患者のアクセスの切断を検出するためのシステムおよび方法
【課題】患者へのアクセスの切断を検出するシステムを提供する。
【解決手段】アクセスの切断を検出するための装置、デバイス、システムおよび方法が提供される。治療の間患者と医療システムとの間を通る流体と流体連絡および電気通信した、電気的接続12を備える。この点に関して、患者からのアクセスデバイスの取り外しのような、アクセスの切断を検出するための直接接触測定を使用し得る。このアクセスを通って、薬物送達、透析治療などの治療の間、流体が流れ得る。
【解決手段】アクセスの切断を検出するための装置、デバイス、システムおよび方法が提供される。治療の間患者と医療システムとの間を通る流体と流体連絡および電気通信した、電気的接続12を備える。この点に関して、患者からのアクセスデバイスの取り外しのような、アクセスの切断を検出するための直接接触測定を使用し得る。このアクセスを通って、薬物送達、透析治療などの治療の間、流体が流れ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は一般に、医学的処置のための患者のアクセス切断システムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、透析治療を含む医学的処置または医学的療法の間の患者のアクセスデバイスの取り外し(dislodgment)のような患者のアクセス切断の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なる医学的処置が、患者と、患者内に挿入される針(単数または複数)または任意の適切なアクセスデバイスを介して患者に接続される体外システムとの間への血液の送達のような患者へのおよび/または患者からの流体の送達に関する。例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーションは全て、患者の血液から老廃物、毒素および過剰の水を直接取り除く処置である。これらの処置の間、患者は、体外の機器に接続され、そして、患者の血液が機器から押し出される。老廃物、毒素および過剰の水が患者の血液から取り除かれ、そして、血液が再び患者に注入される。患者の血液を体外の機器へとおよび体外の機器から患者の血液を輸送するために、針または他の適切なアクセスデバイスが患者の静脈アクセスに挿入される。従来の血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション処置は、数時間継続され得、そして、一般に、1週間に約3〜4回、処置センターにて実施される。
【0003】
これらの血液処置のいずれかの間、患者の血管アクセス(動脈−静脈移植片またはフィステルを含む)に挿入された針の取り外しのようなアクセスデバイスの取り外しが生じ得る。すぐに検出されない場合、これは、患者に有意な量の血液の喪失を生じ得る。針の取り外しに関する危険性はかなりのものである。この点に関して、血液の喪失をモニタリングするための重要な基準としては、例えば、針の取り外しの検出に関する感受性、特異性および応答時間が挙げられる。感受性、特異性および応答時間のレベルを向上させることで、針の取り外しの検出が亢進され得、そして取り外しに起因する血液の喪失が最小化され得る。
【0004】
代表的には、医学的処置(例えば、血液透析、血液濾過または血液ダイアフィルトレーション)を受けている患者は、針の取り外しを検出するために視覚的にモニタリングされる。しかし、針は、患者または医療スタッフに丸見えであり得ず(すなわち、針はブランケットで覆われ得る)、その結果、検出が遅れ得、従って、患者に対する血液の喪失を最小にするための体外機器の血液ポンプを止めることのような、取り外しに鑑みて取られる応答作動が遅れ得る。
【0005】
さらに、生活の質の向上、罹患率および死亡率の両方の観測数の減少、ならびにセンターでの処置よりの低い費用の点から、自己管理および在宅の血液療法に対する新たな関心が生じている。このような在宅血液療法(血液透析、血液濾過または血液ダイアフィルトレーションのいずれであれ)は、夜間および日中の両方の処置を可能にする。これらの自己管理および在宅血液セッションの間、特に夜間の在宅血液セッションの間、患者が眠っている場合、取り外しの危険性はより重大である。なぜならば、取り外しを検出する看護士または他の付添い人がいないからである。
【0006】
種々の異なる体液を検出および/またはモニタリングするための種々の異なるセンサを備えるデバイスが公知であるが、これらのデバイスは、針の取り外しを検出するのにはぴったり適合され得ない。例えば、pH、温度および導電率を含むセンサを備える公知のデバイスが、ベッドの湿気およびおむつの湿気を検出するのに利用されている。さらに、圧力センサおよび/または流体センサデバイスを備えるデバイスが公知であり、流体の流れ(患者へのおよび/または患者からの血流を含む)をモニタリングするために、透析治療などの医学的処置の間に使用される。しかし、これらの型の検出デバイスは、針の取り外しに起因する患者からの血液の喪失を検出するために適用される場合、適切なレベルの感受性および応答性を提供し得ない。静脈圧は針の取り外しをモニタリングするのに使用されることが知られているが、針の脱離(drop−out)にはあまり感受性でない。
【0007】
血液の電気伝導性に基づいて、脈管アクセスをモニタリングするための、さらなる他のデバイスおよび方法が、一般に公知である。例えば、特許文献1(豪州特許番号760,338号(特許文献2(PCT公開番号WO99/12588に)基づく)は、2つの点(これらの点を通って、電流が、体外回路(この回路は、閉じた導体ループを形成する)を流れる血液に誘導される)を備える電気回路を使用する。従って、各コイルは、血液が配管を通って循環する際に、この血液に直接接触しない。この点に関して、電流は、コイルの1つを通って流れる交流によって、体外回路を流れる血液中に発生される。次いで、第二のコイルは、誘導された電流が血液回路を流れる際に、この電流の電圧の変化を測定するために利用される。
【0008】
この点に関して、電流は、多数の高インピーダンスの構成要素(例えば、血液ポンプ、気泡トラップ、ピンチクランプなど)を備える血液処理システムに結合される。伝導性流体ループの大きいインピーダンス(蠕動ポンプおよび他の構成要素に起因する)に起因して、患者に安全な電流の誘導および検出は、実用不可能なほど複雑な設計のコイルおよびシステムを必要とする。さらに、高レベルの雑音が、このようなレベルの誘導電流の使用から、必然的に生じる。このことは、検出の感度に悪影響を与え得る。より低い電流が使用される場合、流体コイルは、このような低い電流レベルを検出するために、大きさを増加されなければならない。このことは、特に透析治療の間に適用される場合に、使用の際に非実用的であり得る。
【0009】
特許文献3(PCT公報番号WO 01/47581)は、患者の心血管系へのアクセ
スをモニタリングするための方法およびデバイスを開示する。アクセスのモニタリングは、患者に接続された血液回路に沿った別々の点において電流を生成および検出し得る電気回路を使用する。電流は、各々が血液回路チューブの周りに配置された金属チューブを備える容量性コネクタを用いて血液に導入される。この点に関して、金属チューブは、コンデンサーの第1のプレートを規定し;血液回路チューブは誘電体を規定し;そして、血液回路チューブ内の血液は、コンデンサーの第2のプレートを定義する。
【0010】
血液回路を通って流れる血液において電流を生成するために、発電器が1対の位置の間の電位差に適用される。検出器は、第1の接触点と静脈針との間の静脈枝の少なくとも1セクションに沿って電流を測定するために、さらなる別々の対の接触点を使用する。次いで、電圧の変化(dV)が、電流の測定された変化に基づいて決定され、そして参照範囲(I)と比較されて、アクセス状態をモニタリングし得る。この点に関して、特許文献3は、静脈アクセス状態をモニタリングするために複数セットの容量性コネクタを使用する複雑な回路設計を必要とする。このことは、同じものを使用するのに原価および費用を増加し得る。
【0011】
さらに、電気信号を血液回路に投入するためおよび/または検出目的のための容量性連結の単なる使用は、問題であり得る。この点に関して、信号は、チューブがコンデンサーの誘電体のように作用するように血液回路のチューブを通過しなければならない。このことは、血管アクセス状態の変化の検出に関して、過剰レベルの雑音および/または他の障害を生じ得る。
【0012】
この点に関して、患者のアクセス状態をモニタリングするのに使用され得る公知のデバイス、装置、システムおよび/または方法は、例えば針の脱離に応答する、アクセス状態の変化を検出し得ず、血液の喪失の即時の検出を確認し、その結果応答性に測定値を確認するのに十分な感受性および特異性を伴って、血液の喪失を最小にするのに用いられ得ると考えられる。適用されるように、20秒以上の時間が、例えば、静脈針の取り外しに起因する血液の喪失の前に経過する場合、400ml/分の血流速度(代表的な透析治療である)で100mlを超える血液の喪失が生じ得る。従って、患者からのアクセスデバイス(例えば、針)の取り外しの即時的な検出に迅速に応答する能力が、患者の安全性を確保するのに必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】豪州特許番号第760,338号明細書
【特許文献2】国際公開第WO99/12588号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO01/47581号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、例えば針の取り外しに応答するアクセス状態の変化を検出するための装置、デバイス、システムおよび方法を設計することに労力が向けられており、ここでは、検出はこのようなアクセス変化に感受性、特異的かつ即時に応答し、その結果、同じようなものに起因する患者からの血液の喪失を最小にするために応答性の測定が適切になされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、アクセスデバイスの取り外しまたは切断(例えば、透析治療の間に患者に挿入される針の取り外し)を検出するための、改善されたデバイス、装置、システム、および方法を提供する。本発明のデバイス、装置、システム、および方法は、多数の電気的接触部を有する電気回路を利用し、これらの接触部は、流体回路と流体接触し、その結果、電気信号が、少なくともセグメント(例えば、伝導性流体回路の少なくとも一部に沿って規定されるループ)に導入され得る。この点に関して、直接接触測定が使用されて、アクセス状態の変化に応答性の電気的値の変化(例えば、医療的治療(例えば、透析治療および投薬送達が挙げられる)の間の患者からの針または他のアクセスデバイスの取り外しに起因する、インピーダンスの変化)の即時の検出を提供し得る。
【0016】
本発明の利点は、アクセスの切断を検出するための、改善されたデバイス、装置、システム、および/または方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる利点は、医療的治療(透析治療が挙げられる)の間の、患者からのアクセスデバイスの取り外しを検出するための、改善されたデバイス、装置、システムおよび/または方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の利点は、透析治療の間の針の離脱を検出するための、改善されたデバイス、装置、方法および/またはシステムを提供することである。
【0019】
本発明のなお別の利点は、自己管理および家庭での血液処置の間のアクセスの切断を検出するための、感受性の、特異的な、かつ応答性の装置および/またはデバイスを提供することである。
【0020】
さらに、本発明の利点は、患者の循環系の一部を使用する透析治療を、患者が自己実施すること、または非医療設備において、他の非医療人員が実施することを可能にするための、利用可能なデバイスまたは装置を提供することである。
【0021】
なおさらに、本発明の利点は、直接的な伝導性測定を使用する、アクセスの切断を検出するための改善された装置を提供することである。
【0022】
なおまたさらに、本発明の利点は、血液回路を通って流れる血液と流体接触および電気接触する電気回路を利用して、直接の伝導性測定がなされることを可能にする、アクセス切断検出の装置、方法および/またはシステムを提供することである。
【0023】
さらに、本発明の利点は、患者からの血液の損失をモニタリングおよび/または制御するための、改善されたデバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0024】
本発明の別の利点は、アクセスの切断(例えば、透析治療の間に血液が流れる、患者に挿入された針の取り外し)を検出し得、そして任意の生じる血液損失を最小にし得る装置、デバイスおよび/またはシステムを使用する、透析のための改善された方法を提供することである。
【0025】
本発明のなお別の利点は、電気的接触部を流体回路に接続して、電気的接触部と、流体回路を通って流れる流体との間に、流体連絡および電気通信を可能にするための、改善されたデバイスである。
【0026】
本発明のなお別の利点は、アクセスの取り外し(例えば、透析治療の間の針の離脱)を、増強された感度、正確さおよび応答性で検出するための、改善された装置、デバイス、システムおよび/または方法である。
【0027】
本発明のなおさらに別の利点は、例えば、医療的治療(例えば、投薬送達および単一針の血液治療)の間の単一のアクセスデバイスの取り外しに起因する、流体の損失を検出するための、改善された装置、デバイス、システムおよび/または方法である。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図に記載されているか、またはこれらから明らかである。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
医療流体との電気的接触部を提供するためのデバイスであって、上記デバイスは、以下:管であって、上記管を通って、薬物流体が流れ得る、管;ならびに
上記管に接続された伝導性要素であって、上記伝導性要素は、上記医療流体に曝露された第一の部分、および上記管の外側の第二の部分を有する、伝導性要素、
を備える、デバイス。
(項目2)
上記デバイスが、透析治療の間に使用される血液配管セットに結合される、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記デバイスが、透析機械に取り付けられ、上記デバイスを通して、上記血液配管が上記透析機械に接続され得る、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
上記伝導性要素が、上記医療流体を通過する電気信号に関連する電気的値の測定可能な変化に応答して、患者と上記血液配管セットとの間の切断を検出するために使用され得る、項目2に記載のデバイス。
(項目5)
上記第一の部分が、円筒形状の伝導性部材を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記第二の部分が、環状部分を有するハウジングを備え、上記環状部分を通して、上記円筒形状の伝導性部材が上記管に固定され得る、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
上記円筒形状の伝導性部材が、ステンレス鋼から構成される、項目5に記載のデバイス。(項目8)
上記第二の部分が、クランプ機構を備え、上記クランプ機構は、上記管の外側表面を閉位置に固定し得る、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
上記第一の部分が、伝導性部材を備え、上記伝導性部材は、上記クランプ機構に取り付けられ、そして上記閉位置において、上記管を穿孔して、上記伝導性部材と上記医療流体との間の流体接触を可能にするように適合されている、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
流体導管中の医療流体との電気的接触部を提供するためのデバイスであって、上記デバイスは、以下:
第一の部材であって、上記第一の部材は、環状部分、および上記環状部分に接続された第一のステム部分を備え、上記環状部分は、上記医療流体と流体接触させて伝導性部材を収容し得、ここで、上記ステム部分は、上記ステム部分を通って上記環状部分まで延びる開口部を有する、第一の部材;
第二の部材であって、上記第二の部材は、溝領域を有する基部、および第二のステム部分を備え、上記ステム部分は、上記ステム部分を通って上記溝領域まで延びる開口部を有し、上記第一の部材が上記第二の部材に挿入され、そして固定されることを可能にする、第二の部分;ならびに
接触部材であって、上記第一のステム部分および第二のステム部分を嵌合させ、そして上記接触部材を上記伝導性部材の少なくとも一部に当接させて、上記伝導性部材と上記接触部材との間に電気的接続が作製されることを可能にするように適合されている、接触部材、
を備える、デバイス。
(項目11)
上記第一の部材および上記第二の部材が、摩擦係合で取り付けられている、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
上記第一の部材および上記第二の部材が、螺合係合で取り付けられている、項目10に記載のデバイス。
(項目13)
上記接触部材が上記電気的接触部に当接することを可能にするばね機構をさらに備える、項目10に記載のデバイス。
(項目14)
上記デバイスが、透析治療の間に使用される血液配管セットに結合される、項目10に記載のデバイス。
(項目15)
上記デバイスが、透析機械に取り付けられ、上記デバイスを通して、上記配管セットが上記透析機械に接続され得る、項目14に記載のデバイス。
(項目16)
上記伝導性部材が、上記医療流体を通過する電気信号に関する電気的値の測定可能な変化に応答して、患者と上記血液配管セットとの間の取り外しを検出するために使用され得る、項目14に記載のデバイス。
(項目17)
上記伝導性部材が、円筒形本体を規定するステンレス鋼材料から構成されており、上記円筒形本体を通って、流体が流れ得る、項目10に記載のデバイス。
(項目18)
保持部材をさらに備え、上記保持部材は、上記接触部材を、上記デバイスの第二のステム部分内に固定するように適合されている、項目10に記載のデバイス。
(項目19)
患者を医療システムに接続するために、医療的治療の間に使用される血液配管セットであって、上記血液配管セットは、以下:
第一の血液ラインおよび第二の血液ラインであって、上記患者内に挿入されたアクセスデバイスを介して、上記患者を上記医療システムに接続し、血液が、上記血液中に電気信号を通しながら上記患者と上記医療システムとの間を流れることを可能にする、第一の血液ラインおよび第二の血液ライン;ならびに
1対の電気的接触部であって、上記血液と流体接触して上記血液配管セットに取り付けられ、医療的治療の間に、上記アクセスデバイスの取り外しの検出を可能にする、1対の電気的接触部、
を備える、血液配管セット。
(項目20)
上記第一の血液ラインが、動脈血ラインを備え、そして上記第二の血液ラインが、静脈血ラインを備える、項目19に記載の血液配管セット。
(項目21)
上記アクセスデバイスが、針、カテーテル、静脈針および動脈針からなる群より選択される、項目19に記載の血液配管セット。
(項目22)
上記電気的接触部の対が、制御装置に接続され、直接接触測定を使用して、取り外しの検出を可能にする、項目19に記載の血液配管セット。
(項目23)
患者を透析システムに接続するために、透析治療の間に使用される血液配管セットであって、上記血液配管セットは、以下:
第一の血液ラインおよび第二の血液ラインであって、上記患者内に挿入されたアクセスデバイスを介して、上記患者を上記透析システムに接続し、血液が、上記血液中に電気信号を通しながら上記患者と上記透析システムとの間を流れることを可能にする、第一の血液ラインおよび第二の血液ライン;
1対の電気的接触部であって、上記血液と流体接触して上記血液配管セットに取り付けられる、1対の電気的接触部、ならびに
電気的接触部結合デバイスであって、上記電気的接触部の少なくとも1つを上記血液配管セットに取り付け、透析治療の間、上記アクセスデバイスの取り外しの検出を可能にする、電気的接触部結合デバイス、
を備える、血液配管セット。
(項目24)
上記第一の血液ラインが、動脈血ラインを備え、そして上記第二の血液ラインが、静脈血ラインを備える、項目23に記載の血液配管セット。
(項目25)
上記電気的接触部結合デバイスが、透析機械に取り付けられ、上記血液配管セットが上記透析機械に結合されることを可能にする、項目23に記載の血液配管セット。
(項目26)
上記電気的接触部が、制御装置に結合され、直接接触測定を使用して、取り外しの検出を可能にする、項目23に記載の血液配管セット。
(項目27)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目1に記載のデバイスを備える、項目23に記載の血液配管セット。
