説明

恒温槽および自動分析装置

【課題】容器を所定の温度に保持して回転する恒温槽の加熱を簡単な構成で効率よく行うこと。
【解決手段】複数のキュベットCが載置される反応テーブル19において、キュベットCを保持して間欠的に回動するキュベットホイール193の下方に加熱装置200を備える。加熱装置200は、ヒータ220と、このヒータ220によって発生した熱をキュベットホイール193に伝達するヒータブロック230とが一体的に形成された加熱部材210と、ヒータ昇降駆動部260を備える。ヒータ昇降駆動部260は、キュベットホイール193の回転時には加熱部材210を下降させてヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部から離間させ、キュベットホイール193の回転停止時には加熱部材210を上昇させてヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、恒温槽およびこの恒温槽を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検体と試薬とを反応させた反応液を光学的に測定することによって検体の分析を行う自動分析装置が知られている。このような自動分析装置は、複数の反応容器(キュベット)を載置して回動する反応テーブルを備えており、この反応テーブル上のキュベットにそれぞれ検体と試薬とを分注し、検体と試薬とを反応させている。一般に、反応テーブルは、加熱手段を備えており、キュベットを例えば37℃程度の温度に保持して反応温度を一定に保つための恒温槽を構成している。例えば、加熱手段としてヒータを用いたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭64−500295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、反応容器を恒温するためのヒータを反応テーブルと一体的に設ける場合、ヒータやヒータに設けられて発熱温度を検出する温度センサ等が反応テーブルとともに回転する。このため、ヒータを駆動する駆動部との接続にスリップリング等を介在させて、電力供給用の配線や信号伝送用の配線の捩れや断線を防止する必要があった。このため、反応テーブル周辺の構造が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みて為されたものであって、容器を所定の温度に保持して回転する恒温槽の加熱を簡単な構成で効率よく行うことができる恒温槽およびこの恒温槽を備えた自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる恒温槽は、液体を収容する容器を複数載置する回転可能な載置台と、前記載置台を間欠的に回動させる載置台回動制御手段と、熱を発生して前記容器を加熱する加熱手段と、前記載置台の回転停止時に前記加熱手段を前記載置台と接触させ、前記載置台の回転時に前記加熱手段を前記載置台から離間させるように前記加熱手段を移動させる移動駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる恒温槽は、上記の発明において、前記加熱手段に設けられ、前記容器の加熱温度を検出する温度検知手段と、前記温度検知手段の検出結果をもとに前記加熱手段の加熱制御を行って、前記容器を所定温度に保持する加熱制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる恒温槽は、液体を収容する容器を複数載置する回転可能な載置台と、前記載置台を間欠的に回動させる載置台回動制御手段と、前記載置台と一体的に設けられ、熱を発生して前記容器を加熱する発熱体と、前記発熱体に電力を供給して駆動し、前記発熱体を発熱させる加熱駆動手段と、前記発熱体に設けられた被接触部に接触して前記加熱駆動手段と前記発熱体とを電気的に接続する接触部材と、前記載置台の回転停止時に前記接触部材を前記被接触部に接触させ、前記載置台の回転時に前記接触部材を前記被接触部から離間させるように前記接触部材を移動させる接続部材移動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる恒温槽は、上記の発明において、前記容器の加熱温度を検出する温度検知手段と、前記温度検知手段の検出結果をもとに前記発熱体による加熱制御を行って、前記容器を所定温度に保持する加熱制御手段と、を備え、前記接触部材は、前記被接触部との接触によって、前記温度検知手段と前記加熱制御手段とを電気的に接続することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の構成の恒温槽を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器を載置する載置台の間欠的な回動に伴って、載置台と、この載置台に載置された容器を加熱する加熱手段とを離接させることができる。すなわち、載置台の回転停止時に加熱手段を載置台と接触させ、載置台の回転時に加熱手段を載置台から離間させるように加熱手段を移動させることができる。そして、載置台の回転停止時には、載置台と加熱手段とが接触して載置台を直接加熱することができるので、容器の加熱を簡単な構成で効率よく行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
