説明

悪液質予防補助食品

本発明は、エイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体を総組成物100kcalに基づいて0.1から10g;およびフィトケミカルまたはこれらの混合物を総組成物100kcalに基づいて0.1から10g含む栄養組成物を、悪液質および/または食欲不振の処置および/または予防のための薬剤として使用するために提供する。組成物は、悪液質の予防に特に有用であり、患者の一般的な食事に負の影響を与えないように、さらなる主要栄養素をほとんど含まずに投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪液質および/または食欲不振の予防および/または処置のための栄養組成物、好ましくは栄養補助食品に関する。本発明の組成物は、構成成分として、エイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体と、少なくとも1つのフィトケミカルとを含有する。好ましい実施形態において、組成物はさらに、両方とも中性または塩の形態である1以上の分岐鎖アミノ酸および/またはグルタミンまたはこれらの前駆体もしくは誘導体を含有する。特に好ましい実施形態において、組成物はさらに、混合カロテノイド、ビタミンE、ビタミンC、亜鉛、マグネシウムおよびセレンのような1以上のさらなる酸化防止剤を含む。
【背景技術】
【0002】
悪液質は、筋肉および脂肪組織の進行性消耗を意味し、罹患率および死亡率の増大に関連する。この用語は、ギリシャ語の「悪い」を意味するkakosと、「状態」を意味するhexisとに由来し、一般に健康不良および栄養障害の状態のことを言うと理解される。悪液質は、根底にある疾患、例えば悪性癌に関連し、そうした疾患から誘導されることが多く、この臨床症候群は、食欲喪失(特に食欲不振)、筋肉量および脂肪組織の減少を伴う体重減少、組織消耗、疲労、および死に至ることが多い一般状態不良によって特徴付けられる。
【0003】
食欲不振、身体活動度の低下、宿主タンパク質同化ホルモンの分泌減少、ならびにタンパク質、脂質および炭水化物代謝異常に対する宿主代謝応答の変化といった悪液質の顕在には複数の機構が関与するようである。
【0004】
悪液質症候群の主な特徴の1つである食欲不振は悪液質に通常付随するものであるが、悪液質は食物摂取の増大だけではほとんど応答しない。食欲不振の原因は、多因子性(multifactoral)であることは間違いないが、十分にはまだ理解されていない。一つにはラクタートケトンおよびオリゴヌクレオチドのような中間代謝物または急性期応答タンパク質のような他の放出物質に起因するようである。
【0005】
安静時エネルギー消費の増大が悪液質患者の体重減少の一因となる場合があり、脂肪組織の酸化増大を説明できる。浪費エネルギー消費サイクル、例えばコリサイクルもエネルギー需要の増大に関与し得る。
【0006】
悪液質患者の体重減少は、同様に、骨格筋の代謝増大およびタンパク質合成の減少によって特徴付けられる筋肉および脂肪の喪失に起因する。悪液質では、筋肉および脂肪組織を直接分解し得る異化因子が分泌されるようであり、これが組織変性にて能動的な役割を果たし得る。
【0007】
悪液質は、例えば癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全、HIV/エイズ、慢性腎臓病、神経疾患およびリウマチ性疾患のような根底にある疾患に関連する。根底にある疾患における悪液質の発生頻度は、例えば、全ての癌患者の50%、全てのCOPD患者の30%および全ての慢性心不全患者の10%と見積もることができる。
【0008】
悪液質に関与する根底にある機構についての現在の認識は不十分なままである。しかし、悪液質の大抵の状態は、根底にある炎症プロセスに関連する。筋肉タンパク質の減少機構は次のようであると考えられる。悪液質現象の間、内臓タンパク質貯蔵は保たれ、肝臓量は実際増大し得るが、骨格筋量の進行性減少が生じる。全身タンパク質の代謝回転は筋肉タンパク質代謝が増大するために増大し、肝臓急性期タンパク質合成の増大にもかかわらず、タンパク質合成全体は低下する。
【0009】
骨格筋におけるタンパク質代謝に関与する3つの主要なタンパク質分解経路がある。これらは、細胞外タンパク質および細胞表面のレセプターのタンパク質分解に関与するリソソーム系、組織障害、壊死および自己融解(auteolysis)に関与する細胞質カルシウム調節されたカルパイン、ならびにATPユビキチン依存タンパク質分解経路である。これらのうち、ユビキチン依存タンパク質分解は、(癌)悪液質におけるタンパク質分解に最も重要であると考えられている。
【0010】
脂肪組織の減少機構は次のようであると理解されている。悪液質はまた、脂肪組織の著しい減少によって特徴付けられるが、これは脂質生合成の減少ではなく、脂肪分解の増大によるものである。さらに、エネルギー代謝も、悪液質状態の間に調節不全になる。
【0011】
悪液質の発症機構の活性化は早期の現象であり、特に疾患予後が栄養状態に負の影響を与えることが知られている患者においては、体重減少がなくても悪液質が疑われるべきである。こうした代謝/栄養不均衡の顕在プロセスにおける初期相では、組織喪失のサインが臨床的に明らかになる前に、既に活性化されている場合がある。
【0012】
