説明

急性冠症候群の治療のためのLNAApoBアンチセンスオリゴマーの使用

本発明は急性冠症候群の治療のためのLNA アンチセンス apoB オリゴヌクレオチドの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、急性冠症候群を治療または予防するための新規な処方(formulation)および方法を提供する。該処方および方法は、LNA 残基を含むアンチセンスアポリポタンパク質B化合物を使用する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
心筋梗塞の管理および治療は20世紀の前半から劇的に変化してきており、床上安静および観察の時代から、技術、例えば、血行動態モニタリングおよびバルーンカテーテル、の重要視へと進展しており、血栓溶解療法への着目が上昇している (Antman and Braunwald,”Acute Myocardial Infarction”in Heart Disease, A Textbook of Cardiovascular Medicine, 61 edition, vol. 2, Braunwald et al., eds, 2001, W.B. Saunders Company, Philadelphia)。心臓血管疾患の治療に対する治療アプローチは過去100年間において大いに進化しており、基礎病理のさらなる理解を伴っている。
【0003】
ほとんどすべての心筋梗塞は冠動脈アテローム性動脈硬化に起因し、一般に併発する冠状動脈血栓を伴う。ゆっくりと蓄積するプラークは側副血管の発達によって無症候性でありうる。しかし、動脈硬化性プラーク、特に脂質が豊富なものは、突然のプラーク破綻を起こしやすい。プラーク破綻およびそれに伴う内皮損傷は、メディエーター、例えば、トロンボキサン A2、セロトニン、アデノシン二リン酸、トロンビン、血小板活性化因子、組織因子および酸素由来フリーラジカルの放出を引き起こす。これらのメディエーターは血小板凝集および機械的閉塞を促進し、しばしば、血流および酸素供給を妨げる血栓形成を導く。心筋への酸素供給の持続的かつ重度の妨害は急性心筋梗塞を導きうる(Rioufol et al.、2002、Circulation 106:804、Timmis、2003、Heart 89:1268-72参照)。
【0004】
アテローム性動脈硬化の薬物療法の中心は、主に治療のエンドポイントとしてLDL即ち「悪玉コレステロール」の低下に焦点を向けることにより動脈硬化性プラークの発達を予防または遅延させるための長期治療であった。スタチン療法は、例えば、心臓血管の健康の改善に大いに貢献してきた; しかしながら、有害作用、例えば、横紋筋融解症が妨げとなっている。さらに、スタチンは急性状況、例えば、虚血発作時の脆弱性の不安定な動脈硬化性プラークの低減にはあまり役に立たない。急性治療は、血栓溶解剤 (例えば、tPA)および、経皮経管冠動脈形成術 (PTCA)および冠動脈バイパス・グラフト (CABG)などの外科的介入に大いに依存してきた。血栓溶解剤は閉塞血栓の低下または排除によって緩和を提供するが、基礎病理を変化させるものではない。介入、例えば、PTCAはそれらの独自のリスクを有しており、しばしば急性状態にある患者には適切ではない。現在の薬物療法は不安定プラークがリスクとして存在する場合にはあまり患者の助けにならない(Newton and Krause 2002, Atherosclerosis S3:31-38参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
心筋梗塞の病態生理学の理解の進展およびアテローム性動脈硬化の薬物療法の開発の進展にも拘わらず、急性相における治療を可能とする迅速な作用の開始を備え、長期治療のために用いられた場合に重篤な副作用を伴わない、安全かつ効果的な治療様式がいまだに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、アポリポタンパク質 Bをターゲティングするアンチセンスオリゴヌクレオチドの新規な使用を提供する。本発明者らはこれまで観察されていなかった、LNAを含む抗 apo B アンチセンスオリゴヌクレオチドの新規な特徴を見いだし、かかる特徴により、かかる抗 apo B アンチセンスオリゴヌクレオチドの新規な使用が可能となる。本発明は、かかる分子が、迅速な作用の開始を提供することができ、治療の開始後短期間の間に効果の定常状態に到達することができ、それにより急性冠症候群の治療のための既存の治療法を超える顕著な利益を提供するという発見に基づく。
【0007】
本発明は、全部で10-16 核酸塩基からなるオリゴマー化合物 (オリゴマー)を提供し、ここで該化合物の核酸塩基配列はヒトアポリポタンパク質 B 遺伝子または遺伝子転写産物において存在するものであり、該化合物は少なくとも 2または少なくとも 3のヌクレオチド類似体を含み、該化合物は急性冠症候群の治療のためのものである。
【0008】
本発明は、全部で10-15 核酸塩基からなるオリゴマー化合物を提供し、ここで該化合物の核酸塩基配列はヒトアポリポタンパク質 B 遺伝子または遺伝子転写産物において存在する連続するサブ配列(sub-sequence)に対応し、該化合物は少なくとも 2 または少なくとも 3のヌクレオチド類似体を含み、該化合物は急性冠症候群の治療のためのものである。
【0009】
本発明は、本発明による化合物および該化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含む複合体(conjugate)を提供し、該複合体は急性冠症候群の治療のためのものである。
【0010】
本発明は、本発明による化合物または複合体、および医薬上許容される希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明は、急性冠症候群の治療のための医薬として使用するための本発明による化合物または複合体を提供する。
【0012】
本発明は、異常レベルのApo-B100 またはそれに関連する疾患または症状の治療のための医薬の製造のための本発明による化合物または複合体の使用を提供し、ここで該疾患または症状は急性冠症候群に関連する症状である。
【0013】
本発明は、本発明による化合物または本発明による複合体を含む、異常レベルのApo-B100 またはそれに関連する疾患または症状、例えば、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または脂質異常症の治療のための医薬を提供し、ここで症状は急性冠症候群である。
【0014】
本発明は、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症および脂質異常症から選択される疾患または症状を患う対象の治療方法を提供し、該方法は、本発明による医薬組成物または複合体または医薬を、急性冠症候群を患う対象に投与する工程を含む。
【0015】
本発明は、アポリポタンパク質 Bをダウンレギュレーションする方法を提供し、該方法は、本発明による医薬組成物または複合体または医薬を対象、例えば、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または脂質異常症からなる群から選択される病状を患う対象に投与する工程を含み、これら病状はいずれも急性冠症候群をもたらしたものである。
【0016】
本発明は、ApoB mRNAを発現する細胞においてアポリポタンパク質 B (ApoB) mRNAをダウンレギュレーションする方法を提供し、該方法は、本発明の化合物を該 ApoB mRNAをダウンレギュレーションさせるために該細胞に投与する工程を含み、ここでApoB mRNAのダウンレギュレーションの目的は急性冠症候群を治療することである。
【0017】
本発明は、ApoB タンパク質を発現する細胞においてアポリポタンパク質 B (ApoB) タンパク質をダウンレギュレーションする方法を提供し、該方法は、本発明の化合物を該 ApoB タンパク質をダウンレギュレーションするために該細胞に投与する工程を含み、ここでApoB タンパク質のダウンレギュレーションの目的は急性冠症候群を治療することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】投薬(dosing)前、2.5または5 mg/kgの配列番号26 あるいは5および10 mg/kgの配列番号41の単回注射の1、3、5、8、16、24および32日後に測定した血清総コレステロール。
【図2】対照と比較して%で表した血清総コレステロールおよびHDL コレステロール。0日目に配列番号26を1、2.5 および5 mg/kgの用量で1回注射し、配列番号41を1、2.5、5 および10 mg/kg の用量で1回注射し、血清総コレステロールおよびHDL コレステロールを注射の1日後に測定した。TC = 総コレステロール、HDL = 高密度リポタンパク質。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
1. 用語
米国仮出願US 61/186388およびUS61/253090、および60/896,419および60/977,409、ならびにPCT出願WO2007/031081およびWO2008113830をその全体を引用により本明細書に含める。
【0020】
オリゴマー化合物
本発明は、アポリポタンパク質 B (例えば Apo-B100 および/または ApoB-48)をコードする核酸分子の機能の阻害における使用のために、オリゴマー化合物、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し、それは、生産される機能的タンパク質の数の低下を導く。本発明は、かかる分子が迅速な作用の開始を提供することができ、治療の開始後短時間の間で、総コレステロールに対する効果の定常状態に達することができ(定常状態は、本発明の文脈において、総コレステロールに対する最大効果が特定の選択された投与計画(regimen)の使用により達成される時間として定義され、最大効果への到達の後、連続した安定な効果がオリゴマーの連続投与用量により得ることができる。かかる維持用量の大きさの決定は当業者にとって常套的作業である)、それにより、急性冠障害の治療のための既存の治療法を超える顕著な利益を提供することができるという本発明者らによる観察に基づく。定常状態の早期の開始は、化合物、例えば、スタチン、およびLNAを含まないオリゴヌクレオチドによる既存の治療と比較してのものである。さらに、本発明は、肝臓または腎臓における毒性をもたらし得る化合物のレベルを提供せずに定常状態効果の迅速な開始(治療の開始後、1週間以内、例えば、1、2、3、4、5、6 または7日間以内)を提供するように調整された方法および処方を提供する。
【0021】
本発明に有用なApoB100を阻害する化合物としては、限定されないが、例えば、その全体を引用により本明細書に含めるWO2007/031081 およびWO2008/113830に開示の化合物が挙げられる。特に好ましいのは、それぞれ別紙BおよびCとしてここに添付し、明細書全体が引用により本明細書に含まれるUS 60/896,419およびUS 60/977409に開示の化合物である。しかしながら、いかなるLNA アンチセンス apoB オリゴマー化合物の使用も本発明において潜在的に有用であろう。さらに、特に好ましい態様において、引用により本明細書に含まれるUS 61/186388 および US61/253090に開示のモチーフおよび化合物である。US 61/186388およびUS61/253090の化合物は本願において表1および表2に開示されている。
【0022】
「LNA アンチセンス」という用語は、それが言及するオリゴマー化合物が少なくとも1つのLNA ヌクレオチド類似体を含むことを意味する。
【0023】
