説明

恋愛度診断装置、恋愛度診断システム及びコンピュータプログラム

【課題】脳波を利用して、被験者の恋愛度を診断する。
【解決手段】恋愛度診断装置20の中央処理部24は、θ波及びα波に基づいて特定される被験者のリラックス度合いf1と、β波及びγ波に基づいて特定される被験者の集中度合いf2とに基づいて評価値Eを算出し、この評価値Eに基づいて恋愛度を診断している。恋愛感情と相関があるリラックス度合いf1及び集中度合いf2という2つのパラメーターに着目し、これらを利用することで被験者の恋愛感情を定量的に評価することができる。これにより、被験者の恋愛度を適切に診断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、恋愛度診断装置、恋愛度診断システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳神経細胞の電気的活動は、人間の精神的状態又は生理的状態と相関を有すると考えられており、これを電位変位として捉えた脳波を利用して、被験者の精神的状態や生理的状態を診断する装置が知られている。例えば特許文献1には、脳波解析装置が開示されている。この脳波解析装置によれば、脳波から濾波された2種類以上の所定の周波数帯域の波において、それぞれ平均パワー値を算出し、かつ所定の2種類の組み合わせ毎に平均パワー値の比を算出する。これにより、相互に関連している周波数帯域から得られる生体情報を複合して捉えることとなり、人間の高度な精神状態を評価することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、恋愛度、すなわち人間が他人に対して抱く恋愛感情の程度は内心の領域にとどまるものであるから、これを客観的に判断することは難しい。また、脳波に人間の精神的状態や生理的状態が現れるとしても、恋愛度に結びつく脳波の利用方法は十分に検討されてないのが現状である。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脳波を利用して、被験者の恋愛度を診断することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、被験者の脳波に含まれるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報が入力される入力部と、α波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに基づいて、恋愛対象者に対する被験者の恋愛度を診断する診断部と、を有することを特徴とする恋愛度診断装置を提供する。
【0007】
ここで、第1の発明において、診断部は、θ波及びα波の少なくとも一方に基づいて特定される、被験者の精神的なリラックスの程度を定量的に示す値である被験者のリラックス度合いと、β波及びγ波の少なくとも一方に基づいて特定される、被験者の精神的な集中の程度を定量的に示す値である被験者の集中度合いとに基づいて評価値を算出し、当該評価値に基づいて恋愛度を診断することが好ましい。
【0008】
また、第1の発明において、診断部は、リラックス度合いに対応する第1の重み係数と、集中度合いに対応する第2の重み係数とに基づいて重み付けを行った上で、両者の和として評価値を算出することが好ましい。この場合、第1の重み係数は、評価値においてリラックス度合いが集中度合いと比べて支配的となるように、第2の重み係数との相対的な関係で値が設定されていることが望ましい。
【0009】
また、第1の発明は、ユーザーにより操作可能な操作部を備えることが好ましい。この場合、診断部は、操作部により指定される値に応じて、第1の重み係数及び第2の重み係数を変更することが望ましい。
【0010】
また、第2の発明は、被験者の頭部に装着可能に構成されており、被験者から脳波を測定し、その脳波に含まれるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報を検出する脳波センサーと、第1の発明に記載の恋愛度診断装置と、を有することを特徴とする恋愛度診断システムを提供する。
【0011】