食欲不振−悪液質の発症は、疾患の臨床経過に大きな影響を与え、実際、大抵の治療法は食欲不振に悪影響を与え、体重減少をさらに悪化させる。結果として、進行癌患者における食欲不振−悪液質症候群の罹患率がより高く、重症度が大きいのは、大抵の場合医原性要因によるものである。疾患のいかなる段階においても早期満腹感がある場合には、死亡率が30%まで大きく増大する可能性がある。
【0013】
近年浮上した食欲不振−悪液質症候群の臨床影響の興味深い観点は、この生活の質への影響である。この観点に基づくと、生活の質の機能スコアは、栄養摂取および体重減少がそれぞれ総スコアの20%および30%を占め、主としてこれらにより決定されることが最近立証された。
【0014】
上記で示したように、最も一般的な悪液質の必須要件は、根底にある疾患の存在、例えば炎症プロセスまたは悪性癌組織の存在である。悪液質症候群を患う患者において、多数の病原性循環因子が報告されている。動物および人間両方の調査によるエビデンスでは、多数の炎症促進性サイトカインが、悪液質の顕在に病原性の役割を果たしていることを示唆している。インターロイキン−6(IL−6)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−1(IL−1)、およびインターフェロン−γ(IFN−γ)が、大部分の調査において、特に癌および重病に関連する悪液質に関係付けられたサイトカインである。さらに、腫瘍由来化合物、例えば脂質動員性因子、貧血誘導物質およびタンパク質分解誘導因子も、悪液質に関係付けられている。全体として、悪液質は複数のサイトカイン、神経ペプチド、ホルモンおよび腫瘍または病原関連化合物間の関係から生じ、これらが細胞代謝を変化させ、組織喪失を招くような様式で相互作用する。
【0015】
要約すれば、悪液質の原因は複数あり、少なくとも部分的には異なる疾患では異なるが、これらの一部は共通しており、悪液質の兆候が導かれる主要な背景を構成する。悪液質の共通する原因のうち、最もよく認識されているものは:
関連する兆候を伴う炎症促進性サイトカイン
代謝亢進
神経伝達物質
ホルモン変化
食欲不振
である。
【0016】
これまで悪液質の処置は、腸内適用または非経口適用の下で、例えば構造脂質を使用するもので、有効ではなかった。さらに、魚油カプセルの使用は問題が多く、嚥下、げっぷおよび不快な味といった深刻な欠点に直面していた。
【0017】
EP 0 914 111には、分岐鎖アミノ酸を含むアミノ窒素源およびさらに酸化防止剤成分と共にω−6脂肪酸およびω−3脂肪酸を含有するオイルブレンドを含む悪液質および食欲不振処置組成物が記載されている。EP 0 914 111は、フィトケミカルについては全く記載していない。
【0018】
WO2004/026294は、ω−3多価不飽和脂肪酸を含有してもよいロイシンが豊富な栄養組成物に関する。この組成物は、筋肉タンパク質合成を促進するまたは腫瘍誘導性の体重減少を制御するために使用される。しかし、WO2004/026294は、フィトケミカルの存在については全く記載していない。
【0019】
WO00/07607は、種々広範な成分を広範囲で含有し得る癌を処置するための栄養および治療組成物に関する。さらに、悪液質とは別の癌に関連する幾つかの疾患および症状が記載されている。
【0020】
また、相対的に低量のω−6:ω−3(2:1から3:1)を有する腸内栄養素は有効ではなかったが、ほとんどの場合、処置に含まれていたエイコサペンタエン酸(EPA)濃度は全く含まれないかまたは非常に低量であった。また、EPAと栄養素の濃い経口栄養補助食品との組み合わせは、アミノ酸と酸化防止剤との相乗作用がないため、部分的にのみ有効である。さらに、現在の製品および治療手法は、悪液質の最終段階にのみ対処するものであり、悪液質前症に対処するものではない。従って、今日まで、悪液質の予防および処置は依然として困難なままである。動物および人間両方の調査では、現在利用可能な手段での栄養補給は主として有効でないことを示唆している。特に生体内蓄積を増やすことは―これは除脂肪体重であるが−悪液質状態が進行している場合に非常に困難である。これらの事実を考慮すると、悪液質は、筋肉および組織消耗の予防が有効である可能性が疾患の進行段階中よりも大きいこの前臨床段階にて、処置されるべきである。悪液質および食欲不振両方を対象とするこうした早期の悪液質前症期における介入は重要であり、有望な治療的概念となるようである。組織喪失が一旦現れたら、筋肉および脂肪量を再構築するための介入手法は、困難であり、成功し難いことがわかった。
【0021】
先行技術について上記で記載した観点から、筋肉および組織消耗の予防が有効である可能性が疾患の進行段階中よりも大きい非常に早期の前臨床段階において、悪液質および/または食欲不振を処置する組成物が、依然として強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】欧州特許第 0 914 111号
【特許文献2】国際公開第2004/026294号
