説明

性機能障害を治療するための化合物

【課題】未解決のままである問題は、女性性機能障害のための治療法の提供である。また、未解決のままである他の問題は、女性性機能障害のための経口で有効な治療薬の提供である。
【解決手段】本発明は、μオピオイド受容体の選択的拮抗薬で女性性機能障害を治療する方法を提供する。他のクラスの薬剤との組合せ治療も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性性機能障害(FSD)、特に女性性的興奮障害(FSAD)を治療および/または予防するための選択的μオピオイド受容体拮抗薬の使用に関する。
【0002】
さらに、本発明は、選択的μオピオイド受容体拮抗薬を使用するFSD、特にFSADを治療および/または予防する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
性機能障害
性機能障害(SD)は、男性と女性の両方に影響を及ぼすことがある重大な臨床問題である。SDの原因には、器質的ならびに心理的な原因の両方があると考えられる。通常、SDの器質的側面は、高血圧または糖尿病に伴う血管疾患などの基礎にある血管疾患により、処方薬により、および/またはうつ病などの精神疾患により引き起こされる。生理的な要因には、恐怖、パフォーマンス不安および対人葛藤が含まれる。SDは、性的なパフォーマンスを損ない、自尊心を低下させ、人間関係を崩壊させ、それによって個人的苦痛を引き起こす。クリニックにおいて、SD障害は、女性性機能障害(FSD)障害および男性性機能障害(MSD)障害に分類されている(Melman他、J.Urology、1999、161、5〜11)。
【0004】
FSDは、女性が性的表現に満足を見出すことが困難であることまたはできないことと定義することができる。一般的に、男性性機能障害(MSD)は、男性勃起機能障害(MED)としても知られている勃起機能障害に関連している(Benet他、1994−Male Erectile dysfunction assessment and treatment options.Comp.Ther.20:669〜673)。
【0005】
本発明は、女性における性機能障害−女性性機能障害(FSD)、例えば女性性的興奮障害(FSAD)の予防および/または治療に特に有益である。
【0006】
女性性機能障害(FSD)
本発明によれば、FSDは、女性が性的表現に満足を見出すことが困難であることまたはできないことと定義することができる。FSDは、いくつかの多様な女性性障害の総称である(Leiblum,S.R.(1998)−Definition and classification of female sexual disorders.Int.J.Impotence Res.、10、S104〜S106;Berman,J.R.、Berman,L.およびGoldstein,I.(1999)−Female sexual dysfunction:Incidence,pathophysiology,evaluations and treatment options.Urology、54、385〜391)。女性は、欲求の欠如、興奮またはオルガスムに関する困難さ、性交の際の痛み、またはこれらの問題の組合せを有することがある。いくつかのタイプの疾患、薬物治療、傷害または心理的問題が、FSD、例えば、抗うつ薬誘発性の女性性機能障害を引き起こすことがある(Segraves RT.、Antidepressant−induced sexual dysfunction.J Clin Psychiatry.1998;59 Suppl4:48〜54;Taylor MJ.、Strategies for managing antidepressant−induced sexual dysfunction:a review、Curr Psychiatry Rep.2006 Dec;8(6):431〜6)。開発中の治療法は、FSDの特定のサブタイプ、主に欲求障害および興奮障害を治療することを目標としている。
【0007】
FSDのカテゴリーは、それらを、正常な女性の性反応の段階:欲求、興奮およびオルガスムに対比させることにより最もよく定義される(Leiblum,S.R.(1998)−Definition and classification of female sexual disorders.Int.J.Impotence Res.、10、S104〜S106)。欲求または性欲は、性的表現のための原動力である。その兆候には、興味のあるパートナーと一緒にいる場合、または他の色情的刺激に曝されている場合の性的想像が含まれることが多い。興奮は、性的刺激に対する血管の反応であり、その重要な要素は、生殖器の鬱血であり、膣潤滑の増加、膣の伸長、および生殖器の感覚/感受性の増加が含まれる。オルガスムは、興奮の間に最高に達した性的緊張の解放である。
【0008】
したがって、FSDは、女性がこれらの段階、通常は欲求、興奮またはオルガスムのいずれかにおいて不十分または不満足な反応を有する場合に起こる。FSDカテゴリーには、性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害および性交疼痛障害が含まれる。本発明の化合物は、生殖器の反応を回復させ、性的刺激に反応して主観的興奮を改善するはずであり(女性性的興奮障害におけるように)、そうすることで、性交に伴う関連疼痛、苦痛および不快感を改善し、そのようにして他の女性性障害を治療することもできる。
【0009】
性的欲求低下障害は、女性が、性的であるという欲求を持たないか、またはほとんど持たない場合、および性的想像もしくは空想を持たないか、またはほとんど持たない場合に存在する。このタイプのFSDは、自然閉経かまたは外科的閉経によって、低いテストステロンレベルによって引き起こされることがある。他の原因には、病気、薬物治療、疲労、うつ病および不安症が含まれる。
【0010】
女性性的興奮障害(FSAD)は、性的刺激に対する不十分な生殖器の反応を特徴とする。生殖器は、正常な性的興奮の特徴である鬱血を起こさない。膣壁の潤滑が不十分なため、性交は痛みを伴う。オルガスムが妨げられることがある。興奮障害は、閉経時または出産後および授乳中のエストロゲンの減少により、ならびに糖尿病、高血圧およびアテローム性動脈硬化症などの血管要素に関する病気により引き起こされることがある。他の原因は、利尿薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、例えば選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、または抗高血圧薬による治療に起因する。
【0011】
性交疼痛障害(性交疼痛症および膣痙を含む)は、挿入により生じる疼痛を特徴とし、潤滑を低下させる薬物治療、子宮内膜症、骨盤の炎症性疾患、炎症性腸疾患または尿路の問題によって引き起こされることがあるが、非性交の性的疼痛が含まれることもある。
【0012】
FSDの罹患率は、この用語がいくつかのタイプの問題を包含し、それらのうちの一部は測定するのが困難であり、通常、そのような問題は、それらを経験した女性によって報告されることが少ないため、およびFSDを治療することへの関心が比較的最近のことであるため、正しくつかむのは困難である。多くの女性の性的問題は、女性の加齢プロセスまたは糖尿病および高血圧などの慢性的な病気のいずれかと直接的な関連がある。臨床的評価および診断ツールは、J.Sex Med 2005、2(Suppl.3)、146〜153ページにおいてAlthof他によって論評されている。
【0013】
FSDは、性反応サイクルの別々の段階で症状を発現するいくつかのサブタイプからなるため、単一の治療法は存在しない。FSDの現在の治療は、主として心理的問題または人間関係の問題に重点を置いている。FSDの治療は、より多くの臨床試験および基礎科学試験がこの医学的問題の検討に捧げられていることから、徐々に発展している。女性の性的愁訴は、特に、すべての女性の性的愁訴の原因となる血管性機能障害の要素(例えば、FSAD)を有することがある個人にとって、病態生理学において必ずしも心理的なものばかりではない。今のところ、FSDを治療するために認可を受けた薬物は存在しない。経験的な薬物療法には、エストロゲン投与(局所的に、またはホルモン補充療法として)、アンドロゲンまたはブスピロンもしくはトラゾドンなどの精神安定剤が含まれる。これらの治療法の選択肢は、低い有効性または許容できない副作用のために不満足であることが多い。
【0014】
FSDを薬理学的に治療することへの関心は比較的最近のことであるため、治療法は、以下の心理的なカウンセリング、店頭販売の性交潤滑剤、および他の状態について認可された薬物を含む治験候補からなる。これらの薬物治療は、テストステロンかまたはエストロゲンとテストステロンの組合せのいずれかのホルモン剤、より近年には、男性勃起機能障害(MED)に有効であることが証明された血管薬からなる。これらの薬剤はどれも、今のところFSDを治療するのに有効であると立証されていない。
【0015】
本発明は、女性性的興奮障害(FSAD)の予防および/または治療に特に有用である。
【0016】
女性性的興奮障害(FSAD)
米国精神医学会の診断と統計マニュアル(DSM)IVは、女性性的興奮障害(FSAD)を以下のように定義している:
「...性行為が終了するまで、十分な性的興奮の潤滑−膨張反応を達成または維持することが持続的または反復的にできないこと。この障害は、著しい苦痛または対人関係の困難さを引き起こすに違いない。...」。
【0017】
興奮反応は、骨盤における血管充血(vasocongestion)、膣潤滑ならびに外生殖器の拡大および膨張からなる。この障害は、著しい苦痛および/または対人関係の困難さを引き起こす。
【0018】
Basson他(参照により本明細書に組み込まれているJ.Urology、2000、163、888〜893)は、DSM IVと同じ一般構造に従い、機能障害の4つの主要なカテゴリー、すなわち欲求障害(性的欲求低下障害および性嫌悪障害を含む)、興奮障害、オルガスム障害および性交疼痛障害が維持され、非性交の性的疼痛を含む性的疼痛の新たなカテゴリーが記載されている改訂分類体系について記載している。非性交の性的疼痛障害は、非性交の性的刺激によって引き起こされる反復性または持続性の生殖器痛である。
【0019】
FSADは、高度に蔓延している性障害であり、閉経前、閉経前後および閉経後(±ホルモン補充療法(HRT))の女性が罹患する。FSADは、うつ病、心血管疾患、糖尿病および泌尿生殖器(UG)障害などの随伴性障害と関連している。
【0020】
FSADの一次的帰結は、鬱血/膨張の欠如、潤滑の欠如、および快い生殖器感覚の欠如である。FSADの二次的帰結は、性的欲求の低下、性交中の疼痛およびオルガスムに達する困難さである。
【0021】
近年、少なくとも一部のFSADの症状のある患者については、血管性の根拠が存在すると仮定されており(Goldstein他、Int.J.Impot.Res.、10、S84〜S90、1998)、動物データはこの見解を裏付けている(Park他、Int.J.Impot.Res.、9、27〜37、1997)。
【0022】
有効性について検討中であるFSADを治療するための薬物候補は、主に、男性生殖器に対して循環を促進する勃起機能障害治療法である。それらは、2つのタイプの製剤、すなわち男性では注射されるか、または経尿道的に投与され、女性では生殖器へ局所的に投与される経口または舌下の薬物治療(アポモルヒネ、フェントラミン、5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)阻害薬、例えばシルデナフィル)、およびプロスタグランジン(PGE)からなる。
【0023】
R.J.Levinは、「...男性および女性生殖器は、共通の組織原基から発生学的に発達するため、男性および女性生殖器の構造は、お互いの相同物であると論じられている。したがって、陰核は、陰茎相同物であり、陰唇は、陰嚢の相同物である。...」ことを我々に教示している(Levin,R.J.(1991)、Exp.Clin.Endocrinol.、98、61〜69)。
【0024】
無オルガスム症
無オルガスム症は、精神障害として分類されることがあり、患者が、「十分な」刺激があってもオルガスムに達することができない性機能障害の一形態である。しかしながら、無オルガスム症は、糖尿病性神経障害、多発性硬化症、骨盤外傷、ホルモンの不均衡、子宮全摘出術、脊髄損傷および心血管疾患などの医学的問題によって引き起こされることもある。無オルガスム症は、男性におけるよりも女性においてはるかに一般的である。
【0025】
オピオイド受容体
オピオイド生化学の研究において、様々な内因性オピオイド化合物および非内因性オピオイド化合物が同定されている。この努力において、重要な研究は、特に、細胞組織および分化組織のオピオイド受容体と関係しているため、オピオイド薬物の作用機序を理解することに重点を置いてきた(Current Medicinal Chemistry、2002、1591〜1603)。
【0026】
通常、オピオイド薬物は、特定の薬物種がリガンドとして結合する細胞組織および分化組織の受容体に関するそれらの結合選択性によって分類される。これらの受容体には、ミュー(μ)、デルタ(δ)およびカッパ(κ)受容体が含まれる(Pharmacological Rev.、48、1996、567〜592)。
【0027】
3種の受容体はすべて、ヒトを含む多くの種の中枢神経系および末梢神経系に存在する。δ受容体の活性化は、げっ歯類において抗侵害受容を生じ、胃腸管の運動性に影響を及ぼす他に、ヒトにおいて鎮痛を誘発することができる。(Tseng,L.F.編の「The Pharmacology of Opioid Peptides」、Harwood Academic Publishers中のBurks,T.F.(1995)を参照)。
【0028】
モルヒネおよびその類似体などのよく知られている麻薬性オピエートは、オピオイドμ受容体に選択的である。μ受容体は、鎮痛、呼吸抑制および胃腸通過阻害を仲介する。κ受容体は、鎮痛および鎮静を仲介する。
【0029】
オピオイドδ受容体(δ)[δオピオイド受容体;DOR]の存在は、比較的最近の発見であり、続いてδ受容体のリガンドである内因性エンケファリンペプチドが単離および特徴付けされた。この10年にわたる研究は、δ受容体に関する重要な情報を生み出してきたが、その機能の鮮明な像は今のところ現れていない。δ受容体は、鎮痛を仲介するが、μ受容体に特徴的な様式で腸通過を阻害しないようである。
【0030】
オピエートおよび性的機能
オピエートは、人体および動物体において性的機能に関与し、ヒトおよび動物での試験において内分泌(ホルモン)機能に対する影響が観察されている。
【0031】
オピエートは、性的衝動を鈍らせる薬物としての長い歴史を有する。雌のげっ歯類において、中枢に投与されたオピオイド作動薬は、受容体タイプ、使用される薬物の投与量および刺激される脳領域に応じて性的行動を阻害または促進することが明らかにされている。
【0032】
性的受容性の低下は、内因性オピエートまたはモルヒネなどのオピエート作動薬を用いる動物試験において観察されており、一方、ナロキソンまたはナルトレキソンなどの非選択的オピエート拮抗薬は、女性の性的刺激に対する受容性を高めることが観察されている。
【0033】
ナロキソンおよびナルトレキソンは、よく知られている非選択的オピオイド拮抗薬である。男性性機能障害(インポテンス)の治療において、ナロキソンまたはナルトレキソンの役割についていくつかの示唆がある(Psychoneuroendocrinology、1979、3、231〜236;Psychoneuroendocrinology 1989、14、103〜111;Arch.Gen.Psychiatry、1977、34、1179〜1180;Arch.Med.Res.、2001、32、221〜226;Arch.Gen.Psychiatry、1986、43、1986)。
【0034】
女性の性的健康におけるそのようなオピエートの役割に関する証拠はあまり明らかでなく、少数の性的に無反応の女性に関するナロキソンの一研究は、性的興奮に対する効果を何も示していない。また、ナロキソンは、オルガスムを亢進するかまたは阻害すると報告されている(J.Sex Res.、1983、19、49〜57)。高用量のナロキソンは、性的興奮の即時阻害を生み出すと報告されている(Neuroscience and Biobehavioral Reviews、1987、11、1〜34)。
【0035】
ナルトレキソンは、過量で与えられた場合に肝細胞損傷を引き起こす能力を有する。ナルトレキソンは、急性肝炎または肝不全において禁忌とされ、活動性肝疾患のある患者におけるその使用は、その肝毒性作用を踏まえて慎重に考慮されねばならない。ナルトレキソンの見掛けの安全用量と肝損傷を引き起こす用量の間の分離幅は、5倍以下に過ぎないようである。この理由から、ナルトレキソンには、添付文書上に「黒枠」警告が添付してある。同様に、ナロキソンは、肝毒性に関連し、これも黒枠警告を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
未解決のままである問題は、女性性機能障害のための治療法の提供である。
【0037】
未解決のままである他の問題は、女性性機能障害のための経口で有効な治療法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0038】
驚いたことに、今回、μ選択的オピオイド受容体拮抗薬が、FSD、好ましくはFSADおよび/または女性オルガスム障害(FOD)を治療するのに有利であることが判明した。
【0039】
第1の態様によれば、女性性機能障害を治療および/または予防するための医薬品の調製における選択的μオピオイド受容体拮抗薬(MOR)、または薬学的に許容できるその塩の使用が提供される。
【0040】
第2の態様によれば、女性性機能障害を治療および/または予防するための医薬品の調製における選択的μオピオイド受容体拮抗薬、または薬学的に許容できるその塩の、
i)ナトリウム利尿因子、特に心房性ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、
ii)アンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、
iii)NO合成酵素の基質、
iv)コレステロール降下薬、
v)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、
vi)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬、
vii)血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP模倣薬、VIP類似体、VIP受容体作動薬もしくはVIP断片、またはアドレナリン受容体拮抗薬とVIPの組合せ、
viii)セロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、
ix)テストステロン補充剤またはテストステロンインプラント、
x)選択的アンドロゲン受容体調節薬、
xi)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤、
xii)プロゲステロン、ゲストジン(Gestodine)などのプロゲステロンの作動薬もしくは調節薬、エチニルエストラジオール、エチンノジオール(ethynnodiol)、エトノゲステロール(etonogesterol)インプラント、ジヒドロゲステロン(dyhydrogesterone)、プロゲストゲン、トテレセクベンス(totelle sekvens)、ノルエチノドレルまたはMuProgest、NatragestおよびFem−Gestなどのプロゲステロンクリーム剤もしくはゲル剤、
xiii)ノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
xiv)オキシトシン/バソプレシン受容体の作動薬または調節薬、
xv)メラノコルチン受容体作動薬または調節薬、
xvi)モノアミン輸送阻害薬、
xvii)ドーパミン作動薬(特に、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様剤)、
xviii)αアドレナリン作動性受容体拮抗薬(αアドレナリン受容体ブロッカー、α受容体ブロッカーまたはαブロッカーとしても知られている)、
xix)抗糖尿病薬、ならびに
xx)NPY受容体調節薬(作動薬および/または拮抗薬)のうちの1つまたは複数から選択される補助剤、または薬学的に許容できるそれらの塩と併せた使用が提供される。
【0041】
第3の態様によれば、女性性機能障害の治療および/または予防に使用するための選択的μオピオイド受容体拮抗薬(MOR)である化合物、または薬学的に許容できるその塩が提供される。
【0042】
第4の態様によれば、女性性機能障害の治療および/または予防に使用するための選択的μオピオイド受容体拮抗薬、または薬学的に許容できるその塩が、
i)ナトリウム利尿因子、特に心房性ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、
ii)アンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、
iii)NO合成酵素の基質、
iv)コレステロール降下薬、
v)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、
vi)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬、
vii)血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP模倣薬、VIP類似体、VIP受容体作動薬もしくはVIP断片、またはアドレナリン受容体拮抗薬とVIPの組合せ、
viii)セロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、
ix)テストステロン補充剤またはテストステロンインプラント、
x)選択的アンドロゲン受容体調節薬、
xi)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤、
xii)プロゲステロン、ゲストジンなどのプロゲステロンの作動薬もしくは調節薬、エチニルエストラジオール、エチンノジオール、エトノゲステロールインプラント、ジヒドロゲステロン、プロゲストゲン、トテレセクベンス、ノルエチノドレルまたはMuProgest、NatragestおよびFem−Gestなどのプロゲステロンクリーム剤もしくはゲル剤、
xiii)ノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
xiv)オキシトシン/バソプレシン受容体の作動薬または調節薬、
xv)メラノコルチン受容体作動薬または調節薬、
xvi)モノアミン輸送阻害薬、
xvii)ドーパミン作動薬(特に、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様剤)、
xviii)αアドレナリン作動性受容体拮抗薬(αアドレナリン受容体ブロッカー、α受容体ブロッカーまたはαブロッカーとしても知られている)、
xix)抗糖尿病薬、ならびに
xx)NPY受容体調節薬(作動薬および/または拮抗薬)のうちの1つまたは複数から選択される補助剤、または薬学的に許容できるそれらの塩と併せて提供される。
【0043】
女性性機能障害は、性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害および性交疼痛障害から選択される1つまたは複数の障害であってよい。
【0044】
第5の態様によれば、選択的μオピオイド受容体拮抗薬、または薬学的に許容できるその塩、ならびに
i)ナトリウム利尿因子、特に心房性ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、
ii)アンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、
iii)NO合成酵素の基質、
iv)コレステロール降下薬、
v)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、
vi)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬、
vii)血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP模倣薬、VIP類似体、VIP受容体作動薬もしくはVIP断片、またはアドレナリン受容体拮抗薬とVIPの組合せ、
viii)セロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、
ix)テストステロン補充剤またはテストステロンインプラント、
x)選択的アンドロゲン受容体調節薬、
xi)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤、
xii)プロゲステロン、ゲストジンなどのプロゲステロンの作動薬もしくは調節薬、エチニルエストラジオール、エチンノジオール、エトノゲステロールインプラント、ジヒドロゲステロン、プロゲストゲン、トテレセクベンス、ノルエチノドレルまたはMuProgest、NatragestおよびFem−Gestなどのプロゲステロンクリーム剤もしくはゲル剤、
xiii)ノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
xiv)オキシトシン/バソプレシン受容体の作動薬または調節薬、
xv)メラノコルチン受容体作動薬または調節薬、
xvi)モノアミン輸送阻害薬、
xvii)ドーパミン作動薬(特に、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様剤)、
xviii)αアドレナリン作動性受容体拮抗薬(αアドレナリン受容体ブロッカー、α受容体ブロッカーまたはαブロッカーとしても知られている)、
xix)抗糖尿病薬、および
xx)NPY受容体調節薬(作動薬および/または拮抗薬)から選択される1つまたは複数の補助剤、または薬学的に許容できるそれらの塩を含む医薬組成物が提供される。
【0045】
第6の態様によれば、女性性機能障害を治療および/または予防するための方法であって、それを必要としている対象に、治療量の選択的μオピオイド受容体拮抗薬、または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法が提供される。
【0046】
第7の態様によれば、女性性機能障害を治療および/または予防するための方法であって、それを必要としている対象に、治療量の選択的μオピオイド受容体拮抗薬、または薬学的に許容できるその塩を、上記に引用したi)〜xx)のうちの1つまたは複数から選択される補助剤、または薬学的に許容できるその塩と一緒に投与することを含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬
本明細書で使用する用語「選択的μオピオイド受容体拮抗薬」は、μオピオイド受容体に作用したときに生理学的反応を阻害し、κオピオイドおよび/またはδオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも高いμオピオイド受容体に対する選択性を有する化合物を指す。
【0048】
本明細書で使用する用語「選択性」は、同一リガンドに対する2つの受容体サブタイプ間の薬物の相対的効力の尺度である。効力は、例えば、プロトコルに記載されているようなアッセイによって決定することができる。さらに、効力およびリガンドの選択性を決定するためのプロトコルは、Pharmacological Reviews、39、1987、197〜249に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0049】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。
【0050】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも3倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも5倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも10倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも20倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0051】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。
【0052】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも3倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも5倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも10倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナルトレキソンによって示される選択性よりも少なくとも20倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0053】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。
【0054】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも3倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも5倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも10倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも20倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0055】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。
【0056】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも3倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも5倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも10倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、機能アッセイにおいてナロキソンによって示される選択性よりも少なくとも20倍高いμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0057】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて100nM未満のμオピオイド受容体に対するKiを有することが好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいてμオピオイド受容体に対し10nM未満のKiを有することがより好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて1nM未満のμオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。
【0058】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて10nMを超えるκオピオイド受容体に対するKiを有することが好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて100nMを超えるκオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて1000nMを超えるκオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。
【0059】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて10nMを超えるδオピオイド受容体に対するKiを有することが好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて100nMを超えるδオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、結合アッセイにおいて1000nMを超えるδオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。
【0060】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて100nM未満のμオピオイド受容体に対するKiを有することが好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいてμオピオイド受容体に対し10nM未満のKiを有することがより好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて5nM未満のμオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。
【0061】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて10nMを超えるκオピオイド受容体に対するKiを有することが好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて50nMを超えるκオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて100nMを超えるκオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。
【0062】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて10nMを超えるδオピオイド受容体に対するKiを有することが好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて100nMを超えるδオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、機能アッセイにおいて1000nMを超えるδオピオイド受容体に対するKiを有することがより好ましい。
【0063】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、少なくとも5倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、少なくとも10倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、少なくとも50倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κオピオイド受容体と比べて、少なくとも100倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0064】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、少なくとも5倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、少なくとも10倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、少なくとも50倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、δオピオイド受容体と比べて、少なくとも100倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0065】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κおよびδオピオイド受容体と比べて、少なくとも5倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することが好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κおよびδオピオイド受容体と比べて、少なくとも10倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κおよびδオピオイド受容体と比べて、少なくとも50倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。さらに、選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、κおよびδオピオイド受容体と比べて、少なくとも100倍のμオピオイド受容体に対する選択性を有することがより好ましい。
【0066】
好ましい実施形態において、選択的μオピオイド受容体拮抗薬阻害薬は、CNS透過性選択的μオピオイド受容体拮抗薬阻害薬である。
【0067】
本明細書で使用する用語「拮抗薬」は、別の薬剤または標的の作用を低下させる任意の薬剤を意味する。拮抗作用は、拮抗されている物質(化学的拮抗作用)もしくは異なる標的を介する逆効果の発現(機能的拮抗作用または生理学的拮抗作用)の組合せから、または標的活性化を観察される効果と結び付ける中間体の結合部位をめぐる競合の結果(間接的拮抗作用)として生じることがある。
【0068】
本明細書で使用する用語「作動薬」は、別の薬剤または標的の作用を増強するか、または別の薬剤または標的を活性化する任意の薬剤を意味する。用語作動薬には、受容体に結合し、それによって活性型である受容体の割合を変化、通常は増加させ、生物学的反応をもたらすリガンドが含まれる。
【0069】
好ましい化合物
本発明において使用するのに好ましい化合物には、式(I)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩が含まれ、
【0070】
【化1】

