説明

性的HIV伝染を防ぐ殺菌性ピリミジンまたはトリアジン

【課題】HIVによるヒトの全身的感染を防止し、特に、ヒトにおける性的HIV伝染を防ぐ方法の提供。
【解決手段】薬学的に受け入れられる担体および有効成分として非核酸系逆転写酵素阻害作用を有する、4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルを含んで成る医薬組成物であって、膣内環、子宮頸管キャップの形態である上記医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定のピリミジンもしくはトリアジンを含有する非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)が示す殺菌活性(microbicidal activity)に関し、より詳細には、本発明はヒトにおけるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)伝染または感染、特に性的伝染を防ぐ薬剤の製造でピリミジンもしくはトリアジン誘導体を用いることに関する。本発明は、また、性交または関連した親密な接触が起こる部位に投与するに適した薬剤組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
世界的に異性愛経路が一般的なエイズ伝染様式である。従って、HIV感染が性的に広がらないようにする手段の要求が高まってきている。エイズに対しては有効な治療もワクチンも存在しないことから、予防手段が現在のところヒト免疫不全ウイルス(HIV)伝染の軽減を可能にするただ1つの手段である。コンドームを堅実かつ正確に用いることがHIV伝染を防止する有効なバリヤーに相当する。しかしながら、コンドームをほとんど全部の性交で用いないと被る感染を軽減する度合が大きく低下してしまう可能性があり、コンドームの使用を増加させようとする集中的な予防プログラムが組まれたにも拘らず成果を達成できずにいる。
【0003】
局所的使用に適した殺菌薬の開発はコンドームに代わる有効な代替品に相当する可能性がある。殺菌薬は病気を引き起こす微生物を死滅または失活させる作用剤のいずれかである。International Association of Physicians in AIDS CARE(IAPAC)によれば、殺菌薬の定義には、また、感染の妨害または防止を可能にする介入ばかりでなく性行為による感染を防ぐ体の自然な防御を増幅させることも含まれる。
【0004】
理想的には、殺菌薬は有効な殺菌濃度において副作用をほとんどか或は全く示すべきではない。この点における1つの面は、殺菌薬として用いる薬剤が有効殺菌濃度において免疫抑制活性をほとんどか或は全く示すべきでないことにある。加うるに、理想的な殺菌薬は、いろいろな温度に充分に耐えかついろいろなpH範囲(膣の中のアルカリ性および酸性レベルの範囲)内で満足される機能を果たすべきである。その上、膣の中に存在していて膣の健康を調節する天然の有益な乳酸桿菌を抹殺するべきではない。
【0005】
研究により、ヒトが性的に伝染する病気(STD)に既に感染していると直接的な生物学的機構によるHIV伝染が助長されることが立証された(非特許文献1)。STDによって引き起こされた痛み、損傷および炎症が存在すると病気に対する特定の身体的バリヤーが危うくなる。そのような理由で、STD伝染を防ぐ手段を取ることは、HIV感染に対する戦いにおいて価値有る方策である。ヒト臨床試験で用いられたいくつかの殺菌薬は洗浄剤の種類の材料を含有しており、それらは膣および子宮頸部上皮に損傷をもたらす可能性がある。生物洗浄剤(biodetergents)を含有する殺精子製品はインビトロではHIVを不活性にし得る。しかしながら、そのような生物洗浄剤はこれをインビボで試験した時には生殖器潰瘍を悪化させかつHIV伝染を助長する可能性があることが示された。
【0006】
ウイルス粒子に直接作用する界面活性剤以外に、初期段階のHIV増幅を阻害する薬剤、例えば抗レトロウイルス薬などが臨床前評価を受けている。いろいろな抗レトロウイルス薬がインビトロで試験されていていろいろな結果がもたらされているが、それらには、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)などが含まれる。NNRTIが殺菌薬としてイ
ンビボで有効であることを示す証拠は今日まで公開されていない。
【0007】
本発明のピリミジンおよびトリアジン化合物はこれらの化合物がHIVによる感染を防ぐ能力を有する点で殺菌活性を示すことをここに見いだした。
【0008】
加うるに、本発明のピリミジンおよびトリアジン化合物はまたSTD病原体、例えばデュクレー菌(Haemophilus ducreyi)などに対しても殺菌活性を示すと同時に乳酸桿菌および通常の膣フローラとの適合性を維持し得ることも分かった。本化合物はデュクレー菌によって引き起こされる軟性下疳に対して派生的治癒効果を示すことから、これは全身的なHIV感染の予防に有意に貢献する。
【0009】
酵素であるHIV逆転写酵素との相互作用を通してヒトT−4細胞の中で起こるHIVウイルスの複製を阻害する化合物が特許文献1、2、3および4に開示されている。
【特許文献1】EP 1002795
【特許文献2】WO 99/50250
【特許文献3】WO 99/50256
【特許文献4】WO 00/27828
【非特許文献1】Fleming他、Sexually Transmitted Infections(1999年2月)、75(1)、3−17
【発明の概要】
【0010】
(発明の説明)
本発明は、HIVの伝染またはHIVによる感染、特にパートナー(partners)間の性交または関連した親密な接触による伝染または感染を防ぐ目的で用いるに有用な薬剤の製造で式(I)、(II)および(III)で表される化合物を用いることに関し、ここで、式(I)で表される化合物は
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
Yは、CR5またはNであり、
Aは、CH、CR4またはNであり、
nは、0、1、2、3または4であり、
Qは、−NR12であるか、或はYがCR5の時にはQはまた水素であってもよく、
1およびR2は、各々独立して、水素、ヒドロキシ、C1-12アルキル、C1-12アルキルオキシ、C1-12アルキルカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニル、アリール、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで、上述したC1-12アルキル基は各々が場合により各々個別に各々がヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、ヒドロキシC1-6アルキルオキシ、カルボキシル、C1-12アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノ、イミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、アリールおよびHetから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
1とR2が一緒になってピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アジドまたはモノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノC1-4アルキリデンを形成していてもよく、
3は、水素、アリール、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、そして
各R4は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、トリハロメチル、トリハロメチルオキシ、またはYがCR5の時にはR4はまたシアノもしくはアミノカルボニルで置換されているC1-6アルキルを表してもよく、
5は、水素またはC1-4アルキルであり、
Lは、−X1−R6または−X2−Alk−R7であり、ここで、
6およびR7は、各々独立して、フェニル、または各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであるか、或はYがCR5の時にはR6およびR7はまた各々がアミノカルボニル、トリハロメチルオキシおよびトリハロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルから選択されてもよいか、或はYがNの時にはR6およびR7はまたインダニルもしくはインドリルから選択されてもよく、ここで、前記インダニルまたはインドリルの各々は各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、R6が場合により置換されていてもよいインダニルもしくはインドリルの時にはこれは好適には分子の残りに縮合フェニル環を通して結合しており、例えばR6は適切には4−、5−、6−もしくは7−インドリルであり、
1およびX2は、各々独立して、−NR3−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
Alkは、C1-4アルカンジイルであるか、或は
YがCR5の時にはLはまたC1-10アルキル、C3-10アルケニル、C3-10アルキニル、C3-7シクロアルキル、またはC3-7シクロアルキル、インダニル、インドリルおよびフェニルから独立して選択される1または2個の置換基で置換されているC1-10アルキルから選択されてもよく、ここで、前記フェニル、インダニルおよびインドリルは各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、ニトロ、アミノ、トリハロメチル、トリハロメチルオキシおよびC1-6アルキルカルボニルから独立して選択される1、2、3、4または可能ならば5個の置換基で置換されていてもよく、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであり、
Hetは、脂肪もしくは芳香複素環式基であるが、前記脂肪複素環式基はピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルから選択され、ここで、前記脂肪複素環式基は各々が場合によりオキソ基で置換されていてもよく、そしてここで、前記芳香複素環式基はピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルから選択され、ここで、前記芳香複素環式基は各々が場合によりヒドロキシで置換されていてもよい]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩または立体化学異性体形態に相当し、そして式(II)で表される化合物は
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、
−b1=b2−C(R2a)=b3−b4=は、式
−CH=CH−C(R2a)=CH−CH=(b−1);
−N=CH−C(R2a)=CH−CH=(b−2);
−CH=N−C(R2a)=CH−CH=(b−3);
−N=CH−C(R2a)=N−CH=(b−4);
−N=CH−C(R2a)=CH−N=(b−5);
−CH=N−C(R2a)=N−CH=(b−6);
−N=N−C(R2a)=CH−CH=(b−7);
で表される二価の基を表し、
qは、0、1、2、または可能ならば、qは3または4であり、
1は、水素、アリール、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、又はホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、
2aは、シアノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(メチル)アミノカルボニル、又はシアノ、アミノカルボニルまたはモノ−もしくはジ(メチル)アミノカルボニルで置換されているC1-6アルキル、又はシアノで置換されているC2-6アルケニル、またはシアノで置換されているC2-6アルキニルであり、
各R2は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノもしくは−C(=O)R6で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルキニル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、または式
【0015】
【化3】

【0016】
で表される基であり、ここで、
各Aは、独立して、N、CHまたはCR6であり、
Bは、NH、O、SまたはNR6であり、
pは、1または2であり、そして
6は、メチル、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノまたはポリハロメチルであり、
Lは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-7シクロアルキルであり、ここで、前記脂肪基は各々が
*C3-7シクロアルキル、
*各々が場合により各々がハロ、C1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシおよびC1-6アルキルカルボニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいインドリルもしくはイソインドリル、
*フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)
から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
Lは、−X−R3であり、ここで、
3は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)であり、そして
Xは、−NR1−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
Qは、水素、C1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキルまたは−NR45を表し、そして
4およびR5は、各々独立して、水素、ヒドロキシ、C1-12アルキル、C1-12アルキルオキシ、C1-12アルキルカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニル、アリール、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで、上述したC1-12アルキル基は場合により各々独立して各々がヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、ヒドロキシC1-6アルキルオキシ、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノ、イミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、またはアリールおよびHetから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
4とR5が一緒になってピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アジドまたはモノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノC1-4アルキリデンを形成していてもよく、
Yは、ヒドロキシ、ハロ、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合によりシアノもしくは−C(=O)R6で置換されていてもよいC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、またはアリールを表し、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキルおよびポリハロC1-6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであり、
Hetは、脂肪もしくは芳香複素環式基であり、ここで、前記脂肪複素環式基はピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルから選択され、ここで、前記脂肪複素環式基は各々が場合によりオキソ基で置換されていてもよく、そしてここで、前記芳香複素環式基はピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルから選択され、ここで、前記芳香複素環式基は各々が場合によりヒドロキシで置換されていてもよく、HetにHetの定義で述べた複素環の可能なあらゆる異性体形態を包含させることを意味し、例えばピロリルにはまた2H−ピロリルも含まれ、前記Het基は式
(II)で表される分子の残りに適宜環炭素もしくはヘテロ原子のいずれかを通して結合していてもよく、従って、例えば、この複素環がピリジニルの時にはこれは2−ピリジニル、3−ピリジニルまたは4−ピリジニルであってもよい]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよび立体化学異性体形態に相当し、そして式(III)で表される化合物は
【0017】
【化4】

【0018】
[式中、
−a1=a2−a3=a4−は、式
−CH=CH−CH=CH− (a−1);
−N=CH−CH=CH− (a−2);
−N=CH−N=CH− (a−3);
−N=CH−CH=N− (a−4);
−N=N−CH=CH− (a−5);
で表される二価の基を表し、
nは、0、1、2、3または4であり、そして−a1=a2−a3=a4−が(a−1)の場合にはnはまた5であってもよく、
1は、水素、アリール、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、又はホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、そして
各R2は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノもしくは−C(=O)R4で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルキニル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p4、−NH−S(=O)p4、−C(=O)R4、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R4、−C(=NH)R4、または式
【0019】
【化5】