本発明は、アポリポタンパク質 B (Apo-B100/Apo-B48)の発現を調節するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、特定のモチーフがアポリポタンパク質 Bをターゲティングするオリゴヌクレオチド化合物に関する。これらのモチーフはWO2007/031081の配列番号2-15、特に配列番号5、9および13である。LNA 含有オリゴヌクレオチド化合物の特定の設計もまた開示されている。特に好ましい化合物は、WO2007/031081の配列番号17-40、および/または 41 - 49、特に、配列番号16、17、26および34である。WO2007/031081のモチーフおよび化合物は本願の表 2に開示され、すべて好ましい。本発明の化合物はアポリポタンパク質 mRNAおよびタンパク質の発現の強力な阻害剤である。
【0024】
一つの態様において、本発明において使用するためのオリゴマーは、現在のデータはこの化合物を使用する方法は急性冠症候群の治療のために関連するために十分に速く定常状態効果を提供しないことを示すが(Yu et al. Circulation (2006); 114; 1729-1735)、ISIS 301012 (
【化1】

、ここで、斜体の塩基は2’-MOE 修飾リボヌクレオシドであり、すべてのサイトカイン(cytokine)はC5位置においてメチル化されている)を含むかまたはそれからなる。
【0025】
一つの態様において、本発明において使用するためのオリゴマーは以下の表1に列挙する配列番号1-25からなる群から選択される配列を含みうるか、またはそれからなり得、ここで該オリゴマー (またはその連続ヌクレオチド部分)は、該選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを所望により有していてもよい。
【表1−1】

【表1−2】

【0026】
本明細書において用いる場合、「ターゲット核酸」という用語は、Apo-B100をコードするDNA、かかるDNA から転写されるRNA (例えば、プレ-mRNAおよびmRNAおよびmRNAエディティング産物(edit))ならびにかかるRNA に由来するcDNAを包含する。
【0027】
「ターゲットタンパク質」は哺乳類アポリポタンパク質 B、好ましくは、ヒト アポリポタンパク質 Bである。 ApoB-100 およびApoB-48はともに同じ遺伝子配列に起因するので、本発明によるオリゴマー化合物は、アポリポタンパク質 Bのいずれかまたは両方の形態、およびApoB-100 をコードする mRNA、およびApo-B48をコードするRNAエディティングされた形態の両方のダウンレギュレーションのために使用することができることが認識されよう。
【0028】
本明細書において用いる場合、「遺伝子」という用語は、エキソン、イントロン、非コード5’および3’領域および調節要素を含む遺伝子ならびにすべての現在知られているそれらの変異体および解明されうるあらゆるさらなる変異体を意味する。
【0029】
本明細書において用いる場合、「mRNA」という用語は、現在知られているターゲティングされた遺伝子のmRNA 転写産物、および解明されうるあらゆるさらなる転写産物を意味する。
【0030】
本明細書において用いる場合、「調節」という用語は、遺伝子の発現における上昇(刺激)または低下(阻害)を意味する。本発明において、阻害が遺伝子発現の調節の好ましい形態であり、mRNA が好ましいターゲットである。
【0031】
本明細書において用いる場合、アンチセンス化合物を特定のターゲット核酸に「ターゲティングする」という用語は、アンチセンス化合物がその目的のターゲットに結合し、機能を調節することができるように、細胞、動物またはヒトにアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供することを意味する。
【0032】
「オリゴマー化合物」という用語は、「オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」、および「オリゴヌクレオチド化合物」という用語と互換的に用いられ、本発明の文脈において、オリゴマー、即ち、核酸ポリマー (例えば、リボ核酸 (RNA)またはデオキシリボ核酸 (DNA)または当該技術分野において知られた核酸類似体、好ましくは ロックド(Locked) 核酸 (LNA)、またはそれらの混合物)をいう。この用語は、天然の核酸塩基、糖およびヌクレオシド間 (バックボーン) 結合から構成されるオリゴヌクレオチドならびに、同様に機能するかまたは特定の改善された機能を有する非天然部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。完全にまたは部分的に修飾または置換されたオリゴヌクレオチドがネイティブな形態よりもかかるオリゴヌクレオチドのいくつかの望ましい性質のためにしばしば好ましく、かかる性質としては、例えば、細胞膜を貫通する能力、細胞外および細胞内ヌクレアーゼに対する良好な抵抗性、核酸ターゲットに対する高い親和性および特異性が挙げられる。LNA 類似体が例えば、上記特性に関して特に好ましい。それゆえ、非常に好ましい態様において、本発明による「オリゴマー化合物」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」、「オリゴマー」、および「オリゴヌクレオチド化合物」という用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体単位、例えば LNA 単位、の両方から構成され、10-15 (連続) ヌクレオチド/ヌクレオチド類似体のポリマー化合物 (オリゴマー)を形成する化合物である。
【0033】
オリゴマー化合物は好ましくはアンチセンスオリゴマー化合物であり、これは「アンチセンスオリゴヌクレオチド」および「アンチセンス阻害剤」とも称される。
【0034】
アンチセンス阻害剤は一本鎖オリゴヌクレオチドである。一本鎖オリゴヌクレオチドは好ましくはターゲット核酸の対応する領域に相補的である。
【0035】
典型的には、一本鎖「アンチセンス」オリゴヌクレオチドは、ターゲット遺伝子のmRNAと特異的に相互作用し、例えばRNaseH機構を介するmRNAのターゲティングされた分解、あるいは翻訳の妨害をもたらす。
【0036】
「単位」という用語はモノマーと理解される。
【0037】
本発明のオリゴマー化合物は、アポリポタンパク質 B メッセンジャー RNA および/またはセンスまたは相補的哺乳類アポリポタンパク質 B (Apo-B) DNA 鎖のいずれかにハイブリダイズすることができる。NCBI 受入番号NM_000384 は、ヒト アポリポタンパク質 BについてのmRNA 配列を提供する。非常に好ましくは、本発明のオリゴマー化合物は、NCBI 受入番号NM_000384に開示される核酸によってコードされるヒトアポリポタンパク質、またはその逆相補体(reverse complement)にハイブリダイズすることができ、例えば、好ましい態様において、該ヒトアポリポタンパク質に由来するmRNA 核酸ターゲットにハイブリダイズすることができる。
【0038】
「少なくとも(整数)」という用語は、該整数、例えば 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21 等以上の整数を含む。
【0039】
興味深い態様において、本発明の化合物の3’末端は、ヌクレオチド類似体ではなく、ヌクレオチドを含む。
【0040】
好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸、例えば、 ApoB mRNAにハイブリダイズして、Tm が少なくとも 30℃、例えば 少なくとも 37℃、例えば 少なくとも 40℃、少なくとも 50℃、少なくとも 55℃、少なくとも 60℃、少なくとも 65℃、少なくとも 70℃、または少なくとも 75℃である二本鎖を形成することができる。一つの側面において、Tmは85℃未満、例えば 80℃未満、例えば75℃未満または70℃未満である。一つの側面において、 Tmは37℃から80℃、例えば50から70℃である。一つの側面において、Tm は30℃から40℃である。
【0041】
Tmの測定
10 mM リン酸ナトリウム/100 mM NaCl/ 0.1 nM EDTA、pH 7.0 中の化合物の3μM 溶液を10 mM リン酸ナトリウム/100 mM NaCl/ 0.1 nM EDTA、pH 7.0中3 μM 濃度のその相補(complement)DNAまたはRNA オリゴヌクレオチドと90℃で1分間混合し、室温まで冷却させる。二本鎖の融解曲線を次いで 25から95℃の範囲で加熱速度1℃/分にて260 nmでの吸光度を測定することによって決定する。Tm は融解曲線の一次導関数の最大値として測定される。
【0042】
一つの態様において、本発明によるオリゴマー化合物は哺乳類 ApoBをコードするDNAをターゲッティングしうる。
【0043】
「核酸塩基」という用語は、本明細書において用いる場合、天然のヌクレオチド、例えば、DNAおよびRNA ヌクレオチド (単位)、およびヌクレオチド類似体 (単位)と称される非天然のヌクレオチドの両方をいう。
【0044】
長さ
オリゴマーは全部で10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の連続ヌクレオチドの長さの間の連続ヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【0045】
いくつかの態様において、オリゴマーは全部で10 - 22、例えば12 - 18、例えば13 - 17または12 - 16、例えば、13、14、15、16 連続ヌクレオチドの長さの連続ヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【0046】
いくつかの態様において、オリゴマーは、全部で 10、11、12、13、または14 連続ヌクレオチドの長さの連続ヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【0047】
いくつかの態様において、本発明によるオリゴマーは、22を超えないヌクレオチド、例えば20を超えないヌクレオチド、例えば18を超えないヌクレオチド、例えば 15、16または17 ヌクレオチドからなる。いくつかの態様において、本発明のオリゴマーは20未満のヌクレオチドを含む。
【0048】
好ましい態様において、オリゴマーは、12、13、14、15または16 連続ヌクレオチドの長さのLNA ギャップマー(gapmer)である。
【0049】
ギャップマー
好ましい態様において、本発明の化合物の核酸塩基配列は、5’から 3’方向にて、 i) 領域 A: 2-4 ヌクレオチド類似体のストレッチ、次いで、ii) 領域 B: 6-11 ヌクレオチド (例えば DNA ヌクレオチド)のストレッチ、次いで、iii) 領域 C: 2-4 ヌクレオチド類似体のストレッチ、そして所望によりiv)1または2のヌクレオチド(D)を含むかまたはそれからなる。
【0050】
一つの態様において、領域 Aの長さは1 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 Aの長さは2 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 A の長さは3 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 Aの長さは4 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 C の長さは1 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 C の長さは2 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 Cの長さは3 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 C の長さは4 ヌクレオチド類似体である。一つの態様において、領域 Bの長さは7から10 ヌクレオチド(例えば DNA ヌクレオチド)、例えば 8または9 ヌクレオチド(例えば DNA ヌクレオチド)である。一つの態様において、本発明による化合物の長さは12 - 15 核酸塩基である。一つの態様において、本発明による化合物の長さは12、13、または14 核酸塩基である。一つの態様において、ギャップマーは、5’から 3’方向にて、式:D-A-B-Cのものでありうる。
