説明

患者支持デバイス

医療施設において使用するための患者支持デバイス。患者支持デバイスは、ベースと、ベースに結合されるテーブル・アセンブリとを備える。テーブル・アセンブリは、下側支持部と、下側支持部に結合され且つ下側支持部に対して移動可能な上側支持部とを備える。上側支持部および下側支持部の少なくとも一方は、上側支持部が下側支持部に対して移動する際の患者支持デバイスの性能を向上させることが可能なベアリング層を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月4日に出願された米国仮特許出願第60/969,904号に基づく優先権を主張するものであり、その出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、放射線療法の撮像および治療のシステムに関する。より具体的には、本発明は、そのようなシステムと共に使用するための患者支持デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
放射線療法用の医療設備は、高エネルギー放射線により潰瘍組織を治療する。線量および線量配置は、潰瘍が破壊されるのに十分な放射線を受けるように、ならびに、周囲および隣接する非潰瘍組織に対する損傷が最小限に抑えられるように、正確に制御されなければならない。強度変調放射線治療(IMRT:intensity modulated radiation therapy)は、強度および/またはエネルギーがそれぞれ別個に制御され得る複数の放射線によって、患者を治療する。これらの放射線は、患者に対して様々な角度から送られ、組み合わされ、所望される線量パターンを形成する。外部放射線源を用いる放射線療法においては、患者の外部にある放射線源が、内部の潰瘍を治療する。この外部放射線源は、通常は、潰瘍部位にのみにビームが向かうようにコリメートされる。典型的には、放射線源は、高エネルギーX線、特定の線形加速器からの電子、または高度に集束された放射性同位元素からのガンマ線の何れかを含むが、他のタイプの放射線源も可能である。
【0004】
患者に対する放射線照射の位置を制御する1つの方式は、1または複数の方向に調節可能な診療台などのような患者支持デバイスを使用することによるものである。患者支持デバイスの使用は、医療分野においてよく知られており、同様の患者支持デバイスが、CTスキャン・デバイスおよび磁気共鳴撮像装置(MRI)において使用される。患者支持デバイスにより、患者を、照射される放射線の領域内または領域外に移動させることが可能となり、場合によっては、放射線治療の最中に患者の位置を調節することが可能となる。
【発明の概要】
【0005】
診療台などの患者支持デバイスにより、患者に対する放射線照射の位置を制御しようとするとき、考慮する必要のある多数の変数が存在する。例えば、構造材料と、診療台を操作するために必要な適切な電子機器の構成とを慎重に選択すること、および診療台の円滑な操作と、診療台の位置を正確に測定すること(診療台が複数の可動部分を有するとき)を確かなものとしなければならない。これらの特徴が放射線照射の環境において十分に考慮されたとき、患者支持デバイスは、患者に対する成果を向上させる重要なツールになり得る。
【0006】
本発明は、改良された患者支持デバイスを備える放射線療法用治療システムを提供する。一実施形態において、患者支持デバイスは、ベースに結合されるテーブル・アセンブリを備える。テーブル・アセンブリは、上側支持部および下側支持部を備え、上側支持部は、下側支持部に対して移動可能である。一実施形態においては、上側支持部および下側支持部の両方の少なくとも一部がベアリング層を含み、上側支持部が下側支持部に対して移動する際の患者支持デバイスの性能を向上させるように設計される。
【0007】
一実施形態において、本発明は放射線照射システムを提供し、このシステムは、患者を受けるように構成されたガントリと、ガントリに結合され且つ患者に対して放射線を照射するように動作可能な放射線源と、ガントリに対して移動可能な患者支持デバイスとを備える。患者支持デバイスは、ベースと、ベースに結合されるテーブル・アセンブリとを備え、テーブル・アセンブリは、下側支持部と、下側支持部に結合される上側支持部とを備え、上側支持部は、下側支持部に対して移動可能であり、上側支持部および下側支持部の少なくとも一方は、上側支持部が下側支持部に対して移動する際の患者支持デバイスの性能を向上させることが可能なベアリング層を備える。
【0008】
本発明の他の態様は、詳細な説明および添付の図面を精査することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、放射線療法用治療システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1に図示される放射線療法用治療システムにおいて使用することが可能なマルチリーフ・コリメータの斜視図である。
【図3】図3は、図1のシステムと共に使用するための患者支持デバイスの斜視図である。
【図4】図4は、図3の患者支持デバイスのテーブル・アセンブリの分解図である。
【図5】図5は、図4のテーブル・アセンブリの上側支持部の斜視図である。
【図6】図6は、図4のテーブル・アセンブリの下側支持部の斜視図である。
