説明

患者由来情報システム、及び診療情報抽出システム

【課題】患者側端末と、医師側端末と、サーバとを有する患者由来情報システムにおいて、医師における診療の正確性を高め、効率的な診断を実現する。
【解決手段】患者由来情報システム1において、患者側端末2は、質問を表示する表示部21と、患者由来情報の入力を受け付ける入力部22と、院内サーバ4に患者由来情報を送信する送受信部25とを備える。院内サーバ4は、患者側端末2から取得する患者由来情報に基づいて患者の症状を分析する分析部42と、分析結果を記憶する記憶部43と、分析結果を医師側端末3に送信する送受信部41とを備える。医師側端末3は、問診される患者の症状の分析結果を院内サーバ4から取得する取得部31と、取得した分析結果を画面に表示する表示部34と、操作入力のための入力部32とを備える。この構成により、患者由来情報システム1では、医師における診療の正確性を高め、効率的な診断を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者由来の情報を診療に生かす患者由来情報(PDI:Patient-Derived Information)システム、及び電子化された医療情報から診療情報を抽出し、診療・臨床研究サポートに利用する診療情報抽出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関において、カルテの電子化、診療報酬明細書であるレセプトの電子化など、医療分野の情報化グランドデザインに沿って医療情報システムの導入が進み、診療の透明性を高めて患者に安心感を与えることに成功している。しかし、現状においても、せっかく日々大量に蓄積される膨大な量の医療情報を、医療現場の診断や経営の効率化に活用することに関しては、改善の余地が残されている。
【0003】
例えば、病院外来において、受付を済ませた患者は、自らの順番が来るまで待合室で待機し、自らの順番になると医師の診察を受ける。医師の診察では、患者に対して様々な問診を行い、病気の症状を診断する形態が依然として一般的である。
【0004】
この診察時において、患者が腹痛の症状にも関わらず湿布や水虫の話を訴えるなど脈絡のない話を始め、医師は、このような脈絡のない患者の訴えの整理から始めることが往々にしてある。このため、医師は、診断に時間を要し、患者の病状がはっきりとしないために誤診断の原因となり、質の高い診療を提供できないという問題がある。
【0005】
また、問診では、患者の口からは、医師から聴かれないQOL(Quality of life)や、性機能など医師に言いにくいが患者にとって切実な情報が医師に伝えられない場合もあり、医師の誤診断などの原因となる。
【0006】
ところで、一般論ではあるが、医療の全ては患者診療から始まるといってよい。医療者は、「この患者にはそのような疾患を疑ったらいいだろうか?」、「どの検査をすべきか。検査が陽性で返ってきたが、本当に疾患を有しているのだろうか」、「どの治療がいいか?どちらが有効で安全か?」、「さらに悪化しないために、どのような予備戦略が有効か。行動変容をいかに促すか」など、常に疑問を持って診療している。また、医療者は知的好奇心と向上心に富んでおり、常に「医療の質や患者のアウトカムをもっと良くするにはどうしたらよいか?」と思いながら診療している。しかし、これらの医師の疑問を科学的に分析し、回答を得る「臨床研修のリテラシーやスキル」を医師は習得していない。
【0007】
すなわち、近年においては、電子カルテ、レセプト、血液や尿などの生体検査データなど、多くの医療情報が電子化されている。この医療情報は、患者の診療や検査データ、投薬、手術など時系列データを含み、またそれぞれの項目が非常に複雑な階層構造を有したマスタデータとして管理されている。そして、これらせっかく蓄積された膨大な量の医療情報は、医療機関ごとに蓄積されているのが現状であり、医師は、これらせっかく蓄積された膨大な量の医療情報から診療の解決に必要なデータを選び出し分析する具体的な手段を有していない。
【0008】
このように、近年では(1)症状、徴候情報から、診断サポートする診断を改善するシステムの構築が求められている。また、(2)プロセス評価(診療の質)、検査・治療内容から診断の質の改善が求められている。さらに、(3)QOL、患者が報告した転帰(病気が進行など)、患者のアウトカム(結果)に対する評価、(4)症状の疫学、臨床評価科学など医療情報の臨床研究への活用が求められている。
【0009】
そして、医師の診断時の負担を軽減するために、例えば、検査結果の経時変化を容易に把握することができる医療用診断支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、医療情報を利用するものとして、病院情報システムに蓄積された診療データ、および管理データに対して対話的に分析を行うことで臨床判断に関する知識発見を支援するユーザビリティに富んだ多次元データ分析方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−309384号公報
【特許文献2】特開2009−129031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、医師における診療の正確性を高め、診断の効率化を図ることができる患者由来情報システムを提供することを目的とする。
【0012】
