説明

恒温恒湿空調機及び当該空調機の温度制御方法

【課題】 春や秋の中間季において冷凍機の稼働停止の繰返し運転を防止して一定の品質の空気を確実に供給することができるとともに、これに伴う冷凍機の故障を防止し、簡易かつ簡単な構造及び安価にて、製薬工程等の水分の使用を極力控えたい場合においても好適に利用できる恒温恒湿空調機及び当該空調機の温度制御方法を提供する。
【解決手段】 フィルタ2と、冷凍機8から供給される冷媒ガスにより空気を冷却する直接膨張コイル3と、空気を加熱する加熱コイル4と、空気を加湿する加湿器5と、空気の流れを作るファン6とを箱体7内に備えた空調機1において、前記箱体7内に潜熱蓄熱材を充填した潜熱蓄熱コイル22を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内に常時一定の温度及び湿度の空気を供給するための恒温恒湿空調機及び当該空調機の温度制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用空調分野の高品質空調システムでは、常時一定の温度及び湿度が要求される。特に、製薬、製菓の生産工程では、非常に高い空気質が要求される。空気質が品質確保のための規格に合わない場合、その製造履歴の製品は廃棄されるため、製品の歩留まりを低下させる一因になっている。
【0003】
図9は従来の空調機の概略図である。
図示したように、従来の空調機51は、フィルタ52と、直接膨張コイル53と、加熱コイル54と、加湿器55と、ファン56を箱体57に収容して形成される。外気は空調機51(箱体57)の入口側から矢印F方向に流入し、空調機51内を通って所望の温度及び湿度(露点)に調整され、ファン56により矢印G方向に室内へと流出する。
【0004】
フィルタ52は阻塵用フィルタと中性能フィルタを組み合わせたものや、これにHEPAフィルタ等の高性能フィルタを組み合わせて形成したものを用いる。また、図では空調機51の入口側にのみフィルタを設けた例を示したが、フィルタは、箱体57内の空気の流通経路に複数個設けてもよい。直接膨張コイル53は冷凍機58に接続され、冷媒ガスが循環する。冷媒ガスが循環する配管59には、圧力調整弁60と膨張弁61が備わる。加熱コイル54及び加湿器55は蒸気流通管63を介して蒸気供給源(図示省略)に接続される。加熱コイル54を通る蒸気流通管63の下流側には蒸気の漏洩を防ぐための蒸気トラップ62が備わる。
【0005】
ファン56から流出した空気の温度及び湿度を測るため、室内側に温度計64、湿度計65が備わる。温度計64及び湿度計65はそれぞれ温度センサ66、湿度センサ67に接続される。これらのセンサ66,67により、加熱コイル54及び加湿器55に供給される蒸気が電動弁68,69により制御される。直接膨張コイル53の下流側に備わる温度計70は、温度センサ71を介して冷凍機58に接続される。この温度センサ71により、冷凍機の運転が制御される。
【0006】
図10は空調機内の温度の状態変化を示すグラフ図である。
室外側における空気(外気)は、空調機51内に流入し、フィルタ52を通って直接膨張コイル53を通過する。このとき、空気は冷却除湿され(点Aから点C)、所定の温度及び湿度(露点)に達する。この後、空気は加熱コイル54を通過する。このとき、空気の温度が上昇する(点Cから点D)。この後、空気は加湿器55を通過する。このとき、空気は熱水分比一定の方向に蒸気加湿され(点Dから点E)、所望の温度及び湿度となり、ファン56により室内側へ供給される。このように、空調機51は、外気に対して冷却過程(点Aから点C)、加熱過程(点Cから点D)、加湿過程(点Dから点E)を施すことにより、常時恒温恒湿の空気を形成し、室内に供給するものである。すなわち、空調機51は点Aにある外気を点Eの所望の温度及び湿度(露点)に調整するものである。
【0007】
しかし、年間を通じて空調機を使用する場合、春や秋等の中間季においては、外気の露点が矢印H方向(図10参照)に移行する。すなわち、外気が所望の温度及び湿度(露点)Eに近づくため、空調負荷(外気負荷)が低下し、空調機の稼働及び停止を繰返す運転状態となる。
【0008】
図11は中間季における冷凍機の運転状態と、直接膨張コイル出口温度の関係を示すグラフ図である。
図示したように、中間季においては、冷凍機の稼働と停止運転を頻繁に繰返す。これにより、直接膨張コイルの出口側の温度も非常に不安定となり、許容露点が保障されない場合も生じ、空気湿度が薬品等の製造規格から外れてしまうおそれがある。すなわち、冷凍機の稼働停止繰返し運転に伴って、コイル出口温度の上昇及び下降が顕著になり、常に一定品質の空気を供給することが困難となる。また、このような運転状態を繰返すと、冷凍機の保護制御が頻繁に動作する等して冷凍機自体の寿命に重大な影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
