説明

心血管障害の処置のためにApoA1の発現を誘導するための、一酸化窒素部分を含む化合物

供与可能な一酸化窒素部分およびフリーラジカル清掃性部分を含む、ApoA1の発現を誘導するための化合物。好ましくは、スチルベン、ポリフェノール、フラボノイドおよびイソフラボノイドの一酸化窒素誘導体ならびにそれらの使用方法を、高コレステロール血症、血管酸化的ストレスおよび内皮機能不全を含む疾患に罹患した患者を処置するために提供する。これらの新規化合物は、ApoA1の発現を誘導する能力を同時に有し、それによってHDLの血中レベルを高め、コレステロールの血中レベルを低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、食品、医薬品、栄養補給食品への組み込みに適したフラボノイドおよびそれらの誘導体の合成および投与、ならびにこれらを必要とする個体を処置する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
心血管疾患は、高血圧、冠状動脈性心疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心不全、リウマチ性心疾患、先天性心疾患および心筋症を含む、心臓および血管の障害の群を特定するのに用いられる総称である。心血管疾患の主な原因は、アテローム性動脈硬化症であり、脂質の蓄積が動脈壁上に沈着する。血中コレステロール値の上昇は、アテローム性動脈硬化症を発症する危険性と高度に相関し、従って、かなりの医学研究が、血中コレステロールを低下させる治療の開発に捧げられてきた。
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、脈管構造内層の正常機能が損なわれる障害である内皮機能不全に関連し、この内皮機能不全は、多数の他の心血管疾患(例えば、狭心症、心筋梗塞および脳血管疾患)の重要な危険因子であるのみならず、アテローム性動脈硬化症の病因に寄与する。内皮機能不全の顕著な特徴としては、酸化的血管ストレスおよび血管収縮の増大、ならびに血中コレステロール値の上昇が挙げられ、これらは全て、互いに促進して心血管疾患の進行を加速させる。疾患の進行を最も首尾よく妨害するために、心血管疾患の多重因果的危険因子に対する改善された治療ストラテジーが必要とされる。
【0004】
(コレステロール代謝)
コレステロールは、その不溶性に起因して、リポタンパク質と称する脂質およびタンパク質の複合体によって血中で輸送される。低密度リポタンパク質(LDL)は、肝臓から体内の他の組織へのコレステロールの送達を担うと考えられ、従って、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれるようになってきた。LDL粒子は、中密度リポタンパク質(IDL)から変換され、このIDL自体は、超低密度リポタンパク質(VLDL)からトリグリセリドを除去することによって生成される。VLDLは、肝臓においてトリグリセリドおよびいくつかのアポリポタンパク質から合成され、次いで血流中に直接分泌される。
【0005】
高密度リポタンパク質(HDL)は、コレステロールを肝外組織から肝臓(ここでコレステロールは異化され、次いでコレステロール逆輸送(RCT)と呼ばれるプロセスで排出される)に輸送する主要なキャリア分子であると考えられ、これによって、HDLは「善玉コレステロール」のあだ名を得ている。この肝臓で生じる排出プロセスにおいて、コレステロールは胆汁酸に変換され、次いで体外に排泄される。
【0006】
(高脂血症の現在の処置)
現在認可されているコレステロールを低下させる薬物は、正常なコレステロール代謝経路を多数の異なる点で攻撃することによって治療的利点をもたらす。胆汁酸結合樹脂(例えば、コレスチラミン)は、胆汁酸に吸着して体外に排泄され、その結果、胆汁酸へのコレステロールの変換を増大させ、結果的に血中コレステロールを低下させる。樹脂は、血清コレステロールを最大20%低下させるにすぎず、胃腸の副作用を引き起こし、そしてこれらの樹脂は他の薬物に結合してその排泄を引き起こすため、他の薬物療法と同時に投与することができない。
【0007】
ナイアシンは、リポタンパク質合成を阻害し、そしてLDLを作製するのに必要なVLDL粒子の生成を低下させる。HDLレベルを増大するのに必要な高濃度で投与されると、顔面紅潮のような重篤な副作用が生じる。
【0008】
フィブラート(例えば、クロフィブラートおよびフェノフィブラート)は、核ホルモンレセプターのペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)ファミリーに属する転写制御因子を活性化すると考えられる。これらの転写制御因子は、HDLの生成に関与する遺伝子をアップレギュレートし、そしてLDLの生成に関与する遺伝子をダウンレギュレートする。フィブラートは、VLDL画分を減少させることによって血清トリグリセリドを減少させるため、高脂血症を処置するのに用いられる。しかし、フィブラートは、患者における脂質応答の不均質性のため、および冠状動脈性心疾患を発症した患者において観察される効力の欠如のため、高コレステロール血症治療法として米国で認可されていない。同様に、フィブラートの使用は、胃腸癌、胆嚢疾患および非冠動脈疾患死の発生率の増加のような、重篤な副作用を伴う。
【0009】
スタチンは、HMG CoAレダクターゼインヒビターとしても公知であり、肝コレステロール合成における律速酵素を阻害することによって、VLDL、LDL、およびIDLコレステロールを減少させる。スタチンは、HDLレベルをごくわずかに増加させるのみであり、多数の肝および腎機能不全の副作用がこれらの薬物の使用に伴う。
【0010】
エゼチミブは、心血管治療法の新しいクラスにおいて初めて認可された薬物であり、腸におけるコレステロール取り込みを阻害することによって機能する。エゼチミブは、LDLを低下させるが、HDLレベルをあまり増加させず、体内で合成されるコレステロールにも、血流中を循環しているかまたはアテローム斑中に存在するコレステロールにも対処しない。コレステロール吸収に影響を及ぼすことも見出されている他の化合物としては、胆汁酸結合剤コレスチラミンおよび植物ステロールが挙げられる。
【0011】
これらの治療アプローチの開発にもかかわらず、HDLの血中レベルを増加することはほとんど達成されておらず、そして現在認可されている全ての薬物は、副作用および効力によってそれらの治療有効性が限定されている。結果的に、HDLを安全に増加させ、従って逆コレステロール輸送速度を増加させてコレステロールの血中レベルを低下させるために、治療アプローチを改善する必要性がある。
【0012】
(内皮機能不全およびアテローム性動脈硬化症)
内皮機能障害は、アテローム性動脈硬化症の発生初期に生じ、実際には脂質が沈着する前に検出可能である。内皮機能不全は、血管収縮を症候的な特徴とし、高血圧(脳卒中および心筋梗塞のような他の心血管疾患の周知の危険因子である)を引き起こす。研究により、アテローム性動脈硬化症患者における内皮機能低下が、血管拡張を誘導するシグナル伝達分子である一酸化窒素(NO)のバイオアベイラビリティの低下に、原因として関連づけられている。
【0013】
NOのバイオアベイラビリティの低下はまた、アテローム性動脈硬化症の病因の一因となる他の機構を活性化する。例えば、NOは、アテローム性動脈硬化症を特徴付ける脂質プラークの発生に必要な工程である、血小板凝集を阻害することが周知である。同様に、NOは、白血球接着(アテローム性動脈硬化症の発症における主要な工程であり、そしておそらく高脂血症の患者における血管酸化的ストレスの増加による結果である)を阻害する、重要な内因性のメディエーターである。粘着白血球は、大量の活性酸素種を放出することによって酸化的ストレスをさらに増大させる。
【0014】
血管酸化的ストレスの増大および高コレステロール血症は、NOバイオアベイラビリティの低下を引き起こす誘因として、個々に同定されてきた。酸化の増加はまた、アテローム硬化性病変形成の別の誘導因子である、フリーラジカル媒介性の脂質過酸化も引き起こす。要約すれば、これらの3つの主要因子(高コレステロール血症、血管酸化的ストレスおよびNOのバイオアベイラビリティの低下)の各々が、他の因子の程度および病理学的重症度を増大させる、正のフィードバックループが存在すると考えられる。
【0015】
(アテローム性動脈硬化症−内皮機能不全に対する治療法としての一酸化窒素)
NOを供与することが知られている化合物を用いる治療様式は、アテローム性動脈硬化症−内皮機能不全サイクルを破壊するために臨床的に用いられてきたが、成功していない。NO供与薬によって放出される外因性NOは、NOのみならず強力な酸化剤である過酸化亜硝酸アニオンも生成し、酸化的ストレスをさらに増大させることが証明されてきた。このNO供与体による過酸化亜硝酸の生成、およびそれに続く酸化的ストレスの増大によって引き起こされるNOに対する反応性のダウンレギュレーションは、有機硝酸エステルで慢性的に処置された患者において生じることが十分に実証された耐性の基礎をなし得る。NO供与薬はまた、NOの遊離前にチオール中間体を経ることが必要であると考えられ、チオールのバイオアベイラビリティは、このような酸化的ストレスの状態において顕著に減少させられる。
【0016】
(抗酸化剤/一酸化窒素併用療法)
NO供与薬によって引き起こされる血管酸化的ストレスへの悪化を軽減するために、抗酸化剤は、NO供与体との併用で患者に提供されてきた。いくつかの研究により、抗酸化剤とNO供与体の併用は、高コレステロール血症の被験体において内皮依存性の血管拡張を有意に増大することが示されている。
【0017】
しかし、これらの結果は、おそらく十分な細胞内投薬量を達成するのが困難であることに起因して、この治療アプローチで内皮依存性の血管拡張の改善が見出せなかったその他の者によって、およびNO供与体処置がアテローム性動脈硬化症の発症のいかなる遅延とも、または活性アテローム性動脈硬化症を発症した患者の平均余命の増加とも、今までのところは相関していないという事実によって、疑問視されている。さらに、NO供与体もNO供与体/抗酸化剤併用療法もどちらも、アテローム性動脈硬化症−内皮機能不全サイクルの高コレステロール血症の面に直接対処することはない。
【0018】
NO供与剤および抗酸化剤と、アテローム性動脈硬化症の基礎となる高コレステロール血症を処置する従来型治療法との併用もまた、次善のアプローチである。なぜなら、現在認可されている薬物は、HDLの増大を有効に利用して体外にコレステロールを効率的に輸送しないためである。
【0019】
しかし、好ましい抗酸化剤および/またはNO供与体の併用は、抗酸化剤がNOの強力な酸化的副作用を最も有効に相殺するために、抗酸化剤およびNO供与体が確実に体内において同じ位置にかつ同時に存在すると仮定され得る。異なる放出速度を有するいくつかの異なる薬物の組み合わせを用いてこの必要性を満たすことは困難であり、バイオアベイラビリティは、NOが供与体分子から一旦放出されると、細胞環境下におけるNOの短い半減期によって悪化される可能性が高い。
【0020】
(抗酸化剤としてのスチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイド)
正常な細胞呼吸によって生成され得る活性酸素種(ROS)は、体内における酸化的損傷の主要な原因である。ROSに対抗する最も有効な方法の1つは、ROSと結合し、従って細胞内の重要なタンパク質およびDNAにROSが不適切に結合するのを防ぐ抗酸化化合物を提供することによって、これらの反応基を「一掃する」ことである。ROSを除去する能力のある非常に有効な抗酸化化合物は、少なくとも1つのフェノール環構造をしばしば含む。フェノール環は、ROSと共有結合を形成する反応種であり、これによってROSの強い酸化反応性を無効にする。スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドは全て、少なくとも2つのフェノール環構造を含み、それによって抗酸化剤として潜在的に有効になる。
【0021】
(レスベラトロル、他のスチルベンおよびポリフェノール、ならびにプロアポリポタンパク質A1薬剤としてのフラボノイド)
スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドはまた、それらの抗酸化活性に加えて、高コレステロール血症の処置に有用な活性も有する。例えば、1つの周知のスチルベンである、レスベラトロル(3,4’,5−トリヒドロキシトランススチルベン)(ある植物中に見出される天然に存在するポリフェノール)は、「フレンチパラドックス」と呼ばれる疫学的観察の基礎をなすことが示唆されている。このパラドックスは、フランス人集団では、匹敵する高脂肪食にもかかわらず北米人集団の心血管疾患の発生率の3分の1が罹患するという観察をいう。このフレンチパラドックスは、北米人集団によって消費される赤ワインの量と比較してフランス人集団によって消費される大量の赤ワインと相関している。レスベラトロルは、赤ブドウの皮の中に極めて豊富に存在し、従って赤ワイン中にかなりの量が見出されるが、白ワインまたは他のアルコール飲料中にはほとんど全く存在していない。
【0022】
レスベラトロルが心血管疾患の発生率を低下させる機構は、依然として、いくつかの競合する仮説を含む多数の論議の的である。レスベラトロルは、強力な抗酸化剤であることが示されており、LDL粒子のより低レベルの過酸化を生じ、引き続いてアテローム発生を阻害することが示唆される。レスベラトロルはまた、白血球接着および血小板凝集のインヒビターとして関与している。さらに、レスベラトロルは、p21およびp53の活性レベルを調節するとされている能力に起因して、可能性のある抗癌療法として研究されている。
【0023】
レスベラトロルは、抗炎症薬として同定されており、シクロオキシゲナーゼ−1酵素の阻害(特許文献1;非特許文献1;特許文献2を参照のこと)およびプロテインキナーゼ阻害(米国特許出願第0030171429号)を含む機構が提唱されている。従って、レスベラトロルは、関節性障害、喘息性障害、乾癬性障害、胃腸障害、眼障害、肺炎症性障害、癌を処置するために、鎮痛薬として、解熱剤として、または血管疾患、中枢神経系障害ならびに細菌、真菌およびウイルス感染に関連する炎症の処置のために、治療的に用いられる可能性を有し得る。
【0024】
レスベラトロルは、サーチュインを活性化させる化合物として最近記載され、SirT1と直接相互作用してp53のダウンレギュレーションを引き起こすことによって、寿命を延長することが示唆された。レスベラトロルはまた、アリール炭化水素レセプターをアンタゴナイズし、エストロゲンレセプターをアゴナイズすることも知られており、ERK1/2経路の活性化によって、および転写制御因子egr−1の活性の増大によって、活性を仲介することが記載されている。
【0025】
より最近では、本発明者らは、レスベラトロルが、ApoA−1遺伝子のプロモーター領域中のヌクレオチド配列である部位Sによって、推定的に仲介されるアポリポタンパク質A1の転写を増大させる能力を有することを示した(PCT/CA03/01220)。
【0026】
部位S中に見出される配列AGCCCCCGCは、「Egr−1応答エレメント」コンセンサス配列として記載されている。このモチーフは、ヒトAPO AIプロモーターの−196から−174に及ぶヌクレオチド内に含まれる(非特許文献2)。任意の特定の理論にとらわれずに、部位S中に含まれることが見出されたこのAGCCCCCGCエレメントは、この配列によってレスベラトロルがその活性を仲介すると提唱される配列であるが、これは他の潜在的に必須のエレメントを排除するものではない。
【0027】
部位SまたはAGCCCCCGCエレメントの任意の約8つの連続塩基を含むヌクレオチド配列は、レポーター遺伝子の発現を調節するために異種プロモーターに作動可能に連結されている場合、エンハンサーエレメントとしての機能を果たすと考えられている。
【0028】
(スチルベン、フラボノイドおよび他のポリフェノールの治療的使用の欠点)
残念ながら、スチルベン(例えば、レスベラトロル)、および他のポリフェノール、ならびにフラボノイドの治療薬としての使用は、問題を含み得る。
【0029】
消費者にとってレスベラトロルの最も豊富かつ入手可能な供給源である赤ワインは、多数の十分に実証されている過剰なアルコール消費の悪影響のために、日常的に多量に消費され得ない。すなわち、レスベラトロルの作用は、アルコールが存在しなければ、より良好であるかまたはより安全であり得る。
【0030】
天然に合成されず、かつ試験のためにまだ記載されていないかまたは入手可能にされていない、潜在的に有益な性質を有する多くのスチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドが作製され得る。このような化合物は、実験室中で作製され、そしてインビトロおよびインビボアッセイで適切に試験されて、ヒト臨床研究で試験される前に有益な治療活性を実証しなければならない。
【0031】
植物によってしばしば合成されるような、生物学的起源の多数のスチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドが知られている。これらの化合物の多くは、潜在的に有益な性質(例えば、それらの既知のインビトロ抗酸化能力、それらの推定抗癌効力および心血管疾患に対するそれらの明らかな薬効)について試験されている。いくつかのヒト研究がこのような化合物について実施されているが、これらの結果は今までのところは不明確であり、時折矛盾している。例えば、ヒト臨床研究の結果により、アテローム斑サイズのような主要な臨床的指標、または心臓発作のような心血管事象の減少に対する利点の明確な証拠が、まだ実証されていない。例えばウサギまたはラットを用いた動物研究の結果は、ヒト研究の結果と相関していない場合がある。例えば、ヒト研究において、ナリンゲニン(投与された柑橘類の絞り汁中に見出される多くの成分の一例のフラボノイドとして)の投与によりHDLの増加が観察されたがLDLまたはトリグリセリドには影響がないのに対して、ウサギに投与した場合、ナリンゲニンはLDLを減少させるがHDLには影響がないことが見出された。
【0032】
さらに、心血管疾患の処置においてヒト治療に用いられるナリンゲニンのようなフラボノイド、またはレスベラトロルのようなスチルベン、または他のポリフェノールの適切な投薬量を記載した臨床研究は、現在までのところ存在しない。
【0033】
(保護基を有する化合物は、より長い血清半減期、効力の改善、毒性の低下および治療結果の改善を受け得る)
必要とする個体に治療薬として投与された化合物は、代表的には排泄前に体内で種々の代謝産物に代謝される。このような代謝産物は、毒性、効力および血清中での残存期間の点で、親化合物としばしば異なる。多くの化合物について、その代謝産物は親化合物ほど有効ではなく、より毒性であり得る。
【0034】
外因的に投与された治療化合物の代謝において、多数の異なる修飾(例えば、種々の化学的成分の付加または鍵となる基の除去)が起こり得る。インビボで起こる1つの代謝反応は、ヒドロキシル基の除去である。フラボノイド、スチルベン、および他のポリフェノール化合物のコア構造を有する化合物(これらの一酸化窒素供与誘導体が、本発明の化合物を含む)からのヒドロキシル基の除去は、コレステロール代謝に対してポジティブに作用するこれらの化合物の能力を有意に低下させ得る。なぜなら、前述のヒドロキシル基は、このような分子の活性部位の不可欠な部分であるためである。従って、ある機構がヒドロキシル基の保護に利用されてその代謝速度を低下させ、従ってこれらの化合物が体内に残存する時間を増加させる場合、本発明の化合物の投与の薬効を有利に改善する。
【0035】
実験室化学反応に一般に使用される1つの保護機構は、より大きな分子の修飾されやすい不安定化学基に結合される保護基を使用して、この不安定基の修飾または損失を防ぐことである。保護基は後に除去されて、この分子全体の中の任意の共有結合へ変化することなく、元の分子を回復させ得る。類似の保護形態が、患者に投与されることを目的とする化合物に用いられ得、患者の体内において、活性分子を再構成する公知の反応が起こる可能性が高い。保護基が分子から放出される速度は、薬物が放出される速度に影響を及ぼすように制御され得る。本発明の目的は、体内での半減期が延長され、かつ/または排泄が延期される有効な化合物を提供することである。
【特許文献1】米国特許第6,541,045号明細書
【特許文献2】米国特許第第6,414,037号明細書
【非特許文献1】Jayatilakeら、「J Nat Prod.」、1993年10月、56(10)、1805〜10
【非特許文献2】Kilbourneら、「JBC」、1995年、270(12)、7004〜10
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
(心血管治療法の改善の必要性が存在する)
前記を考慮して、血中コレステロールを安全にかつ有効に低下させ得ると同時に、内皮機能不全を減少させ、かつ血管酸化的ストレスを減少させ得る、改善された治療法および化合物の開発の必要性が存在することが明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
(発明の要旨)
本発明の1つの局面は、フリーラジカル清掃性(scavenging)抗酸化分子の放出と同時にかつ同じ場所に一酸化窒素を供与する能力を有する新規化合物の種類、およびそれらを用いて処置する方法を提供することである。これらの新規化合物は、ApoA1の発現を誘導する能力を同時に有し、それによってHDLの血中レベルを高め、コレステロールの血中レベルを低下させる。さらに、これらの化合物は、HMG−CoAレダクターゼを阻害し、PPAR活性を高め、ACATを阻害し、ABCA−1活性を高め、そしてLDLおよびトリグリセリドの血中レベルを低下させる活性を含む、他の有益な活性を有する。これらの化合物の組み合わされた多変量効果は、内皮機能不全を減少させ、血管酸化的ストレスを減少させ、そして高脂血症を減少させるのに用いられ得、これによって、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠動脈疾患、脳血管疾患などのような心血管疾患を処置する。
【0038】
この発明の種々の局面および原理に従い、下記に従って化合物が提供される。
【0039】
以下の構造:
【0040】
【化11】

