説明

情動障害の治療のための[2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン

[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンおよびその薬学的に許容可能な塩(ただし、非結晶質形態にある遊離塩基ではない)を情動障害の治療のために提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的処置に有用な化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
睡眠は、例えばうつ病のような多くの情動障害、およびうつ病の治療における極めて重要な要素である。実際に、睡眠障害は、うつ病の主要症状であり、睡眠障害は多くの場合に、うつ病を患う患者に助けを求めさせるものである。このような観点から、うつ病患者に受け入れられる何らかの医学的介入が睡眠障害を改善すること、そしてもちろん、それ自体が睡眠問題を付与しないことが重要である。当然のことながら、他の情動障害の治療にも同じことが言える。
【0003】
情動障害の標準的な内科療法には、モノアミン神経伝達物質セロトニンおよび/またはノルアドレナリンの脳におけるレベルを増加させる効果を有する化合物が含まれる。これらの薬剤が広い範囲の情動障害の治療に使用されているという事実にも拘らず、これらは通常「抗うつ薬」と呼ばれる。最も広く普及している治療様式には、セロトニンのレベルを増加させる選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が含まれ、公知でかつ上市されたこれらの例には、エスシタロプラム、フルオキセチンおよびセルトラリンが含まれる。選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NRI)はノルアドレナリンのレベルを増加させ、その1つの例はレボキセチンである。他の化合物は、セロトニンおよびノルアドレナリン両方の再取り込みを阻害し、SNRIと呼ばれる。この薬剤群の著名な例にはベンラファキシンおよびデュロキセチンが含まれる。最後に、三環系アミン類(TCA)と呼ばれる薬剤群がうつ病の治療に広く使用されており、この化合物群のメンバーは、セロトニンおよびノルアドレナリントランスポーターにおける阻害効果に加えて、他の脳受容体、例えばアセチルコリン、アドレナリンおよびヒスタミン受容体においても効果を有するさらに広い薬理プロファイルを有する傾向がある。
【0004】
残念ながら、睡眠障害は、ほとんどの抗うつ薬の一般的な有害な影響であると考えられる。特にSSRI、NRIおよびSNRIは、睡眠の開始および維持に関する問題を生じさせることが報告されており、そして不眠症に関する問題もしばしば報告されている(非特許文献1)。他では、上記化合物がREM睡眠の抑制、睡眠潜時の増加、効率的な睡眠の減少、夜間の覚醒の増加、および睡眠の断片化を生じさせることが報告されている(非特許文献2)。
【0005】
通常、睡眠への有害な効果は、5-HT2A受容体の刺激によって引き起こされると考えられている。R.L.Fishは非特許文献3において、高度に選択的な5-HT2Aアンタゴニストである特定の4-フルオロスルホニルピペリジン類がラットにおける徐波睡眠時間の増加および覚醒の数の減少に有効であることを報告している。これらの前臨床の観察は、臨床所見によって確認される。5-HT2Aアンタゴニストであるリタンセリンは、全体の睡眠時間、徐波睡眠時間、REM睡眠時間を増加させ、ヒトの自覚的な睡眠の質を改善することが示されてきた(非特許文献4)。5-HT2Aの強力な阻害剤であり、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込みの弱い阻害剤であるネファゾドンは、臨床試験において、睡眠の継続性および全REM睡眠時間を増加させること、および覚醒の数を減少させることが示されてきた(非特許文献5)。同様に、5-HT2Aアンタゴニストであってセロトニン再取り込みの中程度の阻害剤であるトラゾドンは、臨床スコアHAS(睡眠障害(sleep disorders))およびHRSD(早朝覚醒、熟睡および初期睡眠の欠如)を改善することが示されてきた(非特許文献6)。
【0006】
上記の知見および観察は、睡眠への有害な効果を伴わずにもしくは減少した当該効果を伴って、5-HT2Aアンタゴニスト活性との組み合わせでセロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取り込みの阻害効果を有する化合物の同定が、情動障害、例えばうつ病の治療に適した化合物、またはうつ病患者の睡眠の質がさらに改善される化合物を提供するであろうことを示唆する。
【0007】
ノルアドレナリン再取り込み阻害効果を有する化合物の使用は、ノルアドレナリンレベルの増加をもたらし、これが情動障害の治療における治療効果の要因である。しかしながら、ノルアドレナリンはまた、末梢効果、例えば心拍数の増加、血管狭窄、および結果として生じる血圧増加を有する。これらの末梢効果は、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤に関して報告される有害事象において発生する。ベンラファキシンおよびデュロキセチン(両方ともノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込み阻害剤である)は、血圧を増加させることが報告されている(非特許文献7)。血圧の増加は、概して、そして既に血圧増加(高血圧)を患っている患者、例えば特に高齢者において問題がある。
【0008】
アルファ1アドレナリン受容体(α1受容体)のアンタゴニストは、末梢血管拡張を引き起こし、結果として血流抵抗(flow resistance)の減少による血圧減少を引き起こすことが知られている(非特許文献8)。
【0009】
上記知見および観察は、α1受容体アンタゴニスト活性と組み合わせてセロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取り込みの阻害効果を有する化合物の同定が、情動障害、例えばうつ病の、有害な心血管系の効果、例えば血圧増加を伴わないもしくは減少したそれを伴う、治療に適した化合物を提供するであろうことを示唆するものである。
【0010】
特許文献1は、特定の2-(1H-インドリルスルファニル)ベンジルアミン誘導体、および特に[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンがセロトニン再取り込み阻害剤であり、恐らくノルアドレナリン再取り込み阻害剤でもあることを開示している。該化合物は情動障害、例えばうつ病の治療に有用であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2005/061455号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Int.Clin.Psychpharm., 21 (suppl 1), S25-S29, 2006
【非特許文献2】Hum.Psychopharm.Clin.Exp., 20, 533-559, 2005
【非特許文献3】Bioorg.Med.Chem.Lett., 15, 3665-3669, 2005
【非特許文献4】Clin.Neurophys. 113, 429-434, 2002
【非特許文献5】Biol. Psychiatry, 44, 3-14, 1998
【非特許文献6】Psychiatr.Clin.Neurosci., 53, 193-194, 1999
【非特許文献7】Curr. Ther. Res., 66, 522-540, 2005; J.Clin.Psychiatry, 59, 502-508, 1998
【非特許文献8】Clin Ther.,26, 1701-1713, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者等は、驚くべきことに、[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンが強力なセロトニン再取り込み阻害剤、強力なノルアドレナリン再取り込み阻害剤、強力な5-HT2Aアンタゴニストおよび強力なα1A受容体アンタゴニストであること、およびそのようなものとして情動障害の治療に有用であり、睡眠関連の副作用を回避するかもしくは減少させ、またはさらには患者の睡眠の質を改善し、および/または心血管系の副作用を回避するかもしくは減少させることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、1つの実施態様において、本発明は、 [2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン:
【0015】
【化1】

