説明

急性および慢性気管支炎を治療するための医薬を調合する際の魔芋(こんにゃく芋)およびその抽出物の利用

本発明は、急性および慢性気管支炎を治療するための医薬を調合する際の魔芋およびその抽出物の利用に関し、原材料として魔芋および五味子を含んでいる医薬品組成物に関し、その製造方法および医薬品組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬の新規な利用に関し、具体的には、慢性気管支炎を治療するための医薬を調合する際の魔芋(こんにゃく芋)の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性気管支炎は、特に40歳以上の年齢層がかかりやすく、春および冬に、一般的にしばしば見られる疾患である。1998年の国家統計情報によれば、慢性気管支炎は、農村地帯の全ての疾患の9.7%、都市の12.4%、平均11.05%および40歳以上の中高年において約18%を、2003年には、都市の8.2%、農村の7.75%および40歳以上の中高年において約15%を占めた。現在全体的な視点の欠如している西洋医薬の対症療法によっては、本症を治癒させることは困難である。さらに、慢性気管支炎に対する市販の漢方製剤および漢方と西洋医学との結合薬には、以下の課題がある。:1.咳および喘息を止め、去痰のためには長期の服用が必要であり、服用をやめると症状が再び現れる、2.麻酔効果を有する罌粟が通常この種の薬に含まれる。そして、罌粟が有毒で習慣性があり、常用できず、児童には使用が禁じられていることは2000年版中国の薬局方に記載されている、3.漢方と西洋医学との慢性気管支炎の結合薬には、マレイン酸クロルフェニラミンおよび塩酸クレンブテロールなどが含まれているものがあり、過剰睡眠等の副作用があり、使用しにくい、4.従来のいくつかの慢性気管支炎のための漢方製剤は、若干の副作用があって、根治させるのではなく症状を治療するだけである。
【0003】
魔芋は、宋代の「開宝本草」に最初に記録され、原名はこんにゃくであった。そこには、「味は辛であり、寒の性質で、有毒」と述べられている。現代の「四川中薬誌」には「性は温、味は辛辣」とあり、去痰、消化不良の緩和、解毒、でき物等の消散、血の巡りの改善、痛みを和らげるのが主な効用である。外用薬としては主として外傷や腫れ、丹毒、有毒昆虫刺症、水虫および流行性耳下腺炎などに用いられる。その一方で、内服薬としては、それは痰を払いのけて、咳を抑制するのに効果的である。例えば、「本草彙言」には「それは、肺病の治療に効果的である」とあり、実際には去痰や咳止めに用いられる。「医林簒要」には「肺の寒を取り除いて、痰咳を治療する」とある。四川省の民間では、半夏や天南星と同種のものだと言われており、痰咳および痰喘に対して長期に服用され効果的であった。魔芋の属性は寒であるとも、温であるとも言われる。実際には、薬としての性質は穏やかである。属性が寒というのは、それが主に腫れ物およびふくれた腫瘍等の陽熱性の症状を取ることができる、つまり「熱き者は、これを寒にす」、そして「療熱の寒薬」という意味である。属性が温というのは、生のものがヒト皮膜、舌およびのどに対して刺激性であり、局部をほてらせて、赤く腫れおよび痛みを伴う痒みを引き起こすからである。それらは異なる前提に基づくので、これらの2つの属性は実際には矛盾しない。食品としてとられる場合、魔芋は長期に食すれば結果として寒および熱の属性のどちらの好ましくない反応もないので、それは薬としての性質は穏やかと考えられるべきである。その毒性に関しては、局所に対して生で使われるときに、あるだけである。煎出すれば、その毒性は減少させることができ、あるいは除去されることさえできる。例えば、「中華本草」において、「その毒性は、2〜3時間それを煮出すことによって、減少させられる」ことが示されている。そして、「本草綱目拾遺」には「(魔芋)をすり下ろして糊状とし、煮出してペーストにし、冷えると固まって餅状になり、それを4つに切って水を加えて再度煮出してペーストにし、前述のように再度煮出す。このようにすると食べられるようになり、一つの芋を煮ると数十人のお腹を満たすので、魔芋と呼ばれている」と記載されている。既存の文献において、発表されている魔芋についての関連した報告は、以下の通りである:張禾氏、趙華氏らは、中国医薬学上の魔芋の効果について、雲南中医雑誌、1989、10(4) P32において、それは、血圧とコレステロールを下げて、肥満症、喘息、中毒および糖尿病を予防して、膵臓、胃における分泌を促進し消化を助けて、便秘を治し、胆石および結腸癌等を防止していると報告した。謝志華氏は、魔芋の薬理研究を、広西中医薬、1190、13(1)において、体外での抗菌作用、消炎作用があり、血液の粘着性を改良し、血清の脂質に影響し、血圧を下げ、マウスの耐酸素不足能力、末梢血管拡張、末梢血管および心筋力の制御を向上させていると報告した。現時点では、急性および慢性気管支炎を治療する魔芋の利用に関しての報告も慢性気管支炎の治療のための速効性で、顕著な効果を有する安全な漢方製剤はない。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、薬の新規な利用、およびより具体的には、慢性気管支炎に対する医薬を調合する際の魔芋の利用を提供することである。本発明の他の目的は、魔芋を含む医薬品組成物およびその調整方法および用途を提供することである。
【0005】
ある態様では、本発明は、魔芋およびその抽出物の急性および慢性気管支炎に対する医薬調整への利用を提供する。