【0020】
で表される基であり、ここで、
各Aは、独立して、N、CHまたはCR4であり、
Bは、NH、O、SまたはNR4であり、
pは、1または2であり、そして
4は、メチル、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノまたはポリハロメチルであり、
Lは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-7シクロアルキルで
あり、ここで、前記脂肪基は各々が
*C3-7シクロアルキル、
*各々が場合により各々がハロ、C1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシおよびC1-6アルキルカルボニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいインドリルもしくはイソインドリル、
*フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)
から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
Lは、−X−R3であり、ここで、
3は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)であり、そして
Xは、−NR1−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキルおよびポリハロC1-6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルである]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよび立体化学異性体形態に相当するが、但し
*LがC1-3アルキルであり、R1が水素、エチルおよびメチルから選択され、−a1=a2−a3=a4−が式(a−1)で表される二価の基を表し、nが0または1でありそしてR2がフルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、エチルオキシおよびニトロから選択されるか、或は
*Lが−X−R3であり、Xが−NH−であり、R1が水素であり、−a1=a2−a3=a4−が式(a−1)で表される二価の基を表し、nが0または1でありそしてR2がクロロ、メチル、メチルオキシ、シアノ、アミノおよびニトロから選択されそしてR3が場合によりクロロ、メチル、メチルオキシ、シアノ、アミノおよびニトロから選択される1個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、
式(III)で表される化合物、および化合物
*N,N’−ジピリジニル−(1,3,5)−トリアジン−2,4−ジアミン、
*(4−クロロ−フェニル)−(4(1−(4−イソブチル−フェニル)−エチル)−(1,3,5)トリアジン−2−イル)−アミン、
は含めないことを条件とする。特に、HIVの伝染またはHIVによる感染を防ぐ目的で用いるに有用な局所的薬剤を製造する時に式(I)、(II)または(III)で表される化合物を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
従って、本発明は、また、HIVの伝染またはHIVによる感染、特にパートナー間の性交または関連した親密な接触による伝染または感染を防ぐ方法にも関し、この方法は、ヒトに式(I)、式(II)または式(III)で表される殺菌性化合物を有効量、特に殺菌有効量で投与、特に局所的に投与することを含んで成る。
【0022】
適切には、本発明は、HIVの伝染を防ぐ目的で用いるに有用な殺菌薬を製造する時に式(I)、(II)または(III)で表される化合物を用いることに関し、ここで、前記式(II)で表される化合物におけるYはヒドロキシ、ハロ、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルキニル、シアノもしくは−
C(=O)R6で置換されているC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、またはアリールを表す。
【0023】
用語「パートナー間の性交または関連した親密な接触」には、膣性交、肛門性交、口腔性交およびHIVに感染した性交相手の流体、特に精液と体部位の接触が含まれる。特に、用語「パートナー間の性交または関連した親密な接触」は、膣、肛門または口腔性交、より詳細には膣性交を指す。
【0024】
パートナー間の性交または関連した親密な接触によるHIVの伝染の最も大きな原因であると考えられる接触部位は生殖器、直腸、口、手、下腹部、大腿上方である。
【0025】
本明細書の上または本明細書の以下に記述する如き用語「パートナー」は、互いに性的に活動的、即ち互いに性交を行うか或は関連した性行動で互いに親密に接触する2体以上の温血動物、特にヒトを定義するものである。
【0026】
本発明は、1つの態様において、HIVの伝染またはHIVによる感染を防ぐ目的で用いるに有用な殺菌薬を製造する時に式(IV)で表される化合物を用いることに関し、ここで、式(IV)で表される化合物は、
【0027】
【化6】

【0028】
[ここで、
nは、0、1、2、3または4であり、
1は、水素、アリール、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、又はホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、そして
2aは、シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジメチルアミノカルボニル;場合によりシアノ、アミノカルボニルまたはモノ−もしくはジメチルアミノカルボニルで置換されていてもよいC1-6アルキル;シアノで置換されているC2-6アルケニル;またはシアノで置換されているC2-6アルキニルであり、
各R2は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノもしくは−C(=O)R4で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルキニル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p4、−NH−S(=O)p4、−C(=O)R4、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R4、−C(=NH)R4、または式
【0029】
【化7】

