説明

心血管系障害の治療のための併用療法、組成物及び方法

本発明は心血管系障害の治療のための併用療法に関する。特に、本発明は、選択的に長鎖置換された両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤として知られる)、とりわけ、M16αα、M16ββ及びM18γγを、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチンとして知られる)と結合する組成物に関する。本発明の組成物は心血管系障害の治療用、つまり、メタボリックシンドローム又は心血管系障害を罹患している対象のHDLコレステロール濃度を上昇させ、非HDLコレステロール、とりわけトリグリセリドを低下させ、インスリン抵抗性を低下させるために特に用いることができる。本発明はこれらの組み合わせた組成物を用いたこのような障害の治療方法を更に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心血管系障害の治療のための併用療法に関する。特に、本発明は選択的に長鎖置換された両親媒性のカルボン酸塩をHMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチンとして知られる、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害剤)と結合する組成物に関する。本発明の組成物は特に、心血管系障害の治療用に用いられる。本発明はこれらの結合組成物を用いてこのような障害を治療する方法を更に提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願にわたり、米国特許を含む様々な刊行物が、著者、年、及び番号による特許によって引用される。これらの刊行物、特許及び特許出願の全体の開示は、本発明が含む技術の状態をより十分に説明するために本明細書で引用によって本出願に取り込まれる。
【0003】
多くの例においては、2又はそれ以上の治療化合物を用いる併用療法は、医学的状態及び/又は治療下の状態に対する副作用を十分に取り扱うように要求される。従って、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)は様々な他の治療薬とともに用いられて、LDL−Cの低下よりも広範囲の脂質異常を取り扱うことができる。2の脂質低下薬を安全かつ有効に組み合わせることは、総ての脂質異常の全体的な有益な効果を改善し、多数の心血管系疾患(CVD)危険因子を低減させる。
【0004】
心血管系疾患(CVD)は、西欧諸国の男女の第1位の死因であり、次の4の順位の死因の総合よりも多くの生命を毎年奪っている。上昇したLDLコレステロール(LDL−C)が主要なCVD危険因子である。HMG−CoA還元酵素阻害剤はスタチンとしても知られているが、血清コレステロール濃度を有効に低下させ、冠動脈疾患の有無にかかわらず患者の心血管事故及び死亡率を有意に低減する。スタチンによりLDL−Cを低下させることは高リスクな個体用の第1次及び第2次予防プログラムにおいて25−35%ほど主要な冠動脈事故を低減させることが分かった。しかしながら、スタチンの有効性にもかかわらず、それらは、他の危険因子とりわけ高トリグリセリド血症及び低HDLコレステロール(HDL−C)によって、CVD中で決定的な影響が及ぼされるために、大多数(2/3ないし3/4)の異脂肪血症のCVD患者の利益とならない[Libby,J.Am.Coll.Cardiol.46:1225−1228(2005)]。実際に、LDL−Cを低下させることにおけるスタチンの効力と対照的に、スタチンは血漿トリグリセリドを低下させることにおいて、又はHDL−Cを有意に増加させることにおいては、本質的に効力がない。しかしながら、血漿トリグリセリドを低下させること、及び/又は、HDL−Cを増加させることは、フィブラートを用いて、又はニコチン酸を用いて異脂肪血症の患者を治療することによってアプローチされ、その双方はVLDL合成を抑制し、及び/又は血漿トリグリセリドが豊富なリポ蛋白のクリアランスを活性化する。しかしながら、フィブラート/ニコチン酸の活性を低下させるLDL−Cは限定的であり、フィブラートのトリグリセリド低下活性はLDL−Cの増加を伴うため[Sommariva D.EJCP 26:741−744(1984);Davidson MH Clin.Cardiol.29:268−273(2006)]、及び血漿トリグリセリドを低下させることにおける、及び、HDL−Cを増加させることにおける、限定されたスタチンの効力の観点から、異脂肪血症のCVD患者は併用療法を頻繁に要求しうる。このような併用療法はスタチン/フィブラート、あるいはスタチン/ニコチン酸のいずれかからなり、血漿トリグリセリド、LDL−C及び低HDL−Cを標的にするのを目的とする。しかしながら、スタチン/フィブラートを組み合わせた治療モードは、スタチン並びにフィブラートの双方の重大な副作用である、横紋筋融解症を相乗的に与える危険がある[Hodel,Toxicol.Lett. 128:159−168(2002);Bottorff,Am.J.Cardiol.97:27C−31C(2006)]。同様に、ニコチン酸は、血漿グルコースを増加させることにおけるその効力のために、異脂肪血症のインスリン抵抗性患者には禁忌であり、従って、異脂肪血症でインスリン抵抗性/糖尿病のCVD患者のための適切なスタチンを組み合わせた治療モードを提供できない。これらの考察は、LDL−Cの増加、高トリグリセリド血症及び低HDL−Cの全部を標的にすることにおける、単剤療法として有効な薬剤、あるいは代替的に、LDL−C及びフィブラートの横紋筋融解症の危険の増加とニコチン酸によって誘発されるインスリンに対する抵抗性の双方の発生を防止する有効なトリグリセリド低下薬剤と、スタチンを結合する治療モードを求めている。
【0005】
本発明によって示されるように、置換型の長鎖ジカルボン酸(MEDICA剤ともいう)、とりわけその代表例である、3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16ββ)、4,4,15,15−テトラメチル−オクタデカン二酸(M18γγ)、及び2,2,15,15−テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16αα)、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物は、トリグリセリドを低下させることで、HDL−Cを増加させることで、及びインスリンに対する感作で、ヒトにおいて、及び動物モデルにおいて証明された効力の観点からこのような治療モードを提供できる。更に、MEDICA剤はフィブラートの副作用、副作用の増加、横紋筋融解症/筋疾患の危険の発生を防止し、ニコチン酸によって与えられるインスリンに対する抵抗性の発生を防止するように、本発明によって示された。特に本発明により示されたように、M16ββを用いる治療はLDL−Cの増加を生じず、フィブラートの筋疾患の発生を防止する。双方の薬剤がペルオキシソーム増殖因子活性化レセプタα(PPARα)を活性化できるため、この知見は驚くべきことである。更に、本発明者はM16ββを用いた治療がニコチン酸誘発型のインスリン抵抗性の発生を防ぐことを示した。双方の薬剤が脂肪型肥満のイソプロテレノール誘発脂肪分解を抑制するため、この事実は更に驚くべきことである。更に、フィブラート治療中にトリグリセリドの別の潜在的な有益な低下を伴うことができるLDL−Cの有意な増加は、合併型(高トリグリセリド血症−高コレステロール血症の)異脂肪血症の患者の初期のLDL−C濃度を低下させるために、スタチン成分を利用するよりもむしろ、フィブラートの副作用を相殺するのを目的とした、スタチン/フィブラートを結合した治療モードを要求する。対照的に、本発明によってはっきりと実証されるように、本発明によって用いられるMEDICA剤は特に、LDLコレステロールの濃度を低下させ、あるいは、血漿トリグリセリドを低下させる間にそれらが影響されないようにできる。このようにして、MEDICA剤、とりわけM16ββ、M16αα,又はM18γγをスタチンと結合することは、合併型の異脂肪血症の患者用の治療モードの選択肢を提供できる。
【0006】
[MEDICA剤]
MEDICA剤は、血漿リポ蛋白の生成及びクリアランスを調整することに関与する転写制御因子(HNF−4α、FOXO,及びSTAT3)及びタンパク質キナーゼ(AMPK、PKA)を標的とする化学成分からなる。MEDICA剤の代表例であるM16ββは、動物モデルにおいて、及び、ヒトにおいて、HDL−C及び2型糖尿病の回復に伴うインスリンに対する感受性を増加させる間に、血漿トリグリセリドを低下させるのに有効である。MEDICA剤の別の代表例であるM16ααは、動物モデルにおいて、及び、ヒトにおいて、HDL−C及び2型糖尿病の回復に伴うインスリンに対する感受性を増加させる間に、血漿トリグリセリド及びLDL−Cを低下させるのに有効である。
【0007】
従って、本発明の一目的は、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)とを含む結合組成物を提供することである。これらの結合組成物は、LDL−C、ならびにトリグリセリドを低下させる一方で、HDL−C及びインスリンに対する感受性を増加させるのに特に有利である。
【0008】
本発明の別の目的は、心血管系障害(CVD)、特にメタボリックシンドロームのCVD患者の治療のためのこれらの組成物の使用を提供することである。
【0009】
本発明はこのようにして、本発明の結合組成物を用いた心血管系障害(CVD)、特にメタボリックシンドロームのCVD患者の治療のための方法を更に提供する。
【0010】
これらの及び更なる本発明の目的は、説明が進むと明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様においては、本発明は、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との組合せを含む組成物に関する。本発明の組成物は選択的に、少なくとも1の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含む。
【0012】
特に好ましい一様態においては、本発明の組成物は特に、動脈硬化性疾患及びシンドロームX/メタボリックシンドロームのうちのいずれか1つ、あるいは、同様のものを含む状態のいずれかの治療に用いるために適用できる。
【0013】
本発明は更に、治療上有効な量の少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤と、選択的に少なくとも1の追加の治療薬とを、薬学的に許容可能な担体と結合することによって生成される経口医薬品の組成物を更に提供する。
【0014】
第2の態様によると、本発明は、動脈硬化性疾患及びシンドロームX/メタボリックシンドロームのうちのいずれか1つ、あるいは同様のものを含む状態のいずれかの治療の方法に関する。本発明の方法は、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との組合せを含む治療上有効な量の組成物をそれを必要とする対象に投与するステップを含み、前記組成物は選択的に、少なくとも1あるいはの薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含む。
【0015】
第3の態様によると、本発明は、例えば、動脈硬化性疾患及びシンドロームX/メタボリックシンドローム、あるいは同様のものを含む状態のいずれかのような病理学的障害の治療用の薬剤の調製における、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との治療上有効な量の組合せの使用に関する。
【0016】
第4の態様によると、本発明はそれを必要とする対象内で治療効果を得るためのキットに関する。本発明のキットは、(a)第1の単位剤形中の、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、(b)第2の単位剤形中の、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、(c)前記第1及び第2の剤形を収容するための格納手段とを含む。
【0017】
一様態によると、本発明のキットは例えば、動脈硬化性疾患、あるいはシンドロームX/メタボリックシンドローム、あるいは同様のものを含む状態のいずれかのような、病理学的障害を罹患している対象で治療効果を得ることを対象とする。
【0018】
更には、本発明は動脈硬化性疾患又はシンドロームX/メタボリックシンドロームの発生の危険を予防又は低減する治療の方法を提供する。本発明の方法は、本発明によるキットに含まれる治療上有効な量の第1及び第2の単位剤形をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、M16ααがモルモットモデルでトリグリセリド濃度を低下させることを示す。LDL−Cの化学種がある場合、モルモットはヒトのものと同様のリポ蛋白特性を有する単なるげっ歯類モデルである。略記はFrac.Nu.(フラクション数)、Cont.(コントロール)である。
【図2】図2は、M16ααがモルモットモデルでLDLコレステロール濃度を低下させることを示す。略記はFrac.Nu.(フラクション数)、Cont.(コントロール)である。
【図3】図3は、モルモットモデルにおけるリポ蛋白のトリグリセリド特性へのM16αα及びM16ββの効果である。略記はFrac.Nu.(フラクション数)、Cont.(コントロール)である。
【図4】図4は、モルモットモデルにおけるリポ蛋白のコレステロール特性へのM16αα及びM16ββの効果である。略記はFrac.Nu.(フラクション数)、Cont.(コントロール)である。
【図5】図5は、モルモットモデルにおけるリポ蛋白のトリグリセリド特性へのシンバスタチンの効果である。略記はFrac.Nu.(フラクション数)、Cont.(コントロール)である。
【図6】図6は、モルモットモデルにおけるリポ蛋白のコレステロール特性へのシンバスタチンの効果である。略記はFrac.Nu.(フラクション数)、Cont.(コントロール)である。
【図7】図7は、モルモットモデルにおけるトリグリセリド特性へのシンバスタチン、M16αα及びM16ββの効果を比較したヒストグラムである。略記はCont.(コントロール)、Simva.(シンバスタチン)である。
【図8】図8は、モルモットモデルにおけるコレステロール濃度へのシンバスタチン、M16αα及びM16ββの効果を比較したヒストグラムである。略記はCont.(コントロール)、Simva.(シンバスタチン)である。