式中、
Xは、H、ハロゲン、−OH、−CN、1〜3個のハロゲン原子で置換されている−C〜Cアルキル、または−O(C〜Cアルキル)であり、−O(C〜Cアルキル)のC〜Cアルキルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
Qは、ハロゲン、−OH、−O(C〜Cアルキル)、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C〜Cアルキル)、−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−NHS(=O)H、または−NHS(=0)11であるか、
または、Qは、それが結合している炭素原子に隣接するどちらかの炭素原子と共に5または6員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し、それによってそれが結合しているフェニルと二環式縮合環系を形成することができ、前記ヘテロシクロアルキルは、O、S、−C(=O)、およびNから選択される1〜3個のヘテロ部分を含み、前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、1または2個の二重結合を含んでいてもよく、
およびRは、それらが結合している炭素と共に、結合してC〜CシクロアルキルまたはO、S、−C(=O)、およびNから選択される1〜3個のヘテロ部分を含む4〜7員ヘテロシクロアルキルを形成し、前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、1または2個の二重結合を含んでいてもよく、前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、C〜C14アリールまたは5〜14員ヘテロアリール基と縮合していてもよく、
およびRによって形成される前記C〜Cシクロアルキルまたは4〜7員ヘテロシクロアルキルは、各々、1〜3個のR12基によって置換されていてもよく、前記縮合していてもよいアリールまたはヘテロアリールは、各々独立して、1〜6個のR12基で置換されていてもよく、R12基は、R13、R16、1または2個の不飽和結合を含む−C〜Cアルキル、ハロゲン、−OR13、−NO、−CN、−C〜Cシクロアルキル、−NR1314、−NR13C(=O)R14、−C(=O)NR1314、−OC(=O)R13、−C(=O)OR13、−C(=O)R13、−NR13C(=O)OR14、−NR13C(=O)NR1415、−NR13S(=O)14、および−S(=O)13から選択され、
は、C〜Cアルキルであり、前記C〜Cアルキルは、1または2個の不飽和結合を含んでいてもよく、
は、1または2個の不飽和結合を含んでいてもよい−C〜Cアルキル、−OH、−CN、−NO、−OR16、−NH、−NHR16、−NR1617、または−NHC(=O)R16であり、
およびRは、各々独立して、Hまたはメチルであり、
、R、RおよびR10は、Hであり、
11は、C〜Cアルキル、−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキル)、4−(1−メチルイミダゾール)、−(C〜Cアルキレン)−NH、−(C〜Cアルキレン)−NH(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)から選択され、
各R13、R14、およびR15は、独立して、H、R16、C〜Cアルキル、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−O(C〜Cアルキル)、−S(C〜Cアルキル)、−CN、−NO、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C〜Cアルキル)、−NHC(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、および−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)から選択されるか、または−NR1314のR13およびR14は、結合して4〜6員ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基を形成していてもよく、そのヘテロアリール基は、N、S、Oおよび−C(=O)から選択される1〜3個の他のヘテロ部分を含んでいてもよく、
各R16およびR17は、独立して、C〜C14アリールおよび5〜14員ヘテロアリールから選択され、前記ヘテロアリールは、O、S、−C(=O)、およびNから選択される1〜3個のヘテロ部分を含み、前記アリールおよびヘテロアリールは、1または2個の不飽和結合を含んでいてもよいC〜Cアルキル、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−O(C〜Cアルキル)、−S(C〜Cアルキル)、−CN、−NO、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C〜Cアルキル)、−NHC(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、および−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
nは、0、1、2、3、4、および5から選択される整数である。
【0071】
より好ましい化合物は、式(II)の化合物であり、
【0072】
【化2】