【0030】
で表される基であり、ここで、
各Aは、独立して、N、CHまたはCR4であり、
Bは、NH、O、SまたはNR4であり、
pは、1または2であり、そして
4は、メチル、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノまたはポリハロメチルであり、
Lは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-7シクロアルキルであり、ここで、前記脂肪基は各々がフェニル(これは場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)で置換されているか、或は
Lは、−X−R3であり、ここで、
3は、フェニル(場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)であり、そして
Xは、−NR1−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキルおよびポリハロC1-6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルである]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよび立体化学異性体形態に相当するが、但し化合物2,4−ジ−p−シアノアニリノ−1,3,5−トリアジンは含まれないことを条件とする。
【0031】
従って、本発明は、また、HIVの伝染またはHIVによる感染を防ぐ方法にも関し、この方法は、ヒトに式(IV)で表される殺菌性化合物を有効量、特に殺菌有効量で投与、特に局所的に投与することを含んで成る。
【0032】
この上で行った定義および本明細書の以下で用いる如きハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを定義するものであり、基または基の一部としてのポリハロメチルをモノ−もしくはポリハロ置換メチル、特に1個以上のフルオロ原子で置換されているメチル、例えばジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどとして定義し、基または基の一部としてのポリハロC1-6アルキルをモノ−もしくはポリハロ置換C1-6アルキル、例えばハロメチルで定義した基、1,1−ジフルオロ−エチルなどとして定義し、ポリハロメチルまたはポリハロC1-6アルキルの定義の範囲内でアルキル基に結合しているハロゲン原子の数が2以上の場合、それらは同じまたは異なってもよく、基または基の一部としてのC1-4アルキルは、炭素原子数が1から4の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなどを包含し、基または基の一部としてのC1-6アルキルは、C1-4アルキルで定義した如き直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基に加えて炭素原子を5または6個含有するそれらの高級同族体、例えばペンチルまたはヘキシルなどを包含し、基または基の一部としてのC1-10アルキルは、C1-6アルキルで定義した如き直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基に加えて炭素原子を7から10個含有するそれらの高級同族体、例えばヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルなどを包含し、基または基の一部としてのC1-12アルキルは、C1-10アルキルで定義した如き直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基に加えて炭素原子を11または12個含有するそれらの高級同族体、例えばウン
デシル、ドデシルなどを包含し、基または基の一部としてのC1-4アルキリデンは、炭素原子数が1から4の二価の直鎖および分枝鎖炭化水素、例えばメチレン、エチリデン、プロピリデン、ブチリデンなどを定義するものであり、基または基の一部としてのC1-4アルカンジイルは、C1-4アルキリデンの下で定義した基に加えて炭素原子数が1から4の他の二価の直鎖および分枝鎖炭化水素、例えば1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイルなどを包含し、基または基の一部としてのC3-7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルの総称であり、基または基の一部としてのC3-10アルケニルは、二重結合を1個含有する炭素原子数が3から10の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えば2−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−ヘキセニル、3−ヘプテニル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−デセニルなどを定義するものであり、それによって、ピリミジン環と結合している炭素原子は好適には脂肪炭素原子であり、基または基の一部としてのC3-10アルキニルは、三重結合を1個含有する炭素原子数が3から10の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えば2−プロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、3−ヘプチニル、2−オクチニル、2−ノニニル、2−デシニルなどを定義するものであり、それによって、ピリミジン環と結合している炭素原子は好適には脂肪炭素原子であり、C2-6アルケニルは、二重結合を含有する炭素原子数が2から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどを定義するものであり、C2-10アルケニルは、二重結合を含有する炭素原子数が2から10の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばC2-6アルケニルで定義した基およびヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなどを定義するものであり、C2-6アルキニルは、三重結合を含有する炭素原子数が2から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを定義するものであり、C2-10アルキニルは、三重結合を含有する炭素原子数が2から10の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばC2-6アルキニルで定義した基およびヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなどを定義するものであり、基または基の一部としてのC1-3アルキルは、炭素原子数が1から3の直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチルおよびプロピルなどを包含し、C4-10アルキルは、炭素原子を4から10個有するこの上で定義した如き直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基を包含する。用語「C1-6アルキルオキシ」は、直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシ、2−メチルブチルオキシなどを定義するものであり、C3-6シクロアルキルオキシは、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシの総称である。
【0033】
本明細書の上で用いた如き用語(=O)は、これが炭素原子と結合している時にはカルボニル部分を形成し、硫黄原子と1回結合している時にはスルホキサイド基を形成し、そして硫黄原子と2回結合している時にはスルホニル基を形成している。
【0034】
如何なる成分でもいずれかの変数(例えばアリールなど)が2回以上存在する時、各定義は独立している。
【0035】
置換基から環系の中に引かれた線は、その結合が適切な環原子のいずれと結合していてもよいことを示す。例えば、式(I)で表される化合物のR4はフェニルもしくはピリジル環が有する有効炭素原子のいずれと結合していてもよい。
【0036】
本発明の化合物の塩をここに記述する薬剤および方法で用いる場合、これらは、対イオンが薬学的に受け入れられる塩である。しかしながら、また、薬学的に受け入れられない酸および塩基の塩も使用可能であり、例えば薬学的に受け入れられる化合物を製造または
精製する時などに使用可能である。薬学的に受け入れられるか或は受け入れられないかに拘らず、あらゆる塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0037】
本明細書の上に記述した如き薬学的に受け入れられる付加塩に本発明の化合物が形成し得る無毒の殺菌活性付加塩形態を包含させることを意味する。後者は、便利に、塩基形態を無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの如き適切な酸で処理することで入手可能である。逆に、そのような塩形態をアルカリで処理することで遊離塩基形態に変化させることも可能である。
【0038】
また、本明細書の上に記述した如き薬学的に受け入れられる付加塩に無毒の殺菌活性塩基形態、特に本発明の化合物が形成し得る金属もしくはアミン付加塩形態を包含させることを意味する。前記酸は、便利に、酸性水素原子を含有する本発明の化合物を適切な有機および無機塩基、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば第一級、第二級および第三級脂肪および芳香族アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種類のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン塩など、そしてアミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどとの塩で処理することで入手可能である。逆に、前記塩形態を酸で処理することで遊離酸形態に変化させることも可能である。
【0039】
用語「付加塩」は、同様に、本発明の化合物が形成し得る水化物および溶媒付加形態も包含する。そのような形態の例は、例えば水化物、アルコラートなどである。
【0040】
本明細書の上で用いた如き用語「第四級アミン」は、ある化合物の塩基性窒素と適切な第四級化剤、例えば場合により置換されていてもよいアルキルハライド、アリールハライドまたはアリールアルキルハライド、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルなどとの反応によって本化合物が形成し得る第四級アンモニウム塩を定義するものである。また、良好な脱離基を有する他の反応体、例えばトリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルなどを用いることも可能である。第四級アミンは正帯電した窒素を有する。薬学的に受け入れられる対イオンには、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテートおよびアセテートが含まれる。イオン交換樹脂を用いてこの選択した対イオンを導入することができる。
【0041】
本化合物のN−オキサイド形態に1個または数個の第三窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている化合物を包含させることを意味する。
【0042】
本明細書の上で用いた如き用語「本発明の化合物の立体化学異性体形態、それらのN−オキサイド、付加塩、第四級アミン」は、本発明の化合物が持ち得る同じ配列の結合で結合している同じ原子で構成されているが交換不能な異なる三次元構造を有する可能なあらゆる化合物を定義するものである。特に明記しない限り、ある化合物の化学的表示は、その化合物が持ち得る可能な立体化学異性体形態全部の混合物を包含する。そのような混合物は当該記化合物の基本的分子構造を有するジアステレオマーおよび/またはエナンチオ
マーの全部を含有している可能性がある。高純度形態または互いの混合物の状態の両方の本化合物の立体化学異性体形態の全部を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0043】
特に、立体幾何中心(stereogenic centers)はR形態もしくはS形態を持つ可能性があり、二価の環状(部分)飽和基上の置換基はシス形態またはトランス形態のいずれかを持ち得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE(entgegen)またはZ(zusammen)立体化学を持ち得る。用語「シス、トランス、R、S、EおよびZ」は本分野の技術者に良く知られている。
【0044】
本化合物の数種はまた互変異性形態でも存在し得る。そのような形態を前記式の中に明確には示さなかったが、それらを本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0045】
用語「化合物」、用語「本発明の化合物」を本明細書の以下で用いる時にはいつでも、それにそれらのサブグループのいずれも包含させ、また、N−オキサイド形態、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよびあらゆる立体化学異性体形態も包含させることを意味する。特に興味の持たれる化合物は立体化学的に高純度の化合物である。
【0046】
置換基を数多くの定義のリストから各々独立して選択することができる時にはいつでも、例えばR6およびR7の場合などのように、化学的に可能でありかつ化学的に安定な分子をもたらす可能なあらゆる組み合わせを意図する。
【0047】
式(I)で表される適切な化合物は、YがCR5またはNであり、AがCH、CR4またはNであり、nが0、1、2、3または4であり、Qが−NR12であり、R1およびR2が各々独立して水素、ヒドロキシ、C1-12アルキル、C1-12アルキルオキシ、C1-12アルキルカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニル、アリール、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで、上述したC1-12アルキル基が場合により各々独立して各々がヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、ヒドロキシC1-6アルキルオキシ、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノ、イミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、アリールおよびHetから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或はR1とR2が一緒になってピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アジドまたはモノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノC1-4アルキリデンを形成していてもよく、R3が水素、アリール、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、各R4が独立してヒドロキシ、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、トリハロメチル、トリハロメチルオキシであり、R5が水素またはC1-4アルキルであり、Lが−X1−R6または−X2−Alk−R7であり、ここで、R6およびR7が各々独立してフェニル、または各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであり、X1およびX2が各々独立して−NR3−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、そしてAlkがC1-4アルカンジイルであり、アリールがフェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであり、Hetが脂肪もしくは芳香複素環式基であるが、前記脂肪複素環式基がピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルから選択され、ここで、前記脂肪複素環式基の各々が場合によりオキソ基で置換されていてもよく、そしてここで、前記芳香複素環式基がピロ
リル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルから選択され、ここで、前記芳香複素環式基の各々が場合によりヒドロキシで置換されていてもよい化合物である。
【0048】
式(I)で表される最も好適な化合物は下記である:
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−N2−(4−フルオロフェニル)−2,4−ピリミジンジアミン;
4−[[4−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(4−ヒドロキシブチル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
N−[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−4−ピリミジニル]−アセトアミド;
N−[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−4−ピリミジニル]−ブタナミド;
4−[[2−アミノ−6−(2,6−ジクロロフェノキシ)−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[[3−(2−オキソ−1−ピロリジニル)プロピル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
一塩酸4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−(ヒドロキシアミノ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2−シアノエチル)アミノ]−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[[2−(1−ピロリジニル)エチル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
N2−(4−ブロモフェニル)−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−メチル−2,4−ピリミジンジアミン;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)チオ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[[2,6−ジブロモ−4−(1−メチルエチル)フェニル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−
2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(シアノフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジブロモ−6−フルオロフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンゼンアセトニトリル;
4−[[4−[メチル(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリクロロフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)チオ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−アミノ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−メチルフェノキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(4−クロロ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
3,5−ジクロロ−4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジブロモ−3,6−ジクロロフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジブロモ−4−プロピルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンズアミド;
4−[[4−[(4−(1,1−ジメチルエチル)−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]オキシ]−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[(4−クロロ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−5−メチル−4−ピリミジニル]アミノ−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[[4−(1,1−ジメチルエチル)−2,6−ジメチルフェニル]アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(4−ブロモ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−メチル−4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)チオ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジブロモ−4−プロピルフェニル)アミノ]−5−メチル−2
−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンズアミドのN3−オキサイド;
N2−(4−クロロフェニル)−N4−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2,4−ピリミジンジアミン;
4−[[4−[[2,6−ジブロモ−4−(1−メチルエチル)フェニル]アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−5−メチル−4−ピリミジニル]アミノ−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[(フェニルメチル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2−エチル−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)チオ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−[(2,4,6−トリクロロフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−6−(ヒドロキシアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
トリフルオロ酢酸4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル(1:1);4−[[4−(4−アセチル−2,6−ジメチルフェノキシ)−6−アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(4−ニトロ−2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(4−ホルミル−2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4−ジクロロフェニル)チオ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(5−アセチル−2,3−ジヒドロ−7−メチル−1H−インデン−4−イル)オキシ]−6−アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(4−ブロモ−2−クロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[[2,4−ジクロロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[メチル(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジブロモ−4−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[[2,6−ジブロモ−4−(1−メチルエチル)フェニル]アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
これらのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩および立体化学異性体形態。
【0049】
式(II)で表される適切な化合物は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる化合物である:
・ −b1=b2−C(R2a)=b3−b4=が式(b−1)で表される基であり、
・ qが0であり、
・ R2aがシアノまたは−C(=O)NH2であり、好適にはR2aがシアノであり、
・ Yがシアノ、−C(=O)NH2またはハロゲン、好適にはハロゲンであり、
・ Qが水素または−NR45[ここで、R4およびR5は好適には水素である]であり、・ Lが−X−R3[ここで、Xは好適には−NR1−、−O−または−S−、最も好適にはXは−NH−であり、そしてR3はC1-6アルキル、ハロゲンまたはシアノを好適な置換基として有する置換フェニルである]である。
【0050】
式(II)で表される別の興味の持たれる群の化合物は、Lが−X−R3[ここで、R3は、2,4,6−三置換フェニル(各置換基は独立してクロロ、ブロモ、フルオロ、シアノまたはC1-4アルキルから選択される)である]である化合物である。
【0051】
また、YがクロロまたはブロモでありそしてQが水素またはアミノである式(II)で表される化合物にも興味が持たれる。
【0052】
特別な化合物は、ピリミジン環の2位に位置する部分が4−シアノ−アニリノ基である式(II)で表される化合物である。
【0053】
好適な化合物は、ピリミジン環の2位に位置する部分が4−シアノ−アニリノ基であり、Lが−X−R3[ここで、R3は2,4,6−三置換フェニルである]であり、YがハロゲンでありそしてQが水素またはNH2である式(II)で表される化合物である。
【0054】
式(II)で表される最も好適な化合物は下記である:
4−[[4−アミノ−5−クロロ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−クロロ−4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−ブロモ−4−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−5−クロロ−6−[(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−ブロモ−6−[(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−5−クロロ−6−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニルオキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;および
4−[[4−アミノ−5−ブロモ−6−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニルオキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
これらのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよび立体化学異性体形態。
【0055】
興味の持たれる群の化合物は下記の条件の中の1つ以上を満足させる式(III)で表される化合物である:
・ nが1であり、
・ −a1=a2−a3=a4−が式(a−1)で表される二価の基を表し、
・ R1が水素またはC1-6アルキルであり、
・ R2がシアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジ(メチル)アミノカルボニル;シアノ、アミノカルボニルまたはモノ−もしくはジ(メチル)アミノカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、より詳細には、R2が−NR1−部分に対して4位に位置し、
・ Lが−X−R3[ここで、Xは好適には−NR1−、−O−または−S−であり、最も好適にはXは−NH−であり、そしてR3はC1-6アルキル、ハロゲンまたはシアノを好適な置換基として有する置換フェニルである]である。
【0056】
好適な化合物は、Lが−X−R3[ここで、R3は二置換フェニル基もしくは三置換フェニル基(各置換基は独立してクロロ、ブロモ、フルオロ、シアノまたはC1-4アルキルから選択される)である]である式(III)で表される化合物である。
【0057】
式(III)で表される最も好適な化合物は4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリルである。
【0058】
本発明の特別な化合物には、4−[[4−アミノ−5−ブロモ−6−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニルオキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル(化合物A)および4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル(化合物B)、これらのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる塩および立体異性体が含まれる。
【0059】
本発明の化合物の調製は本技術分野で公知の手順に従って実施可能である。特に、EP
1002795、WO 99/50250、WO 99/50256およびWO 00/27828に記述されている手順に従ってそれらの調製を行う。
【0060】
本発明の化合物は殺菌活性を示しかつHIVの伝染を防ぐ能力を有する。特に、それらは、感染性ウイルス粒子の生成または感染していない細胞の感染のいずれかを防止することでHIVの性的または膣伝染を防止し得る。精子の中の感染している細胞が粘膜に到達し得る場合、本発明の化合物は宿主細胞、例えばマクロファージ、リンパ球、ランゲルハンスおよびM細胞などのHIV感染を防止し得る。従って、本化合物は、ヒトの全身的HIV感染を防止し、HIVに対して予防作用を示す。このような殺菌活性の証拠を実験部分に示すが、これは、化合物BがヒトSCID(重症複合型免疫不全)動物モデル(Di
Fabio他、AIDS 2001、15、2231−2238)でインビボ活性を示しかつ化合物Bが未熟単球誘導樹状細胞が基になったモデルでインビトロ活性を示したことが基になっている。
【0061】
加うるに、本発明の化合物はデュクレー菌に対して死滅効果を示すことも見いだした。
このように、本発明の化合物を前記細菌によって引き起こされる性病である軟性下疳の予防および治療で用いることも可能である。このような追加的効果によって本化合物がHIVによる感染の防止で示す効果が更に向上するであろう。
【0062】
本発明の化合物は、粘膜および/または皮膚による病原体の伝染を有効に防止、より詳細にはHIVの性的または膣伝染を防止する殺菌薬を投与する目的で使用可能な薬剤組成物に調合可能である。従って、本組成物を性交または関連した親密な接触が起こる部位、例えば生殖器、膣、外陰部、子宮頸管、直腸、口、手、下腹部、大腿上方、特に膣、外陰部、子宮頸管および肛門−直腸粘膜などに投与するに適した形態にする。
【0063】
本発明の化合物は即時放出または徐放もしくは持続放出の目的で考案した薬剤組成物に調合可能である。
【0064】
適切な局所的組成物として、例えばゲル、ゼリー、クリーム、ペースト、乳液、分散液、軟膏、フィルム、スポンジ、フォーム、エーロゾル、粉末、膣内環または他の膣内薬物送達システム、子宮頸管キャップ、移植片、パッチ、直腸用座薬またはペッサリー、または膣塗布、膣もしくは直腸もしくは口腔内錠剤、うがい薬などを挙げることができる。
【0065】
本発明の薬剤組成物の調製では、個々の化合物(場合により付加塩形態であってもよい)を活性材料として有効量で薬学的に受け入れられる担体との密な混合物の状態で一緒にしてもよいが、そのような担体は投与形態に応じて幅広く多様な形態を取り得る。例えば、局所的経口投与用組成物を調製しようとする時には、液状の経口調剤、例えば懸濁液、乳液および溶液の形態のうがい薬などで用いるに適した通常の薬学的媒体、例えば水、グリコール、油、アルコールなどのいずれを用いてもよい。錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などが適切であろう。また、使用直前に液状形態の調剤に変化させることを意図する固体形態の調剤も含まれる。局所的皮膚投与に適した組成物の場合の担体に場合により適切な湿潤剤を含めてもよいが、それを場合により僅かな比率のいずれかの性質を有する適切な添加剤と組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を有意には導入しないものである。前記添加剤は、皮膚への投与を助長しそして/または所望組成物の調製に役立ち得る。そのような組成物はいろいろな様式、例えばクリームまたはゲルなどとして投与可能である。
【0066】
そのような薬学的調剤に本活性材料を遊離作用剤として存在させてもよいか、或は別法として、リポソーム、ナノ粒子(nanoparticles)またはシクロデキストリンのような薬剤担体の中に封じ込めてもよく、そのように封じ込めると結果として微生物標的部位の中の本化合物の濃度が高くなる。本活性材料をまたナノ粒子として存在させることも可能である。
【0067】
リポソームをとりわけジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレン−グリコール(DSPE−PEG)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジセチルホスフェート(DP)、コレステロール(CHOL)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、およびこれらの組み合わせ、例えばジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC):ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)の組み合わせを含有する配合物の状態で存在させてもよく、その中に本活性材料を捕捉させる。
【0068】
適切なシクロデキストリンはα−、β−、γ−シクロデキストリン、またはシクロデキストリンのアンヒドログルコース単位が有するヒドロキシ基の1個以上がC1-6アルキル、特にメチル、エチルまたはイソプロピルなどで置換(例えば無作為にメチル化されたβ
−CDなど);ヒドロキシC1-6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシブチル;カルボキシC1-6アルキル、特にカルボキシルメチルまたはカルボキシルエチル;C1-6アルキルカルボニル、特にアセチルで置換されているそれらのエーテルおよび混合エーテルである。錯化剤(complexants)および/または可溶化剤として、β−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシプロピル−β−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)が特に注目に価する。追加的に、本化合物の溶解性を向上させようとする時にもシクロデキストリンが有効である。
【0069】
用語「混合エーテル」は、シクロデキストリンが有する少なくとも2個ヒドロキシ基がいろいろな基、例えばヒドロキシ−プロピルおよびヒドロキシエチルなどでエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を表す。
【0070】
本化合物は特に下記を含んで成るゲル調剤として調製可能である:
・ 局所的有効量の本発明の化合物;
・ ゲル形成化合物(gel−forming compound);
・ 緩衝剤;
・ 薬学的に受け入れられる希釈剤、好適には水;
・ 場合により、保湿剤;および
・ 場合により、防腐剤。
【0071】
典型的なゲル調剤の調製は、天然もしくは合成重合体をゲル化剤(gelifying
agents)として用いかつ疎水性もしくは親水性液体を用いて実施可能である。ゲル調剤で通常用いるゲル形成化合物の例には、多糖[これにはセルロース誘導体、グリコサミノグリカン、ゴム、澱粉(a−アミロースまたはアミロペクチン)およびキトサンが含まれる];カルボキシビニル誘導体、ビニル重合体、例えばポリエチレン、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール4500、Plastibase(商標)(Plasticized Hydrocarbon Gel)、ポリアクリル酸[Carbopols(商標)系列、例えばCarbopol(商標)940]、ポリメタアクリル酸、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールなど;ポリアクリルアミドまたはポリメタアクリルアミド重合体[粘土、例えばベントナイト、Veegum(商標)(R.T.Vanderbilt)およびLaponite(商標)(Laporte Industries)などを含有];ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンまたはポリエチレンオキサイド共重合体、例えばポロキサマー(poloxamers)、例えばポロキサマー407など、ポロキサミン;蛋白質、コロイド状シリカ、石鹸、シリコン、例えばジメチルポリシロキサンまたはジメチコンなど、炭化水素基材(hydrocarbonated bases)(パラフィンとワセリンの混合物)などが含まれる。
【0072】
有用なセルロース誘導体には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが含まれる。有用なグリコサミノグリカンには、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン−4−スルフェート、ヘパランスルフェートおよびヘパリンが含まれる。有用なゴムには、天然および人工ゴム、トラガカント、カラゲナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストランが含まれる。創傷治癒を向上させる目的で、そのようなグリコサミノグリカンを他のゲル形成重合体、例えばコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチンなどのいずれかと組み合わせて用いてもよい。好適なゲル化剤はヒドロキシエチルセルロースであり、これは追加的に生物接着性(bioadhesive properties)も示す。
【0073】
そのようなゲル形成化合物の濃度は、液体/ゲル転移温度、そのようなゲルで求められる物性、およびそのような調剤を生じさせる時に用いるpHなどの如き条件に応じて多様であり得る。
【0074】
本発明で用いるゲル形成化合物は、典型的に、粘性のある水溶液をもたらし得る水溶性重合体、または水に不溶な水膨潤性重合体(例えばコラーゲン)(これもまた粘性のある溶液をもたらしかつ皮膚と接触した時にゲル化し得る)である。本発明で用いるに適したゲル化剤は、幅広いpH範囲、特に膣に存在する通常の酸性pH値で安定であるべきである。
【0075】
本発明のゲルを生じさせる時、膣のpHが射精された精液が通常量で存在する時でもそれの健康な酸性範囲(即ち約5未満のpH、より好適には約3.2から約4.5の範囲)内に維持されるようにする目的で緩衝剤を用いる。膣内および膣環境内が正常な酸性範囲であると、STDを引き起こす特定の微生物(HIVウイルスを包含)の活動を弱らせるに役立つ。膣内を正常に維持することは、また、STDを引き起こす特定の微生物に対して体が示す自然な防御を維持するにも役立つ。緩衝剤の例には、これらに限定するものでないが、乳酸、燐酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、燐酸ナトリウム、無水二塩基性燐酸ナトリウム、酒石酸、トリエタノールアミン、クエン酸、酸性酒石酸カリウム、安息香酸、アルギン酸、ソルビン酸、フマル酸、アスコルビン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エデト酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、酢酸、リンゴ酸など、好適には水酸化ナトリウムおよび乳酸が含まれ、後者は追加的に防腐剤でもありかつ特定の抗菌作用も示す。
【0076】
前記酸は遊離酸、水化物または薬学的に受け入れられる塩として添加可能である。遊離酸は相当する塩にインサイチュー(即ち膣内)で変化する可能性がある。一般的には、緩衝能力が高まるように数種の緩衝剤を本発明のゲルに含有させるのが好適である。更により好適には、緩衝剤に、ヒトの女性の体の中に天然に存在していて膣の表面に付着した時にそれのpHレベルを健康な膣のほぼpHレベルに維持する酸と水素を受け取る物質の組み合わせを含める。そのような酸1種または2種以上は酢酸、乳酸、燐酸、硫酸およびこれらの組み合わせから成る群から選択可能である。前記群の中の前記員の各々に共通な特徴の1つは、各酸が女性の体の中に天然に存在する点にある。共通する別の特徴は、各々が一時的に水素イオンを供与しかつカチオンを受け取って塩を生じることによって緩衝系の生成に容易に貢献する点にある。
【0077】
水素を受け取るそのような物質は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択可能である。前記群の中の前記員の各々に共通した特徴の1つは、各物質が女性の体の中に天然に存在する点にある。共通する別の特徴は、各々が一時的に水素イオンを受け取りかつカチオンを供与して塩を生じることによって緩衝系の生成に容易に貢献する点にある。そのような塩は酢酸塩、乳酸塩、燐酸塩および硫酸塩から成る群から選択可能であり、それらを水素を受け取る前記物質に由来する前記カチオンと組み合わせてもよい。
【0078】
本発明のゲルにまた保湿剤を含有させてもよく、好適には含有させる。適切な保湿剤には、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリアセチンなどが含まれる。好適な保湿剤であるグリセロールは、水を吸収するか或は他の流体を膣環境から前記ゲルの中に入り込ませる能力を有することから緩衝剤として働く成分である。前記ゲルを膣の中に入れた時にそれが前記流体を吸収すると追加的溶媒によって前記ゲル調剤の付着が向上しるか或は他の様式でそれの機能が向上することでそれの上に乾燥した膜が生じなくなると考えている。
【0079】
本発明のゲルにまた防腐剤を含有させてもよく、好適には含有させるが、それらが示す特性は、とりわけ、前記ゲル調剤の貯蔵寿命を向上させることにある。適切な防腐剤には、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンジルアルコニウム、硝酸フェニル水銀、クロルヘキシジン、ベンジルアルコール、フェニチルアルコール、プロピレングリコールなどが含まれる。好適な防腐剤はメチルパラベンおよびプロピルパラベンであり、これらは両方ともまた前記ゲルの殺菌能力にも貢献する。
【0080】
通常のゲル調製技術を用いて本発明のゲルを生じさせる。しかしながら、緩衝剤が最終製品の中に可溶化しかつゲルの中に空気が取込まれないか或は空気取込みが少なくとも最小限のままであるのを確保するのが望ましい。前記ゲルの中に空気が取込まれる度合を低くするには、親水性が低い作用剤を少しづつ添加するのが一般に好適である。別法として、本発明のゲルを、また、望まれる時に膣の外部または膣内の水が基になった流体の作用によって所望のゲル粘ちょう度に変化し得る易分散性固体形態(例えば粉末、錠剤など)で調製することも可能である。本分野の技術者が理解するであろうように、本発明のゲルを生じさせる方法に修飾を結果として生じるゲルが本明細書に記述する所望の有益な特性を有する限りバッチ式、半連続または連続操作に適するように受けさせてもよい。
【0081】
前記ゲル調剤を他の活性材料、例えば殺菌薬、抗菌薬、化学治療薬、抗炎症薬、殺精子薬または他の適切な薬剤などと組み合わせてもよい。その上、粘膜および/または皮膚のいずれかの病気を予防する目的で、殺菌薬または殺精子薬または両方をリポソーム(または他の薬剤担体)と組み合わせることも可能である。加うるに、ゲルまたはリポソームまたは他の薬剤担体調剤をまた病原体によって引き起こされる感染またはいずれかの病気に対抗するワクチンの担体として用いることも可能である。望まれるならば、風味剤、芳香剤、香料および着色剤を前記ゲルにそれらが前記ゲルが与える保護を妨害しない限り混合してもよい。実際、そのような風味剤、芳香剤、香料および着色剤を本発明の組成物に混合しておくと、そのようなゲルが性的行為中に用いられる確率が高くなることでさらなる保護を与える可能性がある。
【0082】
1つの態様では、そのようなゲル調剤を化合物B、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、グリセロール、メチルパラベン、プロピルパラベン、乳酸、水酸化ナトリウム(pHを約4.5に到達させる目的で)および水で構成させる。
【0083】
別の態様におけるゲル調剤は、化合物B、HEC[これの濃度を約0.5から約5%(重量/重量)にする]、グリセロール[これの濃度を約1から約15%(重量/重量)にする]、メチルパラベン[これの濃度を約0.02から約0.5%(重量/重量)にする]、プロピルパラベン[これの濃度を約0.005から約0.2%(重量/重量)にする]、乳酸[これの濃度を約0.005から約0.5%(重量/重量)にする]、水酸化ナトリウム[4.5のpHを達成するに充分な量]および水を含んで成る。
【0084】
別の態様におけるゲル調剤は、化合物B、HEC[これの濃度を約1から約3%(重量/重量)にする]、グリセロール[これの濃度を約3から約7%(重量/重量)にする]、メチルパラベン[これの濃度を約0.1から約0.3%(重量/重量)にする]、プロピルパラベン[これの濃度を約0.01から約0.03%(重量/重量)にする]、乳酸[これの濃度を約0.03から約0.07%(重量/重量)にする]、水酸化ナトリウム[4.5のpHを達成するに充分な量]および水を含んで成る。
【0085】
別の態様において、前記ゲル調剤のいずれも化合物Aを殺菌薬として含んで成る。
【0086】
本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などは、病原体、例えばウイルス、細菌、菌・カビ、寄生虫、外部寄生虫およびマイコプラズマなどの侵入を防止する目的でいろいろな種類の粘膜、例えば外陰部、膣、子宮頸部、肛門−直腸、口など、または皮膚を被覆するように用いられるべきである。
【0087】
本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などは、例えば、手、座薬または通常のタンポンまたはシリンジ技術などで膣に投与可能である。前記ゲルを膣に投与または送達する方法は、前記ゲルが有効量で膣に送り込まれる限り重要ではない。本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などは、また、肛門性交中に保護する目的でも使用可能であり、同様な技術を用いて投与可能である。
【0088】
異性間膣性交の場合には、本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などを性交前に膣の中に投与してもよい。肛門性交(異性または同性)の場合には、本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などを性交前に直腸の中に挿入してもよい。膣または肛門いずれの性交でも、本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などをまた潤滑剤として用いることも可能である。追加的保護の場合、一般に、本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などを性交前または他の性行為前に投与しそして適宜コンドームを使用するのが好適である。さらなる保護の場合、本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などを性行為が完了した後できるだけ速やかに投与してもよい。投与するのが性行為後のみであるのはあまり推奨されないが、それでも、何らかの理由で投与を性行為前に実施することができなかった場合(例えば強姦などの場合)には後で投与するのも望ましいであろう。
【0089】
本局所的調剤、例えば本明細書に記述したゲル調剤などは、このゲルの投与をパートナーに認識してもらうことを要求するか否かに拘らず女性(ばかりでなくそのパートナー)の保護で用いるに非常に適する。加うるに、パートナーがSTDにかかっていないこと、具体的にはHIVにかかっていないと言った主張を信頼する必要はなく、また、保護の目的でコンドームまたは他のバリヤーデバイスを使用することを承知してもうらう必要もない。
【0090】
本発明のゲル調剤は、追加的に、正常な膣フローラ成長特性に有意な影響を与えることもそれらを阻害することもなくまたそれを阻害、非細胞障害または臨床濃度で用いた時に膣組織を有意に刺激することもないことから有利である。膣フローラに有意な阻害または変化が生じるか或は他の刺激が生じると結果として感染(STDおよび非STD両方の種類)の危険性が増す可能性があるが、それにはしばしば膣内の潰瘍形成、異常な排出物、一般的な不快さなどが介在する。
【0091】
本発明の化合物を膣に投与しようとする場合、膣内環(IVR)も同様に適した薬物送達システムである。IVRの場合、本化合物1種または2種以上を送達デバイス(優先的に環の形態を取る)を構成する生適合性弾性重合体システム全体に渡って分散させることでそれを構成させる。そのような弾性重合体には、好適には、疎水性材料、例えばシリコン[有機ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサンを包含)]、ポリエチレン−コ−ポリ(酢酸ビニル)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリホスファゼン、ポリ(イソプレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリブタジエン、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴムまたはこれらの混合物が含まれる。前記IVRは徐放性殺菌薬として調製可能であり、そのように調製すると、結果として、本化合物と標的病原体と細胞の間の接触時間が長くなりかつ接触が安定になり得る。IVRの構築は文献、即ちWO 02076426(これは全部引用することによって本明細書に組み入れられる)に既に記述されている。
【0092】
本局所的薬剤組成物が投与部位に存在する時間を長くしようとする時には、いろいろな薬物送達システムの中に生物接着剤、特に生物接着性重合体を含有させておくのが有利であり得る。生物接着剤は、生きている生物学的表面、例えば粘膜または皮膚組織などに接着する材料であるとして定義可能である。用語「生物接着性」は本分野の技術者に良く知られている。従って、本発明は、また、薬学的に受け入れられる担体と本発明の化合物を活性材料として殺菌有効量で含んで成る薬剤組成物にも関し、この薬剤組成物が投与部位に生物接着性を示すことを特徴とする。その投与部位は好適には膣、外陰部、子宮頸部、直腸、口または皮膚であり、膣および外陰部が最も好適である。
【0093】
本発明の薬剤組成物に使用可能な生物接着剤の例には、ポリアクリル酸誘導体、例えばカルボポール(carbopol)またはポリカルボフィル(polycarbophil)、例えばカルボポール934P、カルボポール940、ポリカルボフィルAA1など、セルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、キトサンなど、天然重合体、例えばアルギネート、トラガカント、イヌリンなど、前以てゲル化させておいた澱粉、多糖ゴム、例えばキサンタンゴムなどが含まれる。
【0094】
別法として、本発明の調剤を移植片、パッチ、パッド、インジェクション(injections)、または子宮頸部、膣および直腸組織への本化合物の経皮および皮下送達を達成するに適した他の調剤の形態にしてもよい。
【0095】
ゲル仕様の中で既に示したように、本化合物は適切なあらゆる調剤の状態で単独または他の活性材料、例えば抗ウイルス薬、抗生物質、免疫調節剤またはワクチンなどと組み合わせて使用可能である。それらをまた単独またはウイルス感染防止に適した他の予防薬と組み合わせて用いることも可能である。本化合物は個人をウイルス感染に対して長期間に渡って保護するワクチンおよび方法で使用可能である。本化合物をそのようなワクチンの状態で単独でか或は本発明の他の化合物と一緒にか或は他の抗ウイルス薬と一緒にワクチンにおける逆転写酵素阻害剤の通常使用に一致した様式で用いてもよい。従って、本化合物をワクチンで通常用いられる薬学的に受け入れられるアジュバントと一緒にしそして個人をHIV感染に対して長期間に渡って保護する予防有効量で投与してもよい。
【0096】
本発明の化合物と組み合わせて使用可能な抗ウイルス化合物は公知の抗レトロウイルス性化合物、例えばスラミン(suramine)、ペンタミジン(pentamidine)、チモペンチン(thymopentin)、カスタノスペルミン(castanospermine)、デキストラン(硫酸デキストラン)、フォスカルネット−ナトリウム(ホスホノ蟻酸トリナトリウム);ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、例えばジドブジン(3’−アジド−3’−デオキシチミジン、AZT)、ジダノシン(2’,3’−ジデオキシイノシン;ddl)、ザルシタビン(ジデオキシシチジン、ddC)またはラミブジン(2’−3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン、3TC)、スタブジン(2’,3’−ジデヒドロ−3’−デオキシチミジン、d4T)、アバカビル(abacavir)など;非核酸系逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピン(11−シクロプロピル−5,11−ジヒドロ−4−メチル−6H−ジピリド−[3,2−b:2’,3’−e][1,4]ジアゼピン−6−オン)、エファビレンズ(efavirenz)、デラビルジン(delavirdine)など、ホスホネート系逆転写酵素阻害剤、例えばテノフォビル(tenofovir)など、TIBO(テトラヒドロ−イミダゾ[4,5,1−jk][1,4]−ベンゾジアゼピン−2(1H)−オンおよびチオン)型の化合物、例えば(S)−8−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロ−5−メチル−6−(3−メチル−2−ブテニル)イミダゾ−[4,5,1−jk][1,4]ベンゾ−ジアゼピン−2(1H)−チオンなど;α−APA(α−アニリノフェニルアセトアミド)型の化合物、例えばα−[(2−ニトロフェニル)アミノ]−2,6−ジクロロベンゼン−アセトアミドなど;ト
ランス活性化(trans−activating)蛋白質阻害剤、例えばTAT阻害剤、例えばRO−5−3335、またはREV阻害剤など;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル(indinavir)、リトナビル(ritonavir)、サクイナビル(saquinavir)、ロピナビル(lopinavir)(ABT−378)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アムプレナビル(amprenavir)、TMC−126、BMS−232632、VX−175など;融合阻害剤、例えばT−20、T−1249など;CXCR4受容体拮抗薬、例えばAMD−3100など;ウイルスのインテグラーゼ阻害剤;リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、例えばヒドロキシ尿素などであり得る。
【0097】
組み合わせも同様にそのような組み合わせの成分がHIV複製の異なる部位または同じ部位、好適には異なる部位に作用するならばHIV複製の阻害で相乗効果を及ぼす可能性がある。そのような組み合わせを用いると、所定の通常の抗レトロウイルス薬が所望の予防効果を示すに必要な投薬量が前記作用剤を単一の活性材料として投与した時の投薬量に比較して低くなり得るであろう。そのような組み合わせを用いるといくらか伴う毒性が最小限になると同時に単一の作用剤に対して生じる耐性の可能性が低下する。そのような組み合わせを用いるとまた関連した毒性が高くなることなく通常の作用剤が示す効力が高くなる可能性もある。
【0098】
従って、本発明の化合物はまた本技術分野で公知の殺菌薬との組み合わせでも投与可能であり、従って予防効果を増強することができる。それらは、病原体、本ケースではヒト免疫不全ウイルスと伝染が起こる部位、例えば外陰部、膣などの間にバリヤーを作り出すことで感染を邪魔する能力を有し、それらはそのような病原体を死滅または不動態化する能力を有し、それらは伝染部位を覆っている細胞、例えば膣壁を覆っている細胞などにウイルスが感染した後にそれが起こす複製を防止する能力を有する。殺菌薬の例は下記である:
・ 抗生ペプチド:感染に対抗する体の最初の防御線の一部を形成している低分子蛋白質。このようなペプチドは体のあらゆる表面、即ち目、皮膚、肺、舌および腸管を覆っていて細菌と接触すると数分以内にそれらを死滅させる。従って、ペプチドをHIVの感染が起こりそうな部位に投与しておくと、病原体が感染する前にそれらを死滅させる可能性がある。
・ 抗体:HIVに対抗する単離された抗体は文献に示されている。それらを本発明の化合物と適切に組み合わせることでHIV感染を防ぐことができる。
・ pH調節剤、特に膣用pH調節剤。天然の膣環境は酸性度が高いことからHIVが生存することができないが、精子がその酸性度を低くするとHIVが生存することができるようになる。pH調節剤は膣が有する自然の酸性度を調節することで、HIVを寄せ付けないようにする。前記調節剤には、過酸化水素を産生することで膣の環境を健康な状態および酸性状態に保持するに役立つ乳酸桿菌属細菌の使用が含まれる。酸性重合体であるBufferGel(ReProtect、LLC)がpH調節剤の別の例であり、これは追加的に殺精子活性も示す。
・ 洗浄剤および界面活性剤:これらの化合物はウイルスの外側殻を壊す能力を有し、従って殺菌薬として用いるに有効であり、それらを本化合物と組み合わせることでHIV感染を防ぐことができる。そのような洗浄剤および界面活性剤の例はノノキシノール−9およびオクトキシノール−9であるが、シャンプー、歯磨きおよび洗浄用溶液、コンタクトレンズ用溶液で通常用いられるあらゆる洗浄剤および界面活性剤も同様に適する可能性がある。
・ 病原体用被膜、例えばPro−2000 Gel(これはHIVと結合することでウイルスと標的細胞の結合を壊す合成重合体を含有)など。
・ 伝染部位用被膜、例えばゲルなど。このような製品は伝染部位、例えば膣および外陰部の上皮などを覆うことでHIVが細胞の中に入り込まないようにし得る。その例(この上に記述したゲル調剤を包含)には、硫酸化およびスルホン酸化重合体、例えばPC−5
15(カラゲナン)、デキストリン2スルフェート、分泌白血球プロテアーゼ阻害剤(SLPI)(これは標的細胞と結合することでそれらにウイルスが近づかないようにする)、シアノビリン−N(cyanovirin−N)(これもまた細胞と結合して細胞とHIVの融合を妨げる)が含まれる。
【0099】
本発明の組成物では、この上に挙げた殺菌薬の1種以上または全部を本発明の化合物と一緒にしてもよい。従って、本発明は、また、本発明の化合物を含有しかつ更に1種以上の成分も含有して成る薬剤組成物にも関し、ここでは、前記成分を抗生ペプチド、抗体、pH調節剤、洗浄剤または界面活性剤、病原体用被膜、投与部位用被膜から選択する。
【0100】
そのような殺菌薬組み合わせの1つの特別な例は、本発明の化合物と酢酸フタル酸セルロース(CAP)および/またはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)の組み合わせである。CAPおよびこれの誘導体は追加的殺菌効果を示す賦形剤である。CAP調剤は既にNeurath他の文献、即ちEP1030547、米国特許第6165493号(これらは全部引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0101】
本発明は、また、更に殺精子性化合物も含んで成る本明細書の上に概略を示した如き薬剤組成物にも関する。前記組成物は受精とHIV感染を同時に防止する能力を有する。適切な殺精子薬は例えばノノキシノール−9、オクトキシノール−9、メンフェゴール(menfegol)、塩化ゲンザルコニウム、N−ドカサノールなどである。
【0102】
HIV感染予防の技術者は、本明細書に示す試験結果から殺菌有効量を決定することができるであろうが、活性材料の範囲は、投与または単位用量、特に即時放出調剤の投与または単位用量当たり約1ngから約100mg、特に約10ngから約1mg、より特別には約100ngから約100μg、好適には約500ngから約50μgの範囲であり得る。
【0103】
その必要な用量を単位投薬形態として投与するのが適切であり得る。単位用量、特に即時放出調剤の単位用量の体積は、それが単位投薬形態であるか否かに拘らず、局所的調剤の場合には局所的調剤が約100μlから約25ml、特に局所的調剤が約1mlから約10mlの範囲であり得る。例えばゲルまたはクリームの場合の便利な単位用量は約1mlから約5mlの範囲であろう。
【0104】
例えば、局所的調剤、特に本明細書に挙げた如き即時放出用局所的調剤、例えばゲル、クリームなどの場合には、本活性材料を約1nMから約10mM、特に約10nMから約1mM、より特別には約100nMから約100μM、好適には約1μMから約100μMの範囲の濃度で存在させてもよい。
【0105】
使用すべき個々の化合物に応じ、そのような処置を受けさせる被験体の反応に応じそして/または本発明の化合物を処方する医者の評価に応じて、前記有効量を低くするか或は高くしてもよいことは明らかである。
[実施例]
以下の実施例は本発明の説明を意図したものである。
【実施例1】
【0106】
HIV殺菌薬としての非核酸系逆転写酵素阻害剤である化合物Bのインビトロ評価
無細胞および細胞内HIV株
我々はCEM T細胞を用いた実験でリンパ球SI/X4 HIV株HTLV−IIIBを用いたが、これは元々R.C.GalloおよびM.Popovic(NIH、Be
thesda、MD)から得たものであった。単球誘導樹状細胞(MO−DC)を用いた実験では向単球性(monotropic)NSI/R5 HIV株Ba−Lを用いたが、これはNIH AIDS Research and Reference Reaget Program(Rockville、MD)から親切に提供されたものであった。Ba−Lストックを増殖させそしてPHA/IL−2刺激抹消血液単核細胞(PBMC)を完全培地[RPMI−1640(Bio−Whittaker、Verviers、ベルギー)を含有しかつ子ウシ血清(Hyclone、ユタ、米国)(Peden K.Virological and Molecular Genetic Techniques for Studies of Established HIV Isolates、1995、21−45)を10%含有]の中で培養させることで滴定を行った。そのような培養物の上澄み液をMO−DCに感染させる無細胞ウイルスとして直接用いた。細胞内HIV Ba−Lの調製では、非刺激PBMC(2x106細胞/ml)を完全培地の中で10-2MOI(=感染の多重度)のHIV Ba−Lと一緒に一晩インキュベートした。その後、細胞を充分に洗浄し、液体窒素で凍結させ、そして感染日に解凍させた。
一次培養後のHIV抗原検出およびEC50値の計算
社内で開発したELISA検定[これの特徴は記述されている(Beirnaert E.、Willems B.Peeters M.、Bouckaert A.、Heyndrickx L.、Zhong P他、Design and Evaluation of an in−House HIV−1(Group M and O)、SIVmnd and SIVcpz Antigen Capture Assay、J.Virol Methods 1998、73:65−70)]を用いてHIV抗原を検出した。既知p24含有量のBa−Lストック希釈液の標準曲線を用いて測定した時の検出下限は約200pg/mlでありかつ上限は約25,000pg/mlである。HIV
Ag濃度を薬剤濃度に対してプロットした後にその曲線の直線部分に回帰分析を受けさせることで50%有効濃度(EC50)を計算した。
CEM T細胞における50%有効および50%細胞毒性濃度の測定
標準系として、CEM T細胞[American Type culture Collection(Rockville、MD)から入手]を以前に標準化された条件(Balzarini J他、AIDS Res Hum Retroviruses 10−4−2000、16:517−528)下で用いた。簡単に述べると、細胞をRPMI−1640[子ウシ血清を10%、L−グルタミンを2mMおよびNaHCO3を0.075%補充]に入れて細胞数が250,000/mlになるように懸濁させた後、TCID50が〜20になるようにHTLV−IIIBに感染させた。その感染させた細胞を200μlのウエルプレート(well plates)に100μl入れて、これに直ちに当該薬剤の一連の5倍希釈液を100μl加えた。インキュベーションを37℃で4から5日間受けさせた後の培養物を融合細胞の生成に関して検査した。EC50は融合細胞生成を50%阻害するに要する濃度である。細胞毒性を評価してCC50値として示すが、これは、CEM細胞の生存率が50%低下した時の濃度である。
単球誘導間質型樹状細胞(MO−DC)およびT細胞の産生
以前に記述(Van Herrewege他、AIDS Res Hum Retroviruses 10−10−2002、18:1091−1102)された如き向流洗浄を用いて単球およびリンパ球を軟膜PBMCから分離した。培養を37℃の完全培地[GM−CSFおよびIL−4(Immunosource、Zoersel、ベルギー)(Sallusto他、J Exp Med 1−4−1994、179:1109−1118、Romani他、J Exp Med 1−7−1994、180:83−93、Geissmann F他、J Exp Med 16−3−1998、187:961−966)を20ng/ml補充]の中で5%CO2下で7日間行うことで、単球を更にMO−DCに分化させた。リンパ球画分を液体窒素で凍結させ、そして感染日に解凍した。記述(Vanham他、AIDS 20−10−2000、14:2299−231
1、Vanham他、AIDS 18−8−2000、14:1874−1876)された如きCD4(+)単離キット(Dynal、オセロ、ノルウエー)を用いた陽性選択でCD4(+)T細胞を精製した。
感染後にMO−DC/CD4(+)T細胞共培養物の処置の継続を伴わせるか或は伴わせない薬剤によるHIVの前処置
無細胞HIV Ba−Lを10,000から0.1nM(最終濃度)の範囲の一連の薬剤希釈液と一緒に37℃で1時間プレインキュベートした。MO−DCを薬剤で処置しておいたHIVに感染多重度(MOI)が10-3になるように感染させた。2時間(37℃で)後にMO−DCを洗浄(6x)した後、細胞数が4x105/mlになるように懸濁させた。96個ウエルのカップに50μlのMO−DCを50μlの自系CD4(+)T細胞(2x106個の細胞/ml)および100μlの完全培地または100μlの薬剤(プレインキュベーションの場合と同じ濃度)と一緒に分与した。週に2回、前記培養培地の半分を完全培地(薬剤の有り無し)で刷新した。2週間の一次培養後、上澄み液をELISAで分析し、そして細胞を二次培養で用いることでウイルスのレスキュー(rescue)を検査した。細胞内HIVを用いた実験では、プレインキュベートを受けさせた細胞内ウイルスをMO−DC/CD4(+)T細胞添加前に洗浄しそしてMO−DC/CD4(+)T細胞共培養中に存在させたままにする以外は同じ組み立てを用いた。
HIV感染中のMO−DC/CD4(+)T細胞共培養物を薬剤で24時間処置
24時間処置した時の効果を評価する目的で、MO−DCと自系CD4(+)T細胞を細胞数がそれぞれ4x105および2x106/mlになるように完全培地に入れて懸濁させた。96個ウエルのカップに50μlのMO−DCおよび50μlのCD4(+)T細胞を50μlの細胞内もしくは無細胞ウイルス(10−3MOI)および50μlの完全培地または50μlの一連の薬剤希釈液と一緒に分与した。24時間(37℃、5%CO2)後に細胞を洗浄(3x)して、2週間インキュベートした。週に2回、前記培養培地の半分を完全培地(薬剤無し)で刷新した。2週間の一次培養後、上澄み液をELISAで分析し、そして細胞を二次培養で用いることでウイルスのレスキューを検査した。
ウイルスレスキューの検出:二次的培養およびPCR分析
ドナーの軟膜からPBMCを単離して、完全培地[IL−2(Immunosource、Zoersel、ベルギー)を5ng/mlおよびPHA(Murex、Dartford、英国)を0.5μg/ml補充]に入れて2日間培養した。2週間の一次培養後、MO−DC/CD4(+)T細胞共培養物を洗浄(3x)した後、PHA/IL−2活性化PBMCを1カップ当たり1x105個添加することで二次的培養物を組み立てた。3−4日毎に培養培地の半分をIL−2含有培地(薬剤なし)で刷新しそして更に2週間後に上澄み液に加えて細胞も収穫した。上澄み液にHIV−Agに関する試験をELISAで受けさせた。PCRが基になったHIVプロウイルスDNA定量キット[Amplicor HIV−1 Monitor(商標)Test、バージョン1.5(Roche
Molecular Systems、Branchburg、米国)が開発、これは記述(Christopherson他、J Clin Microbiol 2000、38:630−634)されたキットの修飾形である]を用いて細胞にHIV DNA測定のための処理を受けさせた。8E5/LAV細胞[プロウイルスDNAのコピーを細胞1個当たり1個含有(Centralized Facility for AIDS
Reagents、Potters Bar、英国から親切に提供された)]を用いてHIVコピー数が細胞106個当たり10個であることを立証し、これは下方閾値であった。
化合物BがMO−DC/CD4(+)T細胞共培養物中で示す免疫抑制活性および細胞毒性の評価
MO−DCを刺激剤として用いかつ異質遺伝子型CD4(+)T細胞を応答物として用いてB化合物が示す免疫抑制活性を混合白血球培養物(MLC)中で測定した。MO−DCが3x103個でT細胞が100x103個の培養物を一連の化合物B希釈液の存在有り無しで96個ウエルプレートの中で六重に組み立てた。1番目の実験部分では、24時間
後に洗浄を行って化合物Bを除去した後、細胞を更に4日間培養した。2番目の実験部分では、化合物Bを5日間に渡る培養期間の間存在させたままにした。両方の組み立てとも、各ウエルに培養5日目に[メチル−3H]チミジン(Amersham Pharmacia、Buckinghamshire、英国のTRA.120)を1μCi添加した。7時間後にプレートに収穫を受けさせた後、[メチル−3H]チミジン取込みをシンチレーションカウンター[Top Count(商標)、Canberra−Packard、Zellik、ベルギー]で測定して、1分当たりのカウント数(CPM)として表した。リンパ球の増殖を50%阻害する薬剤濃度であるとして免疫抑制濃度(ISC50)を定義する。一連の薬剤希釈液の存在下で5日間培養したMO−DCと異質遺伝子型CD4(+)T細胞の共培養物をエオシンで染色することで細胞毒性を顕微鏡で評価した。その収穫した細胞の一部をまた前方および側面散乱を基にしたリンパ球芽球形成およびアポトーシスのフローサイトメトリー分析でも用いた。
化合物Bが示す抗ウイルス活性および細胞毒性に対する基準データ
化合物Bが示す抗ウイルス活性を測定する時の基準としてCEM T細胞系を用いた。表1に示すように、化合物Bはナノモル範囲で活性を示しかつこれが示した毒性は低かった。CEM T細胞における抗ウイルス活性に続いてHIV−1逆転写酵素活性の阻害を無細胞検定で測定して、前記化合物が示した50%阻害濃度(IC50)を示す(図1)。実験室のT細胞系およびSI/X4実験室株(labstrain)HTLV−IIIbを用いたCEM系は性的伝染に直接には関係せず、この場合には、一次T細胞、樹状細胞およびNSI/R5ウイルスを伴う。従って、我々は、MO−DC/CD4(+)T細胞共培養物におけるNSI/R5 HIV感染の防止に焦点を当てた。
【0107】
【表1】