【0051】
ヌクレオシド間結合
一つの態様において、本発明の化合物の核酸塩基配列は、リン酸基、ホスホジエステル基、ホスホロチオエート(phosphorothioate)基およびボラノリン酸基からなる群から選択される核酸塩基間結合基を含み、ヌクレオシド間結合は、-O-P(O)2-O-、-O-P(O,S)-O-であり得る。一つの態様において、ヌクレオシド間結合はリン酸基および/またはホスホロチオエート基である。特定の態様において、すべてのヌクレオチドはホスホロチオエート基を含む。一つの態様において、いくつかまたはすべてのヌクレオチドは互いにホスホロチオエート基によって結合している。好適には、すべてのヌクレオチドはホスホロチオエート基によって互いに結合している。
【0052】
一つの態様において、本発明の化合物の核酸塩基配列の核酸塩基単位の間の核酸塩基間結合基は独立に、ホスホロチオエートまたはホスホジエステル結合基から選択される。
【0053】
一つの態様において、領域 Aは、2つのヌクレオチド類似体単位、またはヌクレオチド類似体単位およびヌクレオチド単位の間に少なくとも1つのホスホジエステル結合を含む。この文脈においてヌクレオチド類似体およびヌクレオチド単位の間の結合基は、領域 AおよびBの間の結合基をいうことが理解されよう。
【0054】
一つの態様において、領域 Cは、2つのヌクレオチド類似体単位、またはヌクレオチド類似体単位およびヌクレオチド単位の間に少なくとも1つのホスホジエステル結合を含む。ヌクレオチド類似体およびヌクレオチド単位の間の結合基はこの文脈において、領域B およびCの間の結合基をいうことが理解されよう。
【0055】
一つの態様において、領域 Bのヌクレオチドの間のヌクレオチド間結合はホスホロチオエートである。一つの態様において、Aの3’ ヌクレオチド類似体および領域 Bの 5’ ヌクレオチドの間の核酸塩基間結合はホスホロチオエートである。
【0056】
一つの態様において、領域 B の3’ ヌクレオチドおよび領域 C の5’ ヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホロチオエートである。一つの態様において、A の3’ ヌクレオチド類似体および領域 Bの 5’ ヌクレオチドの間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 Bの 3’ ヌクレオチドおよび領域 Cの 5’ ヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 A の2つの5’ ヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 Cの2つの3’ ヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 Aの2つの3’ ヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 Cの2つの5’ ヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 Aの長さは4 ヌクレオチド類似体であり、領域 Aの2つの中間のヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、領域 Cの長さは4 ヌクレオチド類似体であり、領域 Cの2つの中間のヌクレオチド類似体の間の核酸塩基間結合はホスホジエステルである。一つの態様において、本発明の化合物に存在するヌクレオチド類似体の間の全ての核酸塩基間結合はホスホジエステルである。
【0057】
一つの態様において、例えば、上記態様において、好適であって特に示されないすべての残りの核酸塩基間結合はホスホジエステルまたはホスホロチオエートであるか、あるいは1つの別の態様においてはその混合物である。一つの態様において、すべての核酸塩基間結合基はホスホロチオエートである。
【0058】
ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体
いくつかの態様において、「ヌクレオシド類似体」および「ヌクレオチド類似体」という用語は互換的に用いられる。
【0059】
本明細書において用いる場合、「ヌクレオチド」という用語は、糖部分、塩基部分および共有結合基 (結合基)、例えば、リン酸(phosphate)またはホスホロチオエートヌクレオチド間結合基を含む配糖体(glycoside)をいい、天然のヌクレオチド、例えば DNAまたはRNA、および、本明細書において「ヌクレオチド類似体」とも称される、修飾糖および/または塩基部分を含む非天然のヌクレオチドの両方を包含する。本明細書において、単一のヌクレオチド (単位)はまたモノマーまたは核酸単位とも称されうる。
【0060】
生化学の分野において、「ヌクレオシド」という用語は、糖部分および塩基部分を含む配糖体をいうのに一般に用いられ、それゆえ、オリゴマーのヌクレオチドの間のヌクレオチド間結合によって共有結合されているヌクレオチド単位をいうのにも用いられ得る。生化学の分野において、「ヌクレオチド」という用語は、しばしば核酸モノマーまたは単位をいうのに用いられ、したがってオリゴヌクレオチドの文脈においては、塩基 - 例えば「ヌクレオチド配列」をいうこともあり、典型的には核酸塩基配列 (即ち、糖バックボーンおよびヌクレオシド間結合の存在が黙示される)をいう。同様に、特に1以上のヌクレオシド間結合基が修飾されているオリゴヌクレオチドの場合は、「ヌクレオチド」という用語は、「ヌクレオシド」をいうこともあり、ヌクレオシドの間の結合の存在または性質が特定されている場合でも、例えば 「ヌクレオチド」という用語が用いられることもある。
【0061】
当業者であれば認識するように、オリゴヌクレオチドの5’ 末端ヌクレオチドは5’ 末端基を含む場合も含まない場合もあるが、5’ ヌクレオチド間結合基を含まない。
【0062】
非天然のヌクレオチドは、修飾糖部分、例えば、二環式ヌクレオチドまたは2’ 修飾ヌクレオチド、例えば、2’置換ヌクレオチドを有するヌクレオチドを含む。
【0063】
「ヌクレオチド類似体」は、糖および/または塩基部分における修飾による、天然ヌクレオチド、例えば、DNAまたはRNA ヌクレオチドの変異体である。類似体は原則としてオリゴヌクレオチドの観点において天然ヌクレオチドに対して「サイレント」または「同等」にすぎず、即ち、オリゴヌクレオチドがターゲット遺伝子発現を阻害するのに作用する様式に対して機能的効果を有さない。かかる「同等」の類似体はしかし、例えば、それらが製造のためにより容易または安価である場合、または保存または製造条件に対してより安定である場合、またはタグまたはラベルを表す場合に有用であり得る。しかしながら、好ましくは、類似体は、例えば、 ターゲットに対する結合親和性の上昇を生じることにより、および/または、細胞内ヌクレアーゼに対して上昇した耐性を生じることにより、および/または細胞への輸送がより容易になることによって、オリゴマーが発現を阻害するのに作用する様式に対して機能的効果を有するであろう。ヌクレオシド類似体の具体例は、例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res.、1997、25、4429-4443 および Uhlmann; Curr. Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293-213、および スキーム 1に記載されている:
【化2】

【0064】
オリゴマーはしたがって、天然のヌクレオチド- 好ましくは 2’-デオキシヌクレオチド (ここで一般的に「DNA」と称される)の簡便な配列を含むかまたはそれからなりうるが、リボヌクレオチド(ここで一般的に「RNA」と称される)、またはかかる天然のヌクレオチドと1以上の非天然のヌクレオチド、即ち、ヌクレオチド類似体の組合せを含むかまたはそれからなりうる。かかるヌクレオチド類似体は好適には、オリゴマーのターゲット配列に対する親和性を向上しうる。
【0065】
好適かつ好ましいヌクレオチド類似体の例は、WO2007/031091またはそのなかの参考文献に提供されている。
【0066】
オリゴマーにおける親和性向上ヌクレオチド類似体、例えば、LNAまたは2’-置換糖の組込みは、特異的に結合するオリゴマーのサイズを低減しうるし、また、非特異的または異常な結合が起こる前にオリゴマーのサイズの上限を低減しうる。
【0067】
いくつかの態様において、オリゴマーは少なくとも 1つのヌクレオシド類似体を含む。いくつかの態様において、オリゴマーは少なくとも 2つのヌクレオチド類似体を含む。いくつかの態様において、オリゴマーは3-8のヌクレオチド類似体、例えば、6または7のヌクレオチド類似体を含む。最も好ましい態様において、該ヌクレオチド類似体の少なくとも1つはロックド(Locked) 核酸 (LNA)であり; 例えば、ヌクレオチド類似体の少なくとも 3または少なくとも 4、または少なくとも 5、または少なくとも 6、または少なくとも 7、または8はLNAであり得る。いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド類似体がLNAであり得る。
【0068】
ヌクレオチドのみからなる好ましいヌクレオチド配列モチーフまたはヌクレオチド配列について言及する場合、配列によって規定される本発明のオリゴマーは、該配列中に存在する1以上のヌクレオチドの代わりにオリゴマー/ターゲット二本鎖の二本鎖安定性/Tmを上昇させる対応するヌクレオチド類似体、例えば LNA 単位またはその他のヌクレオチド類似体を含みうることが認識されよう(即ち、親和性向上ヌクレオチド類似体)。
【0069】
いくつかの態様において、オリゴマーのヌクレオチド配列およびターゲット配列の間のあらゆるミスマッチは、好ましくは、親和性向上ヌクレオチド類似体の外側の領域、例えば、本明細書で言う領域 B、および/または本明細書で言う領域 D、および/または非修飾部位、例えばオリゴヌクレオチドにおけるDNA ヌクレオチド、および/または連続 ヌクレオチド 配列の5’または 3’側の領域にみられる。
【0070】
ヌクレオチドのかかる修飾の例としては、糖部分の修飾による2’-置換基の提供または結合親和性を向上させ、ヌクレアーゼ耐性を上昇させうる架橋(ロックド(Locked) 核酸) 構造の生産が挙げられる。
【0071】
好ましいヌクレオチド類似体は、LNA、例えば、オキシ-LNA (例えば、ベータ-D-オキシ-LNA、およびアルファ-L-オキシ-LNA)、および/またはアミノ-LNA (例えば、ベータ-D-アミノ-LNAおよびアルファ-L-アミノ-LNA)、および/またはチオ-LNA (例えば、ベータ-D-チオ-LNAおよびアルファ-L-チオ-LNA)および/または ENA (例えば、ベータ-D-ENAおよびアルファ-L-ENA)である。最も好ましいのはベータ-D-オキシ-LNAである。
【0072】
いくつかの態様において、本発明のオリゴマーに(例えば本明細書で言う領域AおよびCにおいて)存在するヌクレオチド類似体は独立に、例えば: 2’-O-アルキル-RNA 単位、2’-アミノ-DNA 単位、2’-フルオロ-DNA 単位、LNA 単位、アラビノ核酸 (ANA) 単位、2’-フルオロ-ANA 単位、HNA 単位、INA (インターカレート(intercalating)核酸 -引用により本明細書に含めるChristensen、2002. Nucl. Acids. Res. 2002 30: 4918-4925) 単位および2’MOE 単位から選択される。いくつかの態様において、本発明のオリゴマーに存在する上記タイプのヌクレオチド類似体の1つのみ、またはその連続ヌクレオチド配列が存在する。
【0073】
いくつかの態様において、ヌクレオチド類似体は、2’-O-メトキシエチル-RNA (2’MOE)、2’-フルオロ-DNA モノマーまたは LNA ヌクレオチド類似体であり、したがって本発明のオリゴヌクレオチドは、これら3つのタイプの類似体から独立に選択されるヌクレオチド類似体を含みうるか、または、これら3つのタイプから選択される類似体の1つのタイプのみを含みうる。いくつかの態様において、該ヌクレオチド類似体の少なくとも1つは、2’-MOE-RNAであり、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10の2’-MOE-RNA ヌクレオチド単位である。いくつかの態様において、該ヌクレオチド類似体の少なくとも1つは、2’-フルオロ DNAであり、例えば 2、3、4、5、6、7、8、9または10の2’-フルオロ-DNA ヌクレオチド単位である。
