説明

患者の組織と接触することを意図された医療装置及び関連する製造方法

【課題】医療装置、詳細には、満足のいく密封及び止血特性を保ちながら適切な機械的構造を有する人工血管を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、酸化セルロースを含まない繊維を有する。本体12は、酸化セルロースを含む繊維を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化セルロースを含まずに提供された繊維を有する本体を含む、患者の組織と接触することを意図された医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような医療装置は、例えば人工器官又は血管内人工器官、誘導型組織再生膜、チューブ、セッティングプレート、透析カテーテル、かん流カテーテル、輸液用カテーテル、人工栄養カテーテル、経皮インプラント、生体組織工学用格子、ミクロ及びマクロ多孔質代用骨、代用脳硬膜、細胞療法マトリクス、縫合糸、医療用包帯又は血管パッチを形成することを意図されている。
【0003】
特許文献1から公知であるのは、チューブ状人工血管を形成する上述のタイプの医療装置である。
【0004】
人工血管は一般に組織又は堅く編成されたファブリックで作られている。移植する前に、これらの人工血管は装置の生体適合性及び密封の両方を確保するコーティングで被覆される。
【0005】
このコーティングは例えば、コラーゲン、ゼラチン又は生体吸収性ポリマーを含む別の組成物をベースとして形成される。
【0006】
人工血管は、ひとたび体内に移植されると、血液を輸送して、閉塞した又は破壊された血管に置換わることを意図されている。
【0007】
この目的で、コーティング層は、人工器官がひとたび移植された時点で密封を維持するように細胞が織物基材の壁にコロニー形成する前に人工器官の密封を保証する。
【0008】
このために、外科医が人工器官を縫合した後に血圧を回復させる時、コラーゲンコーティングは血液が人工器官ニットのメッシュを通過して滲出するのを防ぎ、こうして患者が過剰に失液しないようになっている。
【0009】
このような人工器官は、特に密封に関して、完全に満足のいくものである。
【0010】
それでもなお、一部の場合においては、優れた密封及び優れた機械的特性を保ちながら動物由来のコーティングを排除することが有用であるかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許第2742042号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の1つの目的は、医療装置、詳細には、満足のいく密封及び止血特性を保ちながら適切な機械的構造を有する人工血管を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のため、本発明は、本体が酸化セルロースを含有する繊維を含む上述のタイプの医療装置に関する。
【0014】
本発明に係る装置は、単独で又は技術的に考えられる全ての組合せにしたがって考慮された以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
酸化セルロースを含まずに提供された繊維の少なくとも一部分は、酸化セルロースを含有する繊維と集成されて少なくとも1本の複合糸を形成し、複合糸は編組、製織又は編成されて本体を形成する。
酸化セルロースを含有する繊維は少なくとも1つの第1の糸を形成し、酸化セルロースを含まない繊維は少なくとも1つの第2の糸を形成し、第1及び第2の糸は編組、製織又は編成されて本体を形成する。
本体(12)は不織布である。
不織布本体の繊維は好適な方向に配向されている。
酸化セルロースを含まない繊維は、酸化セルロースを含まずに提供された合成ポリマー及び天然ポリマーから選択される。
酸化セルロースを含まない繊維は、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ハロゲン化ポリマー、ポリエステル類、ポリウレタン類、フッ素化ポリマー、ポリ酪酸又はポリグリシジル酸又は混合物からなる群由来の1つのポリマーから形成されていることを特徴としている。
酸化セルロースを含有する繊維中に含有された酸化セルロースは官能基により官能化されている。
酸化セルロースはアンヒドログルコース単位の炭素6によって主として支持されているカルボキシル基を含み、カルボキシル基は官能基により官能化されている。
官能基は、生体反応性作用物質、例えば抗凝結剤、抗血栓症薬、抗分裂剤、抗増殖剤、抗接着剤、抗移動剤、細胞接着促進剤、成長因子、抗寄生虫分子、抗炎症剤、血管形成剤、血管形成阻害薬、ビタミン、ホルモン、タンパク質、抗真菌剤、抗微生物分子、防腐剤、架橋剤、造影剤から選択される。
本体はチューブ又はシートを形成する。
本体は、有利には血液に対し密封された液密壁を画定している。
装置は人工器官又は血管内人工器官、誘導型組織再生膜、チューブ、セッティングプレート、透析カテーテル、かん流カテーテル、輸液用カテーテル、人工栄養カテーテル、経皮インプラント、生体組織工学用格子、ミクロ及びマクロ多孔質代用骨、代用脳硬膜、細胞療法マトリクス、縫合糸、医療用包帯又は血管パッチを形成する。
