説明

悪臭マスキング組成物およびその用途

【課題】悪臭、特にヒトの体臭、浴室の臭気および家庭ごみからの臭気をマスキングすること、さらに、該香料成分を含有する香料組成物および消費者製品を提供する。
【解決手段】(A)式(1)のフェニルグリシド酸類のうち少なくとも一種:(B)式(2)または(3)の1,2−ジケトンのうち少なくとも一種:を含み、フェニルグリシド酸類(A)対1,2−ジケトン(B)の質量比が1:99〜99:1である悪臭低減組成物。この悪臭低減組成物を含有するフレグランス組成物および消費者製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の香料成分を使用することにより、悪臭、特にヒトの体臭、浴室の臭気および家庭ごみからの臭気をマスキングすることに関するものである。さらに、本発明は、該香料成分を含有する香料組成物および消費者製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
悪臭の問題は、長年にわたって認識され、悪臭が発生する場所ではそれらを抑制するために数多くの方法が開発されてきた。香料は、悪臭の抑制剤として、単独で、または吸収剤、酸化剤および可溶化剤などの他の材料と組み合わせて、幅広く使用されている。
【0003】
悪臭は通常、硫黄化合物(例えば硫化水素ならびに低分子量のチオールおよびチオエーテル)、窒素含有化合物(例えばアンモニア、ならびにピラジン類およびインドール類などの複素環化合物を含むアミン)、ならびに酸素含有化合物(例えば短鎖脂肪酸およびステロイド)などといった、とりわけ臭いの強い物質によって引き起こされる。悪臭を放つこれらの化合物は、しばしば、例えば消化中の食品および飲料、腋窩もしくは足にかいた汗、処分前の生ごみまたは猫用敷材などの動物し尿に対する微生物の作用によって産生される。天然物として、悪臭そのものは、上述の化学カテゴリーのそれぞれに含まれる数個の化合物だけでなく、全てのカテゴリーのメンバーがその臭気源および関与する微生物に依存して異なる度合いで含まれている複雑な混合物である。したがって、悪臭を防止、阻止、低減または破壊することは、容易なことではない。
【0004】
強いフレグランスによる臭気の遮蔽以外に、悪臭を阻止または低減するためにさまざまな方法が開発されてきた。活性炭およびゼオライトは悪臭の吸収剤として使用されてきたが、これらは多くの製品への組み込みには適さない。
【0005】
悪臭の産生に関与する微生物を殺すために亜鉛化合物やトリクロサン(2’,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)などの抗微生物剤が使用されるが、その多くは非特異的であり、自然の微生物相に不均衡を生じさせる。
【0006】
特許文献1〜4はいずれも、ヒトの皮膚に適用した場合または洗濯製品に含めた場合に脱臭作用を示すフレグランスを記載している。これらは、さまざまな機序(すなわち、悪臭化合物の蒸気圧を低下させること、悪臭を生成する酵素を阻害すること、および悪臭と結合して、知覚される香調を修飾すること)のいずれかまたは全てによって作用すると考えられる。
【0007】
特許文献5には、悪臭を遮蔽するために使用することができ、それ自身は過度に強いフレグランスを持たない、低臭材料としてのシクロメタノール(cyclomethanol)類およびエステル類の使用が記載されている。
【0008】
特許文献6には、悪臭分子を捕捉するためのシクロデキストリン類の使用が記載されている。しかし、微生物の個体数が増大し、悪臭産生量が増加するので、悪臭は時間と共に強くなる傾向がある。
【0009】
異なるアプローチは、特定の生物学的経路を阻害することである。より特異的に作用する化合物には、特許文献7に記載の、汗分解エステラーゼを阻害する飽和の炭素数3〜10の二酸がある。
【0010】
特許文献8には、5α−レダクターゼの阻害剤である薬剤(例えばオクタデカン二酸)の、悪体臭防止剤としての使用が記載されている。
【0011】
特許文献9には、微生物の発育に不可欠な重金属を断つと考えられる選択された金属封鎖剤群の一つを含有する、尿汚れの悪臭を低減するのにとりわけ有用な、カーペット、ラグ、および織物用の水性洗浄組成物が教示されている。
【0012】
しかし先に述べたように悪臭は複雑であり、悪臭の構成要素の全てがこれらのアプローチによって阻止されることはないだろうから、それらは臭気の性質を修飾することになる可能性が高く、それもまた有意義な利益ではありうるものの、課題の部分的解決にしかならない。
【0013】
悪臭中和剤としてアルデヒドが挙げられる場合がある。特許文献10には、悪体臭の予防に際して脱臭剤に使用されるピロクトン酸(piroctone acid)ならびに高濃度のアルデヒドおよび/またはケトンを含む香料が記載されている。特許文献11には、アセタールおよびヘミアセタールなどの付加化合物の形で存在する少なくとも二つの異なるアルデヒドと不飽和化合物とを含有する脱臭製品が記載されている。
【0014】
特許文献12には、相加的または相乗的に作用してタバコの煙の悪臭を低減する二種類のアルデヒドが記載されている。特許文献13および特許文献14には、カーペットから悪臭を除去するために固形および液状のカーペットクリーナーおよび脱臭製品に組み込まれる組成物が記載されている。特許文献15には、体液用の繊維状吸収剤における悪臭低減用のアルデヒドのカテゴリーが二つ記載されている。相乗的に作用すると主張されているそれらアルデヒドのカテゴリーは、脂肪族アルデヒドと、アルデヒド炭素に対してアルファ位にsp2混成炭素を持つアルデヒドである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,304,679号
【特許文献2】米国特許第4,322,308号
【特許文献3】米国特許第4,278,658号
【特許文献4】米国特許第4,314,838号
【特許文献5】米国特許第4,719,105号
【特許文献6】米国特許出願第2004/0147416号
【特許文献7】独国特許第4,343,265号
【特許文献8】米国特許第6,183,731号
【特許文献9】米国特許第5,395,555号
【特許文献10】米国特許第4,906,454号
【特許文献11】米国特許第6,177,070号
【特許文献12】米国特許第5,676,163号
【特許文献13】米国特許出願第2005/187123号
【特許文献14】米国特許出願第2005/187124号
【特許文献15】米国特許出願第2002/0010447号
【特許文献16】米国特許第4,107,210号
【特許文献17】米国特許第6,917,754号
【特許文献18】米国特許第7,223,361号
【特許文献19】国際公開第2007/046692号
【特許文献20】国際公開第2007/132140号
【特許文献21】米国特許第6,162,423号
【特許文献22】米国特許第5,968,286号
【特許文献23】米国特許第5,935,561号
【特許文献24】米国特許第5,932,203号
【特許文献25】米国特許第5,837,661号
【特許文献26】米国特許第5,776,443号
【特許文献27】米国特許第5,756,436号
【特許文献28】米国特許第5,661,118号
【特許文献29】米国特許第5,618,523号
【特許文献30】欧州特許第0,018,717号
【特許文献31】欧州特許第1,009,365号
【特許文献32】欧州特許第0,200,305号
【特許文献33】国際公開第2003/051327号
【特許文献34】国際公開第00/04230号
【特許文献35】欧州特許第1,361,855号
【特許文献36】米国特許出願第2005/0008680号
【特許文献37】米国特許第5,833,999号
【特許文献38】欧州特許第1,066,827号
【特許文献39】欧州特許第1,510,201号
【特許文献40】欧州特許第0,573,229号
【特許文献41】米国特許出願第2005/0085405号
【特許文献42】米国特許第5,929,022号
【特許文献43】米国特許第5,916,862号
【特許文献44】米国特許第5,731,278号
【特許文献45】米国特許第5,470,507号
【特許文献46】米国特許第5,466,802号
【特許文献47】米国特許第5,460,752号
【特許文献48】米国特許第5,458,810号
【特許文献49】国際公開第99/65458号
【特許文献50】国際公開第99/41353号
【特許文献51】欧州特許第1,123,381号
【特許文献52】米国特許第6,627,598号
【特許文献53】米国特許第6,335,315号
【特許文献54】米国特許第5,674,832号
【特許文献55】米国特許第5,759,990号
【特許文献56】米国特許第5,877,145号
【特許文献57】米国特許第5,574,179号
【特許文献58】国際公開第97/47721号
【特許文献59】欧州特許第0,462,643号
【特許文献60】英国特許第2,178,442号
【特許文献61】米国特許第4,873,536号
【特許文献62】国際公開第02/40792号
【特許文献63】国際公開第02/04591号
【特許文献64】欧州特許第0,775,741号
【特許文献65】国際公開第01/94520号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Bauerら「Common Fragrance and Flavour Materials」第4版(ISBN3−527−30364−2)
【非特許文献2】X−F ZhaoおよびC Zhang「Synthesis 2007」p.551−557。
【非特許文献3】Z Wan、 CD Jones、 D Mitchell、 JY PuおよびTY Zhang、J. Org. Chem.、2006、vol.61、p.826−828。
【非特許文献4】JS Yadav、SK BiswasおよびR Srinivas「Synthesis 2006」p.4237−4241。
【非特許文献5】I.L. Finar「Organic Chemistry」(ISBN0582442214)
【非特許文献6】E Guenther「The Essential Oils」
【非特許文献7】S. Arctander「Perfume Flavors and Chemicals」Vol.IおよびII
【非特許文献8】Allured Publishing Corporation、「Allured’s Flavor and Fragrance Materials − 2007」(ISBN978−1―93263326−9)
【非特許文献9】L Ho Tan Tai「Formulating Detergents and Personal Care Product Development」(AOCS Press発行)(ISBN1−893997−10−3)
【非特許文献10】Swartz、PerryおよびBirch「Surface Active Agents and Detergents」第1巻および第2巻
【非特許文献11】Swartz、PerryおよびBirch「Harry’s Cosmeticology」(CHS Press発行、第8版、2000)(ISBN0−8206−0372−4)
【非特許文献12】Swartz、PerryおよびBirch「Mc Cutcheon’s Detergents and Emulsifiers」(Allured発行)
【非特許文献13】Swartz、PerryおよびBirch「Cosmetic Science and Technology Series Volume 20」K.Laden編(Marcel Dekker Inc.発行)(ISBN0−8247−1746−5)「Antipersperants and Deodorants」
【非特許文献14】Swartz、PerryおよびBirch「Cosmetic Science and Technology Series Volume 17」Dale H Johnson編(ISBN0−8247−9365−X)「Hair and Hair Care」(Marcel Dekker Inc.発行)
【非特許文献15】Swartz、PerryおよびBirch「Surfactant Science Science Series」、第67巻、(ISBN0−8247−9391−9)「Liquid Detergents」(Marcel Dekker Inc.発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
このように、悪臭の抑制を試みる方法が数多くあることは先行技術から明白であるが、完全に満足できるものはない。本発明は、悪臭の構成要素の一部が発生することを防止するための簡単かつ安価な方法を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、下記に関する。
<1>
(A)式(1)のフェニルグリシド酸類のうち少なくとも一種:
【化1】

