患者のモニタリングに適合したワイヤレス通信ネットワーク
【解決手段】医療器具の環境下で使用され、ピアツーピアネットワークに類似するアーキテクチャーを有するワイヤレスネットワークは2種類のノードすなわち第1の送信タイプノードおよび第2の受信中継タイプノードを有する。第1タイプノードは患者の身体上の測定因子をモニタリングするワイヤレス装置であればよい。ワイヤレスオキシメーターがその例に挙げられる。第2タイプノードは、送信範囲でワイヤレス装置からデータを受信すべく構成される可搬性のワイヤレス通信機である。受信データの統合後、個々のノード通信機はネットワークに最新のデータをブロードキャスト発信する。発信した通信機のブロードキャスト通信範囲に滞在する他の中継通信機は更新データを受信する。したがって、ワイヤレス装置の送信範囲の外側に位置する通信機には患者の状態が通知される。個々の通信機は複数のワイヤレス装置からデータを受信し表示することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療産業で用いられることができるワイヤレス通信ネットワークに関し、特に、患者がモニタリングされる場所から遠方に患者の測定因子を運搬する複数のノード通信機を有するノードネットワークに関する。さらに、本発明は、ネットワーク伝いにリモートで患者データを運搬する(もしくは伝播する)方法、および、そういったワイヤレス通信ネットワークで使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば患者の血圧、動脈血酸素飽和度(SP02)、心拍数、心電図といった身体上の測定因子(parameter)を遠隔でモニタリングする際に、通常、センサーが患者に取り付けられる。センサーは送信機に接続される。送信機は主要なナースステーションに向けて患者信号を送信する。こうした送信にあたって一般には有線が用いられ、最近では送信にあたって無線が用いられる。ナースステーションは病院の一般病棟に存在することもあれば集中治療病棟に存在することもある。ナースステーションにはいくつものモニターが設置される。モニターを通じて複数の病室の患者はモニタリングされる。ナースステーションには看護士が常駐する。この看護士は様々な患者の身体上の測定因子をモニタリングし、患者の健康状態(容態)を観察する。身体上の測定因子の信号は複数の病室から送られてくる。こうした主要なナースステーションは、患者がそれぞれの病室に閉じ込められる環境下では良好に稼働する。個々の病室には1台の適切な送信機が設置される。送信機は、それぞれの患者に接続されるセンサーで検出される身体上の測定因子の信号を発信する。
【0003】
しかしながら、医療分野では、無線通信の採用によって患者に移動の自由度を与えることがトレンドである。医療分野、例えばパルス酸素濃度測定の分野では、携帯型装置として、遠隔通信機能を備えた指装着型のオキシメーターがある。このオキシメーターは本願の出願人に譲渡された米国特許第6731962号に開示される。この米国特許の開示内容は参考のために本明細書に組み込まれる。当該米国特許に開示の装置は遠隔の受信機またはモニターに向けて患者データを送信する。他の例に係るパルスオキシメーターは米国特許出願公開公報第2005/0234317号に開示される。このパルスオキシメーターは無線通信リンクを通じて外部のオキシメーターと通信することができる。このオキシメーターの遠隔装置はディスプレイである。さらに他の例に係る無線パルスオキシメーターは米国特許出願公開公報第2005/0113655号に開示される。ここでは、無線の患者センサーはパルスオキシメーターに未加工の患者データを送信する。パルスオキシメーターは患者データを加工し患者データをウェブページに仕立てる。生成されたウェブページは無線アクセスポイントに無線で送信される。その結果、ウェブページは、当該無線アクセスポイントにネットワークで接続される遠隔のモニタリングステーションでダウンロードされることができる。遠隔で患者の状態をモニタリングする他のシステムが米国特許出願公開公報第2004/0102683号に開示される。同公報は患者に着用される患者モニタリング装置を開示する。患者から収集される患者データは無線でローカルネットワークのハブに送信される。ハブはパブリックネットワークまたはプライベートネットワークを経てリモートサーバーに向かってデータを転送する。サーバーはウェブポータルサーバーとして機能し、医師や、患者データの閲覧許可を得た人々は閲覧したい患者データにアクセスすることができる。
【0004】
したがって、現在のシステムは、遠隔のハブや遠隔のアクセスポイントに向けた患者データの送信に着目し、リモートで患者データを閲覧することができるとはいえ、閲覧は特定の場所に制限される。いまのところ使用されるネットワークや通信リンクは、特定の通信経路で情報を送信する予め定義されたリンク、および、選択的にアクセスを許可する特定のサーバーを有するパブリック通信ネットワークのいずれかに該当する。患者の移動の自由度を要求するとともに多数の患者のモニタリングを要求する前述の病院環境にいずれの従来技術システムも適合するとは言えない。しかも、患者の病室に固定されたモニターから患者を解放し、患者に移動の自由を付与すると同時に、その場合であっても、介護者に対して患者の健康状態をモニタリングし続けさせることができることへの要求がある。
【0005】
したがって、患者が着用することができ、患者から収集されるデータを無線で送信することができる携帯型装置が要求される。
【0006】
さらに、介護者の不足に鑑み、主要なナースステーションに駐在し様々な患者の身体上の測定因子をモニタリングする看護士または介護者の要件の緩和が要求される。一人よりも多くの介護者で様々な患者の身体上の測定因子をモニタリングすることができれば都合がよい。加えて、この通信ネットワークで、一人の看護士または介護者、または複数の看護士や介護者、健康管理従事者らが実質的にリアルタイムで遠隔から一人の患者や複数の患者の健康状態(容態)をモニタリングすることが要求される。そのために、複数の患者から収集されるデータを受信することができ、収集されたデータと複数の患者との相互関係を示すことができる通信ネットワークが要求される。そうしたネットワークの遠隔モニタリング性能を十二分に引き出すために、個々の介護者に所持され主要なモニタリングの場所から介護者を解放することができる携帯型装置が要求される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、個別に発明を成立させ得るいくつもの側面の中で、従来技術から教示されるように、患者から収集されるデータが届けられる中央サーバーや中央ハブの必要性を克服することを試みる。本発明は、その一側面によれば、決定論的構成を有する例えばピアツーピアネットワークおよびメッシュネットワークといったネットワーク伝いに遠隔のモニタリングを提供することを目的とする。その結果、単一のハブやアクセスポイントをあてにせずに済む。
【0008】
本発明は、特に一側面では、医療装置による使用に適合したワイヤレス通信ネットワークに関する。ワイヤレス通信ネットワークは医療装置のピアツーピアネットワークのアーキテクチャーを有する。ネットワークコントローラーは必要とされない。個々の医療装置はネットワークのノードとしてみなされ、医療装置(すなわちノード)は同期化され、医療装置同士の間の通信は時間管理される。そうしてネットワーク干渉は排除され、ノード同士の間の通信の観点からも、装置同士の間でやり取りされるメッセージのタイプの観点からも良好な品質が得られる。
【0009】
医療環境下で設定される具体例、例えば酸素濃度測定では、患者の生理的な測定因子または生理的属性が測定される場合、患者はセンサーモジュールを着用する。センサーモジュールは患者の身体上の測定因子を測定するセンサーを有する。取得された患者データは送信にあたってセンサーから送信機に届けられる。その他の例として、センサーモジュールは、患者の測定された身体上の測定因子を送信する送信機をそれ自身に含んでもよい。センサーモジュールと遠隔の受信機との間で双方向性通信が望まれる場合には、送受信機がセンサーモジュール内に組み込まれてもよい。センサーモジュールは、議論された医療環境下では、ワイヤレスオキシメーターセンサーと称されてもよい。個々のワイヤレスオキシメーターセンサーは、オキシメーターおよびその関連のセンサーに加え、センサーで取得される患者データを出力する(または送信する)送受信機または無線機を備えていてもよい。
【0010】
受信機は、患者に取り付けられるセンサーから出力される信号を受信する。こうした受信機は双方向通信装置(以下「通信機(communicator)」という)であってもよい。通信機は情報またはデータを受信し送信する送受信機を有する。少なくとも1つのメモリーが通信機には組み込まれる。メモリーは受信した最新の情報を保存する。送受信機およびメモリーに加えて、通信機はプロセッサー、ユーザーインターフェイスおよび電源回路を備えてもよい。通信機がオキシメーターセンサーと通信する場合には通信機はオキシメーター回路を備えてもよい。通信機は、受信した(または収集した)情報を統合するように構成され、その結果、通信機のデータはネットワークに向けてばらまかれる(またはネットワークにブロードキャスト発信される)。
【0011】
本発明に係る通信ネットワークには複数の通信機が存在してもよい。ここでは、個々の通信機はネットワークのノードとしてみなされる。各々が通信機を構成する複数のノードでネットワークは構成されることから、ネットワークを伝ったデータの通信は首尾一貫しコントローラーを必要としない。しかも、個々の通信機は可搬性があることから、ネットワークのトポロジーは変化してもよく、したがってネットワークはトポロジーに依存することはなく、ピアツーピアアーキテクチャーに類似する。ネットワークの大きさは、ネットワークに含まれる通信機の数すなわちノードの数に依存する。ネットワークの一例は最小で2つの通信機(すなわちノード)から最大でN個の通信機(すなわちノード)を備えることができる。個々の通信機に組み込まれる送受信機または無線機は所定の距離で規定されるブロードキャスト通信範囲または送信範囲を有する。したがって、1つの通信機からブロードキャスト通信される情報は所定の送受信エリアで行き渡る。ネットワーク上の他の通信機すなわちノードは、もう1つの通信機の送信範囲に滞在していれば、当該他の通信機からブロードキャスト発信されるデータを受信することができる。反対に、当該他の通信機は、その受信範囲に存在する通信機からブロードキャスト発信されるデータを受信する。したがって、ネットワーク内では、異なる通信機同士の間、すなわち異なるノード同士の間でデータは通信されることができる。こうして本発明に係るネットワークでは専用のアクセスポイントやコーディネーター、コントローラーは存在しない。
【0012】
ネットワークでは全てのノードが通信機である必要はない。患者に取り付けられて患者の身体上の測定因子をモニタリングする(または測定する)ワイヤレスオキシメーターやその他の医療装置がネットワークのノードとしてみなされてもよい。本発明では、そういったワイヤレスオキシメーター、および、患者から身体属性を測定する(または検知する)他のタイプの医療装置はネットワークのセンサーノードとしてみなされてもよい。その他、患者から情報を収集し、収集した情報をネットワークに送信するセンサーノードはネットワークの第1タイプノードと称されてもよい。このとき、本発明に係るネットワークの第2タイプノードは、第1タイプノード経由で、すなわちワイヤレスオキシメーターセンサー経由で患者からデータを受信し、統合し、配信する通信機である。異なるタイプのノードのための通信プロトコルや、ワイヤレスセンサーおよび通信機の間の通信プロトコルはIEEE規格802.15.4に基づいてもよい。
【0013】
ネットワークの様々なノードが相互に通信することから、ネットワーク上の装置は同期化され、所定の通信スケジュールに従う。同期化にあたって、ネットワークのノードには各々タイムスロットが割り当てられる。ここでは、個々のタイムスロットは複数のサブタイムスロットに分割される。個々のノードすなわち装置は隣接するノードすなわち装置からの通信によって同期化される。その結果、個々のノードは割り当てられたタイムスロットでのみデータを送信する。通信スケジュールは周期的であって、ネットワーク上の全てのノードは、保存されたデータの送信(またはブロードキャスト通信)にあたって、ネットワークを構成する通信機に割り当てられたスロットに従って時間管理される。
【0014】
データは1つのノードからその他のノードへ行き渡る(または伝播する)ことから、データを受信するノードの各々でデータは統合される。統合されたデータはネットワーク中に広められる。その結果、ネットワークを伝って伝播するメッセージは継続的に更新される。1つのノードでは、そのノードで以前に保存されていたメッセージよりも新しいメッセージが受信されると統合が引き起こされる。
【0015】
第1側面によれば、本発明は、患者の身体属性に関する情報を伝達するシステムに向けられる。システムは、1人の患者に関連する少なくとも1つの患者モニタリング装置を備える。その患者モニタリング装置は、少なくとも1つの患者の身体属性を検出するセンサーと、装置の送信エリアに向けて、検出された身体属性に対応する患者データを送信する少なくとも1つの送信機とを有する。システムには、さらに、複数の通信機が含まれる。個々の通信機は、前述の送信エリアに滞在する際に、患者モニタリング装置から送信されるデータを少なくとも受信する送受信機を備える。個々の通信機はその送受信エリアに存在する他の通信機と通信する。本発明に係るシステムでは、いずれかの通信機は、装置の送信エリアに滞在すると、患者モニタリング装置から患者データを受信し、患者データの受信後、通信機の送受信エリアに存在する他の通信機に向けて患者データをブロードキャスト発信するように構成される。
【0016】
本発明の他の側面は、患者の身体属性に関する情報を伝達するシステムに向けられる。このシステムは、個別に特定の患者に関連づけられる複数の患者モニタリング装置を備える。これら患者モニタリング装置は、各々、装置に関連する患者に対して少なくとも1つの身体属性を検出するセンサー手段と、身体属性に対応する患者データを装置の送信エリアに向けて送信する送信機とを備える。本発明に係るシステムには、さらに、複数の通信機が含まれる。個々の通信機は、それら患者モニタリング装置の送信エリアに滞在する際に、患者モニタリング装置から送信される患者データを受信する送受信機を備える。個々の通信機はその送受信エリアに存在する他の通信機と通信すべく構成される。個々の通信機は、いずれか1つの患者モニタリング装置の送信エリア内に位置すると、当該患者モニタリング装置から患者データを受信し、その後に、通信機の送受信エリアに向けて、受信した患者データをブロードキャスト発信するように構成される。
【0017】
本発明の第3側面は、患者の身体属性に関する情報を行き渡らせるシステムに向けられる。システムは、1人の患者に関連づけられる少なくとも1つのオキシメーターを備える。オキシメーターは、少なくとも患者のSP02を検出するセンサー手段を有する。オキシメーターは、検出されたSP02に対応する患者データを少なくとも送信する少なくとも1つの送信機または送受信機を備える。システムは、さらに、複数の通信機を備える。個々の通信機は送受信機を有する。送受信機は、患者のオキシメーターの送信範囲に滞在すると患者のオキシメーターから送信されるデータを受信すべく構成される。個々の通信機は、他の通信機と通信すべく構成される。その結果、通信機の1つがオキシメーターの送信範囲に存在すると、通信機は患者のオキシメーターから患者データを受信し、その後に、その通信機は受信した患者データをそのブロードキャスト通信範囲に存在する他の通信機に向けて配信する。
【0018】
本発明の第4側面は通信ネットワークに向けられる。この通信ネットワークでは、患者の身体属性に関する情報はリモートで運ばれる。本発明に係る通信ネットワークは1人の患者に関連して少なくとも1つのワイヤレスセンサーを備える。ワイヤレスセンサーは患者の少なくとも1つの身体属性を検出する。センサーは少なくとも1つの送信機を備える。送信機は、検出された身体属性に対応する患者データをセンサーから送信する。ネットワークは、さらに、センサーの送信範囲に存在する第1通信機を備える。第1通信機は、センサーから送信される患者データを受信し、受信した患者データをブロードキャスト発信する送受信機を備える。本発明に係る通信ネットワークはさらに第2通信機を備える。第2通信機は第1通信機と通信しつつワイヤレスセンサーとは通信していない。第2通信機は第2送受信機を備える。第2送受信機は第1通信機からブロードキャスト発信された患者データを受信すべく構成される。
【0019】
本発明の第5側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワークに向けられる。このワイヤレスネットワークは患者の情報を行き渡らせる。本発明に係るワイヤレスネットワークは少なくとも1つの第1タイプノードを備える。第1タイプノードは1人の患者に関連づけられてその患者の身体属性をモニタリングすべく構成される。第1タイプノードは検出器および送信機を備える。検出器は少なくとも患者の1つの身体属性を検出する。送信機は、検出された患者の身体属性をデータとしてネットワークに向かって送信する。さらに、ネットワークには複数の可搬性の第2タイプノードが含まれてもよい。第2タイプノードは直接的に患者に関連づけられない。第2タイプノードは、第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、第1タイプノードから信号および(または)データを受信するように構成される。第2タイプノードのそれぞれは、さらに、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、ネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信するように構成される。本発明の当該側面に係るワイヤレスネットワークによれば、第2タイプノードのいずれもは、第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、第1タイプノードから送信される患者データを受信し、その後に、ネットワークに向けて受信した患者データをブロードキャスト発信することができる。こうすることで、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードは第1タイプノードから出力される患者データを受信することができる。
【0020】
本発明の第6側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワークに向けられる。このワイヤレスネットワークは患者の情報を行き渡らせる。この発明に係るネットワークは複数の第1タイプノードを備える。個々の第1タイプノードは特定の1人の患者に関連づけられてその特定の患者の身体属性をモニタリングすべく構成される。個々の第1タイプノードは検出器および送信機を備える。検出器は、特定の患者の少なくとも1つの身体属性を検出する。送信機は、検出された身体属性を患者データとしてネットワークに向かって送信する。ワイヤレスネットワークはさらに複数の可搬性の第2タイプノードを備える。第2タイプノードは直接的に患者に関連づけられない。第2タイプノードは、いずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成される。第2タイプノードのそれぞれは、さらに、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、ネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信するように構成される。第2タイプノードの1つがいずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、当該第2タイプノードは、第1タイプノードから送信される患者データを受信する。その後、当該第2タイプノードはネットワークに向けて受信した患者データをブロードキャスト発信する。こうすることで、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードは第1タイプノードから出力される患者データを受信することができる。
【0021】
本発明の第7側面は、患者の身体属性に関する情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)1人の患者に、センサー手段および少なくとも1つの送信機を有する少なくとも1つの患者モニタリング装置を関連づける工程。b)前記センサー手段を用いて患者から少なくとも1つの身体属性を検出する工程。c)装置送信エリアに向けて、検出された身体属性に対応する患者データを送信する工程。d)患者モニタリング装置から送信されるデータを受信し、通信機送受信エリアにデータをブロードキャスト発信すべく構成される送受信機を個々に有する複数の通信機を提供する工程。e)通信機のうちの1つを前記患者モニタリング装置の装置送信エリア内に位置させ、患者データを受信させる工程。f)受信した患者データを前記通信機から通信機送受信エリアに向けてブロードキャスト発信し、装置送信エリアに存在しないものの前記通信機の送受信エリア内に存在する通信機に患者モニタリング装置から送信される患者データを受信させる工程。
【0022】
本発明の第8側面は、患者の身体属性に関する情報を伝達する方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)患者から少なくとも1つの身体属性を検出するセンサー手段と、検出された身体属性を送信する送信機とを個々に有する複数の患者モニタリング装置を提供する工程。b)複数の患者モニタリング装置を対応の患者に関連づける工程。c)いずれかの患者モニタリング装置から送信される患者データを受信すべく構成される送受信機を個々に有する複数の通信機であって、当該送受信機で通信機同士の通信を確立する通信機を提供する工程。d)関連する患者の身体属性の検出にあたって用いられる1つの患者モニタリング装置の送信エリア内にいずれかの通信機を位置させる工程。e)その通信機で、患者モニタリング装置から送信された患者データを受信させる工程。f)その通信機で、通信機送受信エリアに、受信した患者データをブロードキャスト発信する工程。
【0023】
本発明の第9側面は、患者の身体属性に関する情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)少なくとも患者のSP02を検出するセンサー手段を有する少なくとも1つのオキシメーターであって、検出されたSP02に対応する患者データを装置から送信する送受信機または少なくとも1つの送信機を有するオキシメーターを1人の患者に関連づける工程。b)患者オキシメーターの送信範囲内に位置すると、患者オキシメーターから送信されるデータを受信すべく構成される送受信機を個々に備える複数の通信機であって、通信機同士で通信すべく構成される通信機を提供する工程。c)患者オキシメーターの送信範囲内に通信機のうち1つを位置させ、当該通信機に患者オキシメーターから患者データを受信させる工程。d)当該通信機の送信範囲に滞在する通信機に向けて受信した患者データを当該通信機からブロードキャスト発信する工程。
【0024】
本発明の第10側面は、複数の送信装置および受信装置を有するワイヤレス通信ネットワーク環境下で、患者の身体属性に関する情報をリモートで運搬する方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)少なくとも送信機を有する少なくとも1つのワイヤレスセンサーを患者に関連づけて、患者の少なくとも1つの身体属性を検出する工程。b)検出される身体属性に対応する患者データをネットワークに向けて送信する工程。c)センサーから送信される患者データを受信すべく構成される送受信機を有する第1通信機をセンサーの送信範囲内に位置させる工程。d)受信した患者データを第1通信機からネットワークにブロードキャスト発信する工程。e)ワイヤレスセンサーと直接に通信せずに、第1通信機からブロードキャスト発信される患者データを受信すべく構成される第2送受信機を有する第2通信機と第1通信機との間で通信を確立する工程。
【0025】
本発明の第11側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワークで患者の情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)患者の少なくとも1つの身体属性を検出する検出器と、検出される身体属性を患者データとしてネットワークに向けて送信する送信機とを備える少なくとも1つの第1タイプノードを患者に関連づけて患者の身体属性をモニタリングする工程。b)第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成され、患者に直接的に関連しない複数の第2タイプノードであって、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信しネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信する第2タイプノードをネットワークに配置する工程。c)第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に第2タイプノードを進入させ第1タイプノードから出力される患者データを受信させる工程。d)受信した患者データを当該第2タイプノードからネットワークにブロードキャスト発信し、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に滞在する他の第2タイプノードに第1タイプノードから出力された患者データを受信させる工程。
【0026】
本発明の第12側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワーク環境下で患者の情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)患者の少なくとも1つの身体属性を検出する検出器と、検出される身体属性を患者データとしてネットワークに向けて送信する送信機とを個々に有する複数の第1タイプノードのそれぞれを特定の1人の患者に関連づけて、当該特定の患者の身体属性をモニタリングする工程。b)いずれの患者にも直接に関連しない複数の第2タイプノードをネットワーク内に配置する工程。c)第2タイプノードのそれぞれに対し、いずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入した際に第1タイプノードから信号および(または)データを受信し、他の第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入した際に当該他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、ネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信すべく構成する工程。d)いずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲内に第2タイプノードのうちの1つを位置させ、第1タイプノードのいずれかから出力される患者データを第2タイプノードで受信させる工程。e)その後に、受信した患者データを第2タイプノードからネットワークにブロードキャスト発信し、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に滞在する他の第2タイプノードが第1タイプノードから出力される患者データを受信することができるようにする工程。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明に係るシステムのアーキテクチャーの一例であって、例えばピアツーピアネットワークといった相互接続ネットワークを示す。
