説明

性腺刺激ホルモン放出ホルモンレセプターアンタゴニストおよびそれに関連する方法

【課題】男性および女性の両方における種々の性ホルモン関連状態の処置において有用性を有するGnRHレセプターアンタゴニストの提供。
【解決手段】化合物(1)。ここでn、R1a、R1b、R1C、R2a、R2b、R、R、R、RおよびXは、置換基を表す。その立体異性体、プロドラッグおよび薬学的に受容可能な塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権利についての声明)
本明細書中に記載される研究の一部の資金は、国立衛生研究所により提供された助成金番号第1−R43−HD38625号および同2R44−HD38625−02号の下に、米国政府により提供された。米国政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、概して、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)レセプターアンタゴニストに関し、そしてこのようなアンタゴニストの投与による障害の処置を必要とする温血動物へのこのアンタゴニストの投与により障害を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)(黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)としても公知)は、ヒトの生殖において重要な役割を果たすデカペプチド(pGlu−His−Trp−Ser−Tyr−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly−NH)である。GnRHは、視床下部から放出され、下垂体に対して黄体化ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の生合成ならびに放出を刺激するように作用する。下垂体から放出されるLHは、雄性および雌性の両方において性腺ステロイド産生の調節を担うが、その一方でFSHは、雄性における精子形成および雌性における卵胞発達を調節する。
【0004】
その生物学的重要性に起因して、GnRHに対する合成アンタゴスニトおよび合成アゴニストは、特に前立腺癌、乳癌、子宮内膜症、子宮平滑筋腫(線維平滑筋腫)、卵巣癌、前立腺肥大、生殖補助治療、および性的早熟症の文脈において、かなりの注目の対象であり続けている(The Lancet 358:1793−1803,2001;Mol.Cel.Endo.166:9−14,2000)。例えば、ペプチド性GnRHアゴニスト(例えば、リュープロレリン(pGlu−His−Trp−Ser−Tyr−d−Leu−Leu−Arg−Pro−NHEt))は、このような状態を処置するために使用されてきた。このようなアゴニストは、下垂体の性腺刺激ホルモンにおけるGnRHレセプターに結合することにより機能し、それによって性腺刺激ホルモンの合成および放出を誘発するようである。GnRHアゴニストの慢性投与は、性腺刺激ホルモンを欠乏させ、引き続いてそのレセプターをダウンレギュレーションし、しばらくの期間(例えば、慢性投与の開始後のほぼ2〜3週間)の後にステロイドホルモンの抑制をもたらす。
【0005】
対照的に、GnRHアンタゴストは、初期から性腺刺激ホルモンを抑制すると考えられ、従って、過去20年にわたって非常に大きな注目を受けてきた。現在まで、このようなアンタゴニストの臨床的使用に対する主要な障害のいくつかは、それらのバイオアベイラビリティーの相対的低さおよびヒスタミン放出により引き起こされる有害な副作用であった。しかし、それらは、制限されたバイオアベイラビリティーに起因して、未だ徐放性送達経路(例えば、皮下注射または鼻腔内スプレー)によって送達されねばならないが、低ヒスタミン放出特性を有するいくつかのペプチド性アンタゴニストが報告されている。
【0006】
ペプチド性GnRHアンタゴニストに関連する制限を考慮して、多くの非ペプチド性化合物が提案されている。例えば、Choら(J.Med.Chem.41:4190−4195,1998)は、GnRHレセプターアンタゴニストとして使用するためのチエノ[2,3−b]ピリジン−4−オンを開示し;米国特許第5,780,437号および同5,849,764号は、(公開されたPCT WO 97/21704号、同98/55479号、同98/55470号、同98/55116号、同98/55119号、同97/21707号、同97/21703号、および同97/21435号が開示するように)GnRHレセプターアンタゴニストとしての置換インドールを教示し;公開されたPCT WO96/38438号は、GnRHレセプターアンタゴニストとしての三環式ジアゼピンを開示し;公開されたPCT WO 97/14682号、同97/14697号および同99/09033号は、GnRHアンタゴニストとしてのキノリン誘導体およびチエノピリジン誘導体を開示し;公開されたPCT WO 97/44037号、同97/44041号、同97/44321号、および同97/44339号は、GnRHレセプターアンタゴニストとしての置換キノリン−2−オンを教示し;そして公開されたPCT WO 99/33831号は、GnRHレセプターアンタゴニストとしての特定のフェニル置換縮合窒素含有二環式化合物を開示する。最近公開されたPCT WO 02/066459号およびWO 02/11732号は、それぞれ、インドール誘導体ならびに新規な二環式ピロリジン誘導体および三環式ピロリジン誘導体の、GnRHアンタゴニストとしての使用を開示する。化合物およびそれらのGnRHアンタゴニストとしての使用を開示する他の最近公開されたPCTとしては、WO 00/69859号、WO 01/29044号、WO 01/55119号、WO 03/013528号、WO 03/011870号、WO 03/011841号、WO 03/011839号、およびWO 03/011293号が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この分野において、顕著な進歩が形成されているが、その一方で有効な低分子GnRHレセプターアンタゴニストに対する必要性が当該分野において未だ存在する。また、このようなGnRHレセプターアンタゴニストを含有する薬学的組成物および、例えば、性ホルモン関連状態を処置するためのそれらの組成物の使用に関する方法に対する必要性が存在する。本発明は、これらの必要性を満たし、そして他の関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
手短に言えば、本発明は、概して、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)レセプターアンタゴニスト、ならびにそれらの調製および使用のための方法、ならびにそれらを含有する薬学的組成物に関する。より詳細には、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、以下の一般構造(I):
【0009】
【化2】

を有する化合物であり、その立体異性体、プロドラッグおよび薬学的に受容可能な塩を含み、ここで、n、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R、R、RおよびRは、以下に規定されるとおりである。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
以下の構造:
【化1】


を有する化合物またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
nは、0または1であり;
1a、R1bおよびR1cは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキルまたはアルコキシであるか、あるいはR1aおよびR1bは、一緒になって−OCHO−または−OCHCH−を形成し;
2aおよびR2bは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたは−SOCHであり;
は、水素またはメチルであり;
は、フェニルまたはC3〜7アルキルであり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり;
は、−NRであり;
およびRは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素または必要に応じて1個〜2個のヒドロキシもしくはアルコキシで置換されたC1〜4アルキルであるか;
あるいはRおよびRならびにそれらが結合する窒素原子は、複素環または置換複素環を形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、Rおよびそれが結合する窒素原子と一緒になってピペラジン、置換ピペラジン、ホモピペラジンまたは置換ホモピペラジンを形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、XのC1〜6アルカンジイルからの1個以上の炭素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し;そして
Xは、必要に応じて1個〜3個のC1〜4アルキル基で置換されたC1〜6アルカンジイルである、
化合物またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩。
(項目2)
1aは、ハロゲンである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
1bは、アルコキシである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
1bは、メトキシである、項目3に記載の化合物。
(項目5)
1cは、水素またはハロゲンである、項目1に記載の化合物。
(項目6)
1cは、フルオロまたはクロロである、項目5に記載の化合物。
(項目7)
2aは、ハロゲンである、項目1に記載の化合物。
(項目8)
2bは、トリフルオロメチル、ハロゲンまたは−SOCHである、項目1に記載の化合物。
(項目9)
は、水素である、項目1に記載の化合物。
(項目10)
は、メチルである、項目1に記載の化合物。
(項目11)
は、フェニルである、項目1に記載の化合物。
(項目12)
は、C3〜7アルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目13)
3〜7アルキルは、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである、項目12に記載の化合物。
(項目14)
は、水素またはメチルである、項目1に記載の化合物。
(項目15)
nは、0である、項目1に記載の化合物。
(項目16)
nは、1である、項目1に記載の化合物。
(項目17)
は、水素であり、そしてRは、水素またはメチルである、項目1に記載の化合物。
(項目18)
およびRならびにそれらが結合する窒素原子は、複素環を形成する、項目1に記載の化合物。
(項目19)
Xは、直鎖C1〜6アルカンジイルである、項目1に記載の化合物。
(項目20)
前記直鎖C1〜6アルカンジイルは、−CHCHCH−である、項目19に記載の化合物。
(項目21)
Xは、分枝鎖C1〜6アルカンジイルである、項目1に記載の化合物。
(項目22)
nは、1であり、そしてRおよびそれが結合する窒素原子は、Rおよびそれが結合する窒素原子と一緒になってピペラジンを形成する、項目1に記載の化合物。
(項目23)
前記化合物は、3−[2(R)−アミノプロピルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−3−{3−(1−ピペラジニル)−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンまたは3−[2(R)−{(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンである、項目1に記載の化合物。
(項目24)
前記化合物は、3−[2(R)−{(2−ジメチルアミノ)プロピルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、3−[2(R)−{(2−ジメチルアミノ)プロピルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンまたは3−[2(R)−{(2−メチルアミノ)エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンである、項目1に記載の化合物。
(項目25)
項目1の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含有する、薬学的組成物。
(項目26)
性腺刺激ホルモン放出ホルモンの拮抗を必要としている被験体において、性腺刺激ホルモン放出ホルモンに拮抗するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の項目1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目27)
性ホルモン関連状態の処置を必要としている被験体の性ホルモン関連状態を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の項目25に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目28)
前記性ホルモン関連状態は、癌、良性前立腺肥大または子宮筋腫である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記癌は、前立腺癌、子宮癌、乳癌または下垂体前葉腺腫である、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記癌は、前立腺癌である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記性ホルモン関連状態は、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣疾患、子宮類線維腫または性的早熟症である、項目27に記載の方法。
(項目32)
前記性ホルモン関連状態は、子宮内膜症である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記性ホルモン関連状態は、子宮類線維腫である、項目31に記載の方法。
(項目34)
不妊症の処置を必要としている被験体の不妊症を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の項目25に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目35)
エリテマトーデス、過敏性腸症候群、月経前症候群、多毛症、低身長または睡眠障害の処置を必要としている被験体のエリテマトーデス、過敏性腸症候群、月経前症候群、多毛症、低身長または睡眠障害を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の項目25に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【0010】
本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、幅広い範囲の治療用途にわたって有用性を有し、男性および女性の両方ならびに哺乳動物一般(本明細書中で「被験体」とも呼ばれる)における種々の性ホルモン関連状態を処置するために使用され得る。例えば、このような状態としては、子宮内膜症、子宮線維平滑筋腫、多嚢胞性卵巣疾患、多毛症、性的早熟症、性腺ステロイド依存性新形成(例えば、前立腺癌、乳癌、および卵巣癌)、性腺刺激性下垂体腺腫、睡眠時無呼吸症、過敏性腸症候群、月経前症候群、良性前立腺肥大、避妊、および不妊(例えば、インビトロ受精のような生殖補助治療)が挙げられる。本発明の化合物はまた、成長ホルモン欠乏症および低身長の処置のための補助剤として、および全身性エリテマトーデスの処置のために有用である。上記化合物はまた、男性ホルモン、エストロゲン、黄体ホルモン、ならびに抗男性ホルモンおよび抗プロゲストゲンと組合せて、子宮内膜症、線維平滑筋腫および避妊の処置のために有効であり、加えて、アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたはレニンインヒビターと組合せて、子宮線維平滑筋腫の処置のために有用である。加えて、上記化合物は、ビスホスホネートおよび他の薬剤と組合せて、リン酸カルシウム代謝および骨代謝の障害の処置および/または予防のために使用され得、そして卵胞ホルモン、黄体ホルモンおよび/または男性ホルモンと組合せて骨喪失または生殖機能不全症状(例えば、GnRHアンタゴニストによる治療の間ののぼせ)の予防または処置のために使用され得る。
【0011】
本発明の化合物は、それらのGnRHレセプターアンタゴニスト活性に加えて、肝臓にある主要な代謝酵素、つまりシトクロムP450酵素との低下した相互作用を有する。このファミリーの酵素は、CYP2D6およびCYP3A4というサブタイプを含み、薬物および毒素の代謝を担い、体内からのそれらの排泄を導く。これらの酵素の阻害は、上記酵素がこの機能を果たし得ないという、生命を脅かす状態を導き得る。
【0012】
本発明の方法は、GnRHレセプターアンタゴニストの投与を必要とする哺乳動物に、有効量のGnRHレセプターアンタゴニストを、好ましくは薬学的組成物の形態で、投与する工程を包含する。従って、なおさらなる実施形態では、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤と組み合わせて1つ以上の本発明のGnRHレセプターアンタゴニストを含有する薬学的組成物が、開示される。
【0013】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照することによって明らかとなる。この目的のために、特定の背景情報、手順、化合物および/または組成物を詳細に記載する種々の参考文献が本明細書中で示され、それらは、各々、その全体がこれにより参考として援用される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
上で言及されたように、本発明は、概して、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)レセプターアンタゴニストとして有用な化合物に関する。本発明の化合物は、以下の構造(I):
【0015】
【化3】