【図9】図9は、CYP1A2−CEC阻害へのMEDICA剤の効果である。CYP阻害アッセイはヒトcDNA発現のCYPと蛍光原基質とを用いて行われる。増加されたMEDICA剤の量の存在下での蛍光代謝物の生成がモニタリングされた。図9AはM16ααでの治療を示し、図9Bは陽性のコントロール阻害剤であるフラフィリンを示し、図9CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図10】図10は、CYP2B6−EFC阻害へのMEDICA剤の効果である。図1OAはM16ααでの治療を示し、図1OBは陽性のコントロール阻害剤であるトラニルシプロミンを示し、図1OCはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図11】図11は、CYP2C8−DBF阻害へのMEDICA剤の効果である。図11AはM16ααでの治療を示し、図11Bは陽性のコントロール阻害剤であるケルセチンを示し、図11CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図12】図12は、CYP2C9−MFC阻害へのMEDICA剤の効果である。図12AはM16ααでの治療を示し、図12Bは陽性のコントロール阻害剤であるスルファフェナゾールを示し、図12CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図13】図13は、CYP2C19−CEC阻害へのMEDICA剤の効果である。図13AはM16ααでの治療を示し、図13Bは陽性のコントロール阻害剤であるトラニルシプロミンを示し、図13CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図14】図14は、CYP2D6−AMMC阻害へのMEDICA剤の効果である。図14AはM16ααでの治療を示し、図14Bは陽性のコントロール阻害剤であるキニジンを示し、図14CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図15】図15は、CYP3A4−BFC阻害へのMEDICA剤の効果である。図15AはM16ααでの治療を示し、図15Bは陽性のコントロール阻害剤であるケトコナゾールを示し、図15CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図16】図16は、CYP3A4−BQ阻害へのMEDICA剤の効果である。図16AはM16ααでの治療を示し、図16Bは陽性のコントロール阻害剤であるケトコナゾールを示し、図16CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【図17】図17は、CYP3A4−DBF阻害へのMEDICA剤の効果である。図17AはM16ααでの治療を示し、図17Bは陽性のコントロール阻害剤であるケトコナゾールを示し、図17CはM16ββでの治療を示し、略記はC.(濃度)、%M.F.(代謝物形成率)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1987年以前、脂質低下療法(設備)は、飽和脂肪及びコレステロール食餌、コレスチラミン及びコレスチポールのような胆汁封鎖剤(bile sequestrate)、ニコチン酸(ナイアシン)、フィブラート、ならびにプロブコールを低下させることに本質的に限定されていた。不幸なことに、これらの治療の総てが限定された効力又は耐容性、あるいは双方を有していた。現在、最も頻繁に記載されるコレステロール低下薬剤の種類は、HMG−CoA還元酵素阻害剤又はスタチンであり、コレステロール合成に重要な役割を果たす酵素を阻害することによって作用する。スタチンはLDL−Cの濃度を低下させるのに上手く機能し、冠動脈心疾患及び全体の死亡率のそれに応じた低下を証明した。心筋梗塞、血行再建方法、脳卒中、及び末梢血管疾患の減少が更に証明されてきた。スタチンは更に、反応率が高度に予測可能であり、副作用率が低いため、使用するコレステロール低下薬剤のうちで最も簡単なものとして広く受け入れられてきた。往々にして、疼痛又は嘔気がこれらの薬剤を中止する最も共通の理由である。しかしながら、重度の筋又は肝の炎症が生じ、筋痛、筋疾患、及び/又は重篤な横紋筋融解症に進行しうる。よって、これらの薬剤は厳密にモニタリングしなければならない。
【0021】
1987年に紹介された、ロバスタチンは第1のスタチンベースのHMG−CoA還元酵素阻害剤であった。同様の薬剤であるプラバスタチンが、ロバスタチンと更なるメチル基からなる半合成化合物であるシンバスタチンとともに1991年に続いた。更に現在は、フルバスタチン、アトルバスタチン、及びロスバスタチンを含む多様な完全合成型のHMG−CoA還元酵素阻害剤がある。ロバスタチンは不活性なラクトンであり、対応するβ−ヒドロキシ酸に代謝的に変換されたプロドラッグである。これはHMG−CoA還元酵素を阻害する活性代謝物である。ロバスタチン、ならびにシンバスタチン、アトルバスタチン,及びセリバスタチンは総てCYP3A4の基質であり、肝を通る最初の経路に広範に代謝される。他方、フルバスタチンやプラバスタチンのような親水性スタチンはCYP2C9によって代謝されるが、プラバスタチンはCYPによって有意には代謝されず、比較的、筋痛、筋疾患、又は重篤な横紋筋融解症の発生率がない。
【0022】
多くの例においては、2又はそれ以上の治療化合物を用いる併用療法が要求されて、医学的状態、及び/又は治療下の状態に対する物理的な副作用を十分に扱う。このように、HMG−CoA還元酵素阻害剤は様々な他の治療薬とともに用いられて、脂質異常を取り扱うことができる。2の脂質低下薬を安全かつ有効に結合することは、総ての脂質異常に対する全体的な有益な効果を改善し、多数の冠動脈心疾患の危険因子を低下させる。
【0023】
前に示したように、スタチンは2の共通しないが重大な副作用、すなわち、肝酵素の症候性の上昇及び骨格筋異常に関連している。これらの骨格異常は、穏和な筋痛から、筋痛又は脱力感を伴うクレアチンキナーゼの10倍の上昇を示す筋疾患に更にわたりうる。異常は更に重篤な横紋筋融解症に至りうる。スタチンを単独で服用する患者の筋疾患の発生率は、治療人口の0.1ないし0.2%になると見積もられている。横紋筋融解症の有病率はそれよりも低い。
【0024】
筋疾患はスタチンがシトクロムP450(CYP3A4)酵素系にわたってスタチン分解を阻害しうる他の薬剤又は化学物質とともに投与される場合に生じる可能性が高く、これによって、スタチンの濃度が有毒範囲まで上昇する。このように、スタチンがフィブラート、ゲムフィブロジル、ナイアシン等のような他の治療物質とともに投与された場合に、筋障害の発生率が10倍以上増加することが報告された。有害な筋疾患は更に、スタチンがエリスロマイシン、イトラコナゾール、シクロスポリン、及びジルチアゼムとともに投与される場合に更に増加した。更に、グレープフルーツジュース、緑茶、及び他の食材に見られる様々な物質が、CYP3A4の強力阻害剤であり、多くの薬剤の相互作用の原因であることが知られている。
【0025】
上に示されたように、スタチン及びフィブラートは、多くのスタチンがCYP450アイソザイムによって代謝されるという事実の結果として、横紋筋融解症/筋疾患の文脈において、互いに相乗効果を与えることができる。フィブラートはこれらのアイソザイムの一部を阻害でき、それぞれのスタチンの分解/クリアランスを阻害し、その血漿濃度と末期の筋融解を増加させ、死をも導きうる[Nassar,A.E.et al,Drug Discovery Today 9:1020−8(2004)]。最良の報告例は、セリバスタチン(CYP450 2C8によって代謝される)と、ゲムフィブロジル(この特定のアイソザイムを阻害すると思われる)との組合せを扱わなければならない。実施例4によって示されるように、M16αα及びM16ββの双方が、スタチンを代謝するのに関与しうるCYP450アイソザイムを阻害する能力について研究されてきた。それらのどれも各々のCYP450アイソザイムのいずれかのための、又はそれを阻害するための基質として作用するようにならず、このようにして本発明のスタチンを用いて、新規に結合されたMEDICA剤に驚くべき安全性を加える。
【0026】
更に上に示したように、スタチンは総コレステロールと低密度リポ蛋白コレステロール(LDL−C)とを低下させるのに有効であるから、最も処方される。スタチンは、トリグリセリドに対して小ないし中程度の効果、いわゆる「善玉コレステロール(good cholesterol)」である高密度リポ蛋白コレステロール(HDL−C)の濃度を上昇させることに、最小の効果を有することが分かった。ナショナルコレステロール教育プログラム(NCEP)の治療ガイドラインはLDL−Cを、予防のための療法の主要な標的として認知しているが、現在は主要な危険因子として低HDL−C濃度に着目している。
【0027】
上に示したように、スタチンはHDL−Cを増加させるのに有効ではない。しかしながら、ニコチン酸やフィブラートのような様々な他の物質が、「善玉コレステロール」であるHDL−Cの濃度を増加できる。LDL−C及びHDL−Cは主要なコレステロールの担体蛋白質であることに留意すべきである。LDL−Cは肝から体内の肝外組織へのコレステロールの輸送の原因であり、食事供給源から合成又は取得される。HDL−Cは肝外組織から肝への「コレステロール逆輸送(reverse cholesterol transport)」の原因であり、分解され排出される。スタチンと、フィブラート又はニコチン酸とを結合した療法は、複合型の高脂血症の患者の血清脂質特性の改善のためにほぼ不可避である。しかしながら、上述のように、筋疾患又はインスリン非感受性の潜在的な危険はこのような療法の広範な使用を限定してきた。
【0028】
このように、スタチンと、好適な効力を有し、好ましくはコレステロール、トリグリセリド、又は関連する血液化学的性質を低下させ、HDL−C濃度に対し正の効果を有する他の好適な成分との製剤を開発することが所望される。スタチンと結合されうる薬剤はスタチンの、フィブラート又はニコチン酸との組合せによって発現される総ての筋疾患又はインスリン非感受性の副作用を避けるべきである。更に、脂質異常全体を取り扱い、コンプライアンスを増加させるべく単一の丸剤又は剤形におけるこのような物質の製剤を提供することが所望されるであろう。更に、所望されない副作用を除去すべく、治療上有効な低用量で投与されうる結合薬剤の製剤を、スタチン及び他の脂質を扱う物質が与えるのを可能にする形態の剤形を提供することが、所望されるであろう。
【0029】
本明細書中に開示されるのは、HMG−CoA還元酵素阻害剤と、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤とも言われる)と、選択的に少なくとも1の追加の他の治療薬との組合せを含む新規の治療上有効な製剤である。結合製剤は総ての脂質パラメータの有効な効果全体を改善するように設計される。
【0030】
このように、第1の態様においては、本発明は、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤)との組合せを含む組成物に関する。本発明の組成物は選択的に、少なくとも1の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含む。
【0031】
本明細書中で用いられるような「HMG−CoA還元酵素阻害剤(HMG−CoA reductase inhibitor)」という用語は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素経路の阻害剤を含むことを意図する。特にこれらは、3−ヒドロキシラクトン環、又は対応するジヒドロキシ開環酸のいずれかとして存在できる部分を含む化合物の構造の部類である、スタチンを含む。
【0032】
スタチンは、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,444,784号に開示されたシンバスタチン、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,346,227号に開示されたプラバスタチン、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第5,502,199号に開示されたセリバスタチン、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第3,983,140号に開示されたメバスタチン、米国特許第4,448,784号及び米国特許第4,450,171号に開示された、双方が引用によって本明細書中に取り込まれるベロスタチン(velostatin)、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,739,073号に開示されたフルバスタチン、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,804,770号に開示されたコンパクチン、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,231,938号に開示されたロバスタチン、欧州特許出願第738510 A2A号に開示されたダルバスタチン、欧州特許出願第363934 Al号に開示されたフルインドスタチン(fluindostatin)、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,681,893号に開示されたアトルバスタチン、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第5,273,995号に開示されたアトルバスタチンカルシウム、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許出願第20060089501号に開示されたロスバスタチン、及び、引用によって本明細書中に取り込まれる、米国特許第4,450,171号に開示されたジヒドロコンパクチンのような化合物を含む。
【0033】
上述のジヒドロキシ開環部分を有するHMG−CoA還元酵素阻害剤の総ての水和物、溶媒化合物、及び多形結晶形態は「スタチン(statin)」という用語の範囲内に含まれることに留意すべきである。ジヒドロキシ開環酸スタチンの薬学的に許容可能な塩及びエステルは、この用語内に含まれる。
【0034】
スタチンはジヒドロキシ開環酸形中のHMG−CoA還元酵素を阻害する。HMG−CoA還元酵素に対し阻害活性を有する化合物は、当該技術分野において公知のアッセイを用いて容易に同定できる。本明細書中に開示されるように、HMG−CoA還元酵素阻害剤は都合のよいことに、ジヒドロキシ開環酸スタチンになりうる。
【0035】
本明細書中において用いられるように、「水溶性(water solubility)」は、溶解又は水によって可溶化される、少なくとも一部の物質の能力として規定される。このように、本発明で用いられうるジヒドロキシ開環酸スタチンの例は限定しないが、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン(rivastatin)、セリバスタチン、フルインドスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン及びコンパクチンのような物質のジヒドロキシ開環酸形と、薬学的に許容可能な塩及びエステルとを含む。
【0036】
広範な意味において、ジヒドロキシ開環酸スタチンの薬学的に許容可能な塩は、限定しないがナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、及びテトラメチルアンモニウムのようなカチオン塩、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、n−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N−N’ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p クロロベンジル−2 ピロリジン−1’−イル−メチルベンゾイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2 ペンタミン、及びトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタンのようなアミンから形成されるそれらの塩を含み、薬学的に許容可能なエステルは、限定しないがC1−4アルキルと、フェニル、ジメチルアミノ,及びアセチルアミノで置換されるC1−4アルキルとを含む。本明細書中において用いられるように、「C1−4アルキル(C1−4 alkyl)」という用語は1ないし4の炭素原子からなる直鎖又は分岐鎖の脂肪鎖を含む。限定しない例においては、直鎖又は分岐鎖の脂肪鎖はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、及びtert−ブチルのような直鎖又は分岐鎖の脂肪鎖を含む。
【0037】
後の本明細書中に示される、本発明の結合組成物、ならびにその方法、キット、及び使用は、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、及びテトラメチルアンモニウムのうちの少なくとも1つを含む、ジヒドロキシ酸スタチンの塩、ならびに、アンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N.N’ ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−l’−メチルベンゾイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2−ペンタミン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのうちの少なくとも1つを含むアミノ塩の使用を更に包含する。
【0038】
別の様態によると、選択的に長鎖置換された両親媒性のジカルボン酸又はそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物は、本発明の結合組成物で(ならびに本明細書中で後述するように、本発明の治療及び予防方法で、及び本発明のキット中に含まれる剤単位形で)スタチンとの組合せで用いられ、好ましくは式(I)の化合物である。
【0039】
【化1】