である化合物Iおよびその薬学的に許容可能な塩に関し、ただし前記化合物は非結晶質形態にある遊離塩基ではないことを条件とする。
【0016】
1つの実施態様において、本発明は、治療に使用するための化合物Iに関する。
【0017】
1つの実施態様において、本発明は、薬学的に許容可能なキャリアーまたは賦形剤と組み合わせて本発明化合物を含む医薬組成物に関する。
【0018】
1つの実施態様において、本発明は、治療的有効量の化合物Iをそれを必要とする患者へ投与することを含む治療方法に関する。
【0019】
1つの実施態様において、本発明は、薬剤の製造における化合物Iの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】:L(+) 酒石酸水素塩のα型の粉末X線ディフラクトグラム。
【図2】:L(+) 酒石酸水素塩のβ型の粉末X線ディフラクトグラム。
【図3】:マウスにおいて感作されたアンフェタミン応答における本発明化合物の効果。
【図4】:アンフェタミン・クロルジアゼポキシド誘発性の多動(hyperactivity)における本発明化合物の効果。
【図5】:マウスのガラス玉覆い隠しにおける本発明化合物の効果。
【図6】:ストレス誘導性過温症における本発明化合物の効果。
【図7】:酢酸塩1:1 α型のXRPD。
【図8】:酢酸塩1:1 β型のXRPD。
【図9】:プロピオン酸塩1:1のXRPD。
【図10】:2−ヒドロキシイソ酪酸塩1:1のXRPD。
【図11】:アジピン酸塩2:1 α+β型のXRPD。
【図12】:アジピン酸塩2:1 β型のXRPD。
【図13】:アジピン酸塩2:1 γ型のXRPD。
【図14】:フマル酸塩2:1 α+β型のXRPD。
【図15】:フマル酸塩2:1 α型のXRPD。
【図16】:フマル酸塩2:1 γ型のXRPD。
【図17】:フマル酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図18】:マレイン酸塩2:1 α型のXRPD。
【図19】:マレイン酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図20】:マロン酸塩2:1 α型のXRPD。
【図21】:リンゴ酸塩α型のXRPD。
【図22】:リンゴ酸塩2:1 α+β型のXRPD。
【図23】:リンゴ酸塩2:1 γ型のXRPD。
【図24】:リンゴ酸塩混合物のXRPD。
【図25】:グルタル酸塩2:1 α型のXRPD。
【図26】:シュウ酸塩2:1 α型のXRPD。
【図27】:シュウ酸塩2:1 β型のXRPD。
【図28】:シュウ酸塩混合物。
【図29】:セバシン酸塩2:1 α型。
【図30】:セバシン酸塩 β型のXRPD。
【図31】:セバシン酸塩2:1 γ型のXRPD。
【図32】:セバシン酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図33】:コハク酸塩2:1 α型のXRPD。
【図34】:コハク酸塩2:1 β型のXRPD。
【図35】:コハク酸塩 γ型のXRPD。
【図36】:コハク酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図37】:塩酸塩1:1 α型のXRPD。
【図38】:臭化水素酸塩 α型のXRPD。
【図39】:メソ酒石酸塩2:1 α型のXRPD。
【図40】:メソ酒石酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図41】:2-オキソグルタル酸 2:1塩 α型のXRPD。
【図42】:リン酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図43】:2,2-ジメチルプロピオン酸塩混合物/溶媒和物のXRPD。
【図44】:グルタミン酸(glutaminic acid)混合物/溶媒和物のXRPD。
【0021】
<発明の詳細な説明>
睡眠パターンは人によって、そして個人の一生の間でも大きく異なる。典型的には、成人は一晩に7〜8時間眠るが、一部の人は10〜12時間を必要とし、さらに他の人は4〜5時間で済ますことができる。睡眠の量および質は、睡眠者が休息、元気の回復を感じるのに十分であり、そして翌日の活動を適切に行うのにも十分であるべきである。
【0022】
睡眠の質は主観的に評価することができ、すなわち、関連する対象者は自身の得点をつけるか、または睡眠をどのように認識しているかを表す関連パラメーターに関して得点をつけられる。使用される臨床スコアにはHAS、HRSDおよびピッツバーグ睡眠質問表(Pittsburgh Sleep Quality Index)が含まれる。あるいは、客観的な情報は脳活動(脳波記録、EEG)、筋活動(筋電図記録, EMG)を測定することにより、または生理学的パラメーター、例えば眼球運動を観察することによって得ることができる。睡眠の客観的な定量化を用いて、2つのタイプの睡眠、すなわち、REMおよびnon-REM睡眠を哺乳類で、そして実際にヒトで定義した。REM(Rapid Eye Movement:急速眼球運動)睡眠は、覚醒状態と類似した速くかつ低電位の脳波(EEGによって測定された場合)、および不規則な自律神経の活動、例えば心拍数および呼吸によって定義される。このタイプの睡眠は、急速な水平方向の眼球運動、不随意筋の運動(involuntary muscle jerks)および夢を伴う。一方、non-REM睡眠は遅くかつ高電位の脳波、および低く規則的な自律神経の活動、例えば心拍数および血圧によって定義される。non-REM睡眠は、深く夢を見ないタイプの睡眠である。特定の回復過程がnon-REM睡眠の間に行われており、例えば、このタイプの睡眠の間には成長ホルモンが放出されていると考えられる。
【0023】
EEGを睡眠中の対象から得ると、5つの異なるステージ(4つのnon-REMステージおよび1つのREMステージ)からなる睡眠パターンが現れる。ステージ1はEEG活動性の減速を示し、嗜眠状態から浅い眠りへの移行期である。ステージ2は睡眠紡錘波の発生を示し、K複合波が形成する。ステージ3および4は徐波と深い睡眠によって特徴付けられる。ステージ5はREM睡眠である。ステージ3および4は多くの場合に徐波睡眠またはSWSと呼ばれる。夜の間に、個体は起きている状態からステージ1(睡眠潜時)に、そしてゆっくりとステージ2から4までを経て進む。その後、個体はREM睡眠エピソードに入り、引き続きステージ1〜4を経て再び進む。パターンは人によって異なるが、通常、夜間は4〜5サイクルからなる。該サイクルは、深い睡眠(ステージ3および4)のほとんどが夜の最初の半分の間に行われ、REM睡眠のほとんどが夜の二番目の半分において行われるように、夜の途中に変わる。全体としては、平均的な成人は睡眠の80%がnon-REM睡眠であり、睡眠の20%がREM睡眠であるということを経験するだろう。夜間の睡眠の種々のステージの発生パターンは、睡眠構造(sleep architecture)と呼ばれる。
【0024】
睡眠の改善、または治療的介入に伴う睡眠への有害な効果の欠如は、最終的に、睡眠の質が患者によってどのように認識されているかにより判断する。典型的には、睡眠潜時(睡眠が起こる前の時間)、夜間の覚醒の数、目が覚めた場合の睡眠潜時、朝における休息および元気の回復についての感覚、不眠、睡眠時間、睡眠の十分性(sleep sufficiency)、早朝の覚醒、次の日の行動(performance)および過剰な日中の眠気のようなパラメーターが、個体がその睡眠をどのように認識するかにおいて重要である。これらのパラメーターの一部は、上記で議論したように、EEGまたはEMGを測定することによって客観的に評価することができる。
【0025】
実施例に示すように、本発明化合物は、ラットにおいて用量依存的に徐波睡眠の量を増加させ、REM睡眠の量を減少させ、そして睡眠潜時を減少させる。これらの前臨床知見からは、前記化合物を投与された患者の睡眠の質が改善されると予測される。セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込みにおける組み合わされた阻害効果を有する化合物は、まずは、睡眠の質を減少させると予想されるであろうから、これは予想外の結果である。
【0026】
増加した血圧は、めまいおよび嗜眠状態を引き起こし得るが、多くの場合に血圧増加を患う対象者は即時のまたは重篤な症状がないためその状況に気づかない。それでもやはり、わずかな血圧増加でさえも回避することが重要であり、それは長期的には心筋梗塞、心機能不全、腎不全および脳出血のような結果を有する可能性が高いからである。
【0027】
血圧は通常、拡張期および収縮期血圧で表される。収縮期血圧は心臓が完全に収縮したときの血圧であり、一方、拡張期血圧は心臓が完全に弛緩したときの血圧である。血圧は通常、静止し仰臥位で測定され、すなわち、対象が横になったときに測定する。平均的な健康な対象は80〜90/130〜140 mm Hgの拡張期/収縮期血圧を有するであろう。
【0028】
実施例に示されるデータは、本発明化合物がイヌにおいて血圧を減少させることを示す。この前臨床の知見からは、臨床場面において血圧の増加がほとんどないかもしくはないことが予測され、あるいは血圧がわずかに減少することも予測される。ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有する化合物は、まずは、血圧の増加を生じさせると予想されるので、これは予想外の結果である。
【0029】
双極性障害はかつては躁うつ病性障害として知られており、これは躁病およびうつ病の再発性エピソードによって特徴付けられる。双極性うつ病(または双極性疾患に関連するうつ病)の治療における大きな課題は、躁病へのシフトを回避すること、すなわち、抗うつ治療の結果としてうつ病患者が躁病エピソードを発現することを回避することである。治療で発生する躁病(Treatment-emergent mania)が、双極性うつ病を有する患者の大きな割合において、抗うつ薬での治療後に報告されている(J. Clin. Psych., 67, suppl 11, 18-21, 2006)。通常、躁病エピソードは、抗精神病薬、例えばクエチアピンもしくはオランザピン(これらは両方とも5-HT2A拮抗作用を示す)で、またはリチウムで治療される。セロトニン再取り込み阻害と5-HT2A受容体における拮抗作用とを兼ね備える化合物は、従って、躁病へのシフトを回避する双極性うつ病の治療に理想的な化合物であると考えられるであろう。実施例12および13に示されるように、本発明の化合物は抗うつ特性と組み合わせて 抗躁病作用を示し、これは双極性うつ病の治療における使用を示唆するものである。
【0030】
睡眠障害および不安は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の特徴である。他で議論するように、本発明化合物の5-HT2A拮抗作用は、睡眠の質の改善を提供する。さらに、PTSDを患う退役軍人の治療におけるα1受容体アンタゴニストであるプラゾシンを用いた臨床経験からは、α1受容体アンタゴニストが外傷性の悪夢(traumatic nightmares)を軽減でき、そして睡眠の質を改善できることが示される(Biol Psychia. 61, 928-934, 2007)。実施例14に報告する実験において示されるように、本発明化合物は強力な抗不安特性を示す。従って、睡眠の質および不安における効果を兼ね備える本発明化合物はPTSDの治療に有用である。
【0031】
メランコリーは、しばしば重篤なうつ病に結び付いたうつ病の特定のサブタイプであり、このタイプのうつ病はメランコリー型うつ病とも呼ばれている。メランコリーは不安、未来の恐怖(dread of the future)、不眠および食欲不振(loss of appetite)に関連する。セロトニンおよびノエルエピネフリン再取り込みの両方を阻害する化合物、例えばベンラファキシンは、重篤なうつ病およびメランコリーを有する患者の治療に特に有効であることが示されている(Depres. Anxiety, 12, 50-54, 2000)。さらに、本発明化合物のα-1アドレナリン受容体および5-HT2A拮抗作用は、睡眠の正常化に役立つことが予測され、従って、前記化合物はメランコリーの治療に有用である。
【0032】
顔面紅潮は閉経への過渡期に関連する症状である。一部の女性は、概して睡眠または活動を妨げる程度に、そして治療が必要な程度にこれを患い得る。エストロゲンでのホルモン補充療法が何十年もにわたって確立された実務となっているが、近年は副作用、例えば乳癌および心臓系の事象に関する懸念が言われている。SSRIを用いた臨床試験では、これらの化合物がエストロゲンには及ばないが顔面紅潮に効果を有することが示されている(J.Am.Med.Ass., 295, 2057-2071, 2006)。しかしながら、セロトニン再取り込みを阻害する化合物、例えば本発明の化合物を用いた顔面紅潮の治療は、エストロゲンを許容できないかもしくは許容しないであろう女性のための代替的な治療になり得るものである。
【0033】
1つの実施態様において、本発明は、[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンである化合物I
【0034】
【化2】