【図1b】ネットワークのノードの簡略図であって、医療設備環境下で無線機を含む医療装置であるノードを示す。
【図2】図1aのピアツーピアネットワークに、ネットワークに接続されるワイヤレスオキシメーターといったワイヤレス医療装置を結合するネットワークの一例である。
【図3】本発明に係るネットワークのノードを構成する通信機(この場合には医療通信機)の単純なブロック図の一例である。
【図4】本発明に係るネットワークの通信機(すなわち中継ノード)を詳細に示すブロック図である
【図5】本発明に係る通信ネットワークの一部を構成するワイヤレスオキシメーターセンサー(すなわちセンサーノード)のブロック図である。
【図6】中継ノードとして作動し、本発明のネットワークのワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)に通信リンクで接続される本発明に係る通信機を示す。
【図7】本発明に係る通信機にケーブルで有線接続されるセンサー(この例ではオキシメーターセンサー)を示すブロック図である。通信機はセンサーのための送信機として動作することができる。
【図8】本発明に係るシステムの一例であって、患者センサーが通信リンクで通信機に接続され、その通信機がネットワーク上の他の通信機に通信リンクで接続されるシステムを示す。
【図9】ネットワーク上の様々な通信装置同士の間で通信を時間管理するタイムスロットの一例を示す。
【図10】ネットワークの様々な通信装置(すなわちノード)同士の間で通信されるメッセージのタイプを示す。
【図11】ネットワーク上でいかにメッセージが統合され1つのノード通信機から他のノード通信機に配信されるかを示す。
【図12】ネットワーク上の通信機(すなわち中継ノード)とワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)との間で相互作用通信の一例を示す。
【図13】本発明に係る通信機の様々な構成要素を詳細に示すブロック図である。
【図14】図13で示される本発明に係る通信機の回路概略図の一例を示す。
【図15】本発明に係るワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)の様々な構成要素を詳細に示す図である。
【図16】本発明に係るワイヤレスオキシメーターセンサーに使用されることができる無線送信機の主状態を示す。
【図17】本発明に係る通信機が情報を受信すべく処理する動作工程を示すフロー図である。
【図18】通信機およびワイヤレスセンサーの無線送信機でデータの送信にあたって実行される処理を示すフローチャートである。
【図19】通信機で統合されるデータの処理過程を示すフロー図である。
【図20】通信機のメモリー内でデータを更新する処理を示すフロー図である。
【図21】メモリーで更新されたメッセージを配信する通信機の処理を示すフローチャートである。
【図22】本発明に係るワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)の動作処理工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aおよび図1bを参照すると、そこには通信ネットワークが示される。通信ネットワークは例えばピアツーピアネットワークに構成される。図1aに示される一例に係る無線ネットワーク2では4つのノード1〜4が存在する。ただし、無線ネットワーク2がノードNを有するように、ネットワークはN個のノードを有してもよい。図1aに示される本発明の実施形態では、図1bのノード4は図示される個々のノードに相当する。図1bに示されるように、ネットワークのノードの各々は無線機を備える医療装置である。無線機は送信機または送受信機であればよい。医療装置は、患者または対象物の身体属性(物理的属性)または身体上の測定因子をモニタリングする(または測定する)多数の装置のうちの一つであればよい。そういった医療装置は、オキシメーター、心拍計、呼気炭酸ガス濃度計または二酸化炭素濃度計(CO2モニター)、患者に接続されたポンプ、その他、患者の特定の身体属性をモニタリングする装置を含む。ただし、医療装置はこれらの装置に限定されるわけではない。例えばパルスオキシメーターの例では患者の動脈血中の酸素濃度レベル(SPO2)がモニタリングされ(あるいは)測定される。呼気炭酸ガス濃度計の例では、二酸化炭素(CO2)、ETCO2(呼気終末二酸化炭素濃度)および呼吸数がモニタリングされ(あるいは)測定される。例えば本願の譲渡人は現在「CAPNOCHECK(登録商標)」といった商標名でオキシメーターおよび呼気炭酸ガス濃度計の組み合わせに係る製品を市販する(ただし、無線機を備えていない)。本発明では、発明に係るネットワークのノードとして機能するように、そういった組み合わせに係る装置に無線機が適用される。
【0029】
装置4の無線機部分は、送受信機であればよく、少なくとも送信機であればよい。こうした送受信機や送信機は例えばIEEE規格802.15.4といった通常規格の通信プロトコルの下で動作する。その結果、データはその装置のブロードキャスト通信範囲または送信エリアに装置から送信される。後述されるように、装置4には付加的な構成要素が存在する。いまのところ、図1のネットワークは、医療装置であろうとなかろうと、ハブや中央のネットワーク制御装置なしに相互に通信することができる装置のピアツーピアネットワークで構成されるネットワークであるというにとどめておく。
【0030】
後ほど特に詳述するように、ネットワークのノードは同期化され、ノード同士の通信は時間管理される。したがって、ノード同士の通信に影響するかもしれないネットワーク干渉は実質的に排除される。加えて、特定のメッセージタイプの採用によってノード間の通信品質は高められる。図1aに示されるネットワークのアーキテクチャーはさらにブロードキャストの採用により全てのノードに対してデータの配信を可能にする。個々のノードで実行される統合処理で最新のデータがノードからブロードキャスト発信され、その結果、通信でやり取りされるデータの完全性は高められる。こうして、ネットワークを通じて通信でやりとりされるデータまたは伝播されるデータの予測性および一貫性が得られ中央のネットワーク制御装置やハブの必要性はなくなる。
【0031】
ネットワークのトポロジーは変化してもよく特定の構成に束縛されるものではない。例えばネットワークの大きさは2個のノードといった最小値からN個のノードといった最大値までの範囲に広がる。医療装置といった形態をとることができる個々のノードは移動することができ、ネットワークのトポロジーは特定の時点でのノードの位置に従って変化する。個々のノードが個別に無線送信機を備えれば、個々のノードは予め決められた送信範囲にブロードキャスト発信することができる。特定ノードのブロードキャスト通信範囲または受信エリアに存在する全てのノードはその特定ノードと通信することができる。さらにまた、通信は特定の1つのノードやハブによって制御されるわけではないので、ノード同士の通信は特定の1つのアクセスポイントに制限されるわけではない。
【0032】
図2に示されるように、図1aのネットワークは複数のワイヤレスオキシメーターまたはその他の前述の医療装置に通信で接続される。図1aのネットワークで議論されたノードには符号N1〜NNが付され、ノードは通信機CO1〜CONと称される。図2に示されるように、ワイヤレスオキシメーターO1、O3、ONはそれぞれ通信機CO1、CO3、CONに通信で接続される。本発明では、患者の身体上の測定因子をモニタリングするワイヤレスオキシメーターまたはその他の前述の医療装置はノードの第1タイプと称されてもよく、通信機CO1〜CONはノードN1〜NNの第2タイプとして称されてもよい。ワイヤレスオキシメーターはさらにセンサーノードまたは検出ノードと称されてもよく、通信機はさらに中継ノードまたは伝播ノードと称されてもよい。
【0033】
ワイヤレスオキシメーターは患者に着用される装置またはモジュールである。装置またはモジュールは例えば患者の指に装着される。装置またはモジュールには、患者のSP02を検出するセンサーが組み込まれる。一例に係るワイヤレスオキシメーターモジュールは本発明の譲渡人に譲渡された米国特許第6731962号に開示される。同特許の開示内容は参照により本願明細書に組み込まれる。患者に着用されたり患者に関連づけられたりするオキシメーターセンサーの他のタイプには反射型タイプまたは耳装着タイプが含まれる。反射型タイプは患者の前額やその他身体の平坦部に取り付けられる。耳装着タイプは患者の耳にクリップで留められる。発明者らは、本発明に係るネットワークに16台のワイヤレスオキシメーターが接続されてもネットワークは有効に動作することを見出した。それだからといって、図2のネットワークが例えば1台といった具合にさらに少数のオキシメーターや16台を超える数のオキシメーターを有してはいけないということにはならない。同様に、当該システムまたはネットワークの通信機またはノードの数は好ましくは2〜32個の範囲である。システムのタイムスロットおよび同期性が調整されれば、後述されるように、32個を超える数の通信機またはノードも可能である。
【0034】
図3を参照すると、本発明の通信機6はホストプロセッサー8を備える。ホストプロセッサー8は、図示しないメモリーに格納されるプログラム10を実行する。プログラムの働きでプロセッサー8はオキシメーター回路12の動作を制御する。オキシメーター回路12は外部のオキシメーターにインターフェイスで接続される。外部のオキシメーターは、例えばケーブルといった配線や無線で通信機に結合されデジタル酸素濃度データを生成する。デジタル酸素濃度データはプロセッサー8の処理に供される。プロセッサー8にはユーザーインターフェイス14が接続される。ユーザーインターフェイス14は通信機とユーザーとの間でやり取りを可能にする。ユーザーインターフェイスは、例えばLCDディスプレイといったディスプレイ、例えばキーパッドといった入力源、並びに、警報にあたって用いられるオーディオ回路およびスピーカーを備えればよい。電源回路16は通信機6に電力を供給する。電源回路16は電池またはDC入力端子および既存の電源アナログ回路を備えればよい。電源回路16の働きで、調整された電力が通信機の全ての動作中の回路に供給される。通信機6には電気的インターフェイス18がさらに組み込まれる。この電気的インターフェイスは例えばRS−232ポート、USBポート、またはその他の類似の入出力(IO)ポートといった導電性の通信ポートを備えればよい。こうした通信ポートは通信機の入出力用のインターフェイスを提供する。通信機でのデータの送受信にあたって、他の通信機との間や、図2に示されるワイヤレスオキシメーターセンサーといったセンサー装置をはじめ、医療装置であろうとかなろうとワイヤレスのデータ送信に適合したセンサー装置との間でワイヤレスでデータを送受信したり伝達したりする無線送受信機が組み込まれる。
【0035】
図4は図3に示される通信機6の個々の構成要素を詳細に示す。例えば、ユーザーインターフェイス14は、ディスプレイと、キーパッドと、スピーカーと、「アナログ」と表示されるアナログデジタル(A/D)変換回路とを備える。既知のように、A/D変換回路はアナログ入力をデジタル信号に変換する。デジタル信号はホストプロセッサー8に送られる。図4に示される通信機の電源構成要素16は電池、電池の充電に利用されるDC入力端子、既知のアナログ電源回路、およびホストプロセッサー8に対して電源構成要素16の通信を確立するデジタル回路とを備える。電源構成要素から提供される電力は通信機の全ての動作中の回路に供給される。先ほど示唆された電気的インターフェイス構成要素18は、RS−232ポートおよびUSBポートの一方または両方、またはその他の既知のインターフェイスポートを有する。オキシメーター構成要素12は、患者センサーから受信するアナログ信号を解析するアナログ回路と、オキシメーター構成要素の動作機能を格納するメモリープログラムと、患者から受信するデータを処理してデジタル酸素濃度データを生成するマイクロプロセッサーとを有する。デジタル酸素濃度データはオキシメーター構成要素12のマイクロプロセッサーからホストプロセッサー8に伝達される。前述のように、プロセッサー8を収容するホストのメモリープログラム10は、通信機の全体の動作のためにプロセッサー8に対して動作指令を供給する。通信機6で最後の主要な構成要素は無線機20である。無線機20は、無線機ICモジュールと、メモリーに格納されて無線送信機の機能を制御するメモリー格納プログラムと、無線機の動作を制御するアナログ回路と、アンテナとを備える。アンテナの働きで無線送受信機は通信機へ信号を送信したり通信機から信号を受信したりする。
【0036】
図5は、ネットワークのセンサーノードを構成するワイヤレスオキシメーター装置を示す。ワイヤレスオキシメーター22はセンサー構成要素24を備える。この構成要素は、既知であって、2つのLEDと検出器とを備える。2つのLEDは、患者の指、または患者の前額といった他の部位に向かって、異なる周波数の光を出力する。検出器は、患者を透過する光または患者から反射する光を検出する。また、ワイヤレスオキシメーター22にはオキシメーター回路26が組み込まれる。オキシメーター回路26は、プロセッサーと、患者から検出される波形信号を解析するアナログ回路と、プログラムを格納するメモリーとを備える。プログラムの働きでアナログ回路は患者から送り込まれる信号を解析し酸素濃度データに変換する。センサー24の動作はオキシメーター回路26で制御される。無線機構成要素28はオキシメーター構成要素26および(または)センサー構成要素24にインターフェイスで接続され協働で作動する。無線機構成要素28は、アンテナと、メモリーに格納されるプログラムと、無線機ICモジュールを動作させるアナログ回路と、通信機に向かって患者の酸素濃度データを送信するアンテナとを備える。電源構成要素30は、電池電源と、ワイヤレスオキシメーターの他の構成要素に電力を供給する既知のアナログ電源回路とを備える。本発明のネットワークでは、例えば図2に示されるように、図5のワイヤレスオキシメーター装置は、ブロードキャスト通信範囲または送信エリアに存在する通信機に向かって収集された患者データを送信する。
【0037】
図6は指装着型のワイヤレスオキシメーター装置と本発明に係る通信機との相互作用を詳細に示す。ここで、通信機6とワイヤレスオキシメーター22との間でワイヤレス通信リンク32が確立される。図示のように、通信機6の無線送受信機はオキシメーター22の無線送信機と通信する。その結果、センサー24で患者から取得されたオキシメーターデータは通信機6に送られる。通信機6は、その送受信エリアに向けて情報をブロードキャスト発信することで情報を中継してもよい。なお、通信機6は、オキシメーター装置の送信エリアまたはブロードキャスト通信範囲内に存在するときのみ、オキシメーター22からデータを受信する。図6に示される実施形態では、ワイヤレスオキシメーター22のオキシメーター回路が能動的に患者データを解析し変換する際には、通信機6のオキシメーター回路は患者データを解析したり変換したりしない。なぜなら、オキシメーター装置22から通信機6に患者データは送信されるからである。オキシメーター装置22から通信機6に送信される信号はほとんどの場合デジタル信号である。しかしながら、仮にオキシメーターからアナログデジタル変換回路の削除が望まれ、オキシメーターで処理電力の抑制が望まれる場合には、未処理のデータが直接にオキシメーター装置から通信機に送信される場合もある。言い換えれば、必要であれば、未処理のデータはオキシメーター装置から通信機に送られてもよい。その場合には、通信機は、未処理のデータを必要な酸素濃度データに変換する処理を実行する。
【0038】
図6に示される指装着型のワイヤレスオキシメーター装置22に代えて、図7に符号34で示される既存のオキシメーターセンサーとともに使用されるように本発明は適合されることができる。既存のオキシメーターセンサーは本発明の通信機にケーブル36で接続される。既存のオキシメーターセンサーは患者のSP02の測定にあたって要求される光源と検出器とを有する。接続にあたってセンサーの電気的コネクターは通信機6の電気的インターフェイス18の一部であるポートに結合される。患者から受信する信号は処理され保存され、その後、通信機からその送受信範囲にブロードキャスト発信される。この実施形態では、通信機6は、オキシメーターセンサーと協働することにより患者モニタリング装置の送信機として機能する。しかも、通信機6はオキシメーターセンサー34からケーブル長の範囲に存在しなければならず、通信機6はオキシメーターセンサーに相対的に固定され、患者に近接する。
【0039】
図8はアドホックメッシュ構造の本発明の通信ネットワークを示す。この通信ネットワークではワイヤレスオキシメーターセンサー装置22は通信機6aと通信する。センサーは図示しない患者の指に取り付けられる。その通信機6aは通信機6bおよび通信機6cと通信リンクでつながる。2つの通信機6b、6cは通信機6dと通信リンクでつながる。通信機6dは通信機6eに通信リンクでつながる。
【0040】
さらに図8に示されるように、個々の通信機はディスプレイ24を有する。ディスプレイは複数の患者のデータを表示することができる。図8に示される例に係る通信機では患者のSP02および脈拍数がディスプレイ26a、26bにそれぞれ表示される。さらに、通信機6b〜6eのディスプレイには個々に5組のデータが示される。1組のデータは特定の患者を表す。図8の例では通信機に5人の患者を表すデータが表示されるものの、個々の通信機にはそれよりも少数の組数の患者データが表示されてもよくそれよりも多数の組数の患者データが表示されてもよい。さらにまた、仮に図8の通信機がオキシメーター以外の装置であれば、他の患者属性を表す患者データがそれら通信機のディスプレイに表示されてもよい。例えば装置がCO2モニターであったりCO2モニターおよびオキシメーター装置の複合体であったりすれば、そういった患者属性はCO2および呼吸数である。
【0041】
通信機6aに通信接続されるワイヤレスオキシメーターセンサー22では患者1から測定される(または検知される)身体上の測定因子は例えば96バイトのオキシメーターデータメッセージデータファイルとして通信機6aに送られてもよい。この場合、通信機6aは、オキシメーター装置22からデータファイルを受け取ると、患者1のデータファイルをP1としてリモートデータディスプレイRDDテーブル28aに格納する。通信機6aのメモリーに以前に格納された患者1のデータは患者1の最新のデータで置き換えられる(または更新される)。見本の通信機6aのRDDテーブルは、例えば患者P1から患者PNといった具合に複数の患者のデータを保存することができる記憶容量を有する。この例では通信機のメモリーでは個々の患者に対して18バイト程度の記憶領域が確保される。個々の通信機には、異なる時刻に受信された患者データが実際に保存され統合処理にあたって最新の情報と比較されるように、複数のテーブルが保存されてもよい。統合処理は後ほど詳述される。図8には通信機6aの追加のテーブル28b、28cが示される。
【0042】
ワイヤレスオキシメーター22が患者の少なくとも1つの身体属性を表す信号をオキシメーターから予め決められた送信範囲すなわちセンサーの送信エリアに発信すると、ワイヤレスオキシメーター22と通信機6との間で相互作用は開始する。身体属性には例えば患者のSP02が挙げられる。図8の例に係るネットワークではワイヤレスオキシメーター22はセンサーノードとしてみなされてもよい。図8のネットワークで通信リンク30aとして図示されるように、通信機6aはワイヤレスオキシメーター22の送信エリアまたは送信ゾーンに位置する。したがって、患者1から検知される患者データをワイヤレスオキシメーター22が出力すると、通信機6aは送信された患者データを受信する。受信された患者データはRDDテーブル例えば符号「28a」に患者データP1として格納される。以前の患者1のP1データが存在すれば、この以前のデータはいましがたRDDテーブルに受け取られたデータで置き換えられる。格納されたデータは患者のSP02および(または)脈拍数として通信機6aのディスプレイ24に表示されてもよい。なお、患者データは、表示され、解析され、伝導力で通信され、および(または)流行りの用途やRDD用途または高速の用途のために保存されてもよい。
【0043】
図8のネットワークでさらに示されるように、通信機6aは通信リンク30b、30cを通じて通信機6b、6cとの間に通信経路を確立する。前述のように、本発明に係る通信機はそれぞれ個別に無線送受信機を備え、ワイヤレスオキシメーターその他の医療センサーや他の通信機の送信範囲に存在する限りそれらワイヤレスオキシメーターその他の医療センサーや他の通信機から信号を受信するように構成される。反対に、個々の通信機は予め決められたブロードキャスト通信範囲または送受信エリアに信号をブロードキャスト発信するように構成される。というわけで、図8に示されるネットワークでは、通信機6b、6cは通信機6aの送受信エリアに存在することから、これら通信機の各々は通信機6aと通信する。
【0044】
図8のネットワークでは、ワイヤレスオキシメーター22から患者P1データを受信すると、通信機6aは、RDDテーブル28aに受信したデータを保存した後に、この最新のP1データを送受信エリアにブロードキャスト発信する。通信機6aの送信範囲に存在する通信機6b、6cは患者P1の同データを受信する。個々の通信機6b、6cは個々にRDDテーブルを更新する。この更新時、通信機6b、6cはディスプレイ上にその最新の患者P1データを表示してもよい。その結果、通信機の携帯者は身体上の測定因子を確認することができる。この場合、身体上の測定因子には患者P1のSP02および脈拍数が該当する。その後、個々の通信機6b、6cはそれぞれの送受信エリアに最新の患者P1データを送信する。なお、図中では、個々の通信機6b、6cはワイヤレスオキシメーターセンサー22との間で直接の通信リンクを確立していない。
【0045】
通信機6dは2つの通信機6b、6cの送信範囲に存在することから、これら通信機から個々に通信リンク30d、30eを通じて患者P1のデータを受信する。ここでは、2つの通信機6b、6cから同一の患者P1データが送信されることから、患者P1に関するデータの更新は通信機6dのRDDテーブルで同一データの更新を引き起こす。しかしながら、通信機6b、6dの間の通信スケジュールが実質的に通信機6c、6dの間の通信スケジュールから相違する場合には、同一の患者からのデータであっても通信機6dで通信機6bから受信するデータと通信機6dから受信するデータとは相違するかもしれない。こうした相違は通信リンクごとに生じる患者データの伝播遅延に起因する。その場合には、通信機6dでは時間的に新しい患者データが患者データとして保存される。複数のノードからほぼ等しい送信時間でデータが送信されてくる場合にデータの衝突を阻止するには、本発明に係るネットワークの構築にあたって、後述されるようにタイムスロットで時間管理される通信プロトコルが提供される。図8に示されるネットワークで残るノードは通信機6eである。この通信機6eは通信リンク30fを通じて通信機6dの通信範囲に存在する。通信機6eはその他の通信機またはワイヤレスオキシメーターセンサー22の通信範囲には属さない。本発明では、たとえ通信機6eがセンサー22から遠く離れていても、通信機6eの携帯者はネットワークの通信機ノードを横切るRDDメッセージデータの伝播またはホップ通信に応じて患者1の身体上の測定因子をモニタリングすることができる。
【0046】
図8に示すネットワークではたった1つのワイヤレスオキシメーター22しか示されないけれども、ネットワークには複数のワイヤレスオキシメーターセンサー装置が通信接続されてもよい。その結果、ネットワークのそれぞれの通信機がネットワークに通信上で接続される他の通信機に向かって患者情報を送信してもよい。こうして複数の患者のデータが個々の通信機では表示されてもよい。このことは図8に示すネットワークの通信機6b、6c、6d、6eのディスプレイ24に図示される。ここでは、それらの通信機に5セットのデータが表示される。1セットのデータは特定の1患者に対応する。それら通信機のユーザーまたは操作者は、近辺にいない患者を含めて複数の患者の身体上の測定因子をモニタリングすることができる。本発明のネットワークでは、遠隔の通信機ノードが患者からデータを受信した他の通信機ノードのブロードキャスト通信範囲に存在する限り、その遠隔の通信機ノードは患者データを受信することができ、したがって、その患者の健康状態を遠隔でモニタリングすることができる。この場合には、当該他の通信機ノードはさらに他の通信機ノードからデータを受信してもよい。
【0047】
本発明に係るネットワークの様々なノードの間で衝突を防止するには、タイムスロットで時間管理される通信プロトコルは必須となる。そのため、ネットワークの個々の装置またはノードにはデータの送信に利用される所定時間長さのスロットが与えられる。このタイムスロットで時間管理される通信プロトコルは図9に示される。図示されるように、図9の時間範囲では複数のスロット(ここでは、例えばスロットS1〜S10)が提供される。スロットの数は特定のネットワークに属する通信機装置の数に対応すればよい。ということで、仮にネットワークが16個の装置を含めば、当該時間範囲に16個のスロットが提供される。この時間範囲は繰り返され、ネットワーク内では様々な装置の間で通信が時間管理される。予想可能な信頼性の高いネットワーク通信が成立する。
【0048】
各々の装置では、割り当てられたタイムスロットによって装置は決められたタイムスロットで独占的にメッセージを送信することができる。例えば、図8に示すネットワークではスロットS1は通信機装置6aに割り当てられる。スロットS2は通信機6bに割り当てられる。スロットS3は通信機6cに割り当てられる。スロットS4は通信機6dに割り当てられる。スロットS5は通信機6eに割り当てられる。ということで、通信機6aはタイムスロットS1で送信し、通信機6bはタイムスロットS2で送信し、通信機6cはタイムスロットS3で送信し、といった具合になる。図8に示すネットワークでは、時間範囲ごとに10個のスロットを有する必要はないかもしれない。個々の装置に特定のスロットを割り付ける1つの方法には、ネットワークが属する施設、例えば病院の集中治療病棟の運用者が装置にそれぞれのスロットを入れ込むプログラムを作成することが挙げられる。他の方法には、ネットワークの運用者が装置に個別にスロットを割り振ることが挙げられる。ネットワーク内の様々な装置は無線周波数(rf)送信に同期する。
