説明

情報カード、情報カードシート及び情報カードシート送付方法

【課題】 表面のみならず裏面についても非秘匿情報の記載エリアとして確保することを可能にしつつ、秘匿情報についても十分な記載エリアを確保することができる実用的な情報カードを提供する。
【解決手段】 シート基材1の折り曲げ線10を挟んだ一方の側である第一の片部11の表面に第一の接着層2が付着し、他方の側である第二の片部12の表面に第二の接着層が付着し、第一の接着層2と第二の接着層6の間に擬似接着層4が設けられている。第一の接着層2と擬似接着層4の間に第一の中間層3が介在し、第二の接着層6と擬似接着層4の間に第二の中間層5が介在しており、擬似接着層4は、人の力により第一の片部11と第二の片部12が分離することができる程度の接着力であって一度分離した後は再び接着することができない接着力を有する。第一の片部11の表面、第二の片部12又はその両方には、秘匿すべき情報の記載欄110,120が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、健康保険証や各種会員カード、社員証等の情報カードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代は情報化社会の時代であり、何らかの情報を記載したカードを持ち歩いて生活することが避けられない時代である。例えば、健康保険証や免許証、社員証、学生証等の身分証になり得るカード、各種会員カードや病院の診察券、販売促進用のポイントカード等、多種多様なカードを保持しており、必要に応じて持ち歩いている。
これら情報カードには、個人を特定する情報の他、秘匿とされるべき情報が記載されることがある。例えば、臓器提供の意志の有無については、従来は臓器提供カードに記載して保持していたが、臓器提供機会の拡大を図るため、健康保険証の裏面に記載して保持することができるよう臓器移植法等の関係法令が改正されている。健康保険証は、病院での診察等の際に提示する必要があるので、裏面に記載した臓器提供意志有無の情報が第三者に容易に見られてしまうという問題がある。このため、健康保険組合等では、第三者に見られるのが嫌な場合には、いわゆる目隠しシールの使用を勧めている。目隠しシールは、個人情報等を葉書に書いて郵送に郵送する際に多用されているもので、上から貼り付けて記載内容を隠すことはできるものの、一度剥がすと二度とは貼り付けができないシール(途中でシールを不正に剥がしたことが判明してしまうシール)である。裏面に臓器提供意志有無を記載した上で目隠しシールを貼り付けて普段は見えないようにしておき、万が一、その者が脳死状態に陥った場合、親族によって目隠しシールを剥がしてもらい、臓器提供意志有りであった場合に限り臓器移植手術を行うという使い方がされることになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】http://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/detail.1.47567.html, 「健康保険証(被保険者証)の裏面の臓器提供意志表示欄の変更について」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、情報カードに秘匿情報を記載して保持する場合、目隠しシールで覆うことで秘匿状態を維持することができる。しかしながら、情報カードの中には、カードの表面のみならず裏面についても必要な情報(非秘匿情報)を記載する箇所として確保されている場合が多く、秘匿情報の記載箇所には使用できない場合が多い。例えば、国民健康保険の保険証では、裏面には注意書きが細かく全面に記載されており、臓器提供意志の有無を記載する欄を設けることは難しい。仮に、臓器提供意志の記載欄を設けた場合、裏面を目隠しシールで覆ってしまうと、注意書きの欄までもが見えなくなってしまう。
本願の発明は、このような課題を解決するために為されたものであり、秘匿情報を記載して保持することができる情報カードであって、表面のみならず裏面についても非秘匿情報の記載エリアとして確保することを可能にしつつ、秘匿情報についても十分な記載エリアを確保することができる実用的な情報カードを提供する技術的意義を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、シート基材を折り曲げ線で折り曲げて閉じた構造の情報カードであって、
シート基材のうちの折り曲げ線の一方の側である第一の片部の表面に付着している第一の接着層と、
シート基材のうちの折り曲げ線の他方の側である第二の片部の表面に付着している第二の接着層と、
第一の接着層と第二の接着層との間に介在している擬似接着層と、
第一の接着層と擬似接着層との間に介在しているか、又は第二の接着層と擬似接着層との間に介在している中間層と
より成る断面構造を有しており、
