説明

心血管疾患の治療のための原薬及び多価不飽和脂肪酸エステルのカプセル

心血管疾患の治療及び/又は予防のための、多価不飽和脂肪酸アルキルエステル(PUFA)及び原薬を含むカプセルの形態の医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価不飽和脂肪酸アルキルエステル(PUFA)を含む油に懸濁した、少なくとも1種のポリマー及び1種の原薬を含むポリマー性ミクロカプセルの懸濁液を含むカプセルの形態の医薬組成物並びに心血管疾患の治療及び/又は予防のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
心血管疾患の治療、特に高血圧の治療のために最も使用されている原薬の中に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)及びアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB、アンジオテンシンII受容体拮抗剤)がある。ACE阻害剤及びARBは、レニン−アンジオテンシン系に作用する。ACE阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素を阻害し、アンジオテンシンIのアンジオテンシンIIへの転化を防ぐ。それらは、心不全及び心筋梗塞の治療にも使用されている、非常に有効な降圧剤である。ACE阻害剤の大多数は、その酸が生物学的に活性のある形態であるが、第二級アミノ基に対してα位にあるカルボキシル基がジエチルエステルの形態で投与される。
【0003】
ARBは、動脈中のアンジオテンシンII受容体を遮断してその作用を防ぐことにより作用する。したがって、ARBも高血圧の第一選択治療であり、ACE阻害剤により咳を起こす患者の場合に特にそうである。ARBは、心不全及び糖尿病性腎障害の治療にも利用される。
【0004】
多価不飽和脂肪酸(PUFA)も、心血管事象の予防に公知の有益作用を有し、ある種の心血管エピソードを既に患った患者の併用療法に使用されることが多い。PUFAの降圧作用、血清コレステロールの低下作用、抗高トリグリセリド血症作用、抗不整脈作用、抗血小板作用、及び抗炎症性作用に関して多くの研究がある[Bucher H.C.et al.Am.J.Med.112:298−304(2002);Benatti P.et al.J.Am.Coll.Nutr.23:281−302(2004);Lee J.H.et al.Mayo Clin.Proc.83:324−332(2008);Heinz R.Adv.Ther.26:675−690(2009)]。
【0005】
PUFAは必須脂肪酸であり、食事から得なければならない。それらは、最初の不飽和結合の位置により、オメガ−3脂肪酸及びオメガ−6脂肪酸に分けられる(それぞれ、n−3及びn−6)。エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)などの主要なオメガ−3脂肪酸は魚油中に存在する。PUFAは、トリグリセリドの形態でも、アルキルエステルの形態でも存在することがある。オメガ−3脂肪酸アルキルエステルの市販の組成物は、その純度及び脂肪酸の含量が様々であり、通常EPA及びDHAの含量に関して表されている。
【0006】
PUFAは、その形態のいずれにおいても容易に酸化されるので、不活性雰囲気下で遮光して保存しなければならない。市販の組成物は、劣化を最小限にするために酸化防止剤を含んでいる。
【0007】
上述の医薬降圧剤有効成分の、特にACE阻害剤の高い不安定性も公知である。ACE阻害剤は、3種の劣化を起こし得る:a)内部環化によるジケトピペラジンの形成、b)側鎖のエステル基の加水分解により二価酸を与える反応、及びc)望まれない着色生成物を生み出す酸化。劣化は、液体状態と固体状態のどちらでも起こる。
【0008】
国際公開第2006/050533A2号パンフレット、欧州特許第0317878B1号明細書、米国特許第5442008A号明細書、米国特許第5151433A号明細書、国際公開第2004/064809A1号パンフレット、及び欧州特許第1429748B1号明細書によると、ラミプリルの公知の製剤の不安定性は、機械的応力(圧縮)、製造方法、賦形剤、貯蔵条件、熱、及び水分などの種々の因子により影響を受ける。その結果、分解を最小限にし、上述の劣化生成物(ジケトピペラジン及び二価酸)の形成を避けるために、ラミプリルには非常に制御された製剤条件が必要である。国際公開第2008/000040A1号パンフレット及び国際公開第2008/001184A2号パンフレットによると、異なる賦形剤の選択が、ラミプリル、及びキナプリル、エナラプリル、又はスピラプリルなどの他のACE阻害剤の安定性に影響し、その劣化を加速させることがある。さらに、分解の重大な原因は、製造方法に関連する機械的応力である。
【0009】
米国特許出願公開第2007281000A1号明細書によると、水分の影響を受けやすい原薬の安定性を向上させるために、シラザプリルの場合のコポビドンなど、水捕捉剤化合物を製剤に混合することができる。ホシノプリルは、エステル基及びホスホジエステル基の加水分解劣化を受けやすいために不安定であり、同じことがトランドラプリルのエステル基でも起こる。欧州特許第1906931B1明細書において、これらの2種の有効成分の組成物はジメチコンにより安定化され、その結果、環化、加水分解、及び/又は酸化が防止されている。
【0010】