【0040】
ここで、R−R12はそれぞれ独立して水素原子、非置換型又は置換型のヒドロカルビル、あるいは低級アルコキシ基を表わし、Qが直鎖の2ないし14の炭素原子からなり、そのうちの1又はそれ以上がヘテロ原子によって置換でき、前記鎖が非活性の置換基によって選択的に置換されるジラジカルを表わし、鎖要素である前記炭素又はヘテロ原子のうちの1又はそれ以上が、環状構造の一部ならびにその薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、無水物、及びラクトンを選択的に形成する。本発明はそのカルボキシル基の生体内での加水分解性官能基の誘導体に更に触れることには留意すべきである。
【0041】
一実施例によると、ヘテロ原子はN、P、O及びSから選択される。
【0042】
別の様態によると、塩は無機又は有機カチオンを有する塩、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩,及び置換アンモニウム塩であり、前記エステルは低級アルキルエステルであり、前記アミドは一及び二置換型であり、前記無水物は前記無水物が低級アルカンの酸を有する無水物であり、及び/又は、前記ラクトンは式(I)の分子中での一方又は双方のカルボキシル基の、1の遊離ヒドロキシ置換基(又は複数の置換基)との環化反応によって形成される。
【0043】
更には、ヒドロカルビルは選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、選択的に置換されたアリル、又は選択的に置換されたアラルキルにできる。
【0044】
別の様態によると、RないしR12の各々は低級アルキルであり、Qは2ないし14の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖である。
【0045】
別の好ましい様態においては、両親媒性のジカルボン酸は、RないしRの各々がメチル基であり、RないしR、及びRないしR12の各々が水素であり、Qが2ないし14の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であるγ,γ−置換型の酸であり、式(II)によって示される。
【0046】
【化2】

【0047】
ここで、nは2ないし14の整数であり(n=10)、本明細書中ではM18γγと呼ぶ。
【0048】
代替的な様態によると、両親媒性のジカルボン酸はα,α−置換型の酸であり、R、R、R11及びR12の各々がメチル基であり、RないしR10の各々が水素であり、Qが6ないし18の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であり、式(III)によって示される。
【0049】
【化3】

【0050】
ここで、ここで、nは6ないし18の整数である。
【0051】
特定の、及び好ましい様態によると、化合物は2,2,15,15−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸である。この化合物は本明細書中ではM2001又はM16ααと呼ぶ。
【0052】
更に別の特定の好ましい様態においては、両親媒性のジカルボン酸はβ,β−置換型の酸であり、前記化合物において、R、R、R、R10の各々がメチル基であり、R、R、R、R、R、R、R11、R12の各々が水素であり、Qが4ないし16の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であり、式(IV)によって示される。
【0053】
【化4】