(項目28)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目10に記載のデバイスを備える、項目23に記載の血液配管セット。
(項目29)
透析システムであって、以下:
透析機械であって、患者を上記透析機械に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを備える、透析機械;
血液配管セットであって、第一の血液ラインおよび第二の血液ラインを備え、上記血液ラインは、上記患者および上記透析機械に結合され、これによって、血液回路を規定し、上記血液回路に沿って、血液が、上記血液中に電気信号を通しながら、上記患者と上記透析機械との間を流れ得る、血液配管セット;ならびに
少なくとも1つの電気的接触部結合デバイスであって、電気的接触部を上記血液回路に、血液と流体接触させて取り付け、アクセスの取り外しの検出を可能にする、少なくとも1つの電気的接触部結合デバイス、
を備える、透析システム。
(項目30)
上記電気的接触結合デバイスが、上記透析機械に取り付けられている、項目29に記載の透析システム。
(項目31)
1対の電気的接触部結合デバイスの各々が、上記血液回路に、それぞれの電気的接触部を取り付ける、項目29に記載の透析システム。
(項目32)
上記1対の電気的接触部が、制御装置に取り付けられ、直接接触測定を使用して、アクセスの取り外しの検出を可能にする、項目31に記載の透析システム。
(項目33)
上記制御装置が、上記直節接触測定から誘導される信号を処理し得、アクセスの取り外しに起因する血液の損失を最小にする、項目32に記載の透析システム。
(項目34)
上記信号が処理されて、上記透析機械の血液ポンプを停止させ得る、項目33に記載の透析システム。
(項目35)
上記信号が処理されて、透析治療の自動的終結を可能にし得る、項目33に記載の透析システム。
(項目36)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目1に記載のデバイスを備える、項目29に記載の透析システム。
(項目37)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目10に記載のデバイスを備える、項目29に記載の透析システム。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】図1Aは、患者内に挿入可能な2つの針を示す本発明の1つの実施形態の概略図を示し、この針を通って血液が体外システムへとおよび体外システムから流れる。
【図1B】図1Bは、透析治療の間に針の取り外しを検出し得る本発明の1つの実施形態の概略図を示す。
【図1C】図1Cは、単一の針を介して実施される医学的治療の間の、アクセス切断の検出能力を示す、本発明の1つの実施形態の透視図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の1つの実施形態における電気的接触部連結デバイスの展開図を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の1つの実施形態における図2Aの連結デバイスの側断面図を示す。
【図2C】図2Cは、本発明の連結デバイスの別の実施形態を示す。
【図2D】図2Dは、同じ構成要素間のネジ係合を示す本発明の連結デバイスの別の実施形態を示す。
【図2E】図2Eは、図2Dの断面図を示す。
【図2F】図2Fは、本発明のカップリングデバイスの別の実施形態を示す。
【図3】図3は、処置の間のベースラインインピーダンスの変化を補正するための測定可能な電圧信号の処理に関する本発明の1つの実施形態を模式的に示す。
【図4A】図4Aは、本発明の1つの実施形態における血液透析機器を模式的に示す。
【図4B】図4Bは、本発明の1つの実施形態におけるチューブセットを介して患者のアクセスに連結される血液透析機器を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明は、アクセス切断を検出するための医療デバイス、装置、システムおよび方法を提供する。より具体的には、本発明は、部分的に、流体回路と流体接触および電気連絡する電気接触点を有する電気回路を使用し、直接的な導電率の測定を使用でき、その結果、患者と流体回路との間に流体が流れる針または他のアクセスデバイスの取り外しが即時的に検出され得る、医療デバイス、装置、システムおよび方法を提供する。この点に関して、例えば、医療処置(例えば、透析治療、医薬送達など)を受けている患者からの針の取り外しに起因する流体の喪失(すなわち、血液の喪失)を制御でき、最小にされ得る。
【0031】
本発明が、針の取り外しの検出に限定されず、任意の適切なアクセスデバイスの取り外しまたは切断の検出に使用され得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「アクセス切断」または他の同様の用語は、患者に接続される流体回路に沿って流れる導電性流体の喪失または漏出を生じ得る任意の適切な状態または事象を意味するが、但し、流体回路に連結される電気的接触部間の電気的連続性の変化が検出され得る。インピーダンスのような電気値によって測定される導電性の変化が患者からのアクセスデバイスの取り外しの不在下においても検出され得ることが理解されるべきである。本明細書中で用いられる場合、用語「アクセスデバイス」または他の同様の用語は、患者内に挿入され得、その結果、流体(血液を含む)がアクセスデバイスを介して患者に、患者を通って、および/または患者から通過され得る、適切なデバイスを意味する。アクセスデバイスは、種々の異なる適切な形状、サイズおよび原材料物質を含み得る。アクセスデバイスの例としては、針、カテーテル、カニューレなどが挙げられる。アクセスデバイスは、例えば、ステンレス鋼、プラスチックなどの生体適合性物質を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【0032】
以下に示す実施形態において、装置および/またはデバイスは、透析治療(例えば、血液透析、血液濾過または血液ダイアフィルトレーション)における使用のために設計されているが、本発明は、種々の異なる適切な流体システム(例えば、体外血液システム)を使用する多数の異なる医学的療法において使用され得ることが注意されるべきである。例えば、本願の発明は、医学的溶液(medicalsolution)または薬物、血液、血液製剤、処理した血液などを、患者と流体システムとの間に送達するために、患者内に挿入可能な単一の針を使用し得る静脈内注入の間に使用され得る。さらに、本発明は、血漿交換療法に用いられ得、ここで、全血を血漿および細胞成分に分けるために膜が用いられる。
【0033】
透析治療に関して、本発明は、腎不全を処置するための種々の異なる治療において使用され得る。透析治療との用語または文書中を通じて使用される同様の用語は、患者の血液を使用して患者から老廃物、毒素および過剰の水を取り除く治療の任意のおよび全ての形態を含みかつ包含することを意味する。このような治療としては、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーションを含む断続的治療、ならびに連続的腎交換療法(CRRT)に使用される連続的治療の両方が挙げられる。これらの連続的治療としては緩徐な連続的限外濾過(SCUF)、連続的静脈−静脈血液濾過(CVVH)、連続的静脈−血液透析(CVVHD)および連続的静脈−静脈血液ダイアフィルトレーション(CVVHDF)が挙げられる。透析治療はまた、連続的腹膜透析、自動化腹膜透析および連続的な流体腹膜透析のような腹膜透析を含み得る。さらに、1つの実施形態において、本発明は慢性的な腎不全または腎疾患を有する患者に透析治療を提供する方法において使用され得るが、本発明は、例えば、緊急治療室の環境における急性の透析の要求に対して使用され得ることが理解されるべきである。最後に、当業者が理解するように、治療の断続的な形態(すなわち、血液濾過、血液透析および血液ダイアフィルトレーション)が、センター内、自己/制限型管理ならびに在宅環境において使用され得る。
【0034】
1つの実施形態において、本発明は、流体回路と流体接触および電気連絡する多数の電気的接触部、好ましくは1対の電気的接触部を備える電気回路を含む。電気的接触部は、任意の適切なデバイスを備え得、これを介して流体回路との電気接続がなされ得、それによってその中に導電経路または導体ループを規定する。次いで、電気値または導体ループに関する任意の適切なパラメータの変化が以下に記載されるようなアクセス状態の変化に応答してモニタリングされ得る。1つの実施形態において、電気的接触部は、流体回路に連結され、その結果以下に議論するように流体回路を通って流れる流体と流体接触して電気接続がなされ得る、電極を備える。
【0035】
例えば、定電流または他の適切な電気信号が、流体回路と流体接触および電気接触する電極対を介して流体回路に投入され得、それによって流体回路の少なくとも一部に沿った導体ループを規定する。次いで、電気値、好ましくはインピーダンスの変化が、アクセス切断に応答して測定され得る。これは、流体が、針(単数または複数)または患者内に挿入される他のアクセスデバイスを介して患者と流体システム(すなわち、体外血液システム)との間に流れる際に、流体(例えば、血液、医学的溶液などを含む導電性流体)インピーダンスまたは他の適切な電気的パラメータの変化を検出し得る直接的な導電率測定を提供し得る。
【0036】
この点に関して、本発明は、針(例えば、静脈針および/または動脈針)または他のアクセスデバイスの取り外しを効率的に検出し得、このアクセスデバイスを通って、血液または他の適切な流体が、患者へと、患者を通って、および患者から流れ得る(例えば、透析治療の間に使用される血液回路)。本発明の検出能力は、例えば、患者からのアクセスデバイスの切断から生じる流体の喪失に起因する導電性流体(単数または複数)の電気的パラメータ(例えば、インピーダンス)の測定可能な変化に基づいて、即時的であると考えられる。
【0037】
本発明の即時性の検出能力は、血液の喪失が生じるのを検出することおよび血液の喪失を停止するような応答作動が遅延する場合に、かなりの量の血液の喪失が比較的短い時間内に生じ得る透析治療に適用される場合、特に重要である。代表的な透析条件下で、取り外しに起因する血液の喪失が検出され、かつ停止する前に、20秒以上が経過する場合、代表的な血流速度である400ml/分に基づくと、100mlより多くの血液が喪失され得る。
【0038】
本出願人は、本発明が、その即時的な検出能力に加えて、高い程度の感受性および特異性で、特に透析治療の間の静脈針の取り外しに応答する、アクセス切断を検出し得ることを発見した。本発明の直接接触測定は、透析治療の間に血液が血液回路を通って流れる際の、針の取り外しなどに起因する電気値、好ましくはインピーダンスの変化を検出し得る。本明細書中で使用される場合、用語「電気値」または他の類似の用語は、電気回路に代表的に関連する任意の適切な電気的パラメータ(例えば、インピーダンス、抵抗、電圧、電流、これらの変化速度、およびこれらの組み合せ)を意味する。インピーダンスなどの変化の検出は、針が取り外されたか、または他の類似の状態が生じていることの指標である。本発明の検出能力がまた、針(単数または複数)が取り外されていないか、少なくとも全体的に取り外されていない場合でさえ、医学的治療の間の血液喪失を効率的に検出し得ることが注目される。この点に関して、本発明は、高い程度の感受性および特異性で、血液の喪失に起因するインピーダンスなどの変化を即座に測定するという、本発明の能力に基づいて患者からの血液の喪失を制御可能に最小にするのに効率的に使用され得る。
【0039】
本発明のデバイスおよび装置は、適用される医学的治療に依存して種々の異なる構成要素および配置を備え得、その結果、針の取り外しなどに起因する流体の喪失(特に、血液の喪失)が効率的にモニタリングされ得る。
【0040】
(多重アクセス切断)
ここで、図1Aを参照して、本発明の装置10の実施形態は、血液回路16の血液配管セット14と流体接触する1対の電気的接触部12を備える。血液回路16は、例えば、透析治療(血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、連続的腎臓置換など)または血漿治療に適用されるように、患者18と体外血液システム20とを接続する。電気的接触部12の対は、第1の電気的接触部22および第2の電気的接触部24を備え、これらは、それぞれ、血液回路16の第1のチューブ部材26および第2のチューブ部材28に装着される。第1のチューブ部材26は、静脈針または患者の脈管アクセス領域(図示せず)に挿入された他の適切なアクセスデバイスに接続される。第2のチューブ部材28は、患者の脈管アクセス領域(図示せず)にも挿入された動脈針などに接続される。透析治療の間、例えば、血液は、患者18から動脈針を通って体外血液システム20(例えば、透析機器)へと、第2のチューブ部材28を介して流れ、この第2のチューブ部材28において、血液が処理され、そして第1のチューブ部材26を介し、静脈針を通って患者18に送達される。
【0041】
透析治療の間、血液が、血液回路を流れる際に、制御装置29によって生成された定常電流などが、電気的接触部対、好ましくは、以下に記載されるような電極対を介して流れる血液に注入または通過され得る。次いで、制御装置29に接続された電極対または他の適切な電子デバイスを使用して、未知の流体(例えば、血液)インピーダンスを横切る電圧変化または他の類似の電気的な値を測定し、脈管アクセス領域を横切るインピーダンスなどにおける変化を検出し得る。1つの実施形態において、一方の電極を使用して、電気信号を流体回路へ注入し得、一方、この対の他方の電極を使用して、電気的な値の変化を感知し得、そして、処理目的および検出目的のために同じものを示す電気信号を制御装置へ通じ得る。静脈針および動脈針のうちの少なくとも1つの血液回路からの取り外しまたは他の適切な状態の際に、インピーダンスなどの即座でかつ検出可能な増加は、正常な操作条件下で測定されたインピーダンスまたは他の適切なパラメータと比較されるように測定され得る。
【0042】
図1Aに具体化される本発明は、適用される医学的治療に依存して、種々の適切な方法で改変されうることが理解されるべきである。透析治療の間、例えば、静脈針および動脈針は、患者の身体の適切な部分(例えば、上腕、前腕(lowerarm)、上大腿領域など)上の患者の脈管アクセスへ挿入され得る。以前に考察されたように、本発明は、様々な異なる医学的治療(静脈内注入、血漿交換、医薬送達、薬物送達、血液送達を含む)および透析治療(すなわち、血液濾過、血液透析、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎臓置換)に適用され得る。
【0043】
図1Bに示されるように、本発明の装置30の実施形態が、透析治療の間に適用されるように示される。1つの実施形態において、本発明は、患者アクセス36内に挿入される静脈針32および動脈針34を備える。静脈針32および動脈針34は、多くのチューブ部材38を介して透析システム35に接続され、このチューブ部材38は、種々の透析システム35の構成要素(例えば、静脈滴下チャンバ40、透析膜42、動脈滴下チャンバ44および血液ポンプ46が挙げられる)に接続する。透析システムの1つ以上の構成要素は、血液回路に連結された透析機器内に提供され得ることが理解されるべきである。図1Bに示されるように、第1の電気的接触部連結デバイス48および第2の電気的接触部連結デバイス50は、透析システム35と静脈針32および動脈針34との間に配置される。本明細書で使用される場合、用語「電気的接触部連結デバイス」、「連結デバイス」または他の類似の用語は、電気的接触部と流体回路とを接続するために使用され得る任意の適切なデバイスを意味する。1つの実施形態において、電気的接触部連結デバイスを使用して、電気的接触部と流体回路とを接触させ得、以下に記載されるように流体回路が、流体回路を流れる流体により流体接触および電気接続が可能になる。
【0044】
1つの実施形態において、電気的接触部対、好ましくは、電極対は、制御装置52または他の適切な電子デバイスに接続される。血液および/または他の流体が血液回路を流れる際に、制御装置を使用して、電極対を介して血液および/または他の流体に電気信号を注入し得る。これは、電気的なパラメータまたは値の変化が測定され得る導体ループを提供する。電極対に連結される制御装置52をまた使用して、この変化を測定し得る。制御装置は、電気的接触部と電気接続する単一の電子デバイスまたは他の適切な数のデバイスを備え、電気信号を血液回路に入力し、それにより、導体ループを規定して、導体ループに関連する電気的なパラメータまたは値の変化を測定し得、そして/または以下に考察されるように、任意の他の適切なタスク(例えば、検出可能な信号を処理すること)を実行し得ることが理解されるべきである。
【0045】
好ましくは、電気信号は、取り外しが生じるまで電極に供給される定常電流から生成される。次いで、血液回路を循環する流体(例えば、血液)の未知のインピーダンスを横切る電圧を測定して(図示せず)、アクセス条件の変化に起因するインピーダンスの変化を検出し得る。しかし、任意の適切な電気的パラメータおよびその変化をモニタリングして、以前に記載されたように、針の脱離などを検出し得ることが理解されるべきである。
【0046】
以下に例証されるように、本発明の検出能力は、非常に高感度かつ特異的であり、アクセス切断(例えば、針の取り外し)に実質的に即座に応答する。さらに、本発明の電気回路は、設計が比較的簡易であり、その結果、好ましくは、1つの電極対が、直接的な導電性測定を実施するのに必要である。これにより、以前に考察されたような非侵襲的な検出技術(例えば、容量結合器および誘導コイル)を使用するのみである、公知の脈管アクセスモニタリング技術と比較して、コストと労力が軽減され得る。
【0047】
本出願人らは、測定された全インピーダンス(「Z」)は、並列の2つのひとまとめにしたインピーダンスとしてモデル化され得、1つのインピーダンス(「ZD」)は、ポンプセグメント、透析膜、滴下チャンバおよび/または透析システムの他の適切な構成要素などにより生成されることを発見した。他方のインピーダンス成分(「ZP」)は、患者の脈管アクセスによって形成され、そして、脈管アクセスなどに、そして脈管アクセスなどから血液を運ぶチューブに関連する。この点に関して、測定された全インピーダンスは、以下のようにZDおよびZPの両方の関数として特徴付けられ得る:
Z=(1/ZD+1/ZP)−1。
【0048】
この並列インピーダンスにもかかわらず、本出願人らは、制御装置と接続されている電気的接触部を使用して、血液が血液回路を流れる際の、アクセス切断(例えば、針の取り外し)に応答した導体ループに沿ったインピーダンスの変化を測定し得ることを発見した。針の取り外しが生じると、流体回路の少なくとも一部分に沿った導体ループは、閉回路から開回路へと変化し、従って、Z=ZDである(ここで、ZPは、無限に近づく)。この点に関して、本発明の直接的な導電性測定能力は、アクセス切断を検出するために有効に使用され得る。
【0049】
本出願人らは、ZD成分は、流体回路に連結された医療システム(例えば、透析システム)およびその構成要素(例えば、血液ポンプ、滴下チャンバなどを含む)の構成要素の、時間により変動する高インピーダンス効果に関連するあるレベルの電気的干渉を生じ得ることを注記する。本出願人らは、必要である場合、ZD成分に起因する干渉が、効率的に排除され得るか、または少なくとも低減され得ることを発見した。1つの実施形態において、Zなどの検出に関連する信号は、以下に考察されるようにさらに処理され得る。あるいは、1つの実施形態において、本発明の電気回路は、以下に記載されるように、血液回路に沿って規定される導体ループまたは経路からの透析システムの1つ以上の構成要素を遮断またはバイパスするように設計され得る。この点に関して、アクセス切断の検出に応答する正確性、感度および応答性が、増強され得る。
【0050】
1つの実施形態において、第3の電気的接触部点53を利用して、血液回路に連結された高インピーダンス構成要素(例えば、血液ポンプなど)に対する干渉を最小限にし得るか、または効率的に排除し得る。さらなる接触点は、任意の適切な方法で作製され得る。例えば、第3の接触点は、電気連続性が第3の接触点と連結デバイスの電極の1つとの間に確立され得る電極または他の適切なデバイスであり得る。1つの実施形態において、第3の電気的接触部は、流体回路を流れる流体と流体連絡および電気連絡している流体回路に装着され得る。
【0051】
第3の接触点53は、血液回路に沿った任意の適切な位置に配置され得る。好ましくは、第3の接触点53は、図1Bに示されるように、血液ポンプ46と連結デバイス50との間の任意の適切な位置に配置される。次いで、等化電位が、第3の接触点53と連結デバイス50の電極との間に適用され得る。この電位は、第1の連結デバイス48の電極と第2の連結デバイス50の電極との間に適用される電位に等しい電圧で適用される。
【0052】
これにより、効率的に、電流などが、一旦、血液回路に注入されると、透析システムの1つ以上の構成要素をバイパスする。1つの実施形態において、第3の接触点53は、図1Bに示されるように、電流などが透析システムの全ての構成要素を効率的にバイパスするように配置され得る。
