示すような、縫合針6を把持する部分が縫合針6より僅かに小さな内径に形成された可撓性中空部材41を含んでおり、この中空部材41の先端に縫合針挿入口42が設けられるとともに、中空部材41の長手方向に複数のスリット411が設けられてなるものが採用される。第1の縫合針把持手段4は、図7に示すような、縫合針6を把持する部分が縫合針6より僅かに大きな内径を有し先端に膨部432が形成された可撓性を有するスリット431入り中空部材43と、この中空部材43の先端側に膨部432を包囲するように設けられた中空な押圧部材44およびこの押圧部材44より基端側に中空部材43を巻くように収容配置されたコイルバネ45を含んでなるものであってもよい。この場合、中空部材43のスリット431は膨部432を含む長手方向に複数設けられている。また、押圧部材44は、基端側の内径が中空部材43の基端側の外径より僅かに大きく、先端側に内径がテーパ状に拡径して、先端側の内径が膨部432の外径より大きく、外径が把持手段収容部13の内径より僅かに小さく形成されており、第1の把持手段4とともに把持手段収容部13に収容されている。そして、押圧部材44は、中空部材43を圧縮する第1の位置(最初の位置)からこの圧縮を解除する第2の位置(コイルバネ45を圧縮して把持手段収容部13の基端方向に移動し、膨部432の外壁と押圧部材44の内壁が接触しなくなる位置)まで移動可能になっている。
【0014】
第1の縫合針把持手段4の形成材料としては、中空部材41、43については、ステンレス鋼や真鍮などの金属、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリアミドなどの可撓性樹脂等が採用可能であり、また、縫合針挿入口42については、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンなどの合成樹脂が、押圧部材44については、中空部材41、43と同様の材料が採用可能である。
【0015】
第2のシャフト部材2は、図6および図7に示すように、先端から基端に貫通するルーメン211を有する第2のシャフト21と、この第2のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタを含んでなり、第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能になっている。第2のシャフト部材2は、前記第1のシャフト部材1と同様の材料で形成された管状部材であり、その先端から基端に貫通して設けられたルーメン211には、基端に設けられたコネクタ22から挿着された第3のシャフト部材3がスライド可能に挿着されている(正確には第3のシャフト31が挿着されている)。
コネクタ22は、前記コネクタ12と同様の材料で形成された管状部材であり、基端には第3のシャフト311の挿入口221が形成されており、内部には手術中に血液が漏れないように止血手段(図示していない)が設けられている。
【0016】
第3のシャフト部材3は、中空な第3のシャフト31とこの第3のシャフトの基端に設けられた操作部33を含んでなる。
第3のシャフト31は、第1のシャフト11と同様の材料で形成された管状部材であり、その先端から基端に貫通してルーメン311が設けられている。第3のシャフト31の基端にはこれをスライドさせて進退動させるための操作部33が設けられており、この操作部33から後述の第2の縫合針把持手段5の操作ロッド52が進退動可能に挿着されている。尚、操作部の形成材料としては、特に限定されないが、一般に第3のシャフト31と同様なものが採用される。
【0017】
穿刺部材5は、第3のシャフト部材3に進退動可能に挿着されており、先端に第2の縫合針把持手段51を備え、基端にはこの第2の縫合針把持手段51の基端に接続された中空の操作ロッド52を備えている。第2の縫合針把持手段51は、第3のシャフト31の先端に収容配置されこの先端から出し入れ可能になっており、操作ロッド52は、第3のシャフト31のルーメン311に進退動可能に挿着されている。第2の縫合針把持手段51は、縫合針6より僅かに大きな内径を有する可撓性中空部材55を含んでなり、この中空部材55は、基端側が第3のシャフト31の内径より小さな外径を有している。中空部材55の先端には第3のシャフト31の内径より大きな外径を有し基端方向にテーパ状に縮径する膨部552が設けられ、この膨部552を含む先端側に長手方向の複数のスリット551が設けられている。