また、この患者由来情報システムと連携し、日々大量に蓄積されていく電子化された医療情報から、医師が要求する診療情報を抽出し、診療・臨床研究サポートなどに利用できる診療情報抽出システムをも提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、患者側端末と、医師側端末と、サーバとを有する患者由来情報システムにおいて、前記患者側端末は、患者に対する質問を表示する表示手段と、患者から直接得られる医療情報である患者由来情報の入力を受け付ける入力手段と、前記サーバに患者由来情報を送信する送受信手段とを備え、前記サーバは、前記患者側端末から取得する患者由来情報に基づいて患者の症状を分析する分析手段と、前記分析手段における分析結果を記憶する記憶手段と、前記患者側端末から患者由来情報を受信すると共に、前記分析手段における分析結果を前記医師側端末に送信する送受信手段とを備え、前記医師側端末は、問診される患者の症状の分析結果を前記サーバの記憶手段から取得する取得手段と、前記取得手段で取得した分析結果を画面に表示する表示手段と、操作入力のための入力手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
この患者由来情報システムにおいて、前記患者由来情報は、患者の症状、患者が気付いた身体徴候、QOL、検査や治療を含む過去に受けた診療内容、発症や悪化や入院など診療後のアウトカム、及び医師への満足度の少なくとも1つを含む情報であることが好ましい。
【0015】
この患者由来情報システムにおいて、前記患者側端末の前記入力手段はタッチパネルであり、前記患者側端末の表示手段において表示される患者に対する質問は、患者毎に付与される固有の識別番号ID、初期症状の選択の画面、当該初期症状の細目質問、及び全ての人に聞く質問へと階層的に編集されていることが好ましい。
【0016】
この患者由来情報システムにおいて、前記サーバの前記分析手段は、前記患者由来情報に基づいて、所定のアルゴリズムを用いて診察前の患者の症状をスコアリングする機能を有することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、上記患者由来情報システムと、当該患者由来情報システムに備わるサーバとネットワークを介して接続され、前記サーバから電子化された医療情報である抽出済みデータを取得する外部サーバと、を備える診療情報抽出システムにおいて、前記外部サーバは、前記抽出済みデータを記録する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記抽出済みデータを用いて診断情報を抽出するためのアプリケーションを前記患者由来情報システムに備わるサーバに配布する配布手段とを備え、前記患者由来情報システムに備わる医師側端末は、前記配布手段で配布されたアプリケーションをインストールし、前記医師側端末の入力手段を用いて、要求する診療情報の抽出条件を入力して、前記抽出済みデータから自らの要求する診療情報を抽出することを特徴とするものである。
【0018】
この診療情報抽出システムにおいて、前記抽出済みデータには、診療報酬明細書であるレセプトデータ、DPC調査データ、検査データ、患者から取得する患者由来情報、及び電子カルテの少なくとも1つが含まれることが好ましい。
【0019】
この診療情報抽出システムにおいて、前記抽出条件には、名称として、対象となる患者を抽出する対象期間、患者属性、及び診療科を設定する基本情報と、患者の病歴に関して自院で診療を開始した年月を指定する傷病名と、患者の医薬品に関する診療歴を設定する医薬品と、患者の診療行為の診療歴を設定する診療行為と、患者の特定器材に対する診療歴を設定する特定器材と、患者の検査歴に関して検査結果に対しても抽出範囲を設定する検査と、患者入院歴の診断群分類を設定する診断群分類と、前記患者由来情報から出力した患者一覧情報を対象に設定する患者由来情報連携との少なくとも1つが含まれることが好ましい。
【0020】
この診療情報抽出システムにおいて、前記抽出条件には、さらに、ICD10コード及び薬価基準コードのコード情報が含まれることが好ましい。
【0021】
この診療情報抽出システムにおいて、前記ネットワークは暗号化されることが好ましい。
【0022】
尚、前記目的を達成するために、本発明は、患者由来情報システム及び診療情報抽出システムの特徴的な構成手段をステップとする方法としたり、この方法が備える特徴的な命令を含むプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、フラッシュメモリ等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る患者由来情報システムにおいて、患者側端末は、表示部に質問が表示され、入力部から患者由来情報の入力を受け付ける。院内サーバは、患者側端末から取得する患者由来情報に基づいて患者の症状を分析し、その分析結果を医師側端末に送信する。医師側端末は、問診される患者の症状の分析結果を院内サーバから事前に取得する。従って、本発明では、患者由来情報に基づく診療の分析結果を事前に医師に提示することができ、医師の診療の正確性を高め、かつ効率的な診断が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る患者由来情報システムの全体構成図である。
【図2】上記患者由来情報システムに備わる患者側端末、医師側端末及び院内サーバの機能ブロック図である。
【図3】(a)乃至(c)は、上記患者由来情報システムの手順を説明する図である。
【図4】(a)上記患者側端末で透析の質問がなされる場合のフローチャートの一例を示す図、(b)上記患者側端末ですべての人に聞く質問がなされる場合のフローチャートの一例を示す図である。
【図5】(a)乃至(c)は、上記患者側端末に表示される質問画面の一例を示す図である。
【図6】(a)乃至(c)は、上記患者側端末に表示される質問画面の一例を示す図である。
【図7】(a)乃至(c)は、上記患者側端末に表示される質問画面の一例を示す図である。
【図8】上記医師側端末に表示される患者の検索画面の一例を示す図である。
【図9】上記医師側端末に表示される分析結果画面の一例を示す図である。
【図10】上記患者由来情報システムにおいて患者にフィードバックされる情報の一例を示す図である。
【図11】上記患者由来情報システムにおける他の機能の説明図である。
