説明

患者関連データを供給するための装置を備える医療処置システム

【課題】医療処置(とくには、透析処置)を実行するための少なくとも1つの装置と、患者関連のデータを供給するための装置(サーバ)とを備える医療処置システムを提供する。
【解決手段】患者関連のデータが、透析装置1,1’、1”には保存されず、サーバ2によってロードされる。データを、患者モードにおいてスクリーン上に表示できる。透析装置は、患者モードにおけるスクリーン上での患者関連データの誤った入力および誤った表示を防止する種々の安全上の特徴を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療処置を実行するための少なくとも1つの装置と患者関連のデータを供給するための装置とを備える医療処置システムに関し、とくには体外血液処理システム、とくには少なくとも1つの透析装置と患者関連のデータを供給するための装置とを備える透析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1つの医師のステーションからそれぞれの患者の処置を監視するだけでなく、処置の調節も行うことができるよう、複数の患者ステーションおよび中央のサーバを含んでいる透析ステーションが、DE 10 2004 011 264 A1から知られている。医師のステーションと個々の患者ステーションとの間の対話を、データ・ネットワークを介して行うことができる。相互接続によるさらなる透析システムが、EP 1 195 708 A1およびWO 01/37899 A2から知られている。
【0003】
従来技術に係る透析システムの共通の特徴は、個々の処置装置からロードできる患者関連のデータが、中央のサーバに供給される点にある。さらに、処置装置へと供給される患者関連のデータを、中央のサーバに保存することができる。
【0004】
医療工学におけるより厳格な安全性の要件のため、一方では施術の誤りをなくし、他方では医療処置システムの機能不良をなくすために、処置装置とサーバとの間のデータの伝達に、きわめて高度な安全性の要求が課される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、作業者に医療処置についての包括的な情報を提供するとともに、入力ミスおよび機能不良を安全に廃絶する医療処置システム、とくには透析システムを示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1、14および23の特徴によって達成される。
【0007】
医療処置システムの入力/表示装置が、処置モードにおいて機械関連のデータ・セットが表示され、患者モードにおいて患者関連のデータ・セットが表示されるように設計される。ここで、機械関連のデータ・セットが、例えば血液および透析用流体のポンプの送り速度、限外ろ過量など、機械の制御システムに関係するすべてのデータを指すものと理解される一方で、患者関連のデータ・セットは、処置装置の制御になんら影響しないすべてのデータを指すものと理解される。それらのデータ・セットは、単に作業者のための情報として機能する。
【0008】
本発明による医療処置システムの入力/表示装置は、患者関連のデータの種々のグループを入力および表示するための複数の手段を特徴とする。患者関連のデータのグループを入力および表示するためのそれぞれの手段が、複数のデータ・セットを表示するための手段、および複数のデータ・セットから1つ以上のデータ・セットを選択するための手段を有している。したがって、データ・セットそのものを入力する必要なく、所定のデータ・セットから処置のために必要とされるデータ・セットを選択することが可能である。さらに、患者関連のデータのグループを入力および表示するためのそれぞれの手段は、選択されたデータ・セットの1つ以上を表示するための手段を有している。したがって、所定のデータ・セットから処置の際に選択されたデータ・セットを、作業者のために自動的に記録することが可能である。
【0009】
好ましい設計においては、入力/表示装置が、患者関連のデータを入力および表示するためのタッチスクリーンとして設計され、患者関連のデータの種々のグループを入力および表示するための手段が、個々に選択可能なフィールドを含んでスクリーン上に表示できるページである。
【0010】
データ伝達が、処置装置と患者関連のデータを供給するための装置(患者関連のデータを保存するための設備を有している)との間で行われる。
【0011】
患者関連のデータのグループは、例えば、処置の際に投与された薬物または処置のために処方された薬物についての情報、ならびに処置の際に得られた結果、および処置の際に開始されたアクションなど、処置の種類および実行についての情報を作業者に提供する複数のデータ・セットを例えば含むことができる。これらの患者特有のデータを、個々に表示して、作業者にとって利用可能にできる。