を有するか、またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩であり、ここで:
nは、0または1であり;
1a、R1bおよびR1cは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキルまたはアルコキシであるか、あるいはR1aおよびR1bは、一緒になって−OCHO−または−OCHCH−を形成し;
2aおよびR2bは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたは−SOCHであり;
は、水素またはメチルであり;
は、フェニルまたはC3〜7アルキルであり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり;
は、−NRであり;
およびRは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素または必要に応じて1個〜2個のヒドロキシもしくはアルコキシで置換されたC1〜4アルキルであるか;
あるいはRおよびRならびにそれらが結合する窒素原子は、複素環または置換複素環を形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、Rおよびそれが結合する窒素原子と一緒になってピペラジン、置換ピペラジン、ホモピペラジンまたは置換ホモピペラジンを形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、XのC1〜6アルカンジイルからの1個以上の炭素と一緒になって、複素環または置換複素環を形成し;そして
Xは、必要に応じて1個〜3個のC1〜4アルキル基で置換されたC1〜6アルカンジイルである。
【0016】
本明細書中で使用される場合、上記の用語は以下の意味を有する。
【0017】
「C1〜6アルキル」とは、直鎖もしくは分枝状の、非環状もしくは環状の、不飽和もしくは飽和の1〜6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられ;他方、飽和分枝状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、などが挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ;他方、不飽和環状アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。不飽和アルキルは、隣接する炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む(それぞれ、「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖アルケニルおよび分枝状アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが挙げられ;他方、代表的な直鎖アルキニルおよび分枝状アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが挙げられる。
【0018】
「C1〜4アルキル」とは、直鎖もしくは分枝状の、非環状もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の1〜4個の炭素原子を含む炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルなどが挙げられ;分枝状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられ;他方、環状アルキルとしては、シクロプロピルなどが挙げられる。
【0019】
「C3〜7アルキル」とは、直鎖もしくは分枝状の、非環状もしくは環状の3〜7個の炭素原子を含む炭化水素を意味する。代表的な直鎖アルキルとしては、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシルなどが挙げられ;他方、分枝状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。代表的な環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0020】
「C1〜6アルカンジイル」とは、同一の炭素原子または異なる炭素原子から2つの水素が取られた二価のC1〜6アルキルであって、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHC(CHCH−などが挙げられる。
【0021】
「複素環」とは、4員〜7員の単環式複素環または7員〜10員の二環式複素環を意味し、この複素環は、飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、そして1個〜4個のヘテロ原子を含み、このヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄より独立して選択され、ここで、その窒素へテロ原子および硫黄へテロ原子は、必要に応じて酸化され得、そしてその窒素へテロ原子は、必要に応じて四級化され得る。これらの複素環としては、任意の上記複素環がベンゼン環に縮合した二環式の環が挙げられる。上記複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合され得る。芳香族複素環とは、本明細書中で、「ヘテロアリール」と呼ばれ、そしてこれらの複素環としては、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シノリニル、フタラジニル、オキサジアゾニル、チアジアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリルおよびキナゾリニルが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。上記に列挙されたヘテロアリールに加えて、複素環としてはまた、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどが挙げられる。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「置換された」とは、少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された、任意の上記の基(すなわち、アルキル、複素環および/またはピペラジン)を意味する。ケト置換基(「−C(=O)−」)の場合、2つの水素原子が置換される。置換された上記の基の1つ以上が置換される場合、「置換基」としては、本発明の文脈内で、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環および複素環アルキル、ならびに−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NRNR、−NRC(=O)OR、−NRSO、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−OC(=O)NR、−OR、−SR、−SOR、−S(=O)、−OS(=O)および−S(=O)ORが挙げられる。さらに、上記置換基は、上記置換基の1つ以上でさらに置換され得る(例えば、アルキルで置換された置換基、アリールで置換された置換基、アリールアルキルで置換された置換基、複素環で置換された置換基または複素環アルキルで置換された置換基)。RおよびRは、この文脈において同じであっても異なっていてもよく、そして独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルである。
【0023】
「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味し、代表的にはフルオロおよびクロロを意味する。
【0024】
「ヒドロキシ」とは、−OHを意味する。
【0025】
「アルコキシ」とは、−O−(C1〜6アルキル)を意味する。
【0026】
「シアノ」とは、−CNを意味する。
【0027】
1つの実施形態では、Rは、フェニルであり、本発明の代表的なのGnRHアンタゴニストとしては、以下の構造(II)を有する化合物が挙げられる。
【0028】
【化4】

別の実施形態において、RはC3〜7アルキルであり、本発明の代表的なGnRHアンタゴニストは、以下の構造(III)を有する化合物を含む。
【0029】
【化5】

構造(III)のより具体的な実施形態において、C3〜7アルキルは、直鎖C3〜7アルキルもしくは分枝C3〜7アルキル(例えば、構造(IV)により表されるようなイソブチル)であるか、または環式C3〜7アルキル(例えば、構造(V)により表されるようなシクロヘキシル)である:
【0030】
【化6】

別の実施形態において、R1a、R1bおよびR1cは、それぞれ、水素、アルコキシおよびハロゲンである。代表的な置換様式としては、2−ハロ−3−アルコキシ−フェニルが挙げられる。代表的なアルコキシ基としては、メトキシおよびエトキシが挙げられ、他方、代表的なハロゲン部分としては、フルオロおよびクロロが挙げられる。
【0031】
代替的な実施形態において、R1aおよびR1bは、一緒になって−OCHO−(例えば、3,4−メチレン−ジオキシ)を形成する。
【0032】
さらなる実施形態において、R2aおよびR2bは、水素、トリフルオロメチル、ハロゲンまたは−SOCHである。代表的な置換様式としては、2位のハロゲンとしてのR2aおよび6位のトリフルオロメチル、ハロゲンまたは−SOCHとしてのR2bが挙げられる。
【0033】
構造(I)のより具体的な実施形態としてはまた、nが0であり、RがHまたはメチルであり;Rが−COOHであり、そして/あるいはXが−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCHCHCH−である実施形態が挙げられる。
【0034】
なおさらなる実施形態において、Rは水素であり、そしてRは水素、メチルまたはエチルである。
【0035】
本発明の化合物は、公知の有機合成技術によって調製され得、これらの技術としては、実施例により詳細に記載される方法が挙げられる。一般的に、上記の構造(I)の化合物は、以下の反応スキームによって作製され得、この反応スキームにおいて、全ての置換基は、別に示されないかぎり、上記に規定されたとおりである。
【0036】
【化7】

適切に置換されたベンゾニトリルは、適切な試薬(例えば、THF中のボラン)を用いて対応するアミンに還元され得、次いで、尿素1を形成する。試薬(例えば、ジケテン)を用いた環化により、化合物2が得られ、この化合物2は、酢酸中の臭素、N−ブロモスクシンイミドまたは他の臭素化剤によって臭素化されて、化合物3が得られる。アルキル化により化合物4が得られ、そしてボロン酸またはボロン酸エステルとを用いたSuzuki縮合により、化合物5が得られる。その保護されたアミンを代表的な試薬(例えば、BOC基の場合は、塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸)を用いて脱保護することにより、化合物6が得られる、種々のアルキル化工程、臭素化工程、脱保護工程およびSuzuki縮合工程の順序を変更して、本発明の化合物を得ることが可能である。
【0037】
【化8】

置換フェニル酢酸エステル7(対応する酸から作製されるかまたは購入される)と試薬(例えば、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール)との縮合により、8が得られる。尿素を用いた環化により、式9の化合物が得られる。例えば、置換ベンジルブロミドを用いたアルキル化により、10が得られ、この10は、適切なアルキルハライドを用いてアルキル化され得、適切なアルコールを用いたMitsonobuカップリング反応に供されるか、またはメシレートもしくはスルホネートと反応して、5が得られる。
【0038】
【化9】