を含むスチルベン化合物であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0041】
【化12】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、そして
ここで、Xは、単結合、二重結合または三重結合であり得る、スチルベン化合物。
【0042】
以下の構造:
【0043】
【化13】

を含むフラボノイド化合物であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13またはR14の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0044】
【化14】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR14またはNR14であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る、フラボノイド化合物。
【0045】
以下の構造:
【0046】
【化15】

を含むイソフラボノイド化合物であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13またはR14の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0047】
【化16】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR14またはNR14であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る、イソフラボノイド化合物。
【0048】
以下の構造:
【0049】
【化17】

を含むカルコン化合物であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR13は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0050】
【化18】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
Xは、単結合または二重結合であり得;
Yは、単結合または二重結合であり得;そして
Zは、CO[ケトン]、CR13またはNR13であり得るが;
ただし、XおよびYの両方が二重結合であるわけではなく、そしてZがCOであればYは二重結合ではない、カルコン化合物。
【0051】
以下の構造:
【0052】
【化19】

を含むポリフェノール化合物であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0053】
【化20】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、そして
Xは、C、S、(CO)、SO、AKAケトン、(SO)N、(CO)C、(CO)N、(CO)O、C−N[単結合]、C=N[二重結合]、C−O、N−O、N−N[単結合]、またはN=N[二重結合]であり得る、ポリフェノール化合物。
【0054】
さらに、処置を必要とする患者に、治療的有効量の任意の上記化合物を投与する工程を包含する、患者において心血管疾患、コレステロール関連疾患または脂質関連疾患を処置する方法が提供される。患者において抗酸化活性を提供しつつApoA1の発現を誘導するための別の好ましい処置方法は、任意の上記化合物をこの患者に投与する工程を包含する。患者において血清コレステロールを低下させるためのさらに他の好ましい本発明の方法は、任意の上記化合物をこの患者に投与する工程を包含する。
【0055】
さらに、処置を必要とする患者に、治療的有効量の任意の上記化合物を投与する工程を包含する、患者においてアルツハイマー病、糖尿病、肥満、虚血性再潅流傷害、鬱血性心不全および関連疾患を処置または予防する方法が提供される。低血清レベルのHDLは、アルツハイマー病のリスクの増大と関連する(Suryadevaraら、2003 J.Gerontol A Biol.Sci.Med.Sci.58(9):M859〜61)。本発明の化合物は、PPARγ活性を調節することが見出され;PPARγ機能不全は、糖尿病、肥満、虚血性再潅流傷害、鬱血性心不全および関連疾患と関連する(Ferreら、2004 Diabetes 53 補遺1:S43〜50;Yue 2003 Drugs Today(Barc)39(12):949〜60)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
(発明および最良の様式の詳細な説明)
本発明の原理および局面に従って、スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドならびにそれらの誘導体のNO供与アナログの使用に関して可能性のある作用機構を詳細に特徴づける記述とともに、心血管疾患を処置するための方法および化合物が提供される。可能性のある作用機構を理解することにより、治療的利点をさらに強化するさらに多くの誘導体およびアナログ(これらもまた、本発明の範囲内である)の開発の改善につながり得る。
【0057】
心血管疾患の病因に影響を及ぼす多くの因子が存在することは明らかである。疾患の発症の3つの主要な面(すなわち、血管酸化的ストレスの増大、一酸化窒素のバイオアベイラビリティの低下および高コレステロール血症)を同時に処置するアプローチが、近代医療に欠如していることも明らかである。従って、本発明は、抗酸化活性、一酸化窒素放出活性、および逆コレステロール輸送を誘導する能力を単一の新規分子中に与えることによって、3つの因子全てに同時に対処する方法論を詳述する。本発明の化合物および処置方法は、一酸化窒素の放出の際に抗酸化能力および一酸化窒素供与が同時に生じるという事実によってさらに有効になり、従って特に好ましい。本発明は、本発明によって企図される化合物のコアを形成するスチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドのほとんどの任意の部分に、または抗酸化性およびアポリポタンパク質A1転写能力の誘導を保持するか、さもなければ逆コレステロール輸送を増大させるかもしくは血清コレステロールを低下させる活性を有するような化合物の任意の誘導体に、または実際に抗酸化能力および血清コレステロール低下能力の両方を含み、かつ本発明において提供される活性をさらに保持している任意の化合物に有利に結合される、任意のタイプのNO供与部分を提供する。
【0058】
本発明によって提供される化合物としては、患者に投与されると一酸化窒素を放出する能力がある結合部分を含む、レスベラトロル、他のスチルベン、他のポリフェノール、およびフラボノイドのアナログが挙げられる。このような化合物としては、レスベラトロル、他のスチルベン、他のポリフェノール、およびフラボノイドのアナログが挙げられるがこれらに限定されず、ここで、一酸化窒素供与部分は、有機ニトラート、アルコキシニトラート、ジアゼニウムジオレート、チオニトロキシなどの化学構造のクラスに属する。
【0059】
本発明の化合物を改変させる正確な機構の理解は、本発明の実施を必要としない。本明細書中に開示される機構は、非限定的であることを意図し、本発明をより良く記述するためにのみ提供される。理論に制限されることはないが、レスベラトロルは、その分子構造(芳香環上に位置する少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、少なくとも1つの芳香環構造からなる反応性かつ必須のコア)に起因して、前述の効果を生じると考えられる。天然に存在しているレスベラトロル自体は、具体的には2つの芳香環から構成され、一方の環の3位および5位に位置する2つのヒドロキシルおよび他方の環の4’位に位置する1つのヒドロキシルを含み、そしてこれらの2つの芳香環が2つの炭素原子(それらの原子間に二重結合を有する)によって結合される。少なくとも1つの芳香族環構造を含み、この環に位置する少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物である、この一般クラスの他の化合物は、レスベラトロルについて記載されたと同じ能力を有し、そして同じ結果を生じると考えられる。
【0060】
従って、スチルベン(2つの炭素原子によって連結される2つの芳香族環を含む)、他のポリフェノール(窒素、炭素、酸素および硫黄からなる群より独立して選択され、ケトン酸素のような側鎖に独立して置換されていても置換されていなくてもよい、1つ、2つ、または3つの原子によって連結された、2つ以上の、好ましくは2つの芳香族環を含むポリフェノールのような)、ならびにフラボノイド(例えば限定されないが、天然に存在するフラボノイド、例えば限定されないが、ナリンゲニン、ケルセチン、ピセアタンノール、ブテイン、フィセチン、イソリキリチゲニン、およびヘスペリチン)は全て、レスベラトロルについて記載された性質と類似の性質を有する化合物である。結果として、任意のこれらの化合物は、疾患、障害または状態(特に、限定されないが、コレステロール、心血管疾患、高血圧、酸化的損傷、異脂肪血症、アポリポタンパク質A1もしくはアポB調節に関連する疾患、障害または状態)の予防または処置に利用される場合、あるいはHMG CoAレダクターゼを阻害するか、PPAR活性を高めるか、ACATを阻害するか、ABCA−1活性を高めるか、HDLを増加させるか、またはLDLもしくはトリグリセリドを減少させるような、コレステロール代謝の他の面を改変または調節する際に、レスベラトロルと機能的に交換可能であるとみなされ得ることが見出されている。一酸化窒素供与部分が結合されていないフラボノイドは、以前に、強力な血清コレステロール低下活性を有するとして、例えば、米国特許第5,877,208号、同第6,455,577号、同第5,763,414号、同第5,792,461号、同第6,165,984号、および同第6,133,241号に教示されている。
【0061】
同様に、このクラスの任意のスチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドは、部位Sからの(AGCCCCCGCエレメントからの)転写を調節するのに利用される場合、あるいは白血球接着もしくは血小板凝集を阻害するか、またはCOX−1を阻害するのに利用される場合、レスベラトロルと機能的に交換可能であるとみなされ得る。このことは、これらの化合物の全てが、これら化合物の各々の機能または能力について、あるいはインビボでの毒性または効力について、あるいはバイオアベイラビリティについての活性のレベルの点で同一であることを意味するわけではない。これらの化合物は、当業者によって容易に実施され且つ過度の実験を必要としない簡単な試験を通じて、一部の化合物が、他の化合物と比較して改善された能力または機能性を提供し、従って他の化合物よりも治療薬として好ましいことを示す。
【0062】
同様に、本発明によって改良された基本化合物中に見出されるようなフェノール性ヒドロキシル基は、排泄を促進するグルコロン酸抱合反応および硫酸化反応を受けやすいことが知られている。フェノール性ヒドロキシル基を別の化学基(例えば、硝酸エステル(有機ニトラートまたはONOとも呼ばれる)基、アルコキシニトロオキシ、あるいは逆エステルニトロオキシ(ニトロオキシ基(nitrooxy group)はまたニトロオキシ基(nitro oxy group)とも呼ばれる))でブロックすることによる、これらの反応に対する保護は、体内における分子の半減期をさらに延長し、排泄を延期する。
【0063】
一例として、3つの推定上重要でありかつ治療的に活性なヒドロキシル基を含むレスベラトロルは、硝酸エステル(ニトラート、ニトロオキシ基、またはONOとしても公知であり、時折ニトロキシと呼ばれるが、NOと混同すべきではない)アルコキシニトロオキシ基、あるいは体内で経時的にヒドロキシル基に置換されて活性化合物レスベラトロルを再構成する逆エステルニトロオキシ基で、これらのヒドロキシル基を置換することによって保護され得る。一酸化窒素供与基は一定期間にわたって1つずつヒドロキシル基に置換され、1つまたは2つの一酸化窒素供与基を含むレスベラトロル分子は依然として部分的に活性であるため、レスベラトロル活性の体内での実効半減期は増大する。このようなストラテジーにより、ニトラート形態のレスベラトロルは、親のヒドロキシル化形態のレスベラトロルと比較して、より低い用量の使用がさらに可能になり、その結果、患者においてより低い副作用を生じる。明らかに、このようなアプローチはまた、本発明において企図される他のスチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドにも有効である。なぜなら、これらはまた、分子の活性部位の不可欠な部分を形成し得る1つ以上のヒドロキシル基を含むことが企図されるためである。
【0064】
本発明は、上記スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイド以外の化合物のニトロオキシ誘導体の合成、組成および処置方法を提供し、ニトロオキシ誘導体が合成されるこの化合物は、芳香族環または芳香族複素環の1つ以上のヒドロキシル基を含み、血清コレステロールレベルを調節することが知られている。芳香族環または芳香族複素環の1つ以上のヒドロキシル基を含み、血清コレステロールレベルを調節することが知られている化合物のクラスの一例としては、スタチンとしても知られるHMG CoAレダクターゼインヒビターが挙げられる。そのニトロオキシ誘導体が本発明において提供される、市販のスタチンとしては、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、およびロスバスタチンが挙げられる。芳香族環または芳香族複素環の1つ以上のヒドロキシル基を含み、血清コレステロールレベルを調節することが知られているという規定内にある2つの他の化合物は、エゼチミブおよびナイアシンである。従って、エゼチミブおよびナイアシンのニトロオキシ誘導体はまた、本発明において提供される。
【0065】
(スチルベン、ポリフェノール、フラボノイド、スタチンおよびエゼチミブの一酸化窒素供与誘導体の合成)
有機ニトラート(ニトロオキシ、硝酸エステル、ONOとも呼ばれ、時折「ニトロキシ」と呼ばれるが、NOと混同すべきではない)基は、Hakimelahiの方法(ここで、ニトロオキシ基は、親分子上に存在するヒドロキシル基と置換される)のような公知の方法を用いて化合物に付加され得る(Hakimelahiら、1984.Helv.Chim.Acta.67:906〜915)。
【0066】
アルコキシニトロキシ基は、例えば、米国特許第5,861,426号に教示される方法を用いて、化合物に付加され得る。ジアゼニウムジオレートは、例えば、米国特許第4,954,526号、同第5,039,705号、同第5,155,137号、同第5,405,919号および同第6,232,336号(これらの全てが、本明細書中に参考として完全に援用される)に教示される方法を含む種々の方法によって、合成され得る。
【0067】
一酸化窒素供与部分は、スチルベン(例えば、レスベラトロル)、ポリフェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)、または本発明中で記載され、提供されるような他の化合物(例えば、スタチンのクラスのメンバー)、あるいは共有結合またはイオン結合を介したそれらの誘導体またはアナログに有利に結合され得る。好ましくは、1つまたは複数の一酸化窒素供与部分は、1つ以上の共有結合によって結合される。一酸化窒素供与部分は、この分子の任意の部分に有利に結合され得る。1つの実施形態において、1つ以上のヒドロキシル基の代わりに一酸化窒素供与部分に置換する。好ましい実施形態において、これらの置換は、ヒドロキシル基の代わりに有機ニトラート基への置換である。別の好ましい実施形態において、これらの置換は、ヒドロキシル基の代わりにエステルまたは逆エステルに結合される有機ニトラート基への置換である。別の好ましい実施形態において、一酸化窒素供与部分は、スチルベン(例えば、レスベラトロル)、フェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)、または本発明中で記載され、提供されるような他の化合物(例えば、スタチンのクラスの任意のメンバー)のヒドロキシル基の全て、あるいはそれらのアナログまたは誘導体のヒドロキシル基を置換した。
【0068】
本発明の化合物の全てについて、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、CF基、CCl基、CBr、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐した1〜18個の炭素原子のアルキル鎖、または必要に応じて置換され、必要に応じて分岐した1〜18個の炭素原子のアルコキシ鎖によるヒドロキシル基の置換もまた企図され、提供される。なぜなら、親化合物のこのような変更は一般的であり、作用機構を変更することなく薬物の薬効を改善することが知られ、かつ当業者によって容易に達成されるためである。
【0069】
本発明の化合物の全てについて、これらの化合物のアセチル化誘導体もまた企図され、提供される。なぜなら、親化合物のこのような変更は一般的であり、作用機構を変更することなく薬物の薬効を改善することが知られ、かつ当業者によって容易に達成されるためである。アセチル化誘導体としては、エステル、逆エステル、一酸化窒素供与部分(ニトロオキシ基が挙げられるが、これに限定されない)が結合したエステル、および一酸化窒素供与部分(ニトロオキシ基が挙げられるが、これに限定されない)が結合した逆エステルが挙げられる。
【0070】
本発明の化合物の全てについて、これらの化合物のリン酸化誘導体もまた企図され、提供される。なぜなら、親化合物のこのような変更は一般的であり、作用機構を変更することなく薬物の薬効を改善することが知られ、かつ当業者によって容易に達成されるためである。
【0071】
本発明によって企図される化合物のグルコロン酸抱合誘導体もまた、本明細書において企図される。なぜなら、グルコロン酸抱合は、スチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドの代謝の一部として体内で天然に生じるプロセスであるためである。一旦患者に提供されると、本発明の化合物の多くは体内で修飾され、従って、グルコロン酸抱合形態で体内に存在する。従って、投与前の本発明の化合物へのグルコロン酸の抱合は、インビボ研究によって決定されるように、これらの化合物の機能または治療的有用性を妨げない。結果として、付加的な糖部分が結合した本発明の化合物は、機能的に親化合物に匹敵すると考えられ、従って本発明において提供される。本発明によって企図される任意のスチルベン、ポリフェノールまたはフラボノイド誘導体化合物のグルコロン酸抱合は、例えば、Otakeの方法(Otakeら、2002.Drug Metab.Disp.30(5):576〜581)におけるようにヒト肝ミクロソームを用いて達成され得る。
【0072】
同様に、本発明によって企図される化合物の硫酸化誘導体もまた、本明細書において企図される。なぜなら、硫酸化は、スチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドの代謝の一部として体内で天然に生じるプロセスであるためである。一旦患者に提供されると、本発明の化合物のいくつかは体内で修飾され、従って、硫酸化形態で体内に存在する。従って、硫酸化は、インビボ研究によって決定されるように、これらの化合物の機能または治療的有用性を妨げない。結果として、硫酸化反応を受けた本発明の化合物は、機能的に親化合物に匹敵すると考えられ、従って本発明において提供される。本発明によって企図される任意のスチルベン、ポリフェノールまたはフラボノイド誘導体化合物の硫酸化は、例えば、Varinのイオンエア抽出法(Varinら、1987.Anal.Biochem.161:176〜180)を用いて達成され得る。
【0073】
本明細書中で記載した化合物の塩(薬学的処方物に好ましい塩を含む)もまた、本発明において提供される。
【0074】
(本発明によって企図される化合物)
本発明において提供される化合物を、明らかにする目的で、例示的な化学構造で示すが、これは本発明の範囲を下記に列挙した化合物に限定するためではない。用語「ニトロオキシ」が用いられる場合、その意味するものは、硝酸エステル基−ONOである。用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」が用いられる場合、その意味するものは、−OH基である。用語「逆エステル」が用いられる場合、その意味するものは、以下の基:
【0075】
【化21】