【0012】
医療処置システムのとくに好ましいさらなる設計は、複数のデータ・セットから患者関連のデータの種々のグループを選択できるようにするだけでなく、選択されたデータ・セットへと割り当てることができ、かつ表示することができる1つ以上のデータ・セットを入力するための手段を提供する。したがって、作業者が、処置の方法および処置のプロセスならびに投与された薬物に関するさらなる情報、ならびに得られた結果および開始されたアクションを入力することができ、この情報を、後の処理の作業者が利用することができる。好ましくは選択されたデータ・セットの少なくとも一部を、作業者にとって恒久的に利用可能となるよう、保存装置に保存することができる。
【0013】
患者モードにおいては、患者関連の表示領域が、好ましくは患者関連のデータ・セットを表示するためだけに定められ、この表示領域は、専ら作業者に患者について知らせるべく機能し、処置装置の制御には機能しない。好ましい設計においては、患者関連の表示領域が、タッチスクリーンとして設計された処置装置のスクリーンの一部を形成する。
【0014】
データが、患者関連のデータを供給するための装置から個々の処置装置へと伝達されるとき、データ・セットが完全には表示されない可能性がある。動作エラーまたは不正確な情報を防止するため、入力/表示装置に、患者関連のデータ・セットをすでに表示されているデータ・セットに重なることなく患者関連の表示領域の限界内に表示できるか否かを判断するための手段が設けられ、これによって、限界を超える場合または重なりが存在する場合に、データ・セットの表示が防止される。これにより、誤った結論につながりかねない不完全な情報が作業者へと提示されることがないように保証される。
【0015】
さらに、この医療処置システムは、患者関連のデータを周期的に照会するための手段を特徴とし、これにより、患者関連のデータを供給するための装置から新たな患者関連データが供給されたときに、これが通知される。処置モードにおいて機械関連のデータ・セットのみが表示される場合、新たな患者関連データの存在が作業者に伝えられるように保証される。次いで、作業者が、患者関連のデータ・セットを表示させて必要であれば処理するために、患者モードを呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】体外血液処理システムを、簡略化した図式的表示にて示している。
【図2】処置モードにある処置装置の画面を示している。
【図3】患者モードにある処置装置の画面を示している。
【図4A】患者モードの画面の中央表示領域を示しており、イベント・ページが呼び出されている。
【図4B】患者モードの画面の中央表示領域を示しており、イベント・ページが呼び出されている。
【図4C】患者モードの画面の中央表示領域を示しており、イベント・ページが呼び出されている。
【図4D】患者モードの画面の中央表示領域を示しており、イベント・ページが呼び出されている。
【図5A】薬物ページの呼び出し後の動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。
【図5B】薬物ページの呼び出し後の動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。
【図5C】薬物ページの呼び出し後の動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。
【図6A】メッセージ・ページの呼び出し後の動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。
【図6B】メッセージ・ページの呼び出し後の動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。
【0017】
参考としての実施形態を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、体外血液処理システム(とくには、血液透析システム)の基本的な構成要素を、高度に簡素化した図式的表示にて示している。透析システムが、複数の透析装置1、1’、1’’および患者関連のデータを供給するための装置2を、ネットワーク3によって互いに接続して備えている。
【0019】
患者関連のデータを供給するための装置2(サーバ)には、例えばハードディスク記憶装置などといった患者関連のデータを保存するための装置2A、および患者関連のデータを入力するための装置2Bが備えられている。例えば、この装置は、スクリーンおよびキーボードを有するPCを備えることができる。