(式中、Rは、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素原子またはメチルであり、かつ、Rは、水素原子、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基、またはメトキシ基である。)
および
(B)式(2)または(3)の1,2−ジケトンのうち少なくとも一種:
【化2】

(式中、R,RおよびRは、各々独立して、直鎖または分岐の炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基であり;Rは、炭素数1〜5のアルキリデン基であり;RおよびRは、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を単独または二以上を有していてもよい炭素数4〜7の飽和もしくは不飽和の脂環式環構造または複素環式環構造を形成することもでき;RおよびRは、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を単独または二以上を有していてもよい炭素数4〜7の不飽和脂環式環構造または複素環式環構造を形成することもできる。)
を含み、フェニルグリシド酸類(A)対1,2−ジケトン(B)の質量比が1:99〜99:1である、悪臭低減組成物。
<2>
フェニルグリシド酸類が、3−フェニルグリシド酸エチル(121−39−1)、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル(77−83−8)またはその混合物から選択される、<1>に記載の悪臭低減組成物。
<3>
1,2−ジケトンがβ−ツヤプリシン(499−44−5)、3−メチルシクロペンタ−2−エン−2−オール−1−オン(765−70−8)、2−エチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(4940−11−8)、2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(118−71−8)、エチルシクロペンテノロン(21835−01−8)、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタジオン(13494−06−9)、3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタジオン(13494−07−0)、メチル−2−ヒドロキシ−4−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン(42348−12−9)、2−ヒドロキシシクロヘキサ−2−エン−1−オン(10316−66−2)、1−メチル−2,3−シクロヘキサジオン(3008−43−3)、1,2−シクロヘキサジオン(765−87−7)およびその混合物から選択される、<1>または<2>に記載の悪臭低減組成物。
<4>
1,2−ジケトンがβ−ツヤプリシン(499−44−5)、2−エチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(4940−11−8)、2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(118−71−8)およびその混合物から選択される、<3>に記載の悪臭低減組成物。
<5>
<1>〜<4>のいずれか一項に記載の悪臭低減組成物を、消費者製品の全組成中0.00005質量%〜15質量%の量で含ませることによる、消費者製品の悪臭低減方法。
<6>
<1>〜<4>のいずれか一項に記載の悪臭低減組成物を少なくとも0.05質量%含むフレグランス組成物。
<7>
10質量%を上回るアルデヒドおよびα,β−不飽和アルデヒドをさらに含む、<6>に記載のフレグランス組成物。
<8>
<6>または<7>に記載のフレグランス組成物を、消費者製品の全組成中0.05質量%〜100質量%の量で含ませることによる、消費者製品の悪臭低減方法。
<9>
<1>〜<4>のいずれか一項に記載の悪臭低減組成物を当該消費者製品の全組成の0.00005質量%〜15質量%の量で含む消費者製品。
<10>
エアケア製品およびパーソナルクレンジングおよび脱臭製品、シスターンブロック、リムブロックまたは液体リムブロックを含む家庭用洗浄製品、ならびに洗濯および布地ケア製品から選択される、<9>に記載の消費者製品。
<11>
<6>または<7>に記載のフレグランス組成物を0.05質量%〜15質量%含み、パーソナルクレンジング製品、シスターンブロック、リムブロックまたは液体リムブロックを含む家庭用洗浄製品、ならびに洗濯および布地ケア製品から選択される消費者製品。
<12>
<6>または<7>に記載のフレグランス組成物を0.05質量%〜100質量%含む、エアケア製品である消費者製品。
<13>
<6>または<7>に記載のフレグランス組成物を、消費者製品の全組成中0.05質量%〜1.5質量%の量で含ませることによる、消費者製品の悪臭低減方法。
<14>
消費者製品がパーソナルクレンジングおよび脱臭製品、シスターンブロック、リムブロックおよび液体リムブロックを含む家庭用洗浄製品から選択される、<13>に記載の消費者製品の悪臭低減方法。
<15>
消費者製品がエアケア製品である、<8>に記載の消費者製品の悪臭低減方法。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、消費者製品における、前記消費者製品の全組成の0.00005%〜15%、好ましくは少なくとも0.001%、より好ましくは0.01%〜1.5%の量での、本悪臭低減組成物の使用に関する。
本発明のもう一つの目的は、本発明の悪臭低減組成物を当該消費者製品の全組成の0.00005%〜15%、好ましくは少なくとも0.001%、より好ましくは0.01%〜1.5%の量で含有する消費者製品に関する。
本発明のもう一つの目的は、本発明の悪臭低減組成物を、当該フレグランス組成物の全組成の少なくとも0.05%、好ましくは0.1%〜15%の量で含有するフレグランス組成物に関する。
本発明のもう一つの目的は、悪臭低減用の消費者製品における、その消費者製品組成物の全組成の0.05%〜100%、好ましくは0.05%〜15%の量での、本発明のフレグランス組成物の使用に関した。
本発明のもう一つの実施形態は、アルデヒドおよびα,β−不飽和アルデヒドなどの他の悪臭低減成分をも含有しうるフレグランスへの本発明の悪臭低減組成物の組み込みに関する。
本発明のさらにもう一つの実施形態は、少なくとも0.05%の本発明の悪臭低減組成物を含む悪臭低減フレグランスを、知覚される悪臭を低減するのに十分な量で周囲空気中に分散させるためのプロセスである。
本発明のさらにもう一つの実施形態は、基体を、少なくとも0.05%の本発明の悪臭低減組成物を含む悪臭低減フレグランスと直接的に接触させることによって、または基体を、少なくとも0.05%の本発明の悪臭低減組成物を含む悪臭低減フレグランスを含有する消費者製品と接触させることによって、基体に悪臭低減効果を付与するためのプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、提示するパーセンテージは全て、別段の明記がない限り、質量パーセントである。本明細書で言及する文書は全て参照により本明細書に組み込まれる。化合物の化学名の初出時には、にChemical Abstracts参照番号を付記する。
香料類に使用されるフェニルグリシド酸類は、ヒトの体臭、炊事、トイレ、尿、糞便、タバコの煙および動物用敷材などといった多くの悪臭を阻止できることが見出された。しかしフェニルグリシド酸類は、比較的強くて特殊な臭気を持つので、広範囲のフレグランスに高レベルで使用するのには適さない。同様に悪臭を阻止するもう一つの化学化合物群が1,2−ジケトンである。ジケトンは異なる臭気質を持ち、フェニルグリシド酸と1,2−ジケトンの比率を変化させることにより、この組合せをはるかに広範囲のフレグランスタイプに、より高いレベルで使用することができる。さらにまた、これらの組合せは互いに、そして他の既知の悪臭阻止剤と、相乗的に作用しうる。
【0021】
<悪臭低減組成物>
本明細書で使用する用語「悪臭低減組成物」は、空気中の悪臭化合物の濃度を低減し、かつ/または化学分析もしくは官能的方法によって測定されるヒトの鼻への悪臭の知覚を低減する、本発明に包含されるフェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンとの組合せを意味する。
【0022】
<悪臭低減フレグランス>
本明細書で使用する用語「悪臭低減フレグランス」は、本発明に包含されるフェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンとを含有し、空気中の悪臭化合物の濃度を低減し、かつ/または化学分析もしくは官能的方法によって測定されるヒトの鼻への悪臭の知覚を低減する、フレグランス組成物をいう。本発明の悪臭低減フレグランスは、悪臭を阻止する化合物として知られている他のフレグランス化合物、例えばアルデヒドおよびα,β−不飽和アルデヒドなども含有しうる。悪臭の多様性を考えると、特定の臭気が阻止されるようにフレグランスを設計することが有利でありうる。
【0023】
<悪臭低減成分>
本発明の悪臭低減組成物および悪臭低減フレグランスの主成分を、以下に、より詳しく定義する。
【0024】
・フェニルグリシド酸類
悪臭を阻止することが見出されたフェニルグリシド酸類は一般式(1):
【0025】
【化3】

【0026】
(式中、Rは、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素原子またはメチルであり、かつ、Rは、水素原子、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基、またはメトキシ基である。)
を持つ。
適切なフェニルグリシド酸類の例として、
・3−メチル−3−フェニルグリシド酸n−ブチル(93963−69−0);
・3−(4−メトキシフェニル)グリシド酸エチル(16546−01−3);
・3−(4−メチルフェニル)グリシド酸エチル(52788−71−3);
・3−フェニルグリシド酸エチル(121−39−1);
・3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル(77−83−8)
・3−メチル−3−フェニルグリシド酸メチル(99334−18−6)
が挙げられる。
フレグランス組成物への包含がとりわけ好ましい二つのフェニルグリシド酸類は、3−フェニルグリシド酸エチル(121−39−1)および3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル(77−83−8)である。
【0027】
・1,2−ジケトン
次に述べるように、悪臭を阻止することが見出された1,2−ジケトンは、一般式(2)または式(2)のエノール型である式(3):
【0028】
【化4】