種々のACE阻害剤が、原薬の製剤化の間に、錠剤の調製過程の間ですら、分解することを確認する多くの例が文献に存在する。この問題は、例えば、酸安定剤の添加により[欧州特許第0264888B1号明細書;欧州特許第0468929B1号明細書;米国特許第4830853A号明細書]、エナラプリル塩の形成[国際公開第01/32689号パンフレット]、メグルミンを加えて[国際公開第2005/041940A1号パンフレット]、ACE阻害剤をアルコール中の金属分散液と混合して[国際公開第04/071526A1号パンフレット]、アルカリ炭酸塩又はアルカリ土類金属の使用による環化又は変色の防止及び糖の使用による加水分解の防止により[米国特許第4743450A号明細書]、又は環化に対する安定剤及び水分調整の手段として酸化マグネシウムを加えて[欧州特許第1083931B1号明細書;国際公開第2008/000040A1号パンフレット]、解決しようと試みられている。
【0011】
安定化賦形剤の添加を利用しない、ACE阻害剤を含む医薬組成物を安定化する手法は、ポリマーコーティングを利用するものであろうが、例えば、凝集体[米国特許第5151433A号明細書]若しくは最終固体組成物中のラミプリルの個別の粒子[国際公開第2006/050533A2号パンフレット]のポリマーコーティング、又は有効成分自体による不活性な核へのコーティング[米国特許出願公開第2005202081A1号明細書]があり、これらは、圧縮の機械的応力及び潜在的に不親和性の賦形剤との有効成分の接触の両方により誘起される劣化を回避するだろう。
【0012】
ARBの数種はやはり製剤の問題を示し、バルサルタンに関する文献[欧州特許第1674080A1号明細書]に記載されている製剤から推測されるものによると水の存在を避けることが必要である。
【0013】
例えば、イルベサルタン、バルサルタン(両者とも嵩だかい粉体)、及びカンデサルタンシレキセチル(粘着性)は、その固体の物性により錠剤又はカプセルへの製剤が非常に困難である[欧州特許第0747050B1号明細書、欧州特許第1774967A1号明細書、国際公開第2008/012372A1号パンフレット]。
【0014】
ロサルタンカリウム塩の懸濁液としての製剤は光の存在下で劣化して、その結果イミダゾール環が破壊される[Seburg R.A.et al.J.Pharm.Biomed.Anal.42:411−422(2006)]。さらに、ロサルタンカリウム塩は非晶性形態では安定でなく、溶解度が低く生理活性が低い結晶性形態に変わる傾向がある。この非晶性形態は、その後の錠剤への製剤にポリマーを使用することにより安定化させることができる[国際公開第2004/064834A1号パンフレット、米国特許出願公開第2006160871A1号明細書]。これは、バルサルタンの場合でも同じである[米国特許出願公開第2007166372A1号、米国特許出願公開第2008152717A1号明細書]。
【0015】
カンデサルタンシレキセチルは、単離されている場合は温度、水分、及び光に関して安定であるが、賦形剤とともに錠剤に製剤されると時間とともに分解する。劣化の主生成物は、誘導体O−デスエチルである。造粒又は高圧成型過程の間に加えられる圧力、摩耗、及び熱により起こるこの劣化は、圧縮の前に、融点の低い油性物質を[欧州特許第0546358B1号明細書]、脂質又はリン脂質を[国際公開第2005/079751A2号パンフレット]、種々の共溶媒を[国際公開第2005/070398A2号パンフレット]、有効成分の吸着物の形成のための炭水化物を[欧州特許第1952806A1号明細書]、水溶性ポリマーを[国際公開第2005/084648A1号パンフレット]、又は非晶性有効成分とともにメタクリレートポリマーを[欧州特許第1997479A1号明細書]、製剤に取り入れることにより低減できる。
【0016】
劣化を促進する圧縮力は、錠剤タイプの固体経口製剤の調製において避けることができない。この種の固体経口製剤に代わるものはゼラチンカプセルである。
【0017】
ゼラチンカプセルは、硬質であれ軟質であれ、原薬をその内部に入れることができるが、その物質が水分又は酸化剤の存在下で分解性又は不安定である場合、有効成分の保護は満足できるものではない。
【0018】
従来のゼラチンカプセルは、基本成分がゼラチンである外層を有し、一般的にこのカプセルは硬質にも軟質にもなり得るが、後者は可塑剤を含んでいる。従来のゼラチンカプセルのコーティングは、厚さと組成が均一な単一の外層からなり、適切な賦形剤と混合された原薬を含む内部を覆っている。軟質ゼラチンカプセルの内容物は通常液体又は半流動体;油、極性液体、ミクロエマルション、懸濁液、蝋、又はコロイドである。水に対する内部の液体の含量は、ゼラチン層を溶かさないように、20%を超えることがない。
【0019】
カプセルの外層は、一成分としてある量の水を含んでいる。しかし、従来のゼラチンカプセルのコーティングに水が存在することは、製剤すべき原薬又はその塩が水溶性であり、水分の存在下で分解性であり、水と接触すると不安定である場合に、深刻な問題となる。実際に、通常の成分及び技術を利用して軟質ゼラチンカプセルを製造すると、製造過程の間であれ、完成したカプセルの貯蔵過程の間であれ、コーティングの水がカプセルの内部に向かう部分的な拡散により、又は有効成分の一部とカプセル壁との接触により、カプセル中に入っている原薬が外層のゼラチン塊(gelatin mass)の水分と接触するのを避けることは不可能である。カプセルの外側コーティングは、水だけでなく、可塑剤、着色剤、乳白剤、及び保存剤などの従来の添加剤を相当な量で含んでいるので、これらの成分と有効成分とに存在しうる不親和性を十分に防止又は制御することも非常に困難である。これらの添加剤は、酸化、劣化、又は加水分解過程を促進することがあり、製剤された有効成分の活性の低下を起こす[欧州特許第0769938B1号明細書]。考慮すべき他の因子は、カプセル内の内容物とゼラチンとに起こりうる化学相互作用であり、これは架橋を促進して、水性媒体へのカプセルの溶解度を低下させることがある(崩壊の速度を遅らせる)。