【0074】
いくつかの態様において、本発明によるオリゴマーは少なくとも1つのロックド(Locked) 核酸 (LNA) 単位、例えば 1、2、3、4、5、6、7、または8のLNA 単位、例えば 3 - 7または4から8 のLNA 単位、あるいは3、4、5、6または7の LNA 単位を含む。いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド類似体がLNAである。いくつかの態様において、オリゴマーは ベータ-D-オキシ-LNA、および1以上の以下のLNA 単位の両方を含みうる:ベータ-Dまたはアルファ-L 配置またはその組合せにおける、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、および/または ENA。いくつかの態様において、すべてのLNA シトシン単位は5’メチル-シトシンである。本発明のいくつかの態様において、オリゴマーはLNAおよびDNA 単位の両方を含みうる。好ましくはLNAおよび DNA 単位を合わせた合計は、10-25、例えば 10 - 24、好ましくは 10-20、例えば 10 - 18、より好ましくは 12-16である。本発明のいくつかの態様において、オリゴマーのヌクレオチド配列、例えば、連続ヌクレオチド配列は少なくとも1つのLNAからなり、残りのヌクレオチド単位はDNA 単位である。いくつかの態様において、オリゴマーはLNA ヌクレオチド類似体および天然のヌクレオチド(例えば、RNAまたはDNA、もっとも好ましくは DNA ヌクレオチド)のみを含み、所望により修飾ヌクレオチド間結合、例えば、ホスホロチオエートを有していてもよい。
【0075】
「核酸塩基」という用語はヌクレオチドの塩基部分をいい、天然および非天然の変異体の両方を包含する。したがって、「核酸塩基」は、既知のプリンおよびピリミジン複素環のみならず、複素環類似体およびその互変異性体も包含する。
【0076】
核酸塩基の例としては、これらに限定されないが、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、5-メチルシトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンが挙げられる。
【0077】
いくつかの態様において、オリゴマーに存在する少なくとも1つの核酸塩基は、5-メチルシトシン、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンからなる群から選択される修飾核酸塩基である。
【0078】
LNA
「LNA」という用語は、「ロックド(Locked) 核酸」として知られる二環式ヌクレオシド類似体をいう。それはLNA モノマーを指すこともあるし、あるいは、「LNA オリゴヌクレオチド」との関係において用いられる場合は、LNAは1以上のかかる二環式ヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドをいう。LNA ヌクレオチドは、リボース糖環のC2’および C4’の間のリンカー基 (例えば、架橋)- 例えば以下に記載するビラジカル R4* - R2* として示されるもの、の存在によって特徴づけられる。
【0079】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物において使用されるLNAは好ましくは一般式 Iの構造を有する:
【化3】

[式中:
すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられ得る;
ここで、Xは、-O-、-S-、-N(RN*)-、-C(R6R6*)-から選択され、例えば、いくつかの態様において、-O-である;
Bは、水素、所望により置換されていてもよい C1-4-アルコキシ、所望により置換されていてもよい C1-4-アルキル、所望により置換されていてもよい C1-4-アシルオキシ、天然および核酸塩基類似体を含む核酸塩基、DNA インターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、レポーター基、およびリガンドから選択される; 好ましくは、Bは核酸塩基または核酸塩基類似体である;
Pは、隣接モノマーとのヌクレオチド間結合、または5’-末端基を示し、かかるヌクレオチド間結合または5’-末端基は所望により置換基 R5 を含むかまたは同じことが置換基 R5*にもあてはまる;
P*は、隣接モノマーとのヌクレオチド間結合、または3’-末端基を示す;
R4*および R2*はともに、1 - 4 の基/原子からなり、 -C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zから選択される二価のリンカー基を示し、ここで、Zは、-O-、-S-、および-N(Ra)- から選択され、およびRaおよびRbはそれぞれ独立に、水素、所望により置換されていてもよい C1-12-アルキル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルケニル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルキニル、ヒドロキシ、所望により置換されていてもよい C1-12-アルコキシ、C2-12-アルコキシアルキル、C2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1 12-アルコキシカルボニル、C1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNA インターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、レポーター基、およびリガンドから選択され、ここで、アリールおよびヘテロアリールは所望により置換されていてもよく、一つの原子に同種原子が二つ結合した(geminal) 2つの置換基 Raおよび Rbはともに所望により置換されていてもよい メチレン (=CH2)を示していてもよく、ここですべての不斉中心、不斉基はRまたはS 配置でみられ、そして;
存在する置換基R1*、R2、R3、 R5、R5*、R6 および R6*のそれぞれは、独立に、水素、所望により置換されていてもよい C1-12-アルキル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルケニル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルキニル、ヒドロキシ、C1-12-アルコキシ、C2-12-アルコキシアルキル、C2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-12-アルコキシカルボニル、C1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNA インターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、レポーター基、およびリガンドから選択され、ここで、アリールおよびヘテロアリールは所望により置換されていてもよく、一つの原子に同種原子が二つ結合した2つの置換基はともにオキソ、チオキソ、イミノ、または所望により置換されていてもよい メチレンを示しうる; ; ここで、 RN は水素およびC1-4-アルキルから選択され、2つの隣接する (一つの原子に同種原子が二つ結合するものではない(non-geminal)) 置換基はさらなる結合を示す結果二重結合となってもよく;そして存在し、ビラジカルに関与しない場合 RN*は、水素およびC1-4-アルキルから選択される; およびその塩基性塩および酸付加塩]。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。
【0080】
いくつかの態様において、R4*およびR2*はともに、C(RaRb)-C(RaRb)-、C(RaRb)-O-、C(RaRb)-NRa-、C(RaRb)-S-、およびC(RaRb)-C(RaRb)-O-からなる群から選択されるビラジカルを示し、ここでRaおよびRbのそれぞれは所望により独立に選択されてもよい。いくつかの態様において、Ra およびRbは所望により独立に、水素およびC1-6アルキルからなる群から選択されてもよく、例えば、メチル、例えば、水素である。
【0081】
いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5*は独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換 C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換 C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択される。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。
【0082】
いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5*は水素である。
【0083】
いくつかの態様において、R1*、R2、R3 は独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル または置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択される。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。
【0084】
いくつかの態様において、R1*、R2、R3は水素である。
【0085】
いくつかの態様において、R5およびR5*はそれぞれ独立に、H、-CH3、-CH2-CH3、-CH2-O-CH3、および-CH=CH2からなる群から選択される。好適にはいくつかの態様において、R5 または R5* は水素であり、ここで他方の基(それぞれR5またはR5*)は、C1-5 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、置換C1-6 アルキル、置換C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルキニルまたは置換アシル (-C(=O)-) からなる群から選択され; ここで各置換基は以下から独立に選択される置換基によってモノまたはポリ置換されている:ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、置換C2-6 アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、COOJ1、CN、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2または N(H)C(=X)N(H)J2、ここでXはOまたはS; およびJ1およびJ2はそれぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、置換C2-6 アルキニル、C1-6 アミノアルキル、置換C1-6 アミノアルキル または保護基である。いくつかの態様において、 R5またはR5* は置換C1-6 アルキルである。いくつかの態様において、R5またはR5*は置換メチレンであり、ここで好ましい置換基は以下から独立に選択される1以上の基を含む:F、NJ1J2、N3、CN、OJ1、SJ1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2またはN(H)C(O)N(H)J2。いくつかの態様において、J1およびJ2はそれぞれ独立に、HまたはC1-6 アルキルである。いくつかの態様において、R5またはR5* は、メチル、エチルまたはメトキシメチルである。いくつかの態様において、R5またはR5* はメチルである。 さらなる態様において、R5またはR5*はエチレニルである。いくつかの態様において、R5またはR5*は、置換アシルである。いくつかの態様において、R5またはR5*は、C(=O)NJ1J2である。すべての不斉中心について、不斉基は RまたはS 配置においてみられうる。かかる5’修飾二環式ヌクレオチドはWO 2007/134181に開示されており、その内容全体は引用により本明細書に含まれる。