【0049】
ワイヤレス酸素濃度測定を含めパルス酸素濃度測定ではかなりの量のデータが送信される。ネットワークに属する装置の台数に加えて、個々のスロットごとにメッセージの数が最適化される。図9の通信プロトコルでは個々の中継ノード装置によって割り当てられたスロットで送信される6タイプのメッセージが存在する。これらメッセージはメッセージパケットの形態で提供され、図10に示される。図9ではメッセージ(M)はラベル付けされる。M1は第1メッセージNWKに対応しM6は第6メッセージWSに対応する。メッセージM1すなわちNWKメッセージはノードオーバーヘッド情報メッセージまたは「ネットワークオーバーヘッド情報」に関連する。メッセージM2はRDD(リモートデータディスプレイ)メッセージである。RDDメッセージは、通信機のメモリーに格納されるRDDテーブルに保存されるデータを運ぶ。RDDメッセージは、更新されるたびに通信機で表示されてもよい。メッセージM3およびメッセージM4はそれぞれHS1(ハイスピード1)メッセージおよびHS2(ハイスピード2)メッセージである。HS1メッセージおよびHS2メッセージは必要に応じてネットワークで他のノード装置にデータを配信する。
【0050】
図8に示すネットワークを参照しつつ図示すると、患者(P1)から受信した患者データが「患者のデータが予め決められた特定範囲または許容範囲から逸脱すること」を通信機6aに知らせると、通信機6aは警報モードに突入する。この警報モードでは、通信機6aのユーザーが患者P1の具合悪さに気づくように警報が開始される。同時に、ネットワークの帯域制限を克服すべくHS1メッセージまたはHS2メッセージを用いて、通信機6aは、ネットワーク上の他の通信機と連絡をとれるようにネットワークを警報メッセージで溢れさせる。なぜなら、こういったことは、他の通信機を携帯する人々にも知らせるべき緊急事態に相当するかもしれないからである。よって、HS1メッセージおよびHS2メッセージを送信することで、通信機6d、6eの操作者や医療従事者には、たとえワイヤレスオキシメーターセンサー22に直接に通信リンクが確立されなくても、必要であればそれら健康管理者が適切な処置をとれるように、患者(P1)の警報状態が通知される。加えて、測定された身体属性が高速で遠隔の通信機にブロードキャスト発信されるためにHS1メッセージおよび(または)HS2メッセージはユーザーの要求に応じて選択的に使用されてもよい。ユーザーは、データを送信する側の通信機に関連する人物であってもよく、データが向かう側の遠隔の通信機に関連する人物であってもよい。遠隔の通信機からHS1メッセージおよび(または)HS2メッセージの使用が要求された場合には、遠隔の要求は最初に例えば送信側の通信機で受信され認識されなければならない。
【0051】
次のメッセージM5(CTR)は通信機からそれ専用のワイヤレスセンサーに送られる制御メッセージである。専用のワイヤレスセンサーはメッセージM6WS(ワイヤレスセンサー)で特定される。こういったことが必要とされるのは、ワイヤレスセンサーは無線機およびオキシメーターの統合の構築にあたって要求されるユーザー制御の仕組みを持たないかもしれないからである。さらにまた、ネットワークの通信機ノードはそれ専用のセンサーに直接的に通信リンクを確立する必要はないかもしれない。例えば、通信機6eの携帯者が実は図8に示すネットワークでワイヤレスオキシメーターセンサー22に接続される患者の担当看護士であるかもしれない。その看護士が他の患者を世話しなければならず、ワイヤレスオキシメーターセンサー22の送信範囲の外側に移動しなければならなかったことから、通信機6eがワイヤレスオキシメーターセンサー22の近辺になかったのかもしれない。それでも、その看護士は、ネットワークの他の通信機から患者P1データが中継で伝達されてくることから、継続的に例えば患者P1のSP02といった身体上の測定因子をモニタリングすることができる。メッセージM6は他の通信機に向かって「ワイヤレスオキシメーターセンサー22は通信機6eの専用センサーであること」を特定する。仮にワイヤレスオキシメーターが無線で双方向に通信するように構成されていれば、M5制御メッセージCTRを送ることで、通信機の各々がそれ専用のワイヤレスオキシメーターの動作を制御してもよい。M5制御メッセージCTRはネットワーク内の他のノードで中継されてWSメッセージで特定されるワイヤレスオキシメーターに至る。
【0052】
図9に示すタイムスロットで時間管理される通信プロトコルによれば、ネットワーク内の様々な装置同士の間で通信は予測可能であって高い信頼性を有する。様々なノードの処理は同期化されることから、プロトコルは本発明に係るシステムすなわちネットワークに対して決定論的な解決方法を提供する。しかも、個々のタイムスロットは1つの特定の装置に割り当てられることから、システムは決定論的である。その結果、個々の装置は「語る」時間以外には他の装置の語らいに耳を傾けることができる。その装置に「語る」順番が訪れると、ネットワークの他の装置はその装置の語らいに耳を傾ける。言い換えれば、ネットワークの装置の各々には、「何を送信し」「いつ送信する」かを様々な装置に命令する中央制御器がなくても、ネットワーク上の他の装置と通信したり情報を広めたりする時間範囲が割り当てられる。
【0053】
図9に示されるメッセージタイプのメッセージパケットには例えば96バイトといった具合に十分な大きさが与えられる。その結果、ネットワーク内の伝播では、それらのメッセージパケットで全ての必要なデータは運搬されることができる。メッセージタイプおよびこれらメッセージタイプごとのネットワーク内の流れは図10に詳細に示される。そこでは、通信機は「CO」で表される。
【0054】
図11には、いかにリモートデータディスプレイメッセージが統合され本発明に係るシステムおよびネットワークで様々な中継ノードや通信機に向かってブロードキャスト発信される(またはフラッド送信される)かが図示される。ここでは、ネットワーク内に複数の通信機(CO1、CO2、…CON)が存在すると仮定する。個々の通信機は所定の送受信範囲またはブロードキャスト通信範囲に向かってRDDメッセージを送信する。図示されるように、通信機CO2は通信機CO1のブロードキャスト通信範囲に存在し、通信機CONは少なくとも通信機CO2の通信範囲に存在する。混乱を防ぎ理解を助けるために、図11の記述にあたって、「RDD」は個々の通信機に組み込まれたメモリーテーブルに相当すると同時に、1つのノード通信機から他のノード通信機に送信されるメッセージに相当する。
【0055】
通信機CO1はそのメモリー内にRDDテーブル32としてRDDメッセージを記憶するローカルデータ記憶域を有する。通信機CO1は、ワイヤレスオキシメーターから直接にまたは間接に受信した情報をRDDテーブル32に格納する。RDDテーブル32では「ノード」32aはネットワークのノードを示す。このノードにはセンサーおよび通信機のいずれもが含まれる。RDDテーブル32では「時間」32bは、メッセージがノードに保存された時点のタイムスタンプを示す。RDDテーブル32では「データ」32cは、ノードから送信され通信機で受信されるデータの種類を示す。通信機CO1のRDDテーブルは多数のノード(1、2、…N)から受信したデータを保存する。個々のノード(1、2、…N)は所定のタイムスタンプ(t11、t21、…tN1)とともに個々に対応のデータ(x1、x2、…xN)を有する。通信機CO1のRDDテーブル32は送受信範囲に向かって通信機の無線送受信機でブロードキャスト発信され通信機CO2でRDDメッセージ32′として受信される。
【0056】
通信機CO2もまた、RDDテーブル34で図示されるように、以前に保存されたRDDテーブルを有する。RDDテーブルは、様々なノードから受信した複数セットのデータを有する。次に通信機CO2では統合処理が開始される。ここでは、通信機CO1から受信したデータすなわちRDDメッセージ32′はRDDテーブル34内の以前の保存データと比べられる。図示のように、以前に保存されたノード1からの情報はRDDテーブル34の「t10」である。これに対し、RDDメッセージ32′ではノード1からの情報は「t11」のタイムスタンプを有する。これは、ノード1に関する情報はRDDメッセージ32′のものが時間的に新しいことを意味する。その結果、ノード1のデータは「x1」に更新され新しいRDDテーブル36に保存される。同様な統合処理はノード2に関する情報に対しても引き起こされる。このノードに関しては、RDDテーブル34内の時間は「t22」である一方で、RDDメッセージ32′でノード2に関する時間は「t21」である。したがって、RDDテーブル34に保存されたデータが時間的に新しいデータとして判断される。こうしてRDDテーブル34内のデータ「y2」はRDDテーブル36に複写される。RDDテーブル34では残余のノードに対しても同様な統合処理が繰り返される。すなわち、以前に保存されていたデータはRDDメッセージ32′内のデータと比べられる。RDDテーブル34内のデータが全て比べられ、必要であれば更新されると、更新後のRDDテーブル36はRDDメッセージ36′として通信機CO2からその送受信範囲にブロードキャスト発信される。
【0057】
RDDメッセージ36′はRDDテーブルメッセージ36′として通信機CONで受信される。通信機CONでは同様な統合処理が実行される。RDDメッセージ36′内の情報はRDDテーブル38に以前に保存されていた情報と比べられ、更新後のRDDテーブル40が生成される。図11の例では、通信機CO1で受信されたノード1のデータは通信機CONまで伝達されそのRDDテーブル40で更新される。さらに、通信機CONのRDDテーブル40に反映されたノード2のデータは通信機CO2のRDDテーブル34に以前に保存されたデータから更新される。
【0058】
全ての通信機が全ての他の通信機の範囲に存在するシステムでは、送信されたり受信されたりするメッセージに関して遅延時間は最小限に抑えられる。しかしながら、実際には、図8の例に示されるように、そういった場合はほとんどない。RDDメッセージはネットワークでの伝播にあたって1つの通信機ノードから次の通信機ノードに「ホップ通信」することから、1つの通信機から次の通信機にブロードキャスト発信されるメッセージに関して常に伝播遅延は存在する。これまでのところ、RDDメッセージだけがネットワーク中に伝播するように開示されるけれども、RDDメッセージ以外のメッセージが単独でもRDDメッセージとともにでもノードからノードにネットワーク中で行き渡ったり伝播したりしてもよい。例えば、通信機は組み込み型の警報機能を有する。仮に患者から測定される身体上の測定因子が上限値を上回ったり下限値を下回ったりすると、すなわち、患者から測定される身体上の測定因子が安全な限界値から逸脱すると、警報が発せられ通信機のユーザーに「患者の具合が悪いかもしれない」といった注意が喚起される。本発明の他の側面によれば、RDDメッセージに代えて、警報信号だけがネットワーク中に伝播され、溢れ、通信機を着用する医療従事者その他の様々な人々に「特定の患者が困っている」といった警告を発する。
【0059】
追加情報がネットワーク中に伝播するように、通信機にはそれぞれテキストメッセンジャーチップが装備されてもよい。この場合には、テキストメッセージを受信するテキストモードがそのディスプレイで起動される。テキストメッセージは例えば所定の周波数または音量の音またはスクリーンの発光といった警報を伴ってもよい。テキストメッセージは具体的に所定の通信機に向けられてもよく、ネットワークを通じて全ての通信機にブロードキャスト配信され(またはフラッド送信され)てもよい。本発明の通信機は携帯用小型無線呼び出し機として使用されるように構成されてもよい。携帯用小型無線呼び出し機は、1人の特定の患者または複数の患者から単純に警報を受信してもよく、さらに洗練されたものとして、1人の患者または規定数の患者でモニタリングされる身体上の測定因子が正常でなく徹底した精査が妥当な場合には、テキストメッセージは警報を伴ってもよい。
【0060】
電力消費は酸素濃度測定で重要な検討課題である。なぜなら、ワイヤレスオキシメーターは比較的に小さく、そうであっても、無線送信機の作動に相当な電力が要求されるかもしれないからである。したがって、ワイヤレスオキシメーターにはエネルギーの節約が要求される。本発明に係るネットワークでは、個々のオキシメーターセンサーは、所定の時間範囲内で割り当てられる所定のタイムスロットでしか通信しないようにプログラムされることから、ワイヤレスオキシメーターは他のタイムスロットで何が起こっているのか認識する必要はない。したがって、ワイヤレスオキシメーターは、通信モードでないときには、スリープモードまたはサスペンションモードに入って電力消費を節約することができる。しかしながら、ワイヤレスオキシメーターが動作中のときには、その動作は通信機あるいは少なくとも信号の範囲の存在する通信機に同期化し、センサーが装着される患者から検知される情報をブロードキャスト発信することが重要である。本発明に係るタイムスロットで時間管理される通信プロトコルによれば、決定論的な特徴に起因してエネルギーの節約が実現される。
【0061】
図12を参照すると、そこにはワイヤレスオキシメーターセンサーおよび通信機の間で相互作用が示される。図12に示されるセンサーおよび通信機は、図8に示されるワイヤレスオキシメーター22(センサー1)および通信機6a(CO1)であってもよい。通信機CO1に関し、図12は、メッセージの送信にあたって通信機に割り当てられるタイムスロット(0からTまで)を示す。センサー1に関し、図12は電力の節約にあたって同様な時間帯にオキシメーターで実行される機能の順番を示す。
【0062】
図12に示されるように、時間42aで通信機CO1は例えばRDDメッセージおよび図9および図10で開示される他の伝達内容を送信する。同一の時間44aに、患者に接続されるセンサー1はスリープモードにある。時間42bで通信機CO1はそのデータの送信を継続する。時間44bでセンサー1は、内部タイマーまたはセンサーの初期化に応じてスリープモードから復帰し、患者の身体上の測定因子を収集し始める。図12ではスリープモードからの復帰時間がTWUとして示される。時間42cで通信機CO1はデータを送信し続ける。対応の時間44cでセンサー1はそのセンサーから連続的に患者データを受信する。時間42dで通信機CO1は特定のワイヤレスオキシメーター例えばセンサー1に信号を送信する。対応の時間44dでセンサー1は通信機CO1から無線周波数信号を受信する。このとき、センサー1は、それが具体的に通信機CO1を識別する信号であると認識する。センサー1は通信機CO1にそのタイミングを同期化する。その後、時間44eでセンサー1は患者から取得されたデータを送信する。このデータは、RX WS(受信ワイヤレスセンサー)信号で表されるように、時間42eで通信機CO1に受信される。時間Tの後、通信機CO1は、ネットワーク上に存在する様々なオキシメーターおよび通信機(例えばRX1、RX2、…RXM装置)から話を聞く受信モードに入る。ほぼ同時に、センサー1はスリープモード(TGS)に入り、内部タイマーに基づき起動されるか、例えばSP02といった患者の身体上の測定因子をモニタリングし始めるまでスリープ状態を維持する。
【0063】
ワイヤレスオキシメーターセンサーが患者から身体上の測定因子を測定しない際にこのようにワイヤレスオキシメーターセンサーのスリープ状態を確立することで、オキシメーターに要求される電力は抑制され、その結果、オキシメーターのサイズは縮小されることができる。その一方で、通信機の無線機は、携帯型のユニットであって、ネットワーク上でノードを形成する他の通信機および他の装置の話しに聞き入るために起動状態を維持する。
【0064】
先に論述したように、警報用の携帯用小型無線呼び出し機に関する本発明の側面では、このような携帯用小型無線呼び出し機は、ネットワークで伝播する情報だけに耳を傾ける必要がある。言い換えれば、携帯用小型無線呼び出し機として動作する通信機は情報を発信する必要がない。したがって、携帯用小型無線呼び出し機として機能する通信機はこれまでに述べた通信機の機能を実行しない。しかしながら、通信機は、その機能の1つとして、ネットワークを伝播するデータを受信して警報状態を探し出すことで携帯用小型無線呼び出し機の機能を実行する。他の方法によれば、通信機は通信機能に関し双方向性を有する一方で、携帯用無線呼び出し機は通信機能に関し双方向性を有しなくてもよい。
【0065】
図13を参照すると、そこには本発明に係る通信機をさらに詳細に示すブロック図が示される。図4のブロック図で使用された参照符号はそのまま同一の構成要素に使用される。図示されるように、通信機6はメインのホスト基板またはホストモジュールを有する。ホスト基板またはホストモジュールはオキシメーターモジュール12および無線機モジュール20を有する。オキシメーターモジュール12には、メモリー12aと、オキシメーターモジュールに固有のプロセッサーコントローラー12bと、センサー回路12cが組み込まれる。センサー回路12cはセンサーコネクター46に接続される。センサーコネクター46には、患者に着用されるセンサーがケーブルでセンサーコネクター46に接続されてもよい。通信機の無線機モジュール20もまた、専用のメモリー20aと、専用のプロセッサーコントローラー20bと、送受信機20cと、アナログ回路20dを有する。アナログ回路20dは通信機との間でデータを送受信すべくアンテナ20eに信号を供給する。
【0066】
メインのホスト基板にはメモリー10およびマイクロプロセッサー8が搭載される。マイクロプロセッサー8は全てのモジュールを制御し、同様に通信機のホスト基板またはホストモジュール上に駆動回路を制御する。プロセッサー8はオキシメーターモジュールまたはオキシメーター回路から酸素濃度測定データを取得する。このデータは視覚的なディスプレイや警報音、有線通信、無線通信で通信される。図示のように、4つの異なる駆動回路48a、48b、48c、48dが存在する。駆動回路48aはディスプレイ50を駆動する。ディスプレイ50は例えば患者のSP02および脈拍数を表示する。SP02および脈拍数以外の情報が要求されたり、通信機が携帯用小型無線呼び出し機として使用されたりするときには、可能であれば、ディスプレイ50は付加的にテキストメッセージを表示する。駆動回路48bは警報器52を駆動する。測定された患者の測定因子が許容範囲から逸脱すると考えられる場合には警報器52が起動する。駆動回路48cは例えばキーパッドやポインティングデバイスといったユーザー入力器54を駆動する。ユーザー入力器54はユーザーと通信機との相互作用を実現する。駆動回路48dは有線通信モジュール56と協働で動作する。有線通信モジュール56には通信コネクター58が接続される。通信コネクター58は、前述のように、例えばRS−232ポートまたはUSBポートであればよい。
【0067】
通信機の電力は電源回路58から供給される。電源回路58は電池60の電力レベルを調整する。外部電源インターフェイス62は電源回路58に電源コネクター64を接続する。その結果、外部電力の供給に応じて電池60が充電されたり、例えば通信機がケーブルで患者に装着のセンサーに接続されるとコンセントから通信機に電力が供給されたりすることができる。通信機の機能のためのソフトウェアプログラムはメモリー10に保存される。
【0068】
図14は本発明に係る通信機の具体例を示す概略図である。図示されるように、メインの通信機プリント回路基板または通信機モジュール66は複数の主要なモジュールまたは回路に分割される。これら回路はオキシメーターモジュール68、電源モジュール70、ディスプレイモジュール72、メインプロセッサー74およびメインプロセッサーが搭載されるプリント回路基板上で関連する回路、メモリーモジュール76、オーディオモジュール78並びに無線機モジュール80を含む。その他に、例えばリアルタイムクロック、A/D変換器、および外部通信回路要素を含む雑多な回路が存在する。システムにはドッキングステーションおよびプリンター(図示されず)がさらに含まれてもよい。
【0069】
オキシメーターモジュール68は本出願人のオキシメータープリント回路基板を備える。このオキシメータープリント回路基板は参照符号68aで示される。オキシメータープリント回路基板は製造者番号PN31392B1もしくは別型のPN31402BxまたはPN31392Bxを有する。このオキシメーター基板は論理レベルで全二重(full duplex)の汎用非同期送受信回路(UART)経由でP12コネクターからホストプロセッサー74まで通信を実施する。オキシメーター回路基板68aには電源回路70からコネクターP12経由でスイッチドキャパシターレギュレーターU9を通じて3.3ボルトの電力が供給される。基板68のコネクターP11はメイン基板66のコネクターP14に接続される。コネクターP14はケーブル接続のオキシメーターセンサーの接続にあたって用いられる。オキシメーターセンサーから受信される信号は基板68aを通過してコネクターP12経由でプロセッサー74に供給される。
【0070】
電源モジュール70は複数の電源から電力供給されるように構成される。ここでは、電源は、汎用壁コンセント用AC/DC9ボルト電源アダプター、5ボルト500ミリアンペアで電力供給されるユニバーサルシリアルバス(USB)、交換可能な単三型乾電池(4本のアルカリ使い捨て電池で6ボルト供給)、および7.4ボルト供給の注文生産のリチウムイオン二次電池を含む。どの電源が使用されるかは自動的に決定される。AC/DC9ボルトの電力およびUSBの5ボルトの電力は汎用ドッキング/シリアル通信コネクターP3を通じて導入される。アルカリ乾電池およびリチウムイオン二次電池は共通の電池室内に収容される。したがって、アルカリ乾電池およびリチウムイオン二次電池のうちいずれか一方のみがそこに存在することができる。アルカリ乾電池およびリチウムイオン二次電池は別個の接続手段を有する。コネクターP9およびP8の働きで4本のアルカリ乾電池が直列に接続され、5端子コネクターP10を通じてリチウム二次電池パックは接続される。リチウムイオン二次電池パックは一体型の充電制御、残容量計および冗長用の安全回路を含む。P10にはさらにAC/DC9ボルトの電力、USBの5ボルトの電力、7.4ボルト出力、接地、および、メインプロセッサー74(U21)に通じる1対1のワイヤ接続の論理インターフェイスといった付加信号が印加される。論理インターフェイスを通じて充電情報および残容量情報はやり取りされる。図示されるように、全ての電源はダイオードでOR接続され、メインのオンオフパワーMOSFETトランジスターQ2に至る以前に4.5ボルト〜8.5ボルトの範囲で電力供給源を形成する。その後、電力源はステップダウンコンバーター/スイッチレギュレーターU3経由で効率的に2.7ボルトに変換される。1.8ボルトおよび1.5ボルトの供給電圧はそれぞれレギュレーターU2およびU1の働きで生成される。メインプロセッサーU21は2.7ボルト、1.8ボルトおよび1.5ボルトの電力供給に基づき動作する。フラッシュメモリーおよびSDRAMメモリーは1.5ボルトの電力供給に基づき動作する。無線機および汎用I/Oは2.7ボルトの電力供給に基づき動作する。
【0071】
ディスプレイ回路は3.0インチカラーTFT液晶ディスプレイを備えることができる。この液晶ディスプレイはシャープ株式会社によって製造され製造番号PNLQ030B7DD01を有する。ディスプレイの解像度は320(水平)x320(垂直)である。プロセッサーU21は一体型の液晶ディスプレイコントローラー周辺回路を提供する。このコントローラー周辺回路は必要なタイミング信号および液晶ディスプレイ制御信号の大部分を生成することができる。4つの付加的な液晶ディスプレイ関連回路がプロセッサーU21の外部回路として示される。コントラスト制御はデジタル電位差計(POT)U12を通じて提供される。コントラスト制御はI2Cの2ワイヤバス経由でメインプロセッサーU21から指示される。ACグレイスケール電圧およびDCグレイスケール電圧はグレイスケールASIC(特定用途向け集積回路)U8で生成される。+3ボルト、+5ボルト、+15ボルトおよび−10ボルトの液晶ディスプレイ供給電圧は電圧レギュレーターU7およびU10で生成される。LEDバックライトの輝度はスイッチレギュレーターU6で制御される。輝度は、メインプロセッサーU21から供給されるパルス幅変調(PWM)制御信号のデューティサイクルで制御される。液晶ディスプレイ制御信号は39芯のフレキシブルフラットケーブル経由でディスプレイモジュールから取り出される。このフレキシブルフラットケーブルはコネクターP6に接続される。ディスプレイバックライト用のLEDはモジュールから4芯のフレキシブルフラットケーブルで取り出される。このフレキシブルフラットケーブルはコネクターP7に接続される。
【0072】
メインプロセッサー71(U21)はARM−9アーキテクチャープロセッサーであればよい。このARM−9アーキテクチャープロセッサーはフリースケールセミコンダクターインコーポレイテッド社から供給され製造番号PNMC9328MX21VMを有する。このプロセッサーは必要とされる様々なオンボード周辺回路を有する。本発明に係る通信機で利用されるプロセッサーの構成要素のいくつかを挙げるとすれば、こうした周辺回路には、例えば、液晶ディスプレイコントローラー、多重UARTポート、I2Cポート、外部メモリーバス、メモリー管理ユニット、多重PWM出力、低電力シャットダウンモード、キースキャンおよびキーデバウンスが含まれる。
【0073】
メモリーモジュール76には3タイプのメモリーすなわち2つの8Mb×16SDRAM(シンクロナスダイナミックRAM)、1つの2Mb×16フラッシュ(不揮発性メモリー)および1つの1MbシリアルEEPROM(電気的に消去可能なPROM)が組み込まれる。SDRAMの動作電圧は1.8ボルトであってSDRAMは参照符号U19およびU20で示される。フラッシュの動作電圧は1.8ボルトであって参照符号U22で示される。EEPROMの動作電圧は2.7ボルトである。フラッシュメモリーにはプログラムコードと不揮発性トレンドデータとが保存される。起動時、プログラムコードは、より高速なプロセッサー処理を実現すべく低速のフラッシュメモリーからそれよりも高速のSDRAMに転送される。不揮発性のシリアルEEPROMは、システムのイベントログ、システムのシリアル番号、その他のシステム情報の保存に使用される。不揮発性のシリアルフラッシュメモリーはトレンドデータの保存に用いられる。ディスプレイメモリーはSDRAMの記憶域から形成される。
【0074】
オーディオモジュール78は医療装置用の警報規格60601−1−8に則って音声警報を提供する。警報規格で規定される音量および音質に起因して、要求される音の生成にあたって圧電型の振動子ではなく既知のボイスコイルスピーカーが使用される。メインプロセッサーU21は11ビットの解像度でパルス幅変調(PWM)制御信号を生成する。パルス幅変調制御信号は警報信号のピッチと音量とを制御する。信号条件回路要素U18はパルス幅変調の信号列をアナログのオーディオ信号にフィルタリングする。続いてオーディオ信号はクラスDオーディオアンプU15で増幅される。U15は最大効率の達成のために既知のブリッジ接続負荷(BTL)構成で差動的に8オームスピーカーを駆動する。
【0075】