式中、R、R、R、R、Q、nおよびXは、上記に示した意味を有する。
【0073】
好ましくは、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、または直鎖プロピルである。
【0074】
好ましくは、Rは、−CN、−NO、−OH、−OCH、−CHOH、−NH、または−NHC(=O)CHである。
【0075】
好ましくは、Qは、F、−OH、−C(=O)NH、−NHS(=O)CH、−NHS(=O)CHCH、−NHS(=O)CHCHCH、−NHS(=0)CH(CH)(CH)、−NHS(=O)CHCHOCH、または−NHS(=O)(4−(1−メチルイミダゾール))である。
【0076】
好ましくは、Xは、H、F、−OH、−C(=O)NH、または−CNである。
【0077】
好ましくは、Qは、ハロゲン、−OH、−O(C〜Cアルキル)、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C〜Cアルキル)、−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−NHS(=O)H、または−NHS(=O)11である。
【0078】
好ましくは、RおよびRは、それらが結合している炭素と共に、結合して、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル基を形成し、その各々は1または2個のR12基で置換されていてもよい。
【0079】
好ましくは、RおよびRは、それらが結合している炭素と共に、結合して、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基を形成し、そのシクロペンチル基またはシクロヘキシル基は、ベンゼン環と縮合しており、前記シクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基および/またはベンゼン環は、各々、1または2個のR12基で置換されていてもよい。
【0080】
好ましくは、RおよびRは、それらが結合している炭素と共に、結合して、シクロブチル基を形成し、そのシクロブチル基は、1または2個のR12基で置換されていてもよい。
【0081】
そのような化合物を調製するのに適している方法は、WO03/035622に教示されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0082】
本発明の好ましい化合物には、
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド・シトレート;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−フェニル)−メタンスルホンアミド・ベシレート;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−ベンズアミド;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−ベンズアミド・トシレート;
エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド・メシレート;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0 ヘクス−6−イル}−フェニル)−アミド;
エキソ−3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド;
エキソ−3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド・シトレート;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェノール;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェノール・シトレート;
エキソ−2−[6−エチル−6−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−3−イルメチル]−インダン−2−オール;
エキソ−3−{6−エチル−3−[2−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イル)−エチル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−ベンズアミド;
(+/−)−エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;
(+)−エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
(−)−エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−3−[3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−6−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド;
エキソ−3−{3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−6−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−ベンズアミド;
エキソ−N−(3−{3−[3−(1−シアノ−シクロヘキシル)−プロピル]−6−エチル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸{3−[3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−6−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;
エキソ−N−{3−[3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−6−イソプロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸(3−{3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−6−イソプロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−アミド;
エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(cis−1−ヒドロキシ−3−フェニル−シクロブチルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−3−[6−エチル−3−(cis−1−ヒドロキシ−3−フェニル−シクロブチルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド;
エキソ−エタンスルホン酸{3−[6−エチル−3−(2−ヒロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;および
エキソ−エタンスルホン酸(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−アミド;
および薬学的に許容できるそれらの塩(指定されていない場合)が含まれる。
【0083】
好ましい化合物は、エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル]−フェニル}メタンスルホンアミド(本明細書では化合物Aとも呼ぶ)および薬学的に許容できるその塩である。この化合物は、構造(III)を有する。
【0084】
【化3】

【0085】
特に好ましい化合物は、エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル]−フェニル}メタンスルホンアミド・メシレートである。
【0086】
この化合物は、WO03/035622に教示されている調製方法に従って調製することができ、その全内容は、参照により組み込まれるものとする。
【0087】
本明細書で使用する用語「アルキル」には、他に指示がない限り、直鎖または分岐部分を有する飽和一価炭化水素基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」には、他に指示がない限り、アルキルが上記で定義されている通りである非芳香族飽和環式アルキル部分が含まれる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
本明細書で使用する用語「アリール」には、他に指示がない限り、フェニル、ナフチル、インデニル、およびフルオレニルなどの、1個の水素の除去により芳香族炭化水素から誘導される有機基が含まれる。
【0090】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、1つまたは複数のヘテロ原子(O、S、またはN)、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含む芳香族基を指す。基の少なくとも1つの環が芳香族である1つまたは複数のヘテロ原子を含む多環式基は、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基には、1つまたは複数のオキソ部分で置換されている環系も含まれる。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルである。
【0091】
上記の基は、上記に列挙した化合物から誘導されるため、可能な場合にC結合またはN結合であってよい。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N結合)またはピロール−3−イル(C結合)であってよい。これらの基を指す用語は、すべての可能な互変異性体も包含する。
【0092】
代わりの好ましいμ選択的オピオイド拮抗薬は、構造(IV)を有する。
【0093】
【化4】

【0094】
化合物(IV)は、Lett.Pept.Sci.1998、5、193の方法に従って調製することができる。
【0095】
代わりの好ましいμ選択的オピオイド拮抗薬は、シプロダイム(cyprodime)である。シプロダイムは、構造
【0096】
【化5】