およびその薬学的に許容可能な塩に関し、ただし、前記化合物は非結晶質形態の遊離塩基ではないことを条件とする。
【0035】
1つの実施態様において、前記の薬学的に許容可能な塩は、非毒性である酸の酸付加塩である。前記の塩には、有機酸、例えば、サバコン酸(sabaconic)、2-ヒドロキシイソ酪酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス-メチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、テオフィリン酢酸および8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリンから生成される塩が含まれる。前記塩はまた、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸から生成させることもできる。特に言及すべきは、メタンスルホン酸、マレイン酸、フマル酸、メソ-酒石酸、(+)-酒石酸、(-)-酒石酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸から生成した塩である。とりわけ言及すべきは、L-(+)-酒石酸水素塩である。さらなる塩については実施例において述べる。
【0036】
経口剤形および特に錠剤またはカプセル剤は、投与の容易さおよびその結果としての良好なコンプライアンスのために患者や開業医に好まれることが多い。錠剤およびカプセル剤には、活性成分が結晶質であることが好ましい。1つの実施態様において、本発明の化合物は結晶質である。
【0037】
1つの実施態様において、本発明の結晶は溶媒和物であり、すなわち、溶媒分子が結晶構造の一部分を形成する結晶である。溶媒和物は水から形成されることができ、その場合に該溶媒和物はしばしば水和物と呼ばれる。あるいは、溶媒和物は他の溶剤、例えばエタノール、アセトンまたは酢酸エチルから形成されることもできる。溶媒和物の正確な量はしばしば条件に依存する。例えば、水和物は通常、温度が増加するにつれて、または相対湿度が減少するにつれて水を失うであろう。
【0038】
1つの実施態様において、本発明の化合物は水和物ではない。
【0039】
結晶質の活性成分を用いる経口剤形では、前記の結晶が「明確(well-defined)」であると好ましい。この場合に「明確(well-defined)」という語句は、特に化学量論が明確であること、すなわち塩を形成するイオン間の比が小さい整数間の比、例えば1:1、1:2、2:1、1:1:1等であることを意味する。1つの実施態様において、本発明の化合物は明確な(well-defined)結晶である。
【0040】
一部の化合物は、吸湿性であり得、すなわち湿気に暴露された場合に水を吸収し得る。吸湿性は通常、医薬製剤、特に乾燥製剤、例えば錠剤またはカプセル剤に存在すべき化合物にとっては望ましくない性質としてみなされる。1つの実施態様において、本発明は低い吸湿性を有する結晶を提供する。
【0041】
活性成分の溶解度もまた、バイオアベイラビリティーに直接影響し得るので剤形の選択に重要である。経口剤形に関して、活性成分の高い溶解度は通常、バイオアベイラビリティーを増加させるので有益であると考えられている。一部の患者、例えば高齢の患者は、錠剤を飲み込むのが困難であり得、経口ドロップ溶液が嚥下錠剤に対する必要性を回避する好適な代替であり得る。経口用のドロップ溶液(drop solution)の容積を制限するためには、溶液中に高濃度の活性成分を有することが必要であり、この場合もやはり化合物の高い溶解度を必要とする。2-ヒドロキシイソ酪酸、塩酸および臭化水素酸からの酸付加塩が、比較的高い溶解度を有する明確な(well-defined)1:1塩を形成することが見出された。
【0042】
本発明の結晶質化合物は、1種を超える形態で存在することができ、すなわちこれらは多形体で存在することができる。化合物が1種を超える形態で結晶化され得る場合に多形体が存在する。本発明は、全てのこのような多形体を、純粋な化合物としてまたはそれらの混合物として包含することを意図するものである。1つの実施態様において、本発明は、2種の多形体、α型およびβ型で存在する[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)酒石酸水素塩の結晶質塩を提供する。α型およびβ型のXRPDを図1および2にそれぞれ示す。以下の実施例に示されるように、α型はより高い融点およびより低い溶解度を有し、従って、β型よりもより安定であると予測される。特定の実施態様において、本発明は、α型の[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)酒石酸水素塩に関する。特定の実施態様において、本発明は、9.66、14.53、18.14および30.48(°2q)付近に主要なピークを持つXRPDを有する結晶質形態の[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)酒石酸水素塩を提供する。特定の実施態様において、本発明は、図1に示されるようなXRPDを有する結晶質形態の[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)酒石酸水素塩を提供する。
【0043】
本発明化合物のセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害活性のために、本発明化合物は、脳におけるセロトニンおよび/またはノルアドレナリンレベルの増加の利益を受ける疾患の治療に有用である。本発明の化合物は、患者の睡眠の質のさらなる減少を引き起こさず、それどころか睡眠の質を改善することができるので、そして、これらは心血管の副作用、例えば血圧上昇を引き起こさないか、または、軽減された心血管の副作用が生じるだけなので、特に有用である。従って、1つの実施態様において、本発明は脳におけるセロトニンおよび/またはノルアドレナリンレベルの増加の利益を受ける疾患の治療方法であって、治療的有効量の本発明化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む前記治療方法に関する。1つの実施態様において、前記治療は睡眠への有害な効果をほとんど伴わないかもしくは伴わず、または患者の睡眠の質の改善を伴い、および/または軽減された心血管の副作用、例えば血圧上昇を伴うかもしくは伴わない。
【0044】
別の実施態様において、本発明は対象の脳におけるセロトニンおよび/またはノルアドレナリンレベルを増加する方法であって、本発明化合物を前記の対象に投与することを含む前記方法に関する。
【0045】
1つの実施態様において、本発明は、情動障害、例えば抑うつ障害または不安障害を治療する方法であって、治療的有効量の本発明化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む前記治療方法に関する。別の実施態様において、前記抑うつ障害には大うつ病性障害;産後うつ病(postnatal depression);メランコリー;気分変調;および双極性障害、アルツハイマー病、精神病、ハンチントン病、多発性硬化症もしくはパーキンソン病に関連するうつ病が含まれる。別の実施態様において、不安障害には、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定の恐怖、社会恐怖または広場恐怖症が含まれる。
【0046】
特有の薬理プロファイルがまた、本発明の化合物を燃え尽き/ストレス;疼痛;慢性疼痛、例えば線維筋痛症、緊張型頭痛、神経因性疼痛、全般的疼痛(overall pain)、腰痛症(low back pain)、肩関節痛(shoulder pain)、覚醒中の疼痛(pain while awake)、日常の活動中の疼痛(pain during daily activities)、変形性関節症および癌性疼痛;および急性ストレス障害の治療に有用なものとする。
【0047】
本発明はまた、ADHD、顔面紅潮および腹圧性尿失禁の治療方法であって、治療的有効量の本発明化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む前記治療方法に関する。
【0048】
1つの実施態様において、治療される患者は、前記疾患であると診断されている。
【0049】
1つの実施態様において、治療される患者は不十分な睡眠の質(inadequate sleep quality)を患っているかまたは経験している。
【0050】
1つの実施態様において、治療される患者は高血圧を患っているか、または高血圧を患うリスクを有している。
【0051】
1つの実施態様において、本発明の化合物は、1日につき体重1 kgあたり約0.001〜約100 mgの量で投与される。
【0052】
通常の経口投薬は、1日につき体重1 kgあたり約0.001〜約100 mg、好ましくは1日につき体重1 kgあたり約0.01〜約50 mgの範囲である。正確な投薬量は、投与の頻度および形式、治療対象者の性別、年齢、体重および一般的な状態、治療されるべき状態の性質および重篤度、および治療される合併症、および当業者には明らかな他の要因に依存するであろう。
【0053】
成人用の通常の経口投薬は、本発明化合物の0.1〜50 mg/日の範囲、例えば0.5〜30 mg/日または0.5〜25 mg/日である。これは通常、0.1〜50 mg、例えば0.5〜30 mg、例えば0.5、1、5、10、20または30 mgの本発明化合物の投与によって達成することができる。
【0054】
本明細書で使用される場合に、化合物の「治療的有効量」とは、所与の疾患およびその合併症の臨床症状を治癒させ、軽減し、または部分的に抑止するのに十分な量を意味する。これを達成するのに適した量が「治療的有効量」と定義される。各目的に有効な量は疾患または傷害の重症度ならびに対象の体重および全身状態に依存するであろう。適当な投薬量の決定が、値のマトリックスを作成し、そのマトリックス中のさまざまな点を試験することにより、訓練を受けた医師の通常の技術に全て包含される日常的な実験を使って達成され得ることは、理解されるだろう。
