説明

患者又は被験者の服薬コンプライアンスをモニタリングする方法及び該方法に使用される製剤

本発明は、患者の呼気を採取することによって、患者又は被験者の服薬コンプライアンスを高い精度でモニタリングする方法を提供する。本発明の方法は、容易であり、患者又は被験者に負担を殆どかけない。当該方法は、次の工程を含む:(i)少なくとも1種の生物活性剤及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を患者又は被験者に処方する工程、(ii)患者の呼気を採取する工程、(iii)該呼気中の同位体炭素標識CO12COに対する比率を測定する工程、及び(iv)上記CO12COとの比率に基づいて、生物活性剤を服用しているか否かを確認する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、患者又は被験者の服薬コンプライアンス(compliance with medical prescriptions)をモニタリングする方法に関する。更に、本発明は、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリングが可能であるように設計された製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
医療機関で診察を受けた患者は、医師によって医薬製剤を処方され、薬局や病院で医薬製剤が与えられる。医薬製剤は、それぞれ用法や用量が決まっており、正しく使用されなければ効果が期待できないばかりでなく、副作用により身体に有害な事象が生じる場合がある。そこで、従来、医薬製剤の使用法や副作用の注意事項等を患者に正しく認識させるために、服薬指導書を患者に渡すとともに口頭で服薬指導が行われている。
【0003】
医薬製剤の開発段階で行われる臨床試験においても、同様に被験者の安全を確保するために副作用等の注意事項を説明するとともに、正しく医薬の効果を評価するために、決められた用法、用量を遵守するように口頭及び書面で説明を行っている。
【0004】
入院中の患者の服薬スケジュールが比較的よく守られている。なぜなら、医薬製剤の使用時刻毎に看護師が患者に医薬製剤を与えたり使用を促して服薬管理が行えるうえ、医師が随時回診して、副作用発言の有無や薬剤の効果を確認することができるからである。
【0005】
しかしながら、通院患者や臨床試験における被験者は、決められた服薬スケジュールの遵守は、彼らの自己管理に委ねられており、適切に服薬されていないケースがある。
【0006】
例えば、通院患者が時々服薬を忘れてしまったり、又は副作用により自己の判断で服薬を中止してしまう場合がある。特に、日常的に多量の医薬を服薬する結核患者やエイズ患者が、服薬スケジュールを守らない又は服薬を中止する場合、十分な薬効を得ることができなくなり得る。
【0007】
連用医薬製剤の臨床試験においては、被験者が家庭に医薬製剤を持ち帰り、決められた服薬スケジュールに従って服薬することになっている。従って、通院患者と同様な理由から、被験者が正しく服薬しない場合がある。また、このような臨床試験において、服薬しなかった事実を正しく管理医師に報告されていないことによって、薬剤の効果が正当に評価及び判断されない場合がある。
【0008】
これらの服薬状況を改善するために、インターネット(特許文献1参照)を介して、又は携帯電話(特許文献2参照)により、患者または被験者に服薬を気付かせる通知を送信するシステムが開発されている。また、服薬管理ボードを持つ薬剤管理ケース(特許文献1参照)、及び医薬箱が服薬以外の時にあけられた場合にアラームを鳴らすことができ、且つ服薬時間を知らせることができる服薬管理支援装置(特許文献4参照)が開発されている。しかしながら、いずれの対策においても、患者又は被験者は、彼ら自身で医薬を摂取することが必要であり、医薬コンプライアンスは患者又は被験者の申告に委ねられている。
【0009】
血中または尿中の薬物濃度を測定することで、コンプライアンスを確認することはできるが、採血や採尿は患者又は被験者に痛みや手間を負わせ、測定には長時間が必要である。そのため、これらの方法は、簡便で正確なものではない。
【特許文献1】特開平10-91700号公報
【特許文献2】特開2003-296454号公報
【特許文献3】特開平9-237294号公報
【特許文献4】特開2003-310715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の要約
