説明

患者の症状を診断するための筋肉反射の測定の取得

機械的刺激を使用して非侵襲的に機能不全(例えば、脊髄異常、膀胱排尿機能不全、および生殖器機能不全)を特定/診断するツールとして筋反射(例えば、球海綿体反射)を測定するシステムおよび方法が開示されている。このシステムおよび方法は、所定の患者接触部を有するプローブを備えており、接触部が患者の特定の部位(例えば、患者の生殖器)に接触するように移動されると、接触により筋反射が引き起こされる。プローブは、特定の部位に急激および強制的に接触されている接触部から生じる圧力を検出する。このような検出を使用して、特定の部位に近接して患者の皮膚に置かれた複数の電極からの電気的反応の捕捉を電子的に開始する。このような電気的反応は、電極に隣接した1つまたは複数の筋肉の患者の反射の特徴を決定するために処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体を本願明細書に援用する、2007年9月25日出願の米国仮特許出願第60/975,056号の特典を請求するものである。
本開示は、患者をスクリーニングおよび/または診断するために筋肉反射を示すデータを取得および処理することに関し、より詳細には、球海綿体筋からの反射を示すデータを取得および処理することに関する。特に、本開示は、球海綿体筋を刺激し、それによって、患者の皮膚上の電極からの電気反応を分析のために特定することができるように刺激の時間を特定するための新規の電気機械プローブを記載している。
【背景技術】
【0002】
球海綿体筋は、会陰の表面筋肉の1つである。この筋肉は、陰部神経の枝である、会陰神経の深枝/筋枝によって刺激される。この筋肉は、男女で僅かに異なる起点、着点および機能を有する。しかし、両方の性別において、球海綿体筋は、通常の性機能および性感と、尿機能にとって重要である。男性では、球海綿体筋は、勃起、射精、およびオルガスム感に寄与する。女性では、球海綿体筋は膣を閉じ、オルガスム感に寄与する。
【0003】
球海綿体反射(BCR)は、陰茎(男性)または陰核(女性)の先端部が締め付けられたり刺激されたりした場合に生じる直腸(腸の一部)の独自の自動的(反射)収縮である。より技術的に表現すると、球海綿体反射は、多シナプス反射であり、この反射の測定により、患者の骨盤底内およびその周り、および下部脊椎部位の様々な神経的異常を示すことができる。例えば、仙骨脊髄分節(S2〜S4)および陰部神経を通る求心性および遠心性分節の完全性を、このようなBCR測定によって決定することができる。加えて、いくつかのレベルのBCR異常が、馬尾または脊髄円錐障害が存在する場合、または多発性神経障害に関連する神経因性膀胱が検出された場合の陰萎で報告されている。このようなBCR異常は、BCR無反応、BCR反応における長期の潜伏、または繰返しの測定によって生じる一時的潜伏分散と考えられる。さらに、BCR反応は長期間の場合、骨盤底疾患を有する患者における骨盤神経損傷の兆候となる可能性がある。
【0004】
上に記載したこれらの疾患を含む、様々な骨盤底疾患の診断および治療のためにBCRの測定値を使用することが知られている。このような測定値は、患者に適当に取り付けられた電極の作動により、陰茎または陰核の背部神経の刺激後に、例えば尿道および/または肛門括約筋から収集することができる。加えて、このような測定値は、EMG(筋電図)検査を使用して得られていた。患者の疾患を診断するためのEMGおよび電極の使用をさらに説明するために、以下の引用文献を全体的に本願明細書に援用する。
【0005】
(特許文献1)は、表面筋電図信号を収集するための電極およびその配列を開示している。
ディー・プルッチ(D.Prutchi)は、(非特許文献1)において、下層にある筋肉の電気的活動を記録するために、肢体周りに巻くことができ、256個の表面電極を含むブレスレットを記載している。電極は、電極に密接してバッファボードに直接接続された8つのグループの32の電極直線配列で配置されている。所望の信号分析を行うために電気信号のさらなる処理が行われ、この例では主に、ヒト被験者の上腕の単一筋内の複合電位の双方向伝播、または被験者筋肉の活性繊維組織からの合計電力貢献のヒストグラムに関連しており、両方ともチャート状の形式で提示されている。
【0006】
デルーカら(DeLuca et al.)の(特許文献2)は、信号を処理するためにコンピュータ・システムに結合され、結果のグラフィック表示を行う複数の電極の背部
解析システムを記載している。デルーカの発明は基本的に、所望の筋群に相関している所望のパターンでの患者の胴の移動を制限する支持および拘束デバイスの使用により、特定の筋群を隔離させることに関する。デルーカの電極配列は、患者の背部の所望の位置に個別に配置された別々の電極からなっている。
【0007】
ブロディ(Brody)の(特許文献3)は、脊柱の分節にわたり電位を双方向的に測定するステップを含む、傍脊椎筋の筋電図スキャン方法を記載している。読み込みデータは、異なる筋肉状態を示す異なるパターンに分類される。Brodyは、2.5cmの間隔をおいて配置された電極、およびコンピュータ構成要素を有する使用可能なEMGスキャナとして自分の記載技術内で有用な機器を提案しているが、特定の筋肉または筋群を隔離するための機器または実用性の表示に関する詳細はあまり記載していない。
【0008】
カデフールズら(Kadefors,et al.)の(特許文献4)は、筋電図信号を検出し、これらを処理し、所定の基準から信号の変化の表示を提供する方法および装置を記載している。カデフールズの電極システムは3本の電極を備えており、その1本は基準マーカである。この電子装置は基本的に、試料および保持機能を備えており、ここで電流反応を、前の反応および検出された差に基づいて与えられた表示と比較することができる。
【0009】
トールミンら(Toormin,et al.)の(特許文献5)は、背部筋肉の状態を決定する方法を記載しており、EMG信号は患者の背部にあるパターンで置かれたいくつかの電極から監視され、各電極の活動は決定され、結果は記憶される。結果のデータベースは基準を提供し、この基準により比較を行って、患者の機能不全の治療および管理のためのデバイスとして、偏差または異常を決定することができる。
【0010】
クジマノら(Cusimano,et al.)の(特許文献6)は、検出された信号を分析するために標準的ECG電極およびコンピュータを使用して、筋肉活動を監視するための携帯型電子機器を記載している。電極は、所定の位置に個別に付けられ、運動デバイスの範囲を利用して、特定の筋群に関連する信号を生成する。出力プロットが生成されて、予期された筋肉活動の基準からのあらゆる変位を反映した情報のプリントアウトの形で明らかに、結果の表示を提供する。
【0011】
患者の機能不全を評価するための球海綿体反射の使用を記載している追加の従来技術引用文献は以下の通りであり、これらの引用文献も全体を本願明細書に援用する。
(非特許文献2)
(非特許文献3)
(非特許文献4)
(非特許文献5)
(非特許文献6)
しかし、このようなBCR測定値を得るための従来技術の処置および装置は、例えば使用の容易さ、および患者に生じる不快感において決して満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,047,202号
【特許文献2】米国特許第5,086,779号
【特許文献3】米国特許第5,058,602号
【特許文献4】米国特許第5,318,039号
【特許文献5】米国特許第5,505,208号
【特許文献6】米国特許第5,513,651号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ディー・プルッチ(D.Prutchi)、“A High−Resolution Large Array(HRLA)EMG System”、Med.Eng.Phys、September 1995、Vol.17、442−454
【非特許文献2】サリカ ワイ(Sarica Y)、カラキャン アイ(Karacan I)、“Bulbocavernosus reflex to somatic and visceral nerve stimulation in normal subjects and in diabetics with erectile impotence”、Journal of Urology、July 1987、138(1)、55−8
【非特許文献3】ユートキン シー(Ertekin C)、アキュレクリ オー(Ackyurekli O)、ギャルセス エーエヌ(Gurses AN)、トルグト エイチ(Turgut H)、“The value of somatosensory−evoked potentials and bulbocavernosus reflex in patients with impotence”、Acta Neurol Scand.、Jan.1985、71(1)、48−53