無線機回路80は無線機モジュールRF1を有する。無線機モジュールRF1は、IEEE802.15.4低データレートワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)規格に従って動作する単一基板の送受信無線機およびプリント基板アンテナを有してもよい。無線機モジュールのハードウェアはウィスコンシン州セダーブルグ所在のエルエスリサーチ社から供給される製造番号PNMTX12−101MTN26の製品名マトリックスである。マトリックスモジュールは専売であってZigBee(低電力ワイヤレスネットワーク規格)データ送受信用途のための2.4GHz802.15.4規格準拠モジュールである。マトリックスモジュールのプロセッサーおよび送信機は例えばテキサスインスツルメンツ社のCC2430チップといった統合化モジュールに基づけばよい。
【0076】
図15にはさらに詳細な具体例に係る指装着型のワイヤレスオキシメーターセンサーが図示される。このワイヤレスオキシメーターセンサーは図5のそれに対応する。図5と同様な構成要素には同一の参照符号が付される。図15のオキシメーターセンサー22はオキシメーターモジュール26および無線機モジュール28を備える。オキシメーターモジュール26にはメモリー26a、コントローラー26bおよびセンサー回路26cが組み込まれる。センサー回路は光源エミッター26dおよび検出器26eに接続される。センサー回路は光源エミッター26dおよび検出器26eに電力を供給する。光エミッターおよび検出器は、協働して、エミッターおよび検出器に接続される患者の血中の酸素飽和度を検出したりモニタリングしたりする。患者から収集されるデータはメモリー26aに保存される。オキシメーターモジュールの全体動作はコントローラー26bによって制御される。
【0077】
無線機モジュール28はメモリー28a、コントローラー28b、送受信機28c、アナログ回路28dおよびアンテナ28eを有する。オキシメーターセンサー装置の無線機モジュール28の動作は通信機に関して議論したそれに類似する。ただし、ほとんどの場合には、オキシメーターモジュール26で収集されオキシメーターモジュール26に保存されたデータのみが無線送信機で送信される。しかしながら、送受信機28cが信号を受信したり信号を送出したりするように構成されていれば、オキシメーターセンサー装置22の無線機モジュール28は例えば通信機といった遠隔の信号源から指令を受信すべく信号を受信することができる。そういった指令の1つの例として通信機から送信されるスリープ指令が挙げられる。スリープ指令はオキシメーターにスリープモードへの移行を指示する。他の指令の例として覚醒指令が挙げられる。覚醒指令はスリープモードからオキシメーターセンサーを復帰させ患者のSP02のモニタリングを開始させる。図12に示される時間経過ごとの機能に関して議論したように、オキシメーターセンサー装置は、当該オキシメーターセンサー装置に指定される通信機からの送信を受信するように構成され、その結果、オキシメーターセンサーによって患者から収集されたデータが通信機に送信される以前に、オキシメーターセンサー装置は通信機に同期化される。
【0078】
電源回路30からオキシメーターセンサー装置22のオキシメーターおよび無線機モジュールに電力は供給される。電源回路30は電池30aからの電力を調整する。ほとんどの場合には、オキシメーターセンサー装置22は患者に着用される。センサーは具体的には患者の指に取り付けられる。指には例えば手の指が含まれる。その他、例えば反射型センサーといった他のタイプのセンサーが使用されてもよい。反射型センサーは患者の前額に取り付けられる。
【0079】
動作中、オキシメーターモジュール26のプロセッサーコントローラー26bはアナログセンサー回路を制御する。アナログセンサー回路は、シリアルに送り込まれてくるアナログの波形信号をサンプリングする。波形信号は、患者から測定される身体上の測定因子に相当する。コントローラー26bはプログラムを実行し、センサー回路26cから取得されるサンプリングされたアナログの波形からデジタルの酸素濃度データを算出する。その後、このデジタルデータは無線機モジュール28に伝達される。無線機モジュール28は、その送信範囲に滞在する通信機にデータを送信する。通信機ではそのデータは表示されてもよい。無線機モジュール28で利用されるプロトコルは通信機の無線機モジュールで使用されるものと同一であるものの、オキシメーターセンサー装置の無線機モジュールと通信機内の無線機モジュールとの間ではハードウェアに相違が存在する。これは例えば電源アンプの省略やアンテナの強化に起因する。なぜなら、能力対サイズのトレードオフはオキシメーターセンサー装置にとって必要なものだからである。
【0080】
図16には無線周波数の中断に基づく無線機モジュールの主要な遷移状態が示される。この無線周波数の中断には例えば開始、受信およびマイクロコントローラー制御が挙げられる。図示では4つの主状態すなわち主モードが存在する。アイドル状態82、受信状態84、送信状態86およびスリープ状態88である。強制的リセット後に無線機で正しい動作が確保されるために初期化状態90もまた存在する。アイドル状態82では無線機は待ち受け状態であって、適切な無線周波数信号の検知に応じて、送られてくるデータを受信し始める。コマンドの受領に応じて無線機は送信状態86に入る。送信状態86では一時的に保存されたデータパケットが無線機のブロードキャスト通信範囲に向けて無線周波数インターフェイスで通信される。スリープモード88は無線機設定を失わずに無線機を低電力で動作させる。いずれの状態でも無線機の電源は切られることができる。
【0081】
図17〜図21は本発明に係る通信機の動作を示すフローチャートである。
【0082】
図17に示されるように、ステップ92で無線機モジュールは受信モードに入る。この受信工程は無線プロトコルおよび付加的なソフトウェア制御に従う。基準信号を検知すると、無線機のコントローラーはステップ94でその時刻を記録する。ここで、基準信号はIEEE規格802.15.4で先頭フレームデリミッター検知信号として定義される。基準信号は時間軸に沿って比較的に首尾一貫した挙動を示さなければならない。ステップ96で、受信したパケットが特定の装置に向けられたものか否か、すなわち、正しく指定されたアドレスおよびフォーマットが存在するか否かを確かめるために決定がなされる。仮にメッセージがこの特定の無線機に向けられたものでなければ、ステップ98で処理はアイドル状態に戻る。その際には、アイドル状態への復帰に先立って、無線機は、その無線機に向けられたものではないと判断されるメッセージに応じてデータの受信を停止し、すでに受信したデータを破棄する。仮にステップ96の決定でメッセージがその無線機向けであることが確かめられると、処理はステップ100に移行する。メッセージは受信され無線機のローカルメモリーに一時的に保存される。ステップ102で、受信したメッセージは同期化にあたって使用されるものか否かが判断される。否であれば、処理はステップ104に移行する。ステップ104でメッセージは分類される。メッセージが同期化用であれば、処理はステップ106に移行する。ステップ106では、ステップ104のメッセージの分類に先立って、基準信号の時刻に応じてスロットタイマーは更新される。その後、メッセージはステップ108で適切に一時保存される。メッセージは無線機のホストに向けてシリアルに伝達されることができる。その後、無線機はステップ98でアイドル状態に戻る。
【0083】
図18は通信機の無線機の送信処理を示すフローチャートである。無線機は無線機マイクロコントローラーからのコマンドの受領に応じて送信を開始する。これがステップ110である。このステップでマイクロコントローラーは時間管理および同期化タイミングに基づきタイムスロットの先頭を表示する。スロットの先頭に応じて無線機はステップ112でスロットタイマーを更新してもよい。仮にネットワーク中に1つのノードしか存在せず(すなわち、通信機は他の通信機の送受信範囲に滞在せずワイヤレスオキシメーターセンサーのブロードキャスト通信範囲に滞在し)、初期化プロトコルがメッセージの規則的なブロードキャスト発信を要求する場合には、このことは重要かもしれない。ステップ114では、所定のタイムスロットで送信すべきデータがあるか否かが決定される。なければ、ステップ116で処理は無線機のアイドル状態に戻る。送信すべきデータがあれば、ステップ118でデータは送信される。ステップ120では、タイムスロットは次の送信に十分な長さを有するか否かが決定される。十分な長さ有すれば、処理はステップ114に戻って送信すべき追加のデータを取得する。メッセージの追加に十分な時間が存在する限り、この処理は継続される。ステップ120で、次の送信に十分な時間がもはや存在しないと判断されると、処理はステップ116でアイドル状態に無線機を戻す。そこで無線機は次の送信、受信またはスリープの指令を待ち受ける。
【0084】
図19および図20のフローチャートには通信機の統合処理およびブロードキャスト発信処理が示される。図19に示されるように、通信機のホストプロセッサーはステップ122で無線機からRDDメッセージまたは他の統合転送タイプメッセージを受信する。受信したデータは、ステップ124で、以前に保存されたメッセージ、すなわち無線機のメモリーに保存されたメッセージのローカルな複写と比べられる。ステップ126では、受信したデータは以前に保存されたデータよりも新しいか否かが判断される。新しければ、ステップ128でローカルメモリーは受信したRDDメッセージで更新される。ステップ130で通信機のディスプレイは更新されてもよい。ステップ132で次の開始があるまで処理は停止する。ステップ126で受信したデータは以前に保存されたデータよりも新しくないと判断されると、統合処理はステップ132に移行する。そこでは次のRDDメッセージが待ち受けられる。
【0085】
図20は本発明に係る通信機の転送処理を図示するフローチャートである。ステップ134でRDDテーブル(HSデータおよび類似の統合転送メッセージを含む)はローカルのパルス酸素濃度データで更新される。ステップ136では新たなローカルのパルス酸素濃度データが取得され準備される。ステップ138でRDDメッセージは更新される。ステップ140で処理は終了する。
【0086】
図21には、通信機のメインプロセッサーから無線機モジュールへデータを統合し転送する処理工程が示される。開始のステップ142で無線機モジュールのデータは更新される。その後、ステップ144でメッセージは無線機モジュールの待ち列に加えられる。ステップ146で追加のデータがあるか否かが判断される。追加のデータがあれば、ステップ148で追加のデータはシリアルに無線機モジュールに伝達される。ステップ146でそれ以上無線機に送られるデータが存在しないと判断されるまで処理は継続される。存在しなくなった時点で処理はステップ150に移行する。そこで統合および転送処理は終了する。
【0087】
図22はワイヤレスオキシメーターの動作を図示するフローチャートである。前述のように、電力の節約のために、ワイヤレスオキシメーターセンサーは無線機のスリープモードで起動する。したがって、処理はステップ152で開始する。ステップ152では、前述のように、オキシメーターは外部信号または内部タイマーの割り込みによってスリープモードから覚醒する。オキシメーターの無線機はステップ154でアイドル状態に入る。アイドル状態から無線機はデータを受信してもよく同期化されてもよい。この場合、受信や同期化の後に無線機はアイドル状態に戻る。これらの処理はステップ156で開始される。ステップ156では、図11および図12で議論したように、先頭フレームデリミッター(SFD)が吟味され時刻が取得される。ステップ158でSFDがオキシメーター用ではないと判断されると、ステップ154で処理はアイドル状態に戻る。そこでオキシメーターセンサーを指定する(または特定する)SFDを待ち受ける。そのオキシメーターが通信機と通信すべき正しいセンサーであることがオキシメーターで確認されると、処理はステップ160に移行する。ステップ160でオキシメーターはメッセージを受信する。ステップ162でメッセージが同期化メッセージであると判断されると、ステップ164でスロットタイマーは更新される。これによりオキシメーターは通信機に同期化される。それから処理はステップ166に移行する。ステップ166で送られてくるメッセージは一時的に保存される。メッセージが同期化メッセージではないと判断された場合も、同様な一時保存処理が行われる。その後、処理はステップ168で無線機のアイドル状態に戻る。
【0088】
ステップ170で先頭無線周波数送信割り込み信号またはコマンドが受信されるまでオキシメーターはアイドル状態に保持される。割り込み信号またはコマンドが受信されると、スロットタイマーはステップ172で更新される。ステップ174では送信すべきデータが存在するか否かを処理は判断する。にデータが存在すれば、ステップ176でデータは送信される。続いてステップ178で次のメッセージの送信に十分な時間があるか否かが判断される。十分な時間があれば、処理はステップ174に戻り次のメッセージを取得する。ステップ176で取得したメッセージを送信する。ステップ178で次にメッセージの送信に十分な時間がないと判断されるまで処理は繰り返される。十分な時間がないと判断されると処理はステップ180でアイドル状態に戻る。ステップ174で送信すべきデータが存在しないと判断された場合も処理はアイドル状態に移行する。アイドル状態の後、処理はステップ182でさらにコマンドを受信することができる。その後、無線機およびオキシメーターには電力の節約のために個別に電力が供給されることから、無線機は次に覚醒するまでステップ184でスリープ状態に入る。
【0089】
なお、本発明には様々な変形、改良および細部の変更が施されることができる。例えば、開示のネットワーク、システムおよび装置は医療設備環境を参照しつつ議論されたけれども、そういったネットワーク、システムおよび装置は医療設備以外の環境下で動作するように構成されてもよい。発明者の意図によれば、本明細書を通じて詳述され添付の図面に図示される全ての事項は単に実例として解釈されるべきであって、これらに限定されるべきではない。したがって、ここに添付される請求項の範囲でのみ本発明の外縁が規定されるべきことが意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療産業で用いられることができるワイヤレス通信ネットワークに関し、特に、患者がモニタリングされる場所から遠方に患者の測定因子を運搬する複数のノード通信機を有するノードネットワークに関する。さらに、本発明は、ネットワーク伝いにリモートで患者データを運搬する(もしくは伝播する)方法、および、そういったワイヤレス通信ネットワークで使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば患者の血圧、動脈血酸素飽和度(SP02)、心拍数、心電図といった身体上の測定因子(parameter)を遠隔でモニタリングする際に、通常、センサーが患者に取り付けられる。センサーは送信機に接続される。送信機は主要なナースステーションに向けて患者信号を送信する。こうした送信にあたって一般には有線が用いられ、最近では送信にあたって無線が用いられる。ナースステーションは病院の一般病棟に存在することもあれば集中治療病棟に存在することもある。ナースステーションにはいくつものモニターが設置される。モニターを通じて複数の病室の患者はモニタリングされる。ナースステーションには看護士が常駐する。この看護士は様々な患者の身体上の測定因子をモニタリングし、患者の健康状態(容態)を観察する。身体上の測定因子の信号は複数の病室から送られてくる。こうした主要なナースステーションは、患者がそれぞれの病室に閉じ込められる環境下では良好に稼働する。個々の病室には1台の適切な送信機が設置される。送信機は、それぞれの患者に接続されるセンサーで検出される身体上の測定因子の信号を発信する。
【0003】
しかしながら、医療分野では、無線通信の採用によって患者に移動の自由度を与えることがトレンドである。医療分野、例えばパルス酸素濃度測定の分野では、携帯型装置として、遠隔通信機能を備えた指装着型のオキシメーターがある。このオキシメーターは本願の出願人に譲渡された米国特許第6731962号に開示される。この米国特許の開示内容は参考のために本明細書に組み込まれる。当該米国特許に開示の装置は遠隔の受信機またはモニターに向けて患者データを送信する。他の例に係るパルスオキシメーターは米国特許出願公開公報第2005/0234317号に開示される。このパルスオキシメーターは無線通信リンクを通じて外部のオキシメーターと通信することができる。このオキシメーターの遠隔装置はディスプレイである。さらに他の例に係る無線パルスオキシメーターは米国特許出願公開公報第2005/0113655号に開示される。ここでは、無線の患者センサーはパルスオキシメーターに未加工の患者データを送信する。パルスオキシメーターは患者データを加工し患者データをウェブページに仕立てる。生成されたウェブページは無線アクセスポイントに無線で送信される。その結果、ウェブページは、当該無線アクセスポイントにネットワークで接続される遠隔のモニタリングステーションでダウンロードされることができる。遠隔で患者の状態をモニタリングする他のシステムが米国特許出願公開公報第2004/0102683号に開示される。同公報は患者に着用される患者モニタリング装置を開示する。患者から収集される患者データは無線でローカルネットワークのハブに送信される。ハブはパブリックネットワークまたはプライベートネットワークを経てリモートサーバーに向かってデータを転送する。サーバーはウェブポータルサーバーとして機能し、医師や、患者データの閲覧許可を得た人々は閲覧したい患者データにアクセスすることができる。
【0004】
したがって、現在のシステムは、遠隔のハブや遠隔のアクセスポイントに向けた患者データの送信に着目し、リモートで患者データを閲覧することができるとはいえ、閲覧は特定の場所に制限される。いまのところ使用されるネットワークや通信リンクは、特定の通信経路で情報を送信する予め定義されたリンク、および、選択的にアクセスを許可する特定のサーバーを有するパブリック通信ネットワークのいずれかに該当する。患者の移動の自由度を要求するとともに多数の患者のモニタリングを要求する前述の病院環境にいずれの従来技術システムも適合するとは言えない。しかも、患者の病室に固定されたモニターから患者を解放し、患者に移動の自由を付与すると同時に、その場合であっても、介護者に対して患者の健康状態をモニタリングし続けさせることができることへの要求がある。
【0005】
したがって、患者が着用することができ、患者から収集されるデータを無線で送信することができる携帯型装置が要求される。
【0006】
さらに、介護者の不足に鑑み、主要なナースステーションに駐在し様々な患者の身体上の測定因子をモニタリングする看護士または介護者の要件の緩和が要求される。一人よりも多くの介護者で様々な患者の身体上の測定因子をモニタリングすることができれば都合がよい。加えて、この通信ネットワークで、一人の看護士または介護者、または複数の看護士や介護者、健康管理従事者らが実質的にリアルタイムで遠隔から一人の患者や複数の患者の健康状態(容態)をモニタリングすることが要求される。そのために、複数の患者から収集されるデータを受信することができ、収集されたデータと複数の患者との相互関係を示すことができる通信ネットワークが要求される。そうしたネットワークの遠隔モニタリング性能を十二分に引き出すために、個々の介護者に所持され主要なモニタリングの場所から介護者を解放することができる携帯型装置が要求される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、個別に発明を成立させ得るいくつもの側面の中で、従来技術から教示されるように、患者から収集されるデータが届けられる中央サーバーや中央ハブの必要性を克服することを試みる。本発明は、その一側面によれば、決定論的構成を有する例えばピアツーピアネットワークおよびメッシュネットワークといったネットワーク伝いに遠隔のモニタリングを提供することを目的とする。その結果、単一のハブやアクセスポイントをあてにせずに済む。
【0008】
本発明は、特に一側面では、医療装置による使用に適合したワイヤレス通信ネットワークに関する。ワイヤレス通信ネットワークは医療装置のピアツーピアネットワークのアーキテクチャーを有する。ネットワークコントローラーは必要とされない。個々の医療装置はネットワークのノードとしてみなされ、医療装置(すなわちノード)は同期化され、医療装置同士の間の通信は時間管理される。そうしてネットワーク干渉は排除され、ノード同士の間の通信の観点からも、装置同士の間でやり取りされるメッセージのタイプの観点からも良好な品質が得られる。
【0009】
医療環境下で設定される具体例、例えば酸素濃度測定では、患者の生理的な測定因子または生理的属性が測定される場合、患者はセンサーモジュールを着用する。センサーモジュールは患者の身体上の測定因子を測定するセンサーを有する。取得された患者データは送信にあたってセンサーから送信機に届けられる。その他の例として、センサーモジュールは、患者の測定された身体上の測定因子を送信する送信機をそれ自身に含んでもよい。センサーモジュールと遠隔の受信機との間で双方向性通信が望まれる場合には、送受信機がセンサーモジュール内に組み込まれてもよい。センサーモジュールは、議論された医療環境下では、ワイヤレスオキシメーターセンサーと称されてもよい。個々のワイヤレスオキシメーターセンサーは、オキシメーターおよびその関連のセンサーに加え、センサーで取得される患者データを出力する(または送信する)送受信機または無線機を備えていてもよい。
【0010】
受信機は、患者に取り付けられるセンサーから出力される信号を受信する。こうした受信機は双方向通信装置(以下「通信機(communicator)」という)であってもよい。通信機は情報またはデータを受信し送信する送受信機を有する。少なくとも1つのメモリーが通信機には組み込まれる。メモリーは受信した最新の情報を保存する。送受信機およびメモリーに加えて、通信機はプロセッサー、ユーザーインターフェイスおよび電源回路を備えてもよい。通信機がオキシメーターセンサーと通信する場合には通信機はオキシメーター回路を備えてもよい。通信機は、受信した(または収集した)情報を統合するように構成され、その結果、通信機のデータはネットワークに向けてばらまかれる(またはネットワークにブロードキャスト発信される)。
【0011】
本発明に係る通信ネットワークには複数の通信機が存在してもよい。ここでは、個々の通信機はネットワークのノードとしてみなされる。各々が通信機を構成する複数のノードでネットワークは構成されることから、ネットワークを伝ったデータの通信は首尾一貫しコントローラーを必要としない。しかも、個々の通信機は可搬性があることから、ネットワークのトポロジーは変化してもよく、したがってネットワークはトポロジーに依存することはなく、ピアツーピアアーキテクチャーに類似する。ネットワークの大きさは、ネットワークに含まれる通信機の数すなわちノードの数に依存する。ネットワークの一例は最小で2つの通信機(すなわちノード)から最大でN個の通信機(すなわちノード)を備えることができる。個々の通信機に組み込まれる送受信機または無線機は所定の距離で規定されるブロードキャスト通信範囲または送信範囲を有する。したがって、1つの通信機からブロードキャスト通信される情報は所定の送受信エリアで行き渡る。ネットワーク上の他の通信機すなわちノードは、もう1つの通信機の送信範囲に滞在していれば、当該他の通信機からブロードキャスト発信されるデータを受信することができる。反対に、当該他の通信機は、その受信範囲に存在する通信機からブロードキャスト発信されるデータを受信する。したがって、ネットワーク内では、異なる通信機同士の間、すなわち異なるノード同士の間でデータは通信されることができる。こうして本発明に係るネットワークでは専用のアクセスポイントやコーディネーター、コントローラーは存在しない。
【0012】
ネットワークでは全てのノードが通信機である必要はない。患者に取り付けられて患者の身体上の測定因子をモニタリングする(または測定する)ワイヤレスオキシメーターやその他の医療装置がネットワークのノードとしてみなされてもよい。本発明では、そういったワイヤレスオキシメーター、および、患者から身体属性を測定する(または検知する)他のタイプの医療装置はネットワークのセンサーノードとしてみなされてもよい。その他、患者から情報を収集し、収集した情報をネットワークに送信するセンサーノードはネットワークの第1タイプノードと称されてもよい。このとき、本発明に係るネットワークの第2タイプノードは、第1タイプノード経由で、すなわちワイヤレスオキシメーターセンサー経由で患者からデータを受信し、統合し、配信する通信機である。異なるタイプのノードのための通信プロトコルや、ワイヤレスセンサーおよび通信機の間の通信プロトコルはIEEE規格802.15.4に基づいてもよい。
【0013】
ネットワークの様々なノードが相互に通信することから、ネットワーク上の装置は同期化され、所定の通信スケジュールに従う。同期化にあたって、ネットワークのノードには各々タイムスロットが割り当てられる。ここでは、個々のタイムスロットは複数のサブタイムスロットに分割される。個々のノードすなわち装置は隣接するノードすなわち装置からの通信によって同期化される。その結果、個々のノードは割り当てられたタイムスロットでのみデータを送信する。通信スケジュールは周期的であって、ネットワーク上の全てのノードは、保存されたデータの送信(またはブロードキャスト通信)にあたって、ネットワークを構成する通信機に割り当てられたスロットに従って時間管理される。
【0014】
データは1つのノードからその他のノードへ行き渡る(または伝播する)ことから、データを受信するノードの各々でデータは統合される。統合されたデータはネットワーク中に広められる。その結果、ネットワークを伝って伝播するメッセージは継続的に更新される。1つのノードでは、そのノードで以前に保存されていたメッセージよりも新しいメッセージが受信されると統合が引き起こされる。
【0015】
第1側面によれば、本発明は、患者の身体属性に関する情報を伝達するシステムに向けられる。システムは、1人の患者に関連する少なくとも1つの患者モニタリング装置を備える。その患者モニタリング装置は、少なくとも1つの患者の身体属性を検出するセンサーと、装置の送信エリアに向けて、検出された身体属性に対応する患者データを送信する少なくとも1つの送信機とを有する。システムには、さらに、複数の通信機が含まれる。個々の通信機は、前述の送信エリアに滞在する際に、患者モニタリング装置から送信されるデータを少なくとも受信する送受信機を備える。個々の通信機はその送受信エリアに存在する他の通信機と通信する。本発明に係るシステムでは、いずれかの通信機は、装置の送信エリアに滞在すると、患者モニタリング装置から患者データを受信し、患者データの受信後、通信機の送受信エリアに存在する他の通信機に向けて患者データをブロードキャスト発信するように構成される。
【0016】
