恒温恒湿装置

【課題】 この発明は、二酸化炭素ガスを低濃度に調節した空気雰囲気における恒温恒湿装置を提供することにある。
【解決手段】 この発明の恒温恒湿装置は、所定の濃度に調整した二酸化炭素を含む空気を試験室内に供給するガス供給ライン2と、試験室1内の空気のガス濃度を検出するガス濃度センサ17と、試験室1内の空気を外部にパージする量が変更可能な室パージダンパー14と、室パージダンパー14のパージ量を制御する制御装置20と、を備え、制御装置20は、試験室1からの空気のリーク量とガス供給ライン2からの供給ガス量に応じて室パージダンパー14のパージ量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、恒温恒湿装置にかかり、特に、環境試験を行うために、二酸化炭素ガス等を低濃度に調節した空気雰囲気に調整する恒温恒湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素を低濃度に調節した空気雰囲気を恒温恒湿装置に導入することで、地下環境や大気中の二酸化炭素濃度よりも低濃度の条件を模擬的に実現することができる。地下環境や大気中の二酸化炭素濃度よりも低濃度の条件を模擬的に実現することで、セメントなどの耐久性などの環境試験を容易に行える。種々の環境試験を行うためには、任意の二酸化炭素濃度に制御することが望まれる。
【0003】
環境をシミュレートして試験を行う恒温恒湿装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、空気の温度及び湿度を低温・高湿状態に安定して高精度に制御する恒温恒湿装置が提案されている。この特許文献1に記載されている装置は、2つの恒温恒湿装置がダクトで接続され、一方の恒温恒湿装置が目標絶対温度の空気を作る装置として機能し、ダクトの開閉を制御して、2つの恒温恒湿装置間の空気を循環させて最終目標湿度に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−230281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載の装置においては、低濃度の二酸化炭素(CO)に調整した空気は用いておらず、通常の濃度の二酸化炭素(CO)を含む空気を循環させている。このような装置において、循環させる空気の二酸化炭素濃度を低くするためには、循環する経路中に二酸化酸素を吸着させる吸着材を備えたガス除去装置を配設する必要がある。
【0006】
また、ガス除去装置で二酸化炭素を除去しながら空気を循環すると、空気中の水分も除湿され、空気が乾燥し、そのために加湿が必要となる。
【0007】
しかしながら、空気の中の水分が多くなると、ガス除去装置の吸着材の消耗が激しく、吸着材の交換等を頻繁に行う必要があるなどの問題が生じるため、二酸化炭素ガスを低濃度に調節した空気雰囲気における恒温恒湿装置に適用するには実用的ではない。
【0008】
この発明の目的は、上記した問題点を解消するためになされたものにして、二酸化炭素ガスを低濃度に調節した空気雰囲気における恒温恒湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の恒温恒湿装置は、気密室と、所定の濃度に調整した二酸化炭素を含む空気を前記気密室内に供給するガス供給手段と、前記気密室内の空気のガス濃度を検出する検出手段と、前記気密室内の空気を外部にパージする量が変更可能なパージ手段と、前記パージ手段のパージ量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記気密室からの空気のリーク量と前記ガス供給手段からの供給ガス量に応じて前記パージ手段のパージ量を制御するものである。
【0010】
また、前記空気のリーク量は、前記気密室内の圧力の変動により算出するように構成すればよい。
【0011】
また、前記ガス供給手段と気密室との間に供給するガス量を調整するバルブ手段と、前記気密室内のガス濃度を検出するガス濃度検出手段を有し、前記気密室内の二酸化炭素濃度が一定濃度を超えると前記制御手段は、前記バルブ手段から供給されるガス量を増加させると共に、前記パージ手段のパージ量を増加させ、前記気密室内の二酸化炭素濃度を前記ガス供給手段から送り込まれる二酸化炭素濃度以上で一定の濃度以下に調整するように構成すればよい。
【0012】
また、前記ガス供給手段は、空気に含まれる二酸化炭素の濃度を低濃度にした空気を生成するガス精製装置と、このガス精製装置からの与えられる空気に含まれる二酸化炭素を除去する除去装置と、を備えるように構成すればよい。
【0013】