【0015】
本発明は同様に、患者の組織と接触することを意図された医療装置の製造方法において、酸化セルロースを含まない繊維と、酸化セルロースを含む繊維とを含む本体を生産するためのステップを含むことを特徴とする方法にも関する。
【0016】
本発明に係る方法は、単独で又は技術的に考えられる全ての組み合わせしたがって考慮された以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
この方法は、
酸化セルロースを含まない繊維及び酸化されることを意図されたセルロースを含む繊維を提供するステップと、
酸化セルロースを含まずに提供された繊維及び酸化されることを意図されたセルロース繊維から本体(12)を形成するステップと、
酸化セルロースを形成するべく本体の形成後に、酸化されることを意図されたセルロース繊維を選択的に酸化するステップと、を含む。
この方法は、本体の形成前に、酸化セルロースを含まない繊維及び酸化されることを意図されたセルロース繊維を含む少なくとも1つの複合糸を組成するステップと、複合糸を編組、編成又は製織して本体を形成するステップとを含む。
本体の形成には、酸化セルロースを含まない繊維から形成された少なくとも1本の第1の糸及び酸化されることを意図されたセルロース繊維から形成された少なくとも1本の第2の糸を提供するステップと、次に第1の糸を第2の糸と共に編組、製織又は編成して本体(12)を形成するステップとが含まれる。
この方法には、酸化ステップの後に、官能基により酸化されたセルロースの少なくとも部分的な官能化が含まれる。
【0017】
本発明は、単なる例として提供され添付図面を参照して行なわれる以下の説明を読んだ時点でより良く理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】人工血管を形成する本発明に係る第1の医療装置の側面図である。
【図2】本発明に係る医療装置を製造する方法の異なるステップを示す機能的総括ダイヤグラムである。
【図3】本発明に係る第2の医療装置の、図1に類似の図である。
【図4】例えば包帯ガーゼ又は血管パッチを形成する本発明に係る第3の装置の、図1に類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る第1の医療装置10が図1に示されている。
【0020】
本発明によると、第1の医療装置10は、酸化セルロースを含まない繊維と酸化セルロースを含有する繊維を含む本体12を含む。
【0021】
この実施例では、本体12は例えば、製織、編組又は編成された糸をベースとして作られたファブリックから形成されている。以下で記述する一変形形態においては、本体12は、互いに連結された繊維を集成することにより作られた不織布である。
【0022】
本体12は、巨視的物体、すなわち少なくとも1つの寸法が5mm超、好ましくは少なくとも1cmに等しい物体である。
【0023】
酸化セルロースを含有する繊維は、−(C6105n−という一般式を有するセルロース繊維から得られる。公知の要領で、セルロースは多糖類の部類に属するホモポリマーである。これは、グリコシド結合β−1,4により連結されたグルコース分子の線状鎖から形成される。
【0024】
「酸化セルロース」とは、以下でわかるように、本発明の意味合いにおいて、アンヒドログルコース単位の炭素6により支持された第1級アルコール基の少なくとも一部分がカルボン酸中で酸化されており官能化されていてよいセルロースのことである。
【0025】
酸化セルロースの酸化度は1%超である。好ましくは、この酸化度は1%〜25%、好ましくは5%〜20%、そして有利には12%〜18%である。
【0026】
本明細書に関連して、部分的に酸化されたポリマー系材料の「酸化度」は、百分率で表わされた前記材料100g中に含有されているカルボン酸基の質量を意味する。
【0027】
酸化度は、以下のプロトコルにしたがって、米国薬局方(USP、1990)により推奨されているカルシウム交換方法(Sobue and Okubo、1956)に準じた滴定法により決定することができる。
【0028】
250mL入りの三角フラスコ中に、分析すべき部分酸化セルロース組織0.10gを導入し、50mLの精製水と30mLの0.5N酢酸カルシウム溶液を添加する。軌道ミキサー上で混合物を3時間撹拌する。
【0029】
30mLの試料を回収し、フェノールフタレインの存在下でNaOH水溶液(0.01N)を用いて滴定する。消費したNaOHの体積を酸化セルロースを含有しない対照試料と比較することによって、この体積を補正する。
【0030】
対応するカルボン酸官能基の同等の量を、酸化度と関係づけする。%単位で表現される酸化度は、以下の式を用いて計算される。
【数1】

なお式中、
N(mol/L)はNaOH溶液の規定度である(ここでN=0.01mol/L)、
V(L)は、試料を滴定するために消費されるNaOH溶液の体積である、
COOH(g/mol)は、カルボン酸官能基のモル質量(MCOOH=45g/mol)である。
tissu(g)は、分析された部分酸化セルロース組織の質量(m=0.10g)である。
【0031】