【特許文献3】国際公開第00/07607号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の根底にある目的は、前臨床段階において既に有効な悪液質および/または食欲不振の予防および処置のための栄養組成物を提供することである。特に、悪液質および/または食欲不振の発症だけでなく、悪液質/食欲不振の進行も予防する組成物を提供することが目的である。さらに、存在する悪液質/食欲不振の処置にも有効な組成物を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述の目的に対処するために、本発明は、総組成物100kcalを基準にしてエイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体0.1から10g;および総組成物100kcalを基準にしてフィトケミカルまたはこれらの混合物0.1から10gを含む栄養組成物を提供する。好ましい実施形態において、栄養組成物はさらに、総組成物100kcalを基準にして、0.1から50g、より好ましくは1から25gの、中性または塩の形態での、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、およびバリン(Val)からなる群から選択される1以上の分岐鎖アミン酸(BCAA)またはこれらの前駆体もしくは誘導体;総組成物100kcalを基準にして0.25から50gの、中性または塩の形態でのグルタミン、またはこれらの前駆体もしくは誘導体;および/または混合カロテノイド、ビタミンE、ビタミンC、亜鉛、マグネシウム、およびセレンからなる群から選択される1以上の酸化防止剤を含む。
【0025】
本発明に従う組成物は、疾患の前臨床段階においてさえも悪液質および/または食欲不振の予防および/または処置に使用できる薬剤、好ましくは栄養補助食品として使用するためのものであり、これはこの疾患の発症を早くに予防するためだけでなく、これらの進行を予防するためでもあることを意味する。さらに、これはまた、存在する悪液質/食欲不振の処置に利用するのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、悪液質および/または食欲不振の予防および/または処置のための栄養組成物を提供する。本発明に従って、組成物は、栄養補助食品組成物(栄養補助食品)および完全な食品組成物を含むことを目的とする。好ましい実施形態において、本発明に従う組成物は、栄養補助食品であり、これは1日あたり2回患者に投与される。しかし、1日あたり2回の投与が好ましい場合であっても、組成物はまた1日あたり1回のみ投与してもよく、または例えば1日あたり5回まで投与できる。
【0027】
栄養補助食品組成物が悪液質および/または食欲不振の予防に利用される場合、患者の総食事における補助食品の影響を最小限にするために、組成物のカロリー値を特定の値に制限するのが特に好ましい。換言すれば、本発明に従う組成物が悪液質および/または食欲不振への予防的効果を与えることを目的とし、従って栄養欠乏兆候を示さない人に投与されるので、カロリー値は出来る限り低く維持し、1日用量あたり400kcalを超えるべきではなく、好ましくは1日用量あたり好ましくは300kcal以下、より好ましくは1日用量あたり200kcal以下であるべきである。他の腸内または非経口栄養組成物を補う際に、本発明に従う組成物が悪液質および/または食欲不振の処置において栄養補助食品として使用される場合にも同様である。一般に、本発明によれば、上述したような組成物の総カロリー値が望ましい程度に低いことをふまえて、組成物の構成成分(例えばEPA、フィトケミカル、および存在する場合はBCAA、グルタミンなど)の量が顕著に高いことに留意することが重要である。好ましくは、カロリー値は、基本的にEPA、BCAAおよびグルタミンによって提供される。
【0028】
従って、組成物の成分量は、単位「g/kcal」で以下に示される。または、構成成分量は、「g/1日用量」として以下に示される。これらの値は、本発明に従う特に好ましい組成物が約100kcalのカロリー値で提供される(実施例1)という事実に基づいて、「重量%」に容易に再計算できる。以下に一般に記載されることは、示される単位とは独立に本発明の組成物全てについて適用されることを意図する。
【0029】
以下では、本発明に従う栄養組成物の成分をより詳細に記載する。
【0030】
第1の必須成分として、本発明に従う組成物は、ω−3多価不飽和脂肪酸の群に属するエイコサペンタエン酸(EPA)を含む。いかなる理論にも束縛されないが、EPAの使用は、炎症プロセス、脂肪分解活性およびATP−ユビキチン経路を阻害することによって悪液質を処置または予防するためのものであることが示唆される。EPAは、炎症促進性サイトカインおよびアラキドン酸メディエータの産生を抑制することがわかっている。これらのインビトロ効果は癌患者の処置に活用されており、適切な持続性のEPA補給が、おそらくサイトカイン産生または炎症促進性メディエータのいずれかを抑制することにより、悪液質の癌患者における体重を増大させ、除脂肪体重の増加を導くことがわかった。さらに、EPAが豊富でエネルギーの濃い経口補助食品の使用は、身体活動度を増大させ、これは生活の質の改善に反映され得る。
【0031】
本発明によれば、EPAは、いわゆる「抗消耗」因子として特に有効であることを見出した。「抗消耗」因子は、本明細書において、体重減少を増大させる組織および/または筋肉消耗の予防または処置に有効な化合物または化合物群として理解されるべきである。驚くべきことに、EPAの抗消耗効果は、ドコサヘキサン酸(DHA)のような他のω−3脂肪酸と比較した場合に明確により高いことがわかった。従って、本発明に従う組成物は、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%の他の成分、例えばその他の脂肪酸またはこれらの誘導体を含むEPA源を含むのが好ましい。特に好ましい実施形態において、EPAは、約100%EPAを含有する純粋なEPA源として利用される。本発明によれば、EPAは、遊離酸としてまたは誘導体、例えばこのエステルとして組成物に含有されてもよい。純粋なEPA源が本発明の組成物に利用されるのが好ましい場合であっても、EPAの改善された抗消耗効果に影響しない限り、その他の脂肪酸またはこれらの誘導体の存在は排除されない。これらの脂肪酸は、その他のω−3多価不飽和脂肪酸、例えばDHA、またはω−6脂肪酸を含んでいてもよい。好適なオイルブレンドは、市販され、当業者に既知である。