【図12】上記患者由来情報システムにおける他の機能の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る診断情報抽出システムの全体構成図である。
【図14】上記診断情報抽出システムにおける抽出済みデータ及びアプリケーションの流れを説明する図である。
【図15】上記抽出済みデータに含まれる情報を示すテーブルである。
【図16】(a)乃至(d)は、上記診断情報抽出システムにおけるデータ抽出の具体例を示す図である。
【図17】上記診断情報抽出システムにおいて医師側端末に表示される「対象者抽出」画面の一例を示す図である。
【図18】(a)上記画面において「傷病名」タブが選択されている場合の画面の一例を示す図、(b)上記画面におけるプレビュー部の一例を示す図である。
【図19】上記診断情報抽出システムにおいて医師側端末に表示される「対象者出力」画面の一例を示す図である。
【図20】上記診断情報抽出システムにおいて医師側端末に表示される「PDI連携」画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る患者由来情報システム(PDIシステム)に関して図面を参照して説明する。なお、本実施の形態1の説明において「PDI」とは、医療者を介さずに患者から直接得られる患者由来情報を意味し、具体的には(1)症状、(2)患者が気付いた身体徴候、(3)QOL、(4)検査、治療を含む過去に受けた診療内容、(5)発症、悪化、入院など診療後のアウトカム、(6)医師への満足度を含む情報である。
【0026】
図1に示すように、患者由来情報システム1は、患者側端末2、医師側端末3、及び院内サーバ4を備える。これら各端末は、医療機関Aにおいて有線又は無線の院内LANを用いてネットワーク接続されている。
【0027】
患者側端末2は、例えば、患者が診察までの待機期間に、症状やQOLなど入力するための画面を備える携帯型端末である。なお、患者は高齢者をも対象としているため、患者側端末2の画面にはタッチパネルが採用され、患者の意図を直感的に表現しやすくするためユーザインタフェースで表示された質問に従って患者由来情報が入力される。
【0028】
医師側端末3は、院内LANを介して院内サーバ4と通信接続され、医師が問診時において使用するコンピュータ端末であり、レセプトデータ、尿や血液などの生体情報の検査データ、及び患者用端末2を用いて入力された患者由来情報の検索機能を有している。なお、医師側端末3は、患者側端末2から無線を介して患者由来情報を直接取得することもでき、各患者に固有の識別番号を付与するバーコード発行機能を有していてもよい。
【0029】
院内サーバ4は、院内LANを利用することにより、患者側端末2及び医師側端末3と通信接続されている。院内サーバ4には、患者由来情報を分析するための専用アプリケーションがインストールされており、患者用端末2から取得した患者由来情報に基づいて各患者の問診前に症状の分析を行い、その分析結果を保持する。
【0030】
次に、患者用端末2、医師用端末3及び院内サーバ4の機能構成に関して図2を参照して説明する。
【0031】
患者側端末2は、表示部21、入力部22、制御部23、記憶部24及び送受信部25を備える。表示部21は、診察の待合期間に、各患者に対して行う質問を出力する液晶画面などである。入力部22は、表示部21において患者に行った質問に対して、患者からの回答を入力するためのタッチパネルである。なお、入力部22は、タッチパネルに限定されるものではなく、キーボードや音声認識機能などで質問への回答を受け付けてもよい。制御部23は、記憶部24に記憶されたプログラムを実行するCPUを有する。記憶部24は、フラッシュメモリやハードディスクなどのメモリ部であり、各患者への質問プログラムを記憶する。送受信部25は、院内サーバ4と患者由来情報などの送受信を行うI/Oであり、有線、無線の別は問わない。
【0032】
なお、当該プログラムを実行する際に、最初に患者を特定するために識別番号などの患者情報を入力する必要があるが、患者側端末2は、診察券に付帯されたバーコードや携帯電話などから患者の個人情報(患者の氏名や保険証番号や病院で患者を識別する識別情報、住所、年齢など)を読み取る機能を有している。
【0033】
院内サーバ4は、送受信部41、分析部42、及び記憶部43を備えている。送受信部41は、患者側端末2及び医師側端末3との間の情報の送受信を行い、まず患者側端末2から患者由来情報を取得するとともに、分析部42における分析結果を医師側端末3に送信する。分析部42は、患者側端末2における質問の回答結果である患者由来情報に基づいて、例えば入力された因子に基づく所定のアルゴリズム(演算式)を用いてMHIスコアリング、LSSスコアリング、OABSSスコアリングなど、各患者の症状を分析する。記憶部43は、氏名、IDなどの患者情報、電子カルテ、患者由来情報の分析結果などを記憶するメモリ部である。
【0034】
医師側端末3は、院内サーバ4の記憶部43に記憶された患者由来情報の分析結果を院内LANを介して取得する取得部31、キーボードなどの入力部32、患者由来情報を使用するためのプログラムを記憶する記憶部33、患者由来情報の分析結果や電子カルテなどを表示する表示部34を備える。医師は、患者への実際の問診の前に、医師側端末3の表示部34に表示された分析結果を見ることによって、医学的な検知からさらに詳細な問診などを行い、最終的に、患者の状態を特定し、入力部32を用いて電子カルテにその症状レベルなどを書き込むことができる。
【0035】
次に、患者由来情報システム1において、患者由来情報の取得の際の、病院内での処理手順に関して、図3を参照して説明する。なお、本図では、理解を容易にするため、患者に透析が必要な場合を用いて説明する。
【0036】