【0020】
したがって、軟質ゼラチンカプセルは製薬産業において広く使用されているが、その使用は、有効成分が中程度の量の水の存在下で不安定である場合は推奨されない。
【0021】
加水分解を起こしやすい有効成分を軟質ゼラチンカプセルに製剤するこのような困難を克服するために、欧州特許第0769938B1号明細書には、ゼラチン層の下の1層以上の疎水性ポリマー層、並びにカプセルの内部のシリコーン樹脂が記載されている。有効成分は、とりわけ、ACE阻害剤にも、オメガ−3脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)又はドコサヘキサエン酸(DHA)などの抗コレステロール剤にもなり得るが、内部に見いだされ、混合、溶解、懸濁、又はシリコーン樹脂中に結合する。しかし、その方法及び製造装置は、通常のものに関して著しい改造が必要である。
【0022】
脂質を主成分とする製剤が、ある原薬のバイオアベイラビリティを増大させることも公知である。PUFAの使用により有効成分のバイオアベイラビリティを増大させる製剤の例は、文献に記載されており、一般的にはエマルションの形成による。したがって、米国特許第5447729A号明細書において、異なる疎水層と親水層を交互にした、とりわけACE阻害剤でもよい有効成分の粒子のエマルション又は分散液からなる放出系が提案されている。エマルションは、カプセル又は錠剤上に取り込むことができ、その製剤には、リノレン酸、リノール酸、又はアラキドン酸などの長鎖脂肪酸が使用されている。国際公開第2006/135415A2号パンフレットにおいて、エイコサペンタエン酸(EPA)などの酸のナノ粒子により形成されるミクロエマルションの調製が記載されているが、それは、とりわけACE阻害剤又はARBなどの原薬を含む。これら全ての場合においても、水又は製剤の賦形剤との接触は避けられず、多くの有効成分の劣化の原因となる。
【0023】
ACE阻害剤及びARBの劣化を最低限にすることを具体的に目的とする製剤に関する既に議論された例だけでなく、同じ目的を持ち、やはりPUFAを組み入れることのできる製剤の他の例も文献にある。
【0024】
先に述べられたとおり、国際公開第2005/079751A2号パンフレットにおいて、カンデサルタンシレキセチルは、組成物への脂質又はリン脂質の添加により錠剤中で安定化されている。脂質は、リノール酸及び/又はアラキドン酸などの脂肪酸でも、これらのグリセリルエステルでもよい。
【0025】
国際公開第2007/103557A2号パンフレットにおいて、2種以上の原薬を含む組成物における化学的不親和性の問題に対する解決策として、硬質でも軟質でもよいゼラチンカプセル中の成分の物理的分離であって、オメガ−3脂肪酸などの第1の有効成分を1つ以上のカプセルコーティングと共に含み、それらの少なくとも1つがエナラプリルなどの他の有効成分と組み合わされたポリマーからなり、この有効成分を含むコーティングはカプセルから隔離されており、追加のコーティングにより任意に外側から隔離されている物理的分離が提案されている。その製造方法は、もろさ及びゼラチンコーティングに対する水の溶解度のために複雑であり、コーティングの間の堆積の温度及び速度の厳格な制御が必要である。
【0026】
国際公開第2006/081518A2号パンフレットにおいて、複数の有効成分、とりわけ降圧剤の調節放出を達成するために、ポリマー性コーティングと共に、又はなしに、有効成分とイオン交換樹脂との錯体が調製され、アルコール、ポリオール、油、トリグリセリド、又は蝋、とりわけオメガ−3などの非イオン性非水性ビヒクル(「NINA」ビヒクル)に懸濁される。原薬は、錯体の形成が可能になるために、酸性又は塩基性の官能基を含まなくてはならない。さらに、この文書の実施例において、これらの製剤の利用は局所経路のみによる。多量のイオン交換樹脂の投与又は慢性治療におけるそれらの長期使用は、胃腸液のイオン力(ionic force)を変えて、電解質平衡異常を起こすことがあるので、樹脂酸塩を経口投与に使用するのは議論をおこすものである。
【0027】
記載された文献の多くがACE阻害剤及び/又はARBを含む医薬組成物に関連する不安定性の問題を解決する試みを表すが、その技術から発生する問題は、特に水分の存在下でのこれらの医薬組成物の安定性を向上させる必要性である。本発明により提案される解決策は、PUFAのアルキルエステル及び、ポリマーにより隔離されている所望の有効成分のミクロカプセルを組み入れた医薬カプセルである。
【0028】
本発明の主題は、水分、酸化剤、及び/又は外側コーティングの添加剤との間に起こりうる化学相互作用に対してより大きな原薬の保護を与える、カプセルの形態の医薬組成物である。本発明の医薬カプセルは、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)及び/又はアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)など、その不安定性で知られている原薬の簡便な製剤を可能にし、原薬のポリマーコーティングとPUFAのアルキルエステル中のその懸濁液との組み合わせにより与えられる隔離によりその劣化を回避する。
【発明の概要】
【0029】
