説明

患者の尿生成に関するデータを測定するための装置

本発明は、医療用途のために患者の尿生成に関するデータを測定するための装置に関する。装置は、患者の尿を収集するための収集装置(1)と、収集装置への接続のためのプロセッサ(14)とを備える。プロセッサは、データを測定する手段(12)と、測定データを記憶するメモリ手段(13)とを備える。尿収集装置(1)は、便器内に配置されるために構成される。本発明によれば、収集装置は、使い捨て物品として意図され、それによって、患者の衛生が保証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用途のために患者の尿生成に関するデータを測定する装置に関し、装置は、
− 患者の尿を収集するための収集装置と、
− データを測定する手段と、
− 測定データを記憶するためのメモリ手段を備えるプロセッサとを、
備える。
【背景技術】
【0002】
尿力学研究は、多くの泌尿器科学的な問題が、間違って排尿することによって引き起こされることを示した。排尿する正しい方法は、所謂排尿訓練によって教え得ることが実地に発見された。ここでは、排尿中に骨盤底筋を弛緩すること、並びに、膀胱を可能な限り完全に空にすることが強調される。可能な限りの若い年齢で間違った排尿の習慣を絶つことが重要であり、そのために、比較的多数の子供たちがそのような排尿訓練を受けている。
【0003】
前文に述べられた種類の装置は、実際には既知であり、Academisch Ziekenhuis Utrecht(Utrecht Teaching Hospital)の技術サービス部門によって製造されている。既知の装置は、4つの脚から構成され且つその上に便座を有する便椅子と、便座の下に配置するための尿流量計と、ケーブルを用いて尿流量計に接続されたコンピュータとを含む。実際には、患者は、排尿訓練のために、暫くの間病院に入院する。患者が排出する尿は、この目的のために収集され、尿流量計に沿って案内される。尿流又は流れのような重要データは測定され、医療専門家による分析のためにコンピュータ上に記憶される。次に、この訓練は、既知の装置を用いて、患者によって家で継続されなければならない。
【0004】
既知の装置は、家の状況に配置するのに不便であるという欠点を有する。殆どの家は、実際には、既知の装置を恒久的に設置するのに利用可能な部屋を有さない。これは、普通、既知の装置が使用の度に再度設置されなければならないことを意味し、それは子供による自主的な使用をより困難にする。加えて、既知の装置は変な外観を有し、このために、特に子供たちに自発的な排尿を奨励しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの欠点を除去する前文に記載された種類の装置を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、上記に記載された種類の装置によって達成され、本発明によれば、尿収集装置は、便器の上に取り付けるために配置される。本発明に従った装置は、普通のトイレの上での使用に適している。これによって、訓練は馴染みの環境において生理学的に行われることができ、それは、特に若い使用者のために、刺激効果を有する。その使用のためには、収集装置を既存の便器内に配置する単純な動作だけで十分であり、それによって、使用者の不便さが最小限に低減される。
【0007】
本発明に従った装置の第一の実際的な好適実施態様において、尿収集装置は漏斗形状であり、便座内に取り付けるための手段を備える。
【0008】
さらに上品な好適実施態様によれば、尿収集装置は、少なくとも部分的に二重壁形態を採り、液体ロックを備え、尿生成の結果としての空気排除量を測定するために、測定手段が配置される。これによって、比較的安価な技術的手段を使用して、信頼性のある測定を実行し得る。測定手段は、好ましくは、患者から流れる尿に関するデータを測定するための流量センサを含む。
【0009】
コンパクトな実施態様において、測定手段はプロセッサ内に組み込まれる。
【0010】
衛生学的な好適実施態様において、プロセッサは、収集装置上に解放可能に取り付けられ得る。本発明によれば、プロセッサは再使用が意図される。収集装置は、1回のみ使用、即ち、1人の患者による使用が意図された使い捨て物品である。さらなる利点は、今や測定データの分析のための処理医療専門家にプロセッサを持って行かなければならないだけの患者から構成される。その実際的な実施態様において、収集装置は、プロセッサを少なくとも部分的に収容するためのカバーを備える。
【0011】
さらなる好適実施態様によれば、装置は、測定データを表示する目的のためにプロセッサに接続するためのインターフェースをさらに含む。使用者は、インターフェースを用いて、訓練中にフィードバックを受け取る。
【0012】