を有する。
【0097】
本発明において有用な追加のμ選択的オピオイド受容体拮抗薬には、クロシンナモクス(Clocinnamox)、イソチオシアン酸エトニタゼニル(Etonitazenyl)、CTOP(D−Phe−Cys−Tyr−D−Trp−Orn−Thr−Pen−Thr−NH)、CTP(D−Phe−Cys−Tyr−D−Trp−Lys−Thr−Pen−Thr−NH)、CTAP(D−Phe−Cys−Tyr−D−Trp−Arg−Thr−Pen−Thr−NH)、TCTOP(D−Tic−Cys−Tyr−D−Trp−Orn−Thr−Pen−Thr−NH)、SMS−201,995(D−Phe−Cys−Phe−D−Trp−Lys−Thr−オール)、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、アルビモパン、LY−246736およびシプロダイムが含まれる。
【0098】
患者は、ホルモン補充療法(HRT)、より好ましくはHRTおよび追加のアンドロゲン療法も受けていることが好ましい。使用される薬剤には、エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤(例えばHRT、特にプレマリン、セネスチン、エストロフェミナール(Oestrofeminal)、エクイン(Equin)、エストレース、エストロフェム、エレステソロ(Elleste Solo)、エストリング、エストラダーム(Eastraderm)TTS、エストラデルムマトリックス、デルメストリル(Dermestril)、プリンフェーゼ(Premphase)、プレンプロ、プレンパク(Prempak)、プレミク(Premique)、エストラテスト、エストラテストHS、チボロン)が含まれる。アンドロゲン療法のための薬剤には、テストステロン補充剤(デヒドロアンドロステンジオンを含む)、テストステルノン(testosternone)(トストレル(Tostrelle))、ジヒドロテストステロンまたはテストステロンインプラントが含まれる。
【0099】
拮抗薬、作動薬または阻害薬への言及には、常に、それらの遊離形態(例えば、遊離および/または塩基形態)およびすべての薬学的に許容できる塩、多形体、水和物、ケイ酸塩、立体異性体(例えば、ジアステレオ異性体および鏡像異性体)などを含む、そのような薬剤のすべての活性な形態が含まれることを理解すべきである。いかなる形態であれ、いかなる化合物の活性な代謝産物も含まれる。
【0100】
経口送達かまたは局所適用(クリーム剤、ゲル剤)のための化合物の特定の製剤が本発明に含まれ、本明細書に記載される。本明細書で定義されているような化合物または化合物の組合せを含む膣内製剤、好ましくはクリームまたはゲルである製剤も、本発明に含まれる。
【0101】
健常女性に選択的μオピオイド受容体拮抗薬を投与することを含む女性の性的機能を増強する方法は、本発明の他の態様である。
【0102】
さらに、本発明の他の態様は、FSD、好ましくはFSADおよび/またはFODを治療するのに有用な化合物をスクリーニングする方法であって、選択的μオピオイド受容体拮抗薬活性について化合物をスクリーニングし、結合アッセイ(実施例1を参照)においてKiが50nM未満、好ましくはKiが10nM未満、より好ましくはKiが1nM未満であるか、または機能アッセイ(実施例1を参照)においてKiが50nM未満、好ましくはKiが10nM未満、より好ましくはKiが5nM未満である化合物を選択することを含む方法である。
【0103】
本明細書で使用する用語「効力」は、化合物が有効である濃度の尺度である。化合物の効力は、プロトコルに記載されているような結合アッセイにおいて決定することができ、この文脈における効力は、化合物のKi、すなわち、放射性リガンドがまったく存在しない場合に受容体の50%を占有すると思われる競合アッセイにおける競合リガンドの濃度を指す。化合物の効力は、実施例1に記載されているような様々な受容体サブタイプを発現する様々な組織についての収縮アッセイなどの機能アッセイにおいても決定することができる。
【0104】
補助活性剤
本発明の組合せにおいて使用するのに適している補助活性剤には、
1)中性エンドペプチダーゼの阻害薬などの、ナトリウム利尿因子、特に心房性ナトリウム利尿因子(心房性ナトリウム利尿ペプチドとしても知られている)、B型およびC型ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、特に、WO02/02513、WO02/03995、WO02/079143およびEP−A−1258474に記載および特許請求されている化合物、特にWO02/079143の実施例22の化合物(2S)−2{[1−{3−4(−クロロフェニル)プロピル]アミノ}カルボニル)シクロペンチル]メチル}−4−メトキシブタン酸、
2)エナラプリルなどのアンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、ならびにオマパトリラートなどのアンジオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼの複合阻害薬、
3)L−アルギニンなどのNO合成酵素の基質、
4)スタチン(例えば、アトルバスタチン/リピトール(商標))およびフィブラートなどのコレステロール降下薬、
5)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、好ましくはラロキシフェンまたはラソフォキシフェン、それらの調製がWO96/21656に詳述されている(−)−シス−6−フェニル−5−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールおよび薬学的に許容できるその塩、
6)PDE2などのPDE阻害薬(例えば、エリスロ−9−(2−ヒドロキシル−3−ノニル)−アデニン)および参照により本明細書に組み込まれれているEP0771799の実施例100、特に、EP−A−0463756に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0526004に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO93/06104に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO93/07149に開示されている異性体のピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO93/12095に開示されているキナゾリン−4−オン、公開国際特許出願WO94/05661に開示されているピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO94/00453に開示されているプリン−6−オン、公開国際特許出願WO98/49166に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO99/54333に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995751に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO00/24745に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995750に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開国際出願WO95/19978に開示されている化合物、公開国際出願WO99/24433に開示されている化合物および公開国際出願WO93/07124に開示されている化合物、公開国際出願WO01/27112に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際出願WO01/27113に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−1092718に開示されている化合物およびEP−A−1092719に開示されている化合物などのPDE5阻害薬、
7)より詳細には、VIP受容体サブタイプVPAC1、VPACまたはPACAP(下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド)のうちの1つまたは複数によって仲介される血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP模倣薬、VIP類似体、VIP受容体作動薬またはVIP類似体(例えば、Ro125 1553)またはVIP断片のうちの1つまたは複数、アドレナリン受容体拮抗薬のうちの1つまたは複数とVIPの組合せ(例えば、インビコルプ(Invicorp)、アビプタジル)、
8)セロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、より詳細には、WO−09902159、WO−00002550および/またはWO−00028993に記載されているものを含む5HT1A(VML670[WO02/074288]、フリバンセリン[US2003/0104980]およびOPC14523[US2007/0142395])、5HT2A、5HT2C、5HT3および/または5HT6受容体に対する作動薬、拮抗薬または調節薬、
9)デヒドロアンドロステンジオン、テストステロン(トストレルおよびイントリンサを含む)、ジヒドロテストステロンまたはテストステロンインプラントを含むテストステロン補充剤、
10)選択的アンドロゲン受容体調節薬、例えば、LGD−2226、
11)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤(例えばHRT、特にプレマリン、セネスチン、エストロフェミナール、エクイン、エストレース、エストロフェム、エレステソロ、エストリング、エストラデルムTTS、エストラデルムマトリックス、デルメストリル、プリンフェーゼ、プレンプロ、プレンパク、プレミク、エストラテスト、エストラテストHS、チボロン)、
12)プロゲステロン、ゲストジンなどのプロゲステロンの作動薬もしくは調節薬、エチニルエストラジオール、エチンノジオール、エトノゲステロールインプラント、ジヒドロゲステロン、プロゲストゲン、トテレセクベンス、ノルエチノドレルまたはMuProgest、NatragestおよびFem−Gestなどのプロゲステロンクリーム剤もしくはゲル剤、
13)ブプロピオン、GW−320659などのノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
14)オキシトシン/バソプレシン受容体に対する作動薬または調節薬、好ましくは選択的オキシトシン作動薬または調節薬、
15)メラノコルチン受容体作動薬もしくは調節薬(PT−141[ブレメラノチド]およびメラノタン−IIを含む)、好ましくは選択的MCR3、MCR3/4および/またはMCR4メラノコルチン作動薬もしくは調節薬(MB−243、RO0282425ならびにWO2005/77935およびPCT/IB07/000456に記載されている化合物を含む)、
16)ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害薬(NRI)、特にレボキセチン(ラセミの(R,R/S,S)、または光学的に純粋な(S,S)鏡像異性形態、特に(S,S)−レボキセチン)などの選択的NRI、ダポキセチン、パロキセチン、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(実施例28、WO0172687)、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(実施例12、WO0218333)、N−メチル−N−({3−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]−4−ピリジニル}メチル)アミン(実施例38、PCT出願番号PCT/IB02/01032)などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を含むセロトニン再取り込み阻害薬(SRI)、またはドーパミン再取り込み阻害薬(DRI)などのモノアミン輸送阻害薬、
17)プラミペキソール(Pharmacia Upjohn化合物番号PNU95666)、ロピニロール、アポモルヒネ、スルマニロール(surmanirole)、キネロラン、PNU−142774、ブロモクリプチン、カルベルゴリン、リスリド、WO2004/052372、WO2005/116027、WO2005/115985に記載されている化合物などのドーパミン作動薬(特に、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様剤)、
18)1つまたは複数のαアドレナリン作動性受容体拮抗薬(αアドレナリン受容体ブロッカー、α受容体ブロッカーまたはαブロッカーとしても知られている)(適当なαアドレナリン作動性受容体拮抗薬には、フェントラミン、プラゾシン、メシル酸フェントラミン、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン、フェノキシベンザミン、ラウオルフィアアルカロイド、レコルダティ15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン、WO9830560の実施例19、テラゾシンおよびアバノキルが含まれ、適当なαアドレナリン作動性受容体拮抗薬には、ジベナルニン(dibenarnine)、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒンビン、イダゾキサンおよびクロニジンが含まれ、適当な非選択的αアドレナリン作動性受容体拮抗薬には、ダピプラゾールが含まれ、他のαアドレナリン作動性受容体拮抗薬は、その各々が参照により本明細書に組み込まれている1998年6月14日に公開されたPCT出願WO99/30697ならびに米国特許第4,188,390号;第4,026,894号;第3,511,836号;第4,315,007号;第3,527,761号;第3,997,666号;第2,503,059号;第4,703,063号;第3,381,009号;第4,252,721号および第2,599,000号に記載されている)、
19)アルドースレダクターゼ阻害薬、例えば、ゾルポルレスタット(zolpolrestat)、グリコーゲンホスホリラーゼまたはソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害薬などの抗糖尿病薬、ならびに
20)1つまたは複数のNPY受容体調節薬(作動薬および/または拮抗薬)、例えば、NPY−Y1、NPY−Y2、NPY−Y5またはこれらの受容体において複合的薬理学のある調節薬が含まれる。
【0105】
本発明に従って使用することができる特許および特許出願に含まれる化合物への本明細書における相互参照に関して、我々は、特許請求の範囲(特に、請求項1の)および具体例(それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる)に定義されているような治療的に活性な化合物を意味する。
【0106】
活性剤の組合せを投与する場合、それらを、同時に、別々にまたは順次に投与することができる。
【0107】
補助剤−PDE5阻害薬
補助活性剤として本明細書において特に好ましいのは、PDE5(またはPDEV)阻害薬である。
【0108】
任意の特定のcGMP PDE5阻害薬の適合性は、文献の方法を用いてその効力および選択性を評価し、続いて標準的な薬学的実践に従ってその毒性、吸収、代謝、薬物動態などを評価することによって容易に決定することができる。
【0109】
cGMP−PDE5阻害薬のIC50値は、PDE5アッセイ(本明細書で以下を、およびWO01/27113を参照)を用いて決定することができる。
【0110】
本発明による医薬組合せにおいて使用されるcGMP−PDE5阻害薬は、PDE5酵素に選択的であることが好ましい。(経口的に使用される場合)、阻害剤は、PDE3に対するよりも、より好ましくはPDE3およびPDE4に対するよりも選択的であることが好ましい。(経口の場合)、本発明のcGMP−PDE5阻害薬は、PDE3に対して、より好ましくはPDE3およびPDE4に対して、100を超える、より好ましくは300を超える選択性比率を有することが好ましい。
【0111】
選択性比率は、当業者によって容易に決定することができる。PDE3およびPDE4酵素に対するIC50値は、本明細書で以下に詳述するように、確立された文献の方法論(S A Ballard他、Journal of Urology、1998、第159巻、2164〜2171ページを参照)を用いて決定することができる。
【0112】
本発明に従って使用するのに適しているcGMP PDE5阻害薬には、EP−A−0463756に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0526004に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO93/06104に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO93/07149に開示されている異性体のピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO93/12095に開示されているキナゾリン−4−オン、公開国際特許出願WO94/05661に開示されているピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO94/00453に開示されているプリン−6−オン、公開国際特許出願WO98/49166に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO99/54333に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995751に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO00/24745に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995750に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開国際出願WO95/19978に開示されているヘキサヒドロピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン、EP−A−1092719および公開国際出願WO99/24433に開示されているイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−オン、ならびに公開国際出願WO93/07124に開示されている二環式化合物が含まれ、それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0113】
本明細書で使用するのに適しているPDE5阻害薬の他の例には、公開国際出願WO01/27112に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際出願WO01/27113に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−1092718に開示されている化合物およびEP−A−1092719に開示されている化合物、EP−A−1241170に開示されている三環式化合物、公開国際出願WO02/074774に開示されているアルキルスルホン化合物、公開国際出願WO02/072586に開示されている化合物、公開国際出願WO02/079203に開示されている化合物、WO01187882に記載されている化合物、WO0056719に記載されている化合物、例えばBMS−341400、WO9964004に記載されている化合物、例えばBMS−263504、EP−1057829(Jordanian Pharmaceutical Manufacturing and Medical Equipment Company)に記載されている化合物、EP722936に記載されている化合物、WO93/07124に記載されている化合物、WO98/06722に記載されている化合物、EP579496に記載されている化合物、特にONO1505(Ono)、WO97/03070に記載されている化合物、特にOPC35564(Otsuka)、ならびにWO02/074312に記載されている化合物が含まれ、それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0114】
本明細書で使用するのに適しているPDE5阻害薬のさらに他の例には、WO03000691、WO02098875、WO02064591、WO02064590およびWO0108688に記載されているカルボリン誘導体、WO02098877に記載されているピラジノ[1’,2’:1,6]ピリド[3,4−B]インドール1,4−ジオン誘導体、WO02098428に記載されている四環式化合物、WO02088123およびWO0200656に記載されている化合物、WO0238563およびWO02000657に記載されている縮合ピラジンジオン誘導体、WO0236593に記載されているインドール誘導体、WO0228865およびWO0228859に記載されている縮合ピリンドール(pyrindole)誘導体、WO0228858およびWO0194345に記載されているヘキサヒドロピラジノ[1’,2’:1,6]−ピリド[3,4−B]インドール−1,4−ジオン誘導体、WO0210166に記載されている縮合複素環式誘導体、WO0200658に記載されているサイクリックGMP特異的ホスホジエステラーゼ阻害薬、WO0194347に記載されている四環式ジケトピペラジン化合物、WO0298877に記載されている化合物ならびに用途出願WO0219213に記載されている化合物が含まれ、それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0115】
本明細書で使用するのに適しているPDE5阻害薬のさらに他の例には、WO0164192、DE10104800、WO0259126、DE10104095、WO0249651、DE10063224、DE10060338、DE10058662およびWO0200660に記載されている化合物が含まれ、それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0116】
本発明と併せて有用なさらに他のPDE5阻害薬には、
4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン、
1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル(quinozolinyl)]−4−ピペリジン−カルボン酸、一ナトリウム塩、
(+)−シス−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペンタ−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)−オン、フラズロシリン(furazlocillin)、
シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]−イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン、
3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、
3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、
4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3(2H)ピリダジノン、
1−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン、
1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸、一ナトリウム塩、
Pharmaprojects No.4516(Glaxo Wellcome)、Pharmaprojects No.5051(Bayer)、Pharmaprojects No.5064(Kyowa Hakko;WO96/26940を参照)、Pharmaprojects No.5069(Schering Plough)、ER−118585、E−8010、E−4021およびE−4010(Eisai)、Bay−38−3045および38−9456(Bayer)、FR181074、FR229934およびFR226807(Fujisawa)、TA−1032、T−0156およびTA−1790(Tanabe Seiyaku)、EMD82639およびEMR6203(Merck)、LAS34179およびLAS35917(Almirall)、Sch−51866、BMS−223131(Bristol Myers Squibb)、NCX911(Nicox)、ならびにABT−724およびABT−670(Abbott)が含まれる。
【0117】
本発明に従って使用するのに好ましいPDE5阻害薬には、
(i)
1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)(EP−A−0463756を参照)、
(ii)
5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(EP−A−0526004を参照)、
(iii)
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾ
ロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166を参照)、
(iv)
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333を参照)、
(v)
3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンとしても知られている(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333を参照)、
(vi)
1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例8を参照)、
(Vii)
5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例15を参照)、
(viii)
5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例66を参照)、
(ix)
5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例124を参照)、
(x)
5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例132を参照)、
(xi)
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル、IC−351、Cialis(登録商標))、すなわち公開国際出願WO95/19978の実施例78および95の化合物、ならびに実施例1、3、7および8の化合物、
(xii)
1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−as−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジンとしても知られている2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、すなわち公開国際出願WO99/24433の実施例20、19、337および336の化合物、
(xiii)WO00/27848に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、特にN−[[3−(4,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−5−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−1−メチル2−ピロリジンプロパンアミド[DA−8159(WO00/27848の実施例68]、
(xiv)公開国際出願WO93/07124の実施例11の化合物、
(xv)4−(4−クロロベンジル)アミノ−6,7,8−トリメトキシキナゾリン、