本発明の他の側面は、患者の身体属性に関する情報を伝達するシステムに向けられる。このシステムは、個別に特定の患者に関連づけられる複数の患者モニタリング装置を備える。これら患者モニタリング装置は、各々、装置に関連する患者に対して少なくとも1つの身体属性を検出するセンサー手段と、身体属性に対応する患者データを装置の送信エリアに向けて送信する送信機とを備える。本発明に係るシステムには、さらに、複数の通信機が含まれる。個々の通信機は、それら患者モニタリング装置の送信エリアに滞在する際に、患者モニタリング装置から送信される患者データを受信する送受信機を備える。個々の通信機はその送受信エリアに存在する他の通信機と通信すべく構成される。個々の通信機は、いずれか1つの患者モニタリング装置の送信エリア内に位置すると、当該患者モニタリング装置から患者データを受信し、その後に、通信機の送受信エリアに向けて、受信した患者データをブロードキャスト発信するように構成される。
【0017】
本発明の第3側面は、患者の身体属性に関する情報を行き渡らせるシステムに向けられる。システムは、1人の患者に関連づけられる少なくとも1つのオキシメーターを備える。オキシメーターは、少なくとも患者のSP02を検出するセンサー手段を有する。オキシメーターは、検出されたSP02に対応する患者データを少なくとも送信する少なくとも1つの送信機または送受信機を備える。システムは、さらに、複数の通信機を備える。個々の通信機は送受信機を有する。送受信機は、患者のオキシメーターの送信範囲に滞在すると患者のオキシメーターから送信されるデータを受信すべく構成される。個々の通信機は、他の通信機と通信すべく構成される。その結果、通信機の1つがオキシメーターの送信範囲に存在すると、通信機は患者のオキシメーターから患者データを受信し、その後に、その通信機は受信した患者データをそのブロードキャスト通信範囲に存在する他の通信機に向けて配信する。
【0018】
本発明の第4側面は通信ネットワークに向けられる。この通信ネットワークでは、患者の身体属性に関する情報はリモートで運ばれる。本発明に係る通信ネットワークは1人の患者に関連して少なくとも1つのワイヤレスセンサーを備える。ワイヤレスセンサーは患者の少なくとも1つの身体属性を検出する。センサーは少なくとも1つの送信機を備える。送信機は、検出された身体属性に対応する患者データをセンサーから送信する。ネットワークは、さらに、センサーの送信範囲に存在する第1通信機を備える。第1通信機は、センサーから送信される患者データを受信し、受信した患者データをブロードキャスト発信する送受信機を備える。本発明に係る通信ネットワークはさらに第2通信機を備える。第2通信機は第1通信機と通信しつつワイヤレスセンサーとは通信していない。第2通信機は第2送受信機を備える。第2送受信機は第1通信機からブロードキャスト発信された患者データを受信すべく構成される。
【0019】
本発明の第5側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワークに向けられる。このワイヤレスネットワークは患者の情報を行き渡らせる。本発明に係るワイヤレスネットワークは少なくとも1つの第1タイプノードを備える。第1タイプノードは1人の患者に関連づけられてその患者の身体属性をモニタリングすべく構成される。第1タイプノードは検出器および送信機を備える。検出器は少なくとも患者の1つの身体属性を検出する。送信機は、検出された患者の身体属性をデータとしてネットワークに向かって送信する。さらに、ネットワークには複数の可搬性の第2タイプノードが含まれてもよい。第2タイプノードは直接的に患者に関連づけられない。第2タイプノードは、第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、第1タイプノードから信号および(または)データを受信するように構成される。第2タイプノードのそれぞれは、さらに、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、ネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信するように構成される。本発明の当該側面に係るワイヤレスネットワークによれば、第2タイプノードのいずれもは、第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、第1タイプノードから送信される患者データを受信し、その後に、ネットワークに向けて受信した患者データをブロードキャスト発信することができる。こうすることで、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードは第1タイプノードから出力される患者データを受信することができる。
【0020】
本発明の第6側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワークに向けられる。このワイヤレスネットワークは患者の情報を行き渡らせる。この発明に係るネットワークは複数の第1タイプノードを備える。個々の第1タイプノードは特定の1人の患者に関連づけられてその特定の患者の身体属性をモニタリングすべく構成される。個々の第1タイプノードは検出器および送信機を備える。検出器は、特定の患者の少なくとも1つの身体属性を検出する。送信機は、検出された身体属性を患者データとしてネットワークに向かって送信する。ワイヤレスネットワークはさらに複数の可搬性の第2タイプノードを備える。第2タイプノードは直接的に患者に関連づけられない。第2タイプノードは、いずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成される。第2タイプノードのそれぞれは、さらに、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、ネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信するように構成される。第2タイプノードの1つがいずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、当該第2タイプノードは、第1タイプノードから送信される患者データを受信する。その後、当該第2タイプノードはネットワークに向けて受信した患者データをブロードキャスト発信する。こうすることで、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードは第1タイプノードから出力される患者データを受信することができる。
【0021】
本発明の第7側面は、患者の身体属性に関する情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)1人の患者に、センサー手段および少なくとも1つの送信機を有する少なくとも1つの患者モニタリング装置を関連づける工程。b)前記センサー手段を用いて患者から少なくとも1つの身体属性を検出する工程。c)装置送信エリアに向けて、検出された身体属性に対応する患者データを送信する工程。d)患者モニタリング装置から送信されるデータを受信し、通信機送受信エリアにデータをブロードキャスト発信すべく構成される送受信機を個々に有する複数の通信機を提供する工程。e)通信機のうちの1つを前記患者モニタリング装置の装置送信エリア内に位置させ、患者データを受信させる工程。f)受信した患者データを前記通信機から通信機送受信エリアに向けてブロードキャスト発信し、装置送信エリアに存在しないものの前記通信機の送受信エリア内に存在する通信機に患者モニタリング装置から送信される患者データを受信させる工程。
【0022】
本発明の第8側面は、患者の身体属性に関する情報を伝達する方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)患者から少なくとも1つの身体属性を検出するセンサー手段と、検出された身体属性を送信する送信機とを個々に有する複数の患者モニタリング装置を提供する工程。b)複数の患者モニタリング装置を対応の患者に関連づける工程。c)いずれかの患者モニタリング装置から送信される患者データを受信すべく構成される送受信機を個々に有する複数の通信機であって、当該送受信機で通信機同士の通信を確立する通信機を提供する工程。d)関連する患者の身体属性の検出にあたって用いられる1つの患者モニタリング装置の送信エリア内にいずれかの通信機を位置させる工程。e)その通信機で、患者モニタリング装置から送信された患者データを受信させる工程。f)その通信機で、通信機送受信エリアに、受信した患者データをブロードキャスト発信する工程。
【0023】
本発明の第9側面は、患者の身体属性に関する情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)少なくとも患者のSP02を検出するセンサー手段を有する少なくとも1つのオキシメーターであって、検出されたSP02に対応する患者データを装置から送信する送受信機または少なくとも1つの送信機を有するオキシメーターを1人の患者に関連づける工程。b)患者オキシメーターの送信範囲内に位置すると、患者オキシメーターから送信されるデータを受信すべく構成される送受信機を個々に備える複数の通信機であって、通信機同士で通信すべく構成される通信機を提供する工程。c)患者オキシメーターの送信範囲内に通信機のうち1つを位置させ、当該通信機に患者オキシメーターから患者データを受信させる工程。d)当該通信機の送信範囲に滞在する通信機に向けて受信した患者データを当該通信機からブロードキャスト発信する工程。
【0024】
本発明の第10側面は、複数の送信装置および受信装置を有するワイヤレス通信ネットワーク環境下で、患者の身体属性に関する情報をリモートで運搬する方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)少なくとも送信機を有する少なくとも1つのワイヤレスセンサーを患者に関連づけて、患者の少なくとも1つの身体属性を検出する工程。b)検出される身体属性に対応する患者データをネットワークに向けて送信する工程。c)センサーから送信される患者データを受信すべく構成される送受信機を有する第1通信機をセンサーの送信範囲内に位置させる工程。d)受信した患者データを第1通信機からネットワークにブロードキャスト発信する工程。e)ワイヤレスセンサーと直接に通信せずに、第1通信機からブロードキャスト発信される患者データを受信すべく構成される第2送受信機を有する第2通信機と第1通信機との間で通信を確立する工程。
【0025】
本発明の第11側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワークで患者の情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)患者の少なくとも1つの身体属性を検出する検出器と、検出される身体属性を患者データとしてネットワークに向けて送信する送信機とを備える少なくとも1つの第1タイプノードを患者に関連づけて患者の身体属性をモニタリングする工程。b)第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成され、患者に直接的に関連しない複数の第2タイプノードであって、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信しネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信する第2タイプノードをネットワークに配置する工程。c)第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に第2タイプノードを進入させ第1タイプノードから出力される患者データを受信させる工程。d)受信した患者データを当該第2タイプノードからネットワークにブロードキャスト発信し、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に滞在する他の第2タイプノードに第1タイプノードから出力された患者データを受信させる工程。
【0026】
本発明の第12側面は、複数のノードを有するワイヤレスネットワーク環境下で患者の情報を行き渡らせる方法に向けられる。当該方法は以下の工程を備える。a)患者の少なくとも1つの身体属性を検出する検出器と、検出される身体属性を患者データとしてネットワークに向けて送信する送信機とを個々に有する複数の第1タイプノードのそれぞれを特定の1人の患者に関連づけて、当該特定の患者の身体属性をモニタリングする工程。b)いずれの患者にも直接に関連しない複数の第2タイプノードをネットワーク内に配置する工程。c)第2タイプノードのそれぞれに対し、いずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入した際に第1タイプノードから信号および(または)データを受信し、他の第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入した際に当該他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、ネットワークに信号および(または)データをブロードキャスト発信すべく構成する工程。d)いずれかの第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲内に第2タイプノードのうちの1つを位置させ、第1タイプノードのいずれかから出力される患者データを第2タイプノードで受信させる工程。e)その後に、受信した患者データを第2タイプノードからネットワークにブロードキャスト発信し、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に滞在する他の第2タイプノードが第1タイプノードから出力される患者データを受信することができるようにする工程。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明に係るシステムのアーキテクチャーの一例であって、例えばピアツーピアネットワークといった相互接続ネットワークを示す。
【図1b】ネットワークのノードの簡略図であって、医療設備環境下で無線機を含む医療装置であるノードを示す。
【図2】図1aのピアツーピアネットワークに、ネットワークに接続されるワイヤレスオキシメーターといったワイヤレス医療装置を結合するネットワークの一例である。
【図3】本発明に係るネットワークのノードを構成する通信機(この場合には医療通信機)の単純なブロック図の一例である。
【図4】本発明に係るネットワークの通信機(すなわち中継ノード)を詳細に示すブロック図である
【図5】本発明に係る通信ネットワークの一部を構成するワイヤレスオキシメーターセンサー(すなわちセンサーノード)のブロック図である。
【図6】中継ノードとして作動し、本発明のネットワークのワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)に通信リンクで接続される本発明に係る通信機を示す。
【図7】本発明に係る通信機にケーブルで有線接続されるセンサー(この例ではオキシメーターセンサー)を示すブロック図である。通信機はセンサーのための送信機として動作することができる。
【図8】本発明に係るシステムの一例であって、患者センサーが通信リンクで通信機に接続され、その通信機がネットワーク上の他の通信機に通信リンクで接続されるシステムを示す。
【図9】ネットワーク上の様々な通信装置同士の間で通信を時間管理するタイムスロットの一例を示す。
【図10】ネットワークの様々な通信装置(すなわちノード)同士の間で通信されるメッセージのタイプを示す。
【図11】ネットワーク上でいかにメッセージが統合され1つのノード通信機から他のノード通信機に配信されるかを示す。
【図12】ネットワーク上の通信機(すなわち中継ノード)とワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)との間で相互作用通信の一例を示す。
【図13】本発明に係る通信機の様々な構成要素を詳細に示すブロック図である。
【図14】図13で示される本発明に係る通信機の回路概略図の一例を示す。
【図15】本発明に係るワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)の様々な構成要素を詳細に示す図である。
【図16】本発明に係るワイヤレスオキシメーターセンサーに使用されることができる無線送信機の主状態を示す。
【図17】本発明に係る通信機が情報を受信すべく処理する動作工程を示すフロー図である。
【図18】通信機およびワイヤレスセンサーの無線送信機でデータの送信にあたって実行される処理を示すフローチャートである。
【図19】通信機で統合されるデータの処理過程を示すフロー図である。
【図20】通信機のメモリー内でデータを更新する処理を示すフロー図である。
【図21】メモリーで更新されたメッセージを配信する通信機の処理を示すフローチャートである。
【図22】本発明に係るワイヤレスオキシメーター(すなわちセンサーノード)の動作処理工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aおよび図1bを参照すると、そこには通信ネットワークが示される。通信ネットワークは例えばピアツーピアネットワークに構成される。図1aに示される一例に係る無線ネットワーク2では4つのノード1〜4が存在する。ただし、無線ネットワーク2がノードNを有するように、ネットワークはN個のノードを有してもよい。図1aに示される本発明の実施形態では、図1bのノード4は図示される個々のノードに相当する。図1bに示されるように、ネットワークのノードの各々は無線機を備える医療装置である。無線機は送信機または送受信機であればよい。医療装置は、患者または対象物の身体属性(物理的属性)または身体上の測定因子をモニタリングする(または測定する)多数の装置のうちの一つであればよい。そういった医療装置は、オキシメーター、心拍計、呼気炭酸ガス濃度計または二酸化炭素濃度計(CO2モニター)、患者に接続されたポンプ、その他、患者の特定の身体属性をモニタリングする装置を含む。ただし、医療装置はこれらの装置に限定されるわけではない。例えばパルスオキシメーターの例では患者の動脈血中の酸素濃度レベル(SPO2)がモニタリングされ(あるいは)測定される。呼気炭酸ガス濃度計の例では、二酸化炭素(CO2)、ETCO2(呼気終末二酸化炭素濃度)および呼吸数がモニタリングされ(あるいは)測定される。例えば本願の譲渡人は現在「CAPNOCHECK(登録商標)」といった商標名でオキシメーターおよび呼気炭酸ガス濃度計の組み合わせに係る製品を市販する(ただし、無線機を備えていない)。本発明では、発明に係るネットワークのノードとして機能するように、そういった組み合わせに係る装置に無線機が適用される。
【0029】
装置4の無線機部分は、送受信機であればよく、少なくとも送信機であればよい。こうした送受信機や送信機は例えばIEEE規格802.15.4といった通常規格の通信プロトコルの下で動作する。その結果、データはその装置のブロードキャスト通信範囲または送信エリアに装置から送信される。後述されるように、装置4には付加的な構成要素が存在する。いまのところ、図1のネットワークは、医療装置であろうとなかろうと、ハブや中央のネットワーク制御装置なしに相互に通信することができる装置のピアツーピアネットワークで構成されるネットワークであるというにとどめておく。
【0030】
後ほど特に詳述するように、ネットワークのノードは同期化され、ノード同士の通信は時間管理される。したがって、ノード同士の通信に影響するかもしれないネットワーク干渉は実質的に排除される。加えて、特定のメッセージタイプの採用によってノード間の通信品質は高められる。図1aに示されるネットワークのアーキテクチャーはさらにブロードキャストの採用により全てのノードに対してデータの配信を可能にする。個々のノードで実行される統合処理で最新のデータがノードからブロードキャスト発信され、その結果、通信でやり取りされるデータの完全性は高められる。こうして、ネットワークを通じて通信でやりとりされるデータまたは伝播されるデータの予測性および一貫性が得られ中央のネットワーク制御装置やハブの必要性はなくなる。
【0031】
ネットワークのトポロジーは変化してもよく特定の構成に束縛されるものではない。例えばネットワークの大きさは2個のノードといった最小値からN個のノードといった最大値までの範囲に広がる。医療装置といった形態をとることができる個々のノードは移動することができ、ネットワークのトポロジーは特定の時点でのノードの位置に従って変化する。個々のノードが個別に無線送信機を備えれば、個々のノードは予め決められた送信範囲にブロードキャスト発信することができる。特定ノードのブロードキャスト通信範囲または受信エリアに存在する全てのノードはその特定ノードと通信することができる。さらにまた、通信は特定の1つのノードやハブによって制御されるわけではないので、ノード同士の通信は特定の1つのアクセスポイントに制限されるわけではない。
【0032】
図2に示されるように、図1aのネットワークは複数のワイヤレスオキシメーターまたはその他の前述の医療装置に通信で接続される。図1aのネットワークで議論されたノードには符号N1〜NNが付され、ノードは通信機CO1〜CONと称される。図2に示されるように、ワイヤレスオキシメーターO1、O3、ONはそれぞれ通信機CO1、CO3、CONに通信で接続される。本発明では、患者の身体上の測定因子をモニタリングするワイヤレスオキシメーターまたはその他の前述の医療装置はノードの第1タイプと称されてもよく、通信機CO1〜CONはノードN1〜NNの第2タイプとして称されてもよい。ワイヤレスオキシメーターはさらにセンサーノードまたは検出ノードと称されてもよく、通信機はさらに中継ノードまたは伝播ノードと称されてもよい。
【0033】
ワイヤレスオキシメーターは患者に着用される装置またはモジュールである。装置またはモジュールは例えば患者の指に装着される。装置またはモジュールには、患者のSP02を検出するセンサーが組み込まれる。一例に係るワイヤレスオキシメーターモジュールは本発明の譲渡人に譲渡された米国特許第6731962号に開示される。同特許の開示内容は参照により本願明細書に組み込まれる。患者に着用されたり患者に関連づけられたりするオキシメーターセンサーの他のタイプには反射型タイプまたは耳装着タイプが含まれる。反射型タイプは患者の前額やその他身体の平坦部に取り付けられる。耳装着タイプは患者の耳にクリップで留められる。発明者らは、本発明に係るネットワークに16台のワイヤレスオキシメーターが接続されてもネットワークは有効に動作することを見出した。それだからといって、図2のネットワークが例えば1台といった具合にさらに少数のオキシメーターや16台を超える数のオキシメーターを有してはいけないということにはならない。同様に、当該システムまたはネットワークの通信機またはノードの数は好ましくは2〜32個の範囲である。システムのタイムスロットおよび同期性が調整されれば、後述されるように、32個を超える数の通信機またはノードも可能である。
【0034】
図3を参照すると、本発明の通信機6はホストプロセッサー8を備える。ホストプロセッサー8は、図示しないメモリーに格納されるプログラム10を実行する。プログラムの働きでプロセッサー8はオキシメーター回路12の動作を制御する。オキシメーター回路12は外部のオキシメーターにインターフェイスで接続される。外部のオキシメーターは、例えばケーブルといった配線や無線で通信機に結合されデジタル酸素濃度データを生成する。デジタル酸素濃度データはプロセッサー8の処理に供される。プロセッサー8にはユーザーインターフェイス14が接続される。ユーザーインターフェイス14は通信機とユーザーとの間でやり取りを可能にする。ユーザーインターフェイスは、例えばLCDディスプレイといったディスプレイ、例えばキーパッドといった入力源、並びに、警報にあたって用いられるオーディオ回路およびスピーカーを備えればよい。電源回路16は通信機6に電力を供給する。電源回路16は電池またはDC入力端子および既存の電源アナログ回路を備えればよい。電源回路16の働きで、調整された電力が通信機の全ての動作中の回路に供給される。通信機6には電気的インターフェイス18がさらに組み込まれる。この電気的インターフェイスは例えばRS−232ポート、USBポート、またはその他の類似の入出力(IO)ポートといった導電性の通信ポートを備えればよい。こうした通信ポートは通信機の入出力用のインターフェイスを提供する。通信機でのデータの送受信にあたって、他の通信機との間や、図2に示されるワイヤレスオキシメーターセンサーといったセンサー装置をはじめ、医療装置であろうとかなろうとワイヤレスのデータ送信に適合したセンサー装置との間でワイヤレスでデータを送受信したり伝達したりする無線送受信機が組み込まれる。
【0035】
図4は図3に示される通信機6の個々の構成要素を詳細に示す。例えば、ユーザーインターフェイス14は、ディスプレイと、キーパッドと、スピーカーと、「アナログ」と表示されるアナログデジタル(A/D)変換回路とを備える。既知のように、A/D変換回路はアナログ入力をデジタル信号に変換する。デジタル信号はホストプロセッサー8に送られる。図4に示される通信機の電源構成要素16は電池、電池の充電に利用されるDC入力端子、既知のアナログ電源回路、およびホストプロセッサー8に対して電源構成要素16の通信を確立するデジタル回路とを備える。電源構成要素から提供される電力は通信機の全ての動作中の回路に供給される。先ほど示唆された電気的インターフェイス構成要素18は、RS−232ポートおよびUSBポートの一方または両方、またはその他の既知のインターフェイスポートを有する。オキシメーター構成要素12は、患者センサーから受信するアナログ信号を解析するアナログ回路と、オキシメーター構成要素の動作機能を格納するメモリープログラムと、患者から受信するデータを処理してデジタル酸素濃度データを生成するマイクロプロセッサーとを有する。デジタル酸素濃度データはオキシメーター構成要素12のマイクロプロセッサーからホストプロセッサー8に伝達される。前述のように、プロセッサー8を収容するホストのメモリープログラム10は、通信機の全体の動作のためにプロセッサー8に対して動作指令を供給する。通信機6で最後の主要な構成要素は無線機20である。無線機20は、無線機ICモジュールと、メモリーに格納されて無線送信機の機能を制御するメモリー格納プログラムと、無線機の動作を制御するアナログ回路と、アンテナとを備える。アンテナの働きで無線送受信機は通信機へ信号を送信したり通信機から信号を受信したりする。
【0036】
図5は、ネットワークのセンサーノードを構成するワイヤレスオキシメーター装置を示す。ワイヤレスオキシメーター22はセンサー構成要素24を備える。この構成要素は、既知であって、2つのLEDと検出器とを備える。2つのLEDは、患者の指、または患者の前額といった他の部位に向かって、異なる周波数の光を出力する。検出器は、患者を透過する光または患者から反射する光を検出する。また、ワイヤレスオキシメーター22にはオキシメーター回路26が組み込まれる。オキシメーター回路26は、プロセッサーと、患者から検出される波形信号を解析するアナログ回路と、プログラムを格納するメモリーとを備える。プログラムの働きでアナログ回路は患者から送り込まれる信号を解析し酸素濃度データに変換する。センサー24の動作はオキシメーター回路26で制御される。無線機構成要素28はオキシメーター構成要素26および(または)センサー構成要素24にインターフェイスで接続され協働で作動する。無線機構成要素28は、アンテナと、メモリーに格納されるプログラムと、無線機ICモジュールを動作させるアナログ回路と、通信機に向かって患者の酸素濃度データを送信するアンテナとを備える。電源構成要素30は、電池電源と、ワイヤレスオキシメーターの他の構成要素に電力を供給する既知のアナログ電源回路とを備える。本発明のネットワークでは、例えば図2に示されるように、図5のワイヤレスオキシメーター装置は、ブロードキャスト通信範囲または送信エリアに存在する通信機に向かって収集された患者データを送信する。