擬似接着層は、第一の片部と第二の片部とを分離させて開いた状態にしようとした際、人の力により第一の片部と第二の片部とが分離することができる程度の接着力であって一度分離した後は再び接着することができない接着力を有するものであり、
第一の片部の第二の片部に対向する表面、第二の片部の第一の片部に対向する表面又はその両方には、秘匿すべき情報の記載欄が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、折り曲げる前の前記シート基材の形状は長方形であって、前記折り曲げ線は前記シート基材の中央に設定されていて中央で半分に折り曲げられており、且つ前記折り曲げ線は長方形の短辺の方向に沿ったものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、折り曲げた後の前記シート基材の形状も長方形であって、前記折り曲げ線は、折り曲げた後の長方形の短辺の方向に沿って延びるよう設定されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、情報カードを提供するために製作される情報カードシートであって、台シートと、台シート内に作り込まれたカード素材とより成り、
カード素材は、台シートをくり抜くことで台シートから分離できるよう台シートに対して人の力で破断可能な保持部を介して台シートに保持されており、
カード素材は、
折り曲げ線で折り曲げて閉じることができるシート基材と、
シート基材のうちの折り曲げ線の一方の側である第一の片部に形成された積層体と、
積層体を覆った剥離シートと
より成るものであり、
積層体は、シート基材の第一の片部に近い側から順に、第一の接着層と、擬似接着層と、第二の接着層とから成るものであって、第一の接着層と擬似接着層の間又は擬似接着層と第二の接着層の間には中間層が形成されたものであり、
剥離シートは、第二の接着層による接着力を保持しつつ人の手で剥離可能なものであり、
擬似接着層は、剥離シートを剥がしてシート基材を折り曲げ線で折り曲げて閉じることで第二の接着層をシート基材の折り曲げ線の他方の側である第二の片部に付着させて接着した後、再びシート基材を開いた状態にしようとした際、人の力で中間層から分離する程度の接着力であって一度分離した後は再び中間層と接着することができない接着力を有するものであり、
シート基材の積層体を形成した側の表面のうち前記第二の片部の表面には、秘匿すべき情報の記載欄が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項4の構成において、前記シート基材の形状は長方形であって、前記折り曲げ線は前記シート基材の中央に設定されていて中央で半分に折り曲げ可能となっており、且つ前記折り曲げ線は長方形の短辺の方向に沿ったものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項5の構成において、前記シート基材は、前記折り曲げ線で折り曲げた後も長方形となる形状であって、前記折り曲げ線は、折り曲げた後の長方形の短辺の方向に沿って延びるよう設定されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項4乃至6いずれかの構成において、前記台シートには、台シートを折り曲げるための台シート折り曲げ線が形成されており、台シート折り曲げ線は、前記シート基材に形成された折り曲げ線と同一線上に延びているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、請求項7に記載の情報カードシートを使用したカード素材送付方法であって、
前記台シート折り曲げ線で台シートを折り曲げるとともに前記折り曲げ線で前記シート基材を折り曲げ、この状態で情報カードシートを封筒に封入して送付するという構成を有する。
【発明の効果】
【0006】
以下に説明する通り、本願の請求項1記載の発明によれば、折り曲げ線で折り曲げて閉じた内側面に秘匿情報が記載されており、一回に限り開いてみることができるので、カードの裏面については従来通りの非秘匿情報の記載用に使用することができる。即ち、非秘匿情報の記載エリアを減らすことなく情報カードに秘匿情報の保持の機能を持たせることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、また、折り曲げ線が折り曲げ前のシート基材の長方形の短辺の方向に沿ったものであり、折り曲げ線の長さが短いので、折り曲げミスが少なくなる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、台シートをくり抜くことでカード素材が台シートから分離されるので、秘匿情報の記載が容易で、且つ構造も簡単にできる。
また、請求項6記載の発明によれば、折り曲げ後のシート基材の短辺の方向に沿って折り曲げ線が設定されており、カート素材がかなり細長いものになる。したがって、定型封筒に入れられる台シートの幅よりも十分に狭い幅のカード素材とすることができる。このため、幅方向で大きなマージンを取ることができ、印刷機のタイプで制約を受けることが無くなる。