更に、コンプレッサと、このコンプレッサから供給される空気内の油分を除去する油分除去ユニットと、油分除去ユニットを経た空気を注入する空気タンクと、を備えるとよい。
【0014】
また、前記ガス精製装置は、複数ユニット備え、前記ガス精製装置から前記除去装置を介して前記気密室に空気を供給するガス供給ラインと、ガス精製装置から前記気密室に空気を供給するガス供給ラインとを有し、前記気密室の空気の状態に応じて、ガス供給ラインが選択されるように構成すればよい。
【0015】
更に、加湿手段、空調手段と温湿度検出手段を試験室内に設け、前記制御手段は、温湿度検出手段の出力に応じて、前記加湿手段、空調手段を制御し、試験室内を所定の温度及び湿度とするように構成すればよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、試験室からの空気のリーク量とガス供給手段からの供給ガス量に応じてパージ手段のパージ量を制御して、低濃度の二酸化炭素を含む空気を供給することで、二酸化炭素ガスを低濃度に調節した空気雰囲気における恒温恒湿装置を提供することができる。また、恒温恒湿装置内の二酸化炭素ガス濃度は通常空気の二酸化炭素濃度より低い濃度で任意の濃度に設定することができるので、種々の環境試験を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態にかかる恒温恒湿装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態にかかるガス供給ラインの一例を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施形態にかかる試験室の一例を示す概略平面図である。
【図4】この発明の実施形態にかかる試験室の一例を示す側面図である。
【図5】この発明の実施形態にかかる試験室の一例を示す模式的斜視図である。
【図6】この発明の実施形態にかかるパネルの組み立てを説明するための要部概略断面図である。
【図7】この発明の実施形態にかかるパネルを組み立てた後の要部概略断面図である。
【図8】この発明の実施形態にかかるパネルを床に組み立てる状態を示す要部概略断面図である。
【図9】この発明の実施形態にかかる差圧ダンパーを含めた前室部分を示す構成図である。
【図10】この発明の実施形態にかかる差圧ダンパーを示す側面図である。
【図11】この発明の実施形態にかかる差圧ダンパーのフィルタを示す側面図である。
【図12】この発明の実施形態にかかる差圧ダンパーを示す概略断面図である。
【図13】この発明の実施形態にかかる差圧ダンパーを示す概略断面図である。
【図14】この発明の他の実施形態にかかるガス供給ラインの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。図1は、この発明の実施形態にかかる恒温恒湿装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、外部から密閉された気密室で構成された試験室1にガス供給ライン2より、所定の濃度に調整した二酸化炭素(CO)を含む空気が供給される。この試験室1は、室内を後述するように、所定の温度、湿度、所定の二酸化炭素濃度に保つ恒温恒湿試験室を構成し、この室内で種々の環境試験が行われる。この試験室1は、例えば、7m×11m×2.6mの大きさで、後述するように、ガスの透過がない断熱パネルを複数枚組み合わせて該当する大きさの試験室1を構成している。試験室1には、人が出入りするための前室11が設けられ、前室11と試験室1の間には、扉12が設けられている。この扉12を閉じると試験室1と前室11の間が密閉される。また、試験室1内の圧力は、前室11内の圧力より高く設定され、前室11から試験室1内へ前室11内の空気が入り込むのを防止している。
【0020】
また、前室11の圧力は、外部の圧力より高く設定され、外部から前室11内へ空気が入り込むのを抑制している。前室11には、人が出入りするための扉13が設けられている。この扉13を閉じると、外部と前室11との間が遮断される。
【0021】
試験室1と前室11との間には、室パージダンパー14が設けられている。この室パージダンパー14は、例えば、電動ボールバルブなどで構成され、後述するように、制御装置20により、ダンパーからパージ量が制御される。更に、試験室1と前室11との間には試験室1内が所定の圧力以上になると弁が開く差圧ダンバー15が設けられている。また、室外部と前室11との間にも前室11内が所定の圧力以上になると弁が開く差圧ダンパー15が設けられている。
【0022】