したがって、本発明は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)及び/又はアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)などの原薬が経口投与用の医薬カプセルに製剤される場合の、その劣化の問題を回避する新医薬組成物に関する。
【0030】
第1の態様において、本発明は、少なくとも1種のポリマー並びにACE阻害剤及びARBにより形成される群から選択される原薬を含むポリマーミクロカプセルの懸濁液を含む医薬カプセルに関し、これらのミクロカプセルは、多価不飽和脂肪酸アルキルエステルを含む油中に懸濁している。ミクロカプセルのポリマーはそれらの外側部分を構成し、カプセル中の原薬に完全なコーティングを提供している。
【0031】
本発明の医薬カプセルにおいて、原薬は、PUFAのアルキルエステルを含む油に懸濁しているポリマーミクロカプセルの内部に存在する。原薬は、ポリマーにより外側媒体及びPUFAのアルキルエステルの両方から隔離されており、ポリマーは胃腸媒体中で容易に崩壊する。本発明の医薬カプセルは、併用療法における原薬の複合投与(joint administration)のみでなく、原薬が、水分及びカプセルコーティング添加剤、並びに外部からの水分及び酸素から隔離されることを可能にする。ポリマーコーティングは原薬に安定性を与え、医薬カプセルの形態の最終組成物の調製過程の間に水分、圧縮、及び高温により起こる劣化生成物の形成を回避する。
【0032】
好ましくは、PUFAのアルキルエステルの脂肪酸はオメガ−3系に属する。好ましくは、PUFAは、とりわけ、(オールシス)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)又はティムノドン酸又はイコサペント(C20:5 n−3)、(オールシス)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸すなわちドコサヘキサエン酸(DHA)又はセルボン酸又はドコネキセント(C22:6 n−3)、及び/又はこれらの混合物、例えばOmacor(登録商標)、Lovaza(登録商標)、又はZodin(登録商標)により形成される群から選択される。好ましい実施形態において、EPA:DHAの関係は、100:0〜0:100の範囲、好ましくは4:1〜1:4の範囲、より好ましくは、1:2〜2:1の範囲になり得る。PUFAは、EPAのみを含むことも、DHAのみを含むこともある。
【0033】
好ましくは、PUFAのアルキルエステルのアルキル基は、1〜8つの炭素原子を持つ短鎖アルキル基により形成される基から選択される。好ましくは、アルキル基は、エチル、メチル、プロピル、ブチル、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択される。より好ましくは、アルキル基はエチル基である。
【0034】
好ましくは、PUFAのアルキルエステルを含む油は、PUFAのアルキルエステルに富んだ油であり、好ましくは、油は50%を超えるPUFAのアルキルエステルを、より好ましくは、60%を超えるPUFAのアルキルエステルを、さらにより好ましくは、85%を超えるPUFAのアルキルエステルを含む。
【0035】
好ましい実施形態において、本発明の医薬カプセルに含まれるPUFAのアルキルエステルの量は、0.01〜4g、好ましくは0.1〜2gである。
【0036】
特別な実施形態において、原薬は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リジノプリル、ベナゼプリル、ホシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、モエキシプリル、シラザプリル、イミダプリル、レンチアプリル、テモカプリル、アラセプリル、デラプリル、モベルチプリル、ゾフェノプリル、ペントプリル、リベンザプリル、ピボプリル、セロナプリル、インドラプリル、テプロチド、これらの薬学的に許容できる塩、及びこれらの酸により形成される群から選択されるが限定されないアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。
【0037】
他の特別な実施形態において、原薬は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、タソサルタン、プラトサルタン、アジルサルタン、サララシン、リピサルタン、エリサルタン、ミルファサルタン、エンブサルタン、フォンサルタン、サプリサルタン、ゾラサルタン、フォラサルタン、ポミサルタン、アビテサルタン、フィマサルタン、N−ベンジル−ロサルタン、エノールタソサルタン、グリシル−ロサルタン、オポミサルタン、トリチル−ロサルタン、サルメシン、イソテオリン、及びこれらの薬学的に許容できる塩により形成される群から選択されるが限定されないアンジオテンシンII受容体遮断剤である。
【0038】
