説明

患者の治療における治療計画に対する装置、方法、コンピュータ読み取り可能媒体及び使用

放射線治療及び化学療法のような異なる治療法に対するがんのような病気の個別患者治療計画に対する装置、方法、システム、コンピュータ読み取り可能媒体及び使用が提供される。本発明の新しい態様は、前記患者の骨髄抑制の度合が、各治療の前に測定される未熟血小板のカウント値に関連することである。本発明の幾つかの実施例は、骨髄抑制のリスクの予測における不確実性のレベルを減少することを可能にし、したがって前記骨髄抑制のリスクが最小化されると同時に前記個別患者に対する放射線量及び/又は薬品投与量の増加により治療効果を安全に向上することを可能にするという利点を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、治療計画に関し、より具体的には、患者の治療に使用される治療エージェントの用量及び投与のタイミングの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
がんの放射線治療及び化学療法において、骨髄及びその機能に対する治療の有害な副作用は、しばしば、用量制限因子を構成する。骨髄は、赤血球、白血球及び血小板の生成において重要な機能を実行する。赤血球は、体の全ての器官及び組織に酸素を運ぶ細胞である。白血球は、病原菌により引き起こされた感染と戦う。血小板は、出血及び痣を制御するように凝結を形成するのに必要とされる、血液内の小さな円盤形状細胞である。放射線治療及び化学療法は、しばしば、白血球数の減少を引き起こし、人が感染を進展させるリスクを増大させる。同様に、血小板の減少は、血液凝固及び止血に作用しうる。骨髄の最小の機能無しでは、医療患者は、延長された時間期間生存することができない。骨髄抑制は、骨髄が通常量の白血球、赤血球及び血小板を生成することができないことにより特徴づけられる異常な状態であり、上述のように放射線治療及び化学療法における有害な副作用である。したがって、化学薬品及び/又は放射線のより高い量が、通常は、より大きな抗がん効果を持つのに対し、骨髄機能を維持するための必須の要件は、適用可能な量に制限を課す。残りの骨髄予備能、すなわち骨髄が機能し、例えば放射線治療及び化学療法により与えられた損傷から回復することができる度合は、強力な患者間の変動の影響を受けやすい。これは、更に、患者の治療履歴に依存する。
【0003】
現在の治療法において、放射線及び/又は化学薬物のような抗がん剤の管理された量の広い安全マージンは、これが患者の大多数にとって治療ががん制御を達成する確率の大幅な減少を意味する場合でさえも、骨髄損傷の回避を保証するために観察されなければならない。したがって、治療計画に対する改良された装置、方法、コンピュータ読み取り可能媒体及び使用が有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、好ましくは、当技術分野における上で示した欠陥及び不利点の1つ以上を単独で又は組み合わせて軽減、緩和又は除去しようとし、添付の特許請求項に記載の装置、方法、コンピュータ読み取り可能媒体及び使用を提供することにより上述の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、患者の治療における医用治療計画に対する装置が提供される。前記装置は、前記患者の未熟血小板のカウント値を得るカウントユニットと、前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの治療法に対する前記患者の適格性を計算する第1の計算ユニットと、前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算する第2の計算ユニットとを有する。
【0006】
本発明の他の態様によると、患者の治療における医用治療計画の方法が提供される。前記方法は、前記患者の未熟血小板のカウント値を得るステップと、前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの特定の治療法に対する前記患者の適格性を計算するステップと、前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算するステップとを有する。
【0007】
本発明の他の態様によると、患者の治療における医用治療計画に対するコンピュータ読み取り可能媒体が提供され、前記コンピュータ読み取り可能媒体は、プロセッサにより処理するコンピュータプログラムを包含する。前記コンピュータプログラムは、前記患者の未熟血小板のカウント値を得るカウントコードセグメントと、前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの特定の治療法に対する前記患者の適格性を計算する第1の計算コードセグメントと、前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算する第2の計算コードセグメントとを有する。