【0032】
改善された抗消耗効果を提供するために、本発明に従う組成物は、100kcalを基準にして0.1から10gのEPAまたはこれらの誘導体を含む。上述したように、こうした量は、本発明の組成物の低いカロリー値に基づけば顕著に高い。好ましくは組成物は、総組成物の100kcalを基準にして、0.25から5g、最も好ましくは0.25から2gのEPAまたはこれらの誘導体を含む。EPAの量が上記の値未満である場合、組成物の抗消耗効果は不十分である。EPAの量が前記値を超える場合、組成物の成分間の不均衡により同様に抗消耗効果は減少する。最大の抗消耗効果および悪液質/食欲不振処置効果を提供するために、EPAまたはこの誘導体は、1日あたり0.2から20g、好ましくは0.5から10g、より好ましくは0.5から4gの量で患者に投与される。特に好ましい実施形態において、好ましくは純粋なEPA源として1日あたり2から3gのEPAを投与する。さらに、EPAの量が前記値を超える場合、総組成物のカロリー値が、組成物を、患者の総食事に影響がないまたはほとんど影響しない栄養補助食品としては不向きにするレベルにまで増大する。換言すれば、EPAの量が上述の最大値を超える場合、総組成物は、200kcal超過、特に150kcal超過のカロリー値を与える傾向があり、好ましくない。
【0033】
第2の必須成分として、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのフィトケミカルを含む。本発明に従う用語「フィトケミカル」は、健康に有益な効果または疾患の寛解において活性な役割を有するが、通常の身体機能に必要とされない植物に見出されるいずれかの化合物を含むと理解されるべきである。フィトケミカルは、フィト栄養素と称される場合がある。しかし、本発明によれば、用語「フィトケミカル」または「フィト栄養素」は、テルペノイド、例えばカロテノイド(β−カロテンなどを含む。)、およびビタミンE、ビタミンC、またはこれらの誘導体が、以下でより詳細に記載されるさらなる酸化防止剤の群に該当すると定義されるので、本発明に従うこれらの化合物を包含しないと理解されるべきである。また亜鉛、マグネシウムおよびセレン化合物は、フィトケミカルではなく酸化防止剤の定義に該当するべきである。
【0034】
好適なフィトケミカルは当業者に既知である。本発明によれば、これらはポリフェノール性化合物、グルコシノラート、チオスルホナート、フィトステロール、アントラキノン、カプサイシン、およびピペリンの群を含むのが好ましい。ポリフェノール性化合物としては、フラボノイド(アントシアニン、カテキン、イソフラボン、ヘスペレチン、ナリンギン、ルチン、クエルセチン、シリマリン、タンゲレチン、タンニン、およびプニカラギンなど)およびフェノール酸(エラグ酸、クロロゲン酸、クマル酸(courmaric acid)、フィチン酸、フェルラ酸、バニリン、ケイ皮酸、およびヒドロキシケイ皮酸など)が挙げられる。またその他の非フラボノイドポリフェノール性化合物、例えばクルクミン、レスベラトロール、およびリグナンスなどが含まれる。
【0035】
いかなる理論にも束縛されないが、次のように想定される。NFkB(核内因子κBは、転写因子であるタンパク質複合体である。)の活性化は、プロテアソーム活性の誘発およびTNF(腫瘍壊死因子)およびPIF(タンパク質分解誘発因子)により誘導されるタンパク質分解に重要である。従って、NFkB誘発を阻害することができる試薬は、悪液質モデルにて評価されている。例えば骨格筋のNFkBの活性を防止するポリフェノールのレスベラトロールが、実験用腫瘍モデル系における悪液質処置に有効であった。レスベラトロールはまた、例えばPIF誘発筋肉喪失も阻害したので、EPAの他、ATPユビキチンプロテアソーム活性系の活性化に対抗するグルタミンおよびBCAAと相互作用すると考えられる。
【0036】
フィトケミカルは、当業者に既知の任意の好適な方法により、特に食品等級溶媒を用いて天然源から合成または抽出してもよい。液体および固体(例えば、顆粒または粉末形態)抽出物が好適である。好ましくはフィトケミカルは、本発明に従って、それぞれの天然源にて存在する状態で利用される。
【0037】
原則として、本発明に従う好適なフィトケミカルは、いずれかの植物、藻類または菌類から誘導されてもよい。好ましくは、これはカモミール、オリーブ、赤ワイン、緑茶、および/またはりんごから誘導される。特に好ましい実施形態において、これは、天然源内部で存在する状態で含まれる。
【0038】
本発明に従う組成物に含まれるフィトケミカルは、5,000から20,000μmol/g抽出物のORAC値を満たすのが好ましい。ORAC値の決定は、「Clinical Chemistry,1995,41巻,12号」に詳細に記載されており、物質または栄養素の抗酸化能の総量を測定するために試験する。特に好ましい実施形態において、ORAC値は、7,000から15,000μmol/g抽出物の範囲内、より好ましくは10,000から15,000μmol/g抽出物の範囲内である。
【0039】