【0055】
本明細書で使用する「治療」および「治療する」という用語は、本発明の化合物の投与を含む、疾患または障害などの状態と闘うためになされる患者の管理および医療を意味する。この用語は、例えば症状もしくは合併症を軽減するため、疾患、障害もしくは状態の進行を遅延させるため、症状および合併症を軽減しもしくは緩和するため、および/または疾患、障害もしくは状態を治癒させもしくは排除するための活性化合物の投与など、患者が患っている所与の状態に関する処置の全範囲を包含するものとし、この場合、防止は、疾患、状態、または障害と闘うためになされる患者の管理および医療であると解釈され、症状または合併症の発生を防止するための活性化合物の投与を包含する。それでもなお、予防的(防止的)処置と治療的(治癒的)処置は、本発明の二つの独立した態様である。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0056】
典型的には、本発明の治療は、本発明の化合物の毎日の投与を伴うであろう。これは、1日に1回の投与、または1日に2回もしくはさらに頻繁な投与を伴うことができる。
【0057】
1つの実施態様において、本発明は、治療における本発明化合物の使用に関する。
【0058】
1つの実施態様において、本発明は、脳におけるセロトニンおよび/またはノルアドレナリンレベルの増加から利益が得られる疾患の治療用薬剤の製造における本発明化合物の使用に関する。
【0059】
1つの実施態様において、本発明は、情動障害;抑うつ障害;不安障害;大うつ病性障害;産後うつ病;メランコリー;気分変調;双極性障害、アルツハイマー病、精神病、ハンチントン病、多発性硬化症もしくはパーキンソン病に関連するうつ病;全般性不安障害;社会不安障害;心的外傷後ストレス障害;強迫性障害;恐慌性障害;パニック発作;特定の恐怖;社会恐怖;広場恐怖症;ADHD;顔面紅潮;腹圧性尿失禁;燃え尽き/ストレス;疼痛;慢性疼痛;線維筋痛症;緊張型頭痛;神経因性疼痛;全般性疼痛;腰痛症;肩関節痛;覚醒中の疼痛;日常の活動中の疼痛;変形性関節症および癌性疼痛の治療用薬剤の製造のための、本発明の化合物の使用に関する。
【0060】
1つの実施態様において、本発明は、情動障害;抑うつ障害;不安障害;大うつ病性障害;産後うつ病;メランコリー;気分変調; 双極性障害、アルツハイマー病、精神病、ハンチントン病、多発性硬化症もしくはパーキンソン病に関連するうつ病;全般性不安障害;社会不安障害;心的外傷後ストレス障害;強迫性障害;恐慌性障害;パニック発作;特定の恐怖;社会恐怖;広場恐怖症;ADHD;顔面紅潮;腹圧性尿失禁;燃え尽き/ストレス;疼痛;慢性疼痛;線維筋痛症;緊張型頭痛;神経因性疼痛;全般性疼痛;腰痛症;肩関節痛;覚醒中の疼痛;日常の活動中の疼痛;変形性関節症および癌性疼痛の治療に使用するための本発明化合物に関する。
【0061】
本発明化合物は、単回または複数回の投与において、純粋な化合物として単独で、または薬学的に許容可能なキャリアーまたは賦形剤と組み合わせて投与することができる。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤、およびその他の公知の佐剤および賦形剤とともに、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19 Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995」に開示されているような慣用の技術に従って製剤化することができる。
【0062】
前記医薬組成物は具体的には、経口、直腸、経鼻、肺、局所(口腔内および舌下を含む)、経皮、槽内(intracisternal)、腹腔内、膣および非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈および皮内を含む)経路、好ましくは経口経路のような適当な経路による投与用に製剤化することができる。好ましい経路が、治療される対象の一般的な状態および年齢、治療される状態の性質および選択される有効成分に依存することは認識されるだろう。
【0063】
経口投与用の医薬組成物には、固体剤形、例えばカプセル剤、錠剤、糖剤、丸剤、ロゼンジ、散剤および顆粒剤が含まれる。必要に応じて、それらはコーティングを施して製造することができる。
【0064】
経口投与のための液体の剤形には、液剤、乳剤、点滴剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。
【0065】
非経口投与のための医薬組成物には、使用する前に滅菌注射用溶液または分散剤で再構成される滅菌散剤と同様に、水系および非水系の滅菌された注射用溶液、分散剤、懸濁剤または乳剤が含まれる。
【0066】
その他の適当な投与形態には、坐剤、スプレー剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤、皮膚パッチ(dermal patches)、インプラント等が含まれる。
【0067】
都合よくは、本発明の化合物は、約0.1〜50 mgの量の前記化合物、例えば、0.5 mg、1 mg、5 mgまたは10 mgの本発明化合物を含む、単位投薬単位(unit dosage form)で投与される。
【0068】
静脈内、髄腔内、筋肉内および類似の投与のような非経口経路に関しては、典型的には、用量は経口投与で使用される用量のほぼ約半分である。
【0069】
非経口投与においては、滅菌水性溶液、水性プロピレングリコール、水性ビタミンE、水性シクロデキストリンまたはゴマ油もしくは落花生油における本発明化合物の溶液を用いることができる。前記水性溶液は必要な場合には適当に緩衝され、そして、液体の希釈剤が最初に十分な生理食塩水またはグルコースを用いて等張性を付与する。前記水性溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与のために特に適している。利用される滅菌水系媒体は、当業者に公知の標準的な技術により、すべて容易に入手することができる。
【0070】
適当な薬学的なキャリアーには、不活性な固体の希釈剤または増量剤、滅菌水溶液および種々の有機溶剤が含まれる。固体キャリアーの例としては、微結晶性セルロース、デンプン、ゴム、ラクトース、石膏、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびセルロースの低級アルキルエーテルが挙げられる。液体のキャリアーの例としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン、シクロデキストリンおよび水が挙げられる。本発明の化合物および薬学的に許容可能なキャリアーを組み合わせることにより形成した医薬組成物は、その後、開示される投与経路に好適な種々の剤形で容易に投与される。
【0071】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含み、適当な賦形剤を含み得る、個別の単位、例えばカプセル剤または錠剤として存在することができる。さらに、経口に利用できる製剤は、散剤または顆粒剤、水系または非水系液体における液剤または懸濁剤、または水中油もしくは油中水型の液体乳剤の形態であり得る。
【0072】
固体のキャリアーを経口投与に使用する場合には、前記調合物は散剤もしくは小丸剤の形態にある、またはトローチ剤もしくはロゼンジの形態にある錠剤であり得る。あるいは、錠剤、散剤および小丸剤を硬ゼラチンカプセル中に置くことができる。固体キャリアーの量は、通常約25 mgから約1 gまで広く変化し得る。
【0073】
液体のキャリアーが使用される場合には、前記調合物は、シロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセルまたは水系もしくは非水系液体の懸濁剤もしくは液剤のような滅菌された注射用液剤の形態でよい。
【0074】
錠剤は、活性成分を通常の佐剤および/または希釈剤と混合して、引き続き慣用の打錠機において該混合物を圧縮することにより製造することができる。前記目的のために通常使用される佐剤または添加剤、例えば、着色剤(colourings)、フレーバー(flavourings)、防腐剤等を使用することができる。
【0075】
本発明の化合物を含むカプセル剤は、前記化合物を含む散剤を、例えば微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、前記散剤を硬ゼラチンカプセルに入れることにより製造することができる。場合により、前記カプセル剤は、適当な顔料により着色することができる。典型的には、カプセル剤は、遊離塩基として計算して、0.1〜10%の本発明化合物、例えば、0.15〜0.25%、0.3〜0.4%、1.6〜1.8%および3.3〜3.5%の本発明化合物を含む。これらの力価は、都合よくは、0.5、1、5および10 mgの本発明化合物を単位投薬形態において付与するために使用することができる。
【0076】
注射用溶液は、活性成分および可能な添加剤を注射用溶剤、好ましくは滅菌水の一部に溶解し、該溶液を所望の体積に調節し、該溶液を滅菌して適当なアンプルまたはバイアルに充填することにより製造することができる。
【0077】
本技術分野で都合よく使用される任意の適当な添加剤、例えば等張化剤、保存剤、酸化防止剤等を添加することができる。
【0078】
本発明の遊離塩基は、国際公開第2005/061455号に開示されるように製造することができる。本発明の塩は、遊離塩基を適当な溶剤に溶解し、当該酸を添加し、引き続き析出させることにより製造することができる。析出は第二の溶剤の添加、および/または、蒸発および/または冷却のいずれかにより達成され得る。あるいは、化合物は以下に記載されるように合成することができる。
【0079】
段階1
【0080】
【化3】

