説明

情報カードおよびその製造方法

【課題】多数重ねた状態で端面に形成されたバーコードを個別に読み取り可能な情報カードおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報カード10は、コア基材11と、コア基材11の両面に積層された表面基材12,13と、を備え、コア基材11はポリ塩化ビニルからなり、表面基材12,13はコア基材11とは材質が異なる基材からなり、コア基材11の端面11cに、機械読取コード14が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックカードからなり、クレジットカード、銀行カード、身分証明証などの情報カードおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード、銀行カード、身分証明証などの情報カードは、一度に数百枚から数万枚と大量に製造、発行される。
情報カードの製造過程において、情報カードを個別に管理するために、情報カードの端面(側面)に、バーコードなどの機械読取コードが設けられている。端面にバーコードを設けることにより、情報カードを多数重ねた状態で、情報カードを個別に管理することを可能としている。
情報カードの端面にバーコードを形成する方法としては、端面を切削してバーコードを形成する方法、端面にバーコードを印刷する方法などが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64ー13376号公報
【特許文献2】特開2004ー9657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報カードの端面に対するバーコードの形成方法では、情報カードの一方の面から他方の面にわたって(すなわち、情報カードの厚さ方向のほぼ全長にわたって)バーコードが形成されるため、情報カードを2枚以上重ねた状態で、バーコードを読取装置で読み取る場合、読取装置が情報カードの端面に対してほぼ平行に当接されず、情報カードの端面に対して斜めに当接されると、複数の情報カードのバーコードに跨って読み取ってしまい、それぞれの情報カードのバーコードを正確に読みとれないという問題があった。すなわち、従来の方法で形成されたバーコードを備えた情報カードは、多数重ねた状態で個別に管理することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、多数重ねた状態で端面に形成されたバーコードを個別に読み取り可能な情報カードおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報カードは、コア基材と、該コア基材の両面に積層された表面基材と、を備えた情報カードであって、前記コア基材はポリ塩化ビニルからなり、前記表面基材は前記コア基材とは材質が異なる基材からなり、前記コア基材の少なくとも一端面に、機械読取コードが形成されたことを特徴とする。
【0007】
本発明の情報カードの製造方法は、コア基材と、該コア基材の両面に積層された表面基材と、を備え、前記コア基材はポリ塩化ビニルからなり、前記表面基材は前記コア基材とは材質が異なる基材からなり、前記コア基材の少なくとも一端面に機械読取コードが形成された情報カードの製造方法であって、前記コア基材の少なくとも一端面にレーザ光を照射して、前記コア基材の少なくとも一端面に機械読取コードを形成する工程Aと、前記コア基材の両面に、前記表面基材を積層する工程Bと、を有し、前記工程Aと前記工程Bは順不同であることを特徴とする情報カードの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報カードによれば、コア基材のみに機械読取コードが形成され、そのコア基材の両面に表面基材が積層されているので、複数重ねられた状態で、読取装置により、機械読取コードを読み取ったとしても、2つ以上の情報カードに跨って(2つ以上の情報カードの機械読取コードをまとめて)機械読取コードを、1つの機械読取コードとして読み取ることを防止できる。
すなわち、本発明の情報カードの端面に設けられた機械読取コードを読み取ろうとした場合、読取装置が端面に対してほぼ平行に当接した場合には、コードを読み取ることが可能であるが、読取装置が端面に対して斜めに当接された場合には、読取装置が2つ以上の情報カードに跨っており、機械読取コードの間に表面基材が介在するため、読み取りエラー(ミス)として認識することができるので、2つ以上の機械読取コードを1つのコードとして誤って読み取ることを防止できる。
【0009】
本発明の情報カードの製造方法によれば、コア基材としてポリ塩化ビニルからなる基材を用い、表面基材としてコア基材とは材質が異なる基材を用いて、コア基材の端面にレーザ光を照射するので、コア基材のみに機械読取コードを形成することができる。また、表面基材の端面にレーザ光が当たっても、表面基材は変色することがないので、誤って表面基材の端面に機械読取コードが形成されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報カードの一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の情報カードの管理方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の情報カードおよびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
「情報カード」
図1は、本発明の情報カードの一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
本実施形態の情報カード10は、コア基材11と、コア基材11の両面(一方の面11aおよび他方の面11b)に積層された表面基材12、13とから概略構成されている。
すなわち、表面基材12は、コア基材11の一方の面11aを被覆するように設けられており、表面基材13は、コア基材11の他方の面11bを被覆するように設けられている。