【非特許文献4】ツィエマン ユー(Ziemann U)、ライマース シーディー(Reimers CD)、“Anal sphincter electromyography,bulbocavernosus reflex and pudendal somatosensory evoked potentials in diagnosis of neurogenic lumbosacral lesions with disorders of bladder and large intestine emptying and erectile dysfunction”、Nervenarzt、Feb.1996、67(2)、140−6
【非特許文献5】ラボワジエ ピー(Lavoisier P)、プルー ジェー(Proulx J)、クルートア エフ(Courtois F)、デ カルフェル エフ(De Carufel F)、“Bulbocavernosus reflex:its validity as a diagnostic test of neurogenic impotence”、Journal of Urology、Feb.1989、141(2)、311−4
【非特許文献6】ヴォデュセック ディービー(Vodusek DB)、ジャンコ エム(Janko M)、ロカール ジェー(Lokar J)、“EMG,single fibre EMG and sacral reflexes in assessment of sacral nervous system lesions”Journal of Neurological Neurosurgery Psychiatry、Nov.1982、45(11)、1064−6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、反応潜時、無反応、異常反射収縮などのBCR反応の特徴を正確に検出する非侵襲性方法およびシステムであって、BCRのこのような特徴が可能性がある生理的および/または神経的機能不全に相関している方法およびシステムを有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(例えば、分節S2からS4までの)脊髄異常、膀胱排尿機能不全、および生殖器機能不全などの機能不全を特定/診断するツールとして筋反射(例えば、球海綿体反射)を測定するシステムおよび方法が本明細書に開示されている。特に、本明細書に開示されている新規のスクリーニング・システムおよび方法(本明細書では「スクリーニング・システ
ムおよび方法」と呼ぶ)は、機械的刺激を使用して筋反射の非侵襲性測定値を提供する。このような非侵襲性機械的刺激は、従来の測定技術ほど患者に痛みがなく、特定の例では、患者の筋反射を測定する従来の技術より反射測定値を得るのが容易であるので有利である。特に、患者に接触するための所定の接触部を含むプローブが提供され、プローブの接触部は患者の特定の部位(例えば、患者の生殖器)に接触するように移動されると、接触は患者の筋肉の1つまたは複数における反射を誘導する。したがって、プローブの接触部は、患者の反射を誘導する機械的刺激を与える。1実施形態では、プローブは、患者の皮膚の特定の部位に急におよび強制的に接触させられているプローブの接触部から得られる圧力を検出し、このような検出を使用して、特定の部位に近接して患者の皮膚上に置かれた複数の電極からの電気反応の捕捉を電子的に開始する。このような電気反応はその後、電極に隣接した1つまたは複数の筋肉の患者の反射の特徴を与えるために処理することができる。
【0016】
プローブの1実施形態では、患者接触部は、プローブの残り部分から取外し可能であり、それによって異なる患者に、異なる患者接触部が使用される。すなわち、プローブは、患者間で取換え可能な患者接触部を除いて、複数の患者で再使用可能である。さらに、患者接触部(または、異なる患者で使用可能でない場合はプローブ自体)は、筋反射収縮を示す電気反応のデータ捕捉(および、その後の処理)にプローブを使用することができるかどうかを特定するための、電気デバイスおよび不揮発性データ記憶を含むことができる。
【0017】
1つの特定の重要な実施形態では、本明細書に開示されたスクリーニング・システムおよび方法は、このような反射が陰核または陰茎の機械的刺激を介して会陰の球海綿体表面筋肉の活性により誘導される場合、球海綿体反射反応をミリ秒の単位で測定する。得られる反射測定値は、BCR無反応、BCR反応における長期の潜伏、長期のBCR反応、または繰返しの測定によって生じる一時的潜伏分散などのBCRにおける異常を検出するために使用することができる。上に示したように、このようなBCR異常は、分節S2からS4における脊髄損傷、膀胱排尿機能不全、および/または生殖器機能不全(例えば、陰萎)などの様々な患者機能不全を示すことができる。
【0018】
本明細書に開示した新規のスクリーニング・システムおよび方法の1実施形態では、長期にわたる球海綿体反射(例えば、45ミリ秒を超える)、または反射反応における過剰の潜時(例えば、45ミリ秒を超える)は、神経系疾患および/または神経系機能不全の兆候であると考えられる。例えば、長期のBCR反応は、骨盤底障害がある患者における骨盤神経損傷の適応症である可能性がある。したがって、本スクリーニング・システムおよび方法による結果を、骨盤底障害の診断および治療に使用することができる。
【0019】
本明細書に開示するシステムおよび方法は、機械的刺激の結果、神経および筋肉機能を決定するためのEMG(筋電図)試験用構成要素を含んでいる。特に、このような構成要素としては、球海綿体反射を測定する電極が挙げられる。このような電極は、基準電極および1対の感知電極を含んでいる。基準電極は、例えば、陰茎または陰核の機械的刺激中に、患者の皮膚に小さな電圧(例えば、1.0から3.5ボルトDCであるが、より好ましくは1.25ボルトDC)を加え、1対の感知電極は、機械的刺激による実際の球海綿体筋収縮または反射を検出するために使用される。電極2および4の第1の動作では、基準電極によって加えられる電圧は、患者の皮膚を通して流れるように、5マイクロアンペアから9マイクロアンペアの範囲であると普通は考えられる、小さな電流を誘導する。この電流範囲は、1〜10メガ・オームの推定皮膚抵抗と、基準および感知電極の定置に基づいている。特に、好ましい1実施形態では、基準および感知電極は、正三角形パターンまたは別の非共線配置で例えば1.27から3.81cm(0.5から1.5インチ)(より好ましくは2.54cm(1インチ))だけ対となって離れている。しかし、3.3
ボルトに加えてまたはその代わりに他の電圧を基準電極に加えることができることは、本開示の範囲内にある。特に、このような基準電圧は、スクリーニング・システムおよび方法の1つの作動から別の作動で変更することができる。
【0020】
電極2および4の動作の別の実施形態では、基準電極4が感知電極2に患者を通して流れる電流を与える代わりに、基準電極4が患者の電圧電位を調節するために使用される。1実施形態では、DC電圧源42から電極4までの出力は、±1.25ボルトなどの所定の範囲内の電圧電位を基準電極4に与えるように調節される。基準電極4での電位電圧がこのような所定範囲に調節されると、患者の(少なくとも測定されている筋反射の皮膚部位内の)電位電圧は、この所定の範囲から実質的に変化しない。当業者は、SEMG35がセンサ電極2間の電圧差を効果的に決定するために、電極2から測定される電圧は、SEMG35の特定の電気特性に依存する所定の範囲内になければならないことを理解するであろう。したがって、患者が、例えば静電気により受け入れられないほど幅広い範囲の電圧電位(例えば、±1,000ボルト)を最初に有する、および/または電流発生源に近接している可能性があるので、この基準電極電圧は、基準電極4が所定の範囲内の電圧を有し、それによって電極2での電圧が使用されている特定のSEMG35に対して許容範囲内にあることを期待することができることを保証するために、DC電圧源42の電気出力を調節することによって決定される。1実施形態では、電極2からSEMG35への許容電圧の範囲は±3.3ボルトである。1実施形態では、感知電極は、図2に示すように患者の直腸周りの9時および3時位置で患者の皮膚に位置決めすることができ、感知電極は例えば、患者の直腸から2.54から5.08cm(1から2インチ)の範囲内にあってもよい。加えて、患者電極は、患者の太腿内側、例えば患者の直腸から約10.16から20.32cm(約4から8インチ)に位置決めすることができる。