【0006】
そこにおいて、上記魔芋の抽出物は、魔芋のエタノール抽出物または有機溶媒抽出物である。前記有機溶媒は、エーテル、メタノール、酢酸エチル、石油エーテルまたはn−ヘキサンからなる群から選択される。
【0007】
上記魔芋のエタノール抽出物は、25%〜95%エタノール抽出物である。好ましくは、上記魔芋のエタノール抽出物は、60%〜95%エタノール抽出物であり、より好ましくは、80%〜95%エタノール抽出物である。
【0008】
別の態様においては、本発明は医薬品組成物を提供する。そして、それは魔芋およびその抽出物を活性成分あるいは原料として、薬学的に差し支えない補助材料または補助成分を加えて調整される薬剤である。
【0009】
そこにおいて、上記原料はさらに五味子を含み、その重量比は:
魔芋:五味子 1〜10:9〜0および、そこにおいて、五味子の重量比は0でないこと。
【0010】
好ましくは、それは、以下の重量比の原料により調整される薬剤である:
魔芋:五味子 5〜8:5〜2。
【0011】
さらに好ましくは、それは、以下の重量比の原料により調整される製剤である:
魔芋:五味子 6:2。
【0012】
そこにおいて、上記の薬剤は、カプセル、顆粒、錠剤、丸薬、飲用液剤である。
【0013】
そこにおいて、各上記カプセルに含まれる五味子のシザンドリンは、1.8mg未満ではないこと。
【0014】
別の態様においては、本発明は当該医薬品組成物の調整方法を提供する。そして、次の工程を含む:
a)。以下の重量比の原材料薬剤をそれぞれ量る、
魔芋:五味子 1〜10:9〜0であり、五味子の重量比は0ではないこと、
b)。抽出物を得るために25%〜95%エチルアルコールによって魔芋を抽出する、
c)。五味子を挽いて、25%〜95%エチルアルコールを加えて、熱還流によって、五味子抽出物を得る、
d)。ステップb)およびc)において得られた抽出物を混合し、濃縮し、製剤を製造するために薬学的に差し支えない補助材料または補助成分を加える。
【0015】
上記ステップb)に示すエチルアルコール抽出方法は、エチルアルコール・パーコレーション法であり、エチルアルコール濃度は60%〜95%、浸出速度は1ml/min・kgである。ステップc)の上記エタノール濃度は、70%である。
【0016】
好ましくは、ステップb)に示す上記エチルアルコール抽出方法は、エチルアルコール・パーコレーション法であり、エチルアルコール濃度は60%である。
【0017】
本発明は、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、慢性肺性心疾患およびその症状のための医薬への当該医薬品組成物の利用も提供する。
【0018】
慢性肺性心疾患の主症状は長期の咳、かくたん排出および様々なレベルの呼吸困難であり、その症状は特に運動後や寒い季節において、明らかである。心肺機能補償の期間において、患者は安静にしていれば症状がでない。しかし、少しでも活動すれば、息切れがし、呼吸が荒くなり、動悸、前胸部痛、脱力および息苦しさ等が現れる。
【0019】
本発明の原材料の処方において、五味子は、気を養い、腎臓を滋養して、喘息を鎮めて、咳を抑制して、痰を払いのけて、津液を生成させ、発汗を抑え、精力減退を治し、下痢を止める等の効能があり、代々咳および喘息を治療し、特に肺の気虚や肺と腎の両方の虚によって生ずる咳、喘息、痰の排出のような症状に使用する重要な医薬であった。早くも漢代の「神農本草経」には、それが「気を益し、咳や喘息、過労ややせ衰えに効き、不足を補い、陰を強め、男子の精を益する」ということが記録されている。孫思バク氏の考えによれば、「常に五味子を服用すれば、肺の金の気を益し、上は生気の源を養い、下は腎を補う」とのことである。王好古氏は、それが「喘息やのどの乾燥、咳を治す」と言っている。「本草経疎」の考えによれば、「五味子が気を益するよう制御するというのは、肺は様々な気を制御するが、酸はこれを引きしめることができ、正に肺に入り肺を補う、よって気を益するのである。五味子が咳や喘息を抑制するというのは、気虚であれば気が上焦の部位に滞って元の健康な状態に戻らないが、酸はこれを引きしめ気を取り入れて元の健康な状態に戻す、よって咳や喘息が自然と取り除かれるのである」とのことである。「本草彙言」の考えによると、「気虚、喘息、咳、過労による病、活力不足・・・・・・といったものは、みな五味子で治す。全て五味子の酸で引きしめ、津液を作り、本来の気を保って遺精させない」とのことである。五味子は虚証の咳や喘息によいが、根本的には虚証で表面的症状が実証の場合にもよく用いられる。例えば陳嘉ボ氏の「本草蒙セン」によると、「風寒や咳には南五味子が効き、過労による衰弱には北五味子が最もよく効く」とのことである。オウ機氏の「本草シ経」によると、「五味子を用いる喘息の治療は、南五味子と北五味子とを使い分けなければならない。津液を生じさせ、渇きをいやし、肺を潤し、腎を補い、過労による咳を鎮めるには、北五味子を使うのがよく、風寒が肺にある場合は南五味子を用いるのがよい」とのことである。張志聡氏の「本草求原」によれば、「五味子は咳の重要な薬であり、風寒による咳、暑さによる咳、乾燥による咳、過労による咳、腎の水虚による咳、腎の火虚による咳、長く続く咳や喘息・・・・・・といったものには、全て五味子を用いる。昔の賢人は風邪や暑気当たりに用心して早めにこれを用い、おそらくそれによって素早く気を収斂させていた。張仲景氏の傷寒論においても咳の治療に用いられていたかもしれず、また、小青龍湯にも五味子が用いられる・・・・・・」とのことである。