【0037】
図6は指装着型のワイヤレスオキシメーター装置と本発明に係る通信機との相互作用を詳細に示す。ここで、通信機6とワイヤレスオキシメーター22との間でワイヤレス通信リンク32が確立される。図示のように、通信機6の無線送受信機はオキシメーター22の無線送信機と通信する。その結果、センサー24で患者から取得されたオキシメーターデータは通信機6に送られる。通信機6は、その送受信エリアに向けて情報をブロードキャスト発信することで情報を中継してもよい。なお、通信機6は、オキシメーター装置の送信エリアまたはブロードキャスト通信範囲内に存在するときのみ、オキシメーター22からデータを受信する。図6に示される実施形態では、ワイヤレスオキシメーター22のオキシメーター回路が能動的に患者データを解析し変換する際には、通信機6のオキシメーター回路は患者データを解析したり変換したりしない。なぜなら、オキシメーター装置22から通信機6に患者データは送信されるからである。オキシメーター装置22から通信機6に送信される信号はほとんどの場合デジタル信号である。しかしながら、仮にオキシメーターからアナログデジタル変換回路の削除が望まれ、オキシメーターで処理電力の抑制が望まれる場合には、未処理のデータが直接にオキシメーター装置から通信機に送信される場合もある。言い換えれば、必要であれば、未処理のデータはオキシメーター装置から通信機に送られてもよい。その場合には、通信機は、未処理のデータを必要な酸素濃度データに変換する処理を実行する。
【0038】
図6に示される指装着型のワイヤレスオキシメーター装置22に代えて、図7に符号34で示される既存のオキシメーターセンサーとともに使用されるように本発明は適合されることができる。既存のオキシメーターセンサーは本発明の通信機にケーブル36で接続される。既存のオキシメーターセンサーは患者のSP02の測定にあたって要求される光源と検出器とを有する。接続にあたってセンサーの電気的コネクターは通信機6の電気的インターフェイス18の一部であるポートに結合される。患者から受信する信号は処理され保存され、その後、通信機からその送受信範囲にブロードキャスト発信される。この実施形態では、通信機6は、オキシメーターセンサーと協働することにより患者モニタリング装置の送信機として機能する。しかも、通信機6はオキシメーターセンサー34からケーブル長の範囲に存在しなければならず、通信機6はオキシメーターセンサーに相対的に固定され、患者に近接する。
【0039】
図8はアドホックメッシュ構造の本発明の通信ネットワークを示す。この通信ネットワークではワイヤレスオキシメーターセンサー装置22は通信機6aと通信する。センサーは図示しない患者の指に取り付けられる。その通信機6aは通信機6bおよび通信機6cと通信リンクでつながる。2つの通信機6b、6cは通信機6dと通信リンクでつながる。通信機6dは通信機6eに通信リンクでつながる。
【0040】
さらに図8に示されるように、個々の通信機はディスプレイ24を有する。ディスプレイは複数の患者のデータを表示することができる。図8に示される例に係る通信機では患者のSP02および脈拍数がディスプレイ26a、26bにそれぞれ表示される。さらに、通信機6b〜6eのディスプレイには個々に5組のデータが示される。1組のデータは特定の患者を表す。図8の例では通信機に5人の患者を表すデータが表示されるものの、個々の通信機にはそれよりも少数の組数の患者データが表示されてもよくそれよりも多数の組数の患者データが表示されてもよい。さらにまた、仮に図8の通信機がオキシメーター以外の装置であれば、他の患者属性を表す患者データがそれら通信機のディスプレイに表示されてもよい。例えば装置がCO2モニターであったりCO2モニターおよびオキシメーター装置の複合体であったりすれば、そういった患者属性はCO2および呼吸数である。
【0041】
通信機6aに通信接続されるワイヤレスオキシメーターセンサー22では患者1から測定される(または検知される)身体上の測定因子は例えば96バイトのオキシメーターデータメッセージデータファイルとして通信機6aに送られてもよい。この場合、通信機6aは、オキシメーター装置22からデータファイルを受け取ると、患者1のデータファイルをP1としてリモートデータディスプレイRDDテーブル28aに格納する。通信機6aのメモリーに以前に格納された患者1のデータは患者1の最新のデータで置き換えられる(または更新される)。見本の通信機6aのRDDテーブルは、例えば患者P1から患者PNといった具合に複数の患者のデータを保存することができる記憶容量を有する。この例では通信機のメモリーでは個々の患者に対して18バイト程度の記憶領域が確保される。個々の通信機には、異なる時刻に受信された患者データが実際に保存され統合処理にあたって最新の情報と比較されるように、複数のテーブルが保存されてもよい。統合処理は後ほど詳述される。図8には通信機6aの追加のテーブル28b、28cが示される。
【0042】
ワイヤレスオキシメーター22が患者の少なくとも1つの身体属性を表す信号をオキシメーターから予め決められた送信範囲すなわちセンサーの送信エリアに発信すると、ワイヤレスオキシメーター22と通信機6との間で相互作用は開始する。身体属性には例えば患者のSP02が挙げられる。図8の例に係るネットワークではワイヤレスオキシメーター22はセンサーノードとしてみなされてもよい。図8のネットワークで通信リンク30aとして図示されるように、通信機6aはワイヤレスオキシメーター22の送信エリアまたは送信ゾーンに位置する。したがって、患者1から検知される患者データをワイヤレスオキシメーター22が出力すると、通信機6aは送信された患者データを受信する。受信された患者データはRDDテーブル例えば符号「28a」に患者データP1として格納される。以前の患者1のP1データが存在すれば、この以前のデータはいましがたRDDテーブルに受け取られたデータで置き換えられる。格納されたデータは患者のSP02および(または)脈拍数として通信機6aのディスプレイ24に表示されてもよい。なお、患者データは、表示され、解析され、伝導力で通信され、および(または)流行りの用途やRDD用途または高速の用途のために保存されてもよい。
【0043】
図8のネットワークでさらに示されるように、通信機6aは通信リンク30b、30cを通じて通信機6b、6cとの間に通信経路を確立する。前述のように、本発明に係る通信機はそれぞれ個別に無線送受信機を備え、ワイヤレスオキシメーターその他の医療センサーや他の通信機の送信範囲に存在する限りそれらワイヤレスオキシメーターその他の医療センサーや他の通信機から信号を受信するように構成される。反対に、個々の通信機は予め決められたブロードキャスト通信範囲または送受信エリアに信号をブロードキャスト発信するように構成される。というわけで、図8に示されるネットワークでは、通信機6b、6cは通信機6aの送受信エリアに存在することから、これら通信機の各々は通信機6aと通信する。
【0044】
図8のネットワークでは、ワイヤレスオキシメーター22から患者P1データを受信すると、通信機6aは、RDDテーブル28aに受信したデータを保存した後に、この最新のP1データを送受信エリアにブロードキャスト発信する。通信機6aの送信範囲に存在する通信機6b、6cは患者P1の同データを受信する。個々の通信機6b、6cは個々にRDDテーブルを更新する。この更新時、通信機6b、6cはディスプレイ上にその最新の患者P1データを表示してもよい。その結果、通信機の携帯者は身体上の測定因子を確認することができる。この場合、身体上の測定因子には患者P1のSP02および脈拍数が該当する。その後、個々の通信機6b、6cはそれぞれの送受信エリアに最新の患者P1データを送信する。なお、図中では、個々の通信機6b、6cはワイヤレスオキシメーターセンサー22との間で直接の通信リンクを確立していない。
【0045】
通信機6dは2つの通信機6b、6cの送信範囲に存在することから、これら通信機から個々に通信リンク30d、30eを通じて患者P1のデータを受信する。ここでは、2つの通信機6b、6cから同一の患者P1データが送信されることから、患者P1に関するデータの更新は通信機6dのRDDテーブルで同一データの更新を引き起こす。しかしながら、通信機6b、6dの間の通信スケジュールが実質的に通信機6c、6dの間の通信スケジュールから相違する場合には、同一の患者からのデータであっても通信機6dで通信機6bから受信するデータと通信機6dから受信するデータとは相違するかもしれない。こうした相違は通信リンクごとに生じる患者データの伝播遅延に起因する。その場合には、通信機6dでは時間的に新しい患者データが患者データとして保存される。複数のノードからほぼ等しい送信時間でデータが送信されてくる場合にデータの衝突を阻止するには、本発明に係るネットワークの構築にあたって、後述されるようにタイムスロットで時間管理される通信プロトコルが提供される。図8に示されるネットワークで残るノードは通信機6eである。この通信機6eは通信リンク30fを通じて通信機6dの通信範囲に存在する。通信機6eはその他の通信機またはワイヤレスオキシメーターセンサー22の通信範囲には属さない。本発明では、たとえ通信機6eがセンサー22から遠く離れていても、通信機6eの携帯者はネットワークの通信機ノードを横切るRDDメッセージデータの伝播またはホップ通信に応じて患者1の身体上の測定因子をモニタリングすることができる。
【0046】
図8に示すネットワークではたった1つのワイヤレスオキシメーター22しか示されないけれども、ネットワークには複数のワイヤレスオキシメーターセンサー装置が通信接続されてもよい。その結果、ネットワークのそれぞれの通信機がネットワークに通信上で接続される他の通信機に向かって患者情報を送信してもよい。こうして複数の患者のデータが個々の通信機では表示されてもよい。このことは図8に示すネットワークの通信機6b、6c、6d、6eのディスプレイ24に図示される。ここでは、それらの通信機に5セットのデータが表示される。1セットのデータは特定の1患者に対応する。それら通信機のユーザーまたは操作者は、近辺にいない患者を含めて複数の患者の身体上の測定因子をモニタリングすることができる。本発明のネットワークでは、遠隔の通信機ノードが患者からデータを受信した他の通信機ノードのブロードキャスト通信範囲に存在する限り、その遠隔の通信機ノードは患者データを受信することができ、したがって、その患者の健康状態を遠隔でモニタリングすることができる。この場合には、当該他の通信機ノードはさらに他の通信機ノードからデータを受信してもよい。
【0047】
本発明に係るネットワークの様々なノードの間で衝突を防止するには、タイムスロットで時間管理される通信プロトコルは必須となる。そのため、ネットワークの個々の装置またはノードにはデータの送信に利用される所定時間長さのスロットが与えられる。このタイムスロットで時間管理される通信プロトコルは図9に示される。図示されるように、図9の時間範囲では複数のスロット(ここでは、例えばスロットS1〜S10)が提供される。スロットの数は特定のネットワークに属する通信機装置の数に対応すればよい。ということで、仮にネットワークが16個の装置を含めば、当該時間範囲に16個のスロットが提供される。この時間範囲は繰り返され、ネットワーク内では様々な装置の間で通信が時間管理される。予想可能な信頼性の高いネットワーク通信が成立する。
【0048】
各々の装置では、割り当てられたタイムスロットによって装置は決められたタイムスロットで独占的にメッセージを送信することができる。例えば、図8に示すネットワークではスロットS1は通信機装置6aに割り当てられる。スロットS2は通信機6bに割り当てられる。スロットS3は通信機6cに割り当てられる。スロットS4は通信機6dに割り当てられる。スロットS5は通信機6eに割り当てられる。ということで、通信機6aはタイムスロットS1で送信し、通信機6bはタイムスロットS2で送信し、通信機6cはタイムスロットS3で送信し、といった具合になる。図8に示すネットワークでは、時間範囲ごとに10個のスロットを有する必要はないかもしれない。個々の装置に特定のスロットを割り付ける1つの方法には、ネットワークが属する施設、例えば病院の集中治療病棟の運用者が装置にそれぞれのスロットを入れ込むプログラムを作成することが挙げられる。他の方法には、ネットワークの運用者が装置に個別にスロットを割り振ることが挙げられる。ネットワーク内の様々な装置は無線周波数(rf)送信に同期する。
【0049】
ワイヤレス酸素濃度測定を含めパルス酸素濃度測定ではかなりの量のデータが送信される。ネットワークに属する装置の台数に加えて、個々のスロットごとにメッセージの数が最適化される。図9の通信プロトコルでは個々の中継ノード装置によって割り当てられたスロットで送信される6タイプのメッセージが存在する。これらメッセージはメッセージパケットの形態で提供され、図10に示される。図9ではメッセージ(M)はラベル付けされる。M1は第1メッセージNWKに対応しM6は第6メッセージWSに対応する。メッセージM1すなわちNWKメッセージはノードオーバーヘッド情報メッセージまたは「ネットワークオーバーヘッド情報」に関連する。メッセージM2はRDD(リモートデータディスプレイ)メッセージである。RDDメッセージは、通信機のメモリーに格納されるRDDテーブルに保存されるデータを運ぶ。RDDメッセージは、更新されるたびに通信機で表示されてもよい。メッセージM3およびメッセージM4はそれぞれHS1(ハイスピード1)メッセージおよびHS2(ハイスピード2)メッセージである。HS1メッセージおよびHS2メッセージは必要に応じてネットワークで他のノード装置にデータを配信する。
【0050】
図8に示すネットワークを参照しつつ図示すると、患者(P1)から受信した患者データが「患者のデータが予め決められた特定範囲または許容範囲から逸脱すること」を通信機6aに知らせると、通信機6aは警報モードに突入する。この警報モードでは、通信機6aのユーザーが患者P1の具合悪さに気づくように警報が開始される。同時に、ネットワークの帯域制限を克服すべくHS1メッセージまたはHS2メッセージを用いて、通信機6aは、ネットワーク上の他の通信機と連絡をとれるようにネットワークを警報メッセージで溢れさせる。なぜなら、こういったことは、他の通信機を携帯する人々にも知らせるべき緊急事態に相当するかもしれないからである。よって、HS1メッセージおよびHS2メッセージを送信することで、通信機6d、6eの操作者や医療従事者には、たとえワイヤレスオキシメーターセンサー22に直接に通信リンクが確立されなくても、必要であればそれら健康管理者が適切な処置をとれるように、患者(P1)の警報状態が通知される。加えて、測定された身体属性が高速で遠隔の通信機にブロードキャスト発信されるためにHS1メッセージおよび(または)HS2メッセージはユーザーの要求に応じて選択的に使用されてもよい。ユーザーは、データを送信する側の通信機に関連する人物であってもよく、データが向かう側の遠隔の通信機に関連する人物であってもよい。遠隔の通信機からHS1メッセージおよび(または)HS2メッセージの使用が要求された場合には、遠隔の要求は最初に例えば送信側の通信機で受信され認識されなければならない。
【0051】
次のメッセージM5(CTR)は通信機からそれ専用のワイヤレスセンサーに送られる制御メッセージである。専用のワイヤレスセンサーはメッセージM6WS(ワイヤレスセンサー)で特定される。こういったことが必要とされるのは、ワイヤレスセンサーは無線機およびオキシメーターの統合の構築にあたって要求されるユーザー制御の仕組みを持たないかもしれないからである。さらにまた、ネットワークの通信機ノードはそれ専用のセンサーに直接的に通信リンクを確立する必要はないかもしれない。例えば、通信機6eの携帯者が実は図8に示すネットワークでワイヤレスオキシメーターセンサー22に接続される患者の担当看護士であるかもしれない。その看護士が他の患者を世話しなければならず、ワイヤレスオキシメーターセンサー22の送信範囲の外側に移動しなければならなかったことから、通信機6eがワイヤレスオキシメーターセンサー22の近辺になかったのかもしれない。それでも、その看護士は、ネットワークの他の通信機から患者P1データが中継で伝達されてくることから、継続的に例えば患者P1のSP02といった身体上の測定因子をモニタリングすることができる。メッセージM6は他の通信機に向かって「ワイヤレスオキシメーターセンサー22は通信機6eの専用センサーであること」を特定する。仮にワイヤレスオキシメーターが無線で双方向に通信するように構成されていれば、M5制御メッセージCTRを送ることで、通信機の各々がそれ専用のワイヤレスオキシメーターの動作を制御してもよい。M5制御メッセージCTRはネットワーク内の他のノードで中継されてWSメッセージで特定されるワイヤレスオキシメーターに至る。
【0052】
図9に示すタイムスロットで時間管理される通信プロトコルによれば、ネットワーク内の様々な装置同士の間で通信は予測可能であって高い信頼性を有する。様々なノードの処理は同期化されることから、プロトコルは本発明に係るシステムすなわちネットワークに対して決定論的な解決方法を提供する。しかも、個々のタイムスロットは1つの特定の装置に割り当てられることから、システムは決定論的である。その結果、個々の装置は「語る」時間以外には他の装置の語らいに耳を傾けることができる。その装置に「語る」順番が訪れると、ネットワークの他の装置はその装置の語らいに耳を傾ける。言い換えれば、ネットワークの装置の各々には、「何を送信し」「いつ送信する」かを様々な装置に命令する中央制御器がなくても、ネットワーク上の他の装置と通信したり情報を広めたりする時間範囲が割り当てられる。
【0053】
図9に示されるメッセージタイプのメッセージパケットには例えば96バイトといった具合に十分な大きさが与えられる。その結果、ネットワーク内の伝播では、それらのメッセージパケットで全ての必要なデータは運搬されることができる。メッセージタイプおよびこれらメッセージタイプごとのネットワーク内の流れは図10に詳細に示される。そこでは、通信機は「CO」で表される。
【0054】
図11には、いかにリモートデータディスプレイメッセージが統合され本発明に係るシステムおよびネットワークで様々な中継ノードや通信機に向かってブロードキャスト発信される(またはフラッド送信される)かが図示される。ここでは、ネットワーク内に複数の通信機(CO1、CO2、…CON)が存在すると仮定する。個々の通信機は所定の送受信範囲またはブロードキャスト通信範囲に向かってRDDメッセージを送信する。図示されるように、通信機CO2は通信機CO1のブロードキャスト通信範囲に存在し、通信機CONは少なくとも通信機CO2の通信範囲に存在する。混乱を防ぎ理解を助けるために、図11の記述にあたって、「RDD」は個々の通信機に組み込まれたメモリーテーブルに相当すると同時に、1つのノード通信機から他のノード通信機に送信されるメッセージに相当する。
【0055】
通信機CO1はそのメモリー内にRDDテーブル32としてRDDメッセージを記憶するローカルデータ記憶域を有する。通信機CO1は、ワイヤレスオキシメーターから直接にまたは間接に受信した情報をRDDテーブル32に格納する。RDDテーブル32では「ノード」32aはネットワークのノードを示す。このノードにはセンサーおよび通信機のいずれもが含まれる。RDDテーブル32では「時間」32bは、メッセージがノードに保存された時点のタイムスタンプを示す。RDDテーブル32では「データ」32cは、ノードから送信され通信機で受信されるデータの種類を示す。通信機CO1のRDDテーブルは多数のノード(1、2、…N)から受信したデータを保存する。個々のノード(1、2、…N)は所定のタイムスタンプ(t11、t21、…tN1)とともに個々に対応のデータ(x1、x2、…xN)を有する。通信機CO1のRDDテーブル32は送受信範囲に向かって通信機の無線送受信機でブロードキャスト発信され通信機CO2でRDDメッセージ32′として受信される。
【0056】
通信機CO2もまた、RDDテーブル34で図示されるように、以前に保存されたRDDテーブルを有する。RDDテーブルは、様々なノードから受信した複数セットのデータを有する。次に通信機CO2では統合処理が開始される。ここでは、通信機CO1から受信したデータすなわちRDDメッセージ32′はRDDテーブル34内の以前の保存データと比べられる。図示のように、以前に保存されたノード1からの情報はRDDテーブル34の「t10」である。これに対し、RDDメッセージ32′ではノード1からの情報は「t11」のタイムスタンプを有する。これは、ノード1に関する情報はRDDメッセージ32′のものが時間的に新しいことを意味する。その結果、ノード1のデータは「x1」に更新され新しいRDDテーブル36に保存される。同様な統合処理はノード2に関する情報に対しても引き起こされる。このノードに関しては、RDDテーブル34内の時間は「t22」である一方で、RDDメッセージ32′でノード2に関する時間は「t21」である。したがって、RDDテーブル34に保存されたデータが時間的に新しいデータとして判断される。こうしてRDDテーブル34内のデータ「y2」はRDDテーブル36に複写される。RDDテーブル34では残余のノードに対しても同様な統合処理が繰り返される。すなわち、以前に保存されていたデータはRDDメッセージ32′内のデータと比べられる。RDDテーブル34内のデータが全て比べられ、必要であれば更新されると、更新後のRDDテーブル36はRDDメッセージ36′として通信機CO2からその送受信範囲にブロードキャスト発信される。
【0057】
RDDメッセージ36′はRDDテーブルメッセージ36′として通信機CONで受信される。通信機CONでは同様な統合処理が実行される。RDDメッセージ36′内の情報はRDDテーブル38に以前に保存されていた情報と比べられ、更新後のRDDテーブル40が生成される。図11の例では、通信機CO1で受信されたノード1のデータは通信機CONまで伝達されそのRDDテーブル40で更新される。さらに、通信機CONのRDDテーブル40に反映されたノード2のデータは通信機CO2のRDDテーブル34に以前に保存されたデータから更新される。
【0058】
全ての通信機が全ての他の通信機の範囲に存在するシステムでは、送信されたり受信されたりするメッセージに関して遅延時間は最小限に抑えられる。しかしながら、実際には、図8の例に示されるように、そういった場合はほとんどない。RDDメッセージはネットワークでの伝播にあたって1つの通信機ノードから次の通信機ノードに「ホップ通信」することから、1つの通信機から次の通信機にブロードキャスト発信されるメッセージに関して常に伝播遅延は存在する。これまでのところ、RDDメッセージだけがネットワーク中に伝播するように開示されるけれども、RDDメッセージ以外のメッセージが単独でもRDDメッセージとともにでもノードからノードにネットワーク中で行き渡ったり伝播したりしてもよい。例えば、通信機は組み込み型の警報機能を有する。仮に患者から測定される身体上の測定因子が上限値を上回ったり下限値を下回ったりすると、すなわち、患者から測定される身体上の測定因子が安全な限界値から逸脱すると、警報が発せられ通信機のユーザーに「患者の具合が悪いかもしれない」といった注意が喚起される。本発明の他の側面によれば、RDDメッセージに代えて、警報信号だけがネットワーク中に伝播され、溢れ、通信機を着用する医療従事者その他の様々な人々に「特定の患者が困っている」といった警告を発する。
【0059】
追加情報がネットワーク中に伝播するように、通信機にはそれぞれテキストメッセンジャーチップが装備されてもよい。この場合には、テキストメッセージを受信するテキストモードがそのディスプレイで起動される。テキストメッセージは例えば所定の周波数または音量の音またはスクリーンの発光といった警報を伴ってもよい。テキストメッセージは具体的に所定の通信機に向けられてもよく、ネットワークを通じて全ての通信機にブロードキャスト配信され(またはフラッド送信され)てもよい。本発明の通信機は携帯用小型無線呼び出し機として使用されるように構成されてもよい。携帯用小型無線呼び出し機は、1人の特定の患者または複数の患者から単純に警報を受信してもよく、さらに洗練されたものとして、1人の患者または規定数の患者でモニタリングされる身体上の測定因子が正常でなく徹底した精査が妥当な場合には、テキストメッセージは警報を伴ってもよい。
【0060】
電力消費は酸素濃度測定で重要な検討課題である。なぜなら、ワイヤレスオキシメーターは比較的に小さく、そうであっても、無線送信機の作動に相当な電力が要求されるかもしれないからである。したがって、ワイヤレスオキシメーターにはエネルギーの節約が要求される。本発明に係るネットワークでは、個々のオキシメーターセンサーは、所定の時間範囲内で割り当てられる所定のタイムスロットでしか通信しないようにプログラムされることから、ワイヤレスオキシメーターは他のタイムスロットで何が起こっているのか認識する必要はない。したがって、ワイヤレスオキシメーターは、通信モードでないときには、スリープモードまたはサスペンションモードに入って電力消費を節約することができる。しかしながら、ワイヤレスオキシメーターが動作中のときには、その動作は通信機あるいは少なくとも信号の範囲の存在する通信機に同期化し、センサーが装着される患者から検知される情報をブロードキャスト発信することが重要である。本発明に係るタイムスロットで時間管理される通信プロトコルによれば、決定論的な特徴に起因してエネルギーの節約が実現される。
【0061】
図12を参照すると、そこにはワイヤレスオキシメーターセンサーおよび通信機の間で相互作用が示される。図12に示されるセンサーおよび通信機は、図8に示されるワイヤレスオキシメーター22(センサー1)および通信機6a(CO1)であってもよい。通信機CO1に関し、図12は、メッセージの送信にあたって通信機に割り当てられるタイムスロット(0からTまで)を示す。センサー1に関し、図12は電力の節約にあたって同様な時間帯にオキシメーターで実行される機能の順番を示す。
【0062】