また、請求項8記載の発明によれば、上記効果に加え、カード素材が折り曲げられた状態で封入されて送付されると、折ぐせがついた状態で提供されることになる。このため、送付された者においてカード素材が折り曲げ易く、折り曲げのミスによりカードの端がずれて貼り合わされてしまうことが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本願発明の実施形態に係る情報カードの概略構成を示した図であり、(1)は斜視概略図、(2)は正面断面概略図である。
【図2】図1に示す情報カードを開いた状態の斜視概略図である。
【図3】本願発明の実施形態に係る情報カードシートの斜視概略図であり、(1)は表側、(2)は裏側を示している。
【図4】図3に示す情報カードシートの主要部の正面断面概略図である。
【図5】本願発明のカード素材送付方法の発明について示した斜視概略図である。
【図6】図3及び図4に示す情報カードシートの製作方法について模式的に示した斜視図である。
【図7】本願発明の他の実施形態に係る情報カードシートの斜視概略図である。
【図8】本願発明の他の実施形態の情報カードの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、本願発明の実施形態に係る情報カードの概略構成を示した図であり、図1(1)は斜視概略図、図1(2)は正面断面概略図、図2はカードを開いた状態の斜視概略図である。
図1及び図2に示す情報カードは、一例として健康保険証となっているが、本願発明はこれに限られるものではない。図1に示す情報カードは、必要な情報が印刷又は記載されたシート基材1より成るものである。この情報カードの大きな特徴点は、シート基材1を折り曲げ線10で折り曲げて閉じた構造のカードとなっている点である。
【0009】
「シート基材」とは、シート状のカードの基になる材料という程度の意味である。シート基材1としては、本実施形態では、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPE(ポリエチレン)のような樹脂製のものが使用されている。紙でも良いが、耐久性や耐水性等を考慮している。紙製のシートに樹脂等で保護コーティングしてシート基材1とすることもできる。
図1に示すように、情報カードは全体としては長方形である。シート基材1も長方形であり、図2に示すように、折り曲げ線10は、中心を通るとともに短辺の方向に沿って延びるよう設定されている。シート基材1を折り曲げ線10に沿って曲げて閉じると、図1に示す情報カードが得られるようになっている。尚、折り曲げ線10は、シート基材1をブレス等によって部分的に厚さを薄くして(溝を形成して)折れやすくした線である。
図1(1)に示すように、情報カードの表面には、非秘匿情報が印刷されている。この例は健康保険証であるので、被保険者の氏名や保険者番号等が印刷されている。また、図示は省略されているが、情報カードの裏面には、注意書きが詳細に印刷されている。
【0010】
このような情報カードは、秘匿情報を折り曲げて隠した内側の面に記載するようになっている。そして、秘匿情報を一回に限って見られるようにするため、折り曲げて閉じたシート基材1の内側面を擬似接着層で接着した構造となっている。この点を、図1(2)を使用して説明する。
説明の都合上、シート基材1のうち、折り曲げ線10の一方の側の部分11を「第一の片部」と呼び、他方の側の部分12を「第二の片部」と呼ぶ。即ち、本実施形態の情報シートは、シート基材1の第一の片部11と第二の片部12とを貼り合わせたものとなっている。図1(2)に示すように、本実施形態の情報シートは、第一の片部11の側から順に、第一の接着層2、第一の中間層3、擬似接着層4、第二の中間層5、第二の接着層6が形成された多層の断面構造を有している。
【0011】
第一の接着層2は、第一の片部11と第一の中間層3とを接着している。第二の接着層6は、第二の片部12と第二の中間層5とを接着している。第一の中間層3及び第二の中間層5は、擬似接着が解除された際に第一第二の接着層2,6が露出しないように覆ったもので、擬似接着層4による擬似接着の直接の対象である。
第一第二の各中間層3,5は、情報カードを開いた際に内側面の記載情報が読めないと困るので、透明な材質のものが採用される。具体的には、PETやPE等の薄い樹脂フィルムである。第一第二の各接着層2,6や擬似接着層4も、透明な材質のものが採用される。
【0012】
擬似接着層4は、低下させた接着力を有する層であり、一度剥がすと二度とは貼り付けることができない接着力の層である。このような擬似接着層4の材料としては、各社から提案されているが、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系粘着材に微粒子を分散させて接着力を低下させたものが使用でき、微粒子としては例えば合成微粒子シリカ等が使用できる。
