説明

急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療剤

【課題】
有効な急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療剤を提供する。
【解決手段】
パラオキソキナーゼを有効成分として含む急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療剤。パラオキソキナーゼはヒト血清パラオキソキナーゼ(PON1)が好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク製剤である急性肝炎、劇症肝炎、及び喘息の予防又は治療剤に関する
【背景技術】
【0002】
血清パラオキソキナーゼ(PON1)は、パラオキソキナーゼ(以下、「PON」と略称することがある。)と称される酵素ファミリーの代表的な酵素である。PONに共通の活性はラクトン加水分解活性であり、PON1は、ラクトン、エステル、例えばパラオキソンのような有機リン酸塩等の広範囲の基質を加水分解する。
生体内のPON1レベルと疾患との関係については多数の報告がある。
例えば、生体内では、PON1は、肝臓で合成され、血中では高比重リポタンパク質(HDL)粒子の上にアポA−Iと結合して存在する。PON1は低比重リポタンパク質(LDL)の酸化を阻害することにより、動脈硬化の進展を抑制することが知られている(非特許文献1)
また、特許文献1には、甲状腺亢進が、低い血清PON1活性、及び肝臓疾患と関連していることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−504177号公報(段落0116)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chem.Biol.Interact.1993、Jun;87:161-71.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有効な急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者は研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) コンカナバリンAにより誘発される劇症肝炎モデル動物にPON1を投与することにより、肝機能障害が抑制された。
(ii) 卵白オブアルブミン及び水酸化アルミニウムゲルにより誘導される喘息モデル動物にPON1を投与することにより、喘息による炎症が抑制された。
本発明は上記知見に基づき、さらに研究を重ねて完成されたものであり、以下の急性肝炎、又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療剤を提供する。
【0007】
項1.
パラオキソキナーゼを有効成分として含む急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤。
項2.
パラオキソキナーゼが下記の(a)又は(b)のポリペプチドである項1に記載の急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤。
(a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b) 配列番号1において、1又は複数のアミノ酸が欠失、付加、又は置換したアミノ酸配列からなり、かつラクトナーゼ活性を有するポリペプチド
項3.
注射剤である項1又は2に記載の急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤。
項4.
パラオキソキナーゼを有効成分として含む喘息の予防又は治療剤。
項5.
パラオキソキナーゼが下記の(a)又は(b)のポリペプチドである項4に記載の喘息の予防又は治療剤。
(a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b) 配列番号1において、1又は複数のアミノ酸が欠失、付加、又は置換したアミノ酸配列からなり、かつラクトナーゼ活性を有するポリペプチド
項6.
注射剤、又は吸入剤である項4又は5に記載の喘息の予防又は治療剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、急性肝炎、特に劇症肝炎を効果的に予防、又は治療できる医薬が提供された。
劇症肝炎は有効な内科的治療法が確立していない。血漿交換、ステロイド、グルカゴン・インシュリン療法など一応治療法と呼ばれるものはあるが、致死率が高く、有効な治療法は存在しないのが現状である。
肝炎の症状としては倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱、黄疸等が現れるが、肝炎が発生して6ヶ月以内のものを特に急性肝炎と呼び、急性肝炎の症状発現後8週間以内に高度の肝細胞機能障害に基づく肝性昏睡II度以上の脳症を来たし、プロトロンビン時間40%以下を示す場合を劇症肝炎と呼んでいる。
【0009】
一般的に急性肝炎から劇症肝炎への過程は、急激な肝細胞破壊による肝合成機能の低下、それに続く肝解毒代謝機能の低下の順を追って進行する。肝細胞の大量かつ急激な破壊は強い倦怠感、食欲不振などの自覚症状となって現れ、アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)等のトランスアミナーゼの値とLDH(Lactate dehydrogenase)値の上昇とともに黄疸が発症する。また肝解毒代謝機能の低下により肝性昏睡IまたはII度の神経症状が現れるので、診断には脳波検査も重要である。
PONの投与により、高度の肝細胞破壊による肝合成機能低下や、高度の肝細胞破壊による肝解毒代謝機能低下が抑制される。これが臨床検査値に反映されて、肝機能マーカーであるALT、AST、LDHの上昇が効果的に抑制される。また、劇症肝炎患者の生存率が向上する。