【0086】
いくつかの態様において、Bは核酸塩基、例えば、核酸塩基類似体および天然の核酸塩基、例えば、プリンまたはピリミジン、または置換プリンまたは置換ピリミジン、例えば、本明細書にて言及する核酸塩基であり、例えば以下からなる群から選択される核酸塩基である:アデニン、シトシン、チミン、アデニン、ウラシル、および/または修飾または置換された核酸塩基、例えば、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、5-プロピニル-ウラシル、2’チオ-チミン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、および2,6-ジアミノプリン。
【0087】
いくつかの態様において、R4*およびR2*はともに、-C(RaRb)-O-、-C(RaRb)-C(RcRd)-O-、-C(RaRb)-C(RcRd)-C(ReRf)-O-、-C(RaRb)-O-C(RcRd)-、-C(RaRb)-O-C(RcRd)-O-、-C(RaRb)-C(RcRd)-、-C(RaRb)-C(RcRd)-C(ReRf)-、-C(Ra)=C(Rb)-C(RcRd)-、-C(RaRb)-N(Rc)-、-C(RaRb)-C(RcRd)- N(Re)-、-C(RaRb)-N(Rc)-O-、および-C(RaRb)-S-、-C(RaRb)-C(RcRd)-S-から選択されるビラジカルを示し、ここでRa、Rb、Rc、Rd、Re、およびRfはそれぞれ独立に、水素、所望により置換されていてもよい C1-12-アルキル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルケニル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルキニル、ヒドロキシ、C1-12-アルコキシ、C2-12-アルコキシアルキル、C2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-12-アルコキシカルボニル、C1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNA インターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、レポーター基、およびリガンドから選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは所望により置換されていてもよく、一つの原子に同種原子が二つ結合した2つの置換基RaおよびRb はともに所望により置換されていてもよい メチレン (=CH2)を示しうる。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。
【0088】
さらなる態様において、R4*およびR2*はともに、-CH2-O-、-CH2-S-、-CH2-NH-、-CH2-N(CH3)-、-CH2-CH2-O-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH2-S-、-CH2-CH2-NH-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-O-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH=CH-CH2-、-CH2-O-CH2-O-、-CH2-NH-O-、-CH2-N(CH3)-O-、-CH2-O-CH2-、-CH(CH3)-O-、および-CH(CH2-O-CH3)-O-、および/または、-CH2-CH2-、および-CH=CH-から選択されるビラジカル (二価の基)を示す。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。
【0089】
いくつかの態様において、R4*およびR2*はともに、ビラジカル C(RaRb)-N(Rc)-O-を示し、ここでRa およびRb は独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択され、例えば、水素であり; ここで、 Rcは、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択され、例えば、水素である。
【0090】
いくつかの態様において、R4*および R2*はともに、ビラジカル C(RaRb)-O-C(RcRd)-O-を示し、ここで、Ra、Rb、Rc、およびRdは独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択され、例えば、水素である。
【0091】
いくつかの態様において、R4*およびR2*は、ビラジカル -CH(Z)-O-を形成し、ここで、Zは、C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、置換C1-6 アルキル、置換C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオールまたは置換チオからなる群から選択され; ここで置換基のそれぞれは、独立に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2 およびCNから独立に選択される所望により保護された置換基によってモノまたはポリ置換されており、ここで、J1、J2およびJ3のそれぞれは、独立に、HまたはC1-6 アルキルであり、XはO、SまたはNJ1である。いくつかの態様において、Zは、C1-6 アルキルまたは置換C1-6 アルキルである。いくつかの態様において、Zはメチルである。いくつかの態様において、Zは置換C1-6 アルキルである。いくつかの態様において、該置換基は C1-6 アルコキシである。いくつかの態様において、ZはCH3OCH2-である。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。かかる二環式ヌクレオチドはUS 7,399,845に開示されており、その全体を引用により本明細書に含める。いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5*は水素である。いくつかの態様において、R1*、R2、R3 *は水素であり、R5、R5*の一方または両方は上記およびWO 2007/134181におけるような水素以外であり得る。
【0092】
いくつかの態様において、R4* およびR2*はともに、架橋において、置換アミノ基を含むビラジカルを示し、例えば、ビラジカル -CH2-N(Rc)-からなるかまたはそれを含み、ここでRcはC1 - 12 アルキルオキシである。いくつかの態様において、R4*およびR2*はともに、ビラジカル -Cq3q4-NOR -を示し、ここでq3 およびq4は独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキル または置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択され;ここで置換基はそれぞれ独立に、ハロゲン、OJ1、SJ1、NJ1J2、COOJ1、CN、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)N J1J2 またはN(H)C(=X=N(H)J2から独立に選択される置換基によってモノまたはポリ置換されており、ここでXはOまたはSであり; J1およびJ2は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アミノアルキルまたは保護基である。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられうる。かかる二環式ヌクレオチドはWO2008/150729に開示されており、その全体を引用により本明細書に含める。いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5*は独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換 C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択される。いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5* は水素である。いくつかの態様において、R1*、R2、R3は水素であり、R5、R5* の一方または両方は、上記およびWO 2007/134181におけるように水素以外であってよい。いくつかの態様において、R4*およびR2*はともに、ビラジカル (二価の基) C(RaRb)-O-を示し、ここでRa およびRb はそれぞれ独立に、ハロゲン、C1-C12 アルキル、置換C1-C12 アルキル、C2-C12 アルケニル、置換C2-C12 アルケニル、C2-C12 アルキニル、置換C2-C12 アルキニル、C1-C12 アルコキシ、置換C1-C12 アルコキシ、OJ1 SJ1、SOJ1、SO2J1、NJ1J2、N3、CN、C(=O)OJ1、C(=O)NJ1J2、C(=O)J1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2、N(H)C(=O)NJ1J2または N(H)C(=S)NJ1J2であり;あるいはRa およびRb はともに=C(q3)(q4)であり; q3および q4 は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、C1-C12アルキルまたは置換C1-C12 アルキルであり; 各置換基は独立に、ハロゲン、C1-C6 アルキル、置換C1-C6 アルキル、C2- C6 アルケニル、置換C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、置換C2-C6 アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、CN、C(=O)OJ1、C(=O)NJ1J2、C(=O)J1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=O)NJ1J2 または N(H)C(=S)NJ1J2から独立に選択される置換基によってモノまたはポリ置換されており; J1およびJ2 は、それぞれ独立に、H、C1-C6 アルキル、置換C1-C6 アルキル、C2-C6 アルケニル、置換C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、置換C2-C6 アルキニル、C1-C6 アミノアルキル、置換C1-C6 アミノアルキルまたは保護基である。かかる化合物はWO2009006478Aに開示されており、その全体を引用により本明細書に含める。
【0093】