本発明の医薬カプセルのミクロカプセルのポリマーは、タンパク質、多糖類、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリエチレングリコール、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択されるが限定されない。好ましくは、ミクロカプセルのポリマーは、ゼラチン、アルブミン、アルギナート、カラギーナン、ペクチン、アラビアゴム、キトサン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)コポリマー及びβ−ヒドロキシバレレート、ポリ(β−ヒドロキシプロピオネート)、メタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)L及びS)、ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)E)、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RL及びRS)、乳酸及びグリコール酸のポリマー及びコポリマー、乳酸、グリコール酸、及びポリエチレングリコールのポリマー及びコポリマー、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択される。より好ましくは、ポリマーは、メタクリル酸のコポリマー(Eudragit(登録商標)L及びS)、乳酸及びグリコール酸のポリマー及びコポリマー、乳酸、グリコール酸、及びポリエチレングリコールのポリマー及びコポリマー、及び/又はこれらの混合物により形成される。
【0039】
任意に、本発明の医薬カプセルのミクロカプセルのポリマーは、可塑剤添加剤を含むことができる。可塑剤添加剤は、クエン酸のアルキルエステル、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、及びアセチルクエン酸トリエチル、フタル酸エステル、例えば、フタル酸ブチル及びフタル酸ジエチル、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グルコース、スクロース、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸又はパルミチン酸などの脂肪酸の金属塩、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、プロピレングリコールモノステアレート、アセチル化モノグリセリド、例えば、モノアセチル化グリセリン及びグリセリルトリアセテートすなわちトリセチン、グリセリルレシチン、グリセリルモノステアレート、セバシン酸アルキルエステル、例えば、セバシン酸ジブチル又はセバシン酸ジエチル、フマル酸アルキルエステル、コハク酸アルキルエステル、中鎖トリグリセリド(MCT)、リシン油、水素化植物油、蝋、及び/又は混合物により形成される群から選択されるが限定されない。
【0040】
任意に、カプセル化過程を向上又は促進する、ポリマーの他の技術的添加剤も組み入れることができ、例えば、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、グリセリン、ポリエチレングリコール、グリセリンモノステアレート、及び/又はステアリン酸金属塩などの流動化剤がある。
【0041】
任意に、本発明の医薬カプセルは、少なくとも1種の酸化防止剤、例えば、限定はされないが、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、没食子酸プロピルなどの没食子酸エステル、ビタミンE酢酸エステルなどのトコフェロール、パルミチン酸アスコルビル及び酢酸アスコルビルなどのアスコルビン酸エステル、カルニチン、及び/又はこれらの混合物を含む。好ましくは、酸化防止剤はビタミンE酢酸エステルである。
【0042】
特別な実施形態において、ミクロカプセルは、本発明の医薬カプセルの総重量の0.001%〜80%、好ましくは0.01%〜60%、より好ましくは本発明の医薬カプセルの総重量の0.1%〜50%に相当する。
【0043】
これらのミクロカプセルに組み込まれる原薬の量は、重量で1%〜80%、好ましくはミクロカプセルの総重量に対して重量で1%〜60%である。本発明の医薬カプセルに含まれる原薬の総重量は、推奨される1日量により決まる。
【0044】
本発明の医薬カプセルは、硬質カプセルでも軟質カプセルでもよく、ゼラチン又は製薬産業のカプセルの調製における通常のポリマーでできており、制限はされないが、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、化工デンプン、カラギーナン、及び/又はこれらの混合物でできている。好ましくは、それはゼラチンカプセルである。より好ましくは、このカプセルは、軟質ゼラチンでできている。任意に、カプセルは腸溶性コーティングを有する。カプセルコーティングは、可塑剤、着色剤、顔料、乳白剤、保存剤、保湿剤、界面活性剤、甘味剤、及び/又は着香剤などの他の添加剤を含んでよい。カプセルの調製は、製剤産業における通常の手順により実施され、当業者に公知である任意の形態及び大きさでよい。
【0045】
ミクロカプセルの調製は、文献に記載される手順のいずれに従っても実施できる。説明として、それらに限定されることなく、ミクロカプセルを得る種々の手順を以下のセクションで分類できる。
【0046】
A)単純コアセルベーション手順
ポリマー及び使用し得るその添加剤の溶液を適切な溶媒に調製する。このポリマー溶液に、カプセル化すべき原薬を懸濁させ、ポリマーが可溶性でない溶媒を加え、有効成分の結晶へのポリマーの堆積を押し進める。これらの手順の例は、ES2009346A6号明細書、欧州特許第0052510A2号明細書、及び欧州特許第0346879A1号明細書などの文書に見いだすことができる。
【0047】
B)複合コアセルベーション手順
これは、2種のコロイドと反対の電荷との相互作用により不溶性の錯体を発生させ、カプセル化すべき原薬の粒子に堆積させてそれを隔離する膜を形成することに基づいている。これらの手順の例は、英国特許出願公開1393805A号明細書などの文書に見いだすことができる。
【0048】
C)二重エマルション手順