そして、この中空部材55の基端には、第3のシャフト31のルーメン311にスライド可能に挿着された中空の操作ロッド52が接続されており、膨部552が第3のシャフト31の中に収納されたときに、膨部552の内径が圧縮されて縫合針6が把持されるようになっている。この場合、図6や7に示すように、第3のシャフト31のルーメン311の先端部分に環状突起312を設け、膨部552が第3のシャフト31に収容されたときに、この膨部552の基端方向への移動が阻止されるようにするのが好ましい。膨部552は操作ロッド52を手などで操作して第3のシャフト31の中に収納するようにしてもよいが、例えば図6や図7に示すように、中空部材55の基端にフランジ553を設けるとともに、このフランジ553と環状突起312の間に中空部材55を巻くようにコイルバネ53を収容配置し、このコイルバネ53の圧縮を伴う操作により前進させた操作ロッド52が、コイルバネ53の弾発力により自動的に後退して膨部552を第3のシャフト31の中に収納するようにしてもよい。更に、第2の縫合針把持手段51の操作性を良くするために、操作ロッド52の基端に操作部54を設け、この操作部54を第3のシャフト部材3の操作部33に関して進退動可能にしてもよい。
【0018】
そして、このような第1、第2、第3のシャフト部材1、2、3と穿刺部材5の組合せにおいて、第2のシャフト21は第1のシャフト1の先端から突出させて第1の縫合針把持手段4方向にスライド可能であり、この第2のシャフト21を第1の縫合針把持手段4との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、このスライドさせた第2のシャフト21の先端まで第3のシャフト31をスライドさせたときに、第1の縫合針把持手段4と第2の縫合針把持手段51の間で縫合針6の受け渡しができるようになっている。
尚、本発明の心臓内縫合装置には、図3に示すように、心臓内の位置を確認するための内視鏡8や超音波探触子(図示していない)等の視覚手段を取り付けてもよく、また、図2に示すように、第1のシャフト部材1のコネクタ12(図示していない)または第2のシャフト部材2のコネクタ22には、ヘパリンや洗浄用の生理食塩水などを注入するための側注チューブ222を設けてもよい。
また、第2の縫合針把持手段51の中空部材55の形成材料としては、構造的にも機能的にも第1の縫合針把持手段4の中空部材43と同じものであることから、限定するものではないが、当然に第1の縫合針把持手段4の中空部材43の形成材料と同様のものが採用される。
【0019】
次に、本発明の心臓内縫合装置を使用して行う欠損部閉鎖術について、図8〜図15を用いて説明する。先ず、外科的に胸部を切開し、心臓を確認する。次に心臓の一部(通常、右心耳)に穴を開け、この穴から心臓内縫合装置挿入用シース(図示していない)を目的部位の近くまで挿入する。続いて図1に示すような心臓内縫合装置(第3のシャフト31と第2の縫合針把持手段51の関係は図5および図6に示すようになっている)をシース内に挿入し、目的部位の近くまで案内する。次に、図8に示すように、先端部分をシースから突出させ、第1の縫合針把持手段4部分を心臓内の欠損孔DAに挿入して、欠損孔DAが切り欠き14の部分に位置するようにする。次いで、必要ならば内視鏡8などの視覚手段で心臓内の位置関係を確認しながら、第2のシャフト部材2を手で押しこんで第1のシャフト部材1に関して前進させ、把持手段収容部13と第2のシャフト21の先端で欠損孔DAの周りの組織Tを挟み込む。この時、第3のシャフト部材3は第2のシャフト部材2と一緒に前進する(図9)。次に、この把持手段収容部13と第2のシャフト21の間に組織Tを挟みこんだ状態で操作部33を手で押し、第3のシャフト部材3を第2のシャフト部材2に関して前進させる。すると、第3のシャフト31内に収容された第2の縫合針把持手段51も第3のシャフト31と一緒に前進して組織Tを穿刺し、縫合針6の先端部分が第1の縫合針把持手段4に挿入され把持される(図10)。次に、穿刺部材5の操作部54に対して操作部33を後退させると、膨部552が第3のシャフト31の外に出て中空部材55の第3のシャフト31による圧縮が解除されるので、中空部材55の内径が縫合針6の外径より大きくなり、縫合針6は第2の縫合針把持手段51から解放される(図11)。この時コイルバネ53は圧縮されている。この状態で第1のシャフト部材1を手で押しこんで第2のシャフト部材に関して前進させ、縫合針6を組織Tに関して第2の縫合針把持手段51の反対側に出すと、縫合針6は第1の縫合針把持手段4に受け渡され、図12のような状態になる。
【0020】