図3(a)に示すように、最初に、外来から診察に訪れた患者に対し、医療者は、透析室で、患者の診察券からバーコードを読み取り、患者の識別番号を認証後、タッチパネル付きの患者側端末2を患者に渡す。なお、この際、バーコード情報がない初診患者の場合には、バーコード発行する。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、患者は、患者側端末2のタッチパネルの指示に従い質問に答え、患者由来情報を自らが入力していく。この際、患者は、診察当日の主訴以外にも、その他の自動的に選択された項目にも回答できる。患者側端末2に反映されるこれらの質問項目は、医療機関の申請により逐次変更可能とすることができる。
【0038】
そして、図3(c)に示すように、患者が患者側端末2を用いて入力した患者由来情報は、院内サーバ4が備えるデータベース(記憶部43)に収集され、その結果は分析部42において自動的にスコア化され、患者由来情報の分析結果として順次、医師側端末3に表示可能となる。その後、医師は問診前に、医師側端末3が院内サーバ4から取得した患者の分析結果を参照して、診療・臨床研究に活用できる。
【0039】
次に、患者側端末2に表示される質問の流れを、図4に示すフローチャートを用いて説明する。患者側端末2は、予め記憶部24に記憶された質問フローチャートに基づいて患者への質問を順次画面に表示する。
【0040】
例えば、図4(a)に示す透析の質問の場合には、ログイン後、初期症状選択無し、再診設定無しで、「今日、すでに透析は終わりましたか?(1)すでに、透析は終わった、(2)現在、透析中である、(3)これから、透析をするところである」という質問がなされる(S41)。次に、透析が終わったと選択された場合(S42でYes)、「1ヶ月にどれ位、透析専門医の診察を受けますか?(1)1回未満、(2)約1回、(3)約2〜4回、(4)約5〜8回、(5)約9〜12回」という質問がなされる(S43)。そして、「診察の際、透析専門医と平均何分ぐらい話しましたか?(1)1分未満、(2)約1〜3分、(3)約3〜5分、(4)約5〜10分、(5)10分以上」という質問がなされ(S44)、全ての人に聞く質問へ移行する。
【0041】
図4(b)は、全ての人に聞く質問の場合であり、最初に「前回透析の時と比べて、今回の体調はいかがですか?(1)とても良い、(2)良い、(3)かわらない、(4)悪い、(5)とても悪い」という質問がなされる(S45)。次に、女性である場合には(S46でYes)、「現在妊娠中ですか?(1)妊娠中である、(2)妊娠中でない」という質問がなされ(S47)、そして、「現在、授乳をしていますか?(1)授乳している、(2)授乳していない」が質問される(S48)。次に、複数選択として、「これまで、医師にいわれたことのある病気を全て選んでください(1)高血圧、(2)糖尿病、(3)脳卒中など頭の血管の病気、(4)心筋梗塞、(5)狭心症、(6)心不全、(7)白内障など目の病気、(8)ぜんそくなど肺の病気、(9)胃腸や肝臓など消化器の病気、(10)腎臓の病気、(11)リューマチや腰痛など関節、骨、筋肉の病気、(12)アトピーなど皮フの病気、(13)うつ病、(14)がん」が質問される(S49)。なお、上述したように、これらの質問フローは、専用の編集画面を用いて、質問事項、分岐条件などを編集できる。
【0042】
次に、患者側端末2に表示される質問画面に関して、図5乃至図7を参照して説明する。最初に、患者側端末2の表示部21には、例えば、図5(a)に示す画面51が表示され、患者ID51aを入力して「Enter」キーを押す。また、図5(b)に示す画面52が表示され、氏名52a、性別52b、生年月日52cを入力することで患者由来情報システム1が起動される。なお、この入力は診察の受付時に医療者側が行うことが想定される。次に、図5(c)に示す初期症状の入力画面53が表示され、例えば、「頭の痛み53a」、「熱がある、体がだるい53b」、「せき、のどの痛み・症状53c」、「息苦しさ、呼吸、胸の痛み症状53d」、「胃の痛み、胸焼けの症状53e」、「皮フの症状53f」、「おなかの痛み・症状、便秘下痢53g」、「尿漏れ、排尿にかかわる症状53h」、「首・肩・腰・膝・手足の症状53i」、「眠れない、不眠の症状53j」、「気分の落ち込み。心の症状53k」、「めまい、失神の症状53l」から患者が自らの初期症状を選択する。また再度初期症状を選択することで複数の症状に対応できる。
【0043】
図6(a)に示す透析患者に対する質問の画面61では、「今日、すでに透析は終わりましたか?」に関する内容が表示され、図6(b)に示す画面62では、「1ヶ月にどれ位、透析専門医の診察を受けますか?」に関する内容が表示される。また、図6(c)に示す画面63には、「診察の際、透析専門医と平均何分ぐらい話しましたか?」に関する内容が表示される。
【0044】
図7(a)に示す「すべての人に最後に聞く質問」の画面71には、「前回の透析の時と比べて、今回の体調はいかがですか?」に関する内容が表示され、次の図7(b)に示す画面72には、「これまで薬を飲んでアレルギーが出たことがありますか」に関する内容が表示される。また、図7(c)に示す画面73には、複数選択である「これまで、医師にいわれたことのある病気を全て選んでください」に関する内容が表示される。患者は、患者側端末2のタッチパネルを介して、これら予め設定されている分岐条件に従った全ての質問に答えることで、完了画面が表示され、「閉じる」ボタンをクリックして終了する。
【0045】
このように、患者由来情報システム1を用いることで、患者の主観に基づくデータが収集可能となる。患者側は、患者側端末2の画面指示に従い入力するのみで、直接健康に関連した情報を自動的に分析・整理して医師側に伝えることが可能となる。
【0046】
次に、患者由来情報システム1の医師側端末3に表示される画面を、図8及び図9を参照して説明する。
【0047】