【0010】
また本発明によれば、喘息を効果的に予防、又は治療できる医薬が提供された。
喘息は、「喘息予防・管理ガイドライン2006」によれば、成人喘息は気道の慢性炎症と種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして、臨床的には繰り返し起こる咳、喘鳴、呼吸困難で特徴づけられる。気道炎症には、好酸球、T細胞、マスト細胞などの炎症細胞、気道上皮細胞、線維芽細胞をはじめとする気道構成細胞、および種々の液性因子が関与する。持続する気道炎症は、気道障害とそれに引き続く気道構造の変化を惹起し、非可逆性の気道制限をもたらし、気道過敏症を亢進させる。
PONの投与により、喘息による気道炎症が抑制され、具体的には、肺炎症部位の白血球数、特に好酸球数の増加が効果的に抑制される。
さらに、本発明の医薬は実質的に副作用を起こさない安全なものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1,4,6で得られたPON1のSDS−PAGEのゲルを示す図である。
【図2】実施例1,4,6で得られたPON1のウェスタンブロッティングの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
PON
本発明の急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療剤は、有効成分として、PONを含む。PONには、PON1(血清パラオキソキナーゼ)、PON2、PON3等が含まれる。また、PONの由来は特に制限されないが、ヒト由来PONが好ましい。
中でも、ヒトPON1が好ましく、(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は(b) 配列番号1において、1又は複数のアミノ酸が欠失、付加、又は置換したアミノ酸配列からなり、かつラクトナーゼ活性を有するポリペプチドがより好ましい。
「1又は複数」は、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらにより好ましくは1〜3個、さらにより好ましくは1〜2個、最も好ましくは1個である。
【0013】
本発明において、ラクトナーゼ活性を有することは、γ-チオブチロラクトンを加水分解する活性を有することをいう。
具体的には、γ−ブチロラクトンの加水分解により生成する4−メルカプト酪酸の生成を、4−メルカプト酪酸と5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)との反応生成物である5−チオ−2−ニトロ安息香酸を450nmにおける吸光度の変化を指標に検出することにより確認できる。
より具体的には、ホモシステインチオラクトナーゼ活性測定キット「Alfresa Auto HTLase」(アルフレッサファーマ社)を用いた測定方法において、ホモシステインチオラクトナーゼ活性が確認された場合に、ラクトナーゼ活性ありと判定する。
【0014】
PONは種々の哺乳動物の血漿、肝臓、腎臓、肺および脳の内膜等から、公知のタンパク質精製方法を組み合わせて精製することができる。また、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトPON1は、ヒト血漿から精製でき、或いは化学合成できる。さらに、後掲の実施例に示す通り、組換えPON1遺伝子を用いて細胞培養により生産することもできる。
【0015】
医薬製剤
製剤は、通常、非経口投与剤とすればよいが、経口投与剤とすることもできる。本発明の医薬の有効成分はタンパク質であるから、剤型は、吸収され易い非経口投与剤が好ましく、注射剤がより好ましい。また、喘息の予防又は治療剤の場合は、吸入剤も好ましい。
非経口投与剤としては、注射剤、吸入剤、貼付剤、坐剤などが挙げられる。
【0016】
<注射剤>
注射剤としては、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などが挙げられる。注射剤は、PONを通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液(注射剤用担体)に溶解、懸濁または乳化することによって調製できる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが挙げられる。適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げられる。溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。
注射剤中のPONの含有量は、PONの乾燥重量に換算して、例えば約0.01μg/mL 〜1g/mL、好ましくは約0.1μg/mL 〜500mg/mL、より好ましくは約1μg/mL 〜200mg/mLとすればよい。
【0017】
<貼付剤>
貼付剤としては、PONを含む基剤を支持体に支持させた硬膏剤、パップ剤、テープ剤、プラスター剤等が挙げられる。基剤としては、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、マンナン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等のポリマー類;白色ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ゲル化炭化水素(例えば、商品名プラスチベース、ブリストルマイヤーズスクイブ社製);ステアリン酸等の高級脂肪酸;セタノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール4000等);プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン等の多価アルコール;モノオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド等の脂肪酸エステル類;リン酸緩衝液などが挙げられる。さらに、溶解補助剤、無機充填剤、pH調節剤、保湿剤、防腐剤、粘稠剤、酸化防止剤、清涼化剤などの添加剤が添加されていてもよい。