【0008】
本発明の他の態様において、添付の請求項のいずれか一項に記載の装置、方法及びコンピュータ読み取り可能媒体の使用が、がんの治療に対して提供される。
【0009】
一部の実施例による本発明の使用は、骨髄抑制のリスクの予測の不確実性のレベルを減少させることを可能にし、したがって骨髄抑制のリスクが最小に保たれると同時に個別の患者に対する放射線量及び/又は薬品投与量の増加により治療効果を安全に向上することを可能にする。
【0010】
本発明ができるこれらの及び他の態様、フィーチャ及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施例の以下の記載から説明され、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例による装置のブロック図である。
【図2】一実施例による方法のブロック図である。
【図3】一実施例によるコンピュータ読み取り可能媒体のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の複数の実施例は、当業者が本発明を実行することができるために、添付の図面を参照して以下により詳細に記載される。本発明は、しかしながら、多くの異なる形式で実施されてもよく、ここに記載される実施例に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施例は、この開示が詳細かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。実施例は、本発明を限定しないが、本発明は、添付の特許請求項によってのみ限定される。更に、添付の図面に図示された特定の実施例の詳細な記載に使用される用語は、本発明を限定することを意図されない。
【0013】
本発明は、幾つかの実施例により、放射線治療及び化学療法のような異なる治療法に対するがんのような病気の個別の患者治療計画に対する装置、方法、システム、コンピュータ読み取り可能媒体及び使用を提供する。幾つかの実施例は、増大された治療有効性、フレキシビリティ、費用効率性及び患者快適性を可能にする。
【0014】
本発明の新しい態様は、前記患者の骨髄抑制の度合が、各治療前に測定される未熟血小板のカウント値に関連しているということである。骨髄において、赤血球、白血球及び血小板が形成される。これらの血球及び血小板は、赤血球に対して約120日、及び血小板に対して約8−10日の寿命を持つ。血液中のこれらの数をカウントすることは、したがって、骨髄が数日又は数週間前に行った活動を反映する。血球及び血小板は、通常は、骨髄内で成熟しているが、しかしながら少量の未熟血小板及び血球が、同様に血液中に存在し、これらのカウント値は、大幅に減少された遅延を持つ骨髄生存能力を反映する。したがって、未熟血小板及び血球は、成熟血小板及び血球のものより骨髄機能の大幅に即時的な測定を表す。白血球カウント値は、免疫反応の結果として強く変化し、赤血球は、成長するのに7日間かかり、更に高度及び他の因子のため数が変化することができ、この結果、未熟血小板が、骨髄生存能力の即時的な測定値として最良のオプションを表す。
【0015】
本発明の他の新しい態様は、最も適切な治療エージェント及び治療法に対する個別患者用量計画を計算するために骨髄抑制のリスクを計算するのに前記未熟血小板のカウント値を使用することである。
【0016】
本発明の幾つかの実施例は、骨髄抑制のリスクの予測における不確実性のレベルを減少することを可能にし、したがって前記骨髄抑制のリスクが最小に保たれると同時に前記個別患者に対する放射線量及び/又は薬品投与量の増加により治療効果を安全に向上することを可能にすることにより利点を提供する。
【0017】
以下の記載は、医用撮像及び特にがんの治療に対する治療計画に適用可能な本発明の実施例に焦点を合わせる。しかしながら、本発明がこの応用に限定されないが、例えば自己免疫疾患の治療における免疫抑制を含む他の多くの疾患に適用されうると理解される。
【0018】
一実施例において、治療における医用治療計画に対する図1による装置10が提供される。前記装置は、患者の未熟血小板のカウント値を得る、例えば測定する、カウントユニット11と、前記未熟血小板カウント値に依存して治療法を使用する結果として、骨髄抑制のリスクを計算する第1の計算ユニット12と、前記骨髄抑制のリスクに基づいて、前記治療において使用される治療エージェントの個別患者用量計画を計算する第2の計算ユニット13とを有する。
【0019】
一実施例において、前記治療エージェントはカルボプラチンであり、前記治療法は化学療法である。
