説明

急須用茶漉し

【課題】茶葉から抽出される茶成分を確実に湯水に含有させることができ、且つ使用済みの茶葉を急須から確実に排出することができる急須用茶漉しを提供する。
【解決手段】本発明の急須用茶漉しにおいては、上部開口部の縁円周に係止させる茶漉し係止部と、茶漉し係止部の下方に半球状又は有底円筒状に形成されると共に茶葉と注がれた湯水を保持する茶葉収容部と、急須の注ぎ口の開口面積と略同一の面積を有するように金属製又は樹脂製の網で形成されると共に茶葉収容部に保持された湯水を排出する湯水排出部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急須内に装着して使用される脱着可能な茶漉しに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、急須内に装着して使用する茶漉しとしては、図8及び図9に示すように、急須の蓋受け部に係止させるフランジを有する金網を半球殻状に湾曲させて作られたものが一般的である。この茶漉しは洗浄がしやすい。しかしながら、この茶漉しは、全体が金網になっているため、茶葉から抽出される茶成分を含まない状態で湯水が茶漉しから外へ流れ出てしまうという問題がある。
【0003】
そこで、急須内の注ぎ口開口部を覆うステンレス製網が合成樹脂の板状保持材に一体に成形されている茶漉しが提案されている(特許文献1参照)。この茶漉しの急須への装着は、一端を急須内面の注ぎ口開口部の上方の蓋受け下面の縁に係止させ、急須の内面および底面に密着させて他端を対向する蓋受け下面の縁へ係止させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3160563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の茶漉しは、ステンレス製網が急須内の注ぎ口開口部を覆うように成形されているため、急須内に注がれた湯水が注ぎ口開口部を通過するときに、茶葉が注ぎ口開口部付近に集まるため、茶葉から抽出される茶成分を確実に湯水に含有させることができる。
【0006】
しかしながら、この茶漉しは、使用済みの茶葉を急須から取り除く場合に、茶葉が急須の蓋受け部に引っ掛かるため、容易に全ての茶葉を取り除くことができないという難点があった。更に、この茶漉しは、急須から容易に外して洗浄することはできないという難点もある。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、茶葉から抽出される茶成分を確実に湯水に含有させることができ、且つ使用済みの茶葉を急須から確実に排出することができる急須用茶漉しを提供することを本発明の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の急須用茶漉しは、その第1の態様として、上部開口から注がれた湯水を保持すると共に保持された湯水を注ぎ口から注ぎ出す急須本体の上部開口部に備えつける金属製又は樹脂製の急須用茶漉しにおいて、上部開口部の縁円周に係止させる茶漉し係止部と、茶漉し係止部の下方に半球状又は有底円筒状に形成されると共に茶葉と注がれた湯水を保持する茶葉収容部と、注ぎ口の開口面積と略同一の面積を有するように金属製又は樹脂製の網で形成されると共に茶葉収容部に保持された湯水を排出する湯水排出部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の態様の急須用茶漉しによれば、茶葉から抽出される茶成分を確実に湯水に含有させることができ、且つ使用済みの茶葉を急須から確実に排出することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の急須用茶漉しは、湯水排出部が茶葉収容部において重力方向下方に配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明の第2の態様の急須用茶漉しによれば、茶葉から抽出される茶成分を確実に少量の湯水に対しても含有させることができる。
【0012】
また、本発明の第3の態様の急須用茶漉しは、湯水排出部が茶葉収容部において注ぎ口に最も近接する位置に配置されることを特徴としている。
【0013】
本発明の第3の態様の急須用茶漉しによれば、茶葉から抽出される茶成分を確実に少量の湯水に対しても含有させることができる。
【0014】
さらに、本発明の第4の態様の急須用茶漉しは、茶漉し係止部の一部に該急須用茶漉しの回転を防止する回転防止部を備えたことを特徴としている。
【0015】
本発明の第4の態様の急須用茶漉しによれば、急須用茶漉しの回転を防止することができ、しいては、常に湯水排出部を注ぎ口に最も近接する位置に配置させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の急須用茶漉しによれば、茶葉から抽出される茶成分を確実に湯水に含有させることができ、且つ使用済みの茶葉を急須から確実に排出することができる。その結果、茶成分が均一に含まれるため、美味しくお茶を楽しむことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的な急須に第1実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す断面図。
【図2】一般的な急須に第1実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す平面図。