基剤中のPONの含有量は、PONの乾燥重量に換算して、例えば約0.01 〜40重量%、好ましくは約0.1 〜20重量%、より好ましくは約0.5 〜10重量%とすればよい。
【0018】
<吸入剤>
吸入剤としては、エアゾール剤、吸入用粉末剤、吸入用液剤(例えば、吸入用溶液、吸入用懸濁剤等)、カプセル状吸入剤等が挙げられる。吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
吸入剤は常法に従い製造できる。例えば、PONを乾燥粉末または液状にして、吸入噴射剤、担体、又はその両者に配合し、適当な吸入容器に充填することにより製造される。PONを粉末化する場合、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム等とともに微粉末にし、均一な混合物にするか、造粒して粉末剤を調製することができる。また、PONを液状にする場合、水、生理食塩液、バッファー等の液状担体に溶解すればよい。
噴射剤としては、従来公知の噴射剤、例えば、代替フロン、液化ガス噴射剤(例えば、フッ化炭化水素、液化石油、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等)、圧縮ガス(例えば、可溶性ガス(例えば、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等)、不溶性ガス(例えば、窒素ガス等)などが用いられる。
【0019】
吸入剤には、さらに、必要に応じて添加剤を配合してもよい。添加剤としては、吸入用液剤の場合は、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等が挙げられる。また、吸入用粉末剤の場合は、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等)、矯味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリチルリチンアンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉末等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、白糖等)、賦形剤(例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット、マルトース、セルロース等)、着色剤、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、安定化剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、吸収促進剤(胆汁酸塩、キトサン等)等が挙げられる。
噴霧剤中のPONの含有量は、吸入用液剤の場合は、PONの乾燥重量に換算して、例えば約0.01μg/mL 〜1g/mL、好ましくは約0.1μg/mL 〜500mg/mL、より好ましくは約1μg/mL 〜300mg/mLとすればよい。また、吸入用粉末剤の場合は、PONの乾燥重量に換算して、例えば約0.1 〜60重量%、好ましくは約0.5 〜40重量%、より好ましくは約1〜20重量%とすればよい。
【0020】
<座剤>
坐剤は、PONを通常用いられる坐薬用基剤と混合することにより調製される。座剤中のPONの含有量は、PONの乾燥重量に換算して、例えば約0.01〜40重量%、好ましくは約0.1〜20重量%、より好ましくは約0.5 〜10重量%とすればよい。
【0021】
<経口投与剤>
経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤、乳剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。固形製剤は、上記有効成分に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合して調製される。例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニットのような賦形剤;アラビアゴム、ゼラチン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースのような結合剤;カルメロース、デンプンのような崩壊剤;無水クエン酸、ラウリン酸ナトリウム、グリセロールのような安定剤などが配合される。さらに、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなどでコーティングしたり、カプセル化したりしてもよい。また、液体製剤は、例えば、上記の有効成分を、水、エタノール、グリセリン、単シロップ、又はこれらの混液などに、溶解又は分散させることにより調製される。
経口投与剤中のPONの含有量は、PONの乾燥重量で、例えば約0.1 〜60重量%、好ましくは約0.5〜40重量%、より好ましくは約1〜20重量%とすればよい。
【0022】
使用方法
<急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤>
本発明の急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤の使用量は、対象の症状や年齢などにより異なるが、PONの1日投与量が、乾燥重量に換算して、約1μg/kg 〜500mg/kgであることが好ましく、約0.01mg/kg 〜100mg/kgであることがより好ましく、約0.1mg/kg 〜50mg/kgであることがさらにより好ましい。