【0020】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、限定されないが、体重、サイズ、血液パラメータ並びに解剖学的及び/又は機能撮像データのようなパラメータを、前記未熟血小板のカウント値と組み合わせて、特定の治療法に対する骨髄抑制のリスクを計算するのに使用する。これらのパラメータは、個別患者データベースに記憶され及び/又は前記個別患者データベースから取り出されることができる。前記個別患者データベースは、患者治療履歴並びにヘルスケアスタッフにより使用される薬物及び一般的なステータス等のような患者ステータスに関する他の情報を含む個別患者日誌の一部であることができる。
【0021】
前記骨髄抑制のリスクを計算することにより、前記第1の計算ユニットは、実際に、特定の治療エージェント及び治療法を用いる治療に対する適格性を確認する。
【0022】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、前記未熟血小板カウント値により反映される骨髄機能の現在のレベルに基づいて様々な治療エージェントを用いる治療の適格性を確認する。この実施例の利点は、前記装置が、いずれの治療エージェント、したがって治療法が骨髄抑制の過剰なリスク無しで使用されることができるかの決定を容易化するのに使用されることができる。
【0023】
この実施例の他の利点は、複数の治療エージェントを使用する治療法において、治療エージェントの最も効果的な組み合わせが提供されることができることである。
【0024】
一実施例において、前記計算された個別患者用量計画は、前記治療エージェントの用量及び/又は前記治療エージェントの投与間の時間を有する。
【0025】
一実施例において、前記第2の計算ユニットの前記計算された個別患者用量計画は、前記用量を使用する治療の後の時間及び前記用量計画において計算された前記治療エージェントに対する投与間の時間の関数として推定未熟血小板カウント値に関する情報を更に有する。
【0026】
一実施例において、前記装置は、前記個別患者用量計画を再計画することができる再計画ユニット14を更に有する。前記再計画ユニットは、計算された個別患者用量計画の履歴を考慮に入れることができる。実際に、これは、前記装置が初めに用量及び投与間の時間を含む個別患者用量計画を計算することを意味する。この後に、投与間に、前記カウントユニットは、特定の時点における前記患者の未熟血小板カウント値の新しい測定値を得る。この特定の時点における測定された未熟血小板カウント値は、次いで、同じ時点における推定血小板カウント値と比較され、ここで前記推定血小板カウント値は、前記個別患者用量計画に含まれている。一実施例において、前記再計画ユニットは、現在の個別患者用量計画の修正に対して2つの後に計算された個別患者用量計画を考慮に入れる。
【0027】
一実施例において、前記再計画ユニットは、前記治療を管理する医師の追加情報に対する標準的な血液パラメータのような他の監視データの中でも、前記未熟血小板カウント値の新しい測定値を考慮に入れる。
【0028】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、個別患者未熟血小板カウント値cindと骨髄障害ではない患者の標準値cstとの間の比relを計算する。比relは、次いで、rel,min(x,y)の治療法特有最小許容可能値と比較される。relがrel,min(x,y)を超過する場合、前記特定の治療に起因する骨髄抑制は、危機的ではないと予測される。異なる治療エージェントyを用いる異なる治療法xは、異なる最小比rel,min(x,y)を持つ。更に、より低い比relは、より少ない用量及びより長い投与間の時間になり、これにより前記骨髄に与えられたストレスを減少し、より長い回復時間を可能にする。一例として、通常の血小板前駆体カウント値cstを持つ患者に対する標準的な容量がdstであり、前記投与間の標準的な時間がtstである場合、血小板カウント値cind=rel*cstを持つ個別患者は、relが所定の閾値rel,min(x,y)より大きい場合に特定の治療エージェントy及び治療法xに対して適格であると見なされる。rel,min(x,y)は、各治療法に対して特有である。rel,min(x,y)より小さいrelは、前記骨髄機能が、通常の健康な人と比べて、治療法x及びエージェントyの組み合わせが全く使用されるべきでないことを示す。適格性確認の1つの実施例は、この場合、rel≧rel,minを検証することである。relがrel,min(x,y)と1との間にあり、値>1まで延在する場合、用量及び/又は投与間の時間は、前記第2の計算ユニットを使用して適合されることができる。
【0029】
典型的な実施例において、用量は、rel=rel,min(x,y)に対する0とrel=1に対する標準的な用量との間に線形に補間される。同様に、前記投与間の時間は、rel=rel,min(x,y)に対する無限大(用量の投与が全く繰り返されないことを意味する)とrel=1に対する標準的な間隔との間に逆線形の形で補間されることができる。用量及び投与間の時間の修正は、組み合わされてもよい。更に、relが患者特有の測定値を表し、rel,min(x,y)が治療特有の制限であると理解されるべきである。このように、前記第1の計算ユニットは、各個別患者に対して複数の異なる治療エージェント及び治療法に対する適格性を確認することができる。
