説明

患者情報管理システム及びその方法

【課題】 保険診療時に、医師が患者の遺伝子情報を基に算出された罹病確率を参考にすることができる患者情報管理システム及びその方法を提供すること。
【解決手段】 患者Pの遺伝子情報及び環境因子を用いて罹病確率を算出する判定手段12と、患者Pの罹病確率及び環境因子を患者IDと対応させて記録するサーバ11とを備え、患者Pが医療機関2において診療を受ける場合、端末装置21から医療機関IDを用いてサーバ11がアクセスされ、サーバ11が、端末装置21から伝送される患者IDに関連する罹病確率を、端末装置21に伝送し、端末装置21が罹病確率を医師に提示し、サーバ11が、端末装置21からのアクセスログを、患者ID及び医療機関IDとを対応させて記録し、サーバ11が、所定期間中におけるアクセスログから、医療機関ID毎にアクセス回数を集計し、医療機関2に支払う金額を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体に関する身体情報を一元的に管理し、病院、医院などの医療機関での通常診療時に、身体情報を含む患者情報を医師に提供することができる患者情報管理システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子診断の技術が進歩し、その臨床的有用性が認められ、診断にかかる費用も低下し、先進的な医療として臨床現場で利用されるようになってきた。
【0003】
例えば、糖尿病や生活習慣病は、患者の持つ遺伝子と、患者の身体的特徴や生活習慣などの環境条件との複雑な組み合わせによって疾患発症を起こすため、遺伝子データを元に医療を行うことは臨床的意義が高い。そのため、特定の疾患に罹る可能性(以下、罹病確率と記す)を算出するために有用な、患者の遺伝子及び環境条件を見出し、それらを用いて罹病確率を導出する方法が研究されている。この特定の疾患との関連を考慮する上で、患者の持つ遺伝子、及び患者の身体的特徴や生活習慣などの環境条件は、それぞれ遺伝子因子及び環境因子と呼ばれる。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、頸動脈内膜中膜複合体肥厚度との間に有意な正の関連性を有する複数の遺伝子多型を組み合わせて動脈硬化性疾患を判定する方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、「負の関連性」を有する遺伝子多型を用い、各種の疾患について固有の疾患危険度判定用遺伝子多型を決定する方法が開示されている。下記特許文献2には、各種の疾患について、発症しやすさや進行しやすさ等が判定できて、疾患の予防および治療に利用できる疾患危険度判定方法、疾患危険度判定装置、疾患危険度判定プログラム、さらには、疾患の中でも特に糖尿病に起因して発症する動脈硬化性疾患について、疾患危険度判定用アレイ、疾患危険度判定方法、遺伝子マーカー、並びに疾患固有の遺伝子多型及び遺伝子多型セットを検出するための分析キットが開示されている。
【特許文献1】国際公開WO2003/087360
【特許文献2】国際公開WO2005/036443
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した先進的な医療は健康保険の適応外のものが多く、通常診療内で先進医療を受けると、本来であれば健康保険が適用される診療項目も全て健康保険の適用を受けることができず、患者が費用の全てを負担しなければならない問題がある。先進的な医療は高度先進医療として承認を受ければ、混合診療(健康保険診療と自由診療とを混合して請求できる)として扱われ得る。しかし、高度先進医療の場合「特定承認保険医療機関」として認められた一部の医療機関でしか治療を行うことができず、その医療機関から遠隔に住む患者が容易に受診できない問題がある。自由診療から混合診療(保険診療及び自由診療)への社会的な動きはあるものの、混合診療自体に臨床的なリスクがあるため依然として国家自体が導入を躊躇しているのが現状である。
【0007】
このことは、遺伝子診断に限らず、歯科における歯を削るときの歯の形状のシミュレーション、歯周病の進行予測、インプラント治療シミュレーション、整形外科における骨折治療シミュレーションなども該当し、これらに関しても、対応可能な医療機関が限定されていたり、自由診療として扱われる場合がある。
【0008】
また、患者が引越し等の理由によって、継続的に受診している医療機関を変更すること(以下、転院と記す)が望ましい状況になった場合でも、患者に関するデータは各医療機関が管理し、その移動は医療機関に依存しているので、転院または患者データの移動が容易にできない問題がある。
【0009】
また、患者には長期的な診療が必要であるが、現在の医療機関のサービスでは、個々の診療としてしか対応することができず、年間契約のようなサービスを提供できていない。
【0010】
また、医師が、患者に対して直接の診療を行うだけではなく、患者の疾患の予防や改善に有効な食品などを勧めることが望ましい。しかし、これは医師の自由裁量の範囲であり、医師の積極性に依存しており、必ずしも適切に実行されている訳ではない。
【0011】
本発明は、上記した問題を解決するためのものであって、その目的は、患者の身体情報を一元的に管理することができ、保険診療時に医師が、患者の身体情報から算出された治療支援情報(その患者に関する、治療時に参考となる情報)、特に、患者の遺伝子情報を基に算出された罹病確率を、閲覧することができる患者情報管理システム及びその方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、医師に、患者の疾患の防止、改善に望ましい食品などを積極的に勧めさせることができる患者情報管理システム及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
【0014】