であり、ここで、O−結合はフラボノイド、スチルベンまたはポリフェノール構造の親化合物への結合であり、
そしてRはC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、そしてS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得る。
【0076】
用語「逆エステルニトロオキシ」が用いられる場合、その意味するものは、以下の基:
【0077】
【化22】

であり、ここで、O−結合はフラボノイド、スチルベンまたはポリフェノール構造の親化合物への結合であり、
そして、Rは、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして1つ以上のONOを含む。
【0078】
本発明は、以下の一般的なスチルベン構造:
【0079】
【化23】

を有する化合物を提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0080】
【化24】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0081】
【化25】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0082】
本発明はまた、以下の一般構造の化合物も提供する:
【0083】
【化26】

【0084】
【化27】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0085】
【化28】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、
そして、XおよびYは、それぞれ独立して、C、N、Oであり得、ただし、XまたはYのいずれかがCである場合、他方はCではない。
【0086】
本発明はまた、以下の一般構造の化合物も提供する:
【0087】
【化29】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0088】
【化30】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0089】
本発明はまた、以下の一般的なポリフェノール構造:
【0090】
【化31】

を有する化合物も提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0091】
【化32】

【0092】
【化33】

ここで、
XはCまたはSであり、
そしてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0093】
【化34】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0094】
本発明はまた、以下の一般的なフラボノイド構造:
【0095】
【化35】

を有する化合物も提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0096】
【化36】

【0097】
【化37】

本発明はまた、以下の一般的なイソフラボノイド構造:
【0098】
【化38】

を有する化合物も提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0099】
【化39】

【0100】
【化40】

【0101】
【化41】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R15、およびR16は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R13、R14、OR13、OR14、OCOR13、OCOR14、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R12またはR15またはR16の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R14、OR14、またはOCOR14であり;そして
ここで、OCORは
【0102】
【化42】

を意味し、
そしてRはR13またはR14であり、
ここで、R13はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R14はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、
Xは、O、CR15またはNR15であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR16またはNR16であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る。
【0103】
本発明はまた、以下の一般的なカルコン構造:
【0104】
【化43】

を有する化合物も提供し、
このうちいくつかの構造は、以下の構造によって表される:
【0105】
【化44】

【0106】
【化45】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R13、R12、OR13、OR12、OCOR13、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R11の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0107】
【化46】

を意味し、
そしてRはR12またはR13であり、
ここで、R13はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;そして
ここで、
Xは、単結合または二重結合であり得;
Yは、単結合または二重結合であり得;そして
Zは、CO[ケトン]、CR11またはNR11であり得る;
本発明において提供されるコレステロール低下化合物の他のNO供与誘導体としては、以下が挙げられる:
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0108】
【化47】

ここで、
R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R4の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0109】
【化48】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0110】
本発明はまた、以下の化合物も提供する:
【0111】
【化49】

ここで、
R1は、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0112】
【化50】

を意味し、
そしてRはR12であり、
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0113】
本発明はまた、以下の化合物も提供する:
【0114】
【化51】

ここで、
R1は、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0115】
【化52】

を意味し、
そしてRはR12であり、
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0116】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0117】
【化53】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0118】
【化54】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0119】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0120】
【化55】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0121】
【化56】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0122】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0123】
【化57】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0124】
【化58】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0125】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0126】
【化59】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0127】
【化60】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0128】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0129】
【化61】

ここで、
R1、R2は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R2の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0130】
【化62】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0131】
本発明はまた、以下の化合物も提供する:
【0132】
【化63】