最初に、医師は、医師側端末3を用いて、パスワードなどでログイン処理を行った後、アイコンをクリックして患者由来情報システム1のアプリケーションを立ちあげ、「結果表示」を選択すると、図8に示す「患者一覧」画面81が表示される。医師は、検索条件である氏名、生年月日、回答日、性別、患者IDなどの条件を入力し、検索タブ82を押下すると、検索結果の一覧が表示欄83に表示される。なお、例えば検索条件に回答日を設定した場合、回答日の降順で表示され、回答日を設定していない場合は、患者IDの昇順で表示される。次に、医師は、検索結果の一覧から分析結果を閲覧する患者を選択し、「分析結果表示」タブ84を押下すると、図9に示す「分析結果」の画面91が表示される。通常は当日の患者のみがデフォルトで表示されており、医師は担当患者の一覧からクリックすることで選択する。
【0048】
図9に示す画面91においては、分析結果92として、「炎症性腸疾患の疑いあり。潰瘍性大腸炎、クローン病、腸結核」、「臨床的うつ病の可能性あり」などと表示される。このように、患者由来情報の分析結果が、問診の前に、医師側端末3に整理されたデータとして届く。この際、病名まで分析されて表示されているため、医師は患者の症状をピンポイントで質問でき、診察を効率よくこなすことができる。
【0049】
また、画面91に表示される分析結果の情報として、例えば、症状が現れた時期「1ヶ月」、症状の種類「気分の落ち込み」、MHIスコアリング「32点」、腎臓に関わるQOL尺度など患者の主観に基づくデータが表示される。
【0050】
画面91において「前の結果93」を押下すると、分析結果の一覧に表示されている結果より前の回答がある場合、1つ前の回答の分析結果が表示される。「次の結果94」を押下すると、一覧に表示されている結果より後の回答がある場合、1つ後の回答の分析結果が表示される。「結果CSV出力95」を押下すると、一覧に表示されている内容をCSV(Comma Separated Values)ファイルとして出力される。「質問CSV出力96」を押下すると、一覧に表示されている結果の質問とその回答結果をCSVファイルとして出力する。「閉じる97」を押下すると、分析結果の画面91を閉じて、患者一覧画面81に戻る。
【0051】
次に、患者へフィードバックされる診療情報に関して、図10を参照して説明する。医療機関は、患者由来情報システム1を用いることで、図10に示すような診療結果のフィードバック情報画面101を患者に提示することができる。このフィードバック情報画面101には、患者のQOL得点102が表示される。QOL得点102には、「日常生活においてどの程度身体的な活動が可能かをお尋ねするもの」に関する「身体機能103(PF)」、「身体機能が損なわれることによって普段の仕事や家事などの日常生活機能がどの程度難しいと感じているか」に関する「日常役割機能104(RP)」、「体の痛みがどの程度か、そして体の痛みによって日常生活機能がどの程度難しくなるか」に関する「体の痛み105(BP)」、「ご本人がご自身の健康状態を全体的にどのように感じているか」に関する「全体的健康官106(GH)」、「どれぐらい疲れているか、どれぐらい活力にあふれているか」に関する「活力107(VT)」、「ご自身の健康状態が損なわれることによって、普段の付き合いなどの社会生活機能がどの程度難しくなっているか」に関する「社会生活機能108(SF)」、「心の健康が損なわれることによっていつも行っている仕事や家事などの日常生活機能がどの程度難しいと感じるか」に関する「日常役割機能109(RE)」、「どの程度落ち込んでいるか、不安に感じるか、などメンタルな状態」に関する「心の健康110(MH)」の得点が含まれる。
【0052】
以上のように、本実施の形態1に係る患者由来情報システム1によれば、患者は外来で待っている間に、病状に関して階層化された質問を、患者側端末2で答えることができる。そして、医師側端末3は、患者の症状の整理されたデータである患者由来情報に基づく分析結果を問診前に画面表示して、診療時間の効率化を図ることができると共に、患者は、自らの症状や言いたいことを伝えることができたという満足感を得ることができる。
【0053】
また、院内サーバ4は、患者由来情報に基づいて、症状の類似度などの科学的根拠に基づく診断分析を行い、患者の症状や病名を多量に蓄積されたデータベースに基づいて高い確率で症状を判定する診断サポートツールを有することとなる。従って、従来は見逃していた隠れた疾患の発見、見逃しの軽減を図ることが可能となる。
【0054】
さらに、患者側端末2を用いることで、従来は把握困難であった医師から聴かれないQOLや、性機能などの医師に言いにくく患者にとって切実な情報を医師側に伝えることが可能となる。またさらに、医師側端末3が、院内サーバ4から豊富で整理された情報を取得でき、診断の見逃しが減り、より質の高い診療を受けられるという安心感を患者が得ることができる。
【0055】
なお、図11に示すように、患者由来情報システム1を、来院目的以外の疾病でも対処可能とする。例えば、腎臓関連の患者由来情報の質問項目に追加して、うつ傾向のスクリーニングを行い、その結果により、うつ傾向と疑われれば、より精度が高いPHQ−9などを実施する。また、グレーゾーンの場合には次回受信時に再質問し、うつ傾向のある患者にはEMR上で表示して、医師側端末3にアラート表示を行うことも考え得る。
【0056】
また、図12に示すように、患者由来情報システム1を用いて患者由来情報に基づいて対象者の層別化を行うことも考え得る。例えば、患者由来情報に基づき行動変容ステージの半自動測定し、行動変容ステージごとに、対象を分類し、栄養指導の優先順位付けして、栄養指導のテーラーメード化、行動変容段階により複数の介入方法を策定(介入プログラムA,B)することができる。
【0057】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る診療情報抽出システムに関して図面を参照して説明する。なお、上記実施の形態1に係る患者由来情報システムと同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する(以下同じ)。