【0021】
電極2および4の第1の動作では、(上に記載したように位置決めされた基準電極の作動によって)患者の皮膚を通して流れるように誘導された電流は、その後、極めて小さい電圧電位を感知電極の間に発達させる。電極2および4の第2の動作では、小さな電位は、これらの筋細胞が収縮した場合に筋細胞によって生成される。電極2および4のどの動作が使用されるかに関わらず、感知電極間の電圧の小さな電位差は、計器用増幅器、または増幅器および(高域)フィルタ組合せを使用して、使用可能なレベルまで増幅される。この回路は、6174.72のゲインを有する標準的表面EMG増幅回路を利用し、その後、感知電極間の増幅された電位差のいくつかの部分と合計(混合)される。
【0022】
スクリーニング・システムおよび方法の1実施形態はまた、感知電極によって出力された信号から生成される分析情報を受ける1つまたは複数の診断演算モデル、および例えば、1つまたは複数のあり得る患者診断を決定する患者症状の表示を含むことができる。特に、このようなモデルは、BCR無反応、BCR反応における長期の潜伏、長期のBCR反応、一時的潜伏分散、BCRの振幅、BCRのグラフの積分などの分析情報を受けることができる。
【0023】
さらに、膝などの他の患者の身体部位からの反射(膝蓋反射)、および膣内刺激を示す電気信号を受けて分析するために、スクリーニング・システムおよび方法の1実施形態を利用することができることは、本開示の範囲内である。
【0024】
本開示の追加の特徴および利点は、これ以下の添付の図面および説明に開示されている。このような追加の特徴および利点は、新規であり非自明である範囲において、その開示がこの要約の部分に与えられている場合に関わらず、特許保護の適切な対象であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本明細書に開示された新規スクリーン・システムおよび方法の1実施形態を示す図。特に、図1は患者に定置される電極(図示せず)からBCR測定値を得るための新規装置の高レベル構成要素を示しており、プローブ10の展開図が示されている。
【図2】本明細書に開示された新規のスクリーニング・システムおよび方法によってBCRを測定するための電気信号を得るための、女性患者の上の感知電極2および基準電極4の1配置を示す図。
【図3】プローブ10aの展開図が示されており、新規スクリーニング・システムおよび方法の別の実施形態の構成部品を示す図。
【図4】プローブ10aが完全に組み立てられている、図3の実施形態を示す図。
【図5】(プローブ10を介して)加えられた刺激の大きさおよび位置、刺激に対する反応の時系列の大きさおよび時間、刺激および(1つまたは複数の)対応する反応を加える間の時間遅延が特に示されている、BCR測定値を見るための出力スクリーンを示す図。
【図6】本明細書に開示されたスクリーニング・システムおよび方法の別の実施形態のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に開示されたスクリーニング・システムおよび方法は、新規プローブ10によって行われる陰茎および陰核の機械的刺激を含んでおり、このプローブの第1の実施形態が図1に示されている。(展開図で示されている)図1のプローブ10の実施形態では、プローブは、ハウジングまたはハンドル11、圧電ディスクまたは隔壁12、刺激プランジャ13、プランジャ・ハウジング14、および圧縮ばね15を備えている。図1のプローブ10が組み立てられる場合、(刺激プランジャ13の)シャフト18は、プランジャ・ハウジング14の孔または開口22を通して延びるが、刺激プランジャ13の膨張部分24は開口22を通して嵌合することができないので、これによりこのプランジャが開口22から摺動するのを防ぐ。圧電ディスク12は、ハウジング11のほぼ円筒形の内部内の止め具26に対して着座している。圧縮ばね15は、圧電ディスク12と接触しないように刺激プランジャ13の開口端部30を偏倚させる。圧電ディスク12は、プローブ10の内部または外部にあってもよい電源によって電気的に作動される。図1は、プローブ10の1実施形態を示しており、当業者には理解されるような従来の方法で、ディスク12を付勢するためにハウジング11内に電池17がある。加えて、ディスク12と外部導電体38の間でプローブ10内に導電体19があり、ディスクに接触する対向端部30を示す信号は、これ以下により詳細に説明するように、増幅および電極2からのデータ捕捉の開始のために導電体19および38によって案内される。圧電ディスクの使用は、圧電ディスクがBCRが直面する極めて短い反応時間(例えば、普通は200ミリ秒未満)により必要とされる極めて迅速な反応時間を有するので、電極2からのデータ捕捉を開始するときを検出する他の機構上のプローブ10の実施形態にとって重要である可能性があることに留意されたい。
【0027】
極めて高いレベルでは、プローブ10を使用して、患者の陰核または陰茎に接触し、特に、プローブ先端34(上ではより一般的に「患者接触部」と呼んでいる)は、患者の陰核または陰茎に接触し、それによって患者の反射反応を誘導する。陰核または陰茎に接触しているプローブ先端34の検出は、圧電ディスク12に接触する刺激プランジャ13を示す電気信号を出力するプローブ10によって達成される。BCRはこのような接触に応えて、その後、患者の皮膚上に適切に位置決めされた電極2から出力される電気信号によって検出される。したがって、このような信号は増幅され、その後分析されて、増幅された信号の特徴(および/またはそのグラフ)を決定/特定し、このような特徴を使用して、患者の状態を特定する、および/または患者診断を行うことができる。
【0028】
圧縮ばね15、およびプランジャ・ハウジング14は、刺激プランジャ先端34が圧縮
ばね15の対向力を克服するのに十分な力で別の被験者(例えば、患者)と接触する場合、軸16に沿って、特に圧電ディスク12に向かって移動することしかできないように、刺激プランジャ13を保持する。したがって、刺激プランジャ先端34は、このような力で患者に接触し、それによって(ディスクが電気的に作動されながら)刺激プランジャ13は圧電ディスク12に接触し、ディスクはその形状を歪曲させ(例えば、屈曲させ)、圧電ディスク12に接触する刺激プランジャ13によって生じる機械応力により、電荷が圧電ディスク12の表面上に発達させられる。ディスク12が(接続部19および外部導体38を介して)増幅器36に電気接続されるので、ディスク上に誘導された電荷は、増幅のために増幅器によって検出される(少なくともいくつかの実施形態では、高域フィルタを介してフィルタリングもされる)。したがって、ディスク12は、患者と先端34の間の接触を検出するセンサとして働く。しかし、代替センサを使用して、先端34からディスク12への圧力の移動を検出することができる。特に、対向端部30は、ディスク12との接触を検出する感圧スイッチ(図示せず)を備えることができる。
【0029】
好ましい1実施形態では、プローブ10は、プローブを患者の陰茎または陰核に接触させて、球海綿体反射を開始するようにオペレータが手持ちすることができる。さらに、好ましい1実施形態では、患者の陰茎または陰核とのプローブ先端34の接触は、患者にとっていくらか予期しないことが好ましい急激な非侵襲性圧力誘導動作によって行われる。このような動作は、患者の膝反射の検査中に膝蓋反射を誘導することと同様である可能性がある。
【0030】
(例えば、プローブ内部の)電池17、または(例えば、プローブ外部の図示しない)変圧器を使用して、生殖器刺激が(孔22を通して延びる)シャフト18の先端34との接触により行われる場合に、端部30による接触を検出するようにディスク12を電気的に作動させることができる。
【0031】
電気的に作動された場合、このような振動をプローブ10の少なくともいくつかの実施形態では先端34に伝達することができ、このような圧電ディスク12は機械的または圧力振動(すなわち、図1の軸16と一致する方向の発振)を生成することができるが、任意のこのような振動は生殖器刺激を誘導する際に実質的に重要ではない。前記別の方法では、圧電ディスク12は、生殖器刺激のために患者に接触する場合に先端34の移動を検出するセンサとしてのみ使用される。しかし、このようなBCRを誘導する追加/代替方法はまた、本明細書に開示された実施形態の範囲内にある。例えば、プローブ先端34は振動性であり、それによって先端が最初に患者の陰核または陰茎と接触することができ、その後、振動動作を開始し、振動動作の開始の際、プローブ10は振動動作の開始を示す信号を出力することができる。特に、振動動作の開始の前のこのような接触は、比較的穏やかであり急激ではない可能性がある。このような振動動作は、適当な製造の圧電ディスク12によって行うことができると考えられる。