さらに、さらなる好適実施態様によれば、プロセッサは、インターフェースへの測定データの無線送信のための送信器を備え、この送信器は、測定データを受信するための受信器を備える。無線通信は、使用の便宜を大いに増大する。
【0013】
子供に優しい実施態様において、インターフェースは、ゲームボーイ(R)のようなゲームコンピュータを含む。ゲームコンピュータの携帯のインターフェースは、子供が動作するのに容易である。若い使用者は、ゲームコンピュータによって、本発明に従った装置を使用することを刺激されるであろう。加えて、その独自のレベルで子供に訴えることによって、訓練の有効性はかなり増大される。
【0014】
図面を参照して、本発明を以下により詳細に解明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面中、対応する構成素子は同一の参照番号で指し示されている。
【0016】
図1は、本発明の好適実施態様に従った装置1を示す概略図である。図2は展開された部分を備える装置1を示している。装置1は、嵌入し合う2つの部分2,3から構成されている。装置1は便器内に配置され得るような寸法にされている。部分3は、この目的のために、使用中に便器の縁部上に位置する2つの横方向支持体4,5を備えている。支持体は、ピンホール接続4A,4B,5A,5Bを用いて、異なる寸法の便器に適合するよう形成され得る。部分3は、使用中に便器の前部の周りに配置されるフック6を備える。フック6は柄としても働く。
【0017】
部分2は概ね漏斗形状であり、出口開口7を備えている。部分3はより大きな容積を有し、出口開口7上に接続する直立縁部8Aを備える閉塞ネック8を備えている。開口7と縁部8Aとの間には、それらが協働して液体ロックを形成するよう、幾らかの隙間がある。ネックの長さを自由に選択し得ることが留意される。双方の部分2,3は、嵌入し合うリム9,10をそれぞれ備える。キャップ22で部分3を閉塞し得る。キャップは好ましくは自動閉塞する。
【0018】
図3A及び3Bは、装置1を2つの異なる視点からの断面で示している。この組立て位置において、容積11が部分2及び3の間に定められている。リム9及び10は、この容積11を気密に封止している。
【0019】
プロセッサ又は処理装置14が、収集装置に結合され得る。プロセッサ14は、例えば、部分2上に取り付けられ得る筐体を有する。図示の好適実施態様において、部分2は、この目的のために、プロセッサ14の筐体を部分的に収容し得るカバー18を備える。
【0020】
プロセッサ14は、関連する測定データの記憶装置のためのメモリ手段13に接続された測定手段12を含む。適切な測定手段は、例えば、流量センサ、例えば、Honeywellによって市販されているAWM43600V型センサである。適切なメモリ手段は、フラッシュメモリカードのように取り外し可能である。
【0021】
収集装置1及びプロセッサ14の組立て位置におけるOリングの使用を通じて、測定手段12へのアクセスをもたらす開口20の位置にあるプロセッサ14の頂部の周りに、空気室が創成されている。反対側で、この空気室は容積11と連絡している。
【0022】
プロセッサ14は、測定データをインターフェース16に送信するための送信器15を備え、このインターフェース16は、測定データを受信するための受信器17を備えている。
【0023】
送信前に、測定データは、好ましくは、増幅され、必要であれば、A/D変換が行われる。プロセッサ14は、この目的のために、適切な増幅及び変換手段を含む。送信器15及び受信器17は、好ましくは、無線送信/受信に適している。この目的のための適切な周波数は、ほぼ4.33又は868MHzである。BlueTooth又はWiFi(無線フィディリティ)のような適切な商業的に入手可能なシステムも使用し得る。
【0024】
インターフェース16は、測定データを表示することが意図されている。適切なインターフェースは、プロセッサ又は処理装置及びスクリーンを含む。適切なインターフェースの一例は、PDA(携帯情報端末)のようなハンドヘルドコンピュータ又はGameboy(R)のようなゲームコンピュータである。測定データの表示のために、インターフェースは、その目的に適したソフトウェアを備えなければならない。
【0025】
プロセッサは、患者のEMG信号を測定するためのEMG電極用の少なくとも1つの接続21を含む。EMG信号は、骨盤底の活動及び使用者の腹圧活動の表示をもたらし、それらは、専門家による測定データの分析のための重要な追加的データである。
【0026】
本発明によれば、アクセサリ並びにインターフェース17を備えるプロセッサ14は、再使用が意図されている。収集装置1は、1回のみの使用、即ち、1人の患者のみによる使用が意図される使い捨て物品である。
【0027】