フィトケミカルは、本発明に従う組成物に、総組成物100kcalを基準にして、0.1から10g、好ましくは0.2から8g、より好ましくは0.5から3gの量で含有される。本発明に従う組成物はまた、フィトケミカルの混合物を含有してもよい。しかし、このような場合、本発明に従う栄養組成物の構成成分間の不均衡を避けるために、総組成物100kcalを基準にしてフィトケミカル混合物の総量が10gを超えないことが重要であり、そうした不均衡が組成物の抗悪液質効果を減じることがある。さらに、フィトケミカルの量が上述の最小値未満である場合、組成物の抗悪液質効果は劇的に減少する。
【0040】
フィトケミカルまたはフィトケミカル混合物は、1日あたり、0.2から20g、好ましくは0.4から16g、より好ましくは1から6gの量で患者に投与される。フィトケミカルの1日用量が上記範囲外である場合、本発明に従う組成物は、十分な抗悪液質効果を提供できない。
【0041】
本発明に従う栄養組成物は、好ましくはさらに第3成分として1以上の分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含む。本発明に従う分岐鎖アミノ酸は、側鎖に分岐を有するアミノ酸を含むことを意図し、炭素−炭素分岐を有するもの、即ちバリン(VaI)、ロイシン(Leu)およびイソロイシン(Ile)を含むべきである。バリン、ロイシンおよびイソロイシンが好ましく、ロイシンが特に好ましい場合であっても、他の種類の分岐を含有するアミノ酸も本発明に従って含まれる。分岐鎖アミノ酸は、中性もしくは塩の形態にて、またはこれらの前駆体もしくは誘導体の形態にて、含まれていてもよい。
【0042】
理論に束縛されないが、分岐鎖アミノ酸によって得られる抗悪液質効果は、抗セロトニン性薬剤としてのこれらの作用に基づくと想定される。実際、食欲不振および悪液質は、サイトカイン活性の下流にある神経化学事象を妨げることによって治療的に処置できる。セロトニン性視床下部神経伝達は、好適な例であり得る。視床下部におけるセロトニンの合成は、この前駆体であるアミノ酸トリプトファンの有効性に依存する。
【0043】
こうした有効性は、血液脳関門に位置する同じ輸送系のトリプトファンと競合するので、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の投与によって低減する。
【0044】
調査では、BCAAを用いた経口補給が、食欲不振の癌患者の食欲不振およびエネルギー摂取を改善した。癌患者を含む大規模な臨床治験では試験されていないが、BCAAの補給による摂食亢進性(prophagic)効果は、尿毒症および肝硬変を患う患者で確認されている。
【0045】
BCAAの別の作用機構は、これらが中枢に作用して食欲およびエネルギー摂取に影響すると同時に、末梢筋肉消耗を阻害するというものであり得る。メラノコルチンレセプターは、BCAAにより脳セロトニン性活性が低減する結果として活性が低下し、末梢筋肉消耗を低減すると仮定される。
【0046】
さらに最近の実験データは、3つのBCAAの1つであるロイシンが、ATP依存ユビキチン活性に対して阻害効果を有することが示されている。
【0047】
分岐鎖アミノ酸は筋肉タンパク質合成にさらに有効である一方で、ロイシンはまた、飢餓状態ではないが悪液質のラットにおけるプロテアソーム経路の遺伝子の発現を阻害することがわかった。さらに、分岐鎖アミノ酸は、プロテアーゼ「キモトリプシン」系統活性を直接阻害し得る。
【0048】
本発明に従う組成物は、総組成物100kcalを基準にして、好ましくは0.1から50g、好ましくは1から25g、より好ましくは4から16gの分岐鎖アミノ酸を含む。特に好ましい実施形態において、組成物は、バリン、ロイシン、およびイソロイシンを、総組成物100kcalを基準にして、好ましくは0.25から10gロイシン、0.1から5gイソロイシン、および0.1から5gバリンの量で含み、より好ましくは、総組成物100kcalを基準にして、それぞれ1から10gロイシン、1から5gイソロイシン、および1から5gバリンの量で含む。さらに、分岐鎖アミノ酸は、好ましくは、Leu:Ile:VaIが25%から75%:15%から35%:15%から35%の比にて含まれる。分岐鎖アミノ酸は、好ましくは1日あたり0.2から100g、好ましくは2から50g、より好ましくは8から32gの総量で患者に投与される。分岐鎖アミノ酸が上述の範囲にて本発明の栄養組成物内に含有される場合、組成物の抗悪液質効果はさらに改善できる。特に好ましいロイシンは、1日あたり6から50gの範囲内で投与され、イソロイシンは1日あたり3から25gで投与され、バリンは1日あたり3から25gで投与される。最も好ましくは、1日用量は、8から20gLeu、4から15gIle、および4から15gValである。
【0049】
さらに任意の成分として、本発明の組成物は、グルタミンを含む。グルタミンは、中性もしくは塩の形態で、またはこの前駆体もしくは誘導体の形態で含まれていてもよい。いかなる理論にも束縛されないが、グルタミンは、筋肉タンパク質合成および分解の調節に関与すると考えられている。敗血症ラットにおいて、グルタミンの補給は、タンパク質分解を低減し、骨格筋および腸粘膜におけるタンパク質合成を増大させることによってタンパク質代謝を改善する。グルタミンの補給はまた、AH109Aヘパトーマ細胞を接種されたラットの骨格筋においてタンパク質合成を増大させ、タンパク質分解を低減する。これらの調査において、グルタミンはまた体重減少を減らす。
【0050】
悪液質処置および予防におけるグルタミンの使用は、筋肉同化作用の改善、減速分解およびATPユビキチン−プロテアソーム系の阻害に関して有効である。グルタミンはまた、マクロファージ、免疫系の支持および抗炎症性サイトカインに有利な非常に重要な基質であり、炎症状態に対抗できる。