先ず、実施の形態1について説明する。実施の形態1の自動分析装置は、複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う装置であり、分析対象の検体と試薬とを容器であるキュベットにそれぞれ分注し、キュベット内で生じた反応を光学的に測定する。図1は、実施の形態1の自動分析装置1の内部構成の一例を示す概略斜視図である。自動分析装置1は、検体テーブル11、検体分注機構13、2つの試薬テーブル15(15−1,15−2)、2つの試薬分注機構17(17−1,17−2)、反応テーブル19、2つの攪拌装置23(23−1,23−2)、測定光学系25、洗浄装置27等を備える。また、自動分析装置1は、図1に示すように、装置を構成する各部を制御し、各部への動作タイミングの指示やデータの転送等を行って装置全体の動作を統括的に制御する制御部4を備える。
【0014】
検体テーブル11には、複数の検体容器111が周方向に沿って等間隔で収納される。検体容器111には、血液や尿等の検体が収容される。この検体テーブル11は、制御部4の制御のもと、不図示の駆動機構によってその中心を回転軸とした間欠的な回動が可能に構成されており、所望の検体容器111を所定の位置まで搬送する。そして、この所定位置に搬送された検体容器111内の検体が、検体分注機構13によって反応テーブル19上を配列して搬送されるキュベットCに分注される。
【0015】
検体分注機構13は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム131を備え、このアーム131に、検体の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられて構成されている。検体分注機構13は、制御部4の制御のもと、検体テーブル11上の所定位置に搬送された検体容器111からプローブによって検体を吸引する。そして、アーム131を回動させ、反応テーブル19上の検体分注位置に搬送されたキュベットC内に検体を吐出して分注を行う。検体分注機構13のプローブは、分注終了後、その移動経路上に配設された図示しない洗浄槽で流水・洗浄される。
【0016】
試薬テーブル15(15−1,15−2)は、載置台回動制御手段として機能する制御部4の制御のもと、それぞれ図示しない駆動機構によってその中心を回転軸とした間欠的な回動が可能に構成されており、所望の試薬容器Bを所定の位置まで搬送する。各試薬容器Bには、それぞれ分析項目に応じた所定の試薬が収容され、例えば、一方の試薬テーブル15−1には、第1試薬を収容した試薬容器Bが収納され、他方の試薬テーブル15−2には、第2試薬を収容した試薬容器Bが収納される。なお、各試薬テーブル15は、それぞれ図示しない円盤状の蓋によって覆われている。また、各試薬テーブル15の下方にはそれぞれ図示しない恒温槽が設けられており、内部を覆う蓋とともに、各試薬容器Bに収容された試薬を保冷して恒温状態に保つ。これにより、試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0017】
試薬分注機構17(17−1,17−2)は、検体分注機構13と同様に、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム171を備え、このアーム171に、それぞれ試薬の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられて構成されている。一方の試薬分注機構17−1は、制御部4の制御のもと、試薬テーブル15−1上の所定位置に搬送された試薬容器B1からプローブによって第1試薬を吸引する。そして、アーム171を回動させ、反応テーブル19上の第1試薬分注位置に搬送されたキュベットC内に第1試薬を吐出して分注を行う。同様にして、他方の試薬分注機構17−2は、制御部4の制御のもと、試薬テーブル15−2上の所定位置に搬送された試薬容器B1からプローブによって第2試薬を吸引する。そして、アーム171を回動させ、反応テーブル19上の第2試薬分注位置に搬送されたキュベットC内に第2試薬を吐出して分注を行う。各試薬分注機構17のプローブは、分注終了後、その移動経路上に配設された図示しない洗浄槽で流水・洗浄される。