化合物4は、適切な試薬(例えば、塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸またはHCl水溶液)により脱保護されて、化合物11が得られ、この化合物11は、適切なボロン酸またはボロン酸エステルを用いたSuzuki型縮合に供され、化合物6が得られる。化合物6は、適切な置換アルデヒド(例えば、N−Boc−N−RN(C0〜3アルキル)CHO)を用いた還元的アミノ化に供され得、その後、塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸または適切な試薬を用いてその保護基が脱保護され、化合物12が得られる。あるいは、化合物6は、適切なアルキルハライドを用いてアルキル化されるか、適切なアルコールとのMitsonobuカップリング反応に供されるか、またはメシレートもしくはスルホネートと反応して、化合物12が得られ得る。化合物6は、ハロアルキルフタルイミドを用いてアルキル化されて、化合物13が得られる。例えば、エタノール中のヒドラジンを用いた脱保護により化合物14が得られ、この化合物14は、還元的にアミノ化またはアルキル化されて、化合物15が得られる。
【0039】
本発明の化合物は、一般に、遊離酸または遊離塩基として利用され得る。あるいは、本発明の化合物は、酸付加塩または塩基付加塩の形態で使用され得る。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は、当該分野で周知の方法により調製され得、有機酸および無機酸から形成され得る。適切な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。塩基付加塩としては、カルボキシレートアニオンとともに形成する塩基付加塩を含み、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)ならびにアンモニウムイオンおよびその置換誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウムなど)より選択される有機カチオンおよび無機カチオンとともに形成される塩を含む。従って、構造(I)の用語「薬学的に受容可能な塩」は、任意かつすべての受容可能な塩形態を包含することが意図される。
【0040】
さらに、プロドラッグがまた、本発明の文脈内に含まれる。プロドラッグは、そのようなプロドラッグが患者に投与された場合に、インビボで構造(I)の化合物を放出する任意の共有結合で結合したキャリアである。プロドラッグは、一般に、修飾物が、慣習的な操作によるかまたはインビボにおいてかのいずれかで、切断されて親化合物が得られるように、官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ基、アミン基、またはスルフヒドリル基が、患者に投与された場合に切断してそのヒドロキシ基、アミン基、またはスルフヒドリル基を形成する任意の基に結合された、本発明の化合物が挙げられる。従って、プロドラッグの代表例としては、構造(I)の化合物のアルコール官能基およびアミン官能基の酢酸誘導体、ギ酸誘導体および安息香酸誘導体が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合には、メチルエステル、エチルエステルなどのようなエステルが用いられ得る。
【0041】
立体異性体に関して、構造(I)の化合物は、キラル中心を有し得、ラセミ体、ラセミ体混合物および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして生じ得る。すべてのこのような異性体形態は、その混合物を含めて本発明の内に含まれる。さらに、構造(I)の化合物のいくつかの結晶形態は、多形として存在し得、これは本発明の中に含まれる。さらに、構造(I)の化合物のいくつかはまた、水または他の有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物は、同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0042】
化合物のGnRHレセプターアンタゴニストとしての有効性は、種々のアッセイ技術により決定され得る。当該分野で周知のアッセイ技術は、GnRH活性を測定するための培養された下垂体細胞の使用(Valeら、Endocrinology 91:562−572,1972)およびラット下垂体膜(Perrinら、Mol.Pharmacol.23:44−51,1983)または以下に記載されるようなクローン化されたレセプターを発現する細胞由来の膜に結合する放射性リガンドの測定を包含する。他のアッセイ技術としては、GnRH刺激性カルシウム流入の阻害、ホスホイノシトール加水分解の調節、および去勢動物における性腺刺激ホルモンの循環濃度に対するGnRHレセプターアンタゴニストの効果の測定が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。これらの技術、放射性標識リガンドの合成、放射性イムノアッセイにおける放射性標識リガンドの使用、および化合物のGnRHレセプターアンタゴニストとしての有効性の測定についての説明が以下に続く。
【0043】
(GnRH刺激性LH放出の阻害)
適切なGnRHアンタゴニストは、そのレセプターに対するGnRH特異的な結合を阻害し得、そしてGnRHに関連する活性に拮抗し得る。例えば、未成熟のラットにおけるGnRH刺激性LH放出の阻害は、Vilchez−Martinezの方法に従って測定され得る(Endocrinology 96:1130−1134,1975)。手短に言えば、25日齢の雄性のSpraque−Dawleyラットが、経口胃管栄養法(oral gavage)、皮下注射、または静脈内注射により、生理食塩水中または他の適切な処方物中のGnRHアンタゴニストを投与される。この後に、0.2mL生理食塩水中の200ngのGnRHが、皮下注射される。最後の注射の30分後、その動物は、断頭され、幹血液が収集される。遠心分離の後、分離された血漿は、放射性イムノアッセイ(以下を参照のこと)によるLHおよび/またはFSHの濃度の決定まで、−20℃で保存される。
【0044】
(GnRHアンタゴニストのラット下垂体前葉細胞培養アッセイ)
下垂体前葉を、7週齢の雌性Sprague−Dewleyラットから収集し、採取した腺を、分散用フラスコ中で、37℃で1.5時間、コラーゲナーゼで消化する。コラーゲナーゼ消化の後、この腺を、37℃で9分間、さらにノイラミニダーゼで消化する。消化された組織を、次いで0.1%BSA/McCoyの5A培地で洗浄し、そして洗浄した細胞を、3%FBS/0.1BSA/McCoyの5A培地に懸濁し、96ウェルの組織培養プレートに、1ウェルあたり40,000細胞の細胞密度で、200μlの培地中でプレートする。この細胞を、次いで37℃で3日間、インキュベートする。GnRHアンタゴニストのアッセイのために、インキュベートした細胞は、まず0.1%BSA/McCoyの5A培地で1回洗浄し、次いで三連のウェル中で、試験サンプル、および200μlの0.1%BSA/McCoyの5A培地中の1nMのGnRHを添加する。各サンプルを、5つの用量レベルでアッセイし、GnRH刺激性LH放出および/またはFSH放出の阻害についての効力を決定するための用量−応答曲線を生成する。37℃での4時間のインキュベーションの後、この培地を採取し、この培地中に分泌されたLHおよび/またはFSHのレベルをRIAにより定量する。
【0045】
(膜結合アッセイ1)
GnRHレセプター発現ベクターで安定にまたは一過性にトランスフェクトした細胞を採取し、5%スクロースに再懸濁し、そしてpolytronホモジナイザー(2×15秒)を用いてホモジナイズする。核を、遠心分離(3000×gで5分間)により除去し、上清を遠心分離(20,000×gで30分間、4℃)し膜画分を収集する。最終の膜調製物を、結合用緩衝液(10mM Hepes(pH 7.5)、150mM NaCl、および0.1%BSA)に再懸濁し、−70℃で保存する。結合反応を、ポリエチレンイミンでコーティングされたGF/C膜を備えたMillipore MultiScreen 96ウェル濾過プレートアセンブリ中で実施する。この反応を、膜(130μl結合用緩衝液中の40μgタンパク質)を、50μlの[125I]標識化GnRHペプチド(約100,000cpm)および20μlの種々の濃度のコンペティターに加えることにより開始する。この反応を、90分後に真空の適用およびリン酸塩緩衝化生理食塩水での洗浄(2×)により停止する。結合した放射活性を、96ウェルのシンチレーション計数(Packard Topcount)を用いてか、またはプレートからフィルターを取り出しそして直接γ線計数を実施することにより測定する。K値を、Prism software package(GraphPad Software)を用いる非線形最小二乗回帰を用いて競合結合データから計算する。
【0046】
(膜結合アッセイ2)
さらなる膜結合アッセイのために、安定にトランスフェクトされたHEK293細胞を、堅い表面に対して組織培養フラスコを打ちつけることにより採取し、1000×gでの5分間の遠心分離により収集する。細胞ペレットを、5%スクロースに再懸濁し、2回の15秒のホモジナイズ工程のために、polytronホモジナイザーを用いてホモジナイズする。次いで、細胞ホモジネートを、5分間、3000×gで遠心分離し核を取り除き、そして次いで、その上清を、30分間、44,000×gで遠心分離し、膜画分を収集する。この膜ペレットを、GnRH結合用緩衝液(10mM HEPES、pH 7.5、150mM NaClおよび0.1%BSA)に再懸濁し、アリコートを、直ちに液体窒素中で瞬間冷凍し、−80℃で保存する。この膜懸濁液のタンパク質含量を、Bio−Radタンパク質アッセイキット(Bio−Rad、Hercules、CA)を用いて定量する。
【0047】
膜調製物を用いた競合放射性リガンド結合アッセイを、GF/Cメンブランフィルターを備えたMillipore 96ウェル濾過プレート中で実施する。このGF/Cメンブランフィルターは、200μlの0.1%ポリエチレンイミン(Sigma、St.Louis、MO)で予めコーティングされている。使用の前に、このプレートを、リン酸塩緩衝化生理食塩水溶液で、3回、洗浄する。GnRH結合用緩衝液中の膜画分(ヒトレセプターおよびサルレセプターについて25μgのタンパク質、ラットレセプターについて12μgを含む130μl)を、20μlの種々の濃度の競合リガンドと一緒に、ウェルに添加する。この結合反応を、放射性リガンド(50μlのGnRH結合用緩衝液中の0.1nM)を添加することにより開始する。この反応を、90分間、室温で、プラットホーム振盪器で進行させ、次いでアッセイプレートをMillipore真空マニホールド(Millipore、Bedford、MA)に置き、溶媒を吸引し、そしてウェルを200μlの氷冷リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄することにより停止する。このウェル中のフィルターを取り出し、ガンマ計数器でカウントする。K値を、各競合結合曲線から、非線形最小二乗回帰を用いて計算し、そして、0.5nMの放射性リガンド親和性を仮定して、Cheng−Prusoff方程式(Prism、GraphPad Software、San Diego、CA)を用いて放射性リガンド濃度に対して補正する。平均K値を、各レセプターリガンド対に対するpK値の平均の真数から計算する。
【0048】
(膜結合アッセイ3)
安定にトランスフェクトしたヒトGnRHレセプターRBL細胞を、コンフルエンス(confluence)まで増殖する。この培地を取り除き、そしてこの細胞単層を、DPBSで1回洗浄する。0.5mM EDTA/PBS(Ca++Mg++を含まない)の溶液を、プレートに添加し、次いでこのプレートを37℃で10分間インキュベートする。細胞を、フラスコを緩やかにたたくことにより取り除く。この細胞を収集し、4℃での800g、10分間の遠心分離によりペレット化する。この細胞ペレットを、次いで緩衝液[DPBS(1.5mM KHPO、8.1mM NaHPO、2.7mM
KCl、および138mM NaCl)に10mM MgCl、2mM EGTAを補充し、NaOHでpH=7.4にしたもの]に再懸濁する。次いで、細胞の溶解を、圧力セルを用い、4℃でNを900psiの圧力で30分間付与することにより実施する。破壊されない細胞およびより大きい砕片を、4℃での1200gでの10分間の遠心分離により取り除く。次いでこの細胞膜の上清を、45,000gで遠心分離し、得られた膜ペレットを、アッセイ緩衝液に再懸濁し、氷上で、組織ホモジナイザーを用いてホモジナイズする。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミンを標準として用いるCoomassie Plus Protein Reagent kit(Pierce、Rockford、IL)を用いて定量する。このペレットをアリコートに分け、使用まで−80℃で保存する。一定範囲のタンパク質濃度を用いる滴定分析を、最適のタンパク質濃度をウェルの最終濃度あたり15μgであると定量した。
【0049】
Unifilter GF/Cフィルタープレート(Perkin Elmer、Boston MA)を、蒸留水中の0.5%ポリエチレンイミンの溶液で30分間前処理する。フィルターを、細胞採取器(UniFilter−96 Filtermate;Packard)を用いて、1ウェルあたり200μlのPBS、1% BSA(Fraction V)および0.01% Tween−20、pH=7.4)で予めリンスする。膜を、急速真空濾過により採取し、250μlの氷冷緩衝液(PBS、0.01% Tween−20、pH=7.4)で3回洗浄する。プレートを風乾し、50μlのシンチレーション流体(Microscint 20;Packard)を添加し、そしてこのプレートを、TopCount NXT(Packard Instruments、IL)を用いて、放射活性についてモニタリングする。
【0050】
結合実験を、10mM HEPES、150mM NaCl、および0.1% BSA、pH=7.5を含む緩衝液中で実施する。膜を、200μlの各ウェル中で、50μl
125I]His、D−Tyr、GnRH(0.2nMの最終濃度)および、全体積に対して30pM〜10μMの範囲の濃度の50μlの低分子コンペティターとともにインキュベートする。インキュベーションを、室温で2時間実施する。この反応を、上に記載したように、GF/Cフィルターでの急速濾過により停止する。カーブフィッティングを、Excel Fit Software(IDBS、Emeryville、CA)を用いて実施する。Ki値を、上記放射性リガンドに対して0.7nMのKd値(これは、飽和結合実験で以前に決定された値である)を用いるChengおよびPrusoffの方法(ChengおよびPrusoff、1973)を用いて計算する。
【0051】
(Ca++流入測定)
ヒトGnRHレセプターを発現する細胞におけるGnRH刺激性カルシウム流入の阻害を決定するために、96ウェルプレートを、50,000細胞/ウェルの密度でヒトGnRHレセプターで安定にトランスフェクトしたRBL細胞で播種し、そして一晩結合させる。細胞を、1時間、37℃で、以下の培地で負荷する:20mM HEPES、10%FBS、2μM Fluo−4、0.02% プルロン酸(pluronic acid)、および2.5mM プロベネシドを伴なうDMEM。細胞を、負荷後、洗浄緩衝液(Hanksの平衡塩類、20mM HEPES、2.5mM プロベネシド)で4回洗浄し、最後の洗浄の後には、これらのウェルには150μlを残す。GnRHを、FLIPR緩衝液(Hanksの平衡塩類、20mM HEPES)を含む0.1% BSAで20nMの濃度まで希釈し、そして96ウェルプレートに分与する(低タンパク質結合)。種々の濃度のアンタゴニストを、第3の96ウェルプレート中で、0.1% BSA/FLIPR緩衝液中に調製する。GnRH刺激性(最終20nMまたは4nMの50μl)Ca++流入に起因する蛍光の測定を、種々の濃度のアンタゴニスト50μlとの1分間のインキュベーションの後に、FLIPRシステム(Molecular Devices、FLIPR384システム、Sunnyvale、CA)についての製造業者の指示書に従って実施する。
【0052】
(ホスホイノシトール加水分解アッセイ)
この手順は、公開されたプロトコル(W.Zhouら、J.Biol.Chem.270(32),pp18853−18857,1995)から改変される。手短に言えば、ヒトGnRHレセプターで安定にトランスフェクトされたRBL細胞を、200,000細胞/ウェルの密度で24ウェルプレート中に、24時間、播種する。細胞を、10%透析FBSを含む、イノシトールを含まない培地で1回洗浄し、次いで1μCi/mLの[myo−H]−イノシトールで標識化する。20〜24時間後、細胞を緩衝液(140nM NaCl、4mM KCl、20mM Hepes、8.3mM グルコース、1mM MgCl、1mM CaClおよび0.1% BSA)で洗浄し、そして、種々の濃度のアンタゴニストおよび10mM LiClとともにかまたはこれらを伴わずに、37℃で1時間、同じ緩衝液中で、未変性のGnRHペプチドで処理する。細胞を、4℃で30分間、10mM ギ酸で抽出し、Dowex AG1−X8カラムに負荷し、1M ギ酸アンモニウムおよび0.1M ギ酸で洗浄し、溶出する。この溶出液を、シンチレーション計数器でカウントする。PI加水分解アッセイからのデータを、Prism program(Graphpad、GraphPad Software、San Diego、CA)による非線形最小二乗回帰を用いてプロットし、これより用量比をもまた、計算する。Schild1次プロットを、4個の独立の実験で得た用量比から線形回帰によって生成し、X切片を、そのアンタゴニストの親和性を定量するのに使用する。
【0053】
(去勢動物研究)
去勢動物の研究は、GnRHアンタゴニストの効果について高感度のインビボアッセイを提供する(Andrology 25:141−147,1993)。下垂体におけるGnRHレセプターは、循環系へのGnRH刺激性LH放出を媒介する。去勢は、GnRH刺激性LH放出の増強をもたらす性腺ステロイドの負のフィードバック制御の低下に起因して、循環するLHのレベルの上昇をもたらす。その結果、去勢されたサルにおける循環するLHレベルの抑制の測定は、GnRH拮抗作用の高感度のインビボ尺度として使用され得る。それ故に、雄性サルは、外科手術により去勢され、そして4週間回復させられ、その時点でLHの上昇したレベルが存在する。動物は、次いで上記試験化合物を、経口用量または静脈内用量で投与す、一続きの血液サンプルが、LHの測定のために採取する。これらの動物に由来する血清中のLH濃度は、イムノアッセイ技術またはバイオアッセイ技術により定量し得る(Endocrinology 107:902−907,1980)。
【0054】
(GnRH放射性リガンドの調製)
GnRHアナログは、クロラミンT法により標識化する。20μlの0.5M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6)中の10μgのペプチドに、1mCiのNa125Iを添加し、次いで15μlの0.05M リン酸ナトリウム緩衝液中の22.5μgのクロラミンTを添加し、この混合物を、20秒間、ボルテックスにかける。この反応を、30μlの0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液中の60μgのメタ重亜硫酸ナトリウムの添加によって停止する。この反応混合物をC−8 Sep−Pakカートリッジ(Millipore Corp.、Milford、MA)を通すことにより、遊離したヨウ素を取り除く。このペプチドを、小容量の80%アセトニトリル/水で溶出する。この回収した標識化ペプチドを、0.1%TFA中のアセトニトリルの勾配を用いるBeckman 334勾配HPLCシステムに取付けたVydac C−18分析用カラム(The Separations Group、Hesperia、CA)での逆相HPLCにより、さらに精製する。精製した放射性ペプチドを、0.1%BSA/20%アセトニトリル/0.1%TFA中で、−80℃で保存し、4週間までの間使用し得る。
【0055】
(LHおよびFSHのRIA)
LHレベルを定量するために、各サンプル培地を、二連でアッセイし、そしてすべての希釈物を、RIA用緩衝液(0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液/0.15M NaCl/1% BSA/0.01% NaN、pH7.5)で扱い、このアッセイキットを、NIDDKにより支援されるNation Hormone and Pituitary Programより入手する。12×75mmのポリエチレン試験管に、100μlの1:5に希釈した試験培地またはRIA緩衝液中のrLH標準および100μlの[125I]標識rLH(約30,000cpm)ならびに100μlの1:187,500に希釈したウサギ抗rLH抗体および100μlのRIA緩衝液を添加する。この混合物を、室温で一晩インキュベートする。翌日、100μlの1:20に希釈したヤギ抗ウサギIgGおよび100μlの1:1000に希釈した正常なウサギ血清を添加し、そしてこの混合物を、室温でさらに3時間インキュベートする。このインキュベートした管を、次いで3,000rpmで30分間遠心分離し、その上清を吸引により取り除く。その管の中の残存するペレットを、γ線計数器によりカウントする。FSHのRIAを、LH抗体を1:30,000に希釈したFSH抗体で置き替え、標識化rLHを標識化rFSHで置き替えて、LHについてアッセイと類似のやり方で行なう。
【0056】
(GnRHレセプターアンタゴニストの活性)
GnRHレセプターアンタゴニストの活性は、代表的には、そのGnRHレセプターから放射性標識化リガンドの50%を置換するのに必要な化合物の濃度としてのIC50から計算し、以下の式:
【0057】
【化10】