「繊維」という用語は、束の形をとるフィラメント状基本構成として理解される。詳細には、繊維と発泡体とは、繊維がその幅より大きい長さ、有利にはその幅の10倍超の長さを有するという点で異なっている。
【0032】
本明細書に関連して、「結合繊維系材料」又は「繊維性材料」という用語は、糸の形、又は例えば製織糸又は編成糸で構成されたファブリックの形、あるいは不織布の形又は配向マトリクスを形成する繊維プライの形で結合された1組の繊維を含む中実材料を意味する。
【0033】
本明細書に関連して、「糸」とは、互いにしっかりと連結された繊維又はフィブリルの線状集成体を意味する。したがって、物体の結合集成体ではなく個別の物体を表わすセルロース繊維とセルロース糸は区別されなくてはならない。典型的に、糸は、同じタイプの繊維を紡糸することによって得られるが、例えば合成繊維と組合わせたセルロース繊維などの異なる繊維を紡糸することによっても得ることができる。
【0034】
セルロース繊維を構成するポリマーは、アンヒドログルコース単位を含む。これには例えばグルコシド結合β−1,4を伴うグルコースホモポリマーで構成されているものであるセルロース繊維が関与していてよい。あるいは、例えば再生セルロースから得た糸に対応するビスコースなどの他の単位と連結されている可能性のあるアンヒドログルコース単位を含むことを条件として変性セルロースが関与していてよい。あるいは、これには、バクテリアセルロースが関与していてもよい。繊維の酸化前の、繊維を構成するポリマーの酸化度は一般に1%未満である。
【0035】
セルロース繊維は例えば、天然セルロース質すなわち、植物上で収獲されることによってか又は破砕、加圧、圧壊及び/又は分離などの植物の機械加工を通して得られることによって植物に直接由来する繊維を用いて得られる。セルロース繊維は同様に、変性セルロース繊維すなわち、化学成分と反応した天然セルロース又は可溶化天然セルロースでもある。
【0036】
「セルロース繊維」という用語は同様に、本発明の意味合いにおいて、再生セルロース繊維すなわち潜在的に変性され、溶媒中で可溶化され次に繊維の形に再形成された天然セルロースをも含む。
【0037】
セルロースを含む繊維は、少なくとも1モル%、例えば50モル%超のセルロース又はセルロース誘導体を含有する。
【0038】
天然植物セルロース繊維の例としては、綿、麻、ジュート、羊毛又は木材パルプがある。
【0039】
天然セルロースを加工するための方法を用いて、人工セルロース繊維が得られる。
【0040】
これらの繊維は例えば国際化繊協会(International Bureau for the Standardization of Man made Fibers(BISFA))により、セルロースのヒドロキシル基のアセチル化を通して得られる「アセテート」又は「トリアセテート」タイプのセルロース繊維、アルギン酸の金属塩例えばアルギン酸のアルカリ又はアルカリ土類塩例えばアルギン酸カルシウム、あるいは銅テトラタミンジヒドロキシド(cupratetratamine dihydroxide)などのアミンと銅を含む化合物中に天然セルロースが溶解させられる「銅アンモニア」法を用いて得られる「キュプロ」タイプのセルロース系繊維であるものとして、包括的に定義されている。
【0041】
有利にはセルロース繊維はビスコース繊維である。
【0042】
「ビスコース繊維」とは、本発明の意味合いにおいて、有利にはキサントゲン酸セルロースの塩基性溶液が1つ以上の再生浴から繊維の形で延伸される、BISFAの定義に従った「ビスコース」法を用いて得られる繊維を意味する。これらの繊維は、高い耐破損性を有する場合があるが、その場合「モーダル」とみなされる。
【0043】
一部の場合において、かつ代替的には、セルロース繊維はリオセル繊維である。「リオセル繊維」とは、有機化学製品と水との混合物を含む有機溶媒から紡糸法を用いて得られるセルロース繊維を意味し、「溶媒による紡糸」という用語は、セルロースの副産物が形成することのない溶媒中へのセルロースの溶解を意味する。
【0044】
BISFAにより「リオセル」とみなされているこの方法においては、例えば、水とアミンN−オキシド例えば第3アミン−N−オキシド例えばN−メチルモルホリンNオキシドの混合物中に天然セルロースが溶解させられ、沈降浴中で空気通路を通って押出されて繊維を形成する。
【0045】
「酸化セルロースを含まない繊維」とは、本発明の意味合いにおいて、合成繊維などのセルロースを含まない繊維又はセルロースを含むもののその酸化度が1%未満である繊維を意味する。
【0046】
「合成繊維」とは、天然前駆体ポリマーを全く有していない繊維、例えば、石油副産物などの合成モノマーの重合により得られる繊維を意味する。
【0047】
詳細には、合成繊維は、ポリアミド類、例えばナイロン類、ポリエステル類、例えばエチレンポリテレフタレート類、ポリアクリレート類、ポリウレタン類、ポリ酪酸及びポリグリコール酸、ポリエチレングリコール類、ポリエチレンタイプのポリ(α−オレフィン類)、ならびにハロゲン化ポリマー例えばポリ(ハロゲノ−α−オレフィン類)、例えば、TEFLON(登録商標)で市販されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はフッ化ポリビニリデン、そのコポリマー又はそれらのポリマーの組合せを含む。
【0048】
