性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ、キット、及びこれを用いた探知及び遺伝子型の分析方法{DNAchip、KitforDetectingorGenotypingBacteriaCausingSexuallyTransmittedDiseases、GenotypingantibacterialdrugresistanceandDetectingorGenotypingMethodUsingTheSame}
【課題】本発明は、14種の性感染症(STD)の原因及び関連菌の感染の有無と、更に、これらの菌の遺伝子型(genotype)とテトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤耐性の遺伝子型を速やかかつ正確に分析することができる新規のDNAチップ、キット及び分析法に関する。
【解決手段】具体的には、N.gonorrhoeae、C.trachomatis、U.urealyticum、M.genitalium、M.hominis、Herpes simplex virus type 1、Herpes simplex virus type 2、human papilloma virus、H.ducreyi、T.pallidum、T.vaginalisの11種のSTD原因菌と3種のSTD関連菌であるG.vaginalis、C.albicans、大腸菌を含む、全14種の菌と、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤耐性の遺伝子に特異な新規のオリゴヌクレオチドプライマー(primer)及びプローブ(probe)と、これを用いた多重合成酵素連鎖反応法(multiplex polymerase chain reaction、M−PCR)、DNAチップ及びキットに関し、本発明によると、STD診断において感度、特異度、再現性、正確度が全て優れており、多数の検体で14種のSTD原因及び関連菌を全部速やかに自動分析することができるだけでなく、治療抗生剤の選択にも役立つ優れた効果がある。
【代表図】図1
【解決手段】具体的には、N.gonorrhoeae、C.trachomatis、U.urealyticum、M.genitalium、M.hominis、Herpes simplex virus type 1、Herpes simplex virus type 2、human papilloma virus、H.ducreyi、T.pallidum、T.vaginalisの11種のSTD原因菌と3種のSTD関連菌であるG.vaginalis、C.albicans、大腸菌を含む、全14種の菌と、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤耐性の遺伝子に特異な新規のオリゴヌクレオチドプライマー(primer)及びプローブ(probe)と、これを用いた多重合成酵素連鎖反応法(multiplex polymerase chain reaction、M−PCR)、DNAチップ及びキットに関し、本発明によると、STD診断において感度、特異度、再現性、正確度が全て優れており、多数の検体で14種のSTD原因及び関連菌を全部速やかに自動分析することができるだけでなく、治療抗生剤の選択にも役立つ優れた効果がある。
【代表図】図1
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、性感染症(sexually transmitted diseases;STD)の原因菌のうち、力学的に最も発病率が高くて重要な11種の菌として、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、梅毒の原因菌であるトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)、軟性下疳(chancroid)の原因菌であるヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、陰部ヘルペス(genital herpes)の原因菌であるヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型(genital herpes;herpes simplex virus type 1 and 2)、ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus、HPV)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)と、3種の関連菌として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、大腸菌(coliform bacteria)の存在有無及びその遺伝子型の分析と、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性(antibiotic resistance)を速やかかつ正確に診断することができる、性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ、キット、及びこれらを用いた探知又は分析方法に関するもので、本発明によると、DNA試料内で、前記の14種の菌の存在有無だけでなく、その遺伝子型、更に抗生剤耐性を同時に速やかかつ正確に分析することができる。
【背景技術】
【0002】
細菌感染は、未だに人体疾患の中で最も重要な疾患の一つである。細菌の診断の際には、その原因菌を正確かつ速かに把握しなければならず、その原因菌の抗生剤に対する感受性と耐性を把握することが重要である。その際の原因菌の診断は、単なる菌の属と種だけでなく、亜種(subtype)乃至菌株(strain)まで把握することが重要である。前記の詳細な情報は、感染の根源と原因を把握し、病態を把握し、経過と予後を予測し、治療剤の選択や治療方針の決定、ワクチンの開発及び投与に必須である。
【0003】
伝統的に、感染疾患の診断のためには、塗抹及び染色による顕微鏡的検査、細菌培養及び抗生剤の感受性検査、抗原抗体検査、免疫学的検査法などの様々な方法が用いられている。しかし、実際にこのような伝統的診断法は、多くの限界があることが現実である。既存の方法を用いる場合、相当数の細菌は、検出が不可能か難しく、時間とコスト及び人手が余りにも多く必要であり、一度で処理できる検体数に限界があって、大体一度の検査によって一つしか検査することができず、さらに、判読が自動化されておらず、臨床適用が難しい。また、生きている菌を対象とするため、検査時まで菌を生かさなければならず、これに伴い、検体処理と移送が難しく、そのコストも少なくない。
【0004】
因って、最近は、感染疾患の診断に分子遺伝学的分析方法が用いられるようになり、これが既存の診断法を急速に代えていく傾向にある。特に、最近は、多数検体の自動分析が可能なDNAマイクロアレイ又はDNAチップが脚光を浴びている。遺伝子分析を用いた感染診断は、既存の感染診断法に比べ、長所が多く、既存の方法の問題を解決することができ、補助検査法乃至代替検査法として利用が増えている。遺伝子診断法は、DNA及びRNA塩基序列の分析を通して、対象細菌の株型と亜型とを明確に知ることができ、死んだ細菌も検出が可能で、検体処理と移送が容易であり、PCR増幅を通じて標的遺伝子を増幅させて検出するため、感度が高いだけでなく、極少量の検体のみでも診断が可能である。更に、感度だけでなく、特異度や再現性などあらゆる部分で優れている。大体の場合、24時間以内に速やかかつ正確に結果が分かり、人手やコストも更に節減される。更に、DNAチップを用いると、多数の検体を速かに多量に検出することができ、忙しい病院の業務中にも臨床診療に役立つ。
【0005】
現在、アメリカFDAの公認を受けた、クラミジア・トラコマチス、淋菌、ヘルペスシンプレックスウイルス及びヒト免疫不全ウイルスなどを検出するPCR及びリアルタイム(real time)PCRキットが市販されている。しかし、まだ商業化したDNAチップは少数であり、感染疾患の原因菌を速やかかつ正確に把握できるだけでなく、抗生剤耐性まで検査して臨床診断に大きく役立つDNAチップは、更に珍しい。特に、本発明と同様、STDの主な原因菌及び関連菌の診断と共に、その抗生剤耐性まで全て検出することができるSTDチップは、まだ商業化されていない(Andrea Ferreria−Gonzalez、Angela M Calieno;Tiez Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Biology、4th Edition、Elsevier Saunders、2006.p.1555−1588)。
【0006】
STD(sexually transmitted diseases)は、性行為によって伝播する疾病をあわせて称する言葉である。STDは非常に重要であるが、これは、人体の10大感染疾患のうち、5つがSTDであり、何よりも人体感染疾患の中で、最もありふれていて、歴史の長い疾患であるためである。アメリカの場合、毎年1500人以上がSTDに新たに感染し、6,500万人以上がウイルス性STDに罹患していると報告されている。最近は、特に、クラミジア・トラコマチス、ヘルペスシンプレックスウイルス、ヒト乳頭腫ウイルスの3つが増えている傾向があり、最もよくある3大STDとして指摘されている。STDは、高い有病率にもかかわらず、自覚症状がなくて知らずに過ごすことが多いが、進行すると、不妊や前立腺炎、副睾丸炎、免疫欠乏、癌などの合併症を引き起こす可能性がある。STD、特に、ウイルス性STDは、有効な治療法がない場合が多い。このため、STDは、正確な診断と予防が何よりも重要である。更に、無症状の患者を探して治療し、感染の拡散を防止することも重要である(Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。
【0007】
STDの代表的な原因菌としては、バクテリアである淋菌とクラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ウイルスであるヘルペスシンプレックスウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、肝炎ウイルス、更に、原虫であるトリコモナス・バギナリスなどがある。
【0008】
一方、STDは大きく3つの形態がある。第一に、男性は尿道炎や前立腺炎、副睾丸炎で、女性は子宮頸部炎や膣炎、骨盤炎症性疾患(pelvic inflammatory disease)で現れる形態であって、この原因菌としては淋菌とクラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トリコモナス・バギナリス及びヘルペスシンプレックスウイルスが含まれる。第二に、外性器に潰瘍で現れる形態であって、この原因菌として梅毒菌(トレポネマ・パリダム)、ヘルペスシンプレックスウイルス、ヘモフィルス・デュクレイがある。第三に、外性器にいぼ(wart)や子宮頸部、肛門、陰茎などに癌を引き起こす形態であって、HPVがこれに当る。第四に、全身感染を引き起こす形態であって、HIV感染とウイルス感染がこれに当る。これと共に、正確な意味でSTDではないが、STDと類似して膣炎などの病態で現れるので鑑別すべき菌として、大腸菌、ガードネレラ・バギナリスと真菌であるカンジダ・アルビカンスがある。これらの菌は、STDの検査の際、含まれなければならないものである。
【0009】
本出願人(グッジェンインク)は、約7年間、延べ人員約50万人にSTDの原因菌を多様な遺伝子分析法で検査する研究及び事業を行っている。最近の1年間、101,578人の検査結果を分析した統計を下記表1に示した。
【0010】
【表1】
【0011】
このような経験に基づき、本発明者らは、STDの診療に次のような解決されていない問題点が多いことが分かった。
【0012】
第一に、他の疾患とは異なり、無症状で潜伏しているため、症状が悪化する場合が多く、治療後にも再感染しやすい。実際に、クラミジア・トラコマチスやウレアプラズマ、マイコプラズマなどの非淋菌性尿道炎感染のような場合には、殆どが症状がなく知らずに過ごす。したがって、STDの原因菌を早期に検出し、無症状の保菌者も効果的に選別(screening)できる方法の開発が重要である。
【0013】
第二に、実際に診断が容易ではない。数多くのSTD原因菌は培養がよくできなく、免疫学的方法でも検出が難しく、更に、検出されても時間とコストがかなり多く必要であり、臨床では実際に適用することができず、医師の経験と直感によって診断を行って治療をする場合が多い。よって、正確かつ速やかに、低コストでSTDを診断することができる新しい方法の開発が切実である。
【0014】
第三に、STDはよく複合感染の形態で現れる。例えば、淋菌感染の場合、本発明の図1に示したように、性関係後、淋菌とクラミジア・トラコマチスとヘルペスシンプレックスに同時に複合感染される場合が少なくない。よって、このような複合感染を正確に全部診断することができる方法の開発が切実である。
【0015】
第四に、抗生剤耐性である。特に、淋菌及びクラミジアなど重要STD菌の場合、抗生剤の乱用により、ベータ−ラクタム系抗生剤耐性、テトラサイクリン系耐性がよく現れる。これは、治療失敗と合併症、感染拡散、経済的損失で現れ、臨床診療で大きな問題となっている。よって、このような抗生剤耐性を正確かつ速かに分析して、適切な抗生剤を選択することが重要である。
【0016】
このような問題があるため、STDの診療は困難で、これが解決できる新しい方法の開発が切実なところ、本発明は前記の問題点を解決するために考案された。
【0017】
STDの種類のうち、臨床で最もよく発見される形態が男女の尿道と女性の子宮頸部、膣、卵管などに浸透して炎症を引き起こすものである。これは大きく、淋菌と非淋菌性に分けられ、後者としては、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム及びマイコプラズマ・ホミニスが主要原因菌として指摘されている。これらの細菌は、共通して、男性で尿道炎の重要原因となり、副睾丸炎と前立腺炎などの合併症を誘発することがあり、不妊の重要な原因となる。更に、女性では尿道炎と膣炎、子宮頸部炎と骨盤炎症性疾患の主な原因となり、ラッパ管閉鎖を起こすことによって不妊と子宮外妊娠(ectopic pregnancy)などの合併症を誘発することがある。欧米の場合、今日、クラミジア感染が最も多く、韓国内でも、最近は、淋菌感染症は減っているものの、クラミジア感染と非淋菌性尿道炎が増えている傾向にある。これは本出願人の経験に基づく統計(前記表1参照)とも一致する。
【0018】
患者に一旦尿道炎が発見されると、それが淋菌性であるか非淋菌性であるかを先に鑑別すべきであるが、その理由は治療方法と経過が相違するためである。しかし、最近は、抗生剤の誤乱用による細菌の変移と混合感染の増加により、両者間の区別が曖昧な傾向があり、正確な診断のためには、本発明のような分子遺伝子的検査法が必要である。
【0019】
淋菌性尿道炎を引き起こす淋菌(N.gonorrhoeae)は、ナイセリア(Neisseria)属に属する。淋菌の診断は、一次的にグラム染色(Gram stain)による。グラム染色で特徴的な細胞内のグラム陰性双球菌の存在を確認することは便利で正確度が比較的高く、広く用いられている方法である。しかし、無症状であるか症状が微小な淋菌性尿道炎では、グラム染色による場合、判断が曖昧であったり、偽陰性(false negative)に出る場合が多い。よって、グラム染色法を補完するために、淋菌培養を試みる傾向があるが、検査結果が分かるまで多くの時間とコストが消耗される短所がある。
【0020】
この他にも、酵素免疫測定法(enzyme immunoassay:EIA)と免疫蛍光測定法(immunofluorescence technique)は、淋菌感染疾患診断において新しい抗原確認法として用られており、培養検査に比べ、速やかに結果が得られ、感度(sensitivity)と特異度(specificity)が更に高いものとして報告されているが、高コストという短所がある。
【0021】
非淋菌性尿道炎は、最近、淋菌性尿道炎が減少していることに反して、逆に発病率が増加している。非淋菌性尿道炎は、単一疾患ではなく、様々な微生物によって引き起こされる一種の症候群(syndrome)である。非淋菌性尿道炎の原因微生物として最も重要なものがクラミジア・トラコマチス(Chlamydia,trachomatis)である。クラミジ・トラコマチスは、細胞内寄生性(intracellular parasitism)の生存周期(life cycle)を有する微生物であって、ゲノムにDNAとRNAを両方持っており、全部で15種類の血清型があるが、このうち、非淋菌性尿道炎を引き起こすのはD−K型である。これによって発病する人体疾患としては、トラコーマと呼吸器感染、尿道炎と子宮頸部炎、副睾丸炎、骨盤炎症性疾患を含むSTDがある。最近は、クラミジアが心筋炎を引き起こすという報告もある。
【0022】
クラミジア・トラコマチスの確認方法としては、(1)感染部位から採取された可検物を培養、分離確認する方法、(2)感染部位の上皮細胞を直接に塗抹染色して、菌を確認する方法、(3)患者の血清から抗体を分離確認する蛍光抗体法が用いられており、最近は、(4)合成酵素連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)とハイブリダイゼーション(hybridization)などの分子遺伝学的技法が好まれる。しかし、前記方法(1)は、検体を培養分離することに長時間が必要で、診断感度が低いという点などから臨床診断目的には適さず、方法(2)は、感染部位の上皮細胞を直接に塗抹染色して、菌を確認する利便性は優れているが、診断感度が低く、方法(3)は、単クローン抗体に蛍光物質であるFITC(fluorescein isothiocynate)が付着された試薬を用いて、感度は比較的高いが、高コストと専用装備を要するという短所があり、その使用が制限されている。
【0023】
人間と各種の哺乳類動物に広範囲に存在するマイコプラズマとウレアプラズマ属に属し、泌尿生殖器に感染を誘発する可能性があるウレアプラズマ・ウレアリチクムとマイコプラズマ・ジェニタリウムは、培養が技術的にかなり難しく、染色や免疫学的方法でも発見することが難しい。これにより、PCRによる分子遺伝学的検査法で診断しようとするのが最近の傾向である。この場合、各菌の種に特異な遺伝子のDNAの塩基序列をPCRで増幅した後、これをシーケンシング反応やハイブリダイゼーションなどで確認する方法が主に用いられる。現在まで確認された13種のマイコプラズマと2種のウレアプラズマは、16SリボソームRNA(16S rRNA)のV3の5’方向側の隣接部位(flanking region)とV6の3’方向側の隣接部位の塩基序列が互いに一致する。これに対し、V4とV5部位の約250個の塩基序列や16S−23SリボソームRNA間部位の塩基序列は、各種ごとに差がある。よって、これを検査する方法が有効であり、更に、ウレアプラズマ・ウレアリチクムの場合、これに特有のウレアーゼのサブユニット(urease subunit)の塩基序列を分析する方法も使用可能である(Jensen JS等 J Clin Microbiol 2003;41:261−6;Yoshida T等 J Clin Microbiol 2002;40:105−110)。
【0024】
性感炎のもう1つのよくある形態は、外性器に潰瘍を引き起こす疾患である。代表的な原因としては、陰部ヘルペス(genital herpes)、梅毒(syphilis)、軟性下疳(chancroid)、性病性リンパ肉芽腫(lymphogranuloma venereum、LGV)などがある。これらは、順に、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型(herpes simplex virus type 1 and type 2;HSV−1、HSV−2)、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)によって発病する(Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。本発明者らは、これらの外陰部潰瘍原因菌を同時に多重PCRで増幅した後、更に、DNAチップ上で逆交雑反応(reverse hybridization)により分析するという新しい遺伝子診断キットを開発した。
【0025】
ヘルペスシンプレックスウイルスは、外陰部潰瘍の原因の中で大半を占める。ヘルペスシンプレックスウイルスには、1型と2型があるが、特に2型が陰部ヘルペスの大半を占める。しかし、最近は、口腔性交の影響によってヘルペスシンプレックスウイルス1型による陰部ヘルペスも増加している。発明者等の統計を見ても、性器潰瘍で依頼された患者の中で60.9%で性感炎が確認されており、その中で79.9%が第2型ヘルペスシンプレックスウイルス、17.4%が第1型ヘルペスシンプレックスウイルスによって発病されたことが確認された。ヘルペスシンプレックスウイルスは、神経を侵して潜伏していながら、体内免疫機能が弱くなると発病して、性器に水泡や潰瘍を引き起こすのが普通であり、多くの人々が感染事実を知らずに過ごす。実際に、ヘルペスシンプレックス感染は、単一STDの中で、最もよくある疾患として指摘されており、アメリカの場合、約4500万人がヘルペスシンプレックスウイルス感染に罹患されており、毎年100万人の新患が発病すると推算されている(アメリカ疾病予防管理センター webpage.CDC Fact Sheet:Genital Herpes)。ヘルペスシンプレックスウイルス感染は、過去では培養検査で診断をしていたが、感度が低く、結果が出るのに長い時間と多額の費用がかかるなどの問題点が多く、実際の臨床では検査なしで経験的に診断して治療するケースが多い。しかし、最善の治療のためには、正確な診断が必須であり、1型と2型の感染を鑑別することも重要である。1型のヘルペスシンプレックスウイルス感染の場合、感染初年度にわずかに平均1回のみ再発し、それ以降には再発がめずらしいという良好な経過を見せることに対し、2型のヘルペスシンプレックスウイルス感染の場合には、再発が多く、初年度のみで平均4回も再発した。よって、2型ヘルペスシンプレックスウイルス感染の場合には、更に積極的な治療と綿密な追跡調査が必須である(Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。ヘルペスシンプレックスウイルス感染の検査のうち、アメリカ食品医薬品局の承認を受けた検査としては、抗体検査であるHerpes−Select ELISA、Herpes−Select Immunoblot、Capita ELISAなどがある。最近は、アメリカ食品医薬品局の承認なしでPCRやLight Cycler Assayなどの簡単な遺伝子検査法が用いられているが、未だに、1型と2型のヘルペスシンプレックスウイルス感染を正確に鑑別する商業化した遺伝子分析法はあまりない(Andrea Ferreria−Gonzalez、Angela M Calieno;Tiez Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Biology、4th Edition、Elsevier Saunders、2006.p.1555−1588)。よって、本発明では、ヘルペスシンプレックスウイルス感染の有無だけでなく、その亜型、すなわち、1型であるか2型であるかも正確に鑑別するために、先にPCRで増幅した後、その産物を更にDNAチップ上で逆交雑反応により分析する新しいキットを開発した。このような方法は、PCR後、電気泳動のみで把握することより、更に高感度で特異性が高いという長所がある(Olive DM、Bean P.Journal of Clinical Microbiology.June 1999.p.1661−1669.)。
【0026】
梅毒は、人類の歴史上、最も歴史の長いSTDであって、ペニシリンの台頭によって激減したが、最近は、欧米の白人男性層でまた発病率が増加しているという報告がある(アメリカ疾病予防管理センター、CDC Fact Sheet、Syphilis、2006;Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。梅毒の診断には、実際に解決されていない問題が多い。梅毒は、伝統的に、血清検査の後で、暗視野(dark field)顕微鏡下でスピロヘータ菌であるトレポネマ・パリダムを観察する方法が主に用いられてきた。しかし、本暗視野観察法は、経験を要し、発病初期には診断感度が低くて限界がある。抗体検査も梅毒の硬性下疳(chancre)が発生した後、1−3週間が過ぎるまでは陰性で現れる。いわゆる、ゴールド・スタンダード・テスト(gold standard test)である家兎感染検査(rabbit infectivity test)は、正確であるが、動物実験を要し、時間とコストが必要となるという問題がある。このために、最近は、早期診断が可能なように、PCRと逆転写(reverse transcription)PCRを試みている。PCRの際に、その他のスピロヘータ菌との正確な鑑別のために、トレポネマ・パリダムの47kDa遺伝子と16s−rRNA、DNA polymerase I、rpf−1、rmp A、rmp B、BMP遺伝子を増幅する方法が用いられる。しかし、未だにそれぞれの有意性は明らかになっておらず、まだ商業化した遺伝子検査キットも出ていない(Liu H、Rodes B、Chen CY、Steiner B.Journal of Clinical Micxrobiology.May 2001.p.1941−1946)。これに、本発明では、梅毒感染を更に早期に正確に鑑別しようとする目的下で、トレポネマ・パリダムのカルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidase)遺伝子を増幅する新しいPCR法を開発した後、その産物をDNAチップ上で逆交雑反応で再確認し、PCRのみをすることより感度と特異度が更に改善された方法を開発した。
【0027】
軟性下疳は、欧米で最近発病頻度が減少しており、韓国内に住んでいる韓国人にはあまり見られないSTDである。その原因菌であるヘモフィルス・デュクレイは、通常、潰瘍部位グラム塗抹染色で検査するが、その効用性には限界があり、培養しにくい菌である。このため、PCR法が新しい標準的診断法として台頭している。しかし、未だにアメリカ食品医薬品局の公認を受けた検査はない。一旦軟性下疳が確認されると、梅毒とHIVの検査も共にするよう勧められている(アメリカ疾病予防管理センター、CDC Fact Sheet、Chancroid、2006;Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。本発明では、軟性下疳の原因菌であるヘモフィルス・デュクレイの16s−rRNA遺伝子をPCRで増幅して、その産物をDNAチップ上で逆交雑反応で再確認するという新しい方法を開発して、その診断感度と特異度が改善できるようにした。
【0028】
今日、人間の外性器を侵すSTDのうち、最も重要で、よくある2大疾患は、前述した陰部ヘルペスとHPV感染である。アメリカの場合、約2500万人がHPV感染しており、毎年600万人余りが新たに感染し、成人男性と女性の約半数は生涯で一度以上感染すると推算されている(CDC Fact Sheet、USA、2006)。本発明者らの経験によると、STDのうち、最もよく発見されるのがHPV感染であった(前記表1参照)。HPVには、約100種類余りがあり、約40種が外性器や肛門の粘膜を侵す肛門外性器型(anogenital type)又は粘膜型(mucosal type)である。HPVには、その病態により、2種類の型がある。一つは、いわゆる、低危険型(low risk type)のHPVであって、これは、いぼ、コンジローム、又は尖圭コンジローマ(condyloma accuminatum)を引き起こす。
【0029】