この実施形態では、前室11と外部との間は10Pa〜100Pa、好ましくは80Pa前後の圧力差に保つように、前記差圧ダンパー15が設定されている。また、前室11と試験室1の間も110Pa〜100Pa、好ましくは80Pa前後の圧力差を保つように差圧ダンパー15が設定されている。そして、試験室1内の空気が室パージダンパー14より所定のパージ量で前室11内に排出される。また、室パージダンパー14により空気が排出されているにも関わらず、試験室1と前室11との間の圧力差が80Paを越えると差圧ダンパー15が開き、試験室1内の空気が前室1内に排出される。更に、前室11と試験室1との間の圧力差が80Paより小さくなると差圧ダンパー15が閉じる。
【0023】
また、前室11と外部との間の圧力差が80Paを越えると差圧ダンパー15が開き、前室11内の空気が外部に排出される。そして、前室11と外部との間の圧力差が80Paより小さくなると、差圧ダンパー15が閉じる。
【0024】
ガス供給ライン2には、2つのガス精製装置21、22が設けられ、空気に含まれる二酸化炭素の量を低濃度にした空気を生成する。このガス精製装置21、22は、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル等の吸着材を備える。コンプレッサ25で圧縮された空気が油分除去ユニット26で空気内の油分を除去され、空気タンク27に注入される。そして、この空気タンク27から排出された圧縮空気が、ガス精製装置21、22に与えられる。
【0025】
ガス精製装置21、22では、吸着材により、水分及び二酸化炭素を吸着し、低濃度の二酸化炭素を含む空気を精製する。この実施形態では、1つのガス精製装置は、100m/Hrのガスを精製する。その精製したガスがバルブ23を介して更に二酸化炭素を除去するために、除去装置24に与えられる。除去装置24は、内部にシリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル等の吸着材を備える。
【0026】
この実施形態では、ガス精製装置21、22により、二酸化炭素の濃度が例えば、10ppmに調整した空気を精製する。そして、除去装置24では、二酸化炭素の濃度が、例えば、1ppm以下で限りなく0ppm近くになるように、二酸化炭素を除去し、その除去した空気を試験室1内に供給する。
【0027】
試験室1内には、試験室1内の温度、湿度を検出する温湿度センサ16、酸素濃度、二酸化炭素のガス濃度を検出するガス濃度センサ17が設けられている。これらセンサ16、17からの検出出力は、コンピュータを備えた制御装置20に与えられる。試験室1内には、室内の湿度を調整するための加湿器18、温度を調整するための空調器19を備える。
【0028】
制御装置20は、ガス濃度センサ17からの検出出力に基づき、試験室1内の二酸化炭素濃度が一定濃度を超えたか否かを判定する。この実施形態では、二酸化炭素の濃度が5ppmを越えたか否か判断する。二酸化炭素の濃度が5ppmを越えると、バルブ23を制御し、供給されるガス量を増加させる。そして、室パージダンパー14のパージ量を増加させ、試験室1内の空気の置換量を多くする。このようにして、試験室1内の二酸化炭素濃度を除去装置24から送り込まれる二酸化炭素濃度である0ppmを越えて5ppm以下に調整している。
【0029】
ところで、この実施形態における試験室1は、図5に示すように、ガスの透過がない断熱パネル120を複数枚組み合わせて該当する大きさに構成している。これらパネル120間はガス漏れが無いように組み立てられるが僅かなガス漏れは生じる。
【0030】
そこで、この実施形態の試験室1は、室パージダンパー14から排出されるガスのパージ量を試験室1内からリークされる空気の量に応じて設定している。すなわち、ガス供給ライン2から供給されるガス量と室パージダンパー14から排出されるガスのパージ量は、試験室1内を所定の圧力に設定された後は、室内からのリークが無ければ同じ値になる。
【0031】
しかしながら、リークがあれば、ガスの供給量と同じ量をパージすれば、試験室1内から排出される空気は供給される空気より多くなり、圧力が下がることになる。そこで、この実施形態では、試験室1内の圧力の変化に基づき試験室1内の空気のリーク量を算出し、その算出結果に基づき、ガスのパージ量を設定し、室パージダンパー14のパージ量を制御する。
【0032】
例えば、試験室1のリーク量が所定の圧力後、5m/Hrであると算出すると、ガス供給ライン2から供給されるガス量が20m/Hrの時には、室パージダンパー14のパージ量を15m/Hrに設定する。このようにして、試験室1内に供給される空気と室パージダンパー14のパージされる空気を制御し、試験室1内を所定の圧力状態に維持する。
【0033】