【0032】
増幅器36(例えば、EMG増幅器および高域フィルタ)は、生殖器刺激によって誘導されたディスク12上の検出電荷を増幅させる。増幅器36は、コンピュータ40への伝達のために、電圧ケーブル44上の対応する増幅反応信号を出力することによって反応する。コンピュータ40は、入力としてプローブ10の増幅信号を受けるようにプログラミングされており、電位が(例えば、DC電圧源42を介して)基準電極4に同時に加えられていると仮定すると、ケーブル44上の増幅プローブ信号はトリガとして働いて、表面筋電図(SEMG)ユニット35を介して増幅器36によって出力された増幅された電極2の信号をサンプリングし始めるために信号変換工程48を作動させる。コンピュータ40はその後、電極2からの増幅信号をサンプルの大きさを示す時系列の数に変換する。特に、接続部46a上に出力された増幅電極信号は、ワイヤ46b上の感知電極2(図1および2)から導き出された信号の差の増幅である。特に、SEMG35は、両方の電極2
から電圧信号を受け、増幅器36に出力される差分信号を形成する。
【0033】
図2に示すように、感知電極2は、患者の身体上の所定の位置、例えば患者の直腸周りの9時および3時位置に定置することができる。加えて、基準電極4は、図2にも示すように(例えば、電極2より生殖器部位に近い患者の股部位に)位置決めすることができる、またはいくつかの実施形態では、基準電極4は患者の太腿内側(例えば、患者の生殖器部位の15.24cm(6インチ)以内、より好ましくは10.16cm(4インチ)以内)に位置決めすることができる。
【0034】
プローブ10(およびいくつかの実施形態では、以下の他の部位で論じるようにプローブ先端のみ)は、単一の患者使用デバイス(すなわち、再使用不可能)である可能性がある、例えばプローブ(またはプローブ先端)は、少なくとも好ましい実施形態では、例えば30分などの延長された期間の間コンピュータ40に取り付けられた後に停止されることに留意されたい。このような延長期間は、スクリーニング工程に望ましい球海綿体反射の測定値を得るために十分な時間を、スクリーニング・システムおよび方法のオペレータに与える。プローブ10が電池式である場合、このような停止は1つまたは複数の電池を使い果たすことによって行うことができる、例えば、プローブが作動されると、電流は電池がプローブに電力を与えることができなくなるまで1つまたは複数の電池から流れ続けることに留意されたい。しかし、圧電ディスク12への電力を永久的に切断する停止スイッチをオペレータに操作させること、またはプローブの第1の作動で作動し、所定の時間が経過した後にプローブを停止させる電子タイマをプローブ10内に提供することなどの、このような電池を停止させる他の方法を使用することができることは、本開示の範囲内である。
【0035】
感知電極2によって出力される信号の差から導き出された増幅電圧信号は、コンピュータ40に、特に、信号変換工程48に与えられる。増幅電圧信号としては、SEMG35によって決定されるような、感知電極2間の電位(電圧)差を示す信号が挙げられる。
【0036】
しかし、代替実施形態では、ワイヤ46bは、その入力電極2の信号それぞれを単純に増幅および出力するために増幅器36に直接接続することができる。このような1実施形態では、信号変換工程48は、感知電極2の間の電位差を示す値を算出する。SEMG35は、本実施形態では必要ないことに留意されたい。
【0037】
増幅器36からの出力を使用して、信号変換工程48は、アナログ・デジタル変換を行い、接続部46a上の信号はサンプリングされ、デジタル化され、その後、デジタル化されたサンプルは、所定の経過時間にわたって増幅された信号の大きさを示す時系列の記録(例えば、一連の測定記録)を生成するために、算出処理に入力される。特に、各サンプリング期間では、接続部46aはサンプリングされ、得られるサンプルは、例えば0から4096の所定の範囲の数を決定するために使用され、数が大きくなれば大きくなるほど、BCRも大きくなり、異なる基準電極電圧からのこのような数は、確実に比較、合計、平均化、あるいは必要に応じて組み合わせることができる。さらに、このような所定の範囲の値はその後、当業者が理解されるように、0.0から1.0の範囲に標準化することができる。
【0038】
しかし、得られる時系列のBCR数がBCRと単調である代わりに、このような数をBCRに反比例させることができることは、本開示の範囲内である。したがって、1.0が上記ステップで算出されたように最大BCR反応を示す代わりに、0.0は最大BCR反応を示す。
【0039】
サンプリング間の期間は、例えば1.0ミリ秒であってもよいが、より小さいまたは大
きい代替期間は、本開示の範囲内である。
スクリーニング・システムおよび方法の1実施形態では、コンピュータ40とは別のアナログ・デジタル変換器は、信号変換工程48を行うために増幅器36から信号を受けることができる。
【0040】
しかし、アナログ・デジタル変換が行われるかどうかに関わらず、その後に、以下に記載した分析工程60が行われる。
分析工程60は、ディスプレイ・デバイス52(図1)、データベース(図示せず)、および/またはレポート生成器(図示せず)に出力されるBCR患者データを決定する際に有益である可能性がある。特に、分析工程60は、信号変換工程48から出力されたデジタル・データを備えている場合に、以下のBCR関連測定値の1つまたは複数を決定することができる。
【0041】
(a)ケーブル44上の反応信号の検出と、電極2からのBCR信号の開始の間の潜時
(b)電極2からのBCR信号の継続時間
(c)BCRの大きさまたは強度を示す値、および/または
(d)BCRの大きさまたは強度の減衰(例えば、予測大きさまたは強度と比較して)。
【0042】
加えて、以下に説明するように、分析工程60はまた、例えばすぐ上の(a)から(d)などの値の間の関連性、およびおそらく患者の症状の診断を決定することができる。
分析工程60の処理および出力をより十分に説明するために、分析工程からの出力56(図1、および特に図5)の代表的実施形態の説明を次に記載し、この出力56はコンピュータ40に動作可能に接続されたコンピュータ・ディスプレイ・デバイス52に与えられる。特に、図5を参照すると、グラフ62を表示することができ、水平軸(X)は経過時間(ミリ秒)であり、垂直軸は信号の大きさの値(0.0から1.0の範囲に標準化されていることが好ましい)を示している。グラフ62上の垂直線64によって特定された時間値は、ケーブル44上の反応信号から決定されるように、プローブ10からの患者刺激が加えられたことを検出したことを示している。その後の時間は、この刺激に応じたBCRの初期開始を示す垂直線66によって特定される。グラフ62のY(垂直)軸は、検出された筋肉(BCR)収縮の大きさを示している。この大きさは、0.0から1.0の範囲内で標準化され、1.0が最も高い大きさである。時系列の標準化BCR反応数は、グラフィカル署名68によって示されている。水平線72は、グラフ62を見るのを容易にするための基準線である。補助トレース74は、オペレータ基準のためのものでもある。特に、トレース74は、オペレータに電極2から受けた電圧信号およびケーブル44上で受けたプローブ信号のすべての変化の視覚的指標を与え、各変化がトレース74内の上向き移動によって示されている。トレース74の値は、以下の通り算出することができる。Yn=X・G、式中、G=1/4096、Xはn番目のBCR反応値であり、Yは次の時系列を標準化して示しており、Xは入力信号であり、Gは定数であり、nは開始から停止までの時間である。
【0043】
1実施形態では、線66の位置は、オペレータによって手動で割り当てられ、例えば、オペレータはオペレータがBCRの開始を最も示していると決定した位置にこの線を設定(および/または選択およびドラッグ)することが可能である。しかし、代替実施形態では、線66の位置は、スクリーニング・システムおよび方法によって、例えば、グラフィカル署名68が所定の経過時間の間に所定の閾値より上にある場合に初期時間を特定することによって推測することができる。
【0044】
患者の症状は、相互作用ボックス76に入力することができ、収集された患者データ、および/またはそこから導き出された測定値/特徴は、この症状と関連させることができ