【0058】
本実施の形態2に係る診察情報抽出システム5は、図13に示すように、実施の形態1に係る患者由来情報システム1と連携をする外部サーバ6を備える。外部サーバ6は、リモート保守用のサーバであり、各医療機関に備えられたサーバ4に記憶されている患者由来情報、レセプトデータ、検査データなど、電子化された医療情報をサーバ4から読み込み取得する。また、外部サーバ6は、厚生労働省告知のマスタデータを読み込み、マスタ情報の更新をも行う。なお、電子化された医療情報は、WAN上の外部サーバ6に送信されるため、インターネット上の不特定の端末からのアクセス対象になる。そこで、アクセスできる端末を制限するVPN(Virtual Private Network)などによりデータ暗号化を行う。暗号化方式は、その他AES(Advanced Encryption Standard) などを用いてもよい。
【0059】
次に、診察情報抽出システム5におけるアプリケーション(例えば「診療情報プラットフォーム」)管理、及び抽出済みデータの管理に関して、図14を参照して説明する。各医療機関のサーバ4は、患者由来情報、レセプトデータ、検査データ、電子カルテなど、電子化された医療情報を抽出済みデータとしてデータベースに管理する。外部サーバ6のデータベースには、各医療機関から定期的(例えば1月ごと)に取得した抽出済みデータが保持されており、設定された抽出条件を満たすデータが、抽出可能となっている。
【0060】
また、外部サーバ6は、診療情報抽出システム5に用いる専用アプリケーションを各医療機関に配布する配布部61を備えると共に、各医療機関から抽出済みデータを取得し共有化を行う。また、外部サーバ6は、アプリケーションの改善、配布、匿名化された抽出済みデータの統合、リモート保守によるメンテナンスを行う。医療機関A〜Cは複数あり、常に最新版アプリケーションを外部サーバ6から取得し、既存診療情報データより、様々なリサーチクエスチョンに沿ったデータを抽出して利用することができる。
【0061】
次に、診断情報抽出システム5において読み込み対象となる抽出済みデータの例を、図15を参照して説明する。抽出済みデータには、医科レセプト151、DPC調査データ152、及び検査データ153が含まれる。項目「医科レセプト151」は、例えばファイル名基準「(任意の文字列:初期設定ではRECEIPTC.uke)」が含まれるファイルが該当する。項目「DPC調査データ152」は、例えばファイル名基準「(任意の文字列:初期設定ではRECEIPTD.uke)」が含まれるファイルが該当する。項目「検査データ153」は、ファイル名基準に、例えば「YYMM、またはYYYYMM(読み込み対象ファイルの診療年月)」が含まれるファイルが該当する。
【0062】
次に、診療情報抽出システム5を用いたデータ抽出の具体例に関して、図16を参照して説明する。本図では、「心不全患者は貧血(=ヘモグロビン低値)だと再入院しやすいか?」に関する臨床医の要求に関してデータ抽出を行うものである。
【0063】
最初に、図16(a)に示すように、抽出済みデータから、2年間の入院患者数(n=7503名)が抽出される。次に、図16(b)に示すように、病名を心不全、貧血に関しては検査データ(抗生剤使用WBC検査有り)の患者(n=108名)を抽出する。そして、図16(c)に示すように、医師は、抽出条件の項目でさらに患者数を絞込み、解析対象者(n=40名)を選定する。最後に、図16(d)に示すように、データシート作成、病名の正確度確認を行う。このように、読み込みを行った抽出済みデータに対して様々な抽出条件を設定し、抽出結果を画面上又はCSVファイルへ出力することができる。なお、読み込み済みのデータに対して抽出・出力処理を行う際、最低限1ヶ月分のデータの読み込み処理を行うほうが好ましい。
【0064】
従って、従来、対象者抽出に最低2−3日、検査値まで手作業で拾うと数週間要していた作業を、本発明では、電子化されたデータを抽出済みデータとし、抽出条件を設定することで、過去に大量に蓄積されていた医療情報を、短時間で臨床家のリサーチクエスチョンに応じたデータセットの抽出が可能となる。また、データ解析も約30分などで完了する。従って、従来は検査値を用いた臨床研究が大半であったが、診療情報抽出システム5を用いることで、要求するデータの自動抽出と簡便な患者絞込み機能を実現でき、医療分野でこれまで満たされてこなかったニーズに応えることができる。
【0065】
次に、医師側端末3に表示される画面を図17乃至図20を参照して説明する。
【0066】
医師は、最初に、デスクトップ上のアプリケーションである「診療情報プラットフォーム」アイコンをダブルクリックし、「診療情報プラットフォーム」の「メインメニュー」を起動させる。なお、この際、現在インストールされている「診療情報プラットフォーム」の使用期限、およびアプリケーションのバージョンを確認し、異常が発生した場合はメッセージが表示される。医師は、当該アプリケーションの起動後、ユーザ名、パスワードを用いてログインを行う。
【0067】
次に、医師は、「メインメニュー」から「対象者の抽出と出力」ボタンを押下することにより図17に示す対象者抽出画面171を起動する。そして、医師は、「基本情報」タブ172により、対象者を抽出する元となるデータの対象期間、[全て]、[入院のみ]、[外来のみ]のいずれかを選択する判定対象、患者性別、患者年齢、診療科などをデータ抽出条件として設定できる。
【0068】
また、医師は、図18に示す画面181における「傷病名」タブ182、「医薬品」タブ183、「診療行為」タブ184、「特定器材」タブ185、「検査」タブ186、「診断群分類」タブ187を用いて、病歴や診療暦などをデータ抽出条件として設定することができる。医師は、画面181において、厚労省マスタデータ(傷病名、医薬品、診療行為、特定器材)、または検査歴、診断群分類に対して検索条件を設定し、検索タブ188を押下することで、検索結果を図18(b)に示すプレビュー189に表示する。