【0029】
(式中、R,RおよびRは、各々独立して、直鎖または分岐の炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基であり;Rは、炭素数1〜5のアルキリデン基であり;RおよびRは、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を単独または二以上を有していてもよい炭素数4〜7の飽和もしくは不飽和の脂環式環構造または複素環式環構造を形成することもでき;RおよびRは、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を単独または二以上を有していてもよい炭素数4〜7の不飽和脂環式環構造または複素環式環構造を形成することもできる。)
を持つ。
【0030】
そのような1,2−ジケトンの例として、
・β−ツヤプリシンとも呼ばれる2−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン(499−44−5);
・シクロテンと呼ばれる3−メチルシクロペンタ−2−エン−2−オール−1−オン(765−70−8)、これはCAS番号(80−71−7)を持つジケトン互変異性体3−メチルシクロペンタン−1,2−ジオンとして記載されているのを見出すこともできる;
・2,3−ブタンジオン(431−03−8);
・2,3−ペンタジオン(600−14−6);
・2−エチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(4940−11−8);
・2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(118−71−8);
・2,3−ヘキサジオン(3848−24−6);
・3,4−ヘキサジオン(4437−51−8);
・2,3−ヘプタジオン(96−04−8);
・3−エチル−2−シクロペンテン−2−オール−1−オン(21835−01−8);
・3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタジオン(13494−06−9);
・3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタジオン(13494−07−0);
・メチル−2−ヒドロキシ−4−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン(42348−12−9);
・2−ヒドロキシシクロヘキサ−2−エン−1−オン(10316−66−2);
・1−メチル−2,3−シクロヘキサジオン(3008−43−3)および
・1,2シクロヘキサジオン(765−87−7)
を挙げることができる。
【0031】
本発明に従って使用されるフェニルグリシド酸類および1,2−ジケトンは、既知の市販品であるか、当業者に周知のプロセスによって得ることができる生成物である。Bauerらは「Common Fragrance and Flavour Materials」第4版(ISBN3−527−30364−2)に、より一般的な材料の製造に関して、簡単な説明と参考文献を記載しており、それらは参照により本明細書に組み入れられる。1,2−ジケトンを製造するための適切なプロセスの例を以下に挙げる:
X−F ZhaoおよびC Zhangは、Synthesis 2007 p551−557に、1,2ジオールを1,2−ジケトンに酸化する方法を記載している;
Z Wan、CD Jones、D Mitchell、JY PuおよびTY Zhangは、J. Org. Chem. 2006, vol 61, p826−828に、アルキンを1,2−ジケトンに酸化する方法を記載している;
JS Yadav、SK BiswasおよびR Srinivasは、Synthesis 2006 p4237−4241に、1,3ジオールを酸化的に切断して1,2−ジケトンを得る方法を記載している。
【0032】
さらなる参考文献は、1,2−ジケトンへの商業的製造経路を記載する、Dow chemicalsに譲渡された米国特許第4,107,210号およびそこに記載されている参考文献に見出すことができる。フェニルグリシド酸類は、典型的には、エポキシ化(Prileschaiev反応)または縮合(Darzensグリシド酸エステル縮合)反応によって製造される。フェニルグリシド酸類を製造するためのこれら二つの合成プロセスは、標準的な有機化学の参考書、例えばI.L. Finar著「Organic Chemistry」(ISBN 0582442214)に記載されている。
【0033】
効果的な悪臭低減に要求される1,2−ジケトン/フェニルグリシド酸類の量は、悪臭の強さ、そのフレグランスの送達源となる製品のタイプ、製品用量および製品中のフレグランス用量に依存する。本悪臭低減組成物を送達することができる製品が広範囲にわたることと、消費者製品における香料適用量の範囲とを考えると、悪臭低減組成物の適用量範囲は、消費者製品組成物の組成の0.00005%から15%に及びうる。
【0034】
消費者製品組成物の組成とは、製品のうち使用時に消費される部分を意味し、したがって包装材料および容器、例えばエアケア製品を分配するための装置、トリガースプレーまたは加圧エアロゾル用キャニスター、ならびにトイレ縁部に取り付けるための保持具は除外される。
【0035】
表面適用される家庭用製品の場合、悪臭低減組成物の量は、好ましくはその家庭用製品の0.00005%〜0.2%、より好ましくは使用可能組成の0.0005%〜0.1%である。
【0036】
周囲空気を処理するために使用される製品の場合、製品組成物中の悪臭低減組成物の比率は、製品組成の好ましくは0.0005%〜15%、より好ましくは0.005%〜10%、特に好ましくは0.05%〜5%である。
【0037】
皮膚および毛髪を処理するためのパーソナルケア製品の場合、悪臭低減組成物の比率は、好ましくはそのパーソナルケア製品組成全体の0.00005%〜0.2%、より好ましくはパーソナルケア製品組成の0.0005%〜0.1%である。
【0038】
洗濯洗剤および洗濯可能な布地ケア製品の場合、悪臭低減組成物の比率は、好ましくはその製品の0.00005%〜1.0%、より好ましくは0.0001%〜0.5%、特に好ましくは0.0001%〜0.1%である。
【0039】
パーソナルクレンジング製品、シスターンブロック(cistern block)、リムブロック(rim block)または液体リムブロック(liquid rim block)を含む家庭用洗浄製品、ならびに洗濯および布地ケア製品の場合、本発明のフレグランス組成物の比率は、好ましくは0.05%〜15%である。
【0040】
エアケア製品の場合、本発明のフレグランス組成物の比率は、一般に0.05%〜100%である。
【0041】
フェニルグリシド酸類は比較的強くて特殊な果実臭を持つので、一定のフレグランスタイプを作る際には、それらの使用が制限されうる。1,2−ジケトンは異なる臭気質を持ち、フェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンの比率を変化させることにより、この組合せをはるかに広範囲なフレグランスタイプに、より高いレベルで使用することができる。
【0042】
本発明の悪臭低減組成物では、フェニルグリシド酸類対1,2−ジケトンの質量比が1:99〜99:1、好ましくは1:24〜24:1、より好ましくは1:9〜9:1である。
【0043】
本発明の実施形態の一つは、悪臭低減組成物が悪臭低減フレグランスの一部を構成すべきことである。たとえ1,2−ジケトン/フェニルグリシド酸類が他のフレグランス成分とは別々に製品に加えられたとしても、それらはフレグランス組成物の一部とみなされる。そのような悪臭低減組成物は、本発明のフェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンの組合せを全部で少なくとも0.05%、好ましくはフェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンの組合せを少なくとも0.1%、より好ましくはフェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンの組合せを少なくとも0.2%は含有すべきである。本発明の1,2−ジケトンおよびフェニルグリシド酸類は悪臭を阻止するのにとりわけ有効であるが、存在しうる悪臭物質は他にもあり、最適な中和には、悪臭中和を助ける成分を加えることが望ましいかもしれない。悪臭源および所望するその香料の全体的臭気特徴に依存して、フェニルグリシド酸類および1,2−ジケトンの組合せと、より一般的な悪臭中和特性を与えうる他の香料成分の添加との間には、最適なバランスがあるだろう。本発明のフェニルグリシド酸類および1,2−ジケトンと組み合わせて極めて効果的に使用することができるフレグランス成分の一カテゴリーは、アルデヒドおよびα,β−不飽和アルデヒドである。
【0044】
<香料組成物>
本明細書に関して単語「フレグランス」は、単語「香料」および用語「フレグランス組成物」または「香料組成物」と同義であって、心地よい匂いを与える嗅覚活性材料の混合物を指すと理解される。用語「フレグランス成分」は、用語「フレグランス構成要素」「香料成分」および「香料構成要素」とも同義であって、フレグランス組成物内の一成分になりうる任意の個々の材料を意味すると解釈され、その香料成分それ自体が多くの個別化学化合物を含み、心地よい匂いを持っていてもよい。
【0045】