【0054】
ここで、nは4ないし16の整数である。
【0055】
このような化合物の特定の様態は、3,3,14,14−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸であり、更にM100l又はM16ββと呼ぶ。
【0056】
本発明の結合組成物は、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、及び、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤を、1:0.1ないし1:1000の定量比で含む。いかなる定量比、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:100、1:150、1:200、1:250、1:300、1:350、1:400、1:450、1:500、及びその任意の可能な組合せも用いることができることは理解されるべきである。
【0057】
更に、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)、及び長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤)の異なる濃度の異なる比率の異なる組合せは、異なる障害に用いることができる。好ましい混合物における活性成分の一日量は、1:0.1ないし1:100の定量比で、1日あたり約0.05ないし2000、特に20ないし1000mgの1又は複数のMEDICA剤と、1日あたり約0.05ないし200、特に5ないし100mgの1又は複数のスタチンとを含んでもよい。
【0058】
上のスタチンの遊離基の形態又は他の塩形態は本発明で用いてもよいことは、当業者によって分かるであろう。これらの他の形態、又は遊離基の形態若しくは他の塩形態の前記スタチンについての投与量の計算は、含まれる1又は複数のスタチンの化学種のモル重量に対し、単比例を行うことによって簡単に成し遂げられる。
【0059】
本明細書中に開示されるのは、少なくとも1の治療上活性形態のHMG−CoA還元酵素阻害剤、及び少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤とも呼ばれる)、及び選択的な少なくとも1の追加の他の治療薬を含む治療上の組合せである。追加の治療薬は少なくとも1の脂質異常を扱うことができるようにしてもよい。
【0060】
本発明は従って、特に、MEDICA剤及びスタチン、又はその薬学的に許容可能な塩の安全で非干渉な、付加的で相乗効果的な組合せに関し、これによって、それらの付加的で相乗効果的な組合せは、動脈硬化性疾患、シンドロームX/メタボリックシンドローム、又は同様のモノを含む状態のいずれかのような病理学的障害に罹患する対象を治療するのに有用となる。非干渉の相乗効果的で付加的な本発明の組成物は更に、このような障害の兆候又はサインを呈する対象の治療用に用いられうる。
【0061】
相乗効果的な組合せによって、スタチン及びMEDICA剤の双方の効果が、単独治療として、別個のこれらの化合物のいずれかの投与の治療効果合計よりも大きいことが示される。
【0062】
メタボリックシンドロームは腹部肥満(腹部内及び周囲の過剰な脂肪組織)と、アテローム生成的な脂質代謝異常(動脈壁中の粥腫蓄積を促進する血脂障害、つまり、高トリグリセリド、低HDLコレステロール、高及びLDLコレステロール)と、血圧の上昇と、インスリン抵抗性又は耐糖能障害と、血栓形成促進状態(例えば、血中の高フィブリノーゲン又はプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1)と、炎症促進状態(例えば、血中のC反応性蛋白質の上昇)とを含む、ある人の代謝危険因子の群によって特徴づけられる。メタボリックシンドロームを有する人々は、動脈壁中の粥腫蓄積(例えば、脳卒中及び末梢血管疾患)と2型糖尿病とに関連する冠動脈心疾患及び他の病気の危険性が増加する。
【0063】
特に、本発明の結合組成物は高トリグリセリド血症、高コレステロール血症及び低HDLコレステロール、肥満症、NIDDM(インスリン非依存性糖尿病)、IGT(耐糖能障害)、血液凝固能/血中線維素溶解欠損症及び高血圧症を含む、異常リポ蛋白血症の治療向きである。
【0064】
特に、一様態によると本発明の結合組成物は、それを必要とするヒト対象内の異常リポ蛋白血症の治療向きである。別の様態によると本発明の結合組成物は、それを必要とするヒト対象内の高脂血症の治療のために用いることができる。更に別の様態においては、本発明の結合組成物はそれを必要とするヒト対象内の高血圧症の治療のために用いることができる。更には、本発明の結合組成物はインスリン非依存性糖尿病の発症を、感受性のあるヒト対象内で遅らせるために用いることができる。
【0065】
更に、本発明の結合組成物は、心血管系疾患、脳血管性疾患、及び末梢性血管疾患のような動脈硬化性疾患の治療用に特に用いることができる。
【0066】
本明細書中に開示されるように、アテローム性動脈硬化症は最も多い冠動脈疾患の根底をなし、ひいては現代社会の罹患率及び死亡率の主要因に寄与することは熟考すべきである。
【0067】
アテローム性動脈硬化症は、動脈壁内のコレステロールの蓄積によって特徴づけられる緩徐進行性疾患である。アテローム硬化性のプロセスはLDL−Cが血管壁内に捕捉された時に始まる。LDL−Cの酸化は単球の血管壁に並ぶ内皮細胞への結合を生じさせる。これらの単球はマクロファージに変換される場合に内皮空間内で活性化され転移し、更なるLDL−Cの酸化を導く。酸化されたLDL−Cは泡沫細胞の形成を導くマクロファージ上のスカベンジャ受容体を通して取り込まれる。線維キャップが動脈平滑筋細胞の増殖及び転移を通して生成され、このようにして、アテローム硬化性の粥腫を生成する。アテローム硬化性レギオン(legion)中に蓄積する脂質は、リポ蛋白を含む血漿アポBに主に由来する。これらはカイロミクロン、LDL−C、IDL,及びVLDLを含む。この蓄積は血塊が最終的に形成されるまで、血流を阻害する大きな粥腫を形成し、動脈を閉塞し、心臓発作又は脳卒中を引き起こす。従って、高濃度の総コレステロール(total−C)、LDL−C及びアポリポ蛋白B(アポB)、ならびにHDL−Cの濃度減少がアテローム性動脈硬化症を促進するのに考慮される。心血管系の罹患率及び死亡率は、トリグリセリド、total−C、及びLDL−Cの濃度とともに変化し、HDL−Cの濃度とともに逆位に変化する。
【0068】
冠動脈心疾患は発生率及び重症度が脂質特性、糖尿病の存在、対象の性別によって影響される多因子疾患である。発生率は喫煙及び高血圧症の二次的なものである左室肥大によって影響される。
【0069】
一様態によると、本発明の結合組成物はそれを必要とする対象内のHDLコレステロールの血漿中濃度を上昇させるのに向いている。HDLコレステロールの血漿中濃度は、治療前の濃度と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、あるいは実に少なくとも55又は60%まで増加できる。特にヒト対象について、HDLコレステロールの血漿中濃度は少なくとも30又は40mg/DLより上に上昇しうる。更に、本発明の結合組成物は上述の割合で治療前の濃度より上に、及び/又は30又は40mg/DLより上に、HDLコレステロールの血漿中濃度を維持することに導くことができる。
【0070】
本発明はそれを必要とする対象内のいかなる非HDLコレステロールの血漿中濃度も低下させるためのMEDICA剤/1又は複数のスタチンの結合組成物を提供する。いかなる非HDLコレステロールの血漿中濃度も治療前の濃度と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、あるいは実に少なくとも55又は60%まで低下しうる。
【0071】
本発明はそれを必要とする対象内のLDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるためのMEDICA剤/1又は複数のスタチンの結合組成物を提供する。LDLコレステロールの血漿中濃度は治療前の濃度と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、あるいは実に少なくとも55又は60%まで低下しうる。更にヒト対象について、LDLコレステロールの血漿中濃度は少なくとも190mg/DL未満、少なくとも160mg/DL未満、少なくとも130mg/DL未満、あるいは実に少なくとも100mg/DL未満に低下しうる。更に、本発明の結合組成物は上述の割合で治療前の濃度未満に、及び/又は上述の値未満に、LDLコレステロールの血漿中濃度を維持するのを可能にできる。
【0072】
更に、本発明はそれを必要とする対象内のVLDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるための結合組成物を提供する。VLDLコレステロールの血漿中濃度は治療前の濃度と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、あるいは実に少なくとも30%又は35%まで低下しうる。更に、本発明の結合組成物はこの割合で治療前の濃度未満に、VLDLコレステロールの血漿中濃度を維持するのを可能にできる。
【0073】
更に、本発明はそれを必要とする対象内のコレステロールの血漿中濃度を低下させるための結合組成物を提供する。コレステロールの血漿中濃度は治療前の濃度と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、あるいは実に少なくとも55又は60%まで低下しうる。更にヒト対象について、コレステロールの血漿中濃度は少なくとも240mg/DL未満、あるいは少なくとも200mg/DL未満に低下しうる。更に、結合組成物は上述の割合で治療前の濃度未満に及び/又は上述の値未満に、コレステロールの血漿中濃度を維持するのを可能にできる。
【0074】
更に、本発明のMEDICA剤/1又は複数のスタチンの結合組成物は特に、それを必要とする対象内のトリグリセリドの血漿中濃度を低下させるために用いることができる。トリグリセリドの血漿中濃度は治療前の濃度と比べて、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、あるいは実に少なくとも55%、60%、70%、80%、及び実に90%まで低下しうる。更に更にヒト対象について、トリグリセリドの血漿中濃度は少なくとも200mg/DL未満、あるいは少なくとも150mg/DL未満に低下しうる。更に、結合組成物は上述の割合で治療前の濃度未満に及び/又は上述の値未満に、コレステロールの血漿中濃度を維持するステップを含むことができる。
【0075】
本発明の更なる態様は、インスリン非依存性糖尿病の発症を、感受性のあるヒト対象内で遅らせるのに特に有用な結合組成物に関する。一様態においては、結合組成物はインスリンに対する抵抗性を低下させる。インスリン抵抗性はいくつかの方法を用いて測定できる。別の様態においては、ヒト対象中の絶食時グルコースの血漿中濃度が選択的に126mg/DL又は100mg/DL未満まで低下する。本発明の結合組成物は更にインスリン抵抗性の低下又は絶食時グルコースの血漿中濃度の低下を維持するのを可能にできる。
【0076】
実施例4に示されたように、本発明の結合組成物がシトクロムP450(CYP34A)酵素系にわたるスタチン分解を阻害できないことは認識すべきである。これによって、スタチン濃度は有毒範囲未満に保持される。
【0077】
本発明は更に、薬学的に許容可能な担体を有し、治療上有効な量の少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤)、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤と、選択的な少なくとも1の追加の治療薬とによって生成される経口医薬品の組成物を更に提供する。HMG−CoA還元酵素阻害剤、及びMEDICA剤、及び選択的な追加の治療薬が腸溶剤形中に調剤される場合、患者に対する経口投与後の化合物の剤形からの実質的な放出は、剤形が胃を通って通過するまで遅延される。
【0078】
生体異物の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物のいずれか、及び、本発明の経口組成物のために用いられるHMG−CoA還元酵素阻害剤のいずれかは、本発明により規定されるようなものであることは理解すべきである。特に、これらの長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩は、代表例である3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16ββ)、2,2,15,15−テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16αα)及び、4,4,15,15 テトラメチル−オクタデカン二酸(M18γγ)である。
【0079】
生体異物(xenobiotic)の物質(xenos:客員種(stranger)/異物種(foreign)及びbios:生命(life)という、ギリシャ語に由来)は、有機体内に見られるが、標準では生成されず、有機体内に存在することが期待されない物質であることに留意すべきである。それは、通常よりもより高濃度で存在する物質を更に包含してもよい。
【0080】
本発明の結合組成物は一般的に、当該技術分野に知られるような緩衝剤、その重量オスモル濃度を調整する薬剤、ならびに選択的に、1又はそれ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、及び/又は添加剤を含む。補助的な活性成分が組成物内に更に組み込まれてもよい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、その好適な混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒にできる。固有の流動性は、例えばレシチンのようなコーティングの使用によって、分散系の場合に要求される粒子サイズの維持によって、及び界面活性物質の使用によって維持できる。
【0081】
本明細書中において用いられるように、「薬学的に許容可能な担体(pharmaceutically acceptable carrier)」は、いずれか及び総ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤等を含む。薬学的な活性物質用のこのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において公知である。いくつかの従来の媒体又は薬剤が活性成分と適合しないことを除けば、治療上の組成物におけるその使用が考えられる。
【0082】
本発明の結合組成物のいずれかが、シンドロームX/メタボリックシンドローム、あるいは同様のもの及び動脈硬化性疾患を含む状態のいずれかの予防又は治療用のものであることに留意すべきである。