ここで、
R1は、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0133】
【化64】

を意味し、
そしてRはR12であり、
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0134】
(スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドのNO供与誘導体の合成方法)
スチルベン(例えば、レスベラトロル)、ポリフェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)、あるいは他の抗酸化剤(血清コレステロールを低下させるかまたは逆コレステロール輸送を活性化するかまたはHDLを増加させる化合物)の一酸化窒素供与アナログまたは誘導体を合成するための多数の方法が存在することは、当業者に容易に明らかである。公知の方法が存在するにもかかわらず、このような化合物は、これまでに記載または合成されていない。好ましくは、このような化合物は、スチルベン(例えば、レスベラトロル)のアナログまたは誘導体、ポリフェノールのアナログまたは誘導体、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)のアナログまたは誘導体、あるいは他の抗酸化剤のアナログまたは誘導体(一酸化窒素供与部分に結合された、血清コレステロールを低下させるかまたは逆コレステロール輸送を活性化するかまたはHDLを増加させる化合物)である。最も好ましくは、このような化合物は、スチルベン(例えば、レスベラトロル)、ポリフェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)のアナログまたは誘導体、あるいは他の抗酸化剤のアナログまたは誘導体(1つ以上のONO基(硝酸エステル、有機ニトラート、またはニトロオキシ基とも呼ばれる)で親化合物のヒドロキシル基を置換した、血清コレステロールを低下させるかまたは逆コレステロール輸送を活性化するかまたはHDLを増加させる化合物)である。
【0135】
本発明によって提供される化合物の例は、天然に存在しているレスベラトロルに存在する3つのヒドロキシル基の代わりに有機ニトラート基に置換されたレスベラトロルである。この化合物は、3,4’,5トリニトロオキシトランススチルベン、または三硝酸レスベラトロル、またはIUPAC命名法を使用して、1,3−ビス−ニトロオキシ−5−[2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ビニル)−ベンゼンと命名される。本発明によって提供されるこのような化合物の別の例は、天然に存在しているナリンゲニンに存在する3つのヒドロキシル基の代わりに有機ニトラート基に置換されたナリンゲニンである。この化合物は、三硝酸ナリンゲニン、またはIUPAC命名法を使用して、5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンと命名される。本発明によって提供される化合物の別の例は、ナリンゲニンの逆エステルニトロオキシアナログであり、3つのヒドロキシルが置換されたものは、5−ニトロオキシ−ペンタン酸4−[5,7−ビス−(5−ニトロオキシ−ペンタノイルオキシ)−4−オキソ−クロマン−2−イル]−フェニルエステルである。本明細書中に明記されている化合物に限定されるわけではないが、さらに多くの例が、本発明の実施例の項に提供される。
【0136】
この反応で用いられるトランス−レスベラトロル原料物質は、Bio−Stat Limited(Stockport,U.K.)またはSigma Chemical Co.(St.Louis,Mo.,USA)から商業的に入手可能であり、Goldbergら(1995)Am.J.Enol.Vitic.46(2):159〜165の手順を用いてワインから単離される。あるいは、トランス−レスベラトロルは、米国特許第6,048,903号に教示されるようにToppoの方法に従って、またはMoreno−ManasおよびPleixatsの方法からWaterhouseによって改変されたWittig反応によって適切に置換されたフェノールから合成され得る。
【0137】
合成反応の材料として用いられるナリンゲニンは、多数の市販の供給源から容易に入手可能であるか、あるいは、過度の実験を必要とせずに柑橘類の絞り汁のような天然源から周知の方法を使用して単離可能な、天然に存在する化合物である。
【0138】
(投与)
上記の状態の処置のために、これらの化合物がそれ自体で用いられ得るが、より好ましくは、受容可能なキャリアまたは賦形剤とともに薬学的に受容可能な処方物の形態で存在する。これらの処方物としては、経口、直腸、局所、口腔内および非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)投与に適した処方物が挙げられるが、任意の所定の場合における最適な投与形態は、処置される状態の程度および重症度ならびに用いられる特定の化合物の性質に依存する。
【0139】
経口投与に適した処方物は、カプセル、カシェ剤、トローチ剤、または錠剤のような不連続単位(各々が、所定量の化合物を、粉末または顆粒として;水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして含む)で提示され得る。示されるように、このような処方物は、活性化合物とキャリアまたは賦形剤(1つ以上の副成分を構成し得る)を結合させる工程を包含する、任意の適切な製薬方法によって調製され得る。このキャリアは、処方物の他の成分と相溶性があるという意味で受容可能でなければならず、かつレシピエントにとって有毒であってはならない。このキャリアは、固体であっても液体であっても、または両方であってもよく、好ましくは、0.05重量%〜95重量%の活性化合物を含み得る単位用量処方物(例えば、錠剤)として、本化合物とともに処方される。他の化合物を含む、他の薬理学的に活性な物質もまた示され得る。本発明の処方物は、これらの化合物を混合する工程から本質的に成る任意の周知の製薬技術によって調製され得る。
【0140】
固体組成物について、従来の無毒性固体キャリアとしては、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。薬理学的に投与可能な液体組成物は、例えば、本明細書中に記載されるような活性化合物および任意の薬学的アジュバントを、賦形剤(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなど)中に溶解、分散などし、それによって溶液または懸濁液を形成することによって調製され得る。一般に、適切な処方物は、この活性化合物と液体もしくは微細固体キャリアまたはその両方とを均一にかつ完全に混合し、次いで、必要な場合、その生成物を成形(shape)することによって、有利に調製され得る。例えば、錠剤は、本化合物の粉末または顆粒を、必要に応じて1つ以上の副成分とともに圧縮または成形(mold)することによって、調製され得る。圧縮された錠剤は、適切な機械中で易流動性形態の化合物(例えば、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤および/または界面活性剤/分散剤と混合された粉末または顆粒)を圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿潤した粉末状化合物を適切な機械中で成形することによって作製され得る。
【0141】
口腔内(舌下)投与に適した処方物としては、化合物を香味基剤(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に含むトローチ剤、ならびに本化合物を不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)中に含む香錠が挙げられる。
【0142】
非経口投与に適した本発明の処方物は、本化合物の滅菌水性調製物を含み、これらの化合物は、対象とするレシピエントの血液とほぼ等張である。これらの調製物は、静脈内に投与されるが、投与はまた、皮下、筋肉内、または皮内注射によっても達成され得る。このような調製物は、本化合物を水と混合し、得られた溶液を滅菌しそして血液と等張にすることによって、便利に調製され得る。本発明による注射用組成物は、一般に0.1〜5%w/wの活性化合物を含む。
【0143】
直腸投与に適した処方物は、単位用量坐薬として提供される。これらは、本化合物を1つ以上の従来の固体キャリア(例えば、カカオバター)と混合し、次いで得られた混合物を成形することによって、調製され得る。
【0144】
皮膚への局所投与に適した処方物は、好ましくは軟膏、クリーム剤、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形態をとる。用いられ得るキャリアおよび賦形剤としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。この活性化合物は、一般に、組成物の0.1〜15%w/wの濃度(例えば、0.5〜2%)で存在する。
【0145】
投与される活性化合物の量は、当然ながら、処置される被験体、被験体の体重、投与様式および処方する医師の判断に依存する。本発明の方法において、投与スケジュールは、一般に、1μg〜1000mgの認知された投薬量でのカプセル化化合物の毎日の投与、または1日に2回の投与を含む。カプセル化によって作用部位への接近が容易になり、かつ活性成分の同時投与が可能になって、理論上は相乗効果が生じる。標準投薬レジメンに従って、医師は、最適投薬量を容易に決定し、且つこのような投薬を達成するために投与を容易に変更し得る。
【実施例】
【0146】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために示されるものであり、本明細書中に記載され且つ特許請求される発明を具体的に限定すると解釈されるべきではない。処方の変更または実験計画のわずかな変更を含む、現在公知であるかまたは後に開発される等価の化合物の置き換えを含む、当業者の範囲内である本発明のこのような変法は、本明細書中に組み込まれる発明の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0147】
本明細書中で提供される全ての実施例について、他に断りのない限り、用語「本化合物(the compounds)」または「本化合物(the compound)」とは、本発明において提供される任意の化合物をいう。
【0148】
(実施例1:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−[2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ビニル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−[(E)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:レスベラトロル;3,4’,5トリヒドロキシトランススチルベン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物(1,3−ビス−ニトロオキシ−5−[(E)−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ビニル)−ベンゼン)および部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0149】
(実施例2:四硝酸ピセアタンノールの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの1,2−ベンゼンジオール,4−(2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)エテニル)−(E)−(別名:ピセアタンノール)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物(四硝酸ピセアタンノール)および部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0150】
(実施例3:四硝酸ブテインの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,4,2’,4’−テトラヒドロキシカルコン(別名:ブテイン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である四硝酸ブテインおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0151】
(実施例4:三硝酸イソリキリチゲニンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4,2’,4’−トリヒドロキシカルコン(別名:イソリキリチゲニン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である三硝酸イソリキリチゲニンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0152】
(実施例5:四硝酸フィセチンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,7,3’,4’−テトラヒドロキシフラボン(別名:フィセチン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である四硝酸フィセチンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0153】
(実施例6:五硝酸ケルセチンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシフラボン(別名:ケルセチン)の溶液に、25℃にて、5mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である五硝酸ケルセチンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0154】
(実施例7:N−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−N’−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドラジンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−[N’−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ヒドラジノ]−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるN−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−N’−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドラジンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0155】
(実施例8:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルジスルファニル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェニルジスルファニル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルジスルファニル)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0156】
(実施例9:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルペルオキシ)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェニルペルオキシ)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルペルオキシ)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0157】
(実施例10:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルスルファニルメチル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニルメチル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルスルファニルメチル)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0158】
(実施例11:N−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル−O−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドロキシルアミンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェノキシアミノ)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるN−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル−O−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドロキシルアミンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0159】
(実施例12:ベンジル−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アミンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−ベンジルアミノ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるベンジル−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アミンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0160】
(実施例13:2−(サリチリデンアミノ)フェノールジニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−(サリチリデンアミノ)フェノールの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(サリチリデンアミノ)フェノールジニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0161】
(実施例14:(2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−(2−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−(2−ヒドロキシ−フェニラゾ)−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:1,3−ベンゼンジオール,4−((2−ヒドロキシフェニル)アゾ)−)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−(2−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0162】
(実施例15:ビス−(2,2’−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのビス−(2,2’−ヒドロキシ−フェニル)−ジアゼン(別名:1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニラゾ)ベンゼン)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるビス−(2,2’−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0163】
(実施例16:N−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのN−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(別名:N−(3−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるN−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0164】
(実施例17:N−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのN−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(別名:N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるN−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0165】
(実施例18:3,3’,4,5’−テトラニトロオキシビベンジルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,3’,4,5’−テトラヒドロキシビベンジルの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である3,3’,4,5’−テトラニトロオキシビベンジルおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0166】
(実施例19:1−ベンジルオキシ−2−ニトロオキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ベンジルオキシ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ベンジルオキシ−2−ニトロオキシ−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0167】
(実施例20:安息香酸3−ニトロオキシ−フェニルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの安息香酸3−ヒドロキシ−フェニルエステル(別名:レゾルシノールモノベンゾエート)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である安息香酸3−ニトロオキシ−フェニルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0168】
(実施例21:2−ニトロオキシ−安息香酸フェニルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ヒドロキシ−安息香酸フェニルエステル(別名:サリチル酸フェニル)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である2−ニトロオキシ−安息香酸フェニルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0169】
(実施例22:2−ニトロオキシ−N−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ヒドロキシ−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ベンズアミド(別名:オサルミド)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−ニトロオキシ−N−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0170】
(実施例23:2−ニトロオキシ−N−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ヒドロキシ−N−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ベンズアミドの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−ニトロオキシ−N−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0171】
(実施例24:3,4,5−トリス−ニトロオキシ−N−フェニル−ベンズアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,4,5−トリヒドロキシ−N−((Z)−1−メチレン−ブタ−2−エニル)−ベンズアミド(別名:ガラニリド)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である3,4,5−トリス−ニトロオキシ−N−フェニル−ベンズアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0172】
(実施例25:1−(2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−2−フェニル−エタノンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの1−(2,4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−エタノン(別名:ベンジル2,4−ジヒドロキシフェニルケトン)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1−(2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−2−フェニル−エタノンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0173】
(実施例26:1,2−ビス−ニトロオキシ−3−フェノキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3−フェノキシ−ベンゼン−1,2−ジオールの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,2−ビス−ニトロオキシ−3−フェノキシ−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0174】
(実施例27:1,2−ビス−ニトロオキシ−3−(2−ニトロオキシ−フェノキシ)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3−(2−ヒドロキシ−フェノキシ)−ベンゼン−1,2−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,2−ビス−ニトロオキシ−3−(2−ニトロオキシ−フェノキシ)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0175】
(実施例28:1−ニトロオキシ−2−フェノキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−フェノキシ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ニトロオキシ−2−フェノキシ−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0176】
(実施例29:5,5スルフィニルビスレゾルシノールテトラニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,5スルフィニルビスレゾルシノールの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,5−スルフィニルビスレゾルシノールテトラニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0177】
(実施例30:1,3−ベンゼンジオール4,4’−チオビステトラニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの1,3−ベンゼンジオール4,4’−チオビスの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ベンゼンジオール4,4’−チオビステトラニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0178】
(実施例31:フェノール2,2’チオビスジニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのフェノール2,2’チオビスの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるフェノール2,2’チオビスジニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0179】
(実施例32:1−ベンジル−2,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−ベンジル−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:1,3ベンゼンジオール3−フェニルメチル)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1−ベンジル−2,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0180】