また、第3の発明は、被験者の脳波から特定されるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報を取得する第1のステップと、α波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに基づいて、恋愛対象者に対する被験者の恋愛度合いを診断する第2のステップと、を有する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、脳波に含まれる特定の周波数を利用することで被験者の恋愛感情と相関を有する因子を定量的に評価することができるので、被験者の恋愛度を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】恋愛度診断システムの構成を示すブロック図
【図2】中央処理部によって実行される恋愛度診断の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本実施形態にかかる恋愛度診断システム1の構成を示すブロック図である。この恋愛度診断システム1は、被験者の脳波に基づいて恋愛度を診断するものあり、脳波センサー10と、恋愛度診断装置20とで構成されている。このシステムは、被験者の脳波に着目し、これから恋愛対象者に対する被験者の恋愛度を診断するものであり、好ましくは恋愛対象者を目視した状態での脳波を利用するものとする。ここで、恋愛対象者とは、被験者がすでにその者に対して恋愛感情を抱いているか否かを問題とせず、また、性別等を問わず、恋愛度の診断の対象となる他人を広く含むものであり、さらには、自己愛(ナルシスト(narcissist))といったように被験者自身を含んでもよい。
【0015】
脳波センサー10は、検出部11と、演算部12とを主体に構成されている。検出部11は、一対の電極11a,11bを備えており、個々の電極11a,11bは、演算部12と電気的に接続されている。一対の電極11a,11bは、被験者の頭部に装着されことにより、被験者の頭部から発せられる電気的信号を検出し、これを演算部12へと出力する。
【0016】
検出部11は、少なくとも一つの電極を備えていればよいが、複数の電極を備えることで、脳波の検出精度の向上を図ることができる。本実施形態のように、検出部11を一対の電極11a,11bで構成した場合、一方の電極11aは、例えばヘアバンド等を介して額に装着され、他方の電極11bは、例えばクリップ等を介して耳たぶに装着される。脳波は微弱な信号であるため、検出された電気的信号には、動きや瞬きに伴う筋電図や商用周波数のノイズが混在している。額を通じて検出される信号には生体反応が多く出るが、耳たぶを通じて検出される信号には脳波成分が含まれ難いという傾向がある。そのため、電極11a,11bをつけた額と耳たぶとの間の電位差を測ることにより、ノイズをキャンセルすることができるので、後述する演算部12により、精度よく脳波を測定することが可能となる。
【0017】
演算部12は、検出部11からの電気信号にA/D変換を施して得られるデジタル信号を所定の周期で読み込み、時系列のデジタル信号として脳波を計測する。演算部12としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0018】
演算部12は、脳波が適切に測定可能であることを判断すると、所定のサンプリング期間(例えば15秒)にわたり脳波を計測する。また、演算部12は、測定した脳波に基づいて、θ波、α波、β波、γ波を抽出する。ここで、θ波、α波、β波、γ波は、脳波に含まれる所定の周波数の波を示すものであり、θ波は4〜7Hzの周波数、α波は8〜12Hzの周波数、β波は13〜30Hzの周波数、γ波は30〜100hzの周波数に対応する。
【0019】
演算部12は、例えば、時間情報を周波数情報に変換するフーリエ変換(高速フーリエ変換等)を用いて各周波数に対応する脳波を抽出する。ここで、θ波は、人間の精神的状態又は生理的状態のうち、眠気や深い瞑想状態などに対応して現れ、α波は、目を閉じている状態や、リラックス状態などに対応して現れる傾向にある。すなわち、θ波又はα波に着目することにより、人間のリラックス状態を定量的に評価することができる。また、β波は、目覚めている状態や集中している状態などに対応して現れ、γ波は、高いレベルで集中している状態などに対応して現れる傾向にある。すなわち、β波又はγ波に着目することにより、人間の精神的な集中状態を定量的に評価することができる。
【0020】
つぎに、演算部12は、抽出された各波に基づいて、リラックス度合いf1及び集中度合いf2を算出する。なお、以下に示すリラックス度合いf1及び集中度合いf2の算出方法は、その一例を示すものであり、被験者の精神的なリラックス又は集中の程度を定量的に示す値として算出される限り、その方法はいかなる手法をも利用することができる。