【0051】
本発明の組成物は、総組成物100kcalを基準にして、好ましくは0.25から50g、より好ましくは0.25から10g、最も好ましくは1から10gのグルタミンを含む。組成物中のグルタミンの量が上述の範囲内である場合、組成物の抗悪液質効果はさらに改善され得る。1日用量として表すと、グルタミンは、1日あたり、0.5から100g、好ましくは0.5から50g、より好ましくは8から50g、最も好ましくは2から20gの範囲で投与されるべきである。これらの範囲内で投与される場合、本発明に従う栄養補助食品により追加のエネルギーを与えることで患者の総食事に影響を与えずに、最大の抗悪液質効果を得ることができる。
【0052】
さらに、本発明に従う組成物は、場合により、栄養組成物、特に栄養補助食品中に一般に使用されるさらなる酸化防止剤を含有してもよい。好ましくは、酸化防止剤は、テルペノイド、ビタミンE(両方ともα−、β−、γ−および/またはδ−形態であるトコフェロールおよびトコトリエノールを含む。)、ビタミンC、およびセレン、亜鉛、およびマグネシウム化合物、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。テルペノイドは、カロテノイドテルペノイドおよび非カロテノイドテルペノイドを含むが、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、ルテイン、リコピン、および/またはゼアキサンチンを含むカロテノイドテルペノイド(混合カロテノイド)が特に好ましい。典型的な非カロテノイドテルペノイドは、サポニン、テルペノールおよびテルペンリモノイドである。上述化合物は、一般に酸化ストレスおよび結果として生じる遺伝子損傷に抗い、コラーゲン組織の劣化を遅らせるために、本発明の栄養組成物に含まれてもよい。一般に、酸化防止剤は、癌細胞を発生させる細胞損傷(特にフリーラジカルによるもの)から細胞を保護すると考えられている。さらに、酸化防止剤は、一般に組織、特に血管および毛細血管組織を劣化から保護し、転移および癌の再発を阻害すると考えられている。また、悪液質症候群においては、高いレベルの酸化ストレスが存在すると考えられている。
【0053】
幾つかの機構により、悪液質症候群では酸化ストレスが生じ得る;いかなる理論にも束縛されないが、酸化防止剤酵素と低分子量酸化防止剤を含む身体の酸化還元システムは、悪液質患者では調節されていない場合があり、この不均衡が疾患の進行を促進する可能性があると考えられている。酸化ストレスと癌悪液質とを結び付ける機構について幾つかのエビデンスが提供されており、臨床的に重要な酸化ストレスが、例えば進行癌患者において生じる。悪液質症候群と酸化ストレスとの両方は単独または組み合わせにより、臨床予後および生存時間を高度に予測できる。従って、後にまた極めて炎症性の状態を誘発する組織消耗を導く可能性があるこうした患者において、酸化ストレスを回避するための補給は、本発明の好ましい実施形態に従って合理的であると考えられる。
【0054】
特に好ましい実施形態において、組成物は、総組成物の100kcalを基準にして0.25から10mg、好ましくは1から10mgの混合カロテノイドを含む。より詳細には、組成物は、好ましくは0.1から10mg、より好ましくは0.5から5mgのβ−カロテンを含む。一般に、5mgの混合カロテノイド(以下の表1を参照)には、β−カロテン約2mg、α−カロテン1.35mg、ルテイン0.65mg、リコペン1mg、およびゼアキサンチンおよびγ−カロテン0.1mgが含有される。さらに好ましい実施形態において、組成物はさらに、総組成物の100kcalを基準にして、それぞれ、ビタミンE3から300mg、好ましくは10から150mg;ビタミンC10から500mg、好ましくは15から500mg;およびセレン3から300μg、好ましくは15から150μgを含む。1日用量で表すと、混合カロテノイド0.5から40mg、好ましくは10から40mg、より好ましくは2から20mg;ビタミンE6から600mg、好ましくは20から300mg;ビタミンC20から2000mg、好ましくは200から1000mg;およびセレン6から750μg、好ましくは50から300μgが、本発明の栄養組成物の抗悪液質活性をさらに改善するために患者に投与されるのが好ましい。
【0055】
さらに任意の成分として、栄養組成物は、安定剤、着色剤、フレーバ、pH調整剤、さらなるビタミン(例えばビタミンA、D、K、葉酸、チアミン、リボフラビン、ビタミンB、ビタミンB12、ナイアシンなど)、ミネラル、甘味料、消泡剤、および充填剤のような、一般に利用される栄養化合物を含んでいてもよい。組成物はまた、脂肪、炭水化物、タンパク質、および繊維成分のような主要栄養素をさらに含んでいてもよい。しかし、これら追加の成分は、投与されるべき1日用量に基づいて組成物のカロリー値が400kcal、好ましくは300kcal、より好ましくは200kcalを超えない程度まで含有されるのが好ましい。上述したように、本発明の好ましい実施形態において、組成物の総カロリー値は、基本的には、EPA、BCAAおよびグルタミンによって提供される。特に、炭水化物の量は、可能な限り低い、即ち、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは0重量%未満であるべきである。従って、炭水化物は、本発明に従って全く0の(またはほとんど0の)カロリーのキャリアであるべきである。