【0013】
コア基材11の1つの端面(側面)11cには、この端面11cに対するレーザ光の照射によって形成された、機械読取コード14が形成されている。
機械読取コード14としては、例えば、バーコード、微細文字の羅列などが挙げられる。機械読取コード14がバーコードである場合、例えば、バーがコア基材11の厚さ方向に沿って沿在するように形成される。
【0014】
コア基材11としては、レーザ光を照射することによって変色する材料からなる基材が用いられ、具体的には、ポリ塩化ビニル(PVC)からなる基材が用いられる。
レーザ光としては、YAGレーザ(波長1.064μm)やCOレーザ(波長10.6μm)が用いられる。
【0015】
ここで、レーザ光を照射することによる変色とは、その変色部分が機械読取コードとして、一般的な読取装置によって読み取り可能な程度に、コア基材11の端面11cにおける他の部分とは異なる色調に変色することを言う。
【0016】
なお、コア基材11をなすポリ塩化ビニルには、顔料、充填材、可塑材などの添加材が添加されていてもよい。
【0017】
表面基材12、13としては、レーザ光を照射しても変色しない材料からなる基材が用いられる。このような基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
【0018】
次に、情報カード10を複数枚重ねた状態で、それぞれの端面11cに形成された機械読取コード14を読み取ることにより個別に管理する方法を説明することにより、情報カード10の機能を説明する。
【0019】
図2に示すように、例えば、情報カード10が2枚重ねられた状態で、読取装置の読取部31を、情報カード10の機械読取コード14にかざした(当接させた)場合、読取部31がコア基材11の端面11cとほぼ平行な場合(図2において破線で示す場合)、読取部31により、1つの情報カード10の機械読取コード14を読み取ることができる。
【0020】
一方、読取部31をコア基材11の端面11cに対して斜めにかざした(当接させた)場合(図2において二点鎖線で示す場合)、読取部31が2つの機械読取コード14に跨ってしまい、2つの機械読取コード14の間には、それぞれの情報カード10を構成する表面基材12と表面基材13が存在するので、読み取りエラー(ミス)と判断され、重なり合う2つの情報カード10において、2つの機械読取コード14を1つのコードとして読み取る(認識する)ことを防止できる。したがって、それぞれの機械読取コード14を正確に読み取って、情報カード10を個別に管理することができる。
【0021】
「情報カードの製造方法」
次に、情報カード10の製造方法を説明する。
(1)第一実施形態
まず、ポリ塩化ビニルからなるコア基材11を、所定のカード形状となるように裁断する。
次いで、コア基材11の端面11cに、レーザ光を照射することにより、コア基材11の端面11cを変色させて、機械読取コード14を形成する(工程A)。
【0022】
次いで、コア基材11の両面にそれぞれ、コア基材11とは材質が異なる表面基材12、13を、接着剤によって接着するか、あるいは、融着することにより、コア基材11の両面に、表面基材12、13を積層し(工程B)、情報カード10を得る。
【0023】
(2)第二実施形態
まず、ポリ塩化ビニルからなるコア基材11を、所定のカード形状となるように裁断する。
次いで、コア基材11の両面にそれぞれ、コア基材11とは材質が異なる表面基材12、13を、接着剤によって接着するか、あるいは、融着することにより、コア基材11の両面に、表面基材12、13を積層する(工程B)。
【0024】
次いで、コア基材11の端面11cに、レーザ光を照射することにより、コア基材11の端面11cを変色させて、機械読取コード14を形成し(工程A)、情報カード10を得る。
【0025】
第一および第二実施形態の情報カードの製造方法によれば、コア基材11としてポリ塩化ビニルからなる基材を用いて、コア基材11の端面11cにレーザ光を照射するので、コア基材11の端面11cのみに、機械読取コード14を形成することができる。また、表面基材12、13として、コア基材11とは材質が異なる基材を用いるので、表面基材12、13の端面(側面)にレーザ光が当たっても、表面基材12、13は変色することがないので、誤って表面基材12、13の端面に機械読取コードが形成されることがない。
【符号の説明】
【0026】
10・・・情報カード、11・・・コア基材、12,13・・・表面基材、14・・・機械読取コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア基材と、該コア基材の両面に積層された表面基材と、を備えた情報カードであって、
前記コア基材はポリ塩化ビニルからなり、前記表面基材は前記コア基材とは材質が異なる基材からなり、
前記コア基材の少なくとも一端面に、機械読取コードが形成されたことを特徴とする情報カード。
【請求項2】
コア基材と、該コア基材の両面に積層された表面基材と、を備え、前記コア基材はポリ塩化ビニルからなり、前記表面基材は前記コア基材とは材質が異なる基材からなり、前記コア基材の少なくとも一端面に機械読取コードが形成された情報カードの製造方法であって、
前記コア基材の少なくとも一端面にレーザ光を照射して、前記コア基材の少なくとも一端面に機械読取コードを形成する工程Aと、
前記コア基材の両面に、前記表面基材を積層する工程Bと、を有し、
前記工程Aと前記工程Bは順不同であることを特徴とする情報カードの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−71330(P2013−71330A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212476(P2011−212476)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】