【0083】
第2の態様によると、本発明は病理学的障害の治療方法に関する。本発明の方法は、少なくとも1の生体異物の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤)、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤)との組合せを含む治療上有効な量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記組成物は選択的に少なくとも1の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含む。
【0084】
特に、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、いずれのスタチン、例えば、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、セリバスタチン、フルインドスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、コンパクチン、及びその薬学的に許容可能な活性塩にできる。
【0085】
別の様態によると、長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミドは、本発明によって規定される化合物、特に、それらの代表例である、3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16ββ)、2,2,15,15−テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16αα)、及び4,4,15,15−テトラメチル−オクタデカン二酸(M18γγ)のいずれかにできる。
【0086】
更に別の特定の様態においては、本発明の方法によって用いられる組成物は、1:0.1ないし1:1000の定量比で、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸と、少なくとも1の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤)とを含んでもよい。
【0087】
更には、本発明の方法によって用いられるMEDICA剤/1又は複数のスタチンの結合組成物は、少なくとも1の治療薬を含んでもよい。
【0088】
一様態によると、本発明の方法は、動脈硬化性疾患、シンドロームX/メタボリックシンドローム、又は同様のものを含む状態のいずれかのような、病理学的障害の治療用である。
【0089】
特に、本発明の方法は高トリグリセリド血症、高コレステロール血症,及び低HDLコレステロールによって特徴づけられる異常リポ蛋白血症の治療に特に向いている。本発明の方法は、肥満症、NIDDM(インスリン非依存性糖尿病)、IGT(耐糖能障害)、血液凝固能/血中線維素溶解欠損症、及び高血圧症の治療のために更に用いてもよい。
【0090】
特定の様態によると、本発明の方法は心血管系疾患、脳血管性疾患、及び末梢性血管疾患のような動脈硬化性疾患の治療のために用いてもよい。
【0091】
いくつかの様態においては、本発明はそれを必要とするヒト対象内のHDLコレステロールの血漿中濃度を上昇させるための方法を提供する。
【0092】
別の様態においては、本発明はそれを必要とするヒト対象内の非HDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるための方法を提供する。
【0093】
別の様態においては、本発明はそれを必要とするヒト対象内のLDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるための方法を提供する。
【0094】
更なる様態においては、本発明はそれを必要とするヒト対象内のトリグリセリドの血漿中濃度を低下させるための方法を提供する。
【0095】
更なる様態においては、本発明はそれを必要とするヒト対象内のVLDL−コレステロールの血漿中濃度を低下させるための方法を提供する。更に、それを必要とするヒト対象内の総コレステロールの血漿中濃度を低下させる方法が提供される。
【0096】
更に、それを必要とするヒト対象内のインスリン抵抗性及び高血圧症を低下させるための方法が提供される。
【0097】
「患者(patient)」又は「必要とする対象(subject in need)」によって、上述の状態によって影響を受け、本明細書中に記載の治療及び診断方法が所望される、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、マウス及びネコ対象を含むいずれかのほ乳類が意図される。好ましくは前記患者はヒトである。薬剤の組合せの患者への投与は、自己投与及び別の人による患者への投与の双方を含む。
【0098】
別の特定の様態によると、本発明によって用いられる活性成分、あるいはその組合せを含む組成物は、いずれの投与モードを介して投与されてもよい。例えば、経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、非経口、経皮、腟内、鼻腔内、粘膜、舌下、局所、直腸、又は皮下投与、あるいはそのいずれかの組合せがある。
【0099】
治療製剤は、いずれかの従来の用量の製剤で投与できる。製剤は上に規定されたように、その1又はそれ以上の許容可能な担体とともに少なくとも1の活性成分を含む。
【0100】
上に示したように、本発明の結合組成物は好ましくは経口で投与できる。即時療法で用いられる活性結合薬剤の化合物は、限定しないが、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、及び乳剤を含む、様々な経口形態で投与できる。活性薬剤の化合物はいずれかの薬学的に許容可能な経路によって、及び、いずれかの薬学的に許容可能な剤形で送達されうることは考慮される。これらは限定しないが、経口の従来の急速放出型、時間制御放出型、及び遅延放出型の医薬品剤形の使用を含む。活性薬剤成分は、好適な薬学上の希釈剤、賦形剤,又は担体(本明細書中では意図した投与形態に対して好適に選択された「担体(carrier)」物質とまとめて呼ばれる)との混合物で投与されうる。示されたように、経口投与は有効に用いられうることに配慮される。従って、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等ならびに従来の医薬品治療と一致する他の様式を用いてもよい。
【0101】
経口投与が錠剤又はカプセル剤の形態である例において、活性薬剤成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、修飾化糖、加工デンプン、メチルセルロース及びその誘導体、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、ならびに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム等の他の還元及び非還元糖のような、無毒性の薬学的に許容可能な非活性の担体と結合できる。液体形態の経口投与用に、活性薬剤成分はエタノール、グリセロール、水等のような無毒性の薬学的に許容可能な非活性の担体と結合してもよい。所望又は要求される場合には、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤、ならびに着色及び香味剤を混合物内に更に取り込んでもよい。抗酸化剤、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、メタ重亜硫酸カルシウム、ヒドロキノン、及び7−ヒドロキシクマリンのような安定化剤は剤形を安定化するために更に添加してもよい。他の好適な化合物はゼラチン、甘味剤、アカシア、トラガント、又はアルギン酸塩のような天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、グリコール、ろう等を含んでもよい。
【0102】
代替的に、本発明の結合組成物は徐放又は急速放出型の製剤のような制御放出型製剤で更に投与してもよい。本発明の組合せのこのような制御放出型製剤は、当該技術分野に公知の方法を用いて調整することができる。投与の方法は、対象の状態及び要求の評価後にかかりつけの医師又は当該技術分野の他の当業者によって決定されるであろう。
【0103】
非経口投与の目的のために、ゴマ又はピーナッツ油の、あるいは水溶性プロピレングリコールの溶液は、対応する水溶性の塩の無菌水溶液と同様に用いてもよい。必要に応じて、このような水溶液は好適に緩衝処理され、液体希釈剤は最初に十分な生理食塩水又はグルコースと等浸透圧で与えられる。これらの水溶液は静脈内、筋肉内、皮下,及び腹腔内注射の目的に特に好適である。この結合においては、用いられる無菌水溶性媒体は当該技術分野の公知の標準的な技術によって総て容易に得られうる。一定量の活性成分を用いて様々な医薬品組成物を調製する方法は既知であり、本開示を踏まえると、当該技術分野の当業者に明らかであろう。
【0104】
別の態様によると、本発明は動脈硬化性疾患が発生する危険を予防又は低減するための方法を更に提供する。このような方法は、動脈硬化性疾患が発生する危険のある個体に対する、予防的な有効量の本発明のMEDICA剤/1又は複数のスタチンの結合組成物及びこのような組成物内に含まれる活性成分の投与を含む。心血管系疾患は脳血管性疾患又は末梢性血管疾患を含んでもよい。
【0105】
「予防的な有効量(prophylactically effective amount)」という用語は、研究者、獣医師、医学博士又は他の臨床医によって、組織、系、動物又はヒトで予防しようと努力される生物学的又は医学的発症の発生又は再発を防ぐ、その医薬品結合組成物の量を表わすことを意図している。
【0106】
投与量を決定するのに用いられうる標準的な動脈硬化性疾患因子の限定されない例は、高血圧症、喫煙、糖尿病、低濃度の高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール、及びアテローム硬化性心血管系疾患の家族歴のような既知の危険因子を含む。上述の危険因子のうちの1又はそれ以上を有すると同定される人々は、動脈硬化性疾患を発生する危険があると見なされた人々の集団に含まれるように意図され、ひいては、予防的な本発明の方法によって治療されうる。上述の危険因子のうちの1又はそれ以上を有すると同定される人々は、アテローム性動脈硬化症を有する人々と同様にして、動脈硬化性疾患発症が発症する危険があると見なされた人々の集団に含まれるように意図される。
【0107】
「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」という用語は、研究者、獣医師、医学博士又は他の臨床医によって求められている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発するであろうその薬剤又は医薬品の量を表わすことを意図している。
【0108】
更に別の様態においては、好ましい結合組成物における活性成分の一日量は1日につき約0.05mg/kg体重ないし20.0、好ましくは0.10乃至8.0、0.20ないし6.0、0.30乃至5.0mg/kgであってもよい。特定の様態によると、有効量は好ましくは、1:0.1ないし1:100の定量比で、1日につき0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、及び500mgの1又は複数のMEDICA剤と、1日につき約0.05ないし1000、好ましくは5ないし200mgの1又は複数のスタチンとのうちのいずれか1つにできる。これらのMEDICA剤及び1又は複数のスタチンの有効量は好ましくは、剤単位形内に含まれる。更に、本発明による結合組成物の投与は周期的にでき、例えば、周期投与は1日に2回、1日に3回、又は少なくとも約3日ないし3月間、1日に1回行ってもよい。低容量の利点は当該技術分野の当業者に明らかである。これらはとりわけ、副作用の危険の低下特に長期間の使用においては、治療に対し脱感作される患者の危険の低下を含む。
【0109】
他の有害な徴候の治療はMEDICA剤/1又は複数のスタチンの結合組成物を用いて誘起するが、少なくとも1日ないしほぼ生涯の治療を続けられることに留意すべきである。別の様態においては、本発明の結合組成物を用いた治療は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、30、60、90日の治療を続け、生涯の治療に進んで誘起される。
【0110】
異なる状態の治療は異なる用量又は異なる時間の使用を示し、これらは当業者のかかりつけの医者に明らかであることは留意すべきである。
【0111】
本発明で提供される治療及び予防方法については、数日ないし数月、あるいは、治癒が誘起される、又は、疾病状態の減少が得られるまで続く治療の過程に伴い、前記治療上有効な量又は用量は重症度及び治療すべき疾病状態の応答性に依存することに更に留意すべきである。最適な投与スケジュールは患者の体内の薬剤蓄積の測定値から計算できる。当業者は最適な用量、投与方法及び反復率を容易に決定できる。一般的には、用量は体重によって計算され、1日、1週、1月又は1年に1回以上、あるいは実に2ないし20年に1回与えられてもよい。当該技術分野の当業者は、体液又は組織中での本発明の結合組成物の残留時間及び濃度の測定に基づく、投与の反復率を容易に測定できる。治療の成功に続き、患者は疾病状態の再発を予防するための維持療法を受けることが所望され、本発明の結合組成物は1日に1回以上、維持用量を投与される。
【0112】
別の態様によると、本発明は、例えば心血管系障害、シンドロームX/メタボリックシンドローム、又は同様のものを含む状態のいずれかのような、病理学的障害の治療用の薬剤の調製において、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との治療上有効な量の組合せの使用に関する。
【0113】
一様態によると、1の活性成分として用いられるHMG−CoA還元酵素阻害剤は、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、セリバスタチン、フルインドスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、コンパクチン、及びその薬学的に許容可能な活性塩からなる群から選択できる。
【0114】
別の様態によると、本発明によって用いられる長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミドは、本発明によって規定される化合物のいずれか、特に、その代表例である、3,3,14,14 テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16ββ)、2,2,15,15 テトラメチル−ヘキサデカン二酸(M16αα)、及び4,4,15,15 テトラメチル−オクタデカン二酸(M18γγ)のうちの1つにできる。