【0056】
本発明に従う栄養組成物は、薬剤として、好ましくは栄養補助食品として、悪液質および/または食欲不振の処置および/または予防のために、使用される。非常に早期の前臨床段階にて悪液質を予防するのに特に有用である。驚くべきことに、本発明者らは、組成物の成分間、特にエイコサペンタエン酸(EPA)とフィトケミカルとの間に相乗効果が存在するということを見出した。さらに、グルタミンが存在するだけでなく、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、特にロイシン、イソロイシン、およびバリンがさらに存在することで、抗悪液質/抗食欲不振効果および抗消耗効果(筋肉および組織消耗)をさらに改善し、それぞれ単一の成分だけで得られる効果の足し合わせから予測されるレベルをはるかに超えてこれらの効果を増大させる。本発明は、こうした予測できない知見に基づいて達成された。こうした観点において、本発明によれば初めて、悪液質の発症自体を予防するために、悪液質症候群の根底にある病態生理学に適合した処置を組み合わせることができる。組成物の成分は、筋肉および脂肪組織、食欲調節のための脳(視床下部)およびホルモン系のような、異なる悪液質発症部位に作用する。
【0057】
従って、本発明に従って相乗作用する薬理栄養素(pharmaconutrients)を使用することにより、代謝変化を含む悪液質に対抗できる。いかなる理論にも束縛されないが、この相乗効果は、ATPのユビキチン依存タンパク質分解経路の異なる部位における、本発明の組成物の化合物の作用および正の影響に基づいていると想定される。
【0058】
栄養組成物は、通常、粉末または顆粒として乾燥形態で存在する。投与の前に、好適な量の水に溶解させる。投与に関して、それぞれの成分は、単一の組成物として、または別個のビヒクル中に存在する。組成物は、好ましくは経口投与される。しかしまた、腸内および静脈内投与も可能である。投与されるべき組成物の水溶液の容量は妥当な値に容易に設定でき、通常、摂取あたり100から150mlの範囲内である。1日あたり数回、最も好ましくは1日2回組成物を投与するのが特に好適である。
【0059】
栄養組成物は、当業者に既知の方法によって調製されてもよい。好ましい実施形態において、それぞれの成分は、任意の順序で互いに単に混合するだけである。しかし、これらを混合する前に、既知の一般に使用される封入プロセスによって単一物質を封入することもできる。封入は、通常、乾燥形態の組成物の貯蔵安定性を改善するために行なわれる。
【0060】
ここで、次の実施例を参照することによって本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0061】
本発明に従う栄養組成物は、表1に示されるようにそれぞれの量にて次の成分を混合することによって調製される。混合の前に封入は行なわない。表1に示される組成物は、約100kcalのカロリー値を与える。それぞれの成分の量は、示される組成物が1日2回投与されるべきであるために、推奨される1日用量の50%に対応する。カロリー値は、当分野において既知の好適な方法によって決定できる。
【0062】
【表1】

上述の組成物は、サッシェに包装されて、約100kcalのカロリー値を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養組成物であって:
(a)総組成物100kcalを基準にしてエイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体0.1から10g;および
(b)総組成物100kcalを基準にしてフィトケミカルまたはこれらの混合物0.1から10g
を含む組成物。
【請求項2】
(c)総組成物100kcalを基準にして、中性または塩の形態での、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、およびバリン(Val)、からなる群から選択される1以上の分岐鎖アミン酸またはこれらの前駆体もしくは誘導体0.1から50g
をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分岐鎖アミノ酸が、Leu:Ile:Valの比が25%から75%:15%から35%:15%から35%で含まれる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(d)総組成物100kcalを基準にして中性または塩の形態のグルタミンまたはこれらの前駆体もしくは誘導体0.25から50g
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(e)混合カロテノイド、ビタミンE、ビタミンC、亜鉛、マグネシウム、およびセレンからなる群から選択される1以上の酸化防止剤
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
総組成物100kcalを基準にして、混合カロテノイド0.25から10mg、好ましくは1から10mg;ビタミンE3から300mg、好ましくは10から150mg;ビタミンC10から500mg、好ましくは15から500mg;およびセレン3から300μg、好ましくは15から150μgを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