有利には、繊維はエチレンポリテレフタレート繊維又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維である。
【0049】
本発明の第1の実施形態において、酸化セルロースを含まない繊維及び、酸化セルロース又は酸化されることを意図されたセルロースを含む繊維は、例えばビーミング方法などを通して集成されて複合糸を形成する。
【0050】
複合糸は、単独で又は別の複合糸と共に、又は酸化セルロースを含む繊維を含まない糸、例えば以上で定義された合成ポリマーをベースとして作られた糸例えばPET又はPTFE糸と共に、製織、編組又は編成される。
【0051】
例えば酸化セルロース繊維から形成された糸は、20dtex〜200dtex、詳細には40dtex〜160dtexの力価を有する。この力価は例えば、編成人工器官については50dtex〜150dtexそして製織人工器官については100〜150dtexの中に含まれる。
【0052】
1つの有利な実施例において、複合糸は、共に集成された酸化セルロース繊維とPET又はPTFE繊維を含む。
【0053】
こうして、セルロースの酸化は、複合糸の生産の前か後のいずれかに行なわれる。
【0054】
本発明の第2の実施形態において、本体12は、専ら酸化セルロース又は酸化されることを意図されたセルロースから形成された少なくとも1本の第1の糸をベースとして、及び専ら酸化セルロースを含まない繊維から形成された少なくとも1つの第2の糸をベースとして作製されている。
【0055】
第1及び第2の糸は有利には、編成、製織又は編成されて本体12を形成する。
【0056】
こうして、セルロースの酸化は、本体12の生産の前か後のいずれかに行なわれる。
【0057】
1つの有利な実施例においては、第2の糸はPET又はPTFE糸である。
【0058】
本発明の1つの有利な変形形態において、部分酸化セルロースは、官能基により官能化される。
【0059】
酸化ステップは、酸化された繊維性材料とその生物環境の相互作用を修飾するかもしれないさまざまなラジカルの化学的グラフトのためにポリマーの官能化を可能にする。
【0060】
一実施形態において、官能基は、部分酸化ポリマーのカルボン酸官能基のヒドロキシル基に結合されるか又は置換わり、こうして部分酸化セルロースは、アンヒドログルコース単位の炭素6上に存在するカルボン酸官能基上の官能基の結合又は付加によって官能化されるようになっている。
【0061】
この官能基は有利には、生体反応性作用物質、例えば抗凝結剤、抗血栓症薬、抗分裂剤、抗増殖剤、抗接着剤、抗移動剤、細胞接着促進剤、成長因子、抗寄生虫分子、抗炎症剤、血管形成剤、血管形成阻害薬、ビタミン、ホルモン、タンパク質、抗真菌剤、抗微生物分子、防腐剤、架橋剤、造影剤から選択される。官能基は例えば上述のものの中から選択される。
【0062】
官能基は例えば、カルボン酸基の酸素原子の1つと前記官能基又はその前駆体を含有する求電子ラジカルの間で共有結合を形成することによって、カルボン酸官能基上にグラフトされる。例えば、Rが官能基であるエステル−COO(R)官能基を形成することによってか、又はR1及び/又はR2が官能基であるアミド−CO−NR1R2官能基を形成することによる。
【0063】
酸化セルロースのカルボン酸基は、典型的に、カップリング剤及び/又はカップリング助剤を使用することによって、官能化の前に活性化される。
【0064】
カップリング剤の例としては、水溶性カルボジイミド類、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ETC)及び1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド(CMC)ならびにその塩及び混合物がある。本発明に関連して、EDCの使用が好ましい。
【0065】
カップリング助剤の例としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3,−ベンゾトリアゾール(HOOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HAt)及びN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホNHS)及びその混合物がある。NHSの選択に限定されるわけではないが、本発明における使用のためにはこれが好適である。
【0066】
官能基が架橋剤である場合、それは、部分酸化ポリマーの少なくとも2つの相異なるカルボン酸官能基又は、部分酸化ポリマー上で利用可能なヒドロキシル官能基に対し結合させられる。
【0067】
架橋剤の例は、米国特許第6921819号(US6921819)中に記載されており、例えばEDCなどの活性化用試薬の存在下のポリアミン又は脂肪族ジアミン、又はジグリシジルエーテル例えばビスフェノールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エチレン又は1−(2,3−エポキシプロピル)−2,3−エポキシシクロヘキサンの中から選択可能である。
【0068】
架橋剤のレベルにより、材料が患者の体内にそして患者の組織と接触した状態で移植される場合に部分酸化セルロースを含む繊維の吸収を制御することが可能となる。