【図3】一般的な急須に第2実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す第1の断面図。
【図4】一般的な急須に第2実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す第2の断面図。
【図5】一般的な急須に第2実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す平面図。
【図6】一般的な急須に第3実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す第1の断面図。
【図7】一般的な急須に第3実施形態の急須用茶漉しを装着した状態を示す第2の断面図。
【図8】一般的な急須に従来の急須用茶漉しを装着した状態を示す断面図。
【図9】一般的な急須に従来の急須用茶漉しを装着した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の急須用茶漉しを、図面を参照しながらその一実施形態である第1から第3の実施形態により説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
はじめに、第1実施形態を説明する。
【0020】
第1実施形態の急須用茶漉し120は、図1及び図2に示すように、急須本体110、注ぎ口112、蓋受け部114、急須取手部116を備えた急須100に装着されている。具体的には、急須用茶漉し120の上部開口部の縁円周に係止させる茶漉し係止部122が蓋受け部114と重なり合うように装着されている。また、図1に示されるように、急須100は、蓋取手部132付きの蓋130を備えている。蓋130を茶漉し係止部122の上に重なるようにして、急須内を密閉することによって、茶葉を蒸らすことができる。
【0021】
急須用茶漉し120は、金属製又は樹脂製ある。好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。
【0022】
急須用茶漉し120は、茶漉し係止部122の下方に半球状に形成されると共に茶葉と注がれた湯水を保持する茶葉収容部128を備える。
【0023】
また、急須用茶漉し120は、その底部に網で形成された湯水排出部124を備える。つまり、急須用茶漉し120は、湯水排出部124からだけ湯水を排出するようになっている。
【0024】
湯水排出部124は、金属製又は樹脂製あり、好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。なお、急須用茶漉し120と同一の素材又は異なる素材を用いてもよい。
【0025】
湯水排出部124は、円形状に形成され、注水された湯水を排出する。ここで、湯水排出部124の面積は、急須100の注ぎ口112の開口面積と略同一となるように形成されている。なお、図1及び図2においては、細部を見やすくするために、湯水排出部124を実際のものよりも拡大して示している。
【0026】
湯水排出部124の面積が、急須100の注ぎ口112の開口面積と略同一となるように形成されているため、注ぎ口112から注がれる量と湯水排出部124から排出される量とが略同一になり、茶成分が均一に含まれる茶を提供することが可能である。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を以下に説明する。
【0028】
第2実施形態の急須用茶漉し220は、図3乃至図5に示すように、急須本体210、注ぎ口212、蓋受け部214、急須取手部216を備えた急須200に装着されている。具体的には、急須用茶漉し220の上部開口部の縁円周に係止させる茶漉し係止部222が蓋受け部214と重なり合うように装着されている。また、急須200は、図示しない蓋取手部付きの蓋を備え、急須内を密閉することによって、茶葉を蒸らすことができる。
【0029】
急須用茶漉し220は、金属製又は樹脂製ある。好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。
【0030】
急須用茶漉し220は、茶漉し係止部222の下方に有底円筒状に形成されると共に茶葉と注がれた湯水を保持する茶葉収容部228を備える。
【0031】
急須用茶漉し220は、茶漉し係止部222の一部に凹部を設けており、急須200の開口部分に設けられた茶漉し回転防止部214aと嵌合することによって、急須用茶漉し220の急須200との関係における回転を防止する。
【0032】
また、急須用茶漉し220は、その有底円筒状に形成された側部底面側に網で形成された湯水排出部224を備える。つまり、急須用茶漉し220は、湯水排出部224からだけ湯水を排出するようになっている。
【0033】
湯水排出部224は、金属製又は樹脂製あり、好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。なお、急須用茶漉し220と同一の素材又は異なる素材を用いてもよい。
【0034】
湯水排出部224は、長方形状に形成され、注水された湯水を排出する。ここで、湯水排出部224の面積は、急須200の注ぎ口212の開口面積と略同一となるように形成されている。なお、図3及び図4においては、細部を見やすくするために、湯水排出部224を実際のものよりも拡大して示している。
【0035】