第一第二の各接着層2,6としては、通常の接着力を有するものが採用される。ゴム系、アクリル系の各種粘着剤、エポキシ系接着剤等の各種接着材が適宜使用できる。第一第二の各接着層2,6は、擬似接着層4に比べて十分に接着力が高くなっている。
【0013】
このような情報カードの内側面には、秘匿すべき情報が記載されている。内側面とは、第一の片部11の第二の片部12に対向する表面(以下、第一の内側面)110、第二の片部12の第一の片部11に対向する表面(以下、第二の内側面)120である。秘匿情報の例としては、前述した臓器提供意志の有無が挙げられる。秘匿情報は、第一の内側面110のみに記載されていても良いし、第二の内側面120のみに記載されていても良いし、双方の内側面110,120に記載されていても良い。この例では、第二の内側面120に秘匿情報の記載欄が設けられており、第一の内側面110には、秘匿情報の記載についての説明が印刷されている。具体的には、臓器提供意志の場合、臓器提供意志に関する説明情報が第一の内側面110に記載され、第二の内側面120に臓器提供意志の記載欄が設けられている。情報カードの保有者は、記載欄に自筆にて臓器提供意志の有無を記載する。
【0014】
このような情報カードも、通常の使用の際には従来と同様に使用する。そして、何らかの理由で秘匿情報を見る必要が生じた場合、図2に示すように、シート基材1を開く。前述したように、擬似接着層4は弱い接着力の層であるので、第一の片部11の端と第二の片部12の端とをつまんで開くようにすると、人の手でも容易に開くことができる。この結果、内側面に記載されている秘匿情報を見ることができる。
この際、図2に拡大して示すように、第一の片部11の上には第一の接着層2とその上に接着された第一の中間層3が残り、第二の片部12の上には第二の接着層6とその上に接着された第二の中間層5とが残る。第一第二の各中間層3,5及び第一第二の各接着層2,6はいずれも透明であるので、内側面110,120に記載された秘匿情報が読みづらくなることはない。
【0015】
擬似接着層4は、第一第二のいずれかの中間層3,5に付着した状態となる。具体的には、第一第二の中間層3,5のうち、擬似接着層4との接着力が弱い方について擬似接着が解除される。図2に示す例では、第一の中間層3に付着した状態となっている。第一の第二の中間層5として同じ材質を使用しているといずれの擬似接着が解除されるか不安定になるので、異なる材料とし、意図的に一方の中間層について擬似接着が弱くなるようにしておくと好適である。情報カードを開いた後は、擬似接着層4は露出した状態となるので、擬似接着層4は擬似接着が解除された後は手で触ってもベトつかないものとすることが好ましい。
【0016】
また、図2に示すように、折り曲げ線10は、シート基材1が成す長方形の短辺の方向に沿ったものとなっている。この点は、折り曲げミスが少なくなるという長所がある。長方形の長辺の方向に沿って折り曲げ線10を設定しても良いのであるが、折り曲げ線10が長くなるので、折り曲げの際、線に沿って真っすぐ折れないミスが発生し易く、端と端がずれて貼り合わされてしまったり、歪んで貼り合わされてしまったりすることになり易い。短辺の方向に沿って折り曲げ線10を設定しておくと、このようなミスは少ない。
【0017】
次に、上記のような構成及び作用に係る情報カードを提供する情報カードシートの発明の実施形態について、図3及び図4を使用して説明する。図3は、本願発明の実施形態に係る情報カードシートの斜視概略図であり、図3の(1)は表側、(2)は裏側を示している。図4は、図3に示す情報カードシートの主要部の正面断面概略図である。
図3に示す情報カードシートは、情報カードを提供するために製作されるものであり、台シート71と、台シート71内に作り込まれたカード素材72とより成っている。台シート71は、本実施形態では紙製であり、いわゆる台紙である。台シート71は、情報カードの提供のためにカード素材72を保持するものであり、台シート71ごとカード素材72が提供先に送付されるものである。
【0018】
図3に示すように、台シート71は、全体としては細長い長方形の形状である。カード素材72は、保持部を介して台シート71に保持されており、台シート71と面一の状態である。保持部は、本実施形態では、カード素材72の輪郭に沿って形成されたミシン目73となっている。このミシン目73を切り離すことで、台シート71からカード素材72を取り外すことができるようになっている。
また、図3に示すように、台シート71には、折り曲げ線(以下、台シート折り曲げ線)74が形成されている。台シート折り曲げ線74は、カード素材72の折り曲げ線10と同一線上に延びるよう形成されている。台シート折り曲げ線74も、線状にプレスして部分的に厚さの薄い部分(溝)を形成したものである。
【0019】