【0030】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、前記個別患者に対してrel,min(x,y)と比較して最高の比relを持つ治療エージェント及び治療法を選択するように構成される。
【0031】
前記選択された治療エージェント及び/又は治療法に関する情報は、この場合、前記選択された治療エージェントに対する用量計画を計算するために前記第2の計算ユニットにより使用される。一例として、用量dindはdind=dst*relとして計算され、投与間の時間はtind=tst/relであり、ここでtstは用量投与間の標準的な時間である。
【0032】
一実施例において、前記再計画ユニットは、前の治療サイクルの結果としての未熟血小板の新しいカウント値に基づいて新しい患者用量計画の計算に対して前記第2の計算ユニットにより使用される規則を更新するように構成される。この実施例は、前記装置が、前記規則において経験に基づく変更を使用して、新しい個別患者用量計画に対して計算アルゴリズムを修正することを可能にする。前記個別患者用量計画を計算する1つの方法は、骨髄が健康な個人と骨髄抑制の個人との間に骨髄抑制の度合の連続的なつながりが存在し、このような骨髄抑制の度合が前記個別患者における前記未熟血小板カウント値を骨髄が健康な人のもので除算することにより得られる比relにより特徴づけられるという仮定に基づく。したがって、前記第2の計算ユニットにより使用される前記規則を実施する1つの方法は、rel=1とパラメータrelの治療法特有の最小許容可能レベルrel,minと間の範囲に、前記用量/投与間の時間をrelに線形に/逆線形に補間することである。前記規則において経験に基づく変更を実施する1つの方法は、用量/投与間の時間の前記線形/逆線形補間からの偏差でありうる。
【0033】
新しい患者が本発明の幾つかの実施例による装置を使用して治療を受けようとしている場合、最初に多数の患者に適切なパラメータ推定値を有する基準モデルが、第1の個別患者用量計画の計算のために前記患者の前記未熟血小板カウント値と一緒に前記第2の計算ユニットにより使用される。
【0034】
一実施例において、前記基準モデルの前記最初に推定されたパラメータは、前記測定された未熟血小板カウント値と特定の治療に対する予測される未熟血小板カウント値との比較に基づいて更新されることができる。前記基準モデルの前記更新されたパラメータ推定値は、平均的な患者をより良く記述し、特定の治療に対して新しい患者に対するより正確な第1の個別患者用量計画を計算することを可能にする。
【0035】
患者が幾つかの実施例による前記装置により計算された個別患者用量計画を使用して治療を受けた場合、既存の個別患者用量計画は、新しい未熟血小板カウント値を使用して更新される。
【0036】
一実施例において、前記治療法は、非ホジキンリンパ腫の標的療法である。
【0037】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、前記個別患者の未熟血小板カウント値に基づいて前記個別患者に対して最も効果的である治療法を見つけるために複数の治療法に対して骨髄抑制のリスクを計算するように構成される。
【0038】
一実施例において、前記治療エージェントは、冷式及び温式の抗CD20標的治療薬を有するリツキサン(登録商標)/90Yゼバリン(登録商標)である。リツキサン及び90Yゼバリンの両方が、B細胞のCD20受容体を標的にしたモノクローナル抗体である。リツキサンは、B細胞のCD20受容体に付着することにより単純にそのままでアクティブであるのに対し、90Yゼバリンは、前記受容体に付着するのみならず、ベータ粒子の放出により追加の破壊作用を提供する放射性標識(90Y)をも持つ。ゼバリン治療において、リツキサンは、非特異性結合部位を飽和させ、ゼバリン薬自体の生体内分布を改良する、すなわち絞り込むために適切にゼバリン薬の前に投与される。
【0039】
この場合、実用的な実装において、前記個別患者の前記未熟血小板カウント値の測定に基づいて、危機的でない骨髄抑制が、非ホジキンリンパ腫の標的治療に対して予測される。前記第2の計算ユニットは、次いで、リツキサン/90Yゼバリン治療に対する個別患者用量計画を計算し、投与されるべきリツキサン及び90Yゼバリン抗CD20抗体の両方の用量に対するリコメンデーションを与える。
【0040】
治療法xは気管支がんの化学療法であり、治療エージェントyがカルボプラチンである一実施例において、rel,min(x,y)は0.3である。したがって、通常の患者の未熟血小板の標準的なカウント値により除算された前記測定された個別患者血小板カウント値が、この値より高い場合、前記個別患者は、前記治療法及び治療エージェントに対して適格である。
