説明

情報を提示する装置及び方法

【課題】紙文書をユーザインターフェイスとして用いる場合に、紙文書のあるページをめくって別のページを閲覧する作業を効率的に行う。
【解決手段】カーナビゲーション端末10では、操作受付部11が、地図帳IDとページ番号を受け付け、受信部14が、地図帳のページ上のデジタルペンで指示された位置の座標を受信し、座標変換部16が、地図帳のページ上の座標を電子地図上の座標に変換し、表示部19が、変換後の座標に基づいて電子地図を表示する。次に、改ページ処理部23が、地図帳IDとページ番号とページ上の指示された位置、及び、改ページ情報DB22にて管理されるページ間の接続関係を示す改ページ情報に基づいて、飛び先ページ及び飛び先位置の情報を生成する。そして、音声出力部24が、飛び先ページ及び飛び先位置の情報に基づく音声メッセージを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を提示する装置及び方法に関する。特に、本発明は、媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで紙で扱われてきた文書を電子化して各種機器の画面に表示することが、近年盛んに行われるようになってきている。
例えば、自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムでは、紙文書が主流であった地図を電子化して画面に表示し、タッチパネル等を用いて目的地等を入力できるようになっている。ところが、カーナビゲーションシステムの地図は、市販の道路地図等の地図帳と比べて、(1)画面が小さく、見られる範囲が限られる、(2)表示中の地図外への移動操作が煩わしい、(3)後部座席の人と地図を共有したり、車外で地図を参照したりすることが難しい、といった点で、もどかしさが残るユーザインターフェイスである。
【0003】
このようなもどかしさは、地図帳をデジタルペンで指示することにより情報を入力するようなユーザインターフェイスを用いることで一応は解消される。しかし、道路地図等の地図帳は通常複数ページからなっており、地図帳の改ページに関しては更に解決すべき問題点がある。
かかる問題点の1つを解決するものとして、地図のページ替えに簡単に対処可能なナビゲーション装置が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、ページ替え要求が発生した時に、そのページ替え要求発生の直前のデータを記憶し、ページ替え要求直後のデータを直前のデータに換算している。
【0004】
また、異なるページに表示された隣接する枚葉地図間において、道路の接続関係を明確に提示し、複数のページに渡って道路を容易かつ迅速に辿れるようにする技術(例えば、特許文献2参照)、回路図の一部分を拡大した画面で信号名が表示画面の外にはみ出しているためにその信号名が不明の場合に仮に信号名を画面内に表示される等を行う技術(例えば、特許文献3参照)、音声信号に基づいてスタイラスペンを振動させる技術(例えば、特許文献4参照)も知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−204307号公報
【特許文献2】特開2007−212832号公報
【特許文献3】特開平3−123976号公報
【特許文献4】特開2006−31410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、例えば地図帳をユーザインターフェイスとして用いる場合における改ページ時の問題点を解決する技術は、従来から提案されてきた。
しかしながら、特許文献1の技術では、ページ替え後のページも、ページ替え後のページで最初にプロットすべき位置も分かっていることが前提となっており、あるページをめくって別のページを閲覧する作業を効率的に行えるようにするものではない。
【0007】
また、特許文献2〜4の技術も、紙文書をユーザインターフェイスとして用いる場合に、紙文書のあるページをめくって別のページを閲覧する作業を効率的に行うための手段を提供するものではない。
尚、同様の問題点は、紙文書以外の媒体をユーザインターフェイスとして用いる場合においても指摘できる。
【0008】
本発明の目的は、媒体をユーザインターフェイスとして用いる場合に、媒体のあるページをめくって別のページを閲覧する作業を効率的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明は、媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置であって、媒体の複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得する接続情報取得部と、媒体のページを特定するページ情報を取得するページ情報取得部と、媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、ページ情報取得部により取得された媒体の第1のページを特定するページ情報と、位置情報取得部により取得された第1のページ内の指示された位置を特定する位置情報と、接続情報取得部により取得された接続情報とに基づいて、第1のページをめくって第1のページとの接続関係が予め定められた第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報を生成する生成部と、生成部により生成された支援情報に基づくメッセージを出力する出力部とを備えた、装置を提供する。
【0010】
ここで、生成部は、第2のページを特定する飛び先ページ情報を支援情報として生成し、出力部は、第1のページをめくる前に、飛び先ページ情報に基づくメッセージを出力する、ものであってよい。この場合において、生成部は、位置情報取得部により取得された位置情報が特定する第1のページ内の指示された位置の第1のページの中心からの寄り方向に応じた第2のページを特定する飛び先ページ情報を生成する、ものであってよい。
【0011】
また、接続情報取得部は、複数のページ内の位置の接続関係を示す接続情報を取得し、生成部は、位置情報取得部により取得された位置情報が特定する第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた第2のページ内の位置を特定する飛び先位置情報を支援情報として生成する、ものであってよい。この場合において、出力部は、第1のページをめくった後に、飛び先位置情報に基づくメッセージを出力する、ものであってよく、更に、出力部は、位置情報取得部により取得された第2のページ内の指示された位置を特定する位置情報に基づいて、メッセージを出力する、ものであってよい。具体的には、出力部は、第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた第2のページ内の第1の位置と、第2のページ内の指示された第2の位置との距離が、所定の閾値以下である場合に、第2の位置が第1の位置であることを示すメッセージを出力する、ものであってもよいし、出力部は、第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた第2のページ内の第1の位置と、第2のページ内の指示された第2の位置との距離が、所定の閾値以上である場合に、第2の位置から第1の位置へ誘導するメッセージを出力する、ものであってもよい。
【0012】