図3(2)に示すように、情報カードシートの裏側には剥離シート75が貼られており、情報カードシートを部分的に覆っている。剥離シート75は、カード素材72の折り曲げ線10の一方の側半分を完全に覆うよう設けられている。剥離シート75は、カード素材72の一方の側半分よりも少し大きく、周囲の台シート71の部分まではみ出している。剥離シート75は、シールにおける剥離紙等と同様で、低下させた接着力でカード素材72及び台シート71の裏面に接着されているものである。尚、図3(2)に示すように、ミシン目73の加工は、剥離シート75についても施されている。
【0020】
カード素材72は、図1に示す情報カードを開いた状態のものに相当している。但し、まだ提供されていないものであり、したがって、まだ一度も閉じられておらず、秘匿情報も記載されていないものである。
より具体的に説明すると、図4に示すように、カード素材72は、折り曲げ線10で折り曲げて閉じることができるシート基材1と、シート基材1のうちの折り曲げ線10の一方の側に形成された積層体13より成るものである。図3及び図4から解るように、積層体13が設けられた側は、剥離シート75が設けられた側であり、積層体13が剥離シート75で覆われた構造となっている。尚、図4は、理解を容易にするために模式的に描かれており、実際の厚さの割合を反映させて描かれたものではない。
積層体13は、図1(2)に示す断面構造と同様であり、シート基材1(この例では第二の片部12)の上に、第二の接着層6、第二の中間層5、擬似接着層4、第一の中間層3、第一の接着層2を積層して成るものである。図4は、裏面を上に向けて配置された状態が描かれており、したがって、図1(2)に示すものとは、各層の配置が逆になる。各層の目的、具体的材質は、前述した情報カードの発明の実施形態の場合と同様なので、詳しい説明は省略する。
【0021】
このような情報カードシートから情報カードを得る方法について、以下に説明する。
まず、ミシン目73を切り離し、台シート71から剥離シート75ごとカード素材72を取り外す。そして、シート基材1の裏面のうち、剥離シート75で覆われていない他方の側半分に秘匿情報を記載する。そして、剥離シート75を剥がし、シート基材1を折り曲げ線10の部分で二つに折り曲げて閉じる。剥離シート75を剥がすと、第二の接着層6が露出し、折り曲げて閉じると、第二の接着層6がシート基材1の他方の側半分に押し付けられ、第二の中間層5と当該他方の側半分とを接着する。これにより、内部に外側から見えないようにして秘匿情報が記載された情報カードが得られたことになる。
【0022】
次に、カード素材送付方法の発明について、図5を使用して説明する。図5は、本願発明のカード素材送付方法の発明について示した斜視概略図である。この実施形態の方法は、図3及び図4に示す情報カードシートを使用してカード素材を送付する方法である。
この方法では、上述したような構成を情報カードシート100を製作する。この際、図5に示すように、台シート71の表面には、図5に示すように送付先の住所、氏名がされる。
そして、図5に示すように、台シート折り曲げ線74の部分で台シート71を曲げるとともに、折り曲げ線10の部分でシート基材1を折り曲げる。当然ながら、折り曲げの向きは同じである。
【0023】
この状態で、情報カードシート100を定型封筒8に入れる。この例では、定型封筒8は、開口に透明フィルムを貼り付けた透明部81を有しており、住所や氏名はこの透明部81に位置するよう印刷される。このように情報カードシート100を折り曲げて定型封筒8に封入した後、郵送又は宅配便等の方法により送付する。
情報カードシート100が送付された者(健康保険証であれば被保険者)は、封筒を開けて情報カードシート100を取り出す。そして、ミシン目73を破断してカード素材72を台シート71から取り外す。その後、必要に応じて内側面に秘匿情報を記載するとともに、剥離シート75を剥がす。そして、折り曲げ線10で二つに折り曲げて貼り合わせる。これにより、情報カードが得られる。尚、剥離シート75の一部(はみ出し部分)は、台シート71に残った状態となる。
【0024】
次に、上記のような情報カードシートの製作方法について補足して説明する。図6は、図3及び図4に示す情報カードシートの製作方法について模式的に示した斜視図である。
情報カードシート100は、台シート71及びシート基材1に所定の事項を印刷することで製作される。台シート71は、図6に示すように、帯状の長い台シート素材91の状態でラインに提供される。台シート素材91は、一定の間隔で幅方向ミシン目911が形成されており、幅方向ミシン目911を破断することで個々の台シート71が得られるものである。
【0025】
台シート素材91は、不図示のロールに巻かれたものが送り出され、情報カードシートとなる各領域が順次移送され、順次各工程が行われる。図6に示すように、製作工程は、まず台シート素材91への積層体シート130の貼り付けによって開始される。積層体シート130は、図3に示す積層体13とこれを覆う剥離シート75とから成るものである。台シート素材91は、裏面が上側になるように送り出される。したがって、積層体シート130は、台シート素材91に対して上側から貼り付けられる。