(実施例33:2−ベンジル−1,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ベンジル−ベンゼン−1,4−ジオール(別名:1,4ベンゼンジオール4−フェニルメチル)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−ベンジル−1,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0181】
(実施例34:(2,3,4−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−(3,4,5−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−メタノンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(2,3,4−トリヒドロオキシ−フェニル)−(3,4,5−トリヒドロキシ−フェニル)−メタノン(別名:EXIFONE)の溶液に、25℃にて、6mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(2,3,4−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−(3,4,5−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−メタノンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0182】
(実施例35:(2−ニトロオキシ−フェニル)−フェニル−アミンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−フェニルアミノ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である(2−ニトロオキシ−フェニル)−フェニル−アミンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0183】
(実施例36:2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−4H−クロメンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(6−ヒドロキシ−4H−クロメン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−4H−クロメンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0184】
(実施例37:2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,4−ジヒドロ−ナフタレンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(6−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル−)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,4−ジヒドロ−ナフタレンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0185】
(実施例38:2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0186】
(実施例39:5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロマン−4−オン(別名:ナリンゲニン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0187】
(実施例40:5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(別名:アピゲニン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0188】
(実施例41:5,7−ビス−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,7−ジヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(別名:ゲニステイン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,7−ビス−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0189】
(実施例42:2−(3,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3,4,5,7−テトラキス−ニトロオキシ−クロマンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−クロマン−3,4,5,7−テトラオール(別名:ロイコシアニドール)の溶液に、25℃にて、6mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3,4,5,7−テトラキス−ニトロオキシ−クロマンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0190】
(実施例43:6−ヒドロキシ−7−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの6,7−ジヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロマン−4−オン(別名:6,7,4’−トリヒドロキシイソフラボン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である6−ヒドロキシ−7−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0191】
(実施例44:Quracol Bテトラニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのQuracol Bの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるQuracol Bテトラニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0192】
(実施例45:1−(4−ヒドロキシ−2,6−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−プロパン−1−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1−オン(別名:フロレチン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1−(4−ヒドロキシ−2,6−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0193】
(実施例46:1−ニトロオキシ−4−((Z)−3−フェニル−アリル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−((Z)−3−フェニル−アリル)−フェノール(別名:4(−3−フェニル−2−プロペニル)−,(E)−フェノール)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ニトロオキシ−4−((Z)−3−フェニル−アリル)−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0194】
(実施例47:1−ニトロオキシ−4−((E)−3−フェニル−プロペニル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−((E)−3−フェニル−プロペニル)−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ニトロオキシ−4−((E)−3−フェニル−プロペニル)−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0195】
(実施例48:5,6,7−トリス−ニトロオキシ−2−フェニル−クロメン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,6,7−トリヒドロキシ−2−フェニル−クロメン−4−オン(別名:バイカレイン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,6,7−トリス−ニトロオキシ−2−フェニル−クロメン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0196】
(実施例49:四硝酸ルチンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−3−[(2S,3R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−((2R,3R,4R,5R,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチル−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ]−クロメン−4−オン(別名:ルチン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−5,7−ビス−ニトロオキシ−3−[(2S,3R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−((2R,3R,4R,5R,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチル−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ]−クロメン−4−オン(四硝酸ルチン)および部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0197】
(実施例50:5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−O−α−L−ラムノピラノシル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−クロマノンジニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−O−α−L−ラムノピラノシル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−クロマノン(別名:ナリンギン)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−O−α−L−ラムノピラノシル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−クロマノンジニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0198】
(実施例51:(E)−(3S,5R)−7−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(E)−(3S,5R)−7−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタ−6−エン酸(別名:フルバスタチン;Novartis)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(E)−(3S,5R)−7−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0199】
(実施例52:5−(4−フルオロ−フェニル)−2−イソプロピル−4−フェニル−1−((3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1H−ピロール−1−イル]−3−カルボン酸フェニルアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−フェニルカルバモイル−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸(別名:アトルバスタチン;Parke−Davis)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5−(4−フルオロ−フェニル)−2−イソプロピル−4−フェニル−1−((3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1H−ピロール−1−イル]−3−カルボン酸フェニルアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0200】
(実施例53:(E)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−2,6−ジイソプロピル−5−メトキシメチル−ピリジン−3−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(E)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−2,6−ジイソプロピル−5−メトキシメチル−ピリジン−3−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタ−6−エン酸(別名:セリバスタチン;Bayer)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(E)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−2,6−ジイソプロピル−5−メトキシメチル−ピリジン−3−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0201】
(実施例54:(S)−2−メチル−酪酸(1S,3S,7S,8S,8aR)−7−メチル−3−ニトロオキシ−8−((4R,6R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(2R,4R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[(1S,2S,6S,8S,8aR)−6−ヒドロキシ−2−メチル−8−((S)−2−メチル−ブチリルオキシ)−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イル]−ヘプタン酸(別名:プラバスタチン;Bristol−Myers Squibb)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(S)−2−メチル−酪酸(1S,3S,7S,8S,8aR)−7−メチル−3−ニトロオキシ−8−((4R,6R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0202】
(実施例55:2,2−ジメチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2,2−ジメチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−[2−((2R,4R)−4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステル(別名:シンバスタチン;Merck)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である2,2−ジメチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0203】
(実施例56:(S)−2−メチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(S)−2−メチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−[2−((2R,4R)−4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステル(別名:ロバスタチン;Merck)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である(S)−2−メチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0204】
(実施例57:N−[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−イソプロピル−5−((E)−(3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプタ−1−エニル)−ピリミジン−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(E)−(3R,5R)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピリミジン−5−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタ−6−エン酸(別名:ロスバスタチン;Astra−Zeneca)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるN−[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−イソプロピル−5−((E)−(3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプタ−1−エニル)−ピリミジン−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0205】
(実施例58:ニトロオキシ−ピリジン−3−イル−メタノンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのニコチン酸(別名:ナイアシン)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるニトロオキシ−ピリジン−3−イル−メタノンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0206】
(実施例59:(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−3−ニトロオキシ−プロピル]−4−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アゼチジン−2−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−3[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロピル]−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アゼチジン−2−オン(別名:エゼチミブ;Merck)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−3−ニトロオキシ−プロピル]−4−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アゼチジン−2−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0207】
(実施例60:本発明の化合物をグルコロン酸抱合するための方法)
本実施例は、本発明のグルコロン酸抱合された化合物を調製する方法を記載する。この特定の実施例において、最終容量500μLの、10mMのMgClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.8)中の、実施例1のように調製したジニトロ化バージョンのレスベラトロルである3,4’−ニトロオキシ−5−ヒドロキシレスベラトロル(50〜1000μM)、および10μLのヒト腸ミクロソーム、25μLの結腸ミクロソームまたは10μLの肝臓ミクロソーム(それぞれ、200、400、200μgのタンパク質)、20μLの組換えUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(400μgのタンパク質)を、37℃で5分間プレインキュベートする。反応を、1mMの5’−ジホスホグルクロン酸の添加によって開始する。これらの反応混合物を、37℃で60分間インキュベートする。これらのサンプルを氷上で冷却し、oasis Hydrophilic−新油性 Balance 1cc C18抽出カートリッジ(Waters Corp,Milford,MA)を使用する固相抽出に供す。これらのカートリッジを1mLのメタノールで洗浄し、そして1mLの水で平衡化する。0.5mLのサンプルをロードした後、これらのカートリッジを5%メタノールで洗浄し、そして2mLの100%メタノールで溶出する。このメタノール溶出物をNガス下で40℃にて乾燥し、そしてこのサンプルを、HPLC分析のために250μLの移動相中に再び融解する。
【0208】
(実施例61:本発明の化合物を硫酸化するための方法)
本実施例は、本発明の硫酸化化合物を調製する方法を記載する。この特定の実施例において、実施例1のように調製したレスベラトロル,3,4’−ニトロオキシ−5−ヒドロキシレスベラトロルのジニトロ化バージョンを、前述のイオン対抽出方法(Varinら1987、Anal.Biochem.161:176〜180)を用いて、スルホトランスフェラーゼ酵素によって硫酸化する。代表的な反応混合物は、総容量100μLの、8mMジチオスレイトールおよび0.0625%ウシ血清アルブミンを含む33mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)中に、0.1〜200μMの3,4’−ニトロオキシ−5−ヒドロキシレスベラトロル、1μMの[35S]PAPS、および2.5μLのプールされたヒト肝臓サイトゾル(50μgのタンパク質)、2.5μLのヒト空腸サイトゾル(30μg)、Caco−2サイトゾル(225μg)または0.25μLの組換えスルホトランスフェラーゼを含む。これらのサンプルを37℃で30分間インキュベートし、これらの反応を、10μLの2.5%酢酸、20μLの0.1μM硫酸水素テトラブチルアンモニウムおよび500μLの酢酸エチルの添加によって終結させる。混合および遠心分離を経た後、この400μLの酢酸エチル抽出物を、生分解性計数シンチラント(Amersham Biosciences,Piscataway,N.J.)の添加後に、液体シンチレーション計数に供する。
【0209】
(実施例62:ACAT阻害の決定)
ACATのインヒビターとしての本発明の化合物の活性は、公知の方法(例えば、米国特許第6,165,984号に教示され、以下に要約される方法)によって決定され得る。
【0210】
まず、ラットを断頭によって屠殺し、それらの肝臓を切除する。1gの各肝臓を、5mLの均質化培地(0.1MのKHPO(pH7.4)、0.1mMのEDTAおよび10mMのβ−メルカプトエタノール)中でホモジナイズする。このホモジネートを3,000×gで10分間、4℃で遠心分離し、得られた上清を15,000×gで15分間、4℃で遠心分離して、上清を得る。この上清を超遠心管(Beckman)の中に入れ、100,000×gで1時間、4℃で遠心分離して、ミクロソームのペレットを得、これらのペレットを、次に3mLの均質化培地中に懸濁し、100,000×gで1時間、4℃で遠心分離する。得られたペレットを、1mLの均質化培地中に懸濁する。得られた懸濁液中のタンパク質の濃度をローリー法によって決定し、次いで4〜8mg/mLに調整する。得られた懸濁液を、超低温フリーザー(Biofreezer、Forma Scientific Inc.)中で保存する。
【0211】
アセトン中の1mg/mLコレステロール溶液6.67μLを、アセトン中の10% Triton WR−1339(Sigma Co.)6μLと混合し、次いで、アセトンを、窒素ガスを用いてエバポレーションによってこの混合物から除去する。得られた混合物に蒸留水を添加して、コレステロールの濃度を30mg/mLに調整する。
【0212】
得られたコレステロール水溶液10μLに、10μLの1M KHPO(pH7.4)、5μLの0.6MMウシ血清アルブミン(BSA)、10μLの(工程1)で得られたミクロソーム溶液および55μLの蒸留水を添加する(合計90μL)。この混合物を、水浴中で37℃にて30分間プレインキュベートする。
【0213】
10μLの(1−14C)オレオイル−CoA溶液(0.05μCi、最終濃度:10μM)を、このプレインキュベートした混合物に添加し、得られた混合物を、水浴中で37℃にて30分間インキュベートする。この混合物に、500μLのイソプロパノール:ヘプタン混合物(4:1(v/v))300μLのヘプタンおよび200μLの0.1M KHPO(pH7.4)を添加し、そしてこの混合物をボルテックスを用いて激しく混合し、次いで室温で2分間静置する。
【0214】
得られた上清200μLをシンチレーションボトルの中に入れ、これに4mLのシンチレーション液(Lumac)を添加する。この混合物を、液体シンチレーションカウンターを用いて、放射能についてアッセイする。ACAT活性を、タンパク質1mg当たり1分間に合成されるオレイン酸コレステリルのピコモルとして算出する(pmol/分/mgタンパク質)。本発明の化合物を投与したラット群で観測されるACAT活性は、コントロール群のACAT活性よりも低い。
【0215】
(実施例63:HMG−CoAレダクターゼの阻害の決定)
本発明の化合物によるHMG−CoAレダクターゼの阻害能力は、公知の方法(例えば、米国特許第5,877,208号に教示される方法)を用いて決定され得る。この方法を以下に要約する。
【0216】
ラットを断頭によって屠殺し、それらの肝臓を切除し、直ちに氷冷の均質化培地(50mMのKHPO(pH7.0)、0.2Mスクロース、2mMジチオスレイトール(DTT))中に置く。これらの肝臓を、均質化培地(2mL培地/肝臓1g)中で、Waringブレンダーを用いて15秒間ホモジナイズする(Potter−Elvehjem型ガラスホモジナイザー中で、電動テフロン(登録商標)乳棒を用いて3ストローク)。このホモジネートを15,000×gで10分間遠心分離し、得られた上清を100,000×gで75分間遠心分離して、ミクロソームのペレットを得、これらのペレットを、次に50mM EDTAを含む均質化培地中に再懸濁し、100,000×gで60分間遠心分離する。このミクロソームを含む上清を、酵素源として使用する。
【0217】
HMG−CoAレダクターゼの活性は、下記の通り、Shapiroらの方法(Biochemica et Biophysica Acta,370,369〜377(1974))に従って、放射標識した14C HMG−CoAを使用することによって決定される。
【0218】
(工程1)で得られたミクロソームを含む上清中の酵素を、37℃で30分間活性化させる。反応チューブに、20μLのHMG−CoAレダクターゼアッセイ緩衝液(0.25M KHPO(pH7.0)、8.75mM EDTA、25mM DTT、0.45M KClおよび0.25mg/mL BSA)、5μLの50mM NADPH、5μLの放射標識した14C HMG−−CoA(0.05μCi/チューブ、最終濃度120μM)、および10μLの活性化ミクロソーム酵素(0.03〜0.04mg)を添加し、この混合物を37℃で30分間インキュベートする。この混合物に10μLの6M HClを添加することによって反応を終結させ、この混合物を37℃で15分間インキュベートして、生成物を完全にラクトン化させる。沈殿を、10,000×gで1分間遠心分離することによって除去し、そしてこの上清を、Silica gel 60G TLCプレート(Altech,Inc.,Newark,U.S.A.)にアプライし、次いで、ベンゼン:アセトン(1:1,v/v)で展開する。適切な領域を、使い捨てカバーガラスを用いて削り取り、1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター(Wallacoy,フィンランド)を用いて放射能をアッセイする。酵素活性を、タンパク質1mg当たり1分間に合成されるメバロン酸のピコモルとして算出する(pmol/分/mgタンパク質)。コントロールラットは、比較的高いHMG−CoAレダクターゼ活性を示すが、本発明の化合物を給餌したラットで観測されるHMG−CoA活性は、コントロール群の活性よりも低い。
【0219】
(実施例64:本発明の化合物によるPPARの活性化の決定)
PPARγおよびPPARαの活性を変更する、本発明の化合物の能力は、以前に米国特許第6,369,098号に教示された、下記のようないくつかの公知の方法によって決定される。
【0220】
(NF−κB活性化の阻害に基づいてPPARγおよびPPARαの活性を変更する化合物をスクリーニングする方法)