【0021】
リラックス度合いf1は、被験者の精神的なリラックスの程度を定量的に示す値(例えば0〜100までのパーセント表示)であり、この値が高い程、精神活動が低く、くつろいだ状態であることを示し、逆に、この値が低い程、精神活動が高いことを示す。このリラックス度合いf1は、抽出された各波のうち、被験者のリラックス状態と相関を有するθ波又はα波に基づいて算出される。
【0022】
具体的には、演算部12は、サンプリング期間の初期期間(例えば0秒〜4秒)に計測したα波の周波数の平均値(以下「基準平均値」という)を算出し、この平均値をリラックス度合いf1=50%として定義する。また、演算部12は、サンプリング期間の残余期間(4秒〜15秒)において、脳波の計測毎にα波の周波数の平均値を更新し、更新された平均値と基準平均値との比較において、リラックス度合いf1を0%から100%までの任意の値として算出する。
【0023】
なお、リラックス度合いf1は、α波に代えて、被験者のリラックス状態と相関を有するθ波を利用して算出してもよい。また、リラックス度合いf1は、α波及びθ波のそれぞれに基づいて算出し、個々の値の平均値によってもとめてもよいし、一方の値を主たる値として他方の値によって補正・調整してもとめてもよい。
【0024】
一方、集中度合いf2は、被験者の精神的な集中の程度を定量的に示す値であり、この値が高い程、精神的に集中していることを示し、逆に、この値が低い程、精神的に集中していないことを示す。この集中度合いf2は、被験者の集中状態と相関を有するβ波又はγ波に基づいて算出される。
【0025】
具体的には、演算部12は、サンプリング期間の初期期間(例えば0秒〜4秒)に計測したβ波の周波数の平均値(以下「基準平均値」という)を算出し、この平均値を集中度合いf2=50%として定義する。また、演算部12は、サンプリング期間の残余期間(4秒〜15秒)において、脳波の計測毎にβ波の周波数の平均値を更新し、更新された平均値と基準平均値との比較において、集中度合いf2を0%から100%までの任意の値として算出する。
【0026】
なお、集中度合いf2は、β波に代えて、被験者の集中状態と相関を有するγ波を利用して算出してもよい。また、集中度合いf2は、β波及びγ波のそれぞれに基づいて算出し、個々の値の平均値によってもとめてもよいし、一方の値を主たる値として他方の値によって補正・調整してもとめてもよい。
【0027】
算出されたリラックス度合いf1及び集中度合いf2は、恋愛度診断装置20に出力される。なお、演算部12は、前述のように、サンプリング期間にわたって脳波の計測を行っている間は、その状態を示す信号(以下「測定状態信号」という)を恋愛度診断装置20に出力することで、これにより、脳波の計測期間を通知することができる。
【0028】
恋愛度診断装置20は、脳波センサー10から出力されたリラックス度合いf1及び集中度合いf2に基づいて、恋愛対象者に対する被験者の恋愛度を診断する。この恋愛度診断装置20としては、コンピュータ、スマートフォン、携帯電話、携帯情報端末といった各種の情報機器を用いることができる。
【0029】
この恋愛度診断装置20は、入力部21、メモリ22、操作表示部23及び中央処理部24を主体に構成されており、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。
【0030】
入力部21は、脳波センサー10との間で信号の送受信を行うためのインターフェースである。この入力部21により、被験者の脳波に含まれるα波、β波、θ波及びγ波に関する情報、具体的には、リラックス度合いf1及び集中度合いf2が取得される。なお、入力部21と、脳波センサー10との間の接続は、信号通信用のケーブルを用いる他にも、LAN等のネットワークを介して行ってもよい。
【0031】
メモリ22は、制御プログラム、装置の処理機能に関する情報などを格納したり、入力部21から読み込んだデータを一時的に記憶したりする。
【0032】
操作表示部23は、例えば、ディスプレイ上に種々の情報を表示したり、また、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行ったりすることが可能なタッチパネルを用いることができる。例えば、ユーザーは、操作表示部23上に表示された所定のアイコンや設定画面を操作することにより、恋愛度診断の開始を中央処理部24に指示したり、各種の設定を中央処理部24に指示したりすることができる。また、この操作表示部23は、中央処理部24に制御されることにより、恋愛度診断の診断結果を表示したりすることができる。