本発明の悪臭低減組成物を添加することができるフレグランス組成物は、悪臭中和剤であることが知られている成分を含む混合物、すなわち二つ以上の化学種である。例えばアルケン、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、ニトリル、アミン、オキシム、アセタール、ケタール、チオール、チオケトン、イミンなどの材料を含む多種多様な臭気材料が、香料類用として知られている。限定されることは望まないが、香料組成物の成分は、感知可能であるべく十分な揮発性が確保されるように、325原子質量単位未満、好ましくは300原子質量単位未満、より好ましくは275原子質量単位未満の分子量を有することができる。さらにまた、香料化合物は、50原子質量単位を上回る、好ましくは60原子質量単位を上回る分子量を有することができる。というのも、これより低い質量では揮発性が高すぎるだろうからである。フレグランス組成物の成分は、スルホネート、サルフェート、または4級アンモニウムイオンなどの強電離性官能基を含有せず、ハロゲン原子も含有しないだろう。
【0046】
本発明の悪臭低減組成物を含有するフレグランス組成物は、要すれば、精油などの天然抽出物も含有しうる。天然抽出物は、適切な天然材料、例えば植物構成要素、すなわち葉、花、種子、根または幹を抽出プロセスにかけることによって製造される。これらの抽出プロセスは当業者には周知であり、その多くは、D van Nostrandが1949年に出版したE Guenther著「The Essential Oils」に記載されている。精油は、例えば「ヘッドカット」によってテルペン構成要素を除去することおよび/または「テールカット」によってロウ構成要素を除去することなどによって、油を精留および精製するための追加プロセスを受けることができる。そのような天然抽出物には、レモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ、アグリフルーツなどの柑橘種;アニス、シナモン、クローブなどの香辛料、またはバジル、ミント、ラベンダー、ラバンジン、タイム、ローズマリーなどの香草、またはゼラニウム、さまざまなバラ、コウスイガヤ、イトスギ、ユーカリノキ、ペルーバルサム、ショウノウ、ビャクダン、イランイランノキおよびシーダー材などの多くの植物品種から得られるもの、ならびにその混合物があるが、それらに限るわけではない。本発明にとって好ましい天然抽出物の一群は、アミリス油(Amyris oil)、シーダー油、ココアアブソリュート、コパイババルサム、ハッカ油(menthe oil pays)、ミルラ樹脂、パッチュリ油、バニリン(アブソリュート)およびベチベル油である。
【0047】
香料組成物は、その組成が比較的簡単で、フェニルグリシド酸類および1,2−ジケトンを含む最低三つの香料またはフレグランス成分を持つか、任意の所望する臭気が得られるように選択される天然および合成化学構成要素の高度に複雑な混合物を含むことができる。香料組成物は5個を超える香料成分を含有することが好ましく、10個を超える香料成分を含有することは、さらに好ましい。香料成分は、S.Arctander「Perfume Flavors and Chemicals」Vol.IおよびII(ニュージャージー州モントクレア)およびAllured Publishing Corporationの「Allured’s Flavor and Fragrance Materials−2007」ISBN 978−1−93263326−9に、より詳しく記載されている。
【0048】
<溶媒>
嗅覚的に弱いか中立である溶媒は製品の一部を構成することができる。香料産業では、固形フレグランス材料を適切な溶媒に溶解すること、または製造が容易になるように強力な材料を溶媒で希釈して低レベルで使用することは、極めて一般的である。典型的な溶媒には、疎水性材料、例えば安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジアルキル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、もしくはフタル酸ジエチル、または親水性材料、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはジプロピレングリコールまたはクエン酸トリエチルが含まれる。本発明の悪臭低減組成物を含有する消費者製品に好ましく使用されるであろう一般的なフレグランス溶媒は、S.Arctander「Perfume Flavors and Chemicals」Vols.IおよびII(ニュージャージー州モントクレア)およびAllured Publishing Corporationの「Allured’s Flavor and Fragrance Materials−2007」ISBN 978−1−93263326−9に記載されている。さらに、溶媒は製品において有益でもありうる。例えば、クエン酸エステルは一部のパーソナルケア脱臭組成物において悪臭を阻止するために使用されるし、Isopar L(登録商標)(Exxon Chemicals)およびDowanol DPMグリコールエーテル(登録商標)(The Dow Chemical Company)などといった他の溶媒は、エアケア製品にとって望ましいフレグランス強度およびフレグランス送達速度が達成されるように、フレグランスの蒸発および蒸気圧を調節することができる。本明細書において溶媒はフレグランス組成物の一部とみなされる。
【0049】
<消費者製品>
本明細書にいう「消費者製品」とは、その製品の用途である作業、例えばクレンジング、洗浄、脱臭、衛生化、柔軟化、フレッシュニングなどを行う際に消費される(すなわち使い尽くされる)成分の機能的に有効な組合せと定義される。本発明の悪臭低減組成物またはフレグランス組成物が使用されうる消費者製品の例を以下に挙げる。
【0050】
・1)パーソナルケア製品
Head and Shoulders(登録商標)もしくはPantene(登録商標)(Procter & Gamble)またはElseve(登録商標)(L’Oreal)によって例示されるようなシャンプーおよびヘアコンディショナー、シャワージェル、Radox(登録商標)(Sara Lee)によって例示されるようなボディウォッシュ、Softsoap(登録商標)(Colgate)によって例示される棒状セッケン、Lux(登録商標)またはDove(登録商標)(Unilever)によって例示されるような固形セッケン、脱臭スプレー、Rexona(登録商標)またはSure(登録商標)(Unilever)によって例示されるような回転塗布式およびスティック型の脱臭剤、ベビーワイプを含むモイストワイプ、水洗可能なウェットトイレットペーパー、スキンクレンジングまたはリフレッシングワイプ。
【0051】
・2)洗濯用の洗剤およびコンディショナー
粉末洗剤、タブレット、非セッケン系棒状洗剤および棒状硬セッケン、粉末濃縮洗剤、液体洗剤、濃縮液体洗剤、非水性液体洗剤および1回量液体洗剤分包。これらは以下のブランドおよび派生品によって例示される:Tide(登録商標)およびAerial(登録商標)(Procter & Gamble)、Skip(登録商標)およびOmo(登録商標)(Unilever)、Persil(登録商標)(Henkel)。布地柔軟剤または布地コンディショナーは、Downy(登録商標)の派生品(Procter & Gamble)、Comfort(登録商標)およびSnuggle(登録商標)(Unilever)によって例示されるように、希釈液もしくは濃縮水性分散液、または透明な液体、粉末または棒状であることができる。他の洗濯後布地処理剤には、Bounce(登録商標)(Procter & Gamble)などの回転式乾燥機用シート、またはComfort(登録商標)(Unilever)などのアイロン水がある。
【0052】
・3)家庭用クリーナー
家庭用クリーナーには、例えば床洗浄用または陶器類および調理器具洗浄用の、表面に直接使用することができる液体およびスプレー式硬質表面クリーナー、希釈することができる液剤が含まれる。そのような製品は、Flash(登録商標)(Procter & gamble)、Cif(登録商標)(Unilever)、Fairy(登録商標)食器洗浄液(Procter & Gamble)またはPril(登録商標)(Henkel)によって例示される。Finish(登録商標)(Reckitt Benckiser)またはFairy(登録商標)Active Bursts(Procter & Gamble)によって例示されるような機械食器洗浄用などの1回量包装の固形もしくは液体分包またはタブレット型製品、ならびに例えばMr Muscle(登録商標)(SC Johnson)ブランドなどのガラスおよび鏡用の専用クリーナー。これらの製品は、スプレー剤、ムース剤、液剤、懸濁した固形物を含有する液剤、含浸ワイプ分包、マルチコンパートメント型分包および1回量送出装置など、さまざまな製品形態で利用することができる。Harpic(登録商標)(Reckitt Benckiser)などのブランドによって例示される水垢クリーナー、シスターンブロック、リムブロック、液体リムブロックおよびハイブリッド製品を含む浴室衛生陶器クリーナー。布製室内装飾品および布地のクリーナーおよびリフレッシャーには、Febreze(登録商標)(Procter & Gamble)などのスプレー製品およびGlade(登録商標)shake and Vac(登録商標)(SC Johnson)などのカーペット用品が含まれる。
【0053】
・4)エアケア製品
エアケア製品には、液体電動エアフレッシュナー装置、エアロゾルスプレー、ポンプ作動式スプレー、芳香付きキャンドル、膜透過装置、液体吸い上げ芯装置、油性ゲルフレグランス、水性ゲルが含まれ、これらはいずれも以下のブランドおよび派生品によって例示することができる:Ambi Pur(登録商標)(Sara Lee)、Glade(登録商標)およびOust(登録商標)(SC Johnson)ならびにAir Wick(登録商標)(Reckitt Benkiser)。
【0054】
このような多様な製品群は、広範囲にわたる比率のフレグランスをその製剤内に含有し、広範囲にわたる製品適用量で使用され、それにより、本発明の悪臭低減組成物を使用することのできるレベルが決定される。以下の表1に、本発明の悪臭低減組成物を使用しうる一連の製品について、典型的な香料適用量を記載する。
【0055】
【表1】