【0108】
MO−DC/CD4(+)T細胞共培養物を薬剤で処置するとHIV融合が防止
予備実験において、HIV Ba−Lウイルスを前以て10,000nM以下の量の化合物Bで1時間処置しておいた。前記薬剤を前記ウイルスをMO−DCと一緒にして2時間インキュベートする間存在させたままにしたが、自系CD4(+)T細胞を添加する前に徹底的に洗浄して除去しておいた。
【0109】
当該薬剤が示す最大効果を検査する目的で、ウイルスの前処置および感染中の細胞処置を2週間に渡る一次培養期間全体に渡ってさらなる処置と組み合わせた。細胞内ウイルスを用いた感染に対して化合物Bが示した阻害効果の例を表2に示す。化合物Bは一次培養物の中で既に10nMの時に感染を妨害したが、PHA/IL−2芽球を添加すると感染を完全に妨害しかつプロウイルス融合を完全に妨害するには100nM必要であることが分かった。感染で無細胞ウイルスを用いた場合、HIV感染、また二次培養中のHIV感染を完全に妨害するには化合物Bを10nM用いて連続的に処置することで充分であった(表3)。
【0110】
次に、ウイルス感染および融合を防止するに薬剤による処置を一次培養の最初の24時間の間行うことで充分であるか否かをそれぞれELISAおよびPCRで測定することで調査した。連続処置の場合に比べた時に化合物Bが感染を妨害するに要した量はそれを連続処置で用いた時の濃度より1 log高いことが分かった(表3)。
【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
基準CEM T細胞における細胞毒性(CC50値)は化合物Bの場合1.367nMであった(表1)。
【0114】
MO−DCを刺激剤として用いかつ異質遺伝子型CD4(+)T細胞を応答物として用いてB化合物が示す免疫抑制活性を混合白血球培養物中で測定した。培養期間全体に渡って薬剤を存在させた時の50%免疫抑制濃度(ISC50)は約1.500nMであった。この薬剤を最初の24時間の間のみに存在させると、ISC50が約25.000nMにまで高くなった(表4)。従って、処置期間を24時間にした時に化合物Bが示した免疫抑制活性の方が連続処置に比べて明らかに抑制度合が低かった。抗ウイルス活性と免疫抑制の関連を充分に評価する目的で、HIVに感染させた自系MO−DC/CD4(+)T細胞共培養物を薬剤で処置した一次培養物に関して50%抗ウイルス活性(またはEC50)値を計算しかつ治療指数(TI)を測定した。一次標的細胞の性的伝染をそのような様式で測定した時に化合物Bが好ましいTIを示すことが表4のデータから分かる。
【0115】
【表4】