即ち、本発明に係る患者情報管理システム(1)は、患者の身体に関する身体情報、前記患者を特定する患者識別情報、及び、医療機関の識別情報または医師の識別情報を対応させて記録するサーバを備え、通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、前記患者識別情報を指定して前記サーバがアクセスされ、前記サーバが、前記端末装置から指定された前記患者識別情報に対応する前記身体情報を、前記端末装置に送信し、前記端末装置が、前記サーバから受信した前記身体情報を、目視可能なように提示し、前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報を含むアクセスログとして記録し、前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記患者識別情報毎に前記端末装置からのアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記患者識別情報に対応する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報によって特定される医療機関または医師に支払う金額を算出することを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る患者情報管理システム(2)は、患者の身体に関する身体情報を用いて治療支援情報を算出する算出手段と、前記患者の前記治療支援情報を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させて記録するサーバとを備え、前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置され、通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバがアクセスされ、前記サーバが、前記端末装置から送信される前記患者識別情報に関連する前記治療支援情報を、前記端末装置に送信し、前記端末装置が、前記サーバから受信した前記治療支援情報を、前記医師が目視可能なように提示し、前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録し、前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出することを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係る患者情報管理システム(3)は、患者の検体を分析して得られた遺伝子情報及び該患者の環境因子を用い、所定の疾患にかかる確率である罹病確率を算出する判定手段と、前記患者の前記罹病確率及び前記環境因子を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させて記録するサーバとを備え、前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置され、通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバがアクセスされ、前記サーバが、前記端末装置から送信される前記患者識別情報に関連する前記罹病確率を、前記端末装置に送信し、前記端末装置が、前記サーバから受信した前記罹病確率を、前記医師が目視可能なように提示し、前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録し、前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出することを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る患者情報管理システム(4)は、上記の患者情報管理システム(3)において、前記患者の前記検体を分析して前記検体に含まれる前記遺伝子情報を決定し、決定された前記遺伝子情報及び前記患者識別情報を前記判定装置に送信する分析装置をさらに備えることを特徴としている。
【0018】
また、本発明に係る患者情報管理システム(5)は、上記の患者情報管理システム(1)〜(3)の何れかにおいて、前記患者が、自己の前記患者識別情報を知らせて、商品を商品提供者に注文し、該商品が前記患者に販売された場合、前記サーバが、前記患者識別情報及び前記商品の販売に対応する金額を、前記商品提供者から受信し、販売ログとして記録し、前記サーバが、所定期間における前記販売ログから、前記患者識別情報に関連する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎に、販売に対応する前記金額の合計金額を集計し、算出された該合計金額に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出することを特徴としている。
【0019】
本発明に係る患者情報管理方法(1)は、患者の身体に関する身体情報、前記患者を特定する患者識別情報、及び、医療機関の識別情報または医師の識別情報を対応させて記録する第1ステップと、通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、前記患者識別情報を指定して前記サーバにアクセスする第2ステップと、前記サーバが、前記端末装置から指定された前記患者識別情報に対応する前記身体情報を、前記端末装置に送信する第3ステップと、前記端末装置が、前記サーバから受信した前記身体情報を、目視可能なように提示する第4ステップと、前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報を含むアクセスログとして記録する第5ステップと、前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記患者識別情報毎に前記端末装置からのアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記患者識別情報に対応する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報によって特定される医療機関または医師に支払う金額を算出する第6ステップとを含むことを特徴としている。
【0020】