る。したがって、症状の原因の実際の診断が複数の患者のそれぞれに対して決定されると、(i)このような実際の診断と、(ii)収集された患者データの症状および対応する測定値/特徴(例えば、患者グラフィカル署名68)の間で関連性を得ることができる。特に、このような関連性は、あり得る(ある場合)患者異常/診断を予測するための1つまたは複数の予測モデルの基礎となることができ、このような関連性は統計方法(例えば、回帰技術)、学習システム(例えば、ベクターマシン、および人工神経ネットワーク)、および/またはパターン・マッチング・システム(例えば、ファジー論理システムなど)の1つまたは複数によって形成することができる。特に、このような関連性は、以下のBCR測定値の1つまたは複数と共に症状識別にほぼ基づくことができると考えられる。
【0045】
(a)グラフィカル署名68(電極2からのBCR信号に相当)と、ケーブル44上の反応信号の検出の間の潜時
(b)グラフィカル署名68(電極2からのBCR信号に相当)の持続時間
(c)グラフィカル署名68(電極2からのBCR信号に相当)の大きさ
(d)グラフィカル署名68(電極2からのBCR信号に相当)の大きさの減衰。このような減衰は、例えば予測される大きさと比較してのものである。および/または
(e)検出可能なグラフィカル署名68(電極2からのBCR信号に相当)がないこと。
【0046】
別の方法では/加えて、信号変換工程48からの得られる時系列のデジタル・データ・ストリームは、(任意の)1つまたは複数の性機能、下部脊髄、および/または泌尿器不全の診断を仮定するための分析工程60の1実施形態に入力することができる。このような仮定は、以下に説明する1つまたは複数の仮説生成予測モデルによって生成することができる。
【0047】
もちろん、モデルがあり得る診断を特定しない場合、患者は仙骨神経叢完全性の欠如により生じる、仙髄損傷、または健全性神経障害(陰萎、慢性腰痛、便失禁)などの機能不全を有していない可能性があると結論付けることができる。
【0048】
このような1つの予測モデルでは、図5に示すような45ミリ秒を超える長期の球海綿体反射は、神経障害を示すと考えることができる。より正確には、このようなモデルは、仙髄損傷、健全性神経障害(陰萎、慢性腰痛、または椎間板疾患)、および馬尾損傷などの障害の1つを仮定することができる。1実施形態では、このように長期の球海綿体反射は、キャリブレーションまたは訓練工程によって決定され、時系列BCRデータはこのような神経障害を持つ患者から得られ、このようなデータはこのような障害を示すパラメータを決定するために使用される。
【0049】
加えて、このようなモデル(または別のモデル)はまた、異常BCR潜時を特定することができ、このような潜時は(例えば、50+ミリ秒の範囲内)は、糖尿病性神経障害、または他の神経性疾患進行どの障害を示す可能性がある。
【0050】
さらに、このようなモデル(または別のモデル)はまた、電極2からの信号をサンプリングするための所定のサンプル期間内でBCRの実質的欠如または減衰の指標に対応する出力を与えることができる。特に、このようなBCR欠如または減衰は、性機能不全、排尿機能不全、および大腸機能不全などの症状を示すことができる。したがって、減少したまたは欠如した仙骨神経叢反応などはあり得る診断であると考えることができる。グラフィカル署名68内のBCRの減衰はまた、特にこのような減衰が、例えば休息時の(1つまたは複数の)筋肉から出力される基線より上の2マイクロボルトに対応する閾値などの所定の閾値より下である場合に、球海綿体無反応として定量化することができることに留意されたい。
【0051】
患者の疾患を予測する(例えば、患者の(1つまたは複数の)症状を診断する)のに有効であると考えることができるグラフ62に関連する多くの測定値があり、様々なキャリブレーションまたは訓練工程を使用して、適当な診断を行う際に最も有効である測定値を決定することができる。信号変換工程48から受けたBCR患者データの測定/特徴に加えて、患者の症状を診断する際に有用である可能性があるいくつかの測定値は、グラフィカル署名68の積分、極小または極大値の数または大きさ、所定の値より下/上のグラフィカル署名68の範囲などである。
【0052】
様々な疾患/症状を仮定/診断する代わりに(またはそれに加えて)スクリーニングする原時点で開示されているシステムおよび方法の1実施形態では、グラフィカル署名68の上記統計または特徴のいずれかは、BCRデジタル・データ・ストリームから算出することができ、その後、検討および解釈するために技術者、看護士、または外科医に出力される。
【0053】
スクリーニング・システムおよび方法の1実施形態では、以下の評価の1つまたは複数を、信号変換工程48によって生成されるBCR時系列測定値の分析から得ることができる。
【0054】
(a)患者の脊髄分節S2からS4は損なわれていない。
(b)馬尾に損傷がある。
(c)例えば、患者によって主張される実際の慢性背痛の適応症。
【0055】
(d)生殖器刺激と得られる球海綿体反射の間の潜時が、通常の範囲内であり、(例えば、患者によって主張されているのと反対に)神経障害を示していない。
(e)生殖器刺激と得られる球海綿体反射の間の潜時が、異常であり、神経障害を示している。
【0056】
(f)BCR時系列測定値は、排尿機能不全、大腸機能不全を示している。および/または
(g)時系列測定値は、男性陰萎状態を示している。
【0057】
分析工程60によってレポートを生成することができ、レポートは患者の医療記録に入力するために印刷することができ、レポートは上で開示した情報のいずれかを含むことができる。
【0058】
プローブの別の実施形態が図3および4に示されており、上に記載したプローブ10の構成要素に機能的に対応する構成要素は、後に「a」を備えていることを除いて同じ数字標識によって特定されている。したがって、プローブは「10a」という標識によって特定されている。図3および4の1つまたは複数は以下のものを示している。
【0059】
(i)プローブ10aを保持するハンドル11a。
(ii)上に論じたのと同様の方法で患者の陰茎または陰核を刺激するように、先端34aから機械的圧力を少なくとも検出する圧電ディスク12a。
【0060】
(iii)患者の陰茎または陰核に接触する先端34aの得られる機械的移動を圧電ディスク12aに伝達するための刺激プランジャ13a。特に、プランジャ13aは先端34aおよび対向端部30aを備えている。
【0061】
(iv)その中に刺激プランジャ13aの少なくとも一部を保持するためにハンドル1
1aの端部に動作可能に取り付けられたプランジャ・ハウジング14a。プローブ10のプランジャ・ハウジング14と同様に、プランジャ・ハウジング14aは、刺激プランジャ13aのシャフト18aがこれを通して延びる開口または孔22aを備えており、刺激プランジャ13aは(刺激プランジャ13と同様に)、プランジャが開口22aを通して全体的に滑るのを防ぐ膨張部24aを備えていることに留意されたい。
【0062】
(v)圧電ディスク12aから刺激プランジャ13aを分離させるための圧縮ばね15a。特に、ばね15aの端部70は、圧力伝達ロッド78の端部74の上に嵌合し、ばね端部82はハンドル11aの長さにわたって延びる経路84内でプランジャ13aの対向端部30aに接触する。
【0063】
プローブ10aが完全に組み立てられると、圧電ディスク12aは座金86aとb(好ましくはプラスチック)の間に挟まれる。ディスク12aおよび座金86は、例えば、接着剤、噛合いねじ山、スナップ嵌め、または別の類似の固定機構によって、ハンドル11aの端部98に固定された圧電ハウジング94の内部90内に含まれる。端部キャップ102は、例えば内部90の開口114に隣接する頭部またはリセス110の上で半環状係止突起106をスナップ嵌めすることによって、内部90内にディスク12aおよび座金86a、86bを密封する。加えて、常に圧電ディスク12aの上に圧力を加えるテーパ状圧縮ばね118が、内部90に保持される。圧力伝達ロッド78が経路84内に位置決めされると、膨張されたヘッド122は座金86a内の中心開口に対して静止するが、膨張されたヘッドはこの開口を通して嵌合するには大きすぎる。
【0064】
プローブ10aの動作中、オペレータは、例えば陰核または陰茎への刺激先端の急激な下向き(好ましくは、少なくともいくらか予期しない)圧力によって、プローブ10aを作動させる。1実施形態では、電力が電力源、例えばハンドル11a内の(好ましくは、ディスク12aと座金86bの間に位置決めされている)電池17a、または外部電源(図示せず)からディスク12aに既に供給されている場合、患者の生殖器部位に接触することによるこのようなプローブの作動により、伝達ロッド78の端部74および対向端部30aは接触する(あるいは、先端34a移動の伝達のために構成される)。したがって、プランジャ・ハウジング14aの内部に向かう先端34aの移動により、ディスク12a上への圧力を増加させるために伝達ロッド78が移動させられ、このように圧力が増加した結果、追加の電荷が圧電ディスクの表面上で発達する。ディスク12aは増幅器36に(図示しない接続部、および外部導体38aを介して)電気接続されているので、ディスク上に誘導される電荷は増幅のために増幅器によって検出される。したがって、ディスク12aは、患者と先端34aの間の接触を検出するセンサとして働く。しかし、代替実施形態のセンサを使用して、先端34aからディスク12aへの圧力の伝達を検出することができることに留意されたい。特に、対向端部30aは、ディスク12aとの接触を検出する感圧スイッチ(図示せず)を備えることができる。