次に、心臓内縫合装置全体を若干後退させ、操作部33を手で把持した状態で穿刺部材5の操作部54から手を離すと、コイルバネ53の弾発力により第2の縫合針把持手段51は後退し、膨部552は第3のシャフト31の中に収容される。この状態で心臓内縫合装置全体を移動させ組織Tを切り欠き14の外に出すと、図13のような状態になる。この状態で第2のシャフト部材2を手で押しこんで第1のシャフト部材1に関して図9と略同じ位置まで前進させ、さらに穿刺部材5の操作部54に対して操作部33を後退させると、膨部552が第3のシャフト31の外に出て中空部材55の第3のシャフト31による圧縮が解除され、中空部材55の内径が縫合針6の外径より大きくなる。この状態で操作部33を手で押しこんで第3のシャフト部材3を第2のシャフト部材2に関して前進させると、縫合針6は第2の縫合針把持手段51に収容される(図14)。この時コイルバネ53は圧縮されている。次に、穿刺部材5の操作部54と第2のシャフト部材2を手で把持した状態で操作部33から手を離すと、コイルバネ53の弾発力により第3のシャフト部材3は前進し、膨部552は第3のシャフト31の中に収容されるので、中空部材55が第3のシャフト31によって圧縮され、中空部材55の内径が縫合針6の外径より小さくなり、縫合針6は第2の縫合針把持手段51に把持される。この状態で第1のシャフト部材1を手で押しこんで第2のシャフト部材2に関して前進させると、縫合針6は第2の縫合針把持手段51に受け渡され、図15のような状態になる。この操作を数回繰り返し行い、専用の器具を用いて縫合糸を結紮、切断することにより欠損部閉鎖術は完了する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係る心臓内縫合装置の平面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施例を示す平面図である。
【図4】図1のA−A’線断面図である。
【図5】図5は図1における基端部分の縦断面図である。
【図6】図1における第1および第2の縫合針把持部を含む先端部分の縦断面図である。
【図7】第1の縫合針把持部の他の実施例を含む先端部分の縦断面図である。
【図8】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図9】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図10】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図11】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図12】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図13】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図14】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【図15】本発明の心臓内縫合装置を用いた縫合手術の説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 第1のシャフト部材
11 第1のシャフト
111 ルーメン
12 コネクタ
13 把持手段収容部
14 切り欠き
2 第2のシャフト部材
21 第2のシャフト
211 ルーメン
22 コネクタ
3 第3のシャフト部材
31 第3のシャフト
311 ルーメン
312 環状突起
33 操作部
4 第1の縫合針把持手段
41 中空部材
411 スリット
42 縫合針挿入口
43 中空部材
431 スリット
432 膨部
44 押圧部材
45 コイルバネ
46 閉鎖部材
5 穿刺部材
51 第2の縫合針把持手段
52 操作ロッド
53 コイルバネ
54 操作部
55 中空部材
551 スリット
552 膨部
553 フランジ
6 縫合針
7 縫合糸
8 内視鏡
DA 欠損孔
T 組織