(xvi)7,8−ジヒドロ−8−オキソ−6−[2−プロポキシフェニル]−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン、
(xvii)
1−[3−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル]−4−プロポキシフェニル]カルボキサミド、
(xviii)
5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、および
(xix)
1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジン、
(xx)
7−(3−ブロモ−4−メトキシフェニルメチル)−1−エチル−8−{[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロプロピル]アミノ}−3−(2−ヒドロキシエチル)−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン[ダサンタフィル(dasantafil)、SCH−446132]、ならびに
薬学的に許容できるそれらの塩および溶媒和物が含まれる。
【0118】
任意の特定のPDE5阻害薬の適合性は、文献の方法を用いてその効力および選択性を評価し、続いて標準的な薬学的実践に従ってその毒性、吸収、代謝、薬物動態などを評価することによって容易に決定することができる。
【0119】
PDE5阻害薬は、100ナノモル未満に、より好ましくは50ナノモル未満に、より好ましくはさらに10ナノモル未満にIC50を有することが好ましい。
【0120】
PDE5阻害薬のIC50値は、本明細書で以下に記載されるPDE5アッセイを用いて決定することができる。
【0121】
本発明による医薬組合せにおいて使用されるPDE5阻害薬は、PDE5酵素に選択的であることが好ましい。それらは、100を超える、より好ましくは300を超える、PDE3を上回るPDE5の選択性を有することが好ましい。PDE5阻害薬は、100を超える、より好ましくは300を超えるPDE3とPDE4の双方を上回る選択性を有することがより好ましい。選択性比率は、当業者によって容易に決定することができる。PDE3およびPDE4酵素に対するIC50値は、本明細書で以下に詳述するように、確立された文献の方法論(S A Ballard他、Journal of Urology、1998、第159巻、2164〜2171ページを参照)を用いて決定することができる。
【0122】
本発明に従って使用することができる特許および特許出願に含まれる化合物への本明細書における相互参照に関して、我々は、特許請求の範囲(特に、請求項1の)および具体例(それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる)に定義されているような治療的に活性な化合物を意味する。
【0123】
活性剤の組合せを投与する場合、それらを、同時に、別々にまたは順次に投与することができる。
【0124】
薬学的に許容できる塩
薬学的に許容できる塩は、本発明の化合物が塩基性部分を含んでいる場合、有機および無機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および同様に知られている許容できる酸から形成することができる。塩は、本発明の化合物が酸性部分を含んでいる場合、有機および無機塩基、好ましくはアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、リチウム、またはカリウムから形成することもできる。
【0125】
不斉性
本発明の化合物は、不斉炭素原子を含むことがあり、本発明の化合物の一部は、1個または複数の不斉中心を含むことから光学異性体およびジアステレオマーを生じることがある。立体化学を考慮せずに示しているが、本発明には、そのような光学異性体およびジアステレオマー、ならびにラセミの、および分割された鏡像異性的に純粋なRおよびS立体異性体、ならびにRおよびS立体異性体の他の混合物および薬学的に許容できるそれらの塩が含まれる。ジアステレオマーおよび鏡像異性体を含む1つの光学異性体、または立体異性体が、他のものを上回る好ましい特性を有することがあることは認識されている。したがって、本発明を開示および特許請求する場合、1つのラセミ混合物が開示される場合は、他のものを実質的に含まないジアステレオマーおよび鏡像異性体を含む両方の光学異性体、または立体異性体が同じように開示および特許請求されていることは明らかに意図されている。
【0126】
医薬組成物
本発明は、治療有効量の本発明の薬剤および薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤(それらの組合せを含む)を含む医薬組成物も提供する。
【0127】
医薬組成物は、ヒト医学および獣医学におけるヒトまたは動物使用のためであってよく、通常は薬学的に許容できる希釈剤、担体、または賦形剤のうちのいずれか1つまたは複数を含むであろう。治療的使用のために許容できる担体または希釈剤は、製薬技術においてよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro編、1985)に記載されている。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、所期の投与経路および標準的な薬学的実践に関して選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤または希釈剤として、またはそれらの他に、任意の適当な1つまたは複数の結合剤、1つまたは複数の滑沢剤、1つまたは複数の懸濁化剤、1つまたは複数のコーティング剤、1つまたは複数の可溶化剤を含むことができる。
【0128】
保存剤、安定化剤、色素、および矯味剤さえも、医薬組成物中に提供することができる。保存剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸および、p−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。抗酸化剤および懸濁化剤も用いることができる。
【0129】
様々な送達システムに応じて様々な組成物/製剤要件が存在することがある。一例として、本発明の医薬組成物は、ミニポンプを用いて、または、例えば、吸入のための鼻スプレーもしくはエアロゾルもしくは摂取可能な溶液として粘膜経路により、または、組成物が、例えば、静脈内、筋肉内または皮下経路により送達するための注射可能な形態で製剤化されている非経口的に送達されるように製剤化することができる。あるいは、製剤は、両経路によって送達されるように設計することができる。
【0130】
胃腸粘膜を介して粘膜経路により薬剤を送達しなければならない場合、胃腸管を通過中に安定なままにできなければならず、例えば、タンパク分解に対して抵抗性であり、酸pHで安定であり、胆汁の洗浄効果に対して抵抗性でなければならない。
【0131】
必要に応じて、医薬組成物は、吸入により、坐剤または膣坐剤の形態で、ローション、溶液、クリーム、軟膏または散布剤の形態で局所的に、皮膚パッチの使用により、デンプンまたはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態で経口的に、または単独もしくは賦形剤との混合物でカプセル剤もしくは腔坐剤で、または、矯味剤もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、液剤または懸濁剤の形態で投与することができ、または、医薬組成物は、非経口的に、例えば、静脈内、筋肉内または皮下に注射することができる。非経口投与の場合、組成物は、他の物質、例えば血液と等張な溶液を作製するのに十分な塩または単糖を含むことができる滅菌水溶液の形態で最適に使用することができる。口腔内または舌下投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化することができる錠剤またはロゼンジ剤の形態で投与することができる。
【0132】
一部の実施形態において、本発明の薬剤は、シクロデキストリンと組み合わせて使用することもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と包接および非包接錯体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン錯体の形成は、薬物分子の溶解性、溶解速度、生物学的利用能および/または安定性の特性を変えることがある。一般的に、薬物−シクロデキストリン錯体は、大部分の剤形および投与経路に有用である。薬物との直接的な錯体化の代替策として、シクロデキストリンを、補助添加物として、例えば担体、希釈剤または可溶化剤として使用することができる。α−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用されており、適当な例は、WO−A−91/11172、WO−A−94/02518およびWO−A−98/55148に開示されている。
【0133】
好ましい実施形態において、本発明の薬剤は、全身的に(経口的に、口腔内に、舌下になど)、より好ましくは経口的に送達される。
【0134】
したがって、薬剤は、経口送達に適している形態であることが好ましい。
【0135】
投与
医薬使用を目的とする本発明の化合物は、結晶性または非晶性製品として投与することができ、または完全な非晶性から完全な結晶性までの一連の固体状態で存在することができる。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ剤(solid plugs)、散剤、またはフィルム剤として得ることができる。この目的には、マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。
【0136】
それらは、単独で、または1種もしくは複数の本発明の他の化合物との組合せで、または1種もしくは複数の他の薬物との組合せで(または、それらの任意の組合せとして)投与することができる。一般的に、それらは、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与されるはずである。本明細書において、用語「賦形剤」は、本発明の1種または複数の化合物以外の任意の成分について記載するのに使用される。賦形剤の選択は、特定の投与方法、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などの要素によって大きく左右されるであろう。
【0137】
本発明の化合物を送達するのに適している医薬組成物およびそれらを調製するための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)中に見出すことができる。
【0138】
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下するものであり、または、化合物が口から直接血流に入る口腔内もしくは舌下投与を用いることができる。経口投与に適している製剤には、例えば、錠剤、微粒子を含有するカプセル剤、液剤、または散剤、ロゼンジ剤(液体入りを含む)、咀嚼剤(chews)、多粒子およびナノ粒子剤、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤、膣坐剤、噴霧剤などの固形製剤ならびに液状製剤が含まれる。
【0139】
液状製剤には、例えば、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟質または硬質カプセル剤における充填剤として用いることができ、通常、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適当な油、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。また、液状製剤は、例えば分包から、固体の再構成により調製することができる。
【0140】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載されている剤形などの速溶、速崩壊剤形においても使用することができる。
【0141】
錠剤剤形の場合、投与量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を占めることができる。一般的に、錠剤は、薬物の他に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般的に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占めるものとする。
【0142】
一般的に、錠剤製剤に凝集性を付与するために結合剤が使用される。適当な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。また、錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有することができる。
【0143】
また、錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を占め、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めることがある。
【0144】
また、錠剤は、一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤を含有する。一般的に、滑沢剤は、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤および味覚マスキング剤が含まれる。
【0145】
例示的錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%〜約90重量%、希釈剤約0重量%〜約85重量%、崩壊剤約2重量%〜約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%〜約10重量%を含有する。
【0146】
錠剤ブレンドを直接、またはローラーにより圧縮し、錠剤を作製することができる。あるいは、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を、打錠前に湿式、乾式、または融解式造粒するか、あるいは融解式凝結させるか、あるいは押し出すことができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含み、コーティングされていてもされていなくてもよく、カプセル化されてもよい。錠剤の製剤化は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」、第1巻(Marcel Dekker、New York、1980)中で論じられている。
【0147】
ヒトまたは動物使用のために消費できる経口フィルム剤は、通常、速溶性であるか、または粘膜付着性であってよい柔軟な水溶性または水膨潤性の薄膜剤形であり、通常、式(I)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤および溶媒を含む。製剤の一部の成分は、2つ以上の機能を果たすことがある。
【0148】
本発明の化合物は、水溶性または不水溶性であってよい。通常、水溶性化合物は、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には、20重量%〜50重量%を占める。あまり溶けない化合物は、組成物の大部分、典型的には溶質の88重量%までを占めることがある。あるいは、化合物は、多粒子ビーズの形態であってよい。
【0149】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖、タンパク質、または合成親水コロイドから選択することができ、通常、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0150】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香味料および調味料、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、緩和薬、充填剤、消泡剤、界面活性剤および味覚マスキング剤が含まれる。
【0151】
通常、本発明によるフィルム剤は、剥離可能な裏打用の支持体または紙の上にコーティングされた薄い水性フィルムを蒸発乾燥させることによって調製される。これは、乾燥炉またはトンネル乾燥機、通常は複合コーター乾燥機中で、または凍結乾燥もしくは真空吸引によって行うことができる。
【0152】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0153】
本発明の目的に適している放出調節製剤については、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散および浸透圧およびコーティングした粒子などの他の適当な放出技術の詳細は、Verma他による「Pharmaceutical Technology On−line」、25(2)、1〜14(2001)に見出すことができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用については、WO00/35298に記載されている。
【0154】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓中に直接投与することもできる。非経口投与に適している手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与に適している装置には、針(極微針を含む)注射器、無針注射器および注入技法が含まれる。通常、非経口製剤は、塩、炭水化物および緩衝剤(3〜9のpHが好ましい)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、一部の応用例については、滅菌非水溶液として、または乾燥形態として製剤化し、滅菌した発熱物質を含まない水などの適当なビヒクルと併せて使用することがより適当である。無菌条件下、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的製薬技法を用いて容易に行うことができる。
【0155】
非経口液剤の調製において使用される式(I)の化合物の溶解性は、溶解性促進剤の組み入れなどの適切な製剤技法の使用によって高めることができる。非経口投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。すなわち、本発明の化合物は、活性化合物の放出調節を提供する埋込型デポー剤として投与するための固体、半固体、またはチキソトロピックな液体として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物をコーティングしたステントおよびDL−乳酸/グリコール酸共重合体(poly(dl−lactic−coglycolic acid))(PGLA)ミクロスフェアが含まれる。
【0156】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ、すなわち経皮的(dermally)または経皮的(transdermally)に、局所的に投与することもできる。この目的に典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、ウェハー剤、インプラント剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏剤およびマイクロエマルジョン剤が含まれる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。透過促進剤を組み入れることができる。例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。局所投与の他の手段には、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび極微針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。局所投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0157】
また、本発明の化合物は、鼻腔内または吸入により、通常、乾燥粉末インヘイラーから乾燥粉末(単独で、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドにおける混合物として、または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)の形態で、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適当な噴射剤の使用の有無にかかわらず加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアゾールスプレーとして投与することができる。鼻腔内使用の場合、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0158】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または活性物質の分散、可溶化、または延長放出のための適当な代替試剤、溶媒としての1種または複数の噴射剤およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の1種または複数の化合物の溶液または懸濁液を含む。
【0159】
乾燥粉末または懸濁液製剤における使用に先立って、薬物製品は、吸入による送達に適しているサイズ(通常5ミクロン未満)まで微粉化される。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法によって行うことができる。
【0160】
インヘイラーまたはインサフレーターにおいて使用するためのカプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの動作調整剤の粉末ミックスを含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水または一水和物の形態であってよく、後者であることが好ましい。他の適当な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0161】
細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザーにおいて使用するのに適している溶液製剤は、1動作につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有し、動作容積は、1μlから100μlまで変化することがある。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0162】
吸入/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤には、メントールおよびレボメントールなどの適当な香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加することができる。
【0163】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時放出および/または、例えば、PGLAを用いる放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0164】
乾燥粉末インヘイラーおよびエアゾール剤の場合、用量単位は、一定量を送達するバルブによって決定される。通常、本発明による単位は、式(I)の化合物2〜30mgを含有する一定量すなわち「パフ」を投与するように配置される。通常、全1日量は、1回量か、またはより一般的には1日を通して分割量として投与することができる50〜100mgの範囲とする。
【0165】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐薬、または浣腸の形態で経直腸的または経膣的に投与することができる。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用することができる。直腸/膣内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0166】
本発明の化合物は、通常、等張性のpH調整した滅菌食塩水中の微粉末化された懸濁液または溶液の点滴剤の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適した他の製剤には、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)埋込錠、ウェハー剤、レンズ剤およびニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に組み入れることができる。そのような製剤は、イオントフォレーシスによっても送達することができる。眼/耳投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0167】
本発明の化合物は、シクロデキストリンおよび適当なその誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子と混ぜ合わせ、前述の投与方法のいずれかにおいて使用するために、それらの溶解性、溶出速度、味覚マスキング、生物学的利用能および/または安定性を改善することができる。例えば、薬物−シクロデキストリン錯体は、大部分の剤形および投与経路にとって一般的に有用であることが判明している。包接錯体と非包接錯体の双方を使用することができる。薬物との直接錯体化の代替法として、シクロデキストリンを補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することができる。これらの目的のためにα−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、その例は、国際特許出願第WO91/11172号、第WO94/02518号および第WO98/55148号に見出すことができる。
【0168】
本発明の組成物は、直接注射によって投与することができる。
【0169】
一部の応用例については、薬剤は、経口的に投与されることが好ましい。
【0170】
特に上記の式(I)、(II)および(III)の化合物の特定の利点は、それらが経口的に活性であることである。
【0171】
一部の応用例については、薬剤は、局所的に投与されることが好ましい。
【0172】
投与量レベル
通常、個々の対象に最も適しているであろう正確な用量は、医師が決定するであろう。任意の特定の個体についての具体的な投与量レベルおよび用量の頻度は、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の方法および時間、排泄速度、薬物組合せ、特定の状態の重症度、ならびに治療を受けている個体を含む様々な要素によって異なるはずである。本発明の薬剤および/または医薬組成物は、1日につき1回または2回などの1日につき1〜10回の投与計画に従って投与することができる。
【0173】
ヒトへの経口および非経口投与の場合、薬剤の1日用量レベルは、1回量または分割量であってよい。
【0174】
必要性に応じて、薬剤は、0.1〜10mg/kg、より好ましくは体重1kg当たり0.1〜1mgなどの体重1kg当たり0.01〜30mgの投与量で投与することができる。当然、本明細書に述べられる用量は、平均的な症例の例示である。より高いかまたはより低い用量範囲に価値がある個々の場合があることは言うまでもない。
【0175】
1日経口投与量は、0.1〜100mgであることが好ましい。1日投与量は、0.5〜20mgであることがより好ましい。さらに、1日投与量は、1〜10mgであることがより好ましい。さらに、1日投与量は、2〜5mgであることがより好ましい。1日投与量は、約3mgであることが最も好ましい。
【0176】
適当な投与量には、女性性機能障害、特にFSADの治療と嘔吐または他の副作用の誘発との間の満足な治療効果比を可能にする投与量が含まれるであろう。
【0177】
製剤
本発明の薬剤は、当技術分野において知られている技法を用いることにより、適当な担体、希釈剤または賦形剤のうちの1つまたは複数と混合することなどによって、医薬組成物に製剤化することができる。
【0178】
以下は、製剤の一部の非限定的実施例を示している。
【0179】
製剤1:錠剤は、以下の成分を用いて調製される。
【0180】
【表1】