本発明の化合物を、NF−κBの活性を阻害する能力について試験する。ヒト内皮細胞および血管平滑筋細胞(VSMC)は、PPARγおよびPPARαの両方を発現することが知られている(Neve BPら、Biochem Pharmacol.,60:1245〜1250(2000))。あるいは、健常なドナーまたは哺乳類細胞株(例えば、PPARαおよび/またはPPARγ発現ベクターでトランスフェクトされたJurkat T細胞株)から単離されたヒト末梢Tリンパ球が、これらの実験に用いられ得る。これらの選択された細胞型の1つは、以下の1つ以上で刺激される:フィトヘマグルチニン/ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PHA/PMA)、TNF−α、インターフェロン−γまたはNF−κBを活性化する他の因子。NF−κBの活性化は、前述のものと類似の電気泳動移動度シフトアッセイによって決定される(Rossi Aら、Proc Natl Acad Sci USA,94:746〜50(1997))。同じ細胞を、5マイクロモルの本発明の化合物と共にNF−κBのアクチベーターの添加前に2時間プレインキュベートすることにより、これとは別に本化合物の非存在下で観測されたNF−κBの活性化が阻害される。
【0221】
(NFAT活性化の阻害に基づいてPPARγおよびPPARαの活性を変更する化合物をスクリーニングする方法)
健常なドナーまたは哺乳類細胞株(例えば、PPARαおよび/またはPPARγ発現ベクターでトランスフェクトされたJurkat T細胞株)から単離されたヒト末梢Tリンパ球は、PHA/PMA、TNF−α、インターフェロン−γまたはNFATを活性化する他の因子の1つ以上で刺激される。NFATの転写活性化は、Yangら(J.Biol.Chem.;275:4541〜4(2000))によって記載されたものと類似の電気泳動移動度シフトアッセイによって決定される。同じ細胞を、5マイクロモルの本発明の化合物と共にNFATのアクチベーターの添加前に2時間プレインキュベートすることにより、これとは別に本化合物の非存在下で観測されたNFATの活性化が阻害される。
【0222】
(IL−2生成の阻害に基づいてPPARγおよびPPARαの活性を変更する化合物をスクリーニングする方法)
単離されたヒトTリンパ球または哺乳類細胞株(例えば、PPARαおよび/またはPPARγ発現ベクターでトランスフェクトされたJurkat T細胞株)は、PHA/PMA、TNF−α、インターフェロン−γまたはIL−2遺伝子発現の誘導を活性化するいくつかの他の因子の1つ以上で刺激される。IL−2の生成を、Yangら(J.Biol.Chem.,275:4541〜4(2000))によって記載されるように、Endogenキット(Wolbum)を用い、細胞由来の上清中のIL−2の濃度を測定して決定する。同じ細胞を、5マイクロモルの本発明の化合物と共にIL−2生成のアクチベーターの添加前に12時間プレインキュベートすることにより、これとは別に本化合物の非存在下で観測されたIL−2生成の活性化が阻害される。
【0223】
(実施例65:本発明の化合物のABCA−1活性化能力を決定する方法)
この試験は、米国特許第6,548,548号に教示されるような公知の方法を用いて、ABCA−1遺伝子発現に対する本発明の化合物の有効性を実証する。手短に言えば、pGL3ルシフェラーゼレポーターベクター系(Promega,Madison,Wis.)を用いて組換えプラスミドを作製し、ABCA−1プロモーターの制御下でレポーター遺伝子発現を測定する。
【0224】
プラスミドpGL3−Basic(Promega,Madison,Wis.;カタログ番号E1751)を、プロモーターのないルシフェラーゼ遺伝子を含む、コントロールプラスミドとして使用する。ABCA−1プロモーターおよびルシフェラーゼ遺伝子を含む、レポーター構築物を、ABCA−1遺伝子の5’フランキング領域由来のゲノムフラグメント(hAPR1 5’プロモーター、配列番号3のヌクレオチド1080〜1643に相当する)をGL3−BasicプラスミドのSacI部位にクローニングすることによって作製し、プラスミドGL−6aを生成する。次に、プラスミドGL−6aを、SpeIおよびAcc65Iで消化する。配列番号3のヌクレオチド1〜1534に相当するABCA−1ゲノム配列を示す、λサブクローンから切り取ったBsiWI−SpeIフラグメントを、この消化によって生成した残りのベクター/ABCA−Iプロモーターフラグメントにライゲーションする。得られたプラスミド(pAPR1)は、1.75kbのヒトABCA−1プロモーター配列の転写調節下で、ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする。
【0225】
コントロールプラスミドまたはpAPR1プラスミドを、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM中で維持されたRAW264.7細胞のコンフルエント培養物中にトランスフェクトする。12ウェル皿の各ウェルを、pGL3−Basic、pGL3−PromoterまたはpAPR1 DNA(1μg)のいずれか、ルシフェラーゼプラスミドDNA(1μg)、および12μLのGeneporter試薬(Gene Therapy Systems,San Diego,Calif.;カタログ番号T201007)を用いて、5時間トランスフェクトする。さらに、0.1μgのpCMVβプラスミドDNA(Clontech,Palo Alto,Calif.,カタログ番号6177−1)を、トランスフェクション効率についてのコントロールとして添加する。5時間後、この培地を、アセチル化LDL(100μg/mL)を含むかまたは含まない無血清DMEM/BSAに交換し、24時間インキュベートする。
【0226】
トランスフェクションの後、各ウェル中の細胞を、70μLの1×細胞溶解試薬(Promega,Madison,Wis.,カタログ番号E3971)中に溶解し、1回の凍結融解サイクルに供し、そしてこの溶解物を、12,000gで5分間の遠心分離によって清澄にする。遠心分離後、100μLのルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega,Madison,Wis.;カタログ番号E1501)を、10μLの溶解物に添加する。各溶解物のルシフェラーゼ活性を、ルミノメーターを用いて光単位として測定する。さらに、各溶解物のβ−ガラクトシダーゼ活性を、Galacto−lightキット中に提供される化学発光アッセイ試薬を用い、製造業者の説明書に従って測定する(Tropix Inc.,Bedford,Mass.:カタログ番号BL100G)。各溶解物についての正規化ルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ活性値を、決定したβ−ガラクトシダーゼ値で割ることによって決定し、相対的光単位として記録する。
【0227】
本発明の化合物は、このアッセイにおいて、ABCA−1遺伝子発現の増加を実証する。
【0228】
(実施例66:ヒトアポリポタンパク質A1タンパク質発現の測定)
この研究は、ヒト腸細胞株であるCaCO2細胞、またはヒト肝細胞株であるHep G2細胞において、内因性APO AI遺伝子によって発現されるアポリポタンパク質A1タンパク質のレベルに対する本発明の化合物の影響を測定する。本発明の化合物を、適切な溶媒中に溶解し、次いで血清を含む細胞培養培地中のCaCO2またはHep G2細胞に与え、そして37℃で12、24、36または48時間、組織培養インキュベーターに戻す。細胞を無血清培地でリンスした後に、これらの細胞を固定し、溶解し、そしてアポリポタンパク質A1の存在を、市販のヒトアポリポタンパク質A1抗体(例えば、マウス抗ヒトアポリポタンパク質A1抗体、Intracel Resources LLC,Frederick,MD,USA)を用いて検出する。溶媒のみで処理した細胞における発現の存在量と比較して、本発明の化合物で処理した細胞についてのアポリポタンパク質A1タンパク質発現の存在量の差異を観測する。アポリポタンパク質発現を調節する活性の検出のための各化合物の最適濃度を、2倍濃度段階で約0.1ピコモルから約100ミリモルまでの範囲の種々の濃度の各化合物を用いて実験を繰り返すことによって決定する。細胞に結合する抗体の検出の増加は、アポリポタンパク質A1発現の増加を誘導する化合物を明らかにする。
【0229】
(実施例67:ApoA−1プロモーター誘導の測定)
CaCO2またはHep G2細胞を、有効濃度の本発明の化合物に曝露する。これらの細胞を、標準技術を使用して、トランスフェクション効率をモニターするpRSV−Bガラクトシダーゼと共にレポーター構築物pAI.474−Lucを用いて、トランスフェクトする。このpAI.474−Lucは、従来の分子生物学技術を用いて作製された構築物であり、ホタルルシフェラーゼ(Luc)であるレポーター遺伝子と融合させたラットAPO AIプロモーターヌクレオチド−474〜−7を含む(米国特許出願第10/222,013号)。本発明の化合物を、適切な溶媒(例えば、DMSO)中に溶解し、次いで培地に16時間添加する。処理の終わりに、これらの細胞を収集し、ルシフェラーゼ活性を、市販のルシフェラーゼアッセイを用いて標準的なプロトコールで測定する。これらの細胞に36時間曝露された使用済み培地もまた、APO AIタンパク質の含有量についてウェスタンブロット分析を用いてアッセイする。細胞溶解物または使用済み培地中のルシフェラーゼ活性の増大は、本発明の化合物がアポリポタンパク質A1発現の誘導活性を有することを示す。
【0230】
(実施例68:AGCCCCCGC配列エレメント誘導の測定)
CaCO2またはHep G2細胞を、有効濃度の本発明の化合物に曝露する。これらの細胞を、まず、標準技術を使用して、トランスフェクション効率をモニターするpRSV−Bガラクトシダーゼと共に、プロモーター(例えば、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター)に作動可能に連結され、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、CAT、またはアポリポタンパク質A1遺伝子)に作動可能に連結された、エンハンサーエレメント(Kilbourneら、JBC,270(12):7004〜7010,1995)として作用する9つのヌクレオチド、5’−AGCCCCCGC−3’の1つ以上のコピーを含むレポーター構築物でトランスフェクトする(米国特許出願第10/222,013号に教示のとおり)。次いで、本発明の化合物を、適切な溶媒(例えば、DMSO)中に溶解し、次いで培地に16時間添加する。処理の終わりに、これらの細胞を収集し、レポーター遺伝子活性を、市販の標準アッセイを用いて測定する。レポーター遺伝子活性の増大または低下は、本発明の化合物が、egr−1応答エレメントを含むと考えられる、9つのヌクレオチド配列5’−AGCCCCCGC−3’を含むプロモーターからの転写を調節する能力を有することを示す。従って、本発明の化合物は、egr−1の活性に関連する状態、疾患または障害の処置に有用である。
【0231】
(実施例69:リングテストを用いた、本化合物の血管拡張活性の測定)
標準的な単離された血管輪調製物を用いて、本発明において提供される化合物の効力を立証する。ニュージーランド白ウサギ由来の胸部大動脈輪を、PH7.4緩衝液中に37℃で懸濁し、各々に10グラムの前負荷をかける。2時間の平衡の後、これらの環輪をノルエピネフィリンで前収縮させる。これらの器官浴に、連続的に増加する濃度で本発明の化合物を添加することによって誘導される弛緩のグラムを測定して、各化合物についての用量反応曲線を作成する。ニトロプルシドナトリウムおよびトリニトログリセリンを、ポジティブコントロールとして用いる。
【0232】
血管拡張活性はまた、Reynoldsらによって記載される方法(J.Pharmacol.Exp.Therap.252,915,1990)に従って調製される組織において、エピネフリンによって誘導される収縮の阻害を測定することによって、単離されたラット大動脈において決定される。
【0233】
本発明の化合物の添加によって誘導される弛緩の増加は、高血圧(例えば、心血管疾患)に関連する多数の障害の処置または予防のための、本化合物の血管拡張活性および有用性を実証する。
【0234】
(実施例70:NO供与の測定)
一酸化窒素放出剤としての本発明の化合物の有用性を実証するために、本発明の化合物を、適切な溶媒およびリン酸緩衝液(pH7.4)中に溶解し、37℃の水浴中でインキュベートする。NO放出速度を、不活性窒素ガスで溶液を流し、次いで新しく生成したNOを化学発光検出器中に取り込み、そして次の4〜7分間にわたって生成されるシグナルを統合することによって、定期的に測定する。ネガティブコントロール(同じ化合物のニトロ化バージョンよりもむしろ、例えばヒドロキシル化バージョンである、潜在的に適切なネガティブコントロール)と比較して増加したNO放出は、高血圧に関連する障害、疾患もしくは状態(例えば、心血管疾患)の処置または予防としての、本化合物のNO放出活性および有用性を実証する。
【0235】
(実施例71:抗酸化剤有効性の測定)
本発明の化合物の抗酸化性能は、刊行された色素ベースのカラーアッセイ(FOXアッセイ,Zadeh,「Methods in Enzymology」,300,58(1999)を参照のこと)を用い、銅触媒自己酸化による低密度リポタンパク質のヒドロキシ過酸化物の程度を測定することによって、実証される。LDLおよび硫酸銅のみを含み、試験物質を含まないサンプルは、試験物質を含む同一の混合物との比較のためのポジティブコントロールの役割を果たす。
【0236】
リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中のヒト低密度リポタンパク質(Sigma Chemical Company L2139)を、硫酸銅と混合する。25℃または37℃にて空気に開放して有効量の本発明の化合物とインキュベーションすることによって酸化を引き起こし、この混合物を、FOXアッセイにおけるヒドロペルオキシドの測定のために、インキュベーションの時間0および3〜20時間の間にサンプリングする。サンプルを、マイクロタイタープレートリーダー中で読み取る。FOXアッセイによって測定されるように、ヒドロペルオキシドの減少は、本発明の化合物の抗酸化活性、および酸化に関連する障害、疾患もしくは状態の処置または予防のためのこれらの化合物の有用性あるいは抗酸化剤の投与による恩恵を明らかにする。抗酸化剤の処置によって恩恵を受ける状態の例は、心血管疾患である。
【0237】
(実施例72:LDL酸化アッセイによる抗酸化活性の測定)
Esterbauerの方法(Esterbauer,H.,Striegl,G.,Puhl,H.,Rotheneder,M.,「Continuous monitoring of in vitro oxidation of human low density lipoprotein」,Free Radic.Res.Commun,1989;6(1):67〜75)は、以下のように一部改変して用いられ得る:
本化合物を、適切な可溶化剤と共に、リン酸緩衝溶液(PBS,0.15MのNaCl−0.05MのNaリン酸緩衝液−pH7.4)中に溶解する。正確な濃度を書き留める(約30〜60μg/mLの測定される抽出物)。この溶液の100μLを、900μLの酸化緩衝液(8mLのPBS中の、ヒトLDL(d=1.019〜1.063g/mLである、120μLの5mg/mL溶液、PerImmune,Rockville,Md.から購入)および硫酸銅(20μLの10mM水溶液)で作製される)に添加する。100μLのPBSおよび900μLの酸化緩衝液で作製される盲検サンプルも調製する。次いで、各溶液を1cm石英キュベットに移し、このキュベットをサーモスタット(37℃)内に配置する。HP−8452Aダイオードアレイ分光光度計が、5分毎に測定を行って、234nm(OD234)で光学濃度を測定する。酸化の遅延時間を、この光学濃度曲線の一次導関数の極大として算出する。アスコルビン酸含む標準を、各アッセイに利用する。
【0238】
(実施例73:HDL、LDL、VLDLおよびトリグリセリドレベルの測定および比較)
化合物または投薬ビヒクル単独を、1.5%カルボキシメチルセルロース/0.2%Tween−20(投薬ビヒクル)中の経口胃管栄養法によって、固形飼料を与えた雄性Sprague−Dawleyラットまたは雌性肥満Zuckerラットに、7日間午前中に毎日投与する。動物を毎日計量し、この研究の間中、齧歯類用固形飼料および水を自由に摂取できるようにする。眼窩血サンプルを、6時間絶食後の初回投薬前に、そしてまた7回目の投薬後に得る。7回目の投薬後、動物を夕方に屠殺し、血清を、総コレステロールおよびトリグリセリド、リポタンパク質コレステロールプロフィール、VLDL+LDLコレステロールの総合(アポB含有リポタンパク質コレステロールまたは非HDLコレステロールとも呼ばれる)、HDLコレステロール、およびVLDL+LDLコレステロールの比に対するHDLコレステロールの比についてアッセイする。
【0239】
(実施例74:本化合物の投与に応答する、ヒトにおけるHDL、LDL、VLDLおよびトリグリセリドレベルの測定および比較)
本発明の化合物を、ヒト被験体に毎日投与する。他の食餌摂取をモニターし、個体間の定常性を維持する。血液サンプルを、0日目(本化合物の投与を開始する前)、および週1回で3〜6ヶ月間採取する。血清を、総コレステロールおよびトリグリセリド、リポタンパク質コレステロールプロフィール、VLDL+LDLコレステロールの総合(アポB含有リポタンパク質コレステロールまたは非HDLコレステロールとも呼ばれる)、HDLコレステロール、HDLおよびHDLコレステロール画分、ならびにVLDL+LDLコレステロールの比に対するHDLコレステロールの比について、VAP試験(Altherotech Inc,Birmingham,AL)のような、ヒト血液の小サンプルからこれらのパラメータを再現可能に測定し得る標準的な市販のコレステロール試験を使用してアッセイする。あるいは、HDLおよびHDLを、Kulkarniの方法(Kulkarniら、1997.J.Lipid Res.38:2353〜64)またはGidezの方法(Gidezら、1982.J.Lipid Res.23:1206〜23)によって、血液から測定し得る。このような血液検査において決定されるように、総HDLを増加させるか、HDLを増加させるか、総LDLを減少させるか、VLDLを減少させるか、トリグリセリドを減少させるか、あるいはHDL/総コレステロール比またはHDL/LDL比を増加させる本発明の化合物は、コレステロールまたは脂質関連障害の処置に有用である。
【0240】
(実施例75:プロテオグリカン結合不良LDLを用いたアテローム硬化性病変サイズの測定)
核酸構築物を用いて、プロテオグリカン結合不良LDLを発現するマウスを産生し得る。これらのトランスジェニックマウスは、1.2%コレステロール、0.5%胆汁酸塩、および20%脂肪を含む食餌を17週間与えられる。次いで、これらのマウスを屠殺し、大動脈を灌流固定し、正面手順(en face procedure)(大動脈全体をピンで平らに留め、スダンIVで染色し、形態計測画像解析システム(Image−1/AT)で解析して、アテローム性動脈硬化症の程度を定量化する)で分析する。
【0241】
(実施例76:生存動物における高血圧の低下の測定)
圧力変換器を、ヘパリン添加生理食塩水を含むカテーテルを介して右頸動脈に連結させる。平均動脈圧および心拍数を記録する。これらのラットを、35mg/kg体重の初回量で、必要な場合にはより少量の注射を追加して、ネンブタールで麻酔する。本化合物を、薬学的キャリア(例えば、Abbottの5%デキストロースUSP)中に溶解し、右大腿静脈中のカテーテルを介してラットに注射する。用いられ得るポジティブコントロールとしては、ニトロプルシドナトリウムおよびNaNO2が挙げられ、一方、NaNOは、ネガティブコントロールとして用いられ得る。結果より、本発明において提供される化合物は、血圧を有意に低下させる、強力な抗高血圧薬であることが示される。血圧低下のピーク値には、注射後短時間(例えば、約1分)で到達すべきであり、そして血圧は、その後すぐに再び上昇を開始し、約10〜15分以内で完全に回復すべきである。
【0242】
(実施例77:高コレステロールのウサギにおける動脈損傷後の再狭窄の程度の低下の測定)
米国特許第5,595,974号に記載され、Goodmanによって米国特許第6,022,901号にさらに記載されるような、Tomaruの手順を用いて、高コレステロールのウサギにおいて再狭窄を予防するための本発明の化合物の有用性を評価し得る。
【0243】
(実施例78:ヒトにおける再狭窄の予防における使用)
Tardifら(1997),New England J.Med.337(6):365〜67の手順を、Goodmanによって米国特許第6,022,901号に記載されるように実行し得るが、ただし、トランス−レスベラトロルの代わりに、本発明者らの化合物を試験する。
【0244】
(実施例79:血小板抗凝集活性の測定)
血小板抗凝集活性を、Berteleら(Science 220,517,1983)によって記載される方法に従って、トロンビンによって刺激されるヒト血小板について、インビトロで評価し得る。
【0245】
(実施例80:ウサギにおけるADP誘導性の血小板凝集に対する影響の測定)
血小板凝集試験:ウサギ血液を、シリコン被覆シリンジを用いてウサギから心臓穿刺によってサンプリングする。この血液を、3.8%クエン酸ナトリウムと9:1で混合し、1,000rpmで6分間回転させる。1mLの血小板に富む血漿を、シリコン被覆した2mLセルに移して混合し、分光光度計で透過率(Ti)を読み取る。0.02mLのADP(10μM)を添加し、攪拌し、そして血小板を含む血漿の透過率を1分間に1回読み取り、最大透過率(Tm)を10分以内に得る。この血液サンプルを、3000rpmで45分間回転させ、透過率を読み取る。
【0246】
(実施例81:インビボにおけるコラーゲン誘導性の血小板減少症に対する影響の測定)
雄性ラット(Charles River,CRL:CD(SD),400〜450g)を、ペンタバルビタールナトリウム(65mg/kg,Vet Labs,Limited,Inc.,Lenexa,KA)で麻酔する。切開を2箇所行って、両方の頚静脈を露出させる。薬物注入ポンプ(Harvard Apparatus,South Natick,Mass.)および19g.バタフライを備える5ccシリンジを用いて、試験化合物またはビヒクルを、0.39mL/分の速度で3分間、左頚静脈中に注入する。化合物/ビヒクル注入の2分後、コラーゲン(60μg/kg)(Helena Laboratories,Beaumont,TX)を、右頚静脈中に1mLシリンジを用いて注射する。体腔を開き、大静脈を血液サンプリングのために露出させる。コラーゲン注射の1分後、化合物の注入を停止し、血液を、4.5%EDTA/トリス(0.1M)(pH7.35)+150μMインドメタシンを0.3mg含む3ccシリンジを用いて、大静脈からサンプリングする(30秒以内に)。この血液を126×gで10分間遠心分離することによって、血小板に富む血漿(PRP)を調製する。5μLのPRPを、クールター計数器中の20mLのIsoton.RTM.III中で計数する。コラーゲン誘導性凝集の阻害パーセントは、処置動物において計数された血小板の数を、コラーゲンを投与されていない動物についての数、およびビヒクルとコラーゲンを投与された動物からの数と比較することによって、算出する。効力の評価は、コラーゲン誘導性の血小板減少の阻害に基づく。
【0247】
(実施例82:インビボにおける抗乾癬効果の測定)
本発明の化合物を含む局所処方物を、乾癬に罹患しているヒト患者の患部に投与する。本発明の化合物を全く含まないコントロール処方物を、この患者の類似の部位に適用する。本化合物の有効性を、投与の3日後および7日後に、コントロール処方物が適用された部位と比較して、本化合物が適用された部位での炎症の改善および増殖細胞の減少を分析することによって決定する。
【0248】
(実施例83:プロテインキナーゼ阻害の測定)
本発明の化合物を、放射標識したATP、適切なプロテインキナーゼおよび適切な基質と、適切な緩衝液中で混合する。インキュベーションの後、濾紙上にスポットして反応を停止し、シンチレーションカウンターを用いて、コントロールと比較した場合の基質に対するATP添加における相違を定量化し、プロテインキナーゼの阻害量を測定する。
【0249】
(実施例84:好中球活性化の阻害の測定)
本発明の化合物を、Tudanのプロトコール(Tudan.1999.Biochem.Pharmacol.58:1869〜80)を用いて試験する。この試験は、クリスタルによって、およびfMLPのような化学誘引物質によって引き起こされる好中球の活性化を阻害する、試験化合物の能力を実証する。
【0250】
(実施例85:TPA誘導性炎症の阻害の測定)
本発明の化合物を、Marksの改変方法(Marksら、1976.Cancer Res.36:2636)によって試験して、12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(TPA)の適用によって誘導される炎症に対する本化合物の有効性を実証する。本化合物をマウスの耳に適用し、続いてTPAを適用する。4時間後、マウスの耳の生検穿孔を秤量して水腫を測定し、化合物を投与していない他方の耳の生検穿孔と比較する。
【0251】
(実施例86:COX−1阻害の測定)
本発明の化合物を、Van der Ouderaaの方法(Van der Ouderaa、1982.Methods Enzymol.86:60)によって試験する。この反応を、0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.4)、1.0mMフェノール、0.01mMヘミン、およびCOX−1酵素中に試験化合物を含む混合物へのアラキドン酸の添加によって惹起する。
【0252】
(実施例87:カラゲナン誘導性炎症の阻害の測定)
本発明の化合物を、Wistarラットにおいて、Slowingの方法(Slowingら、1994.J.WrhnophEMxol.43:9)によって試験する。動物は、尾部にフロイントアジュバントの皮内注射を受ける。7日後、試験化合物を投与し、続いて一時間後に、左後足に生理食塩水溶液中のカラゲナンの懸濁液を投与する。足の体積をウォータープレチスモグラフィーによって測定し、コントロールと比較する。
【0253】
(実施例88:発癌化学予防活性の測定)
C3H/10T1/2クローン8細胞(ATCC)を、Mondalの方法(Mondalら,1976.Cancer Res.36:2254〜2260)によって、本発明の化合物で処理する。培養中の細胞を、3−メチルコラントレンで24時間処理し、続いて新鮮な培地中で5日間インキュベーションして洗浄する。続いて、TPAを、試験化合物を含むかまたは含まない培地に添加する。コンフルーエンシーに達した7週間後に、メタノールでの固定およびギムザでの染色により、II型およびIII型形質転換病巣を明らかにし、これらの病巣をスコア付けして、試験化合物による2段階形質転換の阻害の有効性を実証する。
【0254】
(実施例89:ヒドロキシル基(単数または複数)をニトロオキシ基(単数または複数)に置換する前に、スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドを含む本発明の化合物のフッ化物誘導体を合成する方法)
本発明の化合物の1つ以上のヒドロキシル基をフッ化物に置換して、治療薬としての本化合物の有用性を改善することが所望され得るため、CramerおよびCoffmanの方法(CramerおよびCoffman,1961,J.Org.Chem.26:4164)に基づいて、フッ化物を芳香環に結合されたヒドロキシル基に置換する方法を記載する実施例を、ここに提供する。このような手順は、当業者による過度の実験なしに、本発明の任意の化合物について、任意のヒドロキシル基をフッ化物に置換するのに直ちに役立つ。本実施例に記載されるフッ素化のための条件は、本発明の化合物のいくつかにとってやや過酷であるため、収率は、本化合物をフッ素化よりもむしろ基礎的要素で構築することによって改善され得る。化合物が、ヒドロキシル基の代わりにフッ化物を有する場合、および他のヒドロキシル基の代わりに1つ以上のニトロオキシ基を有する場合(例えば、実施例1〜59の場合のように)、フッ化物付加反応をまず完了させ、ニトロオキシ付加反応を次に行うべきである。
【0255】
以下の反応は、レスベラトロルのフッ化物誘導体の合成を記載する。
【0256】
400mL容量のステンレス鋼で裏打ちしたオートクレーブを、250ミリモルの5−[(E)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:レスベラトロル)で満たし、そして排出する。500ミリモルのフッ化オキシテトラ硫黄(sulfur oxytetrafluoride)を導入し、この反応混合物を、150℃で9時間、振盪および加熱する。ガス状の生成物(主に、フッ化スルフリル)を、−49℃〜−44℃で蒸留する。残留物を、5%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、そして水で洗浄する。蒸留の際に、この液体は、完全におよび部分的にフッ素化された生成物である、3−フルオロ−5−[(E)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−フェノール、5−[(E)−2−(4−フルオロ−フェニル)−ビニル]−ベンゼン−1,3−ジオール、4−[(E)−2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−ビニル]−フェノール、および1,3−ジフルオロ−5−[(E)−2−(4−フルオロ−フェニル)−ビニル−ベンゼンを含む混合物を含むことが見出される。これらの種々の生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0257】
レスベラトロルのフッ化物誘導体の単離後、本化合物は、実施例1〜59に記載されるように、ニトロオキシ基を含むようにさらに改変され得る。この方法を、本発明の任意の化合物へのフッ化物の付加のために、過度の実験なしに実施する。
【0258】
(実施例90:−(CO)NH−を含む連結基によって連結された2つの芳香環を含むポリフェノールの合成方法)
本発明で企図されるポリフェノール化合物としては、連結基によって互いに連結される2つの芳香環を含む化合物が挙げられ、この連結基は、以下の基を含む:
【0259】
【化65】