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から基端に貫通するルーメンを有する第1のシャフトと、該第1のシャフトの先端に同軸上先端から所定長隔てて設けられた第1の縫合針把持手段と、第1のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第1のシャフト部材と;先端から基端に貫通するルーメンを有し前記第1のシャフト部材にスライド可能に挿着された第2のシャフトと、該第2のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第2のシャフト部材と;該第2のシャフト部材にスライド可能に挿着された中空な第3のシャフトと、該第3のシャフトの基端に設けられた操作部、を含んでなる第3のシャフト部材と;前記第3のシャフトの先端に収容配置され該先端から出し入れ可能な第2の縫合針把持手段をその先端に備え、該第2の縫合針把持手段の基端に接続され前記第3のシャフト部材に進退動可能に挿着された中空の操作ロッドをその基端に備えた穿刺部材と;を含み、前記第2のシャフトは第1のシャフトの先端から突出させて前記第1の縫合針把持手段方向にスライド可能であり、該第2のシャフトを前記第1の縫合針把持手段との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、該スライドさせた第2のシャフトの先端まで前記第3のシャフトをスライドさせたときに、前記第1の縫合針把持手段と第2の縫合針把持手段の間で縫合針の受け渡しが可能にされてなる心臓内縫合装置。
【請求項2】
第2の縫合針把持手段は、基端側が第3のシャフトの内径より小さな外径を有し、先端に第3のシャフトの内径より大きな外径を有し基端方向にテーパ状に縮径する膨部が設けられ、該膨部を含む先端側に長手方向の複数のスリットが設けられた、縫合針より僅かに大きな内径を有する可撓性中空部材を含んでなり、操作ロッドを操作して前記膨部を第3のシャフトの中に収納したときに、膨部の内径が圧縮されて縫合針が把持されるようにしてなる請求項1に記載の心臓内縫合装置。
【請求項3】
第3のシャフトのルーメンの先端部分に環状突起を設け、膨部が第3のシャフトに収容されたときに、該膨部の基端方向への移動が阻止されるようにしてなる請求項2に記載の心臓内縫合装置。
【請求項4】
中空部材の基端にフランジを設けるとともに、該フランジと環状突起の間に中空部材を巻くようにコイルバネを収容配置し、該コイルバネの圧縮を伴う操作により前進させた操作ロッドが、コイルバネの弾発力により自動的に後退するようにしてなる請求項3に記載の心臓内縫合装置。
【請求項5】
操作ロッドの基端に操作部を設け、該操作部を第3のシャフト部材の操作部に関して進退動可能にしてなる請求項2〜4のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項6】
第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに小さな内径に形成された可撓性中空部材を含んでなり、該中空部材の先端に縫合針挿入口が設けられるとともに、該中空部材の長手方向に複数のスリットが設けられてなる請求項1〜5のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項7】
第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに大きな内径を有し先端に膨部が形成された可撓性中空部材と、該中空部材の先端側に前記膨部を包囲するように設けられた中空な押圧部材および該押圧部材より基端側に中空部材を巻くように収容配置されたコイルバネを含んでなり、前記中空部材には長手方向に複数のスリットが設けられており、前記押圧部材が中空部材を圧縮する第1の位置から該圧縮を解除する第2の位置まで移動可能にされてなる請求項1〜5のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項8】
心臓内の位置を確認するための視覚手段を取り付けてなる請求項6または7に記載の心臓内縫合装置。
【請求項9】
第1のシャフト部材のコネクタまたは第2のシャフト部材のコネクタに生理食塩水やヘパリンなどを注入するための側注チューブを設けてなる請求項1〜8のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項1】