他の一つは、高危険型(high risk type)のHPVであって、これは、子宮頸部や陰茎、肛門などに癌前駆病変と癌の発病を誘発することがある。HPV感染の診断には、大きく三つ目的と方法がある。第一は、HPVによるSTD感染の有無を把握することであり、ここでは、通常、PCR後、電気泳動や交雑反応で確認する方法が用いられる。第二は、HPVの有無を把握することから進み、罹患したHPVの危険度を把握することによって子宮頸部癌を選別(screening)しようとする目的下で試みる。このためには、アメリカ食品医薬品局の承認を受けた、いわゆる、Hybrid Capture Assay(Digene Corporation、USA)が最も広く用いられる。第三は、HPVの有無から進み、罹患したHPVの正確な亜型乃至遺伝子型を把握する方法(genotyping test)である。これは、STDの感染診断だけでなく、子宮頸部癌の選別、更に、最近台頭しているHPVワクチンの適用の可否を把握することまで広く用いることができる。PCR後の塩基序列分析で確認することが標準的遺伝子型の分析方法であるが、これは多くの時間とコストを費やし、労働集約的であるため、一度に少数の検体しか検査できないという短所がある(Olive DM、Bean P.Journal of Clinical Microbiology.June 1999.p.1661−1669.)。このために、最近は、PCR後にDNAチップ上で多数のプローブと逆交雑反応をして、遺伝子型を検査する方法が主に用いられる。本発明者らは、従来、このようなHPV genotyping DNAチップを開発して、特許を獲得した後、製品化に成功、大韓民国食品医薬品安全庁及びCEの承認を受け、市販されている。よって、本発明では、これを用いてHPVのL1遺伝子をPCRで増幅して、その産物を更にDNAチップ上で逆交雑反応により再確認する略式のDNAチップ法を適用した。
【0030】
トリコモナス・バギナリスは、人体にのみ寄生する原虫で、性関係を通して伝播され、男女の尿道と女性の膣を侵して、炎症(Trichomoniasis)を引き起こす代表的STDである。実際に、よくあるSTDとして、毎年全世界で1億7400万人が新たに感染し、アメリカの場合、毎年新規発病例が600万と推算されている(WHO、1999;Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。男性の場合、多数が症状がなくて知らずに過ごし、女性の場合にも、その半数は症状がない。通常、症状があって患者が病院に来ると、身体検査や顕微鏡観察(wet smear)で診断をすることになる。しかし、無症状の保菌者を探す方法の開発が必要な状態であり、このような点から、本発明者らは、尿や膣塗抹、尿道塗抹で速やかかつ正確にトリコモナスを診断することができるDNAチップキットを開発した。
【0031】
厳密な意味で、STDではないが、STDと同様に膣炎及び下部尿路感染を引き起こし、STDと鑑別診断が必要で、本発明の検査に含むべき細菌として、カンジダ・アルビカンスとガードネレラ・バギナリス、そして大腸菌がある。
【0032】
陰唇及び膣の炎症(vulvovaginitis)の最もよくある原因菌はカンジダ・アルビカンスである。これは、正常な場合にも、膣と陰茎皮膚に存在することもあり、又は、性関係によって伝播されることもある。診断は、膣分泌物の塗抹染色検査(wet smear、gram stain)により、膣のpHは正常であることが特徴であり、再発が多いという問題がある。この遺伝子診断キットは、まだ商業化していない。本発明では、STDとの鑑別のために、DNAチップキットに含めた。
【0033】
女性において、正常膣の寄生細菌の代わりに存在し、細菌性膣炎(bacterial vaginosis)を引き起こして苦痛を与える重要原因菌として、ガードネレラ・バギナリスがある。診断は、水酸化カリウムと共に膣分泌物の塗抹染色検査(Whiff test)により、膣のpHが上昇することが特徴である。最近は、商業化したDNAプローブキットが出ているが、まだDNAチップはない。STDとの鑑別のために、やはり本発明のDNAチップキットに含めた。
【0034】
大腸菌は、女性における膀胱炎と男性における前立腺炎の主な原因菌である。これは、膣炎及び骨盤炎症性疾患としてのSTD、そして男性で尿道炎形態のSTDと鑑別するために重要である。大腸菌は、通常、尿の培養検査で確診するが、48−72時間以上の長時間が必要という短所がある。大腸菌を分析するDNAチップは、まだ商業化していない。本発明では、STDとの速やかな鑑別診断のために、DNAチップキットに含めた。
【0035】
STDの診療において、もう1つの深刻な問題は、抗生剤耐性である。代表的なSTD細菌である淋菌の場合、通常、ベータ−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤であるペニシリン、アンピシリン、セファロスポリン、そしてテトラサイクリン系抗生剤であるオキシテトラサイクリン、そしてキノロン系抗菌剤が選択されるところ、最近、これら抗生剤に抵抗する淋菌が急増している実情がある。同様に、クラミジア感染の場合にも、テトラサイクリン系抗生剤やキノロン系抗生剤が選択される傾向があるが、これもまた耐性菌が急増する傾向にある。よって、このような耐性を同時に正確に分析することができる遺伝子診断法、特に、DNAチップが必要であるが、あまりない。
【0036】
このような遺伝子診断法が、臨床で実際に診断に役立つためには、具備すべき条件が多い。先ず、診断の感度(sensitivity)と特異度(specificity)及び再現性(reproducibility)が全て100%に近づくように優れていなければならない。併せて、検査の方法が容易で、解釈しやすく、利便性が高くなければならず、更に、速やかに結果を得ることが可能でなければならない。更に、特別な高価な装備がなくても検査が可能でなければならず、検査が自動化していて、多数の検体を速やかに検査可能でなければならず、検査コストも安価でなければならない。このために、PCRは、なるべく対象細菌のいくつかを1つのチューブ内で一度のPCR反応で増幅して検査することができるマルチプレックス型のPCRである必要がある。併せて、PCRの際、各対象細菌が菌株のレベルまで正確に識別できるように、検査対象遺伝子と塩基序列部位が適切に選択されなければならず、これに合わせて、最適のPCR条件が確立されなければならない。しかし、今までSTDの主要原因菌と関連菌の14種類を同時に検出することができるDNAチップ、多重PCRに対する報告はなく、更に、このようなPCRキットはまだ商業化していない。
【0037】
更に、PCRは、単に標的核酸の増幅手段であり、それのみで細菌診断を確診することはできない。PCR後には、増幅された産物が所望の細菌のDNAであるか否かを正確に確認する手続きが必ず必要である。併せて、なるべく細菌の遺伝子型を正確に読み取り、抗生剤耐性や生物学的侵害度、予後などが正確に予測できる検査も更に必要である。このためには、各種のSTD原因菌を同時に正確かつ速かに分析し、その他の疾患と鑑別し、更に、抗生剤耐性などの情報も共に知ることができるDNAチップの開発が緊急に望まれる。
【0038】
これにより、本発明では、前記の14種のSTD菌の属と種だけでなく、亜種まで全部正確に探知することができ、更に、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤の耐性も分析することができる、性感染症の原因菌の探知又は遺伝子型の分析用のDNAチップ、キット、及びこれを利用した探知又は分析方法を開発し、実際の診断に利用できるようにした。
【0039】
一方、これまでに本発明者らは、淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム及びマイコプラズマ・ジェニタリウムの存在有無を同時に分析することができ、これらの菌のテトラサイクリン抗生剤に対する耐性も分析することができる多重PCRとオリゴヌクレオチドマイクロアレイを開発して、特許(韓国特許登録 第619189号)を獲得して、商品化に成功している。
【0040】
本発明は、ここから一歩進み、更にマイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、梅毒菌であるトレポネマ・パリダム、軟性下疳のヘモフィルス・デュクレイ、陰部ヘルペスの原因であるヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリスの7個のSTD原因菌と共に、STDと鑑別しなければならない細菌であるカンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス及び大腸菌の存在有無と、更に、テトラサイクリン及びベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性が速やかかつ正確に分析できる遺伝子分析型DNAチップと多重(multiplex)PCR分析キットを更に開発したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本発明の目的は、STDの重要原因及び関連菌である淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス及び大腸菌の存在の有無だけでなく、テトラサイクリン系抗生剤とペニシリン、アンピシリン、セファロスポリンなどのベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性をそれぞれ速やかかつ正確に診断することができる、遺伝子分析用のDNAチップ、キット及びその方法を提供し、これを実際の臨床診断に応用することにある。本発明によると、代表的STD原因及び関連菌を全部速やかかつ正確に自動分析することができるだけでなく、治療抗生剤の選択にも役立つ。
【0042】
本発明の解決しようとする課題及び目的を更に具体的にすると、次の通りである。
【0043】
第一に、STDの重要原因及び関連菌である淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス、大腸菌のゲノム又はクリプティック・プラスミドの遺伝子と、STD菌のテトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤の耐性に関与する遺伝子を、少数のPCR反応で同時に増幅して分析することができる多重PCR法を提供することである。
【0044】
第二に、前記14種の菌の遺伝子とテトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤耐性遺伝子とヒトベータグロブリンの遺伝子を多重PCRで増幅するための効果的なプライマーを提供することである。
【0045】
第三に、前記14種の菌に特異的な各遺伝子と対照遺伝子及び抗生剤耐性遺伝子を更に正確に検出することができるオリゴヌクレオチドプローブを提供することである。
【0046】
第四に、前記プローブが集積されている、前記14種の菌と抗生剤耐性遺伝子の探知及び遺伝子型の分析用のDNAチップを提供することである。
【0047】
第五に、前記プローブを含む、前記14種の菌と抗生剤耐性遺伝子の探知及び遺伝子型の分析用のキットを提供することである。
【0048】
第六に、前記プローブを用いた、前記14種の菌と抗生剤耐性遺伝子の探知及び遺伝子型の分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明の性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップは、序列番号37乃至66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含むことが好ましい。更に、前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、ヒトベータグロブリン遺伝子と相補的に結合する。
【0050】
本発明のDNAチップにおいて、前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、5’末端がCy5で標識された序列番号67の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドと相補的に結合する。
【0051】
本発明のDNAチップにおいて、プローブを集積することができる集積部位(well)が8個に区切られていることが好ましい。
【0052】
本発明の性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキットは、前記DNAチップ、性感染症の原因菌由来のDNAを増幅するためのプライマーセット、及び前記DNAチップと相補的に結合する増幅されたDNAを検出するための標識手段を含むことが好ましい。
【0053】
本発明のキットにおいて、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌(coliform bacteria)核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス(herpes simplex virus)核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus;HPV)核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、又は序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットを含むことが好ましい。
【0054】
本発明のキットにおいて、標識手段は、Cy5、Cy3、バイオチン結合物質、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレン硫酸)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン及びテキサスレッドからなる群で1つ以上選択されることが好ましい。
【0055】
本発明のキットにおいて、標識手段がCy5である時、標識されたdCTPと標識されていないdCTP間のモル濃度比を1:12.5として反応させることが好ましい。
【0056】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法は、(a)性感染症の原因菌の核酸増幅用プライマーを用いて、前記DNAを単一(single)又は多重(multiplex)PCR増幅法によって増幅するステップ;(b)請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係るDNAチップに、前記増幅されたDNAをハイブリッドさせるステップ;及び(c)前記ハイブリッドによって得られた混成化物を検出するステップを含むことが好ましい。
【0057】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、単一又は多重PCR増幅法は、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、及び序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットからなる群で選択される1つ以上のプライマーセットを用いることが好ましい。
【0058】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、単一又は多重PCR増幅法は、(a)前記プライマーセットを鋳型DNA、Taq DNA合成酵素、dNTP、蒸溜水及びPCRバッファーと混合するステップ;(b)前記混合物を95℃で10分間予備変成するステップ;(c)前記予備変成された産物を94℃で30秒間変成し、58℃で30秒間プライマーアニーリングし、72℃で30秒間延長することを全40回繰り返すステップ;及び(d)前記延長された産物を72℃で5分間最終延長するステップを含むことが好ましい。
【0059】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、多重PCR増幅法は、序列番号1と序列番号2の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号3と序列番号4の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号5と序列番号6の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号7と序列番号8の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号9と序列番号10の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号11と序列番号12の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号13と序列番号14の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号15と序列番号16の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1:1:1:1であることが好ましい。
【0060】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、多重PCR増幅法は、序列番号17と序列番号18の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号19と序列番号20の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号21と序列番号22の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号23と序列番号24の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号25と序列番号26の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることが好ましい。
【0061】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、多重PCR増幅法は、序列番号27と序列番号28の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号29と序列番号30の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号31と序列番号32の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号33と序列番号34の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号35と序列番号36の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることが好ましい。
【0062】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、序列番号1と序列番号2のプライマーセットによるPCR産物が419bp、序列番号3と序列番号4のプライマーセットによるPCR産物が373bp、序列番号5と序列番号6のプライマーセットによるPCR産物が333bp、序列番号7と序列番号8のプライマーセットによるPCR産物が321bp、序列番号9と序列番号10のプライマーセットによるPCR産物が284bp、序列番号11と序列番号12のプライマーセットによるPCR産物が262bp、序列番号13と序列番号14のプライマーセットによるPCR産物が207bp、序列番号15と序列番号16のプライマーセットによるPCR産物が148bpのサイズであることが好ましい。
【0063】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、序列番号17と序列番号18のプライマーセットによるPCR産物が467bp、序列番号19と序列番号20のプライマーセットによるPCR産物が439bp、序列番号21と序列番号22のプライマーセットによるPCR産物が350bp、序列番号23と序列番号24のプライマーセットによるPCR産物が260bp、序列番号25と序列番号26のプライマーセットによるPCR産物が191bpのサイズであることが好ましい。
【0064】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、序列番号27と序列番号28のプライマーセットによるPCR産物が679bp、序列番号29と序列番号30のプライマーセットによるPCR産物が412bp、序列番号31と序列番号32のプライマーセットによるPCR産物が291bp、序列番号33と序列番号34のプライマーセットによるPCR産物が208bp、序列番号35と序列番号36のプライマーセットによるPCR産物が152bpのサイズであることが好ましい。
【0065】
本発明者らは、検査しようとする14種の菌の遺伝子と5種の抗生剤耐性遺伝子及びヒトベータグロブリン遺伝子に対してそれぞれ検査する遺伝子とその部位を決定し、これを増幅するために必要なPCRプライマーを考案し(実施例1)、対照群菌株と各菌株の標的遺伝子のDNAクローンを確保し(実施例2)、臨床検体の採取及び貯蔵法を確立し(実施例3)、検体からのDNA分離法を確立し(実施例4)、細菌の標的遺伝子に対する単一PCRの条件を確立し(実施例5)、臨床検体で単一PCR及びシーケンシングを行い、その結果をデータベース化し(実施例6と7)、14種の菌と5種の抗生剤耐性遺伝子、そしてヒトベータグロブリン遺伝子に対する多重PCRの条件を確立し(実施例8)、人体検体で前記マルチプレックス分析を行うことにより、その分析方法の適正性を判断し(実施例9)、前記14個の菌と5個の抗生剤耐性遺伝子、そしてヒトベータグロブリン遺伝子のハイブリダイゼーション分析のためのプローブのデザインとこれを用いたDNAチップを製作し(実施例10と11)、標準物質を前記DNAチップを用いて分析した後、その分析条件を確立し(実施例12)、前記DNAチップを用いて臨床検体を分析して、前記14種の菌の感染有無の診断だけでなく、感染した菌の遺伝子型を判別して抗生剤耐性も把握できることを確認し(実施例13)、本発明を完成することに至った。
【0066】
本発明のDNAチップによると、標的細菌の遺伝子別に5乃至7個のプローブが使用できるため、標的遺伝子別に1つのプローブを用いて検出する場合に伴われる假陰性と假陽性を避け、診断感度と特異度を極大化することができる。
【0067】
本発明のDNAチップによると、ヒトベータグロブリン、アクチン又はグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子を基準マーカーとして更に含むことができ、前記基準マーカーがベータグロブリンである場合には、好ましくは序列66に示した塩基序列を有する。基準マーカーを用いることにより、DNAチップでのハイブリッド化反応、以前過程であるDNA分離過程及びPCR増幅過程が適していたかを検証し、假陰性を把握することができる。
【0068】
本発明のDNAチップによると、ベータラクタム系とテトラサイクリン系抗生剤耐性遺伝子を共に分析して、STDの治療に最も広く用いられる抗生剤に対する耐性を予め正確に把握し、治療方針の決定と治癒に役立つことができる。前記ベータラクタム系とテトラサイクリン系抗生剤遺伝子のプローブは、好ましくは序列番号56乃至65の塩基序列を有する。
【0069】
本発明のDNAチップの製造方法は、STD原因菌の核酸と相補的に結合することができる塩基序列の5’末端にアミンが結合したDNAプローブを製造する工程;製造されたDNAプローブをアルデヒドが結合した固体の表面に結合する工程;及び前記DNAプローブが結合した固体表面に存在するアミンと結合しないアルデヒドを還元する工程を含む。前記固体の表面でのプローブDNAとアルデヒドの結合は、アミンとアルデヒドのシッフ塩基反応を通して行われ、前記固体は、ガラス、シリコン二酸化物、プラスチック又はセラミックから選択され得る。
【0070】
本発明のDNAチップを含むキットは、序列番号1乃至序列番号36の塩基序列からなる群から選択されたSTD原因菌の増幅用プライマーと標識手段を含み、ヒトベータグロブリンとプライマーを更に含む。
【0071】
前記標識手段は、公知の様々な標識物を用いることができ、例えば、Cy5、Cy3、バイオチン結合物質、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレン硫酸)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン又はテキサスレッドを用いることができる。Cy5を用いて標識する場合、標識された反応物を検出する際、追加の反応なしで、直接に共焦点レーザースキャナーのような分析機を用いて蛍光信号を分析することができ、効率的で高感度な結果が得られる。
【発明の効果】
【0072】