また、図3及び図5に示されるように、茶漉し係止部222の一部に凹部が茶漉し回転防止部214aと嵌合することによって、湯水排出部224と急須200の注ぎ口212との距離が最短になるよう維持される。これにより、急須取手部216を保持した状態で注ぎ口212から茶を注ぐと、茶葉収容部228内のすべての湯水が湯水排出部224を通過することとなる。
【0036】
湯水排出部224の面積が、急須200の注ぎ口212の開口面積と略同一となるように形成されているため、注ぎ口212から注がれる量と湯水排出部224から排出される量とが略同一になり、茶成分が均一に含まれる茶を提供することが可能である。
【0037】
また、湯水排出部224は、急須用茶漉し220から着脱可能な湯水排出保持体226の一端側に形成されている。つまり、図3及び図5に示されるように、湯湯水排出保持体226に設けられた湯水排出保持体嵌合部226aが急須用茶漉し220に嵌合し、湯湯水排出保持体226は急須用茶漉し220から着脱することが可能となる。
【0038】
湯水排出保持体226は、金属製又は樹脂製あり、好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。なお、急須用茶漉し220と同一の素材又は異なる素材を用いてもよい。
【0039】
最後に、本発明の第3実施形態を以下に説明する。
【0040】
なお、本実施形態は、前述の第2実施形態と比較し、湯水排出部224の面積及びそれに付随する部分のみが相違するものである。従って、その相違点を中心に説明し、第2実施形態と同一構成については、説明を省略する。
【0041】
第3実施形態の急須用茶漉し320は、その有底円筒状に形成された側部に網で形成された湯水排出部324を備える。つまり、急須用茶漉し320は、湯水排出部324からだけ湯水を排出するようになっている。
【0042】
湯水排出部324は、長方形状に形成され、金属製又は樹脂製あり、好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。なお、急須用茶漉し320と同一の素材又は異なる素材を用いてもよい。
【0043】
また、湯水排出部324は、急須用茶漉し320から着脱可能な湯水排出保持体326のほぼ全体中心部に形成されている。
【0044】
つまり、図6に示されるように、湯湯水排出保持体326に設けられた湯水排出保持体嵌合部326aが急須用茶漉し320に嵌合し、湯湯水排出保持体326は急須用茶漉し320から着脱することが可能となる。
【0045】
図7に示されるように、湯水排出部324の面積が、急須300の注ぎ口312の開口面積と大きく相違するように形成されているため、注ぎ口312から注がれる量と湯水排出部324から排出される量とが略同一になるように、湯水排出調整体330を湯水排出部324に装着させる。これにより、茶成分が均一に含まれる茶を提供することが可能である。
【0046】
湯水排出保持体326及び湯水排出調整体330は、金属製又は樹脂製あり、好ましくは、ステンレス製又はポリプロピレンなどの耐熱性の樹脂製である。なお、急須用茶漉し220と同一の素材又は異なる素材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0047】
100、200、300 急須
110、210、310 急須本体
112、212、312 注ぎ口
114、214、314 蓋受け部
116、216、316 急須取手部
120、220、320 急須用茶漉し
122、222、322 茶漉し係止部
124、224、324 湯水排出部
128,228,328 茶葉収容部
130 蓋
132 蓋取手部
214a 茶漉し回転防止部
226、326 湯水排出保持体
226a、326a 湯水排出保持体嵌合部
330 湯水排出調整体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口から注がれた湯水を保持すると共に保持された湯水を注ぎ口から注ぎ出す急須本体の前記上部開口部に備えつける金属製又は樹脂製の急須用茶漉しにおいて、
前記上部開口部の縁円周に係止させる茶漉し係止部と、
前記茶漉し係止部の下方に半球状又は有底円筒状に形成されると共に茶葉と注がれた湯水を保持する茶葉収容部と、
前記注ぎ口の開口面積と略同一の面積を有するように金属製又は樹脂製の網で形成されると共に前記茶葉収容部に保持された湯水を排出する湯水排出部と
を備えていることを特徴とする急須用茶漉し。
【請求項2】
前記湯水排出部は、前記茶葉収容部において重力方向下方に配置されることを特徴とする請求項1記載の急須用茶漉し。
【請求項3】
前記湯水排出部は、前記茶葉収容部において前記注ぎ口に最も近接する位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の急須用茶漉し。
【請求項4】
前記茶漉し係止部の一部に該急須用茶漉しの回転を防止する回転防止部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の急須用茶漉し。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−48653(P2013−48653A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186823(P2011−186823)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(711009202)
【Fターム(参考)】