【0041】
治療法xが、非ホジキンリンパ腫の標的放射線治療であり、治療エージェントyがリツキサン/90Yゼバリンである一実施例において、rel,min(x,y)は0.5である。
【0042】
前記治療法が外部放射線療法である他の実施例において、前記用量計画の最適化は、非標的領域を含む骨髄に対する最大許可用量が、relと乗算することにより、骨髄が健康な対象内の対応する用量制限に対して減少されるという要件を前記治療計画最適化に導入することにより前記個別患者の骨髄ステータスに対して適合される。
【0043】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、rel,min(x,y)と比較したrelの要件を満たす複数の治療エージェント及び/又は治療法を選択するように構成される。組み合わせ治療は、場合により、1つの治療エージェントのみを使用する治療より効果的でありうる。この実施例において、前記第2の計算ユニットは、全ての使用される治療エージェントに対する用量の総合効果に対して各治療エージェント用量を重み付けすることにより各使用される治療エージェントに対する用量計画を計算するように構成されることができる。
【0044】
一実施例において、前記計算された用量計画は、比較による選択の治療に関するリコメンデーション、投与されるべき総合用量に対する計画、分別スキーム、並びに外部放射線治療における空間分布及び標的放射線治療及び化学療法における投与経路のような投与の正確な方法を含む。
【0045】
前記第1の計算ユニット、前記第2の計算ユニット及び前記再計画ユニットは、関与するタスクを実行するのに通常使用される如何なるユニット、例えば、メモリを持つプロセッサのようなハードウェアであることができる。前記プロセッサは、インテル又はAMDプロセッサ、CPU、マイクロプロセッサ、プログラム可能インテリジェントコンピュータ(PIC)、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)等のような様々なプロセッサのいずれであってもよい。しかしながら、本発明の範囲は、これらの特定のプロセッサに限定されない。前記メモリは、倍密度RAM(DDR、DDR2)、単密度RAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ビデオRAM(VRAM)等のようなランダムアクセスメモリ(RAM)のような、情報を記憶することができる如何なるメモリであってもよい。前記メモリは、USB、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、MMCメモリ、メモリスティック、SDカード、ミニSD、マイクロSD、xDカード、トランスフラッシュ及びマイクロドライブメモリ等のようなFLASHメモリであってもよい。しかしながら、本発明の範囲は、これらの特定のメモリに限定されない。
【0046】
一実施例において、前記第1の計算ユニットは、前記未熟血小板カウント値に依存して前記骨髄抑制のリスクのモデルを実装するソフトウェアを持つコンピュータである。
【0047】
一実施例において、前記装置は、幾つかの実施例による前記方法を実行するユニットを有する。
【0048】
一実施例において、前記装置は、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴イメージング(MRI)システム、超音波イメージング(US)システム、放射線治療システム又は化学療法システムのような、医療システム又は医療ワークステーションに含まれる。
【0049】
一実施例において、図2によると、患者の治療における医用治療計画に対する方法が提供される。前記方法は、前記患者の未熟血小板をカウントするステップ21と、前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの特定の治療法に対する前記患者の適格性を計算するステップ22と、前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算するステップ23とを有する。
【0050】
一実施例において、前記方法は、前記未熟血小板の新しいカウント値を前記個別患者用量計画に含まれている推定未熟血小板カウント値と比較することにより前記個別患者用量計画を再計画するステップ24を更に有する。
【0051】
一実施例において、前記方法は、前記推定未熟血小板カウント値と比較した前記新しい未熟血小板カウント値に基づいて新しい患者に対する個別患者用量計画の前記計算を更新するステップ25を更に有する。
【0052】