図12に示されるように、時間42aで通信機CO1は例えばRDDメッセージおよび図9および図10で開示される他の伝達内容を送信する。同一の時間44aに、患者に接続されるセンサー1はスリープモードにある。時間42bで通信機CO1はそのデータの送信を継続する。時間44bでセンサー1は、内部タイマーまたはセンサーの初期化に応じてスリープモードから復帰し、患者の身体上の測定因子を収集し始める。図12ではスリープモードからの復帰時間がTWUとして示される。時間42cで通信機CO1はデータを送信し続ける。対応の時間44cでセンサー1はそのセンサーから連続的に患者データを受信する。時間42dで通信機CO1は特定のワイヤレスオキシメーター例えばセンサー1に信号を送信する。対応の時間44dでセンサー1は通信機CO1から無線周波数信号を受信する。このとき、センサー1は、それが具体的に通信機CO1を識別する信号であると認識する。センサー1は通信機CO1にそのタイミングを同期化する。その後、時間44eでセンサー1は患者から取得されたデータを送信する。このデータは、RX WS(受信ワイヤレスセンサー)信号で表されるように、時間42eで通信機CO1に受信される。時間Tの後、通信機CO1は、ネットワーク上に存在する様々なオキシメーターおよび通信機(例えばRX1、RX2、…RXM装置)から話を聞く受信モードに入る。ほぼ同時に、センサー1はスリープモード(TGS)に入り、内部タイマーに基づき起動されるか、例えばSP02といった患者の身体上の測定因子をモニタリングし始めるまでスリープ状態を維持する。
【0063】
ワイヤレスオキシメーターセンサーが患者から身体上の測定因子を測定しない際にこのようにワイヤレスオキシメーターセンサーのスリープ状態を確立することで、オキシメーターに要求される電力は抑制され、その結果、オキシメーターのサイズは縮小されることができる。その一方で、通信機の無線機は、携帯型のユニットであって、ネットワーク上でノードを形成する他の通信機および他の装置の話しに聞き入るために起動状態を維持する。
【0064】
先に論述したように、警報用の携帯用小型無線呼び出し機に関する本発明の側面では、このような携帯用小型無線呼び出し機は、ネットワークで伝播する情報だけに耳を傾ける必要がある。言い換えれば、携帯用小型無線呼び出し機として動作する通信機は情報を発信する必要がない。したがって、携帯用小型無線呼び出し機として機能する通信機はこれまでに述べた通信機の機能を実行しない。しかしながら、通信機は、その機能の1つとして、ネットワークを伝播するデータを受信して警報状態を探し出すことで携帯用小型無線呼び出し機の機能を実行する。他の方法によれば、通信機は通信機能に関し双方向性を有する一方で、携帯用無線呼び出し機は通信機能に関し双方向性を有しなくてもよい。
【0065】
図13を参照すると、そこには本発明に係る通信機をさらに詳細に示すブロック図が示される。図4のブロック図で使用された参照符号はそのまま同一の構成要素に使用される。図示されるように、通信機6はメインのホスト基板またはホストモジュールを有する。ホスト基板またはホストモジュールはオキシメーターモジュール12および無線機モジュール20を有する。オキシメーターモジュール12には、メモリー12aと、オキシメーターモジュールに固有のプロセッサーコントローラー12bと、センサー回路12cが組み込まれる。センサー回路12cはセンサーコネクター46に接続される。センサーコネクター46には、患者に着用されるセンサーがケーブルでセンサーコネクター46に接続されてもよい。通信機の無線機モジュール20もまた、専用のメモリー20aと、専用のプロセッサーコントローラー20bと、送受信機20cと、アナログ回路20dを有する。アナログ回路20dは通信機との間でデータを送受信すべくアンテナ20eに信号を供給する。
【0066】
メインのホスト基板にはメモリー10およびマイクロプロセッサー8が搭載される。マイクロプロセッサー8は全てのモジュールを制御し、同様に通信機のホスト基板またはホストモジュール上に駆動回路を制御する。プロセッサー8はオキシメーターモジュールまたはオキシメーター回路から酸素濃度測定データを取得する。このデータは視覚的なディスプレイや警報音、有線通信、無線通信で通信される。図示のように、4つの異なる駆動回路48a、48b、48c、48dが存在する。駆動回路48aはディスプレイ50を駆動する。ディスプレイ50は例えば患者のSP02および脈拍数を表示する。SP02および脈拍数以外の情報が要求されたり、通信機が携帯用小型無線呼び出し機として使用されたりするときには、可能であれば、ディスプレイ50は付加的にテキストメッセージを表示する。駆動回路48bは警報器52を駆動する。測定された患者の測定因子が許容範囲から逸脱すると考えられる場合には警報器52が起動する。駆動回路48cは例えばキーパッドやポインティングデバイスといったユーザー入力器54を駆動する。ユーザー入力器54はユーザーと通信機との相互作用を実現する。駆動回路48dは有線通信モジュール56と協働で動作する。有線通信モジュール56には通信コネクター58が接続される。通信コネクター58は、前述のように、例えばRS−232ポートまたはUSBポートであればよい。
【0067】
通信機の電力は電源回路58から供給される。電源回路58は電池60の電力レベルを調整する。外部電源インターフェイス62は電源回路58に電源コネクター64を接続する。その結果、外部電力の供給に応じて電池60が充電されたり、例えば通信機がケーブルで患者に装着のセンサーに接続されるとコンセントから通信機に電力が供給されたりすることができる。通信機の機能のためのソフトウェアプログラムはメモリー10に保存される。
【0068】
図14は本発明に係る通信機の具体例を示す概略図である。図示されるように、メインの通信機プリント回路基板または通信機モジュール66は複数の主要なモジュールまたは回路に分割される。これら回路はオキシメーターモジュール68、電源モジュール70、ディスプレイモジュール72、メインプロセッサー74およびメインプロセッサーが搭載されるプリント回路基板上で関連する回路、メモリーモジュール76、オーディオモジュール78並びに無線機モジュール80を含む。その他に、例えばリアルタイムクロック、A/D変換器、および外部通信回路要素を含む雑多な回路が存在する。システムにはドッキングステーションおよびプリンター(図示されず)がさらに含まれてもよい。
【0069】
オキシメーターモジュール68は本出願人のオキシメータープリント回路基板を備える。このオキシメータープリント回路基板は参照符号68aで示される。オキシメータープリント回路基板は製造者番号PN31392B1もしくは別型のPN31402BxまたはPN31392Bxを有する。このオキシメーター基板は論理レベルで全二重(full duplex)の汎用非同期送受信回路(UART)経由でP12コネクターからホストプロセッサー74まで通信を実施する。オキシメーター回路基板68aには電源回路70からコネクターP12経由でスイッチドキャパシターレギュレーターU9を通じて3.3ボルトの電力が供給される。基板68のコネクターP11はメイン基板66のコネクターP14に接続される。コネクターP14はケーブル接続のオキシメーターセンサーの接続にあたって用いられる。オキシメーターセンサーから受信される信号は基板68aを通過してコネクターP12経由でプロセッサー74に供給される。
【0070】
電源モジュール70は複数の電源から電力供給されるように構成される。ここでは、電源は、汎用壁コンセント用AC/DC9ボルト電源アダプター、5ボルト500ミリアンペアで電力供給されるユニバーサルシリアルバス(USB)、交換可能な単三型乾電池(4本のアルカリ使い捨て電池で6ボルト供給)、および7.4ボルト供給の注文生産のリチウムイオン二次電池を含む。どの電源が使用されるかは自動的に決定される。AC/DC9ボルトの電力およびUSBの5ボルトの電力は汎用ドッキング/シリアル通信コネクターP3を通じて導入される。アルカリ乾電池およびリチウムイオン二次電池は共通の電池室内に収容される。したがって、アルカリ乾電池およびリチウムイオン二次電池のうちいずれか一方のみがそこに存在することができる。アルカリ乾電池およびリチウムイオン二次電池は別個の接続手段を有する。コネクターP9およびP8の働きで4本のアルカリ乾電池が直列に接続され、5端子コネクターP10を通じてリチウム二次電池パックは接続される。リチウムイオン二次電池パックは一体型の充電制御、残容量計および冗長用の安全回路を含む。P10にはさらにAC/DC9ボルトの電力、USBの5ボルトの電力、7.4ボルト出力、接地、および、メインプロセッサー74(U21)に通じる1対1のワイヤ接続の論理インターフェイスといった付加信号が印加される。論理インターフェイスを通じて充電情報および残容量情報はやり取りされる。図示されるように、全ての電源はダイオードでOR接続され、メインのオンオフパワーMOSFETトランジスターQ2に至る以前に4.5ボルト〜8.5ボルトの範囲で電力供給源を形成する。その後、電力源はステップダウンコンバーター/スイッチレギュレーターU3経由で効率的に2.7ボルトに変換される。1.8ボルトおよび1.5ボルトの供給電圧はそれぞれレギュレーターU2およびU1の働きで生成される。メインプロセッサーU21は2.7ボルト、1.8ボルトおよび1.5ボルトの電力供給に基づき動作する。フラッシュメモリーおよびSDRAMメモリーは1.5ボルトの電力供給に基づき動作する。無線機および汎用I/Oは2.7ボルトの電力供給に基づき動作する。
【0071】
ディスプレイ回路は3.0インチカラーTFT液晶ディスプレイを備えることができる。この液晶ディスプレイはシャープ株式会社によって製造され製造番号PNLQ030B7DD01を有する。ディスプレイの解像度は320(水平)x320(垂直)である。プロセッサーU21は一体型の液晶ディスプレイコントローラー周辺回路を提供する。このコントローラー周辺回路は必要なタイミング信号および液晶ディスプレイ制御信号の大部分を生成することができる。4つの付加的な液晶ディスプレイ関連回路がプロセッサーU21の外部回路として示される。コントラスト制御はデジタル電位差計(POT)U12を通じて提供される。コントラスト制御はI2Cの2ワイヤバス経由でメインプロセッサーU21から指示される。ACグレイスケール電圧およびDCグレイスケール電圧はグレイスケールASIC(特定用途向け集積回路)U8で生成される。+3ボルト、+5ボルト、+15ボルトおよび−10ボルトの液晶ディスプレイ供給電圧は電圧レギュレーターU7およびU10で生成される。LEDバックライトの輝度はスイッチレギュレーターU6で制御される。輝度は、メインプロセッサーU21から供給されるパルス幅変調(PWM)制御信号のデューティサイクルで制御される。液晶ディスプレイ制御信号は39芯のフレキシブルフラットケーブル経由でディスプレイモジュールから取り出される。このフレキシブルフラットケーブルはコネクターP6に接続される。ディスプレイバックライト用のLEDはモジュールから4芯のフレキシブルフラットケーブルで取り出される。このフレキシブルフラットケーブルはコネクターP7に接続される。
【0072】
メインプロセッサー71(U21)はARM−9アーキテクチャープロセッサーであればよい。このARM−9アーキテクチャープロセッサーはフリースケールセミコンダクターインコーポレイテッド社から供給され製造番号PNMC9328MX21VMを有する。このプロセッサーは必要とされる様々なオンボード周辺回路を有する。本発明に係る通信機で利用されるプロセッサーの構成要素のいくつかを挙げるとすれば、こうした周辺回路には、例えば、液晶ディスプレイコントローラー、多重UARTポート、I2Cポート、外部メモリーバス、メモリー管理ユニット、多重PWM出力、低電力シャットダウンモード、キースキャンおよびキーデバウンスが含まれる。
【0073】
メモリーモジュール76には3タイプのメモリーすなわち2つの8Mb×16SDRAM(シンクロナスダイナミックRAM)、1つの2Mb×16フラッシュ(不揮発性メモリー)および1つの1MbシリアルEEPROM(電気的に消去可能なPROM)が組み込まれる。SDRAMの動作電圧は1.8ボルトであってSDRAMは参照符号U19およびU20で示される。フラッシュの動作電圧は1.8ボルトであって参照符号U22で示される。EEPROMの動作電圧は2.7ボルトである。フラッシュメモリーにはプログラムコードと不揮発性トレンドデータとが保存される。起動時、プログラムコードは、より高速なプロセッサー処理を実現すべく低速のフラッシュメモリーからそれよりも高速のSDRAMに転送される。不揮発性のシリアルEEPROMは、システムのイベントログ、システムのシリアル番号、その他のシステム情報の保存に使用される。不揮発性のシリアルフラッシュメモリーはトレンドデータの保存に用いられる。ディスプレイメモリーはSDRAMの記憶域から形成される。
【0074】
オーディオモジュール78は医療装置用の警報規格60601−1−8に則って音声警報を提供する。警報規格で規定される音量および音質に起因して、要求される音の生成にあたって圧電型の振動子ではなく既知のボイスコイルスピーカーが使用される。メインプロセッサーU21は11ビットの解像度でパルス幅変調(PWM)制御信号を生成する。パルス幅変調制御信号は警報信号のピッチと音量とを制御する。信号条件回路要素U18はパルス幅変調の信号列をアナログのオーディオ信号にフィルタリングする。続いてオーディオ信号はクラスDオーディオアンプU15で増幅される。U15は最大効率の達成のために既知のブリッジ接続負荷(BTL)構成で差動的に8オームスピーカーを駆動する。
【0075】
無線機回路80は無線機モジュールRF1を有する。無線機モジュールRF1は、IEEE802.15.4低データレートワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)規格に従って動作する単一基板の送受信無線機およびプリント基板アンテナを有してもよい。無線機モジュールのハードウェアはウィスコンシン州セダーブルグ所在のエルエスリサーチ社から供給される製造番号PNMTX12−101MTN26の製品名マトリックスである。マトリックスモジュールは専売であってZigBee(低電力ワイヤレスネットワーク規格)データ送受信用途のための2.4GHz802.15.4規格準拠モジュールである。マトリックスモジュールのプロセッサーおよび送信機は例えばテキサスインスツルメンツ社のCC2430チップといった統合化モジュールに基づけばよい。
【0076】
図15にはさらに詳細な具体例に係る指装着型のワイヤレスオキシメーターセンサーが図示される。このワイヤレスオキシメーターセンサーは図5のそれに対応する。図5と同様な構成要素には同一の参照符号が付される。図15のオキシメーターセンサー22はオキシメーターモジュール26および無線機モジュール28を備える。オキシメーターモジュール26にはメモリー26a、コントローラー26bおよびセンサー回路26cが組み込まれる。センサー回路は光源エミッター26dおよび検出器26eに接続される。センサー回路は光源エミッター26dおよび検出器26eに電力を供給する。光エミッターおよび検出器は、協働して、エミッターおよび検出器に接続される患者の血中の酸素飽和度を検出したりモニタリングしたりする。患者から収集されるデータはメモリー26aに保存される。オキシメーターモジュールの全体動作はコントローラー26bによって制御される。
【0077】
無線機モジュール28はメモリー28a、コントローラー28b、送受信機28c、アナログ回路28dおよびアンテナ28eを有する。オキシメーターセンサー装置の無線機モジュール28の動作は通信機に関して議論したそれに類似する。ただし、ほとんどの場合には、オキシメーターモジュール26で収集されオキシメーターモジュール26に保存されたデータのみが無線送信機で送信される。しかしながら、送受信機28cが信号を受信したり信号を送出したりするように構成されていれば、オキシメーターセンサー装置22の無線機モジュール28は例えば通信機といった遠隔の信号源から指令を受信すべく信号を受信することができる。そういった指令の1つの例として通信機から送信されるスリープ指令が挙げられる。スリープ指令はオキシメーターにスリープモードへの移行を指示する。他の指令の例として覚醒指令が挙げられる。覚醒指令はスリープモードからオキシメーターセンサーを復帰させ患者のSP02のモニタリングを開始させる。図12に示される時間経過ごとの機能に関して議論したように、オキシメーターセンサー装置は、当該オキシメーターセンサー装置に指定される通信機からの送信を受信するように構成され、その結果、オキシメーターセンサーによって患者から収集されたデータが通信機に送信される以前に、オキシメーターセンサー装置は通信機に同期化される。
【0078】
電源回路30からオキシメーターセンサー装置22のオキシメーターおよび無線機モジュールに電力は供給される。電源回路30は電池30aからの電力を調整する。ほとんどの場合には、オキシメーターセンサー装置22は患者に着用される。センサーは具体的には患者の指に取り付けられる。指には例えば手の指が含まれる。その他、例えば反射型センサーといった他のタイプのセンサーが使用されてもよい。反射型センサーは患者の前額に取り付けられる。
【0079】
動作中、オキシメーターモジュール26のプロセッサーコントローラー26bはアナログセンサー回路を制御する。アナログセンサー回路は、シリアルに送り込まれてくるアナログの波形信号をサンプリングする。波形信号は、患者から測定される身体上の測定因子に相当する。コントローラー26bはプログラムを実行し、センサー回路26cから取得されるサンプリングされたアナログの波形からデジタルの酸素濃度データを算出する。その後、このデジタルデータは無線機モジュール28に伝達される。無線機モジュール28は、その送信範囲に滞在する通信機にデータを送信する。通信機ではそのデータは表示されてもよい。無線機モジュール28で利用されるプロトコルは通信機の無線機モジュールで使用されるものと同一であるものの、オキシメーターセンサー装置の無線機モジュールと通信機内の無線機モジュールとの間ではハードウェアに相違が存在する。これは例えば電源アンプの省略やアンテナの強化に起因する。なぜなら、能力対サイズのトレードオフはオキシメーターセンサー装置にとって必要なものだからである。
【0080】
図16には無線周波数の中断に基づく無線機モジュールの主要な遷移状態が示される。この無線周波数の中断には例えば開始、受信およびマイクロコントローラー制御が挙げられる。図示では4つの主状態すなわち主モードが存在する。アイドル状態82、受信状態84、送信状態86およびスリープ状態88である。強制的リセット後に無線機で正しい動作が確保されるために初期化状態90もまた存在する。アイドル状態82では無線機は待ち受け状態であって、適切な無線周波数信号の検知に応じて、送られてくるデータを受信し始める。コマンドの受領に応じて無線機は送信状態86に入る。送信状態86では一時的に保存されたデータパケットが無線機のブロードキャスト通信範囲に向けて無線周波数インターフェイスで通信される。スリープモード88は無線機設定を失わずに無線機を低電力で動作させる。いずれの状態でも無線機の電源は切られることができる。
【0081】
図17〜図21は本発明に係る通信機の動作を示すフローチャートである。
【0082】
図17に示されるように、ステップ92で無線機モジュールは受信モードに入る。この受信工程は無線プロトコルおよび付加的なソフトウェア制御に従う。基準信号を検知すると、無線機のコントローラーはステップ94でその時刻を記録する。ここで、基準信号はIEEE規格802.15.4で先頭フレームデリミッター検知信号として定義される。基準信号は時間軸に沿って比較的に首尾一貫した挙動を示さなければならない。ステップ96で、受信したパケットが特定の装置に向けられたものか否か、すなわち、正しく指定されたアドレスおよびフォーマットが存在するか否かを確かめるために決定がなされる。仮にメッセージがこの特定の無線機に向けられたものでなければ、ステップ98で処理はアイドル状態に戻る。その際には、アイドル状態への復帰に先立って、無線機は、その無線機に向けられたものではないと判断されるメッセージに応じてデータの受信を停止し、すでに受信したデータを破棄する。仮にステップ96の決定でメッセージがその無線機向けであることが確かめられると、処理はステップ100に移行する。メッセージは受信され無線機のローカルメモリーに一時的に保存される。ステップ102で、受信したメッセージは同期化にあたって使用されるものか否かが判断される。否であれば、処理はステップ104に移行する。ステップ104でメッセージは分類される。メッセージが同期化用であれば、処理はステップ106に移行する。ステップ106では、ステップ104のメッセージの分類に先立って、基準信号の時刻に応じてスロットタイマーは更新される。その後、メッセージはステップ108で適切に一時保存される。メッセージは無線機のホストに向けてシリアルに伝達されることができる。その後、無線機はステップ98でアイドル状態に戻る。
【0083】
図18は通信機の無線機の送信処理を示すフローチャートである。無線機は無線機マイクロコントローラーからのコマンドの受領に応じて送信を開始する。これがステップ110である。このステップでマイクロコントローラーは時間管理および同期化タイミングに基づきタイムスロットの先頭を表示する。スロットの先頭に応じて無線機はステップ112でスロットタイマーを更新してもよい。仮にネットワーク中に1つのノードしか存在せず(すなわち、通信機は他の通信機の送受信範囲に滞在せずワイヤレスオキシメーターセンサーのブロードキャスト通信範囲に滞在し)、初期化プロトコルがメッセージの規則的なブロードキャスト発信を要求する場合には、このことは重要かもしれない。ステップ114では、所定のタイムスロットで送信すべきデータがあるか否かが決定される。なければ、ステップ116で処理は無線機のアイドル状態に戻る。送信すべきデータがあれば、ステップ118でデータは送信される。ステップ120では、タイムスロットは次の送信に十分な長さを有するか否かが決定される。十分な長さ有すれば、処理はステップ114に戻って送信すべき追加のデータを取得する。メッセージの追加に十分な時間が存在する限り、この処理は継続される。ステップ120で、次の送信に十分な時間がもはや存在しないと判断されると、処理はステップ116でアイドル状態に無線機を戻す。そこで無線機は次の送信、受信またはスリープの指令を待ち受ける。
【0084】
図19および図20のフローチャートには通信機の統合処理およびブロードキャスト発信処理が示される。図19に示されるように、通信機のホストプロセッサーはステップ122で無線機からRDDメッセージまたは他の統合転送タイプメッセージを受信する。受信したデータは、ステップ124で、以前に保存されたメッセージ、すなわち無線機のメモリーに保存されたメッセージのローカルな複写と比べられる。ステップ126では、受信したデータは以前に保存されたデータよりも新しいか否かが判断される。新しければ、ステップ128でローカルメモリーは受信したRDDメッセージで更新される。ステップ130で通信機のディスプレイは更新されてもよい。ステップ132で次の開始があるまで処理は停止する。ステップ126で受信したデータは以前に保存されたデータよりも新しくないと判断されると、統合処理はステップ132に移行する。そこでは次のRDDメッセージが待ち受けられる。
【0085】
図20は本発明に係る通信機の転送処理を図示するフローチャートである。ステップ134でRDDテーブル(HSデータおよび類似の統合転送メッセージを含む)はローカルのパルス酸素濃度データで更新される。ステップ136では新たなローカルのパルス酸素濃度データが取得され準備される。ステップ138でRDDメッセージは更新される。ステップ140で処理は終了する。
【0086】
図21には、通信機のメインプロセッサーから無線機モジュールへデータを統合し転送する処理工程が示される。開始のステップ142で無線機モジュールのデータは更新される。その後、ステップ144でメッセージは無線機モジュールの待ち列に加えられる。ステップ146で追加のデータがあるか否かが判断される。追加のデータがあれば、ステップ148で追加のデータはシリアルに無線機モジュールに伝達される。ステップ146でそれ以上無線機に送られるデータが存在しないと判断されるまで処理は継続される。存在しなくなった時点で処理はステップ150に移行する。そこで統合および転送処理は終了する。
【0087】
図22はワイヤレスオキシメーターの動作を図示するフローチャートである。前述のように、電力の節約のために、ワイヤレスオキシメーターセンサーは無線機のスリープモードで起動する。したがって、処理はステップ152で開始する。ステップ152では、前述のように、オキシメーターは外部信号または内部タイマーの割り込みによってスリープモードから覚醒する。オキシメーターの無線機はステップ154でアイドル状態に入る。アイドル状態から無線機はデータを受信してもよく同期化されてもよい。この場合、受信や同期化の後に無線機はアイドル状態に戻る。これらの処理はステップ156で開始される。ステップ156では、図11および図12で議論したように、先頭フレームデリミッター(SFD)が吟味され時刻が取得される。ステップ158でSFDがオキシメーター用ではないと判断されると、ステップ154で処理はアイドル状態に戻る。そこでオキシメーターセンサーを指定する(または特定する)SFDを待ち受ける。そのオキシメーターが通信機と通信すべき正しいセンサーであることがオキシメーターで確認されると、処理はステップ160に移行する。ステップ160でオキシメーターはメッセージを受信する。ステップ162でメッセージが同期化メッセージであると判断されると、ステップ164でスロットタイマーは更新される。これによりオキシメーターは通信機に同期化される。それから処理はステップ166に移行する。ステップ166で送られてくるメッセージは一時的に保存される。メッセージが同期化メッセージではないと判断された場合も、同様な一時保存処理が行われる。その後、処理はステップ168で無線機のアイドル状態に戻る。
【0088】
ステップ170で先頭無線周波数送信割り込み信号またはコマンドが受信されるまでオキシメーターはアイドル状態に保持される。割り込み信号またはコマンドが受信されると、スロットタイマーはステップ172で更新される。ステップ174では送信すべきデータが存在するか否かを処理は判断する。にデータが存在すれば、ステップ176でデータは送信される。続いてステップ178で次のメッセージの送信に十分な時間があるか否かが判断される。十分な時間があれば、処理はステップ174に戻り次のメッセージを取得する。ステップ176で取得したメッセージを送信する。ステップ178で次にメッセージの送信に十分な時間がないと判断されるまで処理は繰り返される。十分な時間がないと判断されると処理はステップ180でアイドル状態に戻る。ステップ174で送信すべきデータが存在しないと判断された場合も処理はアイドル状態に移行する。アイドル状態の後、処理はステップ182でさらにコマンドを受信することができる。その後、無線機およびオキシメーターには電力の節約のために個別に電力が供給されることから、無線機は次に覚醒するまでステップ184でスリープ状態に入る。
【0089】
なお、本発明には様々な変形、改良および細部の変更が施されることができる。例えば、開示のネットワーク、システムおよび装置は医療設備環境を参照しつつ議論されたけれども、そういったネットワーク、システムおよび装置は医療設備以外の環境下で動作するように構成されてもよい。発明者の意図によれば、本明細書を通じて詳述され添付の図面に図示される全ての事項は単に実例として解釈されるべきであって、これらに限定されるべきではない。したがって、ここに添付される請求項の範囲でのみ本発明の外縁が規定されるべきことが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートで患者の身体属性に関する情報を伝達する通信ネットワークであって、