【0053】
(単一アクセス切断)
本発明の電気的接触部は、患者に挿入される針または適切なアクセスデバイスに対して任意の適切な位置に配置され得る。図1Cに示されるように、アクセス検出の検出に対して適用される際の本発明の実施形態(例えば、患者内に挿入された単一アクセスデバイスの取り外し)が、示される。この型の適用は、単一のアクセスデバイス(例えば、単一の針)を介して投与される種々の異なる適切な医学的治療(静脈内注入および透析治療(血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎臓置換が挙げられる)を含む)に適用可能である。
【0054】
適用される場合、導電性流体(例えば、血液、血液製剤、医学的流体など)は、単一のアクセスデバイスを介して、患者と流体システムとの間を流れる。単一のアクセスデバイスの取り外しの検出としては、例えば、任意の適切な導電性の流体(例えば、血液または医療用薬物もしくは医療用溶液(すなわち、導電性流体(例えば、生理食塩水)に含まれる医薬)、処理された血液、血液製剤、静脈内溶液などまたはこれらの組み合わせ)の送達の間の針の取り外しの検出が挙げられ得る。流体送達は、適切な容器(例えば、血液バッグ)または類似の流体送達デバイスと患者との間でなされ得る。この点に関して、本発明によるアクセス切断の即時の応答性の検出は、単一の針を介して投与される医学的治療の間、血液または医学的流体(例えば、医薬または薬物)をモニタリングおよび制御するために有効に利用され得る。
【0055】
図1Cに示されるように、本発明の装置またはデバイス54の実施形態は、アクセスデバイス56(例えば、患者62の針挿入部位60内で血管58に挿入された針)を備える。針56は、チューブ部材64を介して、流体システム63(例えば、流体注入システム)に接続される。この注入システムとしては、例えば、血液などをコンテナ68(例えば、血液バッグ)から患者へと移動させるための、注入ポンプ66が挙げられる。第一の電気的接触部70は、チューブ部材64に沿って針56から間隔を空けており、そして第二の電気的接触部72は、挿入部位60の近くで患者に取り付けられる。第一の電気的接触部70は、流体が送達コンテナ68から患者へと流れる際に、この流体と流体接触する。
【0056】
この構成において、第一の電気的接触部および第二の電気的接触部(好ましくは、電極)は、流体回路中を電気信号が通過するにつれて、流体回路の少なくとも一部によって形成されるループ内の電気的値(好ましくは、インピーダンス)の変化をモニタリングするために使用され得る。電気的接触点は、電子デバイス74に結合され得、このデバイスは、以下に詳細に記載されるように、単一のアクセスデバイスの取り外しに起因するインピーダンスなどの変化に応答して、電極を通して伝達される検出可能な信号を処理し得る。好ましくは、電気信号は、電極に供給される定電流によって発生され、その結果、直接の伝導性測定が実施されて、脈管アクセス状態の変化(例えば、アクセス針の取り外し)に応答して、インピーダンスなどの変化を検出し得る。
【0057】
単一の針の適用において、測定されるインピーダンスは、流体(すなわち、血液)のインピーダンスと、挿入部位にわたって測定される場合のインピーダンスとの両方の関数であると考えられている。この点に関して、電子デバイス74は、インピーダンスを、電気的経路の全ての物品(すなわち、チューブ内の伝導性流体、針、静脈血管の血流、身体組織、感知電極72に関して皮膚を横切るインピーダンスなど)の合計したインピーダンスに等価なレベルで検出するように調節され得る。
【0058】
(電気的接触部)
先に議論されたように、本発明の電気的接触部は、流体が流体回路を通って流れるにつれて、流体と流体接触する。この点に関して、電気的接触部は、直接の伝導性測定を可能にし、この直接の伝導性測定は、高い感度および特異性で、アクセスの切断(例えば、透析治療の間の血液回路からの静脈針(動脈針または両方)の取り外し)に起因する、インピーダンスなどの変化(例えば、増加)を、即座に検出し得る。
【0059】
電気的接触部は、伝導性かつ生体適合性の、任意の適切な材料(例えば、任意の適切な電極材料(ステンレス鋼が挙げられる)、他の適切な伝導性材料、またはその組み合わせ)から構成され得る。この電極材料は、生体適合性であることが必須である。
【0060】
電気的接触部は、種々の異なる形状および大きさで構築され得ることが理解されるべきであり、その代表的な例が、以下に記載される。例えば、電気的接触部は、プラスター電極として構成または設計され得、これは、水分との接触の際に膨張し得る薬剤を含む。この薬剤としては、種々の適切な材料が挙げられ得、水分との接触の際に10倍より大きく体積が膨張することが公知のゲルが挙げられる。
【0061】
1つの実施形態において、プラスター電極は、患者内に挿入可能なアクセスデバイスの挿入部位において、先に議論されたような単一のアクセスデバイスを介する医療的治療の実施の間に、流体(すなわち、血液の漏出)を検出するために利用され得る。流体との接触の際に、プラスター電極は、必然的に、この電極接触が破壊されるような程度まで膨張し、これによって、流体が流体システムから針を介して患者へと流れる場合に、この流体のインピーダンスの検出可能な増加を引き起こす。
【0062】
1つの実施形態において、1つ以上の電極(図示せず)(例えば、先に議論されたような1つ以上のプラスター電極)が、例えば、図1Aおよび1Bに示されるような電気的接触部の対と組み合わせて使用され得る。例えば、プラスター電極は、動脈針と静脈針とのいずれかまたは両方の挿入部位の近くで、患者に取り付けられ得る。この点に関して、プラスター電極は、アクセスデバイスの挿入部位からの、流体(例えば、血液)の漏出を検出するために使用され得る。
【0063】
1つの実施形態において、電極対は、侵襲性の様式(以下に議論されるように、図2A〜2Cに示される)で血液回路に結合され、その結果、これらの電極は、先に議論されたように、血液と接触する。定電流源などを備える励起源が、これらの電極に適用されて、血液回路内に電気信号を導入し得、これによって、導体ループを規定し、このループに沿って、直接的な伝導性測定が実施され得る。
【0064】
患者の安全を確実にするために、励起源は、代表的に、機器の電源から絶縁される。好ましくは、励起源は、電極を介して血液を通過する定電流を生じる。任意の適切な量の電流が、検出の目的で発生され得る。1つの実施形態において、この電流は、血液を通過する場合に、約10マイクロアンペア以下、好ましくは、約5マイクロアンペア以下のレベルで維持される。本発明は、低レベルの電流(例えば、10マイクロアンペア以下)で操作され得、その結果、電流のレベルが、患者の健康および安全に対して無視できる影響を、もしあれば有することが理解されるべきである。
【0065】
インピーダンスまたは他の適切なパラメータは、種々の異なる適切な様式で測定および計算され得ることが理解されるべきである。例えば、定電流励起源の振幅、位相および/または周波数は、インピーダンスの変化の検出の間に測定および変動され得る。次いで、インピーダンスレベルは、電極を横切る電圧を測定することによって検出され得る。この点に関して、次いで、電圧の振幅、周波数および/または位相が測定され得、そして励起源の測定された振幅、周波数および/または位相と組み合わせて利用されて、血液インピーダンスレベルを、インピーダンスを計算するために代表的に使用される微分または方程式に基づいて計算し得る。
【0066】
電気的接触部は、種々の異なる適切な様式で、血液回路に接続され得る。例えば、電気的接触部は、体外システムの一体的構成要素、血液回路のチューブ部材に接続され得、かつ取り外され得る使い捨て構成要素、使用の間にオートクレーブ処理され得る再使用可能な構成要素などであり得る。
【0067】
(電気的接触部結合デバイス)
1つの実施形態において、本発明の装置は、電気的接触部(好ましくは、電極)が血液と効果的に接触するように、この電極を血液回路に固定するために利用され得る、電気的接触部結合デバイスを備え、そして先に議論されたように、アクセス状態の変化を効果的にモニタリングするために使用され得る。本発明の結合デバイスはまた、患者の、潜在的な電気的供給源への接触に対する保護を容易にするように設計され得る。1つの実施形態において、このデバイスは、管に接続された伝導性要素を備え得、この管を通って、医療流体(例えば、血液)が流れ得、ここで、この伝導性要素は、医療流体に曝露される第一の部分、および管の外側の第二の部分を有する。
【0068】
本発明の結合デバイスは、種々の異なる適切な構成、構成要素、材料構成などを含み得る。1つの実施形態において、本発明は、電気的接触部を流体導管に接続して、電気的接触部と、流体導管を通って流れる流体との間に、流体接続および電気接続を提供するためのデバイスを包含し得る。このデバイスは、以下を備え得る:電気的接触部、および環状部材に接続された第一のステム部分を収容し得る環状部分を含む第一の部材であって、このステム部分は、環状部材へとそこを通って延びる開口部を有する、第一の部材;基部を備える第二の部材であって、この基部が、溝領域および第二のステム部分を有し、このステム部分は、ステム部分を通って溝領域まで延びる開口部を有し、この開口部は、第一の部材を第二の部材に挿入および固定することを可能にする、第二の部材;ならびに接触部材であって、第一のステム部分および第二のステム部分を嵌合させて、この接触部材が電気的接触部材の少なくとも一部に当接することを可能にして、電気的接触部と接触部材との間に電気的接続が作製されることを可能にする、接触部材。本発明の電気的接触部結合デバイスの代表的な例は、以下に記載される。
【0069】
図2Aおよび2Bに示されるように、電気的接触部結合デバイス80は、プローブ部材82を備え、このプローブ部材は、この部材を通って延びる開口部84を有する、円筒形の形状を有する。この点に関して、電気的接触部(好ましくは、円筒形状を有する電極86)は、開口部84に挿入され得、その結果、電極86は、プローブ部材82の内部に固定される。1つの実施形態において、プローブ部材82は、開口部84の少なくとも一部に沿って延びるチャネル85を有し、このチャネル内で、電極86が、プローブ部材82内に挿入され得る。チューブ部材(例えば、血液配管セット、透析機構のコネクタチューブ部材などからのもの)が、プローブ部材82の開口部84の両端に、チャネル85の外側部分と接触して挿入され得、血液または他の適切な流体が、任意の適切な様式で、電極86と流体接触することを可能にする。電極86は、この電極を通って延びる開口部88を有し、この開口部内を、流体回路からの血液(図示せず)または他の適切な流体が流れ得る。1つの実施形態において、電極86の開口部88の直径は、電極86を通る血流を可能にするような大きさにされ、その結果、代表的な操作条件下(例えば、透析治療の間)の血流レベルが、適切に維持され得る。この点に関して、本発明の結合デバイスは、医学的治療(例えば、透析治療が挙げられる)の間に使用するための流体回路(血液回路などが挙げられる)に容易に効果的に取り付けられ得る。本発明の結合デバイス80は、任意の適切な様式で流体回路に取り付けられ得、その結果、流体回路を通って流れる流体との電気的接続および流体接続がなされ得る。
【0070】
プローブ部材82はまた、ステム部分90を備え、この部分は、その円筒形状の本体の表面92から延びる。ステム部分90は、この部分を通って延びる開口部93を有する。1つの実施形態において、ステム部分90は、電極86の少なくとも一部が、ステム部分90の開口部93と接触するように配置される。
【0071】
電極86を血液回路に固定するために、結合デバイス80は、ソケット部材94を備え、この部材は、開口部98を有する本体部分96を備え、この開口部は、プローブ部材82を受容し、そして血液回路の血液チューブ部材(図示せず)を受容するためのものであり、その結果、透析治療の間に血液が血液回路を通って循環するにつれて、この血液がこの電極と直接接触する。1つの実施形態において、ソケット部材94は、本体部材96から延びるステム部分100を備え、ここで、ステム部分100は、この部分を通って延びる開口部102を備える。プローブ部材82が本体部材96の開口部98を通して挿入されるにつれて、プローブ部材82のステム部分90が、ソケット部材94の本体96のステム部分100の開口部102に挿入され得る。
【0072】
1つの実施形態において、ソケット部材94は、溝領域104を備え、この溝領域は、ソケット部材94の本体96の少なくとも一部に沿って延びる。この点に関して、プローブ部材82は、開口部98を通して挿入され得、次いで、溝領域104内に移動または配置されて、プローブ82をソケット部材94の本体96の内部に固定し得る。
【0073】
1つの実施形態において、結合デバイス80は、電気的接触部材106を備え、この部材は、ソケット部材94の本体96のステム部分100の開口部102に挿入され、その結果、電気的接触部材106は、プローブ部材82のステム部分90の開口部93を通って延び、電極86の表面108の少なくとも一部と接触する。
【0074】
電気的接触部材106は、例えば、励起源、信号処理デバイス、アクセス状態の変化(例えば、針の取り外し)をモニタリングおよび/または制御する際に使用するために適切な他の類似の電子デバイスのエレクトロニクス(図示せず)を接続するために利用される。電気的接触部材106は、適切な材料(例えば、任意の適切な伝導性材料(ステンレス鋼、他の類似の伝導性材料またはこれらの組み合わせが挙げられる))から作製され得る。電気的接触部材106を適所に固定するために、接触保持部材110が、ステム部分100の開口部102内に、その端部領域112において挿入される。
【0075】
1つの実施形態において、結合部材は、透析機械、デバイスまたはシステムに、任意の適切な様式で取り付けられる。例えば、結合デバイスは、透析機械の一体的構成要素として取り付けられ得る。同様に、結合デバイスは、別個の構成要素および/または独立型構成要素として取り付けられ得、この構成要素は、本発明の装置およびシステムの構成要素のいずれかとインターフェースし得る。1つの実施形態において、結合デバイス80は、ソケット部材94のステム部分100を介して、透析機械または他の適切な構成要素に挿入可能に取り付けられ得る。
【0076】
電気的接触部結合デバイスは、種々の異なる適切な形状、大きさおよび材料の成分を備え得ることが理解されるべきである。例えば、結合デバイスの別の実施形態が、図2Cに示される。図2Cにおける結合デバイス114は、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと構成が類似している。この点に関して、図2Cの結合デバイス114は、例えば、円筒形状の電極または他の適切な電気的接触部、この電極を受容し、そしてこの電極を感知デバイスのソケット部材内で適所に固定するためのプローブ部材を備え得る。このプローブ部材は、ステム部分を備え、この部分は、ソケット部材のステム部分に挿入可能である。電気的接触部材は、ステム部分に挿入可能であり、その結果、この部材は、電極と接触し得る。図2Cの結合デバイスはまた、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと同様に、電気的接触部材を適所に保持するための接触保持部材を備え得る。
【0077】
図2Cに示されるように、電気的接触結合デバイス114のプローブ部材116は、ハンドル118を備え、このハンドルは、プローブ部材116を、ソケット部材120の内に固定することを容易にし得る。ハンドル118は、示されるように、中実の形状を有し、これは、結合デバイス114の使用および製造を容易にする。さらに、プローブ部材116のステム部分(図示せず)は、図2Aに示されるようなプローブ部材のステム部分より直径が大きい。ステムの大きさを増加させることによって、プローブ部材は、より容易に(easily)かつ容易に(readily)、ソケット部材に挿入され得る。さらに、プローブ部材は、図2Aおよび2Bに示されるようなプローブ部材と比較して、より長く、その結果、プローブ部材116の端部領域122は、ソケット部材120の溝領域124を越えて延びる。このことは、プローブ部材をソケット部材120の溝領域124内に固定することを容易にし得る。
【0078】
1つの実施形態において、ソケット部材120の開口部126は、プローブ部材116のステム部分(増加した大きさを有する)の挿入に適合するためのさらなる開口部128を備え得る。このことは、ソケット部材へのプローブ部材の挿入の前に、プローブ部材の、ソケット部材に関する適切な整列を確実にし、これによって、挿入プロセスを容易にし得る。
【0079】
プローブ部材、ソケット部材および接触保持部材は、種々の異なる適切な材料(例えば、プラスチック、成型プラスチック、類似の材料またはこれらの組み合わせが挙げられる)から構成され得ることが理解されるべきである。結合デバイスの種々の構成要素(例えば、プローブ部材、ソケット部材および接触保持部材)は、任意の適切な様式で嵌合され得る。例えば、これらの構成要素は、平滑な係合(図2Aおよび2Bに示されるような)、螺合係合(図2Dおよび2Eに示されるような)、および/または任意の適切な嵌合係合または配置で、互いに嵌合され得る。
【0080】
図2Dおよび2Eに示されるように、本発明の結合デバイス130は、ねじ切りされた部品から作製され得、これは、互いに取り外し可能に接続されて、結合デバイスを形成する。ねじ切りされた部品は、以下に記載されるように、血液回路への電極の固定、およびこの部品の一般的な使用を容易にし得る。
【0081】
1つの実施形態において、結合デバイス130の本体134のステム部分132は、ねじ切りされた領域136を有し、この領域は、透析機械または他の適切な取り付けデバイスに、螺合係合で挿入可能に取り付けられ得る。このことは、結合デバイスが、取り付けデバイスに取り付けられ、そして取り付けデバイスから取り外される際の容易さを促進し得る。
【0082】
図2Eに示されるように、ステム部分132は、両側でねじ切りされ、この部分が環状部材138と螺合係合されることを可能にする。環状部材138は、先に議論されたように、電極接触部材140が、プローブ部材144に収容された電極142と当接することを可能にする配向および支持を提供する。
【0083】
1つの実施形態において、プローブ部材144が本体134に固定される際に、任意の適切な伝導性材料から作製されたプレート部材146が、ばね148に抵抗して押下され得る。同時に、別のばね150が、電気的接触部材140に対して押下され、環状部材138の環状領域に挿入された保持機152と接触し、電気的接触部材140を本体134に固定し得る。
【0084】
本発明の実施形態のばね機構は、結合デバイス130の部品が、使用の間にしっかりと係合して保持されることを可能にする。このことはまた、洗浄、メンテナンスまたは他の適切な目的のために、これらの部品の取り外しの間の使用を容易にし得る。
【0085】
1つの実施形態において、この結合デバイスは、電気的接触部が取り付けられたデバイスを備え得、このデバイスが流体回路に取り外し可能に取り付けられる場合に、この電気的接触部が、流体導管を穿孔または穿刺することを可能にする。この点に関して、このデバイスは、クランプ機構を介して作用し、電気的接触部と、流体回路を通って流れる流体との間に、電気通信および流体連絡を可能にする。このデバイスは、制御装置などに結合され得、先に議論されたように、医療的治療(例えば、透析治療)の間に、直接の伝導性測定を使用して、アクセスの切断の検出を可能にする。このデバイスは、種々の適切な様式で作製され得る。
【0086】
1つの実施形態において、デバイス153は、図2Fに示されるように、第一の部材154、および第一の部材に端部156にて移動可能に取り付けられた第二の部材155を備える。第一の部材および第二の部材は、任意の適切な様式で(例えば、ヒンジ157、または第一の部材および第二の部材の移動を可能にし得る他の適切な機構によって)、互いに取り付けられ、その結果、デバイス153は、流体導管に取り付けられ得る。デバイス153の移動可能な部材は、任意の適切な材料(好ましくは、有効な電気的接続がなされ得るように、電気的接触部と適合性の伝導性材料(例えば、ステンレス鋼))から構成され得る。
【0087】
電気的接触部158は、先に議論されたように、任意の適切な材料(例えば、ステンレス鋼)から構成され得る。電気的接触部の材料は、ある形状を規定し、そして任意の適切な様式で、第一の部材または第二の部材の一部に取り付けられる。このことは、デバイス158が流体導管に取り付けられる場合に、電気的接触部158が、この流体導管を穿刺または穿孔することを可能にし、その結果、電気的接触部158は、この導管を通って流れる流体と、電気的接触し、かつ流体接触し得る。
【0088】
1つの実施形態において、デバイス158は、流体導管への取り付けの際に、自己密封する。このことは、任意の適切な様式で(例えば、任意の適切な接着剤、ゲルまたは他の密封材料を、デバイス158に、必要であれば、流体導管への取り付けの前に塗布することによって)なされ得る。この点に関して、デバイス153は、電気的接触部と、流体導管(例えば、血液回路)を通って流れる流体との間の、流体接触と電気的接触との両方を提供するために、効果的かつ容易に使用され得る、単純な設計を提供する。