により計算する「K」値として報告する。ここでLは、放射性リガンドであり、Kはレセプターに対するに放射性リガンドの親和性である(ChengおよびPrusoff,Biochem.Pharmacol.22:3099,1973)。本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、100μM以下のKを有する。本発明の好ましい実施形態では、上記GnRHレセプターアンタゴニストは、10μM未満のK、そしてより好ましくは、1μM未満のK、そしてさらにより好ましくは0.1μM(すなわち、100nM)未満のKを有する。この目的のために、下記実施例に具体的に開示するすべての化合物は、上記の膜結合アッセイ1〜3の1つ以上において、100nM未満のKを有する。
【0058】
GnRHアンタゴニストの、ヒト肝臓中の主要な薬物代謝酵素、つまりCYP2D6およびCYP3A4を阻害する能力は、Crespiら(Anal.Biochem.248:188−190;1997)により記載するようなマイクロタイタープレートベースの蛍光分析法に従って、インビボで評価し得る。Km(つまり、最大速度の半分を生成する基質の濃度)に等しい濃度でのAMMC(すなわち、3−[2−(N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウム)エチル]−7−メトキシ−4−メチルクマリン)およびBFC(すなわち、7−ベンジルオキシ−4−(トリフルオロメチル)クマリン)が、それぞれ、CYP2D6およびCYP3A4に対する標識基質として使用する。手短に言えば、組変え型CYP2D6またはCYP3A4を、標識基質およびNADPH生成系(1mM NADP+、46mM グルコース−6−リン酸および3単位/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼからなる)とともに、37℃で、0.03μM、0.09μM、0.27μM、0.82μM、2.5μM、7.4μM、22μM、67μM、および200μMのサンプルGnRHアンタゴニストの非存在下または存在下でインキュベートする。反応を、等量のアセトニトリルの添加により停止する。この沈殿したタンパク質を、遠心分離により取り除き、澄んだ上清流体をマイクロタイタープレート蛍光分析計を用いて分析する。本発明のGnRHアンタゴニストは、好ましくは250nMより大きいK、より好ましくは1μMより大きいK、そして最も好ましくは5μMより大きいKを有する。
【0059】
上で言及したように、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、広い範囲の治療用途にわたって有用性を有し、男性および女性の両方、ならびに哺乳動物一般における種々の性ホルモン関連状態を処置するために使用され得る。例えば、このような状態としては、子宮内膜症、子宮線維平滑筋腫、多嚢胞性卵巣疾患、多毛症、性的早熟症、性腺ステロイド依存性新形成(例えば、前立腺癌、乳癌、および卵巣癌)、性腺刺激性下垂体腺腫、睡眠時無呼吸症、過敏性腸症候群、月経前症候群、良性前立腺肥大、避妊、不妊(例えば、インビトロ受精のような生殖補助治療)が挙げられる。
【0060】
本発明の化合物はまた、成長ホルモン欠乏症および低身長の処置のための補助剤ならびに全身性エリテマトーデスの処置のための補助剤として有用である。
【0061】
さらに、上記化合物は、男性ホルモン、卵胞ホルモン、黄体ホルモンならびに抗エストロゲンおよび抗黄体ホルモンと組合せて、子宮内膜症、線維平滑筋腫および避妊の処置に対して有用であり、そしてアンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたはレニンインヒビターと組合せて、子宮線維平滑筋腫の処置のために有用である。上記化合物はまた、ビスホスホネートおよび他の薬剤と組合せて、リン酸カルシウム代謝および骨代謝の障害の処置のために使用され得、そして卵胞ホルモン、黄体ホルモンおよび/または男性ホルモンと組合せて骨喪失または生殖機能不全症状(例えば、GnRHアンタゴニストによる処置の間ののぼせ)の予防または処置のために使用され得る。
【0062】
本発明の別の実施形態では、1つ以上のGnRHレセプターアンタゴニストを含む薬学的組成物が開示される。投与のために、本発明の組成物は、薬学的組成物として処方され得る。本発明の薬学的組成物は、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストならびに薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤を含有する。このGnRHレセプターアンタゴニストは、特定の障害を処置するために有効な量で−つまり、GnRHレセプターアンタゴニスト活性を達成する(しかも好ましくは、その患者に対して受容可能な毒性で)に十分な量で−この組成物中に存在する。代表的には、本発明の薬学的組成物は、投与経路に依存して、1薬用量あたり0.1mg〜250mgの量で、そしてより代表的には、1薬用量あたり1mg〜60mgの量でGnRHレセプターアンタゴニストを含み得る。適切な濃度および薬用量は、当業者により容易に決定され得る。
【0063】
薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤は、当業者にはよく知られている。液体溶液として処方される組成物について、受容可能なキャリアおよび/または希釈剤としては、生理食塩水および滅菌水が挙げられ、そして必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および他の一般的な添加剤を含み得る。上記組成物はまた、GnRHレセプターアンタゴニストに加えて希釈剤、分散剤および界面活性剤、結合剤、ならびに潤滑剤を含む丸剤、カプセル剤、顆粒剤または錠剤としても処方され得る。当業者は、さらに上記GnRHレセプターアンタゴニストを、適切な様式で、そして受け入れられた慣習(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.Easton,PA 1990に開示される受け入れられた慣習)に従って処方し得る。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、上で議論されたような性ホルモン関連状態を処置するための方法を提供する。このような方法は、温血動物に、その状態を処置するに十分な量で本発明の化合物を投与する工程を包含する。この文脈において、「処置」は、予防的投与を包含する。このような方法は、(好ましくは、上で議論されたような薬学的組成物の形態での)本発明のGnRHレセプターアンタゴニストの全身投与を包含する。本明細書中で使用される場合、全身投与は、経口投与方法および非経口投与方法を包含する。経口投与に対して、GnRHレセプターアンタゴニストの適切な薬学的組成物としては、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤およびカプセル剤ならびに液剤、シロップ剤、懸濁剤、および乳剤が挙げられる。これらの組成物はまた、矯味矯臭剤、保存剤、沈殿防止剤、増粘剤、乳化剤および他の薬学的に受容可能な添加剤を含み得る。非経口投与に対して、本発明の化合物は、水性注射液剤中で調製され得、上記GnRHレセプターアンタゴニストに加えて、緩衝液、抗酸化剤、静菌薬およびこのような液剤において一般的に用いられる他の添加剤を含み得る。
【0065】
以下の実施例は、限定のためではなく、例示のために提供される。要約すれば、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、上に開示された一般的な方法によりアッセイされ得、その一方で、以下の実施例は、本発明の代表的な化合物の合成を開示する。
【実施例】
【0066】
(A.サンプルを分析するためのHPLC方法)
溶出時間、t(分単位)
(方法1−超臨界流体クロマトグラフィー質量スペクトル(SCF−MS))
カラム:Thermo−Hypersil−Keystoneからの4.6×150mm Deltabond Cyano 5μM。
【0067】
移動相:SFC等級二酸化炭素および1mMのジエチルマロン酸二ナトリウム改質剤を伴う最適等級メタノール。
【0068】
温度:50℃
圧力:120bar
流量:4.8mL/分
勾配:2.6分の全ランタイムについて、1.7分にわたる5%〜55%メタノール、そして0.8分間55%で保持し、次いで0.1分のうちに5%まで戻る
(方法2(HPLC−MS))
カラム:Waters ODS−AQ、2.0×50mm
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:13.25分にわたる95%A/5%B〜5%A/95%B、そして2分間5%A/95%Bで保持し、次いで0.25分間にわたって95%A/5%Bまで戻る
流量:1mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法3(HPLC−MS))
カラム:BHK Lab ODS−O/B、4.6×50mm、5μM
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:0.5分間の95%A/5%B、次いで0.05分間の90%A/10%B、18.94分間にわたる90%A/10%B〜5%A/95%B、次いで0.05分間にわたって1%A/99%Bへ、そして1%A/99%Bで2.16分間保持し、次いで0.50分間にわたって95%/5%Bまで戻る
流量:2.5mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法4(HPLC−MS))
カラム:Waters ODS−AQ、2.0×50mm
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:2.25分にわたる95%A/5%B〜10%A/90%B、次いで1.0分間にわたって10%A/90%Bで保持し、次いで0.1分間にわたって95%A/5%Bまで戻る。
【0069】
流量:1mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法5(HPLC))
カラム:Agilent Zorbax SB−C18、5μM、4.6×250mm。
【0070】
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:50分にわたる95%A/5%B〜5%A/95%B、次いで0.1分間にわたる5%A/95%B〜1%A/99%B、次いで0.8分間1%A/99%Bで保持し、そして0.2分間にわたって95%A/5%Bまで戻り、このような勾配を4分間保持する。
【0071】
流量:2.0mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法6(HPLC−MS))
カラム:Phenomenex Synergi 4μ Max−RP 80A、50.0×2.0mm
移動相:A=0.025%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.025%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:0.25分間95%A/5%B、次いで13分にわたる95%A/5%B〜95%B/5%A、そして2分間にわたり95%A/5%B〜95%B/5%Aで保持し、次いで0.25分間のうちに95%A/5%Bまで戻る
流量:1mL/分
紫外波長:220nMおよび254nM。
【0072】
(実施例1)
(3−[2(R)−{(2−アミノ−2,2−ジメチルエチル)アミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0073】
【化11】