本発明に係るDNAチップとキットを用いると、STDの原因及び関連菌の中で、最も重要な14種の菌である淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス、大腸菌の感染有無と、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性を正確かつ速かに同時に検出することができる。更に、本発明によると、STD診断の感度や特異度、再現性が全て100%に近い結果が出るほど優れており、複合感染も正確に診断することができ、検査の方法が簡便で、結果解釈も容易であり、短い時間内に多数の検体を速やかかつ正確に自動分析することができるという点で、既存の方法より優れており、経済的である。よって、本発明は、STDの1次検出や確診と抗生剤の選択及び治療方針の決定、治療後の追跡調査などのために広く用いられ、既存の培養や染色、免疫学的検査、そしてPCR、ハイブリッド キャプチャー分析法(hybrid capture assay)などの商業化したDNAチップ及びキットを代替することができるため、医学産業において非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1Aは、本発明のDNAチップの写真であって、1つのスライド上にDNAプローブの集積部位(well)が8個に区切られ、それぞれ相異なる検体を載せて同時に検査できるようにした。図1Bは、STD原因菌の14種のゲノム遺伝子やプラスミド遺伝子の遺伝子型と抗生剤耐性遺伝子の遺伝子型を分析することができるDNAプローブの集積順序及び位置を示す模式図である。図1Cは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus type 1)によって多重感染され、ペニシリン系抗生剤及びテトラサイクリン系などの抗生剤に対する耐性遺伝子を含むSTD多重感染検体の遺伝子型を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図2】図2は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のクリプティック・プラスミドpJD1に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図3】図3は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のクリプティック・プラスミドpUCH1に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図4】図4は、マイコプラズマ・ホミニス(mycoplasma hominis)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図5】図5は、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図6】図6は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の18SリボソームRNA(18s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図7】図7は、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)のUreB遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図8】図8は、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)のrepeated DNA target遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図9】図9は、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)の16S−23SリボソームRNA(16s−23s rRNA)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図10】図10は、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)1型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図11】図11は、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)2型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図12】図12は、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図13】図13は、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)の47KDa antigen遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図14】図14は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL1遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図15】図15は、大腸菌(coliform bacteria)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図16】図16は、β−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤耐性のSHV遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図17】図17は、β−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤耐性のTEM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図18】図18は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図19】図19は、β−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤耐性のAmpC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図20】図20は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図21】図21は、8種のSTD原因菌を単一又は多重PCRし、その産物を電気泳動したものであって、lane1乃至9は、それぞれ100bpサイズマーカー、ガードネレラ・バギナリス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ホミニス、クラミジア・トラコマチス、淋菌、トリコモナス・バギナリス、マイコプラズマ・ジェニタリウム、カンジダ・アルビカンス遺伝子に対する単一PCR産物であり、lane10は、前記8種のSTD原因菌遺伝子を多重PCRした産物を示す。
【図22】図22は、6種のSTD原因菌を単一又は多重PCRし、その産物を電気泳動したものであって、lane1乃至7は、それぞれ100bpサイズマーカー、大腸菌、ヘルペスシンプレックスウイルス1型、ヘルペスシンプレックスウイルス2型、ヘモフィルス・デュクレイ、トレポネマ・パリダム、ヒト乳頭腫ウイルス遺伝子に対する単一PCR産物であり、lane8は、前記6種のSTD原因菌遺伝子を多重PCRした産物を示す。
【図23】図23は、5種の抗生剤耐性遺伝子を単一又は多重PCRし、その産物を電気泳動したものであって、lane1乃至6は、それぞれ100bpサイズマーカー、SHV遺伝子、TEM遺伝子、TetM遺伝子、AmpC遺伝子、TetC遺伝子に対する単一PCR産物であり、lane7は、前記5種の抗生剤耐性遺伝子を多重PCRした結果である。
【図24】図24は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のplasmid pJD1遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図25】図25は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のクリプティック・プラスミドDNAに対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図26】図26は、マイコプラズマ・ホミニス(mycoplasma hominis)の16s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図27】図27は、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)の16s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図28】図28は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の18s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図29】図29は、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)のUreB遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図30】図30は、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)のrepeated DNA target遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図31】図31は、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)の16s−23s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図32】図32は、ヘルペスシンプレックスウイルス1型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図33】図33は、ヘルペスシンプレックスウイルス2型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図34】図34は、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)の16s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図35】図35は、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)の47KDa antigen遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図36】図36は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL1遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図37】図37は、β−ラクタム系抗生剤耐性のSHV遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図38】図38は、β−ラクタム系抗生剤耐性のTEM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図39】図39は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図40】図40は、β−ラクタム系抗生剤耐性のAmpC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図41】図41は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図42】図42は、淋菌、クラミジア・トラコマチス、マイコプラズマ・ジェニタリウム及びガードネレラ・バギナリスに複合感染された検体に対して多重PCRを行った後、その産物を本発明のDNAチップで遺伝子型を分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図43】図43は、ヘルペスシンプレックスウイルス2型及びトレポネマ・パリダムに複合感染された検体に対して多重PCRを行った後、その産物を本発明のDNAチップで遺伝子型を分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図44】図44は、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤に複合耐性を有している検体であって、TEM、TetM、AmpC遺伝子を内包している検体に対して多重PCRを行った後、その産物を本発明のDNAチップで遺伝子型を分析した蛍光スキャナーイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本発明の構成及び効果を立証するための実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0075】
実施例1:PCRプライマーの考案
核酸増幅、特に、PCR増幅での成功は、プライマーが自身のターゲット序列のみにアニーリングする特異性に依存するため、プライマーがこれの完全な相補体のみにアニーリングするか、又は1つ以上のミスマッチ(mismatch)ヌクレオチド序列を有する序列にもアニーリングするか否かは、アニーリング温度によって決定される。
【0076】
一般に、アニーリング温度が高いと、完全なマッチ(match)鋳型に対するプライマーの特定アニーリングの可能性が更に高くなり、これによってターゲット序列のみが増幅される可能性が更に高くなる。アニーリング温度が低いと、鋳型とプライマーとの間のより多いミスマッチに対して耐性(tolerance)が発生し、結局、非ターゲット序列に対する増幅が増加する。アニーリング温度を調節すると、鋳型とプライマーとの間のペアリング特異性を変化させることができる。例えば、1つのプライマーのみに存在する対照群で生成物が発生すると、このような結果は、前記単一プライマーが鋳型の1つ以上の部位にアニーリングするということを意味する。このような場合、アニーリング温度を上昇することが好ましい。プライマーのアニーリング特異性に対するアニーリング温度の前記効果を考慮すると、アニーリング温度によってプライマーアニーリングを調節することができ、プライマーデザインに関係なく、プライマーのアニーリング特異性を改善することができるアニーリング調節プライマーシステムが強く求められていることが分かる。
【0077】
よって、検査しようとする14個の原因菌の遺伝子及び抗生剤耐性遺伝子別に検査する遺伝子部位を決定し、これをPCRで増幅するために必要なオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを考案した。その方法は、次の通りであり、それぞれのプライマーの特性は、下記表2に纏めた。
【0078】
【表2】
【0079】
検査する遺伝子部位は、細菌の系統(phylogeny)の把握に最も広く用いられる16S rRNAや23S rRNA、又は両者の中間及び境界部位で一次的に選択した(Olsen GJ等 Ribosomal RNA:a key to phylogeny. FASEB 1993;7:113−123;Lane DJB等、Proc Natl Acad Sci USA. 1985;92:6955−9)。
【0080】
この際、PCR増幅部位の基準として、5’末端には、あらゆる細菌及び同一属の細菌に同一の塩基序列の、いわゆる保存的部位(highly conserved region)を置いて、標的細菌の種(genus)に特有な塩基序列を基本とした。もし、16S rRNAや23S rRNA、16S−23Sの間の部位に適切な塩基序列がない場合は、その他の部位で標的細菌に特有な固有の遺伝子と固有の塩基序列を選択して分析することができる。例えば、淋菌の場合、Neisseria gonorrhoeaeとNeisseria meningitidisの16S rRNAの類似性は98%以上で、臨床検体で16S rRNA遺伝子に特異なプライマーを用いてNeisseria gonorrhoeaeのみを検出するPCR反応を行うことはかなり難しいことである。実際に、本発明者らがNeisseria gonorrhoeaeの感染が疑われる多くの臨床検体を対象としてPCR反応を行ってDNA塩基序列を分析した結果、全検体の約8%はNeisseria gonorrhoeaeでなくNeisseria meningitidis菌が検出された。よって、本発明では、偽陽性を検出する可能性があるNeisseria gonorrhoeaeの16S rRNAに特異的に反応するプライマーの代わりに、Neisseria gonorrhoeaeのクリプティック・プラスミド(cryptic plasmid) pJD1に特異的に反応するプライマーを用いた。
【0081】
Ureaplasma urealyticumとUreaplasma parvumの16S rRNAは、99%以上の相同性を示す。淋菌の場合のように、Ureaplasma urealyticumの16S rRNAに特異的に反応するプライマーを用いた場合、Ureaplasma urealyticumをUreaplasma parvumと区分して、選択的に検出することは難しいため、本発明では、2つの菌種間の区分が可能なUreB遺伝子に特異的に反応するプライマーを用いた。
【0082】
Chlamydia trachomatisは、同じ属のChlamydia muridarum、Chlamydia suis、Chlamydophila caviaeの16S rRNAとそれぞれ98%、97%そして95%の相同性を示す。Chlamydia trachomatisを特異的に検出するために、本発明では、Chlamydia trachomatisのクリプティック・プラスミドであるpUCH1に特異的に反応するプライマーを製作した。
【0083】
Mycoplasma hominisとMycoplasma genitaliumの16S rRNA相同性は、同じMycoplasma属の中でも多少低い75%レベルであるが、保存部位に特異的に反応するプライマーを用いた場合、M.hominisとM.genitaliumは区別検出が可能であるが、他のMycoplasma属とUreaplasma属を検出する恐れがあるため、M.hominisとM.genitaliumの菌種をより正確に検出するために、16S rRNAの保存部位でなく非保存部位で各菌種に特異的に反応するプライマーを用いた。
【0084】
実施例2:対照群菌株と検体及びそのクローンの確保
検査しようとする14個の原因菌及び抗生剤耐性遺伝子別に標準的な陽性対照群の菌株及びDNAをアメリカのATCC社(Manassas、VA20108、USA.)から購入し、これと共に既に各細菌の感染が確認された検体及び抗生剤耐性遺伝子を内在した抗生剤耐性検体を得た。これらからDNAを分離した後、それぞれ原因菌別に検査しようとする標的遺伝子部位をPCRで増幅した後、クローニングとシーケンシング反応で確認して、それぞれに対するプラスミドクローンを確保した。
【0085】
クローニング実験方法は、次の通り、公知の方法を用いており、PCRの方法は、以後の実施例と重複されるため、ここでは記述を省略する。
【0086】
1)PCRで増幅した14個のSTD原因菌の各遺伝子とヒトベータグロブリン遺伝子のPCR産物をアガロースゲルでGel recovery kit(Zymo Research、USA)を用いて分離した後、その濃度を分光光度計やアガロースゲルの密度測定分析(densitometry)で測定した。
【0087】
2)冷凍保管していたpGEM−T Easy Vector(Promega、A1360、USA)と2x Rapid Ligation Bufferを溶かして、指先でチューブを軽く振って混ぜた後、軽く遠心分離をして、クローニングしようとする挿入DNAと共に下記表3の組成でライゲーション反応(ligation reaction)を0.5mlチューブで実施した。
【0088】
【表3】
【0089】
3)各反応液をピペットでよく混ぜた後、室温で約1時間ライゲーション反応をする。多数の形質転換産物(transformants)が必要な場合は、4℃で一夜間反応することもできる。
【0090】
4)ライゲーションされたサンプルは、零下70℃に保管したJM109宿主細胞(competent cell)(=1x108cfu/μg DNA)50μlを用いて、形質転換(transformation)を試みた。
【0091】
5)先ず、1.5mlチューブに、前記から得たライゲーション反応産物(ligate)2μlを入れ、直前に解凍した宿主細胞(competent cell)50μlを更に入れてよく混ぜた後、氷槽(ice bath)で20分間反応をさせた。
【0092】
6)細胞を42℃の恒温水槽に入れ、45−50秒間の熱衝撃(heat shock)を与え、直ちに、再び氷の中に入れて2分間放置した。
【0093】
7)ここに、室温に合わせたSOC培地950μlを入れ、37℃の振とう器(shaking incubator)内で約1時間半の培養をした。
【0094】
8)培養液の約100μlをアンピシリン、IPTG、X−Galが含まれたLBプレートに塗布した後、プレートをひっくり返して37℃に合わせた培養器内で16−24時間培養をした後、コロニー数を測定(colony counting)し、白色のコロニー(white colony)のみを選択して3ml LB/アンピシリン培養液で培養した後、DNAミニプレップ法(mini prep.)でプラスミドDNAを分離精製した。以後、PCR及び制限酵素(restriction enzyme)切断反応を用いて、挿入DNAが正しく入ったかを確認し、このようにして得られたクローンの塩基序列を自動塩基序列分析機を用いて分析した。
【0095】
陽性対照群の菌株と確保したプラスミドクローンの特徴は、下記表4に纏めた。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例3:臨床検体の採取
人体で、尿道や子宮頸部、口腔の分泌物(discharge)及び細胞を綿棒や細胞ブラシで採取して得たスワブ検体、尿、尿道洗浄液、前立腺液などの様々な検体を採取した後、運搬して、検査する時まで貯蔵する適正な方法を確立した。ここで、男性尿の採取は、伝統的な3杯試験(3−glass test)により、VB(voided bladder)1とVB2、VB3及び前立腺分泌液(expressed prostatic secretion、EPS)に分けて採取した。VB1は、排尿の際、最初に出る10−20mlの尿、すなわち初尿(early stream urine)を示す。VB2は、排尿の中間に出る中間尿(mid−stream urine)を示す。前立腺分泌液は、前立腺マッサージをした後に尿道から出る分泌液を示す。VB3は、前立腺マッサージをした後に排尿させ、一番初めに出る尿の10−20mlを示す。ここで、VB1は尿道の検体、VB2は膀胱の検体、VB3は前立腺の検体を代替する。
【0098】
検体採取方法とこれに用いられる道具、そして検体の運搬及び保管方法は、次の通りである。本STD検査において、標準検体は、男性の場合、尿道スワブ検体と初尿(VB1)検体とし、必要に応じて尿道分泌物や前立腺マッサージ後の尿(VB3)を追加した。これに対し、女性の場合は、子宮頸部のスワブ乃至スクレイプ(scrape)検体を標準検体とし、これに、必要に応じて膣(vagina)のスワブや分泌物、尿を追加した。これに、同性愛者や売春婦の場合は、追加で直腸及び肛門と口腔からも検体を得ることができる。
【0099】
男性において尿道のスワブ検体を得る際は、先端に綿やブラシが付いている滅菌した綿棒を尿道口の2−3cm内側に挿入し、左右に回し、尿道内の分泌物及び細胞が十分集積(collect)されるようにして採取した。更に、女性において子宮頸部のスワブ検体を得る際は、先端にブラシが付いている滅菌した綿棒を子宮頸部の内部に挿入し、左右に回し、分泌物及び細胞が十分集積されるようにして採取した。ここで、スワブ採取用道具としては、COPAN社(COPAN innovation、USA)の綿棒やサンア・メディカル(ソウル、大韓民国)のPap−brush、又はこれに準ずる製品を用いる。以後、滅菌した検体保管溶液が入っている、ネジ蓋(screw cap)があるチューブ内に綿棒の綿部分やブラシの部分を入れて移動及び保管した。
【0100】
尿やスワブ検体などの採取した検体は、なるべく採取後48時間以内に分析室に運搬されるべきであり、運送中にはなるべく冷蔵温度を維持しなければならない。このようにしなければ、遺伝子増幅が難しい細菌の分離が容易でなく、成長が早い細菌の場合、過成長を抑制することができないためである。
【0101】
検体採取容器内には、滅菌状態の検体保管溶液を予め満たしておく。その組成は、37%乃至40%ホルムアルデヒド100mlにメタノール15ml、6.5gのNa2HPO4、4.0gのNaH2PO4を混合した後、3次滅菌蒸溜水を添加して、最終容積1リットルとした。
【0102】
尿検体の場合、滅菌したノコギリ型蓋がある容積30mlのチューブに、前記の方法の通り採取した新鮮な尿10ml乃至20mlを入れて移動して4℃に保管しておいてから検査する。又は、遠心分離して、細胞沈殿層を得て−70℃に保管しておいてから、DNAを分離するようにした。
【0103】
実施例4:DNA分離
前記実施例3の様々な人体検体から商業化したキットを用いて、次のようにDNAを分離及び精製した。
【0104】
<尿検体>
50mlコニカルチューブに尿を入れ、3,000rpmで30分間遠心分離をした後、上澄液を捨て、ペレットに200乃至500μlのPBSで溶かした後、1.5ml微細遠心分離機で2分間遠心分離して、次の過程を進行した。
【0105】
<膣スワブ、尿道バルボタージュ(barbotage)、尿道スワブ、前立腺分泌液、尿道分泌物又は精液検体>
1.5mlチューブに採取したサンプル0.8mlを移し、微細遠心分離機に入れ、12,000rpmで2分間遠心分離して、細胞を沈める。上澄液を除去し、500μl 1x PBSを添加した。Vortexを用いて細胞を溶液とよく混ぜる。12,000rpmで2分間遠心分離し、上澄液を除去した。200μlのBuffer TLを添加した。20μlのProtease Kを添加した後、ボルテックス(vortex)を用いてよく混合した。恒温槽56℃で30分間静置反応した。反応が終わったチューブは、8,000rpm以上で約10秒spin downして、蓋に付いている溶液を集める。400μl Buffer TBを添加して、よく混合する。8,000rpm以上で約10秒スピンダウン(spin down)して、蓋に付いている溶液を集める。スピンカラムをコレクションチューブに装着した後、前記の反応液をスピンカラムに入れる。8,000rpmで1分間遠心分離した。カラムを通過したろ液は捨て、再び、コレクションチューブを装着した。700μlのバッファーBWを添加し、8,000rpmで1分間遠心分離した。カラムを通過したろ液は捨て、再びコレクションチューブを装着した。500μlのバッファーNWを添加し、12,000rpmで3分間遠心分離した。カラムを通過したろ液は捨て、新しい1.5mlチューブを装着した。200μlのBuffer AEや精製水をカラムの中央に添加し、2分間室温で放置した。8,000rpmで1分間遠心分離した。抽出したゲノムDNAは、直ちにPCRに用いるか、又は長期間の保存時には−20℃で保管することができる。抽出したゲノムDNAは、0.8%アガロースゲルに電気泳動して、UV下で確認可能である。DNA濃度を20ng/μl程度で得た場合、その中で3μlをPCR反応に用い、3%アガロースゲル上でDNAバンドが見えない場合は6μlを用いた。
【0106】
実施例5:単一PCRの条件確立のためPCR
滅菌した3次蒸溜水、実施例3の検体保管溶液、そして感染の症候のない正常成人男性の新鮮な尿(VB1)に、実施例2で確保した各細菌別に検査する標的遺伝子のプラスミドクローンを10個、100個、1,000個、10,000個ずつという多様な数のコピー(copy)で混合して人工検体を作った後、それぞれの菌別に標的遺伝子に対して単一(single)PCRを複数回繰り返して行い、単一PCRの適正条件を確立した。PCRの際には必ず内部参照遺伝子であるヒトベータグロブリン遺伝子のPCRも共に行った。併せて、後の多重PCRを考慮して、各PCR産物のサイズが互いに明確に異なるように考案し、これに対し、アニーリング温度は互いに大差がないように考慮した。
【0107】
本発明で考案したプライマーを用いる場合、検体溶液1ml当たり10個乃至100個以上のコピー(copy)数のプラスミドクローンが含まれていると、常に検出が可能である。PCRをした後、その産物を3%アガロースゲルで電気泳動をして確認した結果を、図1乃至図5に例示した。
【0108】
本発明のPCR法において、反応液の組成と条件を下記表5に纏めた。
【0109】
【表5】
【0110】
実施例6:臨床検体に対する単一PCR
STDの罹患が疑われ、韓国内の病院の泌尿器科及び産婦人科外来に来院した541人の成人男女患者と、性感炎の症候のない成人男女103人で、実施例3の方法により、初尿(VB1)や尿道、子宮頸部のスワブなどから得た様々な検体を採取し、実施例4の方法で、DNAを分離し、実施例5の方法により、単一PCRを行った。
【0111】
実施例7:臨床検体のPCR産物のシーケンシング
前記実施例6のPCR産物は、ABI Prism BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction kit version 1.1(Perkin Elmer Biosystems、USA)を用いてシーケンシング反応を行った後、ABI 3130xl自動塩基序列分析機(Perkin Elmer、USA)で塩基序列を分析した。これは次の順序からなる。
【0112】
(1)各検体から得たPCR産物をシーケンシング反応の鋳型として用いるために、最も適した濃度に合わせる。例えば、100−200bpの長さであれば、1−3ng/μlが必要で、200−500bpの長さであれば、3−10ng/μlほどが必要である。
【0113】
(2)厚さが薄い(thin wall)微細遠心分離機チューブに、各PCR産物1μlとプライマー2pmol、Dye terminator ready reaction mix 8μlを入れ、最終10μlになるように、滅菌蒸溜水を入れて、軽くよく混合する。
【0114】
(3)前記(2)の混合物を96℃で10秒、50℃で5秒、更に60℃で4分間ずつ、総25周期、ジーンアンプ2700(PE Biosystems、USA)を用いて、サイクルシーケンシング(cycle sequencing)反応を行う。
【0115】
(4) 1.5mlマイクロチューブにPPT溶液(Absolute EtOH 250ml、3M NaOAc 10ml、DW 50ml)62μlを分注しておいて、ここに得られたPCR反応物を入れ、ボルテックスでよく混ぜた後、−20℃で15分間放置した後、14℃の13,000rpmで5分間遠心分離を行い、蛍光標識したDNAのみを沈殿させる。上澄液を注意して除去した後、洗浄液(70% EtOH)170μlを添加して、再度遠心分離をし、上澄液を除去、塩を除去した後、60℃のヒートブロック(Heat block)を用いて、約3分間乾かす。