成分を混合して圧縮し、各々の重量が665mgである錠剤を形成する。
【0181】
製剤2:静脈内製剤は、以下の通り調製することができる。
【0182】
【表2】

【0183】
個体
本発明で使用する用語「個体」は、脊椎動物、特に哺乳動物種のメンバーを指す。この用語には、家畜、スポーツ動物、霊長類およびヒトが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0184】
本発明の化合物は、FSD患者の以下の亜集団、すなわちホルモン補充療法の有無にかかわらず若い女性、高齢の閉経前、閉経前後、閉経後の女性に適用される。
【0185】
治療への本明細書におけるすべての言及には、治癒的、姑息的および予防的治療が含まれることが理解されるべきである。
【0186】
本発明の化合物は、
i)血管新生性病因、例えば、心血管またはアテローム硬化性疾患、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、高血圧、放射線および会陰部外傷、腸骨下腹陰部血管系への外傷性損傷、
ii)脊髄損傷もしくは多発性硬化症を含む中枢神経系の疾患、糖尿病、パーキンソニズム、脳血管発作、末梢性ニューロパシー、外傷または根治的骨盤手術などの神経原性病因、
iii)視床下部/下垂体/性腺軸の機能障害、または卵巣の機能障害、膵臓の機能障害、外科的もしくは内科的性腺摘除、アンドロゲン欠乏、プロラクチンの高い循環レベル、例えば、高プロラクチン血症、自然閉経、早発閉経、甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症などのホルモン性/内分泌性病因、
iv)うつ病、強迫性障害、不安障害、産後うつ病/「ベビーブルー」、感情的および関係的問題、パフォーマンス不安、夫婦間の不和、非機能的態度、性的恐怖症、宗教的阻害または外傷性の過去の体験などの心因性病因、ならびに/または
v)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)および他の抗うつ薬療法(三環系抗うつ薬およびメジャートランキライザー)による療法、抗高血圧療法、交感神経遮断薬、長期経口避妊ピル療法に起因する薬物誘発性性機能障害に起因するFSD患者に適用される。
【0187】
生物学的利用能
本発明の化合物(および組合せ)は、経口的に生物が利用可能であることが好ましい。経口生物学的利用能は、全身循環に到達する経口投与された薬物の比率を指す。薬物の経口生物学的利用能を決定する要素は、溶解、膜透過性および代謝安定性である。通常、初めはin vitro技法、次いでin vivo技法のスクリーニングカスケードを用い、経口生物学的利用能を決定する。
【0188】
溶解、すなわち胃腸管(GIT)の水性内容による薬物の可溶化は、GITを模倣する適切なpHで行われるin vitroの溶解性実験から予測することができる。本発明の化合物は、50mcg/mlの最小限の溶解性を有することが好ましい。溶解性は、Adv.Drug Deliv.Rev.23、3〜25、1997に記載されているような当技術分野において知られている標準的な手順により決定することができる。
【0189】
膜透過性は、GITの細胞を介した化合物の通過を指す。親油性は、膜透過性を予測する重要な特性であり、有機溶媒および緩衝液を用いるin vitroのLogD7.4測定により定義される。本発明の化合物は、−2〜+4、より好ましくは−1〜+2のLogD7.4を有することが好ましい。logDは、J.Pharm.Pharmacol.1990、42:144に記載されているような当技術分野において知られている標準的な手順により決定することができる。
【0190】
caco2などの細胞単層アッセイ、いわゆるcaco−2フラックスは、p−糖タンパク質などの排出トランスポーターの存在下で、好ましい膜透過性の予測を実質的に高める。本発明の化合物は、2×10−6cms−1を超える、より好ましくは5×10−6cms−1を超えるcaco−2フラックスを有することが好ましい。cacoフラックス値は、J.Pharm.Sci.1990、79、595〜600に記載されているような当技術分野において知られている標準的な手順により決定することができる。
【0191】
代謝安定性は、吸収プロセスの間に化合物を代謝するGITまたは肝臓の能力、すなわち初回通過効果を対象とする。ミクロソーム、肝細胞などのアッセイシステムは、代謝的不安定性を予測する。実施例の化合物は、0.5未満の肝抽出に見合ったアッセイシステムにおける代謝安定性を示すことが好ましい。アッセイシステムおよびデータ操作の例は、Curr.Opin.Drug Disc.Devel.、201、4、36〜44、Drug Met.Disp.、2000、28、1518〜1523に記載されている。
【0192】
上記プロセスの相互作用のため、薬物がヒトにおいて経口的に生物が利用可能であるというさらなる支持を、動物におけるin vivo実験により得ることができる。これらの試験において、絶対的生物学的利用能は、経口経路により化合物を別々に、または混合物として投与することにより決定される。絶対的な決定(%吸収)の場合、静脈内経路も用いられる。動物における経口生物学的利用能の評価の例は、Drug Met.Disp.、2001、29、82〜87;J.Med Chem、1997、40、827〜829、Drug Met.Disp.、1999、27、221〜226に見出すことができる。
【0193】
本発明の各態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えれば、他の態様の各々についても同様である。
【0194】
プロトコル
プロトコル1:MOR拮抗薬活性を決定するためのプロトコル
μFLIPRプロトコル:
一過性コトランスフェクションプロトコル(PER PLATE)細胞系:Hek293T
HOPM完全培地:1リットルに対して
DMEM
100mL 熱不活性化FBS
10mL L−グルタミン
10mL Pen/Strep
10mL ジェネティシンG418
【0195】
接種
トランスフェクション前日に、7×e6個の細胞をT−175中に接種する。
【0196】
細胞調製
60%コンフルエントなT−175から0.25%トリプシン2mLで細胞を収集する。
約5分間、フラスコ中にトリプシンをそのままにしておく。
フラスコを一旦閉め、完全培地8mLに細胞を再懸濁する。
懸濁液をピペットで数回上下させ、50mLのポリプロピレン管に移す。
1,000rpmにて5分間、細胞を遠沈する。
上清をデカントし、完全培地15mLに再懸濁する。
細胞をカウントすると、1mL当たり4×e5個の細胞という細胞密度が得られる。
必要ならば、完全培地15mLの最終容積に細胞を希釈する。
【0197】
トランスフェクションミックス
2本のポリプロピレン14mL管をセットする。
第1の管にDMEM無血清培地1mLおよびFugene6試薬70mLを加える。
第2の管にHOPM DNA1.84mg、GqI5 1.6mgおよびpcDNA 10mgを加える。
室温にて5分間インキュベートする。
DNAにDMEM/Fugeneミックスを滴加し、緩やかにかき混ぜる。
混合物を室温にて20分間インキュベートさせる。
細胞懸濁液に混合物を滴加する。
管を数回緩やかに逆さにすることによりゆっくりと混ぜる。
Black/Clearのポリ−d−リシンでコーティングしたFLIPRプレートにウェル当たり130mLを加える。
37℃のインキュベーターに48時間入れる。
【0198】
アッセイ試薬:
アッセイ緩衝液 1リットルpH7.4
【0199】
【表3】

プロベネシド(Probenicid)混合物
【0200】
【表4】

細胞色素培地PER PLATE
【0201】
【表5】

【0202】
アッセイプロトコル:
アッセイの1時間前、細胞プレートに色素をロードし、非殺菌インキュベーター内で37℃にてインキュベートする。過剰の色素をはじき飛ばす。Skatronプレート洗浄機中、アッセイ緩衝液でプレートを洗浄する。
細胞を、20〜30分間平衡化させる。
FLIPR384を用い、薬物を最初の添加で加え、2秒間隔で2分間モニターする。
プレートを、薬物と共に20分間プレインキュベートする。
第2の添加は、作動薬競合物質(400nM DAMGO)であり、添加して2秒間隔で2分間モニターする。
データは、ExcelおよびGraph Padを用いて分析する。
【0203】
解釈
データは、化合物の機能的活性を拮抗薬または作動薬と特徴付けることにより解釈する。
【0204】
プロトコル2:ヒトδオピオイド受容体競合結合プロトコル(H−ナルトリンドールを使用する)
3H−ナルトリンドール結合アッセイ
材料および機器:
アッセイ緩衝液−−50mM Tris HCl pH7.4、5mM MgCl、100ug/mlバシトラシン、1.08μg/mlベスタチン、および0.3μMチオルファン(室温にて)。
ポリプロピレン96ウェルプレート。
3H−ナトリンドール(Natrindole)、NEN、NET−1065、32Ci/mmol、またはTocris Cookson、R740、50Ci/mmol、〜0.5nM。
ヒトオピオイド受容体(HOPD)を発現するCHO細胞。
膜緩衝液50mM Tris HCl pH7.4および1mM EGTA。
Brinkmann PT3000 Polytron。
洗浄緩衝液−50mM Tris HCl、および5mM MgCl、pH7.4(4℃にて)。
Skatronハーベスター。
Whatman GF/Cガラス繊維フィルターポリエチレンイミン(PEI)。
【0205】
細胞膜調製
37℃にて、5mM EDTAを含むD−PBSを用い、フラスコの底からHOPD細胞を取り外す。取り外した細胞を、SORVALL遠心分離機内のSS−34ローター中で18,000rpmにて15分間回転させる。15,000rpmにて20秒間、Polytronを用いて50倍容量の膜緩衝液(50mM Tris HCl pH7.4、および1mM EGTA)にペレットを再懸濁する。上記のように回転させ、ペレットを再懸濁して1ウェル当たり10μg(0.4mg/mlストック)の最終濃度とする。
【0206】
結合アッセイ
インキュベーション混合物:合計25μl、化合物(10×にて)、またはブランク200μl H−NTI(〜0.5nM最終濃度)25μl細胞膜(〜10μgタンパク質/ウェル)。
【0207】
反応は、H−NTIおよび適切なブランク、競合物質、またはビヒクルの入ったポリプロピレン96ウェルプレートの各ウェルに細胞膜を加えることで開始させる。非特異的結合は、1μMの冷ナルトリンドールを用いて推定する。37℃にて90分間インキュベートする。反応は、プログラム555にてSkatron Green Machineハーベスターを用い、Whatman GF/Cフィルター(0.6%PEI中に少なくとも1時間予浸した)上の迅速な濾過によって終了させる。フィルターディスクを一夜空気乾燥させ、次いでサンプルバッグに入れ、Betaplateカウンターでカウントする。
【0208】
解釈
データは、Ki’s(受容体の半分を占有する濃度)として表される。Kiがアッセイから得られない場合、試験した最高投与量における阻害を報告する。すべてのデータは、Quickbasic Betaソフトウェアプログラムによる直線回帰を用いて分析する。
【0209】
プロトコル3:κオピオイド受容体結合プロトコル
ヒトκオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞は、Receptor Biologyから膜調製物として購入する。400マイクロアッセイバイアル(容量1mL)を解凍し、アッセイ緩衝液(50mM Tris HCl、pH7.4、10mM MgCl)79mLに加え、Polytronでホモジナイズする。組織は、氷の上に保つ。化合物は、100%DMSOに可溶化し、アッセイ緩衝液中に希釈する。ブランクは、10μMナロキソンであり、リガンドは、2nM 3H ジプレノルフィン(NEN #NET1121)である。化合物25μL、緩衝液またはブランクと、続いてH DPN 25μLおよび膜200μLを96ウェルポリプロピレンプレートに加える。プレートを、オービタルシェーカー上で室温にて1時間インキュベートする。次いで、アッセイを、Skatronハーベスターおよび洗浄緩衝液としての50mM Tris HCL pH7.4を用い、0.5% PEIに予浸させたWallacプリントフィルターマットA上に収集する。フィルターを一夜乾燥させ、Betaplateカウンターで翌日カウントし、後で分析する。
【0210】
解釈
データを、Excelを用いて分析し、IC50およびKi値を決定する。
【0211】
プロトコル4:μおよびδおよびκについてのフラッシュプレートにおけるGTPγS拮抗薬結合
GTPγSの比活性は、1100〜1200Ci/mmoleである。http://www.grahpad.comの放射能計算機を用い、ストックの実際の濃度を決定する。GTPγ35Sの最終濃度は、0.1nMである(ストック0.4nM、4×)。
【0212】
【表6】

【0213】
プレートセットアップ:
− プレートに100×化合物2μlを加える。アッセイプレートにおける最終濃度は、10−5〜10−10である
− コントロールには、2μl冷1mM GTPγS(非特異的)、2μl DMSO緩衝液(合計)および2μl DMSO(基礎の、作動薬なし)が含まれていなければならない
− すべてのウェルに0.4nM GTPγS 50μlを加える
− すべてのウェルにアッセイ緩衝液中のホモジナイズした膜128μl(5μg)を加える(ダウンス中で膜をホモジナイズする)
− 短時間振盪させる
− 30℃にて10分間インキュベートする
− 基礎(緩衝液20μlを加える)を除くすべてのウェルに、アッセイ緩衝液中のμには10μM b−エンドルフィン、またはδには10nM BW373U86、またはκには100nMダイノルフィンAをそれぞれ20μl加える
− 短時間振盪させる
− 30℃にて60分間インキュベートする
− 1000×G(2500rpm)にて10分間回転させる
− カウントする
100×プロテアーゼ阻害薬:
10mg/mlバシトラシン
10mg/mlベンズアミジン
0.5mg/mlアプロチニン
0.5mg/mlロイペプチン
注:
− アッセイ緩衝液は新鮮にする
− 実験中はアッセイ緩衝液を室温に保つ
− プロテアーゼ阻害薬は100×濃度にて作製し、−20℃にて保存する
【0214】
【表7】

【実施例1】
【0215】
結合試験:μオピオイド受容体に対する化合物Aの選択的親和性
μ、δ、およびκオピオイド受容体サブタイプに結合する化合物Aの親和性および選択性は、放射リガンド結合試験で評価した。μオピオイド受容体に対する化合物Aの親和性は、ヒトμオピオイド受容体を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からの膜調製物を用いて決定した。化合物Aは、0.88±0.22nMのK値で、[H]DAMGOのヒトμ受容体との結合を置換した。0.76±0.19nMという同様のK値が、げっ歯類μ受容体に対しても得られた(データ省略)。
【0216】
図1は、それぞれのヒトオピオイド受容体との結合からの[H]DAMGO(μ受容体)、[H]ナルトリンドール(δ受容体)および[H]ジプレノルフィン(κ受容体)の化合物Aによる置換を示している。
【0217】
δ受容体に対する親和性は、ヒトδオピオイド受容体を発現するCHO細胞を用いて決定した。化合物Aは、2510±578nMのK値で[H]ナルトリンドールの結合を置換した。
【0218】
化合物Aのκ受容体との結合の特徴付けは、ヒトκ受容体を安定に発現するHEK−T293細胞を利用した。膜結合試験において、化合物Aは、353±140nMのK値で[H]ジプレノルフィンの結合を置換した。
【0219】
μおよびκオピオイド受容体における化合物Aの機能的活性に関するin vitro試験
結合試験は、ある化合物が認識部位と結合する親和性を示すが、その機能的効果を理解するにはあまり役に立たない。追加のin vitro試験を化合物Aについて行い、CHO細胞において一過性に発現されるμおよびκ受容体におけるその機能的活性を評価した。
【0220】
3種のオピオイド受容体はすべて、普通はヘテロ三量体Gタンパク質、特にGおよびGと相互作用する。これらのタンパク質は、オピオイド受容体をアデニルシクラーゼとネガティブに共役させるため、オピオイド受容体の活性化は、検出するのが難しいことが多いcAMP濃度の減少につながる。しかしながら、μオピオイド受容体とキメラGタンパク質の両方を一過性に発現するHEK細胞を使用することは、細胞内Ca++貯蔵の動員をもたらす。蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)を用いると、細胞内Ca++濃度の変化は、Fluo−4の蛍光の変化を用いてリアルタイムにイメージされる。
【0221】
Ca++の細胞内濃度のDAMGO誘発性増加は、化合物Aによって用量依存的に阻害され、K値は2.9±1.5nM(N=4)であった。対照的に、化合物Aは、κ受容体選択的作動薬であるU−50,488によって誘発される細胞内Ca++の増加に拮抗し、K値は72.8±28nM(N=4;図2)であった。
【0222】
図2は、μ受容体(四角)およびGαQi5Gタンパク質またはκ受容体(円)およびGαQi5Gタンパク質を一過性にトランスフェクトしたCHO細胞における細胞内Ca++の増加の化合物Aによる阻害を示しており、DAMGO(400nM)は、μ受容体を刺激するのに使用される作動薬であり、U−50,488(400nM)は、κ受容体を活性化した。3回の測定からの代表的曲線。
【0223】
表1は、化合物Aの重要な薬理学的特性を要約している。
【0224】
【表8】