急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤の使用対象は、急性肝炎、劇症肝炎の患者の他、これらの疾患に移行する可能性があるA型肝炎ウィルス又はB型肝炎ウィルス保菌者、薬物性肝炎患者、自己免疫性肝炎患者等が好適である。
即ち、本発明は、PONを、哺乳動物、特に人に投与する、急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療方法も包含する。
本発明において、「予防」には、発症を回避すること、発症率を抑制すること、症状の進展を抑制すること等が含まれる。また、「治療」には、治癒させること、症状を緩和又は改善すること等が含まれる。
【0023】
<喘息の予防又は治療剤>
本発明の喘息の予防又は治療剤の使用量は、対象の症状や年齢などにより異なるが、PONの1日投与量が、乾燥重量に換算して、約1μg/kg〜500mg/kgであることが好ましく、約0.01mg/kg〜100mg/kgであることがより好ましく、約0.1mg/kg〜50mg/kgであることがさらにより好ましい。
喘息の予防又は治療剤の使用対象は、気管支喘息の患者の他、喘息を発症し易いアトピー患者、急性好酸球性肺炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎に伴う気管支病変等が好適である。
即ち、本発明は、PONを、哺乳動物、特に人に投与する、喘息の予防又は治療方法も包含する。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を、実施例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔血漿からのヒトパラオキソナーゼ1の精製〕
肝炎ウイルスその他の病原微生物を実質的に除去したヒト血漿を原料とし、ヒト血漿コーン低温エタノール分画法で画分IV−1を得た。該画分IV−1を、2〜8℃の低温室で、150mM塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液に溶解した。さらに、1200g、4℃、10分で遠心分離を行い、上清の蛋白質成分を回収した。更に、回収した上清を30000g、4℃、50分で遠心分離を行い、中間層の溶液層(上層:脂質層、下層:沈澱物)を回収した。
【0025】
次に回収した溶液を20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したSuperdex 200 (GE Healthcare社製)に負荷した。次に平衡化と同様の溶液を用いて溶出を行い、UV280nm測定での1番目のピークを高分子領域画分として分取した。この溶液を、20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したPoros 50 Micron HQ(アプライドバイオシステムズ社製)に負荷し、平衡化と同様の溶液を用いて洗浄後、0.4M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で溶出した。次にこの溶液を分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)に置換した。次に20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したPoros 50 HS(アプライドバイオシステムズ社製)に負荷し、未吸着画分を得た。次に、20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したCHTセラミックハイドロキシアパタイトTypeII40μm(バイオラッド社製)に負荷し、平衡化と同様の溶液で洗浄後、さらに0.5M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)及び0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で洗浄した後、0.4Mリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で溶出を行った。次にこの溶出液を分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)に置換後、1mlの濃縮溶液を得た。次に、NHS−activated HP 1ml(GE Healthcare社製)に抗ヒトパラオキソナーゼ1抗体(コスモバイオ社製)200μgを結合させ、パラオキソナーゼ1抗体カラムを作製した。次に濃縮溶液を20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したパラオキソナーゼ抗体カラムに負荷し、平衡化と同様の溶液を用いて洗浄後、2Mグリシン塩酸(pH3.0)で溶出し、パラオキソナーゼ1含む溶液を得た。次にこの溶液を0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH9.5〜10.5)で速やかにpH6.8〜7.4に中和し、分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて150mM塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液を注入し、限外ろ過することにより、液の置換を行った。続いて、孔径0.22μmの無菌ろ過フィルター(ミリポア社製)を用いて無菌ろ過を行い、パラオキソナーゼ1製剤(pH:7.3,パラオキソナーゼ1蛋白含量:0.3mg/mL,液量200μL)とした。
【0026】
実施例2
〔遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1の発現ベクターの構築〕