【0116】
DNA合成の阻害がT細胞死亡率増加に相当するか或は芽球生成減少のみに相当するかを評価する追加的実験を行った。3.916nMの時に芽球生成の50パーセント阻害を観察した。54.222nMの時のT細胞死亡率は50%であると計算した。
【0117】
結論として、無細胞および細胞内NSI/R5ウイルスの両方に対してHIV感染を防止することが可能であり、24時間の処置で充分であった。化合物Bは関連した免疫抑制が弱くかつ効力のある抗ウイルス活性を示すことを基にして高い治療指数を示した。このような結果は、化合物Bを殺菌薬として用いることができることを立証していた。
【実施例2】
【0118】
ヒトSCID動物モデル
ヒトで起こるインビボ伝染を模擬する目的でHIVの膣伝染のhu−SCID動物モデルを用いて膣殺菌薬を評価した(Di Fabio他、AIDS 2001、15、2231−2238)。カルボポール940またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)と2種類の水溶性重合体で構成させたゲルを調製して、これに化合物Bをいろいろな濃度(0.225mM、0.0225mMまたは0.00225mM)で含有させた。HIV−1の非シンシチウム(non−syncitium)(NSI)株(SF162および1/BX08)で前以てインビトロ感染させておいたヒト抹消血液リンパ球PBL(hu−PBL)を2x106個用いた非侵入性膣チャレンジ(non invasive vaginal challenge)を受けさせる15−20分前の動物に化合物B含有ゲルを25μl用いた膣内投与を1回受けさせた。細胞から細胞への伝染をp24産出および定量PCRで評価した。この化合物Bを用いた研究の結果として、全身的感染が成功裏に防止された。
【実施例3】
【0119】
T細胞誘導Jurkat−tat細胞(PM−1)が基になったインビトロモデル
Jurkat−tat細胞を用いたモデルで直接的抗ウイルス活性を立証した。96個ウエルの被覆プレートに固定しておいたHIV−1RF(103TCID50)に試験化合物Bを用いた処置を37℃で1時間受けさせ、続いて4倍体積のPBSを用いた洗浄で化合物を除去した後、指標細胞と一緒に8日間共培養した。濃度を100nMにした時に感染の保護が得られた。加うるに、細胞を添加する前に前記化合物を除去することなくウイルスを前以て処置しておく並行組み立てでは10nMの時に感染の保護が示された。
【実施例4】
【0120】
子宮頸部外植モデル
化合物Bは濃度が10nMの時に前記組織の感染を妨害しかつこの化合物は濃度が100nMの時に感染性ウイルスが遊走性樹状細胞から共培養のT細胞に移行するのを防止することができた。
【0121】
下記の如く化合物が関連した細胞系の中で一次HIV株(X4、CCR5およびX4/R5)に対して良好な効力を示すことで膣/直腸殺菌薬であることが示された:子宮頸部上皮細胞(ME180)を前記化合物に1時間、24時間または5日間接触させた後、洗浄して前記薬剤を除去し、MTT検定を用いて細胞の生存率を評価した。データは濃度が50μMの時には全く毒性を示さずそして100μMの時には生存率をいくらか低くすることを示していた。
【実施例5】
【0122】
化合物BとHIV−1逆転写酵素の相互作用の生化学的特徴付け
化合物BとHIV−1逆転写酵素(HIV−1 RT)の間の相互作用の性質を調査する目的で、RNA依存的からDNAポリメラーゼ反応の阻害を定常状態条件下で調査した。1番目の実験では、化合物Bをいろいろな濃度で存在させかつdGTPをいろいろな濃度で存在させる一方でp(rC)p(dG)複合体の濃度を一定にして反応速度を測定した。その結果は、化合物BとHIV−1 RTの結合はdGTPに対して非競合的でKm値は2.51μMでKiは0.033μMであることを示していた。
【0123】
2番目の実験では、化合物Bをいろいろな濃度で存在させかつp(rC)p(dG)をいろいろな濃度で存在させる一方で基質の濃度を一定にして反応速度を測定した。その結果は、化合物BとHIV−1 RTの結合もまたp(rC)p(dG)に対して非競合的でKm値は10.3μMでKiは0.028μMであることを示していた。このことは、一緒になって、化合物BとHIV−1 RTの結合はヌクレオチドの結合から独立しておりかつプライマー/テンプレートの結合からも独立していることを意味している。
【実施例6】
【0124】
乳酸桿菌および正常な膣フローラとの適合性
膣殺菌薬にとって乳酸桿菌および正常な膣フローラとの適合性が重要な必要条件である。性的に伝染する病気の病原体に対する活性も追加的利点である。化合物Bが示す抗菌活性に関するインビトロ試験において下記の感受性を確認した:
・ 妊娠している女性の直腸−膣培養物から単離した異なる33種類の乳酸桿菌種を検査した。その結果、最低阻害濃度(MIC50)は>32mg/Lであることが分かった。
・ デュクレー菌は前記化合物によって防除され、MIC50は1mg/LでMIC90は2mg/Lであった。
・ ある種の淋菌株は臨床関連濃度で防除された。
【実施例7】
【0125】
ウサギ膣刺激試験
如何なる刺激も排除する目的で前記化合物のいくつかの調剤をウサギ膣刺激試験で用いた。いろいろな濃度(0.1M、0.9mM、0.45mMおよび0.225mM)のゲル/クリームを1ml塗布して24時間後の膣上皮を巨視的および顕微的に注意深く検査した。子宮頸−膣のいろいろな部分をパラフィンで処理しておいたサンプルの顕微鏡スライドを染色して、組織学的に分析した。得た巨視的および顕微的評価は、試験を受けさせた調剤は充分に許容されることを示していた。
【実施例8】
【0126】
白ウサギ膣刺激および毒性研究
如何なる刺激も排除する研究を行う目的で化合物Bをいろいろな濃度で入れておいたゲル調剤をウサギ膣刺激試験で用いた。前記ゲル調剤を異なる6ウサギ群に塗布して10日後に膣および子宮頸部上皮を病理学者に巨視的および組織学的に注意深く検査してもらった。測定された評価は下記の通りであった:
【0127】
【表5】