また、ガス供給ライン2から供給される空気は、ガス精製装置21、22及び除去装置24において、二酸化炭素を除去する際に水分も除去される。このため、ガス供給ライン2から供給される空気で試験室1内の空気を置換していくと湿度が所定の湿度より低くなる。この実施形態では、室温20℃、相対湿度(RT)60%に試験室1内を維持して、恒温恒湿の試験室1を構成する。このため、制御装置20は、温湿度センサ16からの検出出力に基づき、試験室1内の湿度及び温度を算出する。そして、相対湿度が60%以下になると、制御装置20は、加湿器18を駆動させて試験室1内を加湿して所定の湿度に維持する。尚、この加湿器18に用いる水分は、不純物を含まない純水を用いている。また、温度が20℃になるように、制御装置20は、空調器19を制御している。
【0034】
上記したように、試験室1内の温度、湿度を制御している。そして、試験室1内の圧力も所定の圧力に維持するように、試験室1内に供給される空気と室パージダンパー14のパージされる空気を制御している。ところで、試験室1内の圧力の変動は、温度の変化以外に湿度の変化にも影響を受けることが分かった。すなわち、試験室1の温度を20℃に保つために、空調器19が動作する。この時に、空調器19により、除湿される。例えば、空調器19として、次のものを用いる。空調器19の能力は、12℃、相対湿度(RH)95%まで変化し、風量は280m/minである。
【0035】
ここで、温度20℃、相対湿度60%から温度10℃、相対湿度80%まで変化すると、約3g/mの除湿となる。風速をかけると、821g/min、これを容積に換算すると、1.1m/minとなる。このように、空調器19の冷凍機の起動時に1.1m/minの負圧となる。この負圧をカバーする供給ガス流量は、66m/Hr以上となる。空調器19の風速を含めて、供給ガス流量は、100m/Hr程度必要である。試験室1内を低濃度COにガス置換した後に、100m/Hrのドライな低濃度CO空気を供給することで、空調器19の起動に伴う圧力の変動を少なくすることができる。
【0036】
図2は、この発明の実施形態にかかるガス供給ライン2の一例を示すブロック図である。図2に従い、ガス供給ライン2につき説明する。
【0037】
ガス供給ライン2には、2つのガス精製装置21、22が設けられ、空気に含まれる二酸化炭素の量を低濃度にした空気を生成する。このガス精製装置21、22は、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル等の吸着材を備える。そして、この実施形態では、吸着材により、水分及び二酸化炭素を吸着し、低濃度の二酸化炭素を含む空気をそれぞれ精製する。この実施形態においては、精製量は、100m/Hrである。
【0038】
この実施形態は、コンプレッサ25は、2つのコンプレッサ25a、25bを有し、制御装置20により、平均化して稼働するように制御している。2つのコンプレッサ25a、25bを有することで、1つのコンプレッサが故障しても供給ライン2を停止することなく、ガスの供給が行える。コンプレッサ25a、25bは、0.83MPaの圧力で210m/Hrの圧縮空気を出力する。コンプレッサ25で圧縮された空気が容量100Lタイプの油分除去ユニット26に注入され、空気内の油分を除去した後、容量9.9mの空気タンク27に注入される。そして、このタンク26から排出された圧縮空気がガス精製装置21、22に与えられる。この実施形態では、空気タンク27とガス精製装置21、22との間には流量バルブ29(29a、29b)が設けられ、ガス精製装置21、22に与える空気の量を調整可能に構成している。
【0039】
ガス精製装置21、22は、バルブ23aを介して、吸着材を有する除去装置24に接続され、ガス精製装置21、22からの空気が除去装置24に与えられる。この実施形態の除去装置24は、内部に2つの吸着材24a、24bを有する。この吸着材24a、24bは、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル等で構成される。
【0040】
この実施形態における除去装置24は、最大240m/Hrの能力を有している。上記したように、ガス精製装置21、22は、100m/Hrのガスを精製するので、最大出力の際には、除去装置24の能力を超える。このため、ガス精製装置21、22のラインからバルブ23bを介して除去装置24を経由せずに試験室1に供給されるラインが設けられている。例えば、立ち上げ状態の時は、試験室1内の空気の置換を速やかに行う必要がある。このような時には、除去装置24を経由するラインと除去装置24を経由しないラインとの双方のラインから試験室1内に5ppm程度の濃度の二酸化炭素を含む空気を供給することになる。そして、定常状態または定常状態に近づくとバルブ23bを閉じ、除去装置24を経由した0ppmを越えて5ppm以下の濃度の二酸化炭素を含む空気を供給する。