また、本発明は、媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置であって、媒体の複数のページ及び複数のページ内の位置の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得する接続情報取得部と、媒体のページを特定するページ情報を取得するページ情報取得部と、媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、ページ情報取得部により取得された媒体の第1のページを特定するページ情報と、位置情報取得部により取得された第1のページ内の指示された位置を特定する位置情報と、接続情報取得部により取得された接続情報とに基づいて、第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた第2のページ内の第1の位置を特定する飛び先位置情報を生成する生成部と、生成部により生成された飛び先位置情報が特定する第2のページ内の第1の位置と、位置情報取得部により取得された位置情報が特定する第2のページ内の指示された第2の位置との距離が、所定の閾値以下である場合に、第2の位置が第1の位置であることを示すメッセージを出力する出力部とを備えた、装置も提供する。
【0013】
更に、本発明は、媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する方法であって、媒体の複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得するステップと、媒体のページを特定するページ情報を取得するステップと、媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得するステップと、取得された媒体の第1のページを特定するページ情報と、取得された第1のページ内の指示された位置を特定する位置情報と、取得された接続情報とに基づいて、第1のページをめくって第1のページとの接続関係が予め定められた第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報を生成するステップと、生成された支援情報に基づくメッセージを出力するステップとを含む、方法も提供する。
【0014】
更にまた、本発明は、媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、コンピュータを、媒体の複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得する接続情報取得部と、媒体のページを特定するページ情報を取得するページ情報取得部と、媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、ページ情報取得部により取得された媒体の第1のページを特定するページ情報と、位置情報取得部により取得された第1のページ内の指示された位置を特定する位置情報と、接続情報取得部により取得された接続情報とに基づいて、第1のページをめくって第1のページとの接続関係が予め定められた第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報を生成する生成部と、生成部により生成された支援情報に基づくメッセージを出力する出力部として機能させる、プログラムも提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、媒体をユーザインターフェイスとして用いる場合に、媒体のあるページをめくって別のページを閲覧する作業を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
まず、本実施の形態が適用されるカーナビゲーションシステムについて説明する。
図1は、このようなカーナビゲーションシステムの全体構成を示した図である。
図示するように、このカーナビゲーションシステムは、カーナビゲーション端末10と、デジタルペン30と、受信機40とを含む。そして、地図帳情報DB50が、ネットワーク80を介してカーナビゲーション端末10に接続されている。
【0017】
カーナビゲーション端末10は、電子化した地図(以下、「電子地図」という)を保持し、この電子地図に基づいて画面上に地図を表示する。その際、自動車の走行位置を中心とした地図や、ユーザが指定した施設等の周辺の地図を表示することができる。
【0018】
デジタルペン30は、通常の筆記具としてのペンと同様の形状をしているが、地図帳上の所望の位置をポイントできるものであればよい。即ち、インクを吐出して実際に筆記を行う機構は必ずしも備えてなくてもよい。また、デジタルペン30は、地図帳のページ内での自身の位置を算出させるために音波を発信する機能を有する。
【0019】
受信機40は、デジタルペン30が発した音波を受信することにより、地図帳のページ内でのデジタルペン30の3D位置を算出する。このとき、受信機40は、デジタルペン30の位置を算出するための基準位置としても機能する。例えば、受信機40の裏側にクリップを設け、このクリップで地図帳の決められた箇所を挟むようにすればよい。また、本実施の形態において、受信機40は、算出したデジタルペン30の位置の情報をカーナビゲーション端末10に送信する機能も有する。
【0020】
尚、本実施の形態では、デジタルペン30が発した音波を受信した受信機40がデジタルペン30の位置を算出するようにしたが、例えば、送信機が送信した音波を受信したデジタルペン30が自身の位置を算出するような構成を採用してもよい。このような構成を採用した場合、デジタルペン30が自身の位置の情報をカーナビゲーション端末10に送信するようにするとよい。
【0021】
地図帳情報DB50は、地図帳の種類ごとに、地図帳のページ及びページ内の座標と、電子地図上の座標とを関連付けた地図帳情報を格納する。尚、ここでは、地図帳情報がカーナビゲーション端末10内に存在しないことを想定し、カーナビゲーション端末10がネットワーク80を介して地図帳情報DB50に問い合わせるようにしたが、地図帳情報DB50はカーナビゲーション端末10内に存在してもよい。
ネットワーク80は、例えば、インターネットである。
【0022】
本実施の形態では、このようなカーナビゲーションシステムにおいて、地図帳のページ上の位置をデジタルペン30で指示すると、地図帳情報DB50に格納された地図帳情報に基づいて、地図帳の種類、ページ、デジタルペン30で指示された位置の座標から、電子地図上の座標を得る。そして、例えば、地図帳で指示された位置をカーナビゲーションシステムの地図上で表示する。
また、目的地を入力する際や、後述する情報提示を要求する際、地図帳の複数のページに跨ってデジタルペン30でなぞらなければならない場合がある。そこで、本実施の形態では、ページが変わる際に、飛び先のページ(以下、「飛び先ページ」という)と飛び先の位置(以下、「飛び先位置」という)とをユーザに知らせるようにする。
【0023】
次に、このような動作を行うカーナビゲーション端末10について詳細に説明する。
まず、このカーナビゲーション端末10の機能構成について説明する。
図2は、カーナビゲーション端末10の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、カーナビゲーション端末10は、操作受付部11と、地図帳ID記憶部12と、ページ番号記憶部13と、受信部14とを備える。また、通信部15と、座標変換部16と、電子地図記憶部17と、電子地図読出部18と、表示部19とを備える。更に、改ページフラグ記憶部21と、改ページ情報DB22と、改ページ処理部23と、音声出力部24とを備える。
【0024】