【0116】
(5)前記(4)で得られたDNAにHi−Di 10.1μlを添加して、ボルテックスで30乃至60秒間混ぜる。このうち10μlを新しい0.2mlストリップ(strip) PCRチューブに入れ、95℃で2分、4℃で3分くらい反応を行って準備する。
【0117】
(6)ABI 3130xl序列分析機(sequencer)を用いてキャスティングしたプレートの各ウェルに前記(5)の変成DNA検体を入れ、2−4時間電気泳動を行った後、塩基序列を分析する。
【0118】
本シーケンシング分析により、STDの14個の原因菌及び抗生剤耐性遺伝子の検出のための単一PCRの適正性の有無を確認し、これらの検査結果から、韓国人においてSTDの14個の原因菌の分子力学と遺伝子型に対するデータベースを確立した。このようにして、PCRとシーケンシングでSTD感染の有無と原因菌が確認された検体は、以後多重PCRとDNAチップの価値分析に用いた。
【0119】
実施例8:多重PCRの条件確立
滅菌した3次蒸溜水、実施例3の検体保管溶液、そしてSTDの症候のない正常成人男性の新鮮な尿に実施例2で確保した各細菌別の特異遺伝子のプラスミドクローンを1種類から4種類まで10個、100個、1,000個、10,000個の様々なコピー数で混合して人工検体を作った後、これに14種の菌及び抗生剤耐性遺伝子別の標的遺伝子のプライマーを共に1つのチューブ内に入れて一気にPCRを行う多重PCRを行った。
【0120】
多重PCRにおいて、反応液の組成と反応条件は下記表6、7、8及び9に纏めた。本多重PCR後のその産物は、1.5乃至2.0%アガロースゲルで電機泳動して確認した(図21乃至23)。PCR産物の電気泳動イメージを見ると、先ず、図21はSet A(8Plex)であって、順にガードネレラ・バギナリスのPCR産物が419bp、ウレアプラズマ・ウレアリチクムのPCR産物が373bp、マイコプラズマ・ホミニスのPCR産物が333bp、クラミジア・トラコマチスのPCR産物が321bp、淋菌のPCR産物が284bp、トリコモナス・バギナリスのPCR産物が262bp、マイコプラズマ・ジェニタリウムのPCR産物が207bp、カンジダ・アルビカンスのPCR産物が148bpであることが分かる。更に、図22はSet B(5Plex)であって、大腸菌16s RNAのPCR産物が467bp、ヘモフィルス・デュクレイのPCR産物が439bp、ヘルペスシンプレックスウイルスのPCR産物が350bp、トレポネマ・パリダムのPCR産物が260bp、ヒト乳頭腫ウイルスのPCR産物が191bpであることが分かる。本発明によると、14個の原因菌遺伝子のDNAが様々に混合されたあらゆる場合に、一度の多重PCRで正確に検出が可能であった。更に、図23はSet C(5Plex)であって、SHV増幅用プライマーセットのPCR産物が679bp、TEM増幅用プライマーセットのPCR産物が412bp、TetM増幅用プライマーセットのPCR産物が291bp、AmpC増幅用プライマーセットのPCR産物が208bp、TetC増幅用プライマーセットのPCR産物が152bpであることが分かる。本発明によると、抗生剤耐性遺伝子のDNAが様々に混合されたあらゆる場合に、一度の多重PCRで正確に検出が可能であった。この際、検体1ml当たり10個乃至100個のコピーの相異なる細菌遺伝子のプラスミドクローンが含まれていると、常に識別が可能であった。
【0121】
【表6】
【0122】
【表7】
【0123】
【表8】
【0124】
【表9】
【0125】
実施例9:臨床検体に対する多重PCR
前記実施例7で単一PCR及びシーケンシング分析でSTD感染の有無と原因菌が予め確認されている検体DNAを対象として、前記実施例8で確立した方法の通り多重PCRを行った。
【0126】
検査対象に含めたDNA検体としては、単一PCR法とシーケンシング法において既に検査して確認された、淋菌感染検体50例、クラミジア感染検体50例、ウレアプラズマ感染検体50例、マイコプラズマ感染検体50例、マイコプラズマ・ホミニス感染検体50例、カンジダ・アルビカンス感染検体50例、梅毒感染検体50例、ヘモフィルス・デュクレイ感染検体1例、トリコモナス・バギナリス感染検体50例、ガードネレラ・バギナリス感染検体50例、ヘルペスウイルス感染検体50例、ヒト乳頭腫ウイルス感染検体50例、STD原因菌の感染のない検体50例と、細菌性前立腺炎と確認されたが14種類のSTD原因菌には陰性を示した検体50例を偽陽性(false positive)を証明するために含めた。感染検体200例の中には、複合感染検体も40例含めた。更に、本多重PCRの検査結果を本発明のチップだけでなくシーケンシングのそれと比較分析し、STD原因菌診断の感度と特異度を調べた。これにより、本発明の多重PCRとチップが臨床でSTDの原因菌を選別し、1次検出することに使用できるかを分析した。この際、得られた臨床検体を本発明のチップを用いて遺伝子型の分析(genotyping)した結果の例を、図42乃至44に示した。よって、単一PCR後のシーケンシング分析の結果を基準とすると、多重PCRの感度は94乃至100%、平均98.3%であり、特異度は96%と示された。なお、複合感染の診断感度が97.5%と単一感染より低く示された。
【0127】
STDの14個の原因菌に対する多重PCR及びシーケンシング分析結果を下記表10に示した。
【0128】
【表10】
【0129】
また、下記表11は、大韓民国の疾病管理本部で、2001年と2007年に報告したNeisseria gonorrhoeadhとChlamydia trachomatisの発病率の傾向を示したものであって、Neisseria gonorrhoeadhは減少傾向だが、Chlamydia trachomatisはかなり高い(特に、女性の場合が感染率が高い)割合で増加することを確認することができる。これはまたアメリカでも同一である。
【0130】
【表11】
【0131】
実施例10:ハイブリダイゼーション分析のためのプローブのデザイン
STDの14個の原因菌の遺伝子と対照遺伝子のPCR産物を1つのチップ上でハイブリダイゼーション反応で同時に分析するためのDNAチップを製作するために、先ず適正な塩基序列のオリゴヌクレオチドプローブの組合せを考案した。これは、本DNAチップ開発の最も根幹となる過程であって、DNAチップ上に載せるオリゴヌクレオチドプローブを考案及び製作する過程である。
【0132】
アメリカのNCBI(National Center for Biotechnology Information)の遺伝子銀行のデータベースと前記実施例7で得た韓国人から発見されたSTDの14種類の原因菌の遺伝子とヒトベータグロブリン遺伝子のデータベースを分析し、それぞれの遺伝子型の塩基序列を確保した。確保したDNA序列をコンピュータプログラムDNASTAR(MegAlignTM 5、DNASTAR Inc.)を活用して、ClustalW法で双整列(pair−wise alignment)及び多重序列整列(multiple sequence alignment)を実行した後、分類系統図(Phylogenetic tree)を作成し、各グループ別類型特異的塩基序列を選別した後、更にコンピュータプログラムプライマープレミア5(primer premier 5、PREMIER Biosoft International Co.)を活用して、類型特異的プローブを設計した。この際、プローブの長さは、20±2bp及び18±2bpのオリゴヌクレオチドで設定し、全30類型の遺伝子型特異的なプローブ(genotype−specific probe)を設計した。この際、ヒトベータグロブリン遺伝子のプローブは序列番号66の塩基序列を有し、本発明においてチップのコーナーマーカーとして用いるためであり、序列番号66の逆方向シーケンスの5’末端にCy5物質を付けて製作した序列番号67のオリゴヌクレオチドを用いて検出することができる。これらのプローブの名称と序列番号及び遺伝子型を下記表12に纏めた。
【0133】
【表12】
【0134】
実施例11:DNAチップの製作
実施例10で考案されたオリゴヌクレオチドプローブを適正の試薬と混合した後、アレイヤー(arrayer)を用いて、顕微鏡用のガラススライド上に集積して、STD原因菌の遺伝子型を診断する、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ、又はオリゴDNAチップを下記順序及び方法で製作した。併せて、1つのチップ上に8個のグリッド(grid)を置いてそれぞれのグリッドに相違する検体を載せて分析することにより、一気に8個の検体を分析することができる改良したチップも製作した(図1参照)。
【0135】
1.STD原因菌及び抗生剤耐性遺伝子に対するDNAチップ上のプローブ集積順序
本発明では、チップ上でハイブリダイゼーション反応後のSTD原因菌の遺伝子型によって現れる蛍光信号(fluorescence signal)を見て該当菌を簡単に把握できるように、グループ化してグリッド(grid)を作成した。プローブの順序及びグリッドの配列模式図を図1に示した。図1Aは、本発明の製品化されたSTD DNAチップであって、1個のスライド上にDNAプローブの集積部位(well)が8個存在して、それぞれの相違する検体を載せて同時に検査できるようにした。図1Bは、STD原因菌14種のゲノム遺伝子やプラスミド遺伝子の遺伝子型と抗生剤耐性遺伝子の遺伝子型を検出することができるDNAプローブの集積順序及び位置を示したものである。図1Cは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ヘルペスウイルスtype 1(Herpes simplex virus 1)によって多重感染され、ペニシリン系抗生剤及びテトラサイクリン系などの抗生剤に対する耐性遺伝子を含むSTD感染検体に対して遺伝子型を検出した例を示したものである。
【0136】
それぞれのオリゴヌクレオチドプローブは、アレイヤーを用いてスポッティング(集積)した。この際、同一のプローブを二重(duplicate)に集積して、それぞれの菌株の遺伝子型が最小2回、最大4回ずつ出るように考案した。
【0137】
本発明のDNAチップの重要な変形の1つは、区画カバーを用いて、グリッドが1つのチップ上に8個の区画に分けられ、一様に存在するようにすることである。これにより、1つのチップ上に8個の相違する検体を検出することができ、これは時間と労力及びコストを節減することに非常に役立つ(図1)。
【0138】
2.オリゴヌクレオチドプローブをチップ上でスポッティングする溶液の製造とマスタープレート(master plate)への分注
実施例10に従って考案して、C6部位にアミンを付けて合成したオリゴヌクレオチドプローブは、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した後、滅菌した3次蒸溜水に最終濃度が200pMになるように溶かした。このように準備されたプローブをスポッティング溶液であるマイクロスポッティング溶液プラス(micro spotting solution Plus(Telechem、TC−MSP、USA))と4.3倍の割合で混ぜて、最終濃度が38pMになるようにした。例えば、200pM濃度のプローブ7.6μlとスポッティング溶液32.4μlを混合して40μlになるようにする。このように準備された混合物はそれぞれ順に96ウェル(96−well)のマスタープレートに分注した。
【0139】
3.オリゴヌクレオチドプローブの固定化
アレイヤーを用いて、前記マスタープレートからプローブ含有スポッティング溶液を移して、特殊コーティングされたガラススライド上に二重(double hit)に集積した。1つのスポットには、平均約0.005μlのプローブ溶液が集積される。チップの原料となるガラススライドとしては、サイズが7.5x2.5cmであり、スーパーアルデヒド(super aldehyde)がコーティングされているNuricellアルデヒドガラススライド(Nuricell、Korea)やこれに準ずる製品が適している。アレイヤーとしては、Qアレイヤー2(Genetixs、UK)やMGII(Biorobotics Inc、MA01801、USA)、又はこれに準ずる装備が適している。
【0140】
前記の通り、ガラススライドにプローブを集積して製作したDNAチップを、湿度80%で維持されるガラスジャー(glass jar)内に入れ、15分間室温で反応させた。
【0141】
4.後処理過程
反応が終わった後、固定化されたスライドを乾燥器(dry oven)に入れて、120℃で1時間30分焼いた(baking)後、スライドを0.2%ソディウムドデシルサルフェート(sodium dodecyl sulfate、SDS)溶液で2分間2回洗浄して、3次蒸溜水に移して2分間2回洗浄した。以後、95℃に加熱した3次蒸溜水に3分間漬けて、スライドに付いているオリゴヌクレオチドプローブを変成(denaturation)させ、更に3次蒸溜水に移して1分間洗浄した。洗浄を終えたスライドは、還元溶液(blocking solution、1g NaBH4、300ml PBS、100ml ethanol)で15分間還元させ、0.2% SDS溶液で2分間2回洗浄した後、3次蒸溜水に移して2分間2回洗浄し、800rpmで1分30秒遠心分離機を用いてスライドの水気を除去した後、スライド箱(slide box)に入れ、デシケーターに入れて室温で保管する。
【0142】
以上の過程を経て製作された本発明のチップは、次の実施例12に記述されたような方法を用いて状態を把握して品質を管理(QC)する。
【0143】
実施例12:DNAチップ上でのハイブリダイゼーション反応及び結果分析
前記実施例8のように、各菌のプラスミドクローン及びヒトベータグロブリン遺伝子のプラスミドクローンを様々な組合と濃度で混合して人工検体を作って、多重PCRを行った後、その産物を前記実施例11で製作されたSTD DNAチップ上に載せて数回ハイブリダイゼーション反応を行った後、蛍光スキャナーで分析して、これの最適条件を確立した。その方法は次の通りであり、その実例を図42乃至44に示した。
【0144】
1.多重PCR
多重PCRは前記実施例8と9の方法に従って行った。
【0145】
2.ハイブリダイゼーション反応
オリゴヌクレオチドプローブをスポッティングさせたスライドチップ上に、検体のDNAを鋳物として、遺伝子のPCR増幅産物をそれぞれ10μlずつ混合して、最終容積が50μlになるようにし、これを95℃で5分間変成させた後、直ちに氷に3分間放置した。以後、ハイブリダイゼーション反応溶液50μlを添加して、最終容積を100μlに調整した後、45℃でスライドに固定されたプローブと30分間反応させる。この際、ハイブリダイゼーション反応溶液は、20X SSC 2ml、90%グリセロール1.7ml、50mMリン酸緩衝溶液6.3mlを混合して、最終10mlに組成した。
【0146】
3.洗浄(washing)
ハイブリダイゼーション反応終了後、DNAチップから区画カバー(well cover)を除去し、チップを3X SSPE溶液(NaCl(26.295g)、NaH2PO4−1H2O(4.14g)、Na2EDTA(1.11g)を蒸溜水1リットルに溶かして、10N NaOHでpH7.4にする)に漬けた後、室温で2分間洗浄し、更に1X SSPE(NaCl(8.765g)、NaH2PO4−1H2O(1.38g)、Na2EDTA(0.37g)を蒸溜水1リットルに溶かして、10N NaOHでpH7.4にする)溶液で常温で2分間洗浄した後、常温で800rpmで1分30秒遠心分離して乾燥させた。
【0147】
4.スキャニング分析(scanning analysis)
ハイブリダイゼーション後、洗浄で非特異的な信号は除去した後、乾燥されたスライドは、蛍光スキャナーを用いて、その蛍光信号とイメージを分析した。この際のスキャナーとしては、GenePix 4000B Scanner(Axon、USA)やScanArray Lite(Packard Bioscience、USA)、又はこれに準ずる装備であれば充分である。
【0148】
実施例13:本発明に係るDNAチップの検証実験
前記実施例7でPCR後のシーケンシング反応でSTDの有無と原因菌が確認されたことがあり、実施例9で多重PCRの正確度分析に用いられた様々な人体検体のDNAを対象として、更に多重PCRを行った後、そのPCR産物を前記実施例11と12で製作されたSTD DNAチップ上に載せて実施例12に記述したような方法でハイブリダイゼーション反応を行った後、蛍光スキャナーで分析した。検査対象に含めたDNA検体としては、前記表10に示したものと同様である。
【0149】
相違する検査者が時間間隔をおいて同じ検査を2回繰り返して行い、本DNAチップ分析の感度と特異度、再現性を調べた。これにより、本DNAチップが臨床でSTDの14種の原因菌を正確に診断することができるか、特に、複合感染も全部正確に診断することができるかを分析した。
【0150】
単一PCR及びシーケンシング分析の結果と比較したSTD DNAチップ分析の結果は、前記表10に纏めた。
【0151】
単一PCR後のシーケンシング分析の結果を基準とすると、DNAチップの感度は98乃至100%、平均99%であり、特異度は100%であった。再現性は99%であった。以上の結果から、多重PCRと比較すると、DNAチップの特異度が更に優れており、複合感染の診断感度も更に優れていることが分かった。
【0152】
以上、本発明の実施例を部分的に記述したが、これはあくまでも例示に過ぎず、本発明の思想から逸脱しない範囲で様々な変形と変更が可能であるという事実は当業者には明らかである。また、そのような変形と変更が全部本発明の権利範囲に属することは、添付した請求の範囲でより明らかになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、性感染症(sexually transmitted diseases;STD)の原因菌のうち、力学的に最も発病率が高くて重要な11種の菌として、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、梅毒の原因菌であるトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)、軟性下疳(chancroid)の原因菌であるヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、陰部ヘルペス(genital herpes)の原因菌であるヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型(genital herpes;herpes simplex virus type 1 and 2)、ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus、HPV)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)と、3種の関連菌として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、大腸菌(coliform bacteria)の存在有無及びその遺伝子型の分析と、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性(antibiotic resistance)を速やかかつ正確に診断することができる、性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ、キット、及びこれらを用いた探知又は分析方法に関するもので、本発明によると、DNA試料内で、前記の14種の菌の存在有無だけでなく、その遺伝子型、更に抗生剤耐性を同時に速やかかつ正確に分析することができる。
【背景技術】
【0002】
細菌感染は、未だに人体疾患の中で最も重要な疾患の一つである。細菌の診断の際には、その原因菌を正確かつ速かに把握しなければならず、その原因菌の抗生剤に対する感受性と耐性を把握することが重要である。その際の原因菌の診断は、単なる菌の属と種だけでなく、亜種(subtype)乃至菌株(strain)まで把握することが重要である。前記の詳細な情報は、感染の根源と原因を把握し、病態を把握し、経過と予後を予測し、治療剤の選択や治療方針の決定、ワクチンの開発及び投与に必須である。
【0003】
伝統的に、感染疾患の診断のためには、塗抹及び染色による顕微鏡的検査、細菌培養及び抗生剤の感受性検査、抗原抗体検査、免疫学的検査法などの様々な方法が用いられている。しかし、実際にこのような伝統的診断法は、多くの限界があることが現実である。既存の方法を用いる場合、相当数の細菌は、検出が不可能か難しく、時間とコスト及び人手が余りにも多く必要であり、一度で処理できる検体数に限界があって、大体一度の検査によって一つしか検査することができず、さらに、判読が自動化されておらず、臨床適用が難しい。また、生きている菌を対象とするため、検査時まで菌を生かさなければならず、これに伴い、検体処理と移送が難しく、そのコストも少なくない。
【0004】
因って、最近は、感染疾患の診断に分子遺伝学的分析方法が用いられるようになり、これが既存の診断法を急速に代えていく傾向にある。特に、最近は、多数検体の自動分析が可能なDNAマイクロアレイ又はDNAチップが脚光を浴びている。遺伝子分析を用いた感染診断は、既存の感染診断法に比べ、長所が多く、既存の方法の問題を解決することができ、補助検査法乃至代替検査法として利用が増えている。遺伝子診断法は、DNA及びRNA塩基序列の分析を通して、対象細菌の株型と亜型とを明確に知ることができ、死んだ細菌も検出が可能で、検体処理と移送が容易であり、PCR増幅を通じて標的遺伝子を増幅させて検出するため、感度が高いだけでなく、極少量の検体のみでも診断が可能である。更に、感度だけでなく、特異度や再現性などあらゆる部分で優れている。大体の場合、24時間以内に速やかかつ正確に結果が分かり、人手やコストも更に節減される。更に、DNAチップを用いると、多数の検体を速かに多量に検出することができ、忙しい病院の業務中にも臨床診療に役立つ。
【0005】
現在、アメリカFDAの公認を受けた、クラミジア・トラコマチス、淋菌、ヘルペスシンプレックスウイルス及びヒト免疫不全ウイルスなどを検出するPCR及びリアルタイム(real time)PCRキットが市販されている。しかし、まだ商業化したDNAチップは少数であり、感染疾患の原因菌を速やかかつ正確に把握できるだけでなく、抗生剤耐性まで検査して臨床診断に大きく役立つDNAチップは、更に珍しい。特に、本発明と同様、STDの主な原因菌及び関連菌の診断と共に、その抗生剤耐性まで全て検出することができるSTDチップは、まだ商業化されていない(Andrea Ferreria−Gonzalez、Angela M Calieno;Tiez Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Biology、4th Edition、Elsevier Saunders、2006.p.1555−1588)。
【0006】
STD(sexually transmitted diseases)は、性行為によって伝播する疾病をあわせて称する言葉である。STDは非常に重要であるが、これは、人体の10大感染疾患のうち、5つがSTDであり、何よりも人体感染疾患の中で、最もありふれていて、歴史の長い疾患であるためである。アメリカの場合、毎年1500人以上がSTDに新たに感染し、6,500万人以上がウイルス性STDに罹患していると報告されている。最近は、特に、クラミジア・トラコマチス、ヘルペスシンプレックスウイルス、ヒト乳頭腫ウイルスの3つが増えている傾向があり、最もよくある3大STDとして指摘されている。STDは、高い有病率にもかかわらず、自覚症状がなくて知らずに過ごすことが多いが、進行すると、不妊や前立腺炎、副睾丸炎、免疫欠乏、癌などの合併症を引き起こす可能性がある。STD、特に、ウイルス性STDは、有効な治療法がない場合が多い。このため、STDは、正確な診断と予防が何よりも重要である。更に、無症状の患者を探して治療し、感染の拡散を防止することも重要である(Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。
【0007】
STDの代表的な原因菌としては、バクテリアである淋菌とクラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ウイルスであるヘルペスシンプレックスウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、肝炎ウイルス、更に、原虫であるトリコモナス・バギナリスなどがある。
【0008】
一方、STDは大きく3つの形態がある。第一に、男性は尿道炎や前立腺炎、副睾丸炎で、女性は子宮頸部炎や膣炎、骨盤炎症性疾患(pelvic inflammatory disease)で現れる形態であって、この原因菌としては淋菌とクラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トリコモナス・バギナリス及びヘルペスシンプレックスウイルスが含まれる。第二に、外性器に潰瘍で現れる形態であって、この原因菌として梅毒菌(トレポネマ・パリダム)、ヘルペスシンプレックスウイルス、ヘモフィルス・デュクレイがある。第三に、外性器にいぼ(wart)や子宮頸部、肛門、陰茎などに癌を引き起こす形態であって、HPVがこれに当る。第四に、全身感染を引き起こす形態であって、HIV感染とウイルス感染がこれに当る。これと共に、正確な意味でSTDではないが、STDと類似して膣炎などの病態で現れるので鑑別すべき菌として、大腸菌、ガードネレラ・バギナリスと真菌であるカンジダ・アルビカンスがある。これらの菌は、STDの検査の際、含まれなければならないものである。
【0009】
本出願人(グッジェンインク)は、約7年間、延べ人員約50万人にSTDの原因菌を多様な遺伝子分析法で検査する研究及び事業を行っている。最近の1年間、101,578人の検査結果を分析した統計を下記表1に示した。
【0010】
【表1】
【0011】
このような経験に基づき、本発明者らは、STDの診療に次のような解決されていない問題点が多いことが分かった。
【0012】
第一に、他の疾患とは異なり、無症状で潜伏しているため、症状が悪化する場合が多く、治療後にも再感染しやすい。実際に、クラミジア・トラコマチスやウレアプラズマ、マイコプラズマなどの非淋菌性尿道炎感染のような場合には、殆どが症状がなく知らずに過ごす。したがって、STDの原因菌を早期に検出し、無症状の保菌者も効果的に選別(screening)できる方法の開発が重要である。
【0013】
第二に、実際に診断が容易ではない。数多くのSTD原因菌は培養がよくできなく、免疫学的方法でも検出が難しく、更に、検出されても時間とコストがかなり多く必要であり、臨床では実際に適用することができず、医師の経験と直感によって診断を行って治療をする場合が多い。よって、正確かつ速やかに、低コストでSTDを診断することができる新しい方法の開発が切実である。
【0014】
第三に、STDはよく複合感染の形態で現れる。例えば、淋菌感染の場合、本発明の図1に示したように、性関係後、淋菌とクラミジア・トラコマチスとヘルペスシンプレックスに同時に複合感染される場合が少なくない。よって、このような複合感染を正確に全部診断することができる方法の開発が切実である。
【0015】
第四に、抗生剤耐性である。特に、淋菌及びクラミジアなど重要STD菌の場合、抗生剤の乱用により、ベータ−ラクタム系抗生剤耐性、テトラサイクリン系耐性がよく現れる。これは、治療失敗と合併症、感染拡散、経済的損失で現れ、臨床診療で大きな問題となっている。よって、このような抗生剤耐性を正確かつ速かに分析して、適切な抗生剤を選択することが重要である。
【0016】
このような問題があるため、STDの診療は困難で、これが解決できる新しい方法の開発が切実なところ、本発明は前記の問題点を解決するために考案された。
【0017】