【0041】
また、前室11には、バルブ28を介してガス精製装置21、22から空気を供給する。
【0042】
除去装置24から送られる空気は流量計30によりその流量を測定可能に構成している。同様に前室11に送られる空気は流量計31によりその流量を測定可能に構成している。
【0043】
図3は、この発明の実施形態にかかる試験室の一例を示す概略平面図、図4は、同側面図である。図3及び図4に示すように、空調器19、加湿器18及び純水発生装置180等が試験室1内に配置され、外部とは隔離されている。空調器19を外部に配置すると、空調器19との配管から空気のリークが発生する虞がある。
【0044】
この実施形態では、低濃度の二酸化炭素の状態を維持する必要がある。そこで、外部からの空気の浸入と外部への空気のリークは極力避ける必要があるため、ガス供給ライン2以外は、試験に用いる機器110等は試験室1内に配置している。また、空調器19からの空気は天井に設けたダクト190から供給される。また、吸い込み口191は試験に用いる機器110の近傍に配置し、空調器19の循環を効率良く行っている。空調器19の配管等は試験室1内に設けた天井と試験室1の外壁との間で行い外部とは隔離されている。
【0045】
また、試験室1には、緊急避難用の扉12aが設けられ、緊急時には、前室11を経由せず直接扉12から外部に脱出できるように構成されている。
【0046】
前述したように、試験室1は、ガスの透過がない断熱パネル120を複数枚組み合わせて該当する大きさに構成している。これらパネル120間はガス漏れが無いように組み立てられる。
【0047】
パネル120間からのガス漏れを無くす組み立て方法の一例につき図6ないし図8を参照して説明する。図6は、この発明の実施形態にかかるパネルの組み立てを説明するための要部概略断面図、図7は、組み立てた後の要部概略断面図、図8は、床にパネルを組み立てる状態を示す要部概略断面図である。
【0048】
図6及び図7に示すように、ガスの透過がない断熱パネル120は、硬質ウレタンフォームなどの芯材120bの両面にカラー鋼板、抗菌鋼板、ステンレス、カラーアルミなどの表面部材120aが接着され構成されている。そして、断熱パネル120には、それぞれ雌型凹部121と雄型突部122が設けられている。そして、雌型凹部121と雄型突部122を突き合わせて嵌め込んで組み立てられる。
【0049】
そして、図7に示すように、パネル120のつなぎ目にエポキシ樹脂、ブチルゴムやガスバリアフィルムなどからなるバリア層124を設けている。このように、バリア層124を設けることで空気のリークを防止している。
【0050】
次に、パネル120の床200への固定の一例につき図8を参照して説明する。図8に示すように、床200に、セルフタップアンカーボルト201を取り付け、このセルフタップアンカーボルト201を用いて、固定用ハット金具130hが取り付けられる。この固定用ハット金具130hにボルトを用いてパネル支持金具130bが取り付けられる。
【0051】
このパネル支持金具130bの上にパネル120が載置され、そのパネル120の両側面を挟むように金属製の巾木130aがパネル支持金具130bに取り付けられる。
【0052】
そして、これら部材間の隙間を密閉するように、パネル120と巾木130aとの間にはエポキシ樹脂、ブチルゴム等からなるコーキング材132を施している。更に、巾木130aと床200との間にもエポキシ樹脂、ブチルゴム等からなるコーキング材132を施している。
【0053】
また、試験室1内の床200の表面には、塗装203が施されている。この塗装203が施されている床200には、塗装203部分と巾木130bとの間の空間にエポキシ樹脂からなるコーキング材133を施し、巾木130aと塗装203を施した床200との間を密閉している。なお、ブチルゴムをコーキング材として用いてもよい。
【0054】
この図8に示すように、巾木130aを用いて床200にパネル120を固定する際にも、エポキシ樹脂、ブチルゴム等のコーキング材で密閉することにより、パネル120の床部分からの空気のリークを抑制している。
【0055】
次に、この発明の試験室として必要なガス量について説明する。上記した構成の試験室1として、7.4m×11m×2.9mの大きさのものを用意した。この大きさの試験室1内のCO濃度を下げるのに必要なガス量について、大気からの回復を概ね10ppm〜20ppmまでの運用を考えると次の式に基づいて算出する。
【0056】
V=(V0/k)×ln(X0/X)