【0069】
具体的には、抽出条件には、対象者を抽出する対象期間や患者属性、診療科を設定する基本情報172、患者の病歴に対して対象/除外を設定し、自院で診療を開始した年月を指定する傷病名182、患者の診療歴(医薬品)に対して対象/除外を設定する医薬品183、患者の診療歴(診療行為)に対して対象/除外を設定する診療行為184、患者の診療歴(特定器材)に対して対象/除外を設定する特定器材185、患者の検査歴に対して対象/除外を設定し、検査結果に対しても、抽出範囲を設定する検査186、患者入院歴の診断群分類に対して対象/除外を設定する診断群分類187、及びPDIから出力した患者一覧情報を対象データとして設定するPDI連携が含まれる。
【0070】
プレビュー189の検索結果には、各タブの設定状況が3色で表示される条件設定状況190、抽出結果の患者数が表示される対象患者数191、保持しているデータ内の全患者数が表示される全患者数192、設定条件に合致する対象患者数を更新する対象患者数表示193、設定条件に合致する対象患者数を更新し、データを抽出する抽出194、患者別に割り振られる患者番号である識別番号195、患者の性別196、患者の生年月日197、プレビュー時点での患者の年齢198、患者の診療開始日199、及び患者の最終診療年月日200が表示される。
【0071】
なお、検索は、傷病名・医薬品名などの名称から検索を行う方法と、ICD10コード・薬価基準コードなどのコードから検索を行う方法がある。例えば(1)名称検索(傷病名、医薬品、診療行為、特定器材、検査タブ)においては、図18(a)の欄201の検索条件を[名称検索]に切り替え、検索条件入力欄に名称を入力し、検索ボタン188を押下する。また、(2)コード検索(傷病名、診療行為、診断群分類タブ)においては、欄201の検索条件を[コード検索」に切り替え、検索条件入力欄にコードを入力し、検索ボタン188を押下する。(3)コード検索(医薬品タブのみ)においては、欄201の検索条件を[コード検索」に切り替え、検索条件入力欄にコードを入力し、検索ボタン188を押下する。この場合、追加条件として対象医薬品の成分指定による検索が可能である。(4)簡易検索 (診断群分類タブのみ)においては、欄201の検索条件を[簡易検索」に切り替え、検索条件として「傷病名」、「手術」・「手術・処置」・「副傷病名」の有無を選択し、検索ボタン188を押下する。
【0072】
次に、対象者出力画面に関して図19を参照して説明する。この画面19は、抽出条件を設定後に、対象者抽出画面171から対象者出力設定ボタン173を押下することにより起動する。
【0073】
対象者出力画面19において、各タブにて出力条件を設定する条件設定部として、対象者データを出力する期間を設定する基本情報19a、出力する医薬品の選択、および代表医薬品を設定する医薬品19b、出力する診療行為の選択、および代表診療行為を設定する診療行為19c、出力する特定器材の選択、および代表特定器材を設定する特定器材19d、出力する検査の選択、および代表検査を設定する検査19eがある。
【0074】
そして、プレビュー19fを押下すると、設定された抽出条件に基づく抽出結果が表示される。具体的には、医薬品、診療行為、特定器材、検査で設定した代表名19g、抽出結果の患者数である対象患者数19h、患者別に割り振られる患者番号19i、患者の性別19j、患者の生年月日19k、代表名に設定した医薬品の行為回数19l、代表名に設定した診療行為の行為回数19m、代表名に設定した特定器材の行為回数19n、代表名に設定した検査の行為回数19o、代表名に設定した検査の最古実施日19p、代表名に設定した検査の最古結果19q、代表名に設定した検査の最古単位19r、代表名に設定した検査の最新実施日19s、代表名に設定した検査の最新結果19tなどが表示される。
【0075】
次に、診療情報抽出システム5と上記実施の形態1に係る患者由来情報システム1との連携に関し、図20の画面50を参照して説明する。この「対象者抽出」画面50のPDI連携タブ51では、患者由来情報から出力した患者一覧情報を読み込み、抽出対象の条件として設定できる。また、プレビュー部52に表示された抽出結果を、患者由来情報の検索条件として出力することができる。
【0076】
具体的には、(1)「対象者読込」ボタン53を押下して、診療情報プラットフォーム上に存在するデータ識別番号は、対象データリスト54に、存在しないデータは対象外データリスト55にそれぞれ表示される。次に、(2)「対象データを抽出データに設定56」をチェックし、(3)「抽出」ボタン57を押下して、結果を表示します。また、「PDI用対象者出力」タブ58を押下することでPDI用対象者を出力できる。
【0077】
以上のように、本実施の形態2に係る診療情報抽出システム5では、レセプトデータ、検査データ、電子カルテ、患者由来情報などの電子化された医療情報に基づいて、多忙で把握困難な患者情報が入手可能となる。すなわち、大量の医療情報の中から、既に電子化されたレセプトデータ、検査データ、患者由来情報などを用いて、医師自らが基本情報や、医薬品などの抽出条件を設定することで、システム自体を軽いものとして、抽出条件を満たす患者情報が抽出可能となる。さらに、医師は、要求解決に必要なデータのみを抽出条件を設定するのみで容易に抽出でき、レセプトのみでは得られない臨床情報(例えばアウトカムである検査結果、発症、死亡、QOL、入院など)を用いて要求する患者情報を抽出でき、臨床疫学研究のニーズに合致できる。従って、診療情報抽出システム5によれば、医師や医療現場への負担を限りなく自動化にし、便利なデータ収集方法を提供して臨床研究者のニーズに答えることができる。
【0078】