【0033】
中央処理部24は、メモリ22から読み出した制御プログラムに従い、恋愛度診断に関する種々の演算を行う。具体的には、中央処理部24は、リラックス度合いf1及び集中度合いf2に基づいて、被験者の恋愛感情を定量的に評価するための評価値Eを算出し、この評価値Eに基づいて恋愛度を診断する。
【0034】
本出願人が、1000人規模の被験者を対象として、被験者の自然状態における脳波と、種々の人物を目視した状態における脳波とをそれぞれ計測し、これらを分析した。かかる分析結果によると、目視した人物に対する好意的な恋愛感情が大きいほど、リラックス度合いf1及び集中度合いf2が大きな値を示す傾向があることが判明した。そこで、このような知得に基づき、中央処理部24は、評価値Eを下式に基づいて演算する。
【0035】
(数式1)
E=A・f1+B・f2
【0036】
ここで、Aは、リラックス度合いf1に対応する第1の重み係数であり、Bは、集中度合いf2に対応する第2の重み係数である。すなわち、この評価値Eは、基本的には、リラックス度合いf1と集中度合いf2と和に応じた値として求められ、その値が大きい程、好意的な恋愛感情が大きいことを意味する。また、本実施形態において、この評価値Eは、第1の重み係数Aと第2の重み係数Bとに基づいて、リラックス度合いf1と集中度合いf2とにそれぞれ重み付けを行った上で算出される。
【0037】
各重み係数A,Bは、「0」から「1」までの範囲における実数を任意に設定することができる。前述の検討について、本出願人が更に検証を進めたところ、リラックス度合いf1の方が集中度合いf2よりも、恋愛感情に対してより顕著な反応を示すことが判明した。そこで、このような知得に基づいて、個々の係数A,Bは、評価値Eにおいてリラックス度合いf1が集中度合いf2と比べて支配的となるように、両者の関係が設定されている。本実施形態では、第1の係数Aとしては「0.7」、第2の係数Bとしては「0.3」が設定されており、評価値Eは、0から100までの範囲の値をとり得る。
【0038】
ただし、リラックス度合いf1や集中度合いf2に応じた恋愛感情の評価は、前述の如く統計学的な観点から導かれるものであり、被験者に応じて若干の相違等も考えられる。そこで、中央処理部24は、恋愛度診断の実行に先立ち、操作表示部23に設定画面を表示し、ユーザーによって第1及び第2の重み係数A,Bを任意に設定させてもよい。また、被験者の自然状態における脳波と、種々の人物を目視した状態における脳波とを予め計測し、両者の比較に基づいて、中央処理部24が第1及び第2の重み係数A,Bを自動的に設定してもよい。
【0039】
中央処理部24は、評価値Eに基づいて恋愛度を決定する。恋愛度は、評価値Eをそのまま利用することもできるが、本実施形態では、評価値Eに応じて、「嫌い」、「興味なし」、「まあまあ」、「好き」及び「大好き」といった、ユーザーが感覚的に認識し得るワードとして恋愛度を診断する。例えば、評価値Eを0から100にかけて5つのグループに分け、評価値Eとして0から19を含むグループは「嫌い」に、評価値Eとして20から39を含むグループは「興味なし」に、評価値Eとして40から59を含むグループは「まあまあ」に、評価値Eとして60から79を含むグループは「好き」に、評価値Eとして80から100を含むグループは「大好き」にと関連付けておくといった如くである。そして、中央処理部24は、算出された評価値Eに該当するグループを特定し、特定されたグループに関連付けられたワードを恋愛度として決定する。
【0040】
図3は、中央処理部24によって実行される恋愛度診断の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、操作表示部23に表示されるアイコンをタップするといったように、ユーザーによる恋愛度診断の開始指示をトリガーとして実行される。なお、恋愛度診断の開始指示は、被験者の頭部に脳波センサー10を装着した状態を前提行われることとし、また、この開始指示後、或いは、開始指示に先立ち、被験者が恋愛対象者を目視していることが好ましい。
【0041】