(工程1A:5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1aの調製)
300mLのジクロロエタン中の5−ブロモウラシル(31.0g)の懸濁液を、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(80mL)で処理する。その反応混合物を、窒素下で加熱する。その溶液を周囲温度まで冷却し、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(50g)を添加し、そしてその反応混合物を窒素下で一晩加熱する。その反応物を冷却し、MeOHでクエンチし、そしてジクロロメタンと水との間に分配する。その有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そしてエバポレートして固体を得る。その粗生成物をエーテルですりつぶし、濾過し、そしてエーテルで3回洗浄して40.7gの5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1aを得る。MS(CI)m/z 366.0、368.0(MH)。
【0074】
(工程1B:3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1bの調製)
THF(180mL)中の5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1a(19.2g、52.3mmol)の溶液を、N−(t−ブチルオキシカルボニル)−D−フェニルグリシノール(13.6g、57.5mmol)およびトリフェニルホスフィン(20.6g、78.5mmol)で室温で処理し、次いで、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(18.0g、78.5mmol)を、5分かけていくつかの部分に分けて導入した。その混合物を、室温で16時間攪拌し、さらなるTHF(90mL)を添加し、そしてその混合物を50℃まで加熱した。濃HCl(34.6mL、418mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、50℃で40時間攪拌した。酢酸エチル(100mL)で希釈した後、その固体を濾過し、さらなる酢酸エチル(100mL)で洗浄し、そして乾燥して、白色粉末として化合物1b(26.9g、98%)を得た。MS(CI)m/z 485.0、487.0(MH)。
【0075】
(工程1C:3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1cの調製)
ジオキサン/水(180/20mL)中の化合物1b(10.45g、20mmol)に、2−クロロフェニルボロン酸(6.26g、40mmol)およびNaCO(12.72g、120mmol)を添加した。その混合物をNで15分間脱酸素し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.31g、2mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、90℃で16時間加熱した。その反応物を、EtOAcとHOとの間に分配した。その有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、そして酢酸エチル/へキサン/トリエチルアミン 500/500/6〜800/200/7を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物1c(7.26g、70%)を白色泡状物質として得た。MS(CI)m/z 518.0、520.1(MH)。
【0076】
(工程1D:3−[2(R)−{(2−フタルイミド−2,2−ジメチルエチル)アミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1dの調製)
ジクロロメタン(1mL)中の化合物1c(30mg、0.058mmol)およびN−(1−オキソ−2,2−ジメチルエチル)フタルイミド(25mg、0.116mmol、2−アミノ−2−メチルプロパノールから、まず、無水フタル酸との反応により、その後、塩化オキサリルを用いたSwern酸化により、2工程で合成される)の溶液を、室温で5分間攪拌し、そしてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(37mg、0.174mmol)を添加した。その反応混合物を16時間攪拌し、そしてEtOAcと10%NaOH水溶液との間に分配した。その有機層を、NaSOで乾燥し、そして濃縮して粗生成物1dを得た。MS(CI)m/z 719.2、721.2(MH)。
【0077】
(工程1E:3−[2(R)−{(2−アミノ−2,2−ジメチルエチル)アミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1−1の調製)
エタノール(3mL)中の化合物1d(42mg、0.058mmol)およびヒドラジン一水和物(56μL、1.16mmol)の溶液を、2時間還流した。濃縮後、その残渣をDCM中にとり、そして10%NaOH水溶液で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、そして分取LCMSで精製して化合物1−1を得た。MS(CI)m/z 589.2、591.2(MH)、t=2.441(方法4)。
【0078】
(実施例2)
(3−[2(R)−{アミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0079】
【化12】

(工程2A:化合物メチル(2−クロロフェニル)アセテート 2aの調製)
MeOH(25mL)中の2−クロロフェニル酢酸(1.04g、6mmol)に、硫酸(6滴)を添加し、そしてその溶液を16時間還流した。濃縮後、その残渣を酢酸エチル中にとり、そして飽和NaHCO水溶液、HOおよびブラインで洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥し、そして濃縮してメチル(2−クロロフェニル)アセテート
2a(1.08g、97.5%)を黄色油状物質として得た。GCMS(EI)m/z
184、186(M)。
【0080】
(工程2B:メチル2−(2−クロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート 2bの調製)
【0081】
【化13】

DMFDMA(10mL、70.8mmol)中のメチル(2−クロロフェニル)アセテート 2a(1.08g、5.85mmol)の溶液を、16時間還流した。エバポレーション後、その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 1/3〜1/2を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、まず、未反応メチル(2−クロロフェニル)アセテート 2a(0.67g、62%)を、次いで、メチル2−(2−クロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート 2b(0.38g、27%;回収された出発物質に基づくと71%)を無色シロップとして得た。MS(CI)m/z 240.2、242.2(MH)。
【0082】
(工程2C:5−(2−クロロフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
2cの調製)
アセトニトリル(5mL)中のメチル2−(2−クロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート 2b(0.26g、1.08mmol)、尿素(0.2g、3.26mmol)およびNaI(0.49g、3.26mmol)の混合物に、TMSCl(0.41mL、3.26mmol)を添加した。得られた混合物を16時間還流し、室温まで冷却し、そして1.0M NaOH(8mL)を添加した。得られた溶液を20時間攪拌し、そしてアセトニトリルを真空中で除去した。その水溶液をエーテルで洗浄し、氷浴中で冷却し、そして1N HCl(8mL)で中和した。その沈殿を濾過し、さらなるHOで洗浄し、乾燥して5−(2−クロロフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2c(0.16g、66%)を白色固体として得た。MS(CI)m/z 222.9、224.9(MH)。
【0083】
(工程2D:5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2dの調製)
アセトニトリル(5mL)中の5−(2−クロロフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2c(0.16g、0.72mmol)の懸濁液に、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(0.36mL、1.44mmol)を添加し、そして得られた溶液を1.5時間還流した。室温まで冷却した後、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルベンジルブロミド(0.22g、0.86mmol)を添加し、そして還流を16時間再び続けた。その反応をMeOH(5mL)の添加によりクエンチし、そして2時間攪拌した。濃縮後、その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 1/1を用いて、シリカゲルでの絡むクロマトグラフィーによって精製して、5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2d(0.25g、87%)を白色固体として得た。MS(CI)m/z 398.9、400.9(MH)。
【0084】
(工程2E:3−[2(R)−{tert−ブトキシカルボニル−アミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2eの調製)
DMF(3mL)中の5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2d(125mg、0.32mmol)、KCO(130mg、0.96mmol)およびN−(t−ブチルオキシカルボニル)−D−α−フェニルグリシノールメシレート(0.2g、0.64mmol)を、75℃で16時間加熱した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 2/3を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物2e(144mg、74%)を得た。MS(CI)m/z 518.0、520.0(MH−Boc)。
【0085】
(工程2F:3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 1cの調製)
DCM(1mL)中の化合物2e(0.144g、0.23mmol)の溶液に、TFA(0.5mL、6.5mmol)を添加し、そしてその混合物を室温で1.5時間攪拌した。濃縮後、その残渣をDCM中にとり、そして飽和NaHCO水溶液を添加した。その水層を、DCMで抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、そして濃縮して化合物1c(0.12g)を得た。MS(CI)m/z 518.0、520.1(MH)。
【0086】
(実施例3)
(3−[2(R)−{アミノプロピルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0087】
【化14】