いくつかの態様において、R4*およびR2*はビラジカル - Q -を形成し、ここで、Qは、C(q1)(q2)C(q3)(q4)、C(q1)=C(q3)、C[=C(q1)(q2)]-C(q3)(q4)またはC(q1)(q2)-C[=C(q3)(q4)]であり; q1、q2、q3、q4 はそれぞれ独立に、 H、ハロゲン、C1-12 アルキル、置換C1-12 アルキル、C2-12 アルケニル、置換 C1-12 アルコキシ、OJ1、SJ1、SOJ1、SO2J1、NJ1J2、N3、CN、C(=O)OJ1、C(=O)-NJ1J2、C(=O) J1、-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2、N(H)C(=O)NJ1J2またはN(H)C(=S)NJ1J2であり; J1およびJ2 は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アミノアルキルまたは保護基であり;そして所望により、Qが C(q1)(q2)(q3)(q4)であり、q3またはq4の1つがCH3 である場合、q3 またはq4の他方またはq1 およびq2の1つの少なくとも1つはH以外である。いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5* は水素である。すべての不斉中心について、不斉基はR またはS 配置においてみられうる。かかる二環式ヌクレオチドはWO2008/154401に開示されており、その全体を引用により本明細書に含める。いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5* は、独立に、水素、ハロゲン、C1-6 アルキル、置換C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、置換C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニルまたは置換C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシル、置換C1-6 アルコキシル、アシル、置換アシル、C1-6 アミノアルキルまたは置換C1-6 アミノアルキルからなる群から選択される。いくつかの態様において、R1*、R2、R3、R5、R5*は水素である。いくつかの態様において、R1*、R2、R3 は水素であり、 R5、R5*の一方または両方は上記およびWO 2007/134181またはWO2009/067647におけるように水素以外であってもよい (アルファ-L-二環式核酸類似体)。
【0094】
いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチド化合物において使用されるLNAは好ましくは一般式 IIの構造を有する:
【化4】

[式中、
Y は、-O-、-CH2O-、-S-、-NH-、N(Re) および/または -CH2-からなる群から選択され; Z およびZ* は独立にヌクレオチド間結合、RH、末端基または保護基から選択され; Bは、天然または非天然ヌクレオチド塩基部分 (核酸塩基)を構成し、RHは水素およびC1-4-アルキルから選択され; Ra、Rb Rc、Rd およびRe は、所望により独立に、水素、所望により置換されていてもよい C1-12-アルキル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルケニル、所望により置換されていてもよい C2-12-アルキニル、ヒドロキシ、C1-12-アルコキシ、C2-12-アルコキシアルキル、C2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-12-アルコキシカルボニル、C1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNA インターカレーター、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、レポーター基、およびリガンドからなる群から選択され、ここで、アリールおよびヘテロアリールは所望により置換されていてもよく、一つの原子に同種原子が二つ結合した2つの置換基 Ra および Rb はともに所望により置換されていてもよい メチレン (=CH2)を示し得; RHは水素およびC1-4-アルキルから選択される]。いくつかの態様において、Ra、Rb Rc、RdおよびReは、所望により独立に、水素および C1-6 アルキルからなる群から選択され、例えば、メチルである。すべての不斉中心について、不斉基はRまたはS 配置においてみられ得、例えば、2つの例示的な立体化学異性体はベータ-D およびアルファ-L アイソフォームを含み、これらは以下のように示されうる:
【化5】

【0095】
具体的な例示的なLNA 単位を以下に示す:
【化6】

【0096】
「チオ-LNA」という用語は、上記一般式におけるYが Sまたは-CH2-S-から選択されるロックド(Locked) ヌクレオチドを含む。チオ-LNAはベータ-D およびアルファ-L-配置におけるものの両方でありうる。
【0097】
「アミノ-LNA」という用語は、上記一般式におけるYが-N(H)-、N(R)-、CH2-N(H)-、および -CH2-N(R)- から選択され、Rが水素およびC1-4-アルキルから選択されるロックド(Locked) ヌクレオチドを含む。アミノ-LNA は ベータ-D およびアルファ-L-配置におけるものの両方であり得る。
【0098】
「オキシ-LNA」という用語は、上記一般式におけるYが-O-を表すロックド(Locked) ヌクレオチドを含む。オキシ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-配置におけるものの両方であり得る。
【0099】
「ENA」という用語は、上記一般式におけるYが-CH2-O- (ここで、-CH2-O-の酸素原子は塩基Bに対して2’-位に結合する)であるロックド(Locked) ヌクレオチドを含む。Reは水素またはメチルである。
【0100】
いくつかの例示的な態様において、LNAは、ベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNAから選択され、特にベータ-D-オキシ-LNAである。
【0101】
複合体(conjugate)
本発明はまた、本発明の化合物および該化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含む複合体を提供する。PCT/DK2006/000512は、好適なリガンドおよび複合体を提供しており、引用により本明細書に含める。
【0102】
本発明の一つの態様において、オリゴヌクレオチドは、例えば、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを上昇させるために用いられ得るリガンド/複合体と結合させてもよい。この複合体化(conjugation)は末端位である5’/3’-OHにて行ってよいが、リガンドは糖および/または塩基において行ってもよい。3’-OHがコレステロール複合体化のために好ましい部位である。
【0103】
好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、インビボ取り込みを向上させる部分、例えば、コレステロールと複合体化させる。
【0104】
したがって、オリゴマー化合物は、オリゴマー化合物がダイマーまたはデンドリマー構造に配置してもよいように、例えば、ペプチド核酸 (PNA)、タンパク質 (例えば、ターゲットタンパク質に対する抗体)、高分子、低分子量薬物物質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー (例えば、ポリエチレングリコール)、ミセル形成基、抗体、炭水化物、受容体結合基、ステロイド、例えば、コレステロール、ポリペプチド、インターカレート剤(intercalating agent)、例えば、アクリジン誘導体、長鎖アルコール、デンドリマー、リン脂質およびその他の 脂肪親和性基またはそれらの組合せなどを含む非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分と複合体化するか、またはキメラを形成してもよい。
【0105】
複合体についての一つの態様において、非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分は、ステロール基、例えば、コレステロールからなるか、またはそれを含む。
【0106】
その他のかかる非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分としては、これらに限定されないが、脂質部分、例えば、コレステロール部分、コール酸、チオエーテル、例えば、ヘキシル-s-トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム 1,2-ジ-o-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-h-リン酸、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、オクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分が挙げられる。
【0107】
本発明のオリゴマーはまた、活性薬剤物質、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗細菌薬または抗生物質と複合体化してもよい。
【0108】
2. 医薬組成物
本発明はさらに、本発明の化合物または本発明による複合体、および医薬上許容される希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物を提供する。
【0109】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物を含む医薬組成物およびその他の組成物が本発明によって提供される。
【0110】
医薬組成物は、一つの態様において、少なくとも1つのコレステロール-降下化合物をさらに含んでいてもよい。
【0111】
好適なコレステロール降下化合物は、以下からなる群から選択される化合物から選択されうる:胆汁酸封止(sequestering)樹脂(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、およびコレセヴェラムヒドロクロリド(colesevelam hydrochloride))、HMGCoA-レダクターゼ阻害剤 (例えば、ロバスタチン、セリバスタチン、プレバスタチン、アトロバスタチン、シンバスタチン、およびフルバスタチン)、ニコチン酸、フィブリン酸誘導体 (例えば、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ベザフィブラート、およびシプロフィブラート)、プロブコール、ネオマイシン、デキストロチロキシン、植物スタノールエステル、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ(ezetimibe))、イムプリタピド、胆汁酸トランスポーター (頂端(apical)ナトリウム依存性胆汁酸トランスポーター) の阻害剤、肝臓 CYP7aの調節因子、エストロゲン置換治療薬 (例えば、タモキシフェン)、および抗炎症剤 (例えば、グルココルチコイド)。スタチンとの組合せが特に好ましくあり得る。
【0112】
スタチンの例としては、アトロバスタチン(商標)、セリバスタチン(商標)、フルバスタチン(商標)、ロバスタチン(商標)、メバスタチン(商標)、ピタバスタチン(商標)、プラバスタチン(商標)、ロスバスタチン(商標)、およびシンバスタチン(商標)が挙げられる。
【0113】
本発明の化合物とスタチンとの併用はスタチンの用量を低下させることができ、それゆえ通常の用量のスタチンに伴う副作用、例えば、以下の副作用を克服することができる:筋肉痛、筋肉痙攣、胃腸症状、肝臓酵素撹乱、筋肉炎、筋疾患、筋肉分解産物が腎臓に損傷を与える場合、急性腎不全を導きうる横紋筋融解症 (骨格筋の病的破壊)。
【0114】
両親媒性カルボン酸のクラスであるフィブラートは、スタチンとフィブラートとの併用により報告されている横紋筋融解症の頻度の上昇にもかかわらず、スタチン使用としばしば組合せられる代替の化合物のクラスである。本発明による組成物はそれゆえ、フィブラートをさらに含んでいてもよく、所望によりスタチンも含んでいてもよい。
【0115】
別の態様において、本発明の組成物は1以上のアンチセンス化合物、特に第一の核酸をターゲットとするオリゴヌクレオチドおよび第二の核酸ターゲットをターゲットとする1以上のさらなるアンチセンス化合物を含みうる。
【0116】
本発明による方法において、2以上の組合せ化合物が一緒にまたは逐次に使用されうる。
【0117】