【実施例2】
【0225】
動物飼育
ラットは、各試験前の最低限3週間、明逆サイクル(09:00〜21:00時を暗所に)で維持した。この期間中、動物は、餌および水を自由に与え、5匹の群において一方の性で収容した。すべての行動テストは、半ルクス照明条件下で12:00〜17:00時(暗期中)に行った。
【0226】
実験は、UK法に従い、地方の倫理審査を受けた。
【0227】
A−受容性モデル。
テストは、直径約50cmの個別の円形Perspexアリーナ内において行った。テスト雌を、性体験のある活動的な雄ラットが入っているアリーナに入れた。雄を、テスト雌と10回マウントさせ、性行動の数を記録した。
【0228】
テスト雌の処置
試験日の48時間前、テスト雌に5μg/ラットのエストロゲンを皮下投与した。テストの日には、テスト雌にプロゲステロン(50μg/ラット皮下)を投与し、3〜4時間後に予備テストを行い、投与前のロードシス指数および受容性スコアを確立した。次いで、テスト雌に、試験化合物(化合物A)経口、試験化合物ビヒクル(脱イオン水(5mL/kg経口))、内部標準塩酸ナロキソン(2mg/kg皮下)または内部標準ビヒクル(食塩水0.9%w/v 1mL/kg皮下)を投与した。
【0229】
ホルモン補充療法(HRT)動物は、陽性対照としての役割を果たし、最高の受容的および能動的行動を示す完全な行動的発情に至らせるように初回刺激する。HRT動物には、試験日の48時間前に5μg/ラットのエストロゲンを皮下投与し、試験日には1mg/kgのプロゲステロンを投与したが、予備テストは行わなかった。
【0230】
化合物Aまたは脱イオン水を投与したすべての雌を、投与後60および120分にテストした。
【0231】
塩酸ナロキソンまたは食塩水を投与した雌を、投与後30分にテストした。
【0232】
スコアリング方法
受容性は、ロードシス指数を用いて評価した。雌ロードシス(挿入(膣挿入)が起きるのを可能にする/必要である背屈)の頻度は、性的に活動的な雄ラットによる10回のマウントの比として記録され、百分率として表される。
【0233】
受容性は、雄のマウントに反応するロードシスの他に他の行動を組み入れた受容性スコア(RS)を用いても評価した。
【0234】
スコアの基準
0は、雌が、後ろ足で立ち拒絶する場合、例えば、マウントに反応した殴るおよび蹴るなどの活動的な回避行動の場合に割り当てられ、
1は、雄が、挿入の有無にかかわらずマウントできるが、雌が、脊柱前弯の姿勢を示さず、静止したままでいるかまたは立ち去る場合に割り当てられ、
2は、雄が、挿入の有無にかかわらず雌にマウントするが、雌に脊柱前弯の姿勢を強いる場合に割り当てられ(脊柱前弯の反応は完全でない)、
3は、雄が、挿入の有無にかかわらずマウントでき、雌が、完全な脊柱前弯の姿勢を示しながら相互交流中に静止したままである場合に割り当てられ、
上記の基準を用い、10回のマウントに反応した行動的帰結を記録した。平均受容性スコアは、各マウントについてスコアを合計し、次いで、マウント数、すなわち10で除することにより各ラットについて算出した。
【0235】
統計学およびデータ分析
受容性スコアおよびロードシス指数の計算
受容的行動は、上記の基準を用い、スコアシート上に記録して集計した。これらのシートからのデータは、Excelスプレッドシートに移した。Excelを用い、脊柱前弯反応の数を10回のマウントで除して100を乗じることにより、化合物A、脱イオン水(5mL/kg)、塩酸ナロキソンおよび食塩水(0.9%w/v 1mL/kg)の各投与量について1匹のラット当たりのロードシス指数を算出した。
ロードシス指数(LQ)=((脊柱前弯反応の数/10)100。
【0236】
また、Excelを用い、下式を用いて、化合物A、脱イオン水(5mL/kg)、塩酸ナロキソンおよび食塩水(0.9%w/v 1mL/kg)の各投与量について1匹のラット当たりの平均受容性スコアを算出した。
平均受容性スコア=Σ行動スコア(行動反応の頻度/10)
【0237】
次いで、算出されたロードシス指数および受容性スコアを、1処置群当たりに平均し、それを用いて1処置群当たりの平均受容性スコアおよびロードシス指数ならびに平均値の標準誤差(SEM)を出した。これらのデータを用い、予備テスト時および投与後120分の1処置群当たりの平均ロードシス指数および受容性スコアのグラフを作成した。
【0238】
統計分析は、ExcelアドインLabStats(Tessella)からの分散分析(ANOVA)パッケージを用いて行った。非臨床統計学グループは、ANOVA、対応のあるおよび対応のないt−検定を含むデータを分析するための多くの異なる統計的方法を推奨した。
【0239】
除外基準
予備テストにおいて受容性に過不足があると見なされた動物は、分析から除外した。受容性不足の動物は、これまでの試験から複合エストロゲン−プロゲステロン初回刺激に期待される最小限の受容的行動を示さなかった。したがって、受容性不足の動物は、改良者である可能性は低いと見なされ、ホルモン初回刺激に対してさえ反応が不十分であったことから、試験化合物による介入によって何らの改善も示さなかった。試験に採用するための最低限の許容できる受容性スコアは、0.6以上とした。受容性過多の動物は、これまでの試験に基づき、複合エストロゲン−プロゲステロン初回刺激に期待されるよりも高い許容できる受容的行動を示した。受容性過多の動物も、化合物による介入で何らかの改善を示す治療の機会が少ないことから、改良者である可能性は低いと見なされた。受容性過多の動物は、ホルモン初回刺激に対する感受性の増加に起因する偽陽性をもたらす恐れがあった。試験に採用するための最高の許容できる受容性スコアおよびロードシス指数はそれぞれ、1.6以下および50%以下とした。
≧0.6 受容性スコアの許容できる範囲 ≦1.6
ロードシス指数の許容できる範囲 ≦50%
【0240】
事前の初回刺激および概念実証試験を用い、複合エストロゲン−プロゲステロン初回刺激を受けた雌の典型的な性的および非性的行動を観察した。性的(受容性過多および受容性不足の動物−上記のパラメーターによって定義される)と非性的(すなわち、ストレスまたは不安行動、例えば、座位無動状態を示し、片隅で丸くなっていた雌)の双方で正常な行動から逸脱していた雌は、試験から除外した。それらは、明らかな外れ値であった。この試験は、そのような行動を拾い上げるように設計されなかったため、この除外基準は、定性的であり、実測された現象ではなかった。(限定された集団からの作業手段として非臨床統計学からの承認)。
【0241】
受容性スコアの分析
ANOVAを用い、共変量としての予備テストスコアを用いて受容性スコアを分析した。受容性スコアの予備テスト値(すなわち、化合物A、塩酸ナロキソンおよびそれらのそれぞれのビヒクルを投与する前)は、ANOVAを用いる根拠である正規分布を示した。しかしながら、化合物A、塩酸ナロキソンまたはそれらのそれぞれのビヒクルを投与した後、処置群の分散は同等でなくなった。ANOVAは、この試験にはあてはまらない処置群間の値の正規分布および等分散を仮定している。
【0242】
ANOVAの他に、各テスト時点における処置群の投与後受容性スコア対(VS)それら自身の予備テスト受容性スコアを比較する対応のあるt−検定も使用した。化合物Aおよび塩酸ナロキソン受容性スコア対各テスト時点におけるそれらのそれぞれのビヒクルを比較する対応のないt−検定も適用した。これらのt−検定からの統計的帰結は、ANOVAと異なっていなかった。しかしながら、t−検定は、多重比較を使用するため、統計誤差のより大きな危険性がある、したがって、ANOVAからの結果がより強固であると感じられた。
【0243】
ロードシス指数の分析
ANOVAを用い、共変量としての予備テストLQを用いてロードシス指数を分析した。予備テストロードシス指数は、処置群間に傾斜分布および不等分散を示した。さらに、高い比率のゼロ脊柱前弯反応が存在した。ANOVAは、正規分布および等分散を仮定しており、さらに高い割合のゼロを含むデータについてはあまり強固ではない。ロードシス指数のためのスコアリングは、カテゴリーデータまたはカウントデータであるが、ロードシス指数を分析するのに最も適切な方法に関する合意は存在しない。
【0244】
材料:
テスト物質
化合物A(メシル酸塩)。MW522.69
塩酸ナロキソン(Sigma)ロット番号064K0687、製品番号N7758。MW399.87
【0245】
ステロイド性ホルモン
β−エストラジオール3−ベンゾエート(Sigma)ロット番号013K0586、製品番号E8515。MW376.49
プロゲステロン(Organics)ロット番号A0222735。MW314.46
【0246】
テスト化合物の投与調製物
化合物Aを脱イオン水に溶かし、20.3mg/5mL(194nM)(塩に起因する1.22の補正因子による乗算で最高投与量16.7mg/kgに相当する)のストック溶液を作成した。脱イオン水を希釈剤として用い、それに続く希釈液を作成した。
【0247】
塩酸ナロキソンを食塩水(0.9%w/v 1mL/kg)に溶かし、使用前30分に作成した。
【0248】
ステロイド性ホルモンの投与調製物
20μg/ラット初回刺激のためのβ−エストラジオール3−ベンゾエートストック溶液を、トウモロコシ油中の100μg/ml(0.266nM)として調製した。トウモロコシ油を希釈剤として用い、それに続く希釈液を作成した。
【0249】
1000μg/ラット初回刺激のためのプロゲステロンストック溶液を、トウモロコシ油中の5000μg/ml(15.9nM)として調製した。トウモロコシ油を希釈剤として用い、それに続く希釈液を作成した。
【0250】
投与量レベル
化合物A:0.00167、0.0167、0.5、1.67、5および16.7mg/kg(194nM)経口投与(PO)。
塩酸ナロキソン:2mg/kg(5nM)皮下投与(SC)。
β−エストラジオール3−ベンゾエート:5μg/ラット皮下投与(SC)。
プロゲステロン:50μg/ラットおよび1mg/ラット皮下投与(SC)。
【0251】
投与容量
化合物A:5mL/kg
塩酸ナロキソン:1mL/kg
β−エストラジオール3−ベンゾエート:0.2ml/ラット
プロゲステロン:0.2ml/ラット
【0252】
ビヒクル
化合物A:脱イオン水
塩酸ナロキソン:食塩水(0.9%w/v)
β−エストラジオール3−ベンゾエート:トウモロコシ油
プロゲステロン:トウモロコシ油
【0253】
結果
化合物Aは、投与後120分でビヒクルと比較して投与量0.5(p=0.0049)、1.67(p=0.021)、5(p=0.0002)および10(p=0.01)mg/kgにおいて受容性スコアの統計的に有意な増加を引き起こした(図3)。
【0254】
要約図(図3)は、化合物Aかまたは脱イオン水(化合物Aビヒクル)の各投与量に対する各動物の一平均値として算出された予備テスト時および投与後120分での平均受容性スコアを示している。
【0255】
さらに、図4に示すように、化合物Aは、投与後120分でビヒクルと比較して投与量0.0167(p=0.029)、0.5(p=0.041)、1.67(p=0.065)、5(p=0.0003)および16.7(p=0.0025)mg/kgにおいてロードシス指数の統計的に有意な増加を引き起こした(図4)。
【0256】
したがって、化合物Aは、雌ラットの受容的行動を増強する。
【0257】
B−能動性モデル
テスト動物の処置は、上記に記載した受容性モデルの処置と同じであった。
【0258】
能動性は、耳震をカウントすることにより評価した。耳震は、性的欲求および関心と同種のプロセクシャルな受容的行動の増加に伴う耳の速い振動である。
【0259】
耳震は、化合物A(0.00167〜16.7mg/kg)経口について投与後120分にカウントした。耳震スコアを用い、1処置群当たりの平均耳震スコアおよび平均値の標準誤差(SEM)を出した。このデータを用い、ビヒクルと比較した投与後120分における1処置当たりの平均耳震スコアのグラフを作成した。
【0260】
投与調製物および投与レベルを含む使用した材料は、上記に記載した受容性モデルの場合と同じであった。
【0261】
結果
化合物Aは、投与後120分においてビヒクルと比較して投与量0.0167、0.5、1.67、5および16.7mg/kgにおいて平均耳震数に有意な増加を引き起こした(図5)。したがって、化合物Aは、雌ラットにおいて能動的行動を増強する。
【0262】
結論
雌ラットにおいて能動的および受容的行動を増強する化合物Aの有効性に鑑みて、化合物Aおよび他の選択的μオピオイド受容体拮抗薬は、女性性機能障害(FSD)の治療および/または予防に使用されるということが結論づけられる。
【実施例3】
【0263】
適当な選択的μオピオイド受容体拮抗薬、例えば、エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル]−フェニル}メタンスルホンアミド(メシル酸塩)すなわち化合物Aを使った臨床試験を、シルデナフィルを使った公表された試験(Caruso,S.他(2001)BJOG 108、623〜628;Berman,JR他(2001)J Sex Marital Ther 27、411〜420)に関するプロトコルと同様の以下のプロトコルに従って行うことができる。
【0264】
手短に言うと、FSADの女性に、適当な投与量の化合物またはプラセボを与える。当業者は、使用すべき化合物に適している投与量を決定することができるはずであり、上記に述べた2つの化合物の場合、0.1〜50mgの投与量範囲を使用することができる。この試験は、例えば6週間などの適当な期間にわたって実行することができる。
【0265】
女性は、経口避妊薬を常用している20歳〜45歳の健常閉経前女性である。女性性機能障害を引き起こすその他の重大な疾患のある女性、女性性機能障害を引き起こすことが知られている薬物を常用している女性および試験前の12カ月間に出産したか、または試験中に妊娠する計画を立てている女性は除外する。
【0266】
処置の有効性の評価は、クリニックにおける生理学的測定(例えば、複式ドップラー超音波検査法を用いて陰核、陰唇(前庭球)、尿道、および膣の動脈の収縮期最高血流速度および拡張終期血流速度を測定すること、デジタルpHメーターを用いる膣のpH、市販のコンプライアンスバルーンを用いる最高膣内圧/体積変化、陰核から記録される振動知覚閾値ならびに標準的バイオテシオメーターを用いる右および左小陰唇の粘膜性状)により、ならびに質問表、日記イベント、例えば、主観的興奮、オルガスム、楽しさ、満足な性体験の数、性交頻度、および性的空想の数を評価および定量化することにより行うことができる。
【0267】
本明細書に記載されている実施例および実施形態は、例示的目的に過ぎないこと、およびそれらを踏まえた様々な修正形態または変更は、当業者に示唆されるはずであり、本出願の精神および範囲の中に含まれるべきであることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0268】
【図1】それぞれのヒトオピオイド受容体との結合からの[H]DAMGO(μ受容体)、[H]ナルトリンドール(δ受容体)および[H]ジプレノルフィン(κ受容体)の化合物Aによる置換を示す図である。
【図2】μ受容体(四角)およびGαQi5Gタンパク質またはκ受容体(円)およびGαQi5Gタンパク質を一過性にトランスフェクトしたCHO細胞における細胞内Ca++の増加の化合物Aによる阻害を示す図である。DAMGO(400nM)は、μ受容体を刺激するのに使用される作動薬であり、U−50,488(400nM)は、κ受容体を活性化する。3回の測定からの代表的曲線。
【図3】閾値下のホルモン初回刺激−5μgエストロゲンおよび50μgプロゲステロンで処置したOVX雌ラットにおける平均受容性スコアに対する化合物Aおよび塩酸ナロキソンの効果を示す図である。受容性スコアは、予備テスト時(すなわち、テスト化合物の投与前)ならびに化合物A(0.000167〜16.7mg/kg経口)および脱イオン水(5mL/kg経口)の投与後120分に算出した。データは、受容性スコアの平均値±SEMである。化合物Aビヒクル(n=7)、0.00167mg/kg化合物A(n=5)、0.0167mg/kg化合物A(n=8)、0.5mg/kg化合物A(n=8)、1.67mg/kg化合物A(n=8)、5mg/kg化合物A(n=4)、16.7mg/kg化合物A(n=5)。統計的有意性は、ExcelアドインLabStats(Tessella)からの分散分析(ANOVA)パッケージを用いて算出し、すべての処置群および時点についての受容性スコアは、化合物A、脱イオン水(化合物Aビヒクル)の各投与量に対する各動物の一平均値として算出した。「化合物A veh」(または「veh」)=化合物Aビヒクル=脱イオン水(化合物Aのためのビヒクル)。化合物Aの予測遊離血漿レベル(nM)を、各用量反応の先端部に示す。
【図4】閾値下のホルモン初回刺激−5μgエストロゲンおよび50μgプロゲステロンで処置したOVX雌ラットにおける平均ロードシス指数に対する化合物Aの効果を示す図である。ロードシス指数は、化合物A(0.000167〜16.7mg/kg経口)の投与後120分に算出した。データは、ロードシス指数の平均値±SEMである。化合物Aビヒクル(n=7)、0.00167mg/kg化合物A(n=5)、0.0167mg/kg化合物A(n=8)、0.5mg/kg化合物A(n=8)、1.67mg/kg化合物A(n=8)、5mg/kg化合物A(n=4)および16.7mg/kg化合物A(n=5)。各投与量群についての統計的有意性は、化合物Aビヒクルに対してExcelアドインLabStats(Tessella)からの分散分析(ANOVA)パッケージを用いて算出した。すべての投与量群についてのロードシス指数は、化合物Aおよび化合物Aビヒクル(脱イオン水)の各投与量に対する各動物の一平均値として算出した。「化合物A veh」(または「veh」)=化合物Aビヒクル(化合物Aのためのビヒクル)=脱イオン水。(=p<0.1、**=p<0.05、***=p<0.001)。
【図5】閾値下のホルモン初回刺激−5μgエストロゲンおよび50μgプロゲステロンで処置したOVX雌ラットにおける平均耳震数に対する化合物Aの効果を示す図である。耳震は、化合物A(0.00167〜16.7mg/kg経口)の投与後120分に算出した。データは、平均値SEMである。化合物Aビヒクル(n=7)、0.00167mg/kg化合物A(n=5)、0.0167mg/kg化合物A(n=8)、0.5mg/kg化合物A(n=8)、1.67mg/kg化合物A(n=8)、5mg/kg化合物A(n=4)および16.7mg/kg化合物A(n=5)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性性機能障害(FSD)を治療および/または予防するための医薬品の調製における選択的μオピオイド受容体拮抗薬の使用。
【請求項2】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、機能アッセイにおいてκオピオイド受容体よりμオピオイド受容体に対して少なくとも10倍選択的である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、機能アッセイにおいてκオピオイド受容体よりμオピオイド受容体に対して少なくとも50倍選択的である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、機能アッセイにおいてδオピオイド受容体よりμオピオイド受容体に対して10倍選択的である前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、機能アッセイにおいてδオピオイド受容体よりμオピオイド受容体に対して少なくとも50倍選択的である前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、機能アッセイにおいてκオピオイド受容体およびδオピオイド受容体よりμオピオイド受容体に対して少なくとも50倍選択的である前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、κオピオイド受容体に比較してμオピオイド受容体に対して機能的に選択的であり、その選択性が、同じアッセイを使用した場合、ナルトレキソンによって達成される機能的選択性の少なくとも3倍である前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
選択性が、ナルトレキソンによって達成される機能的選択性の少なくとも5倍である請求項7に記載の使用。
【請求項9】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬が、δオピオイド受容体に比較してμオピオイド受容体に対して機能的に選択的であり、その選択性が、同じアッセイを使用した場合、ナルトレキソンによって達成される機能的選択性の少なくとも3倍である前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
選択性が、ナルトレキソンによって達成される機能的選択性の少なくとも5倍である請求項9に記載の使用。
【請求項11】
女性性機能障害が、女性性的興奮障害(FSAD)である前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
女性性機能障害が、女性オルガスム障害(FOD)または無オルガスム症である請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
女性性機能障害が、性的欲求低下障害(HSDD)である請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬化合物が、経口的に、口腔内にまたは舌下に投与される前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
化合物が式(I)または薬学的に許容できるそれらの塩である前記請求項のいずれかに記載の使用
【化1】