【0020】
本発明の医薬品組成物の原材料調整において、五味子は肺の気を補い、肺の気虚に対して気を制御し、水の流れや、発散・体内循環を制御し、皮膚・体毛の機能不全による気鬱や脱力感、外からの邪気の侵入、肺への痰の蓄積、肺の気の逆流等の諸症状を抑制する。また、五味子には咳止めや喘息の緩和、去痰の効能があり、咳、喘息及び痰多等、身体の表層に現れる急性の症状に有効である。魔芋を本発明の医薬品生産方法に用い各種の製剤を作った場合、この製剤は口・舌・のど等への刺激がなく、安全である。
【0021】
原料に魔芋と五味子を配合して使用するのは、適切で、抵抗力の向上と邪気の除去とを両立させ、根本的な部分にも表面的な部分にも配慮した治療法である。これは、根本的には虚証であるが表面的には実証である咳や喘息に合ったものであり、気を補って肺を引きしめるがその邪魔はせず、邪気を追い払って痰・咳・喘息を鎮めるが気を消耗させたり津液を損なったりすることはない。よって、長期にわたり服用することができる。また、肺を補い腎を益し、咳や喘息を鎮め、痰を取り除く効能があり、慢性気管支炎で肺が気虚又は肺及び腎両方が虚であり咳、喘息、痰の症状がある患者については、その咳・喘息・痰等の症状を顕著に緩和させてその表面的症状を治すことができるだけでなく、さらに肺や腎の虚を緩和させて病気の根本を治すことができ、慢性気管支炎に対して信頼できる治療効果が得られる。
【0022】
本発明の魔芋は単独で又は他の薬物と組み合わせて用い、臨床の治療効果は適切で、且つ安全性・安定性が高く、制御可能であり、急性及び慢性気管支炎の臨床治療に新しい選択肢を提供するものである。
【0023】
当然、本発明の上記基本的技術構想を逸脱しない限り、本発明の上記記載内容に基づき、本分野の一般的な技術知識及び慣用的方法によって、その他さまざまな形での修正、差し替え及び変更を行うことができる。
【0024】
以下、実施形態の具体的な実施の仕方により、本発明の上記記載内容について更に詳述する。しかし、本発明の上記テーマの範囲が以下の実施形態のみに限られると解釈してはならない。本発明の上記記載内容に基づいて実現される技術は、全て本発明の範囲内に属する。
【発明の詳細な説明】
【0025】
実施例1は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0026】
原料:五味子667g、魔芋2000g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0027】
調合:五味子を粗く粉砕し、70%のエチルアルコールを加えて、2回の還流によって、それを抽出する。魔芋を粗く粉砕し、60%のエチルアルコールを加える。そして、1ml/min・kgの浸出速度で浸出させ、浸出させた液体を集める。五味子の還流-抽出液体および魔芋の浸出させた液体を一緒にして、減圧にしてエチルアルコールを回収し、減圧濃縮してきれいなペーストにして、適当な補助材料を加えて、スプレー乾燥を行い、乾式法によって顆粒を生産して、カプセルに顆粒を入れる。
【0028】
実施例2は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0029】
原料:五味子667g、魔芋2000g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0030】
調合:五味子を粗く粉砕し、25%のエチルアルコールを加えて、2回の還流によって、それを抽出する。魔芋を粗く粉砕し、60%のエチルアルコールを加える。そして、10ml/min・kgの浸出速度で浸出させ、浸出させた液体を集める。五味子の還流-抽出液体および魔芋の浸出させた液体を一緒にして、減圧にしてエチルアルコールを回収し、減圧濃縮してきれいなペーストにして、適当な補助材料を加えて、スプレー乾燥を行い、乾式法によって顆粒を生産して、カプセルに顆粒を入れる。
【0031】
実施例3は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0032】
原料:五味子667g、魔芋2000g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0033】
調合:五味子を粗く粉砕し、95%のエチルアルコールを加えて、2回の還流によって、それを抽出する。魔芋を粗く粉砕し、95%のエチルアルコールを加える。そして、0.5ml/min・kgの浸出速度で浸出させ、浸出させた液体を集める。五味子の還流-抽出液体および魔芋の浸出させた液体を一緒にして、減圧にしてエチルアルコールを回収し、減圧濃縮してきれいなペーストにして、適当な補助材料を加えて、スプレー乾燥を行い、乾式法によって顆粒を生産して、カプセルに顆粒を入れる。
【0034】
実施例4は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0035】
原料:五味子667g、魔芋2000g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0036】
調合:五味子を粗く粉砕し、80%のエチルアルコールを加えて、2回の還流によって、それを抽出する。魔芋を粗く粉砕し、80%のエチルアルコールを加える。そして、8ml/min・kgの浸出速度で浸出させ、浸出させた液体を集める。五味子の還流-抽出液体および魔芋の浸出させた液体を一緒にして、減圧にしてエチルアルコールを回収し、減圧濃縮してきれいなペーストにして、適当な補助材料を加えて、スプレー乾燥を行い、乾式法によって顆粒を生産して、カプセルに顆粒を入れる。