ヒトパラオキソナーゼ1遺伝子は、ヒトパラオキソナーゼ1遺伝子変異体を含む、pCR4−TOPOベクターをOPEN BIOSYSTEMS社より入手し(Clone ID 30915169)、変異導入PCR法により、正常なヒトパラオキソナーゼ1遺伝子に変換し、得た。
次に、ttgctagcccccgaccatggcgaagctg(配列番号2)の塩基配列からなるフォワードプライマー、およびttgcggccgctcattagtggtggtggtggtggtgcttttcgaactgcgggtggctccagagctcacagtaaagagc(配列番号3)の塩基配列からなるリバースプライマーを用いたPCR法により、ヒトパラオキソナーゼ1遺伝子の3’末端側にNheI制限酵素サイト、5’末端側に6×Hisタグ配列、NotI制限酵素サイト、および終止コドンを付加した断片を得、制限酵素NheIおよび制限酵素NotIで消化し、同じく制限酵素NheIおよび制限酵素NotIで消化した遺伝子増幅用発現ベクターpcDNA3.1−(+)−dhfrに、T4DNAリガーゼを用いて連結し、遺伝子組み換えヒトパラオキソナーゼ1発現ベクターを構築した。
【0027】
遺伝子増幅用発現ベクターpcDNA3.1−(+)−dhfrは、発現ベクターとして、pcDNA3.1-(+)ベクター(invitrogen社製)にマウスdhfr発現カセットを挿入したものである。マウスdhfr遺伝子発現カセットは、pSV2-dhfr(ATCC 37146)を鋳型とし、PCR法にてクローニングした。このとき、フォワードプライマーは、cccacgtgtcgcgacaattagtcagcaaccatagtcc (配列番号4)とし、リバースプライマーは、cccacgtgtcgcgaggacaaaccacaactagaatgc (配列番号5)とした。得られたPCR断片は、TAクローニング法によりpCR-2.1ベクター(invitrogen社製)にクローニングし、Nru Iを付加したdhfr遺伝子をクローニングしたベクターpCR-2.1-dhfrを作製した。そして、得られたベクターpcDNA3.1-(+)およびベクターpCR-2.1-dhfrを制限酵素Nru Iで消化し、それぞれの断片をライゲーションして、pcDNA3.1-dhfrを作製した。
本発現ベクターは薬剤選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子発現カセットを持ち、また遺伝子増幅のためのdhfr遺伝子発現カセットを持つ。ネオマイシン耐性遺伝子に対する選択薬剤としてはジェネティシン、G418、ネオマイシン硫酸塩等が一般的に使用され、またdhfr遺伝子発現カセットを利用した遺伝子増幅のための薬剤としてはメトトレキセートが一般的に使用される。
【0028】
実施例3
〔293F細胞を用いた発現〕
実施例2で得られた遺伝子組み換えヒトパラオキソナーゼ1発現ベクターを用いて、フリースタイル293遺伝子導入システム(インビトロジェン社)を用いて同キットの添付マニュアルに従い、一過性発現を行い、遺伝子組み換えヒトパラオキソナーゼ1を含む培養上清を作製した。なお、培養上清は、フリースタイル293遺伝子導入システム添付文書に準じて発現株と培地を混合培養し作製した。
【0029】
実施例4
〔遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1の発現株(293F細胞)培養上清からのヒトパラオキソナーゼ1含有製剤の調製〕
ヒトパラオキソナーゼ1を発現、分泌させた293F細胞培養上清と1M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.6〜7.0)とを等量混合し、撹拌後0.45μmフィルター(ミリポア社製)により沈殿物を除去した。このろ過液を、あらかじめ0.5M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したHis trap HP (GE Healthcare社製)に負荷した。次いで平衡化と同様の溶液を用いて洗浄を行い、0.5M塩化ナトリウム及び25mMイミダゾールを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0〜7.5)でさらに洗浄を行った。最後に0.5M塩化ナトリウム及び500mMイミダゾールを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0〜7.5)でHis trap HP吸着画分の溶出を行った。次にHis trap HP吸着画分の溶出液を分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて濃縮し、150mM塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液で平衡化したSuperdex200 16/60(GE Healthcare社製)に負荷し、平衡化と同様の溶液を用いて溶出を行い、0.6mg/mLのパラオキソナーゼ1溶液を得た。続いて、孔径0.22μmの無菌ろ過フィルター(ミリポア社製)を用いて無菌ろ過を行い、パラオキソナーゼ1製剤とした。
パラオキソナーゼ1製剤について分析した結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

このようにして得られた製剤は、そのまま注射液として用いることができる。
【0031】
実施例5
〔CHO/DG44細胞を用いた安定発現株の構築〕
実施例2で得られた遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1発現ベクターを、エレクトロポーレーション法(ジーンパルサーII;バイオラッド社製)にて、CHO/DG44細胞へ導入した。