STDの種類のうち、臨床で最もよく発見される形態が男女の尿道と女性の子宮頸部、膣、卵管などに浸透して炎症を引き起こすものである。これは大きく、淋菌と非淋菌性に分けられ、後者としては、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム及びマイコプラズマ・ホミニスが主要原因菌として指摘されている。これらの細菌は、共通して、男性で尿道炎の重要原因となり、副睾丸炎と前立腺炎などの合併症を誘発することがあり、不妊の重要な原因となる。更に、女性では尿道炎と膣炎、子宮頸部炎と骨盤炎症性疾患の主な原因となり、ラッパ管閉鎖を起こすことによって不妊と子宮外妊娠(ectopic pregnancy)などの合併症を誘発することがある。欧米の場合、今日、クラミジア感染が最も多く、韓国内でも、最近は、淋菌感染症は減っているものの、クラミジア感染と非淋菌性尿道炎が増えている傾向にある。これは本出願人の経験に基づく統計(前記表1参照)とも一致する。
【0018】
患者に一旦尿道炎が発見されると、それが淋菌性であるか非淋菌性であるかを先に鑑別すべきであるが、その理由は治療方法と経過が相違するためである。しかし、最近は、抗生剤の誤乱用による細菌の変移と混合感染の増加により、両者間の区別が曖昧な傾向があり、正確な診断のためには、本発明のような分子遺伝子的検査法が必要である。
【0019】
淋菌性尿道炎を引き起こす淋菌(N.gonorrhoeae)は、ナイセリア(Neisseria)属に属する。淋菌の診断は、一次的にグラム染色(Gram stain)による。グラム染色で特徴的な細胞内のグラム陰性双球菌の存在を確認することは便利で正確度が比較的高く、広く用いられている方法である。しかし、無症状であるか症状が微小な淋菌性尿道炎では、グラム染色による場合、判断が曖昧であったり、偽陰性(false negative)に出る場合が多い。よって、グラム染色法を補完するために、淋菌培養を試みる傾向があるが、検査結果が分かるまで多くの時間とコストが消耗される短所がある。
【0020】
この他にも、酵素免疫測定法(enzyme immunoassay:EIA)と免疫蛍光測定法(immunofluorescence technique)は、淋菌感染疾患診断において新しい抗原確認法として用られており、培養検査に比べ、速やかに結果が得られ、感度(sensitivity)と特異度(specificity)が更に高いものとして報告されているが、高コストという短所がある。
【0021】
非淋菌性尿道炎は、最近、淋菌性尿道炎が減少していることに反して、逆に発病率が増加している。非淋菌性尿道炎は、単一疾患ではなく、様々な微生物によって引き起こされる一種の症候群(syndrome)である。非淋菌性尿道炎の原因微生物として最も重要なものがクラミジア・トラコマチス(Chlamydia,trachomatis)である。クラミジ・トラコマチスは、細胞内寄生性(intracellular parasitism)の生存周期(life cycle)を有する微生物であって、ゲノムにDNAとRNAを両方持っており、全部で15種類の血清型があるが、このうち、非淋菌性尿道炎を引き起こすのはD−K型である。これによって発病する人体疾患としては、トラコーマと呼吸器感染、尿道炎と子宮頸部炎、副睾丸炎、骨盤炎症性疾患を含むSTDがある。最近は、クラミジアが心筋炎を引き起こすという報告もある。
【0022】
クラミジア・トラコマチスの確認方法としては、(1)感染部位から採取された可検物を培養、分離確認する方法、(2)感染部位の上皮細胞を直接に塗抹染色して、菌を確認する方法、(3)患者の血清から抗体を分離確認する蛍光抗体法が用いられており、最近は、(4)合成酵素連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)とハイブリダイゼーション(hybridization)などの分子遺伝学的技法が好まれる。しかし、前記方法(1)は、検体を培養分離することに長時間が必要で、診断感度が低いという点などから臨床診断目的には適さず、方法(2)は、感染部位の上皮細胞を直接に塗抹染色して、菌を確認する利便性は優れているが、診断感度が低く、方法(3)は、単クローン抗体に蛍光物質であるFITC(fluorescein isothiocynate)が付着された試薬を用いて、感度は比較的高いが、高コストと専用装備を要するという短所があり、その使用が制限されている。
【0023】
人間と各種の哺乳類動物に広範囲に存在するマイコプラズマとウレアプラズマ属に属し、泌尿生殖器に感染を誘発する可能性があるウレアプラズマ・ウレアリチクムとマイコプラズマ・ジェニタリウムは、培養が技術的にかなり難しく、染色や免疫学的方法でも発見することが難しい。これにより、PCRによる分子遺伝学的検査法で診断しようとするのが最近の傾向である。この場合、各菌の種に特異な遺伝子のDNAの塩基序列をPCRで増幅した後、これをシーケンシング反応やハイブリダイゼーションなどで確認する方法が主に用いられる。現在まで確認された13種のマイコプラズマと2種のウレアプラズマは、16SリボソームRNA(16S rRNA)のV3の5’方向側の隣接部位(flanking region)とV6の3’方向側の隣接部位の塩基序列が互いに一致する。これに対し、V4とV5部位の約250個の塩基序列や16S−23SリボソームRNA間部位の塩基序列は、各種ごとに差がある。よって、これを検査する方法が有効であり、更に、ウレアプラズマ・ウレアリチクムの場合、これに特有のウレアーゼのサブユニット(urease subunit)の塩基序列を分析する方法も使用可能である(Jensen JS等 J Clin Microbiol 2003;41:261−6;Yoshida T等 J Clin Microbiol 2002;40:105−110)。
【0024】
性感炎のもう1つのよくある形態は、外性器に潰瘍を引き起こす疾患である。代表的な原因としては、陰部ヘルペス(genital herpes)、梅毒(syphilis)、軟性下疳(chancroid)、性病性リンパ肉芽腫(lymphogranuloma venereum、LGV)などがある。これらは、順に、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型(herpes simplex virus type 1 and type 2;HSV−1、HSV−2)、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)によって発病する(Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。本発明者らは、これらの外陰部潰瘍原因菌を同時に多重PCRで増幅した後、更に、DNAチップ上で逆交雑反応(reverse hybridization)により分析するという新しい遺伝子診断キットを開発した。
【0025】
ヘルペスシンプレックスウイルスは、外陰部潰瘍の原因の中で大半を占める。ヘルペスシンプレックスウイルスには、1型と2型があるが、特に2型が陰部ヘルペスの大半を占める。しかし、最近は、口腔性交の影響によってヘルペスシンプレックスウイルス1型による陰部ヘルペスも増加している。発明者等の統計を見ても、性器潰瘍で依頼された患者の中で60.9%で性感炎が確認されており、その中で79.9%が第2型ヘルペスシンプレックスウイルス、17.4%が第1型ヘルペスシンプレックスウイルスによって発病されたことが確認された。ヘルペスシンプレックスウイルスは、神経を侵して潜伏していながら、体内免疫機能が弱くなると発病して、性器に水泡や潰瘍を引き起こすのが普通であり、多くの人々が感染事実を知らずに過ごす。実際に、ヘルペスシンプレックス感染は、単一STDの中で、最もよくある疾患として指摘されており、アメリカの場合、約4500万人がヘルペスシンプレックスウイルス感染に罹患されており、毎年100万人の新患が発病すると推算されている(アメリカ疾病予防管理センター webpage.CDC Fact Sheet:Genital Herpes)。ヘルペスシンプレックスウイルス感染は、過去では培養検査で診断をしていたが、感度が低く、結果が出るのに長い時間と多額の費用がかかるなどの問題点が多く、実際の臨床では検査なしで経験的に診断して治療するケースが多い。しかし、最善の治療のためには、正確な診断が必須であり、1型と2型の感染を鑑別することも重要である。1型のヘルペスシンプレックスウイルス感染の場合、感染初年度にわずかに平均1回のみ再発し、それ以降には再発がめずらしいという良好な経過を見せることに対し、2型のヘルペスシンプレックスウイルス感染の場合には、再発が多く、初年度のみで平均4回も再発した。よって、2型ヘルペスシンプレックスウイルス感染の場合には、更に積極的な治療と綿密な追跡調査が必須である(Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。ヘルペスシンプレックスウイルス感染の検査のうち、アメリカ食品医薬品局の承認を受けた検査としては、抗体検査であるHerpes−Select ELISA、Herpes−Select Immunoblot、Capita ELISAなどがある。最近は、アメリカ食品医薬品局の承認なしでPCRやLight Cycler Assayなどの簡単な遺伝子検査法が用いられているが、未だに、1型と2型のヘルペスシンプレックスウイルス感染を正確に鑑別する商業化した遺伝子分析法はあまりない(Andrea Ferreria−Gonzalez、Angela M Calieno;Tiez Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Biology、4th Edition、Elsevier Saunders、2006.p.1555−1588)。よって、本発明では、ヘルペスシンプレックスウイルス感染の有無だけでなく、その亜型、すなわち、1型であるか2型であるかも正確に鑑別するために、先にPCRで増幅した後、その産物を更にDNAチップ上で逆交雑反応により分析する新しいキットを開発した。このような方法は、PCR後、電気泳動のみで把握することより、更に高感度で特異性が高いという長所がある(Olive DM、Bean P.Journal of Clinical Microbiology.June 1999.p.1661−1669.)。
【0026】
梅毒は、人類の歴史上、最も歴史の長いSTDであって、ペニシリンの台頭によって激減したが、最近は、欧米の白人男性層でまた発病率が増加しているという報告がある(アメリカ疾病予防管理センター、CDC Fact Sheet、Syphilis、2006;Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。梅毒の診断には、実際に解決されていない問題が多い。梅毒は、伝統的に、血清検査の後で、暗視野(dark field)顕微鏡下でスピロヘータ菌であるトレポネマ・パリダムを観察する方法が主に用いられてきた。しかし、本暗視野観察法は、経験を要し、発病初期には診断感度が低くて限界がある。抗体検査も梅毒の硬性下疳(chancre)が発生した後、1−3週間が過ぎるまでは陰性で現れる。いわゆる、ゴールド・スタンダード・テスト(gold standard test)である家兎感染検査(rabbit infectivity test)は、正確であるが、動物実験を要し、時間とコストが必要となるという問題がある。このために、最近は、早期診断が可能なように、PCRと逆転写(reverse transcription)PCRを試みている。PCRの際に、その他のスピロヘータ菌との正確な鑑別のために、トレポネマ・パリダムの47kDa遺伝子と16s−rRNA、DNA polymerase I、rpf−1、rmp A、rmp B、BMP遺伝子を増幅する方法が用いられる。しかし、未だにそれぞれの有意性は明らかになっておらず、まだ商業化した遺伝子検査キットも出ていない(Liu H、Rodes B、Chen CY、Steiner B.Journal of Clinical Micxrobiology.May 2001.p.1941−1946)。これに、本発明では、梅毒感染を更に早期に正確に鑑別しようとする目的下で、トレポネマ・パリダムのカルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidase)遺伝子を増幅する新しいPCR法を開発した後、その産物をDNAチップ上で逆交雑反応で再確認し、PCRのみをすることより感度と特異度が更に改善された方法を開発した。
【0027】
軟性下疳は、欧米で最近発病頻度が減少しており、韓国内に住んでいる韓国人にはあまり見られないSTDである。その原因菌であるヘモフィルス・デュクレイは、通常、潰瘍部位グラム塗抹染色で検査するが、その効用性には限界があり、培養しにくい菌である。このため、PCR法が新しい標準的診断法として台頭している。しかし、未だにアメリカ食品医薬品局の公認を受けた検査はない。一旦軟性下疳が確認されると、梅毒とHIVの検査も共にするよう勧められている(アメリカ疾病予防管理センター、CDC Fact Sheet、Chancroid、2006;Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。本発明では、軟性下疳の原因菌であるヘモフィルス・デュクレイの16s−rRNA遺伝子をPCRで増幅して、その産物をDNAチップ上で逆交雑反応で再確認するという新しい方法を開発して、その診断感度と特異度が改善できるようにした。
【0028】
今日、人間の外性器を侵すSTDのうち、最も重要で、よくある2大疾患は、前述した陰部ヘルペスとHPV感染である。アメリカの場合、約2500万人がHPV感染しており、毎年600万人余りが新たに感染し、成人男性と女性の約半数は生涯で一度以上感染すると推算されている(CDC Fact Sheet、USA、2006)。本発明者らの経験によると、STDのうち、最もよく発見されるのがHPV感染であった(前記表1参照)。HPVには、約100種類余りがあり、約40種が外性器や肛門の粘膜を侵す肛門外性器型(anogenital type)又は粘膜型(mucosal type)である。HPVには、その病態により、2種類の型がある。一つは、いわゆる、低危険型(low risk type)のHPVであって、これは、いぼ、コンジローム、又は尖圭コンジローマ(condyloma accuminatum)を引き起こす。
【0029】
他の一つは、高危険型(high risk type)のHPVであって、これは、子宮頸部や陰茎、肛門などに癌前駆病変と癌の発病を誘発することがある。HPV感染の診断には、大きく三つ目的と方法がある。第一は、HPVによるSTD感染の有無を把握することであり、ここでは、通常、PCR後、電気泳動や交雑反応で確認する方法が用いられる。第二は、HPVの有無を把握することから進み、罹患したHPVの危険度を把握することによって子宮頸部癌を選別(screening)しようとする目的下で試みる。このためには、アメリカ食品医薬品局の承認を受けた、いわゆる、Hybrid Capture Assay(Digene Corporation、USA)が最も広く用いられる。第三は、HPVの有無から進み、罹患したHPVの正確な亜型乃至遺伝子型を把握する方法(genotyping test)である。これは、STDの感染診断だけでなく、子宮頸部癌の選別、更に、最近台頭しているHPVワクチンの適用の可否を把握することまで広く用いることができる。PCR後の塩基序列分析で確認することが標準的遺伝子型の分析方法であるが、これは多くの時間とコストを費やし、労働集約的であるため、一度に少数の検体しか検査できないという短所がある(Olive DM、Bean P.Journal of Clinical Microbiology.June 1999.p.1661−1669.)。このために、最近は、PCR後にDNAチップ上で多数のプローブと逆交雑反応をして、遺伝子型を検査する方法が主に用いられる。本発明者らは、従来、このようなHPV genotyping DNAチップを開発して、特許を獲得した後、製品化に成功、大韓民国食品医薬品安全庁及びCEの承認を受け、市販されている。よって、本発明では、これを用いてHPVのL1遺伝子をPCRで増幅して、その産物を更にDNAチップ上で逆交雑反応により再確認する略式のDNAチップ法を適用した。
【0030】
トリコモナス・バギナリスは、人体にのみ寄生する原虫で、性関係を通して伝播され、男女の尿道と女性の膣を侵して、炎症(Trichomoniasis)を引き起こす代表的STDである。実際に、よくあるSTDとして、毎年全世界で1億7400万人が新たに感染し、アメリカの場合、毎年新規発病例が600万と推算されている(WHO、1999;Tara Frenkl、Jeanette Potts、Campbell−Walsh Urology、9th edition、Saunders、2007、p.371−385)。男性の場合、多数が症状がなくて知らずに過ごし、女性の場合にも、その半数は症状がない。通常、症状があって患者が病院に来ると、身体検査や顕微鏡観察(wet smear)で診断をすることになる。しかし、無症状の保菌者を探す方法の開発が必要な状態であり、このような点から、本発明者らは、尿や膣塗抹、尿道塗抹で速やかかつ正確にトリコモナスを診断することができるDNAチップキットを開発した。
【0031】
厳密な意味で、STDではないが、STDと同様に膣炎及び下部尿路感染を引き起こし、STDと鑑別診断が必要で、本発明の検査に含むべき細菌として、カンジダ・アルビカンスとガードネレラ・バギナリス、そして大腸菌がある。
【0032】
陰唇及び膣の炎症(vulvovaginitis)の最もよくある原因菌はカンジダ・アルビカンスである。これは、正常な場合にも、膣と陰茎皮膚に存在することもあり、又は、性関係によって伝播されることもある。診断は、膣分泌物の塗抹染色検査(wet smear、gram stain)により、膣のpHは正常であることが特徴であり、再発が多いという問題がある。この遺伝子診断キットは、まだ商業化していない。本発明では、STDとの鑑別のために、DNAチップキットに含めた。
【0033】
女性において、正常膣の寄生細菌の代わりに存在し、細菌性膣炎(bacterial vaginosis)を引き起こして苦痛を与える重要原因菌として、ガードネレラ・バギナリスがある。診断は、水酸化カリウムと共に膣分泌物の塗抹染色検査(Whiff test)により、膣のpHが上昇することが特徴である。最近は、商業化したDNAプローブキットが出ているが、まだDNAチップはない。STDとの鑑別のために、やはり本発明のDNAチップキットに含めた。
【0034】
大腸菌は、女性における膀胱炎と男性における前立腺炎の主な原因菌である。これは、膣炎及び骨盤炎症性疾患としてのSTD、そして男性で尿道炎形態のSTDと鑑別するために重要である。大腸菌は、通常、尿の培養検査で確診するが、48−72時間以上の長時間が必要という短所がある。大腸菌を分析するDNAチップは、まだ商業化していない。本発明では、STDとの速やかな鑑別診断のために、DNAチップキットに含めた。
【0035】
STDの診療において、もう1つの深刻な問題は、抗生剤耐性である。代表的なSTD細菌である淋菌の場合、通常、ベータ−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤であるペニシリン、アンピシリン、セファロスポリン、そしてテトラサイクリン系抗生剤であるオキシテトラサイクリン、そしてキノロン系抗菌剤が選択されるところ、最近、これら抗生剤に抵抗する淋菌が急増している実情がある。同様に、クラミジア感染の場合にも、テトラサイクリン系抗生剤やキノロン系抗生剤が選択される傾向があるが、これもまた耐性菌が急増する傾向にある。よって、このような耐性を同時に正確に分析することができる遺伝子診断法、特に、DNAチップが必要であるが、あまりない。
【0036】
このような遺伝子診断法が、臨床で実際に診断に役立つためには、具備すべき条件が多い。先ず、診断の感度(sensitivity)と特異度(specificity)及び再現性(reproducibility)が全て100%に近づくように優れていなければならない。併せて、検査の方法が容易で、解釈しやすく、利便性が高くなければならず、更に、速やかに結果を得ることが可能でなければならない。更に、特別な高価な装備がなくても検査が可能でなければならず、検査が自動化していて、多数の検体を速やかに検査可能でなければならず、検査コストも安価でなければならない。このために、PCRは、なるべく対象細菌のいくつかを1つのチューブ内で一度のPCR反応で増幅して検査することができるマルチプレックス型のPCRである必要がある。併せて、PCRの際、各対象細菌が菌株のレベルまで正確に識別できるように、検査対象遺伝子と塩基序列部位が適切に選択されなければならず、これに合わせて、最適のPCR条件が確立されなければならない。しかし、今までSTDの主要原因菌と関連菌の14種類を同時に検出することができるDNAチップ、多重PCRに対する報告はなく、更に、このようなPCRキットはまだ商業化していない。
【0037】
更に、PCRは、単に標的核酸の増幅手段であり、それのみで細菌診断を確診することはできない。PCR後には、増幅された産物が所望の細菌のDNAであるか否かを正確に確認する手続きが必ず必要である。併せて、なるべく細菌の遺伝子型を正確に読み取り、抗生剤耐性や生物学的侵害度、予後などが正確に予測できる検査も更に必要である。このためには、各種のSTD原因菌を同時に正確かつ速かに分析し、その他の疾患と鑑別し、更に、抗生剤耐性などの情報も共に知ることができるDNAチップの開発が緊急に望まれる。
【0038】
これにより、本発明では、前記の14種のSTD菌の属と種だけでなく、亜種まで全部正確に探知することができ、更に、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤の耐性も分析することができる、性感染症の原因菌の探知又は遺伝子型の分析用のDNAチップ、キット、及びこれを利用した探知又は分析方法を開発し、実際の診断に利用できるようにした。
【0039】
一方、これまでに本発明者らは、淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム及びマイコプラズマ・ジェニタリウムの存在有無を同時に分析することができ、これらの菌のテトラサイクリン抗生剤に対する耐性も分析することができる多重PCRとオリゴヌクレオチドマイクロアレイを開発して、特許(韓国特許登録 第619189号)を獲得して、商品化に成功している。
【0040】
本発明は、ここから一歩進み、更にマイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、梅毒菌であるトレポネマ・パリダム、軟性下疳のヘモフィルス・デュクレイ、陰部ヘルペスの原因であるヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリスの7個のSTD原因菌と共に、STDと鑑別しなければならない細菌であるカンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス及び大腸菌の存在有無と、更に、テトラサイクリン及びベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性が速やかかつ正確に分析できる遺伝子分析型DNAチップと多重(multiplex)PCR分析キットを更に開発したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本発明の目的は、STDの重要原因及び関連菌である淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス及び大腸菌の存在の有無だけでなく、テトラサイクリン系抗生剤とペニシリン、アンピシリン、セファロスポリンなどのベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性をそれぞれ速やかかつ正確に診断することができる、遺伝子分析用のDNAチップ、キット及びその方法を提供し、これを実際の臨床診断に応用することにある。本発明によると、代表的STD原因及び関連菌を全部速やかかつ正確に自動分析することができるだけでなく、治療抗生剤の選択にも役立つ。
【0042】
本発明の解決しようとする課題及び目的を更に具体的にすると、次の通りである。
【0043】
第一に、STDの重要原因及び関連菌である淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス、大腸菌のゲノム又はクリプティック・プラスミドの遺伝子と、STD菌のテトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤の耐性に関与する遺伝子を、少数のPCR反応で同時に増幅して分析することができる多重PCR法を提供することである。
【0044】
第二に、前記14種の菌の遺伝子とテトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤耐性遺伝子とヒトベータグロブリンの遺伝子を多重PCRで増幅するための効果的なプライマーを提供することである。
【0045】
第三に、前記14種の菌に特異的な各遺伝子と対照遺伝子及び抗生剤耐性遺伝子を更に正確に検出することができるオリゴヌクレオチドプローブを提供することである。
【0046】
第四に、前記プローブが集積されている、前記14種の菌と抗生剤耐性遺伝子の探知及び遺伝子型の分析用のDNAチップを提供することである。
【0047】
第五に、前記プローブを含む、前記14種の菌と抗生剤耐性遺伝子の探知及び遺伝子型の分析用のキットを提供することである。
【0048】
第六に、前記プローブを用いた、前記14種の菌と抗生剤耐性遺伝子の探知及び遺伝子型の分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明の性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップは、序列番号37乃至66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含むことが好ましい。更に、前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、ヒトベータグロブリン遺伝子と相補的に結合する。
【0050】
本発明のDNAチップにおいて、前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、5’末端がCy5で標識された序列番号67の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドと相補的に結合する。
【0051】
本発明のDNAチップにおいて、プローブを集積することができる集積部位(well)が8個に区切られていることが好ましい。
【0052】
本発明の性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキットは、前記DNAチップ、性感染症の原因菌由来のDNAを増幅するためのプライマーセット、及び前記DNAチップと相補的に結合する増幅されたDNAを検出するための標識手段を含むことが好ましい。
【0053】
本発明のキットにおいて、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌(coliform bacteria)核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス(herpes simplex virus)核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus;HPV)核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、又は序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットを含むことが好ましい。
【0054】
本発明のキットにおいて、標識手段は、Cy5、Cy3、バイオチン結合物質、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレン硫酸)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン及びテキサスレッドからなる群で1つ以上選択されることが好ましい。
【0055】
本発明のキットにおいて、標識手段がCy5である時、標識されたdCTPと標識されていないdCTP間のモル濃度比を1:12.5として反応させることが好ましい。