また、本発明に係る患者情報管理方法(2)は、患者の身体に関する身体情報を用いて治療支援情報を算出する第1ステップと、前記患者の前記治療支援情報を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させてサーバに記録する第2ステップと、前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置された端末装置から通信回線を介して、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバにアクセスする第3ステップと、前記サーバが、前記端末装置から送信された前記患者識別情報に関連する前記治療支援情報を、前記端末装置に送信する第4ステップと、前記端末装置が、前記サーバから受信した前記治療支援情報を、前記医師が目視可能なように提示する第5ステップと、前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録する第6ステップと、前記サーバが、所定期間における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出する第7ステップとを含むことを特徴としている。
【0021】
また、本発明に係る患者情報管理方法(3)は、患者の検体を分析して得られた遺伝子情報及び該患者の環境因子を用い、所定の疾患にかかる確率である罹病確率を算出する第1ステップと、前記患者の前記罹病確率及び前記環境因子を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させてサーバに記録する第2ステップと、前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置された端末装置から通信回線を介して、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバにアクセスする第3ステップと、前記サーバが、前記端末装置から送信された前記患者識別情報に関連する前記罹病確率を、前記端末装置に送信する第4ステップと、前記端末装置が、前記サーバから受信した前記罹病確率を、前記医師が目視可能なように提示する第5ステップと、前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録する第6ステップと、前記サーバが、所定期間における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出する第7ステップとを含むことを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係る患者情報管理方法(4)は、上記の患者情報管理方法(1)〜(3)において、前記患者が、自己の前記患者識別情報を知らせて、商品を商品提供者に注文し、該商品が前記患者に販売された場合、前記サーバが、前記患者識別情報及び前記商品の販売に対応する金額を、前記商品提供者から受信し、販売ログとして記録する第8ステップと、前記サーバが、所定期間における前記販売ログから、前記患者識別情報に関連する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎に、販売に対応する前記金額の合計金額を集計し、算出された該合計金額に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出する第9ステップとを、さらに含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、患者の身体情報を使用した治療支援情報、特に遺伝子診断の結果(罹病確率)を、直接患者に返すのではなく、サービス機関のサーバに記録し、通常の診療時に参考情報として参照できるようにすることによって、患者にとって高度医療を受けることができる医療機関の選択肢が増え、患者が高度医療を受けることが容易になる。
【0024】
また、患者は、採血時には健康保険の適用を受けることができないが、通常の診療時に保険診療内で結果を受けることができるので、患者の費用負担を軽減することができる。
【0025】
また、サービス機関が患者の情報、罹病確率を一元的に管理しているので、患者が転院する場合でも、サービス機関に登録されている医療機関への転院であれば、データを移動させる必要がなく、患者IDと医療機関のIDとの関連付けを変更するだけでよいので、転院に伴う患者の負担が軽減される。また、患者が、サービス機関と契約していない医療機関に転院する場合には、サービス機関がその医療機関と契約を結び、新たな医療機関IDを患者IDと関連させて登録すればよいので、転院に伴う患者の負担が軽減される。
【0026】
医療機関と患者との間の契約ではなく、患者とサービス機関との間の契約とすることによって、医療機関は債務リスクを負わなくて済むので、患者にとって有益な罹病確率判定サービスを普及させることができる。さらに、医療機関にマージンを支払うことによって、罹病確率判定サービスをさらに普及させることが容易となる。
【0027】
また、医師から患者に勧める食品などの商品提供者を、予めサービス機関が選定しておくことで、医師は患者に安心して商品を勧めることができる。また、商品提供者が患者に販売した金額に応じて、医療機関または医師にマージンが支払われることから、医師が患者にとって有益な商品を積極的に勧め、患者の健康維持、疾患改善が進展される。
【0028】
また、患者の身体情報を一元的に管理することができるだけでなく、患者からサービス機関への支払いの一部を、サービス機関と患者との間の契約の成立に寄与した医療機関や医師に支払う仕組みを提供することができ、新たなビジネスを展開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき説明する。
【0030】
図1は本発明の実施の形態に係る患者情報管理システム(以下、本システムと記す)を示すブロック図である。本システムは、サービス機関1に設置されているサーバ11、判定装置12及び分析装置13と、医療機関2に設置されている端末装置21及び採血手段22とを備えている。医療機関2は複数存在するが、代表的に1つの医療機関のみを示している。
【0031】