段階1において、1当量の2,2-ジチオ安息香酸を1.5〜2.5当量のH2SO4,、例えば2当量とメタノールにおいて混合する。反応は還流温度で行う。
【0081】
段階2
【0082】
【化4】

段階2において、1当量のジ安息香酸エステルを、保護雰囲気下、例えばN2下でDMEに懸濁して、10〜15℃に冷却し、DMEにおける塩化スルフリルを僅かに過剰に(1〜1.3当量)、温度を25℃以下に維持しながらゆっくりと添加する。これに続いて、10〜15℃に冷却したDME中の6-フルオロ-インドール(2当量ほど)を温度25℃以下になお維持しながら添加する。反応を完了させるために、混合物を約50℃に1〜3時間加熱する。段階2からの生成物は、反応混合物のEtOAcでの希釈、それに続くNaHCO3およびNaClでの洗浄段階により回収することができる。有機相を濃縮し、トルエンと共蒸発(co-evaporated)させる。結晶の接種および冷却の後に、段階2からの生成物を析出物として得る。
【0083】
段階3
【0084】
【化5】

段階3において、THFに溶解したエステル(1当量)を約2.5当量にあるLiBH4にゆっくりと添加する。添加後、温度を約40℃に上昇させる。その後、温度を55℃以下に維持しながら約2.5当量のメタノールをゆっくりと添加する。反応の完了後(〜2時間)、過剰のLiBH4を除去するためにクエン酸(約2.5当量)を添加する。有機相を回収し、濃縮し、そしてイソプロパノールで共蒸発させる。得られる混合物を水にゆっくりと添加して析出させ、析出物を回収する。
【0085】
段階4
【0086】
【化6】

段階4において、THFに溶解した1当量のベンジルアルコールを約1.2当量のLiBrおよび約1.5当量のNN-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)に添加する。この混合物に、温度を50℃以下に保ちながら、THFに溶解した約1.4当量のSO2ClCH3を添加する。混合物を反応を完了させるために15〜20時間撹拌する。得られた混合物に、約40当量のNH2CH3をゆっくりと添加し、約40〜45℃で約5時間、反応を完了させる。この段階において、適当な酸を添加することにより、対応する酸付加塩を得ることができる。特に、約1.4当量のL-(+) 酒石酸の添加は、[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)-酒石酸水素塩を析出させる。
【0087】
1つの実施態様において、本発明は、本発明の化合物の製造に有用な化合物を提供する。
【0088】
1つの実施態様において、本発明は、化合物2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-安息香酸メチルエステル、すなわち、以下:
【0089】
【化7】

を提供する。
【0090】
1つの実施態様において、本発明は、化合物[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-フェニル]-メタノール、すなわち、以下:
【0091】
【化8】

を提供する。
【0092】
1つの実施態様において、本発明は、化合物メタンスルホン酸2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-ベンジルエステル、3-(2-クロロメチル-フェニルスルファニル)-6-フルオロ-1H-インドールおよび3-(2-ブロモメチル-フェニルスルファニル)-6-フルオロ-1H-インドール、すなわち、以下:
【0093】
【化9】

を提供する。
【0094】
出版物、特許出願および特許を含め、ここで引用されているすべての参考文献は、これをもって、参照により、それらの内容全体が、また、本明細書のどこか別の個所で為されている何らかの別個に与えられた特定の書類の組み込みに関係なく、それぞれの参考文献が参照により組み込まれるべく個別的および具体的に指示されているのと同じ程度にまで、および、その内容全体が本明細書において説明されているのと同じ程度にまで(法律により許容される最大限の程度にまで)本明細書に組み込まれる。
【0095】
本発明を説明する文脈における「a」、「an」および「the」という用語ならびに同様な指示対象の使用は、本明細書で別な具合に指示されていない限り、または文脈によって明らかに否定されていない限り、単数形と複数形との両方をカバーするものと解釈すべきである。例えば、「the compound(本化合物)」という語句は、別な具合に指示されていない限り、本発明または特定の開述されている態様の様々な化合物を表すものと理解すべきである。
【0096】
別な具合に指示されていない限り、本明細書で与えられているすべての正確な値は、対応する大凡の値の代表である(例えば、特定のファクターまたは測量に関して与えられているすべての正確な例証的値は、適切な個所では「約」に変更し、対応する大凡の測量も与えているものと見なすことができる)。
【0097】
1つの構成要素または複数の構成要素に関する「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(including)」または「含む(containing)」などの用語を用いた何らかの態様または本発明の態様についての本明細書での説明は、別な具合に述べられていない限り、または文脈によって明らかに否定されていない限り、その特定の構成要素または複数の特定の構成要素に関する「からなる」、「本質的に(そのような構成要素)からなる」、または「(そのような構成要素)を実質的に含む」同様な態様または本発明の態様に対する支持を与えるべく意図されている(例えば、特定の構成要素を含むものとして本明細書で説明されている組成物は、別な具合に述べられていない限り、または文脈によって明らかに否定されていない限り、その構成要素からなる組成物をも説明しているものとして理解されるべきである)。
【実施例】
【0098】
<分析方法>
1H NMRスペクトルをBruker Avance DRX500装置において、500.13 MHzで記録した。ジメチルスルホキシド(99.8%D)を溶剤として使用し、テトラメチルシラン(TMS)を内部参照標準として使用した。
【0099】
融点は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。装置は、融点が開始値(onset value)となるように5°/分でキャリブレーションを行ったTA-Instruments製の DSC-Q1000であった。約2 mgのサンプルを窒素流下でゆるく閉めたパンにおいて5°/分で加熱した。
【0100】
乾燥物質の溶剤/水含有量の概算のために用いる熱重量分析(Thermo gravimetric analysis:TGA)は、TA-instruments製のTGA-Q500を用いて行った。1〜10 mgのサンプルを窒素流下で開いたパンにおいて10°/分で加熱した。
【0101】
粉末X線ディフラクトグラムは、PANalytical社製 X’Pert PRO X線回折装置(CuKα1線を使用)で測定した。サンプルをエクセラレータ検出器を用いて、5〜40°の2θ範囲で反射モードで測定した。
【0102】
CHN含量分析(CHN)をElementar製のElementar Vario EL装置で測定した。約4 mgのサンプルを実験のために使用した。
【0103】
<実施例1 セロトニンおよびノルアドレナリントランスポートの阻害>
試験化合物のアリコートおよびラット皮質シナプトソーム調製物を10分/37℃でプレインキュベートし、その後[3H]NEまたは[3H]5-HT(最終濃度10 nM)を添加した。非特異的な取り込みを10μMのタルスプラム(talsupram)もしくはシタロプラムの存在下で測定し、全取り込みをバッファーの存在下で測定した。アリコートを37℃で15分インキュベートした。インキュベーションの後に、シナプトソームによって取り込まれた[3H]NEまたは[3H]5-HTを、Unifilter GF/C(0.1% PEIに30分間予め浸漬した)を通したろ過により、Tomtec CellHarvesterプログラムを用いて分離した。フィルターを洗浄し、Wallac MicroBetaカウンターで計測した。
【0104】
本発明の化合物が、それぞれ、0.4 nMおよび4.4 nMのIC50値を有する(3桁をカバーする化合物濃度を用いて測定した)、セロトニン再取り込みおよびノルアドレナリン再取り込みの両方の強力な阻害剤であることが明らかになった。
【0105】
<実施例2 5-HT2A拮抗作用>
本発明の化合物のセロトニン受容体に対するアフィニティーに関する試験を行い、本発明化合物が5-HT2A受容体に高いアフィニティー(Ki 14 nM)を有する拮抗プロファイルを示すことが見出された。アフィニティー(Ki 14 nM)はY = 100/(1+ 10(X-logIC50))から計算する(Yは結合%を表し、Xは化合物の濃度を表す)。5個の濃度の化合物(1、10、30、100、1000 nM)をIC50値を計算するために使用した。KiをCheng Prusoff の式Ki = (IC50/(1+ ([L]/Kd))から計算した。アフィニティーはMDL Pharmaservices社のカタログ番号271650で決定した。
【0106】
機能アッセイにおいて、本発明の化合物は、5-HT2Aが引き起こすCa2+の細胞内の貯蔵からの放出と拮抗し、schild解析からは、130 nMのKbに相当する6.88のpA2値を有する競合的拮抗作用が明らかとなった。実験は以下のように行った。実験の2または3日前に、約250 fmol/mgの5-HT2A受容体を発現しているCHO細胞を、実験日に単層のコンフルエント層を生成するのに十分な密度で播種する。95%湿度での5% CO2インキュベーターにおいて37℃で60分間、細胞に色素をロードした(dye loaded)(Molecular Devices社製のCa2+-キット)。基礎となる蛍光を、蛍光イメージングプレートリーダーまたはMolecular Devices社(Sunnyvale, CA)製のFLIPR384において、488 nmの励起波長および500〜560 nmの発光領域で観察した。レーザー強度を、約8000〜10000蛍光単位という基礎値が得られる適当なレベルにセットした。基礎となる蛍光における変動は、10%未満であるべきである。少なくとも3桁をカバーする試験化合物の漸増濃度を用いて、EC50値の算定を行う。4つの異なる化合物濃度(150、400、1500および4000 nM)を用いた5-HTの総用量(full dose)反応曲線を調べることにより、pA2値の算定を行う。5-HTのEC85での2桁の試験物質濃度を調べることにより、Kb値の算定も行った。5-HTの5分前に試験物質を細胞に添加する。Ki値をCheng-Prusoffの式を用いて計算する。両方の場合に、130 nMのKbが達成された。
【0107】
<実施例3α1A受容体の拮抗作用>
本発明の化合物のα1A受容体に対するアフィニティーに関する試験を行い、本発明化合物が高いアフィニティー(Ki 14 nM)を有する拮抗プロファイルを示すことが見出された。
【0108】
実験日に膜(膜調製物の説明に関しては下記を参照)を融解し、ウルトラ・タラックス(ultra turrax)を用いてバッファー中で均質化し、所望の濃度に希釈する(5μg/ウェル〜5μg/900μl、使用まで氷上で保管)。
【0109】
50μlの試験化合物、50 μlの[3H]-プラゾシンおよび900μlの膜を混合することにより実験を開始し、混合物を25℃で20分間インキュベートする。非特異的結合を10μM WB-4101の存在下で測定し、全結合をバッファーの存在下で測定する。インキュベーションの後に、Unifilter GF/B(0.1% PEIに30分間予め浸漬した)を通したろ過により、Tomtec CellHarvesterプログラム(D4.2..4)96ウェルを用いて、結合したリガンドを結合していないものから分離する。フィルターを1 mlの氷冷バッファーで3回洗浄し、50℃で乾燥し、そして1ウェルあたり35μlのシンチレーション液をフィルターに添加する。結合の放射活性をWallac OY 1450 MicroBetaでカウントする。アフィニティー(Ki 10 nM)をY = 100/(1+ 10(X-logIC50))から計算する(Yは結合%を表し、Xは化合物の濃度を表す)。2桁をカバーする化合物濃度をIC50値を計算するために使用した。KiはCheng Prusoffの式Ki = (IC50/(1+ ([L]/Kd))から計算した。
【0110】
機能アッセイにおいて、本発明の化合物は、アドレナリンが引き起こすCa2+の細胞内の貯蔵からの放出と拮抗し、機能アッセイからは、化合物が64 nMのKbを有するアンタゴニストであることが明らかとなった。
【0111】
これらの実験は基本的には以下に記載されるように実施された。
【0112】
細胞は全て、10% BCS、4 mM L-グルタミン(またはCOS-7の場合には2 mM)、および100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシンを追加したDMEM培地において、5% CO2中、37℃で培養した。
【0113】
アッセイの24時間前に、ヒトアルファ1A-7受容体を発現するCHO細胞をポリ-D-リジンでコーティングされた384ウェルのブラックウォールマイクロタイタープレート中に播種した。培養培地を吸引し、ハンクス平衡塩溶液(138 mM NaCl、5 mM KCl、1.3 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、0.4 mM MgSO4、0.3 mM KH2PO4、0.3 mM Na2HPO4、5.6 mM グルコース)と20 mM HEPES pH 7.4、0.05% BSAおよび2.5 mMプロベニシド(50μl/ウェル)からなるアッセイバッファーにおける1.5μMのFluo-4を用いて、5% CO2において37℃で1時間、色素をロードした。過剰な色素を捨てた後に、細胞をアッセイバッファー中で洗浄し、45μl/ウェル(またはアンタゴニストアッセイに関しては45μl/ウェル)に等しい最終容量で層を作成した。アンタゴニストの評価の場合には、最終濃度の4xの4% DMSO含有バッファーにおける15μlのアリコートとして、この時点でアンタゴニストまたはビヒクルを添加し(最終DMSO=1%)、引き続いて20分間インキュベートした。基礎となる蛍光を、蛍光イメージングプレートリーダーまたはMolecular Devices社(Sunnyvale, CA)製のFLIPRTMにおいて、488 nmの励起波長および500〜560 nmの発光領域で観察した。レーザー励起エネルギーを、基礎の蛍光度数が約8,000相対蛍光単位(RFU: relative fluorescent units)となるように調節した。その後、細胞を室温でアッセイバッファー(15μl)に希釈したアゴニストを用いて刺激し、RFUを1.5秒間隔で2.5分間にわたって測定した。蛍光の最大変化を各ウェルに関して計算した。蛍光の最大変化から導かれた濃度-応答曲線を非線形回帰(Hillの方程式)によって解析した。拮抗作用の測定には、(上記のような)化合物の20分間のインキュベーションの後に、固定濃度の標準アゴニストであるセロトニンを添加した。
【0114】
膜の調製
細胞を95%コンフルエントまで増殖させ、バッファー(50 mM Tris pH 7.7、125 mM NaCl)で2回洗浄し、10 mlバッファー/160 cm2の容量中でこすり採ることによって剥がした。剥がした細胞の遠心分離を行い(7分、120 x g)、ペレットを8 mlのバッファーに再懸濁して均質化した(ウルトラ・タラックス)。蛋白質濃度はBCA(登録商標)(Pierce #23223+23224)を用いて測定した。
【0115】
<実施例4 本発明化合物を含むカプセル剤>
第一段階において、[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)酒石酸水素塩を微結晶性セルロースと混合した。第二段階において、ステアリン酸マグネシウムをそこに混合した。4種の力価を有するカプセル剤を製造した(活性成分は遊離塩基として表す)。
【0116】
【表1】