【0056】
<エアフレッシュナー>
消費者製品の一形態は、部屋、乗り物、洋服ダンス、整理ダンス、引出しなどの閉じた空間において周囲空気にフレグランスを導入するためのエアフレッシュナー装置である。これらのエアフレッシュナー製品は、典型的には、スプレー、キャンドル、ゲル、膜透過装置、差し込み式電動装置、電池式装置または液体吸い上げ芯装置の形態をとりうる。本発明においてスプレーは、圧縮ガスまたはポンプ作動で加圧される水性または非水性スプレーであることができる。キャンドルおよびゲルは、不透明、半透明または透明であることができ、成形または梱包されるか、外観が引き立つように追加成分を含有することができる。差し込み式および電池式装置には、熱、蒸発、または噴霧によってフレグランスを気化させる装置を含めることができる。
【0057】
したがって、悪臭低減組成物または悪臭低減組成物を含有するフレグランスを周囲空気中に分散させるプロセスは、噴射、拡散、蒸発または噴霧によることができる。
【0058】
一般周囲空気をフレッシュニングまたは芳香付けして悪臭を阻止するためまたは昆虫を忌避するための製品には、動力源を持たず、拡散(例えばポリマー膜を介した拡散)によって作動する装置、またはフレグランスの速度を制御することができるように液体リザーバと接触している吸い上げ芯を電気的に加熱することによって作動する装置が含まれる。そのような装置は、米国特許第6,917,754号もしくは米国特許第7,223,361号もしくは国際公開第2007/046692号に記載されているような電動式のいわゆる差し込み式フレッシュナーであってもよいし、電池式であり、したがって携帯用、または自動車用であってもよい。要すれば装置は、国際公開第2007/132140号に記載されているように噴霧スプレーを使ってフレグランスを分散させるか、電動ファンを含有することができる。本発明の悪臭低減フレグランス組成物は、これらのフレッシュナー装置および組成物に、有利に使用することができる。
【0059】
本発明は、皮膚、毛髪、布製室内装飾品、洗濯可能な織物および衣服であることができる基体、ならびに床、壁、調理台、トイレおよび浴室衛生陶器を含む硬質表面に、悪臭低減フレグランスを付与するためのプロセスも提供する。
【0060】
ジケトンおよび/またはフェニルグリシデートを含有する本発明の悪臭低減フレグランスを皮膚および毛髪に送達することができる製品は、液体、軟固体、ゲル、ペースト、クリーム、粉末、スプレーまたは含浸基体、例えばパッドもしくはワイプの形態をとりうる。液体にはシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、液体石鹸、またはローションを含めることができる。液体は透明、不透明または真珠光沢であり、低粘度であるか、ゲル様粘度まで濃厚にすることができる。軟固体には、セッケンと合成洗剤(例えばイセチオン酸アルキルまたはアルキルエーテルサルフェート)との混合物を含む棒状セッケン、およびスティック型脱臭剤が含まれる。スプレーには、皮膚用の脱臭もしくは制汗スプレー、または整髪製品が含まれ、トリガー作動式または加圧キャニスター型スプレーであることができる。含浸基材には、個人衛生用、(とりわけ乳児および幼児のための)パーソナルクレンジング用、リフレッシュ用のウェットワイプが含まれる。ただし、本発明の悪臭低減組成物は、摂取されることが意図されている消費者製品(例えば食料品または飲料)における使用は意図されておらず、練り歯磨きや洗口剤のように使用方法の結果として部分的に摂取されうるものにおける使用も、誤って摂取されうる製品(例えばチューイングガム)における使用も意図されていない。
【0061】
本発明の悪臭低減組成物を使用しうるパーソナルケア製品の処方および成分は、当業者にはよく知られており、参照により本明細書に組み込まれる以下の著作:
L Ho Tan Tai著「Formulating Detergents and Personal Care Products A guide to Product Development」(ISBN 1−893997−10−3、AOCS Press発行)、および
Schwartz, PerryおよびBirch著「Surface Active Agents and Detergents」第1巻および第2巻、および
「Harry’s Cosmeticology」(CHS Press発行、第8版、2000、ISBN 0−8206−0372−4)、および
「Mc Cutcheon’s Detergents and Emulsifiers」(Allured発行)、および
「Cosmetic Science and Technology Series Volume 20」K.Laden編(Marcel Dekker)ISBN 0−8247−1746−5「Antipersperants and Deodorants」、および
「Cosmetic Science and Technology Series Volume 17」Dale H Johnson編、ISBN 0−8247−9365−X「Hair and Hair Care」(Marcel Dekker発行)、
ならびに以下の特許または特許出願(これらの特許およびそこに記載の参考文献はいずれも参照により本明細書に組み込まれる)を参照することができる。
【0062】
シャンプーおよびヘアコンディショナー:
米国特許第6,162,423号;米国特許第5,968,286号;米国特許第5,935,561号;米国特許第5,932,203号;米国特許第5,837,661号;米国特許第5,776,443号;米国特許第5,756,436号;米国特許第5,661,118号;米国特許第5,618,523号;欧州特許第0018717号;欧州特許第1009365号;欧州特許第0200305号;
【0063】
ワイプ:
国際公開第2003/051327号;国際公開第00/04230号,欧州特許第1361855号;米国特許出願第2005/0008680号;
【0064】
スキンクレンジングおよびスキンケア液:
米国特許第5,833,999号;欧州特許第1066827号;欧州特許第1510201号;欧州特許第0573229号;米国特許出願第2005/0085405号。
【0065】
<洗濯製品>