図示される好適実施態様において、本発明は以下の通り動作する。使用中、収集装置1内に収集される尿は、開口7を介して部分2から流出し、部分3内に流入する。液体ロック又は水ロックの動作の故に、尿はネック8の縁部8Aを越えて容積11に流入する。容積内に存在する空気は、開口20を介して流量センサ12を通過するよう流入する尿の結果として置換される。流量センサ12は、尿流の1つの指標として空気排除量及び/又は空気流量を測定する。これらの測定データはメモリ13に記憶される。それに基づき、生成される尿の量及び関連する尿流量のような尿生成に関する関連データが計算され得る。専門家による測定データの分析を許容するよう、メモリ13を所望の時に読み取り得る。これは、例えば、泌尿科医のような処理医療専門家への訪問の一部を形成し得る。
【0028】
使用後、キャップ22を開放することによって、収集装置を空にし得る。
【0029】
図4は、次に、測定データが、送信器15を用いて、インターフェース16の受信器17に選択的に送信され得ることを例証しており、それらはインターフェースで使用者に示され得る。この実施態様は、子供の尿訓練に特に適している。何故ならば、直接的なフィードバックが排尿中に行われるからである。第二のインターフェース(図示せず)を用いて、訓練者は、所望であれば、使用者と同一のデータを受信し得る。この直接的なフィードバックは、訓練者に訓練を可能な限り最適化する選択肢を提供する。
【0030】
おそらく不要に、本発明は、図示され且つ記載された実施態様に明示的に限定されず、前記の記載及び図面の観点から見られるとき、添付の請求項の範囲内に入る如何なる実施態様にも及ぶことが留意されよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好適実施態様を示す概略図である。
【図2】図1の装置を示す展開図である。
【図3A】図1の装置を異なる視点から示す断面図である。
【図3B】図1の装置を異なる視点から示す断面図である。
【図4】本発明に従った装置の動作を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用途のために患者の尿生成に関するデータを測定する装置であって、
患者の尿を収集するための収集装置と、
データを測定するための手段と、
該測定されたデータを記憶するためのメモリ手段を備えるプロセッサとを含み、
前記尿収集装置は、便器の上に取り付けるために配置されることを特徴とする、
装置。
【請求項2】
前記尿収集装置は、漏斗形状であり、前記便座内に取り付けられるための手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記尿収集装置は、少なくとも部分的に二重壁形態を採り、液体ロックを備え、前記測定手段は、尿生成の結果としての空気排除量を測定するよう配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定手段は、前記プロセッサ内に組み込まれる、上記請求項のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記測定手段は、患者からの尿流量に関するデータを測定するための流量センサを含む、上記請求項のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記収集装置上に解放可能に取り付けられ得る、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記収集装置は、前記プロセッサを少なくとも部分的に収容するためのカバーを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記測定データを表示するために前記プロセッサに接続するためのインターフェースをさらに含む、上記請求項のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記インターフェースへの前記測定データの無線送信のための送信器を備え、前記インターフェースは、前記測定データを受信するための受信器を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記インターフェースは、ゲームボーイ(R)のようなゲームコンピュータを含む、請求項8又は9に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−503752(P2008−503752A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517981(P2007−517981)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000431
【国際公開番号】WO2006/001690
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506426605)ディックマン ホールディング ベー フェー (1)
【Fターム(参考)】