【0037】
実施例5は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0038】
原料:五味子1150g、魔芋1150g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0039】
調合:実施例1と同じ調合方法である。
【0040】
実施例6は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0041】
原料:五味子800g、魔芋1600g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0042】
調合:実施例2と同じ調合方法である。
【0043】
実施例7は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0044】
原料:五味子560g、魔芋2240g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0045】
調合:実施例1と同じ調合方法である。
【0046】
実施例8は本発明の薬の錠剤の製造である。
【0047】
原料:五味子480g、魔芋2400g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0048】
調合:実施例3と同じ調合方法で顆粒を製造し圧縮して錠剤が得られる。
【0049】
実施例9は本発明の薬の顆粒剤の製造である。
【0050】
原料:五味子420g、魔芋2520g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0051】
調合:実施例1と同じ調合方法で顆粒を製造し整粒して錠剤が得られる。
【0052】
実施例10は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0053】
原料:五味子330g、魔芋2310g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0054】
調合:実施例2と同じ調合方法である。
【0055】
実施例11は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0056】
原料:五味子330g、魔芋2640g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0057】
調合:実施例1と同じ調合方法である。
【0058】
実施例12は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0059】
原料:五味子300g、魔芋2700g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0060】
調合:実施例3と同じ調合方法である。
【0061】
実施例13は本発明の薬のカプセルの製造である。
【0062】
原料:魔芋3300g、補助材料:シリカゲル微粉、澱粉、デキストリン、微結晶性セルロース、ラクトース、以上のうち1以上を適当な量に混合。
【0063】
調合:実施例1と同じ調合方法である。
【0064】
実施例14は、本発明の薬物の質のコントロール:
定性判別:
(1) 実施例1-13に記載されているいずれかの方法から得られた内容物1gを取って、30mlのクロロホルムを加える。超音波で30分間処理して、濾過する。ろ液を乾固させて、残渣に1mlのメタノールを加えて溶かしテスト溶液とする。五味子および五味子のデオキシシザンドリン対照品それぞれをメタノールに溶かして、メタノール1mlに各成分が1mg含まれている溶液を作り対照品溶液とする。薄層クロマトグラフィ(中華人民共和国(2000年版)薬局方,Volume I(付録VIB))法を用いて、上述の3つ溶液を各2μlずつ取って、同じプレート上にそれぞれ塗布して試験する。プレートのコーティング材としてナトリウムカルボキシメチルセルロースを混ぜ合わせたシリカゲルGF254を用い、溶離液としてのトルエン-酢酸エチル(3:2)の混成を用いて展開させ、プレートを取り出し、乾燥させて、254nmの紫外ランプ下で検視する。テスト溶液のクロマトグラムは、対照品溶液によって得られたクロマトグラムの点に対応する位置および色として出現する。
【0065】
(2) 実施例1から13に記載されているいずれかの方法から得られた内容物の2gをとって30mlのクロロホルムを加える。超音波で30分間処理して、濾過する。ろ液を乾固させて、残渣に1mlのメタノールを加えて溶かしてテスト溶液とする。12gの魔芋対照薬剤を70%のエチルアルコール100mlに溶かして、加熱還流を4時間行い、濾過する。ろ液を乾固させ、残渣を15mlの希塩酸に溶かして濾過する。ろ液のpH値を1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で9〜10に合わせる。15mlのクロロホルムを加えて抽出し、クロロホルム層を分取する。クロロホルムを蒸発させる。残渣にメタノール1mlを加えて溶かし、対照薬剤溶液とする。薄層クロマトグラフィ(中華人民共和国(2000年版)薬局方,Volume I(付録VIB))法を用いて、上述の2つ溶液を各10μlずつ取って、同じプレート上にそれぞれ塗布して試験する。プレートのコーティング材としてナトリウムカルボキシメチルセルロースを混ぜ合わせたシリカゲルGを用い、溶離液としてのベンゼン−クロロホルム(4:1)の混成を用い、アンモニア蒸気が飽和しているクロマトグラフィ用の容器内に置く。クロマトを展開させて取り出し、乾燥させて、365nmの紫外ランプ下で検視する。テスト溶液のクロマトグラムは、対照薬剤溶液によって得られたクロマトグラムの点に対応する位置および色として出現する。