以下の一般式のポリフェノール化合物は、容易に入手可能な開始試薬から、この反応によって容易に合成される。
【0260】
【化66】

ここで、XはNHであり、
R1〜10は、それぞれ独立して、HまたはOHから選択される。
【0261】
本発明のこれらの化合物は、中間化合物として有用であり、これらの化合物から、続いて、実施例1〜59に記載されるようなニトロオキシ誘導体、ならびに、さらに改変されて、ホスフェート、フッ化物、エステル基、および他の改変を含み得るニトロオキシ誘導体が合成され得る。例示的な中間化合物であるN−(3,5−ジヒドロキシ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ベンズアミドは、そのニトロオキシ誘導体の続いての調製に有用であり、以下の方法によって合成される。
【0262】
乾燥DMF(15mL)中の4−ヒドロキシ−安息香酸(6mmol)の溶液に、EDCI(9mmol)、HOBt(9mmol)およびトリエチルアミン(12mmol)を添加する。室温で24時間攪拌した後、5−アミノ−ベンゼン−1,3−ジオールを滴下し、この反応を、室温にてアルゴン下で48時間継続させる。次いで、水(300mL)を添加し、この混合物を5分間攪拌する。次いで、この生成物を酢酸エチル(5×50mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をブライン(40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去する。生成物であるN−(3,5−ジヒドロキシ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ベンズアミドの精製は、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって達成される。
【0263】
あるいは、5−アミノ−ベンゼン−1,3−ジオールの代わりに5−アミノメチル−ベンゼン−1,3−ジオールを用いてこの反応を行うことによって、N−(3,5−ジヒドロキシ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−ベンズアミドの合成が生じる。この合成は、本実施例の一般式について、XがNHCHである化合物の合成方法を実証する。同様に、実証されるように、フェノールのアルキル基に対する改変は、得られた生成物のリンカーに対する同じ改変をもたらす。
【0264】
例えば、フッ素化、臭素化、塩素化、またはアセチル化アリール基による、あるいは複素環式芳香族のアリール基による、あるいはC1−18アルキル基による、あるいは二環式アリール基などによる、この合成の記載において提供されるアミノ試薬に連結されるR基の置換(すなわち、5−アミノ−ベンゼン−1,3−ジオールのベンゼン1,3−ジオール基の置換)は、当業者に明らかなように、適切に改変された生成物を生じる。
【0265】
この方法によって合成される生成物は、NOを供与する本発明のニトロオキシ誘導体化合物の合成に有用な中間化合物として、有利に使用され得る。
【0266】
(実施例91:−C−NH−を含む連結基によって連結される2つの芳香環を含むポリフェノールの合成方法)
本発明で企図されるポリフェノール化合物としては、連結基によって互いに連結される2つの芳香環を含む化合物が挙げられ、この連結基は、窒素原子に単結合された炭素原子を含む。以下の一般式のポリフェノール化合物は、容易に入手可能な開始試薬から、この反応によって容易に合成される。
【0267】
【化67】

ここで、XはCHであり、かつYはNHであるか、またはXはNHであり、かつYはCHであって、
R1〜10は、それぞれ独立して、HまたはOHから選択される。
【0268】
本発明のこれらの化合物は、中間化合物として有用であり、これらの化合物から、続いて、実施例1〜59に記載されるようなニトロオキシ誘導体、ならびに、さらに改変されて、ホスフェート、フッ化物、エステル基、および他の改変を含み得るニトロオキシ誘導体が合成され得る。例示的な中間化合物である5−(4−ヒドロキシ−ベンジルアミノ)−ベンゼン1,3−ジオールは、そのニトロオキシ誘導体の調製に有用であり、以下の方法によって合成される。
【0269】
5−アミノ−ベンゼン−1,3−ジオール(1.5mmol)を、ベンゼン(40mL)中の4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(1.5mmol)に添加し、そしてこの混合物を、ディーン・スタークトラップを用いて24時間アルゴン下で加熱還流する。次いで、この反応混合物を濃縮してベンゼンを完全に除去し、残渣をメタノール(15mL)中に再溶解する。攪拌しながら、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(3mmol)を30分の間に3回に分けて添加し、この反応混合物を室温でさらに1時間攪拌する。次いで、この反応混合物に、37%HClを含むNaClの飽和溶液(100mL)を添加する。この反応混合物を、酢酸エチル(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、5−(4−ヒドロキシ−ベンジルアミノ)−ベンゼン1,3−ジオールの粗生成物を生じ、これはさらに、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製される。
【0270】
あるいは、4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドの代わりに4−ヒドロキシ−フェニル−アセトアルデヒドを用いてこの反応を行うことによって、5−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチルアミノ]−ベンゼン−1,3−ジオールの合成が生じる。この合成は、本実施例の一般式について、Xが(CHであり、かつYがNHである化合物の合成方法を実証する。同様に、実証されるように、フェノールのアルキル基に対する改変は、得られた生成物のリンカーに対する同じ改変をもたらす。
【0271】
この方法によって合成される生成物は、NOを供与する本発明のニトロオキシ誘導体化合物の合成に有用な中間化合物として、有利に使用され得る。
【0272】
(実施例92:−CO−連結基によって連結される2つの芳香環を含むポリフェノールの合成方法)
本発明で企図されるポリフェノール化合物としては、連結基によって互いに連結される2つの芳香環を含む化合物が挙げられ、この連結基は、酸素原子に単結合された炭素原子を含む。以下の一般式のポリフェノール化合物は、容易に入手可能な開始試薬から、この反応によって容易に合成される。
【0273】
【化68】

ここで、XはCHであり、かつYは酸素であって、
R1〜10は、それぞれ独立して、HまたはOHから選択される。
【0274】
本発明のこれらの化合物は、中間化合物として有用であり、これらの化合物から、続いて、実施例1〜59に記載されるようなニトロオキシ誘導体、ならびに、さらに改変されて、ホスフェート、フッ化物、エステル基、および他の改変を含み得るニトロオキシ誘導体が合成され得る。例示的な中間化合物である5−(4−ヒドロキシ−フェノキシメチル)−ベンゼン1,3−ジオールは、そのニトロオキシ誘導体の調製に有用であり、以下の方法によって合成される。
【0275】
固体のtert−ブチルクロロジメチルシラン(25mmol)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中の4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(17mmol)およびイミダゾール(42.5mmol)の攪拌溶液に、アルゴン下で添加する。4時間後、この反応混合物を水中に注ぎ込み、エーテルで抽出する。これらの有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、乾燥し、そして着色油状物になるまで濃縮する。溶離剤として20%−酢酸エチル−ヘキサンを用い、シリカゲルのパッドを通して濾過することによって、シリルエーテル4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ベンズアルデヒドを生じる。塩化メチレン(100mL)中の4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ベンズアルデヒド(14mmol)およびm−クロロ過安息香酸(20mmol)の溶液を、還流下で2時間加熱し、次いで室温で一晩放置する。次いで、この反応混合物をエーテル中に抽出し、続いてこれらの有機層を、水酸化ナトリウム水溶液(1M)、水およびブラインで洗浄し、乾燥し、そして減圧下でエバポレートして、固体を得る。これをシリカゲル上で前吸着させ、次いで、シリカゲルのプラグを通して急速濾過に供す。得られた、メタノール(70mL)中のギ酸塩である4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニルギ酸エステルの溶液を、炭酸カリウム(10mmol)に添加する。20分後、1−ブロモメチル−3,5−ビス−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ベンゼン(14mmol、上記4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニルギ酸エステルについては、本質的に同じシラニル保護方法によって調製される)を添加する。6時間後、この反応混合物の体積を減少させ、水を添加し、そしてこの溶液を、塩酸水溶液(1M)で酸性化する。これをエーテルで抽出し、このエーテル抽出を、Pearsonの方法(Pearsonら,1967 J Org Chem 32:2358)によって実施する。2〜80%酢酸エチル−ヘキサンを溶離剤として用い、勾配溶離ドライカラムクロマトグラフィーによって1,3−ビス−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェノキシメチル]−ベンゼンを生成する。テトラヒドロフラン中の1,3−ビス−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェノキシメチル]−ベンゼンを、テトラ−n−ブチルフッ化アンモニウム三水和物で処理する。3.5時間後、水およびエーテルを添加する。この水層を塩酸水溶液(1M)で酸性化し、そしてエーテルで再抽出する。次いで、有機抽出をPearsonの方法で行う。シリカゲルのプラグを通して濾過し(20%−酢酸エチル−ヘキサン)、油状物を生成する。この油状物を、アセトン−ドライアイス浴中で冷却しながらヘキサンで粉砕した後に、結晶化させる。塩化メチレンヘキサンからの再結晶により、生成物である5−(4−ヒドロキシ−フェノキシメチル−)−ベンゼン1,3−ジオールが得られ、この生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによってさらに精製する。
【0276】
この方法によって合成される生成物は、NOを供与する本発明のニトロオキシ誘導体化合物の合成に有用な中間化合物として、有利に使用され得る。
【0277】
(実施例93:−C=N−を含む連結基によって連結された2つの芳香環を含むポリフェノールの合成方法)
本発明で企図されるポリフェノール化合物としては、連結基によって互いに連結される2つの芳香環を含む化合物が挙げられ、この連結基は、窒素原子に二重結合された炭素原子を含む。以下の一般式のポリフェノール化合物は、容易に入手可能な開始試薬から、この反応によって容易に合成される。
【0278】
【化69】

ここで、XはCHであり、かつYはNであるか、またはXはNであり、かつYはCHであって、
R1〜10は、それぞれ独立して、HまたはOHから選択される。
【0279】
本発明のこれらの化合物は、中間化合物として有用であり、これらの化合物から、続いて、実施例1〜59に記載されるようなニトロオキシ誘導体、ならびに、さらに改変されて、ホスフェート、フッ化物、エステル基、および他の改変を含み得るニトロオキシ誘導体が合成され得る。例示的な中間化合物である5−{[(E)−4−ヒドロキシ−フェニルイミノ]−メチル}−ベンゼン1,3−ジオールは、そのニトロオキシ誘導体の調製に有用であり、以下の方法によって合成される。
【0280】
トルエン(5mL)中の3,5−ジヒドロキシ−ベンズアルデヒド(1mmol)および4−アミノ−フェノール(1mmol)の溶液を、ディーン・スターク装置中で16時間、加熱還流する。溶媒を真空中で除去した後、生成物である5−{[(E)−4−ヒドロキシ−フェニルイミノ]−メチル}−ベンゼン1,3−ジオールをメタノールから再結晶させ、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによってさらに精製する。
【0281】
この方法によって合成される生成物は、NOを供与する本発明のニトロオキシ誘導体化合物の合成に有用な中間化合物として、有利に使用され得る。
【0282】
(実施例94:−C=C−を含む連結基によって連結された2つの芳香環を含むスチルベン(およびジヒドロスチルベン)の一般的な合成方法)
本発明で企図されるスチルベン化合物としては、連結基によって互いに連結される2つの芳香環を含む化合物が挙げられ、この連結基は、別の炭素原子に二重結合された炭素原子を含む。以下の一般式のスチルベン化合物は、容易に入手可能な開始試薬から、この反応によって容易に合成される。
【0283】
【化70】

ここで、XはCHであり、かつYはCHであって、
R1〜10は、それぞれ独立して、HまたはOHから選択される。
【0284】
本発明のこれらの化合物は、中間化合物として有用であり、これらの化合物から、続いて、実施例1〜59に記載されるようなニトロオキシ誘導体、ならびに、さらに改変されて、ホスフェート、フッ化物、エステル基、および他の改変を含み得るニトロオキシ誘導体が合成され得る。例示的な中間化合物であるレスベラトロル(別名:5[(E)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−ベンゼン1,3−ジオール)は、そのニトロオキシ誘導体の調製に有用であり、以下の方法によって合成される。
【0285】
封管中の3,5−ジヒドロキシ−ベンジル−ブロミド(10mmol)および亜リン酸トリメチル(30mmol)の混合物を、油浴中で8時間、180℃で加熱する。この混合物を冷却した後、過剰の亜リン酸トリメチルを真空中で除去する。残渣を短いフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物である(3,5−ジヒドロキシ−ベンジル)−ホスホン酸ジメチルエステルを得る。2mLのCHCL中の粉末化したばかりのKOH(2mmol)、18−クラウン−6(0.1mmol)も含む、十分に攪拌した懸濁液中の(3,5−ジヒドロキシ−ベンジル)−ホスホン酸ジメチルエステルに、芳香族アルデヒドである4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(1mmol)を室温で添加する。混合物を6時間攪拌した後、この混合物を15mLのCHClで希釈し、水(10mL)およびブライン(2×10mL)で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮する。残渣を2mLのCHCl中に溶解する。この溶液に、ジラード試薬T(0.5mmol)およびAcOH(5mmol)を添加し、得られた混合物を室温で2時間攪拌する。不溶性の物質を濾過して除き、濾液を真空中で濃縮し、そして残渣を15mLのEtOAc中に溶解する。この溶液をブライン(3×10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして溶媒を真空中で除去して、レスベラトロルをEおよびZ異性体の混合状態で得る。ヘプタン(5mL)中のこの混合物の溶液に、触媒量のヨウ素を添加し、次いで、12時間加熱還流する。この反応混合物を20mLのエーテルで希釈し、そして飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(10mL)およびブライン(2×10mL)で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮して、所望のE−レスベラトロルを得る。
【0286】
この方法は、本発明によって企図されるNOを供与するニトロオキシ誘導体化合物の合成のための中間化合物である、任意のスチルベン化合物を合成するのに有利に使用される。
【0287】
ジヒドロスチルベンは、連結基の2つの炭素原子間に単結合を有することが異なる、対応するスチルベンの誘導体であり、スチルベン親化合物から有利に合成され得る。一般的な方法は以下の通りである。
【0288】
エタノール(120mL)中のスチルベン(1mmol)を、木炭(60mg)上で10%パラジウムの存在下で18〜24時間、40psiで水素化する。この触媒を、セライトパッドを通して濾過することによって除去し、そしてこの濾液から溶媒をエバポレートして、ジヒドロスチルベン誘導体を得る。
【0289】
この方法は、本発明によって企図されるNOを供与するニトロオキシ誘導体化合物の合成のための中間化合物である、任意のジヒドロスチルベン化合物を合成するのに有利に使用される。
【0290】
(実施例95:本発明のリン酸誘導体化合物の合成方法)
リン酸基は、血清中における化合物の代謝および半減期を変更し得るため、本発明のいくつかの化合物について、ヒドロキシル基の代わりにリン酸基に置換することが有利であり得る。この例に限定されないが、一例として、レスベラトロルのリン酸誘導体の合成(フッ化物、エステルおよびニトロオキシ基(すなわち、ニトレート基または硝酸エステル基)によって他のヒドロキシル基が置換されると、有利に生じる)が、本明細書中に記載される。
【0291】
まず、レスベラトロルの単一ニトロオキシ置換誘導体(例えば、3−[(E)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−5−ニトロオキシ−フェノール)を合成し、単離し、そして実施例1に記載されるように精製する。無水アセトニトリル(30mL)中の単一ニトロオキシ置換誘導体(4g)およびN,N−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.2g)を、−10℃に冷却し、そして四塩化炭素(5当量)およびDIEA(2当量)を添加する。この混合物を−10℃にてアルゴン下で30分間攪拌し、ジベンジルホスフェート(1当量)を添加し、そしてこの溶液を12時間攪拌し、次いで、0.5Mリン酸2水素カリウム中に注ぎ込む。この混合物を酢酸エチルで抽出し、この有機相から真空中で溶媒を除去して、着色油状物を得る。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(4:1ヘキサン−酢酸エチル)に供し、リン酸エステル生成物を着色油状物として回収する。
【0292】
無水ジクロロメタン中のリン酸エステル生成物の溶液(15mL)に、0℃でブロモトリメチルシラン(2当量)を添加し、この混合物を2時間攪拌する。水(10mL)を添加し、この溶液を1時間攪拌し、酢酸エチルで洗浄し、そしてこの水相を白色固体になるまで凍結乾燥させる。この固体のエタノール中の溶液(30mL)に、ナトリウムメトキシド(0.6g)を添加し、この懸濁液を12時間攪拌する。溶媒を真空中で除去し、得られた着色油状物を水中に溶解する。この溶液を酢酸エチルで洗浄し、次いで凍結乾燥して、リン酸基、ヒドロキシル基およびニトロオキシ基を有するレスベラトロルの誘導体の混合物を含む、高収率、高純度の無色固体を得る。所望の誘導体(単数または複数)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって単離および精製する。
【0293】
この合成プロセスは、本発明の任意の化合物について、ヒドロキシル基の代わりにホスフェートに置換するのに有利に用いられ得る。
【0294】
(実施例96:本発明のアセチル誘導体化合物の合成方法)
特定のアセチルは、親油性度を変更し得、従って血清中における化合物の代謝速度および半減期を改変し得るため、本発明のいくつかの化合物について、ヒドロキシル基の代わりにアセチル基に置換することが有利であり得る。例えば、レスベラトロルの1つ以上のヒドロキシル基を置換して、レスベラトロルのアセテート誘導体を形成すると、血清中における代謝速度が低下し、半減期が延長される。レスベラトロルのアセテート誘導体の合成(1つ以上のニトレート(すなわち、ONO、または硝酸エステル)基の付加前、そして所望の場合にはリン酸基の付加前であるが、フッ素添加の後に、有利に生じる)が、本明細書中に記載される。
【0295】
レスベラトロル(0.5ミリモル)を、乾燥ジクロロメタン(5mL)中に溶解する。過剰の乾燥ピリジンを添加し、続いて1ミリモルの無水酢酸を添加する。得られた溶液を、室温で5時間攪拌する。反応混合物を濃縮し、ジクロロメタン(20mL)中に再溶解する。有機層を、塩化水素溶液(0.1M、10mL)、炭酸水素ナトリウム(飽和、10mL)、およびブラインで洗浄する。この有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、1つ、2つ、または3つ全てのヒドロキシル基がアセテートで置換された、高い収率および純度のレスベラトロルアセテート誘導体の混合物を生じた。これらの種々の生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0296】
アセテート誘導体はまた、ハロゲン化アセチル(例えば、塩化アセチル)または活性アセテート(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いて合成される。本発明の化合物の他のエステルは、無水酢酸を別の活性エステルまたは酸ハロゲン化物に置き換えて、同じ手順を用いて同様に合成される。本発明によって企図される任意の化合物上の任意のヒドロキシル基と置き換わり得るエステルの例は、以下の式:
【0297】
【化71】