【0089】
先に議論されたように、本発明は、患者に挿入されたアクセスデバイス(例えば、針)(これを通って、患者と流体送達システムおよび/または処理システムとの間を流体が通過し得る)の取り外しを検出するために、効果的に利用され得る。本発明は、多数の異なる適用(例えば、医療的治療または処置、特に、透析治療が挙げられる)において適用され得る。透析治療において、アクセスデバイス(例えば、針)は、患者の動脈および静脈に挿入されて、透析機械へおよび透析機械からの血流を接続する。
【0090】
これらの状況下で、針が血液回路から取り外されるかまたは分離される場合(特に、静脈針)、患者からの血液損失の量は、有意かつ即時であり得る。この点に関して、本発明は、アクセスデバイスの取り外し(例えば、透析治療(血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎交換)の間)に起因する、患者からの血液損失を制御可能に効果的に最小にするために利用され得る。
【0091】
(信号の検出および処理)
先に議論されたように、電気的接触部は、制御装置と組み合わせて、針の離脱または他の類似のアクセス状態の変化に応答して、インピーダンスなどの変化を検出するために使用され得る。1つの実施形態において、本発明は、ベースラインインピーダンスの任意の変動を、経時的に補正するように適合され得る。このことは、本発明の検出能力に関して、感度のレベルを増加させ得る。この点に関して、ベースラインインピーダンスの変化が大きすぎ、そして十分に補正されないにせよ、針の取り外しに起因するインピーダンスの変化は、ベースライン値より上で、全く検出不可能ではない場合、容易には検出可能ではないかもしれない。
【0092】
実用的な立場から、多数の異なるプロセス条件が存在し、これらの条件は、経時的に、ベースラインインピーダンスの変化に影響を与え得る。例えば、ベースラインの次第の浮動または変化が、治療の間の血液または他の適切な流体の特徴(例えば、ヘマトクリット、血漿タンパク質、血液/水伝導性など)の変化に起因して起こり得る。このことは、透析治療の間の電解質または他の成分のレベルの変化に起因して生じ得る。
【0093】
図3に示されるように、本発明は、ベースラインインピーダンスの変化を経時的に補正するための、測定可能な電圧信号を処理し得る。これは、先に議論されたように、本発明の検出能力を増強し得る。1つの実施形態において、電流源160などは、血液が体外血液回路162に沿って患者内へ、患者を通って、そして患者から循環するにつれて、この血液を通過する電流を発生させる。この体外血液回路は、この患者を、静脈針および動脈針を介して、種々のプロセス構成要素を備える透析システムに接続する。この電流は、第一の電気的接触部163aを介して血液回路に導入され、これによって、血液回路に沿った導体ループまたは通路を規定する。好ましくは、電流は、取り外しが起こるまで一定のレベルで維持される。第二の電極163bは、先に議論されたように、導体ループに沿って電圧などを感知し、次いで、この電圧および/またはその変化を示す信号を、検出および処理のための電気デバイスに通すために使用される。電圧信号は、任意の適切な様式で、測定および処理され得る。
【0094】
1つの実施形態において、この信号は、一連の構成要素を通過する。この構成要素は、フィルタ164(このフィルタは、針の取り外しの誤った負の検出および/または正の検出を最小にするために、信号から雑音(特に、ポンプからの回転に由来する雑音)を濾波するように働き得る)、整流器166、ピーク検出器168、および信号をデジタル化するためのアナログデジタル変換器(「ADC」)170を含む。この点に関して、次いで、デジタル信号は、さらなる処理のために、コンピュータデバイス(図示せず)に格納され得る。電圧信号は、経時的に、連続的に測定および処理される。各測定を用いて、デジタル化された信号は、経時的に、プロセス条件の変動に関連するベースライン変化に起因する変化(例えば、先に議論されたような、血液の特徴の変化)と比較して評価される。ベースラインの変化が決定される場合、デジタル化された信号は、さらに処理されて、ベースラインの変化を補正し得る。
【0095】
電圧データは、ADCに結合された制御ユニット172に連続的に送信される。この制御ユニットは、連続的に計算を実施し、針の取り外しに応答するインピーダンスなどの変化が起こったか否かを決定する。1つの実施形態において、アクセスデバイスの取り外しは、先に議論されたように、[V(t)−V(t−T)]>C1である場合(ここで、tは、時間であり、Tは、血液ポンプの循環周期であり、C1は、定数である)、およびV(t)=I0×Z(ここで、I0は、電流であり、そしてZは、ベースラインのインピーダンスであり、これは、患者の脈管アクセスに関連するインピーダンス、および透析システムの種々の構成要素(例えば、透析機械)に関連するインピーダンスの関数である)である場合に検出される。
【0096】
血液回路からの患者の切断が検出される場合、制御ユニット172は、患者からの血液の損失を最小にするために、信号を処理するために利用され得る。1つの実施形態において、この制御装置は、透析治療(例えば、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、および連続的な腎交換)を施すように適用される場合、透析システムと通信する。この通信は、ハードワイヤ(すなわち、電気通信ケーブル)、無線通信(すなわち、無線RFインターフェース)、空気式インターフェースなどのいずれかであり得る。この点に関して、この制御装置は、透析システムまたはデバイスと通信して、透析機械に関連する血液ポンプ174を遮断または停止させるように、信号を処理し得、従って、血液透析の間の針の取り外しに起因する、患者からの血液損失の量を効果的に最小にする。
【0097】
この制御装置は、種々の他の様式で、透析システムと通信し得る。例えば、制御装置および血液透析機械は、静脈針を介してさらなる血流を提供するために、静脈ラインクランプ176を作動させるように通信し得、これによって、患者に対する血液の損失を最小にする。1つの実施形態において、静脈ラインクランプは、制御装置によって作動され、そして静脈針に対して取り付けまたは位置決めされ、その結果、この静脈ラインクランプは、針の近位で静脈ラインをクランプし得る。一旦クランプされると、この透析システムは、圧力の増加を感知し得、そして血流ライン中の、予め決定されたレベルより高い圧力の感知の際に、血液ポンプを遮断するようにプログラムされ得る。あるいは、静脈ラインクランプは、透析システムに制御可能に取り付けられ得る。
【0098】
1つの実施形態において、例えば、透析治療の間の針の取り外しに起因する血液損失の検出の際に、警報が作動され得る。一旦作動されると、この警報(すなわち、聴覚的および/または視覚的など)は、患者、医療管理提供者(すなわち、医師、登録された看護士など)および/または非医療管理提供者(すなわち、家族構成員、友人など)に、例えば、針の取り外しに起因する血液の損失を警戒させ得る。この警報機能は、非医療施設での透析治療(例えば、透析治療が代表的に、患者および/または非医療管理提供者によって、病院または他の医療施設以外の非医療背景または環境で施される、自宅背景または自己管理の背景)の間に特に望ましい。
【0099】
この点に関して、警報の作動は、例えば、患者が、例えば、患者に対する血液損失を最小にするために血液ポンプが自動的に遮断されることを点検するために、透析治療が終結されることを確認するように、対応して行動することを可能にする。従って、患者は、血液損失を最小にするために、応答した測定がなされることを確実にするために、第三者の補助なしで行動する(すなわち、自分自身で行動する)能力を有する。次いで、警報は、透析治療の実施の間、特に、自宅での血液処置に適用される場合(この場合、少なくとも透析治療の部分は、患者の睡眠の間に実施され得る)に、患者の安全性を確実にするように機能し得る。
【0100】
(透析機械)
先に議論されたように、本発明は、任意の適切な流体送達システム、処置システムなどとともに使用するために適合され得る。1つの実施形態において、本発明は、透析機械とともに使用して、処置(例えば、血液透析、血液濾過、および血液ダイアフィルトレーションが挙げられる)の間、血液回路に沿って、患者と透析機械との間で血液が流れる際のアクセスの切断を検出するために、適合される。
【0101】
本発明は、このような目的の任意の適切な透析機械を備え得る。本発明の血液透析機械の例は、米国特許第6,143,181号(本明細書中に参考として援用される)に開示されている。1つの実施形態において、透析機械190は、可動シャーシ192を備え、そしてこの機械は、その前側194にて、チューブなどを接続するための共通の機構196を有し、この機構によって、患者は、図4Aに示されるように、透析機械に接続され得る。平坦なタッチスクリーン197(これは、いくつかの作動パラメータを示し得、そしてそれぞれ関連する記号およびフィールドによる透析機械の調節のための記号およびフィールドを、タッチされるスクリーン上に備える)は、垂直方向に調節され得、そして透析機械を自在に旋回し得、そして所望の調節された位置に固定され得る。
【0102】
1つの実施形態において、この透析機械は、1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え、これらのコネクタは、患者を、血液回路を通して透析機械に接続し、血液が、透析治療の間、患者と透析機械との間を流れることを可能にするためのものである。ここで、1つ以上の電気的接触部は、血液と流体接触して血液回路に接続され、電気信号が血液中を通りながら血液が血液回路を流れる際に、アクセスの切断に応答する電気的値の変化の検出を可能にする。
【0103】
1つの実施形態において、本発明の透析機械は、図4Bに示されるように、アクセスの切断を検出するために使用される電気的接触部結合デバイス(例えば、1対の結合デバイス)の1つ以上を収容するように設計され得る。例えば、1つ以上のカップリングデバイス198は、透析機械190の前パネル194に取り付けられ得る。これは、任意の適切な様式でなされ得る。1つの実施形態において、カップリングデバイスのステム部分は、先に議論されたように、螺合嵌合、摩擦嵌合などを介して、挿入可能に取り付けられる。これは、患者を、血液配管セット202を介して、透析機械190に接続する。血液配管セットは、第一の血液ライン204および第二の血液ライン206を備える。1つの実施形態において、第一の血液ライン204は、動脈針208など(これを通って、血液が、患者200から透析機械190へと流れ得る)を介して患者に接続される。次いで、第二の血液ライン206は、静脈針210など(これを通って、流体が、透析機械から患者へと流れ、血液回路を規定する)を介して、患者200に接続される。あるいは、第一の血液ラインおよび第二の血液ラインは、それぞれ静脈針および動脈針に結合され得る。血液ラインは、任意の適切な医療等級の材料から作製される。この点に関して、先に議論されたように、アクセスの取り外し(例えば、動脈針および/または静脈針の取り外し)が、検出され得る。あるいは、結合デバイスは、血液配管セットに取り付けられ得、このセットが次いで、任意の適切な様式で、透析機械に取り付けられる。
【0104】
(透析処置センター)
先に議論されたように、本発明は、自宅で実施される透析治療の間に、および透析処置センターにおいて使用され得る。透析処置センターは、多数の患者に透析治療を提供し得る。この点に関して、処置センターは、患者の要求に応じるために、多数の透析機械を備える。透析処置センターにおける治療セッションは、場所および使用についての患者の要求に依存して、1日あたり24時間、1週間あたり7日間実施され得る。
【0105】
1つの実施形態において、透析処置センターは、本発明の一実施形態に従って、透析治療の間のアクセスの切断を検出するための能力を備える。例えば、1つ以上の透析機械が、先に議論されたように、アクセスの切断を検出するための必要な他の構成要素とともに、電気的接触部結合デバイスとともに使用するために適合され得る。
【0106】
1つの実施形態において、電気的接触部結合デバイスは、透析処置センターの1つ以上の透析機械に直接取り付けられ得る。本発明の実施形態に従う装置、デバイス、方法および/またはシステムは、透析処置センターにおいて1人以上の患者に施される透析治療の間、任意の適切な様式で使用するために適合され得ることが理解されるべきである。1つの実施形態において、処置センターは、1つ以上の患者ステーションを有し得、このステーションにおいて、透析治療が、各々それぞれの透析機械に結合された1人以上の患者に対して実施され得る。任意の適切なセンター内での治療が実施され得、例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「患者ステーション」または類似の用語は、透析治療の間に使用することを専門とする、任意の適切に規定された透析処置センターの領域を意味する。患者ステーションは、透析治療を実施するために必要な、任意の数および型の適切な設備を備え得る。
【0107】
1つの実施形態において、透析処置センターは、多数の患者ステーションを備え、これらのステーションの各々において、透析治療が、1人以上の患者に対して実施され得る;そして1つ以上の透析機械が、それぞれの患者ステーションに位置する。1つ以上の透析機械は、1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え得、これらのコネクタは、患者を、血液回路を介して透析機械に接続し、透析治療の間、血液が患者と透析機械との間を流れることを可能にするためのものであり、ここで、1対の電気的接触部が、血液と流体接触して血液回路と接続され、電気信号が血液を通りながら、血液が血液回路を通って流れる場合に、アクセスの切断に応答する電気的値の変化の検出を可能にする。
【0108】
先に議論されたように、本発明の、アクセスの切断の検出能力は、安全かつ効果的な透析治療をモニタリングおよび制御するために利用され得る。患者からのアクセスデバイス(例えば、針)の取り外しの際に、本発明の直接伝導性測定の能力が、取り外しを示す信号を提供するために使用され得、この信号は、制御および/またはモニタリングの目的で、さらに処理され得る。1つの実施形態において、この信号は、先に議論されたように、透析治療を自動的に終結させて、取り外しに起因する血液損失を最小にするために、さらに処理され得る。さらに、この信号は、警報を作動させるように処理され得、この警報は、患者および/または医療人員に、取り外し状態を警戒させて、対応した対策が採られることを確実にし得る。本発明は、医学的治療(透析治療を含む)の安全かつ効果的な実施を容易にするように、種々の適切な様式で改変され得ることが理解されるべきである。
【0109】
本出願人らは、本発明の直接の伝導性測定の能力が、アクセスの切断(例えば、針の取り外し)に起因する血液の損失などを、高い感度および選択性で即時に検出し得、その結果、これに起因する血液の損失を最小にするための対応した対策が採られ得ることを見出した。血液の損失の際に血液の損失を最小にするために、対応して迅速に行動する能力は、血液透析の間の針の取り外しに関して、特に重要である。即時に検出および応答されない場合、血液損失の量が有意であり得る。1つの実施形態において、本発明は、針の取り外しの即時の検出の際に、約3秒以内で、好ましくは、約2〜約3秒で、能動的または応答した対策を採り得、血液の損失を最小にする(すなわち、血液ポンプを遮断するか、動脈ラインクランプを作動させるなど)。
【0110】
さらに、制御装置は、血液透析の間、1つ以上の処置パラメータをモニタリングおよび/または制御するために利用され得る。これらのパラメータとしては、例えば、針の取り外しの際の血液の損失に起因する血液の検出、血流の変化、動脈ラインにおける気泡の検出、処置の間のセンサの移動の検出、センサの電気伝導性または他の処置パラメータの検出および/またはモニタリングが挙げられ得る。1つの実施形態において、制御装置は、1つ以上のパラメータをモニタリングするためのディスプレイ(図示せず)を備える。
【0111】
本明細書中で使用される場合、「医療管理提供者」または類似の用語(例えば、「医療管理人員」が挙げられる)は、医療の免状を有し、訓練され、経験し、そして/または医療手順(例えば、透析治療が挙げられる)を患者に施すために他に資格を与えられた個人を意味する。医療管理提供者の例としては、医師、外科医、登録された看護士、または他の類似の医療管理人員が挙げられる。
【0112】
本明細書中で使用される場合、「非医療管理提供者」または他の類似の用語(例えば、「非医療管理人員」が挙げられる)は、代表的な医療管理提供者(例えば、医師、外科医、登録された看護士など)として一般には認識されない個人を意味する。非医療管理提供者の例としては、患者、家族構成員、友人または他の類似の個人が挙げられる。
【0113】
本明細書中で使用される場合、「医療施設」または他の類似の用語(例えば、「医療背景」が挙げられる)は、医学的な手順または治療(透析治療が挙げられる)が、医療管理人員の管理の元で代表的に実施される、施設またはセンターを意味する。医療施設の例としては、病院、医学的治療施設(例えば、透析処置施設、透析処置センター、血液透析センターなど)が挙げられる。
【0114】
本明細書中で使用される場合、「非医療施設」または他の類似の用語(例えば、「非医療背景」が挙げられる)は、代表的な医療施設(例えば、病院など)とは通常認識されない、施設、センター、背景および/または環境を意味する。非医療環境の例としては、自宅、住居などが挙げられる。
【0115】
電極出力信号は、他の感度の低い血液損失検出方法(例えば、静脈圧測定、全身血圧など、またはこれらの組み合わせ)と組み合わせられて、針の取り外しの特異性を改善し得ることが、理解されるべきである。
【0116】
本明細書中に記載される、現在好ましい実施形態に対する種々の変化および改変が、当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変化および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そして本発明の意図される利点を減少させることなくなされ得る。従って、このような変化および改変は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【符号の説明】
【0117】
14 血液配管セット
16 血液回路
18 患者
20 体外血液システム
22、24 電気的接触部
26、28 チューブ部材
32 静脈針
34 動脈針
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は一般に、医学的処置のための患者のアクセス切断システムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、透析治療を含む医学的処置または医学的療法の間の患者のアクセスデバイスの取り外し(dislodgment)のような患者のアクセス切断の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なる医学的処置が、患者と、患者内に挿入される針(単数または複数)または任意の適切なアクセスデバイスを介して患者に接続される体外システムとの間への血液の送達のような患者へのおよび/または患者からの流体の送達に関する。例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーションは全て、患者の血液から老廃物、毒素および過剰の水を直接取り除く処置である。これらの処置の間、患者は、体外の機器に接続され、そして、患者の血液が機器から押し出される。老廃物、毒素および過剰の水が患者の血液から取り除かれ、そして、血液が再び患者に注入される。患者の血液を体外の機器へとおよび体外の機器から患者の血液を輸送するために、針または他の適切なアクセスデバイスが患者の静脈アクセスに挿入される。従来の血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション処置は、数時間継続され得、そして、一般に、1週間に約3〜4回、処置センターにて実施される。
【0003】
これらの血液処置のいずれかの間、患者の血管アクセス(動脈−静脈移植片またはフィステルを含む)に挿入された針の取り外しのようなアクセスデバイスの取り外しが生じ得る。すぐに検出されない場合、これは、患者に有意な量の血液の喪失を生じ得る。針の取り外しに関する危険性はかなりのものである。この点に関して、血液の喪失をモニタリングするための重要な基準としては、例えば、針の取り外しの検出に関する感受性、特異性および応答時間が挙げられる。感受性、特異性および応答時間のレベルを向上させることで、針の取り外しの検出が亢進され得、そして取り外しに起因する血液の喪失が最小化され得る。
【0004】