10,000カプセルを各バッチから製造した。
【0117】
<実施例5 睡眠構造における影響>
脳の電気的活動および筋肉の電気的活動をそれぞれ観察するために、ラットにEEGおよびEMG電極を埋め込んだ。電極を無線送信機に接続することにより、自由に移動し、影響を受けずにホームケージにいる動物からの活動データの連続的な回収を可能とした。EEGおよびEMGデータを視覚的に記録することにより、覚醒状態で目覚めている状態(arousal states wake)、SWSおよびREM睡眠を測定した。10匹のラットの群にベヒクルまたは0.4 mg/kgおよび4 mg/kgの遊離塩基に相当する本発明化合物を投与した。各動物が各処置を1回受けるように、ウイリアムズの方格法(William’s square cross over design)を用いた。
【0118】
以下の表は、記録の2番目の1時間の間に、すなわち、注入後1〜2時間の間に各覚醒状態において費やされた時間の%を示す。
【0119】
【表2】

以下の表は、睡眠潜時を分で、すなわち、化合物の注入から第1の総合的な睡眠エピソードまでの時間を示す。
【0120】
【表3】

上記の表のデータは、本発明化合物がREM睡眠抑制を発揮することを示し、SWS睡眠が用量依存的に増加するようであり、そして、目が覚めた状態は、大部分は本発明の化合物によって影響を受けないようであることを示す。従って、本発明化合物は、NATおよびSERT活性を有する化合物において予測されるようにREM睡眠を抑制するが、本発明化合物は、SERTおよびNAT活性を有する化合物に伴って生じることが多い睡眠障害作用なしで、REM睡眠を抑制する。さらに、睡眠潜時の用量依存的な減少が存在し、すなわち、本発明化合物の投与後には、睡眠がより速く開始する。
【0121】
これらのデータは、本発明が、SERTおよび/またはNAT活性を有する化合物で経験される睡眠への有害な効果を伴うことなく、例えば情動障害の治療に使用できることを強く示唆するものである。ここで示されるデータは、本発明化合物がヒト5-HT2A受容体に対してよりもラット5-HT2A受容体に対して、より高い(〜40倍)Ki値を有し、従って、5-HT2Aが介在するいずれの効果もラットにおけるよりヒトにおいて、より顕著であると期待されるであろうから、非常に強い印象を与えるものである。
【0122】
<実施例6 血圧における効果>
本発明化合物の心血管への効果を、遠隔測定されるビーグル犬において、強制栄養法(gavage)によって与えられる用量0.25、0.50および1.0mg/kgで調べた。化合物の量は遊離塩基として計算した。6匹の犬を実験に使用し、3匹はオスであり、3匹はメスであった。
【0123】
群の平均収縮期血圧(ABP)は全ての薬剤投与群において減少した(以下の表を参照)。
【0124】
【表4】