本発明の悪臭低減組成物は、衣類、タオル、およびベッドリネンなどの洗濯可能な織物を家庭で洗浄するための製品に有利に使用されるだろう。適切な洗濯製品には、固形バー、粉末、タブレットおよび液体洗剤、布地柔軟剤および非柔軟布地コンディショニング製品が含まれる。アイロン水、衣服リフレッシャースプレーおよび洗浄液またはコンディショニング液を含浸した物品、例えば回転式乾燥機用シートなどの洗浄後洗濯物処理製品も含まれる。洗濯製品の処方は当業者にはよく知られており、L Ho Tan Tai著「Formulating Detergents and Personal Care Products A guide to Product Development」、Schwartz、PerryおよびBirch著「Surface Active Agents and Detergents」第1巻および第2巻(どちらも前掲)、ならびに「Surfactant Science Science Series」の第67巻「Liquid Detergens」ISBN 0−8247−9391−9(Marcel Dekker Inc)を参照することができ、さらに以下の特許または特許出願も参照することができる。
【0066】
液体洗濯洗剤:
米国特許第5,929,022号、米国特許第5,916,862号、米国特許第5,731,278号、米国特許第5,470,507号、米国特許第5,466,802号、米国特許第5,460,752号、および米国特許第5,458,810号。
【0067】
粉末およびタブレット型洗剤:
国際公開第99/65458号、国際公開第99/41353号および欧州特許第1,123,381号。
【0068】
布地柔軟剤および布地コンディショナー:
米国特許第6,627,598号、米国特許第6,335,315号、米国特許第5,674,832号、米国特許第5,759,990号、米国特許第5,877,145号、米国特許第5,574,179号。
【0069】
本発明のジケトンおよび/またはフェニルグリシデートを含有する悪臭低減フレグランスを、カーテン、カーペット、もしくは掛け布などの家庭用布製室内装飾品、または板張りもしくはタイル張りの床、壁、窓、調理台および浴室衛生陶器などの硬質表面に送達することができる製品は、液体、軟固体、ゲル、ペースト、フォーム、クリーム、粉末、スプレーまたは含浸基体、例えばパッドもしくはワイプの形態をとりうる。製品は表面に直接適用すること、または使用前に水で希釈することができ、あるいは、便所に水を流すことによって作動するシスターンブロックまたは液体リムブロックなどの装置に組み込むこともできる。
【0070】
<便所用固形リムブロックおよびシスターンブロック>
本発明の一実施形態は、硬質表面および衛生陶器における悪臭低減に関する。使用に際して、水洗サイクル中にタンクからの水がブロックの上を流れることによってブロックの一部を溶解するように、便器または小便器の縁部の下に設置されることが意図されているものを含む便所用ブロックは、本発明の悪臭低減化合物を使用することができる製品の具体例である。そのようなブロックは当技術分野では「リムブロック」として広く知られており、本明細書では、それらをそのように呼ぶか、または単に「ブロック」と呼ぶ。本発明は、タンクに投入されて、それを含有する水中でゆっくり溶解する、いわゆるシスターンブロックにも関係する。一方は絶えず水中にあるのに対して、他方は断続的に短時間水と接触するのであるから、これら二つの製品の溶解度特性が極めて異なることは理解されるだろう。しかしそれらはどちらも、界面活性剤、充填剤、および本発明の成分を含有しうるフレグランス、そして要すれば、漂白剤、殺菌剤および水垢防止剤を含有する。典型的な処方は、国際公開第97/47721号、欧州特許第0462643号、英国特許第2178442号および米国特許第4,874,536号に教示されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
<液体リムブロック>
本発明の悪臭低減化合物のもう一つの実施形態は、液体リムブロックとして知られている便所用クリーナーに関する。液体リムブロックは、便器の縁部の下から、その便器に液体組成物を直接分配する装置である。そのようなリムブロックは通常、例えばホックなどのさまざまな手段によって、便器の縁部に取り付けられる。リムブロックを装着したトイレに水を流すたびに、ある量の組成物が便器内に分配される。液体リムブロックの例は国際公開第02/40792号に記載されており、この文献には、懸濁手段と活性物質用に少なくとも二つの区画とを持つ液体リムブロック装置が教示されている。国際公開第02/04591号には、液体リムブロック、便器の縁部の下から液体組成物を分配するためのディスペンサーを含む便所用洗浄システムが教示されており、この場合、組成物は2500mPa・sを上回る粘度を持つ。他の類似するシステムが欧州特許第0775741号および国際公開第01/94520号に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に組み入れられる。
【0072】
リムブロックは単一装置内での固形と液体の組合せも含みうる。そのような装置は、例えば、Reckitt BeckiserからHarpic(登録商標)という商標で市販されている。
【0073】
<液体硬質表面クリーナー製剤>
本発明の悪臭低減フレグランスのもう一つの具体的応用例は、万能クリーナーまたは汎用クリーナーとも呼ばれる硬質表面クリーナー製剤に関する。それらは、等方性液体、研磨材を含むもしくは研磨材を含まない濃厚液、またはムース状の製品を含む幅広い製品カテゴリーである。それらはボトルから直接使用するか、水で希釈した後に使用することができる。使用者の利便のためにさまざまな送達方法が考案されており、あるものはトリガースプレーボトルから表面に噴射され、またあるものは、表面に直接注がれて、例えば便所に水を流す際に除去されうる。それらは、水垢除去用の酸、衛生用の殺生物剤、または漂白剤などといった追加成分を含有しうる。したがって、このカテゴリーに含まれる製剤は広範囲にわたる。以下の表2に、主要な処方成分とそのレベルを要約する(出典は「Surfactant Science Series」第67巻「Liquid Detergents」の「Speciality Liquid Household Surface Cleaners」に関する章、479頁、表4である)。酸化漂白剤(例えば次亜塩素酸ナトリウムまたは過酸化水素)が製剤に組み込まれる場合を除き、いずれの場合も、本発明のフェニルグリシデートおよび1,2−ジケトンを含有する悪臭低減フレグランスは、製品内のフレグランスとして使用することができる。
【0074】
【表2】