【0018】
反応テーブル19には、複数の収納室191が周方向に沿って等間隔で形成されており、各収納室191にキュベットCが着脱自在に載置される。キュベットCは、内部に液体を保持する四角筒状の容器であり、光学的に透明な素材で成形される。具体的には、測定光学系25から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。
【0019】
具体的には、反応テーブル19は、この反応テーブル19上を複数の収納室191に区画してキュベットCを着脱自在に載置する載置台としてのキュベットホイール193を有している。キュベットホイール193は、制御部4の制御のもと、図示しない駆動機構によって反応テーブル19の中心を回転軸とし、1/4周を一周期とした間欠的な回動が自在に構成されており、四周期で1反応容器分回転する。このキュベットホイール193の回転によって、キュベットCは、反応テーブル19上の検体分注位置、第1試薬分注位置、第2試薬分注位置、攪拌位置、測定位置、洗浄位置等の各位置に搬送される。
【0020】
キュベットホイール193の下方には、加熱装置200(図2−1,2参照)が設けられており、キュベットCの温度を所定温度、具体的には37℃程度の温度に加熱する。そして、キュベットホイール193の半径方向外側には、例えば樹脂等の断熱材料から成る保温部材195が配置されており、加熱装置200および反応テーブル19を覆う図示しない蓋とともに恒温槽を構成し、キュベットCの温度を37℃程度の温度に保温する。
【0021】
攪拌装置23(23−1,23−2)は、制御部4の制御のもと、図示しない駆動機構によってその中心を軸中心とした回転が可能に構成されており、その攪拌位置に搬送されたキュベットC内に分注された検体と試薬とを撹拌棒によって攪拌し、反応を促進させる。攪拌棒は、攪拌終了後、洗浄水が供給される図示しない洗浄槽で流水・洗浄される。
【0022】
測定光学系25は、制御部4の制御のもと、測定位置に搬送されたキュベットCに分析光を照射し、キュベットC内の反応液を透過した光を受光して分光強度測定を行う。例えば、キュベットC内の反応液を分析するための分析光(340〜800nm)を出射する光源251と、光源251から出射されてキュベットC内の反応液を透過した光量を測定するセンサ253とを備える。この測定光学系25による測定結果は、制御部4に出力され、この制御部4と接続された分析部41によって分析される。
【0023】
洗浄装置27は、測定光学系25による測定が終了して装置下方の洗浄位置に搬送されたキュベットCを洗浄対象として、このキュベットC内部の反応液を吸引して排出するとともに、キュベットC内に洗浄水等の洗浄液を吐出および吸引することによってその内部を洗浄・乾燥する。洗浄・乾燥されたキュベットCは、再び分析に使用される。
【0024】
制御部4は、分析結果の他、自動分析装置1の動作に必要な各種データを保持するメモリを内蔵したマイクロコンピュータ等で構成され、図1では便宜上装置外に示しているが、装置内の適所に収められるものである。この制御部4は、分析部41と接続されており、測定光学系25による測定結果が適宜出力されるようになっている。分析部41は、測定光学系25による測定結果に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部4に出力する。また、制御部4は、検体数や分析項目等、分析に必要な情報を入力するためのキーボードやマウス等の入力装置で構成される入力部43や、分析結果の出力や警告表示等するためのディスプレイやプリンタ等の出力装置で構成される出力部45と接続される。
【0025】
上記構成の自動分析装置1では、順次搬送される複数のキュベットCに対して、試薬分注機構17が試薬容器B中の試薬(第1試薬)を分注し、検体分注機構13が検体容器111中の検体を分注する。続いて、攪拌装置23−1がキュベットC内の液体(第1試薬および検体)を撹拌して反応させた後、測定光学系25が反応させた状態の試料の分光強度測定を行う。また、必要に応じて試薬分注機構17が試薬容器B中の試薬(第2試薬)を分注する。続いて、攪拌装置23−2がキュベットC内の液体(第1試薬、検体および第2試薬)を撹拌して反応させた後、測定光学系25が反応させた状態の試料の分光強度測定を行う。そして、分析部41が測定結果を分析し、検体の成分分析等を自動的に行う。また、洗浄装置27が測定光学系25による測定が終了したキュベットCの洗浄・乾燥を行い、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0026】