まず、ステップ1(S1)において、中央処理部24は、測定状態信号が入力されたか否かを判断する。このステップ1において肯定判定された場合、すなわち、測定状態信号が入力された場合には、ステップ2に進む。一方、ステップ1において否定判定された場合、すなわち、測定状態信号が入力されない場合には、ステップ1の処理に戻る。なお、このステップ1において否定判定された回数が所定の上限値に到達した場合には、脳波センサー11が適切に装着されていない可能性があるので、本処理を終了することが望ましい。この際、中央処理部24は、脳波センサー10の再装着を促す旨のメッセージを操作表示部23に表示してもよい。
【0042】
ステップ2(S2)において、中央処理部24は、脳波測定中である旨のメッセージを操作表示部23に表示する。この表示は、後述するステップ3において肯定判定がなされるまで継続される。
【0043】
ステップ3(S3)において、中央処理部24は、入力部21を介して、測定データであるリラックス度合いf1及び集中度合いf2を取得したか否かを判断する。このステップ3において肯定判定された場合、すなわち、入力部21を介して測定データを取得した場合には、ステップ4に進む。一方、ステップ3において否定判定された場合、すなわち、入力部21に測定データが入力されない場合には、ステップ2の処理に戻る。なお、このステップ3において否定判定された回数が所定の上限値に到達した場合には、脳波の測定が適切に完了していない可能性があるので、本処理を終了すること望ましい。この際、中央処理部24は、脳波測定のやり直しを促すメッセージを操作表示部23に表示してもよい。
【0044】
ステップ4(S4)において、中央処理部24は、恋愛度を診断する。具体的には、リラックス度合いf1及び集中度合いf2に基づいて、評価値Eを算出する。評価値Eの算出手法は、前述の数式1を利用することができる。そして、中央処理部24は、算出された評価値Eに基づいて恋愛度を決定する。すなわち、中央処理部24は、「嫌い」、「興味なし」、「まあまあ」、「好き」及び「大好き」のなかから、評価値Eに関連付けられたワードを恋愛度として決定する。
【0045】
ステップ5(S5)において、中央処理部24は、診断された恋愛度を操作表示部23に表示し、その後、本処理を終了する。
【0046】
このように本実施形態において、恋愛度診断装置20の中央処理部24は、θ波又はα波に基づいて特定される被験者のリラックス度合いf1と、β波又はγ波に基づいて特定される被験者の集中度合いf2とに基づいて評価値Eを算出し、この評価値Eに基づいて恋愛度を診断している。
【0047】
かかる構成によれば、恋愛感情と相関がある脳波の特定の周波数の波、具体的には、リラックス度合いf1及び集中度合いf2という2つのパラメーターに着目し、これらを利用することで被験者の恋愛感情を定量的に評価することができる。これにより、被験者の恋愛度を適切に診断することができる。
【0048】
また、本実施形態において、中央処理部24は、リラックス度合いf1に対応する第1の重み係数Aと、集中度合いf2に対応する第2の重み係数Bとに基づいて重み付けを行った上で、評価値Eを算出している。この場合、第1の重み係数Aは、評価値Eにおいてリラックス度合いf1が集中度合いf2と比べて支配的となるように、第2の重み係数Bとの相対的な関係で値が設定されている。
【0049】
前述のように、リラックス度合いf1及び集中度合いf2の双方のパラメーターのうち、リラックス度合いf1の方が集中度合いf2よりも恋愛感情に対してより顕著な反応を示す傾向がある。そのため、評価値Eにおいてリラックス度合いf1が集中度合いf2と比べて支配的となるようにすることで、恋愛感情に起因する脳波成分が評価値Eに反映されやすくなる。これにより、被験者の恋愛度を適切に診断することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態において、中央処理部24は、操作表示部23により指定される値に応じて、第1及び第2の重み係数A,Bを変更することができる。かかる構成によれば、被験者の個性に応じて診断感度を変更することができるので、より多くのユーザーが本装置20を利用して恋愛度を精度よく診断することができ、商品訴求力の向上を図ることができる。
【0051】
なお、本実施形態では、評価値Eの算出をリラックス度合いf1及び集中度合いf2の双方に基づいて算出しているが、リラックス度合いf1又は集中度合いf2のみに基づいて評価値Eを算出してもよい。また、脳波センサーが備える演算機能は、恋愛度診断装置が実行してもよく、脳波センサーは単に脳波を検出したり、各周波数の波を抽出したりするのみであってもよい。すなわち、本実施形態の恋愛度診断装置20は、脳波に含まれるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報が入力され、このα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに基づいて、恋愛対象者に対する被験者の恋愛度を診断する、ことを本質とするものである。