サーバ11、判定装置12及び端末装置21は、コンピュータも若しくはコンピュータに準じた、CPU、メモリ、記録手段などを備えた装置であり、後述するサーバ11、判定装置12及び端末装置21が行う処理は、実際には各CPUによって、メモリがワーク領域として使用され、処理結果が適宜記録手段に記録されて行なわれる。サーバ11及び端末装置21は、インターネットなどの通信回線3に接続されている。サーバ11と判定装置12との間は所定の通信インタフェースで接続されており、両者の間でデータを交換することができる。また、判定装置12と分析装置13との間は、所定の通信インタフェースで接続されており、分析装置13から判定装置12にデータを伝送することができる。図1においては、説明のために、医療機関2の医師D、患者P、及び採血された患者Pの血液サンプルSも示している。
【0032】
まず、本システムの動作の概要を説明する。患者Pが、サービス機関1が行う罹病確率判定サービスのために、サービス機関1と契約している医療機関2に出向き、採血手段22による採血を受ける。採血された血液サンプルSはサービス機関1に送られる。また、医師Dによる問診や検査によって得られた患者の身体情報(性別、身長、体重、喫煙の有無、食事指導の有無、血圧など)が端末装置21に入力され、通信回線3を介してサービス機関1のサーバ11に送信される。送信された身体情報は、サーバ11の記録手段(図示せず)に所定の形式で記録される。ここで、患者の身体情報とは、性別、身長、体重、血圧など、身体の状態を表す情報に限定されず、喫煙習慣や飲酒習慣の有無、喫煙や飲酒の程度、食事指導を受けているか否かなど、身体の状態に影響を与え得る情報をも含む。
【0033】
血液サンプルSは、サービス機関1の分析装置13によって分析され、血液サンプルSに含まれている遺伝子情報が判定装置12に出力される。判定装置12は、サーバ11から患者Pの身体情報を読み出し、分析装置13から取得した遺伝子情報と身体情報とを用いて、所定の疾患になる罹病確率を計算する。計算結果は、サーバ11に伝送されて所定の形式で記録される。
【0034】
後日、患者Pが、医療機関2で医師Dによる診療を受けた時、医師Dは、端末装置21から通信回線3を介してサービス機関1のサーバ11にアクセスし、記録されている患者Pに関する罹病確率を閲覧し、これらを参考にして患者Pを診療する。サーバ11は、アクセス状況に関する情報(以下、アクセスログと記す)を記録する。サービス機関1は、医療機関2毎に、所定期間中のアクセスログ(例えば、アクセス回数)を集計し、集計結果に応じて医療機関2に支払いを行う。
【0035】
次に、図2に示したフローチャートに基づいて本システム全体の動作を詳細に説明する。
【0036】
以下においては、予め、医療機関2とサービス機関1との間、及び患者Pとサービス機関1との間にはそれぞれ契約が締結されていると仮定する。即ち、サービス機関1が医療機関2を審査、認定し、医療機関2とサービス機関1との間には、例えば、上記した罹病確率判定サービスを希望する患者Pに対して採血を行って血液サンプルSをサービス機関1に送ること、身体情報を端末装置21から通信回線3を介してサーバ11に伝送すること、及び、患者Pの診療時に、サーバ11から提供される罹病確率情報を参考にすることを内容とする契約を締結している。このとき、契約した医療機関2を識別するための一意の識別情報(以下、医療機関IDと記す)及びパスワード(以下、医療機関パスワードと記す)が付与され、それらはサーバ11に記録される。また、患者Pとサービス機関1との間の契約は、例えば、所定の医療機関2(複数から選択してもよい)での採血、血液サンプルSの遺伝子分析、分析結果と環境因子とを用いて罹病確率を算出すること、並びに、遺伝子情報の分析結果及び罹病確率の計算結果をサーバ11で所定期間管理することを内容とする。患者Pは、このサービスに対して所定の金額をサービス機関1に支払う。このとき、契約した患者Pを識別するための一意の識別情報(以下、患者IDと記す)及びパスワード(以下、患者パスワードと記す)が付与され、それらはサーバ11に記録される。
【0037】
以上の条件の下、ステップS1において、患者Pが、医療機関2で受診し、自由診療として採血を受ける。採血された血液サンプルSは、患者IDを付してサービス機関に送られる。例えば、患者IDは、バーコードとして血液サンプルSを収容した採血スピッツに貼付され、同じバーコードが患者Pのカルテに貼付される。このとき、必要に応じて医師Dによる問診、検査を受ける。問診、検査で得られた患者の身体情報(性別、身長、体重、喫煙の有無、食事指導の有無、血圧など)は、患者IDと共に、端末装置21から入力され、通信回線3を介してサーバ11に伝送される。患者IDの端末装置21への入力は、カルテに貼られたバーコードを、端末装置21に接続されたバーコードリーダで読み取ることで行う。サーバ11は、アクセス要求があった場合、医療機関ID及び医療機関パスワードを要求して認証を行う。サーバ11は、受信した身体情報を患者IDと関連付けて、所定の形式で記録部に記録する。身体情報には、罹病確率判定サービス、即ち、患者の遺伝子と併せて考慮することによって所定の疾患に罹る確率を計算するために必要な情報(環境因子)が含まれている。
【0038】
ステップS2において、サービス機関1では、分析装置13を用いて、医療機関2から送られてきた検体である血液サンプルSの遺伝子を分析し、分析結果、即ち血液サンプルSに含まれている遺伝子(遺伝子多型)のリスト(以下、遺伝子リストと記す)を患者IDと共に判定装置12に伝送する。この患者IDは分析前に、例えば、血液サンプルSを収容した採血ピペットに貼付されたバーコードから、バーコードリーダによって分析装置13に読み込まれる。遺伝子分析は、例えば、DNA抽出、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、ハイブシダーゼーションなどの公知の方法によって行なわれる。
【0039】
ステップS3において、判定装置12は、分析装置13から患者ID及び遺伝子リストを受信し、受信した患者IDをサーバ11に伝送し、対応する身体情報を要求する。この要求を受けて、サーバ11は、対応する身体情報を判定装置12に伝送する。
【0040】