次に、反応テーブル19上のキュベットCを加熱して所定温度に保持するための加熱装置200について説明する。図2−1および図2−2は、実施の形態1の自動分析装置1を構成する反応テーブル19の半径方向の一部縦断面図であり、反応テーブル19の内部の構成を示している。
【0027】
加熱装置200は、熱を発生する発熱体であるヒータ220と、このヒータ220によって発生した熱をキュベットホイール193に伝達するヒータブロック230とが一体的に形成された加熱部材210を備える。この加熱部材210は、加熱手段に相当するものであり、キュベットホイール193の下方に設けられる。ヒータブロック230は、例えばアルミニウム等の熱伝導性を有する素材からなり、図2−2に示すように、キュベットホイール193の回転停止時にその接触面231がキュベットホイール193の底部と接触し、ヒータ220が発生した熱をキュベットホイール193に伝達する。これによれば、ヒータ220の発熱によってキュベットCを効率よく加熱することができる。また、加熱装置200は、ヒータ220を駆動して発熱させるヒータ駆動部240と、ヒータ220の発熱温度を検出する温度検知手段としての温度センサ250と、加熱部材210を昇降動作させてヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部と離接させる移動駆動手段としてのヒータ昇降駆動部260とを備える。
【0028】
ヒータ駆動部240は、例えば加熱部材210の下方の適所に固定配置されており、ヒータ220に電力を供給する電力供給部241と、温度センサ250の検出値をもとに電力供給部241からヒータ220に供給される供給電力を調整して、キュベットCの温度を所定温度に保持する加熱制御手段としての加熱制御部243とを備える。
【0029】
ヒータ昇降駆動部260は、例えばアクチュエータと、その駆動制御回路等で構成され、キュベットホイール193の間欠的な回動と同期して加熱部材210を上下動させて、その位置を変位させる。具体的には、このヒータ昇降駆動部260には、制御部4からキュベットホイール193の回転タイミングおよび回転停止タイミングが入力される。この制御部4からの入力に基づき、ヒータ昇降駆動部260は、キュベットホイール193の回転時には、図2−1に示すように加熱部材210を下降させて退避位置に移動させ、ヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部から離間させる。そして、ヒータ昇降駆動部260は、キュベットホイール193の回転停止時には、図2−2に示すように加熱部材210を上昇させて加熱位置に移動させ、ヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部に接触させる。
【0030】
以上説明した実施の形態1によれば、反応テーブル19において、キュベットCを保持するキュベットホイール193の下方に、ヒータ220と、ヒータ220から発生した熱をキュベットホイール193に伝達するヒータブロック230とで構成された加熱部材210を配置し、キュベットホイール193の間欠的な回動に伴ってヒータブロック230の接触面231とキュベットホイール193の底部とを離接させることができる。具体的には、キュベットホイール193の回転時には、ヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部から離間させ、キュベットホイール193の回転停止時には、ヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部に接触させることができる。これによれば、加熱部材210が回転しないため、加熱部材210とヒータ駆動部240との接続にスリップリング等を介在させる必要がない。また、キュベットホイール193の回転停止時に、ヒータブロック230の接触面231をキュベットホイール193の底部に接触させてキュベットホイール193を直接加熱することができる。したがって、容器の加熱を簡単な構成で効率よく行うことができる。
【0031】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2の自動分析装置は、実施の形態1の自動分析装置1において、反応テーブル19bのキュベットホイール193の下方に、図2−1,図2−2に示して説明した加熱装置200にかえて、図3−1,3−2に示す加熱装置200bを配置したものである。なお、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付する。図3−1および図3−2は、実施の形態2における自動分析装置を構成する反応テーブル19bの半径方向の一部縦断面図であり、反応テーブル19bの内部の構成を示している。