【0069】
造影剤の例としては、ガドリニウム又は酸化鉄系の超常磁性ナノ粒子のキレート錯体がある。
【0070】
「造影剤」とは、詳細にはX線写真術又は核磁気共鳴により患者の皮膚を通して行なわれる装置の画像形成の時点で医療装置の残りの部分との関係におけるコントラストによって可視的になるかもしれない作用物質を意味する。
【0071】
代替的には、官能基は、例えばその官能基がポリアミンに結合させられる場合には鉄結合によって、部分酸化ポリマーのカルボキシル基に対して物理的に結合させられる。
【0072】
酸化セルロースを含有する繊維と酸化セルロースを含まない繊維から形成される本体12は、有利には付加的な密封用コーティングが無い状態で、血液などの体液に対して密封された壁14を形成する。
【0073】
こうして、壁14は止血性である。すなわち、人工器官が移植される時、詳細には血液が酸化セルロースと接触した場合のいわゆる「凝血」効果又は凝固を通して血液の通過を妨げる。
【0074】
血液に対する本体12の密封は例えば、ISO規格7198により判定される。
【0075】
さらに、酸化セルロースを含有する繊維は、ひとたび患者の体内に移植された時点で吸収性を示し、このことは線維芽細胞による再増殖またさらには器官の細胞再生に有利に作用する。
【0076】
図1に示されている実施例において、装置10の本体12は、実質的に円筒形の壁14を含むチューブである。
【0077】
一変形形態において、本体12は円筒形の主要区分そして全体としてY字形状の2つの分岐を有する。
【0078】
本体12は内向きに、壁14の端部に出現する血液の循環のための導管16を画定している。
【0079】
壁14は、詳細には密封用コーティングが無い状態で、酸化セルロースを含有する繊維と酸化セルロースを含まない繊維の存在により、導管16から外側に向かう血液の通過を妨げている。
【0080】
本発明に係る医療装置10の製造方法が、図2中に概略的に示されている。
【0081】
この方法は、酸化されることを意図されたセルロースを含む少なくとも1本の糸を提供するための初期ステップ50、次に本体12を生産するステップ、そして次に酸化されることを意図されたセルロースの選択的酸化のためのステップ54を含む。
【0082】
この方法は同様に、酸化セルロースの官能化のための任意のステップ56をも含んでいる。
【0083】
供給ステップ50において、そして上述の第1の実施形態において、少なくとも1本の糸は、酸化されることを意図されたセルロース繊維と合成繊維などの酸化セルロースを含まない繊維から作製されている。
【0084】
これらの繊維は例えばビーミングによって共に集成されて連続糸を形成する。
【0085】
第2の実施形態において、少なくとも1本の糸は、酸化されることを意図されたセルロースを含む繊維をベースとして形成され、少なくとも1本の第2の糸は、合成繊維などの酸化セルロースを含まない繊維から形成されている。
【0086】
次に、ステップ52においては、本体12は、例えば製織、編組又は編成などにより糸又は各々の糸を織り交ぜてメッシュを含む壁14を形成することによって作製される。酸化されることを意図されたセルロースを含有する繊維は、有意な数量の酸化セルロースを含まないことから、きわめて頑強である。これらの繊維は、破損の危険性を制限しながら容易に製織、編組又は編成可能である。
【0087】
酸化されることを意図されたセルロース繊維は、有利には1%未満の酸化度を有する。これらのセルロース繊維は好ましくは天然又は合成のセルロース繊維又は、合成繊維又はセルロースを含有する可能性はあるものの酸化セルロースは含まず特別な酸化化学処理を受けたことのない他の天然繊維である。
【0088】
1つの好適な実施形態においては、糸は編成によってファブリックの形に整形される。異なるメッシュ、詳細にはジャージ(42本のフィラメントを伴う20dtexの糸を用いて従来通りに編成されたもの)又はクローシェ(40本のフィラメントを伴う110dtexの糸を用いて有利に編成されたもの)を考慮することができる。
【0089】
典型的には、ファブリックは50g/m2〜100g/m2近辺の坪量を有する。
【0090】
次に、ステップ54で、酸化セルロースを含まずに提供された繊維の有意な酸化無く、酸化されることを意図されたセルロースの選択的酸化が行なわれる。
【0091】
この選択的酸化は、例えば、酸化されることを意図されたセルロースを溶媒の存在下でNO2などの窒素酸化物の作用に付す方法を用いて行なわれる。このような方法には、例えば、欧州特許出願第0492990号の明細書中などに記載されている気体NO2の散布を伴う溶媒浴中の本体の浸漬ステップが関与する。
【0092】
あるいは、選択的酸化は、SYMATESE社により国際公開第2009/016325号に記載されている通り、有利にはオキソアンモニウム塩の存在下で、ハイポハライトを用いて本体12中に存在する酸化セルロースを酸化させることによって行なわれる。有利には、ハイポハライト及び次亜塩素酸ナトリウムそしてオキソアンモニウム塩は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシド(Tempo)の塩である。
【0093】