【0057】
ここで、Vは必要ガス量(m)、X0は500ppm(外気標準の二酸化炭素濃度)、Xは目標濃度(5ppm)、V0は、置換したい容積で236.1m、kは、置換効率(0.6〜0.8)である。
【0058】
上記式より、V=(236.1/0.6)×ln(500/5)=1812mとなる。
【0059】
上記大きさの試験室1内を外気標準状態から低CO濃度環境へガス置換するために、ガス供給量と同じ量のガスをパージする。ガスの流量を変化させて試験室1内のガス置換を確認した。低濃度COガスの流量を40m/Hr、80m/Hr、100m/Hr、120m/Hrに変化させた時の試験室1内のガス濃度を測定し、ガス置換の状態を調べた。
【0060】
上記した計算式からそれぞれの流量でどのくらいの時間で試験室1内の空気が置換できるかが推定できる。低濃度COガスの流量を40m/Hrの場合には、1時間経過してもガス濃度はあまり低下せず、逆拡散している可能性が考えられる。
【0061】
低濃度COガスの流量を80m/Hrの場合には、徐々にガス濃度は低下していくことが確認できた。しかし、ガス濃度の低下は非常に遅いことが分かった。
【0062】
低濃度COガスの流量を100m/Hrの場合には、ガス濃度が確実に低下していることが確認できた。また、低濃度COガスの流量を120m/Hrの場合には、更にガス濃度の低下が早く、115分程度で5ppm程度の濃度の状態になることが確認できた。このことから、ガスの流量は100m/Hr以上が好ましいことが分かった。
【0063】
次に、試験室1と前室11、前室11と室外部との間に設けられる差圧ダンバー15、15につき、図9ないし図13を参照して説明する。
【0064】
上述したように、試験室1と前室11との間には、室パージダンパー14が設けられている。この室パージダンパー14は、例えば、電動ボールバルブなどで構成され、後述するように、制御装置20により、ダンパー14からパージ量が制御される。更に、試験室1と前室11との間には試験室1内が所定の圧力以上になると弁が開く差圧ダンバー15が設けられている。また、室外部と前室11との間にも前室11内が所定の圧力以上になると弁が開く差圧ダンパー15が設けられている。
【0065】
この実施形態では、前室11と室外部との間は10Pa〜100Pa、好ましくは80Pa前後の圧力差に保つように、前記差圧ダンパー15が設定されている。また、前室11と試験室1の間も10Pa〜100Pa、好ましくは80Pa前後の圧力差を保つように差圧ダンパー15が設定されている。更に、試験室1内の空気が室パージダンパー14より所定のパージ量で前室11内に排出される。
【0066】
差圧ダンパー15、15には、それぞれフィルタ15fが取り付けられている。差圧ダンパー15、15は、図10ないし図13に示すように、本体ケース150にダクト用穴部15hが設けられ、この穴部15hに圧力で開閉する羽根材15gが取り付けられる。この羽根部材15gは、本体の中央部に設けられた軸15cに摺動自在に取り付けられる。羽根部材15gには差圧調整用の重り15aが重り押さえ15bにより取り付けられている。羽根部材15gには、本体部のダクト用穴部15hの周囲に当接する押さえパッキン15pが設けられる。
【0067】
図13に示すように、圧力差が80Paより小さい場合には、差圧調整用の重り15aにより、羽根部材15gの押さえパッキン15pがダクト用穴部15hの周囲と当接し、差圧ダンパー15、15が閉じている。そして、圧力差が80Paを越えると、図12に示すように、差圧調整用の重り15aに抗して羽根部材15gが軸15cに沿って移動し、差圧ダンパー15、15が開く。この差圧ダンパー15、15が開いたときに、排出される空気を軸15cの回りと、ダクト用穴部15hの周囲との間で風速があまり変わらないように、室内排気口を小さくするなどの対策がとられている。
【0068】
図14は、この発明の他の実施形態にかかるガス供給ライン2の一例を示すブロック図である。図14に従い、ガス供給ライン2につき説明する。
【0069】
前述した実施形態においては、試験室1内を5ppm程度の低濃度の二酸化炭素濃度に保つようにガス供給ライン2を構成している。これに対して、この図14に示す実施形態は、試験室1内を5ppm程度の低濃度の二酸化炭素濃度から外気標準より少し低濃度の二酸化炭素濃度まで、必要とする二酸化炭素濃度に維持するように構成したものである。
【0070】