カプセル化すべき原薬を水又は他の補助剤の溶液に溶解させ、ポリマー及び添加剤をジクロロメタンなどの適切な溶媒に溶かした溶液に乳化させる。次に、生じたエマルションを、水又はポリビニルアルコールなどの乳化剤の水性溶液に乳化させる。この第2の乳化が実施されると、ポリマー及び可塑剤が溶けていた溶媒を蒸発又は抽出により除く。生じたミクロカプセルは、濾過又は蒸発により直接得られる。これらの手順の例は、米国特許第4652441A号明細書などの文書に見いだすことができる。
【0049】
D)単純エマルション手順
カプセル化すべき原薬、ポリマー、及び添加剤を共に適切な有機溶媒に溶解させる。この溶液を、水又はポリビニルアルコールなどの乳化剤の溶液に乳化させ、有機溶媒を蒸発又は抽出により除く。生じたミクロカプセルを、濾過又は乾燥により回収する。これらの手順の例は、米国特許第5445832A号明細書などの文書に見いだすことができる。
【0050】
E)溶媒蒸発手順
カプセル化すべき原薬、ポリマー、及び添加剤を共に適切な有機溶媒に溶解させる。この溶液を蒸発させ、生じた残渣を微粒子化して好適な大きさを得ることができ、又は噴霧乾燥により乾燥させる。この手順の例は、英国特許出願公開第2209937A号明細書などの文書に見いだすことができる。
【0051】
本発明の他の態様は、心血管疾患の治療及び/又は予防のための、本発明の医薬カプセルに関する。好ましくは、心血管疾患は、高血圧、心不全、及び心筋梗塞により形成される群から選択される。
【0052】
本発明の他の態様は、心血管疾患の治療及び/又は予防の方法であって、本発明の医薬カプセルの投与を含む方法に関する。好ましくは、心血管疾患は、高血圧、心不全、及び心筋梗塞により形成される群から選択される。
【0053】
本明細書に与えられる以下の具体例は、本発明の性質を説明するのに役立つ。これらの例は説明する目的だけであり、本明細書において特許請求される本発明に対する制限として理解されないものとする。
【実施例】
【0054】
実施例1.単純コアセルベーション手順による、ゼラチンを含むラミプリルミクロカプセルを含む医薬カプセルの調製
【0055】
ゼラチンの1%水溶液を調製した。
【0056】
この溶液100mLをとり、1gのラミプリル粉末をそれに分散させた。次いで、30mLの飽和硫酸ナトリウム水溶液を加えた。混合物を1時間攪拌し、0.5mLの50%グルタルアルデヒド水溶液を加えた。
【0057】
濾過により形成されたミクロカプセルを回収し、水で洗浄し、真空乾燥オーブンで乾燥させた。これらのミクロカプセルのラミプリル含量は35%であった。
【0058】
生じたミクロカプセル粉末を、PUFAのエチルエステルを最低90%含み、EPA/DHA最低含量が85%で比が1.2:1である油に直接分散させた(油100gあたりに得られた719mgのミクロカプセルの懸濁液)。次に、油中のミクロカプセルの懸濁液1.00gを軟質ゼラチンカプセルに組み入れ、カプセルあたり2.5mgのラミプリルの投与量を得た。
【0059】
実施例2.ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)及びビタミンEを含むトランドラプリルミクロカプセルを含む医薬カプセルの調製。単純エマルション法(水中油型)によるミクロカプセルの調製。
【0060】
溶液A:固有粘度(I.V.)が0.17で乳酸/グリコール酸比が1:1である、PLGAの10%ジクロロメタン(DCM)溶液を調製した。
【0061】
溶液B:5gのトランドラプリル及び1gのビタミンE酢酸エステルを、100mLの溶液Aに溶解させた。
【0062】
溶液C:ポリビニルアルコール(PVA)の1%水溶液を調製した。
【0063】
乳白色のエマルションが得られるまで、100mLの溶液Bを、1000mLの溶液Cに激しく攪拌しながらゆっくりと加えた。この攪拌の間、窒素気流を先のエマルションに2時間通して、DCMのほとんどを除いた。その後、得られた懸濁液を凍結し、凍結乾燥した。粉末が得られ、それを大量の水で洗浄して過剰なPVAを除き、減圧下で乾燥させた。
【0064】
得られたミクロカプセル粉末は、31%のトランドラプリルを含んでおり、最低DHA含量が40%でありPUFAのエチルエステルを最低60%含む油に直接分散させた。次に、得られた油中のミクロカプセルの分散液を軟質ゼラチンカプセルに組み入れた。大きさ及びトランドラプリルの投与量が異なるカプセルを調製するのに利用した量を表1に示す。

【0065】
実施例4.三重エマルション法により調製した、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)を含むリジノプリルミクロカプセルを含む医薬カプセルの調製
【0066】
溶液A:固有粘度(I.V.)が0.4dl/gであり、乳酸/グリコール酸比が1:1である5gのPLGAを50mLのジクロロメタン(DCM)に溶解させた。
【0067】
溶液B:1.08gのリジノプリル二水和物を10mLの水に溶解させた。
【0068】
溶液C:ポリビニルアルコール(PVA)の0.5%p/v濃度水溶液を調製した。
【0069】
水相(溶液B)を、Ultra Turraxホモジナイザーを利用してPLGAの溶液(溶液A)に乳化させた(W/Oエマルション)。
【0070】
先に調製したW/Oエマルションを、激しく攪拌しながら1LのPVA溶液(溶液C)に加えた。形成された新しいエマルションを攪拌しながら、窒素気流を50L/分以上の流量で反応器に通してDCMを蒸発させた。細孔径5μmの膜を通す濾過によりミクロカプセルを回収し、大量の水で洗浄して過剰のPVAを除き、凍結乾燥により乾燥させた。
【0071】