本発明の目的は、簡便で精度高く、患者又は被験者の服薬コンプライアンスをモニタリングする方法を提供することである。具体的には、本発明は、患者又は被験者の呼気を採取するという患者又は被験者に負担を殆どかけることなく、患者又は被験者の服薬コンプライアンスを簡便で精度高くモニタリングする方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリングが可能である製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、同位体炭素で標識された脂質を薬理作用を奏する生物活性剤が、一緒に服用されるように処方され、患者又は被験者によって内服された場合には、同位体炭素で標識された脂質が体内でβ酸化により代謝されて、患者又は被験者の呼気から同位体炭素標識二酸化炭素が検出されることを見出した。本発明者等は、更に、当該同位体炭素標識二酸化炭素を服薬コンプライアンスのモニタリングの指標として使用できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。
【0012】
即ち、本発明は、下記に掲げる服薬コンプライアンスをモニタリングする方法である:
1. 下記工程を含有する、患者又は被験者の服薬コンプライアンスをモニタリングする方法:
(i)少なくとも1種の生物活性剤、及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を患者又は被験者に処方する工程、
(ii)患者又は被験者の呼気を採取する工程、
(iii)該呼気中の同位体炭素標識CO12COに対する比率を測定する工程、及び
(iv)上記CO12COとの比率に基づいて、上記処方された生物活性剤の服用を確認する工程。
項2. 前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、項1に記載の方法。
項3. 前記同位体炭素標識脂質が13C標識脂質である、項1に記載の方法。
項4. 工程(i)において、少なくとも1種の生物活性剤、及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤を処方する、項1に記載の方法。
【0013】
また、本発明は、上記方法における工程(ii)〜(iv)或いは工程(iii)及び(iv)を含む、服薬コンプライアンスをモニタリングする方法を包含する。即ち、本発明は、また、下記の方法を提供する:
5. 下記工程を含有する、少なくとも1種の生物活性剤及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質が処方された患者又は被験者に対して服薬コンプライアンスをモニターする方法:
(1)前記患者又は被験者から採取された呼気中の同位体炭素標識CO12COに対する比率を測定する工程、及び
(2)上記CO12COとの比率に基づいて、上記処方された生物活性剤の服用を確認する工程。
6. 前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、項5に記載の方法。
7. 前記同位体炭素標識脂質が13C標識脂質である、項5に記載の方法。
8. 工程(1)において、少なくとも1種の生物活性剤、及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤を処方する、項5に記載の方法。
9. 工程(i)において、少なくとも1種の生物活性剤及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤が処方する、項5又は6に記載の方法。
【0014】
また、本発明は、下記に掲げる服薬コンプライアンスのモニタリングが可能であるように設計された製剤を提供する:
10. 少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリング用の経口製剤。
11. 前記同位体炭素標識脂質が、藻類由来の脂質である、項6に記載の経口製剤。
12. 少なくとも1種の同位体炭素標識脂質、及び少なくとも1種の生物活性剤を含有する、経口医薬製剤。
13. 前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、項12に記載の経口医薬製剤。
【0015】
更に、本発明は、下記の同位体炭素標識脂質の使用を提供する:
14. 同位体炭素標識脂質の、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリングするための経口製剤の製造のための使用。
15. 同位体炭素標識脂質の、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリングが可能である経口医薬製剤の製造のための使用。
項16. 同位体炭素標識脂質の、患者又は被験者の経口医薬製剤の服用の服薬コンプライアンスをモニタリングするための使用。
【発明の効果】
【0016】
産業上の利用可能性
本発明の方法に使用される同位体炭素標識脂質の炭化水素の末端は、体内でβ酸化により順に切断されて二酸化炭素に変換される。そのため、同位体炭素標識脂質の服薬後に、呼気中に同位体炭素標識二酸化炭素が持続的に排出される。
【0017】