(工程3A:2−クロロ−3−メトキシベンズアルデヒド 3aの調製)
HOAc(40mL)中の3−ヒドロキシベンズアルデヒド(20.12g、160mmol)の懸濁液に、攪拌しながら、tBuOCl(20mL、176mmol)を注意深く添加した。その反応物は、透明な溶液になり、そして激しく発熱した。その反応物をを冷却させて、そして16時間攪拌し、白色沈殿が生じた。その固体を濾過し、HOで洗浄し、そして乾燥して2−クロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(13.77g、55%)を得た。GCMS(EI)m/z 156、158(M)。
【0088】
DMF(30mL)中の2−クロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(4.55g、29mmol)の溶液に、KCO(4.8g、34.9mmol)を添加し、その後MeI(2.7mL、43.6mmol)を添加し、そしてその混合物を室温で16時間攪拌した。真空中での濃縮後、その残渣を酢酸エチル中にとり、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。酢酸エチル/ヘキサン 1/5を用いた、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製により、2−クロロ−3−メトキシベンズアルデヒド 3a(4.68g、94%)を無色油状物質として得、この油状物質は、そのまま固化した。GCMS(EI)m/z 170、172(M)。
【0089】
(工程3B:2−クロロ−1−メトキシ−3−[2−(メチルスルファニル)−2−(メチルスルフィニル)ビニル]ベンゼン 3bの調製)
THF(25mL)中の2−クロロ−3−メトキシベンズアルデヒド 3a(4.65g、27.3mmol)およびメチル(メチルチオ)メチルスルホキシド(4.3mL、43.9mmol)の溶液に、Triton Bの40%メタノール溶液(6.2mL、13.6mmol)を添加し、そして得られた溶液を16時間還流した。THFを除去した後、その残渣を酢酸エチル中にとり、1N HCl、HOおよびブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。ジクロロメタンを用いた、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製により、2−クロロ−1−メトキシ−3−[2−(メチルスルファニル)−2−(メチルスルフィニル)ビニル]ベンゼン 3b(3.61g、48%)を黄色油状物質として得た。GCMS(EI)m/z 225(M−Cl−16)、210(M−Cl−OMe)。
【0090】
(工程3C:エチル(2−クロロ−3−メトキシフェニル)アセテート 3cの調製)
エタノール(20mL)中の2−クロロ−1−メトキシ−3−[2−(メチルスルファニル)−2−(メチルスルフィニル)ビニル]ベンゼン 3b(3.58g、12.9mmol)の溶液に、5MのHClのエタノール溶液(5.2mL)を添加し、そして得られた溶液を3時間還流した。エバポレーション後、その残渣を、ジクロロメタンを用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、エチル(2−クロロ−3−メトキシフェニル)アセテート 3c(2.78g、94%)を黄色油状物質として得た。GCMS(EI)m/z 228、230(M)。
【0091】
(工程3D:エチル2−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート 3dの調製)
DMFDMA(16mL、120mmol)中のエチル(2−クロロ−3−メトキシフェニル)アセテート 3c(2.78g、12mmol)の溶液を、16時間還流した。エバポレーション後、その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 1/2〜1/1を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、まずエチル(2−クロロ−3−メトキシフェニル)アセテート 3c(1.8g、65%)を、次いでエチル(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート 3d(1.1g、32%;回収された出発物質に基づくと90%)を黄色シロップとして得た。MS(CI)m/z 280.0、286.0(MH)。
【0092】
(工程3E:5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3eの調製)
アセトニトリル(20mL)中のエチル2−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート 3d(1.7g、6mmol)、尿素(1.08g、18mmol)およびNaI(2.7g、18mmol)の混合物に、TMSCl(2.3mL、18mmol)を添加した。得られた混合物を16時間還流し、室温まで冷却し、そして1.0M NaOH(30mL)を添加した。得られた溶液を20時間攪拌し、そしてアセトニトリルを真空中で除去した。その水溶液をエーテルで洗浄し、氷浴において冷却し、そして1N HCl(30mL)で中和した。その沈殿を濾過し、さらなるHOで洗浄し、そして乾燥して、5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3e(1.24g、82%)を淡黄色固体として得た。MS(CI)m/z 253.1、255.1(MH)。
【0093】
(工程3F:5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3fの調製)
アセトニトリル(25mL)中の5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3e(2.2g、8.7mmol)の懸濁液に、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(4.3mL、17.4mmol)を添加し、そして得られた溶液を1.5時間還流した。その混合物を室温まで冷却し、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルベンジルブロミド(2.7g、10.5mmol)を添加し、そして還流を16時間、再び続けた。その反応を、MeOH(25mL)の添加によってクエンチし、そして2時間攪拌した。濃縮後、その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 1/1を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3f(3.3g、88%)を白色固体として得た。MS(CI)m/z 429.0、431.0(MH)。
【0094】
(工程3G:3−[2(R)−(tert−ブトキシカルボキシルアミノ)−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3gの調製)
DMF(2mL)中の5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
3f(75mg、0.175mmol)、KCO(72mg、0.525mmol)およびN−(t−ブチルオキシカルボニル)−D−α−フェニルグリシノールメシレート(0.11g、0.35mmol)の混合物を、16時間、75℃で加熱した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 2/3を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物3g(82mg、72%)を白色固体として得た。MS(CI)m/z 548.0、550.0(MH−Boc)。
【0095】
(工程3H:3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3hの調製)
化合物3g(2.7g、4.2mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、TFA(14mL、175mmol)を添加し、そしてその混合物を室温で4.5時間攪拌した。濃縮後、その残渣をDCM中にとり、そして飽和NaHCO水溶液を添加した。その水層を、DCMで抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥し、濃縮して化合物3h(2.2g、96%)を得た。MS(CI)m/z 548.0、550.0(MH)。
【0096】
3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3h.1を、上に提供される手順を用いて、適切な出発物質で置換することによって調製した。
【0097】
(工程3I:3−[2(R)−{フタルイミドプロピルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3iの調製)
DMF(2mL)中の化合物3h(30mg、0.055mmol)、KCO(23mg、0.165mmol)およびN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(30mg、0.11mmol)の混合物を、16時間、75℃に加熱した。その反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン 1/1で溶出する分取TLCプレートで精製して、化合物3−i(20mg、50%)を得た。MS(CI)m/z 735.1、737.1(MH)。
【0098】
(工程3J:3−[2(R)−{アミノプロピルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 3−1の調製)
エタノール(3mL)中の化合物3i(20mg、0.027mmol)およびヒドラジン一水和物(26μL、0.54mmol)を、2時間還流した。濃縮後、その残渣をDCM中にとり、そして10%NaOH水溶液で洗浄した。その有機層を、NaSOで乾燥し、濃縮し、そして分取LCMSで精製して、化合物3−1を得た。MS(CI)m/z 605.1、607.1(MH)、t=1.500(方法1)。
【0099】
(実施例4)
(3−[2(R)−{アミノエチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0100】
【化15】

(工程4A:2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン 4aの調製)
60mLのTHF中の2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(45g、0.238mmol)に、1M BH:THFを60℃でゆっくりと添加し、その反応溶液を、一晩還流した。その反応混合物を、周囲温度まで冷却した。メタノール(420mL)をゆっくりと添加し、そしてよく攪拌した。次いで、その溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAcと水との間に分配した。その有機層をNaSOで乾燥した。エバポレーションにより、4aを黄色油状物質(46g、0.238mmol)として得た。MS(CI)m/z 194.0(MH)。
【0101】
(工程4B:N−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素 4bの調製)
フラスコ中の2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン 4a(51.5g、0.267mmol)に、尿素(64g、1.07mmol)、HCl(濃、30.9mmol、0.374mmol)および水(111mL)を添加した。その混合物を、6時間還流した。その混合物を周囲温度まで冷却し、さらに氷浴で冷却し、そして濾過して、黄色固体を得た。400mLのEtOAcを用いた再結晶により、4bを白色固体(46.2g、0.196mmol)を得た。MS(CI)m/z 237.0(MH)。
【0102】
(工程4C:1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4cの調製)
NaI(43.9g、293mmol)を、365mLのアセトニトリル中のN−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素 4b(46.2g、19.6mmol)に添加した。得られた混合物を、氷水浴中で冷却した。ジケテン(22.5mL、293mmol)を、滴下漏斗を介してゆっくりと添加し、その後、同じ様式でTMSCl(37.2mL、293mmol)を添加した。得られた黄色懸濁液を、室温までゆっくりと温め、そして20時間攪拌した。LC−MSは、出発物質の消失を示した。その黄色混合物に、525mLの水を添加し、そして一晩攪拌した。さらに20時間攪拌した後、その沈殿をブフナー漏斗を介して濾過し、そしてその黄色固体を、水およびEtOAcで洗浄して、4cを白色固体(48.5g、16mmol)として得た。H NMR(CDCl)δ2.152(s,3H)、5.365(s,2H)、5.593(s,1H)、7.226−7.560(m,3H)、9.015(s,1H);MS(CI)m/z 303.0(MH)。
【0103】
(工程4D:5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4dの調製)
臭素(16.5mL、0.32mmol)を、145mLの酢酸中の1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4c(48.5g、0.16mmol)に添加した。得られた混合物は、透明になり、次いで、1時間以内に沈殿を形成した。2時間の攪拌後、その黄色固体を濾過し、そして冷EtOAcで洗浄して、ほぼ白色の固体を得た。その濾液を飽和NaHCOで洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。エバポレーションによって黄色固体を得、この黄色固体を、EtOAcで洗浄して淡黄色固体を得た。その2つの固体を合わせて、全体で59.4gの4d(0.156mol)を得た。H NMR(CDCl)δ2.422(s,3H)、5.478(s,2H)、7.246−7.582(m,3H)、8.611(s,1H);MS(CI)m/z 380.9(MH)。
【0104】
5−ブロモ−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4d.1を、同じ手順を用いて作製した。
【0105】
(工程4E:5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4eの調製)
225mLのTHF中の5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4d(15g、39.4mmol)に、N−t−Boc−D−フェニルグリシノール(11.7g、49.2mmol)およびトリフェニルホスフィン(15.5g、59.1mmol)を添加し、その後、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(13.6g、59.1mmol)を添加した。得られた黄色溶液を、一晩攪拌した。その揮発物質をエバポレートし、そしてその残渣を、3:7 EtOAc/ヘキサンを用いたシリカゲルにより精製して、4eを白色固体(23.6g、39.4mmol)を得た。MS(CI)m/z 500.0(MH−Boc)。
【0106】
(工程4F:3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4fの調製)
圧力管中、30mL/90mLのHO/ジオキサン中の5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4e(15g、25mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(4.25g、25mmol)および炭酸ナトリウム(15.75g、150mmol)を添加した。N気体を、10分間にわたって吹き込んだ。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.9g、2.5mmol)を添加し、その管を密封し、そして得られた混合物を、90℃で一晩加熱した。周囲温度に冷却した後、その沈殿を、濾過によって除去した。その揮発物質をエバポレーションによって除去し、そしてその残渣を、EtOAc/飽和NaHCOの間で分配した。その有機溶媒をエバポレートし、そしてその残渣を、2:3 EtOAc/ヘキサンでクロマトグラフにかけ、13.4g(20.8mmol、83%)の黄色固体を得た。
【0107】
この黄色固体(6.9g、10.7mmol)を、20mL/20mL CHCl/TFA中に溶解した。得られた黄色溶液を、室温で2時間攪拌した。その揮発物質をエバポレートし、そしてその残渣を、EtOAc/飽和NaHCOの間で分配した。エバポレーションにより、4fを黄色油状物質(4.3g、7.9mmol、74%)として得た。H NMR(CDCl)δ2.031(s,3H)、3.724−4.586(m,6H)、5.32−5.609(m,2H)、6.736−7.558(m,11H);MS(CI)m/z 546.0(MH)。
【0108】
3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4f.1を、この実施例に記載される同じ手順を用いて、作製した。
【0109】
(工程4G:3−[2(R)−{(tert−ブトキシカルボニル)アミノエチル}アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
4gの調製)
ジクロロメタン(50mL)中の化合物4f.1(3.1g、6.2mmol)の溶液に、ジクロロメタン(10mL)中のtert−ブチルN−(2−オキソエチル)−カルバメート(0.98g、6.2mmol)の溶液を滴下した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.0g、9.2mmol)の添加前に、その反応混合物を、室温で30分間攪拌した。その反応混合物を、室温で一晩攪拌した。その反応混合物を、エチルエーテルと水との間に分配し、そしてその有機層を、飽和炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。その残渣を、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、4gを淡黄色半固体(2.3g、3.6mmol、59%)として得た。MS(CI)m/z 639.1(M+H)、t=2.342分(方法4)。H NMR(CDC1):1.40(s,9H)、2.16(s,3H)、2.40−2.60(m,2H)、3.04−3.08(m,2H)、3.90(s,3H)、3.99−4.16(m,2H)、4.25−4.36(m,1H)、4.94(brs,1H)、5.20−5.40(m,2H)、6.74−7.00(m,3H)、7.11(dd,1H)、7.21−7.35(m,7H)。
(工程4H:3−[2(R)−アミノエチルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2, 6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4−1の調製)
ジクロロメタン(10mL)中の化合物4g(1.0g、1.6mmol)の溶液に、トリフロオロ酢酸(TFA、5mL)を添加した。その反応混合物を、室温で4時間攪拌した。その反応混合物を、濃縮し、そして酢酸エチルと希釈したNaOH水溶液との間に分配した。その有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、4−1を褐色油状物質(0.75g、1.4mmol、89%)として得た。MS(CI)m/z=539.1(M+H)、t=1.969分(方法4)。H NMR(CDC1):δ2.16(brs,3H)、2.36−2.68(m,4H)、3.90(s,3H)、4.01−4.13(m,2H)、4.25−4.35(m,1H)、5.18−5.39(m,2H)、6.72−6.83(m,1H)、6.88−7.00(m,2H)、7.08−7.15(m,1H)、7.20−7.37(m,7H)。
【0110】
(実施例5)
(3−[2(R)−{2−プロピルアミノ−エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0111】
【化16】

(工程5A:3−[2(R)−2−プロピルアミノ−エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製)
3−[2(R)−{2−アミノ−エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 7−12(200mg、0.33mmol)を、メタノール(5mL)中に溶解し、そしてメタノール(3mL)中のプロピオンアルデヒド(29mg、0.5mmol)の溶液を、滴下した。15分間の攪拌後、ボラン−ピリジン(8M、42μL)を添加し、そしてその反応混合物を、一晩攪拌した。その反応混合物を濃縮し、そしてその残渣を、塩化メチレン/メタノールで溶出し、かつ徐々に、いくらかの水酸化アンモニウムで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。化合物5−1を単離した(50mg)。MS(CI)m/z
641.3(M+H)、t=2.149分(方法4)。
【0112】
(実施例6)
(3−[2−(R)−アミノプロピルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0113】
【化17】