によって記載され、ここで、Rは、C1−18、アリール、ヘテロアリール、および必要に応じて置換されるそれらの誘導体であってもよい。
【0298】
実施例1〜59に記載されるようなニトロ化合成工程は、アセテート誘導体の合成ならびにシリカゲル上でのクロマトグラフィーによる単離および精製の後に、有利に実施され得る。
【0299】
(実施例97:ニトロオキシ誘導体を合成するための中間化合物として用いられ、本発明によって企図される全ての化合物である、本発明の化合物のメトキシおよびエトキシ誘導体の合成方法)
メトキシ基およびエトキシ基は新油性であることが知られ、従って、薬物の活性を低下させることなくインビボにおけるその半減期を改変し得るため、R基として示されるメトキシ(OCH)またはエトキシ(OCHCH)基を有することが、本発明のいくつかの化合物にとって有利であり得る。アリール炭化水素の(例えば、ベンゼン、フェノールなどの)多数のメトキシおよびエトキシ誘導体が公知であり、市販の供給源から容易に入手可能であるか、あるいは、周知の方法によって容易に合成可能である。従って、スチルベン類の化合物、および他のポリフェノール類の化合物を作製するための基礎的要素は、容易に入手可能であり、そして実施例90〜94におけるように利用され得る。従って、本願中で定義されるようなポリフェノールおよびスチルベンは、これらのR基が独立して、必要に応じてメトキシ(OCH)またはエトキシ(OCHCH)を含み得るように合成され得る。
【0300】
(実施例98:本発明の化合物の抗真菌活性の実証方法)
本発明の殺真菌性化合物は、米国特許第6,165,998号に教示されるような方法を用いて立証される。手短に言えば、約10個のC.albicans細胞またはS.cerevisiae細胞を、25μg/mLの本発明の殺真菌性化合物に45分間曝露することにより、検出可能なコロニー形成単位を全く残さない。
【0301】
さらに、本発明の殺真菌性化合物は、全身性カンジダ症のためのマウスモデルにおいて有効である。本発明の殺真菌性化合物は、処置されたマウスの平均生存時間および中央生存時間を延長する。これらの化合物は腹腔内投与され、経口投与されたポジティブコントロール化合物であるフルコナゾールによって生じた生存パターンと類似の生存パターンを生じる。本発明の殺真菌性化合物およびフルコナゾールの両方は、処置された動物の腎臓由来の回復可能なコロニーを減少させる。本発明の殺真菌性化合物はまた、慢性全身性カンジダ感染症に罹患したマウスに経口投与される場合にも有効である。経口投与される化合物は、生存時間、治癒パーセントおよび腎臓負荷量によって測定されるように、効力においてフルコナゾールと類似している。本発明の殺真菌性化合物はまた、C.albicansのフルコナゾール耐性株によって引き起こされる全身性カンジダ症に対しても有効である。
【0302】
(実施例99:本発明の化合物の抗癌活性の実証方法)
本発明の化合物の抗癌活性を、米国特許第5,145,839号に教示されるように、以下の癌の動物モデルを用い、本発明の化合物で処置することによって、実証する。
【0303】
リンパ腫YC8(腹水形態)を有するO BALB Cマウスおよびエールリッヒ腹水細胞を有するスイスマウス(20〜22グラム、Charles River育種)を、無作為に10匹1組に分配する。各組に、それぞれ以下を投与する:
組I コントロール。腫瘍細胞およびNaCl等張液(0.2mL/マウス、2回/日、腹腔内経路)
組II:腫瘍細胞を有するマウスに、本発明の化合物を0.2mL/マウス、2回/日、腹腔内投与する
組III:腫瘍細胞を有するマウスに、本発明の化合物:0.2mL/マウス、2回/日、腹腔内経路で投与し、かつ化学療法薬を腹腔内投与する
組IV:腫瘍細胞を有するマウスに、本発明の化合物:0.2mL/マウス、2回/日、筋肉内投与する。
【0304】
腹水腫瘍細胞を、これらの細胞を15〜20日間保有しているマウスから、滅菌培地中に採取する。0.1mLの腹水懸濁液を、10mLの緩衝化溶液(pH7.2):(NaCl 7.2g/L;NAHPO 4.3g/LおよびKHPO 0.4g/L)と混合する。細胞の数を決定し(Malassez細胞によって)、そして細胞懸濁液を、細胞数がほぼ40.000〜50.000/mLになるように希釈する。0.1mLのこの懸濁液を、組I、IIおよびIIIのマウスに腹腔内経路によって、そして組IVのマウスに筋肉内経路によって、直ちに注射する。
【0305】
腫瘍細胞の注射の48時間後:組IIのマウスに、37℃に加熱し、ミリポア上で濾過した本発明の化合物を、連続5日間処置し(腹腔内);組IIIのマウスを、本発明の化合物と抗生物質の1つとの混合物で連続5日間処置(腹腔内)し;組Iのマウス(コントロール)に、等張液のみを連続5日間投与(腹腔内)し;組IVのマウスに、本発明の化合物を連続15日間投与(筋肉内)する。マウスを、処置の休止後、1または2ヶ月間観察する。健康状態の良好な生存体のみを考慮する。従って、本発明の化合物は、この試験において実証されるように、抗癌剤として有用である。
【0306】
(実施例100:本発明の化合物の抗糖尿病活性の実証方法)
本発明の化合物の血糖降下活性を、米国特許第6,410,596号に教示される方法を用いて実証する。この試験は、C57BL/ks糖尿病(db/db)マウス(すなわち、インシュリン非依存性糖尿病(NIDDM)の当該分野で認められているモデル)において血漿グルコースレベルを低下させる本発明の化合物の活性を実証する。
【0307】
(実施例101:本発明の化合物の抗ウイルス活性の実証方法)
(マウスインフルエンザモデルにおけるロブスタフラボン(Robustaflavone)のインビボ評価)
インビボ実験を実施して、本発明の化合物が、特定病原体除去BALB/cマウスにおいて実験的に引き起されるインフルエンザウイルス感染に対して有効であることを実証する。これらの実験は、本質的に米国特許第6,399,654号の実施例11に教示されるように、ロブスタフラボンの代わりに本発明の化合物を用いて実施される。
【0308】
(実施例102:5−ニトロオキシ−ペンタン酸4−[5,7−ビス−(5−ニトロオキシ−ペンタノイルオキシ)−4−オキソ−クロマン−2−イル]−フェニルエステルの調製)
【0309】
【化72】

(5−ニトロオキシ−ペンタン酸の合成)
アセトニトリル中の5−ブロモ−ペンタン酸(180mg、1mmol)、硝酸銀(255mg、1.5mmol)の混合物を、40℃で攪拌する。反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターする。反応の完了後、ジクロロメタンを添加し、この混合物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0310】
【化73】

((2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)5−ニトロオキシ−ペンタノエートの合成)
ジクロロメタン中の5−ニトロオキシ−ペンタン酸(163mg、1mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(173mg、1.5mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC、288mg、1.5mmol)の混合物を、室温にてN下で攪拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、ジクロロメタンを添加し、この混合物を水で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。この残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0311】
【化74】

(ナリンゲニンの逆エステルニトロオキシアナログの合成)
アセトニトリル中のナリンゲニン(758mg、1mmol)、(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)5−ニトロオキシ−ペンタノエート(1.3g、5mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(646mg、5mmol)の混合物を、室温または40℃にてN下で攪拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、ジクロロメタンを添加し、この混合物をHCl水溶液(0.1N)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0312】
あるいは、この生成物を、別の活性化カルボン酸アナログ(酸塩化物、無水物、など)を用いて作製する。
【0313】
逆エステルニトロオキシ誘導体は、本発明によって企図される全ての化合物について、本方法によって合成され得る(例えば、ナリンゲニンについて提供される合成方法は、実施例1〜59の任意の出発化合物に適用され得、これは、引き続いて、この出発化合物のニトロオキシ誘導体よりもむしろ、この出発化合物の逆エステルニトロオキシ誘導体を生じる)。
【0314】
(方法1:「逆エステルニトロオキシ」化合物の合成のための推奨方法論)
【0315】
【化75】

(方法2:「逆エステルニトロオキシ」化合物の合成のための推奨方法論)
【0316】
【化76】

(実施例103:5−ニトロオキシ−ペンタン酸4−[5,7−ビス−(5−ニトロオキシ−ペンタノイルオキシ)−4−オキソ−クロマン−2−イル]−フェニルエステルの代替の調製)
【0317】
【化77】

((2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)5−ブロモ−ペンタノエートの合成)
ジクロロメタン中の5−ブロモ−ペンタン酸(180mg、1mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(173mg、1.5mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC、288mg、1.5mmol)の混合物を、室温にてN下で攪拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、ジクロロメタンを添加し、この混合物を水で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。この残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0318】
【化78】

(活性化5−ブロモ−ペンタン酸アナログを用いたナリンゲニンのトリ−(5−ブロモ−ペンタノエート)の合成)
アセトニトリル中のナリンゲニン(272mg、1mmol)、(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)5−ブロモ−ペンタノエート(1.39g、5mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(646mg、5mmol)の混合物を、室温または40℃にてN下で攪拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、ジクロロメタンを添加し、この混合物をHCl水溶液(0.1N)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0319】
あるいは、この生成物を、別の活性化カルボン酸アナログ(酸塩化物、無水物、など)を用いて作製する。
【0320】
【化79】

(ナリンゲニンの逆エステルニトロオキシアナログの合成)
ナリンゲニンのトリ−(5−ブロモ−ペンタノエート)(758mg、1mmol)および硝酸銀(850mg、5mmol)を、40℃にてアセトニトリル中で攪拌する。反応をTLCによってモニターする。反応の完了後、ジクロロメタンを添加し、この混合物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0321】
逆エステルニトロオキシ誘導体は、本発明によって企図される全ての化合物について、本方法によって合成され得る(例えば、ナリンゲニンについて提供される合成方法は、実施例1〜59の任意の出発化合物に適用され得、これは、引き続いて、この出発化合物のニトロオキシ誘導体よりもむしろ、この出発化合物の逆エステルニトロオキシ誘導体を生じる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ApoA1の発現を誘導し、HDLの血中レベルの増加およびコレステロールの血中レベルの低下を引き起こすための化合物であって、供与可能な一酸化窒素成分およびフリーラジカル清掃性抗酸化分子を含む、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、以下の構造:
【化1】

を含むフラボノイド化合物を含み、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13またはR14の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【化2】

を意味し、
そしてRは、R11またはR12であり、
ここで、R11は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR14またはNR14であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る、
化合物。
【請求項3】
薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、請求項2に記載のフラボノイド化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項4】
患者において心血管疾患、コレステロール関連疾患または脂質関連疾患を処置するための方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の請求項2に記載のフラボノイド化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項5】
患者において抗酸化活性を提供しつつApoA1の発現を誘導するための方法であって、該患者に、請求項2に記載のフラボノイド化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項6】
患者において血清コレステロールを減少させるための方法であって、該患者に、請求項2に記載のフラボノイド化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、以下の構造:
【化3】

を含むイソフラボノイド化合物を含み、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13またはR14の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【化4】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR14またはNR14であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る、
化合物。
【請求項8】
薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、請求項7に記載のイソフラボノイド化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項9】
患者において心血管疾患、コレステロール関連疾患または脂質関連疾患を処置するための方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の請求項7に記載のイソフラボノイド化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項10】
患者において抗酸化活性を提供しつつApoA1の発現を誘導するための方法であって、該患者に、請求項7に記載のイソフラボノイド化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項11】
患者において血清コレステロールを減少させるための方法であって、該患者に、請求項7に記載のイソフラボノイド化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物であって、以下の構造:
【化5】

を含むスチルベン化合物を含み、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【化6】

を意味し、
そしてRは、R11またはR12であり、
ここで、R11は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、そして
ここで、Xは、単結合、二重結合または三重結合であり得る、
化合物。
【請求項13】
薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、請求項12に記載のスチルベン化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項14】
患者において心血管疾患、コレステロール関連疾患または脂質関連疾患を処置するための方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の請求項12に記載のスチルベン化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項15】
患者において抗酸化活性を提供しつつApoA1の発現を誘導するための方法であって、該患者に、請求項12に記載のスチルベン化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
患者において血清コレステロールを減少させるための方法であって、該患者に、請求項12に記載のスチルベン化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物であって、以下の構造:
【化7】

を含むカルコン化合物を含み、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10,R13またはR14の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【化8】

を意味し、
そしてRは、R11またはR12であり、
ここで、R11は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
Xは、単結合または二重結合であり得;
Yは、単結合または二重結合であり得;
Zは、CO[ケトン]、CR13またはNR13であり得る、
化合物。
【請求項18】
患者において心血管疾患、コレステロール関連疾患または脂質関連疾患を処置するための方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の請求項17に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
患者において抗酸化活性を提供しつつApoA1の発現を誘導するための方法であって、該患者に、請求項17に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
患者において血清コレステロールを減少させるための方法であって、該患者に、請求項17に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物であって、以下の構造:
【化9】

を含むポリフェノール化合物を含み、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【化10】

を意味し、
そしてRは、R11またはR12であり、
ここで、R11は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12は、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、そして
Xは、C、S、(CO)、SO、AKAケトン、(SO)N、(CO)C、(CO)N、(CO)O、C−N[単結合]、C=N[二重結合]、C−O、N−O、N−N[単結合]、またはN=N[二重結合]であり得る、
化合物。
【請求項22】
患者において心血管、コレステロールまたは脂質関連疾患を処置するための方法であって、処置を必要とする患者に、治療的有効量の請求項21に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
患者において抗酸化活性を提供しつつApoA1の発現を誘導するための方法であって、該患者に、請求項21に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
患者において血清コレステロールを減少させるための方法であって、該患者に、請求項21に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2007−509842(P2007−509842A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529522(P2006−529522)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001805
【国際公開番号】WO2005/032559
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506115525)レスバーロジックス コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】