【図7】図7は、図1の患者支持デバイスと共に使用するための制御キーパッドの様々な図である。
【図8】図8は、図7のキーパッドの分解図である。
【図9】図9は、図7のキーパッドの正面図であり、制御ボタンを更に詳細に示す。
【図10】図10は、図7のキーパッドの斜視図であり、患者支持デバイスのオペレータによるボタンの操作を示す。
【図11】図11は、図3の患者支持デバイスの斜視図であり、下方位置にあるところを示す。
【図12】図12は、図3の患者支持デバイスのライザを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の詳細な説明を行う前に、本発明はその適用が、以下の説明において示される、または以下の図面において示される構成要素の構造および構成の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な様式での実施または実現が可能である。また、本明細書において使用される術語および用語は説明のためのものであり、限定的なものとして見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書において、「含む」、「備える」、「有する」、およびそれらの変化した語が使用される場合には、以降に挙げられる物およびその均等物、ならびに追加的な物が包含される。明示されない限り、または他の様式で限定されない限り、「取り付けられた」、「接続された」、「支持された」、および「結合された」、ならびにそれらの変化した語は広義に使用され、直接的ならびに間接的な、取付け、接続、支持、および結合を包含する。
【0011】
本明細書において、図面を説明する上で上側、下側、下方向、上方向、後方、底部、前部、後部などのような、方向に関する参照がなされることがあるが、これらの参照は、便宜上の理由により図面(普通に見たとき)に対してなされる。これらの方向は、文字通り理解されることも、何らかの形態に本発明を限定することも意図されていない。更に、本明細書において、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの語は、説明のために使用されるものであり、相対的な重要性や優位性を指示するものではなく、意図するものではない。
【0012】
更に、本発明の実施形態は、説明上の理由により、それらの構成要素の大半が専らハードウェアとして実装されたものとして示され説明され得る、ハードウェア、ソフトウェア、および電子構成要素または電子モジュールを含むことを理解されたい。しかしながら、当業者には、この詳細な説明を読めば、少なくとも1つの実施形態において、本発明の電子ベースの態様をソフトウェアとして実装でき得ることが理解されよう。従って、複数のハードウェア・ベース・デバイスおよびソフトウェア・ベース・デバイス、ならびに複数の異なる構造コンポーネントが本発明を実施するために使用され得ることに、留意されたい。更に、以降の段落において説明されるように、図面に示される特定の機械的構成は、本発明の実施形態を例示することを意図しており、他の代替の機械的構成も可能である。
【0013】
図1は、患者14に対して放射線療法を施すことが可能な放射線療法用治療システム10を示す。放射線療法による治療は、光子ベースの放射線療法、近接照射療法、電子ビーム療法、光子療法、中性子療法、粒子療法、または他のタイプの治療法を含み得る。放射線療法用治療システム10はガントリ18を含む。ガントリ18は放射線モジュール22を支持することが可能であり、放射線モジュール22は、放射線源24、および、放射線のビーム30を生成するように動作可能な線形加速器26(別称「リニアック」)を備えることが可能である。図に示されるガントリ18はリング型ガントリであり、全360°の弧を通って延び、完全なリングまたは円を形成するが、他のタイプの取付け構成も使用されてよい。例えば、C型の部分リング型ガントリやロボット・アームを使用することが可能である。また、患者14に対して様々な回転位置および/または軸方向位置において放射線モジュール22を位置決めすることが可能な任意の他のフレームワークが使用されてもよい。更に、放射線源24は、ガントリ18の形状に従わない経路を移動してよい。例えば、放射線源24は、図示されるガントリ18が略円形の形状であっても、非円形経路を移動してよい。示される実施形態のガントリ18はガントリ開口32を画定し、その開口の中を、患者14が治療の際に移動する。
【0014】
放射線モジュール22は、放射線ビーム30を変更または変調するように動作可能な変調デバイス34も備えることが可能である。変調デバイス34は、放射線ビーム30の変調を行い、患者14の方へ放射線ビーム30を向けて送る。具体的には、放射線ビーム30は、患者の一部分38へ向けられる。広く述べれば、部分38は、全身を含んでもよいが、一般的には、全身よりも狭く、2次元範囲および/または3次元体積により画定され得る。放射線を受けることが望ましい一部分または一部位(標的または標的領域と呼ばれることもある)が、関心領域の一例である。別のタイプの関心領域は、危険領域である。ある部分が危険領域を含む場合、放射線ビームは、その危険領域からそらされることが好ましい。このような変調は、強度変調放射線治療(「IMRT」)と呼ばれることもある。
【0015】