操作受付部11は、地図帳の種類を識別する識別情報(以下、「地図帳ID」という)や、地図帳の現在開いているページのページ番号を受け付ける。また、ページ番号記憶部13に記憶されている現在のページ番号と異なるページ番号を受け付けた場合には、改ページフラグ記憶部21に記憶された改ページフラグを、改ページされたことを示す「ON」に書き換える。本実施の形態では、ページ情報を取得するページ情報取得部の一例として、操作受付部11を設けている。
【0025】
地図帳ID記憶部12は、操作受付部11が受け付けた地図帳IDを記憶する。ここで、地図帳IDは、地図帳の名前であってもよい。
ページ番号記憶部13は、操作受付部11が受け付けたページ番号を記憶する。
受信部14は、地図帳のページ上のデジタルペン30が指示した位置の座標(以下、「局所座標」という)を受信機40から受信する。本実施の形態では、位置情報を取得する位置情報取得部の一例として、受信部14を設けている。
【0026】
通信部15は、地図帳情報DB50に対し、ネットワーク80を介して、地図帳ID、ページ番号、局所座標を検索キーとして送信し、電子地図上の座標(以下、「大域座標」という)を検索結果として受信する。
座標変換部16は、検索キーである局所座標を通信部15に渡し、検索結果である大域座標を通信部15から受け取ることにより、局所座標から大域座標への座標変換を行う。
【0027】
電子地図記憶部17は、カーナビゲーション端末10で表示する地図の元となる電子地図を記憶する。
電子地図読出部18は、電子地図記憶部17に記憶された電子地図のうち指定された範囲の電子地図を切り出す。
表示部19は、電子地図読出部18が切り出した電子地図の範囲を表示したり、座標変換部16による座標変換で得られた大域座標の位置にマーク等を表示したりする。
【0028】
改ページフラグ記憶部21は、改ページされた後、所定の操作が行われる前であるか、所定の操作が行われた後であるかを示す改ページフラグを記憶する。所定の操作が行われる前であれば、「ON」を記憶し、所定の操作が行われた後であれば、「OFF」を記憶する。
改ページ情報DB22は、改ページ処理を行うために参照される改ページ情報を記憶したDBである。尚、改ページ情報DB22の具体的内容については後述する。本実施の形態では、複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報の一例として、改ページ情報を用いており、接続情報を取得する接続情報取得部の一例として、改ページ情報DB22を設けている。
【0029】
改ページ処理部23は、改ページ情報DB22を参照して、改ページ処理を行う。即ち、改ページ前のページ及びそのページ上の指示された位置に基づいて、飛び先ページ及び飛び先位置の情報を生成する。本実施の形態では、第1のページをめくって第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報の一例として、飛び先ページ及び飛び先位置の情報を用いており、支援情報を生成する生成部一例として、改ページ処理部23を設けている。
音声出力部24は、改ページ処理部23により生成された飛び先ページ及び飛び先位置の情報に基づく音声メッセージを出力する。本実施の形態では、支援情報に基づくメッセージを出力する出力部の一例として、音声出力部24を設けている。
【0030】
本実施の形態では、このようなカーナビゲーション端末10において、改ページの必要が生じた時、飛び先ページと飛び先位置とをユーザに知らせる。
図3は、このときの地図帳上でのデジタルペン30を用いた操作の様子を示している。
(a)は、改ページ前のページ(Mページ)上でのデジタルペン30を用いた操作を示す。図示するように、デジタルペン30で道路をなぞっていき、ページの端部にある点301に達している。これにより、なぞった先がどのページにあるかを知らせる音声「次はNページです」が出力されている。
【0031】
(b)は、改ページ後のページ(Nページ)上でのデジタルペン30を用いた操作を示す。図示するように、デジタルペン30でページの端部を点302から点303を通って下方向になぞっている。ここで、点303は、破線で示すように、改ページ前のページから続いている部分にある。このような状況で、デジタルペン30が点303に達すると、改ページ後のページにおける開始位置を知らせる音声「スタート位置です」が出力される。或いは、図示しないが、点302をなぞっている時点で、点303へ誘導する音声を出力するようにしてもよい。
尚、図ではデジタルペン30の軌跡を太線で示しているが、デジタルペン30が実際に筆記を行う機構を備えていない場合には地図帳に軌跡は記入されない。
【0032】
以下、本実施の形態の動作について説明する。
但し、本実施の形態の動作は、改ページ情報DB22で管理される改ページ情報が差分情報であるか全体情報であるかによって異なってくる。このうち、差分情報とは、個々のページを中心として他のページの接続関係を定義した改ページ情報である。また、全体情報とは、電子地図上に設定された大域座標を用いてページ間の接続関係を定義した改ページ情報である。そこで、以下では、改ページ情報を差分情報で管理した場合の動作を第1の動作例として、改ページ情報を全体情報で管理した場合の動作を第2の動作例として説明する。
【0033】
[第1の動作例]
まず、この第1の動作例の前提となる改ページ情報について説明する。
図4は、この場合の地図帳のページの接続関係と改ページ情報の例とを示した図である。
(a)に、地図帳のページの接続関係を示す。図中、破線がページの境界を示し、破線で囲まれた矩形内に記した数字がページ番号を示している。
【0034】
(b)に、改ページ情報の一例を示す。この改ページ情報は、ページ番号と、上ページ番号と、上ページズレ量と、下ページ番号と、下ページズレ量と、左ページ番号と、左ページズレ量と、右ページ番号と、右ページズレ量とを対応付けたものになっている。このうち、上ページ番号は、ページ番号で示されたページの上側で隣接するページのページ番号を、下ページ番号は、ページ番号で示されたページの下側で隣接するページのページ番号を、左ページ番号は、ページ番号で示されたページの左側で隣接するページのページ番号を、右ページ番号は、ページ番号で示されたページの右側で隣接するページのページ番号を、それぞれ示している。また、上ページズレ量は、上ページ番号で示されたページの左下点がページ番号で示されたページの左上点からどれだけずれているかを、下ページズレ量は、下ページ番号で示されたページの左上点がページ番号で示されたページの左下点からどれだけずれているかを、左ページズレ量は、左ページ番号で示されたページの右上点がページ番号で示されたページの左上点からどれだけずれているかを、右ページズレ量は、右ページ番号で示されたページの左上点がページ番号で示されたページの右上点からどれだけずれているかを、それぞれ示している。尚、左右方向のズレ量xは、0≦x≦xmaxを満たし、右方向を正として表すものとする。また、上下方向のズレ量yは、0≦y≦ymaxを満たし、下方向を正として表すものとする。
【0035】
ここで、(b)に示した値は、(a)に示した地図帳のページの接続関係に沿ったものとなっており、(a)に示した地図帳のページのうち、40ページ、50ページ、60ページについて示している。尚、ズレ量については、文字を用いて一般的に示しているが、(a)の図に従えば、x1=x2=x3=x4=x5=x6=0であり、y1=y2=y3=y4=y5=y6である。
【0036】
次いで、このような改ページ情報が管理されている場合におけるカーナビゲーション端末10の動作を説明する。