【0020】
個々の透析装置1、1’、1’’のそれぞれに、機械部分1Aおよび入力/表示装置1Bが設けられている。入力/表示装置は、タッチスクリーンとして設計されたスクリーンであり、これによって透析装置を制御するための機械関連のデータおよび患者関連のデータの両者を、入力および表示することが可能である。透析装置の機械部分1Aは、個々の機械部品を制御するための中央制御ユニットを有している。
【0021】
図2は、透析装置1のスクリーン1Aの画面を示している。画面が、中央の表示領域10と、上縁に位置するステータス・バー11と、スクリーンの下縁に位置するメニュー・バーとに分割されている。中央領域10の限界が、図2に破線で示されている。ステータス・バー11およびメニュー・バー12はそれぞれ、指やカーソルによって選択できる複数の選択可能なフィールド(ボタン)を有している。
【0022】
作業者は、スクリーン上で処置モードまたは患者モードのいずれかを選択することができる。図2は、機械関連のデータの入力および表示が可能な処置モードを示している。このモードにおいて、例えば、処置のためにあらかじめ定められたパラメータを、透析装置の中央制御ユニットのために入力することができる。
【0023】
スクリーン上で患者関連のデータの入力および表示を行うことができる患者モードは、処置モードとは完全に別個独立の機能を演じる。したがって、患者モードにおける入力および表示は、透析処置に何ら影響を及ぼさず、単に情報および記録として機能する。
【0024】
患者モードにおける患者関連のデータの入力および表示は、ステータス・バー11およびメニュー・バー12ならびにさらなる機械関連のデータ(例えば動脈圧および静脈圧ならびに血流)を表示できる左側および右側の表示領域13、14が視認可能なままであるよう、中央の表示範囲10において行われる。
【0025】
患者関連のデータは、透析システムのサーバ2からロードされる。データが中央において供給されるため、顧客の要件に合わせた変更および適合が可能であり、迅速に行うことができる。患者モードにおいては、透析装置には保存されておらずサーバからロードされる動的かつ相互対話的なプログラム・シーケンスを、実行することができる。透析装置において、プログラム・シーケンスが機械の制御から分離して実行されるため、プログラム・シーケンスが透析装置の医療機能に影響を及ぼすことがあり得ない。
【0026】
相互対話的なプログラム・シーケンスは、患者モードにおいてスクリーン上に例えば検査値などの患者関連のデータを表示するように機能する。さらに、作業者による入力も可能である。入力への応答として、サーバがさらなるデータを透析装置へと送信でき、これによって具体的なユーザの案内が可能になる。
【0027】
プログラム・シーケンスの相互対話性は、サーバから動的にロードされ、その構造がページ記述言語に従っているスクリーン・ページによって達成される。透析装置とサーバとの間の通信は、httpまたはHTTPSといったプロトコルによって行われ、ページの内容は、HTMLによって記述される。ページの記述は、スクリーン上に表示すべき制御要素、それらの属性、それらの配置場所、およびそれらがユーザの入力に対してどのように反応するのかについての情報を含んでいる。
【0028】
プログラム・シーケンスの最も単純な形態は、サーバによって生成されたスクリーン・ページであって、作業者によるデータ入力の可能性が皆無またはきわめてわずかであるスクリーン・ページの表示である。このページが、例えばメニュー・ポイントによって選択され、ボタンによって閉じられる。
【0029】
複雑なプログラム・シーケンスは、その順序および内容が作業者の入力に従って定められる一連のスクリーン・ページを含むことができる。ボタンによって順序が制御される相互対話的なヘルプまたは学習ページが、この例である。
【0030】
さらに、より複雑なプログラム・シーケンスは、計算アルゴリズムを実行し、したがって患者の現在または将来の処置に関連しうる医療関連のパラメータを計算するために、他の場所で利用可能にされる(例えば透析データ・バンクから、あるいは透析器そのものからの測定データの取得によって)データを使用して、患者関連のデータ入力のサーバにおける受信を可能にする。
【0031】
患者モードのスクリーンの機能を、例を参照しつつ以下でさらに詳しく説明する。
【0032】
所定の間隔にて、透析装置が周期的に、新たな患者関連データが利用可能であるか否かをサーバに対して尋ねる。該当する場合、処置モードがアクティブにされていて、患者モードがアクティブにされていないならば、患者の名前を載せている患者ボタン15が、スクリーンのステータス・バー11において点滅する。患者モードは、患者ボタン15が選択されるまでは開かれない。いずれの場合も、常にすべての安全関連のデータが作業者へと通知されるように保証される。