1つの好ましい変形形態においては、セルロースは、ハイポハライト、ハライト及びオキソアンモニウム塩又は前記塩の前駆体を含む酸化用混合物と接触させることによって酸化され、こうして、部分酸化ポリマーをベースとする結合された繊維をベースとした材料が得られることになる。このような方法は、当該出願人のフランス特許出願第1060415号に記載されている。
【0094】
酸化ステップは、繊維性材料の巨視的構造を修飾せず、その分子構造のみを修飾する。個別のセルロース繊維すなわち、互いにしっかり固定されていない繊維は、詳細には、発明力ある方法にしたがって加工された繊維性材料の定義から排除される。
【0095】
酸化作業がひとたび実施されたならば、酸化セルロース繊維の酸化度は、上述の方法を用いて測定された場合1%超である。好ましくは、この酸化度は1%〜25%、好ましくは5%〜20%そして有利には12%〜18%に含まれる。
【0096】
任意には、ステップ56において、酸化セルロースは、アンヒドログルコース単位の炭素6上に存在するカルボン酸官能基上に1つの官能基を結合させる又は付加することによって官能化される。
【0097】
官能基は例えば上述のものの中から選択される。これらの基は例えば、上述の通りカルボン酸のヒドロキシル官能基を置換することによって酸化セルロースに対し共有結合される。
【0098】
あるいは、官能基は、異なる極性をもつイオンとイオン化カルボン酸の間の相互作用によるイオン結合によって、結合される。
【0099】
ひとたび製造されると、医療装置は有利には、患者の体内に移植されることによって、患者の組織と接触した状態に置かれる。
【0100】
図1に示された実施例においては、血液は、酸化セルロース繊維の存在により、前記壁14を通過する浸出なく、壁14によって画定された導管16内を循環する。
【0101】
装置10の1つの変形形態58が図3に示されている。図1に示された装置10とは異なり、図3に示された装置58は、造影剤により官能化された酸化セルロースを含む縦糸60を含む本体12を含んでいる。
【0102】
縦糸60は、例えば壁14の母線に沿って延在する。こうしてこの縦糸は、例えばX線写真術又は核磁気共鳴により患者の組織を通して画像形成が行なわれた場合に、目に見える。
【0103】
本発明に係る第3の医療装置70が図4に示されている。第1の装置とは異なり、第3の装置は、その最大の長さ及び幅よりも小さい厚みを有する紙葉の形をした本体12を含む。
【0104】
本体12は、有利にも、触れると変形し得る。この本体12は例えば包帯ガーゼ又は血管パッチ用である。
【0105】
一変形形態において、本体12は不織布である。「不織布」とは、本発明の意味合いにおいて、個別の繊維又はフィラメントがプライの形をした構造の中に無秩序に位置づけされており、製織も編成もされていない、酸化セルロースを含まない繊維及び酸化セルロースを含む繊維を含む基材を意味する。不織布本体の繊維は一般に、機械的作用例えば水の噴出などの効果の下で、あるいは熱作用の効果の下で、又は結合剤を添加することによって、互いに連結されている。
【0106】
このような「不織布」は例えば、ISO規格9092の中で、製織、編成、タフティング、又は縫製によって得られる製品及び紙を除いて摩擦及び/又は凝集力及び/又は粘着力によって結合された、指向的に又は無作為に配向された繊維ウェブ又はプライとして定義されている。
【0107】
本発明の意味合いにおいて、不織布本体は、例えば乾燥方法を用いて、詳細には梳綿によって、又は「エアレイド」という用語を用いて言及される空気力学的方法を使用することにより、得られる。あるいは、本発明に係る不織布本体は、紙を得るための方法に類似した方法において、湿潤方法を用いて得られる。
【0108】
一変形形態では、不織布本体を形成することを意図された繊維は、繊維が互いに結合される前に好適な方向に配向される。この好ましい配向は、繊維を結合させた後、本体12の中で保たれる。繊維のこの配向は、ひとたび本体12が患者の体内に移植された時点で、細胞コロニー形成に有利に作用する。
【0109】
繊維の好ましい配向は、例えば、「エレクトロスピニング」と呼ばれる方法にしたがって繊維を静電場に付すことなどによって得られる。
【0110】
他の変形形態では、装置は、血管内人工器官、誘導型組織再生膜、チューブ、セッティングプレート、透析カテーテル、かん流カテーテル、輸液用カテーテル、人工栄養カテーテル、経皮インプラント、生体組織工学用格子、ミクロ及びマクロ多孔質代用骨、代用脳硬膜、細胞療法マトリクス、縫合糸、医療用包帯又は血管パッチを形成する。
【0111】
一変形形態においては、スペーサー基が官能基と酸化セルロースのカルボキシル基の間に挿入される。スペーサ基は有利には易変性を有し、選択的に分割可能である。
【0112】
以上の記述の結果として直接かつ明確にもたらされるように、酸化セルロースを含有する繊維は吸収性を有する。
【0113】
これらの繊維の吸収性は例えば、2009年12月付けのISO NF−EN規格10993−6にしたがって実施可能なプロトコルを用いて確認することができる。
【0114】
上述の規格の付録Bの第3項にしたがって定義された複数の試験体が、移植片から調製される。各試験体を秤量する。
【0115】
例えば比例配分によって、試験体中に含有されるセルロースの総量を測定する。次に、セルロースの初期酸化度を上述の方法により決定する。