【0032】
本加熱装置200bは、実施の形態1と同様に、発熱体であるヒータ220bと、このヒータ220bによって発生した熱をキュベットホイール193に伝達するヒータブロック230bとが一体的に形成された加熱部材210bを備える。実施の形態2では、この加熱部材210bは、キュベットホイール193と一体的に設けられ、キュベットホイール193の間欠的な回動とともに回動する。
【0033】
また、加熱装置200bは、ヒータ220bに設けられてヒータ220bの発熱温度を検出する温度検知手段としての温度センサ250bと、ヒータ220bを駆動して発熱させるヒータ駆動部240bとを備える。ヒータ駆動部240bは、実施の形態1と同様に、例えば加熱部材210bの下方の適所に固定配置されており、加熱部材210bの底部に設けられた被接触部であるコネクタ受け270と着脱自在な接触部材としてのコネクタ280によって、ヒータ220bおよび温度センサ250bと電気的に接続される。
【0034】
図4は、加熱部材210bの底部を示す模式図である。図4に示すように、加熱部材210bの底部には、複数のコネクタ受け270が配設されている。具体的には、キュベットホイール193の回転が停止したときにコネクタ280と対向する加熱部材210bの各位置に、コネクタ受け270がそれぞれ配設される。そして、コネクタ280は、キュベットホイール193の回転が停止したときに対向位置に移動されたコネクタ受け270と嵌合するようになっている。
【0035】
具体的には、コネクタ280は、接続部材移動制御手段としてのコネクタ駆動部290によってコネクタ受け270に着脱される。コネクタ駆動部290は、キュベットホイール193の間欠的な回動と同期してコネクタ280を上下動させて、その位置を変位させる。すなわち、このコネクタ駆動部290には、制御部4からキュベットホイール193の回転タイミングおよび回転停止タイミングが入力される。この制御部4からの入力に基づき、コネクタ駆動部290は、キュベットホイール193の回転時には、図3−1に示すようにコネクタ280を下降させてコネクタ受け270から離間させる。そして、コネクタ駆動部290は、キュベットホイール193の回転停止時には、図3−2に示すようにコネクタ280を上昇させてコネクタ受け270に嵌合させ、ヒータ220bおよび温度センサ250bとヒータ駆動部240bとを電気的に接続する。
【0036】
より具体的には、ヒータ駆動部240bは、ヒータ220bに電力を供給する加熱駆動手段としての電力供給部241と、温度センサ250bの検出値をもとに電力供給部241からヒータ220bに供給される供給電力を調整して、キュベットCの温度を所定温度に保持する加熱制御手段としての加熱制御部243とを備えており、コネクタ280とコネクタ受け270との嵌合によって、キュベットホイール193と一体に回動するヒータ220bと加熱部材210bの下方に固定配置されるヒータ駆動部240bの電力供給部241とを接続する電力供給用の配線が接続され、各部が電気的に接続されるとともに、ヒータ220bに設けられた温度センサ250bとヒータ駆動部240bの加熱制御部243とを接続する信号伝送用の配線が接続され、各部が電気的に接続される。
【0037】
なお、加熱制御部243には、制御部4からキュベットホイール193の回転タイミングおよび回転停止タイミングが入力される。この制御部4からの入力に基づき、加熱制御部243は、電力供給部241による電力供給/遮断を制御する。すなわち、電力供給部241は、加熱制御部243の制御のもと、キュベットホイール193の回転が停止し、コネクタ280が上昇してコネクタ受け270に嵌合している間は電力供給を行い、キュベットホイール193が回転し、コネクタ280が下降してコネクタ受け270から離間している間は電力供給を行わない。
【0038】
以上説明したように、実施の形態2によれば、反応テーブル19bにおいて、キュベットCを保持するキュベットホイール193の下方に、ヒータ220bと、ヒータ220bから発生した熱をキュベットホルダー193に伝達するヒータブロック230bとで構成された加熱部材210bをキュベットホイール193と一体的に設け、キュベットホイール193の間欠的な回動に伴って、加熱部材210bとヒータ駆動部240bとを電気的に接続するためのコネクタ280を加熱部材210bに設けられたコネクタ受け270から離接させることができる。具体的には、キュベットホイール193の回転時には、コネクタ280をコネクタ受け270と離間させ、キュベットホイール193の回転停止時には、コネクタ280をコネクタ受け270に嵌合させることができる。これによれば、加熱部材210bとヒータ駆動部240bとの接続にスリップリング等を介在させる必要がなく、電力供給用の配線や信号伝送用の配線の捩れを防止するために反応テーブル19bを定期的に反転させるといった制御も必要ない。また、ヒータブロック230bがキュベットホイール193の底部と接触してキュベットホイール193を直接加熱することができる。したがって、容器の加熱を簡単な構成で効率よく行うことができる。