【0066】
定量測定:高速液体クロマトグラフィ(中華人民共和国(2000年版)薬局方,Volume I(付録VID))によって行う。
【0067】
クロマト条件およびシステム適合のための試験:固定相としてオクタデシルシランによって固定したシリカゲルを、溶離液としてのメタノール−水(65:35容積比)を用いる。検出波長を250nmに設定した。そして、カラムの理論段数は五味子のシザンドリンのピークによって3000以上と算出された。
【0068】
対照品溶液の準備:五味子のシザンドリン対照品を精密に量り取り、メタノールを加えて、1mlにつき0.1mgを含んでいる溶液を作る。
【0069】
テスト溶液の準備:実施例1〜13の何れかの方法で得られた内容物を取り、細かく砕き、約0.8g取り、精確に重量を測定し、50mlのメスフラスコに入れ、メタノール45mlを加える。超音波で40分処理して取り出し、室温に至るまで放置する。メタノールを標線まで加えて希釈し、よく振り、遠心分離して上澄みを取り、テスト溶液を得る。
【0070】
分析方法:対照品溶液とテスト溶液それぞれを正確に10μl取り、液相クロマトに注入して測定し、結果を得る。
【0071】
本発明のカプセルには、少なくとも1.80mgの五味子のシザンドリン(C2432)がカプセルごとに含まれている。
【0072】
以下に薬効学的、毒性実験により本発明の有益な効果を示す。
【0073】
試験例1 魔芋の薬効実験
動物:60匹のモルモット(体重180〜220g)は、四川省医学科学院実験動物センターによって提供された。完全飼料を与えられていた。合格証番号:川実動管質No.99-12
60匹のマウス(体重18〜22g)は、四川省医学科学院実験動物センターによって提供された。完全飼料を与えられていた。合格証番号:川実動管質No.24101102
テスト品の準備:魔芋3kgを粗く粉砕し、石油エーテル(60-90℃)に浸し、パーコレータに入れる。24時間浸漬した後、1ml/kg・minの速度で濾過し6回量の濾過した濾液を集め、石油エーテルを回収して濃縮する。一定の容量にしてサンプルAが得られる。残渣に酢酸エステルを加えて濾過し6回量の濾液を集める。酢酸エステルを回収して濃縮する。一定の容積にしてサンプルBが得られる。残渣にエチルアルコールを加えて濾過し、6回量の濾液を集めて、エチルアルコールを回収し濃縮する。一定の容積にし、サンプルCが得られる。残渣を乾燥してサンプルDが得られる。(図1参照)
実験方法:
(1)モルモットにおいてクエン酸により誘発される咳に対する咳止め作用に対する魔芋サンプルA,B,C,Dの影響
体重180〜220gのモルモットを雌雄半々で取り出し、体重に基づいてランダムにブランクの対照群、サンプルAグループ(2gの原薬/kg)、サンプルBグループ(2gの原薬/kg)、サンプルCグループ(2gの原薬/kg)、サンプルDグループ(2gの原薬/kg)、およびコデイン陽性の対照群を含む6つのグループに分け、各グループは10匹で構成した。各グループのモルモットには、体重に基づいて毎日1ml/100gの薬が胃内に与えられた。ブランクの対照群には等量の生理食塩水が与えられた。7日間連続して薬が与えられた。コデイン陽性の対照群のマウスには、7日目に一度だけ薬が与えられた。最後の薬投与の1時間後に、咳を誘発するために17.5%クエン酸水溶液を用い、モルモットをガラス容器内に入れ、超音波噴霧器により5秒間17.5%クエン酸水溶液を噴入させて、モルモットの5分間の咳の数を記録した。結果は表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
結果:コデイン・グループの咳の数は、明らかに減少しており、通常の対照群と比較して顕著な差を示している。魔芋サンプルCグループの咳の数は減少しているが、コデイン・グループ程ではない。魔芋サンプルA,Bグループの咳の数は減る傾向にあるが、対照群と比較して顕著な差がない。魔芋サンプルDグループの咳の数は、明らかな変化を示さない。
【0076】
(2)マウスの去痰作用に対する魔芋サンプルA,B,C,Dの影響
体重18〜22gのマウスを雌雄半々で取り出し、体重に基づいてランダムにブランクの対照群、サンプルAグループ(2gの原薬/kg)、サンプルBグループ(2gの原薬/kg)、サンプルCグループ(2gの原薬/kg)、サンプルDグループ(2gの原薬/kg)、およびアンモニウムクロライド陽性の対照群を含む6つのグループに分け、各グループは10匹で構成した。各グループのマウスには、体重に基づいて毎日1ml/100gの薬が胃内に与えられた。ブランクの対照群には等量の生理食塩水が与えられた。7日間連続して薬が与えられた。最後の薬投与の30分後に、各マウスは、0.5mlの0.5%フェノールレッド溶液を、腹膜内に注射された。30分後に、マウスは、頸椎ずれにより殺された。5%NaHCO溶液を用いて、マウスの気管と気管支を3回、各回0.5mlで洗浄した。約1.5mlの洗浄液を集め、721型分光光度計により520nmの波長の吸収値が測定された。結果は表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