本発明の方法では、この同位体炭素標識二酸化炭素を服薬の指標としており、極めて簡便な方法で、患者又は被験者が適切に生物活性剤の服用を行ったか否かを極めて簡便に確認することができる。もし、該同位体炭素標識脂質の代わりに、同位体炭素標識糖類やアミノ酸を使用すると、その代謝速度が速く、持続的に同位体炭素標識二酸化炭素を呼気に排出することは不可能となり、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリングが困難となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の開示
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の方法において、モニタリングの対象は、患者又は被験者である。ここで、患者とは、疾病の治療や症状の改善のために薬剤の服用が必要とされている者を示す。また、被験者とは、疾病の予防や診断のために薬剤の服用が必要とされる者の他、臨床試験等において薬剤の効能の確認のために薬剤を服用する者を意味する。
【0020】
以下、本発明の服薬コンプライアンス確認方法を各工程毎に説明する。
工程(i)
本発明の方法では、まず、少なくとも1種の生物活性剤と共に少なくとも1種の同位体炭素標識脂質の服用が、患者又は被験者が処方される(工程(i))。
【0021】
生物活性剤とは、ヒトまたは動物において、予防、治療、または診断への適用に有用な薬剤である。当該生物活性剤には、プロドラック等の、酵素分解や加水分解を受けて生物活性剤に容易に変換することが可能な前駆体が包含される。生物活性剤の例には、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤)、抗腫瘍剤、免疫調節剤(例えば、抗ヒスタミン剤、免疫増強剤および免疫抑制剤)、抗狭心症薬、鎮痛剤、解熱剤、催眠薬、鎮静剤、制酸剤、抗炎症物質、抗躁病剤、血管拡張剤、向精神剤、麻酔薬、興奮剤、下痢止め製剤、制吐剤、成長促進剤、抗痙攣剤、神経筋薬、血糖上昇又は低下剤、利尿剤、細胞毒性化合物、鎮痙薬、抗関節炎薬、子宮弛緩剤、抗肥満薬、駆虫薬、下剤、ホルモン剤、ワクチン、ビタミン剤、栄養補助剤等が含まれる。これらの生物活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。使用される生物活性剤は、患者の症状及び疾患、並びに他の要因に基づいて、適宜選択される。
【0022】
同位体炭素標識脂質とは、脂質を構成する炭素元素の少なくとも1以上が炭素同位体で置換されてなるものである。本発明において使用される同位体炭素標識脂質は、in vivoでβ酸化により分解されて、その分解物が同位体標識二酸化炭素として呼気中に現れ、この同位体標識二酸化炭素が患者又は被験者の服薬コンプライアンスをモニタリングする指標として使用される。そのため、当該同位体炭素標識脂質は、同位体炭素元素を、その代謝産物である同位体標識二酸化炭素が容易に検出できるように十分な割合で含まれていることが望ましい。具体的には、当該同位体炭素標識脂質の全炭素元素当たりの同位体炭素元素の割合は、例えば少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも90%以上である。
【0023】
炭素の同位体は、13C、11C又は14Cであり得るが、13Cは非放射性同位元素であり、それ故安全性の観点から好ましい。
【0024】
同位体炭素標識脂質は、体内で代謝されて二酸化炭素として体外に排出されるものである限り、その構造については特に制限されない。当該脂質の例には、グリセライド、リン脂質、糖脂質、脂肪酸等が含まれる。具体的には、グリセライドには、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、ポリグリセライド等が含まれる。リン脂質には、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン等のグリセロリン脂質;及びスフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質等が含まれる。糖脂質には、セレブロシド等のスフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質等が含まれる。脂肪酸には、短鎖脂肪酸(炭素数2〜4)、中鎖脂肪酸(炭素数5〜10)、長鎖脂肪酸(炭素数11以上)等が含まれる。
【0025】
同位体炭素標識脂質の炭化水素鎖は、飽和であっても、不飽和であってもよい。炭化水素鎖中の炭素原子の数については、特に制限されないが、例えば1〜36、好ましくは10〜30、更に好ましくは16〜18であり得る。当該脂質の炭化水素の末端は体内で順次β酸化により切断されるため、上記炭素数の炭化水素鎖を有する脂質は、服用後持続的に脂質由来の炭素元素を有する二酸化炭素を呼気中に排出させることができる。
【0026】