【0065】
別の方法では、患者の生殖器部位に接触することによるプローブ10aのこのような作動は、電源(例えば、電池17a、または外部電源)から圧電ディスク12aへの電流を開始し、それによってBCR反射の開始のためにディスクが伝達ロッド78に振動圧力を加えることができる。したがって、先端34aが陰茎または陰核に対して押されると、シャフト18aはプランジャ・ハウジング14aおよびハンドル11a内にさらにスライドし、それによってばね15aを圧縮し、したがってディスク12aからの振動圧力の結果、機械的振動が陰茎または陰核の刺激のために(シャフト18aおよび伝達ロッド78を介して)先端34aに伝達される。
【0066】
プローブ10と同様に、振動圧力が先端34aに伝達し始めた場合、ディスク12aに対して追加の圧力を加えるヘッド122によって生成された機械応力が、電荷をディスク
の表面上で発達させる。この電荷は、内部導体(図示せず)を介して外部導体38aに伝えられ、その後、検出された場合に増幅器36(例えば、EMG増幅器)に運ばれ、上に記載したように増幅される。増幅された信号は、上にも記載したようにコンピュータ40に(伝達ケーブル44)を介して伝達される。
【0067】
したがって、プローブ(10または10a)は、BCRへの(感知電極2を介した)電気反応を測定するのを開始するときを特定するために、電気信号を少なくとも提供する。
プローブ10および10aの上記各実施形態では、含まれるディスク(または他の振動生成要素)は、2Hzから20Hzの範囲、より好ましくは4Hzから10Hzの範囲、最も好ましくは約5Hzの周波数を有する振動を生成するために選択することができる。特に、本発明者らは、これらの範囲外の振動は患者への効果を減少させる、および/または痛みを伴なう可能性があることを見つけた。
【0068】
患者の生殖器部位に接触することによるプローブ(10または10a)の作動に加えて、プローブは作動スイッチ(例えば、ボタン・スイッチ124、図3)を備えることができ、このようなスイッチを押す(あるいは操作する)ことにより、電流がディスク12aに流れるように誘導し、ディスクへの電位を与えることに留意されたい。このようなスイッチは、プローブの電気的機構を作動させることしかできず、このような機構の電源を切ることは可能ではない。したがって、上に記載したように、電池式実施形態のプローブは、例えば1つまたは複数の切れた電池により機能しなくなる前に、所定の時間だけ使用することができる。しかし、別の患者でのプローブの再使用を禁止するために他の機構を使用することもできる。例えば、停止タイマをプローブ内に組み込むことができる。
【0069】
含まれたディスクが振動活性状態にあるプローブの実施形態では、プローブに電源が入れられると、このような振動(またはその欠如)は、プローブが前に使用されたかどうかに関するオペレータに対する指標となることができることに留意されたい。例えば、作動スイッチの作動の際、オペレータは(例えば、切れた電池による、および/または作動スイッチがプローブに電力を与えるために前に使用されたことの検出などにより)ディスク12または12aからの振動反応を感知せず、その後、オペレータは、プローブが少なくとも機能していなく、前に使用された可能性があることが警告される。
【0070】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、プローブ(10または10a)は、プローブが前に使用されたことをオペレータに通知するための発光ダイオードを備えることができる。例えば、前に作動されなかった機能プローブでは、ボタン・スイッチ124がプローブを電気作動させるために押された場合に、このようなダイオードは作動され、プローブを停止させ、プローブが再作動されるのを防ぐ所定のプローブ状態が生じるまでこのようなダイオードは発光する。
【0071】
プローブ(10または10a)の実施形態はまた、経過時間だけでなく、プローブ先端がプローブ・ハウジングの内部に向かって押し下げられた回数に基づき、その再使用を禁止することができる。例えば、プローブ作動の所定の最大経過時間内でプローブ先端を例えば5回押し下げることによって、プローブが別の患者で再使用されないという追加の保証を与えることができる。
【0072】
次に図6を参照すると、スクリーニング・システムおよび方法の1実施形態のより詳細な図が開示されている。上に記載した構成要素とほぼ同一の機能を有する、図6に記載した構成要素(およびその通信)は、「x」を後に付けた上記構成要素の数字で特定されている。さらに、図6に示すプローブ10xの1実施形態は、プローブ10または10a、または他の実施形態の1つであってもよい。図6の実施形態の構成要素、通信、およびデータ処理は、以下の項目(1)から(7)で説明する。
【0073】
(1)図6の実施形態に示された構成要素の説明
(1−1)球海綿体反射刺激(BRS)外部電源104は、BRSモジュール108(以下に記載)に24ボルトのDC電力を供給するために使用される、医療グレード電源である。
【0074】
(1−2)プローブ10xを使用して、上に前の実施形態で説明した方法で、生殖器刺激を管理および測定する。プローブ10x内の先端34xは交換可能であり、IDチップ112を含むことができる。IDチップ112を使用して、以下にさらに説明するように、その先端34xが2回以上使用されるのを防ぐ(例えば、2人以上の患者に使用されるのを防ぐ)。したがって、プローブ10x全体が異なる患者で再利用不可能である代わりに、プローブ先端34xだけが再利用不可能である。プローブ10xは、(図1に開示し、上に記載したSEMG35および増幅器36の組合せとほぼ同一の機能を有する増幅器/フィルタ36xを備えた)BRSモジュール108とインターフェイス接続している。特に、増幅器/フィルタ36xは、電極2から信号を受ける表面EMG増幅器/フィルタ116と、(ケーブル38xを介して)プローブ10xの作動を示す信号を受ける刺激プローブ増幅器120とを備えている。増幅器116および120は両方とも、以下に説明する。
【0075】
(1−3)プローブ先端34x内に設けられたIDチップ112は、プローブ先端が前に使用されて患者に接触したかどうかを決定するために、データを、またそうである場合、この最初の使用からの経過時間をBRSモジュール108に出力することができる。1実施形態では、このようなデータとしては、プローブ10xが最初に作動された時間および日付が挙げられ、または前に使用されていない場合、このようなデータとしては、ゼロなどの所定の値を挙げることができる。したがって、IDチップ112は、(ある場合、プローブ先端の最初の作動の最初の日付および時間だけである可能性がある)プローブ先端の作動履歴を示すデータを記憶するための不揮発性データ記憶装置を備えている。1実施形態では、このような作動履歴としては、各作動の時間および日付、および/または各作動の経過時間を挙げることができる。IDチップ112は、プローブ10xがBRSモジュール108に動作可能に接続される毎に作動させることができることに留意されたい。特に、データはIDチップ112を作動させるためにMCU128プロセッサ(以下に記載する)から導体160aおよび160b上で通信され、それによってプローブ先端34xを次の患者接触に使用することができるかできないかを認識してMCUに応答する。したがって、プローブ先端34xを使用することができないというIDチップ112による認識により、MCU128はプローブ10xからのデータ収集を少なくとも防ぐコマンドを発し、好ましくは、この先端を有するプローブはこのようなデータ収集に使用することができないという表示をオペレータに与える。プローブ非使用のこのような表示を与えるための様々な方法があり、例えば、プローブを使用することができない場合に赤いLCDが点灯し、プローブを使用することができる場合に緑のLCKが点灯するような、BRSモジュール108上の視覚表示を使用することができる。代替の/追加の視覚および/または聴覚表示はまた、本開示の範囲内である。したがって、(その電流プローブ先端34xを備えた)プローブ34xを動作可能に使用することができるかどうかを示すために、アイコンおよび/またはテキスト情報を、オペレータに視覚的に提示することができる。別の方法では/任意選択では、(その電流プローブ先端34xを備えた)プローブ34xを動作可能に利用することができるかどうかを示すために、合成スピーチまたは様々な音声を使用することができる。