図5は、このときのカーナビゲーション端末10の動作を示したフローチャートである。尚、このフローチャートは、カーナビゲーション端末10が受信機40から1つの局所座標を受信したときの動作を示しているが、実際には、受信機40からカーナビゲーション端末10へ一定の時間間隔で局所座標が送られてくるので、同様の動作が定期的に繰り返されるものとする。
また、この動作に先立ち、ユーザが現在使用している地図帳の地図帳ID及び現在開いているページのページ番号を入力し、これを操作受付部11が受け付けて、地図帳IDを地図帳ID記憶部12に、ページ番号をページ番号記憶部13にそれぞれ記憶しているものとする。
【0037】
更に、表示部19が、現在使用している地図帳の現在開いているページの部分の電子地図を画面に表示しているものとする。この場合、画面に表示する範囲は、例えば、現在開いているページの中央部分を中心とした所定範囲であってよい。このような表示は、具体的には、次のような手順で行う。まず、座標変換部16が、地図帳ID記憶部12から地図帳IDを、ページ番号記憶部13からページ番号をそれぞれ読み出し、これらをキーとして地図帳情報DB50を検索することにより、ページの範囲を示す大域座標を取得して、これを電子地図読出部18に受け渡す。次に、電子地図読出部18が、受け渡された大域座標に基づいて所定範囲の電子地図を電子地図記憶部17から読み出して表示部19に受け渡し、表示部19が上記のような表示を行う。
【0038】
このような状態で、カーナビゲーション端末10では、まず、受信部14が、受信機40から、地図帳上の座標である局所座標を受信し、座標変換部16に受け渡す(ステップ101)。
次に、座標変換部16が、受信部14から受け渡された局所座標を、カーナビゲーション端末10が保持する電子地図上の座標である大域座標に変換する(ステップ102)。即ち、通信部15が局所座標をキーとして地図帳情報DB50を検索することにより、大域座標を取得して座標変換部16に受け渡す。そして、座標変換部16は、ここで得た大域座標を表示部19に受け渡す。
そして、表示部19は、例えば、地図帳上で指示された位置を、受け渡された大域座標に基づいて画面に表示する(ステップ103)。
【0039】
一方、改ページ処理部23は、座標変換部16から局所座標を受け取り、この局所座標が境界領域内にあるかどうかを判定する(ステップ104)。ここで、境界領域としては、地図帳の各ページに設定された領域を用いる。例えば、地図帳の各ページの端部に沿って所定の幅を持つ枠状の領域を設定し、これを境界領域とすればよい。
そして、局所座標が境界領域内にないと判定されれば、処理を終了する。
また、局所座標が境界領域内にあると判定されれば、改ページ処理部23は、改ページフラグ記憶部21に記憶された改ページフラグが「ON」であるかどうかを判定する(ステップ105)。尚、改ページフラグとは、ページ番号記憶部13に記憶されていたページ番号と異なるページ番号を操作受付部11で受け付けることにより、ページ番号記憶部13に記憶されるページ番号が変更された場合に「ON」に設定され、改ページ後に一定の操作があると「OFF」に書き換えられるフラグである。
【0040】
ここで、地図帳上のデジタルペン30で指示されたページが、図3(a)に示したような改ページ前のページであるとする。即ち、改ページフラグは「OFF」になっているとする。
この場合、改ページ処理部23は、まず、境界領域の位置に基づいて改ページ後の飛び先ページを求める(ステップ106)。例えば、デジタルペン30で指示された位置がページの上側の境界領域内にあれば、改ページ情報における上ページ番号で示されるページを飛び先ページとし、ページの下側の境界領域内にあれば、改ページ情報における下ページ番号で示されるページを飛び先ページとする。また、デジタルペン30で指示された位置がページの左側の境界領域内にあれば、改ページ情報における左ページ番号で示されるページを飛び先ページとし、ページの右側の境界領域内にあれば、改ページ情報における右ページ番号で示されるページを飛び先ページとする。尚、このようにして求めた飛び先ページは、ページ内の指示された位置のページの中心からの寄り方向に応じたページの一例である。
【0041】
次に、改ページ処理部23は、境界領域の位置に基づいて改ページ後の飛び先位置を求める(ステップ107)。例えば、デジタルペン30で指示された位置がページの上側の境界領域内にあれば、X座標値が、局所座標のX座標値から改ページ情報における上ページズレ量を減じて得られた値であり、Y座標値がymaxである位置を飛び先位置とし、ページの下側の境界領域内にあれば、X座標値が、局所座標のX座標値から改ページ情報における下ページズレ量を減じて得られた値であり、Y座標値が「0」である位置を飛び先位置とする。また、デジタルペン30で指示された位置がページの左側の境界領域内にあれば、X座標値がxmaxであり、Y座標値が、局所座標のY座標値から改ページ情報における左ページズレ量を減じて得られた値である位置を飛び先位置とし、ページの右側の境界領域内にあれば、X座標値が「0」であり、Y座標値が、局所座標のY座標値から改ページ情報における右ページズレ量を減じて得られた値である位置を飛び先位置とする。
【0042】
そして、改ページ処理部23は、ステップ106で求めた飛び先ページを音声出力部24に伝え、音声出力部24が、飛び先ページを音声でユーザに知らせる(ステップ108)。
【0043】
また、地図帳上のデジタルペン30で指示されたページが、図3(b)に示したような改ページ後のページであるとする。即ち、改ページフラグは「ON」になっているとする。
この場合、改ページ処理部23は、まず、座標変換部16から受け取った局所座標が飛び先位置の座標(飛び先座標)と一致するかどうかを判定する(ステップ109)。
ここで、局所座標が飛び先座標と一致すると判定されれば、改ページ処理部23は、その旨を音声出力部24に伝え、音声出力部24が、飛び先位置への到達を音声で出力する(ステップ110)。或いは、局所座標が飛び先座標と一致することを条件にするのではなく、例えば、局所座標と飛び先座標との距離が所定の閾値以下であることを条件にしてもよい。その後、改ページ処理部23は、改ページフラグ記憶部21に記憶された改ページフラグを「OFF」に書き換える(ステップ111)。
【0044】
また、局所座標が飛び先座標と一致しないと判定されれば、改ページ処理部23は、その旨を音声出力部24に伝え、音声出力部24が、飛び先位置への誘導情報を音声で出力する(ステップ112)。或いは、局所座標が飛び先座標と一致しないことを条件にするのではなく、例えば、局所座標と飛び先座標との距離が所定の閾値以上であることを条件にしてもよい。ここで、局所座標のX座標値と飛び先座標のX座標値との差分が所定値以下で、かつ、局所座標のY座標値と飛び先座標のY座標値との差分が所定値以上の場合、局所座標のY座標値が飛び先座標のY座標値よりも小さければ、「もっと上です」等の音声を出力すればよいし、局所座標のY座標値が飛び先座標のY座標値よりも大きければ、「もっと下です」等の音声を出力すればよい。また、局所座標のX座標値と飛び先座標のX座標値との差分が所定値以上で、かつ、局所座標のY座標値と飛び先座標のY座標値との差分が所定値以下の場合、局所座標のX座標値が飛び先座標のX座標値よりも大きければ、「もっと左です」等の音声を出力すればよいし、局所座標のX座標値が飛び先座標のX座標値よりも小さければ、「もっと右です」等の音声を出力すればよい。
【0045】
尚、この第1の動作例では、飛び先ページの情報、飛び先位置への到達、飛び先位置への誘導情報を通知するようにしたが、これらのうちの少なくとも1つの情報を通知するものであればよい。