上記脂質の好ましく使用されるもは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸及びリノール酸よりなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸;及び/又は当該少なくとも1種の脂肪酸に由来するアシル基を含むグリセライド、リン脂質及び糖脂質よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。特に好ましくは、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸及びリノール酸よりなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸;及び/又は当該少なくとも1種の該脂肪酸に由来するアシル基を含むグリセライド、リン脂質及び糖脂質よりなる群から選択される少なくとも1種である。更に特に好ましくは、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸及びリノール酸よりなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸に由来するアシル基を含む、少なくとも1種のトリグリセリドである。
【0027】
上記同位体炭素標識脂質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0028】
上記同位体炭素標識脂質は、従来公知の方法により調製される。
【0029】
13C標識脂質の調製方法の具体例として、13C標識二酸化炭素環境下で培養した1種以上の藻類から脂質を回収する方法が例示される。かかる調製方法において、13C標識二酸化炭素環境は、培養液に13C標識二酸化炭素を通気することにより作られる。通気に使用される全炭素元素中の13C標識炭素の割合は、培養された藻類から回収される13C標識脂質の全炭素元素中の13C標識炭素の割合に対応するので、望まれる13C標識二酸化炭素の割合が得られるように適宜設定される。培養された藻類は、標準的な分離精製プロセスに供され、脂質が回収される。13C標識脂質の調製に使用される藻類としては、特に制限されないが、藍藻類(blu-green alga species)等が含まれる。このような藻類由来の13C標識脂質は、安価に製造でき、しかも安全性が高いため、本発明の方法において好適に使用される。
【0030】
上記の生物活性剤及び同位体炭素標識脂質を患者又は被験者に処方する際に、生物活性剤及び同位体炭素標識脂質は、別々に又は一緒に製剤化し得る。即ち、前者の場合、生物活性剤と、同位体炭素標識脂質とをそれぞれ含む2つの製剤が処方され、また後者の場合、生物活性剤及び同位体炭素標識脂質の双方を含む1つの製剤が処方される。生物活性剤及び同位体炭素標識脂質の一方の服薬を失念することを避けるために、生物活性剤及び同位体炭素標識脂質を双方を含む製剤を調製することが望ましい。
【0031】
上記生物活性剤の投与量については、該剤の種類、患者の症状、患者又は被験者の性別及び年齢、代謝能力等に応じて適宜設定されるが、一般的には、成人の一日当たり、例えば、約10〜3000mgであり、成人当たりの固定投与量(fixed dose)又は変動投与量(variable dose)(mg/kg又はmg/BSA)である。
【0032】
また、上記同位体炭素標識脂質の投与量については、該同位体炭素標識脂質の種類、患者又は被験者の性別や年齢、呼気の採取時期、1日当たりの服薬回数等に応じて適宜設定されるが、通常、成人の一日当たり、例えば1〜1000mg、好ましくは10〜500mg、更に好ましくは100〜200mgである。
【0033】
以下、工程(i)で使用される「生物活性剤を含む医薬製剤」及び「同位体炭素標識脂質を含有する製剤」;或いは「生物活性剤及び同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤」について、説明する。
【0034】
生物活性剤を含む医薬製剤
少なくとも1種の生物活性剤を含む医薬製剤は、経口摂取可能な限りその形態については特に制限されない。例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、丸剤等の固形状でもよく、又は液状でもよい。また、コーティング製剤又はカプセル剤であってもよい。該製剤は、標準的な方法に従って調製される。具体的には、有効量の生物活性剤と共に、必要に応じて、薬学上許容される添加剤及び/又はキャリアーを適当量配合して、製剤化することにより調製される。
【0035】
該医薬製剤に含まれる生物活性剤の割合としては、該生物活性剤の投与量等に応じて適宜設定される。
【0036】
同位体炭素標識脂質を含有する製剤