1人の患者に関連づけられ、その患者から少なくとも1つの身体属性を検出する少なくとも1つのワイヤレスセンサー装置であって、検出された身体属性に対応する患者データを当該ワイヤレスセンサー装置から送信する少なくとも1つの送信機を有するワイヤレスセンサー装置と、
前記ワイヤレスセンサー装置の送信範囲に位置し、前記ワイヤレスセンサー装置から送信される患者データを受信するとともに受信した患者データをブロードキャスト発信すべく構成される送受信機を有する第1通信機と、
前記ワイヤレスセンサー装置と通信せずに前記第1通信機と通信し、前記第1通信機からブロードキャスト発信される患者データを受信すべく構成される第2の送受信機を有する少なくとも1つの第2通信機と
を備える通信ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2通信機は、前記第1通信機のブロードキャスト通信範囲内に位置すると、前記第1通信機と直接に通信する通信ネットワーク。
【請求項3】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2通信機は前記第1通信機のブロードキャスト通信範囲に存在せず、前記第1通信機のブロードキャスト通信範囲に存在する少なくとも1つの他の通信機を通じて前記第2通信機は前記第1通信機に通信接続され、当該他の通信機の発信信号は前記第2通信機で受信される通信ネットワーク。
【請求項4】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記患者データは前記ワイヤレスセンサー装置によって前記第1通信機に送信され、前記患者データは、前記第2通信機で受信される以前に、前記第1通信機から複数の他の通信機を通じて伝播される通信ネットワーク。
【請求項5】
請求項4に記載の通信ネットワークにおいて、前記患者データが各々の前記他の通信機で受信されると、前記患者データは、当該他の通信機に保存され、通信ネットワーク伝いで伝えられ伝播される通信ネットワーク。
【請求項6】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1および第2通信機は、患者データを受信すると患者データを保存するメモリー記憶域を備え、保存された最新の患者データのみが当該通信機からブロードキャスト発信されるように、新たな患者データが受信されると、保存された患者データは更新される通信ネットワーク。
【請求項7】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記ワイヤレスセンサー装置は携帯型のオキシメーターを有し、検出される前記患者属性はSPO2であって、携帯型のオキシメーターは患者に着用可能または取り付け可能である通信ネットワーク。
【請求項8】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記通信機の各々は移動自在であって、個々の前記通信機は、受信した患者データを表示する手段を有するオキシメーターを備える通信ネットワーク。
【請求項9】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、
個々に1人の患者に関連づけられる複数のワイヤレスセンサー装置であって、検出される当該患者の身体属性に対応する患者データを少なくとも送信する送受信機を個々に有するワイヤレスセンサー装置と、
いずれかの前記ワイヤレスセンサー装置の送信範囲内に位置すると、当該ワイヤレスセンサー装置から送信される患者データを受信すべく構成される複数の通信機とを備え、
前記複数のワイヤレスセンサー装置および前記複数の通信機には、それぞれに、同期化したタイムスロットが割り当てられ、時間管理された信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信が実施される通信ネットワーク。
【請求項10】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記ワイヤレスセンサー装置および前記通信機の各々は、信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信の通信スケジュールに関して同期化される通信ネットワーク。
【請求項11】
患者の情報を行き渡らせる複数のノードを有するワイヤレスネットワークであって、
前記患者に関連づけられ前記患者の身体属性をモニタリングすべく構成される少なくとも1つの第1タイプノードであって、少なくとも1つの患者の身体属性を検出する検出器、および、検出した身体属性を患者データとしてワイヤレスネットワークに送信する送信機を有する第1タイプノードと、
前記患者に直接に関連づけられずに、前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると前記第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成される複数の可搬性の第2タイプノードであって、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、信号および(または)データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信すべく構成される第2タイプノードとを備え、
前記第2タイプノードの1つが前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、当該第2タイプノードは前記第1タイプノードから前記患者データを受信し、その後、前記1つの第2タイプノードは、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードが前記第1タイプノードから出力される患者データを受信することができるように、受信した患者データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信する通信ネットワーク。
【請求項12】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記患者データが各々の前記第2タイプノードで受信されると、前記患者データは、当該第2タイプノードに保存され、通信ネットワーク伝いに伝播されるべく当該第2タイプノードによって伝えられる通信ネットワーク。
【請求項12】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、第1タイプノードは携帯型のオキシメーターを有し、検出される前記患者属性はSPO2であって、携帯型のオキシメーターは患者に着用可能である通信ネットワーク。
【請求項13】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2タイプノードの各々は、ネットワーク内のノードから信号および(または)データを受信しネットワーク内のノードへ信号および(または)データを送信する少なくとも1つの送信機を有するオキシメーターと、受信した患者データを表示する手段とを備える通信ネットワーク。
【請求項14】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1および第2タイプノードには同期化したタイムスロットが割り当てられ、時間管理された信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信が実施される通信ネットワーク。
【請求項15】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1タイプノードおよび前記第2タイプノードの各々は、信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信の通信スケジュールに関して同期化される通信ネットワーク。
【請求項16】
対象物の情報を行き渡らせる複数のノードを有するワイヤレスネットワークであって、
各々に特定の対象物に関連づけられ当該対象物の物理的属性をモニタリングすべく構成される複数の第1タイプノードであって、少なくとも1つの対象物の物理的属性を検出する検出器、および、検出した物理的属性を対象物データとしてワイヤレスネットワークに送信する送信機を有する第1タイプノードと、
前記対象物に直接に関連づけられずに、いずれかの前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると前記第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成される複数の可搬性の第2タイプノードであって、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、信号および(または)データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信すべく構成される第2タイプノードとを備え、
前記第2タイプノードの1つがいずれかの前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、当該第2タイプノードは前記第1タイプノードから出力される前記対象物データを受信し、前記1つの第2タイプノードは、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードが前記第1タイプノードから出力される対象物データを受信することができるように、受信した対象物データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信する通信ネットワーク。
【請求項17】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1タイプノードの各々は携帯型のオキシメーターを有し、検出される前記対象物属性はSPO2であって、携帯型のオキシメーターは、当該第1タイプノードに関連する対象物に着用可能または取り付け可能である通信ネットワーク。
【請求項18】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2タイプノードの各々は、ネットワーク内のノードから信号および(または)データを受信しネットワーク内のノードへ信号および(または)データを送信する少なくとも1つの送信機を有するオキシメーターと、受信した対象物データを表示する手段を備える通信ネットワーク。
【請求項19】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1および第2タイプノードには、それぞれに、同期化したタイムスロットが割り当てられ、時間管理された信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信が各ノードで実施される通信ネットワーク。
【請求項20】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記対象物データが各々の前記第2タイプノードで受信されると、前記対象物データは、当該第2タイプノードに保存され、通信ネットワーク伝いに伝播されるべく当該第2タイプノードによって伝えられる通信ネットワーク。
【請求項21】
リモートで対象物に関する情報を運搬するワイヤレスネットワークであって、
1つの対象物に関連づけられ、その対象物から少なくとも1つの物理的属性を検出する少なくとも1つのワイヤレスセンサー装置であって、検出された対象物属性を表す対象物データを当該ワイヤレスセンサー装置から送信する1つの送信機を有するワイヤレスセンサー装置と、
前記ワイヤレスセンサー装置の送信範囲に位置し、前記ワイヤレスセンサー装置から送信される対象物データを受信するとともに受信した対象物データをブロードキャスト発信すべく構成される送受信機を有する第1携帯用小型無線呼び出し機と、
前記第1携帯用小型無線呼び出し機と通信し前記ワイヤレスセンサー装置と通信しない第2携帯用小型無線呼び出し機であって、前記第1携帯用小型無線呼び出し機でブロードキャスト発信される対象物データを受信すべく構成される第2の送受信機を有する少なくとも1つの第2携帯用小型無線呼び出し機と
を備える通信ネットワーク。
【請求項22】
請求項21に記載の通信ネットワークにおいて、前記対象物データは、検出された対象物の属性が少なくとも1つの予め決められた安全な限界値から逸脱することを表す警報信号を備える通信ネットワーク。
【請求項23】
請求項21に記載の通信ネットワークにおいて、前記対象物データは、検出された対象物の属性に関する情報を含む少なくとも1つのテキストメッセージを備える通信ネットワーク。
【請求項24】
請求項23に記載の通信ネットワークにおいて、前記テキストメッセージは特定の携帯用小型無線呼び出し機に向けられる通信ネットワーク。
【請求項25】
請求項21に記載の通信ネットワークにおいて、検出された対象物の属性が少なくとも1つの予め決められた安全な限界値から逸脱すると判断されると、前記第1携帯用小型無線呼び出し機は前記第2携帯用小型無線呼び出し機および全ての他の携帯用小型無線呼び出し機に警報信号をブロードキャスト発信する通信ネットワーク。
【請求項1】
リモートで患者の身体属性に関する情報を伝達する通信ネットワークであって、
1人の患者に関連づけられ、その患者から少なくとも1つの身体属性を検出する少なくとも1つのワイヤレスセンサー装置であって、検出された身体属性に対応する患者データを当該ワイヤレスセンサー装置から送信する少なくとも1つの送信機を有するワイヤレスセンサー装置と、
前記ワイヤレスセンサー装置の送信範囲に位置し、前記ワイヤレスセンサー装置から送信される患者データを受信するとともに受信した患者データをブロードキャスト発信すべく構成される送受信機を有する第1通信機と、
前記ワイヤレスセンサー装置と通信せずに前記第1通信機と通信し、前記第1通信機からブロードキャスト発信される患者データを受信すべく構成される第2の送受信機を有する少なくとも1つの第2通信機と
を備える通信ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2通信機は、前記第1通信機のブロードキャスト通信範囲内に位置すると、前記第1通信機と直接に通信する通信ネットワーク。
【請求項3】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2通信機は前記第1通信機のブロードキャスト通信範囲に存在せず、前記第1通信機のブロードキャスト通信範囲に存在する少なくとも1つの他の通信機を通じて前記第2通信機は前記第1通信機に通信接続され、当該他の通信機の発信信号は前記第2通信機で受信される通信ネットワーク。
【請求項4】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記患者データは前記ワイヤレスセンサー装置によって前記第1通信機に送信され、前記患者データは、前記第2通信機で受信される以前に、前記第1通信機から複数の他の通信機を通じて伝播される通信ネットワーク。
【請求項5】
請求項4に記載の通信ネットワークにおいて、前記患者データが各々の前記他の通信機で受信されると、前記患者データは、当該他の通信機に保存され、通信ネットワーク伝いで伝えられ伝播される通信ネットワーク。
【請求項6】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1および第2通信機は、患者データを受信すると患者データを保存するメモリー記憶域を備え、保存された最新の患者データのみが当該通信機からブロードキャスト発信されるように、新たな患者データが受信されると、保存された患者データは更新される通信ネットワーク。
【請求項7】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記ワイヤレスセンサー装置は携帯型のオキシメーターを有し、検出される前記患者属性はSPO2であって、携帯型のオキシメーターは患者に着用可能または取り付け可能である通信ネットワーク。
【請求項8】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記通信機の各々は移動自在であって、個々の前記通信機は、受信した患者データを表示する手段を有するオキシメーターを備える通信ネットワーク。
【請求項9】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、
個々に1人の患者に関連づけられる複数のワイヤレスセンサー装置であって、検出される当該患者の身体属性に対応する患者データを少なくとも送信する送受信機を個々に有するワイヤレスセンサー装置と、
いずれかの前記ワイヤレスセンサー装置の送信範囲内に位置すると、当該ワイヤレスセンサー装置から送信される患者データを受信すべく構成される複数の通信機とを備え、
前記複数のワイヤレスセンサー装置および前記複数の通信機には、それぞれに、同期化したタイムスロットが割り当てられ、時間管理された信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信が実施される通信ネットワーク。
【請求項10】
請求項1に記載の通信ネットワークにおいて、前記ワイヤレスセンサー装置および前記通信機の各々は、信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信の通信スケジュールに関して同期化される通信ネットワーク。
【請求項11】
患者の情報を行き渡らせる複数のノードを有するワイヤレスネットワークであって、
前記患者に関連づけられ前記患者の身体属性をモニタリングすべく構成される少なくとも1つの第1タイプノードであって、少なくとも1つの患者の身体属性を検出する検出器、および、検出した身体属性を患者データとしてワイヤレスネットワークに送信する送信機を有する第1タイプノードと、
前記患者に直接に関連づけられずに、前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると前記第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成される複数の可搬性の第2タイプノードであって、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、信号および(または)データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信すべく構成される第2タイプノードとを備え、
前記第2タイプノードの1つが前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、当該第2タイプノードは前記第1タイプノードから前記患者データを受信し、その後、前記1つの第2タイプノードは、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードが前記第1タイプノードから出力される患者データを受信することができるように、受信した患者データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信する通信ネットワーク。
【請求項12】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記患者データが各々の前記第2タイプノードで受信されると、前記患者データは、当該第2タイプノードに保存され、通信ネットワーク伝いに伝播されるべく当該第2タイプノードによって伝えられる通信ネットワーク。
【請求項12】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、第1タイプノードは携帯型のオキシメーターを有し、検出される前記患者属性はSPO2であって、携帯型のオキシメーターは患者に着用可能である通信ネットワーク。
【請求項13】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2タイプノードの各々は、ネットワーク内のノードから信号および(または)データを受信しネットワーク内のノードへ信号および(または)データを送信する少なくとも1つの送信機を有するオキシメーターと、受信した患者データを表示する手段とを備える通信ネットワーク。
【請求項14】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1および第2タイプノードには同期化したタイムスロットが割り当てられ、時間管理された信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信が実施される通信ネットワーク。
【請求項15】
請求項11に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1タイプノードおよび前記第2タイプノードの各々は、信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信の通信スケジュールに関して同期化される通信ネットワーク。
【請求項16】
対象物の情報を行き渡らせる複数のノードを有するワイヤレスネットワークであって、
各々に特定の対象物に関連づけられ当該対象物の物理的属性をモニタリングすべく構成される複数の第1タイプノードであって、少なくとも1つの対象物の物理的属性を検出する検出器、および、検出した物理的属性を対象物データとしてワイヤレスネットワークに送信する送信機を有する第1タイプノードと、
前記対象物に直接に関連づけられずに、いずれかの前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると前記第1タイプノードから信号および(または)データを受信すべく構成される複数の可搬性の第2タイプノードであって、他の第2タイプノードから信号および(または)データを受信し、信号および(または)データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信すべく構成される第2タイプノードとを備え、
前記第2タイプノードの1つがいずれかの前記第1タイプノードのブロードキャスト通信範囲に進入すると、当該第2タイプノードは前記第1タイプノードから出力される前記対象物データを受信し、前記1つの第2タイプノードは、当該第2タイプノードのブロードキャスト通信範囲に存在する他の第2タイプノードが前記第1タイプノードから出力される対象物データを受信することができるように、受信した対象物データをワイヤレスネットワークに向けてブロードキャスト発信する通信ネットワーク。
【請求項17】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1タイプノードの各々は携帯型のオキシメーターを有し、検出される前記対象物属性はSPO2であって、携帯型のオキシメーターは、当該第1タイプノードに関連する対象物に着用可能または取り付け可能である通信ネットワーク。
【請求項18】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記第2タイプノードの各々は、ネットワーク内のノードから信号および(または)データを受信しネットワーク内のノードへ信号および(または)データを送信する少なくとも1つの送信機を有するオキシメーターと、受信した対象物データを表示する手段を備える通信ネットワーク。
【請求項19】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記第1および第2タイプノードには、それぞれに、同期化したタイムスロットが割り当てられ、時間管理された信号および(または)データの送信、受信および(または)ブロードキャスト発信が各ノードで実施される通信ネットワーク。
【請求項20】
請求項16に記載の通信ネットワークにおいて、前記対象物データが各々の前記第2タイプノードで受信されると、前記対象物データは、当該第2タイプノードに保存され、通信ネットワーク伝いに伝播されるべく当該第2タイプノードによって伝えられる通信ネットワーク。
【請求項21】
リモートで対象物に関する情報を運搬するワイヤレスネットワークであって、
1つの対象物に関連づけられ、その対象物から少なくとも1つの物理的属性を検出する少なくとも1つのワイヤレスセンサー装置であって、検出された対象物属性を表す対象物データを当該ワイヤレスセンサー装置から送信する1つの送信機を有するワイヤレスセンサー装置と、
前記ワイヤレスセンサー装置の送信範囲に位置し、前記ワイヤレスセンサー装置から送信される対象物データを受信するとともに受信した対象物データをブロードキャスト発信すべく構成される送受信機を有する第1携帯用小型無線呼び出し機と、
前記第1携帯用小型無線呼び出し機と通信し前記ワイヤレスセンサー装置と通信しない第2携帯用小型無線呼び出し機であって、前記第1携帯用小型無線呼び出し機でブロードキャスト発信される対象物データを受信すべく構成される第2の送受信機を有する少なくとも1つの第2携帯用小型無線呼び出し機と
を備える通信ネットワーク。
【請求項22】
請求項21に記載の通信ネットワークにおいて、前記対象物データは、検出された対象物の属性が少なくとも1つの予め決められた安全な限界値から逸脱することを表す警報信号を備える通信ネットワーク。
【請求項23】
請求項21に記載の通信ネットワークにおいて、前記対象物データは、検出された対象物の属性に関する情報を含む少なくとも1つのテキストメッセージを備える通信ネットワーク。
【請求項24】
請求項23に記載の通信ネットワークにおいて、前記テキストメッセージは特定の携帯用小型無線呼び出し機に向けられる通信ネットワーク。
【請求項25】
請求項21に記載の通信ネットワークにおいて、検出された対象物の属性が少なくとも1つの予め決められた安全な限界値から逸脱すると判断されると、前記第1携帯用小型無線呼び出し機は前記第2携帯用小型無線呼び出し機および全ての他の携帯用小型無線呼び出し機に警報信号をブロードキャスト発信する通信ネットワーク。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2011−504114(P2011−504114A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529972(P2010−529972)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/011921
【国際公開番号】WO2009/051829
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(502034224)スミスズ メディカル ピーエム インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/011921
【国際公開番号】WO2009/051829
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(502034224)スミスズ メディカル ピーエム インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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