本発明は、本発明によるオリゴマー化合物および血清コレステロールレベルを調節することができるさらなる化合物、例えば、PCSK9調節因子、特に、PCSK9 核酸 ターゲットをターゲットとするアンチセンスオリゴヌクレオチド(オリゴマー)- 例えば、引用により本明細書に含めるPCT/EP2007/060703に開示のもの、を含む医薬組成物も提供する。
【0118】
本発明はまた、本発明によるオリゴマー化合物および血清コレステロールレベルを調節することができるさらなる化合物、例えば FABP4 調節因子、特に、FABP4 核酸 ターゲットをターゲットとするアンチセンスオリゴヌクレオチド (オリゴマー)- 例えば引用により本明細書に含める米国仮出願 60/969,016に開示のもの、を含む医薬組成物を提供する。
【0119】
3. 適用
細胞または組織を1以上の本発明のオリゴヌクレオチド化合物または組成物と接触させることを含む、細胞または組織におけるアポリポタンパク質 Bの発現を調節する方法がさらに提供される。本発明の1以上のオリゴヌクレオチド化合物または組成物の治療的または予防的に有効な量を投与することによる、アポリポタンパク質 Bの発現に関連する疾患または症状に罹患している疑いがあるかまたは罹患しやすい傾向がある動物またはヒトを治療する方法もまた開示される。さらに、アポリポタンパク質 B の発現の阻害のため、および、アポリポタンパク質 B活性に関連する疾患の治療のためのオリゴヌクレオチド 化合物を用いる方法も提供される。かかる疾患の例としては、様々なタイプのHDL/LDL コレステロール不均衡; 脂質異常症、例えば、家族性複合性脂質異常症 (FCHL)、獲得性脂質異常症、高コレステロール血症; スタチン-抵抗性高コレステロール血症; 冠状動脈不全 (CAD)、冠動脈疾患 (CHD)、アテローム性動脈硬化症が挙げられる。
【0120】
好ましい態様において、かかる疾患の急性相が治療され、例えば急性冠症候群の治療、または、その他の医薬による治療が効果的ではない、1つのかかる疾患であると新たに診断された患者の治療が挙げられる。
【0121】
本発明はさらに、異常レベルのApo-B100 またはそれに関連する疾患または症状の治療のための医薬の製造のための本明細書に定義する化合物または複合体の使用を提供する。
【0122】
本発明はさらに、異常レベルのApo-B100 またはそれに関連する疾患または症状の治療のための本発明による化合物または複合体を含む医薬を提供する。
【0123】
一つの態様において、異常レベルのApo-B100に関連する疾患および症状は、例示的な急性冠症候群におけるアテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または脂質異常症からなる群から選択され得る。
【0124】
本発明はさらに、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症および脂質異常症から選択される疾患または症状に罹患している対象を治療する方法を提供し、該方法は本明細書に定義する医薬組成物または複合体を必要とする対象に投与する工程を含む。
【0125】
本発明はさらに、アポリポタンパク質 Bをダウンレギュレーションさせる方法を提供し、該方法は、本明細書に定義する医薬組成物または複合体を対象、例えば、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または脂質異常症または急性冠症候群からなる群から選択される病状に罹患している対象に投与する工程を含む。
【0126】

オリゴマー化合物は様々な医薬上許容される塩において用いることができる。本明細書において用いる場合、この用語は、LNA オリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を保持し、かつ、最小の望ましくない毒性効果を示す塩をいう。かかる塩の非限定的な例は、有機アミノ酸と形成されるものであってもよいし、金属陽イオン、例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウム等、または、 アンモニア、N,N-ジベンジルエチレン-ジアミン、D-グルコサミン、テトラエチルアンモニウム、またはエチレンジアミンから形成される陽イオンと形成される塩基付加塩;またはその組合せ、例えば、亜鉛タンニン酸塩等であってもよい。
【0127】
かかる塩は、ホスホジエステル基 および/または ホスホロチオエート基を保有するオリゴマー化合物から形成され、例えば、好適な塩基との塩である。これらの塩としては、例えば、元素の周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb属の金属に由来する非毒性金属塩、特に好適なアルカリ金属塩、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウムまたはカルシウム塩が挙げられる。これらはさらに亜鉛およびアンモニウム塩ならびに、例えば非置換またはヒドロキシル-置換モノ-、ジ-またはトリ-アルキルアミン、特に、モノ-、ジ-またはトリ-アルキルアミンなどの好適な有機アミンと形成された塩または四級アンモニウム化合物と形成された塩、例えばN-メチル-N-エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ-、ビス-またはトリス-(2-ヒドロキシ-低級アルキル)アミンとの塩、例えば、モノ-、ビス-またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシ-低級アルキル)アミンとの塩、例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン、または N-メチル-D-グルカミン、または四級アンモニウム化合物との塩、例えば、テトラブチルアンモニウム塩も含む。リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩またはカリウム塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0128】
プロドラッグ
一つの態様において、LNA オリゴヌクレオチドはプロドラッグの形態におけるものであり得る。オリゴヌクレオチドは負に荷電したイオンである。細胞膜の親油性の性質によって、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みは中性または親油性の対応物と比較して低下している。この極性による 「障害」はプロドラッグアプローチを用いることにより避けることができる(例えば、Crooke, R. M. (1998) in Crooke, S. T. Antisense research and Application. Springer-Verlag, Berlin, Germany, vol. 131, pp. 103-140参照)。このアプローチにおいて、オリゴマー化合物は、オリゴマー化合物がそれが投与される時に中性となるように保護された状態で調製される。これらの保護基は、LNA オリゴヌクレオチドが細胞によって取り込まれた場合に除かれうるように設計される。かかる保護基の例としては、S-アセチルチオエチル (SATE) またはS-ピバロイルチオエチル (t-ブチル-SATE)が挙げられる。これらの保護基はヌクレアーゼ耐性であり、細胞内で選択的に除去される。
【0129】
4.本発明の態様
以下の態様は本明細書において言及される本発明の特徴と組み合わされうる:
1.急性冠症候群の治療における使用のためのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【0130】
2.オリゴヌクレオチドが静脈内または皮下投与のためのものである態様 1によるLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【0131】
3.態様1-2のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、オリゴヌクレオチドが、初期負荷用量(initial loading dosage)が10 mg/kg、20 mg/kg、30 mg/kg、40 mg/kg、50 mg/kg、60 mg/kg、70 mg/kg、80 mg/kg、90 mg/kg、100 mg/kg、150 mg/kg、200 mg/kg、400 mg/kgまで、または500 mg/kgまでにて、治療の最初の2日間以内に提供され、その後の維持用量 (subsequent maintainance dosage)が1 mg/kg、2 mg/kg、3 mg/kg、4 mg/kg、5 mg/kg、6 mg/kg、7 mg/kg、8 mg/kg、9 mg/kg、10 mg/kg、20 mg/kg、30 mg/kg、40 mg/kg、50 mg/kg、100 mg/kg、200 mg/kg、300 mg/kg、400 mg/kgまで、または500 mg/kgまでにて、安定な効果を維持するために提供される計画(regime)における投与のためのものである、医薬。
【0132】
4. 態様 1によるLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、オリゴヌクレオチドが、ターゲット核酸、例えば ApoB mRNAとハイブリダイズして、Tm が少なくとも 30℃、例えば 少なくとも 37℃、例えば 少なくとも 40℃、少なくとも 45℃、少なくとも 50℃、少なくとも 55℃、少なくとも 60℃、少なくとも 65℃、少なくとも 70℃の二本鎖を形成することができる医薬。一つの側面において、Tm は37℃から80℃、例えば50から70℃、例えば50から80℃である。一つの側面において、Tm は30℃から40℃である。
【0133】
5.態様1-4のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、投薬がPK/PD モデリングによって測定して、定常状態の50%から90 %、例えば、少なくとも 50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または少なくとも 90%に対応する効果を提供するように調整されている医薬。
【0134】
6.態様1-5のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、投薬がPK/PD モデリングによって測定して、定常状態の60%から80 %、例えば、少なくとも 65%、70%または75%に対応する効果を提供するように調整されている医薬。
【0135】
7.態様5-6のいずれかによるLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、投薬が、治療の第1週以内、例えば治療開始後1日、2日、3、4、5、6または7日以内に所望の安定なレベルの効果が得られることが確実となるように調整されている医薬。
【0136】
8. 態様1-7のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、オリゴヌクレオチドが6から30 ヌクレオチド長である医薬。
【0137】
9.態様1-8のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、オリゴヌクレオチドがそれぞれのウィング(wing)に少なくとも1つのLNAを含むギャップマーである医薬。
【0138】
10.態様1-9のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬であって、医薬が急性冠症候群のその他の治療と組み合わせて、例えばスタチンによる治療と組み合わせて使用するために作られている医薬。
【0139】
11.態様1-10のいずれかの医薬であって、急性冠症候群を有するリスクがあるとして新たに診断された患者において使用するためのものである医薬。
【0140】
12.急性冠症候群の治療方法であって、該方法が態様1-11のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドの投与を含む方法。
【0141】