代表的には、医学的処置(例えば、血液透析、血液濾過または血液ダイアフィルトレーション)を受けている患者は、針の取り外しを検出するために視覚的にモニタリングされる。しかし、針は、患者または医療スタッフに丸見えであり得ず(すなわち、針はブランケットで覆われ得る)、その結果、検出が遅れ得、従って、患者に対する血液の喪失を最小にするための体外機器の血液ポンプを止めることのような、取り外しに鑑みて取られる応答作動が遅れ得る。
【0005】
さらに、生活の質の向上、罹患率および死亡率の両方の観測数の減少、ならびにセンターでの処置よりの低い費用の点から、自己管理および在宅の血液療法に対する新たな関心が生じている。このような在宅血液療法(血液透析、血液濾過または血液ダイアフィルトレーションのいずれであれ)は、夜間および日中の両方の処置を可能にする。これらの自己管理および在宅血液セッションの間、特に夜間の在宅血液セッションの間、患者が眠っている場合、取り外しの危険性はより重大である。なぜならば、取り外しを検出する看護士または他の付添い人がいないからである。
【0006】
種々の異なる体液を検出および/またはモニタリングするための種々の異なるセンサを備えるデバイスが公知であるが、これらのデバイスは、針の取り外しを検出するのにはぴったり適合され得ない。例えば、pH、温度および導電率を含むセンサを備える公知のデバイスが、ベッドの湿気およびおむつの湿気を検出するのに利用されている。さらに、圧力センサおよび/または流体センサデバイスを備えるデバイスが公知であり、流体の流れ(患者へのおよび/または患者からの血流を含む)をモニタリングするために、透析治療などの医学的処置の間に使用される。しかし、これらの型の検出デバイスは、針の取り外しに起因する患者からの血液の喪失を検出するために適用される場合、適切なレベルの感受性および応答性を提供し得ない。静脈圧は針の取り外しをモニタリングするのに使用されることが知られているが、針の脱離(drop−out)にはあまり感受性でない。
【0007】
血液の電気伝導性に基づいて、脈管アクセスをモニタリングするための、さらなる他のデバイスおよび方法が、一般に公知である。例えば、特許文献1(豪州特許番号760,338号(特許文献2(PCT公開番号WO99/12588に)基づく)は、2つの点(これらの点を通って、電流が、体外回路(この回路は、閉じた導体ループを形成する)を流れる血液に誘導される)を備える電気回路を使用する。従って、各コイルは、血液が配管を通って循環する際に、この血液に直接接触しない。この点に関して、電流は、コイルの1つを通って流れる交流によって、体外回路を流れる血液中に発生される。次いで、第二のコイルは、誘導された電流が血液回路を流れる際に、この電流の電圧の変化を測定するために利用される。
【0008】
この点に関して、電流は、多数の高インピーダンスの構成要素(例えば、血液ポンプ、気泡トラップ、ピンチクランプなど)を備える血液処理システムに結合される。伝導性流体ループの大きいインピーダンス(蠕動ポンプおよび他の構成要素に起因する)に起因して、患者に安全な電流の誘導および検出は、実用不可能なほど複雑な設計のコイルおよびシステムを必要とする。さらに、高レベルの雑音が、このようなレベルの誘導電流の使用から、必然的に生じる。このことは、検出の感度に悪影響を与え得る。より低い電流が使用される場合、流体コイルは、このような低い電流レベルを検出するために、大きさを増加されなければならない。このことは、特に透析治療の間に適用される場合に、使用の際に非実用的であり得る。
【0009】
特許文献3(PCT公報番号WO 01/47581)は、患者の心血管系へのアクセ
スをモニタリングするための方法およびデバイスを開示する。アクセスのモニタリングは、患者に接続された血液回路に沿った別々の点において電流を生成および検出し得る電気回路を使用する。電流は、各々が血液回路チューブの周りに配置された金属チューブを備える容量性コネクタを用いて血液に導入される。この点に関して、金属チューブは、コンデンサーの第1のプレートを規定し;血液回路チューブは誘電体を規定し;そして、血液回路チューブ内の血液は、コンデンサーの第2のプレートを定義する。
【0010】
血液回路を通って流れる血液において電流を生成するために、発電器が1対の位置の間の電位差に適用される。検出器は、第1の接触点と静脈針との間の静脈枝の少なくとも1セクションに沿って電流を測定するために、さらなる別々の対の接触点を使用する。次いで、電圧の変化(dV)が、電流の測定された変化に基づいて決定され、そして参照範囲(I)と比較されて、アクセス状態をモニタリングし得る。この点に関して、特許文献3は、静脈アクセス状態をモニタリングするために複数セットの容量性コネクタを使用する複雑な回路設計を必要とする。このことは、同じものを使用するのに原価および費用を増加し得る。
【0011】
さらに、電気信号を血液回路に投入するためおよび/または検出目的のための容量性連結の単なる使用は、問題であり得る。この点に関して、信号は、チューブがコンデンサーの誘電体のように作用するように血液回路のチューブを通過しなければならない。このことは、血管アクセス状態の変化の検出に関して、過剰レベルの雑音および/または他の障害を生じ得る。
【0012】
この点に関して、患者のアクセス状態をモニタリングするのに使用され得る公知のデバイス、装置、システムおよび/または方法は、例えば針の脱離に応答する、アクセス状態の変化を検出し得ず、血液の喪失の即時の検出を確認し、その結果応答性に測定値を確認するのに十分な感受性および特異性を伴って、血液の喪失を最小にするのに用いられ得ると考えられる。適用されるように、20秒以上の時間が、例えば、静脈針の取り外しに起因する血液の喪失の前に経過する場合、400ml/分の血流速度(代表的な透析治療である)で100mlを超える血液の喪失が生じ得る。従って、患者からのアクセスデバイス(例えば、針)の取り外しの即時的な検出に迅速に応答する能力が、患者の安全性を確保するのに必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】豪州特許番号第760,338号明細書
【特許文献2】国際公開第WO99/12588号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO01/47581号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、例えば針の取り外しに応答するアクセス状態の変化を検出するための装置、デバイス、システムおよび方法を設計することに労力が向けられており、ここでは、検出はこのようなアクセス変化に感受性、特異的かつ即時に応答し、その結果、同じようなものに起因する患者からの血液の喪失を最小にするために応答性の測定が適切になされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、アクセスデバイスの取り外しまたは切断(例えば、透析治療の間に患者に挿入される針の取り外し)を検出するための、改善されたデバイス、装置、システム、および方法を提供する。本発明のデバイス、装置、システム、および方法は、多数の電気的接触部を有する電気回路を利用し、これらの接触部は、流体回路と流体接触し、その結果、電気信号が、少なくともセグメント(例えば、伝導性流体回路の少なくとも一部に沿って規定されるループ)に導入され得る。この点に関して、直接接触測定が使用されて、アクセス状態の変化に応答性の電気的値の変化(例えば、医療的治療(例えば、透析治療および投薬送達が挙げられる)の間の患者からの針または他のアクセスデバイスの取り外しに起因する、インピーダンスの変化)の即時の検出を提供し得る。
【0016】
本発明の利点は、アクセスの切断を検出するための、改善されたデバイス、装置、システム、および/または方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる利点は、医療的治療(透析治療が挙げられる)の間の、患者からのアクセスデバイスの取り外しを検出するための、改善されたデバイス、装置、システムおよび/または方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の利点は、透析治療の間の針の離脱を検出するための、改善されたデバイス、装置、方法および/またはシステムを提供することである。
【0019】
本発明のなお別の利点は、自己管理および家庭での血液処置の間のアクセスの切断を検出するための、感受性の、特異的な、かつ応答性の装置および/またはデバイスを提供することである。
【0020】
さらに、本発明の利点は、患者の循環系の一部を使用する透析治療を、患者が自己実施すること、または非医療設備において、他の非医療人員が実施することを可能にするための、利用可能なデバイスまたは装置を提供することである。
【0021】
なおさらに、本発明の利点は、直接的な伝導性測定を使用する、アクセスの切断を検出するための改善された装置を提供することである。
【0022】
なおまたさらに、本発明の利点は、血液回路を通って流れる血液と流体接触および電気接触する電気回路を利用して、直接の伝導性測定がなされることを可能にする、アクセス切断検出の装置、方法および/またはシステムを提供することである。
【0023】
さらに、本発明の利点は、患者からの血液の損失をモニタリングおよび/または制御するための、改善されたデバイス、システムおよび方法を提供することである。
【0024】
本発明の別の利点は、アクセスの切断(例えば、透析治療の間に血液が流れる、患者に挿入された針の取り外し)を検出し得、そして任意の生じる血液損失を最小にし得る装置、デバイスおよび/またはシステムを使用する、透析のための改善された方法を提供することである。
【0025】
本発明のなお別の利点は、電気的接触部を流体回路に接続して、電気的接触部と、流体回路を通って流れる流体との間に、流体連絡および電気通信を可能にするための、改善されたデバイスである。
【0026】
本発明のなお別の利点は、アクセスの取り外し(例えば、透析治療の間の針の離脱)を、増強された感度、正確さおよび応答性で検出するための、改善された装置、デバイス、システムおよび/または方法である。
【0027】
本発明のなおさらに別の利点は、例えば、医療的治療(例えば、投薬送達および単一針の血液治療)の間の単一のアクセスデバイスの取り外しに起因する、流体の損失を検出するための、改善された装置、デバイス、システムおよび/または方法である。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図に記載されているか、またはこれらから明らかである。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
医療流体との電気的接触部を提供するためのデバイスであって、上記デバイスは、以下:管であって、上記管を通って、薬物流体が流れ得る、管;ならびに
上記管に接続された伝導性要素であって、上記伝導性要素は、上記医療流体に曝露された第一の部分、および上記管の外側の第二の部分を有する、伝導性要素、
を備える、デバイス。
(項目2)
上記デバイスが、透析治療の間に使用される血液配管セットに結合される、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記デバイスが、透析機械に取り付けられ、上記デバイスを通して、上記血液配管が上記透析機械に接続され得る、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
上記伝導性要素が、上記医療流体を通過する電気信号に関連する電気的値の測定可能な変化に応答して、患者と上記血液配管セットとの間の切断を検出するために使用され得る、項目2に記載のデバイス。
(項目5)
上記第一の部分が、円筒形状の伝導性部材を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記第二の部分が、環状部分を有するハウジングを備え、上記環状部分を通して、上記円筒形状の伝導性部材が上記管に固定され得る、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
上記円筒形状の伝導性部材が、ステンレス鋼から構成される、項目5に記載のデバイス。(項目8)
上記第二の部分が、クランプ機構を備え、上記クランプ機構は、上記管の外側表面を閉位置に固定し得る、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
上記第一の部分が、伝導性部材を備え、上記伝導性部材は、上記クランプ機構に取り付けられ、そして上記閉位置において、上記管を穿孔して、上記伝導性部材と上記医療流体との間の流体接触を可能にするように適合されている、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
流体導管中の医療流体との電気的接触部を提供するためのデバイスであって、上記デバイスは、以下:
第一の部材であって、上記第一の部材は、環状部分、および上記環状部分に接続された第一のステム部分を備え、上記環状部分は、上記医療流体と流体接触させて伝導性部材を収容し得、ここで、上記ステム部分は、上記ステム部分を通って上記環状部分まで延びる開口部を有する、第一の部材;
第二の部材であって、上記第二の部材は、溝領域を有する基部、および第二のステム部分を備え、上記ステム部分は、上記ステム部分を通って上記溝領域まで延びる開口部を有し、上記第一の部材が上記第二の部材に挿入され、そして固定されることを可能にする、第二の部分;ならびに
接触部材であって、上記第一のステム部分および第二のステム部分を嵌合させ、そして上記接触部材を上記伝導性部材の少なくとも一部に当接させて、上記伝導性部材と上記接触部材との間に電気的接続が作製されることを可能にするように適合されている、接触部材、
を備える、デバイス。
(項目11)
上記第一の部材および上記第二の部材が、摩擦係合で取り付けられている、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
上記第一の部材および上記第二の部材が、螺合係合で取り付けられている、項目10に記載のデバイス。
(項目13)
上記接触部材が上記電気的接触部に当接することを可能にするばね機構をさらに備える、項目10に記載のデバイス。
(項目14)
上記デバイスが、透析治療の間に使用される血液配管セットに結合される、項目10に記載のデバイス。
(項目15)
上記デバイスが、透析機械に取り付けられ、上記デバイスを通して、上記配管セットが上記透析機械に接続され得る、項目14に記載のデバイス。
(項目16)
上記伝導性部材が、上記医療流体を通過する電気信号に関する電気的値の測定可能な変化に応答して、患者と上記血液配管セットとの間の取り外しを検出するために使用され得る、項目14に記載のデバイス。
(項目17)
上記伝導性部材が、円筒形本体を規定するステンレス鋼材料から構成されており、上記円筒形本体を通って、流体が流れ得る、項目10に記載のデバイス。
(項目18)
保持部材をさらに備え、上記保持部材は、上記接触部材を、上記デバイスの第二のステム部分内に固定するように適合されている、項目10に記載のデバイス。
(項目19)
患者を医療システムに接続するために、医療的治療の間に使用される血液配管セットであって、上記血液配管セットは、以下:
第一の血液ラインおよび第二の血液ラインであって、上記患者内に挿入されたアクセスデバイスを介して、上記患者を上記医療システムに接続し、血液が、上記血液中に電気信号を通しながら上記患者と上記医療システムとの間を流れることを可能にする、第一の血液ラインおよび第二の血液ライン;ならびに
1対の電気的接触部であって、上記血液と流体接触して上記血液配管セットに取り付けられ、医療的治療の間に、上記アクセスデバイスの取り外しの検出を可能にする、1対の電気的接触部、
を備える、血液配管セット。
(項目20)
上記第一の血液ラインが、動脈血ラインを備え、そして上記第二の血液ラインが、静脈血ラインを備える、項目19に記載の血液配管セット。
(項目21)
上記アクセスデバイスが、針、カテーテル、静脈針および動脈針からなる群より選択される、項目19に記載の血液配管セット。
(項目22)
上記電気的接触部の対が、制御装置に接続され、直接接触測定を使用して、取り外しの検出を可能にする、項目19に記載の血液配管セット。
(項目23)
患者を透析システムに接続するために、透析治療の間に使用される血液配管セットであって、上記血液配管セットは、以下:
第一の血液ラインおよび第二の血液ラインであって、上記患者内に挿入されたアクセスデバイスを介して、上記患者を上記透析システムに接続し、血液が、上記血液中に電気信号を通しながら上記患者と上記透析システムとの間を流れることを可能にする、第一の血液ラインおよび第二の血液ライン;
1対の電気的接触部であって、上記血液と流体接触して上記血液配管セットに取り付けられる、1対の電気的接触部、ならびに
電気的接触部結合デバイスであって、上記電気的接触部の少なくとも1つを上記血液配管セットに取り付け、透析治療の間、上記アクセスデバイスの取り外しの検出を可能にする、電気的接触部結合デバイス、
を備える、血液配管セット。
(項目24)
上記第一の血液ラインが、動脈血ラインを備え、そして上記第二の血液ラインが、静脈血ラインを備える、項目23に記載の血液配管セット。
(項目25)
上記電気的接触部結合デバイスが、透析機械に取り付けられ、上記血液配管セットが上記透析機械に結合されることを可能にする、項目23に記載の血液配管セット。
(項目26)
上記電気的接触部が、制御装置に結合され、直接接触測定を使用して、取り外しの検出を可能にする、項目23に記載の血液配管セット。
(項目27)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目1に記載のデバイスを備える、項目23に記載の血液配管セット。
(項目28)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目10に記載のデバイスを備える、項目23に記載の血液配管セット。
(項目29)
透析システムであって、以下:
透析機械であって、患者を上記透析機械に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを備える、透析機械;
血液配管セットであって、第一の血液ラインおよび第二の血液ラインを備え、上記血液ラインは、上記患者および上記透析機械に結合され、これによって、血液回路を規定し、上記血液回路に沿って、血液が、上記血液中に電気信号を通しながら、上記患者と上記透析機械との間を流れ得る、血液配管セット;ならびに
少なくとも1つの電気的接触部結合デバイスであって、電気的接触部を上記血液回路に、血液と流体接触させて取り付け、アクセスの取り外しの検出を可能にする、少なくとも1つの電気的接触部結合デバイス、
を備える、透析システム。
(項目30)
上記電気的接触結合デバイスが、上記透析機械に取り付けられている、項目29に記載の透析システム。
(項目31)
1対の電気的接触部結合デバイスの各々が、上記血液回路に、それぞれの電気的接触部を取り付ける、項目29に記載の透析システム。
(項目32)
上記1対の電気的接触部が、制御装置に取り付けられ、直接接触測定を使用して、アクセスの取り外しの検出を可能にする、項目31に記載の透析システム。
(項目33)
上記制御装置が、上記直節接触測定から誘導される信号を処理し得、アクセスの取り外しに起因する血液の損失を最小にする、項目32に記載の透析システム。
(項目34)
上記信号が処理されて、上記透析機械の血液ポンプを停止させ得る、項目33に記載の透析システム。
(項目35)
上記信号が処理されて、透析治療の自動的終結を可能にし得る、項目33に記載の透析システム。
(項目36)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目1に記載のデバイスを備える、項目29に記載の透析システム。
(項目37)
上記電気的接触部結合デバイスが、項目10に記載のデバイスを備える、項目29に記載の透析システム。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】図1Aは、患者内に挿入可能な2つの針を示す本発明の1つの実施形態の概略図を示し、この針を通って血液が体外システムへとおよび体外システムから流れる。
【図1B】図1Bは、透析治療の間に針の取り外しを検出し得る本発明の1つの実施形態の概略図を示す。
【図1C】図1Cは、単一の針を介して実施される医学的治療の間の、アクセス切断の検出能力を示す、本発明の1つの実施形態の透視図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の1つの実施形態における電気的接触部連結デバイスの展開図を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の1つの実施形態における図2Aの連結デバイスの側断面図を示す。
【図2C】図2Cは、本発明の連結デバイスの別の実施形態を示す。
【図2D】図2Dは、同じ構成要素間のネジ係合を示す本発明の連結デバイスの別の実施形態を示す。
【図2E】図2Eは、図2Dの断面図を示す。
【図2F】図2Fは、本発明のカップリングデバイスの別の実施形態を示す。