【0116】
その後、試験体を、例えばラットの体内に、上述の規格の第5項で開示されている方法によって移植する。
【0117】
その後、移植した試験体を、例えば52週間に等しい規格内で定義されたもののような試験時間の後に回収する。
【0118】
各試験体の重量損失を測定する。試験体中の利用可能なセルロースの総量ならびにセルロースの酸化度を上述の通りに測定する。セルロースの総量の減少及びセルロースの酸化度の低下と組合せた重量損失が、移植片内で当初利用可能である酸化セルロースが少なくとも部分的に吸収性であることを示す。
【0119】
反対に、非吸収性繊維は、以上で定義したプロトコルにしたがって移植した場合の質量変動がその初期質量の10%未満である。
【0120】
以上で示した通り、酸化セルロースを含まない非吸収性繊維は有利にはポリアミド類、例えばナイロン類、ポリテレフタレート類、ポリアクリレート類、水圧安定性(hydraulically)ポリウレタン類、ポリエチレングリコール類、ポリエチレンタイプのポリ(α−オレフィン類)、ならびにハロゲン化ポリマー例えばポリ(ハロゲノ−α−オレフィン類)、例えばTEFLON(登録商標)の商標で市販されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はフッ化ポリビニリデン、そのコポリマー又はこれらのポリマーの組合せの中から選択される。
【0121】
より一般的には、酸化セルロースを含まない非吸収性繊維は、「Principles of Regenerative Medicine、第2版、2011、Elsvie、第33章、590〜596頁」という書物の中で開示されているものなどの非生物分解性の合成ポリマー及びコポリマーから形成される。
【0122】
これらのポリマーには、ポリエチレン及び誘導体、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリマー、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)、アクリル及びメタクリルポリマー及びポリアシルアミド類、例えばポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、そのコポリマー又はその混合物が含まれ、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)は有利にはコポリマーとして使用される。
【0123】
一変形形態においては、酸化セルロースを含まない非吸収性繊維は、PEEKなどのポリエーテル類から又は、有利にはコポリマーとして使用されるポリエチレングリコールから形成される。一変形形態において、酸化セルロースを含まない非吸収性繊維は、ポリ(ジメチルシロキサン)及びそのコポリマーなどのポリシロキサン類又はシリコーン類の中から選択されたポリマーから形成される。
【0124】
別の変形形態において、酸化セルロースを含まない非吸収性繊維は、ポリ(エチレンテレフタレート)又は一部の水圧安定性のポリウレタン類、例えばビスクロロホルメートとジアミンの反応又はジイソシアネートとジヒドロキシ成分の反応などによって得られたポリマー又はそれらのコポリマーの中から選択されたポリマーから形成される。
【0125】
別の変形形態においては、酸化セルロースを含まない非吸収性繊維は、例えばポリオキシメチレンのパターンを含有するポリアセタールタイプのポリマー又はコポリマーから形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織と接触することを意図された医療装置(10;58;70)であって、
酸化セルロースを含まずに提供された繊維を有する本体(12)を含み、酸化セルロースを含まない繊維が吸収性をもたない医療装置において、
本体(12)が酸化セルロースを含有する繊維を含み、酸化セルロースを含有する繊維が吸収性を有することを特徴とする医療装置。
【請求項2】
酸化セルロースを含まずに提供された繊維の少なくとも一部分が、酸化セルロースを含有する繊維と集成されて少なくとも1本の複合糸を形成し、複合糸が編組、製織又は編成されて本体(12)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の装置(10;58;70)。
【請求項3】
酸化セルロースを含有する繊維が少なくとも1つの第1の糸を形成し、酸化セルロースを含まない繊維が少なくとも1つの第2の糸を形成し、第1及び第2の糸が編組、製織又は編成されて本体(12)を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置(10;58;70)。
【請求項4】
本体(12)が不織布であることを特徴とする請求項1に記載の装置(10;58;70)。
【請求項5】
不織布本体の繊維が好適な方向に配向されていることを特徴とする請求項4に記載の装置(10;58;70)。
【請求項6】
酸化セルロースを含まない繊維が、酸化セルロースを含まずに提供された合成ポリマー及び天然ポリマーから選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(10;58;70)。
【請求項7】