少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する製剤についても、経口摂取可能な限りその形態は特に制限されない。例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、丸剤等の固形状でもよく、また液状でもよい。また、コーティング製剤又はカプセル剤であってもよい。該製剤は、標準的な方法に従って調製される。具体的には、有効量の生物活性剤と共に、必要に応じて、薬学上許容される各種添加剤及び/又はキャリアーを適当量配合して、製剤化することにより調製される。より具体的には、固形状の製剤は、例えば、同位体炭素標識脂質を賦形剤等の添加剤に吸着させて、これを粉末化等の処理に供することにより得ることができる。また、液状の製剤は、例えば、界面活性剤と共に同位体炭素標識脂質を、標準的な方法により製剤化することにより得ることができる。
【0037】
当該製剤において、服薬間隔、呼気を採取する時間、該同位体炭素標識脂質の代謝速度等に応じて、該同位体炭素標識脂質の放出速度を適宜コントロールしておくことが望ましい。該同位体炭素標識脂質の放出速度のコントロールは、標準的な方法、具体的には、製剤に不溶性物質及び/又は高粘度水溶性物質等の徐放化キャリアーを配合、及び/又はコーティングを施すことによって、該徐放化キャリアーの配合量及び/又はコーティング層の量に基づいて、同位体炭素標識脂質の放出速度がコントロールされる。
【0038】
徐放化キャリアーの具体例には、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、硬化油、カルナウバロウ、モノステアリン酸グリセリン等の不溶性物質;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、キサンタンガム、ローキャストビーンガム、アルギン酸類等の高粘度水溶性物質等が含まれる。
【0039】
該製剤に含まれる同位体炭素標識脂質の割合については、該同位体炭素標識脂質の投与量に応じて適宜設定される。
【0040】
該製剤は、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリング用の経口製剤として有用である。
【0041】
生物活性剤及び同位体炭素標識脂質を含む医薬製剤
少なくとも1種の生物活性剤及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤についても、経口摂取可能な限りその形態は特に制限されるものではない。例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、丸剤等の固形状でもよく、また液状でもよい。また、コーティング製剤又はカプセル剤であってもよい。該製剤は、標準的な方法、具体的には、有効量の生物活性剤及び有効量の同位体炭素標識脂質と共に、必要に応じて、薬学上許容される各種添加剤及び/又はキャリアーを製剤に適当量配合して製剤化することにより調製される。より具体的には、固形状の製剤は、例えば、同位体炭素標識脂質を賦形剤等の添加剤に吸着させて、これを必要に応じて粉末化等の処理を行ったものと、生物活性剤と混合し、その混合物を標準的な方法に従って製剤化することによって得られる。また、液状の製剤は、例えば、界面活性剤等の添加剤と共に、同位体炭素標識脂質及び生物活性剤を用いて標準的な方法に従って製造することにより、得ることができる。
【0042】
また、当該製剤は、服薬間隔、呼気を採取する時間、該同位体炭素標識脂質の代謝速度等に応じて、該同位体炭素標識脂質の放出速度を適宜コントロールしておくことが望ましい。該同位体炭素標識脂質の放出速度のコントロールは、同位体炭素標識脂質を含有する製剤の場合と同様の方法、具体的には、製剤全体としての放出速度をコントロールするために、製剤への徐放化キャリアーの配合、及び/又はコーティングを施すことにより行うことができる。また、同位体炭素標識脂質のみの放出速度をコントロールするために、同位体炭素標識脂質に対して、生物活性剤と混合する前に、徐放化キャリアーと混合してもよく、及び/又はコーティングを施してもよい。
【0043】
該製剤中の生物活性剤及び同位体炭素標識脂質の割合は、該生物活性剤及び同位体炭素標識脂質のその投与量に応じて適宜設定される。
【0044】
該製剤は、生物活性剤に基づく薬理作用を発揮でき、且つ同位体炭素標識脂質に基づく患者又は被験者の服薬コンプライアンスの確モニタリングが可能である医薬製剤として有用である。
【0045】
上記の各製剤に配合される添加剤やキャリアーの例には、賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料、水性媒体等が含まれる。