【0026】
積層体シート130は、上述した擬似接着層4を含むものであり、製作する情報カードシートにおいて重要な資材である。積層体シート130は、擬似接着材を含むシート素材を製造、販売する会社から容易に入手できる(例えば、王子タック(株)の擬似接着(リード)製品シリーズ等)。積層体シート130は、ロール状に巻かれた細長い帯状の積層体シート素材131の形で提供され、少しずつ引き出しながら使用する。積層体シート素材131は、積層体13を一対の剥離シート75,132で挟んだ断面構造となっている。即ち、積層体シート素材131から一方の剥離シート132を取り除き、所定の長さで切断したものが積層体シート130になる。積層体シート素材131は、一方の剥離シート132を除き全体に所定間隔で切り込みが入った構造になっている。図6に示すように、不図示のロボットのアームにより、積層体シート素材131から一個ずつ積層体シート130が剥がされ、台シート素材91に貼り付けられる。この貼り付けは、台シート素材91のうち情報カードシートとなる個々の領域内の所定の箇所である。尚、切り込みが入っていない一方の剥離シート131は、図6に示すように帯状に残留し、廃棄される。他方の剥離シート75は、積層体シート130を構成する。
【0027】
積層体シート130の貼り付けの後、印刷、折り曲げ線10,74の形成、ミシン目73の形成が順次行われる。これらの各工程は、順序が入れ替わっても構わない。印刷は、主としては表側の面(図6では下側の面)に対して行われるが、前述した秘匿情報の記載欄用に印刷をする場合、裏面に行われる。また、積層体130は、台シート素材91のうち、カード素材72のシート素材1の第二の片部12となる部位を被うよう貼り付けられるが、第二の片部12の表面(第二の内側面120)に印刷をする場合、この印刷は、積層体シート130の貼り付けの前の工程で行われる。折り曲げ線10は、例えばプレス刃を所定の位置まで当てることで行われ、ミシン目73の形成は、形成するミシン目の形のカッター刃を押し当てることで行われる。その後、幅方向ミシン目911を破断し、移送用ピン孔が形成された両端部912を切り離せば、一つの情報カードシートが得られる。
【0028】
前述した上記構成に係る本実施形態の情報カードシートの送付方法の長所について、他の実施形態と比較しながら説明する。図7は、本願発明の他の実施形態に係る情報カードシートの斜視概略図である。図7の実施形態では、折り曲げ後のシート基材1の長辺の方向に沿って折り曲げ線10が設定されている。情報カードシートはこのような構成であっても良く、本願発明の情報カードを得ることはできるものの、前述したように、折り曲げの際のミスの少なさという点では前述した実施形態に劣る。
【0029】
一方、この実施形態の場合、カード素材72は全体に細長くはならないため、折り曲げなくとも定型封筒に収容することができる。封入の際の折り曲げ動作が不要であるという点では、前述した実施形態より優れていると言える。
しかしながら、定型封筒に入れることができる台シート71の幅には制限があり、それほど幅の広い台シート71を使用することができない。この場合、提供する情報カードの大きさによっては、カード素材72の幅(図5にdで示す)が大きくなり、台シート71の縁とのマージン(図5にmで示す)が少ししか取れないことがあり得る。マージンが小さくなると、印刷機のタイプによっては印刷が行えないこともあり得る。
【0030】
一方、図3及び図4に示す実施形態の情報カードシートでは、折り曲げ後のカード素材72の短辺の方向に沿って折り曲げ線10が設定されており、カード素材72そのものがかなり細長いものになる。したがって、定型封筒に入れられる台シート71の幅よりも十分に狭い幅のカード素材72とすることができる。このため、幅方向で大きなマージンを取ることができ、印刷機のタイプで制約を受けることが無くなる(選択の自由度が高い)。
カード素材72が細長いものとなるため、上述したように、カード素材72及び台シート71を折り曲げて定型封筒に入れているが、折り曲げて送付すること自体が別のメリットを有する。即ち、カード素材72が折り曲げられた状態で封入されて送付されると、折ぐせがついた状態で提供されることになる。このため、送付された者においてカード素材72が折り曲げ易く、折り曲げのミスによりカードの端がずれて貼り合わされてしまうことが無くなる。
【0031】
上述したように、実施形態の情報カードによれば、折り曲げ線10で折り曲げて閉じた内側面に秘匿情報が記載されており、一回に限り開いてみることができるので、カードの裏面については従来通りの非秘匿情報の記載用に使用することができる。即ち、非秘匿情報の記載エリアを減らすことなく情報カードに秘匿情報の保持の機能を持たせることができる。また、折り曲げ線10が折り曲げ前のシート基材1の長方形の短辺の方向に沿ったものであり、折り曲げ線10の長さが短いので、折り曲げミスが少なくなる。
【0032】