【0033】
患者関連のデータは、スクリーン上に表示できるグラフィック要素を定めている。図3が、患者モードにおける画面を示している。グラフィック要素は、サーバによって中央の表示領域10(図2)の任意の場所に配置できる。患者モードにおいてスクリーン上に患者関連のデータが現われる前に、すでに表示済みの要素に重なり合うことなく中央の表示領域10の所定の限界内に個々のグラフィック要素を表示することが可能であるか否かが、判断される。該当する場合、要素の表示は防止される。そうでない場合、要素がスクリーンの中央の表示領域に現われる。これは、すべての関連の情報が利用可能になるまでは表示が存在しないように保証し、表示内容の誤った解釈の可能性を除いている。
【0034】
グラフィック要素は、最初に、HTMLページ記述内の位置情報に従って仮想的に配置される。ここで、各要素について、その位置がすでに他の要素のために予約済みでないかどうか、および要素が中央の表示領域の内側に完全に位置するかどうかが、確認される。そのようであるならば、この要素のための位置が開放されている。一方で、この位置がすでに占められている場合には、ページは表示されず、エラー・メッセージがページ上に現われる。この場合、スクリーンの残りの部分は依然として機能可能である。すべての要素が、衝突することなく上手く仮想的に配置されたならば、完全なページが表示される。
【0035】
機能不良を防止するため、透析装置にとって既知であるグラフィック要素のみがスクリーン上に表示され、この目的のため、HTML要素にいわゆるクラス属性が設けられる。個々の要素をスクリーン上に表示する前に、要素がクラス属性を備えているか否かが判断される。この場合、クラス属性を備えている要素のみが表示される。他方で、クラス属性を持たない要素は無視される。サーバが、透析装置のうちの1つよりも最近のソフトウェア・バージョンを備えている場合、未知のクラス属性を有する要素が得られる可能性がある。それら未知のクラス属性を有する要素は表示されず、機能不良を防止している。しかしながら、ユーザへは警告が伝えられる。
【0036】
患者モードにおいては、患者関連データの種々のグループが、別々のページに表示される。種々のグループとしては、例えば、実行された処置、処方された薬物、メッセージ、イベント、またはアクションが挙げられる。個々のページを、ページの上縁の該当ボタンを押すことによって、指で呼び出すことができる。図3は、イベント・ページを示している。各ページは、複数のデータ・セットを含んでおり、そのようなデータ・セットとして、例えばイベント・ページにおいては、例えば薬物1(Medication1)、薬物2(Medication2)、薬物3(Medication3)などといった処方済みの薬剤、または頭痛などといった種々のイベントが挙げられる。これらのデータ・セットは、個々のリスト16、17、18へとまとめられる。処置の際にイベントが生じた場合、そのイベントを、時刻および適切なアクションとともに記録することができる。この目的のために、適切なボタンが選択される。
【0037】
イベントおよびアクションの表示および記録のためのメニュー選択を、図4A〜4Dを参照して以下でさらに詳しく説明する。例えば、作業者は、イベント・リスト17において、種々の所定のイベント「頭痛(Headache)」などの中から、イベント「イベント6(Event6)」を選択する。その結果、この文字が緑色で強調される。作業者は、ここでイベントの代わりに、アクションを選択してもよい。作業者が、最初にイベントを選択した場合、次にアクションを選択することができる。
【0038】
例えば、作業者は、アクション「薬物2、単位(Medication2,unit)」をアクション・リスト16から選択し、すなわち特定の薬物の投与が、薬物のリストから選択される。次いで、作業者は、新たなページ(図4D)を開き、投与される単位の数を入力する。例えば、作業者は、該当のボタン5を押すことによって5単位を入力する。次いで、作業者は、以前のページへと戻る。今や、アクション「5 薬物3、単位(5 Medication3,unit)」が緑色で強調されている。入力されたデータ・セット「5」が、選択されたデータ・セット「薬物3、単位(Medication3,unit)」へと割り当てられている。
【0039】