【0039】
なお、実施の形態2では、図3−1等に例示したように、温度センサ250bをヒータ220bに設ける場合について説明したが、温度センサの設置位置は図示の例に限定されるものではない。例えば、キュベットCが載置されるキュベットホイール193側の所定位置に設置し、キュベットCの周辺温度を検出して加熱制御部243に出力する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】自動分析装置の内部構成の一例を示す概略斜視図である。
【図2−1】実施の形態1における反応テーブルの半径方向の一部縦断面図である。
【図2−2】実施の形態1における反応テーブルの半径方向の一部縦断面図である。
【図3−1】実施の形態2における反応テーブルの半径方向の一部縦断面図である。
【図3−2】実施の形態2における反応テーブルの半径方向の一部縦断面図である。
【図4】実施の形態2における加熱部材の底部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 自動分析装置
11 検体テーブル
13 検体分注機構
15(15−1,2) 試薬テーブル
17(17−1,2) 試薬分注機構
19 反応テーブル
193 キュベットホイール
195 保温部材
200 加熱装置
210 加熱部材
220 ヒータ
230 ヒータブロック
231 接触面
240 ヒータ駆動部
241 電力供給部
243 加熱制御部
250 温度センサ
260 ヒータ昇降駆動部
23(23−1,2) 攪拌装置
25 測定光学系
27 洗浄装置
4 制御部
41 分析部
43 入力部
45 出力部
B 試薬容器
C キュベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器を複数載置する回転可能な載置台と、
前記載置台を間欠的に回動させる載置台回動制御手段と、
熱を発生して前記容器を加熱する加熱手段と、
前記載置台の回転停止時に前記加熱手段を前記載置台と接触させ、前記載置台の回転時に前記加熱手段を前記載置台から離間させるように前記加熱手段を移動させる移動駆動手段と、
を備えることを特徴とする恒温槽。
【請求項2】
前記加熱手段に設けられ、前記容器の加熱温度を検出する温度検知手段と、
前記温度検知手段の検出結果をもとに前記加熱手段の加熱制御を行って、前記容器を所定温度に保持する加熱制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の恒温槽。
【請求項3】
液体を収容する容器を複数載置する回転可能な載置台と、
前記載置台を間欠的に回動させる載置台回動制御手段と、
前記載置台と一体的に設けられ、熱を発生して前記容器を加熱する発熱体と、
前記発熱体に電力を供給して駆動し、前記発熱体を発熱させる加熱駆動手段と、
前記発熱体に設けられた被接触部に接触して前記加熱駆動手段と前記発熱体とを電気的に接続する接触部材と、
前記載置台の回転停止時に前記接触部材を前記被接触部に接触させ、前記載置台の回転時に前記接触部材を前記被接触部から離間させるように前記接触部材を移動させる接続部材移動制御手段と、
を備えることを特徴とする恒温槽。
【請求項4】
前記容器の加熱温度を検出する温度検知手段と、
前記温度検知手段の検出結果をもとに前記発熱体による加熱制御を行って、前記容器を所定温度に保持する加熱制御手段と、
を備え、
前記接触部材は、前記被接触部との接触によって、前記温度検知手段と前記加熱制御手段とを電気的に接続することを特徴とする請求項3に記載の恒温槽。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の恒温槽を備えることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−42117(P2009−42117A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208459(P2007−208459)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】