変調デバイス34は、図2に示されるようなコリメーション・デバイス42を備えることが可能である。コリメーション・デバイス42は、放射線ビーム30が通過し得る開口50のサイズを画定および調節する1組のジョー部(jaw)46を備える。ジョー部46は、上側ジョー部54および下側ジョー部58を備える。上側ジョー部54および下側ジョー部58は、開口50のサイズを調節するように移動可能である。ジョー部46の位置により、患者14へ照射されるビーム30の形状が調整される。
【0016】
一実施形態においては、図2に示されるように、変調デバイス34はマルチリーフ・コリメータ62(通称「MLC」)を備えることが可能であり、このマルチリーフ・コリメータ62は、強度変調を実施するために、ある位置間で移動するように動作可能な複数のインターレースされたリーフ66を備える。また、リーフ66は、最小開位置と最大開位置との間における任意の位置に移動され得ることに留意されたい。複数のインターレースされたリーフ66は、放射線ビーム30が患者14の部分38に到達する前に、放射線ビーム30の強度、サイズ、および形状を変調する。リーフ66のそれぞれは、モータや空気弁などのようなアクチュエータ70によって個別に制御され、リーフ66が放射線の通過を許可または遮断するために迅速に開閉することが可能とされる。アクチュエータ70は、コンピュータ74および/または制御装置により制御され得る。
【0017】
また、放射線療法用治療システム10は、図1に示されるように、放射線ビーム30を受けるように動作可能な、例えば、キロボルト検出器またはメガボルト検出器などのような検出器78を備えることができる。線形加速器(リニア・アクセレレータ)26および検出器78は、コンピュータ断層撮影(CT)システムとして動作して、患者14のCT画像を生成することも可能である。線形加速器26は、患者14の部分38の方へ放射線ビーム30を発する。部分38は、放射線の一部を吸収する。検出器78は、部分38により吸収された放射線量を検出または測定する。線形加速器26が患者14の周囲にて回転して患者14の方へ放射線を発すると、検出器78は、様々な角度からの吸収度データを収集する。収集された吸収度データはコンピュータ74へ伝送され、吸収度データが処理され、患者の身体組織および身体器官の画像が生成される。これらの画像は、骨、軟組織、および血管を示すことも可能である。
【0018】
また、システム10は、治療の際に患者14の少なくとも一部を支持するように動作可能な、診療台82として示されている患者支持デバイスを備えることも可能である。図示される診療台82は患者14の全身を支持するように設計されているが、本発明の他の実施形態においては、患者支持部は、全身を支持する必要はなく、治療の際に患者14の一部分のみを支持するように設計されてもよい。診療台82は、軸84に沿って、放射線領域内および放射線領域外に移動する。
【0019】
図3ないし図6を参照すると、診療台82は、プラットフォーム95を介してベース93と結合されたテーブル・アセンブリ92を備える。テーブル・アセンブリ92は、下側支持部98と可動式に結合された上側支持部94を備える。とりわけ図5を参照すると、上側支持部94は、実質的に平坦な矩形の支持部材であり、その上にて治療の際に患者が支持される。上側支持部94は、治療の際に放射線ビーム30内および放射線ビーム30外に患者を移動させるように、下側支持部98に対して移動可能である。図示される実施形態において、上側支持部94および下側支持部98は、炭素繊維複合体で構成されるが、他の適切な複合体からなる支持部も可能である。
【0020】
上側支持部94は、上側面102と、下側支持部98の上側面110に接触する下側面106とを有する。実施形態に示されるように、下側面106は、上側支持部94が下側支持部98に対して移動される際の、下側面106と下側支持部98の上側面110との間の摩擦を低減させることを意図したベアリング層114を備える。図示される実施形態において、ベアリング層114は、感圧接着剤を使用して下側面106に結合されるポリイミド・ラミネートである。図示される実施形態において、このラミネートは、DuPont(登録商標)社から入手可能なKapton(登録商標)である。上側支持部94が下側支持部98に対して移動するとき、これら支持部の間に生じる摩擦が、診療台82の動作を制御する電子機器の動作の妨げとなるおそれがあり、従って、この摩擦を低減させることが本発明の目的の1つとなる。更に、支持部が、炭素繊維複合体から構成されている場合、この摩擦により炭素の粉塵が生じて蓄積されるおそれがあり、これは、診療台の動作に問題を引き起こすおそれがある。更に、上側支持部94および下側支持部98の表面が互いに直接的に接触した場合、この接触により、さらなる磨耗が生じ、おそらくはそれらの支持部自体に反りが生じることになり、これにより、診療台により患者を位置決めする動作の精度が低下するだけではなく、診療台に故障が生じるおそれもある。
【0021】