具体例には、乳糖、白糖、マンニトール、塩化ナトリウム、ブドウ糖、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸塩等の賦形剤;水、エタノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、セラック、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン、プルラン等の結合剤;クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤;カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、ポリソルベート80等の崩壊剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール、コロイド状ケイ酸、ショ糖脂肪酸類等の滑沢剤;黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、βカロテン、酸化チタン、食用色素(例えば、食用青色1号等)、銅クロロフィル、リボフラビン等の着色剤;アスコルビン酸、アスパルテーム、アマチャ、塩化ナトリウム、果糖、サッカリン、粉糖等の矯味剤;並びに水、生理食塩水等の水性媒体等が含まれる。
【0046】
工程(ii)
次いで、本発明の方法では、定められた服薬時間の後に、患者又は被験者の呼気が採取される(工程(ii))。
【0047】
呼気の採取時期は、定められた服薬時間の経過後である限り特に制限されず、同位体炭素標識脂質の種類や体内での同位体炭素標識脂質の代謝速度等に応じて、適宜設定される。具体的には、呼気採取時期は、定められた服薬時間から0〜24時間後であり得る。
【0048】
工程(iii)
次いで、本発明の方法では、採取した呼気中の同位体炭素標識CO12COに対する比率(以下、「δ同位体炭素標識CO値」と表記する)を測定する(工程(iii))。
【0049】
呼気サンプルに含まれる標識COの測定は、使用する同位元素が放射性か非放射性かによって異なるが、液体シンチレーションカウンター法、質量分析法、赤外分光分析法、発光分析法、磁気共鳴スペクトル法等の一般に使用される分析手法を用いて行うことができる。好ましくは測定精度の点から赤外分光分析法及び質量分析法である。同位体炭素元素として13Cを使用する場合、赤外分光分析装置(POCone又はUbiT-IR300:大塚電子製)が、単純、簡単に測定するために使用できる。
【0050】
工程(iv)
測定されたδ同位体炭素標識CO値は、患者又は被験者が生物活性剤を服用したか否かを確認するために使用される(工程(iv))。同位体炭素標識脂質が服用されていると、これが体内で分解されて同位体炭素標識COが呼気に排出される。その結果として、呼気中のδ同位体炭素標識CO値が上昇する。同位体炭素標識脂質が服用されていなければ、呼気に排出される同位体炭素標識COが少なく、δ同位体炭素標識CO値は低くなる。
【0051】
生物活性剤の服用前に、生物活性剤の服用と同スケジュールで、同位体炭素標識脂質のみを含有する製剤を服用させて、経時的に呼気中のδ同位体炭素標識CO値を測定しておき、該服用スケジュールにおける呼気中のδ同位体炭素標識CO値の標準曲線を作成しておくことが望ましい。生物活性剤及び同位体炭素標識脂質の定められた服薬時間の後に得られたδ同位体炭素標識CO値の曲線と当該標準曲線とを対比することにより、生物活性剤の服用の有無のみならず、服用時間が適切であるか否かについても確認することが可能になる。
【0052】
かくして、本発明の方法は、服薬状況を確認することが可能であり、服薬コンプライアンスをモニタリングすることができる。
【実施例】
【0053】
実施例
以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
参考例1 藻類由来13C標識脂質の調製
同位体炭素標識脂質は、公知の方法により調製した。具体的には、13C標識二酸化炭素存在下で藍藻類細胞(Blue-Green alga species)を培養した。次いで、遠心分離によって細胞を回収し、これをメタノールとクロロホルムの混合液による抽出処理に供して、同位体炭素標識脂質の粗生成物を得た。この粗生成物(1.45kg)を、9Lの水酸化ナトリウム含有水溶液(9L中に1.08kgの水酸化ナトリウムを含有)に溶かした。この溶液を50℃で数日間加熱した後、8時間加熱還流した。室温に戻し、ジエチルエーテル(2L)で5回抽出操作を行い不純物を除いた。水層に濃塩酸を加えてpH2に調整した後、再びジエチルエーテル(2L)で5回抽出操作を行い、有機層中の目的物を回収した。有機層を減圧乾固し、ジエチルエーテル(5L)に溶かした。この溶液に30gの活性炭を加え2時間室温で攪拌し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2:3-4L)に通し脱色した。回収したエーテル溶液を減圧乾固させることにより、450-500gの最終物を得た。
【0055】
実施例1
参考例1で得られた13C標識脂質100mgを日本薬局方ゼラチンカプセル(サイズ#0、株式会社松屋製)に詰め、カプセル剤を得た。
【0056】
実施例2