また、この第1の動作例において、改ページ前は、飛び先ページの情報のみを通知するようにした。しかしながら、改ページ前に、飛び先位置の情報を、例えば、地図帳に各ページを更に分割したブロックを示す記号等を用いて通知するようにしてもよい。
【0046】
[第2の動作例]
まず、この第2の動作例の前提となる改ページ情報について説明する。
図6は、この場合の地図帳のページの接続関係と改ページ情報の例とを示した図である。
(a)に、地図帳のページの接続関係を示す。図中、破線がページの境界を示し、破線の周りの網かけを施した部分が境界領域を示し、破線で囲まれた矩形内に記した数字がページ番号を示している。
【0047】
(b)に、改ページ情報の一例を示す。この改ページ情報は、端点座標1と、端点座標2と、ページ番号とを対応付けたものになっている。このうち、端点座標1は、境界領域を規定する2点のうちの一方の点の大域座標を、端点座標2は、その2点のうちの他方の点の大域座標を、それぞれ示している。また、ページ番号は、端点座標1及び端点座標2で規定される境界領域が跨る2つのページのページ番号を示している。
【0048】
ここで、(b)に示した値は、(a)に示した地図帳のページの接続関係に沿ったものとなっており、(a)に示した地図帳のページのうち、50ページを囲む境界領域について示している。
【0049】
次いで、このような改ページ情報が管理されている場合におけるカーナビゲーション端末10の動作を説明する。
図7は、このときのカーナビゲーション端末10の動作を示したフローチャートである。尚、このフローチャートは、カーナビゲーション端末10が受信機40から1つの局所座標を受信したときの動作を示しているが、実際には、受信機40からカーナビゲーション端末10へ一定の時間間隔で局所座標が送られてくるので、同様の動作が定期的に繰り返されるものとする。
また、この動作に先立ち、ユーザが現在使用している地図帳の地図帳ID及び現在開いているページのページ番号を入力し、これを操作受付部11が受け付けて、地図帳IDを地図帳ID記憶部12に、ページ番号をページ番号記憶部13にそれぞれ記憶しているものとする。
【0050】
更に、表示部19が、現在使用している地図帳の現在開いているページの部分の電子地図を画面に表示しているものとする。この場合、画面に表示する範囲は、例えば、現在開いているページの中央部分を中心とした所定範囲であってよい。このような表示は、具体的には、次のような手順で行う。まず、座標変換部16が、地図帳ID記憶部12から地図帳IDを、ページ番号記憶部13からページ番号をそれぞれ読み出し、これらをキーとして地図帳情報DB50を検索することにより、ページの範囲を示す大域座標を取得して、これを電子地図読出部18に受け渡す。次に、電子地図読出部18が、受け渡された大域座標に基づいて所定範囲の電子地図を電子地図記憶部17から読み出して表示部19に受け渡し、表示部19が上記のような表示を行う。
【0051】
このような状態で、カーナビゲーション端末10では、まず、受信部14が、受信機40から、地図帳上の座標である局所座標を受信し、座標変換部16に受け渡す(ステップ151)。
次に、座標変換部16が、受信部14から受け渡された局所座標を、カーナビゲーション端末10が保持する電子地図上の座標である大域座標に変換する(ステップ152)。即ち、通信部15が局所座標をキーとして地図帳情報DB50を検索することにより、大域座標を取得して座標変換部16に受け渡す。そして、座標変換部16は、ここで得た大域座標を表示部19に受け渡す。
そして、表示部19は、例えば、地図帳上で指示された位置を、受け渡された大域座標に基づいて画面に表示する(ステップ153)。
【0052】
一方、改ページ処理部23は、座標変換部16から大域座標を受け取り、この大域座標が境界領域内にあるかどうかを判定する(ステップ154)。ここで、境界領域としては、図6(a)に網かけで示した領域を用いる。即ち、改ページ処理部23は、改ページ情報DB22を参照し、大域座標が、端点座標1及び端点座標2を基準とする境界領域内に存在するかどうかを判定する。
そして、大域座標が境界領域内にないと判定されれば、処理を終了する。
また、大域座標が境界領域内にあると判定されれば、改ページ処理部23は、改ページフラグ記憶部21に記憶された改ページフラグが「ON」であるかどうかを判定する(ステップ155)。尚、改ページフラグとは、ページ番号記憶部13に記憶されていたページ番号と異なるページ番号を操作受付部11で受け付けることにより、ページ番号記憶部13に記憶されるページ番号が変更された場合に「ON」に設定され、改ページ後に一定の操作があると「OFF」に書き換えられるフラグである。
【0053】
ここで、地図帳上のデジタルペン30で指示されたページが、図3(a)に示したような改ページ前のページであるとする。即ち、改ページフラグは「OFF」になっているとする。
この場合、改ページ処理部23は、まず、境界領域に対応するページと現在ページとから飛び先ページを求める(ステップ156)。即ち、大域座標を含むと判定された境界領域を規定する端点座標1及び端点座標2をキーとして改ページ情報を検索し、境界領域が跨る2つのページのページ番号を取得する。そして、この2つのページ番号のうち、ページ番号記憶部13に記憶されている現在ページのページ番号ではない方を飛び先ページのページ番号とする。尚、このようにして求めた飛び先ページは、ページ内の指示された位置のページの中心からの寄り方向に応じたページの一例である。
【0054】
次に、改ページ処理部23は、改ページ後の飛び先位置を求める(ステップ157)。例えば、大域座標を含むと判定された境界領域を規定する端点座標1と端点座標2とを結ぶ線分上の点のうち、大域座標に最も近い点を飛び先座標とすればよい。
【0055】
そして、改ページ処理部23は、ステップ156で求めた飛び先ページを音声出力部24に伝え、音声出力部24が、飛び先ページを音声でユーザに知らせる(ステップ158)。
【0056】
また、地図帳上のデジタルペン30で指示されたページが、図3(b)に示したような改ページ後のページであるとする。即ち、改ページフラグは「ON」になっているとする。
この場合、改ページ処理部23は、まず、座標変換部16から受け取った大域座標が飛び先位置の座標(飛び先座標)と一致するかどうかを判定する(ステップ159)。
ここで、大域座標が飛び先座標と一致すると判定されれば、改ページ処理部23は、その旨を音声出力部24に伝え、音声出力部24が、飛び先位置への到達を音声で出力する(ステップ160)。或いは、大域座標が飛び先座標と一致することを条件にするのではなく、例えば、大域座標と飛び先座標との距離が所定の閾値以下であることを条件にしてもよい。その後、改ページ処理部23は、改ページフラグ記憶部21に記憶された改ページフラグを「OFF」に書き換える(ステップ161)。
【0057】
また、大域座標が飛び先座標と一致しないと判定されれば、改ページ処理部23は、その旨を音声出力部24に伝え、音声出力部24が、飛び先位置への誘導情報を音声で出力する(ステップ162)。或いは、大域座標が飛び先座標と一致しないことを条件にするのではなく、例えば、大域座標と飛び先座標との距離が所定の閾値以上であることを条件にしてもよい。ここで、大域座標のX座標値と飛び先座標のX座標値との差分が所定値以下で、かつ、大域座標のY座標値と飛び先座標のY座標値との差分が所定値以上の場合、大域座標のY座標値が飛び先座標のY座標値よりも小さければ、「もっと上です」等の音声を出力すればよいし、大域座標のY座標値が飛び先座標のY座標値よりも大きければ、「もっと下です」等の音声を出力すればよい。また、大域座標のX座標値と飛び先座標のX座標値との差分が所定値以上で、かつ、大域座標のY座標値と飛び先座標のY座標値との差分が所定値以下の場合、大域座標のX座標値が飛び先座標のX座標値よりも大きければ、「もっと左です」等の音声を出力すればよいし、大域座標のX座標値が飛び先座標のX座標値よりも小さければ、「もっと右です」等の音声を出力すればよい。