【0075】
<カーペットクリーナー>
カーペットクリーナーにはいくつかの形態、すなわち粉末、液体、泡沫処理およびスプレースポット処理剤がある。これらの製品の多くは、特殊な洗浄機と一緒に使用する必要があり、大きな面積を処理する場合は特にそうである。しかし、カーペット洗浄の望ましい属性は、悪臭を低減して心地よい匂いを残すことであり、そのような製品は一般にフレグランスを含有する。本発明の悪臭低減フレグランスは、カーペット洗浄製品における応用に適しており、しかも望ましい。
【0076】
<エアフレッシュナー、織物および布製室内装飾品用の脱臭スプレー>
Glade(登録商標)(SC Johnson)およびFebreze(登録商標)(Procter and Gamble)など、空中または織物および布製室内装飾品上の悪臭を低減または遮蔽するための製品が知られている。これらの製品は空中または表面上に噴射するように設計される。これらは揮発性噴射剤ガスと共にエアロゾルから分配されるか、噴射剤ガスを必要としないトリガースプレーを使って分配される。米国特許出願第2005/0124512号には、空気中のアミンと反応させるために非布地変色性アルデヒドが組み込まれるシクロデキストリン含有製品が教示されている。この特許には、グリシデートまたは1,2−ジケトンが、別々に、または組み合わされて、悪臭形成を阻害しうることは、どこにも教示されていない。米国特許出願第2003/0044309号には、悪臭を阻止する、選ばれたフレグランスアルデヒドを含有するエマルション組成物が教示されている。グリシデートおよび1,2−ジケトンを組み込んだフレグランスは、悪臭低減化合物として、これらの製品に有利に使用することができる。
【実施例】
【0077】
本発明の組成物およびプロセスをさらに例証するために、以下に実施例を記載する。これらの実施例は単なる例示であって、決して本発明の範囲を限定しようとするものではない。
本発明の個々の成分、すなわちジケトンおよびグリシデートの悪臭低減能は、以下の手順に従って試験される。
手順
・20cmヘッドスペースバイアルに
・ジプロピレングリコール中の1−ヘキシルアミンの1%(wt/wt)溶液100μl;
・脱塩水7.0g;
・1,2−ジケトンまたはフェニルグリシド酸類20μl;
・Emulgin L(登録商標)(Cognis)0.2g;
を加える;
・室温で10分間混合する;
・35℃で50分間平衡化する;
・ヘキシルアミンのヘッドスペース濃度をポリジメチルシリコーンジビニルベンゼン繊維(例えばSupelco)での固相微量抽出法(SPME)によって測定する;
・蒸気を35℃で5分間サンプリングした後、265℃で1分間、30m HP−5MS GCカラムに脱離させる。
ヘッドスペース濃度は、悪臭低減フレグランスを含まない標準との比較によって算出し、ヘキシルアミンに関するGCMSシグナルの面積パーセントの減少として報告される。その結果を表3に記載する。
【0078】
【表3】