13.態様 12の方法であって、LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドが、治療の第1週以内に、少なくとも60 %、例えば、少なくとも 65%、70 %、75%、80%、85%または少なくとも 90%のPK/PDにおける低下を達成する用量にて投与される方法。
【0142】
14. 態様1-13のいずれかの方法であって、腎臓および肝臓に対する可能性のある副作用がALT、AST、ビリルビンおよびクレアチニンの測定によってモニターされ、それによってオリゴヌクレオチドの用量がこれら器官に対する副作用を避けるように調整される方法。
【0143】
15. 態様12-14のいずれかの方法であって、LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドが、治療の第1週以内に、PK/PDの60%から80%の低下を達成する用量にて投与される方法。
【0144】
16.態様12-15のいずれかの方法であって、LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドがその他の治療と組み合わせて、例えばスタチンと組み合わせて用いられる方法。
【0145】
17.態様1-16のいずれかの方法であって、治療が急性冠障害を有するリスクがあるとして新たに診断された患者のためのものである方法。
【0146】
18.オリゴヌクレオチドが2’MOE ヌクレオチド類似体を含む態様 18の医薬。
【0147】
19.オリゴヌクレオチドがLNA ヌクレオチド類似体と2’MOE ヌクレオチド類似体との両方を含む態様 18の医薬。
【0148】
20. ApoB アンチセンスオリゴヌクレオチドが LNA アンチセンスオリゴヌクレオチドではない態様 18の医薬。
【0149】
21.オリゴヌクレオチドが配列番号1-25のいずれかを含むか、またはそれからなる態様1-20のいずれかの医薬。
【0150】
22. 医薬がアポリポタンパク質 Bをターゲティングする特定のモチーフの上にある(over)オリゴヌクレオチド化合物を含むかまたはそれからなる態様1-20 のいずれかの医薬。これらのモチーフは、WO2007/031081の配列番号2-15、特に、配列番号5、9および13である。
【0151】
23. 医薬がアポリポタンパク質 Bをターゲティングする特定のモチーフの上にある(over) オリゴヌクレオチド 化合物を含むかまたはそれからなる態様1-20 のいずれかの医薬。好ましいモチーフは本出願の表2に開示される配列番号1-25、52-78および98-112である。
【0152】
24. 医薬がWO2007/031081の配列番号17-40、および/または 41 - 49、特に、配列番号16、17、26および34からなるかまたはそれを含む態様1-23のいずれかの医薬。
【0153】
25. 医薬が本出願の表2に開示される配列番号26-51、79-97 および113-137 からなるかまたはそれを含む態様1-23のいずれかの医薬。
【0154】
26. LNAおよびその他のヌクレオチド類似体の混合物を含むアンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む態様1-25のいずれかの医薬。
【0155】
27.オリゴヌクレオチドがLNAおよび2’MOEの混合物を含む態様 26の医薬。
【0156】
28.オリゴヌクレオチドが12、13、14、15 または16 ヌクレオチド長である前記態様のいずれかの医薬。
【実施例】
【0157】
5. 実施例
実施例1: LNA モノマーおよびオリゴヌクレオチド合成、安定性試験、コレステロール測定、mRNA レベル定量、オリゴスクリーニング、インビボ PK/PD。
LNA モノマーおよびオリゴヌクレオチド合成をWO2008/113830の実施例1および2を参照した方法を用いて実施した。ヒトまたはラット血漿におけるLNA オリゴヌクレオチドの安定性をWO2007/112754の実施例4を参照した方法を用いて行う(引用により本明細書に含める)。血漿中のコレステロールレベルの測定はWO2008/113830の実施例3にしたがって行う。mRNA レベルの測定はWO2008/113830の実施例4にしたがって行う。apoB-100 mRNAをターゲティングするオリゴヌクレオチドの動物におけるコレステロールレベルに対するスクリーニングをWO2008/113830の実施例5 - 8に記載の方法にしたがって行う。WO2008/113830の上記実施例は引用により具体的に本明細書に含める。
【0158】
インビボ PK/PD 関係の種間比較の方法はYu et al. (2008 (nov 14) Biochemical Pharmacology, およびDrug Metab Dispos. 2007 Mar;35(3):460-8に記載されており、これら両方はその全体を引用により本明細書に含める。
【0159】
ここで引用するすべての文献はそれらの全体を引用により本明細書に含める。
【0160】
実施例2:本発明において有用なオリゴヌクレオチド
本発明において有用なオリゴヌクレオチドの例を以下の表 2に示す:
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【0161】
配列番号26 - 51、79-97 および113-137において、大文字はヌクレオチド類似体単位(LNA)を示し、上付文字「o」はオキシ-LNA、「m」または「Me」は、メチル C-LNAを示し、下付文字「s」はホスホロチオエート結合を表す。「s」がない場合、ホスホジエステル 結合を示す。
【0162】
実施例 3:アガロースゲル電気泳動によるリポタンパク質の分離
様々なリポタンパク質画分をリポタンパク質分離のためのアガロースゲル電気泳動(Sebia ゲル)によって分離した。リポタンパク質は電荷にしたがって分離され、スダン黒染色を用いて可視化され、デンシトメトリースキャン分析を用いて定量される。
【0163】
実施例 4: C57BL/6J 雌性マウスにおける配列番号26および配列番号41の単回投与の効果および持続時間
この研究において、2つの異なる濃度の配列番号26または配列番号41の単回投与の効果および持続時間をリポタンパク質画分における総コレステロール ならびに非-HDLおよびHDL コレステロールに対して調べた。配列番号26 は1、2.5または5 mg/kgにて、配列番号41は1、2.5、5または10 mg/kgにて、C57BL/6J 雌性マウスへの静脈内または皮下注射によって与えた。総コレステロールをオリゴヌクレオチドの注射後の様々な時点(1、3、5、8、16、24および32日目)に測定し、リポタンパク質プロファイルをSebiaゲルを用いてオリゴヌクレオチドの注射の1日後に判定した。
【0164】
総コレステロールは迅速に低下し、2-3日後に得られた用量依存的な最大効果は40-90%であった(図 1)。効果はゆっくりと低下し、総コレステロールは注射の16 から 32日後に基底レベルに戻った。
【0165】
血清総コレステロールは注射の1日後に用量依存的に低下した。HDLに対する効果はより低く、配列番号41については用量を 1から10 mg/kgに上昇させてもHDLに対してわずかな効果しか有さず、注射の1日後の非-HDLに対する特異的効果であることが示された(図 2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性冠症候群の治療における使用のためのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドが静脈内または皮下投与のためのものである請求項 1のLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドが、50 mg/kgまでの初期負荷用量が治療の最初の2日間以内に提供され、10 mg/kgまでのその後の維持用量が安定な効果を維持するために提供される計画における投与のためのものである、請求項1-2のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項4】
投薬が、PK/PD モデリングによって測定して定常状態の50%から90 %、例えば、少なくとも 50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または少なくとも 90%に対応する効果を提供するように調整される、請求項1-3のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項5】
投薬が、PK/PD モデリングによって測定して定常状態の60%から80 %、例えば、少なくとも 65%、70%または75%に対応する効果を提供するように調整される、請求項1-4のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項6】
投薬が、治療の第1週以内、例えば治療の開始後1日、2日、3、4、5、6または7日以内に所望の安定なレベルの効果が得られることを確実にするように調整される、請求項4-5のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドが6から30 ヌクレオチド長である請求項1-6のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドがそれぞれのウィングにおいて少なくとも1つのLNAを含むギャップマーである、請求項1-7のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項9】
医薬が急性冠症候群のためのその他の治療と組み合わせて、例えばスタチンによる治療と組み合わせて使用するために作られている、請求項1-8 のいずれかのLNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドを含む医薬。
【請求項10】
医薬が急性冠症候群を有するリスクがあると新たに診断された患者において使用するためのものである請求項1-9のいずれかの医薬。
【請求項11】
請求項1-10のいずれかの LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドの投与を含む、急性冠症候群の治療方法。
【請求項12】
LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドが、治療の第1週以内に、PK/PDにおける少なくとも60 %、例えば、少なくとも 65%、70 %、75%、80%、85%または少なくとも 90%の低下を達成する用量にて投与される請求項11の方法。
【請求項13】
腎臓および肝臓に対する可能性のある副作用が、ALT、AST、ビリルビンおよびクレアチニンを測定することによりモニターされ、それによってオリゴヌクレオチドの用量がこれら器官に対する副作用を避けるように調整される請求項1-12のいずれかの方法。
【請求項14】
LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドが治療の第1週以内に、PK/PDにおける60%から80%の低下を達成する用量にて投与される請求項11-13のいずれかの方法。
【請求項15】
LNA アンチセンス ApoB オリゴヌクレオチドがその他の治療と組み合わせて、例えばスタチンと組み合わせて用いられる請求項11-14のいずれかの方法。
【請求項16】
治療が急性冠障害を有するリスクがあると新たに診断された患者のためのものである請求項1-15のいずれかの方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−514021(P2012−514021A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544019(P2011−544019)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067561
【国際公開番号】WO2010/076248
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504013269)サンタリス ファーマ アー/エス (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【Fターム(参考)】