【0058】
尚、この第2の動作例では、飛び先ページの情報、飛び先位置への到達、飛び先位置への誘導情報を通知するようにしたが、これらのうちの少なくとも1つの情報を通知するものであればよい。
また、この第1の動作例において、改ページ前は、飛び先ページの情報のみを通知するようにした。しかしながら、改ページ前に、飛び先位置の情報を、例えば、地図帳に各ページを更に分割したブロックを示す記号等を用いて通知するようにしてもよい。
【0059】
ところで、この第1の動作例及び第2の動作例において、地図帳の各ページには、同じ縮尺の地図が掲載されていることを前提にした。
しかしながら、実際の地図帳の中には、異なる縮尺の地図が掲載されたページが混在しているものもある。このような地図帳では、ある縮尺の地図が掲載されたページから別の縮尺の地図が掲載されたページへ移動する処理(以下、「縮尺変更処理」という)を行うことが考えられる。この縮尺変更処理には、次の2つがある。
【0060】
第一に、あるページからの飛び先ページが同じ縮尺の地図が掲載されたページの中に存在しないときに、飛び先ページを別の縮尺の地図が掲載されたページの中から見つける処理である。
第1の動作例では、例えば、改ページ情報DB22において異なる縮尺の地図が掲載されたページ間の接続関係を管理することで、このような処理は実現可能である。即ち、図4(b)に示した項目に加え、上ページ、下ページ、左ページ、右ページにおける縮尺を管理し、ページ間の接続位置の算出を、ズレ量だけではなく、この縮尺も用いて行えばよい。
第2の動作例では、まず、改ページ情報DB22において改ページ情報を縮尺ごとにレイヤ化して管理し、図7の動作を同じ縮尺のレイヤの改ページ情報を参照して行う。そして、ステップ156で飛び先ページが存在しない場合に、一段階小さい縮尺のレイヤの改ページ情報に切り替える。その後、切り替え後の改ページ情報を参照して同様の処理を行うことにより、飛び先ページ及び飛び先位置を求めるとよい。
【0061】
第二に、あるページを含む別の縮尺の地図が掲載されたページに意図的に移動する処理である。
この場合も、改ページ情報DB22において改ページ情報を縮尺ごとにレイヤ化して管理するとよい。この状態で、あるページの任意の位置をデジタルペン30で指定してボタン等を押すボタン等を押す、もしくは、デジタルペン30による特定のジェスチャーを行うと、広域地図や詳細地図があるかどうかがユーザに通知される。具体的には、縮尺ボタンを押すと、「広域地図があります」等の音声が出力される。これは、例えば、現在の縮尺のページ内の局所座標を変換して得られた大域座標が、より小縮尺又は大縮尺のページ内の局所座標に対応付けられているかどうかを判定することで実現される。また、広域ボタンを押すと、「XXページへ移動して下さい」等の音声を出力する。これは、その対応付けられていた小縮尺のページのページ番号を取得することで実現可能である。尚、上記のジェスチャー(ペンの動き)は、加速度センサ、回転センサ、傾きセンサ等を用いて検出すればよい。
【0062】
また、本実施の形態では、地図帳上をデジタルペン30でなぞることで、その位置に応じた情報を提示することもできる。
図8は、このような情報提示を行う場合の地図帳上でのデジタルペン30を用いた操作の様子を示している。
図中、区間351において渋滞が発生しているとする。すると、区間351をデジタルペン30でなぞる操作に応じて、「渋滞エリアです」等の音声が出力される。この場合、提示する情報は、渋滞情報だけでなく、工事の情報や、既に存在しない道路の情報等であってもよい。尚、このような情報の提示は、情報を提示すべき事象が発生している場所の電子地図上での座標を管理しておくことで実現可能である。
【0063】
また、図の右上に示したように、デジタルペン30に設けられた現在位置ボタン31を押下することにより、例えば、「現在位置はNページです。中央付近をなぞってください。」等の音声を出力するようにしてもよい。これは、カーナビゲーション端末10が自身が搭載された自動車の走行位置をGPS(Global Positioning System)により取得し、地図帳情報DB50を参照して、この走行位置に対する地図帳のページ及びページ内の位置を求め、これに応じた音声を出力することにより、実現される。
尚、図ではデジタルペン30の軌跡を太線で示しているが、デジタルペン30が実際に筆記を行う機構を備えていない場合には地図帳に軌跡は記入されない。
【0064】
次に、本実施の形態が適用されるカーナビゲーションシステムの別の例について説明する。
図9は、このようなカーナビゲーションシステムの全体構成を示した図である。
図示するように、このカーナビゲーションシステムは、カーナビゲーション端末10と、デジタルペン30と、受信機40とを含む。そして、地図帳情報DB50と、情報誌記事DB60とが、ネットワーク80を介してカーナビゲーション端末10に接続されている。
【0065】
図9に示したカーナビゲーションシステムは、図1に示したカーナビゲーションシステムに対し、情報誌記事DB60を追加した構成になっている。この情報誌記事DB60は、情報誌に掲載されている記事と電子地図上の位置とを関連付けた情報を格納したDBである。地図帳情報DB50と同様に情報誌記事DB60をネットワーク80上に用意し、情報誌の記事に対応する地図帳のページ及びページ内の位置を得ることができるようにする。
即ち、まず、ユーザは、情報誌の名前や現在開いているページのページ番号をカーナビゲーション端末10に入力しておく。そして、地図帳上をデジタルペン30でなぞる場合と同様、情報誌上をデジタルペン30でなぞることにより、受信機40がページ内の座標をカーナビゲーション端末10に送信する。すると、カーナビゲーション端末10は、情報誌記事DB60を参照して、ユーザが入力した情報誌の該当ページにおける受信した座標に対応する電子地図上の座標を取得する。これにより、カーナビゲーション端末10の画面上で情報誌の記事に関連する位置に情報を提示することができる。
【0066】
その後、カーナビゲーション端末10は、地図帳情報DB50を参照して、この電子地図上の座標に対応する地図帳のページ及びページ内の座標を取得し、これを例えば「xxページ、中央付近です」といった音声によりユーザに通知する。これにより、ユーザは、情報誌に書かれている記事に関連する場所を地図帳上ですぐに認識でき、そのような場所をカーナビゲーション端末10にすぐに入力することができるようになる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきた。
【0067】
尚、本実施の形態では、地図帳をデジタルペン30でなぞることにより情報を入力するユーザインターフェイスを前提として説明したが、紙文書をデジタルペン30でなぞることにより情報を入力するユーザインターフェイスであれば、如何なるものにも適用可能である。例えば、回路等の設計のための設計図をデジタルペン30でなぞることにより情報を入力するユーザインターフェイスや、製品のマニュアルをデジタルペン30でなぞることにより情報を入力するユーザインターフェイス等が考えられる。