また、情報カードシートにおいては、台シート71をくり抜くことでカード素材72が台シート71から分離されるので、秘匿情報の記載が容易で、且つ構造も簡単にできる。即ち、カード素材72が台シート71に貼り付けられた状態で提供されるようにしても良いのであるが、この場合、カード素材72は台シート71に擬似接着された状態とする必要がある(通常の接着の場合、剥がすと接着面がベトつくので不可)。擬似接着の場合、剥がされて分離する表面はPETやPEのような樹脂の面とする必要があり、上記の例では、剥がされて分離するシート素材の表面は樹脂面とする必要がある。この表面に秘匿情報を記載することになるが、つるつるした表面となるため、記載がしづらい。尚、剥がされて分離する表面ではなく反対側の面を秘匿情報の記載面とすることも考えられる。しかし、剥がされて分離する面は台シート71に覆われていた面であって、この面に非秘匿情報を予め印刷する必要があり、採用不可の構成である。上記実施形態のように、くりぬきによってカード素材72を得る構造であると、折り曲げる前の内側面を普通の紙(又は紙以外の書き易い材質)の面とすることができ、秘匿情報の記載が容易である。
【0033】
また、剥離により台シート71からカード素材72を得る構造では、台シート71とカード素材72との擬似接着のための層に加え、上記カード素材72の折り曲げと開きのための擬似接着層4とを形成する必要があり、非常に複雑な構造にしなければならない。くりぬきの場合にはこのような欠点はなく、構造の複雑化が避けられる。
さらに、上記実施形態では、情報カードは、折り曲げて閉じた後のシート基材1の長方形の短辺の方向に沿って折り曲げ線10が設定されており、情報カードシートにおけるカード素材72が細長いものとなっているので、定型封筒に入る台シート71内に作り込むことが容易である。そして、実施形態の送付方法は、カード素材72が折り曲げられた状態で(折りぐせが付いた状態で)送付されるので、秘匿情報を記載した後の折り曲げ・閉じの動作が容易にミス無く行えるという長所がある。
【0034】
次に、上記以外の他の実施形態について説明する、図8は、他の実施形態の情報カードの断面概略図である。
図1に示す実施形態では、第一第二の二つの中間層3,5があったが、中間層は一つであっても実施は可能である。この構成が図8に示されている。図8(1)に示す実施形態では、第一の接着層2と擬似接着層4との間に中間層30が形成され、擬似接着層4と第二の接着層6は直接接している。即ち、第二の接着層6は、擬似接着層4と第二の片部12とを接着したものとなっている。また、図8(2)に示す実施形態は、第一の接着層2と擬似接着層4とが直接接しており、擬似接着層4と第二の接着層6との間に中間層50が形成された構造となっている。即ち、第一の接着層2は、第一の片部11と擬似接着層4とを接着したものとなっている。
【0035】
図8(1)に示す情報カードを開いて擬似接着を解除しようした場合、擬似接着層4は第二の片部12に対しては第二の接着層6により強固に接着されているため、擬似接着層4と中間層30との間の接着が解除される。即ち、第一の片部11の上に第一の接着層2、中間層30が載った状態となり、第二の片部12の上に第二の接着層5、擬似接着層4が載った状態となる。また、図8(2)に示す情報カードを開いた場合、擬似接着層4は第一の接着層2により第一の片部11に強固に接着されているため、第一の片部11の上に第一の接着層2、擬似接着層4が載り、第二の片部12の上に第二の接着層6、中間層50が載った状態となる。
【0036】
また、上記各実施形態では、情報カードは、長方形のシート基材1を中央の折り曲げ線10で二つに折り曲げて閉じたものであって、閉じた後の形状も長方形であったが、閉じた内側面に秘匿情報を記載するという点については、情報カードの形状が長方形である必要はなく、正方形や、三角形、円形、楕円形等であっても良い。したがって、折り曲げる前のシート基材の形状も、正方形であっても良く、三角形や円形等の形状も二つ繋げた形状(繋ぎ部分に折り曲げ線が設定される)でも良い。
尚、情報カードシートを折り曲げて封入する方法は前述したような効果を有するが、台シートの折り曲げ位置は、カード素材の折り曲げ線とは異なる位置であってもよく、カード素材自体は折り曲げないで送付するようにしても良い。
【0037】
また、秘匿情報の記載欄については、○で囲むとか、何らかの情報を記載するブランク枠が印刷されているとかの構成の他、単に内側面が秘匿情報の記載欄として指定されているだけの構成であっても良い。
尚、台シートにおいてカード素材を保持する保持部の構成は、前述したミシン目の他、挟みで切るための切り取り線が単に設けられた構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明は、上述した効果を有するものであり、健康保険証や免許証、社員証、学生証等の身分証になり得るカード、各種会員カードや病院の診察券、販売促進用のポイントカード等の各種カードについて適用が可能であり、幅広い産業上利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0039】