図12は中間季における冷凍機の運転状態と、直接膨張コイル出口温度の関係の実測データを示すグラフ図である。
図示したように、実際に測定してみたところ、吸込空気温度はほぼ一定であるにもかかわらず、冷凍機の稼動停止運転に伴って、潜熱蓄熱コイルの出口空気温度の上昇及び下降が顕著になっている。
【0010】
一方、一定品質の空気を供給するため、上述した直接膨張コイルを使用した空調機の他に、種々のコイル方式を利用した空調機が用いられている。
【0011】
冷水冷却コイル方式の空調機は、冷水槽からの冷水をコイル内に流通させて空気を冷却するものである。しかし、この方式では、冷水を使用するため、製薬工程等、水分の使用を極力控えたい製造工程において使用することは困難である。また、冷水冷却コイル方式の場合、5℃〜7℃の比較的低温を要求する製薬工程等では用いることができない。また、冷水を冷却するための冷水チラーが必要となり、装置が大型化し、そのためのスペースが必要となり、初期投資費用も高い。
【0012】
ブライン冷却コイル方式の空調機は、ブラインをコイル内に流通させて空気を冷却するものである。この方式では比較的低温の空気を形成することができる。しかし、ブラインを冷却するためのブラインチラーを設ける必要があり、装置が大型化し、そのためのスペースが必要となり、初期投資費用も高い。
【0013】
デシカント除湿及び冷水コイル方式の空調機は、化学材を用いて空気の除湿を行い冷水コイルで空気を冷却するものである。この方式では、デシカント除湿のための設備が必要となり、装置が大型化となる。また、上述したように、冷水を使用するため、製薬工程等においては不向きである。さらに、コストが非常に高価である。
【0014】
また、クリーンルーム用空調機が特許文献1に記載されている。この空調機は、加熱コイルに供給される熱量のすべてを有効に利用し、効率の良い加湿を行うことができるものである。しかし、特許文献1に記載の空調機は、冷却水を用いて空気を冷却するものであり、水分の使用を極力控えたいような場合、すなわち製薬工程等では用いることが困難である。また、中間季における冷凍機の稼働停止の繰返し運転を防止することの記載も示唆もされていない。
【0015】
また、空気調和装置が特許文献2に記載されている。この空気調和装置は、安定した温湿度制御、冷凍機容量の削減及び省エネルギー化を可能としたものである。しかし、特許文献2に記載の空気調和装置においても、冷水を用いて空気を冷却するため、水分の使用を極力抑えたいような場合、すなわち製薬工程等では用いることが困難である。また、この空気調和装置は、冬季と夏季における冷凍機の負荷の低減をドライコイルからの冷水の返りを利用して図るものであるが、春や秋のいわゆる中間季における冷凍機の稼働停止の繰返し運転を防止することについては記載も示唆もされていない。
【0016】
【特許文献1】特開2002−54822号公報
【特許文献2】特開2005−207712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この発明は上記従来技術を考慮したものであって、春や秋の中間季において冷凍機の稼働停止の繰返し運転を防止して一定の品質の空気を確実に供給することができるとともに、これに伴う冷凍機の故障を防止し、簡易かつ簡単な構造及び安価にて、製薬工程等の水分の使用を極力控えたい場合においても好適に利用できる恒温恒湿空調機及び当該空調機の温度制御方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、フィルタと、冷凍機から供給される冷媒ガスにより空気を冷却する直接膨張コイルと、空気を加熱する加熱コイルと、空気を加湿する加湿器と、空気の流れを作るファンとを箱体内に備えた空調機において、前記箱体内に潜熱蓄熱材を充填した潜熱蓄熱コイルを備えたことを特徴とする恒温恒湿空調機を提供する。
【0019】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記潜熱蓄熱コイルは、上記潜熱蓄熱材を封入した1又は複数個の密封容器からなり、当該密封容器は側面が凹凸形状に形成されたことを特徴としている。