【0052】
以上、本発明の実施形態にかかる恋愛度診断システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、恋愛度診断装置は、脳波センサーとセットで利用する必要はなく、ネットワークを介して送信される測定データ、又は、フラッシュメモリ等の可搬型の情報記録媒体に予め計測されて記憶された測定データを入力するようにしてもよい。また、診断に供する脳波の測定においては、被験者が恋愛対象者を直接的に目視することが好ましいが、写真や映像に映し出された恋愛対象者を間接的に目視した状態であったり、恋愛対象者を内心において想像するといった状態であったりしてもよい。また、恋愛度診断システムを構成する恋愛度診断装置、及び、前述の恋愛度診断方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムも、本発明の一部として機能する。
【符号の説明】
【0053】
1 恋愛度診断システム
10 脳波センサー
11 検出部
11a 電極
11b 電極
12 演算部
20 恋愛度診断装置
21 入力部
22 メモリ
23 操作表示部
24 中央処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脳波に含まれるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報が入力される入力部と、
前記α波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに基づいて、恋愛対象者に対する被験者の恋愛度を診断する診断部と、
を有することを特徴とする恋愛度診断装置。
【請求項2】
前記診断部は、前記θ波及びα波の少なくとも一方に基づいて特定される、被験者の精神的なリラックスの程度を定量的に示す値であるリラックス度合いと、前記β波及びγ波の少なくとも一方に基づいて特定される、被験者の精神的な集中の程度を定量的に示す値である集中度合いとに基づいて評価値を算出し、当該評価値に基づいて恋愛度を診断することを特徴とする請求項1に記載された恋愛度診断装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記リラックス度合いに対応する第1の重み係数と、前記集中度合いに対応する第2の重み係数とに基づいて重み付けを行った上で、両者の和として前記評価値を算出しており、
前記第1の重み係数は、前記評価値において前記リラックス度合いが前記集中度合いと比べて支配的となるように、前記第2の重み係数との相対的な関係で値が設定されていることを特徴とする請求項2に記載された恋愛度診断装置。
【請求項4】
ユーザーにより操作可能な操作部を備え、
前記診断部は、前記操作部により指定される値に応じて、前記第1の重み係数及び前記第2の重み係数を変更することを特徴とする請求項3に記載された恋愛度診断装置。
【請求項5】
被験者の頭部に装着可能に構成されており、被験者から脳波を測定し、その脳波に含まれるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報を検出する脳波センサーと、
請求項1から4のいずれかに記載の恋愛度診断装置と、
を有することを特徴とする恋愛度診断システム。
【請求項6】
被験者の脳波から特定されるα波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに関する情報を取得する第1のステップと、
前記α波、β波、θ波及びγ波の少なくとも一つに基づいて、恋愛対象者に対する被験者の恋愛度合いを診断する第2のステップと、
を有する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−94181(P2013−94181A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236633(P2011−236633)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(506036105)株式会社アーキテクト (1)
【Fターム(参考)】