ステップS4において、判定装置12は、遺伝子リストと、サーバ11から受信した患者IDに対応する身体情報の中の所定の情報(環境因子)を用いて、疾患に罹る確率を計算し、計算結果を患者IDと共に、サーバ11に伝送する。罹病確率は、特定の疾患との相関性が高い、特定の遺伝子(遺伝子多型)の有無、特定の環境因子の有無などを考慮して、疾患毎に予め指定されている判定式に従って決定される。罹病確率の算出は、上記特許文献1、2に開示されている方法など公知の方法を用いて行なわれる。
【0041】
ステップS5において、サーバ11は、受信した計算結果(罹病確率)を、受信した患者IDに対応させて記録する。
【0042】
ステップS6において、患者Pが、医療機関2で受診し、保険診療を受ける。このとき、医師Dは、医療機関ID及び医療機関パスワードを用いて、端末装置21からサーバ11にアクセスし、患者IDを指定して、ステップS5で記録された罹病確率の閲覧を要求する。これを受けてサーバ11は、要求された患者IDに対応する罹病確率を端末装置21に送信し、端末装置21は、受信した罹病確率を表示部に、疾患と罹病確率とを対応させたリスト表示やグラフィック表示など医師が目視可能なように提示する。医師は、表示された罹病確率を参考にして患者Pの診療を行う。患者IDの指定は、ステップS1で患者Pのカルテに貼付されたバーコードを、バーコードリーダで読み取ることで行う。このとき、サーバ11は、アクセス中の医療機関ID、罹病確率を送信した患者ID、送信した日時をアクセスログとして記録する。尚、医師に提示される情報は、罹病確率に限定されず、患者の罹病確率、身体情報及びその他の患者に関する種々の情報(以下、これら情報全体を患者情報と記す)を提示してもよい。
【0043】
以上で、患者Pに対する1回目の罹病確率判定サービスが終わる。その後、患者Pは、保険診療を繰り返し受けることができ、その中で、ステップS6の処理と同様に、罹病確率を参考にした医師Dによる診療を受けることができる。新たな受診時に、検査、問診によって患者の身体情報に変化があった場合、端末装置21から、変更された身体情報をサーバ11に送信し、サーバ11が、判定装置12に、患者IDに対応する遺伝子リスト及び新たな身体情報を伝送し、再び罹病確率を計算させるようにする。これによって、医師Dは、新たな罹病確率を参考にして診療を行うことができる。
【0044】
一方、サーバ11は、所定期間、例えば1ヶ月単位で、医療機関ID毎に、罹病確率を提供した患者IDの数を集計する。サービス機関1は、集計結果に応じた金額を各医療機関2に支払う。
【0045】
以上によって、患者は、サービス機関1が提供する高度の遺伝子分析に基づく罹病確率を参考にした医師Dによる診療を受けることができる。また、患者Pは、近隣に高度医療である遺伝子診断を行う医療機関がなくても、サービス機関と契約している医療機関さえ近隣にあれば、高度医療を反映した診療を受けることができる。
【0046】
また、患者は、最初の受診時には、健康保険が適用されない自由診療を受けるが、2回目移行は健康保険が適用される通常診療を受けることができ、通常診療の中で高度な診療を受けることができる。従って、患者の医療費負担が軽減される。
【0047】
また、サービス機関が、患者情報(遺伝子情報及び過去の判定結果である罹病確率の情報を含む)を集中的に管理しているので、患者は容易に転院することができる。例えば、患者が、転居などのために転院する場合、サービス機関1は患者Pからの指示を受けて、サーバ11に対して、該当する医療機関IDからその患者IDに関連させて記録している患者情報(罹病確率など)へのアクセスを許可しないように設定する。そして、患者Pは、サービス機関1と契約している複数の医療機関の中から、所望の医療機関を、例えば自宅に近い距離にある医療機関を選ぶことができる。このとき、患者Pが登録されていない医療機関2’での受診を希望する場合、サービス機関は医療機関2’と上記した内容の契約を締結し、医療機関2’に対して医療機関ID、医療機関パスワードを発行し、医師がその医療機関IDでサーバ11にアクセスした場合に患者Pの患者情報(罹病確率など)を閲覧可能になるように、サーバ11を設定する。これによって、患者Pがその医療機関2’で受診した場合、医療機関2’の医師は、患者Pを診察するときに、医療機関2’に設置された端末装置を使用して、上記のステップS6と同様に患者Pの罹病確率を参考にすることができる。
【0048】
また、サービス機関1は、医療機関2にサーバ11にアクセスして患者の罹病確率を参照した回数に応じて支払いを行うことによって、患者にとって有益な罹病確率判定サービスを普及させることができる。
【0049】
以上に示した本実施の形態に係る患者情報管理システムは、種々変更して実施することが可能である。
【0050】
例えば、上記においては、採血及び身体情報の入力を同じ医療機関2で行う場合を説明したが、これに限定されず、別の医療機関で採血を行い、若しくは患者P自身が簡易な方法で採血を行い、血液サンプルをサービス機関1に送ってもよい。これらの場合でも、予めサーバ11に患者Pが受診する医療機関の医療機関IDを、患者Pの患者IDに対応する情報を閲覧可能なように登録しておけば、その医療機関の医師は患者Pを診療する時に、サーバ11から患者IDに対応する罹病確率を参照することができる。
【0051】
また、上記では、患者Pが受診した場合に、変化があった身体情報(環境因子)を医療機関2の端末装置21から、サービス機関1のサーバ11に送信する場合を説明したが、患者Pからサービス機関1に変化があった身体情報(環境因子)を連絡して、新たな環境因子と記録されている遺伝子リストとを用いて判定装置12によって再度、罹病確率を計算するようにしてもよい。
【0052】
また、血液以外の遺伝子分析が可能な患者の身体の一部を検体として用いて、遺伝子分析を行ってもよい。
【0053】
また、医療機関毎に一意の医療機関IDを付与する場合を説明したが、医師Dを識別する情報である医師ID及び医師パスワードを付与し、医療機関ID及び医療機関パスワードの代りに医師ID及び医師パスワードを用いて、医師Dがサーバ11にアクセスするようにしてもよい。この場合、罹病確率の閲覧回数に応じた支払いを医療機関ではなく、医師Dに支払うようにしてもよい。
【0054】
また、上記では、医療機関2での患者Pの特定にバーコードを用いる場合を説明したが、契約時に患者Pに患者IDを記録した磁気カードを発行し、医師Dがサーバ11から情報を参照するときに、患者Pの磁気カードをカードリーダに通して、患者IDをサーバに送信してもよい。