【0020】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記箱体内を通過する空気の流通経路に、上記潜熱蓄熱コイルで冷却された空気温度を測定するための温度センサを備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項4の発明では、請求項3に記載の恒温恒湿空調機を用いた当該空調機の温度制御方法であって、上記温度センサによって測定された空気温度が所定温度以上又は以下の場合、上記冷凍機を稼働又は停止することを特徴とする恒温恒湿空調機の温度制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、空調機内に潜熱蓄熱材を充填した潜熱蓄熱コイルを備えるため、簡易かつ簡単な構造及び安価にて、潜熱蓄熱コイルを通過する空気に対し、潜熱を利用した空気の冷却を行うことができる。これにより、冷凍機の稼働又は停止にかかわらず、空調機を通る空気は所定温度まで冷却される。したがって、春や秋の中間季において潜熱蓄熱コイルの出口側温度を安定化させることができ、供給空気の許容露点を保障することができ、空気湿度が薬品等の製造規格から外れることを防止できる。また、空調機内に流入した外気は、その温度を潜熱蓄熱コイルにより一定化されるため、過度の冷凍機の稼働及び停止運転を防止でき、冷凍機の故障を防止できる。さらに、冷凍機は冷媒ガス方式であるため、水分の使用を極力控えることが好ましい製薬工程等に対して特に好適に利用できる。すなわち、製薬工程等において潜熱蓄熱コイル方式を利用することにより、上述した冷水を用いた冷却コイル方式やブライン冷却コイル方式、デシカント除湿及び冷水コイル方式を利用することに比べて初期投資費用が安く、所望の低温を提供でき、水分の使用がないため、これを採用したものである。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、潜熱蓄熱コイルは、潜熱蓄熱材を封入した1又は複数個の密封容器からなり、当該密封容器は側面が凹凸形状に形成されるため、流通する空気との接触面積が広がり、効率的な空気の冷却を行うことができる。
【0024】
また、請求項3の発明によれば、箱体内を通過する空気の流通経路に、潜熱蓄熱コイルで冷却された空気温度を測定するための温度センサを備えたため、適切に冷凍機の制御を行うことができ、確実に一定品質の空気を供給することができる。
【0025】
また、請求項4の発明によれば、温度センサにより測定される空気温度が所定温度以上又は以下の場合、冷凍機を稼働又は停止して、冷凍機の運転を制御するため、確実に一定品質の空気を供給することができる。また、温度センサを流通経路に複数個備え、これらのすべての温度センサによって測定された空気温度が所定温度以上又は以下のときに、冷凍機の運転を制御することとすれば、冷凍機の運転時間を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明は、フィルタと、冷凍機から供給される冷媒ガスにより空気を冷却する直接膨張コイルと、空気を加熱する加熱コイルと、空気を加湿する加湿器と、ファンとを箱体内に備えた空調機において、前記箱体内に潜熱蓄熱材を充填した潜熱蓄熱コイルを備えた恒温恒湿空調機及びこれを用いた当該空調機の温度制御方法である。
【実施例1】
【0027】
図1はこの発明に係る空調機の概略図である。
図示したように、この発明に係る恒温恒湿空調機(以下、空調機)1は、フィルタ2と、直接膨張コイル3と、加熱コイル4と、加湿器5と、ファン6を箱体7に収容して形成される。外気は空調機1の入口側から矢印J方向に流入し、空調機1(箱体7)内を通って一定温度及び湿度に調整され、ファン6により矢印K方向に室内へと流出する。なお、フィルタ2、直接膨張コイル3、加熱コイル4、加湿器5、ファン6の構造、作用等及びその他の構成、作用、効果については図9、図10で説明したとおりである。
【0028】
空調機1内には潜熱蓄熱コイル22が備わる。この潜熱蓄熱コイル22は1又は複数個の密封容器23(図2〜図5参照)からなる。空調機1には、潜熱蓄熱コイル22で冷却された空気温度を測定するための、温度センサ25が備わる。温度センサ25には、空気の流通経路に配設される温度計24が1又は複数個(図では複数個)備わる。温度センサ25の測定結果により、冷凍機8の運転が制御される。なお、温度センサ25には潜熱蓄熱コイル22の出口温度を測定する温度計26も接続される。
【0029】
このように、空調機1内の空気の流通経路に潜熱蓄熱コイル22を配設するため、簡易かつ簡単な構造及び安価にて、潜熱蓄熱コイルを通過する空気に対し、潜熱を利用した空気の冷却を行うことができる。これにより、冷凍機8の稼働又は停止にかかわらず、空調機1を通る空気は所定温度まで冷却される。したがって、春や秋の中間季において潜熱蓄熱コイル22の出口側温度を安定化させることができ、供給空気の許容露点を保障することができ、空気湿度が薬品等の製造規格から外れることを防止できる。また、空調機1内に流入した外気は、その温度を潜熱蓄熱コイル22により一定化されるため、過度の冷凍機8の稼働及び停止運転を防止でき、冷凍機8の故障を防止できる。さらに、冷凍機は冷媒ガス方式であるため、水分の使用を極力控えることが好ましい製薬工程等に対して特に好適に利用できる。