(工程6A:3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 6aの調製)
ジクロロメタン(200mL)中の化合物4f.1 (28g、56mmol)の溶液に、ジクロロメタン(100mL)中のジ−tert−ブチルジカルボネート(12g、56mmol)の溶液を、添加用漏斗により滴下した。その反応混合物を室温で2時間攪拌し、そしてLC/MSは、出発物質が消費されたことを示した。その反応混合物を、真空で濃縮して、所望の生成物6aを淡黄色固体(33g)として得た。MS(CI)m/z 496.1(M+H−Boc)、t=3.052分(方法4)。
【0114】
(工程6B:3−2[(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルチオベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 6bの調製)
乾燥DMSO(100mL)中の化合物6a(33g、56mmol)の溶液に、窒素下でナトリウムチオメトキシド(4.0g、56mmol)を添加した。その反応混合物を、窒素下で1時間、100℃まで加熱した。別の0.28当量のナトリウムチオメトキシド(1.1g、16mmmol)を添加し、そしてその反応混合物を、窒素下で1時間、100℃まで加熱した。その反応混合物を冷却し、そしてエチルエーテルと水との間に分配した。その有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。その粗生成物を、ヘキサン中の50%酢酸エチルを用いて、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、化合物6bを淡黄色固体(27g、44mmol、78%)を得た。MS(CI) m/z
524.1(M+H−Boc)、t=3.134分(方法4)。H NMR(CDC1):δ1.38(s,9H)、2.07(s,3H)、2.51(s,3H)、3.90(s,3H)、4.07−4.13(m,1H)、4.29−4.39(m,1H)、5.30−5.53(m,2H)、5.79−5.85(m,1H)、6.80−6.91(m,2H)、6.70(dd,1H)、7.06−7.15(m,2H)、7.22−7.41(m,6H)。
【0115】
(工程6C:3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,34H)−ジオン 6cの調製)
無水ジクロロメタン(400mL)中の化合物6b(27g、44mmol)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(mCPBA、30g、180mmol)を添加した。その反応混合物を、室温で一晩攪拌した。その反応混合物を、ジクロロメタンと水との間に分配した。その有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。その粗生成物を、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物である化合物6cを、淡黄色固体(15g、24mmol、53%)として得た。MS(CI)m/z 556.0(M+H−Boc)、t=2.941分.(方法4)。H NMR(CDCl):δ 1.38(s,9H)、2.27(brs,3H)、3.48(s,3H)、3.92(s,3H)、4.01−4.15(m,1H)、4.24−4.40(m,1H),4.95−5.05(m,1H)、5.58−5.68(m,2H)、6.85−6.91(dd,1H)、7.02(dd,1H)、7.14(d,J=7.6Hz,1H)、7.19−7.55(m,7H)、7.97(d,J=7.6Hz,1H)。
【0116】
(工程6D:3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−l−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 6dの調製)
無水ジクロロメタン(60mL)中の化合物6c(10g、15mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、16mL)を添加した。その反応混合物を、室温で4時間攪拌した。その反応混合物を濃縮し、そして酢酸エチルと希釈したNaOH水溶液との間に分配した。その有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、化合物6dを褐色固体(8.0g、14mmol、94%)として得た。MS(CI)m/z 556.2(M+H)、t=2.354分(方法4)。H NMR(CDCl):δ2.25(s,3H)、3.42(s,1.5H)、3.43(s,1.5H)、3.91(s,1.5H)、3.92(s,1.5H)、3.98−4.22(m、2H)、4.33−4.38(m,1H)、5.60(brs,2H)、6.80−6.89(m,1H)、6.97−7.03(m,1H)、7.11−7.17(m,1H)、7.22−7.37(m,6H)、7.46−7.54(m,1H)、7.95(dd,1H)。
【0117】
(工程6E:3−[2(R)−{フタルイミドプロピルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 6eの調製)
無水DMF(8mL)中の化合物6d(4.0g、7.2mmol)の溶液に、 炭酸ナトリウム(0.76g、7.2mmmol)およびN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(2.4g、9.0mmmol)を添加した。その反応混合物を、窒素下で4時間、80℃まで加熱した。その反応混合物を冷却し、そしてジクロロメタンと水との間に分配した。その有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。その残渣を、ジクロロメタン、ヘキサン中の50%酢酸エチル、次いで、酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、化合物6eを淡黄色固体(3.6g、4.9mmol、67%)として得た。MS(CI)m/z 743.1(M+H)、t=2.539分(方法4)。 H NMR(CDCl):δ1.62−1.70(m,2H)、2.26(s,1.5H)、 2.27(s,1.5H)、2.29−2.33(m,1H)、2.40−2.48(m,1H)、3.51(s,1.5H)、3.52(s,1.5H)、3.54−3.74(m,2H)、3.90(s,1.5H)、3.91(s,1.5H)、3.93−4.26(m,3H)、5.60(brs,2H)、6.80−6.89(m,1H)、6.99(dd,1H)、7.11−7.36(m,8H)、7.42−7.49(m,1H)、7.71−7.75(m,2H)、7.84−7.89(m,1H)、7.95(d,J=8.4Hz,1H)。
【0118】
(工程6F:3−[2(R)−アミノプロピルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−l−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 6−1の調製)
乾燥エタノール(20mL)中の化合物6e(2.5g、3.4mmol)の溶液に、無水ヒドラジン(0.22g、6.8mmol)を添加した。その反応混合物を、窒素下で4時間、80℃まで加熱した。その反応混合物を冷却し、そしてその白色沈殿を濾別した。その濾液を濃縮し、そしてCHC1中の50%MeOH、次いでMeOH/CHC1/NHOH 15:150:1で溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、6−1を白色固体(1.7g、2.7mmol、79%)として得た。MS(CI)m/z 613.2(M+H)、t=2.359分(方法4)。H NMR(CDC1):δ1.45−1.53(m,2H)、2.24(s,1.5H)、2.25(s,1.5H)、2.38−2.48(m,2H)、2.68(t,2H)、3.42(s,1.5H)、3.43(s,1.5H)、3.92(s,3H)、3.95−4.06(m,2H)、4.12−4.19(m,1H)、5.55(brs,2H)、6.76−6.86(m,1H)、7.00(dd,1H)、7.11−7.36(m,7H)、7.47−7.54(m,1H)、7.95(d,J=7.8Hz,1H)。
【0119】
(工程6G:3−[2(R)−アミノプロピルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−l−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 6−l・HClの調製)
ジクロロメタン(10mL)中の化合物6−1(1.2g、2.0mmol)の溶液に、エーテル中の塩化水素 1N溶液(2.0mL、2.0mmol)を添加した。その反応混合物を室温で30分間攪拌し、そして濃縮して粘着性固体を得た。その粗生成物を、エーテルで1時間すりつぶした。その白色固体を濾過によって集め、そしてエーテルでリンスし、真空で乾燥した。生成物6−1・HCI(モノ−HCl塩)を、白色固体(1.1g、1.7mmol、84%)として得た。MS(CI)m/z 613.2(M+H)、t=2.383分(方法4)。
【0120】
以下の化合物を、上記手順に従って合成した。
【0121】
【化18】

(実施例7)
以下の化合物を、一般的に、適切な出発物質およびN−(2−ブロモメチル)フタルイミドから、実施例6の手順に従って(必要に応じて、その後、実施例5の手順に従って)合成した。
【0122】
【化19】

【0123】
【化20】

(実施例8)
(5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−3−{3−(1−ピペラジニル)−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(lH,3H)−ジオン)
【0124】
【化21】

(工程8A:5−ブロモ−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−3−{3−アセトキシ−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8aの調製)
THF(50mL)中の酢酸3−ヒドロキシ−2−(R)−フェニルプロピルエステル(1.87g、9.64mmol)の溶液を、周囲温度にて5−ブロモ−1−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メチルウラシル 4d.1(3.19g、9.64mmol)およびトリフェニルホスフィン(3.16g、12.1mmol)で処理し、次いで、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(2.77g、12.1mmol)を導入した。 その反応混合物を、周囲温度で16時間攪拌し、そして揮発物質をエバポレートした。その残渣を、飽和NaHCO/HOとEtOAcとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、33%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、化合物8a(4.54g、93%)を得た。MS(CI)m/z 508.1および509.0(MH)。
【0125】
(工程8B:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−3−{3−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(lH,3H)−ジオン 8bの調製)
ジオキサン/水(100/50mL)中の化合物8a(4.05g、8mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(2.04g、12mmol)およびNaCO(5.08g、48mmol)を添加した。その反応混合物をNで10分間脱酸素し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(924mg、0.8mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、Nの保護下で一晩、100℃で加熱した。その反応混合物を、ブラインとEtOAcとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、化合物8b(2.73g、66.9%)を得た。MS(CI)m/z 511.1(MH)。
【0126】
(工程8B.1:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−3−{3−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8bの代替的調製)
ジクロロメタン(50mL)中のL−ヒヨスチアミン塩酸塩(7.5g、23mmol)に、p−トルエンスルホン酸ピリジウム(578mg、2.3mmol)を添加し、その後、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(2.3mL、1.1当量)をゆっくりと添加した。その混合物を、室温で一晩攪拌した。その混合物を氷浴で冷却し、飽和NaHCO(40mL)を添加し、その後、40mLのジクロロメタンを添加した。その有機層を分離し、そしてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、次いで濃縮してシロップ[MS(CI)m/z 374.0(MH);t=2.086(方法4)]を得た。このシロップをTHF(20mL)中に溶解し、次いで、水素化リチウムアルミニウム(1.75g、2.0当量)を含有したTHFの氷浴冷却溶液(50mL)に滴下し、その反応温度を10℃より下に維持した。添加が完了すると、その反応を室温で4時間攪拌し、0℃〜5℃に冷却し、そして、泡が生じなくなるまで、8N NaOH水溶液を添加した。室温で1時間攪拌した後、その混合物を、約100gのNaSOのパッドを介して濾過した。THFをエバポレーションによって除去し、そして得られた油状物質を酢酸エチル(150mL)中に再溶解し、1N HCl(30mL×2)、NaHCO溶液(30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そしてエバポレーションして、4.2gのTHP保護アルコールを油状物質として得た。t=2.354(方法4)。
【0127】
THF中のそのTHP保護アルコール(0.945g、4mmol)に、4d.1(1.311g、1.0当量)を添加し、その後、PhP(1.311g、1.25当量)およびジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(1.15g、1.25当量)を添加した。その混合物を、室温で一晩攪拌した。次いで、その混合物を濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、5−ブロモ−l−[2,6−ジフルオロベンジル]−3−{3−(2−テトラヒドロ−2H−ピラニルオキシ)−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン[MS(CI)m/z 464.9および466.9(MH−THP);t=2.782(方法4)]を得た。5−ブロモ−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−3−{3−(2−テトラヒドロ−2H−ピラニルオキシ)−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(110mg)を、室温で1時間、1N HCl(10mL)/MeOH(10mL)で処理した。その反応混合物を濃縮し、そして分取TLCプレートによって精製して、5−ブロモ−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−3−{3−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンを得た。MS(CI)、m/z 464.9および466.9(MH);t=2.613(方法4)。工程8Bの手順による2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸とのSuzukiカップリングにより、化合物8bを得た。
【0128】
(工程8C:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルチオベンジル]−3−{3−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8cの調製)
DMF(2mL)中の8b(2.55g、5mmol)の溶液に、NaSMe(420mg、6mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、一晩、105℃で加熱した。揮発物質をエバポレートし、そしてその残渣を、ブラインとEtOAcとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、そしてエバポレートして、8c(2.58g、96%)を得た。MS(CI)m/z 539.50(MH)。
【0129】
(工程8D:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−3−{3−ヒドロキシ−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8dの調製)
オキソン(4.61g、7.5mmol)を、水(20mL)中に溶解し、そして飽和NaHCO/HOを、その混合物が塩基性になるまで添加した。アセトン(20mL)中の8c(1.35g、2.5mmol)の溶液を添加し、そしてその反応混合物を、室温で3時間攪拌した。その反応混合物を濾過し、そしてその濾液をエバポレートして、8d(1.31g、92%)を得た。MS(CI)m/z 571.30(MH)。
【0130】
(工程8E:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−l−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−3−{2(R)−フェニルプロピル−3−オン}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8eの調製)
ジクロロメタン(20mL)中の8d(1.14g、2mmol)の溶液に、Dess−Martinペルヨージナン(933mg、2.2mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、室温で2時間攪拌した。その反応混合物を濾過し、そしてその濾液を、飽和NaHCO/HOとジクロロメタンとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートして、8e(1.12g、98.6%)を得た。MS(CI)m/z 569.5(MH)。
【0131】
(工程8F:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−3−{3−(1−ピペラジニル)−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8−1の調製)
ジクロロメタン(10mL)中の8e(568mg、1mmol)の溶液に、1−Boc−ピペラジン(392mg、2mmol)を添加し、次いで、NaBH(OAc)(636mg、3mmol)を添加した。その反応混合物を室温で2時間攪拌した。その反応混合物を、飽和NaHCO/HOとDCMとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、そしてエバポレートした。この粗中間体を、室温で1時間、1:1
TFA/DCM(15mL)で処理した。その反応混合物をエバポレートし、次いで、逆相HPLC(C−18カラム、15%−75% ACN/水)によって精製して、化合物8−1(542mg、85%)を得た。MS(CI)m/z 639.1(MH)、t=4.960分(方法2)。
【0132】
(工程8G:5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−3−{3−(1−ピペラジニル)−2(R)−フェニルプロピル}−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 8−1の代替的調製)
無水アセトニトリル(5mL)中の8d(280mg、0.50mmol)に、トリエチルアミン(76mg、0.75mmol)を添加し、その後、塩化メタンスルホニル(85mg、58μL、0.75mmol)を添加した。その反応混合物を、10分間攪拌した。無水アセトニトリル(5mL)およびトリエチルアミン(76mg、0.75mmol)を添加し、その後、ピペラジン(430mg、5.0mmol)を添加した。その反応混合物を、30分間還流し、そしてHPLCにより、出発物質が残存していることが示された。ピペラジン(420mg、5.0mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、一晩還流した。その反応混合物を濃縮し、次いで、EtOAcとブラインとの間に分配した。そのEtOAc層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、そして、まず5% MeOH−CHClで溶出し、次いで15:150:1 MeOH/CHCl/NHOHで溶出するシリカゲル(10mL)で精製した。同じフラクションを集め、そしてエバポレートして、8−1を無色油状物質(190mg、0.3mmol、60%)として得た。H NMR(CDCl):δ2.20(s,1.5H)、2.22(s,1.5H)、2.20−2.30(m,2H)、2.41−2.60(m,2H)、2.69−2.76(m,1H)、2.76−2.90(m,4H)、3.41(s,1.5H)、3.44(s,1.5H)、3.48−3.60(m,2H)、3.91(s,1.5H)、3.92(s,1.5H)、4.09−4.16(m,1H)、4.24−4.31(m,1H)、5.20−5.50(m,2H)、6.80−6.73(m,0.5H)、6.78−6.83(m,0.5H)、6.99(dd,1H)、7.09−7.20(m,6H)、7.26−7.33(m,1H)、7.46−7.53(m,1H)、7.91−7.96(m,1H)。
【0133】
以下の化合物を、上記手順に従って合成した。
【0134】
【化22】