【0055】
また、上記では、罹病確率を提供した患者IDの数を集計するとしたが、同じ期間中に、同じ患者IDの罹病確率を複数回提供しても、1回とカウントして集計してもよく、その他の集計方法であってもよい。
【0056】
また、上記では、患者の遺伝子情報及び身体情報(環境因子)を用いて罹病確率を求め、これを医師に提供する場合を説明したが、これに限定されず、患者の身体情報のみを用いてその患者に応じた治療支援情報を生成し、診療時に治療支援情報を医師に閲覧可能に提供することができる。
【0057】
例えば、歯科において歯を削るときの歯の形状のシミュレーションに適用することができる。その場合、医療機関2では、CT撮像装置を用いて患者Pの顎部のCT撮像を行い、撮像した画像データをサービス機関1に送る。サービス機関1は、患者Pの顎部の2次元画像データを用い、また必要に応じて3次元画像データを生成し、コンピュータグラフィック(CG)を用いて歯を切削したときのシミュレーションを行い、シミュレーション結果のデータをサーバ11に保存する。後日、患者Pが医療機関2を受診したとき、医師Dは患者Pの診察時に、サーバ11にアクセスし、シミュレーション結果を参考にして診療(歯の切削)を行う。サービス機関1におけるシミュレーションは、例えばコンピュータを使用して行うことができる。また、インプラント治療の場合のシミュレーションにも同様に適用することができる。
【0058】
また、整形外科における骨折治療シミュレーションに適用することもできる。その場合、医療機関2では、CT撮像装置を用いて患者Pの骨折部位のCT撮像を行い、撮像した画像データをサービス機関1に送る。サービス機関1は、患者の骨折部位の2次元画像データを用い、また必要に応じて3次元画像データを生成し、骨折治療のシミュレーションを行い、シミュレーション結果のデータをサーバ11に保存する。後日、患者Pが医療機関2を受診したとき、医師Dは患者Pの診察時に、サーバ11にアクセスし、シミュレーション結果を参考にして診療、外科手術を行う。サービス機関1におけるシミュレーションは、例えばコンピュータを使用して行うことができる。
【0059】
また、歯科における歯周病の進行予測情報を提供するようにすることもできる。その場合、医療機関2では、患者Pの歯及び歯茎の診察、検査、血圧測定、採血などを行い、歯周病ポケットの深さ、歯周病菌の量、口臭の有無、口臭の程度、血圧などの情報を、採血サンプルSと共にサービス機関1に送る。サービス機関1では、採血サンプルSの遺伝子分析を行って患者Pの遺伝子情報を取得し、患者Pの遺伝子情報、歯周病ポケットの深さ、歯周病菌の量、口臭の有無、口臭の程度、血圧、脂質などを総合的に考慮して患者Pの歯周病の進行を予測し、その結果をサーバ11に保存する。後日、患者Pが医療機関2を受診したとき、医師Dは患者Pの診察時に、サーバ11にアクセスし、歯周病の進行予測結果を参考にして診療を行う。サービス機関1における歯周病の進行予測は、例えばコンピュータを使用して行うことができる。尚、遺伝子情報、検査結果などを使用せず、口臭の有無、口臭の程度、顔色などの診察で得られた情報のみを用いて歯周病の進行を予測してもよい。
【0060】
また、以上では、患者の身体情報から治療支援情報(罹病確率、シミュレーション結果のデータ、歯周病の進行予測結果)を生成し、提供する場合を説明したが、これに限定されず、患者の身体情報をそのままサーバに記録して管理してもよい。例えば、患者が医療機関を受診したとき、医師が患者に、患者の身体情報を管理するサービス機関を紹介し、その患者がサービス機関と契約を結んだ場合、サービス機関を紹介することで契約に寄与した医療機関又は医師に、患者からサービス機関への支払い額(契約料など)の一部を支払うようにしてもよい。医療機関又は医師への支払い額の決定に関しては、例えば、医師又は患者自身が、端末装置からサーバにアクセスしてその患者の身体情報を閲覧したときに、サーバがアクセスログを記録し、後日サーバが、記録されたアクセスログから所定期間内のアクセス回数を算出し、アクセス回数に応じて医療機関又は医師への支払い額を決定すればよい。また、患者に対応する医療機関又は医師を特定するには、契約締結後に、患者に付与したIDと医療機関又は医師に付与したIDとを対応させてサーバに記録すればよい。
【0061】
また、図3は本システムを、患者の健康に望ましい食品を提供するサービスに適用する場合の一例を示すブロック図である。図3においては、図1と同様に、サービス機関1はサーバ、判定装置及び分析装置を備え、医療機関2は端末装置及び採血手段を備えている。また、食品提供者4は、通信回線3に接続されたコンピュータを備えている。
【0062】
図3に示した例では、医療機関の医師が、患者Pの診療を行うときに、上記と同様に患者の罹病確率をサービス機関1のサーバから閲覧し、患者Pに適した食品を勧める。患者Pは、医師に勧められた食品を、食品提供者4に注文する。食品提供者4は、注文された食品を患者Pに販売し、販売したことをサービス機関1に連絡する。これを受けて、サービス機関1は該当する医療機関2に所定の金額を支払う。
【0063】
以下、具体的に説明するが、上記したように、患者Pとサービス機関1との間、及び、医療機関2とサービス機関1との間には、上記した内容の契約が締結されており、上記した罹病確率提供サービスが行われていることとする。また、サービス機関1は予め、想定される疾患の改善に好ましい食品を提供しており、信頼できる食品提供者4を選定し、契約を締結している。
【0064】
まず、患者Pが医療機関2で受診した場合、医療機関2の医師は、診察時に、患者IDを用いてサービス機関1のサーバに記録された患者IDに対応する罹病確率を参照する。このとき、医師は患者Pに、患者Pに適した所定の食品を勧める。例えば、患者Pの健康状態を改善するために、又は疾患を軽減するために不可欠な、または望ましい食品を勧める。このとき、医師は、その食品を、サービス機関1が推奨する食品提供者4から購入できることを患者Pに知らせる。
【0065】
患者Pは、食品提供者4に連絡して、医師に勧められた食品を注文する。このとき、患者Pは自分の患者IDを食品提供者に伝える。食品提供者4は、患者Pに対して注文の食品を販売し、患者Pからその代金を受け取る。