【0030】
図2〜図5は潜熱蓄熱コイルの具体例を示す概略構成図である。この発明に係る恒温恒湿空調機に用いる潜熱蓄熱コイルは、図2〜図5で示した具体例を包含するものである。
【0031】
図2は潜熱蓄熱コイル22として、密封容器23を1個用いて形成したものである。図において、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。図示したように、密封容器23は、空気の流通方向から見て断面が波形状に形成される。このように断面波形状とすることにより、流通する空気との接触面積が増大し、効率的に空気の冷却を行うことができる。
【0032】
この密封容器23は側面に貫通孔27を有する。この貫通孔27に棒状部材(図示省略)を通す等して複数個の密封容器23を相互に間隔をあけて並べて、潜熱蓄熱コイル22を形成することもできる(図3参照)。各密封容器23内には潜熱蓄熱材が封入される。潜熱蓄熱材としては、塩化カルシウム水和物、パラフィン等を利用可能である。この潜熱蓄熱材の潜熱を利用して、潜熱蓄熱コイル22を通過する空気を冷却する。密封容器23はポリエチレンで形成される。密封容器23の外形寸法は、例えば縦280mm、横130mm、幅9mmである。なお、密封容器23の形状は、図で示したような断面波型形状に限らず、どのような形状であってもよいが、側面を凹凸形状にし、表面積を広げた形状であれば放熱効率が高まるため好ましい。例えば、放熱フィンを形成することが考えられる。
【0033】
図3は潜熱蓄熱コイル22として、密封容器23を横方向(空気の流通方向Jに対して垂直方向)に複数個相互に間隔をあけて並べて形成したものである。なお、図3〜図5においては、便宜上密封容器23を簡略化して表示している。このように密封容器23を配置しても、効率的に空気を冷却することができる。
【0034】
図4は潜熱蓄熱コイル22として、密封容器23を上記と同様に横方向(空気の流通方向Jに対して垂直方向)に複数個並べ、さらにこれを2段重ねにして形成したものである。このように密封容器23を複数段に配置しても、効率的に空気を冷却することができる。
【0035】
図5は潜熱蓄熱コイル22として、図4で示す複数個の密封容器を2段重ねにしたものを、空気の流通方向Jに対して間隔をあけて前後方向に並べて形成したものである。図では4列並べた例を記載している。このように密封容器23を複数段及び複数列に配置しても、効率的に空気を冷却することができる。
【0036】
なお、温度計24(図1参照)は、潜熱蓄熱コイル22により冷却された空気温度を適切に測定するために、空気の流通方向に対して潜熱蓄熱コイル22より下流側に備えることが好ましい。また、複数個の温度計24を備える場合には、横方向に並べられた密封容器23の間や、前後方向に並べられた密封容器23の列の間に備えることもできる。
【0037】
図6はこの発明に係る恒温恒湿空調機の温度制御方法のフローチャート図である。
ステップS1:
潜熱蓄熱コイルの放熱により空気を冷却している状態で、潜熱蓄熱コイルの出口温度を温度センサで計測する。
ステップS2:
ステップS1で計測した潜熱蓄熱コイルの出口温度が設定温度以上か否かを判断する。設定温度以下であれば、そのままの状態を維持する。
【0038】
ステップS3:
ステップS2で設定温度以上であれば、潜熱蓄熱コイルにより冷却された空気温度を空調機内の空気の流通経路に備わる温度計を介して温度センサで測定する。
ステップS4:
空気温度が設定温度より2℃以上高いか否かを判断する。なお、温度計を流通経路に複数個備えた場合は、すべての温度センサによって測定された空気温度が2℃以上高いか否かを判断する。
【0039】
ステップS5:
ステップS4で空気温度が設定温度より2℃以上高い場合、冷凍機を稼働し、ステップS1に戻る。
ステップS6:
空気温度が設定温度より2℃以上低いか否かを判断する。低くない場合、ステップS1に戻る。
ステップS7:
ステップS6で2℃以上低い場合、冷凍機を停止し、ステップS1に戻る。なお、温度計を流通経路に複数個備えた場合は、すべての温度センサによって測定された空気温度が2℃以上低いか否かを判断する。
【0040】
このように、すべての温度センサによって測定された空気温度が所定温度以上又は以下のときに、冷凍機の運転を制御することとすれば、冷凍機の運転時間を安定させることができる(図7,図8参照)。また、このような制御により、すべての密封容器内の蓄熱量を一定に揃えることができる。このため、潜熱蓄熱コイルによる空気の放熱時間及び蓄熱時間が安定して継続し、これに伴い、冷凍機の運転時間を安定させることができる。