【0076】
(1−4)BRSモジュール108は、BRSコンピュータ40xと両方の患者に加えられたプローブ10xおよびEMGリード(図6では集合的に46xと示す)の間のインターフェイス・ユニットである。BRSモジュールのサブシステム/構成要素は以下の通
りである。
【0077】
(1−4.1)マイクロ・コントローラ・ユニット(MCU)128
MCU128は、BRSモジュール108内のデータおよび通信を制御および監視するマイクロプロセッサである。MCU128は、以下の機能に対するファームウェアを含んでいる。
【0078】
a.USBインターフェイス132を介したBRSコンピュータ40xと接続および通信する。
b.MCU128に命令する際、(電極2からの増幅した電圧差をデジタル・データに変換する)表面EMGアナログ・デジタル変換器136、および(増幅したプローブ作動信号をデジタル・データに変換する)刺激プローブ・アナログ・デジタル変換器140からデジタル・データを収集する。MCU128はその後、USBインターフェイス132を介してBRSコンピュータ40xにこのようなデジタル・データを送信する。
【0079】
c.24ボルトの電源104を監視し、USBインターフェイス132を介してBRSコンピュータ40xへこの電源の状態を通信する。
d.プローブ先端が30分を超えて使用されないことを保証するために、刺激プローブ先端34x内のICチップ112を読み取り、更新する。
【0080】
(1−4.2)絶縁DC/DC変換器144
絶縁DC/DC変換器144は、絶縁された−3.3V、+3.3Vおよび5VのDC電力を患者の接続構成要素に供給する。1実施形態では、このような変換器は、Datel UWR−5/2000−D24E−C Murata NDTD0503C、または当業者には理解されるように同様の構成要素であってもよい。
【0081】
(1−4.3)絶縁バリア148
絶縁バリア148は、AC電源接続電力および患者接続電力の間に必要な沿面距離および間隙距離を与える。
【0082】
(1−4.4)電力検出器152
電力検出器152は、電源104から24ボルトの電源装置の状態を監視するために、マイクロプロセッサMCU128によって使用される。
【0083】
(1−4.5)デジタル光アイソレータ156
デジタル光アイソレータ156を使用して、患者接続電子部品(すなわち、電極2および4)とUSB電源電子部品(すなわち、コンピュータ40x)の間の絶縁を行う。光アイソレータ156により、MCU128は導体160aおよび160bによって与えられる1つのワイヤ・インターフェイスを介してアナログ・デジタル変換器136および140、および刺激プローブ先端34x内のチップ112と通信することが可能になる。
【0084】
(1−4.6)刺激プローブ増幅器/フィルタ120
刺激プローブ増幅器/フィルタ120は、A/D変換器140によって読み取ることができるレベルまで刺激プローブ10xからの信号を増幅させ、フィルタリングする。MCU128は、A/D変換器140のアナログ・デジタル変換工程を制御する。
【0085】
(1−4.7)刺激プローブA/D(アナログ・デジタル)変換器140
A/D変換器140は、MCU128が読み取り、その後分析のためにコンピュータ40xに送信するデジタル値に入ってくる増幅刺激プローブ10x信号を変えるアナログ・デジタル変換器である。MCU128は、A/D変換器140のA/D変換工程を制御す
る。
【0086】
(1−4.8)表面EMG増幅器/フィルタ116
表面EMG増幅器/フィルタ116は、A/D変換器136によって読み取ることができるレベルまで、電極2からの電圧信号を増幅させ、フィルタリングする。
【0087】
(1−4.9)表面EMGA/D(アナログ・デジタル)変換器136
変換器136は、MCU128が読み取り、その後分析のためにコンピュータ40xに送信するデジタル値に入ってくる増幅表面EMG信号を変えるアナログ・デジタル変換器である。
【0088】
(1−4.10)信号コンディショナ164
信号コンディショナ164は、IDチップ112と通信する1ワイヤ・インターフェイス160bへ/からMCU128からの2ワイヤ・インターフェイス160aを変換する。
【0089】
(1−5)コンピュータ40x
コンピュータ40xは、表示のためのユーザ・インターフェイス、例えば上に記載した図5に示すようなディスプレイを提供する。コンピュータ40xは、USBインターフェイス132を通してBRSモジュール108と通信する。コンピュータ40xは、少なくとも以下の機能のためのカスタム・アプリケーションを含んでいる。
【0090】
a.電源オン(より一般的には作動状態)に関するBRSモジュール108からの状態情報、プローブ先端IDチップ112情報(例えば、BCR時系列値、IDチップ状態など)を得るための情報を通信し、受けること。
【0091】
b.刺激プローブ10xからデータを取得するためにBRSモジュール108にコマンドを送信すること。
c.オペレータに表示するために、(構成要素116、136、156および128を含む)表面EMGデータ経路から、および(構成要素10x、38x、120、140、156および128を含む)刺激プローブ・データ経路からのデータをグラフにするおよび/または分析すること。行われるグラフ化および/または分析は、分析工程60(図1)および図5のユーザ・インターフェイスに関して、上に記載したようなものであってもよい。
【0092】
d.患者刺激の開始時間を決定するために刺激プローブ10x信号を処理する。
e.オペレータが患者および外科医情報を入力することができるようにする。
f.後の検討および分析のために試験ケース・データを記憶すること。
【0093】
g.オペレータによって指示されたレポートを印刷すること。
(1−6)プリンタ168
プリンタ168は、患者の症例に関するレポートを印刷するためにコンピュータ40xによって使用される。
【0094】
(2)BRSモジュール108におけるデータの高レベル処理
(構成要素116、136、156および128を含む)表面EMGデータ経路、および(構成要素10x、38x、120、140、156および128を含む)刺激プローブ・データ経路それぞれでは、入ってくるアナログ・データを処理するために使用される高レベル・アルゴリズムを以下のように単純化することができる。
【0095】
(a)(A/D変換器136および140によって行われる)RMS検出器工程の後に、(構成要素116および120によって提供される)増幅器および高域フィルタにアナログ・データを最初に入力する。
【0096】
(b)(コンピュータ40xによって行われる)工程にすぐ上の(a)からの出力を提供する。ここで、データはすべての他のサンプルを単純に保存することによって、2KHzサンプル・レートから1KHzサンプル・レートまで縮小される。
【0097】
上記各経路によって与えられる信号は、コンピュータ40x(またはそれに動作可能に接続されたデータベース)に記憶される前に、それ自身のフィルタおよびRMS検出器およびデシメータを通過する。
【0098】
(2−1)実施
各高域フィルタは、10Hzの遮断周波数、および0%の通過帯域リップルを有する4ポール・バターワース・フィルタとして実施される。各RMS検出器は、限りある数の逐次サンプルに対して二乗平均平方根アルゴリズムを使用して実施される。
【0099】
(3)フィルタ・アルゴリズム
増幅器/フィルタ36xで使用される各フィルタは、0%の通過帯域リップルに対して最適化された、あるいはバターワース・フィルタとして知られているチェビシェフ・フィルタであってもよい。各フィルタは、HR(無限インパルス応答)フィルタとも呼ばれる、巡回フィルタの形である。回帰フィルタの詳細な説明および実施については、カリフォルニア・テクニカル・パブリッシング社(California Technical Publishing)によって発行された、スティーブン ダブリュー、スミス(Steven W.Smith)のthe Scientists and Engineers Guide to Digital Signal Processing、19章および20章を参照のこと。
【0100】
(3−1)実施
当業者には理解されるように、各フィルタは以下の等式の実施形態を利用している。
y[n]=ax[n]+ax[n−l]+ax[n−2]+ax[n−3]+...+ax[0]+bx[n−l]+bx[n−2]+bc[n−3]+ .