【0066】
その後、食品提供者4は、自社のコンピュータからサービス機関1のサーバにアクセスし、患者Pの患者IDと、販売した食品に関する情報(名称、品番、単価、数量など)を、サーバに送信する。サーバは、受信した患者IDと販売した食品に関する情報とを対応させて、食品販売ログとして、所定の形式で記録する。
【0067】
その後、サーバは、所定期間、例えば1ヶ月単位で、食品販売ログがある患者ID毎に、販売金額を集計する。さらに、サーバは、患者ID毎の集計金額を、医療機関ID毎に集計する。サーバは、このようにして決定された医療機関ID毎の集計額に応じて、医療機関ID毎の支払額を決定し、各々の医療機関2に支払う。
【0068】
以上によって、患者Pは、上記した高度医療を安価に受けることができる利点に加えて、健康の増進、疾患の改善に適した食品を購入することができる。また、医療機関2は、医師が患者に勧めた食品を、勧めた食品提供者から患者が購入した場合に、食品提供者が販売した金額に応じたマージンを得ることができる。
【0069】
ここで、医療機関2への支払いは、例えば、罹病確率判定サービスの契約及び患者データの管理に関して、患者Pからサービス機関1に支払う金額の一部を当てればよい。また、食品提供者4からサービス機関1に、患者Pへの商品販売額の一定割合を支払うようにし、この支払額の一部をサービス機関1から医療機関2に支払ってもよい。若しくは、サービス機関1から食品提供者4に、患者Pへの商品販売額に応じて、支払いをしてもよい。その他、種々の支払い形態が可能である。
【0070】
上記では、食品を対象とする場合の一例を説明したが、これに限定されず、食品以外の商品やサービスであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係る診察情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る診察情報提供システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る診察情報提供システムを、患者に望ましい食品を提供するサービスに適用する場合の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 医療機関
2 サービス機関
3 通信回線
4 食品提供者
11 サーバ
12 判定装置
13 分析装置
21 端末装置
22 採血手段
D 医師
P 患者
S 血液サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体に関する身体情報、前記患者を特定する患者識別情報、及び、医療機関の識別情報または医師の識別情報を対応させて記録するサーバを備え、
通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、前記患者識別情報を指定して前記サーバがアクセスされ、
前記サーバが、前記端末装置から指定された前記患者識別情報に対応する前記身体情報を、前記端末装置に送信し、
前記端末装置が、前記サーバから受信した前記身体情報を、目視可能なように提示し、
前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報を含むアクセスログとして記録し、
前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記患者識別情報毎に前記端末装置からのアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記患者識別情報に対応する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報によって特定される医療機関または医師に支払う金額を算出することを特徴とする患者情報管理システム。
【請求項2】
患者の身体に関する身体情報を用いて治療支援情報を算出する算出手段と、
前記患者の前記治療支援情報を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させて記録するサーバとを備え、
前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置され、通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバがアクセスされ、
前記サーバが、前記端末装置から送信される前記患者識別情報に関連する前記治療支援情報を、前記端末装置に送信し、
前記端末装置が、前記サーバから受信した前記治療支援情報を、前記医師が目視可能なように提示し、
前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録し、
前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出することを特徴とする患者情報管理システム。
【請求項3】
患者の検体を分析して得られた遺伝子情報及び該患者の環境因子を用い、所定の疾患にかかる確率である罹病確率を算出する判定手段と、
前記患者の前記罹病確率及び前記環境因子を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させて記録するサーバとを備え、
前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置され、通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバがアクセスされ、
前記サーバが、前記端末装置から送信される前記患者識別情報に関連する前記罹病確率を、前記端末装置に送信し、
前記端末装置が、前記サーバから受信した前記罹病確率を、前記医師が目視可能なように提示し、
前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録し、
前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出することを特徴とする患者情報管理システム。
【請求項4】