一実施例において、図3によると、患者の治療における医用治療計画に対するコンピュータ読み取り可能媒体30が提供され、前記コンピュータ読み取り可能媒体は、プロセッサにより処理するコンピュータプログラムを包含する。前記コンピュータプログラムは、前記患者の未熟血小板のカウント値を得るカウントコードセグメント31と、前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの特定の治療法に対する前記患者の適格性を計算する第1の計算コードセグメント32と、前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算する第2の計算コードセグメント33とを有する。
【0053】
一実施例において、前記コンピュータ読み取り可能媒体は、前記未熟血小板の新しいカウント値を前記個別患者用量計画に含まれている推定未熟血小板カウント値と比較することにより前記個別患者用量計画を再計画する再計画コードセグメント34を更に有する。
【0054】
一実施例において、前記コンピュータ読み取り可能媒体は、前記推定未熟血小板カウント値と比較した前記新しい未熟血小板カウント値に基づいて新しい患者に対する個別患者用量計画の前記計算を更新する更新コードセグメント35を更に有する。
【0055】
一実施例において、前記実施例のいずれかによる装置、方法及びコンピュータ読み取り可能媒体は、がんの治療に使用される。
【0056】
一実施例において、前記コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ処理性質を持つ装置により実行される場合に、幾つかの実施例に規定された方法ステップの全てを実行するように構成されたコードセグメントを有する。
【0057】
本発明による上記実施例の応用及び使用は様々であり、放射線治療計画のような模範的分野を含む。しかしながら、本発明の応用は、明らかに放射線治療を越えて化学療法及び組み合わされた治療まで及ぶ。
【0058】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及びこれらの組み合わせを含む適切な形で実装されることができる。しかしながら、好ましくは、本発明は、1以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で実行するコンピュータソフトウェアとして実装される。本発明の一実施例の要素及び構成要素は、物理的、機能的及び論理的にいかなる適切な形でも実装されうる。実際に、機能は、単一のユニット、複数のユニット又は他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。このように、本発明は、単一のユニットで実装されてもよく、又は物理的及び機能的に異なるユニット及びプロセッサ間で分散されてもよい。
【0059】
本発明は、特定の実施例を参照して上に記載されているが、ここに記載された特定の形式に限定されることを意図されない。むしろ、本発明は、添付の請求項によってのみ限定され、特定のもの以外の実施例は、これらの添付の請求項の範囲内で同等に可能であり、例えば上に記載されたもの以外に自己免疫疾患のような異なる疾患が可能である。
【0060】
請求項において、用語"有する"は、他の要素又はステップの存在を除外しない。更に、個別に列挙されるが、複数の手段、要素又は方法ステップは、例えば単一のユニット又はプロセッサにより実施されてもよい。加えて、個別のフィーチャは、異なる請求項に含まれることができるが、これらは、場合により、有利に結合されてもよく、異なる請求項における包含は、フィーチャの組み合わせが実行可能及び/又は有利ではないことを意味しない。加えて、単数形は複数を除外しない。用語"1つの"、"第1の"、"第2の"等は、複数を排除しない。請求項内の参照符号は、単に明確化する例として提供され、どのような形でも請求項の範囲を限定するように解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の治療における医用治療計画に対する装置において、
前記患者の未熟血小板のカウント値を得るカウントユニットと、
前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの治療法に対する前記患者の適格性を計算する第1の計算ユニットと、
前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算する第2の計算ユニットと、
を有する装置。
【請求項2】
前記患者の適格性を計算する前記第1の計算ユニットが、前記患者の前記未熟血小板カウント値と、骨髄抑制無しの健康な人に対して事前に得られた未熟血小板カウント値との比に基づいて前記適格性を計算する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記計算された個別患者用量計画が、
前記少なくとも1つの治療エージェントの用量と、