[式中、
Xは、H、ハロゲン、−OH、−CN、1〜3個のハロゲン原子で置換されている−C〜Cアルキル、または−O(C〜Cアルキル)であり、−O(C〜Cアルキル)のC〜Cアルキルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
Qは、ハロゲン、−OH、−O(C〜Cアルキル)、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C〜Cアルキル)、−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−NHS(=O)H、または−NHS(=0)11であるか、
または、Qは、それが結合している炭素原子に隣接するどちらかの炭素原子と共に5または6員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し、それによってそれが結合しているフェニルと二環式縮合環系を形成することができ、前記ヘテロシクロアルキルは、O、S、−C(=O)、およびNから選択される1〜3個のヘテロ部分を含み、前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、1または2個の二重結合を含んでいてもよく、
およびRは、それらが結合している炭素と共に、結合してC〜CシクロアルキルまたはO、S、−C(=O)、およびNから選択される1〜3個のヘテロ部分を含む4〜7員ヘテロシクロアルキルを形成し、前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、1または2個の二重結合を含んでいてもよく、前記シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、C〜C14アリールまたは5〜14員ヘテロアリール基と縮合していてもよく、
およびRによって形成される前記C〜Cシクロアルキルまたは4〜7員ヘテロシクロアルキルは、各々、1〜3個のR12基によって置換されていてもよく、前記縮合していてもよいアリールまたはヘテロアリールは、各々独立して、1〜6個のR12基で置換されていてもよく、R12基は、R13、R16、1または2個の不飽和結合を含む−C〜Cアルキル、ハロゲン、−OR13、−NO、−CN、−C〜Cシクロアルキル、−NR1314、−NR13C(=O)R14、−C(=O)NR1314、−OC(=O)R13、−C(=O)OR13、−C(=O)R13、−NR13C(=O)OR14、−NR13C(=O)NR1415、−NR13S(=O)14、および−S(=O)13から選択され、
は、C〜Cアルキルであり、前記C〜Cアルキルは、1または2個の不飽和結合を含んでいてもよく、
は、1または2個の不飽和結合を含んでいてもよい−C〜Cアルキル、−OH、−CN、−NO、−OR16、−NH、−NHR16、−NR1617、または−NHC(=O)R16であり、
およびRは、各々独立して、Hまたはメチルであり、
、R、RおよびR10は、Hであり、
11は、C〜Cアルキル、−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキル)、4−(1−メチルイミダゾール)、−(C〜Cアルキレン)−NH、−(C〜Cアルキレン)−NH(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)から選択され、
各R13、R14、およびR15は、独立して、H、R16、C〜Cアルキル、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−O(C〜Cアルキル)、−S(C〜Cアルキル)、−CN、−NO、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C〜Cアルキル)、−NHC(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、および−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)から選択されるか、または−NR1314のR13およびR14は、結合して4〜6員ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基を形成していてもよく、そのヘテロアリール基は、N、S、Oおよび−C(=O)から選択される1〜3個の他のヘテロ部分を含んでいてもよく、
各R16およびR17は、独立して、C〜C14アリールおよび5〜14員ヘテロアリールから選択され、前記ヘテロアリールは、O、S、−C(=O)、およびNから選択される1〜3個のヘテロ部分を含み、前記アリールおよびヘテロアリールは、1または2個の不飽和結合を含んでいてもよいC〜Cアルキル、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−O(C〜Cアルキル)、−S(C〜Cアルキル)、−CN、−NO、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C〜Cアルキル)、−NHC(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)NH、および−C(=O)N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
nは、0、1、2、3、4、および5から選択される整数である]。
【請求項16】
化合物が、
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド・シトレート;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−フェニル)−メタンスルホンアミド・ベシレート;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−ベンズアミド;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−5−フルオロ−ベンズアミド・トシレート;
エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド・メシレート;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0 ヘクス−6−イル}−フェニル)−アミド;
エキソ−3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド;
エキソ−3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド・シトレート;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェノール;
エキソ−3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェノール・シトレート;
エキソ−2−[6−エチル−6−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−3−イルメチル]−インダン−2−オール;
エキソ−3−{6−エチル−3−[2−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イル)−エチル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−ベンズアミド;
(+/−)−エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;
(+)−エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
(−)−エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−3−[3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−6−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド;
エキソ−3−{3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−6−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−ベンズアミド;
エキソ−N−(3−{3−[3−(1−シアノ−シクロヘキシル)−プロピル]−6−エチル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸{3−[3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−6−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;
エキソ−N−{3−[3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−6−イソプロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−2−メトキシ−エタンスルホン酸(3−{3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−6−イソプロピル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−アミド;
エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(cis−1−ヒドロキシ−3−フェニル−シクロブチルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−メタンスルホンアミド;
エキソ−3−[6−エチル−3−(cis−1−ヒドロキシ−3−フェニル−シクロブチルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−ベンズアミド;
エキソ−エタンスルホン酸{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル]−フェニル}−アミド;および
エキソ−エタンスルホン酸(3−{6−エチル−3−[3−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロピル]−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘクス−6−イル}−フェニル)−アミド;
および、塩形態でない上記化合物、薬学的に許容できるそれらの塩から選択される請求項15に記載の使用。
【請求項17】
化合物が、エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル]−フェニル}メタンスルホンアミドまたは薬学的に許容できるその塩である請求項16に記載の使用。
【請求項18】
化合物が、エキソ−N−{3−[6−エチル−3−(2−ヒドロキシ−インダン−2−イルメチル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル]−フェニル}メタンスルホンアミド・メシレートである請求項17に記載の使用。
【請求項19】
女性性機能障害を治療および/または予防するための医薬品の調製における選択的μオピオイド受容体拮抗薬の、
i)ナトリウム利尿因子、特に心房性ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、
ii)アンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、
iii)NO合成酵素の基質、
iv)コレステロール降下薬、
v)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、
vi)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬、
vii)血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP模倣薬、VIP類似体、VIP受容体作動薬もしくはVIP断片、またはアドレナリン受容体拮抗薬とVIPの組合せ、
viii)セロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、
ix)テストステロン補充剤またはテストステロンインプラント、
x)選択的アンドロゲン受容体調節薬、
xi)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤、
xii)プロゲステロン、ゲストジンなどのプロゲステロンの作動薬もしくは調節薬、エチニルエストラジオール、エチンノジオール、エトノゲステロールインプラント、ジヒドロゲステロン、プロゲストゲン、トテレセクベンス、ノルエチノドレルまたはMuProgest、NatragestおよびFem−Gestなどのプロゲステロンクリーム剤もしくはゲル剤、
xiii)ノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
xiv)オキシトシン/バソプレシン受容体の作動薬または調節薬、
xv)メラノコルチン受容体作動薬または調節薬、
xvi)モノアミン輸送阻害薬、
xvii)ドーパミン作動薬(特に、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様剤)、
xviii)αアドレナリン作動性受容体拮抗薬(αアドレナリン受容体ブロッカー、α受容体ブロッカーまたはαブロッカーとしても知られている)、
xix)抗糖尿病薬、ならびに
xx)NPY受容体調節薬(作動薬および/または拮抗薬)のうちの1つまたは複数から選択される補助剤と併せた使用。
【請求項20】
選択的μオピオイド受容体拮抗薬および
i)ナトリウム利尿因子、特に心房性ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、
ii)アンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、
iii)NO合成酵素の基質、
iv)コレステロール降下薬、
v)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、
vi)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬、
vii)血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP模倣薬、VIP類似体、VIP受容体作動薬もしくはVIP断片、またはアドレナリン受容体拮抗薬とVIPの組合せ、
viii)セロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、
ix)テストステロン補充剤またはテストステロンインプラント、
x)選択的アンドロゲン受容体調節薬、
xi)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくは酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法剤、
xii)プロゲステロン、ゲストジンなどのプロゲステロンの作動薬もしくは調節薬、エチニルエストラジオール、エチンノジオール、エトノゲステロールインプラント、ジヒドロゲステロン、プロゲストゲン、トテレセクベンス、ノルエチノドレルまたはMuProgest、NatragestおよびFem−Gestなどのプロゲステロンクリーム剤もしくはゲル剤、
xiii)ノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
xiv)オキシトシン/バソプレシン受容体の作動薬または調節薬、
xv)メラノコルチン受容体作動薬または調節薬、
xvi)モノアミン輸送阻害薬、
xvii)ドーパミン作動薬(特に、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様剤)、
xviii)αアドレナリン作動性受容体拮抗薬(αアドレナリン受容体ブロッカー、α受容体ブロッカーまたはαブロッカーとしても知られている)、
xix)抗糖尿病薬、ならびに
xx)NPY受容体調節薬(作動薬および/または拮抗薬)から選択される1つまたは複数の補助剤を含む医薬組成物。
【請求項21】
女性性機能障害(FSD)の治療および/または予防に使用するための選択的μオピオイド受容体拮抗薬。
【請求項22】
女性性機能障害(FSD)を治療および/または予防するための方法であって、それを必要としている対象に治療量の選択的μオピオイド受容体拮抗薬を投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−150371(P2008−150371A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−319381(P2007−319381)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】