前記患者の前記検体を分析して前記検体に含まれる前記遺伝子情報を決定し、決定された前記遺伝子情報及び前記患者識別情報を前記判定装置に送信する分析装置をさらに備える請求項3に記載の患者情報管理システム。
【請求項5】
前記患者が、自己の前記患者識別情報を知らせて、商品を商品提供者に注文し、該商品が前記患者に販売された場合、
前記サーバが、前記患者識別情報及び前記商品の販売に対応する金額を、前記商品提供者から受信し、販売ログとして記録し、
前記サーバが、所定期間における前記販売ログから、前記患者識別情報に関連する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎に、販売に対応する前記金額の合計金額を集計し、算出された該合計金額に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出することを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記載の患者情報管理システム。
【請求項6】
患者の身体に関する身体情報、前記患者を特定する患者識別情報、及び、医療機関の識別情報または医師の識別情報を対応させて記録する第1ステップと、
通信回線を介して前記サーバにアクセス可能な端末装置から、前記患者識別情報を指定して前記サーバにアクセスする第2ステップと、
前記サーバが、前記端末装置から指定された前記患者識別情報に対応する前記身体情報を、前記端末装置に送信する第3ステップと、
前記端末装置が、前記サーバから受信した前記身体情報を、目視可能なように提示する第4ステップと、
前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報を含むアクセスログとして記録する第5ステップと、
前記サーバが、所定期間中における前記アクセスログから、前記患者識別情報毎に前記端末装置からのアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記患者識別情報に対応する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報によって特定される医療機関または医師に支払う金額を算出する第6ステップとを含むことを特徴とする患者情報管理方法。
【請求項7】
患者の身体に関する身体情報を用いて治療支援情報を算出する第1ステップと、
前記患者の前記治療支援情報を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させてサーバに記録する第2ステップと、
前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置された端末装置から通信回線を介して、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバにアクセスする第3ステップと、
前記サーバが、前記端末装置から送信された前記患者識別情報に関連する前記治療支援情報を、前記端末装置に送信する第4ステップと、
前記端末装置が、前記サーバから受信した前記治療支援情報を、前記医師が目視可能なように提示する第5ステップと、
前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録する第6ステップと、
前記サーバが、所定期間における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出する第7ステップとを含むことを特徴とする患者情報管理方法。
【請求項8】
患者の検体を分析して得られた遺伝子情報及び該患者の環境因子を用い、所定の疾患にかかる確率である罹病確率を算出する第1ステップと、
前記患者の前記罹病確率及び前記環境因子を、前記患者を特定する患者識別情報と対応させてサーバに記録する第2ステップと、
前記患者が医療機関において診療を受ける場合、該医療機関に設置された端末装置から通信回線を介して、該医療機関の識別情報または医師の識別情報を用いて前記サーバにアクセスする第3ステップと、
前記サーバが、前記端末装置から送信された前記患者識別情報に関連する前記罹病確率を、前記端末装置に送信する第4ステップと、
前記端末装置が、前記サーバから受信した前記罹病確率を、前記医師が目視可能なように提示する第5ステップと、
前記サーバが、前記端末装置からのアクセスの記録を、前記患者識別情報と、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報とを対応させてアクセスログとして記録する第6ステップと、
前記サーバが、所定期間における前記アクセスログから、前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎にアクセスの回数を集計し、集計された該回数に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出する第7ステップとを含むことを特徴とする患者情報管理方法。
【請求項9】
前記患者が、自己の前記患者識別情報を知らせて、商品を商品提供者に注文し、該商品が前記患者に販売された場合、
前記サーバが、前記患者識別情報及び前記商品の販売に対応する金額を、前記商品提供者から受信し、販売ログとして記録する第8ステップと、
前記サーバが、所定期間における前記販売ログから、前記患者識別情報に関連する前記医療機関の識別情報または前記医師の識別情報毎に、販売に対応する前記金額の合計金額を集計し、算出された該合計金額に応じて、前記医療機関または前記医師に支払う金額を算出する第9ステップとを、さらに含むことを特徴とする請求項6〜8の何れかの項に記載の患者情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−293055(P2008−293055A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257479(P2005−257479)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(505195764)株式会社サインポスト (6)
【Fターム(参考)】