【図3】図3は、処置の間のベースラインインピーダンスの変化を補正するための測定可能な電圧信号の処理に関する本発明の1つの実施形態を模式的に示す。
【図4A】図4Aは、本発明の1つの実施形態における血液透析機器を模式的に示す。
【図4B】図4Bは、本発明の1つの実施形態におけるチューブセットを介して患者のアクセスに連結される血液透析機器を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明は、アクセス切断を検出するための医療デバイス、装置、システムおよび方法を提供する。より具体的には、本発明は、部分的に、流体回路と流体接触および電気連絡する電気接触点を有する電気回路を使用し、直接的な導電率の測定を使用でき、その結果、患者と流体回路との間に流体が流れる針または他のアクセスデバイスの取り外しが即時的に検出され得る、医療デバイス、装置、システムおよび方法を提供する。この点に関して、例えば、医療処置(例えば、透析治療、医薬送達など)を受けている患者からの針の取り外しに起因する流体の喪失(すなわち、血液の喪失)を制御でき、最小にされ得る。
【0031】
本発明が、針の取り外しの検出に限定されず、任意の適切なアクセスデバイスの取り外しまたは切断の検出に使用され得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「アクセス切断」または他の同様の用語は、患者に接続される流体回路に沿って流れる導電性流体の喪失または漏出を生じ得る任意の適切な状態または事象を意味するが、但し、流体回路に連結される電気的接触部間の電気的連続性の変化が検出され得る。インピーダンスのような電気値によって測定される導電性の変化が患者からのアクセスデバイスの取り外しの不在下においても検出され得ることが理解されるべきである。本明細書中で用いられる場合、用語「アクセスデバイス」または他の同様の用語は、患者内に挿入され得、その結果、流体(血液を含む)がアクセスデバイスを介して患者に、患者を通って、および/または患者から通過され得る、適切なデバイスを意味する。アクセスデバイスは、種々の異なる適切な形状、サイズおよび原材料物質を含み得る。アクセスデバイスの例としては、針、カテーテル、カニューレなどが挙げられる。アクセスデバイスは、例えば、ステンレス鋼、プラスチックなどの生体適合性物質を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【0032】
以下に示す実施形態において、装置および/またはデバイスは、透析治療(例えば、血液透析、血液濾過または血液ダイアフィルトレーション)における使用のために設計されているが、本発明は、種々の異なる適切な流体システム(例えば、体外血液システム)を使用する多数の異なる医学的療法において使用され得ることが注意されるべきである。例えば、本願の発明は、医学的溶液(medicalsolution)または薬物、血液、血液製剤、処理した血液などを、患者と流体システムとの間に送達するために、患者内に挿入可能な単一の針を使用し得る静脈内注入の間に使用され得る。さらに、本発明は、血漿交換療法に用いられ得、ここで、全血を血漿および細胞成分に分けるために膜が用いられる。
【0033】
透析治療に関して、本発明は、腎不全を処置するための種々の異なる治療において使用され得る。透析治療との用語または文書中を通じて使用される同様の用語は、患者の血液を使用して患者から老廃物、毒素および過剰の水を取り除く治療の任意のおよび全ての形態を含みかつ包含することを意味する。このような治療としては、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーションを含む断続的治療、ならびに連続的腎交換療法(CRRT)に使用される連続的治療の両方が挙げられる。これらの連続的治療としては緩徐な連続的限外濾過(SCUF)、連続的静脈−静脈血液濾過(CVVH)、連続的静脈−血液透析(CVVHD)および連続的静脈−静脈血液ダイアフィルトレーション(CVVHDF)が挙げられる。透析治療はまた、連続的腹膜透析、自動化腹膜透析および連続的な流体腹膜透析のような腹膜透析を含み得る。さらに、1つの実施形態において、本発明は慢性的な腎不全または腎疾患を有する患者に透析治療を提供する方法において使用され得るが、本発明は、例えば、緊急治療室の環境における急性の透析の要求に対して使用され得ることが理解されるべきである。最後に、当業者が理解するように、治療の断続的な形態(すなわち、血液濾過、血液透析および血液ダイアフィルトレーション)が、センター内、自己/制限型管理ならびに在宅環境において使用され得る。
【0034】
1つの実施形態において、本発明は、流体回路と流体接触および電気連絡する多数の電気的接触部、好ましくは1対の電気的接触部を備える電気回路を含む。電気的接触部は、任意の適切なデバイスを備え得、これを介して流体回路との電気接続がなされ得、それによってその中に導電経路または導体ループを規定する。次いで、電気値または導体ループに関する任意の適切なパラメータの変化が以下に記載されるようなアクセス状態の変化に応答してモニタリングされ得る。1つの実施形態において、電気的接触部は、流体回路に連結され、その結果以下に議論するように流体回路を通って流れる流体と流体接触して電気接続がなされ得る、電極を備える。
【0035】
例えば、定電流または他の適切な電気信号が、流体回路と流体接触および電気接触する電極対を介して流体回路に投入され得、それによって流体回路の少なくとも一部に沿った導体ループを規定する。次いで、電気値、好ましくはインピーダンスの変化が、アクセス切断に応答して測定され得る。これは、流体が、針(単数または複数)または患者内に挿入される他のアクセスデバイスを介して患者と流体システム(すなわち、体外血液システム)との間に流れる際に、流体(例えば、血液、医学的溶液などを含む導電性流体)インピーダンスまたは他の適切な電気的パラメータの変化を検出し得る直接的な導電率測定を提供し得る。
【0036】
この点に関して、本発明は、針(例えば、静脈針および/または動脈針)または他のアクセスデバイスの取り外しを効率的に検出し得、このアクセスデバイスを通って、血液または他の適切な流体が、患者へと、患者を通って、および患者から流れ得る(例えば、透析治療の間に使用される血液回路)。本発明の検出能力は、例えば、患者からのアクセスデバイスの切断から生じる流体の喪失に起因する導電性流体(単数または複数)の電気的パラメータ(例えば、インピーダンス)の測定可能な変化に基づいて、即時的であると考えられる。
【0037】
本発明の即時性の検出能力は、血液の喪失が生じるのを検出することおよび血液の喪失を停止するような応答作動が遅延する場合に、かなりの量の血液の喪失が比較的短い時間内に生じ得る透析治療に適用される場合、特に重要である。代表的な透析条件下で、取り外しに起因する血液の喪失が検出され、かつ停止する前に、20秒以上が経過する場合、代表的な血流速度である400ml/分に基づくと、100mlより多くの血液が喪失され得る。
【0038】
本出願人は、本発明が、その即時的な検出能力に加えて、高い程度の感受性および特異性で、特に透析治療の間の静脈針の取り外しに応答する、アクセス切断を検出し得ることを発見した。本発明の直接接触測定は、透析治療の間に血液が血液回路を通って流れる際の、針の取り外しなどに起因する電気値、好ましくはインピーダンスの変化を検出し得る。本明細書中で使用される場合、用語「電気値」または他の類似の用語は、電気回路に代表的に関連する任意の適切な電気的パラメータ(例えば、インピーダンス、抵抗、電圧、電流、これらの変化速度、およびこれらの組み合せ)を意味する。インピーダンスなどの変化の検出は、針が取り外されたか、または他の類似の状態が生じていることの指標である。本発明の検出能力がまた、針(単数または複数)が取り外されていないか、少なくとも全体的に取り外されていない場合でさえ、医学的治療の間の血液喪失を効率的に検出し得ることが注目される。この点に関して、本発明は、高い程度の感受性および特異性で、血液の喪失に起因するインピーダンスなどの変化を即座に測定するという、本発明の能力に基づいて患者からの血液の喪失を制御可能に最小にするのに効率的に使用され得る。
【0039】
本発明のデバイスおよび装置は、適用される医学的治療に依存して種々の異なる構成要素および配置を備え得、その結果、針の取り外しなどに起因する流体の喪失(特に、血液の喪失)が効率的にモニタリングされ得る。
【0040】
(多重アクセス切断)
ここで、図1Aを参照して、本発明の装置10の実施形態は、血液回路16の血液配管セット14と流体接触する1対の電気的接触部12を備える。血液回路16は、例えば、透析治療(血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、連続的腎臓置換など)または血漿治療に適用されるように、患者18と体外血液システム20とを接続する。電気的接触部12の対は、第1の電気的接触部22および第2の電気的接触部24を備え、これらは、それぞれ、血液回路16の第1のチューブ部材26および第2のチューブ部材28に装着される。第1のチューブ部材26は、静脈針または患者の脈管アクセス領域(図示せず)に挿入された他の適切なアクセスデバイスに接続される。第2のチューブ部材28は、患者の脈管アクセス領域(図示せず)にも挿入された動脈針などに接続される。透析治療の間、例えば、血液は、患者18から動脈針を通って体外血液システム20(例えば、透析機器)へと、第2のチューブ部材28を介して流れ、この第2のチューブ部材28において、血液が処理され、そして第1のチューブ部材26を介し、静脈針を通って患者18に送達される。
【0041】
透析治療の間、血液が、血液回路を流れる際に、制御装置29によって生成された定常電流などが、電気的接触部対、好ましくは、以下に記載されるような電極対を介して流れる血液に注入または通過され得る。次いで、制御装置29に接続された電極対または他の適切な電子デバイスを使用して、未知の流体(例えば、血液)インピーダンスを横切る電圧変化または他の類似の電気的な値を測定し、脈管アクセス領域を横切るインピーダンスなどにおける変化を検出し得る。1つの実施形態において、一方の電極を使用して、電気信号を流体回路へ注入し得、一方、この対の他方の電極を使用して、電気的な値の変化を感知し得、そして、処理目的および検出目的のために同じものを示す電気信号を制御装置へ通じ得る。静脈針および動脈針のうちの少なくとも1つの血液回路からの取り外しまたは他の適切な状態の際に、インピーダンスなどの即座でかつ検出可能な増加は、正常な操作条件下で測定されたインピーダンスまたは他の適切なパラメータと比較されるように測定され得る。
【0042】
図1Aに具体化される本発明は、適用される医学的治療に依存して、種々の適切な方法で改変されうることが理解されるべきである。透析治療の間、例えば、静脈針および動脈針は、患者の身体の適切な部分(例えば、上腕、前腕(lowerarm)、上大腿領域など)上の患者の脈管アクセスへ挿入され得る。以前に考察されたように、本発明は、様々な異なる医学的治療(静脈内注入、血漿交換、医薬送達、薬物送達、血液送達を含む)および透析治療(すなわち、血液濾過、血液透析、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎臓置換)に適用され得る。
【0043】
図1Bに示されるように、本発明の装置30の実施形態が、透析治療の間に適用されるように示される。1つの実施形態において、本発明は、患者アクセス36内に挿入される静脈針32および動脈針34を備える。静脈針32および動脈針34は、多くのチューブ部材38を介して透析システム35に接続され、このチューブ部材38は、種々の透析システム35の構成要素(例えば、静脈滴下チャンバ40、透析膜42、動脈滴下チャンバ44および血液ポンプ46が挙げられる)に接続する。透析システムの1つ以上の構成要素は、血液回路に連結された透析機器内に提供され得ることが理解されるべきである。図1Bに示されるように、第1の電気的接触部連結デバイス48および第2の電気的接触部連結デバイス50は、透析システム35と静脈針32および動脈針34との間に配置される。本明細書で使用される場合、用語「電気的接触部連結デバイス」、「連結デバイス」または他の類似の用語は、電気的接触部と流体回路とを接続するために使用され得る任意の適切なデバイスを意味する。1つの実施形態において、電気的接触部連結デバイスを使用して、電気的接触部と流体回路とを接触させ得、以下に記載されるように流体回路が、流体回路を流れる流体により流体接触および電気接続が可能になる。
【0044】
1つの実施形態において、電気的接触部対、好ましくは、電極対は、制御装置52または他の適切な電子デバイスに接続される。血液および/または他の流体が血液回路を流れる際に、制御装置を使用して、電極対を介して血液および/または他の流体に電気信号を注入し得る。これは、電気的なパラメータまたは値の変化が測定され得る導体ループを提供する。電極対に連結される制御装置52をまた使用して、この変化を測定し得る。制御装置は、電気的接触部と電気接続する単一の電子デバイスまたは他の適切な数のデバイスを備え、電気信号を血液回路に入力し、それにより、導体ループを規定して、導体ループに関連する電気的なパラメータまたは値の変化を測定し得、そして/または以下に考察されるように、任意の他の適切なタスク(例えば、検出可能な信号を処理すること)を実行し得ることが理解されるべきである。
【0045】
好ましくは、電気信号は、取り外しが生じるまで電極に供給される定常電流から生成される。次いで、血液回路を循環する流体(例えば、血液)の未知のインピーダンスを横切る電圧を測定して(図示せず)、アクセス条件の変化に起因するインピーダンスの変化を検出し得る。しかし、任意の適切な電気的パラメータおよびその変化をモニタリングして、以前に記載されたように、針の脱離などを検出し得ることが理解されるべきである。
【0046】
以下に例証されるように、本発明の検出能力は、非常に高感度かつ特異的であり、アクセス切断(例えば、針の取り外し)に実質的に即座に応答する。さらに、本発明の電気回路は、設計が比較的簡易であり、その結果、好ましくは、1つの電極対が、直接的な導電性測定を実施するのに必要である。これにより、以前に考察されたような非侵襲的な検出技術(例えば、容量結合器および誘導コイル)を使用するのみである、公知の脈管アクセスモニタリング技術と比較して、コストと労力が軽減され得る。
【0047】
本出願人らは、測定された全インピーダンス(「Z」)は、並列の2つのひとまとめにしたインピーダンスとしてモデル化され得、1つのインピーダンス(「ZD」)は、ポンプセグメント、透析膜、滴下チャンバおよび/または透析システムの他の適切な構成要素などにより生成されることを発見した。他方のインピーダンス成分(「ZP」)は、患者の脈管アクセスによって形成され、そして、脈管アクセスなどに、そして脈管アクセスなどから血液を運ぶチューブに関連する。この点に関して、測定された全インピーダンスは、以下のようにZDおよびZPの両方の関数として特徴付けられ得る:
Z=(1/ZD+1/ZP)−1。
【0048】
この並列インピーダンスにもかかわらず、本出願人らは、制御装置と接続されている電気的接触部を使用して、血液が血液回路を流れる際の、アクセス切断(例えば、針の取り外し)に応答した導体ループに沿ったインピーダンスの変化を測定し得ることを発見した。針の取り外しが生じると、流体回路の少なくとも一部分に沿った導体ループは、閉回路から開回路へと変化し、従って、Z=ZDである(ここで、ZPは、無限に近づく)。この点に関して、本発明の直接的な導電性測定能力は、アクセス切断を検出するために有効に使用され得る。
【0049】
本出願人らは、ZD成分は、流体回路に連結された医療システム(例えば、透析システム)およびその構成要素(例えば、血液ポンプ、滴下チャンバなどを含む)の構成要素の、時間により変動する高インピーダンス効果に関連するあるレベルの電気的干渉を生じ得ることを注記する。本出願人らは、必要である場合、ZD成分に起因する干渉が、効率的に排除され得るか、または少なくとも低減され得ることを発見した。1つの実施形態において、Zなどの検出に関連する信号は、以下に考察されるようにさらに処理され得る。あるいは、1つの実施形態において、本発明の電気回路は、以下に記載されるように、血液回路に沿って規定される導体ループまたは経路からの透析システムの1つ以上の構成要素を遮断またはバイパスするように設計され得る。この点に関して、アクセス切断の検出に応答する正確性、感度および応答性が、増強され得る。
【0050】
1つの実施形態において、第3の電気的接触部点53を利用して、血液回路に連結された高インピーダンス構成要素(例えば、血液ポンプなど)に対する干渉を最小限にし得るか、または効率的に排除し得る。さらなる接触点は、任意の適切な方法で作製され得る。例えば、第3の接触点は、電気連続性が第3の接触点と連結デバイスの電極の1つとの間に確立され得る電極または他の適切なデバイスであり得る。1つの実施形態において、第3の電気的接触部は、流体回路を流れる流体と流体連絡および電気連絡している流体回路に装着され得る。
【0051】
第3の接触点53は、血液回路に沿った任意の適切な位置に配置され得る。好ましくは、第3の接触点53は、図1Bに示されるように、血液ポンプ46と連結デバイス50との間の任意の適切な位置に配置される。次いで、等化電位が、第3の接触点53と連結デバイス50の電極との間に適用され得る。この電位は、第1の連結デバイス48の電極と第2の連結デバイス50の電極との間に適用される電位に等しい電圧で適用される。
【0052】
これにより、効率的に、電流などが、一旦、血液回路に注入されると、透析システムの1つ以上の構成要素をバイパスする。1つの実施形態において、第3の接触点53は、図1Bに示されるように、電流などが透析システムの全ての構成要素を効率的にバイパスするように配置され得る。
【0053】
(単一アクセス切断)
本発明の電気的接触部は、患者に挿入される針または適切なアクセスデバイスに対して任意の適切な位置に配置され得る。図1Cに示されるように、アクセス検出の検出に対して適用される際の本発明の実施形態(例えば、患者内に挿入された単一アクセスデバイスの取り外し)が、示される。この型の適用は、単一のアクセスデバイス(例えば、単一の針)を介して投与される種々の異なる適切な医学的治療(静脈内注入および透析治療(血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎臓置換が挙げられる)を含む)に適用可能である。
【0054】
適用される場合、導電性流体(例えば、血液、血液製剤、医学的流体など)は、単一のアクセスデバイスを介して、患者と流体システムとの間を流れる。単一のアクセスデバイスの取り外しの検出としては、例えば、任意の適切な導電性の流体(例えば、血液または医療用薬物もしくは医療用溶液(すなわち、導電性流体(例えば、生理食塩水)に含まれる医薬)、処理された血液、血液製剤、静脈内溶液などまたはこれらの組み合わせ)の送達の間の針の取り外しの検出が挙げられ得る。流体送達は、適切な容器(例えば、血液バッグ)または類似の流体送達デバイスと患者との間でなされ得る。この点に関して、本発明によるアクセス切断の即時の応答性の検出は、単一の針を介して投与される医学的治療の間、血液または医学的流体(例えば、医薬または薬物)をモニタリングおよび制御するために有効に利用され得る。
【0055】
図1Cに示されるように、本発明の装置またはデバイス54の実施形態は、アクセスデバイス56(例えば、患者62の針挿入部位60内で血管58に挿入された針)を備える。針56は、チューブ部材64を介して、流体システム63(例えば、流体注入システム)に接続される。この注入システムとしては、例えば、血液などをコンテナ68(例えば、血液バッグ)から患者へと移動させるための、注入ポンプ66が挙げられる。第一の電気的接触部70は、チューブ部材64に沿って針56から間隔を空けており、そして第二の電気的接触部72は、挿入部位60の近くで患者に取り付けられる。第一の電気的接触部70は、流体が送達コンテナ68から患者へと流れる際に、この流体と流体接触する。
【0056】
この構成において、第一の電気的接触部および第二の電気的接触部(好ましくは、電極)は、流体回路中を電気信号が通過するにつれて、流体回路の少なくとも一部によって形成されるループ内の電気的値(好ましくは、インピーダンス)の変化をモニタリングするために使用され得る。電気的接触点は、電子デバイス74に結合され得、このデバイスは、以下に詳細に記載されるように、単一のアクセスデバイスの取り外しに起因するインピーダンスなどの変化に応答して、電極を通して伝達される検出可能な信号を処理し得る。好ましくは、電気信号は、電極に供給される定電流によって発生され、その結果、直接の伝導性測定が実施されて、脈管アクセス状態の変化(例えば、アクセス針の取り外し)に応答して、インピーダンスなどの変化を検出し得る。
【0057】
単一の針の適用において、測定されるインピーダンスは、流体(すなわち、血液)のインピーダンスと、挿入部位にわたって測定される場合のインピーダンスとの両方の関数であると考えられている。この点に関して、電子デバイス74は、インピーダンスを、電気的経路の全ての物品(すなわち、チューブ内の伝導性流体、針、静脈血管の血流、身体組織、感知電極72に関して皮膚を横切るインピーダンスなど)の合計したインピーダンスに等価なレベルで検出するように調節され得る。