遺伝子導入1日後から、1mg/mL濃度のG418を含む選択培地で培養し、本発現ベクターが導入された遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1安定発現株を得た。次に、順次メトトレキセート濃度を上昇させた培地で選択培養を繰り返し、遺伝子増幅されたクローンである、DG44/PON1-His CL45を得た。具体的には、50nMメトトレキセート含有培地、250nMメトトレキセート含有培地、1,000nMメトトレキセート含有培地の順で濃度を上昇させ、最終的には限界希釈法によりクローン化を行った。
遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1を含む培養上清は、2L培養槽又は15L培養槽を用いて、DG44/PON1-His CL45とEX−CELL302培地(SAFC社製)を混合培養し作製した。
【0032】
実施例6
〔遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1の発現株(CHO/DG44細胞)培養上清からのヒトパラオキソナーゼ1含有製剤の調製〕
ヒトパラオキソナーゼ1を発現、分泌させたCHO/DG44細胞培養上清を0.45μmフィルター(ミリポア社製)により沈殿物を除去した。このろ過液を、あらかじめ0.5M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したNi Sepharose HP (GE Healthcare社製)に負荷した。次いで平衡化と同様の溶液を用いて洗浄を行い、0.5M塩化ナトリウム及び35mMイミダゾールを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0〜7.5)でさらに洗浄を行った。最後に0.5M塩化ナトリウム及び500mMイミダゾールを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0〜7.5)を用いて溶出を行った。Ni Sepharose HP吸着画分の溶出液は分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)に置換後、20mMリン酸緩衝液で平衡化したCHTセラミックハイドロキシアパタイトTypeII40μm(バイオラッド社製)に負荷した。次に、未吸着画分及び1M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0〜7.5)溶出画分を分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)に置換後、20mMリン酸緩衝液(pH6.8〜7.4)で平衡化したPoros 50 HS(アプライドバイオシステムズ社製)に負荷した。次に未吸着画分を分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて濃縮し、150mM塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液で平衡化したSuperdex200 16/60(GE Healthcare社製)に負荷した。平衡化と同様の溶液を用いて溶出を行い、溶出液を分画分子量10000の遠心式限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いてパラオキソナーゼ1を3.9mg/mL含有するまで濃縮した。次に、孔径0.22μmの無菌ろ過フィルター(ミリポア社製)を用いて無菌ろ過を行い、パラオキソナーゼ1製剤とした。
パラオキソナーゼ1製剤について分析した結果を表2に示す。
【0033】
【表2】

このようにして得られた製剤は、そのまま注射液として用いることができる。
【0034】
実施例7
〔精製結果〕
実施例1,4および6で得られたパラオキソナーゼ1について、非還元又は還元サンプルについて、SDS−ポリアクリルアミド5−20%均一ゲルで電気泳動を行い、銀染色又はCBB染色を行った。その結果を図1に示す。
また、実施例1,4および6で得られたパラオキソナーゼ1製剤について、本サンプルをSDS−PAGE後にゲル上の蛋白質をPVDF膜(ATTO社製)に転写し、マウス抗ヒトパラオキソナーゼ1抗体(BML社製)を用いて一次反応を行った。次いで、HRP標識した抗マウスイムノグロブリン抗体(KPL社製)を用いて二次反応を行い、TMB法により発色させた。その結果を図2に示す。
図1および図2に示されるとおり、SDS−PAGEで染色された蛋白質は、共に抗ヒトパラオキソナーゼ1抗体と反応した。
【0035】
実施例8
〔劇症肝炎に対する予防・治療効果の確認〕
実験用に8週齢の雌性Balb/cマウス(日本チャールス・リバー社製)を40匹準備した。実施例6で調製した遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1を100mg/kg(PON1100mg/kg投与群;n=6)、10mg/kg(PON110mg/kg投与群;n=6)、1mg/kg(PON11mg/kg投与群;n=6)、0.1mg/kg(PON10.1mg/kg投与群;n=4)および0.01mg/kg(PON10.01mg/kg投与群;n=6)の各用量で、静脈内に単回投与した。その10分後に、PON1投与群計28匹と他の6匹(対照群)の計34匹に、劇症肝炎惹起剤としてコンカナバリンATypeIV(Sigma社製)15mg/kgの用量で、静脈内に単回投与した。また、ヒトパラオキソナーゼ1製剤もコンカナバリンAも投与しなかったマウス6匹を正常群とした。
【0036】
コンカナバリンAを投与してから8時間後に炭酸ガス麻酔下で腹部大動脈より採血して血漿を得た。この血漿中の肝機能障害の指標であるアラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)を測定し、それぞれ平均±標準誤差を算出した。ALT及びASTに関する統計学的解析は、正常群に対する対照群の発症と、対照群に対するPON1投与群の効果について、それぞれt検定とDunnett検定を用いて統計処理によって行った。危険率5%未満を有意差ありと判定した。