1 シート基材
10 折り曲げ線
2 第一の接着層
3 第一の中間層
4 擬似接着層
5 第二の中間層
6 第二の接着層
71 台シート
72 カード素材
73 ミシン目
74 台シート折り曲げ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材を折り曲げ線で折り曲げて閉じた構造の情報カードであって、
シート基材のうちの折り曲げ線の一方の側である第一の片部の表面に付着している第一の接着層と、
シート基材のうちの折り曲げ線の他方の側である第二の片部の表面に付着している第二の接着層と、
第一の接着層と第二の接着層との間に介在している擬似接着層と、
第一の接着層と擬似接着層との間に介在しているか、又は第二の接着層と擬似接着層との間に介在している中間層と
より成る断面構造を有しており、
擬似接着層は、第一の片部と第二の片部とを分離させて開いた状態にしようとした際、人の力により第一の片部と第二の片部とが分離することができる程度の接着力であって一度分離した後は再び接着することができない接着力を有するものであり、
第一の片部の第二の片部に対向する表面、第二の片部の第一の片部に対向する表面又はその両方には、秘匿すべき情報欄が設けられていることを特徴とする情報カード。
【請求項2】
折り曲げる前の前記シート基材の形状は長方形であって、前記折り曲げ線は前記シート基材の中央に設定されていて中央で半分に折り曲げられており、且つ前記折り曲げ線は長方形の短辺の方向に沿ったものであることを特徴とする請求項1記載の情報カード。
【請求項3】
折り曲げた後の前記シート基材の形状も長方形であって、前記折り曲げ線は、折り曲げた後の長方形の短辺の方向に沿って延びるよう設定されていることを特徴とする請求項2記載の情報カード。
【請求項4】
情報カードを提供するために製作される情報カードシートであって、台シートと、台シート内に作り込まれたカード素材とより成り、
カード素材は、台シートをくり抜くことで台シートから分離できるよう台シートに対して人の力で破断可能な保持部を介して台シートに保持されており、
カード素材は、
折り曲げ線で折り曲げて閉じることができるシート基材と、
シート基材のうちの折り曲げ線の一方の側である第一の片部に形成された積層体と、
積層体を覆った剥離シートと
より成るものであり、
積層体は、シート基材の第一の片部に近い側から順に、第一の接着層と、擬似接着層と、第二の接着層とから成るものであって、第一の接着層と擬似接着層の間又は擬似接着層と第二の接着層の間には中間層が形成されたものであり、
剥離シートは、第二の接着層による接着力を保持しつつ人の手で剥離可能なものであり、
擬似接着層は、剥離シートを剥がしてシート基材を折り曲げ線で折り曲げて閉じることで第二の接着層をシート基材の折り曲げ線の他方の側である第二の片部に付着させて接着した後、再びシート基材を開いた状態にしようとした際、人の力で中間層から分離する程度の接着力であって一度分離した後は再び中間層と接着することができない接着力を有するものであり、
シート基材の積層体を形成した側の表面のうち前記第二の片部の表面には、秘匿すべき情報の記載欄が設けられていることを特徴とする情報カードシート。
【請求項5】
前記シート基材の形状は長方形であって、前記折り曲げ線は前記シート基材の中央に設定されていて中央で半分に折り曲げ可能となっており、且つ前記折り曲げ線は長方形の短辺の方向に沿ったものであることを特徴とする請求項4記載の情報カードシート。
【請求項6】
前記シート基材は、前記折り曲げ線で折り曲げた後も長方形となる形状であって、前記折り曲げ線は、折り曲げた後の長方形の短辺の方向に沿って延びるよう設定されていることを特徴とする請求項5記載の情報カードシート。
【請求項7】
前記台シートには、台シートを折り曲げるための台シート折り曲げ線が形成されており、台シート折り曲げ線は、前記シート基材に形成された折り曲げ線と同一線上に延びていることを特徴とする請求項4乃至6いずれかに記載の情報カードシート。
【請求項8】
請求項7に記載の情報カードシートを使用したカード素材送付方法であって、
前記台シート折り曲げ線で台シートを折り曲げるとともに前記折り曲げ線で前記シート基材を折り曲げ、この状態で情報カードシートを封筒に封入して送付することを特徴とするカード素材送付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−915(P2013−915A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131156(P2011−131156)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(503138020)株式会社昇寿堂 (5)
【Fターム(参考)】