結果:アンモニウムクロライドグループのマウスの呼吸経路におけるフェノールレッドの排出量は明らかに増加している。そして、対照群と比較して非常に顕著な違いを示している。魔芋サンプルCグループのマウスの呼吸経路におけるフェノールレッドの排出量はアンモニウムクロライド・グループ程ではないが増加しており、対照群と比較して顕著な違いを示している。魔芋サンプルA,Bのマウスの呼吸経路におけるフェノールレッドの排出量は増加する傾向がある、しかし、対照群と比較して顕著な差がない。魔芋サンプルDグループはマウスの呼吸経路におけるフェノールレッドの排出に対して影響がない。
【0079】
異なる極性の溶媒を用いた魔芋の抽出物の薬効学研究が行われた。結果は魔芋粗粉のエタノール抽出物が明らかな薬理効果を呈することを示したが、残渣には明らかな薬理作用がなかった。従って、この薬は、エチルアルコールによって抽出されると思われる。
【0080】
試験例2 魔芋による治療における慢性気管支炎への有効性の観察
魔芋を95%エタノールによって抽出した後、再び熱還流により抽出して、服用のためカプセルに入れた。30のケースが、有効性のために観察された。
【0081】
その中には、男性が12例で40%を占め、女性が18例で60%をしめた。50歳以上が26例で87%を占め、50歳以下が4例で13%を占めた。
【0082】
3ヶ月治療した後、観察を3年し、治癒したのが23例で77%を占めた。顕著な効果があったのは5例で17%を占め、有効であったのは1例で3%を占め、効果の無いのは1例で3%を占め、有効と言える率は97%、無効は3%であった。
【0083】
典型的な例
1.林国民 男 59歳 服薬して今まで14年、服薬時は肺気腫であって、服用後病状は再発せず、現在73歳で身体健康である。
【0084】
2.夏迪学 男 56歳 服薬して今まで13年、服薬時に30年の病歴があったにもかかわらず、今までに再発しなかった。現在68歳。
【0085】
3.劉碧坊 女 56歳 服薬して今まで15年、治癒後今まで再発しなかった。現在71歳。
【0086】
上記の薬効学実験は、魔芋単独が咳を軽減することができて、痰を取り出すことができることを証明している。咳および過剰な痰は、気管支炎の臨床症状であり、臨床試験は魔芋が慢性気管支炎を高い治癒率および低い再発率で治癒させることができ、安全で効果的であることを示している。
【0087】
試験例3 魔芋と五味子とを原料として製造された医薬品組成物の薬効学実験
以下に、魔芋と五味子とを原料として製造された医薬品組成物(実施例1に従って作られた)の薬効学実験を示す。
【0088】
1.本発明の薬は、ラット・モデルのリポ多糖により誘発される慢性気管支炎に対し良好な治療効果を有する。モデルグループと比較して、本発明の薬のさまざまな服用量グループは高い好中球のレベルを低下させることができる。そして、肺胞マクロファージの構成比率を上昇させる。それらの中で、高投与量グループとモデルグループとの間に顕著な差(P<0.05)がある。通常の対照群と比較して、本発明の薬のさまざまな服用量グループは、好中球の数および肺胞マクロファージの構成比率は、正規の水準に戻らなかった。2.本発明の薬のさまざまな服用量グループは、アンモニア水により誘発されたマウスの咳の数を明らかに、減少させることができる。そして、対照群とは顕著な差(P<0.01)を示す。一方、本発明の薬の高投与量および中間用量グループは明らかに、モルモットのクエン酸により誘導される咳の数を減少させることができ(P<0.01、P<0.05)、強い咳止め効果を及ぼす。3.本発明の薬の高投与量、中間用量および低用量グループは、全てマウスの気道のフェノールレッドの排出量を増加させることができる。そして、対照グループに比較して、顕著な差(P<0.01、P<0.05)を示す。それらは痰の排出を増加させることもでき、対照グループに比較して、顕著な差(P<0.05、P<0.01)を示す。そして、好ましい痰除去効果を呈す。4.本発明の薬の高投与量、中間用量および低用量グループは、モルモットのヒスタミンにより誘発される喘息の咳が出るまでの待ち時間を延長できる。そして、特定の抗ぜん息効果を呈し、対照グループに比較して、顕著な差(P<0.05、P<0.01)を示す。5.本発明の薬の投与量、中間用量および低用量グループは、マウスのキシレンにより誘発される耳膨張を阻害できる。そして、対照群と比較して顕著な差(P<0.01)を示す。そして、本発明の薬の投与量、中間用量および低用量グループは、マウスの綿球肉芽腫形成を抑制できる。そして、明らかな消炎効果を呈し、対照群と比較して顕著な差(P<0.05、P<0.01)を示す。6.本発明の薬の高投与量および中間用量グループは、胸腺指数を上昇させることができる。そして、対照群と比較して顕著な差(P<0.01)を示す。そして、本発明の薬の低用量グループは胸腺指数を上昇させることもできる。そして、対照群と比較して顕著な差(P<0.05)を示す。本発明の薬の高投与量グループは、胸腺指数を上昇させることができ、対照群と比較して顕著な差(P<0.05)を示す。加えて、本発明の薬の高投与量および中間用量グループは、マウスの溶血素抗体の形成を容易にすることができる。そして、対照群と比較して顕著な差(P<0.05)を示す。この薬が免疫器官の重量を増加させることができて、溶血素抗体の形成を容易にすることができて、マウスの免疫を強化できることが示される。