図示される実施形態においては、下側面106全体が、ベアリング層114により覆われる。しかしながら、他の実施形態においては、下側面106の幾つかの部分のみがベアリング層により覆われるようにしてもよく、それも、依然として本発明の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、Kapton(登録商標)ラミネートが、本発明のベアリング層114として使用されるが、他のタイプの適切なベアリング材料またはラミネートを使用することが可能であり、これも、依然として本発明の範囲内に含まれる。例えば、Teflon(登録商標)が、そのような代替物の1つである。2つの動く部品間の平滑な動作を実現し、それらの部品間の摩擦を低減させる利点を有し、治療システム10により生成される量の放射線に耐えることが可能な任意の材料が、ベアリング層114に適する。更に、下側面106にベアリング層114を結合するために感圧接着剤が使用されるが、表面106にベアリング層114を結合する他の適切な方法も使用可能である。
【0022】
図4を参照すると、下側支持部98は、診療台82の操作に必要な配線を受容し収容するように設計された2つのチャネル118を備える。幾つかの実施形態において、保持部材122がチャネル118内で配線の上に配置され、配線を定位置に保持し、配線をチャネル118内で直線状にするように作用して、上側支持部94と下側支持部98との間で配線が挟まれる可能性を低減させる。更に、画像の再現性のためにも、配線を直線的かつ一定の位置に保持することが望ましい。保持部材122と配線自体の外側シースとの双方とも耐放射線性材料から構成され、診療台82の高放射線環境における配線の保護および適切な機能を実現する。チャネル118の間隔および設計は、データ線と電力線とを分けるように選択され、2つの線が十分に離間されないときに生じる干渉の問題を回避するようにされる。下側支持部98の上側面110は、チャネル118によって、中間部分126および2つの外側部分130の3つの部分に区分される。図示される実施形態においては、ベアリング層134が、上側面110の外側部分130および中間部分126に存在する。好ましくは、ベアリング層134は、ベアリング層114と同じ材料からなる。本発明の他の実施形態においては、中間部分126にベアリング層が存在しなくてもよい。
【0023】
診療台82は、図1に図示されるように、X、YおよびZ方向に移動可能である。ガントリ18および放射線ビーム30に対する診療台82の位置決め、従って、患者の位置の位置決めは、患者の適切な部位に放射線が確実に照射されるように、正確なものでなければならない。診療台82の移動は、制御キーパッド140を使用して診療台オペレータにより制御される。図7ないし図10を参照すると、キーパッド140は、回路基板148の対応する部分を操作するエラストマー・ボタン144を備える。任意の様式でまたは任意の方向に診療台82を移動させるために、ユーザは、適切なボタン144を操作しなければならないだけではなく、オペレータがボタン144にぶつかったりボタン144を擦ったりすることにより診療台82の不慮の移動を生じさせる可能性を低減させるために、キーパッド140の下面のイネーブル・パッド(図示せず)を押さなければならない。キーパッド140の人間工学的設計により、図10に図示されるように、片手での操作が可能とされる。キーパッド140の人間工学的利点を更に強化するために、X方向へ診療台82を移動させるための2つの対称の外側ボタン152の組が存在し、それによりキーパッド140を右手で操作することも左手で操作することも快適にできる。
【0024】
診療台82の操作を容易なものとすることが、キーパッド140の主要な目的であり、キーパッド140は直感的および人間工学的なものになるように設計される。その平滑であり裂け穴防止の設計は、如何なる類の金属も導電性材料も露出しておらず、それにより、制御機構における短絡の可能性が低下し、ESDに対する脆弱性が低減され、感電の危険性が低下する。制御パネル140は、診療台82の側部に埋め込んで取り付けられ、接合部またはシームを有さない連続的な密閉した上面を有することにより、液体や他の汚染物質の浸入に対する耐性を有する。ボタン用に選択される特定のエラストマーは、洗浄剤および溶剤に対する高い耐性を有し、また、放射線に対する耐性を有する。また、キーパッド140は、統合型システム状態ビーコン(診療台82の動作以外のシステム10の状態を示す)、Y軸クラッチを操作するためのボタン154およびクラッチ状態表示器、および、容易な識別を可能とするためのバックライト式ボタンを備える。ボタン144のレイアウトは、各ボタンにより達成される動作を直感的に示唆するように設計される。ボタン144はまた、ユーザに対して触覚フィードバックを与える。更に、同じキーパッド・アセンブリを、診療台82の何れの側に適合させることも可能であり、場合によっては、診療台82は両側にキーパッド140を備える。
【0025】
Y方向およびZ方向の移動は、中央ボタン156の操作により達成される。中央ボタン156は2速式ボタンであり、弱い圧力でボタンを押すことにより、診療台82を低速で移動させる1つの接触が生じ、更なる圧力でボタンを押すことにより、第2の電気的接触が生じて診療台82がより速く移動する。ボタン156を2速式とする態様により、更に優れた診療台82の制御が可能となり、更に効率的に診療台を移動できる。また、診療台の移動の効率が優れたものとなることにより、患者スループットが向上し、部分的な送り時間が短縮される。
【0026】