【0058】
(電気的接触部)
先に議論されたように、本発明の電気的接触部は、流体が流体回路を通って流れるにつれて、流体と流体接触する。この点に関して、電気的接触部は、直接の伝導性測定を可能にし、この直接の伝導性測定は、高い感度および特異性で、アクセスの切断(例えば、透析治療の間の血液回路からの静脈針(動脈針または両方)の取り外し)に起因する、インピーダンスなどの変化(例えば、増加)を、即座に検出し得る。
【0059】
電気的接触部は、伝導性かつ生体適合性の、任意の適切な材料(例えば、任意の適切な電極材料(ステンレス鋼が挙げられる)、他の適切な伝導性材料、またはその組み合わせ)から構成され得る。この電極材料は、生体適合性であることが必須である。
【0060】
電気的接触部は、種々の異なる形状および大きさで構築され得ることが理解されるべきであり、その代表的な例が、以下に記載される。例えば、電気的接触部は、プラスター電極として構成または設計され得、これは、水分との接触の際に膨張し得る薬剤を含む。この薬剤としては、種々の適切な材料が挙げられ得、水分との接触の際に10倍より大きく体積が膨張することが公知のゲルが挙げられる。
【0061】
1つの実施形態において、プラスター電極は、患者内に挿入可能なアクセスデバイスの挿入部位において、先に議論されたような単一のアクセスデバイスを介する医療的治療の実施の間に、流体(すなわち、血液の漏出)を検出するために利用され得る。流体との接触の際に、プラスター電極は、必然的に、この電極接触が破壊されるような程度まで膨張し、これによって、流体が流体システムから針を介して患者へと流れる場合に、この流体のインピーダンスの検出可能な増加を引き起こす。
【0062】
1つの実施形態において、1つ以上の電極(図示せず)(例えば、先に議論されたような1つ以上のプラスター電極)が、例えば、図1Aおよび1Bに示されるような電気的接触部の対と組み合わせて使用され得る。例えば、プラスター電極は、動脈針と静脈針とのいずれかまたは両方の挿入部位の近くで、患者に取り付けられ得る。この点に関して、プラスター電極は、アクセスデバイスの挿入部位からの、流体(例えば、血液)の漏出を検出するために使用され得る。
【0063】
1つの実施形態において、電極対は、侵襲性の様式(以下に議論されるように、図2A〜2Cに示される)で血液回路に結合され、その結果、これらの電極は、先に議論されたように、血液と接触する。定電流源などを備える励起源が、これらの電極に適用されて、血液回路内に電気信号を導入し得、これによって、導体ループを規定し、このループに沿って、直接的な伝導性測定が実施され得る。
【0064】
患者の安全を確実にするために、励起源は、代表的に、機器の電源から絶縁される。好ましくは、励起源は、電極を介して血液を通過する定電流を生じる。任意の適切な量の電流が、検出の目的で発生され得る。1つの実施形態において、この電流は、血液を通過する場合に、約10マイクロアンペア以下、好ましくは、約5マイクロアンペア以下のレベルで維持される。本発明は、低レベルの電流(例えば、10マイクロアンペア以下)で操作され得、その結果、電流のレベルが、患者の健康および安全に対して無視できる影響を、もしあれば有することが理解されるべきである。
【0065】
インピーダンスまたは他の適切なパラメータは、種々の異なる適切な様式で測定および計算され得ることが理解されるべきである。例えば、定電流励起源の振幅、位相および/または周波数は、インピーダンスの変化の検出の間に測定および変動され得る。次いで、インピーダンスレベルは、電極を横切る電圧を測定することによって検出され得る。この点に関して、次いで、電圧の振幅、周波数および/または位相が測定され得、そして励起源の測定された振幅、周波数および/または位相と組み合わせて利用されて、血液インピーダンスレベルを、インピーダンスを計算するために代表的に使用される微分または方程式に基づいて計算し得る。
【0066】
電気的接触部は、種々の異なる適切な様式で、血液回路に接続され得る。例えば、電気的接触部は、体外システムの一体的構成要素、血液回路のチューブ部材に接続され得、かつ取り外され得る使い捨て構成要素、使用の間にオートクレーブ処理され得る再使用可能な構成要素などであり得る。
【0067】
(電気的接触部結合デバイス)
1つの実施形態において、本発明の装置は、電気的接触部(好ましくは、電極)が血液と効果的に接触するように、この電極を血液回路に固定するために利用され得る、電気的接触部結合デバイスを備え、そして先に議論されたように、アクセス状態の変化を効果的にモニタリングするために使用され得る。本発明の結合デバイスはまた、患者の、潜在的な電気的供給源への接触に対する保護を容易にするように設計され得る。1つの実施形態において、このデバイスは、管に接続された伝導性要素を備え得、この管を通って、医療流体(例えば、血液)が流れ得、ここで、この伝導性要素は、医療流体に曝露される第一の部分、および管の外側の第二の部分を有する。
【0068】
本発明の結合デバイスは、種々の異なる適切な構成、構成要素、材料構成などを含み得る。1つの実施形態において、本発明は、電気的接触部を流体導管に接続して、電気的接触部と、流体導管を通って流れる流体との間に、流体接続および電気接続を提供するためのデバイスを包含し得る。このデバイスは、以下を備え得る:電気的接触部、および環状部材に接続された第一のステム部分を収容し得る環状部分を含む第一の部材であって、このステム部分は、環状部材へとそこを通って延びる開口部を有する、第一の部材;基部を備える第二の部材であって、この基部が、溝領域および第二のステム部分を有し、このステム部分は、ステム部分を通って溝領域まで延びる開口部を有し、この開口部は、第一の部材を第二の部材に挿入および固定することを可能にする、第二の部材;ならびに接触部材であって、第一のステム部分および第二のステム部分を嵌合させて、この接触部材が電気的接触部材の少なくとも一部に当接することを可能にして、電気的接触部と接触部材との間に電気的接続が作製されることを可能にする、接触部材。本発明の電気的接触部結合デバイスの代表的な例は、以下に記載される。
【0069】
図2Aおよび2Bに示されるように、電気的接触部結合デバイス80は、プローブ部材82を備え、このプローブ部材は、この部材を通って延びる開口部84を有する、円筒形の形状を有する。この点に関して、電気的接触部(好ましくは、円筒形状を有する電極86)は、開口部84に挿入され得、その結果、電極86は、プローブ部材82の内部に固定される。1つの実施形態において、プローブ部材82は、開口部84の少なくとも一部に沿って延びるチャネル85を有し、このチャネル内で、電極86が、プローブ部材82内に挿入され得る。チューブ部材(例えば、血液配管セット、透析機構のコネクタチューブ部材などからのもの)が、プローブ部材82の開口部84の両端に、チャネル85の外側部分と接触して挿入され得、血液または他の適切な流体が、任意の適切な様式で、電極86と流体接触することを可能にする。電極86は、この電極を通って延びる開口部88を有し、この開口部内を、流体回路からの血液(図示せず)または他の適切な流体が流れ得る。1つの実施形態において、電極86の開口部88の直径は、電極86を通る血流を可能にするような大きさにされ、その結果、代表的な操作条件下(例えば、透析治療の間)の血流レベルが、適切に維持され得る。この点に関して、本発明の結合デバイスは、医学的治療(例えば、透析治療が挙げられる)の間に使用するための流体回路(血液回路などが挙げられる)に容易に効果的に取り付けられ得る。本発明の結合デバイス80は、任意の適切な様式で流体回路に取り付けられ得、その結果、流体回路を通って流れる流体との電気的接続および流体接続がなされ得る。
【0070】
プローブ部材82はまた、ステム部分90を備え、この部分は、その円筒形状の本体の表面92から延びる。ステム部分90は、この部分を通って延びる開口部93を有する。1つの実施形態において、ステム部分90は、電極86の少なくとも一部が、ステム部分90の開口部93と接触するように配置される。
【0071】
電極86を血液回路に固定するために、結合デバイス80は、ソケット部材94を備え、この部材は、開口部98を有する本体部分96を備え、この開口部は、プローブ部材82を受容し、そして血液回路の血液チューブ部材(図示せず)を受容するためのものであり、その結果、透析治療の間に血液が血液回路を通って循環するにつれて、この血液がこの電極と直接接触する。1つの実施形態において、ソケット部材94は、本体部材96から延びるステム部分100を備え、ここで、ステム部分100は、この部分を通って延びる開口部102を備える。プローブ部材82が本体部材96の開口部98を通して挿入されるにつれて、プローブ部材82のステム部分90が、ソケット部材94の本体96のステム部分100の開口部102に挿入され得る。
【0072】
1つの実施形態において、ソケット部材94は、溝領域104を備え、この溝領域は、ソケット部材94の本体96の少なくとも一部に沿って延びる。この点に関して、プローブ部材82は、開口部98を通して挿入され得、次いで、溝領域104内に移動または配置されて、プローブ82をソケット部材94の本体96の内部に固定し得る。
【0073】
1つの実施形態において、結合デバイス80は、電気的接触部材106を備え、この部材は、ソケット部材94の本体96のステム部分100の開口部102に挿入され、その結果、電気的接触部材106は、プローブ部材82のステム部分90の開口部93を通って延び、電極86の表面108の少なくとも一部と接触する。
【0074】
電気的接触部材106は、例えば、励起源、信号処理デバイス、アクセス状態の変化(例えば、針の取り外し)をモニタリングおよび/または制御する際に使用するために適切な他の類似の電子デバイスのエレクトロニクス(図示せず)を接続するために利用される。電気的接触部材106は、適切な材料(例えば、任意の適切な伝導性材料(ステンレス鋼、他の類似の伝導性材料またはこれらの組み合わせが挙げられる))から作製され得る。電気的接触部材106を適所に固定するために、接触保持部材110が、ステム部分100の開口部102内に、その端部領域112において挿入される。
【0075】
1つの実施形態において、結合部材は、透析機械、デバイスまたはシステムに、任意の適切な様式で取り付けられる。例えば、結合デバイスは、透析機械の一体的構成要素として取り付けられ得る。同様に、結合デバイスは、別個の構成要素および/または独立型構成要素として取り付けられ得、この構成要素は、本発明の装置およびシステムの構成要素のいずれかとインターフェースし得る。1つの実施形態において、結合デバイス80は、ソケット部材94のステム部分100を介して、透析機械または他の適切な構成要素に挿入可能に取り付けられ得る。
【0076】
電気的接触部結合デバイスは、種々の異なる適切な形状、大きさおよび材料の成分を備え得ることが理解されるべきである。例えば、結合デバイスの別の実施形態が、図2Cに示される。図2Cにおける結合デバイス114は、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと構成が類似している。この点に関して、図2Cの結合デバイス114は、例えば、円筒形状の電極または他の適切な電気的接触部、この電極を受容し、そしてこの電極を感知デバイスのソケット部材内で適所に固定するためのプローブ部材を備え得る。このプローブ部材は、ステム部分を備え、この部分は、ソケット部材のステム部分に挿入可能である。電気的接触部材は、ステム部分に挿入可能であり、その結果、この部材は、電極と接触し得る。図2Cの結合デバイスはまた、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと同様に、電気的接触部材を適所に保持するための接触保持部材を備え得る。
【0077】
図2Cに示されるように、電気的接触結合デバイス114のプローブ部材116は、ハンドル118を備え、このハンドルは、プローブ部材116を、ソケット部材120の内に固定することを容易にし得る。ハンドル118は、示されるように、中実の形状を有し、これは、結合デバイス114の使用および製造を容易にする。さらに、プローブ部材116のステム部分(図示せず)は、図2Aに示されるようなプローブ部材のステム部分より直径が大きい。ステムの大きさを増加させることによって、プローブ部材は、より容易に(easily)かつ容易に(readily)、ソケット部材に挿入され得る。さらに、プローブ部材は、図2Aおよび2Bに示されるようなプローブ部材と比較して、より長く、その結果、プローブ部材116の端部領域122は、ソケット部材120の溝領域124を越えて延びる。このことは、プローブ部材をソケット部材120の溝領域124内に固定することを容易にし得る。
【0078】
1つの実施形態において、ソケット部材120の開口部126は、プローブ部材116のステム部分(増加した大きさを有する)の挿入に適合するためのさらなる開口部128を備え得る。このことは、ソケット部材へのプローブ部材の挿入の前に、プローブ部材の、ソケット部材に関する適切な整列を確実にし、これによって、挿入プロセスを容易にし得る。
【0079】
プローブ部材、ソケット部材および接触保持部材は、種々の異なる適切な材料(例えば、プラスチック、成型プラスチック、類似の材料またはこれらの組み合わせが挙げられる)から構成され得ることが理解されるべきである。結合デバイスの種々の構成要素(例えば、プローブ部材、ソケット部材および接触保持部材)は、任意の適切な様式で嵌合され得る。例えば、これらの構成要素は、平滑な係合(図2Aおよび2Bに示されるような)、螺合係合(図2Dおよび2Eに示されるような)、および/または任意の適切な嵌合係合または配置で、互いに嵌合され得る。
【0080】
図2Dおよび2Eに示されるように、本発明の結合デバイス130は、ねじ切りされた部品から作製され得、これは、互いに取り外し可能に接続されて、結合デバイスを形成する。ねじ切りされた部品は、以下に記載されるように、血液回路への電極の固定、およびこの部品の一般的な使用を容易にし得る。
【0081】
1つの実施形態において、結合デバイス130の本体134のステム部分132は、ねじ切りされた領域136を有し、この領域は、透析機械または他の適切な取り付けデバイスに、螺合係合で挿入可能に取り付けられ得る。このことは、結合デバイスが、取り付けデバイスに取り付けられ、そして取り付けデバイスから取り外される際の容易さを促進し得る。
【0082】
図2Eに示されるように、ステム部分132は、両側でねじ切りされ、この部分が環状部材138と螺合係合されることを可能にする。環状部材138は、先に議論されたように、電極接触部材140が、プローブ部材144に収容された電極142と当接することを可能にする配向および支持を提供する。
【0083】
1つの実施形態において、プローブ部材144が本体134に固定される際に、任意の適切な伝導性材料から作製されたプレート部材146が、ばね148に抵抗して押下され得る。同時に、別のばね150が、電気的接触部材140に対して押下され、環状部材138の環状領域に挿入された保持機152と接触し、電気的接触部材140を本体134に固定し得る。
【0084】
本発明の実施形態のばね機構は、結合デバイス130の部品が、使用の間にしっかりと係合して保持されることを可能にする。このことはまた、洗浄、メンテナンスまたは他の適切な目的のために、これらの部品の取り外しの間の使用を容易にし得る。
【0085】
1つの実施形態において、この結合デバイスは、電気的接触部が取り付けられたデバイスを備え得、このデバイスが流体回路に取り外し可能に取り付けられる場合に、この電気的接触部が、流体導管を穿孔または穿刺することを可能にする。この点に関して、このデバイスは、クランプ機構を介して作用し、電気的接触部と、流体回路を通って流れる流体との間に、電気通信および流体連絡を可能にする。このデバイスは、制御装置などに結合され得、先に議論されたように、医療的治療(例えば、透析治療)の間に、直接の伝導性測定を使用して、アクセスの切断の検出を可能にする。このデバイスは、種々の適切な様式で作製され得る。
【0086】
1つの実施形態において、デバイス153は、図2Fに示されるように、第一の部材154、および第一の部材に端部156にて移動可能に取り付けられた第二の部材155を備える。第一の部材および第二の部材は、任意の適切な様式で(例えば、ヒンジ157、または第一の部材および第二の部材の移動を可能にし得る他の適切な機構によって)、互いに取り付けられ、その結果、デバイス153は、流体導管に取り付けられ得る。デバイス153の移動可能な部材は、任意の適切な材料(好ましくは、有効な電気的接続がなされ得るように、電気的接触部と適合性の伝導性材料(例えば、ステンレス鋼))から構成され得る。
【0087】
電気的接触部158は、先に議論されたように、任意の適切な材料(例えば、ステンレス鋼)から構成され得る。電気的接触部の材料は、ある形状を規定し、そして任意の適切な様式で、第一の部材または第二の部材の一部に取り付けられる。このことは、デバイス158が流体導管に取り付けられる場合に、電気的接触部158が、この流体導管を穿刺または穿孔することを可能にし、その結果、電気的接触部158は、この導管を通って流れる流体と、電気的接触し、かつ流体接触し得る。
【0088】
1つの実施形態において、デバイス158は、流体導管への取り付けの際に、自己密封する。このことは、任意の適切な様式で(例えば、任意の適切な接着剤、ゲルまたは他の密封材料を、デバイス158に、必要であれば、流体導管への取り付けの前に塗布することによって)なされ得る。この点に関して、デバイス153は、電気的接触部と、流体導管(例えば、血液回路)を通って流れる流体との間の、流体接触と電気的接触との両方を提供するために、効果的かつ容易に使用され得る、単純な設計を提供する。
【0089】
先に議論されたように、本発明は、患者に挿入されたアクセスデバイス(例えば、針)(これを通って、患者と流体送達システムおよび/または処理システムとの間を流体が通過し得る)の取り外しを検出するために、効果的に利用され得る。本発明は、多数の異なる適用(例えば、医療的治療または処置、特に、透析治療が挙げられる)において適用され得る。透析治療において、アクセスデバイス(例えば、針)は、患者の動脈および静脈に挿入されて、透析機械へおよび透析機械からの血流を接続する。
【0090】
これらの状況下で、針が血液回路から取り外されるかまたは分離される場合(特に、静脈針)、患者からの血液損失の量は、有意かつ即時であり得る。この点に関して、本発明は、アクセスデバイスの取り外し(例えば、透析治療(血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎交換)の間)に起因する、患者からの血液損失を制御可能に効果的に最小にするために利用され得る。
【0091】
(信号の検出および処理)
先に議論されたように、電気的接触部は、制御装置と組み合わせて、針の離脱または他の類似のアクセス状態の変化に応答して、インピーダンスなどの変化を検出するために使用され得る。1つの実施形態において、本発明は、ベースラインインピーダンスの任意の変動を、経時的に補正するように適合され得る。このことは、本発明の検出能力に関して、感度のレベルを増加させ得る。この点に関して、ベースラインインピーダンスの変化が大きすぎ、そして十分に補正されないにせよ、針の取り外しに起因するインピーダンスの変化は、ベースライン値より上で、全く検出不可能ではない場合、容易には検出可能ではないかもしれない。
【0092】
実用的な立場から、多数の異なるプロセス条件が存在し、これらの条件は、経時的に、ベースラインインピーダンスの変化に影響を与え得る。例えば、ベースラインの次第の浮動または変化が、治療の間の血液または他の適切な流体の特徴(例えば、ヘマトクリット、血漿タンパク質、血液/水伝導性など)の変化に起因して起こり得る。このことは、透析治療の間の電解質または他の成分のレベルの変化に起因して生じ得る。
【0093】
図3に示されるように、本発明は、ベースラインインピーダンスの変化を経時的に補正するための、測定可能な電圧信号を処理し得る。これは、先に議論されたように、本発明の検出能力を増強し得る。1つの実施形態において、電流源160などは、血液が体外血液回路162に沿って患者内へ、患者を通って、そして患者から循環するにつれて、この血液を通過する電流を発生させる。この体外血液回路は、この患者を、静脈針および動脈針を介して、種々のプロセス構成要素を備える透析システムに接続する。この電流は、第一の電気的接触部163aを介して血液回路に導入され、これによって、血液回路に沿った導体ループまたは通路を規定する。好ましくは、電流は、取り外しが起こるまで一定のレベルで維持される。第二の電極163bは、先に議論されたように、導体ループに沿って電圧などを感知し、次いで、この電圧および/またはその変化を示す信号を、検出および処理のための電気デバイスに通すために使用される。電圧信号は、任意の適切な様式で、測定および処理され得る。
【0094】