【0056】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法は、(a)性感染症の原因菌の核酸増幅用プライマーを用いて、前記DNAを単一(single)又は多重(multiplex)PCR増幅法によって増幅するステップ;(b)請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係るDNAチップに、前記増幅されたDNAをハイブリッドさせるステップ;及び(c)前記ハイブリッドによって得られた混成化物を検出するステップを含むことが好ましい。
【0057】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、単一又は多重PCR増幅法は、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、及び序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットからなる群で選択される1つ以上のプライマーセットを用いることが好ましい。
【0058】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、単一又は多重PCR増幅法は、(a)前記プライマーセットを鋳型DNA、Taq DNA合成酵素、dNTP、蒸溜水及びPCRバッファーと混合するステップ;(b)前記混合物を95℃で10分間予備変成するステップ;(c)前記予備変成された産物を94℃で30秒間変成し、58℃で30秒間プライマーアニーリングし、72℃で30秒間延長することを全40回繰り返すステップ;及び(d)前記延長された産物を72℃で5分間最終延長するステップを含むことが好ましい。
【0059】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、多重PCR増幅法は、序列番号1と序列番号2の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号3と序列番号4の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号5と序列番号6の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号7と序列番号8の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号9と序列番号10の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号11と序列番号12の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号13と序列番号14の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号15と序列番号16の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1:1:1:1であることが好ましい。
【0060】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、多重PCR増幅法は、序列番号17と序列番号18の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号19と序列番号20の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号21と序列番号22の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号23と序列番号24の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号25と序列番号26の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることが好ましい。
【0061】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、多重PCR増幅法は、序列番号27と序列番号28の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号29と序列番号30の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号31と序列番号32の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号33と序列番号34の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号35と序列番号36の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることが好ましい。
【0062】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、序列番号1と序列番号2のプライマーセットによるPCR産物が419bp、序列番号3と序列番号4のプライマーセットによるPCR産物が373bp、序列番号5と序列番号6のプライマーセットによるPCR産物が333bp、序列番号7と序列番号8のプライマーセットによるPCR産物が321bp、序列番号9と序列番号10のプライマーセットによるPCR産物が284bp、序列番号11と序列番号12のプライマーセットによるPCR産物が262bp、序列番号13と序列番号14のプライマーセットによるPCR産物が207bp、序列番号15と序列番号16のプライマーセットによるPCR産物が148bpのサイズであることが好ましい。
【0063】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、序列番号17と序列番号18のプライマーセットによるPCR産物が467bp、序列番号19と序列番号20のプライマーセットによるPCR産物が439bp、序列番号21と序列番号22のプライマーセットによるPCR産物が350bp、序列番号23と序列番号24のプライマーセットによるPCR産物が260bp、序列番号25と序列番号26のプライマーセットによるPCR産物が191bpのサイズであることが好ましい。
【0064】
本発明の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法において、序列番号27と序列番号28のプライマーセットによるPCR産物が679bp、序列番号29と序列番号30のプライマーセットによるPCR産物が412bp、序列番号31と序列番号32のプライマーセットによるPCR産物が291bp、序列番号33と序列番号34のプライマーセットによるPCR産物が208bp、序列番号35と序列番号36のプライマーセットによるPCR産物が152bpのサイズであることが好ましい。
【0065】
本発明者らは、検査しようとする14種の菌の遺伝子と5種の抗生剤耐性遺伝子及びヒトベータグロブリン遺伝子に対してそれぞれ検査する遺伝子とその部位を決定し、これを増幅するために必要なPCRプライマーを考案し(実施例1)、対照群菌株と各菌株の標的遺伝子のDNAクローンを確保し(実施例2)、臨床検体の採取及び貯蔵法を確立し(実施例3)、検体からのDNA分離法を確立し(実施例4)、細菌の標的遺伝子に対する単一PCRの条件を確立し(実施例5)、臨床検体で単一PCR及びシーケンシングを行い、その結果をデータベース化し(実施例6と7)、14種の菌と5種の抗生剤耐性遺伝子、そしてヒトベータグロブリン遺伝子に対する多重PCRの条件を確立し(実施例8)、人体検体で前記マルチプレックス分析を行うことにより、その分析方法の適正性を判断し(実施例9)、前記14個の菌と5個の抗生剤耐性遺伝子、そしてヒトベータグロブリン遺伝子のハイブリダイゼーション分析のためのプローブのデザインとこれを用いたDNAチップを製作し(実施例10と11)、標準物質を前記DNAチップを用いて分析した後、その分析条件を確立し(実施例12)、前記DNAチップを用いて臨床検体を分析して、前記14種の菌の感染有無の診断だけでなく、感染した菌の遺伝子型を判別して抗生剤耐性も把握できることを確認し(実施例13)、本発明を完成することに至った。
【0066】
本発明のDNAチップによると、標的細菌の遺伝子別に5乃至7個のプローブが使用できるため、標的遺伝子別に1つのプローブを用いて検出する場合に伴われる假陰性と假陽性を避け、診断感度と特異度を極大化することができる。
【0067】
本発明のDNAチップによると、ヒトベータグロブリン、アクチン又はグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子を基準マーカーとして更に含むことができ、前記基準マーカーがベータグロブリンである場合には、好ましくは序列66に示した塩基序列を有する。基準マーカーを用いることにより、DNAチップでのハイブリッド化反応、以前過程であるDNA分離過程及びPCR増幅過程が適していたかを検証し、假陰性を把握することができる。
【0068】
本発明のDNAチップによると、ベータラクタム系とテトラサイクリン系抗生剤耐性遺伝子を共に分析して、STDの治療に最も広く用いられる抗生剤に対する耐性を予め正確に把握し、治療方針の決定と治癒に役立つことができる。前記ベータラクタム系とテトラサイクリン系抗生剤遺伝子のプローブは、好ましくは序列番号56乃至65の塩基序列を有する。
【0069】
本発明のDNAチップの製造方法は、STD原因菌の核酸と相補的に結合することができる塩基序列の5’末端にアミンが結合したDNAプローブを製造する工程;製造されたDNAプローブをアルデヒドが結合した固体の表面に結合する工程;及び前記DNAプローブが結合した固体表面に存在するアミンと結合しないアルデヒドを還元する工程を含む。前記固体の表面でのプローブDNAとアルデヒドの結合は、アミンとアルデヒドのシッフ塩基反応を通して行われ、前記固体は、ガラス、シリコン二酸化物、プラスチック又はセラミックから選択され得る。
【0070】
本発明のDNAチップを含むキットは、序列番号1乃至序列番号36の塩基序列からなる群から選択されたSTD原因菌の増幅用プライマーと標識手段を含み、ヒトベータグロブリンとプライマーを更に含む。
【0071】
前記標識手段は、公知の様々な標識物を用いることができ、例えば、Cy5、Cy3、バイオチン結合物質、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレン硫酸)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン又はテキサスレッドを用いることができる。Cy5を用いて標識する場合、標識された反応物を検出する際、追加の反応なしで、直接に共焦点レーザースキャナーのような分析機を用いて蛍光信号を分析することができ、効率的で高感度な結果が得られる。
【発明の効果】
【0072】
本発明に係るDNAチップとキットを用いると、STDの原因及び関連菌の中で、最も重要な14種の菌である淋菌、クラミジア・トラコマチス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、トレポネマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘルペスシンプレックスウイルス1型と2型、HPV、トリコモナス・バギナリス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリス、大腸菌の感染有無と、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤に対する耐性を正確かつ速かに同時に検出することができる。更に、本発明によると、STD診断の感度や特異度、再現性が全て100%に近い結果が出るほど優れており、複合感染も正確に診断することができ、検査の方法が簡便で、結果解釈も容易であり、短い時間内に多数の検体を速やかかつ正確に自動分析することができるという点で、既存の方法より優れており、経済的である。よって、本発明は、STDの1次検出や確診と抗生剤の選択及び治療方針の決定、治療後の追跡調査などのために広く用いられ、既存の培養や染色、免疫学的検査、そしてPCR、ハイブリッド キャプチャー分析法(hybrid capture assay)などの商業化したDNAチップ及びキットを代替することができるため、医学産業において非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1Aは、本発明のDNAチップの写真であって、1つのスライド上にDNAプローブの集積部位(well)が8個に区切られ、それぞれ相異なる検体を載せて同時に検査できるようにした。図1Bは、STD原因菌の14種のゲノム遺伝子やプラスミド遺伝子の遺伝子型と抗生剤耐性遺伝子の遺伝子型を分析することができるDNAプローブの集積順序及び位置を示す模式図である。図1Cは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus type 1)によって多重感染され、ペニシリン系抗生剤及びテトラサイクリン系などの抗生剤に対する耐性遺伝子を含むSTD多重感染検体の遺伝子型を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図2】図2は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のクリプティック・プラスミドpJD1に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図3】図3は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のクリプティック・プラスミドpUCH1に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図4】図4は、マイコプラズマ・ホミニス(mycoplasma hominis)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図5】図5は、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図6】図6は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の18SリボソームRNA(18s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図7】図7は、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)のUreB遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図8】図8は、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)のrepeated DNA target遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図9】図9は、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)の16S−23SリボソームRNA(16s−23s rRNA)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図10】図10は、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)1型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図11】図11は、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)2型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図12】図12は、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図13】図13は、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)の47KDa antigen遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図14】図14は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL1遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図15】図15は、大腸菌(coliform bacteria)の16SリボソームRNA(16s rRNA)に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図16】図16は、β−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤耐性のSHV遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図17】図17は、β−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤耐性のTEM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図18】図18は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図19】図19は、β−ラクタム系(ペニシリン系)抗生剤耐性のAmpC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図20】図20は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を本発明のDNAチップで分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図21】図21は、8種のSTD原因菌を単一又は多重PCRし、その産物を電気泳動したものであって、lane1乃至9は、それぞれ100bpサイズマーカー、ガードネレラ・バギナリス、ウレアプラズマ・ウレアリチクム、マイコプラズマ・ホミニス、クラミジア・トラコマチス、淋菌、トリコモナス・バギナリス、マイコプラズマ・ジェニタリウム、カンジダ・アルビカンス遺伝子に対する単一PCR産物であり、lane10は、前記8種のSTD原因菌遺伝子を多重PCRした産物を示す。
【図22】図22は、6種のSTD原因菌を単一又は多重PCRし、その産物を電気泳動したものであって、lane1乃至7は、それぞれ100bpサイズマーカー、大腸菌、ヘルペスシンプレックスウイルス1型、ヘルペスシンプレックスウイルス2型、ヘモフィルス・デュクレイ、トレポネマ・パリダム、ヒト乳頭腫ウイルス遺伝子に対する単一PCR産物であり、lane8は、前記6種のSTD原因菌遺伝子を多重PCRした産物を示す。
【図23】図23は、5種の抗生剤耐性遺伝子を単一又は多重PCRし、その産物を電気泳動したものであって、lane1乃至6は、それぞれ100bpサイズマーカー、SHV遺伝子、TEM遺伝子、TetM遺伝子、AmpC遺伝子、TetC遺伝子に対する単一PCR産物であり、lane7は、前記5種の抗生剤耐性遺伝子を多重PCRした結果である。
【図24】図24は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のplasmid pJD1遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図25】図25は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のクリプティック・プラスミドDNAに対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図26】図26は、マイコプラズマ・ホミニス(mycoplasma hominis)の16s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図27】図27は、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)の16s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図28】図28は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の18s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図29】図29は、ウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)のUreB遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図30】図30は、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)のrepeated DNA target遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図31】図31は、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)の16s−23s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図32】図32は、ヘルペスシンプレックスウイルス1型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図33】図33は、ヘルペスシンプレックスウイルス2型のglycoprotein G−2(US4)遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図34】図34は、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)の16s rRNA遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図35】図35は、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)の47KDa antigen遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図36】図36は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL1遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図37】図37は、β−ラクタム系抗生剤耐性のSHV遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図38】図38は、β−ラクタム系抗生剤耐性のTEM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図39】図39は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetM遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図40】図40は、β−ラクタム系抗生剤耐性のAmpC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図41】図41は、テトラサイクリン系抗生剤耐性のTetC遺伝子に対して特異的に結合するプライマーセットを用いてPCRで増幅した後、その産物を自動塩基序列分析機で分析した結果を示すエレクトロフェログラム(electropherogram)である。
【図42】図42は、淋菌、クラミジア・トラコマチス、マイコプラズマ・ジェニタリウム及びガードネレラ・バギナリスに複合感染された検体に対して多重PCRを行った後、その産物を本発明のDNAチップで遺伝子型を分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図43】図43は、ヘルペスシンプレックスウイルス2型及びトレポネマ・パリダムに複合感染された検体に対して多重PCRを行った後、その産物を本発明のDNAチップで遺伝子型を分析した蛍光スキャナーイメージである。
【図44】図44は、テトラサイクリン系及びベータ−ラクタム系抗生剤に複合耐性を有している検体であって、TEM、TetM、AmpC遺伝子を内包している検体に対して多重PCRを行った後、その産物を本発明のDNAチップで遺伝子型を分析した蛍光スキャナーイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本発明の構成及び効果を立証するための実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0075】
実施例1:PCRプライマーの考案
核酸増幅、特に、PCR増幅での成功は、プライマーが自身のターゲット序列のみにアニーリングする特異性に依存するため、プライマーがこれの完全な相補体のみにアニーリングするか、又は1つ以上のミスマッチ(mismatch)ヌクレオチド序列を有する序列にもアニーリングするか否かは、アニーリング温度によって決定される。
【0076】
一般に、アニーリング温度が高いと、完全なマッチ(match)鋳型に対するプライマーの特定アニーリングの可能性が更に高くなり、これによってターゲット序列のみが増幅される可能性が更に高くなる。アニーリング温度が低いと、鋳型とプライマーとの間のより多いミスマッチに対して耐性(tolerance)が発生し、結局、非ターゲット序列に対する増幅が増加する。アニーリング温度を調節すると、鋳型とプライマーとの間のペアリング特異性を変化させることができる。例えば、1つのプライマーのみに存在する対照群で生成物が発生すると、このような結果は、前記単一プライマーが鋳型の1つ以上の部位にアニーリングするということを意味する。このような場合、アニーリング温度を上昇することが好ましい。プライマーのアニーリング特異性に対するアニーリング温度の前記効果を考慮すると、アニーリング温度によってプライマーアニーリングを調節することができ、プライマーデザインに関係なく、プライマーのアニーリング特異性を改善することができるアニーリング調節プライマーシステムが強く求められていることが分かる。
【0077】
よって、検査しようとする14個の原因菌の遺伝子及び抗生剤耐性遺伝子別に検査する遺伝子部位を決定し、これをPCRで増幅するために必要なオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを考案した。その方法は、次の通りであり、それぞれのプライマーの特性は、下記表2に纏めた。
【0078】
【表2】
【0079】
検査する遺伝子部位は、細菌の系統(phylogeny)の把握に最も広く用いられる16S rRNAや23S rRNA、又は両者の中間及び境界部位で一次的に選択した(Olsen GJ等 Ribosomal RNA:a key to phylogeny. FASEB 1993;7:113−123;Lane DJB等、Proc Natl Acad Sci USA. 1985;92:6955−9)。
【0080】
この際、PCR増幅部位の基準として、5’末端には、あらゆる細菌及び同一属の細菌に同一の塩基序列の、いわゆる保存的部位(highly conserved region)を置いて、標的細菌の種(genus)に特有な塩基序列を基本とした。もし、16S rRNAや23S rRNA、16S−23Sの間の部位に適切な塩基序列がない場合は、その他の部位で標的細菌に特有な固有の遺伝子と固有の塩基序列を選択して分析することができる。例えば、淋菌の場合、Neisseria gonorrhoeaeとNeisseria meningitidisの16S rRNAの類似性は98%以上で、臨床検体で16S rRNA遺伝子に特異なプライマーを用いてNeisseria gonorrhoeaeのみを検出するPCR反応を行うことはかなり難しいことである。実際に、本発明者らがNeisseria gonorrhoeaeの感染が疑われる多くの臨床検体を対象としてPCR反応を行ってDNA塩基序列を分析した結果、全検体の約8%はNeisseria gonorrhoeaeでなくNeisseria meningitidis菌が検出された。よって、本発明では、偽陽性を検出する可能性があるNeisseria gonorrhoeaeの16S rRNAに特異的に反応するプライマーの代わりに、Neisseria gonorrhoeaeのクリプティック・プラスミド(cryptic plasmid) pJD1に特異的に反応するプライマーを用いた。