入力の確認の後、選択されたイベントおよびアクションが、入力の時刻(17:05)の表示とともに、保存済みイベントのリスト18(イベント履歴(Event History))に表示される。文字には、青色の背景が与えられている。ユーザは、「OK」ボタンを押すことによって、この表示を確認することができる。今や、文字に灰色で下線が引かれるが、「イベント履歴(Event History)」に示されたイベントおよびアクションを「履歴(History)」から取り除くことも可能である。この目的のために、ユーザが「削除(Remove)」ボタンを押す。
【0040】
したがって、患者モードは、選択されるべき特定のイベントおよび特定のアクションの割り当てを可能にし、イベントおよびアクションを、記録のために順に保存することができる。ここで、データ・セットは、個々の透析装置1、1’、1’’とは別個独立にサーバ2に保存される。その結果、新たなイベントおよびアクションの選択に先立って、すでに行われたイベントおよびアクションが、ユーザへと伝えられる。例えば、ユーザがイベント「イベント6(Event6)」およびアクション「5 薬物3、単位(5 Medication3,unit)」を入力する前に、患者がすでに頭痛を抱えていて、薬物が投与済みであることが、ユーザへと伝えられる。ユーザによる選択が可能な個々のデータ・セットとデータ・セットの記録との組み合わせが、透析処置の安全性を向上させる。
【0041】
ユーザが、患者関連データの種々のグループの中から「薬物(Medication)」ページを選択した場合、新たなページが現われる。図5A〜5Cが、薬物ページが呼び出された後の動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。ユーザは、複数のデータ・セットのうちのこのグループの中から、さらなる選択を行うことができる。例えば、ユーザは、薬物3(Medication3)、薬物4(Medication4)、薬物5(Medication5)などといった所定の薬物の中から(すなわち、患者関連のデータを供給するために装置からロードされる利用可能な薬物のリストから)、所望の薬物を選択することができる。選択された薬物の文字が、今や緑色で強調される。ここでユーザは、「拒否(Rejct)」または「承認(Accept)」ボタンを押すことによって、処方された薬物を承認または拒否することができる。ユーザが選択された薬物を承認した場合、その選択された薬物は、「薬物履歴(Medication History)」リストのもとに表示されて、レ点によって識別され、そうでない場合、薬物が表示され、十字によって識別される。
【0042】
「OK」による確認の後で、「薬物履歴(Medication History)」リストのすべてのエントリが、透析装置とは別個独立に、記録のために引き継がれて、サーバ2に保存される。一方、ユーザが患者モードを終了させると、すべての入力は失われる。
【0043】
後に「薬物(Medication)」ページが再び呼び出されると、ユーザが処置の経過をたどることができるよう、患者関連のデータ・セットがロードされる。例えば、ユーザに、薬物1および5が投与済みであるが、薬物2は投与されていない旨が伝えられる。
【0044】
イベントおよびアクションならびに薬物の投与の表示および記録に加え、さらにサーバは、個々の透析装置のユーザが患者関連のメッセージを利用できるようにする。
【0045】
メッセージを、それぞれの患者について透析システムに保存することができる。これらのメッセージは、患者関連データを供給するための装置(サーバ)の入力装置2Bを使用して、中央において入力される。例えば、メッセージは、キーボードによって入力され、あるいはデータ担体にて読み込まれる。また、メッセージを、サーバと通信する他の外部の装置(不図示)によって利用可能にしてもよい。図6Aおよび6Bが、動作の論理シーケンスを説明するためのフローチャートを示している。
【0046】
処置モードが呼び出されたとき、新たなメッセージが受信されるとステータス・バー11の患者ボタンが点滅する。次いでユーザは、患者メニューを有効にすることができる。ユーザが、「メッセージ(Message)」ページを選択する。メッセージを読むために、ユーザが適切なボタンを押し、メッセージを時刻の表示と一緒に表示する新たなページが開かれる。「確認(Confirm)」ボタンを押すことによって、ユーザは、メッセージを読んだ旨を伝える。そうでない場合、ユーザは、「閉じる(Close)」ボタンを押すことによってページを閉じる。
【0047】
ユーザがメッセージを読んだ場合、メッセージのリスト内のメッセージの題名が消え去る。今や、メッセージの題名を、ユーザがそのメッセージを読んだ時刻の表示とともに、「メッセージ履歴(Message History)」リストに見つけることができる。以前に読まれたすべてのメッセージも、このリストに現われる。ここでユーザは、未読であるさらなるメッセージを順に呼び出すことができ、それらを記録のために時刻の表示とともに保存することができる。