1つの実施形態において、この信号は、一連の構成要素を通過する。この構成要素は、フィルタ164(このフィルタは、針の取り外しの誤った負の検出および/または正の検出を最小にするために、信号から雑音(特に、ポンプからの回転に由来する雑音)を濾波するように働き得る)、整流器166、ピーク検出器168、および信号をデジタル化するためのアナログデジタル変換器(「ADC」)170を含む。この点に関して、次いで、デジタル信号は、さらなる処理のために、コンピュータデバイス(図示せず)に格納され得る。電圧信号は、経時的に、連続的に測定および処理される。各測定を用いて、デジタル化された信号は、経時的に、プロセス条件の変動に関連するベースライン変化に起因する変化(例えば、先に議論されたような、血液の特徴の変化)と比較して評価される。ベースラインの変化が決定される場合、デジタル化された信号は、さらに処理されて、ベースラインの変化を補正し得る。
【0095】
電圧データは、ADCに結合された制御ユニット172に連続的に送信される。この制御ユニットは、連続的に計算を実施し、針の取り外しに応答するインピーダンスなどの変化が起こったか否かを決定する。1つの実施形態において、アクセスデバイスの取り外しは、先に議論されたように、[V(t)−V(t−T)]>C1である場合(ここで、tは、時間であり、Tは、血液ポンプの循環周期であり、C1は、定数である)、およびV(t)=I0×Z(ここで、I0は、電流であり、そしてZは、ベースラインのインピーダンスであり、これは、患者の脈管アクセスに関連するインピーダンス、および透析システムの種々の構成要素(例えば、透析機械)に関連するインピーダンスの関数である)である場合に検出される。
【0096】
血液回路からの患者の切断が検出される場合、制御ユニット172は、患者からの血液の損失を最小にするために、信号を処理するために利用され得る。1つの実施形態において、この制御装置は、透析治療(例えば、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、および連続的な腎交換)を施すように適用される場合、透析システムと通信する。この通信は、ハードワイヤ(すなわち、電気通信ケーブル)、無線通信(すなわち、無線RFインターフェース)、空気式インターフェースなどのいずれかであり得る。この点に関して、この制御装置は、透析システムまたはデバイスと通信して、透析機械に関連する血液ポンプ174を遮断または停止させるように、信号を処理し得、従って、血液透析の間の針の取り外しに起因する、患者からの血液損失の量を効果的に最小にする。
【0097】
この制御装置は、種々の他の様式で、透析システムと通信し得る。例えば、制御装置および血液透析機械は、静脈針を介してさらなる血流を提供するために、静脈ラインクランプ176を作動させるように通信し得、これによって、患者に対する血液の損失を最小にする。1つの実施形態において、静脈ラインクランプは、制御装置によって作動され、そして静脈針に対して取り付けまたは位置決めされ、その結果、この静脈ラインクランプは、針の近位で静脈ラインをクランプし得る。一旦クランプされると、この透析システムは、圧力の増加を感知し得、そして血流ライン中の、予め決定されたレベルより高い圧力の感知の際に、血液ポンプを遮断するようにプログラムされ得る。あるいは、静脈ラインクランプは、透析システムに制御可能に取り付けられ得る。
【0098】
1つの実施形態において、例えば、透析治療の間の針の取り外しに起因する血液損失の検出の際に、警報が作動され得る。一旦作動されると、この警報(すなわち、聴覚的および/または視覚的など)は、患者、医療管理提供者(すなわち、医師、登録された看護士など)および/または非医療管理提供者(すなわち、家族構成員、友人など)に、例えば、針の取り外しに起因する血液の損失を警戒させ得る。この警報機能は、非医療施設での透析治療(例えば、透析治療が代表的に、患者および/または非医療管理提供者によって、病院または他の医療施設以外の非医療背景または環境で施される、自宅背景または自己管理の背景)の間に特に望ましい。
【0099】
この点に関して、警報の作動は、例えば、患者が、例えば、患者に対する血液損失を最小にするために血液ポンプが自動的に遮断されることを点検するために、透析治療が終結されることを確認するように、対応して行動することを可能にする。従って、患者は、血液損失を最小にするために、応答した測定がなされることを確実にするために、第三者の補助なしで行動する(すなわち、自分自身で行動する)能力を有する。次いで、警報は、透析治療の実施の間、特に、自宅での血液処置に適用される場合(この場合、少なくとも透析治療の部分は、患者の睡眠の間に実施され得る)に、患者の安全性を確実にするように機能し得る。
【0100】
(透析機械)
先に議論されたように、本発明は、任意の適切な流体送達システム、処置システムなどとともに使用するために適合され得る。1つの実施形態において、本発明は、透析機械とともに使用して、処置(例えば、血液透析、血液濾過、および血液ダイアフィルトレーションが挙げられる)の間、血液回路に沿って、患者と透析機械との間で血液が流れる際のアクセスの切断を検出するために、適合される。
【0101】
本発明は、このような目的の任意の適切な透析機械を備え得る。本発明の血液透析機械の例は、米国特許第6,143,181号(本明細書中に参考として援用される)に開示されている。1つの実施形態において、透析機械190は、可動シャーシ192を備え、そしてこの機械は、その前側194にて、チューブなどを接続するための共通の機構196を有し、この機構によって、患者は、図4Aに示されるように、透析機械に接続され得る。平坦なタッチスクリーン197(これは、いくつかの作動パラメータを示し得、そしてそれぞれ関連する記号およびフィールドによる透析機械の調節のための記号およびフィールドを、タッチされるスクリーン上に備える)は、垂直方向に調節され得、そして透析機械を自在に旋回し得、そして所望の調節された位置に固定され得る。
【0102】
1つの実施形態において、この透析機械は、1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え、これらのコネクタは、患者を、血液回路を通して透析機械に接続し、血液が、透析治療の間、患者と透析機械との間を流れることを可能にするためのものである。ここで、1つ以上の電気的接触部は、血液と流体接触して血液回路に接続され、電気信号が血液中を通りながら血液が血液回路を流れる際に、アクセスの切断に応答する電気的値の変化の検出を可能にする。
【0103】
1つの実施形態において、本発明の透析機械は、図4Bに示されるように、アクセスの切断を検出するために使用される電気的接触部結合デバイス(例えば、1対の結合デバイス)の1つ以上を収容するように設計され得る。例えば、1つ以上のカップリングデバイス198は、透析機械190の前パネル194に取り付けられ得る。これは、任意の適切な様式でなされ得る。1つの実施形態において、カップリングデバイスのステム部分は、先に議論されたように、螺合嵌合、摩擦嵌合などを介して、挿入可能に取り付けられる。これは、患者を、血液配管セット202を介して、透析機械190に接続する。血液配管セットは、第一の血液ライン204および第二の血液ライン206を備える。1つの実施形態において、第一の血液ライン204は、動脈針208など(これを通って、血液が、患者200から透析機械190へと流れ得る)を介して患者に接続される。次いで、第二の血液ライン206は、静脈針210など(これを通って、流体が、透析機械から患者へと流れ、血液回路を規定する)を介して、患者200に接続される。あるいは、第一の血液ラインおよび第二の血液ラインは、それぞれ静脈針および動脈針に結合され得る。血液ラインは、任意の適切な医療等級の材料から作製される。この点に関して、先に議論されたように、アクセスの取り外し(例えば、動脈針および/または静脈針の取り外し)が、検出され得る。あるいは、結合デバイスは、血液配管セットに取り付けられ得、このセットが次いで、任意の適切な様式で、透析機械に取り付けられる。
【0104】
(透析処置センター)
先に議論されたように、本発明は、自宅で実施される透析治療の間に、および透析処置センターにおいて使用され得る。透析処置センターは、多数の患者に透析治療を提供し得る。この点に関して、処置センターは、患者の要求に応じるために、多数の透析機械を備える。透析処置センターにおける治療セッションは、場所および使用についての患者の要求に依存して、1日あたり24時間、1週間あたり7日間実施され得る。
【0105】
1つの実施形態において、透析処置センターは、本発明の一実施形態に従って、透析治療の間のアクセスの切断を検出するための能力を備える。例えば、1つ以上の透析機械が、先に議論されたように、アクセスの切断を検出するための必要な他の構成要素とともに、電気的接触部結合デバイスとともに使用するために適合され得る。
【0106】
1つの実施形態において、電気的接触部結合デバイスは、透析処置センターの1つ以上の透析機械に直接取り付けられ得る。本発明の実施形態に従う装置、デバイス、方法および/またはシステムは、透析処置センターにおいて1人以上の患者に施される透析治療の間、任意の適切な様式で使用するために適合され得ることが理解されるべきである。1つの実施形態において、処置センターは、1つ以上の患者ステーションを有し得、このステーションにおいて、透析治療が、各々それぞれの透析機械に結合された1人以上の患者に対して実施され得る。任意の適切なセンター内での治療が実施され得、例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「患者ステーション」または類似の用語は、透析治療の間に使用することを専門とする、任意の適切に規定された透析処置センターの領域を意味する。患者ステーションは、透析治療を実施するために必要な、任意の数および型の適切な設備を備え得る。
【0107】
1つの実施形態において、透析処置センターは、多数の患者ステーションを備え、これらのステーションの各々において、透析治療が、1人以上の患者に対して実施され得る;そして1つ以上の透析機械が、それぞれの患者ステーションに位置する。1つ以上の透析機械は、1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え得、これらのコネクタは、患者を、血液回路を介して透析機械に接続し、透析治療の間、血液が患者と透析機械との間を流れることを可能にするためのものであり、ここで、1対の電気的接触部が、血液と流体接触して血液回路と接続され、電気信号が血液を通りながら、血液が血液回路を通って流れる場合に、アクセスの切断に応答する電気的値の変化の検出を可能にする。
【0108】
先に議論されたように、本発明の、アクセスの切断の検出能力は、安全かつ効果的な透析治療をモニタリングおよび制御するために利用され得る。患者からのアクセスデバイス(例えば、針)の取り外しの際に、本発明の直接伝導性測定の能力が、取り外しを示す信号を提供するために使用され得、この信号は、制御および/またはモニタリングの目的で、さらに処理され得る。1つの実施形態において、この信号は、先に議論されたように、透析治療を自動的に終結させて、取り外しに起因する血液損失を最小にするために、さらに処理され得る。さらに、この信号は、警報を作動させるように処理され得、この警報は、患者および/または医療人員に、取り外し状態を警戒させて、対応した対策が採られることを確実にし得る。本発明は、医学的治療(透析治療を含む)の安全かつ効果的な実施を容易にするように、種々の適切な様式で改変され得ることが理解されるべきである。
【0109】
本出願人らは、本発明の直接の伝導性測定の能力が、アクセスの切断(例えば、針の取り外し)に起因する血液の損失などを、高い感度および選択性で即時に検出し得、その結果、これに起因する血液の損失を最小にするための対応した対策が採られ得ることを見出した。血液の損失の際に血液の損失を最小にするために、対応して迅速に行動する能力は、血液透析の間の針の取り外しに関して、特に重要である。即時に検出および応答されない場合、血液損失の量が有意であり得る。1つの実施形態において、本発明は、針の取り外しの即時の検出の際に、約3秒以内で、好ましくは、約2〜約3秒で、能動的または応答した対策を採り得、血液の損失を最小にする(すなわち、血液ポンプを遮断するか、動脈ラインクランプを作動させるなど)。
【0110】
さらに、制御装置は、血液透析の間、1つ以上の処置パラメータをモニタリングおよび/または制御するために利用され得る。これらのパラメータとしては、例えば、針の取り外しの際の血液の損失に起因する血液の検出、血流の変化、動脈ラインにおける気泡の検出、処置の間のセンサの移動の検出、センサの電気伝導性または他の処置パラメータの検出および/またはモニタリングが挙げられ得る。1つの実施形態において、制御装置は、1つ以上のパラメータをモニタリングするためのディスプレイ(図示せず)を備える。
【0111】
本明細書中で使用される場合、「医療管理提供者」または類似の用語(例えば、「医療管理人員」が挙げられる)は、医療の免状を有し、訓練され、経験し、そして/または医療手順(例えば、透析治療が挙げられる)を患者に施すために他に資格を与えられた個人を意味する。医療管理提供者の例としては、医師、外科医、登録された看護士、または他の類似の医療管理人員が挙げられる。
【0112】
本明細書中で使用される場合、「非医療管理提供者」または他の類似の用語(例えば、「非医療管理人員」が挙げられる)は、代表的な医療管理提供者(例えば、医師、外科医、登録された看護士など)として一般には認識されない個人を意味する。非医療管理提供者の例としては、患者、家族構成員、友人または他の類似の個人が挙げられる。
【0113】
本明細書中で使用される場合、「医療施設」または他の類似の用語(例えば、「医療背景」が挙げられる)は、医学的な手順または治療(透析治療が挙げられる)が、医療管理人員の管理の元で代表的に実施される、施設またはセンターを意味する。医療施設の例としては、病院、医学的治療施設(例えば、透析処置施設、透析処置センター、血液透析センターなど)が挙げられる。
【0114】
本明細書中で使用される場合、「非医療施設」または他の類似の用語(例えば、「非医療背景」が挙げられる)は、代表的な医療施設(例えば、病院など)とは通常認識されない、施設、センター、背景および/または環境を意味する。非医療環境の例としては、自宅、住居などが挙げられる。
【0115】
電極出力信号は、他の感度の低い血液損失検出方法(例えば、静脈圧測定、全身血圧など、またはこれらの組み合わせ)と組み合わせられて、針の取り外しの特異性を改善し得ることが、理解されるべきである。
【0116】
本明細書中に記載される、現在好ましい実施形態に対する種々の変化および改変が、当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変化および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そして本発明の意図される利点を減少させることなくなされ得る。従って、このような変化および改変は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【符号の説明】
【0117】
14 血液配管セット
16 血液回路
18 患者
20 体外血液システム
22、24 電気的接触部
26、28 チューブ部材
32 静脈針
34 動脈針
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液システムであって:
体外血液回路を含む体外血液機械;
該体外血液回路が患者に接続されることを可能にするアクセスデバイス;血液が該体外血液回路を流れるとき、血液と接触するように構成された一対の電気的接触部;および
(i)該体外血液機械の構成要素に起因するひとまとめにしたインピーダンスZDおよび(ii)該患者への該体外血液回路のアクセスに起因するひとまとめにしたインピーダンスZPを含む少なくとも2つのひとまとめにしたインピーダンスに従って、合計インピーダンスZをモデル化するように構成された制御装置、を備える、体外血液システム。
【請求項2】
ZPが、少なくとも前記体外血液回路に付随するアクセスデバイスおよび配管に起因する、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項3】
ZDが、少なくともポンプ、透析機械および滴下チャンバに起因する、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項4】
前記制御装置が、前記アクセスデバイスの前記患者からの取り外しに際し、ZPが、ZがZDに少なくとも実質的に等しくなるように無限に近づくとみなされるよう構成される、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項5】
電気的接触部カップリングデバイスが、前記体外血液回路にカップルされる、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項6】
第1の部材および該第1の部材に移動可能に取り付けられた第2の部材を含み、該第1の部材および該第2の部材の開放配置および閉鎖配置への取り外しを可能にする伝導性デバイスを含む、請求項5に記載の体外血液システム。
【請求項7】
前記伝導性デバイスが、端部に前記第1の部材および前記第2の部材に取り付けられたヒンジを含む、請求項6に記載の体外血液システム。
【請求項8】
前記第一の部材および第二の部材の各々の少なくとも一部分が、前記伝導性デバイス上に提供される電気的接触部と適合性の材料から作製され、効率的な電気的接続が作製され得る、請求項5に記載の体外血液システム。
【請求項9】
前記体外血液機械が、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎交換からなる群から選択される、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項1】
体外血液システムであって:
体外血液回路を含む体外血液機械;
該体外血液回路が患者に接続されることを可能にするアクセスデバイス;血液が該体外血液回路を流れるとき、血液と接触するように構成された一対の電気的接触部;および
(i)該体外血液機械の構成要素に起因するひとまとめにしたインピーダンスZDおよび(ii)該患者への該体外血液回路のアクセスに起因するひとまとめにしたインピーダンスZPを含む少なくとも2つのひとまとめにしたインピーダンスに従って、合計インピーダンスZをモデル化するように構成された制御装置、を備える、体外血液システム。
【請求項2】
ZPが、少なくとも前記体外血液回路に付随するアクセスデバイスおよび配管に起因する、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項3】
ZDが、少なくともポンプ、透析機械および滴下チャンバに起因する、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項4】
前記制御装置が、前記アクセスデバイスの前記患者からの取り外しに際し、ZPが、ZがZDに少なくとも実質的に等しくなるように無限に近づくとみなされるよう構成される、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項5】
電気的接触部カップリングデバイスが、前記体外血液回路にカップルされる、請求項1に記載の体外血液システム。
【請求項6】
第1の部材および該第1の部材に移動可能に取り付けられた第2の部材を含み、該第1の部材および該第2の部材の開放配置および閉鎖配置への取り外しを可能にする伝導性デバイスを含む、請求項5に記載の体外血液システム。
【請求項7】
前記伝導性デバイスが、端部に前記第1の部材および前記第2の部材に取り付けられたヒンジを含む、請求項6に記載の体外血液システム。
【請求項8】
前記第一の部材および第二の部材の各々の少なくとも一部分が、前記伝導性デバイス上に提供される電気的接触部と適合性の材料から作製され、効率的な電気的接続が作製され得る、請求項5に記載の体外血液システム。
【請求項9】
前記体外血液機械が、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび連続的腎交換からなる群から選択される、請求項1に記載の体外血液システム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【公開番号】特開2013−81817(P2013−81817A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7007(P2013−7007)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2009−206484(P2009−206484)の分割
【原出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2009−206484(P2009−206484)の分割
【原出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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