【0041】
図7は中間季におけるこの発明に係る空調機内の温度の状態変化を示すグラフ図である。
図示したように、冷凍機の運転状態にかかわらず、潜熱蓄熱コイルの出口温度はほぼ一定となる。したがって、常時許容露点内でほぼ一定品質の空気を供給することができる。このため、非常に高い空気質が要求される製薬、製菓の生産工程において特に好適に利用できる。また、上述した温度制御方法(図6参照)により、潜熱蓄熱コイルによる放熱運転及び蓄熱運転時間が安定して継続するため、冷凍機が過度に稼働停止を繰り返すことを防止できる。したがって、冷凍機の保護制御等が頻繁に動作することはなく、これに伴う冷凍機の故障を防止できる。
【0042】
図8は中間季におけるこの発明に係る空調機内の温度の状態変化を示す実測データのグラフ図である。
図示したように、実際に測定してみたところ、冷凍機の稼動停止運転をしても、潜熱蓄熱コイルの出口空気温度は4〜7°Cとなり、ほぼ一定である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は潜熱を利用した空調機及びこの制御方法として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明に係る空調機の概略図である。
【図2】潜熱蓄熱コイルの具体例を示す概略構成図である。
【図3】潜熱蓄熱コイルの具体例を示す概略構成図である。
【図4】潜熱蓄熱コイルの具体例を示す概略構成図である。
【図5】潜熱蓄熱コイルの具体例を示す概略構成図である。
【図6】この発明に係る空調機の温度制御方法のフローチャート図である。
【図7】中間季におけるこの発明に係る空調機内の温度の状態変化を示すグラフ図である。
【図8】中間季におけるこの発明に係る空調機内の温度の状態変化を示す実測データのグラフ図である。
【図9】従来の空調機の概略図である。
【図10】空調機内の温度及び湿度の状態変化を示すグラフ図である。
【図11】中間季における冷凍機の運転状態と、冷却コイル出口温度の関係を示すグラフ図である。
【図12】中間季における冷凍機の運転状態と、直接膨張コイル出口温度の関係の実測データを示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0045】
1:空調機、2:フィルタ、3:直接膨張コイル、4:加熱コイル、5:加湿器、6:ファン、7:箱体、8:冷凍機、22:潜熱蓄熱コイル、23:密封容器、24:温度計、25:温度センサ、26:温度計、27:貫通孔、51:空調機、52:フィルタ、53:直接膨張コイル、54:加熱コイル、55:加湿器、56:ファン、57:箱体、58:冷凍機、59:配管、60:圧力調整弁、61:膨張弁、62:蒸気トラップ、63:蒸気流通管、64:温度計、65:湿度計、66:温度センサ、67:湿度センサ、68:電動弁、69:電動弁、70:温度計、71:温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタと、
冷凍機から供給される冷媒ガスにより空気を冷却する直接膨張コイルと、
空気を加熱する加熱コイルと、
空気を加湿する加湿器と、
空気の流れを作るファンとを箱体内に備えた空調機において、
上記箱体内に、潜熱蓄熱材を充填した潜熱蓄熱コイルを備えたことを特徴とする恒温恒湿空調機。
【請求項2】
上記潜熱蓄熱コイルは、上記潜熱蓄熱材を封入した1又は複数個の密封容器からなり、当該密封容器は側面が凹凸形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の恒温恒湿空調機。
【請求項3】
上記箱体内を通過する空気の流通経路に、上記潜熱蓄熱コイルで冷却された空気温度を測定するための温度センサを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の恒温恒湿空調機。
【請求項4】
請求項3に記載の恒温恒湿空調機を用いた当該空調機の温度制御方法であって、
上記温度センサによって測定された空気温度が所定温度以上又は以下の場合、
上記冷凍機を稼働又は停止することを特徴とする恒温恒湿空調機の温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−309572(P2007−309572A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138532(P2006−138532)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(593193468)日本電技株式会社 (5)
【Fターム(参考)】