先端から基端に貫通するルーメンを有する第1のシャフトと、該第1のシャフトの先端に同軸上先端から所定長隔てて設けられた第1の縫合針把持手段と、第1のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第1のシャフト部材と;先端から基端に貫通するルーメンを有し前記第1のシャフト部材にスライド可能に挿着された第2のシャフトと、該第2のシャフトの基端に設けられた止血弁付きのコネクタ、を含んでなる第2のシャフト部材と;該第2のシャフト部材にスライド可能に挿着された中空な第3のシャフトと、該第3のシャフトの基端に設けられた操作部、を含んでなる第3のシャフト部材と;前記第3のシャフトの先端に収容配置され該先端から出し入れ可能な第2の縫合針把持手段をその先端に備え、該第2の縫合針把持手段の基端に接続され前記第3のシャフト部材に進退動可能に挿着された中空の操作ロッドをその基端に備えた穿刺部材と;を含み、前記第2のシャフトは第1のシャフトの先端から突出させて前記第1の縫合針把持手段方向にスライド可能であり、該第2のシャフトを前記第1の縫合針把持手段との間で縫合部位を挟持する位置までスライドさせ、該スライドさせた第2のシャフトの先端まで前記第3のシャフトをスライドさせたときに、前記第1の縫合針把持手段と第2の縫合針把持手段の間で縫合針の受け渡しが可能にされてなる心臓内縫合装置。
【請求項2】
第2の縫合針把持手段は、基端側が第3のシャフトの内径より小さな外径を有し、先端に第3のシャフトの内径より大きな外径を有し基端方向にテーパ状に縮径する膨部が設けられ、該膨部を含む先端側に長手方向の複数のスリットが設けられた、縫合針より僅かに大きな内径を有する可撓性中空部材を含んでなり、操作ロッドを操作して前記膨部を第3のシャフトの中に収納したときに、膨部の内径が圧縮されて縫合針が把持されるようにしてなる請求項1に記載の心臓内縫合装置。
【請求項3】
第3のシャフトのルーメンの先端部分に環状突起を設け、膨部が第3のシャフトに収容されたときに、該膨部の基端方向への移動が阻止されるようにしてなる請求項2に記載の心臓内縫合装置。
【請求項4】
中空部材の基端にフランジを設けるとともに、該フランジと環状突起の間に中空部材を巻くようにコイルバネを収容配置し、該コイルバネの圧縮を伴う操作により前進させた操作ロッドが、コイルバネの弾発力により自動的に後退するようにしてなる請求項3に記載の心臓内縫合装置。
【請求項5】
操作ロッドの基端に操作部を設け、該操作部を第3のシャフト部材の操作部に関して進退動可能にしてなる請求項2〜4のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項6】
第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに小さな内径に形成された可撓性中空部材を含んでなり、該中空部材の先端に縫合針挿入口が設けられるとともに、該中空部材の長手方向に複数のスリットが設けられてなる請求項1〜5のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項7】
第1の縫合針把持手段は、縫合針を把持する部分が縫合針より僅かに大きな内径を有し先端に膨部が形成された可撓性中空部材と、該中空部材の先端側に前記膨部を包囲するように設けられた中空な押圧部材および該押圧部材より基端側に中空部材を巻くように収容配置されたコイルバネを含んでなり、前記中空部材には長手方向に複数のスリットが設けられており、前記押圧部材が中空部材を圧縮する第1の位置から該圧縮を解除する第2の位置まで移動可能にされてなる請求項1〜5のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【請求項8】
心臓内の位置を確認するための視覚手段を取り付けてなる請求項6または7に記載の心臓内縫合装置。
【請求項9】
第1のシャフト部材のコネクタまたは第2のシャフト部材のコネクタに生理食塩水やヘパリンなどを注入するための側注チューブを設けてなる請求項1〜8のいずれかに記載の心臓内縫合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−44556(P2007−44556A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314750(P2006−314750)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【分割の表示】特願2001−305667(P2001−305667)の分割
【原出願日】平成13年10月1日(2001.10.1)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【分割の表示】特願2001−305667(P2001−305667)の分割
【原出願日】平成13年10月1日(2001.10.1)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
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