【0128】
【表6】

【実施例9】
【0129】
殺菌薬ゲル
この実施例は、活性成分がいろいろな投薬量で入っているいろいろなゲルを調製することができかつそれらを局所的投与に適した殺菌薬としてHIV感染の予防で用いることができることを示す。
【0130】
【表7】

【0131】
本開示の再吟味を基にして本発明のいろいろな修飾形および変形を理解することができるであろう。そのような変形および付加は本請求の範囲で定義する如き本発明の範囲および精神の範囲内であることを意図する。
【0132】
以下に、本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0133】
1.HIVの伝染またはHIVによる感染を防ぐ目的で用いるに有用な薬剤の製造で式(I)、(II)または(III)で表される化合物を用いる使用であって、式(I)で表される化合物が
【化8】

[式中、
Yは、CR5またはNであり、
Aは、CH、CR4またはNであり、
nは、0、1、2、3または4であり、
Qは、−NR12であるか、或はYがCR5の時にはQはまた水素であってもよく、
1およびR2は、各々独立して、水素、ヒドロキシ、C1-12アルキル、C1-12アルキルオ
キシ、C1-12アルキルカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニル、アリール、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで、上述したC1-12アルキル基は各々が場合により各々個別に各々がヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、ヒドロキシC1-6アルキルオキシ、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノ、イミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、アリールおよびHetから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或はR1とR2が一緒になってピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アジドまたはモノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノC1-4アルキリデンを形成していてもよく、R3は、水素、アリール、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、そして
各R4は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、トリハロメチル、トリハロメチルオキシであるか、或はYがCR5の時にはR4はまたシアノもしくはアミノカルボニルで置換されているC1-6アルキルを表してもよく、
5は、水素またはC1-4アルキルであり、
Lは、−X1−R6または−X2−Alk−R7であり、ここで、
6およびR7は、各々独立して、フェニル、または各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであるか、或はYがCR5の時にはR6およびR7はまた各々がアミノカルボニル、トリハロメチルオキシおよびトリハロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルから選択されてもよいか、或はYがNの時にはR6およびR7はまたインダニルもしくはインドリルから選択されてもよく、ここで、前記インダニルまたはインドリルの各々は各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、R6が場合により置換されていてもよいインダニルもしくはインドリルの時にはこれは好適には分子の残りに縮合フェニル環を通して結合しており、例えばR6は適切には4−、5−、6−もしくは7−インドリルであり、
1およびX2は、各々独立して、−NR3−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
Alkは、C1-4アルカンジイルであるか、或は
YがCR5の時にはLはまたC1-10アルキル、C3-10アルケニル、C3-10アルキニル、C3-7シクロアルキル、またはC3-7シクロアルキル、インダニル、インドリルおよびフェニルから独立して選択される1または2個の置換基で置換されているC1-10アルキルから選択されてもよく、ここで、前記フェニル、インダニルおよびインドリルは各々がハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、ニトロ、アミノ、トリハロメチル、トリハロメチルオキシおよびC1-6アルキルカルボニルから独立して選択される1、2、3、4または可能ならば5個の置換基で置換されていてもよく、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであり、
Hetは、脂肪もしくは芳香複素環式基であるが、前記脂肪複素環式基はピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルから選択され、ここで、前記脂肪複素環式基は各々が場合によりオキソ基で置換されていてもよく、そしてここで、前記芳香複素環式基はピロリル、
フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルから選択され、ここで、前記芳香複素環式基は各々が場合によりヒドロキシで置換されていてもよい]、これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩または立体化学異性体形態に相当し、そして式(II)で表される化合物が
【化9】

[式中、
−b1=b2−C(R2a)=b3−b4=は、式
−CH=CH−C(R2a)=CH−CH=(b−1);
−N=CH−C(R2a)=CH−CH=(b−2);
−CH=N−C(R2a)=CH−CH=(b−3);
−N=CH−C(R2a)=N−CH=(b−4);
−N=CH−C(R2a)=CH−N=(b−5);
−CH=N−C(R2a)=N−CH=(b−6);
−N=N−C(R2a)=CH−CH=(b−7);
で表される二価の基を表し、
qは、0、1、2、または可能ならば、qは3または4であり、
1は、水素、アリール、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、又はホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、
2aは、シアノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(メチル)アミノカルボニル、又はシアノ、アミノカルボニルまたはモノ−もしくはジ(メチル)アミノカルボニルで置換されているC1-6アルキル、又はシアノで置換されているC2-6アルケニル、またはシアノで置換されているC2-6アルキニルであり、
各R2は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノもしくは−C(=O)R6で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルキニル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、または式
【化10】

で表される基であり、ここで、
各Aは、独立して、N、CHまたはCR6であり、
Bは、NH、O、SまたはNR6であり、
pは、1または2であり、そして
6は、メチル、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノまたはポリハロメチルであり、
Lは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-7シクロアルキルであり、ここで、前記脂肪基は各々が
*C3-7シクロアルキル、
*各々が場合により各々がハロ、C1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシおよびC1-6アルキルカルボニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいインドリルもしくはイソインドリル、
*フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)
から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
Lは、−X−R3であり、ここで、
3は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)であり、そして
Xは、−NR1−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
Qは、水素、C1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキルまたは−NR45を表し、そして
4およびR5は、各々独立して、水素、ヒドロキシ、C1-12アルキル、C1-12アルキルオキシ、C1-12アルキルカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニル、アリール、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで、上述したC1-12アルキル基は場合により各々独立して各々がヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、ヒドロキシC1-6アルキルオキシ、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノ、イミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、またはアリールおよびHetから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或はR4とR5が一緒になってピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アジドまたはモノ−もしくはジ(C1-12アルキル)アミノC1-4アルキリデンを形成していてもよく、
Yは、ヒドロキシ、ハロ、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合によりシアノもしくは−C(=O)R6で置換されていてもよいC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、またはアリールを表し、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキルおよびポリハロC1-6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルであり、
Hetは、脂肪もしくは芳香複素環式基であるが、前記脂肪複素環式基はピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルから選択され、ここで、前記脂肪複素環式基は各々が場合によりオキソ基で置換されていてもよく、そしてここで、前記芳香複素環式基はピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルから選択され、ここで、前記芳香複素環式基は各々が場合によりヒドロキシで置換されていても
よく、HetにHetの定義で述べた複素環の可能なあらゆる異性体形態を包含させることを意味し、例えばピロリルにはまた2H−ピロリルも含まれ、前記Het基は式(II)で表される分子の残りに適宜環炭素もしくはヘテロ原子のいずれかを通して結合していてもよく、従って、例えば、この複素環がピリジニルの時にはこれは2−ピリジニル、3−ピリジニルまたは4−ピリジニルであってもよい]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよび立体化学異性体形態に相当し、そして式(III)で表される化合物が
【化11】