また、診療台82は、ベース93のライザ168に対してテーブル・アセンブリ92を結合する支持アーム164を備える。図示される実施形態に示されるように、診療台82は2対の支持アーム164を備え、1対のアームにおける各アーム164は、他方のアームに対して平行である。テーブル・アセンブリ92が上昇されるまたは下降される際に、1対のアーム内の各アーム164の長手方向軸は、他方のアームに対して平行な状態に留まり、一方の対のアームの長手方向軸により形成される面P1は、他方の対のアームの長手方向軸により形成される面P2と交差しない。
【0027】
図12に示されるように、ライザ(riser)168は複数の総合型レベリング(leveling)用足部172を備え、このレベリング用足部172により、ガントリ18のX、Y、およびZ軸位置(ならびに治療室の床部)に対するライザ168の位置を、診療台82がガントリ18に対して水平となるように、容易に調節できる。診療台82の水平位置の調節を行うために、図示される実施形態においてはねじとして示される足部172が個別に回転させられて、3つの面(X、Y、およびZ)の全てにおいて診療台82の位置を水平にする。図示される実施形態において、ライザは6つの足部172を備えるが、他の個数の足部を使用してもよく、それも、依然として本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0028】
この発明のさらなる特徴は、以下の特許請求の範囲から見出すことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設において使用するための患者支持デバイスにおいて、
ベースと、
前記ベースに結合されるテーブル・アセンブリと
を備え、前記テーブル・アセンブリは、
下側支持部と、
前記下側支持部と結合され、前記下側支持部に対して移動可能な上側支持部と
を備え、
前記上側支持部および前記下側支持部の少なくとも一方が、その上に、前記上側支持部が前記下側支持部に対して移動する際の前記患者支持デバイスの性能を向上させることが可能なベアリング層を有する、
患者支持デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記上側支持部は下側面を備え、前記下側支持部は上側面を備え、前記上側支持部の前記下側面は、前記上側支持部が前記下側支持部に対して移動する際に、前記下側支持部の前記上側面と接触する、患者支持デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部の前記下側面および前記下側支持部の前記上側面の少なくとも一方に結合される、患者支持デバイス。
【請求項4】
請求項2に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部の前記下側面および前記下側支持部の前記上側面の両方に結合される、患者支持デバイス。
【請求項5】
請求項2に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部の前記下側面および前記下側支持部の前記上側面の少なくとも一方の全体に結合される、患者支持デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記上側支持部および前記下側支持部の両方が、その上にベアリング層を備える、患者支持デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部および前記下側支持部の少なくとも一方の全体に結合される、患者支持デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部および前記下側支持部の少なくとも一方の一部分のみに結合される、患者支持デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、Kapton(登録商標)ラミネート材料を含む、患者支持デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記ベアリング層は、感圧接着剤を使用して、前記上側支持部および前記下側支持部の少なくとも一方に結合される、患者支持デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記下側支持部は、その中に、配線を収容するように構成された少なくとも1つのチャネルを備える、患者支持デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載の患者支持デバイスであって、前記チャネルは、前記チャネル内に前記配線を保持するための耐放射線性保持部材を備える、患者支持デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載の患者支持デバイスであって、前記下側支持部は2つのチャネルを備え、前記配線は、電力線およびデータ線の両方を含み、前記チャネルの相互の間隔は、前記電力線と前記データ線との間の干渉を防ぐように前記データ線と前記電力線とを分離するように構成される、患者支持デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の患者支持デバイスであって、前記チャネルは前記下側支持部を複数の部分に区分し、全ての前記部分がその上にベアリング層を備える、患者支持デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記ベースはライザを備え、前記ライザは、前記ライザの位置を複数の面において調節することが可能である少なくとも1つの統合型レベリング用足部を備える、患者支持デバイス。