【0135】
【化23】

(実施例9)
(3−[2(R)−{(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0136】
【化24】

(工程9A:3−[2(R)−{(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
無水メタノール(5mL)中の化合物4f(0.42g、0.72mmol)の混合物に、塩化2−ジメチルアミノエチル塩酸塩(0.21g、1.44mmol)、炭酸水素ナトリウム(0.30g、3.6mmol)およびヨウ化ナトリウム(0.llg、0.72mol)を添加した。その反応混合物を、70℃で一晩、密封した反応管中で加熱した。その反応混合物を冷却し、濾過し、そして分取LCによって精製した。純粋な生成物を有するフラクションを、2日間、Speed−vacで乾燥し、D.I.水で溶解し、合わせ、そして凍結乾燥して、9−1を、ジ−TFA塩(0.049g、0.058mmol、8.1%)として得た。
【0137】
以下の化合物を、上記手順に従って合成した。
【0138】
【化25】

(実施例10)
(3−[2(R)−{(2−メチルアミノ)エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0139】
【化26】

(工程10A:3−[2(R)−{(2−メチルアミノ)エチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
N−(Tert−ブトキシカルボニル)−N−メチルエタノールアミン(26mg、0.15mmol)を塩化メチレン(3mL)中に溶解し、そしてDess−Martinペルヨージナン(42mg、0.1mmol)を添加した。30分後、化合物4f(55mg、0.1mmol)を添加した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(212mg、1mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、室温で1時間攪拌した。その反応混合物を濃縮し、そしてその残渣を、メタノール(2mL)中に溶解して、そしてLCMSにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、そして濃縮して、油状物質を得、この油状物質を塩化メチレン/トリフロオロ酢酸(2mL、1:1)中に溶解した。3時間後、その溶媒を除去して、10−1(15mg)をジ−トリフロオロ酢酸塩として得た。MS(CI)m/z 603.2(MH)。
【0140】
以下の化合物を、上記手順に従って合成した。
【0141】
【化27】

(実施例11)
(3−[2(R)−アミノ−2−シクロヘキシルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0142】
【化28】

(工程11A:tert−ブチル 1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシエチルカルバメート 11aの調製)
無水THF(10mL)中のN−(t−ブチルオキシカルボニル)シクロヘキシルグリシン(2.0g、7.77mmol)の溶液を0℃まで冷却した。ボラン溶液(THF中1M、15.5mL、15.5mmol)をゆっくりと添加し、そしてその反応混合物を室温まで温め、そして2時間攪拌した。その反応をMeOH(5mL)でクエンチし、揮発物質をエバポレートし、そしてその残渣を、水とEtOAcとの間に分配した。その有機層を、飽和NaHCO/水、ブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そしてエバポレートして、tert−ブチル 1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシエチルカルバメート 11a(1.26g、66.7%)を得た。MS(CI)m/z 144.2(MH−Boc)。
【0143】
(工程11B:5−ブロモ−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−シクロヘキシルエチル]−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 11bの調製)
THF(10mL)中のtert−ブチル 1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシエチルカルバメート 11a(638mg、2.62mmol)の溶液を、周囲温度で5−ブロモ−1−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 4d.1(869mg、2.62mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.03g、3.93mmol)と処理し、次いで、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(906mg、3.93mmol)を導入した。その反応混合物を、周囲温度で16時間攪拌し、そして揮発物質をエバポレートした。その残渣を、飽和NaHCO/HOとEtOAcとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、25%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、化合物11b(1.39g、95.4%)を得た。MS(CI)m/z 456.1、458.1(MH−Boc)。
【0144】
(工程11C:3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−シクロヘキシルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−l−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン llcの調製)
ベンゼン/EtOH/エチレングリコールジメチルエーテル(20/2/22mL)中の5−ブロモ−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−シクロヘキシルエチル]−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 11b(1.0g、1.79mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(382mg、2.24mmol)および飽和Ba(OH)/水(約0.5M、15mL)を添加した。その反応混合物をNで10分間脱酸素し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(208mg、0.18mmol)を添加し、そしてその反応混合物を、N下で一晩、80℃に加熱した。その反応混合物を、ブラインとEtOAcとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、30%EtOAc/ヘキサン)により精製して、化合物11c(348mg、32.3%)を得た。MS(CI)m/z 502.2(MH−Boc)。
【0145】
(工程11D:3−[2(R)−アミノ−2−シクロヘキシルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 11dの調製)
ジクロロメタン(2mL)中の化合物11c(300mg、0.5mmol)に、TFA(2mL)を添加し、そしてその反応混合物を、周囲温度で1時間攪拌した。揮発物質をエバポレートし、そしてその残渣を、飽和NaHCO/水とEtOAcとの間に分配した。その有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、逆相HPLC(C−18カラム、15%−75%ACN/水)によって精製して、化合物11dを得た。MS(CI)m/z 502.2(MH)。
【0146】
本発明の特定の実施形態は、例示の目的のために本明細書中で記載されており、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲による限定を除いては、限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組成物であって、以下の構造:
【化1】

を有する化合物またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
nは、0または1であり;
1a、R1bおよびR1cは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキルまたはアルコキシであるか、あるいはR1aおよびR1bは、一緒になって−OCHO−または−OCHCH−を形成し;
2aおよびR2bは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたは−SOCHであり;
は、水素またはメチルであり;
は、フェニルまたはC3〜7アルキルであり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり;
は、−NRであり;
およびRは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素または必要に応じて1個〜2個のヒドロキシもしくはアルコキシで置換されたC1〜4アルキルであるか;
あるいはRおよびRならびにそれらが結合する窒素原子は、複素環または置換複素環を形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、Rおよびそれが結合する窒素原子と一緒になってピペラジン、置換ピペラジン、ホモピペラジンまたは置換ホモピペラジンを形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、XのC1〜6アルカンジイルからの1個以上の炭素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し;そして
Xは、必要に応じて1個〜3個のC1〜4アルキル基で置換されたC1〜6アルカンジイルである、
化合物またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩、ならびに
薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤
を含有する、薬学的組成物。
【請求項2】
性腺刺激ホルモン放出ホルモンの拮抗を必要としている被験体において、性腺刺激ホルモン放出ホルモンに拮抗するための組成物であって、該組成物は、有効量の以下の構造:
【化1】

を有する化合物またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
nは、0または1であり;
1a、R1bおよびR1cは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキルまたはアルコキシであるか、あるいはR1aおよびR1bは、一緒になって−OCHO−または−OCHCH−を形成し;
2aおよびR2bは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたは−SOCHであり;
は、水素またはメチルであり;
は、フェニルまたはC3〜7アルキルであり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり;
は、−NRであり;
およびRは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素または必要に応じて1個〜2個のヒドロキシもしくはアルコキシで置換されたC1〜4アルキルであるか;
あるいはRおよびRならびにそれらが結合する窒素原子は、複素環または置換複素環を形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、Rおよびそれが結合する窒素原子と一緒になってピペラジン、置換ピペラジン、ホモピペラジンまたは置換ホモピペラジンを形成するか;
あるいはRおよびそれが結合する窒素原子は、XのC1〜6アルカンジイルからの1個以上の炭素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し;そして
Xは、必要に応じて1個〜3個のC1〜4アルキル基で置換されたC1〜6アルカンジイルである、組成物。
【請求項3】
性ホルモン関連状態の処置を必要としている被験体の性ホルモン関連状態を処置するための、請求項に記載の組成物であって、該組成物は、有効量で存在する、組成物。
【請求項4】
前記性ホルモン関連状態は、癌、良性前立腺肥大または子宮筋腫である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記癌は、前立腺癌、子宮癌、乳癌または下垂体前葉腺腫である、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記癌は、前立腺癌である、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記性ホルモン関連状態は、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣疾患、子宮類線維腫または性的早熟症である、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記性ホルモン関連状態は、子宮内膜症である、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記性ホルモン関連状態は、子宮類線維腫である、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
不妊症の処置を必要としている被験体の不妊症を処置するための、請求項に記載の組成物であって、該組成物は、有効量で存在する、組成物。
【請求項11】
エリテマトーデス、過敏性腸症候群、月経前症候群、多毛症、低身長または睡眠障害の処置を必要としている被験体のエリテマトーデス、過敏性腸症候群、月経前症候群、多毛症、低身長または睡眠障害を処置するための、請求項に記載の組成物であって、該組成物は、有効量で存在する、組成物。

【公開番号】特開2011−79857(P2011−79857A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274139(P2010−274139)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【分割の表示】特願2006−518837(P2006−518837)の分割
【原出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(398005054)ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】