【0048】
記録におけるエラーを防止するために、ページのすべての内容は、サーバのデータ・バンクへの保存が可能になる前に、サーバによって複数回、少なくとも3回呼び出され、種々の動作段階において表示される。これらの実施形態は、最初に各要素が選択されなければならず、次いで選択が確認され、確認された選択が最終的に「履歴(History)」リストに取り入れられる旨を示している。誤った入力の恐れが、複数回の入力によって低減される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置を実行するための少なくとも1つの処置装置(1、1’、1’’)であって、中央制御ユニットと、該処置装置(1、1’、1’’)を制御するための機械関連のデータを入力および表示するための装置(1B)と、患者関連のデータを入力および表示するための装置(1B)とを有している処置装置(1、1’、1’’)、および
患者関連のデータを供給するための装置(2)であって、患者関連のデータを保存するための装置を有している装置(2)を備えており、
少なくとも1つの該処置装置(1、1’、1’’)および患者関連のデータを供給するための装置(2)が、入力/表示装置(1B)によって入力されたデータを保存装置によって保存でき、かつ保存装置によって保存されたデータを入力/表示装置によって表示できるように相互作用する医療処置システムであって、
該入力/表示装置(1B)が、患者関連のデータの種々のグループ(16、17、18)を入力および表示するための複数の手段を有しており、患者関連のデータのグループを入力および表示するためのそれぞれの手段が、複数のデータ・セットを表示するための手段と、複数のデータ・セットから1つ以上のデータ・セットを選択するための手段、および選択された1つ以上のデータ・セットを表示するための手段を有しており、
該処置装置(1、1’、1’’)および該保存装置が、選択されたデータ・セットの少なくともいくつかを保存装置によって保存できるように相互作用することを特徴とする医療処置システム。
【請求項2】
患者関連のデータのグループを入力および表示するための手段が、1つ以上のデータ・セットを入力するための手段を有しており、
1つ以上のデータ・セットを選択するための手段が、入力されたデータ・セットを、選択されたデータ・セットへと割り当てることができ、かつ表示することができるように、1つ以上のデータ・セットを入力するための手段と相互作用することを特徴とする請求項1に記載の医療処置システム。
【請求項3】
該入力/表示装置(1B)が、処置モードにおいて機械関連のデータ・セットを表示でき、患者モードにおいて患者関連のデータ・セットを表示できるように設計されていることを特徴とする請求項1または2に記載の医療処置システム。
【請求項4】
該入力/表示装置(1B)が、患者モードにおいて機械関連のデータ・セットを患者関連のデータ・セットに加えて表示できるように設計されていることを特徴とする請求項3に記載の医療処置システム。
【請求項5】
該入力/表示装置(1B)が、機械関連の表示領域が、機械関連のデータ・セットを表示するための処置モードにのみ定められるように設計されていることを特徴とする請求項3または4に記載の医療処置システム。
【請求項6】
該入力/表示装置(1B)が、患者関連の表示領域が、患者関連のデータ・セットを表示するための患者モードに定められるように設計されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項7】
機械関連の表示領域が、患者関連の表示領域とは別個であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項8】
患者関連のデータを供給するための装置(2)が、患者関連のデータを入力するための装置(2B)を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項9】
複数の処置装置(1、1’、1’’)を有しており、該処置装置(1、1’、1’’)および患者関連のデータを供給するための装置(2)が、互いに接続されてネットワーク(3)を形成していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項10】
該入力/表示装置(1B)が、患者関連のデータを表示するためのスクリーン(1B)を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項11】
該スクリーン(1B)が、患者関連のデータを入力および表示するためのタッチスクリーンとして設計されていることを特徴とする請求項10に記載の医療処置システム。