参考例1で得られた13C標識脂質100mgをガラス瓶に取り、エタノール1.0mLを加え、超音波処理して溶解した。乳鉢にケイ酸カルシウム(エーザイ製フローライトRE)50mgを入れ、これに、上記13C標識脂質含有エタノール溶液を加えて乳棒で混合してケイ酸カルシウムに吸着させた。20分間の風乾後、造粒乳糖(フロイント製ダイラクトーズ)200mgを添加して混合した。この混合物に、更に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学製LH-31) 50mgを添加して混合して打錠用試料を調製した。φ9.5mmスミ角フラットの杵臼をセットしたオートグラフ(AUTOGRAPH AG-1 島津製作所)を用い、当該試料400mgを取り、1トンの重量で圧縮(1mm/sec)して速放性錠剤を製した。
【0057】
実施例3
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの代わりに、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製メトローズ90SH4000)を使用する以外は、上記実施例2と同様の方法で製剤化を行い、徐放性製剤を製した。
【0058】
実施例4
高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合量を25mgにする以外は、上記実施例2と同様の方法で製剤化を行い、実施例3の製剤より13C標識脂質の放出速度が速い徐放性製剤を製した。
【0059】
試験例1
下記の方法で、1名の健常人に実施例1のカプセル剤を服用させて、呼気中のδ13CO2値の変動を調べた。
【0060】
まず、ベースライン呼気サンプルを約1.2L容量の内面アルミ採取バック(aluminum-lined bag)に採取した。10時間絶食した後、実施例1のカプセル製剤を毎日8時間間隔で(午前6時、午後2時、午後10時に)3日間経口投与した。初回投与から24、48、72時間後の呼気を約300mL容量の内面アルミ採取バッグ(aluminum-lined bag)に採取した(スケジュール1)。1週間の休薬期間後、再度実施例1のカプセル製剤を8時間間隔で3日間投与した。但し、その3日間投与期間において、最初の投与から16、40、64、72時間後には該製剤を経口投与しなかった(スケジュール2)。
【0061】
採取した呼気中の13CO212CO2量は、赤外分光分析装置(UbiT-IR300:大塚電子製)を用いて測定した。服薬前後に集められた呼気の13CO2/12CO2 比の変化を示すδ13CO2値(DOB)は、以下の計算式に従って算出した。
【0062】
【数1】

【0063】
図1に結果を示す。実施例1のカプセル製剤の服用において、8時間おきに1日3回投与した場合(スケジュール1)、24時間ごとのδ13CO2値は、ほぼ直線的に変化した。一方、最初の投与から16、40、64、72時間後に投与しなかった場合(スケジュール2)、δ13CO2値は著しく低下した。この結果は、実施例1の製剤を服用させて呼気中のδ13CO2値を測定することにより、服薬状況を確認できることを示している。
【0064】
試験例2
下記の方法で、実施例3の製剤の服用による、1名の健常人の呼気中のδ13CO2値の変動を調べた。
【0065】
まず、ベースライン呼気サンプルを約1.2L容量の内面アルミ採取バック(aluminum-lined bag)に採取した。10時間絶食した後、実施例3の製剤を24時間毎に(毎朝6時に)3日間経口投与した。投与期間中、製剤投与直後、午前8時から午後10時までの2時間毎、及び最初の投与から72時間後に、呼気を約300mL容量の内面アルミ採取バッグ(aluminum-lined bag)に採取した。呼気サンプル中のδ13CO2値は、試験例1と同様の方法で測定した。
【0066】
図2に結果を示す。この結果は、実施例3の製剤の服用において、3日間のδ13CO2値は毎日同様な推移を示しており、このδ13CO2値を測定することによって服薬コンプライアンスを確認できることを示している。
【0067】
試験例3
下記の方法で、実施例3及び4の製剤を服用による、2人の健常人(以下、各人をVlt-1、Vlt-2と表記する)の呼気中のδ13CO2値の変動を調べた。
【0068】
まず、ベースライン呼気サンプルを約1.2L容量の内面アルミ採取バック(aluminum-lined bag)に採取した。10時間絶食した後、実施例3の製剤を24時間毎(毎朝6時)に3日間経口投与した。次に、1週間以上の休薬期間の後に、実施例4の製剤を24時間毎(毎朝6時)に3日間経口投与した。各製剤の投与期間中、24時間ごとの呼気を約300mL容量の内面アルミ採取バッグ(aluminum-lined bag)に採取した。採取した呼気中のδ13CO2値は、試験例1と同様の方法で測定した。
【0069】
図3に、2人によって服用された実施例3の製剤の結果を図3に示す。図3は、実施例3の製剤の投与期間中、δ13CO2値が、最初の投与から24、48、72時間後の三点で、ほぼ直線的に上昇していることを示しており、該製剤は連用される薬剤の服薬状況のモニタリングに特に適していることが明らかとなった。
【0070】