[式中、
−a1=a2−a3=a4−は、式
−CH=CH−CH=CH− (a−1);
−N=CH−CH=CH− (a−2);
−N=CH−N=CH− (a−3);
−N=CH−CH=N− (a−4);
−N=N−CH=CH− (a−5);
で表される二価の基を表し、
nは、0、1、2、3または4であり、そして−a1=a2−a3=a4−が(a−1)の場合にはnはまた5であってもよく、
1は、水素、アリール、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、又はホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、そして
各R2は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノもしくは−C(=O)R4で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルキニル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p4、−NH−S(=O)p4、−C(=O)R4、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R4、−C(=NH)R4、または式
【化12】

で表される基であり、ここで、
各Aは、独立して、N、CHまたはCR4であり、
Bは、NH、O、SまたはNR4であり、
pは、1または2であり、そして
4は、メチル、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノまたはポリハロメチルであり、
Lは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-7シクロアルキルであり、ここで、前記脂肪基は各々が
*C3-7シクロアルキル、
*各々が場合により各々がハロ、C1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、シアノ、アミノカルボニル、ニトロ、アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシおよびC1-6アルキルカルボニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいインドリルもしくはイソインドリル、
*フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)
から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
Lは、−X−R3であり、ここで、
3は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニル(ここで、前記芳香環は各々が場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)であり、そして
Xは、−NR1−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキルおよびポリハロC1-6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルである]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンおよび立体化学異性体形態に相当するが、但し
*LがC1-3アルキルであり、R1が水素、エチルおよびメチルから選択され、−a1=a2−a3=a4−が式(a−1)で表される二価の基を表し、nが0または1でありそしてR2がフルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、エチルオキシおよびニトロから選択されるか、或は
*Lが−X−R3であり、Xが−NH−であり、R1が水素であり、−a1=a2−a3=a4−が式(a−1)で表される二価の基を表し、nが0または1であり、R2がクロロ、メチル、メチルオキシ、シアノ、アミノおよびニトロから選択されそしてR3が場合によりクロロ、メチル、メチルオキシ、シアノ、アミノおよびニトロから選択される1個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、
式(III)で表される化合物、および化合物
*N,N’−ジピリジニル−(1,3,5)−トリアジン−2,4−ジアミン、
*(4−クロロ−フェニル)−(4(1−(4−イソブチル−フェニル)−エチル)−(1,3,5)トリアジン−2−イル)−アミン、
は含まれないことを条件とする使用。
【0134】
2.HIVの伝染を防ぐ目的で用いるに有用な殺菌薬の製造で1.記載の式(I)、(II)または(III)で表される化合物を用いる使用であって、前記式(II)で表される化合物におけるYがヒドロキシ、ハロ、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC2-6アルキニル、シアノもしくは−C(=O)R6で置換されているC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p6、−NH−S(=O)p6、−C(=O)R6、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R6、−C(=NH)R6、またはアリールを表す使用。
【0135】
3.前記化合物が
【化13】

[ここで、
nは、0、1、2、3または4であり、
1は、水素、アリール、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、又はホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルであり、そして
2aは、シアノ;アミノカルボニル;モノ−もしくはジメチルアミノカルボニル;場合によりシアノ、アミノカルボニルまたはモノ−もしくはジメチルアミノカルボニルで置換されていてもよいC1-6アルキル;シアノで置換されているC2-6アルケニル;またはシアノで置換されているC2-6アルキニルであり、
各R2は、独立して、ヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノもしくは−C(=O)R4で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により1個以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2-6アルキニル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)p4、−NH−S(=O)p4、−C(=O)R4、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R4、−C(=NH)R4、または式
【化14】

で表される基であり、ここで、
各Aは、独立して、N、CHまたはCR4であり、
Bは、NH、O、SまたはNR4であり、
pは、1または2であり、そして
4は、メチル、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノまたはポリハロメチルであり、Lは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-7シクロアルキルであり、ここで、前記脂肪基は各々がフェニル(これは場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)で置換されているか、或は
Lは、−X−R3であり、ここで、
3は、フェニル(場合により各々がR2で定義した置換基から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい)であり、そして
Xは、−NR1−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−または−S(=O)2−であり、
アリールは、フェニル、または各々がハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキルおよびポリハロC1-6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されているフェニルである]、
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンまたは立体化学異
性体形態に相当するが、但し化合物2,4−ジ−p−シアノアニリノ−1,3,5−トリアジンは含まれないことを条件とする1.または2.記載の使用。
【0136】
4.前記化合物が
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−N2−(4−フルオロフェニル)−2,4−ピリミジンジアミン;
4−[[4−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(4−ヒドロキシブチル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
N−[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−4−ピリミジニル]−アセトアミド;
N−[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−4−ピリミジニル]−ブタナミド;
4−[[2−アミノ−6−(2,6−ジクロロフェノキシ)−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[[3−(2−オキソ−1−ピロリジニル)プロピル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
一塩酸4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−(ヒドロキシアミノ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2−シアノエチル)アミノ]−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−6−[[2−(1−ピロリジニル)エチル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
N2−(4−ブロモフェニル)−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−メチル−2,4−ピリミジンジアミン;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジクロロフェニル)チオ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[[2,6−ジブロモ−4−(1−メチルエチル)フェニル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(シアノフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジブロモ−6−フルオロフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンゼンアセトニトリル;
4−[[4−[メチル(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリクロロフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)チオ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−アミノ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−メチルフェノキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(4−クロロ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
3,5−ジクロロ−4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジブロモ−3,6−ジクロロフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジブロモ−4−プロピルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンズアミド;
4−[[4−[(4−(1,1−ジメチルエチル)−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]オキシ]−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[(4−クロロ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−5−メチル−4−ピリミジニル]アミノ−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[[4−(1,1−ジメチルエチル)−2,6−ジメチルフェニル]アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(4−ブロモ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−メチル−4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)チオ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,6−ジブロモ−4−プロピルフェニル)アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンズアミドのN3−オキサイド;
N2−(4−クロロフェニル)−N4−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2,4−ピリミジンジアミン;
4−[[4−[[2,6−ジブロモ−4−(1−メチルエチル)フェニル]アミノ]−5−メチル−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−5−メチル−4−ピリミジニル]アミノ−3,5−ジメチルベンゾニトリル;
4−[[4−[(フェニルメチル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2−エチル−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジクロロフェニル)チオ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−[(2,4,6−トリクロロフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−6−(ヒドロキシアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
トリフルオロ酢酸4−[[4−(ヒドロキシアミノ)−6−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル(1:1);4−[[4−(4−アセチル−2,6−ジメチルフェノキシ)−6−アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(4−ニトロ−2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−(4−ホルミル−2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,4−ジクロロフェニル)チオ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(5−アセチル−2,3−ジヒドロ−7−メチル−1H−インデン−4−イル)オキシ]−6−アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(4−ブロモ−2−クロロ−6−メチルフェニル)アミノ]
−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[[2,4−ジクロロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[メチル(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[(2,6−ジブロモ−4−メチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−6−[[2,6−ジブロモ−4−(1−メチルエチル)フェニル]アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−5−クロロ−6−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−クロロ−4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−ブロモ−4−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−5−クロロ−6−[(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[5−ブロモ−6−[(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−5−クロロ−6−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニルオキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−アミノ−5−ブロモ−6−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニルオキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル;
4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル;
これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンまたは立体化学異性体形態
である1.から3.のいずれか1項記載の使用。
【0137】
5.前記化合物が4−[[4−アミノ−5−ブロモ−6−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニルオキシ)−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルまたは4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルまたは4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]ベンゾニトリル、これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩、第四級アミンまたは立体化学異性体形態である1.から4.記載の使用。
【0138】
6.前記化合物が4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル、これのN−オキサイド、薬学的に受け入れられる付加塩または第四級アミンである1.から5.記載の使用。
【0139】
7.前記伝染または感染がパートナー間の性交または関連した親密な接触によるものである1.から6.のいずれか1項記載の使用。
【0140】
8.前記伝染または感染が膣経由である1.から7.のいずれか1項記載の使用。
【0141】
9.前記薬剤が局所的形態である1.から8.のいずれか1項記載の使用。
【0142】
10.前記薬剤が投与部位に生物接着性を示す1.から9.のいずれか1項記載の使用。
【0143】
11.前記薬剤がゲル、ゼリー、クリーム、ペースト、乳液、分散液、軟膏、フィルム、スポンジ、フォーム、エーロゾル、粉末、膣内環、子宮頸管キャップ、移植片、パッチ、座薬、ペッサリー、錠剤またはうがい薬の形態である1.から10.のいずれか1項記載の使用。
【0144】
12.前記薬剤が即時放出薬物送達システムの形態である1.から10.のいずれか1項記載の使用。
【0145】
13.前記薬剤が徐放薬物送達システムの形態である1.から10.のいずれか1項記載の使用。
【0146】
14.前記薬剤が殺菌有効量の1.記載の化合物、ゲル形成化合物、緩衝剤、薬学的に受け入れられる希釈剤、場合により保湿剤および場合により防腐剤を含んで成るゲルである1.から13.のいずれか1項記載の使用。
【0147】
15.前記薬剤が4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル、ヒドロキシエチルセルロース、グリセロール、メチルパラベン、プロピルパラベン、乳酸、水酸化ナトリウムおよび水を含んで成る1.から14.のいずれか1項記載の使用。
【0148】
16.前記薬剤が1種以上の追加的抗レトロウイルス性化合物を含んで成る1.から15.のいずれか1項記載の使用。
【0149】
17.前記薬剤が抗体、洗浄剤または界面活性剤、病原体用被膜、伝染部位用被膜、抗生ペプチドまたはpH調節剤から選択される1種以上の成分を含んで成る1.から16.のいずれか1項記載の使用。
【0150】
18.前記薬剤が殺精子性化合物を含んで成る1.から17.のいずれか1項記載の使用。
【0151】
19.デュクレー菌の伝染を防ぐ目的で用いるに有用な薬剤を製造するための1.から6.のいずれか1項記載の化合物の使用。
【0152】
20.デュクレー菌によって引き起こされる病気の治療で用いるに有用な薬剤を製造するための1.から6.のいずれか1項記載の化合物の使用。
【0153】
21.薬学的に受け入れられる担体および1.から6.のいずれか1項記載の化合物を活性材料として殺菌有効量で含んで成る薬剤組成物であって、この薬剤組成物が性交または関連した親密な接触が起こる部位に投与するに適した形態である薬剤組成物。
【0154】
22.組成物が投与部位に生物接着性を示す21.記載の薬剤組成物。
【0155】
23.組成物がゲル、ゼリー、クリーム、ペースト、乳液、分散液、軟膏、フィルム、スポンジ、フォーム、エーロゾル、粉末、膣内環、子宮頸管キャップ、移植片、パッチ、座薬、ペッサリー、錠剤またはうがい薬の形態である21.または22.記載の薬剤組成物。
【0156】
24.組成物が即時放出薬物送達システムの形態である21.または22.記載の薬剤組
成物。
【0157】
25.組成物が徐放薬物送達システムの形態である21.または22.記載の薬剤組成物。
【0158】
26.組成物が殺菌有効量の1.から6.のいずれか1項記載の化合物、ゲル形成化合物、緩衝剤、薬学的に受け入れられる希釈剤、場合により保湿剤および場合により防腐剤を含んで成るゲルである21.から25.のいずれか1項記載の薬剤組成物。
【0159】
27.前記化合物が4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルである21.から26.のいずれか1項記載の薬剤組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に受け入れられる担体および有効成分として殺菌有効量の4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルである化合物を含んで成る医薬組成物であって、膣内環、子宮頸管キャップの形態である上記医薬組成物。
【請求項2】
殺菌有効量の4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル、ゲル形成化合物、pHを5未満に維持する緩衝剤、薬学的に受け入れられる希釈剤、場合により保湿剤および場合により防腐剤を含んで成るゲルである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
緩衝剤がpHを3.2から4.5の範囲に維持する、請求項2に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−189435(P2010−189435A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107209(P2010−107209)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【分割の表示】特願2004−503005(P2004−503005)の分割
【原出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】