基本的には、上述した図2に示すガス供給ライン2と同じであるが、この実施形態は、外気標準に近い二酸化炭素濃度に制御するために、空気タンク27から空気内の油分を除去された圧縮空気を試験室1内に供給するために、バルブ32を介して、試験室1内と空気タンク27との間にガス供給ラインが追加されている。他の構成は、図2と同様であるので、ここでは、同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、その説明を割愛する。
【0071】
ガス精製装置21、22から供給される空気に含まれる二酸化炭素濃度より高い濃度に試験室1を制御する場合には、必要に応じて、バルブ32を開放して、空気タンク27より外気標準の300ppmから550ppm程度の二酸化炭素濃度の空気を試験室1内に供給する。所望する二酸化炭素濃度に試験室1内が制御されると、バルブ32を閉じ、ガス精製装置21、22から空気を供給する。
【0072】
試験室1内の二酸化炭素濃度に応じて、バルブ23a、23b及びバルブ32を制御して、試験室1内に供給する空気を切り替え、試験室1内を5ppm程度の低濃度の二酸化炭素濃度から外気標準より少し低濃度の二酸化炭素濃度まで、必要とする二酸化炭素濃度に維持する。
【0073】
上記した実施形態においては、気密室を種々の環境試験を行うための試験室に適用したが、この発明は環境試験の試験室以外の恒温恒湿室にも適用できる。例えば、ドライルーム、クリーンルームなどにも適用できる。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 試験室
2 ガス供給ライン
11 前室
12、13 扉
14 室パージダンパー
15、15 差圧ダンパー
16 温湿度センサ
17 ガス濃度センサ
18 加湿器
19 空調器
20 制御装置
21、22 ガス精製装置
23、28 バルブ
24 除去装置
25 コンプレッサ
26 空気タンク
27 油分除去ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密室と、
所定の濃度に調整した二酸化炭素を含む空気を前記気密室内に供給するガス供給手段と、
前記気密室内の空気のガス濃度を検出する検出手段と、
前記気密室内の空気を外部にパージする量が変更可能なパージ手段と、
前記パージ手段のパージ量を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記気密室からの空気のリーク量と前記ガス供給手段からの供給ガス量に応じて前記パージ手段のパージ量を制御する、恒温恒湿装置。
【請求項2】
前記空気のリーク量は、前記気密室内の圧力の変動により算出する、請求項1に記載の恒温恒湿装置。
【請求項3】
前記ガス供給手段と気密室との間に供給するガス量を調整するバルブ手段と、前記気密室内のガス濃度を検出するガス濃度検出手段を有し、前記気密室内の二酸化炭素濃度が一定濃度を超えると前記制御手段は、前記バルブ手段から供給されるガス量を増加させると共に、前記パージ手段のパージ量を増加させ、前記気密室内の二酸化炭素濃度を前記ガス供給手段から送り込まれる二酸化炭素濃度以上で一定の濃度以下に調整する、請求項1または請求項2に記載の恒温恒湿装置。
【請求項4】
前記ガス供給手段は、空気に含まれる二酸化炭素の濃度を低濃度にした空気を生成するガス精製装置と、このガス精製装置からの与えられる空気に含まれる二酸化炭素を除去する除去装置と、を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の恒温恒湿装置。
【請求項5】
コンプレッサと、このコンプレッサから供給される空気内の油分を除去する油分除去ユニットと、油分除去ユニットを経た空気を注入する空気タンクと、を備え、前記空気タンクから前記ガス精製装置に空気を供給する請求項4に記載の恒温恒湿装置。
【請求項6】
前記ガス精製装置は、複数ユニット備え、前記ガス精製装置から前記除去装置を介して前記気密室に空気を供給するガス供給ラインと、ガス精製装置から前記気密室に空気を供給するガス供給ラインとを有し、前記気密室の空気の状態に応じて、ガス供給ラインが選択される、請求項4または請求項5に記載の恒温恒湿装置。
【請求項7】
前記空気タンクから前記気密室へ空気を供給するガス供給ラインをさらに備える、請求項6に記載の恒温恒湿装置。
【請求項8】
加湿手段、空調手段と温湿度検出手段を前記気密室内に設け、前記制御手段は、温湿度検出手段の出力に応じて、前記加湿手段、空調手段を制御し、前記気密室内を所定の温度及び湿度とする、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の恒温恒湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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