【請求項12】
患者関連のデータの種々のグループを入力および表示するための手段が、該スクリーン(1B)上に表示できる個々に選択可能なフィールドを備えているページであることを特徴とする請求項11に記載の医療処置システム。
【請求項13】
該処置装置(1、1’、1’’)が、体外血液処理装置であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項14】
医療処置を実行するための少なくとも1つの処置装置(1、1’、1’’)であって、中央制御ユニットと、該処置装置(1、1’、1’’)を制御するための機械関連のデータを入力および表示するための装置(1B)と、患者関連のデータを入力および表示するための装置(1B)とを有している処置装置(1、1’、1’’)、および
患者関連のデータを供給するための装置(2)であって、患者関連のデータを保存するための装置を有している装置(2)を備えており、
少なくとも1つの該処置装置(1、1’、1’’)および患者関連のデータを供給するための装置が、入力/表示装置によって入力されたデータを保存装置によって保存でき、かつ保存装置によって保存されたデータを入力/表示装置によって表示できるように相互作用する医療処置システムであって、
該入力/表示装置が、処置モードにおいて機械関連のデータ・セットが表示され、患者モードにおいて患者関連のデータ・セットが表示されるように設計され、患者関連の表示領域(10)が、患者モードにおいて専ら患者関連のデータ・セットを表示するために定められ、
患者関連のデータの照会を周期的に行うための手段が設けられ、患者関連のデータを供給するための装置によって新たな患者関連データが供給されたときに通知が行われるように設計されていることを特徴とする医療処置システム。
【請求項15】
該入力/表示装置が、患者モードにおいてさらに機械関連のデータ・セットを患者関連のデータ・セットに加えて表示できるように設計されていることを特徴とする請求項14に記載の医療処置システム。
【請求項16】
該入力/表示装置が、機械関連の表示領域が、処置モードにおいて専ら機械関連のデータ・セットを表示するために定められるように設計されていることを特徴とする請求項14または15に記載の医療処置システム。
【請求項17】
該入力/表示装置が、患者関連の表示領域が、患者モードにおいてのみ専ら患者関連のデータ・セットを表示するために定められるように設計されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項18】
機械関連の表示領域が、患者関連の表示領域とは別個であることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項19】
患者関連のデータを供給するための装置(2)が、患者関連のデータを入力するための装置(2B)を有していることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項20】
複数の処置装置(1、1’、1’’)を有しており、該処置装置(1、1’、1’’)および患者関連のデータを供給するための装置(2)が、互いに接続されてネットワーク(3)を形成していることを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項21】
該入力/表示装置が、患者関連のデータを表示するためのスクリーン(1B)を有していることを特徴とする請求項14〜20のいずれか一項に記載の医療処置システム。
【請求項22】
該スクリーン(1B)が、患者関連のデータを入力および表示するためのタッチスクリーンとして設計されていることを特徴とする請求項21に記載の医療処置システム。
【請求項23】
該処置装置(1、1’、1’’)が、体外血液処理装置であることを特徴とする請求項14〜22のいずれか一項に記載の医療処置システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2013−81810(P2013−81810A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3753(P2013−3753)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2008−513955(P2008−513955)の分割
【原出願日】平成18年4月29日(2006.4.29)
【出願人】(501276371)フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (31)
【Fターム(参考)】