得られたミクロカプセル粉末は、16%のリジノプリルを含んでおり、最低EPA/DHA含量が85%で比が1.2:1である、PUFAのエチルエステルを最低90%含む油に直接分散させた(油100gあたりに得られた、1.59gのミクロカプセル懸濁液)。次に、1.00gの油中のミクロカプセル分散液を軟質ゼラチンカプセルに組み入れると、カプセルあたり2.5mgのリジノプリルの投与量を与えた。
【0072】
実施例4.複合コアセルベーション手順により調製した、ゼラチン及びカルボキシメチルセルロースを含むカンデサルタンシレキセチルのミクロカプセルを含む医薬カプセルの調製
【0073】
溶液A:1%のゼラチン水溶液を調製し、pHを7以上に調整した。
【0074】
溶液B:もう1つの1%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を調製し、pHを7以上に調整した。
【0075】
250mLの溶液A及び250mLの溶液Bを混合し、40℃に加熱した。4gのカンデサルタンシレキセチル粉末をこの混合物に分散させた。粉末が全て分散して塊がなくなると、酢酸を加えてpHを4〜4.5に調整した。混合物を40℃で1時間攪拌し、その後溶液を10℃に冷却し、この温度をさらに1時間維持した。2mLの50%グルタルアルデヒド水溶液を加えた。
【0076】
得られた懸濁液を噴霧乾燥により乾燥させると、40%のカンデサルタンシレキセチルを含むミクロカプセル粉末を与えた。
【0077】
このミクロカプセル粉末を、最低EPA/DHA含量が85%で比が1.2:1である、PUFAのエチルエステルを最低90%含む油に直接分散させた。次に、得られた油中のミクロカプセル分散液を軟質ゼラチンカプセルに組み入れた。大きさ及びカンデサルタンシレキセチルの投与量が異なるカプセルを調製するのに利用した量を表2に示す。

【0078】
実施例5.バルサルタンミクロカプセル及びメタクリル酸コポリマーを含む医薬カプセルの調製
【0079】
10gのバルサルタンを、微細懸濁液が得られるまで、100mLのEudragit FS 30D(登録商標)の懸濁液(メタクリル酸、メチルメタクリレート、及びメチルアクリレートコポリマーの30%水中懸濁液)に懸濁させた。5%の濃度まで、クエン酸トリエチルをこの懸濁液に加えた(ポリマー可塑剤)。
【0080】
得られた懸濁液を噴霧乾燥により乾燥させると、22%のバルサルタンを含むミクロカプセル粉末を与えた。
【0081】
得られたミクロカプセル粉末を、最低EPA/DHA含量が45%で比が1.2:1である、PUFAのエチルエステルを最低65%含む油に直接分散させた(油100gあたりに得られた、25.0gのミクロカプセルの懸濁液)。次に、1.00gの油中のミクロカプセル分散液を軟質ゼラチンカプセルに組み入れると、カプセルあたり40mgのバルサルタンの投与量を得た。
【0082】
実施例6.PUFAのアルキルエステルを含む油中のラミプリル、トランドラプリル、リジノプリル、カンデサルタンシレキセチル、及びバルサルタンのミクロカプセル懸濁液を含む軟質ゼラチンカプセルの安定性の試験
【0083】
PUFAのアルキルエステルを含む油中の原薬の懸濁液を含む軟質ゼラチンカプセルに、下記のとおり加速安定性試験(40±2℃、75±5%RH)を実施した:
a)原薬がポリマーコーティングを有さない(対照組成物)。
b)原薬が、先の実施例により調製されたミクロカプセル中にある(本発明の組成物)。
【0084】
カプセル中の原薬のパーセンテージは、アンバーガラス容器中で1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、及び4ヶ月貯蔵後に、HPLCにより測定した。原薬のパーセンテージを表3に示す。
【0085】
PUFAの安定性もガスクロマトグラフィーにより試験したが(EPA及びDHAのアルキルエステルの濃度並びにEPA/DHA比)、組成には変動が全く見られなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリマー並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断剤により形成される群から選択される原薬を含むポリマー性ミクロカプセルの懸濁液を含み、これらのミクロカプセルが多価不飽和脂肪酸アルキルエステルを含む油中に懸濁している医薬カプセル。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、前記多価不飽和脂肪酸のこれらのアルキルエステルがオメガ−3系に属していることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項3】
請求項2に記載の医薬カプセルにおいて、前記多価不飽和脂肪酸のこれらのアルキルエステルが、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項4】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、これらのアルキルエステルのアルキル基が、1から8つの炭素原子を有する短鎖アルキル基により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項5】
請求項4に記載の医薬カプセルにおいて、これらのアルキルエステルのアルキル基が、エチル、メチル、プロピル、ブチル、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項6】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、この油が50%を超える多価不飽和脂肪酸アルキルエステルを含むことを特徴とする医薬カプセル。