【0081】
Ureaplasma urealyticumとUreaplasma parvumの16S rRNAは、99%以上の相同性を示す。淋菌の場合のように、Ureaplasma urealyticumの16S rRNAに特異的に反応するプライマーを用いた場合、Ureaplasma urealyticumをUreaplasma parvumと区分して、選択的に検出することは難しいため、本発明では、2つの菌種間の区分が可能なUreB遺伝子に特異的に反応するプライマーを用いた。
【0082】
Chlamydia trachomatisは、同じ属のChlamydia muridarum、Chlamydia suis、Chlamydophila caviaeの16S rRNAとそれぞれ98%、97%そして95%の相同性を示す。Chlamydia trachomatisを特異的に検出するために、本発明では、Chlamydia trachomatisのクリプティック・プラスミドであるpUCH1に特異的に反応するプライマーを製作した。
【0083】
Mycoplasma hominisとMycoplasma genitaliumの16S rRNA相同性は、同じMycoplasma属の中でも多少低い75%レベルであるが、保存部位に特異的に反応するプライマーを用いた場合、M.hominisとM.genitaliumは区別検出が可能であるが、他のMycoplasma属とUreaplasma属を検出する恐れがあるため、M.hominisとM.genitaliumの菌種をより正確に検出するために、16S rRNAの保存部位でなく非保存部位で各菌種に特異的に反応するプライマーを用いた。
【0084】
実施例2:対照群菌株と検体及びそのクローンの確保
検査しようとする14個の原因菌及び抗生剤耐性遺伝子別に標準的な陽性対照群の菌株及びDNAをアメリカのATCC社(Manassas、VA20108、USA.)から購入し、これと共に既に各細菌の感染が確認された検体及び抗生剤耐性遺伝子を内在した抗生剤耐性検体を得た。これらからDNAを分離した後、それぞれ原因菌別に検査しようとする標的遺伝子部位をPCRで増幅した後、クローニングとシーケンシング反応で確認して、それぞれに対するプラスミドクローンを確保した。
【0085】
クローニング実験方法は、次の通り、公知の方法を用いており、PCRの方法は、以後の実施例と重複されるため、ここでは記述を省略する。
【0086】
1)PCRで増幅した14個のSTD原因菌の各遺伝子とヒトベータグロブリン遺伝子のPCR産物をアガロースゲルでGel recovery kit(Zymo Research、USA)を用いて分離した後、その濃度を分光光度計やアガロースゲルの密度測定分析(densitometry)で測定した。
【0087】
2)冷凍保管していたpGEM−T Easy Vector(Promega、A1360、USA)と2x Rapid Ligation Bufferを溶かして、指先でチューブを軽く振って混ぜた後、軽く遠心分離をして、クローニングしようとする挿入DNAと共に下記表3の組成でライゲーション反応(ligation reaction)を0.5mlチューブで実施した。
【0088】
【表3】
【0089】
3)各反応液をピペットでよく混ぜた後、室温で約1時間ライゲーション反応をする。多数の形質転換産物(transformants)が必要な場合は、4℃で一夜間反応することもできる。
【0090】
4)ライゲーションされたサンプルは、零下70℃に保管したJM109宿主細胞(competent cell)(=1x108cfu/μg DNA)50μlを用いて、形質転換(transformation)を試みた。
【0091】
5)先ず、1.5mlチューブに、前記から得たライゲーション反応産物(ligate)2μlを入れ、直前に解凍した宿主細胞(competent cell)50μlを更に入れてよく混ぜた後、氷槽(ice bath)で20分間反応をさせた。
【0092】
6)細胞を42℃の恒温水槽に入れ、45−50秒間の熱衝撃(heat shock)を与え、直ちに、再び氷の中に入れて2分間放置した。
【0093】
7)ここに、室温に合わせたSOC培地950μlを入れ、37℃の振とう器(shaking incubator)内で約1時間半の培養をした。
【0094】
8)培養液の約100μlをアンピシリン、IPTG、X−Galが含まれたLBプレートに塗布した後、プレートをひっくり返して37℃に合わせた培養器内で16−24時間培養をした後、コロニー数を測定(colony counting)し、白色のコロニー(white colony)のみを選択して3ml LB/アンピシリン培養液で培養した後、DNAミニプレップ法(mini prep.)でプラスミドDNAを分離精製した。以後、PCR及び制限酵素(restriction enzyme)切断反応を用いて、挿入DNAが正しく入ったかを確認し、このようにして得られたクローンの塩基序列を自動塩基序列分析機を用いて分析した。
【0095】
陽性対照群の菌株と確保したプラスミドクローンの特徴は、下記表4に纏めた。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例3:臨床検体の採取
人体で、尿道や子宮頸部、口腔の分泌物(discharge)及び細胞を綿棒や細胞ブラシで採取して得たスワブ検体、尿、尿道洗浄液、前立腺液などの様々な検体を採取した後、運搬して、検査する時まで貯蔵する適正な方法を確立した。ここで、男性尿の採取は、伝統的な3杯試験(3−glass test)により、VB(voided bladder)1とVB2、VB3及び前立腺分泌液(expressed prostatic secretion、EPS)に分けて採取した。VB1は、排尿の際、最初に出る10−20mlの尿、すなわち初尿(early stream urine)を示す。VB2は、排尿の中間に出る中間尿(mid−stream urine)を示す。前立腺分泌液は、前立腺マッサージをした後に尿道から出る分泌液を示す。VB3は、前立腺マッサージをした後に排尿させ、一番初めに出る尿の10−20mlを示す。ここで、VB1は尿道の検体、VB2は膀胱の検体、VB3は前立腺の検体を代替する。
【0098】
検体採取方法とこれに用いられる道具、そして検体の運搬及び保管方法は、次の通りである。本STD検査において、標準検体は、男性の場合、尿道スワブ検体と初尿(VB1)検体とし、必要に応じて尿道分泌物や前立腺マッサージ後の尿(VB3)を追加した。これに対し、女性の場合は、子宮頸部のスワブ乃至スクレイプ(scrape)検体を標準検体とし、これに、必要に応じて膣(vagina)のスワブや分泌物、尿を追加した。これに、同性愛者や売春婦の場合は、追加で直腸及び肛門と口腔からも検体を得ることができる。
【0099】
男性において尿道のスワブ検体を得る際は、先端に綿やブラシが付いている滅菌した綿棒を尿道口の2−3cm内側に挿入し、左右に回し、尿道内の分泌物及び細胞が十分集積(collect)されるようにして採取した。更に、女性において子宮頸部のスワブ検体を得る際は、先端にブラシが付いている滅菌した綿棒を子宮頸部の内部に挿入し、左右に回し、分泌物及び細胞が十分集積されるようにして採取した。ここで、スワブ採取用道具としては、COPAN社(COPAN innovation、USA)の綿棒やサンア・メディカル(ソウル、大韓民国)のPap−brush、又はこれに準ずる製品を用いる。以後、滅菌した検体保管溶液が入っている、ネジ蓋(screw cap)があるチューブ内に綿棒の綿部分やブラシの部分を入れて移動及び保管した。
【0100】
尿やスワブ検体などの採取した検体は、なるべく採取後48時間以内に分析室に運搬されるべきであり、運送中にはなるべく冷蔵温度を維持しなければならない。このようにしなければ、遺伝子増幅が難しい細菌の分離が容易でなく、成長が早い細菌の場合、過成長を抑制することができないためである。
【0101】
検体採取容器内には、滅菌状態の検体保管溶液を予め満たしておく。その組成は、37%乃至40%ホルムアルデヒド100mlにメタノール15ml、6.5gのNa2HPO4、4.0gのNaH2PO4を混合した後、3次滅菌蒸溜水を添加して、最終容積1リットルとした。
【0102】
尿検体の場合、滅菌したノコギリ型蓋がある容積30mlのチューブに、前記の方法の通り採取した新鮮な尿10ml乃至20mlを入れて移動して4℃に保管しておいてから検査する。又は、遠心分離して、細胞沈殿層を得て−70℃に保管しておいてから、DNAを分離するようにした。
【0103】
実施例4:DNA分離
前記実施例3の様々な人体検体から商業化したキットを用いて、次のようにDNAを分離及び精製した。
【0104】
<尿検体>
50mlコニカルチューブに尿を入れ、3,000rpmで30分間遠心分離をした後、上澄液を捨て、ペレットに200乃至500μlのPBSで溶かした後、1.5ml微細遠心分離機で2分間遠心分離して、次の過程を進行した。
【0105】
<膣スワブ、尿道バルボタージュ(barbotage)、尿道スワブ、前立腺分泌液、尿道分泌物又は精液検体>
1.5mlチューブに採取したサンプル0.8mlを移し、微細遠心分離機に入れ、12,000rpmで2分間遠心分離して、細胞を沈める。上澄液を除去し、500μl 1x PBSを添加した。Vortexを用いて細胞を溶液とよく混ぜる。12,000rpmで2分間遠心分離し、上澄液を除去した。200μlのBuffer TLを添加した。20μlのProtease Kを添加した後、ボルテックス(vortex)を用いてよく混合した。恒温槽56℃で30分間静置反応した。反応が終わったチューブは、8,000rpm以上で約10秒spin downして、蓋に付いている溶液を集める。400μl Buffer TBを添加して、よく混合する。8,000rpm以上で約10秒スピンダウン(spin down)して、蓋に付いている溶液を集める。スピンカラムをコレクションチューブに装着した後、前記の反応液をスピンカラムに入れる。8,000rpmで1分間遠心分離した。カラムを通過したろ液は捨て、再び、コレクションチューブを装着した。700μlのバッファーBWを添加し、8,000rpmで1分間遠心分離した。カラムを通過したろ液は捨て、再びコレクションチューブを装着した。500μlのバッファーNWを添加し、12,000rpmで3分間遠心分離した。カラムを通過したろ液は捨て、新しい1.5mlチューブを装着した。200μlのBuffer AEや精製水をカラムの中央に添加し、2分間室温で放置した。8,000rpmで1分間遠心分離した。抽出したゲノムDNAは、直ちにPCRに用いるか、又は長期間の保存時には−20℃で保管することができる。抽出したゲノムDNAは、0.8%アガロースゲルに電気泳動して、UV下で確認可能である。DNA濃度を20ng/μl程度で得た場合、その中で3μlをPCR反応に用い、3%アガロースゲル上でDNAバンドが見えない場合は6μlを用いた。
【0106】
実施例5:単一PCRの条件確立のためPCR
滅菌した3次蒸溜水、実施例3の検体保管溶液、そして感染の症候のない正常成人男性の新鮮な尿(VB1)に、実施例2で確保した各細菌別に検査する標的遺伝子のプラスミドクローンを10個、100個、1,000個、10,000個ずつという多様な数のコピー(copy)で混合して人工検体を作った後、それぞれの菌別に標的遺伝子に対して単一(single)PCRを複数回繰り返して行い、単一PCRの適正条件を確立した。PCRの際には必ず内部参照遺伝子であるヒトベータグロブリン遺伝子のPCRも共に行った。併せて、後の多重PCRを考慮して、各PCR産物のサイズが互いに明確に異なるように考案し、これに対し、アニーリング温度は互いに大差がないように考慮した。
【0107】
本発明で考案したプライマーを用いる場合、検体溶液1ml当たり10個乃至100個以上のコピー(copy)数のプラスミドクローンが含まれていると、常に検出が可能である。PCRをした後、その産物を3%アガロースゲルで電気泳動をして確認した結果を、図1乃至図5に例示した。
【0108】
本発明のPCR法において、反応液の組成と条件を下記表5に纏めた。
【0109】
【表5】
【0110】
実施例6:臨床検体に対する単一PCR
STDの罹患が疑われ、韓国内の病院の泌尿器科及び産婦人科外来に来院した541人の成人男女患者と、性感炎の症候のない成人男女103人で、実施例3の方法により、初尿(VB1)や尿道、子宮頸部のスワブなどから得た様々な検体を採取し、実施例4の方法で、DNAを分離し、実施例5の方法により、単一PCRを行った。
【0111】
実施例7:臨床検体のPCR産物のシーケンシング
前記実施例6のPCR産物は、ABI Prism BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction kit version 1.1(Perkin Elmer Biosystems、USA)を用いてシーケンシング反応を行った後、ABI 3130xl自動塩基序列分析機(Perkin Elmer、USA)で塩基序列を分析した。これは次の順序からなる。
【0112】
(1)各検体から得たPCR産物をシーケンシング反応の鋳型として用いるために、最も適した濃度に合わせる。例えば、100−200bpの長さであれば、1−3ng/μlが必要で、200−500bpの長さであれば、3−10ng/μlほどが必要である。
【0113】
(2)厚さが薄い(thin wall)微細遠心分離機チューブに、各PCR産物1μlとプライマー2pmol、Dye terminator ready reaction mix 8μlを入れ、最終10μlになるように、滅菌蒸溜水を入れて、軽くよく混合する。
【0114】
(3)前記(2)の混合物を96℃で10秒、50℃で5秒、更に60℃で4分間ずつ、総25周期、ジーンアンプ2700(PE Biosystems、USA)を用いて、サイクルシーケンシング(cycle sequencing)反応を行う。
【0115】
(4) 1.5mlマイクロチューブにPPT溶液(Absolute EtOH 250ml、3M NaOAc 10ml、DW 50ml)62μlを分注しておいて、ここに得られたPCR反応物を入れ、ボルテックスでよく混ぜた後、−20℃で15分間放置した後、14℃の13,000rpmで5分間遠心分離を行い、蛍光標識したDNAのみを沈殿させる。上澄液を注意して除去した後、洗浄液(70% EtOH)170μlを添加して、再度遠心分離をし、上澄液を除去、塩を除去した後、60℃のヒートブロック(Heat block)を用いて、約3分間乾かす。
【0116】
(5)前記(4)で得られたDNAにHi−Di 10.1μlを添加して、ボルテックスで30乃至60秒間混ぜる。このうち10μlを新しい0.2mlストリップ(strip) PCRチューブに入れ、95℃で2分、4℃で3分くらい反応を行って準備する。
【0117】
(6)ABI 3130xl序列分析機(sequencer)を用いてキャスティングしたプレートの各ウェルに前記(5)の変成DNA検体を入れ、2−4時間電気泳動を行った後、塩基序列を分析する。
【0118】
本シーケンシング分析により、STDの14個の原因菌及び抗生剤耐性遺伝子の検出のための単一PCRの適正性の有無を確認し、これらの検査結果から、韓国人においてSTDの14個の原因菌の分子力学と遺伝子型に対するデータベースを確立した。このようにして、PCRとシーケンシングでSTD感染の有無と原因菌が確認された検体は、以後多重PCRとDNAチップの価値分析に用いた。
【0119】
実施例8:多重PCRの条件確立
滅菌した3次蒸溜水、実施例3の検体保管溶液、そしてSTDの症候のない正常成人男性の新鮮な尿に実施例2で確保した各細菌別の特異遺伝子のプラスミドクローンを1種類から4種類まで10個、100個、1,000個、10,000個の様々なコピー数で混合して人工検体を作った後、これに14種の菌及び抗生剤耐性遺伝子別の標的遺伝子のプライマーを共に1つのチューブ内に入れて一気にPCRを行う多重PCRを行った。
【0120】
多重PCRにおいて、反応液の組成と反応条件は下記表6、7、8及び9に纏めた。本多重PCR後のその産物は、1.5乃至2.0%アガロースゲルで電機泳動して確認した(図21乃至23)。PCR産物の電気泳動イメージを見ると、先ず、図21はSet A(8Plex)であって、順にガードネレラ・バギナリスのPCR産物が419bp、ウレアプラズマ・ウレアリチクムのPCR産物が373bp、マイコプラズマ・ホミニスのPCR産物が333bp、クラミジア・トラコマチスのPCR産物が321bp、淋菌のPCR産物が284bp、トリコモナス・バギナリスのPCR産物が262bp、マイコプラズマ・ジェニタリウムのPCR産物が207bp、カンジダ・アルビカンスのPCR産物が148bpであることが分かる。更に、図22はSet B(5Plex)であって、大腸菌16s RNAのPCR産物が467bp、ヘモフィルス・デュクレイのPCR産物が439bp、ヘルペスシンプレックスウイルスのPCR産物が350bp、トレポネマ・パリダムのPCR産物が260bp、ヒト乳頭腫ウイルスのPCR産物が191bpであることが分かる。本発明によると、14個の原因菌遺伝子のDNAが様々に混合されたあらゆる場合に、一度の多重PCRで正確に検出が可能であった。更に、図23はSet C(5Plex)であって、SHV増幅用プライマーセットのPCR産物が679bp、TEM増幅用プライマーセットのPCR産物が412bp、TetM増幅用プライマーセットのPCR産物が291bp、AmpC増幅用プライマーセットのPCR産物が208bp、TetC増幅用プライマーセットのPCR産物が152bpであることが分かる。本発明によると、抗生剤耐性遺伝子のDNAが様々に混合されたあらゆる場合に、一度の多重PCRで正確に検出が可能であった。この際、検体1ml当たり10個乃至100個のコピーの相異なる細菌遺伝子のプラスミドクローンが含まれていると、常に識別が可能であった。
【0121】
【表6】
【0122】
【表7】
【0123】
【表8】
【0124】
【表9】
【0125】
実施例9:臨床検体に対する多重PCR
前記実施例7で単一PCR及びシーケンシング分析でSTD感染の有無と原因菌が予め確認されている検体DNAを対象として、前記実施例8で確立した方法の通り多重PCRを行った。
【0126】
検査対象に含めたDNA検体としては、単一PCR法とシーケンシング法において既に検査して確認された、淋菌感染検体50例、クラミジア感染検体50例、ウレアプラズマ感染検体50例、マイコプラズマ感染検体50例、マイコプラズマ・ホミニス感染検体50例、カンジダ・アルビカンス感染検体50例、梅毒感染検体50例、ヘモフィルス・デュクレイ感染検体1例、トリコモナス・バギナリス感染検体50例、ガードネレラ・バギナリス感染検体50例、ヘルペスウイルス感染検体50例、ヒト乳頭腫ウイルス感染検体50例、STD原因菌の感染のない検体50例と、細菌性前立腺炎と確認されたが14種類のSTD原因菌には陰性を示した検体50例を偽陽性(false positive)を証明するために含めた。感染検体200例の中には、複合感染検体も40例含めた。更に、本多重PCRの検査結果を本発明のチップだけでなくシーケンシングのそれと比較分析し、STD原因菌診断の感度と特異度を調べた。これにより、本発明の多重PCRとチップが臨床でSTDの原因菌を選別し、1次検出することに使用できるかを分析した。この際、得られた臨床検体を本発明のチップを用いて遺伝子型の分析(genotyping)した結果の例を、図42乃至44に示した。よって、単一PCR後のシーケンシング分析の結果を基準とすると、多重PCRの感度は94乃至100%、平均98.3%であり、特異度は96%と示された。なお、複合感染の診断感度が97.5%と単一感染より低く示された。
【0127】
STDの14個の原因菌に対する多重PCR及びシーケンシング分析結果を下記表10に示した。
【0128】
【表10】
【0129】
また、下記表11は、大韓民国の疾病管理本部で、2001年と2007年に報告したNeisseria gonorrhoeadhとChlamydia trachomatisの発病率の傾向を示したものであって、Neisseria gonorrhoeadhは減少傾向だが、Chlamydia trachomatisはかなり高い(特に、女性の場合が感染率が高い)割合で増加することを確認することができる。これはまたアメリカでも同一である。
【0130】
【表11】
【0131】
実施例10:ハイブリダイゼーション分析のためのプローブのデザイン
STDの14個の原因菌の遺伝子と対照遺伝子のPCR産物を1つのチップ上でハイブリダイゼーション反応で同時に分析するためのDNAチップを製作するために、先ず適正な塩基序列のオリゴヌクレオチドプローブの組合せを考案した。これは、本DNAチップ開発の最も根幹となる過程であって、DNAチップ上に載せるオリゴヌクレオチドプローブを考案及び製作する過程である。
【0132】
アメリカのNCBI(National Center for Biotechnology Information)の遺伝子銀行のデータベースと前記実施例7で得た韓国人から発見されたSTDの14種類の原因菌の遺伝子とヒトベータグロブリン遺伝子のデータベースを分析し、それぞれの遺伝子型の塩基序列を確保した。確保したDNA序列をコンピュータプログラムDNASTAR(MegAlignTM 5、DNASTAR Inc.)を活用して、ClustalW法で双整列(pair−wise alignment)及び多重序列整列(multiple sequence alignment)を実行した後、分類系統図(Phylogenetic tree)を作成し、各グループ別類型特異的塩基序列を選別した後、更にコンピュータプログラムプライマープレミア5(primer premier 5、PREMIER Biosoft International Co.)を活用して、類型特異的プローブを設計した。この際、プローブの長さは、20±2bp及び18±2bpのオリゴヌクレオチドで設定し、全30類型の遺伝子型特異的なプローブ(genotype−specific probe)を設計した。この際、ヒトベータグロブリン遺伝子のプローブは序列番号66の塩基序列を有し、本発明においてチップのコーナーマーカーとして用いるためであり、序列番号66の逆方向シーケンスの5’末端にCy5物質を付けて製作した序列番号67のオリゴヌクレオチドを用いて検出することができる。これらのプローブの名称と序列番号及び遺伝子型を下記表12に纏めた。
【0133】
【表12】
【0134】
実施例11:DNAチップの製作
実施例10で考案されたオリゴヌクレオチドプローブを適正の試薬と混合した後、アレイヤー(arrayer)を用いて、顕微鏡用のガラススライド上に集積して、STD原因菌の遺伝子型を診断する、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ、又はオリゴDNAチップを下記順序及び方法で製作した。併せて、1つのチップ上に8個のグリッド(grid)を置いてそれぞれのグリッドに相違する検体を載せて分析することにより、一気に8個の検体を分析することができる改良したチップも製作した(図1参照)。
【0135】
1.STD原因菌及び抗生剤耐性遺伝子に対するDNAチップ上のプローブ集積順序
本発明では、チップ上でハイブリダイゼーション反応後のSTD原因菌の遺伝子型によって現れる蛍光信号(fluorescence signal)を見て該当菌を簡単に把握できるように、グループ化してグリッド(grid)を作成した。プローブの順序及びグリッドの配列模式図を図1に示した。図1Aは、本発明の製品化されたSTD DNAチップであって、1個のスライド上にDNAプローブの集積部位(well)が8個存在して、それぞれの相違する検体を載せて同時に検査できるようにした。図1Bは、STD原因菌14種のゲノム遺伝子やプラスミド遺伝子の遺伝子型と抗生剤耐性遺伝子の遺伝子型を検出することができるDNAプローブの集積順序及び位置を示したものである。図1Cは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ヘルペスウイルスtype 1(Herpes simplex virus 1)によって多重感染され、ペニシリン系抗生剤及びテトラサイクリン系などの抗生剤に対する耐性遺伝子を含むSTD感染検体に対して遺伝子型を検出した例を示したものである。
【0136】
それぞれのオリゴヌクレオチドプローブは、アレイヤーを用いてスポッティング(集積)した。この際、同一のプローブを二重(duplicate)に集積して、それぞれの菌株の遺伝子型が最小2回、最大4回ずつ出るように考案した。
【0137】
本発明のDNAチップの重要な変形の1つは、区画カバーを用いて、グリッドが1つのチップ上に8個の区画に分けられ、一様に存在するようにすることである。これにより、1つのチップ上に8個の相違する検体を検出することができ、これは時間と労力及びコストを節減することに非常に役立つ(図1)。
【0138】
2.オリゴヌクレオチドプローブをチップ上でスポッティングする溶液の製造とマスタープレート(master plate)への分注
実施例10に従って考案して、C6部位にアミンを付けて合成したオリゴヌクレオチドプローブは、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した後、滅菌した3次蒸溜水に最終濃度が200pMになるように溶かした。このように準備されたプローブをスポッティング溶液であるマイクロスポッティング溶液プラス(micro spotting solution Plus(Telechem、TC−MSP、USA))と4.3倍の割合で混ぜて、最終濃度が38pMになるようにした。例えば、200pM濃度のプローブ7.6μlとスポッティング溶液32.4μlを混合して40μlになるようにする。このように準備された混合物はそれぞれ順に96ウェル(96−well)のマスタープレートに分注した。
【0139】
3.オリゴヌクレオチドプローブの固定化
アレイヤーを用いて、前記マスタープレートからプローブ含有スポッティング溶液を移して、特殊コーティングされたガラススライド上に二重(double hit)に集積した。1つのスポットには、平均約0.005μlのプローブ溶液が集積される。チップの原料となるガラススライドとしては、サイズが7.5x2.5cmであり、スーパーアルデヒド(super aldehyde)がコーティングされているNuricellアルデヒドガラススライド(Nuricell、Korea)やこれに準ずる製品が適している。アレイヤーとしては、Qアレイヤー2(Genetixs、UK)やMGII(Biorobotics Inc、MA01801、USA)、又はこれに準ずる装備が適している。
【0140】
前記の通り、ガラススライドにプローブを集積して製作したDNAチップを、湿度80%で維持されるガラスジャー(glass jar)内に入れ、15分間室温で反応させた。
【0141】
4.後処理過程
反応が終わった後、固定化されたスライドを乾燥器(dry oven)に入れて、120℃で1時間30分焼いた(baking)後、スライドを0.2%ソディウムドデシルサルフェート(sodium dodecyl sulfate、SDS)溶液で2分間2回洗浄して、3次蒸溜水に移して2分間2回洗浄した。以後、95℃に加熱した3次蒸溜水に3分間漬けて、スライドに付いているオリゴヌクレオチドプローブを変成(denaturation)させ、更に3次蒸溜水に移して1分間洗浄した。洗浄を終えたスライドは、還元溶液(blocking solution、1g NaBH4、300ml PBS、100ml ethanol)で15分間還元させ、0.2% SDS溶液で2分間2回洗浄した後、3次蒸溜水に移して2分間2回洗浄し、800rpmで1分30秒遠心分離機を用いてスライドの水気を除去した後、スライド箱(slide box)に入れ、デシケーターに入れて室温で保管する。