..+bx[0]
式中、0≦i≦nであり、aは入ってくる信号の帰納係数であり、bは前の出力信号の回帰係数であり、x[i]は入ってくる信号であり、y[i]は出力信号である。
【0101】
(4)RMSアルゴリズム
RMS(二乗平均平方根)アルゴリズムは、連続変更関数に対する一連の個別の値に対して算出される、様々な数量(例えば、信号)の大きさの尺度である。BRSソフトウェアは、入ってくる信号をオペレータによる分析が容易になるような大きさに(波とは反対に)変換するためにRMSアルゴリズムを使用する。関数の循環小数は、オペレータによって構成可能である。RMSアルゴリズムのより詳細な説明は、http://en.wikipedia,org/wik/Root_meansquareを参照のこと。
【0102】
(5)刺激マーカ検出器アルゴリズム
刺激マーカ検出器アルゴリズムは、50ミリ秒ウィンドウ内で1%±0.1%の信号振幅の変化を探す、(ケーブル38xを介して受けた)刺激プローブ時系列をスキャンする。この閾値を超えるt+50での振幅の変化が検出された場合、マーカは刺激プローブ・データ経路のデータ・ストリーム内に置かれ、マーカは時間tに対応している。マーカが検出されると、このアルゴリズムは1.5秒の期間の間中止される。
【0103】
(5−1)実施
時間記録(マイナス50ミリ秒)の各サンプルでは、以下のステップを行う。
(5−1.1)50ミリ秒まで現在の位置の前にスキャンを行う。
【0104】
(5−1.2)刺激信号の大きさが基準を満たしている場合、刺激プローブ・データ経路のデータ・ストリーム内にマーカを置く。
(5−1.3)1.5秒間追加のマーカ定置を中止する。
【0105】
以上の開示および添付の図面から、当業者は本スクリーニング・システム、特にプローブ(10および/または10a)を製造することができると考えられる。特に、図1および3は、プローブの実施形態の構成要素がどのように組み立てられるかに関して効果的に表示していると考えられる。
【0106】
本明細書に開示した新規のシステムおよび方法は、大人および子供の排尿障害、および神経的病因が疑われる場合の勃起障害の評価において重要である。本開示の様々な実施形態を詳細に記載したが、本明細書に開示した実施形態のさらなる変更形態および適応形態も当業者は思いつくことが明らかである。このような変更形態および適応形態は、本開示の精神および範囲内にあることをはっきりと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の反射を測定する装置であって、
患者接触部を備えた電気機械アセンブリと、患者の所定の身体部位に前記患者接触部を接触させるために前記アセンブリに動作可能に取り付けられたハウジングと、を有するプローブを備え、
前記患者接触部は、前記所定の身体部位に接触する場合に機械的反応を与えるように構成されており、
前記機械的反応は、前記接触を示す電気的反応を生成するように前記プローブ用のセンサを作動させ、
前記電気的反応を使用して、患者の皮膚上に置かれた複数の電極からの電気的反応の集積を特定し、前記集積は患者の反射を示し、
(a)前記機械的反応と前記集積との間の時間遅延、(b)前記集積に関する継続時間、(c)前記集積の少なくとも1つの電気的反応の大きさを示す値、および(d)前記集積の電気的反応の減衰、の少なくとも1つを表す情報が決定される装置。
【請求項2】
前記身体部位は、患者の陰茎または患者の陰核を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記患者の反射は、球海綿体反射を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アセンブリは、前記患者接触部に伝えられる振動を生成する圧電ディスクを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記センサは、前記圧電ディスクを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記機械的反応は、前記圧電ディスクの電気特性に影響を与える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記プローブは手持ち式である、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記アセンブリは、電気機械要素と、該電気機械要素に接触しそれによってその先端から前記電気機械要素まで機械的移動を伝達する伝達機構と、を含み、前記患者接触部が前記身体部位と接触する場合に前記伝達機構は前記電気機械要素と接触させられる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記接触は非侵襲性である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記電極の第1および第2の電極は、患者の直腸のほぼ対向側で、これに隣接して置かれている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記接触部は前記ハウジング内の開口を通って延び、前記接触部が前記身体部位に接触する場合に、同接触部は前記アセンブリの電気機械振動要素から前記身体部位までの振動の伝達をもたらすように移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記プローブは、前記プローブを電気的に作動させるスイッチを含み、該スイッチは前記プローブを電気的に停止させることができない、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記プローブは、前記プローブの作動の履歴を示すデータを記憶するデータ記憶装置を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記データ記憶装置は、前記患者接触部内に含まれている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの予測モデルを作動させるための分析工程をさらに含み、前記集積から導き出されたデータを受け取ったとき、前記モデルは、前記患者の前記BCR反応を決定するために前記データを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの予測モデルは、患者診断と、少なくとも(a)から(d)を表す集められた情報と、の間の関連性を使用する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記情報は、(a)を表すものである、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記情報は、(b)を表すものである、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記情報は、(c)を表すものである、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記情報は、(d)を表すものである、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記振動アセンブリは、410Hzから20100Hzの範囲で振動する、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
患者の反射を測定する方法であって、
患者接触部を備えた電気機械アセンブリと、患者の所定の身体部位に前記患者接触部を接触させるために前記アセンブリに動作可能に取り付けられたハウジングと、を有するプローブを提供することを備え、
前記機械的反応は、前記接触を示す電気的反応を生成するように前記プローブ用のセンサを作動させ、
前記電気的反応を使用して、患者の皮膚上に置かれた複数の電極からの電気的反応の集積を特定し、前記集積は患者の反射を示し、
(a)前記機械的反応と前記集積との間の時間遅延、(b)前記集積に関する継続時間、(c)前記集積の少なくとも1つの電気的反応の大きさを示す値、および(d)前記集積の電気的反応の減衰、の少なくとも1つを表す情報が決定される方法。
【請求項23】
球海綿体の反射を測定するプローブを製造する方法であって、
圧力を検出する電気機械部材を、患者接触部に力が加えられた場合に伝達機構の患者接触部から機械的圧力を伝達する伝達機構と位置合わせすることであって、ハウジングは伝達機構の少なくとも一部を囲むことと、
前記圧力が前記電気機械部材に伝達されるのを防ぐべく、前記伝達機構の少なくとも一部を付勢する付勢要素を提供することであって、前記付勢要素の付勢は力が前記患者接触部に加えられた場合に克服されることと、
前記患者接触部からの圧力の伝達を示す信号を、前記電気機械部材から伝達する導体を提供することと、
を含み、
前記患者接触部と患者の所定の身体部位との接触が起こるように前記プローブが位置決めされると、前記接触により前記電気機械部材に圧力が加えられ、
前記信号を使用して、患者の皮膚上に置かれた複数の電極からの電気的反応の集積を特定し、前記集積は球海綿体の反射を示し、
(a)前記反応と前記集積との間の時間遅延、(b)前記集積に関する継続時間、(c)前記集積の少なくとも1つの電気的反応の大きさを示す値、および(d)前記集積の電気的反応の減衰、の少なくとも1つを表す情報が決定される方法。
【請求項24】
前記電気機械部材は、圧電要素を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
球海綿体の反射を測定する方法であって、
電気機械アセンブリと、該電気機械アセンブリの患者接触部を位置決めさせるために前記アセンブリに動作可能に取り付けられたハウジングと、を有するプローブを提供することと、
前記患者接触部と所定の患者生殖器部位との接触が起こるように前記プローブが位置決めされると、前記接触により前記電気機械アセンブリからの圧力は、前記球海綿体の反射を誘導するように前記生殖器部位に伝達されることと、
前記接触を示す電磁反応を生成するように前記プローブ用のセンサを作動させることと、
前記反応を使用して、前記生殖器部位に近接する患者の皮膚上に置かれた複数の電極からの電気的反応の集積を特定することであって、前記集積は前記球海綿体の反射を示すことと、
(a)前記反応と前記集積との間の時間遅延は情報を伴って出力されること、(b)前記集積に関する継続時間、(c)前記集積の少なくとも1つの電気的反応の大きさを示す値、および(d)前記集積の電気的反応の減衰、の特徴の少なくとも1つを表す情報を出力することと、
前記プローブの作動の履歴を示すデータを同プローブに記憶することと、
を含む方法。
【請求項26】
前記接触が、前記患者接触部を前記ハウジングに対して移動させる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
所定の期間内に所定の1つまたは複数の作業をオペレータが行うことによって、前記電気機械アセンブリの前記作動を開始する工程をさらに含み、
前記所定の期間後、前記作業の繰返しは、前記電気機械アセンブリを再び動作可能に作動させない、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記作業の繰返しは、電池故障により電力を与えない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者を診断するための少なくとも1つの算出モデルを作動させる工程をさらに含み、前記モデルは、前記患者の診断を決定するために患者症状の特定と組み合わせて前記特徴の少なくとも1つを使用する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記モデルは、前記特徴(a)から(d)の複数を使用する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記特徴(a)から(d)の各々を決定する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−540109(P2010−540109A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527156(P2010−527156)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/077763
【国際公開番号】WO2009/042818
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(510081470)ウローバル インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】UROVAL,INC.
【Fターム(参考)】