フィトケミカルが、5,000から20,000μmol/g抽出物、好ましくは10,000から15,000μmol/g抽出物のORAC値を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
フィトケミカルが、カモミール、オリーブ、赤ワイン、緑茶および/またはリンゴから誘導され、好ましくはこの天然源内で存在する状態で含有される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)総組成物100kcalを基準にして、エイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体0.1から10g;
(b)総組成物100kcalを基準にして、フィトケミカルまたはこれらの混合物0.1から10g;
(c)総組成物100kcalを基準にしてそれぞれ、中性または塩の形態での、ロイシン(Leu)0.25から10g、イソロイシン(Ile)0.1から5g、およびバリン(Val)0.1から5g、またはこれらの前駆体もしくは誘導体;
(d)総組成物100kcalを基準にして、中性または塩の形態のグルタミン、またはこれらの前駆体もしくは誘導体0.25から10g;および
(e)総組成物100kcalを基準にして、混合カロテノイド0.25から10mg、ビタミンE3から300mg、ビタミンC10から500mg、およびセレン3から300μg
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(a)1日の用量あたり、エイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体0.2から20g;
(b)1日の用量あたり、フィトケミカルまたはこれらの混合物0.2から20g;
(c)場合により、1日の用量あたり、中性または塩の形態での、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、およびバリン(Val)からなる群から選択される1以上の分岐鎖アミノ酸、またはこれらの前駆体もしくは誘導体0.2から100g;
(d)場合により、1日の用量あたり、中性または塩の形態のグルタミンまたはこれらの前駆体もしくは誘導体0.5から100g;および
(e)場合により、1日の用量あたり、混合カロテノイド10から40mg、ビタミンE40から600mg、ビタミンC200から2000mg、およびセレン50から750μg
を含む、栄養組成物。
【請求項11】
薬剤として、好ましくは栄養補助食品として使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
悪液質および/または食欲不振の処置および/または予防のための薬剤の調製における、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
(a)エイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体;
(b)少なくとも1つのフィトケミカル;
(c)場合により、中性または塩の形態での、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、およびバリン(Val)からなる群から選択される1以上の分岐鎖アミン酸またはこれらの前駆体もしくは誘導体;
(d)場合により、中性または塩の形態のグルタミンまたはこれらの前駆体もしくは誘導体;および
(e)場合により、β−カロテン、ビタミンE、ビタミンC、およびセレン;
を含む栄養組成物の、悪液質および/または食欲不振の処置および/または予防用薬剤の調製における使用であって、投与されるべき用量が、エイコサペンタエン酸またはこれらの誘導体0.2から20g/日;フィトケミカル0.2から20g/日;および組成物に存在する場合、ロイシン6から50g/日;イソロイシン3から25g/日;バリン3から25g/日;グルタミン8から50g/日、混合カロテノイド10から40mg/日、ビタミンE40から600mg/日、ビタミンC200から2000mg/日、およびセレン50から750μg/日である、使用。
【請求項14】
組成物によって患者に供給される1日あたりの総カロリー値が400kcal以下、好ましくは300kcal以下、より好ましくは200kcal以下である、請求項12および/または13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物および医薬的に許容できる賦形剤を含む悪液質および/または食欲不振の処置および/または予防のための薬剤、好ましくは栄養補助食品。
【請求項16】
200kcal以下、好ましくは150kcal以下のカロリー値を与える、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を含むサッシェ。

【公表番号】特表2010−534697(P2010−534697A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518561(P2010−518561)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006281
【国際公開番号】WO2009/015879
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510027504)フレセニウス・カビ・ドイツチユラント・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】