また、本実施の形態では、デジタルペン30の位置を特定する方法として、音波を用いる方法を採用したが、超音波、赤外線、電波、レーザーを用いる方法等、様々な形態が考えられる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態では、紙文書のページ及びページ内の座標の情報に基づいて改ページ情報DB22を検索し、飛び先ページや飛び先位置に関する情報をユーザに知らせるようにした。これにより、紙文書をユーザインターフェイスとして用いる場合に、紙文書のあるページをめくって別のページを閲覧する作業を効率的に行うことが可能となった。尚、本実施の形態は、紙文書だけでなく、紙以外の様々な材質の媒体上をデジタルペン30でなぞることにより情報を入力するユーザインターフェイスにも適用可能である。
【0069】
ところで、本実施の形態では、カーナビゲーション端末10が、改ページの際の飛び先ページや飛び先位置の取得や、飛び先ページや飛び先位置を知らせるための音声の出力等の処理を行ったが、これらの処理の全部又は一部をデジタルペン30が行うようにしてもよい。典型的な形態として、カーナビゲーション端末10が、飛び先ページや飛び先位置の取得のような負荷の高い処理を行って、その結果をデジタルペン30に伝え、デジタルペン30がその結果に基づく音声の出力を行う形態が考えられる。また、このような形態の場合、デジタルペン30は、音声を出力する代わりに、自身を振動させることによりユーザに情報を伝えてもよい。例えば、図3(b)において、デジタルペン30は点303に達すると、自身を振動させることにより、開始位置に到達したことをユーザに伝えるようにしてもよい。
また、改ページの際の飛び先ページや飛び先位置の取得や、飛び先ページや飛び先位置を知らせるための音声の出力等の処理は、カーナビゲーション端末10やデジタルペン30に限らず、一般のコンピュータで行うようにしてもよい。
【0070】
そこで、これらの処理を一般のコンピュータで行うものとして、そのハードウェア構成について説明する。
図10は、このようなコンピュータのハードウェア構成の一例を示した図である。図示するように、コンピュータは、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)90aと、M/B(マザーボード)チップセット90bを介してCPU90aに接続されたメインメモリ90cと、同じくM/Bチップセット90bを介してCPU90aに接続された表示機構90dとを備える。また、M/Bチップセット90bには、ブリッジ回路90eを介して、ネットワークインターフェイス90fと、磁気ディスク装置(HDD)90gと、音声機構90hと、キーボード/マウス90iと、フレキシブルディスクドライブ90jと、外部インターフェイス90kとが接続されている。
【0071】
尚、図10において、各構成要素は、バスを介して接続される。例えば、CPU90aとM/Bチップセット90bの間や、M/Bチップセット90bとメインメモリ90cの間は、CPUバスを介して接続される。また、M/Bチップセット90bと表示機構90dとの間は、AGP(Accelerated Graphics Port)を介して接続されてもよいが、表示機構90dがPCI Express対応のビデオカードを含む場合、M/Bチップセット90bとこのビデオカードの間は、PCI Express(PCIe)バスを介して接続される。また、ブリッジ回路90eと接続する場合、ネットワークインターフェイス90fについては、例えば、PCI Expressを用いることができる。また、磁気ディスク装置90gについては、例えば、シリアルATA(AT Attachment)、パラレル転送のATA、PCI(Peripheral Components Interconnect)を用いることができる。更に、キーボード/マウス90i、及び、フレキシブルディスクドライブ90jについては、USB(Universal Serial Bus)を用いることができる。更にまた、外部インターフェイス90kは、デジタルペン30やUSBメモリ等との間での情報のやり取りのために用いられる。
【0072】
ここで、本発明は、全てハードウェアで実現してもよいし、全てソフトウェアで実現してもよい。また、ハードウェア及びソフトウェアの両方により実現することも可能である。また、本発明は、コンピュータ、データ処理システム、コンピュータプログラムとして実現することができる。このコンピュータプログラムは、コンピュータにより読取り可能な媒体に記憶され、提供され得る。ここで、媒体としては、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線又は半導体システム(装置又は機器)、或いは、伝搬媒体が考えられる。また、コンピュータにより読取り可能な媒体としては、半導体、ソリッドステート記憶装置、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク、及び光ディスクが例示される。現時点における光ディスクの例には、コンパクトディスク−リードオンリーメモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD−R/W)及びDVDが含まれる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態には限定されない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々に変更したり代替態様を採用したりすることが可能なことは、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態におけるカーナビゲーションシステムの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるカーナビゲーション端末の機能構成例を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における改ページ時のデジタルペンを用いた操作の様子を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態における第1の動作例で前提とするページ間の接続関係及び改ページ情報の例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態における第1の動作例の流れを示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における第2の動作例で前提とするページ間の接続関係及び改ページ情報の例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態における第2の動作例の流れを示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における情報提示時のデジタルペンを用いた操作の様子を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるカーナビゲーションシステムの全体構成の別の例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態を適用可能なコンピュータのハードウェア構成を示した図である。
【符号の説明】
【0075】
10…カーナビゲーション端末、30…デジタルペン、40…受信機、50…地図帳情報DB、80…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置であって、
前記媒体の複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得する接続情報取得部と、