【0079】
実施例2
この実施例では、表4のフレグランスA内で典型的ジケトンであるβ−ツヤプリシンの濃度を増加させた場合の悪臭に対する効果を、そのフレグランスそのものと比較して示す。手順は、実施例1における1,2−ジケトンまたはフェニルグリシド酸類20μlずつの代りにフレグランスを50μlずつ使用した点以外は、上記実施例1で述べたものと同様である。試験フレグランスは、一部はフレグランスA、一部は1,2−ジケトン、フェニルグリシデートまたはその混合物からなり、フレグランスA内のフタル酸ジエチルの一部を本発明の悪臭低減化合物で置き換える。悪臭低減は、フレグランスAを含有し本発明の悪臭低減成分を一切含まない対照試料と比較した、気相中のヘキシルアミンの濃度として測定する。
【0080】
【表4】

【0081】
フレグランスAは、洗濯またはパーソナルケア製品での使用に適したシトラスフローラルローズフレグランスである。
【0082】
【表5】

【0083】
実施例3
実施例3では、β−ツヤプリシンの代りに3−フェニルグリシド酸エチルを使って、実施例2を繰り返した。表6の結果はフェニルグリシド酸類濃度の増加に呼応する明確な傾向を示している。
【0084】
【表6】

【0085】
実施例4
実施例4では、3−フェニルグリシド酸エチルと2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(118−71−8)の一連の混合物を使って、実施例2を繰り返した。使用した3−フェニルグリシド酸エチル対2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オンの比は質量%で9:1〜1:9であり、この組合せの総質量は常にフレグランスAの3.0%に相当する。これらの結果は、この組合せが5%の3−フェニルグリシド酸エチルよりも強い悪臭低減をもたらし(例えば表6を表7と比較)、フレグランスAの10質量%の3−フェニルグリシド酸エチルと等価であることを示している。しかも悪臭低減の変化は、成分の比にはそれほど敏感でない。
【0086】
【表7】

【0087】
実施例5
40%の表8の香料組成物を55.95%のジプロピレングリコールモノメチルエーテル、4%のヒュームド親水性シリカおよび0.05%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートと混合することにより、膜エアケア装置用または電動エアケア装置用の、ゲル状の香料組成物を製造する。
【0088】
【表8】

【0089】
本悪臭低減組成物はフレグランスの3.0%および最終製品組成の1.2%を構成し、フェニルグリシド酸類対1,2−ジケトンの質量比は1:1.7である。そのようなフレグランスは、「Glade(登録商標)Plug−In」「Glade(登録商標)Wisp」「Reckitt−Benckiser Air−Wick(登録商標)Mobile」「Air−Wick(登録商標)」「Ambi−Pur Car(登録商標)」および「Sara Lee Inspira(登録商標)」という商標名で知られているものなど、商業的供給源から入手することができる環境生成香料を拡散させるための装置に使用することができる。
【0090】
実施例6:香料入りキャンドル
下記表9のロウおよび他の成分を80℃の水浴で融解してから、表10に記載の香りづけ油を加え、均一な混合物が得られるまで混合し、次にそれを吸い上げ芯を含む型に流し込むことによって、香りづけキャンドルを製造した。
【0091】
【表9】

【0092】
次に、そのようにして形成させたキャンドルを、24時間冷ました。次に、少なくとも24〜36時間は安定して香料組成物が拡散するように、このキャンドルを燃やした。
【0093】
【表10】

【0094】
このフレグランスは、2.3%のフェニルグリシド酸類と1,2−ジケトンの組合せを6.67:1というフェニルグリシド酸類:1,2−ジケトンの比で含有し、本発明の悪臭低減組成物は最終製品組成の0.23%を構成する。
【0095】
実施例7:ゲルエアフレッシュナー
悪臭阻止効果を得る目的で表8のフレグランスを加えることができる水性ゲルエアフレッシュナーの処方を表11に示す。
【0096】
【表11】

【0097】
カラギーナンガムおよびグアーガムを、混合を続けながら、水に加える。その水をポリマーが溶解しきるまで絶えず撹拌しながら80℃まで加熱する。冷まして60℃で撹拌しながらフレグランスおよび保存剤を加える。10分後に容器に注ぎ込む。フェニルグリシド酸類および1,2−ジケトン悪臭低減組成物は、表8のフレグランスの3%を構成し、したがって最終エアフレッシュナーゲルの0.12%を構成する。
【0098】
実施例8:含水エアロゾルエアフレッシュナー
悪臭を低減するために表8のフレグランスなどの本発明のフレグランスを有利に使用することができる水性エアフレッシュナースプレーの処方を表12に示す。
【0099】
【表12】

【0100】
実施例9:液体リムブロック
悪臭を低減するために表8のフレグランスを有利に使用することができるトイレ用液体リムブロックの例を表13に示す。
【0101】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(1)のフェニルグリシド酸類のうち少なくとも一種:
【化1】

(式中、Rは、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、水素原子またはメチルであり、かつ、Rは、水素原子、直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基、またはメトキシ基である。)
および
(B)式(2)または(3)の1,2−ジケトンのうち少なくとも一種:
【化2】

(式中、R,RおよびRは、各々独立して、直鎖または分岐の炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基であり;Rは、炭素数1〜5のアルキリデン基であり;RおよびRは、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を単独または二以上を有していてもよい炭素数4〜7の飽和もしくは不飽和の脂環式環構造または複素環式環構造を形成することもでき;RおよびRは、置換基として炭素数1〜4のアルキル基を単独または二以上を有していてもよい炭素数4〜7の不飽和脂環式環構造または複素環式環構造を形成することもできる。)
を含み、フェニルグリシド酸類(A)対1,2−ジケトン(B)の質量比が1:99〜99:1である、悪臭低減組成物。
【請求項2】
フェニルグリシド酸類が、3−フェニルグリシド酸エチル(121−39−1)、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル(77−83−8)またはその混合物から選択される、請求項1に記載の悪臭低減組成物。
【請求項3】
1,2−ジケトンがβ−ツヤプリシン(499−44−5)、3−メチルシクロペンタ−2−エン−2−オール−1−オン(765−70−8)、2−エチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(4940−11−8)、2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(118−71−8)、エチルシクロペンテノロン(21835−01−8)、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタジオン(13494−06−9)、3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタジオン(13494−07−0)、メチル−2−ヒドロキシ−4−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン(42348−12−9)、2−ヒドロキシシクロヘキサ−2−エン−1−オン(10316−66−2)、1−メチル−2,3−シクロヘキサジオン(3008−43−3)、1,2−シクロヘキサジオン(765−87−7)およびその混合物から選択される、請求項1または請求項2に記載の悪臭低減組成物。
【請求項4】
1,2−ジケトンがβ−ツヤプリシン(499−44−5)、2−エチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(4940−11−8)、2−メチル−3−ヒドロキシピラン−4−オン(118−71−8)およびその混合物から選択される、請求項3に記載の悪臭低減組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の悪臭低減組成物を、消費者製品の全組成中0.00005質量%〜15質量%の量で含ませることによる、消費者製品の悪臭低減方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の悪臭低減組成物を少なくとも0.05質量%含むフレグランス組成物。
【請求項7】
10質量%を上回るアルデヒドおよびα,β−不飽和アルデヒドをさらに含む、請求項6に記載のフレグランス組成物。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフレグランス組成物を、消費者製品の全組成中0.05質量%〜100質量%の量で含ませることによる、消費者製品の悪臭低減方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の悪臭低減組成物を当該消費者製品の全組成の0.00005質量%〜15質量%の量で含む消費者製品。
【請求項10】
エアケア製品およびパーソナルクレンジングおよび脱臭製品、シスターンブロック、リムブロックまたは液体リムブロックを含む家庭用洗浄製品、ならびに洗濯および布地ケア製品から選択される、請求項9に記載の消費者製品。
【請求項11】
請求項6または7に記載のフレグランス組成物を0.05質量%〜15質量%含み、パーソナルクレンジング製品、シスターンブロック、リムブロックまたは液体リムブロックを含む家庭用洗浄製品、ならびに洗濯および布地ケア製品から選択される消費者製品。
【請求項12】
請求項6または7に記載のフレグランス組成物を0.05質量%〜100質量%含む、エアケア製品である消費者製品。
【請求項13】
請求項6または7に記載のフレグランス組成物を、消費者製品の全組成中0.05質量%〜1.5質量%の量で含ませることによる、消費者製品の悪臭低減方法。
【請求項14】
消費者製品がパーソナルクレンジングおよび脱臭製品、シスターンブロック、リムブロックおよび液体リムブロックを含む家庭用洗浄製品から選択される、請求項13に記載の消費者製品の悪臭低減方法。
【請求項15】
消費者製品がエアケア製品である、請求項8に記載の消費者製品の悪臭低減方法。

【公開番号】特開2009−256677(P2009−256677A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97990(P2009−97990)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】