同様に、実施例4の製剤の投与期間中、δ13CO2値も、徐々に上昇した。この結果は、徐放性製剤である実施例4の製剤は、24時間の間隔で投与される薬剤の服薬状況のモニタリングを可能にすることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、試験例1において、実施例1の製剤を8時間毎に3日間服用し、呼気中の13CO12CO濃度比(δ13C値)を経時的に測定した結果を示す。
【図2】図2は、試験例2において、実施例3の製剤を24時間毎に3日間服用し、呼気中の13CO12CO濃度比(δ13C値)を経時的に測定した結果を示す。
【図3】図3は、試験例3において、2人の健常人(各人をVlt-1、Vlt-2と表記する)に、実施例3の製剤を24時間毎(毎日の朝食後)に3日間服用し、呼気中の13CO12CO濃度比(δ13C値)を経時的に測定した結果を示す。なお図中、○はVlt-1が実施例3の製剤を服用した結果;及び●はVlt-2が実施例3の製剤を服用した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を含有する、患者又は被験者の服薬コンプライアンスをモニタリングする方法:
(i)少なくとも1種の生物活性剤、及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を患者又は被験者に処方する工程、
(ii)患者又は被験者の呼気を採取する工程、
(iii)該呼気中の同位体炭素標識CO12COに対する比率を測定する工程、及び
(iv)上記CO12COとの比率に基づいて、上記処方された生物活性剤の服用を確認する工程。
【請求項2】
前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同位体炭素標識脂質が13C標識脂質である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)において、少なくとも1種の生物活性剤、及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤を処方する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
下記工程を含有する、少なくとも1種の生物活性剤及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質が処方された患者又は被験者に対して服薬コンプライアンスをモニターする方法:
(1)前記患者又は被験者から採取された呼気中の同位体炭素標識CO12COに対する比率を測定する工程、及び
(2)上記CO12COとの比率に基づいて、上記処方された生物活性剤の服用を確認する工程。
【請求項6】
前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記同位体炭素標識脂質が13C標識脂質である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)において、少なくとも1種の生物活性剤、及び少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する医薬製剤を処方する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の同位体炭素標識脂質を含有する、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリング用の経口製剤。
【請求項10】
前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、請求項9に記載の経口製剤。
【請求項11】
少なくとも1種の同位体炭素標識脂質、及び少なくとも1種の生物活性剤を含有する、経口医薬製剤。
【請求項12】
前記同位体炭素標識脂質が、1種以上の藻類由来の脂質である、請求項11に記載の経口医薬製剤。
【請求項13】
同位体炭素標識脂質の、患者又は被験者の服薬コンプライアンスをモニタリングするための経口製剤の製造のための使用。
【請求項14】
同位体炭素標識脂質の、患者又は被験者の服薬コンプライアンスのモニタリングが可能である経口医薬製剤の製造のための使用。
【請求項15】
同位体炭素標識脂質の、患者又は被験者の経口医薬製剤の服用の服薬コンプライアンスをモニタリングするための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−531068(P2008−531068A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538790(P2007−538790)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/JP2006/303809
【国際公開番号】WO2006/090880
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】