酸化セルロースを含まない繊維が、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ハロゲン化ポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、加水分解安定性ポリウレタン類、ポリエーテル類、ポリシロキサン類、ポリオキシメチレン類、そのコポリマー又は混合物からなる群由来の1つのポリマーから形成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置(10;58;70)。
【請求項8】
酸化セルロースを含有する繊維中に含有された酸化セルロースが官能基により官能化されており、酸化セルロースが有利にはアンヒドログルコース単位の炭素6によって主として支持されているカルボキシル基を含み、カルボキシル基が官能基により官能化されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置(10;58;70)。
【請求項9】
官能基が、生体反応性作用物質、例えば抗凝結剤、抗血栓症薬、抗分裂剤、抗増殖剤、抗接着剤、抗移動剤、細胞接着促進剤、成長因子、抗寄生虫分子、抗炎症剤、血管形成剤、血管形成阻害薬、ビタミン、ホルモン、タンパク質、抗真菌剤、抗微生物分子、防腐剤、架橋剤、造影剤から選択されることを特徴とする請求項8に記載の装置(10;58;70)。
【請求項10】
本体(12)がチューブ又はシートを形成し、かつ/又は本体(12)が、有利には血液に対し密封された液密壁を画定していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(10;58;70)。
【請求項11】
装置が人工器官又は血管内人工器官、誘導型組織再生膜、チューブ、セッティングプレート、透析カテーテル、かん流カテーテル、輸液用カテーテル、人工栄養カテーテル、経皮インプラント、生体組織工学用格子、ミクロ及びマクロ多孔質代用骨、代用脳硬膜、細胞療法マトリクス、縫合糸、医療用包帯又は血管パッチを形成することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置(10;58;70)。
【請求項12】
患者の組織と接触することを意図された医療装置(10;58;70)の製造方法において、酸化セルロースを含まない繊維(酸化セルロースを含まない繊維は吸収性をもたない)と、酸化セルロースを含む繊維(酸化セルロースを含む繊維は吸収性を有する)とを含む本体(12)を生産するためのステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
酸化セルロースを含まない繊維及び酸化されることを意図されたセルロースを含む繊維を提供するステップと、
酸化セルロースを含まずに提供された繊維及び酸化されることを意図されたセルロース繊維から本体(12)を形成するステップと、
酸化セルロースを形成するべく本体(12)の形成後に、酸化されることを意図されたセルロース繊維を選択的に酸化するステップと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
本体(12)の形成前に、酸化セルロースを含まない繊維及び酸化されることを意図されたセルロース繊維を含む少なくとも1つの複合糸を集成するステップと、複合糸を編組、編成又は製織して本体(12)を形成するステップとを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項15】
本体(12)の形成には、酸化セルロースを含まない繊維から形成された少なくとも1本の第1の糸及び酸化されることを意図されたセルロース繊維から形成された少なくとも1本の第2の糸を提供するステップと、次に第1の糸を第2の糸と共に編組、製織又は編成して本体(12)を形成するステップとが含まれることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項16】
酸化セルロースを含まない繊維が、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ハロゲン化ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、加水分解安定性ポリウレタン類、ポリエーテル類、ポリシロキサン類、ポリオキシメチレン類、そのコポリマー又は混合物からなる群由来の1つのポリマーから形成されていることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
酸化ステップの後に、官能基により酸化されたセルロースの少なくとも部分的な官能化が含まれることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−125575(P2012−125575A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−271722(P2011−271722)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(511107935)プルーズ メディカル (3)
【Fターム(参考)】