【0115】
別の様態によると、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、及び少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤という双方の活性成分が1:0.1ないし1:1000の定量比で本発明により用いることができる。
【0116】
別の特定の様態によると、本発明は選択的に、薬剤の調製用に少なくとも1の追加の治療薬を更に用いてもよい。
【0117】
一様態によると、本発明の薬剤は異常リポ蛋白血症(高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLコレステロール)、肥満症、NIDDM(インスリン非依存性糖尿病)、IGT(耐糖能障害)、血液凝固能/血中線維素溶解欠損症、及び高血圧症のうちの少なくとも1つの治療に特に有用である。
【0118】
別の様態においては、本発明による使用によって調製された薬剤は、心血管系疾患、脳血管性疾患,又は末梢性血管疾患のような動脈硬化性疾患の治療のために特に用いることができる。
【0119】
本発明の結合化合物は、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を伴う、本発明の化合物と、選択的に更なる治療薬との双方を含む医薬品組成物の形態で一般的に投与される。従って、本発明によって用いられる化合物は、キット中で独立して、又は、従来の経口、非経口、又は経皮剤形中で一緒に投与されてもよい。
【0120】
特に、本発明は別個に投与できる活性成分の組合せを用いた疾病及び状態の治療に関するため、更なる態様として、本発明はキット形態の中の別個の医薬品組成物を組み合わせることにも関する。キットは、長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩(MEDICA剤)、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物、及び、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)、あるいはその薬学的に許容可能な塩という、2の別個の医薬品組成物を含む。キットは、分割されたボトル又は分割されたフォイルパケット(foil packet)のような、双方の別個の組成物を含むための格納手段を含むが、別個の組成物は単一の分割されない格納手段に更に含まれうる。一般的に、キットは別個の成分の投与方法を含む。キット形態は別個の成分が異なる剤形(例えば、経口及び非経口)で好ましくは投与され、異なる投与間隔で投与され、組合せの別個の成分の用量設定が処方する医者によって所望される場合に特に有利である。
【0121】
一様態によると、本発明のキットは動脈硬化性疾患、シンドロームX/メタボリックシンドローム、又は同様のものを含む状態のいずれかのような病理学的障害に罹患した対象で治療効果を得ることに向いている。
【0122】
治療効果を得ることは、例えば、アテローム硬化性状態の進行を遅くすることを意味している。
【0123】
更には、本発明によりキット中に含まれる治療上有効な量の第1及び第2の単位剤形を、それを必要とする対象に投与するステップを含む病理学的障害の治療方法を、本発明は提供する。
【0124】
第1の剤形中のMEDICA剤、及び第2の剤形中の異なるスタチンというキットの双方の成分が同時に投与できることは理解すべきである。
【0125】
代替的に、前記第1の化合物又は剤形、及び前記第2の化合物又は剤形は各順で順番に投与される。
【0126】
本発明は更に、本発明のキットに含まれる予防的な有効量の第1及び第2の単位剤形の、動脈硬化性疾患を発生する危険がある人々への投与を含む、動脈硬化性疾患を発生する危険を予防又は低減するための方法を提供する。
【0127】
開示及び記載してきたように、このようなプロセスのステップ及び物質はいくらか変えることができるため、本発明は、本明細書中に開示された特定の実施例、プロセスのステップ及び物質に限定されないと理解すべきである。更に、本発明の範囲は添付の請求項及びその等価物によってのみ限定されるため、本明細書中で用いられた用語は特定の様態を記載する目的のためだけに用いられ、限定することを意図していないことは理解すべきである。
【0128】
本明細書及び添付の請求項中に用いたように、「a(ある)」、「an(ある)」、「the(その)」といった単数形態は、内容がその他に明らかに指示されない限りにおいては、複数の対象を含むことに留意しなければならない。
【0129】
本明細書及び後の請求項にわたり、内容がその他のことを要求しない限りにおいて、「含む(comprise)」という単語、及び「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」のような変化形は、一定の整数又はステップ、あるいは、その他の整数又はステップを排除しない整数又はステップの群、あるいは整数又はステップの群を含むことを意味すると理解できるであろう。
【0130】
以下の実施例は本発明の態様を実行する際に、発明者によって用いられた技術の代表例である。これらの技術は本発明の実行に好ましい様態の例示であるが、本開示を踏まえて、多数の変形が本発明の精神及び意図された範囲から離れることなくなしうると当該技術分野の当業者が認識することは、理解すべきである。
【0131】
[実施例]
[実験手順]
更なる生成なく、前の記載内容を用いて当該技術分野の当業者が本発明をその最大範囲まで利用できることは分かるであろう。従って以下の好ましい特定の様態は、単なる例示と解釈すべきであり、いずれの方法でも請求項の発明を限定すべきではない。
【0132】
本明細書中で特に記載されていない、当該技術分野で既知の標準的な分子生物学プロトコルは一般的には、「Sambrook et al.,Molecular cloning:A laboratory manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New−York(1989,1992)」及び「Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1988)」に実質的に従う。
【0133】
本明細書中で特に記載されていない、当該技術分野で既知の標準的な有機合成プロトコルは一般的には、「Organic syntheses:Vol.1−79,editors vary,J.Wiley,New York,(1941−2003)」、「Gewert et al.,Organic synthesis workbook,Wiley−VCH,Weinheim(2000)」及び「Smith&March,Advanced Organic Chemistry,Wiley−Interscience;5th edition(2001)」に実質的に従う。
【0134】
本明細書中で特に記載されていない、当該技術分野で既知の標準的な医薬品化学的方法は一般的には、様々な著者及び編者による、Pergamon Press社で刊行された「Comprehensive Medicinal Chemistry」のシリーズに実質的に従う。
【0135】
[試験されたMEDICA剤]
M16αα(M2001) − 2,2,15,15−テトラメチル−ヘキサデカン二酸:モル重量 − 342、バッチ番号 − 04/00100、純度 − 99.8 %と、M16ββ(M1OOl):モル重量 − 386、バッチ番号 − 04/00200、純度 − 99.3%であり、双方が、SyndromeX社(イスラエル国エルサレム)によって供給された。
【0136】
[試験されたスタチン]
*シンバスタチン − Sigma社から購入
*アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン
【0137】
[CYP阻害キット]
本発明者によって用いられたCYP阻害キットは、BD Gentest社(米国ウォーバーン市)から入手された。
【0138】
[蛍光原物質]
CYP1A2及びCYP2C19:3−シアノ−7−エトキシクマリン(CEC)
CYP2B6:7−エトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン(EFC)
CYP2C8:ジベンジルフルオレセイン(DBF)
CYP2C9:7−メトキシ−4 −トリフルオロメチルクマリン(MFC)
CYP2D6:3[2−(N,N−ジエチル−N−メチルアミノ)エチル]−7−メトキシ−4−メチルクマリン(AMMC)
CYP3A4:(a)7−ベンジルオキシ−トリフルオロメチルクマリン(BFC),(b)7−ベンジルオキシキノリン(BQ),(c)ジベンジルフルオレセイン(DBF)
【0139】
[陽性のコントロール阻害剤]
CYP1A2:フラフィリン
CYP2B6:トラニルシプロミン
CYP2C8:ケルセチン
CYP2C9:スルファフェナゾール
CYP2C19:トラニルシプロミン
CYP2D6:キニジン
CYP3A4:ケトコナゾール
【0140】
[原液]
[蛍光原基質]
蛍光原基質用の原液は以下の濃度:CYP1A2及びCYP2C19 − CEC:20mM、CYP2B6 − EFC:25mM、CYP2C8及びCYP3A4 − DBF:2mM、CYP2C9 − MFC:150mM、CYP2D6 − AMMC:10mM、CYP3A4 − BFC:50mM、CYP3A4 − BQ:64mM、でアセトニトリル中に生成された。
【0141】
[MEDICA剤]
1OnM原液のM16αα又はM16ββがメタノール中に溶解することによって調製された。MEDICA剤のスパイキング(spiking)希釈(8のハーフログ(half−log)希釈 − 100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.411、0.137及び0.0457μM)がIC50を決めるために用いられた。各ウェルでのメタノールの最終濃度は1%であった。
【0142】
[陽性のコントロール阻害剤]
各標準阻害剤用の第1のストックが、メタノール中で調製された。フラフィリン(CYP1A2)、トラニルシプロミン(CYP2B6)、ケルセチン(CYP2C8)、スルファフェナゾール(CYP2C9)、トラニルシプロミン(CYP2C19)、キニジン(CYP2D6)、及びケトコナゾール(CYP3A4)のスパイキング原液がそれぞれ、5、10、10、0.5、5、0.025、及び0.25mMの濃度でメタノール中に調製された。各ウェルのメタノールの最終濃度は1%であった。
【0143】
[停止試薬]
CYP阻害反応は75μL(組成物:72mLのアセトニトリル+18mLの0.5Mトリス基剤)の停止試薬を用いて所定の時点で停止された。DBFが蛍光原基質(CYP3A4及びCYP2C8)として用いられた場合の阻害においては、75μLの2Nの水酸化ナトリウム溶液が停止試薬として用いられた。
【0144】
[動物及び治療]
モルモット(400−500g)がHarlan社(イスラエル国)又はHarlan社(オランダ国)から入手された。動物は特定の治療期間中1%のCMCで示されるように、Medica 16αα、Medica 16ββ及びシンバスタチンを用いた胃管栄養法によって治療された。治療期間中、動物は毎日計量され、観察された。
【0145】
[血漿トリグリセリド(TG)及びコレステロール]
非絶食のモルモットは、ケタミン(75mg/kg体重)及びキシラジン(6mg/kg体重)で麻酔され、続いて2%のリドカインの腹部の皮下注射をした。麻酔動物はEDTAを含む管で採血された。血漿カイロミクロンは、遠心分離(20分、30Krpm、TST55.5 rotor)によって除去された。血漿TGはRoche社/Hitachi社のキットによってアッセイされた。血漿コレステロールは血漿コレステロールはRoche Diagnostic社のキットによってアッセイされた。
【0146】
[血漿リポ蛋白の分析及びその組成物(KBr勾配)]
カイロミクロンのない血漿が連続的なKBr勾配の遠心分離(24時間、40Krpm、SW41 rotor)を受け、続いて0.5mlの割合で勾配管を分割した。各分画のTG、コレステロール、及び蛋白が上述のように測定された。
【0147】
[蛍光定量的な阻害アッセイを用いたM16αα及びM16ββによるシトクロムP450の阻害の分析]
阻害アッセイは96ウェルのプレートで行われた。各アイソザイムのために、96ウェルのプレート内で10分間37℃で、Cofactor Mix[NADPH再生系(NRS)]を用いて、異なる濃度(ハーフログ希釈)でプレインキュベートされた。反応は適した酵素−基質混合物を添加することによって開始された。蛍光代謝物の生成は(異なるアイソザイムに対して異なる)所定の時点で停止試薬を用いた反応の停止後に測定された。CYP3A4について、3の異なる蛍光発生的な基質が阻害アッセイで試験された。各実験は二組(N=2)で行われた。最終インキュベーションの組成物及び酵素−基質の調製は、表1及び2に示す。
【0148】
阻害剤なしのコントロールはMEICA剤が使われなかったことを除いては、同様に行われた。バックグラウンド蛍光に対する補正は、停止試薬のNRS(NADP+試薬系)混合物への添加から生じる蛍光を各データ点から減算することによって行われ、酵素−基質混合物の添加が続いた。試験項目がアッセイ状態下で蛍光を発するポテンシャルは、試験項目がNRS内へスパイキングされる以外は、上と同様に評価された。
【0149】
異なるCYPの標準的なコントロール阻害剤は、M16αα及びM16βと同様の方法で同時に試験された(CYP1A2に対しフラフィリン、CYP2B6及びCYP2C19に対しトラニルシプロミン、CYP2C8に対しケルセチン、CYP2C9に対しスルファフェナゾール、CYP2D6に対しキニジン、及びCYP3A4に対しケトコナゾール)。
【0150】
蛍光は、蛍光プレートリーダであるTecan社のinfinity M200を用いて測定された。各アイソザイムについての励起及び発光波長は表1に要約される。
【0151】
蛍光の生成で試験項目の濃度を増加する阻害効果が決定され、IC50が生成された。蛍光代謝物の形成中の阻害率は阻害剤なしのコントロールを100%と見なすことによって計算される。阻害率の値が負の数であった場合は、IC50の計算値に対しゼロに設定された。
【0152】
2組のサンプルの平均は、IC50の計算用に用いられた。データはGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアを用いて、S字形の用量反応曲線に合致される。
【0153】
Y=Bottom+(Top−Bottom)/1+10((LogIC50−X)*傾斜))
X=濃度の対数、Y=反応(阻害率)
Bottom及びtopはそれぞれ0及び100に設定された。
【0154】
【表1】