*p<0.05 (オス・メスともに)ベヒクル群と比較して
群の平均収縮期左心室圧(systolic left ventricular pressure)は全ての薬剤処置群で同様に減少した(以下の表を参照)。このパラメーターに関しては性別の影響が見られた。
【0125】
【表5】

p<0.05 (オス) ベヒクル群と比較して
p<0.05 (メス)ベヒクル群と比較して
これらのデータは、本発明化合物が血圧の増加(ノルアドレナリン再取り込みにおける阻害効果を有する化合物に通常伴う)を伴わないことを示すものである。従って、本発明化合物は、情動障害、例えばうつ病の、心血管系の副作用、例えば血圧増加がないか、または低下した心血管系副作用、例えば血圧増加しかない治療に有用である。
【0126】
<実施例7 アルファ型のL(+)酒石酸水素塩の製造>
[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-ベンジル]-メチル-アミン L-(+)-酒石酸水素塩(75g)をメタノール(225mL)およびテトラヒドロフラン(375mL)の混合物に懸濁し、50℃で24時間加熱した。混合物を室温に冷却した。生成物をろ別し、テトラヒドロフラン(60 mL)で洗浄し、恒量まで50℃で乾燥した。NMRは構造と一致する。
【0127】
<実施例8 アルファ型のL(+)酒石酸水素塩の製造>
[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-ベンジル]-メチル-アミン, L-(+)-酒石酸水素塩(4g)を還流下で水に溶解し、活性炭で処理した。該溶液をセライトを通してろ過し、結晶化し、結晶化した生成物をろ別した。湿った生成物をエタノール(100mL)に懸濁し、50℃に加熱し、いくつかのα型結晶を播種した。懸濁液を50℃で一晩撹拌した。懸濁液を氷浴中で1時間冷却した。生成物をろ別し、真空オーブン中で40℃で乾燥した。NMRは構造と一致する。
元素分析:54.85%C, 6.35%N, 4.92%H(1:1塩の理論値: 55.04%C, 6.42%N, 4.85%H)。
【0128】
<実施例9 アルファ型のL(+)酒石酸水素塩の特性解析>
実施例7または8において製造したアルファ型のL(+)酒石酸水素塩は結晶質である(XRPD)。図1を参照されたい。該アルファ型は〜193℃の融点を有する。これは、高い相対湿度に暴露した場合に0.1%未満の水を吸収し、水中において約1.5 mg/mlの溶解度を有し、飽和溶液におけるpHは3.7である。
【0129】
<実施例10 ベータ型のL(+)酒石酸水素塩の製造>
[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-ベンジル]-メチル-アミン(108.5g)を温水浴において温めることによりメタノール(1.7 L)に溶解した。L-(+)-酒石酸(56.9g)を添加し、混合物を常温で一晩撹拌した。懸濁液を氷浴で2時間冷却した。固体をろ過により回収し、冷メタノールで洗浄した。生成物を減圧下において60℃で乾燥した。NMRは構造と一致する。元素分析:54.99%C, 6.25%N, 4.91%H(1:1塩の理論値:55.04%C, 6.42%N, 4.85%H)。
【0130】
<実施例11 ベータ型のL(+)酒石酸水素塩の特性解析>
実施例10において製造したベータ型のL(+)酒石酸水素塩は結晶質である(XRPD)。図2を参照されたい。該ベータ型は〜189℃の融点を有する。これは、高い相対湿度に暴露した場合に約0.6%の水を吸収し、水中において約2.0 mg/mlの溶解度を有し、飽和溶液におけるpHは3.7である。
【0131】
<実施例12 抗躁病効果 ― マウスにおける感作されたアンフェタミン応答>
全ての実験において、動物は06:00時に明かりがつく12:12明暗サイクルにおいて維持された。飼料および水は自由摂取させた。動物は、実験を実施する前日の午後に実験室につれて来た。全ての薬剤用量はkgあたりのmg塩(mg salt pr. kg)として記載する。血液サンプルは試験終了後30分以内に回収した。
【0132】
アンフェタミンの断続的な反復投与は、その後のアンフェタミン接種に対する感作応答の進展を引き起こす。この現象は、双極性障害の慢性的かつ進行性の性質のモデルになることが提唱されてきた。
【0133】
動物:オスNMRIマウス(体重19〜21 g)は、Harlan(Nederland’s)から供給された。動物は、エンリッチメント用に2個のプラスチック製の小屋と巣を造る材料とを有するmakrolonケージ(20 x 35 cm)でケージあたり4匹ずつ飼育された。動物は、実験開始に先立って動物施設に5日間順応させた。
【0134】
装置:動物の自発運動活性(locomotor activity)を記録するために、5 x 8の赤外光源および4 cm間隔のフォトセルを装備し矩形に置かれたMakrolonケージ(20 x 35 cm)を使用した。光線がケージの底の1.8 cm上を横切る。運動の数の記録には、付近の光線の中断が必要であり、従って、マウスの定常の動きによって生じる数は無効とした。
【0135】
実験のセットアップ:動物を、連続5日間、硫酸アンフェタミン2.50 mg/kg(10 ml/kg皮下注射)またはベヒクルで前処理した。11+/-1日の使用停止期間後に、動物に試験薬剤またはベヒクルを注入した。塩化リチウムを蒸留水に溶解し、試験30分前に40 mg/kg(0,94 mEq/kg)の用量で皮下注射(6 ml/kg)した。試験化合物([2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)-酒石酸水素塩)を10% ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンに溶解し、試験の60分前に0.08および0.4 mg/kgの用量で皮下注射した。ヒト受容体に対してげっ歯類5HT2A受容体への試験化合物の低いアフィニティーのために、試験化合物の試験用量をこの受容体を完全に占めるようなMDL 100907([R-(+)-a- (2,3-ジメトキシフェニル)-1-[2-(4-フルオロフェニルエチル)]-4-ピペリジンエタンール)の用量と組み合わせた。試験の30分前に、動物を馴化用のアクティビティ・ボックス(activity boxes)に入れた。馴化期間後に、マウスに低用量のアンフェタミン(1.25 mg/kgまたは生理食塩水、10 ml/kg)を注射で接種し、自発運動活性を60分間測定した。マウスには、16匹の動物の平均体重後に投薬を行った。
【0136】
アンフェタミンでの前処理(2.50 mg/kg、皮下注射5日間)により、急性の低用量アンフェタミン接種(1.25 mg/kg、皮下注射)に対して感作応答(自発運動活性の増加)が生じた(***P<0.001)。リチウム(0.94 mEq/kg)およびMDL 100907(0.3 mg/kg)は誘導された自発運動活性を有意に減少させた(* P>0.05)。試験化合物0.08 mg/kgおよび0.4 mg/kg単独では誘導された自発運動活性に影響はなかった。試験化合物、MDL 100907およびリチウムの試験用量では、ベースライン活性に有意な影響はなかった。しかしながら、試験化合物(0.08 mg/kgおよび0.4 mg/kg)のMDL 100907(0.3 mg/kg)との組み合わせにより、生理食塩水で前処理を行った動物においてベースライン活性が有意に低下した(***P<0.001)−図3参照。
【0137】
<実施例13 抗躁病効果 ― ラットにおけるアンフェタミンおよびクロルジアゼポキシド誘発性自発運動活性>
アンフェタミンおよびクロルジアゼポキシドの適当な組み合わせにより誘発される自発運動活性の増加は、躁病の動物モデルとして提唱されている。誘発性自発運動活性は、リチウムにより後退させることができる。
【0138】
全ての実験において、動物は06:00時に明かりがつく12:12明暗サイクルにおいて維持された。飼料および水は自由摂取させた。動物は、実験を実施する前日の午後に実験室につれて来た。全ての薬剤用量はkgあたりのmg塩として記載する。血液サンプルは試験終了後30分以内に回収した。
【0139】
動物:オスWistarラット(体重160〜175 g)は、Harlan(Nederland)から供給された。動物はエンリッチメント用に1個のプラスチック製の小屋を有するmakrolonケージ(20 x 35 cm)でケージあたり4匹ずつ飼育された。動物は、実験開始に先立って動物施設に5日間順応させた。
【0140】
装置:動物の自発運動活性を記録するために、4つの赤外光源とフォトセルとを縦に装備したU型フレームに置かれたMakrolonケージ(20 x 35 cm)を使用した。光線がケージの底の4 cm上を横切る。運動の数の記録には、付近の光線の中断が必要であり、従って、ラットの定常の動きによって生じる数は無効とした。標準的な床敷材料の薄い層でケージの底を覆った。
【0141】
実験のセットアップ:塩化リチウムを蒸留水に溶解し、試験の210分前に0.94 mEg/kg(40 mg/kg)の用量で皮下注射(6 ml/kg)した。試験化合物(実施例12参照)を10 %ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンに溶解し、試験60分前に0.4 mg/kg単独または0.3 mg/kgのMDL 100907と組み合わせた用量で皮下注射した。硫酸アンフェタミン(1.2 mg/kg)を0.9 % NaClに溶解し、試験35分前に皮下注射(1 ml/kg)した。クロルジアゼポキシド(10.0 mg/kg)を10 %ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンに溶解し、アンフェタミン注入直後に皮下注射(5 ml/kg)した。アンフェタミンおよびクロルジアゼポキシド注入の35分後、動物を試験ボックスに個々に入れ、活性を120分間測定した。
【0142】
アンフェタミン(1.2 mg/kg)およびクロルジアゼポキシド(10.0 mg/kg)での処置により、ベヒクルで処置した動物よりも有意に大きく自発運動活性が増加した(***P<0.001)。リチウム(0.94 mEq/kg)およびMDL 100907(0.3 mg/kg)は誘発された自発運動活性を有意に後退させた(***P<0.001)。0.4 mg/kgの試験化合物は、自発運動活性が誘発する活性を増加させる傾向を示すが、有意ではなかった。しかしながら、試験化合物(0.4 mg/kg)とMDL 100907(0.3 mg/kg)との組み合わせは、誘発性自発運動活性を有意に減衰させた。試験用量のリチウム、MDL 100907および試験化合物はベースライン活性に影響を有しなかった(図4参照)。
【0143】
<実施例14 抗不安効果>
全ての実験において、動物は06:00時に明かりがつく12:12明暗サイクルにおいて維持された。飼料および水は自由摂取させた。
【0144】
マウスのガラス玉覆い隠し(Marble Burying)
げっ歯類にとって、覆い隠しは、恐怖またはそれに対する動物の易傷性の程度を減少させるために使用される防御行動として機能する。研究者は、種々の恐怖の対象、例えば電気的刺激(electrified prods)および不快な臭いの餌および液体を用いて防御的な覆い隠し行動(burying behaviour)を調べてきた。無害の対象、例えば、ガラス玉および餌ペレットもまた覆い隠し行動を導く。マウスは大抵、無害な対象を覆い隠し、なぜならばそれらが新しいものであり、従って、恐怖(threatening)として認められるからである。抗不安薬および抗うつ薬の両方の急性投与は、このパラダイムにおいて覆い隠されるガラス玉の数を減少させる。
【0145】
オスBALB/cByJマウス(22〜28 g)を5匹/ケージで飼育した。2つの実験を行った。マウスはベヒクルまたは0.625、1.25または5 mg/kg(皮下注射)の試験化合物(実施例12を参照)を受けた。投与の30分後に、1.5インチのアスペンの床敷の上部に20個のガラス玉(10個を2列)を含むケージに動物を個々に入れた。30分の試験時間後に、マウスをホーム・ケージに戻し、目に見えるガラス玉(2/3未満が床敷で覆われている)の数を計測し、20から引くことによって、覆い隠されたガラス玉の数を得た。
【0146】
覆い隠されたガラス玉の数は、試験化合物(N = 9〜11/群)の3つ全ての用量での前処理によって有意にかつ同等に減少した(図5参照)。
【0147】
ストレス誘導性過温症
ストレス誘導性過温症(SIH)試験は、他の哺乳類のように、マウスがストレスに対して生来の体温上昇反応を有するという原理に基づいている。このパラダイムにおいて、ストレッサーは直腸温を測定される。この生理学的応答は動物の不安レベルを反映していると考えられ、抗不安薬、例えばベンゾジアゼピンでの前処置により減弱される。
【0148】
オスのC57Bl/6マウス(18〜21 g)を実験の1日前まで5匹/ケージで飼育し、1日前にマウスを試験室に移し単独で飼育した。試験は、午前9〜12時から2日間にわたって実施した。マウスはベヒクル、クロルジアゼポキシド(10mg/kg)または0.02、0.08もしくは0.32 mg/kgの試験化合物(皮下注射)を受けた。1時間後、深部温を直腸プローブを用いて測定し(T1)、各動物をそれのケージへ戻した。10分後、2回目の測定を行った(T2)。2つの測定値間の差(T2−T1)をストレス誘発性過温症の測定として計算した。
【0149】
この1回目および2回目の測定間での深部温の増加、すなわち、ストレス誘発性過温症(SIH)は、CDPでの前処理(p < .01)により、および試験化合物での処理後に用量依存的に有意に減少した(図6参照)。
【0150】
<実施例13 [2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンの結晶質塩>
5グラムの[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンを100 mlのEtOHに溶解することにより、EtOHにおける0.175 Mのストック溶液を製造し、ここから2.0 ml(100 mgの塩基)のアリコートを使用した。
【0151】
5グラムの[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンを125 mlのTHFに溶解することにより、THFにおける0.140 Mのストック溶液を製造し、ここから2.5 ml(100 mgの塩基)のアリコートを使用した。
【0152】
所与のアリコートを試験チューブに入れ、撹拌しながら1.00当量の酸を添加した。酸が液体の場合にはニートで添加し、そうでない場合には、添加の前に所与の溶剤に溶解した。混合および析出の後に、撹拌を一晩継続し、析出物をろ過によって回収した。析出物を減圧せずに室温で一晩乾燥した。
【0153】
以下の表に個々の塩の特性をまとめる。
【0154】
【表6】