また、診療情報抽出システム5及び患者由来情報システム1と組み合わせることで、強力な臨床研究データベースになり、医療疫学が提供する診断サポートツールとすることができる。その中で、例えば(1)本当に診断が正しかったのか医師の診療研究、(2)薬の使用量の比較などの病院管理的に使用できる。
【0079】
さらに、きちんと治療されていない疾患の把握による、医業収益の増加が見込まれる。また、医療機関の管理者は、診療情報抽出システム5を用いて、各医師に対する患者満足度など、経営判断に役立つ情報が入手できる。
【符号の説明】
【0080】
1 患者由来情報システム
2 患者側端末
21 表示部(表示手段)
22 入力部(入力手段)
23 制御部
24 記憶部
25 送受信部(送受信手段)
3 医師側端末
31 取得部(取得手段)
32 入力部(入力手段)
33 記憶部
34 表示部(表示手段)
4 院内サーバ
41 送受信部(送受信手段)
42 分析部(分析手段)
43 記憶部(記憶手段)
5 診療情報抽出システム
6 外部サーバ
61 配布部(配布手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者側端末と、医師側端末と、サーバとを有する患者由来情報システムにおいて、
前記患者側端末は、患者に対する質問を表示する表示手段と、患者から直接得られる医療情報である患者由来情報の入力を受け付ける入力手段と、前記サーバに患者由来情報を送信する送受信手段とを備え、
前記サーバは、前記患者側端末から取得する患者由来情報に基づいて患者の症状を分析する分析手段と、前記分析手段における分析結果を記憶する記憶手段と、前記患者側端末から患者由来情報を受信すると共に、前記分析手段における分析結果を前記医師側端末に送信する送受信手段とを備え、
前記医師側端末は、問診される患者の症状の分析結果を前記サーバの記憶手段から取得する取得手段と、前記取得手段で取得した分析結果を画面に表示する表示手段と、操作入力のための入力手段とを備える、ことを特徴とする患者由来情報システム。
【請求項2】
前記患者由来情報は、患者の症状、患者が気付いた身体徴候、QOL、検査や治療を含む過去に受けた診療内容、発症や悪化や入院など診療後のアウトカム、及び医師への満足度の少なくとも1つを含む情報である、ことを特徴とする請求項1記載の患者由来情報システム。
【請求項3】
前記患者側端末の前記入力手段はタッチパネルであり、
前記患者側端末の表示手段において表示される患者に対する質問は、患者毎に付与される固有の識別番号ID、初期症状の選択の画面、当該初期症状の細目質問、及び全ての人に聞く質問へと階層的に編集されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の患者由来情報システム。
【請求項4】
前記サーバの前記分析手段は、前記患者由来情報に基づいて、所定のアルゴリズムを用いて診察前の患者の症状をスコアリングする機能を有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の患者由来情報システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の患者由来情報システムと、当該患者由来情報システムに備わるサーバとネットワークを介して接続され、前記サーバから電子化された医療情報である抽出済みデータを取得する外部サーバと、を備える診療情報抽出システムにおいて、
前記外部サーバは、前記抽出済みデータを記録する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記抽出済みデータを用いて診断情報を抽出するためのアプリケーションを前記患者由来情報システムに備わるサーバに配布する配布手段とを備え、
前記患者由来情報システムに備わる医師側端末は、前記配布手段で配布されたアプリケーションをインストールし、前記医師側端末の入力手段を用いて、要求する診療情報の抽出条件を入力して、前記抽出済みデータから自らの要求する診療情報を抽出する、ことを特徴とする診療情報抽出システム。
【請求項6】
前記抽出済みデータには、診療報酬明細書であるレセプトデータ、DPC調査データ、検査データ、患者から取得する患者由来情報、及び電子カルテの少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする請求項5記載の診療情報抽出システム。
【請求項7】
前記抽出条件には、名称として、対象となる患者を抽出する対象期間、患者属性、及び診療科を設定する基本情報と、患者の病歴に関して自院で診療を開始した年月を指定する傷病名と、患者の医薬品に関する診療歴を設定する医薬品と、患者の診療行為の診療歴を設定する診療行為と、患者の特定器材に対する診療歴を設定する特定器材と、患者の検査歴に関して検査結果に対しても抽出範囲を設定する検査と、患者入院歴の診断群分類を設定する診断群分類と、前記患者由来情報から出力した患者一覧情報を対象に設定する患者由来情報連携との少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の診療情報抽出システム。
【請求項8】
前記抽出条件には、さらに、ICD10コード及び薬価基準コードのコード情報が含まれる、ことを特徴とする請求項7記載の診療情報抽出システム。
【請求項9】
前記ネットワークは暗号化される、ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の診療情報抽出システム。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図1】
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【図3】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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