【0142】
以上の過程を経て製作された本発明のチップは、次の実施例12に記述されたような方法を用いて状態を把握して品質を管理(QC)する。
【0143】
実施例12:DNAチップ上でのハイブリダイゼーション反応及び結果分析
前記実施例8のように、各菌のプラスミドクローン及びヒトベータグロブリン遺伝子のプラスミドクローンを様々な組合と濃度で混合して人工検体を作って、多重PCRを行った後、その産物を前記実施例11で製作されたSTD DNAチップ上に載せて数回ハイブリダイゼーション反応を行った後、蛍光スキャナーで分析して、これの最適条件を確立した。その方法は次の通りであり、その実例を図42乃至44に示した。
【0144】
1.多重PCR
多重PCRは前記実施例8と9の方法に従って行った。
【0145】
2.ハイブリダイゼーション反応
オリゴヌクレオチドプローブをスポッティングさせたスライドチップ上に、検体のDNAを鋳物として、遺伝子のPCR増幅産物をそれぞれ10μlずつ混合して、最終容積が50μlになるようにし、これを95℃で5分間変成させた後、直ちに氷に3分間放置した。以後、ハイブリダイゼーション反応溶液50μlを添加して、最終容積を100μlに調整した後、45℃でスライドに固定されたプローブと30分間反応させる。この際、ハイブリダイゼーション反応溶液は、20X SSC 2ml、90%グリセロール1.7ml、50mMリン酸緩衝溶液6.3mlを混合して、最終10mlに組成した。
【0146】
3.洗浄(washing)
ハイブリダイゼーション反応終了後、DNAチップから区画カバー(well cover)を除去し、チップを3X SSPE溶液(NaCl(26.295g)、NaH2PO4−1H2O(4.14g)、Na2EDTA(1.11g)を蒸溜水1リットルに溶かして、10N NaOHでpH7.4にする)に漬けた後、室温で2分間洗浄し、更に1X SSPE(NaCl(8.765g)、NaH2PO4−1H2O(1.38g)、Na2EDTA(0.37g)を蒸溜水1リットルに溶かして、10N NaOHでpH7.4にする)溶液で常温で2分間洗浄した後、常温で800rpmで1分30秒遠心分離して乾燥させた。
【0147】
4.スキャニング分析(scanning analysis)
ハイブリダイゼーション後、洗浄で非特異的な信号は除去した後、乾燥されたスライドは、蛍光スキャナーを用いて、その蛍光信号とイメージを分析した。この際のスキャナーとしては、GenePix 4000B Scanner(Axon、USA)やScanArray Lite(Packard Bioscience、USA)、又はこれに準ずる装備であれば充分である。
【0148】
実施例13:本発明に係るDNAチップの検証実験
前記実施例7でPCR後のシーケンシング反応でSTDの有無と原因菌が確認されたことがあり、実施例9で多重PCRの正確度分析に用いられた様々な人体検体のDNAを対象として、更に多重PCRを行った後、そのPCR産物を前記実施例11と12で製作されたSTD DNAチップ上に載せて実施例12に記述したような方法でハイブリダイゼーション反応を行った後、蛍光スキャナーで分析した。検査対象に含めたDNA検体としては、前記表10に示したものと同様である。
【0149】
相違する検査者が時間間隔をおいて同じ検査を2回繰り返して行い、本DNAチップ分析の感度と特異度、再現性を調べた。これにより、本DNAチップが臨床でSTDの14種の原因菌を正確に診断することができるか、特に、複合感染も全部正確に診断することができるかを分析した。
【0150】
単一PCR及びシーケンシング分析の結果と比較したSTD DNAチップ分析の結果は、前記表10に纏めた。
【0151】
単一PCR後のシーケンシング分析の結果を基準とすると、DNAチップの感度は98乃至100%、平均99%であり、特異度は100%であった。再現性は99%であった。以上の結果から、多重PCRと比較すると、DNAチップの特異度が更に優れており、複合感染の診断感度も更に優れていることが分かった。
【0152】
以上、本発明の実施例を部分的に記述したが、これはあくまでも例示に過ぎず、本発明の思想から逸脱しない範囲で様々な変形と変更が可能であるという事実は当業者には明らかである。また、そのような変形と変更が全部本発明の権利範囲に属することは、添付した請求の範囲でより明らかになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
序列番号37乃至66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む、性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項2】
前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、ヒトベータグロブリン遺伝子と相補的に結合することを特徴とする、請求項1に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項3】
前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、5’末端がCy5で標識した序列番号67の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドと相補的に結合することを特徴とする、請求項1に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項4】
前記DNAチップは、プローブが集積できる集積部位(well)が8個で区切られていることを特徴とする、請求項1に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係るDNAチップ、性感染症の原因菌由来のDNAを増幅するためのプライマーセット、及び前記DNAチップと相補的に結合する増幅されたDNAを検出するための標識手段を含む、性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項6】
前記プライマーセットは、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌(coliform bacteria)核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス(herpes simplex virus)核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus;HPV)核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、又は序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットであることを特徴とする、請求項5に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項7】
前記標識手段は、Cy5、Cy3、バイオチン結合物質、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレン硫酸)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン及びテキサスレッドからなる群から1つ以上選択されることを特徴とする、請求項5に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項8】
前記標識手段がCy5であり、標識されたdCTPと標識されていないdCTP間のモル濃度比を1:12.5として反応させることを特徴とする、請求項7に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項9】
(a)性感染症の原因菌の核酸増幅用プライマーを用いて、前記DNAを単一(single)又は多重(multiplex)PCR増幅法によって増幅するステップと、
(b)請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係るDNAチップに、前記増幅されたDNAをハイブリッドさせるステップと、
(c)前記ハイブリッドによって得られた混成化物を検出するステップと、
を含む、性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項10】
前記単一又は多重PCR増幅法は、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、及び序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットからなる群から選択される1つ以上のプライマーセットを用いることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項11】
前記単一又は多重PCR増幅法は、
(a)前記プライマーセットを鋳型DNA、Taq DNA重合酵素、dNTP、蒸溜水及びPCRバッファーと混合するステップと、
(b)前記混合物を95℃で10分間予備変成するステップと、
(c)前記予備変成された産物を94℃で30秒間変成し、58℃で30秒間プライマーアニーリングし、72℃で30秒間延長することを全40回繰り返すステップと、
(d)前記延長された産物を72℃で5分間最終延長するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項12】
前記多重PCR増幅法は、序列番号1と序列番号2の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号3と序列番号4の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号5と序列番号6の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号7と序列番号8の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号9と序列番号10の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号11と序列番号12の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号13と序列番号14の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号15と序列番号16の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1:1:1:1であることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項13】
前記多重PCR増幅法は、序列番号17と序列番号18の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号19と序列番号20の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号21と序列番号22の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号23と序列番号24の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号25と序列番号26の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項14】
前記多重PCR増幅法は、序列番号27と序列番号28の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号29と序列番号30の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号31と序列番号32の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号33と序列番号34の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号35と序列番号36の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項15】
序列番号1と序列番号2のプライマーセットによるPCR産物が419bp、序列番号3と序列番号4のプライマーセットによるPCR産物が373bp、序列番号5と序列番号6のプライマーセットによるPCR産物が333bp、序列番号7と序列番号8のプライマーセットによるPCR産物が321bp、序列番号9と序列番号10のプライマーセットによるPCR産物が284bp、序列番号11と序列番号12のプライマーセットによるPCR産物が262bp、序列番号13と序列番号14のプライマーセットによるPCR産物が207bp、序列番号15と序列番号16のプライマーセットによるPCR産物が148bpのサイズであることを特徴とする、請求項12に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項16】
序列番号17と序列番号18のプライマーセットによるPCR産物が467bp、序列番号19と序列番号20のプライマーセットによるPCR産物が439bp、序列番号21と序列番号22のプライマーセットによるPCR産物が350bp、序列番号23と序列番号24のプライマーセットによるPCR産物が260bp、序列番号25と序列番号26のプライマーセットによるPCR産物が191bpのサイズであることを特徴とする、請求項13に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項17】
序列番号27と序列番号28のプライマーセットによるPCR産物が679bp、序列番号29と序列番号30のプライマーセットによるPCR産物が412bp、序列番号31と序列番号32のプライマーセットによるPCR産物が291bp、序列番号33と序列番号34のプライマーセットによるPCR産物が208bp、序列番号35と序列番号36のプライマーセットによるPCR産物が152bpのサイズであることを特徴とする、請求項14に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項1】
序列番号37乃至66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む、性感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項2】
前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、ヒトベータグロブリン遺伝子と相補的に結合することを特徴とする、請求項1に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項3】
前記序列番号66の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドプローブは、5’末端がCy5で標識した序列番号67の塩基序列を有するオリゴヌクレオチドと相補的に結合することを特徴とする、請求項1に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項4】
前記DNAチップは、プローブが集積できる集積部位(well)が8個で区切られていることを特徴とする、請求項1に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のDNAチップ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係るDNAチップ、性感染症の原因菌由来のDNAを増幅するためのプライマーセット、及び前記DNAチップと相補的に結合する増幅されたDNAを検出するための標識手段を含む、性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項6】
前記プライマーセットは、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム(Ureaplasma urealyticum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌(coliform bacteria)核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス(herpes simplex virus)核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus;HPV)核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、又は序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットであることを特徴とする、請求項5に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項7】
前記標識手段は、Cy5、Cy3、バイオチン結合物質、EDANS(5−(2’−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレン硫酸)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン及びテキサスレッドからなる群から1つ以上選択されることを特徴とする、請求項5に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項8】
前記標識手段がCy5であり、標識されたdCTPと標識されていないdCTP間のモル濃度比を1:12.5として反応させることを特徴とする、請求項7に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析用のキット。
【請求項9】
(a)性感染症の原因菌の核酸増幅用プライマーを用いて、前記DNAを単一(single)又は多重(multiplex)PCR増幅法によって増幅するステップと、
(b)請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係るDNAチップに、前記増幅されたDNAをハイブリッドさせるステップと、
(c)前記ハイブリッドによって得られた混成化物を検出するステップと、
を含む、性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項10】
前記単一又は多重PCR増幅法は、序列番号1及び序列番号2の塩基序列を有するガードネレラ・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号3及び序列番号4の塩基序列を有するウレアプラズマ・ウレアリチクム核酸増幅用プライマーセット、序列番号5及び序列番号6の塩基序列を有するマイコプラズマ・ホミニス核酸増幅用プライマーセット、序列番号7及び序列番号8の塩基序列を有するクラミジア・トラコマチス核酸増幅用プライマーセット、序列番号9及び序列番号10の塩基序列を有する淋菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号11及び序列番号12の塩基序列を有するトリコモナス・バギナリス核酸増幅用プライマーセット、序列番号13及び序列番号14の塩基序列を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム核酸増幅用プライマーセット、序列番号15及び序列番号16の塩基序列を有するカンジダ・アルビカンス核酸増幅用プライマーセット、序列番号17及び序列番号18の塩基序列を有する大腸菌核酸増幅用プライマーセット、序列番号19及び序列番号20の塩基序列を有するヘモフィルス・デュクレイ核酸増幅用プライマーセット、序列番号21及び序列番号22の塩基序列を有するヘルペスシンプレックスウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号23及び序列番号24の塩基序列を有するトレポネマ・パリダム核酸増幅用プライマーセット、序列番号25及び序列番号26の塩基序列を有するヒト乳頭腫ウイルス核酸増幅用プライマーセット、序列番号27及び序列番号28の塩基序列を有するSHV遺伝子(beta−lactamase SHV−12 gene)増幅用プライマーセット、序列番号29及び序列番号30の塩基序列を有するTEM遺伝子(CMT−type beta lactamase gene)増幅用プライマーセット、序列番号31及び序列番号32の塩基序列を有するTetM遺伝子(tetracycline resistant gene M)増幅用プライマーセット、序列番号33及び序列番号34の塩基序列を有するAmpC遺伝子(cephalosporinase gene)増幅用プライマーセット、及び序列番号35及び序列番号36の塩基序列を有するTetC遺伝子(tetracycline resistant gene C)増幅用プライマーセットからなる群から選択される1つ以上のプライマーセットを用いることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項11】
前記単一又は多重PCR増幅法は、
(a)前記プライマーセットを鋳型DNA、Taq DNA重合酵素、dNTP、蒸溜水及びPCRバッファーと混合するステップと、
(b)前記混合物を95℃で10分間予備変成するステップと、
(c)前記予備変成された産物を94℃で30秒間変成し、58℃で30秒間プライマーアニーリングし、72℃で30秒間延長することを全40回繰り返すステップと、
(d)前記延長された産物を72℃で5分間最終延長するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項12】
前記多重PCR増幅法は、序列番号1と序列番号2の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号3と序列番号4の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号5と序列番号6の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号7と序列番号8の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号9と序列番号10の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号11と序列番号12の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号13と序列番号14の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号15と序列番号16の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1:1:1:1であることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項13】
前記多重PCR増幅法は、序列番号17と序列番号18の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号19と序列番号20の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号21と序列番号22の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号23と序列番号24の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号25と序列番号26の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項14】
前記多重PCR増幅法は、序列番号27と序列番号28の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号29と序列番号30の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号31と序列番号32の塩基序列を有するプライマーセット、序列番号33と序列番号34の塩基序列を有するプライマーセット、及び序列番号35と序列番号36の塩基序列を有するプライマーセット間のモル濃度比が1:1:1:1:1であることを特徴とする、請求項9に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項15】
序列番号1と序列番号2のプライマーセットによるPCR産物が419bp、序列番号3と序列番号4のプライマーセットによるPCR産物が373bp、序列番号5と序列番号6のプライマーセットによるPCR産物が333bp、序列番号7と序列番号8のプライマーセットによるPCR産物が321bp、序列番号9と序列番号10のプライマーセットによるPCR産物が284bp、序列番号11と序列番号12のプライマーセットによるPCR産物が262bp、序列番号13と序列番号14のプライマーセットによるPCR産物が207bp、序列番号15と序列番号16のプライマーセットによるPCR産物が148bpのサイズであることを特徴とする、請求項12に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項16】
序列番号17と序列番号18のプライマーセットによるPCR産物が467bp、序列番号19と序列番号20のプライマーセットによるPCR産物が439bp、序列番号21と序列番号22のプライマーセットによるPCR産物が350bp、序列番号23と序列番号24のプライマーセットによるPCR産物が260bp、序列番号25と序列番号26のプライマーセットによるPCR産物が191bpのサイズであることを特徴とする、請求項13に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【請求項17】
序列番号27と序列番号28のプライマーセットによるPCR産物が679bp、序列番号29と序列番号30のプライマーセットによるPCR産物が412bp、序列番号31と序列番号32のプライマーセットによるPCR産物が291bp、序列番号33と序列番号34のプライマーセットによるPCR産物が208bp、序列番号35と序列番号36のプライマーセットによるPCR産物が152bpのサイズであることを特徴とする、請求項14に記載の性感染症の原因菌の探知、遺伝子型の分析及び抗生剤耐性遺伝子型の分析方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図1】
【図3】
【図4】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図1】
【公表番号】特表2012−509686(P2012−509686A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538535(P2011−538535)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007492
【国際公開番号】WO2010/062001
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(507073354)グッジェン インク (4)
【氏名又は名称原語表記】GOODGENE INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007492
【国際公開番号】WO2010/062001
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(507073354)グッジェン インク (4)
【氏名又は名称原語表記】GOODGENE INC.
【Fターム(参考)】
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