前記少なくとも1つの治療エージェントの投与間の時間と、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の計算ユニットが、前記個別患者用量計画による治療に従う前記患者に対して時間の関数として前記未熟血小板カウント値を推定する、請求項1又は3に記載の装置。
【請求項5】
未熟血小板の新しいカウント値を前記推定未熟血小板カウント値と比較することにより前記個別患者用量計画を再計画する再計画ユニット、
を更に有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記未熟血小板の新しいカウント値が前記推定未熟血小板カウント値より高い場合に、前記用量が増加される又は前記投与間の時間が減少され、逆も同様である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記再計画ユニットが、前記推定未熟血小板カウント値と比較した前記新しい未熟血小板カウント値に基づいて、前記第2の計算ユニットにより実行される前記新しい個別患者用量計画の計算を更新する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの治療法が非ホジキンリンパ腫の標的治療であり、前記少なくとも1つの治療エージェントがリツキサン/90Yゼバリンである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの治療法が化学療法であり、前記少なくとも1つの治療エージェントがカルボプラチンである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の計算ユニットが、前記未熟血小板カウント値に基づいて複数の治療法に対して骨髄抑制のリスクを計算し、前記計算されたリスクに基づいて前記複数の治療法から治療法を選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
医用ワークステーション又は医用システムに含まれる請求項1に記載の装置。
【請求項12】
患者の治療における医用治療計画に対する方法において、
前記患者の未熟血小板のカウント値を得るステップと、
前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの治療法に対する前記患者の適格性を計算するステップと、
前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算するステップと、
を有する方法。
【請求項13】
未熟血小板の新しいカウント値を前記個別患者用量計画に含まれている推定未熟血小板カウント値と比較することにより前記個別患者用量計画を再計画するステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記推定未熟血小板カウント値との前記新しい未熟血小板カウント値の比較に基づいて新しい患者に対する第1の個別患者用量計画を計算するのに適したパラメータ推定値を有する基準モデルを更新するステップを更に有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者の治療における医用治療計画に対するコンピュータ読み取り可能媒体において、前記コンピュータ読み取り可能媒体がプロセッサにより処理するコンピュータプログラムを包含し、前記コンピュータプログラムが、
前記患者の未熟血小板のカウント値を得るカウントコードセグメントと、
前記未熟血小板カウント値に基づいて、少なくとも1つの特定の治療法に対する前記患者の適格性を計算する第1の計算コードセグメントと、
前記患者の計算された適格性に基づいて、少なくとも1つの治療エージェントの個別患者用量計画を計算する第2の計算コードセグメントと、
を有する、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項16】
がん治療計画に対する、請求項1ないし11に記載の装置、請求項12ないし14に記載の方法及び請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能媒体のいずれか1つの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−508938(P2010−508938A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535849(P2009−535849)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054495
【国際公開番号】WO2008/056322
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
2.FLASH
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】