種々の塩の粉末X線ディフラクトグラム(XRPD)を図7〜45に示す。以下の表は、個々のディフラクトグラムにおける主要ピークをまとめたものである。
【0155】
XRPDは、PANalytical社製 X’Pert PRO X線回折装置(CuKα1線を使用)で測定した。サンプルをエクセラレータ検出器を用いて、5〜40°の2θ範囲で反射モードで測定した。
【0156】
【表7】

選択されたX線のピーク位置(°2θ)、2:1は酸1に対して塩基2を意味する。全ての値は+-0.1°である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミンおよびその薬学的に許容可能な塩(ただし、非結晶質形態にある遊離塩基ではないことを条件とする)。
【請求項2】
結晶質である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)ベンジル]メチルアミン L-(+)-酒石酸水素塩である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
図1に示されるX線回折パターンを有する請求項3記載の化合物。
【請求項5】
図2に示されるX線回折パターンを有する請求項3記載の化合物。
【請求項6】
治療における請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物を薬学的に許容可能なキャリアーまたは賦形剤と一緒に含む医薬組成物。
【請求項8】
対象の脳におけるセロトニンおよび/またはノルアドレナリンのレベルを増加させる方法であって、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
情動障害、抑うつ障害、不安障害、大うつ病性障害、産後うつ病、メランコリー、気分変調、双極性障害、アルツハイマー病、精神病、ハンチントン病、多発性硬化症もしくはパーキンソン病に関連するうつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定の恐怖、社会恐怖、広場恐怖症、ADHD、腹圧性尿失禁、燃え尽き/ストレス、疼痛、慢性疼痛、線維筋痛症、緊張型頭痛、神経因性疼痛、全般的疼痛(overall pain)、腰痛症(low back pain)、肩関節痛(shoulder pain)、覚醒中の疼痛(pain while awake)、日常の活動中の疼痛(pain during daily activities)、変形性関節症および癌性疼痛から選択される疾患の治療方法であって、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、前記治療方法。
【請求項10】
前記患者が不十分な睡眠の質(inadequate sleep quality)を患っているかまたは経験している、請求項10記載の方法。
【請求項11】
前記患者が高血圧を患っているか、または高血圧を患うリスクを有している、請求項10記載の方法。
【請求項12】
情動障害、抑うつ障害、不安障害、大うつ病性障害、産後うつ病、メランコリー、気分変調、双極性障害、アルツハイマー病、精神病、ハンチントン病、多発性硬化症もしくはパーキンソン病に関連するうつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定の恐怖、社会恐怖、広場恐怖症、ADHD、腹圧性尿失禁、燃え尽き/ストレス、疼痛、慢性疼痛、線維筋痛症、緊張型頭痛、神経因性疼痛、全般的疼痛、腰痛症、肩関節痛、覚醒中の疼痛、日常の活動中の疼痛、変形性関節症および癌性疼痛から選択される疾患の治療用薬剤の製造のための、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項13】
前記薬剤が、不十分な睡眠の質を患っているかまたは経験している患者の治療用である、請求項12記載の使用。
【請求項14】
前記薬剤が、高血圧を患っているかまたは高血圧を患うリスクを有している患者の治療用である、請求項12記載の使用。
【請求項15】
情動障害、抑うつ障害、不安障害、大うつ病性障害、産後うつ病、メランコリー、気分変調、双極性障害、アルツハイマー病、精神病、ハンチントン病、多発性硬化症もしくはパーキンソン病に関連するうつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定の恐怖、社会恐怖、広場恐怖症、ADHD、腹圧性尿失禁、燃え尽き/ストレス、疼痛、慢性疼痛、線維筋痛症、緊張型頭痛、神経因性疼痛、全般的疼痛、腰痛症、肩関節痛、覚醒中の疼痛、日常の活動中の疼痛、変形性関節症および癌性疼痛から選択される疾患を患っている患者の治療に使用するための、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項16】
前記患者が不十分な睡眠の質を患っているかまたは経験している、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
前記患者が高血圧を患っているかまたは高血圧を患うリスクを有している、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
以下:
2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-安息香酸メチルエステル;
[2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-フェニル]-メタノール;
メタンスルホン酸2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルスルファニル)-ベンジルエステル;
3-(2-クロロメチル-フェニルスルファニル)-6-フルオロ-1H-インドール;および
3-(2-ブロモメチル-フェニルスルファニル)-6-フルオロ-1H-インドール、
から選択される化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2010−504922(P2010−504922A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529535(P2009−529535)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000419
【国際公開番号】WO2008/037258
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】