結果を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
表3に示されるとおり、対照群では、ALTおよびASTの増加が正常群と比較して有意に認められた。しかし、対照群で認められた肝機能の高度の障害は、PON1投与各群で顕著に、かつ有意に抑制された。この実験により、ヒトパラオキソナーゼ1製剤による劇症肝炎の予防及び治療効果が確認された。ヒトパラオキソナーゼ1製剤投与群において、ヒトパラオキソナーゼ1製剤投与によると思われる副作用は見られなかった。
【0039】
実施例9
〔喘息に対する予防・治療効果の確認〕
実験用に6週齢雄性Balb/cマウス(日本チャールス・リバー社製)を28匹準備した。そのうちの22匹に、喘息モデル作製のためDay 0およびDay 14に、0.5 mg卵白アルブミン(以下OVA、シグマ社製)と20 mg/mL水酸化アルミニウムゲル(和光純薬社製)混合溶液を0.1 mg OVA/200 μL/マウスの用量で腹腔内投与した。続いてDay 21〜24に、50 mg/mL OVA溶液(リン酸緩衝液で溶解)を、超音波式ネブライザ(NE-U17、オムロン社)を使用し、20分間吸入投与した。
実施例6で調製した遺伝子組換えヒトパラオキソナーゼ1を1mg/kg(PON11mg/kg投与群;n=6)および0.1mg/kg(PON10.1mg/kg投与群;n=6)の各用量で、Day 21〜24においてOVA溶液吸入30分前に静脈内投与した。また、市販喘息薬であるアイピーディドライシロップ(トシル酸スプラタスト;大鵬薬品工業社製)も50mg/kg(市販薬50mg/kg投与群;n=4)の用量で、Day 21〜24においてOVA溶液吸入30分前に経口投与した。また、ヒトパラオキソナーゼ1製剤もOVA溶液も処置しなかったマウス6匹を正常群とした。
【0040】
動物実験開始後Day 25に、動物を炭酸ガス麻酔多量吸入による屠殺後に気管支を切開し、気管支より肺胞内に0.5 mL生理食塩液を経気管注入・回収する操作を4回繰り返し、肺胞内洗浄液(以下BALF)を回収した。BALFは遠心(1100 rpm、10 min、4℃)し、沈殿物は0.1 mL RPMI 1640培地(無血清)を加え撹拌し、白血球数および好酸球数測定用とした。BALF中血球懸濁液について、白血球数を動物用自動血球計数装置(MICROS abc LC-152、堀場製作所社製)で測定した。また、BALF塗抹標本を作製し、白血球百分率より好酸球数を算出した。
白血球数および好酸球数に関する統計学的解析は、正常群に対する対照群の発症と、対照群に対するPON1投与群または市販薬群の効果について、それぞれt検定とDunnett検定を用いて統計処理によって行った。危険率5%未満を有意差ありと判定した。
結果を表4に示す。
【0041】
【表4】

【0042】
表4に示されるとおり、対照群では、白血球数および好酸球数の有意な増加が正常群と比較して認められた。しかし対照群で認められた白血球および好酸球の高度な遊走は、PON1投与各群で顕著に、かつ有意に抑制され、あるいは抑制傾向を示した。この実験により、ヒトパラオキソナーゼ1製剤による喘息の予防及び治療効果が確認された。
また、同様に市販薬50mg/kg投与群にも有効性が見られた。
ヒトパラオキソナーゼ1製剤投与群において、ヒトパラオキソナーゼ1製剤投与によると思われる副作用は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
PONは、急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤、及び喘息の予防又は治療の有効成分として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラオキソキナーゼを有効成分として含む急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤。
【請求項2】
パラオキソキナーゼが下記の(a)又は(b)のポリペプチドである請求項1に記載の急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤。
(a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b) 配列番号1において、1又は複数のアミノ酸が欠失、付加、又は置換したアミノ酸配列からなり、かつラクトナーゼ活性を有するポリペプチド
【請求項3】
注射剤である請求項1又は2に記載の急性肝炎又は劇症肝炎の予防又は治療剤。
【請求項4】
パラオキソキナーゼを有効成分として含む喘息の予防又は治療剤。
【請求項5】
パラオキソキナーゼが下記の(a)又は(b)のポリペプチドである請求項4に記載の喘息の予防又は治療剤。
(a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b) 配列番号1において、1又は複数のアミノ酸が欠失、付加、又は置換したアミノ酸配列からなり、かつラクトナーゼ活性を有するポリペプチド
【請求項6】
注射剤、又は吸入剤である請求項4又は5に記載の喘息の予防又は治療剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−121870(P2012−121870A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275907(P2010−275907)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000231648)日本製薬株式会社 (17)
【Fターム(参考)】