【0089】
実験は、本発明の薬が慢性気管支炎を治療できて、咳止め、痰除去および喘息を治す有効性を有して、同様に消炎および免疫-調節の特定の効果を有することを示している。
【0090】
試験例4 本発明の薬の毒性試験
実施例1に従って調合した本発明の薬の毒性試験において、マウスの急性毒性試験の結果は以下の通りである。
【0091】
本発明の薬の急性毒性試験は、マウスの胃内へ最大182.4gの原薬/kgを注入するもので、それは成人のための一日あたりの指定臨床服用量の約456倍にあたる。その結果本発明の薬の急性毒性は、軽微であった。
【0092】
長期毒性試験結果
1.本発明の薬をラットに26週の間、45.6gの原薬/kg,22.8g原薬/kgおよび11.4gの原薬/kgの量(それぞれ1日の投与量の114倍、57倍、28.5倍)を胃内に投与した。
【0093】
結果:(1)本発明の薬の投与群のラットの外見、挙動および食物摂取等は正常である。そして、投与群および対照群の間で体重増加の有意差がなかった(P>0.05)。(2)本発明の薬の投与群のラットのWBC、RBC、HGB、HCT、MCV、MCH、MCHC、PLTなどの血液インデックスは、正常である。そして、投与群および対照群の間で有意差がなかった(P>0.05)。(3)本発明の薬の投与群のラットのALB、CREAT、TPROT、ALP、TC、GLU、ASAT、ALAT、BUN、BIL、TBIL、GGTといった血液生化学インデックスは、正常であり、投与群および対照群の間で有意差がなかった(P>0.05)。(4)投与群のラットは子細にに系統的に解剖され、肉眼の観察では明らかな異常は見つからなかった。そして、主器官を量ることによって、器官係数はグループの中で有意差を示さない結果となった。対照群と比較して、有意差がなかった(P>0.05)。(5)組織病理学的検査の結果:肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺、気管、脳、胸腺、甲状腺、上皮小体、副腎、胃、胸骨髄、回腸、結腸、十二指腸、視覚神経、脊髄、リンパ節、子宮、卵巣または精巣、精巣上体および前立腺など24の器官において、薬に対する明らかな組織病理学的変化および中毒反応が示されていないことが明らかになった。この実験の結果は、本発明の薬が26週胃内の点滴を受けているラットに明らかな毒性を示さないことを示す。外観、体重増加、血液インデックス、血液生化学インデックスと同様に、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺、気管、脳、胸腺、甲状腺,上皮小体、胃、副腎、胸骨髄、回腸、結腸、十二指腸、視覚神経、脊髄、リンパ節、子宮、卵巣または精巣、精巣上体および前立腺など24の器官の組織病理学的検査からは薬の中毒反応が見られなかった。
【0094】
2、犬による長期毒性試験
5ヶ月齢のビーグル犬24頭を4組に分け、本発明の薬をそれぞれ、4.0g/kg、2.0g/kg、1.0g/kg投与する群と対照群にし、180日間毎日経口投与した。観察の結果は、以下の通りである。
【0095】
本発明の薬(内容物)を大量に(4.0g/kg)投与された犬は、初期に唾液分泌反応を示した。1週後にこの現象は消えた。全日程において実験動物は大便が柔らかく、尿には薬の色が付いていた。体重増加は、他の3つのグループより少なかった。外観は正常であり、毛並はつややかであり、活発であった。中間用量群(2.0g/kg)と低薬量群(1.0g/kg)には異常は見られなかった。
【0096】
観察は、投与前に二回なされて、投与中の45日、90日、135日、180日、薬の使用を止めた後の30日になされた。血液生化学検査は、投与45日後にALPレベルが高投与量および低用量群において増加の傾向があったことを示しただけである。高投与量グループおよび対照群間に顕著な差があったが(P<0.05)、その他の指標には明確な影響は見られなかった。
【0097】
観察は、投与前に二回なされて、投与中の45日、90日、135日、180日、薬の使用を止めた後の30日になされた。大小便の10の通常試験は、正常であると判明した。末梢血液像は、正常値の範囲の中で変動した。心電図のP波、QRS波およびT波に対してその変動はほとんど影響がなかった。心拍は全て正常洞調律であった。P波、QRS波は、主波に合致していた。心電図の波形プロット線は、正常であった。投与180日、薬の停止後30日に実行された観察では異常な細胞が骨髄画像で見つからないことが示され、骨髄増殖は活発であった。
【0098】
投与180日に、全てのグループの犬が解剖され、各臓器には肉眼では病変や異常は見られなかった。高投与量グループおよび中間用量グループの肝臓の重量および係数は、少ない投与量グループおよび対照群のそれらより高かった。薬の使用を止めた後に、30日観察したが異常は見られなかった。
【0099】
24匹の犬の組織病理学的検査は、心臓、肝臓、肺、脾臓、腎臓、脳、小脳系、下垂体、脊髄(首、胸部および腰椎)、視神経、眼球(網膜)、座骨神経、顎下腺(唾液腺)、甲状腺、胸腺、膵臓、副腎、リンパ節(腸間膜)、精巣(精巣上体)、前立腺、卵巣、子宮、乳腺、食道、気管、胃、十二指腸、回腸、結腸、胆嚢、膀胱および大動脈の組織について、形態学および構造の異常が各グループ各犬に発見されなかったことを示した。