【0155】
【表2】

【実施例1】
【0156】
[M16ββは、ヒトにおいてトリグリセリドを低下させること、HDL−Cを増加させること、及びインスリンに対する感作に影響する]
[臨床上の安全性及び臨床パラメータの評価]
25ないし52歳の15人の健康な男性ボランティアは、M16ββの用量を変えて、1ないし4週の期間、治療された。総ての対象において、薬剤関連の変化は、治療の過程並びに治療の終了後1月の間に検査された、臨床上の安全性(体重、血圧、脈拍、ECG)及び臨床(血液学、血液化学的性質、尿分析)パラメータのいずれにおいても検出されなかった。
【0157】
[M16ββの脂質低下性の効果]
8人の異脂肪血症の非糖尿病患者はプラシーボで4ないし5週の維持期間に供し、その後200mg/日ないし800mg/日の範囲でM16ββ用量を増加させ、3ないし5週の期間の経口治療に供した。MEDICA治療は血漿トリグリセリドの有意な(平均55%)の低下、HDL−Cの13%の増加、及び血漿フィブリノーゲンの低下を生じた。脂質低下性の効果は治療中に1月未満で観察され、治療期間にわたり維持された。血漿LDL−CはM16ββ治療により影響を受けないままであった。薬剤は総ての用量において良い耐容性を示した。
【0158】
[M16ββはインスリンに対する感作を増加させる]
5人の肥満で異脂肪血症の、インスリン抵抗性の非糖尿病患者は、プラシーボで4週の維持期間に供し、その後4週の期間、用量につきM16ββを30ないし600mgの範囲で増加させ、経口治療に供した。M16ββ治療はHOMA(恒常性モデル評価、インスリン抵抗性を評価するための方法)での低下によって反映されるようなインスリンに対する感作の増加、血漿インスリンクリアランスの増加、及び血漿インスリン濃度の低下に対するグルコース取り込みの増加を生じる。研究は更に、200mg未満の一日量で実質的な脂質低下性の効力を示す場合の、M16ββのトリグリセリド低下活性を確認した。トリグリセリド低下活性はLDL−Cの変化を伴わないVLDL−Cの頑強な低下によって得られた。薬剤は総ての用量において良い耐容性を示した。
【0159】
これらの結果はM16ββがヒトにおいてHDL−Cを増加させるのと同様、トリグリセリドを低下させる有効な薬剤であることを明らかに示す。更に、ニコチン酸と対照的に、M16ββは明らかにインスリンに対する感作を増加させる。更に、フィブラートと対照的に、トリグリセリドを低下させる効果はLDL−Cの増加を伴わない。従って、M16ββのスタチンとの組合せはインスリンに対する感受性の増加に導き、同時に糖尿病の脂質代謝異常を正常にでき、このようにして異脂肪血症のインスリン抵抗性糖尿病患者用の治療に対し有益にできる。
【実施例2】
【0160】
[モルモットモデルにおけるMedica l6αα、Medica 16ββ、スタチン及びその組合せの脂質低下性の効果]
ラット及びマウスにおける脂質低下性のペルオキシソーム増殖因子(HPP)の脂質低下活性は、肝のPPARα活性によって媒介される[Hertz,Biochem.Pharmacol.61:1057−62(2001)]。ラット及びマウスと対照的に、ヒトの肝はhPPARαに対して非応答性であり[Hertz Toxicol.Lett.102−103,85−90(1998);Cattley Regul.Toxicol Pharmacol.27:47−60(1988)]、ヒトにおけるHPPの脂質低下活性はHNF−4α活性の抑制によって媒介される[Hertz(2001)ibid.]。このように、ヒト用の脂質低下性薬剤を開発する目的でラット及びマウスのHPPをスクリーニングすることは疑わしい。ラット及びマウスと対照的に、及び、ヒトと同様に、モルモットは肝のPPARαに対して非応答性である[Choudhung,Mat.Res.448:201−12(2000)]。肝のPPARαに対する非応答性が部分的であるハムスターと対照的に、肝のPPARαに対するモルモットの非応答性は決定的である。更に、モルモットの血漿リポ蛋白の特性はヒトのものと似ており、すなわち、多くの血漿コレステロールがLDL−Cからなる。そのことは、HDL−Cが血漿コレステロールのほとんどである一方、LDL−Cがない、ラット及びマウスと対照的である(PPARαに対する肝の応答性、及びリポ蛋白特性は所定の化学種内で相関づけられるであろう)。更に、スタチンはヒトにおけるそれらの効力に似た範囲で、モルモットに有効であると分かった[Berglund J.Lipid Res.30:1591−1600(1989);Conde J.Lipid Res.37:2372−2382(1996)]。従って、モルモットがM16αα、M16ββ並びにスタチン及びその組合せの脂質低下性の効果を推定するのに好ましいモデルとして、本研究で用いられた。
【0161】
モルモットはM16αα、M16ββ又はシンバスタチンを用いて胃管栄養法によって治療され、毎日計量され観察された。実験手順に記載のように、血漿トリグリセリド(TG)及びコレステロール、ならびに血漿リポ蛋白及びそれらの組成物は、(以下の図で特定されるように)実験の21及び22日目に検査された。表3及び図1によって明らかに示されるように、M16ααを用いた治療は血漿トリグリセリド(TG)を低下させた。更に、コレステロール濃度が測定される際に、血漿コレステロールの明白な低下が観察され(表3及び図2)、M16ααのスタチンとの組合せがスタチンのコレステロール低減効果を(相乗的に、又は追加的に、のいずれかで)更に促進できることを示す。M16ββでの治療が血漿TG(表4及び図3)の明らかな低下と、表4及び図4によって示されるような、血漿コレステロールの小さいが有意な低下とを生じさせた。シンバスタチンの試験用動物への投与は、図5及び6にそれぞれ示されたように、血漿TG濃度の増加と、血漿コレステロール濃度の減少とを生じ、表5にまとめられた。図7及び8に提供された比較ヒストグラムによって示されるように、M16ααはこの動物モデルにおいて、TGを低下させる最も有効な薬剤であり、血漿コレステロール濃度を低下させる場合、素他賃と同様に有効である(それぞれ、図7及び8)。
【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
【表5】

【0165】
MEDICA剤及び1又は複数のスタチンの異なる組合せの効果を検査するために、モルモットはシンバスタチン及びM16αα、シンバスタチン及びM16ββ、あるいはシンバスタチン及びM18γγの組合せで胃管栄養法によって治療され、治療された動物は毎日計量され、観察される。実験手順に記載のように、血漿トリグリセリド(TG)及びコレステロール、ならびに血漿リポ蛋白及びそれらの組成物は、実験の21及び22日目に検査される。
【実施例3】
【0166】
[スタチンと組み合わせるMEDICA剤の異脂肪血症における効果]
[メタボリックシンドローム患者]
M16ββ単独、及び異なる用量でのM16ββ/スタチンの組合せの脂質低下効果を上昇させるために、30ないし70歳の100人の肥満で異脂肪血症の非糖尿病の男性及び100人の閉経後の女性が、20の実験群(各群に10人の対象)に分けられる。包含及び除外の判断基準は下に記載される(表7)。異なる実験群はスタチンと共に、又はスタチンなしで、異なるM16ββ濃度(0、50、100、200、又は400mgのM16ββ)で治療される。コントロール群はプラシーボを受ける。実験群は表6に列挙した。総ての群がM16ββを用いて、又は、スタチン/M16ββの組合せを用いてのいずれかで、12週の間経口治療され、絶食時の血漿トリグリセリド及びコレステロール(total、LDL−C、HDL−C、VLDL−C)について研究にわたって隔週で測定される。
【0167】
M16ββ単独、及びM16ββ/スタチンの組合せの更なる代謝効果は絶食時の血漿リポ蛋白の大きさ(大きな/小さなLDL、大きな/トリグリセリド欠乏のHDL)、アポリポ蛋白(apoA−I、apoA−II、apoC−III、apoE、apoB100)、絶食時血漿グルコース及びインスリン、血漿フィブリノーゲン、PAI−1、SAA及びhs−CRPが本研究の開始時及び終了時で上昇しているのを測定することによって検査される。
【0168】
M16ββ又はM16ββ/スタチンの組合せの安全性及び耐容性は、臨床パラメータ、バイタルサイン及び有害な発症を評価することによって、治療期間にわたって、及び4週間後に更に評価された。
【0169】
M16ββ、スタチン及び各代謝物の薬物動態学的な特性は、初期(投与後、0ないし24時間)及び最後(12週)の投与(投与後、0ないし120時間)後に得られる。トラフ値濃度は研究にわたって隔週で得られる。M16ββ及びスタチンの尿中排泄は最初及び最後の投与後に更に決定される。確認のLC/MS/MSアッセイは血漿及び尿中のM16ββ及びスタチンの測定のために用いられる。
【0170】
【表6】