【請求項7】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、このアンジオテンシン変換酵素阻害剤が、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リジノプリル、ベナゼプリル、ホシノプリル、スピラプリル、トランドラプリル、モエキシプリル、シラザプリル、イミダプリル、レンチアプリル、テモカプリル、アラセプリル、デラプリル、モベルチプリル、ゾフェノプリル、ペントプリル、リベンザプリル、ピボプリル、セロナプリル、インドラプリル、テプロチド、これらの薬学的に許容できる塩、及びこれらの酸により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項8】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、このアンジオテンシンII受容体遮断剤が、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、タソサルタン、プラトサルタン、アジルサルタン、サララシン、リピサルタン、エリサルタン、ミルファサルタン、エンブサルタン、フォンサルタン、サプリサルタン、ゾラサルタン、フォラサルタン、ポミサルタン、アビテサルタン、フィマサルタン、N−ベンジル−ロサルタン、エノールタソサルタン、グリシル−ロサルタン、オポミサルタン、トリチル−ロサルタン、サルメシン、イソテオリン、及びこれらの薬学的に許容できる塩により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項9】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、これらのミクロカプセルのポリマーが、タンパク質、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリシアノアクリレート、多糖類、ポリエチレングリコール、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項10】
請求項9に記載の医薬カプセルにおいて、これらのミクロカプセルのポリマーが、ゼラチン、アルブミン、アルギナート、カラギーナン、ペクチン、アラビアゴム、キトサン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)とβ−ヒドロキシバレレートのコポリマー、ポリ(β−ヒドロキシプロピオネート)、メタクリル酸コポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートコポリマー、乳酸及びグリコール酸のポリマー及びコポリマー、乳酸、グリコール酸、及びポリエチレングリコールのポリマー及びコポリマー、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項11】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、これらのミクロカプセルが、カプセルの総重量の0.001%〜80%に相当することを特徴とする医薬カプセル。
【請求項12】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、これらのミクロカプセルに組み入れられた原薬の量が、重量で1%〜80%であることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項13】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、これらのミクロカプセルのポリマーが、少なくとも1種の可塑剤、流動化剤、及び/又は酸化防止剤を含むことを特徴とする医薬カプセル。
【請求項14】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、このカプセルのコーティングの組成物が、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、化工デンプン、カラギーナン、及び/又はこれらの混合物により形成される群から選択されることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項15】
請求項14に記載の医薬カプセルにおいて、このコーティングが軟質ゼラチンでできていることを特徴とする医薬カプセル。
【請求項16】
請求項1に記載の医薬カプセルにおいて、このカプセルが腸溶性コーティングを含むことを特徴とする医薬カプセル。
【請求項17】
心血管疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1に記載の医薬カプセル。

【公表番号】特表2013−511480(P2013−511480A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539231(P2012−539231)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007025
【国際公開番号】WO2011/060945
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(511028397)
【氏名又は名称原語表記】GP PHARM,S.A.
【出願人】(512125035)デフィアント ファーマスーティカ,エセ.ア. (1)
【氏名又は名称原語表記】DEFIANTE FARMACEUTICA,S.A.
【Fターム(参考)】