【請求項16】
請求項1に記載の患者支持デバイスであって、前記患者支持デバイスを操作するための制御キーパッドを更に備える、患者支持デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の患者支持デバイスであって、前記制御キーパッドにより、ユーザが前記患者支持デバイスを片手で操作することが可能となり、前記キーパッドは、前記ユーザの何れの手による使用にも対応するように設計される、患者支持デバイス。
【請求項18】
請求項16に記載の患者支持デバイスであって、前記制御キーパッドは、前記患者支持デバイスが接続される外部デバイスの動作状態を示す1または複数の統合型状態ビーコンを備える、患者支持デバイス。
【請求項19】
放射線照射システムにおいて、
患者を受けるように構成されたガントリと、
前記ガントリと結合され、患者へ放射線を照射するように動作可能な放射線源と、
前記ガントリに対して移動可能である患者支持デバイスと
を備え、前記患者支持デバイスは、
ベースと、
前記ベースと結合され、下側支持部と、前記下側支持部と結合される上側支持部とを備えるテーブル・アセンブリと
を備え、
前記上側支持部は、前記下側支持部に対して移動可能であり、前記上側支持部および前記下側支持部の少なくとも一方は、その上に、前記上側支持部が前記下側支持部に対して移動する際の前記患者支持デバイスの性能を向上させることが可能なベアリング層を備える、
放射線照射システム。
【請求項20】
請求項19に記載の放射線照射システムであって、前記上側支持部は下側面を備え、前記下側支持部は上側面を備え、前記上側支持部の前記下側面は、前記上側支持部が前記下側支持部に対して移動する際に、前記下側支持部の前記上側面と接触する、放射線照射システム。
【請求項21】
請求項20に記載の放射線照射システムであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部の前記下側面および前記下側支持部の前記上側面の両方と結合される、放射線照射システム。
【請求項22】
請求項21に記載の放射線照射システムであって、前記ベアリング層は、前記上側支持部の前記下側面および前記下側支持部の前記上側面の両方の全体と結合される、放射線照射システム。
【請求項23】
請求項19に記載の放射線照射システムであって、前記ベアリング層は、Kapton(登録商標)ラミネート材料を含む、放射線照射システム。
【請求項24】
請求項19に記載の放射線照射システムであって、前記下側支持部はその中に2つのチャネルを備え、各チャネルは、前記患者支持デバイスを操作するために使用される配線を受けるように構成される、放射線照射システム。
【請求項25】
請求項24に記載の放射線照射システムであって、前記配線は、電力線およびデータ線の両方を含み、前記チャネルの相互の間隔は、前記電力線と前記データ線との間の干渉を防ぐように前記データ線と前記電力線とを隔てるように構成される、放射線照射システム。
【請求項26】
請求項24に記載の放射線照射システムであって、前記チャネル内に前記配線の位置を限定するための保持部材を更に備える、放射線照射システム。
【請求項27】
請求項24に記載の放射線照射システムであって、前記チャネルは前記下側支持部を複数の部分に区分し、全ての前記部分がその上にベアリング層を備える、放射線照射システム。
【請求項28】
請求項19に記載の放射線照射システムであって、前記患者支持デバイスの前記ベースは、前記患者支持デバイスの位置を前記ガントリに対して複数の面において調節することが可能な少なくとも1つの統合型レベリング用足部を備える、放射線照射システム。
【請求項29】
請求項19に記載の放射線照射システムであって、前記患者支持デバイスは、ユーザが前記患者支持デバイスを前記ガントリに対して移動させることを可能にする制御キーパッドを更に備え、前記キーパッドは、前記ユーザの両手の何れにも対応しており片手で操作するように設計される、放射線照射システム。
【請求項30】
請求項29に記載の放射線照射システムであって、前記制御キーパッドは、前記放射線照射システムの1または複数の構成要素の動作状態を示す1または複数の統合型状態ビーコンを備える、放射線照射システム。

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2010−537781(P2010−537781A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524137(P2010−524137)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/075260
【国際公開番号】WO2009/032927
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(506024320)トモセラピー・インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】