【0171】
【表7】

【実施例4】
【0172】
[MEDICA剤のシトクロムP450(CYP)の阻害に対する効果]
発明者によって、及び他によって前に示されたように、スタチンの他の薬剤又は化学物質、特にフィブラートとの投与は、シトクロムP450酵素によるスタチン分解の阻害を生じさせ、これによって、濃度の有害濃度までの上昇が筋疾患を導く。
【0173】
M16αα(M2001)及びM16ββ(M1OOl)のシトクロムP450阻害に対する効果を評価するために、CYP450阻害アッセイがヒトcDNA発現のCYPと、蛍光原基質とを用いて行われた。標準的なCYP阻害剤は各CYPに対する陽性のコントロールとして用いられた。
【0174】
M16αα又はM16ββによるシトクロムP450(CYP)1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6及び3A4の生体外阻害は、蛍光定量的なアッセイを用いて評価された。各アイソザイムについて、蛍光原基質は補助因子とともに精製されたCYPとともにインキュベートされ、蛍光代謝物の生成はM16αα又はM16ββのいずれかの濃度増加の存在下で測定され、CYP3A4については、3の異なる蛍光原基質が用いられた。蛍光はTecan社のinfinity M200分光蛍光計を用いてモニタリングされ、IC50が生成された。アイソザイムの各々の最終的なアッセイ条件及び酵素−基質混合の調製は、図1及び2に示す。
【0175】
異なるCYPの標準的なコントロール阻害剤はM16αα及びM16ββと同様の方法で同時に試験された(CYP1A2に対しフラフィリン、CYP2B6及びCYP2C19に対しトラニルシプロミン、CYP2C8に対しケルセチン、CYP2C9に対しスルファフェナゾール、CYP2D6に対しキニジン、及びCYP3A4に対しケトコナゾール)。
【0176】
表8によって明らかに示されるように、双方のMEDICA剤の阻害ポテンシャルは十分に陽性のコントロールのそれ未満であった。更に、各MEDICA剤による蛍光代謝物の阻害率はアイソザイムの各々について、陽性のコントロール阻害剤のそれ未満であった(表8ないし17)。
【0177】
【表8】

【0178】
【表9】

【0179】
【表10】

【0180】
【表11】

【0181】
【表12】

【0182】
【表13】


【0183】
【表14】

【0184】
【表15】

【0185】
【表16】

【0186】
【表17】

【0187】
図9ないし17に示されるように、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2D6,及びCYP3A4に対する双方のMEDICA剤のIC50は、100μMを超えた。CYP2C19に対するM16ααのIC50は46μMであり、M16ββについては100μMを超えた。CYP3A4については、双方のMEDICA剤のIC50は、試験された総ての3のプローブ基質について100μMを超えた。
【0188】
これらの結果は双方の薬剤がこのアッセイで試験されたCYPアイソザイムを超える低い阻害ポテンシャルを有することを示す。このように、これらの薬剤はフィブラートのような他のスタチン結合の薬剤によって共有されない、驚くべき安全性の特徴を所有する。各CYPについての標準的なコントロール阻害剤はMEDICA剤と同時に試験され、期待される方法でアイソザイムを阻害した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の選択的に長鎖置換された両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との組合せを含み、選択的に少なくとも1の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤がロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン(rivastatin)、セリバスタチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、メバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、コンパクチン、及びその薬学的に許容可能な活性塩からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、前記選択的に長鎖置換された両親媒性のジカルボン酸が式(I):


の化合物であり、RないしR12がそれぞれ独立して水素原子、非置換型又は置換型のヒドロカルビル、あるいは低級アルコキシ基を表わし、Qが直鎖の2ないし14の炭素原子からなり、そのうちの1又はそれ以上がヘテロ原子によって置換でき、前記鎖が非活性の置換基によって選択的に置換されるジラジカルを表わし、鎖要素である前記炭素又はヘテロ原子のうちの1又はそれ以上が、環状構造の一部ならびにその薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、無水物、及びラクトンを選択的に形成することを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物において、前記ヘテロ原子がN、P、O及びSから選択されることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の組成物において、前記塩が無機又は有機カチオンを有する塩、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩であり、前記エステルが低級アルキルエステルであり、前記アミドが一及び二置換型であり、前記無水物が低級アルカンの酸を有する無水物であり、及び/又は、前記ラクトンが式(I)の分子中での一方又は双方のカルボキシル基の、1の遊離ヒドロキシ置換基(又は複数の置換基)との環化反応によって形成されることを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の組成物において、前記ヒドロカルビルが選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、選択的に置換されたアリル、又は選択的に置換されたアラルキルであることを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか1項に記載の組成物において、RないしR12の各々が低級アルキルであり、Qが2ないし14の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項3ないし7のいずれか1項に記載の組成物において、RないしRの各々がメチル基であり、RないしR、及びRないしR12の各々が水素であり、Qが2ないし14の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であり、
式(II):


によって示され、nが2ないし14の整数であることを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物において、前記化合物が4,4,15,15−テトラメチルオクタデカン−1,18−二酸であることを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項3ないし8のいずれか1項に記載の組成物において、R、R、R11及びR12の各々がメチル基であり、RないしR10の各々が水素であり、Qが6ないし18の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であり、
式(III):


によって示され、nが6ないし18の整数であることを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物において、前記化合物が2,2,15,15−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸であることを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項3ないし7のいずれか1項に記載の組成物であって、前記化合物において、R、R、R、R10の各々がメチル基であり、R、R、R、R、R、R、R11、R12の各々が水素であり、Qが4ないし16の炭素原子の直鎖状ポリメチレン鎖であり、
式(IV):


によって示され、nが4ないし16の整数であることを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の組成物、方法、キット及び/又は剤単位形において、前記化合物が3,3,14,14−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸であることを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物において、前記少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、及び、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤が、1:0.1ないし1:1000の定量比で含まれることを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物において、当該組成物が少なくとも1の追加の治療薬を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物が、シンドロームX/メタボリックシンドロームのいずれか1つ、あるいは同様のもの及び動脈硬化性疾患を含む状態のいずれかの治療に用いるためのものであることを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物がシンドロームX/メタボリックシンドロームの治療用であり、同様のものを含む状態が、異常リポ蛋白血症(高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLコレステロール)、肥満症、NIDDM(インスリン非依存性糖尿病)、IGT(耐糖能障害)、血液凝固能/血中線維素溶解欠損症、及び高血圧症のうちの少なくとも1つであることを特徴とする組成物。
【請求項18】
請求項16に記載の組成物が動脈硬化性疾患の治療用であり、前記動脈硬化性疾患が心血管系疾患、脳血管性疾患、及び末梢性血管疾患のうちのいずれか1つであることを特徴とする組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物が、それを必要とする対象内のHDLコレステロールの血漿中濃度を上昇させるためのものであることを特徴とする組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物が、それを必要とする対象内のLDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるためのものであることを特徴とする組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物が、それを必要とする対象内の非HDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるためのものであることを特徴とする組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物が、それを必要とする対象内のトリグリセリドの血漿中濃度を低下させるためのものであることを特徴とする組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物が、それを必要とする対象内のインスリン抵抗性を低下させるためのものであることを特徴とする組成物。
【請求項24】
治療上有効な量の少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤と、選択的に少なくとも1の追加の治療薬とを、薬学的に許容可能な担体と結合することによって生成されることを特徴とする経口医薬品の組成物。
【請求項25】
シンドロームX/メタボリックシンドロームのいずれか1つ、あるいは同様のもの及び動脈硬化性疾患を含む状態のいずれかの治療及び予防の方法であって、当該方法が、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との組合せを含む治療上有効な量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記組成物が選択的に少なくとも1の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、セリバスタチン、フルインドスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、コンパクチン、及びその薬学的に許容可能な活性塩からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法において、前記少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミドが、請求項3ないし12のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法において、前記少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、及び、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤が1:0.1ないし1:1000の定量比で投与され、あるいは前記組成物中に含まれることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法がシンドロームX/メタボリックシンドロームの治療のためのものであり、同様のものを含む状態が、異常リポ蛋白血症(高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLコレステロール)、肥満症、NIDDM(インスリン非依存性糖尿病)、IGT(耐糖能障害)、血液凝固能/血中線維素溶解欠損症、及び高血圧症のうちの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法が動脈硬化性疾患の治療のためのものであり、前記動脈硬化性疾患が心血管系疾患、脳血管性疾患、及び末梢性血管疾患のうちのいずれか1つであることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法が、それを必要とする対象内のHDLコレステロールの血漿中濃度を上昇させるためのものであることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項25に記載の方法が、それを必要とする対象内のLDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるためのものであることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法が、それを必要とする対象内の非HDLコレステロールの血漿中濃度を低下させるためのものであることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法が、それを必要とする対象内のトリグリセリドの血漿中濃度を低下させるためのものであることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項25に記載の方法において、前記投与ステップが経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、非経口、経皮、腟内、鼻腔内、粘膜、舌下、局所、直腸、又は皮下投与、あるいはそのいずれかの組合せを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
動脈硬化性疾患及びシンドロームXのいずれか1つ、又は同様のものを含む状態のうちのいずれかの治療用の薬剤の調製における、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤との治療上有効な量の組合せの使用。
【請求項37】
請求項36に記載の使用において、前記組成物が請求項1ないし23のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする使用。
【請求項38】
少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物、あるいはその薬学的に許容可能な誘導体と、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含むことを特徴とする医薬品単位剤形。
【請求項39】
治療効果を必要とする対象において当該効果を得るためのキットであって、
a.第1の単位剤形中の、少なくとも1の長鎖置換型で両親媒性のカルボン酸塩、あるいはそのいずれかの塩、エステル又はアミド、あるいはそのいずれかの組合せ又は混合物、あるいはその薬学的に許容可能な誘導体と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、
b.第2の単位剤形中の、少なくとも1のHMG−CoA還元酵素阻害剤と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、
c.前記第1及び第2の剤形を収容するための格納手段と、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項40】
請求項38に記載のキットにおいて、前記対象が動脈硬化性疾患及びシンドロームXのいずれか1つ、又は同様のものを含む状態のいずれかに罹患していることを特徴とするキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−519290(P2010−519290A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550776(P2009−550776)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000244
【国際公開番号】WO2008/104975
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509240022)シンドロメクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】