前記媒体のページを特定するページ情報を取得するページ情報取得部と、
前記媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記ページ情報取得部により取得された前記媒体の第1のページを特定する前記ページ情報と、前記位置情報取得部により取得された当該第1のページ内の指示された位置を特定する前記位置情報と、前記接続情報取得部により取得された前記接続情報とに基づいて、当該第1のページをめくって当該第1のページとの接続関係が予め定められた第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記支援情報に基づくメッセージを出力する出力部と
を備えた、装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記第2のページを特定する飛び先ページ情報を前記支援情報として生成し、
前記出力部は、前記第1のページをめくる前に、前記飛び先ページ情報に基づくメッセージを出力する、請求項1の装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報が特定する前記第1のページ内の指示された位置の当該第1のページの中心からの寄り方向に応じた前記第2のページを特定する前記飛び先ページ情報を生成する、請求項2の装置。
【請求項4】
前記接続情報取得部は、前記複数のページ内の位置の接続関係を示す前記接続情報を取得し、
前記生成部は、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報が特定する前記第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた前記第2のページ内の位置を特定する飛び先位置情報を前記支援情報として生成する、請求項1の装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記第1のページをめくった後に、前記飛び先位置情報に基づくメッセージを出力する、請求項4の装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記位置情報取得部により取得された前記第2のページ内の指示された位置を特定する前記位置情報に基づいて、前記メッセージを出力する、請求項5の装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた前記第2のページ内の第1の位置と、当該第2のページ内の指示された第2の位置との距離が、所定の閾値以下である場合に、当該第2の位置が当該第1の位置であることを示す前記メッセージを出力する、請求項6の装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた前記第2のページ内の第1の位置と、当該第2のページ内の指示された第2の位置との距離が、所定の閾値以上である場合に、当該第2の位置から当該第1の位置へ誘導する前記メッセージを出力する、請求項6の装置。
【請求項9】
媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置であって、
前記媒体の複数のページ及び当該複数のページ内の位置の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得する接続情報取得部と、
前記媒体のページを特定するページ情報を取得するページ情報取得部と、
前記媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記ページ情報取得部により取得された前記媒体の第1のページを特定する前記ページ情報と、前記位置情報取得部により取得された当該第1のページ内の指示された位置を特定する前記位置情報と、前記接続情報取得部により取得された前記接続情報とに基づいて、当該第1のページ内の指示された位置との接続関係が予め定められた第2のページ内の第1の位置を特定する飛び先位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記飛び先位置情報が特定する前記第2のページ内の前記第1の位置と、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報が特定する前記第2のページ内の指示された第2の位置との距離が、所定の閾値以下である場合に、当該第2の位置が当該第1の位置であることを示すメッセージを出力する出力部と
を備えた、装置。
【請求項10】
媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する方法であって、
前記媒体の複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得するステップと、
前記媒体のページを特定するページ情報を取得するステップと、
前記媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得するステップと、
取得された前記媒体の第1のページを特定する前記ページ情報と、取得された当該第1のページ内の指示された位置を特定する前記位置情報と、取得された前記接続情報とに基づいて、当該第1のページをめくって当該第1のページとの接続関係が予め定められた第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報を生成するステップと、
生成された前記支援情報に基づくメッセージを出力するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
媒体上の位置を指示するユーザ操作に応じて情報を提示する装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記媒体の複数のページの間の予め定められた接続関係を示す接続情報を取得する接続情報取得部と、
前記媒体のページを特定するページ情報を取得するページ情報取得部と、
前記媒体のページ内の指示された位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記ページ情報取得部により取得された前記媒体の第1のページを特定する前記ページ情報と、前記位置情報取得部により取得された当該第1のページ内の指示された位置を特定する前記位置情報と、前記接続情報取得部により取得された前記接続情報とに基づいて、当該第1のページをめくって当該第1のページとの接続関係が予め定められた第2のページを閲覧する作業を支援するための支援情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記支援情報に基づくメッセージを出力する出力部と
して機能させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−33428(P2010−33428A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196432(P2008−196432)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
【復代理人】
【識別番号】100118201
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 武
【復代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
【Fターム(参考)】