【0100】
まとめると、本発明の薬(内容物)を180日投与された犬のうち、4.0g/kgおよび2.0g/kgの投与されたものは、大便が柔らかく尿に薬の色が付いていることが一般に観察され、肝酵素(ALP)指数および肝臓係数はより高くなる傾向がある。そして、それは薬の投与停止の30日後に正常に戻るようになる。1.0g/kg以下の薬の投与量は、動物にとって安全であると判明した。上記の結果は、本発明の薬(内容物)がよりよく安全なことを示す。
【0101】
結果は、本発明の薬が軽微な毒性を有して、医療において、安全で信頼性が高いことを示す。
【0102】
薬効学実験および臨床試験は、本発明の魔芋単独使用の薬が、慢性気管支炎を治療し、薬効が慢性気管支炎にぴったりであり、再発率が低いことを証明している。加えて、他薬剤(例えば五味子)と一緒に使うと、この薬は相乗効果を示し、安全性が高く、安定性制御性が強く、急性、慢性気管支炎を治療するための新規な選択肢を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の魔芋の抽出工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性および慢性気管支炎を治療するための医薬を調合する際の魔芋Amorphophallus rivieri Durieu およびその抽出物の利用。
【請求項2】
上記魔芋の抽出物が有機溶剤抽出物である、請求項1に記載の利用。
【請求項3】
上記魔芋の有機溶剤抽出物がエチルアルコール抽出物である、請求項2に記載の利用。
【請求項4】
上記魔芋のエチルアルコール抽出物が25%〜95%エチルアルコール抽出物である、請求項3に記載の利用。
【請求項5】
上記魔芋のエチルアルコール抽出物が60%〜95%エチルアルコール抽出物である、請求項4に記載の利用。
【請求項6】
上記魔芋のエチルアルコール抽出物が80%〜95%エチルアルコール抽出物である、請求項5に記載の利用。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つの魔芋あるいはその抽出物を有効成分または原料として含み、薬学的に差し支えのない補助材料または補助成分を加えて調整された製剤である、急性および慢性気管支炎の治療のための医薬品組成物。
【請求項8】
上記魔芋の抽出物がエチルアルコール抽出物である、請求項7に記載の医薬品組成物。
【請求項9】
上記魔芋のエチルアルコール抽出物が25%〜95%エチルアルコール抽出物である、請求項8に記載の医薬品組成物。
【請求項10】
上記魔芋のエチルアルコール抽出物が60%〜95%エチルアルコール抽出物である、請求項9に記載の医薬品組成物。
【請求項11】
上記原料が五味子を更に含み、魔芋と五味子の重量比が、魔芋:五味子 1〜10:9〜0であり、五味子の重量は0ではない、請求項7から10の何れか一つに記載の医薬品組成物。
【請求項12】
上記原料の重量比が、魔芋:五味子 5〜8:5〜2である、請求項11に記載の医薬品組成物。
【請求項13】
上記原料の重量比が、魔芋:五味子 6:2である、請求項12に記載の医薬品組成物。
【請求項14】
上記製剤がカプセル、顆粒、錠剤、丸薬または飲用液剤である、請求項7から13のいずれか一つに記載の医薬品組成物。
【請求項15】
各々の上記カプセルに含まれる五味子のシザンドリンが1.8mg未満でない、請求項14に記載の医薬品組成物。
【請求項16】
次の工程を含む請求項11から15のいずれか一つに記載の医薬品組成物を製造する方法:
a)。原料薬を、魔芋:五味子 1〜10:9〜0であり、五味子の重量は0ではない各重量比で量り取り、
b)。魔芋を25%〜95%エチルアルコールによって抽出して抽出物を得て、
c)。五味子を粉砕し、25%〜95%エチルアルコールを加えて、還流抽出し、抽出物を得て、
d)。ステップb)およびc)で得られた抽出物を混合し、濃縮し、薬学的に差し支えのない補助材料または補助成分を加えて調整して製剤を得る。
【請求項17】
ステップb)において、上記エチルアルコール抽出は、エチルアルコール浸出法であり、エチルアルコールの濃度は60%〜95%、浸出速度が1ml/min・kgであり、ステップc)に記載されている上記エチルアルコールの濃度は、70%である、請求項16に記載されている、医薬品組成物を製造する方法。
【請求項18】
ステップb)において、上記エチルアルコール抽出は、エチルアルコール浸出法であり、エチルアルコールの濃度は60%である、請求項17に記載されている、医薬品組成物を製造する方法。
【請求項19】
急性および慢性気管支炎、肺気腫、肺性心疾患およびそれに現れる症状を治療するための医薬を調合する際の請求項6から15の何れか一つに記載の医薬品組成物の利用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−539175(P2008−539175A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508055(P2008−508055)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000786
【国際公開番号】WO2006/114054
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507356833)
【Fターム(参考)】